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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-10
(45)【発行日】2025-01-21
(54)【発明の名称】エアロゾル生成システム
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/46 20200101AFI20250114BHJP
   A24F 40/465 20200101ALI20250114BHJP
【FI】
A24F40/46
A24F40/465
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2023516142
(86)(22)【出願日】2021-09-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-25
(86)【国際出願番号】 EP2021075115
(87)【国際公開番号】W WO2022053684
(87)【国際公開日】2022-03-17
【審査請求日】2023-05-10
(31)【優先権主張番号】2014442.4
(32)【優先日】2020-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】519138265
【氏名又は名称】ニコベンチャーズ トレーディング リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Nicoventures Trading Limited
【住所又は居所原語表記】Globe House, 1 Water Street,WC2R 3LA London,United Kingdom
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ウォーレン, ルーク
【審査官】土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-014463(JP,A)
【文献】特表2015-505812(JP,A)
【文献】中国実用新案第210248373(CN,U)
【文献】特表2019-521665(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/46
A24F 40/465
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル生成材料を加熱して前記エアロゾル生成材料の少なくとも1つの成分を揮発させるための非燃焼式エアロゾル供給デバイスであって、
前記エアロゾル生成材料を含む消耗品の少なくとも一部分を受け入れるための加熱ゾーンを少なくとも部分的に画定する加熱要素と、
断熱材であり、
内壁、
外壁、
前記内壁及び前記外壁で巻かれた断熱領域で、前記断熱領域が、前記断熱領域の外部よりも低い圧力に排気されている、断熱領域、並びに
前記断熱材を強化するための少なくとも1つの補強部で、前記補強部が、前記断熱領域内に配置された内部補強部である、又は前記断熱領域の外側の前記内壁及び外壁の少なくとも一方の表面に配置された外部補強部である、少なくとも1つの補強部を備える、断熱材と
を具備し、
前記断熱材が、前記加熱要素の少なくとも一部のまわりに延びるように配置されている、非燃焼式エアロゾル供給デバイス。
【請求項2】
前記断熱材が、前記加熱要素の少なくとも一部を取り囲むように配置されている、請求項1に記載の非燃焼式エアロゾル供給デバイス。
【請求項3】
前記断熱材の前記内壁と前記加熱要素との間にエアギャップが存在する、請求項1又は2に記載の非燃焼式エアロゾル供給デバイス。
【請求項4】
前記断熱材の前記内壁が、変動磁場を侵入させることによって加熱可能ではない、請求項1~3のいずれか一項に記載の非燃焼式エアロゾル供給デバイス。
【請求項5】
前記内壁が、金属、ガラス、セラミック、又はプラスチックのうちの1つ又は複数を含む、請求項4に記載の非燃焼式エアロゾル供給デバイス。
【請求項6】
エアロゾル生成材料を加熱して前記エアロゾル生成材料の少なくとも1つの成分を揮発させるための非燃焼式エアロゾル供給デバイスであって、
前記エアロゾル生成材料を含む消耗品の少なくとも一部分を受け入れるための加熱ゾーンを少なくとも部分的に画定する加熱要素と、
断熱材であり、
内壁、
外壁、
前記内壁及び前記外壁で巻かれた断熱領域で、前記断熱領域が、前記断熱領域の外部よりも低い圧力に排気されており、前記内壁が前記加熱要素を備える、断熱領域、並びに
前記断熱材を強化するための少なくとも1つの補強部で、前記補強部が、前記断熱領域内に配置された内部補強部である、又は前記断熱領域の外側の前記内壁及び外壁の少なくとも一方の表面に配置された外部補強部である、少なくとも1つの補強部を備える、断熱材と
を具備する、非燃焼式エアロゾル供給デバイス。
【請求項7】
前記断熱領域が、10-3torr以下の圧力に排気されている、請求項1~6のいずれか一項に記載の非燃焼式エアロゾル供給デバイス。
【請求項8】
前記少なくとも1つの補強部が、前記内壁及び/又は前記外壁の表面に配置された隆起部である、請求項1~7のいずれか一項に記載の非燃焼式エアロゾル供給デバイス。
【請求項9】
前記隆起部が、前記内壁及び/又は前記外壁に対して軸線方向に、半径方向に、又は螺旋形状に配置されている、請求項8に記載の非燃焼式エアロゾル供給デバイス。
【請求項10】
前記少なくとも1つの補強部が、前記内壁及び/又は前記外壁の表面に配置されたスタッドである、請求項1~9のいずれか一項に記載の非燃焼式エアロゾル供給デバイス。
【請求項11】
前記少なくとも1つの補強部が、前記内壁及び前記外壁の少なくとも一方に接触している、請求項1~10のいずれか一項に記載の非燃焼式エアロゾル供給デバイス。
【請求項12】
前記少なくとも1つの補強部が、前記内壁及び前記外壁の少なくとも一方と一体化されている、請求項1~11のいずれか一項に記載の非燃焼式エアロゾル供給デバイス。
【請求項13】
前記少なくとも1つの補強部が、前記内壁及び前記外壁の少なくとも一方と同じ材料を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の非燃焼式エアロゾル供給デバイス。
【請求項14】
前記少なくとも1つの補強部が、前記内壁及び前記外壁の少なくとも一方に接合又は付着されている、請求項1~13のいずれか一項に記載の非燃焼式エアロゾル供給デバイス。
【請求項15】
エアロゾル生成材料を加熱して前記エアロゾル生成材料の少なくとも1つの成分を揮発させるための非燃焼式エアロゾル供給デバイスであって、
前記エアロゾル生成材料を含む消耗品の少なくとも一部分を受け入れるための加熱ゾーンを少なくとも部分的に画定する加熱要素と、
断熱材であり、
内壁、
外壁、並びに
前記内壁及び前記外壁で巻かれた断熱領域で、前記断熱領域が、前記断熱領域の外部よりも低い圧力に排気されている断熱領域を備える、断熱材と
を具備し、
前記内壁及び前記外壁の少なくとも一方が、少なくとも250℃の融点を持つポリマーを含み、
前記断熱材が、前記加熱要素の少なくとも一部のまわりに延びるように配置されている、非燃焼式エアロゾル供給デバイス。
【請求項16】
前記断熱材が、前記加熱要素の少なくとも一部を取り囲むように配置されている、請求項15に記載の非燃焼式エアロゾル供給デバイス。
【請求項17】
前記断熱材の前記外壁が、変動磁場を侵入させることによって加熱可能ではない材料を含む、請求項1~16のいずれか一項に記載の非燃焼式エアロゾル供給デバイス。
【請求項18】
前記加熱要素が、伝導、及び変動磁場を侵入させることの少なくとも一方によって加熱可能である、請求項1~17のいずれか一項に記載の非燃焼式エアロゾル供給デバイス。
【請求項19】
前記加熱要素の軸線方向端部から延びる中空チャンバをさらに備え、前記消耗品が前記デバイスに挿入されたときに前記中空チャンバが前記消耗品の少なくとも一部分を取り囲み、前記チャンバの内壁と前記消耗品の前記少なくとも一部分とがこれらの間にエアチャネルを画定する、請求項1~18のいずれか一項に記載の非燃焼式エアロゾル供給デバイス。
【請求項20】
請求項1~19のいずれか一項に記載の装置と、
使用時に、前記加熱要素の前記加熱ゾーン内に少なくとも部分的に配置されるエアロゾル生成材料と
を備える、非燃焼式エアロゾル供給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル供給デバイス、このエアロゾル供給デバイスを用いてエアロゾルを生成する方法、及びこのエアロゾル供給デバイスを備えるエアロゾル生成システムに関する。
【背景】
【0002】
シガレット、及びシガーなどの喫煙品は、使用中にタバコを燃焼させてタバコの煙を生じさせる。タバコを燃焼させるこれらの物品の代替品を、燃焼させずに化合物を放出する製品を作り出すことによって提供しようとする試みがなされてきた。このような製品の例としては、材料を燃焼させるのではなく加熱することによって化合物を放出する加熱デバイスがある。この材料は、例えばタバコ又は他の非タバコ製品でもよく、これらはニコチンを含んでも含まなくてもよい。
【概要】
【0003】
本開示の第1の態様によれば、エアロゾル生成材料を加熱してエアロゾル生成材料の少なくとも1つの成分を揮発させるための非燃焼式エアロゾル供給デバイスが提供され、このデバイスは、エアロゾル生成材料を含む消耗品の少なくとも一部分を受け入れるための加熱ゾーンを少なくとも部分的に画定する加熱要素と、断熱材であって、内壁、外壁、内壁及び外壁で巻かれた断熱領域であり、この断熱領域が、この断熱領域の外部よりも低い圧力に排気されている、断熱領域、並びに断熱材を強化するための少なくとも1つの補強部であり、この補強部が、断熱領域内に配置された内部補強部である、又は断熱領域の外側の内壁及び外壁の少なくとも一方の表面に配置された外部補強部である、少なくとも1つの補強部を備える、断熱材とを具備し、断熱材は、加熱要素の少なくとも一部のまわりに延びるように配置されている。
【0004】
本開示の第2の態様によれば、エアロゾル生成材料を加熱してエアロゾル生成材料の少なくとも1つの成分を揮発させるための非燃焼式エアロゾル供給デバイスが提供され、このデバイスは、エアロゾル生成材料を含む消耗品の少なくとも一部分を受け入れるための加熱ゾーンを少なくとも部分的に画定する加熱要素と、断熱材であって、内壁、外壁、内壁及び外壁で巻かれた断熱領域であり、この断熱領域が、この断熱領域の外部よりも低い圧力に排気されており、内壁が加熱要素を備える、断熱領域、並びに断熱材を強化するための少なくとも1つの補強部であり、この補強部が、断熱領域内に配置された内部補強部である、又は断熱領域の外側の内壁及び外壁の少なくとも一方の表面に配置された外部補強部である、少なくとも1つの補強部を備える、断熱材とを具備する。
【0005】
本開示の第3の態様によれば、エアロゾル生成材料を加熱してエアロゾル生成材料の少なくとも1つの成分を揮発させるための非燃焼式エアロゾル供給デバイスが提供され、このデバイスは、エアロゾル生成材料を含む消耗品の少なくとも一部分を受け入れるための加熱ゾーンを少なくとも部分的に画定する加熱要素と、断熱材であって、内壁、外壁、並びに内壁及び外壁で巻かれた断熱領域であり、この断熱領域が、この断熱領域の外部よりも低い圧力に排気されている断熱領域を備える、断熱材とを具備し、内壁及び外壁の少なくとも一方が、少なくとも250℃の融点を持つポリマーを含み、断熱材は、加熱要素の少なくとも一部のまわりに延びるように配置されている。
【0006】
本開示の第4の態様によれば、本開示の第1、第2、又は第3の態様のいずれか1つによる装置と、使用時に加熱要素の加熱ゾーン内に少なくとも部分的に配置されるエアロゾル生成材料とを備える、非燃焼式エアロゾル供給システムが提供される。
【0007】
本発明のさらなる特徴及び利点は、単なる例として示された本発明の好ましい実施形態についての、添付の図面を参照することによってなされる以下の説明から明らかになろう。
【0008】
次に、本発明の実施形態について、単なる例として添付の図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】例示的なエアロゾル供給デバイスの概略断面図である。
図2図1のデバイスに使用するための例示的な断熱構成体を図1のデバイスの別の構成要素とともに示す概略図である。
図3】内部補強部材を図1のデバイスの別の構成要素とともに図示する、図2の線A-Aに沿った例示的な断熱構成体の断面図である。
図4】外部補強部材を図示する、図1のデバイスで使用するための別の例示的な断熱構成体の概略図である。
図5図3に表示された領域Bのより詳細な概略図である。
図6】内部補強部材を図示する、図1のデバイスで使用するための別の例示的な断熱構成体の概略図である。
【詳細な説明】
【0010】
本明細書では、「エアロゾル生成材料」という用語は、加熱したときに通常はエアロゾルの形で揮発成分を供給する材料を含む。エアロゾル生成材料は、何らかのタバコ含有材料を含み、例えば、タバコ、タバコ派生物、膨張タバコ、再生タバコ、又はタバコ代替品のうちの1つ又は複数を含み得る。エアロゾル生成材料は、他の非タバコ製品を含むこともあり、これは製品によって、ニコチンを含むことも含まないこともある。エアロゾル生成材料は、例えば、固体、液体、ゲル、又はワックスなどの形とすることができる。エアロゾル生成材料は、例えば、複数の材料の組合せ又は混合物とすることもできる。エアロゾル生成材料は、「喫煙材」と呼ばれることもある。
【0011】
エアロゾル生成器を使用してエアロゾル生成材料からエアロゾルを生成する装置が知られている。エアロゾルを生成する特に一般的な1つの方法は、エアロゾル生成材料を加熱することによるものである。このような装置では、エアロゾル生成器はヒータであり、このヒータは、エアロゾル生成材料を加熱してエアロゾル生成材料の少なくとも1つの成分を揮発させ、典型的には、吸入することができるエアロゾルを、エアロゾル生成材料を焼いたり燃焼させたりすることなく形成する。このような装置は、場合によって「エアロゾル供給デバイス」、「非燃焼加熱式デバイス」、「タバコ加熱製品デバイス」又は「タバコ加熱デバイス」などと記述される。同様に、いわゆるeシガレットデバイスもあり、これは通常、ニコチンを含むことも含まないこともある液体の形のエアロゾル生成材料を気化させる。エアロゾル生成材料は、装置に挿入できるロッド、カートリッジ、又はカセットなどの形にすることも、これらの一部として形成することもできる。エアロゾル生成材料を揮発させるためのエアロゾル生成器は、装置の「恒久的」部分として設けられてもよく、又は交換可能品若しくは消耗品の構成要素中のエアロゾル生成物質と組み合わせることもできる。本開示では、ヒータであるエアロゾル生成器に注目するが、エアロゾル生成材料からエアロゾルを生成する代替方法もまた利用可能であることを理解されたい。
【0012】
エアロゾル供給デバイスは、エアロゾル生成材料を含む物品を受け入れ加熱することができる。この文脈における「物品」とは、加熱されてエアロゾル生成材料を揮発させるエアロゾル生成材料を使用時に、また任意選択で他の構成要素を使用時に含んでいるか含有する構成要素のことである。使用者は、物品が加熱される前に、物品をこのエアロゾル供給デバイスに挿入し、加熱してエアロゾルを生成することができ、続いて、そのエアロゾルを使用者が吸入する。物品は、例えば、物品を受け入れるように寸法設定されたこのデバイスの加熱チャンバの中に入るように構成されている、予め定められた、又は特定のサイズとすることができる。代替として、エアロゾル生成材料は、デバイスの加熱チャンバ内に自由に、又は制約なしに単純に入れられてもよく、例えば、非結束葉タバコは、このようにして使用することができる。
【0013】
誘導加熱とは、導電性の物体が、変動磁場がその物体を貫通することによって加熱されるプロセスである。このプロセスは、ファラデーの誘導の法則及びオームの法則によって説明される。誘導ヒータは、電磁石と、この電磁石に交流などの変動電流を通すためのデバイスとを備えることができる。電磁石と加熱されるべき物体とが、電磁石によって生成された変動磁場が物体を貫通するように適切に相対的に配置されると、1つ又は複数の渦電流が物体の内部に生成される。物体には、電流の流れに対する抵抗がある。したがって、このような渦電流が物体中に生成されると、それが物体の電気抵抗に抗して流れることで物体が加熱される。このプロセスは、ジュール加熱、オーミック加熱、又は抵抗加熱と呼ばれる。誘導加熱されることが可能である物体は、サセプタとして知られている。
【0014】
磁気ヒステリシス加熱とは、磁性材料で作られた物体が、その物体に変動磁場を侵入させることによって加熱されるプロセスのことである。磁性材料は、多くの原子スケールの磁石、すなわち磁気双極子を含むと考えることができる。このような材料に磁場を侵入させると、磁気双極子は磁場に合わせて整列する。したがって、例えば電磁石によって生成されるような交番磁場等の変動磁場が磁性材料に侵入すると、磁気双極子の向きが、変動印加磁場によって変化する。このような磁気双極子の再配向により、熱が磁性材料中に発生する。
【0015】
物体が導電性でも磁性でもある場合、変動磁場を物体に侵入させると、ジュール過熱と磁気ヒステリシス加熱の両方が物体中に生じ得る。さらに、磁性材料を使用すると磁場を強化することができ、こうすることで、ジュール加熱及び磁気ヒステリシス加熱を増強することができる。
【0016】
上記のプロセスのそれぞれでは、熱が、外部熱源からの熱伝導によってではなく、物体自体の内部で発生するので、物体中の急速な温度上昇と、より均一な熱分布とが、特に適切な物体材料及び幾何形状と、適切な変動磁場の大きさ及び物体に対する配向とを選択することによって達成され得る。さらに、誘導加熱及び磁気ヒステリシス加熱は、変動磁場の供給源と物体との間が物理的に結合される必要がないので、設計の自由及び加熱プロファイルに対する制御性が大きくなることがあり、またコストが低くなることがある。
【0017】
使用中にエアロゾルの形成を促進するために、エアロゾル供給デバイス(例えばタバコ加熱製品)用のエアロゾル生成材料は通常、燃焼式喫煙品中のエアロゾル生成材料よりも多くの水及び/又はエアロゾル生成剤を含有する。このように水及び/又はエアロゾル生成剤の含有量が高いと、使用中にこのエアロゾル供給デバイス内に凝縮水が集まるリスクが、特に加熱ユニット(複数可)から離れた場所において増大するおそれがある。凝縮水の生成は、誘導加熱システムによって実現されるような、比較的急速な加熱によって悪化し得ることが分かっている。
【0018】
この問題は、密閉された加熱室を備えたデバイスでは、より大きくなり得る。このようなデバイスでは、加熱チャンバは、導管(例えば入口又は出口の導管)によってこのデバイスの外部と流体接続されてもよい。導管は、それが接続されている加熱チャンバよりも著しく低い温度である傾向があるので、そのような導管内には凝縮水が集まるという特別なリスクがある。このような集まった凝縮水は、場合によってはこのデバイスから漏れ出して、あまり快適ではない使用者体験になることがある。追加的に、又はその代わりに、このような凝縮水が、時間の経過とともに乾燥して、導管の内面にガムを形成する可能性がある。このガムは、除去するのが困難なことがあり、したがって、時間の経過とともに塊になり得る。さらに、エアロゾル生成材料が消耗品中に含有されている場合には、ガムは消耗品に付着して、消耗品を変色させたり、使用後の消耗品の取り外しを妨げたりする可能性がある。
【0019】
したがって、エアロゾル供給デバイスは、所与の導管の内面が使用期間中に加熱されるように構成されることがあり、それにより、問題の導管内の凝縮水の蓄積が制限され、場合によっては実質的に防止されることがある。特に、導管の内面への凝縮水の堆積が低減され得る。
【0020】
1つ又は複数の加熱要素によって生成された熱がこのエアロゾル供給デバイス内の他の構成要素を損傷したり、使用者に不快感又は傷害をもたらしたりすることを防止するために、加熱要素の少なくとも一部のまわりに延びる断熱が行われる。低圧領域を含む断熱は、その低圧領域で示される低い熱伝導率の故に、有利なことがある。しかし、このような断熱では一般に、低圧領域と断熱の外側の領域との間の圧力差によって壁に作用する力に耐えるために比較的堅固な壁を備えなければならないので、このエアロゾル供給デバイスの全体サイズ及び/又はコストが増大する可能性がある。本開示は、このような断熱剤を強化するための補強を行うことによって、サイズ及び/又はコストの増大に対処しようとするものである。この補強により、断熱材の全体サイズが低減されることが可能になり、断熱材に使用できる材料の面でより大きい融通性もさらに得られる。
【0021】
図1は、本発明の一例によるエアロゾル供給デバイス100の概略断面図を示す。断熱材102が図1に、分かりやすくするために簡略化された形で示されている。エアロゾル供給デバイス100の断熱材102は、それが加熱チャンバ又はゾーン144を備えているという点で、加熱されるべきエアロゾル生成材料(図示せず)を受け入れるように構成されている。消耗品(consumable article)又は「消耗品(consumable)」の中に供給することもできるエアロゾル生成材料は、エアロゾル供給デバイス100の加熱チャンバ144の開口部に挿入可能である。エアロゾル供給デバイス100は、使用時に、変動磁場を発生させるための磁場発生器106と、エアロゾル供給デバイス100の構成要素のそれぞれを収容するためのハウジング108とを含む。
この例では、磁場発生器106は、電源114と、交流電流などの変動電流をコイルに通すためのデバイス118とを備える。図1に示された例では、コイルは二パートコイル116a、116bである。図1に示されるようないくつかの例では、磁場発生器106はさらに、コントローラ120と、使用者がコントローラ120を操作するための使用者インタフェース122とに接続される。
【0022】
電源114は、充電式バッテリー(リチウムイオンバッテリーなど)、非充電式バッテリー、コンデンサ、バッテリー・コンデンサハイブリッド、又は主電源との接続部とすることができる。
【0023】
コイル116a、116bは、2つの部分を持つ単一コイルの形を含む、任意の適切な形をとることができ、単一部分コイルも代替形態として可能である。図1に示された例では、二パートコイル116a、116bは、銅などの導電性材料で作られた螺旋コイルである。いくつかの例では、コイル116a、116bは、フラットコイルであってもよい。すなわち、コイルは擬似二次元螺旋であってもよい。いくつかの例では、コイルはリッツ線を備えることがある。
【0024】
エアロゾル供給デバイス100は、空気をデバイス100に引き込むことができるように装置の内部をエアロゾル供給デバイス100のハウジング108の外部と流体接続している入口導管130を含む。使用時、使用者は、エアロゾル生成材料を含む消耗品を吸うことによって、エアロゾル生成材料の揮発成分(複数可)を吸入することができる。揮発成分(複数可)がエアロゾル生成材料から取り出されるとき、空気が入口導管130を経由してエアロゾル供給デバイス100に引き込まれる。
【0025】
断熱材102は、より詳細に図2図6に示されている。図1図6に示された例示的な断熱材102は、外壁、内壁、並びに内壁及び外壁で巻かれた断熱領域を備え、この断熱領域は、この断熱領域の外部よりも低い圧力に排気されている。実際には、断熱領域の外部の圧力は、ほとんどすべての場合で大気圧である。断熱材102はさらに、断熱材を強化するために、少なくとも1つの補強部を備えている。大気圧よりも圧力の低い断熱領域を設けることにより、加熱チャンバ/ゾーン144を外壁及びハウジング108から断熱して、加熱チャンバ/ゾーン144からエアロゾル供給デバイス100の残りの部分(加熱チャンバ/ゾーン144の外部)への熱伝達を制限する。この熱伝達制限は、電源114などのエアロゾル供給デバイス100の他の構成要素が温度の上昇の影響を受けやすいことがあるために、有利である。例えば、バッテリーは、高温にさらされた場合に損傷し、さらには危険でさえあり得ることはよく知られている。さらに、エアロゾル供給デバイス100のハウジング108への熱伝達は、使用時に、使用者に不快感、さらには傷害さえもたらすことがある。
【0026】
図2は、本開示の第1の態様による断熱材202と中空チャンバ216との外部概略図を示し、断熱材202及び中空チャンバ216は、エアロゾル供給デバイス100の構成要素部品である。中空チャンバ216については、さらに詳細に以下で論じられる。
【0027】
図3は、図2に示された断熱材202の断面A-Aを示す。図2図5は、原寸に比例して描かれていない。断熱材202は、内壁204及び外壁206を備える。内壁204及び外壁206は、断熱領域208を取り囲んでおり、この断熱領域は、断熱領域208の外部よりも低い圧力に排気されている。断熱領域208の圧力は、10-1~10-7torrの範囲にあってもよく、10-3torr以下の圧力が特に有利であると考えられる。いくつかの例では、断熱領域208の圧力は真空と考えられる。ガス吸収材料が、断熱領域208の比較的低い圧力を維持するために、又はその生成を助けるために断熱領域208で使用されてもよい。断熱材202はさらに、断熱材202を強化するための少なくとも1つの補強部を備える。図3に示された例では、補強部は、内壁204の外面に配置されたいくつかの内部補強部材220を備える。これらの内部補強部材220は、断熱領域208の内部に配置され、内壁204の外面から半径方向外向きに延びていて、内壁204の強度を増大させる。この例では、内部補強部材220はさらに、外壁206の内面に接触していて、外壁206に物理的な支持を与える。内部補強部材220によって外壁206に与えられる支持は、断熱領域208と断熱領域208の外側の領域との間の圧力差によって外壁206の外面に作用する内向きの力に対抗する。圧力差によって外壁206に作用する内向きの力に対抗することによって、内部補強部材220は、断熱材202が内側につぶれるのを防止するための、外壁単独で必要とされる強度を少なくする。外壁206に使用される材料によっては、この結果、外壁の厚さの低減が可能になり得る。代替として、又は追加的に、外壁の厚さの低減により、補強なしではそのうちの一部が可能ではないことがある、より広い範囲の材料の選択ができることになり得る。
図3に描かれた例では、内部補強部材220は、内壁204の外面から半径方向外向きに、断熱領域208の中に延びる隆起部の形をしている。このような構成体は、追加の材料を内壁204の外面の特定の領域に加えることによって、内壁の強度を増大させるのに有益であり得る。円筒形壁の表面に半径方向に配置された隆起部は、壁の周方向強度(フープ強度としても知られている)を特に向上させることができる。図3に描かれた内部補強部材220は、内壁204の全外周にわたって延びていることも延びていないこともある。図3に示された例では、内部補強部材220は内壁204と一体化されているが、他の例では、内部補強部材220は、代替として、又は追加的に内壁204の外面に接合されていてもよい。いくつかの例では、内部補強部材220は、内壁204と接合されていないこと、又は一体化されていないことがある。そのような例では、内部補強部材220は、締まり嵌めなどの他の手段によって適所に固定されてもよく、又は内壁204の外面の保持溝に入れられてもよい。追加的に、又は代替として、内部補強部材220は、外壁206の内面と一体化されても、接合されても、適所に固定されてもよい。いくつかの例では、内部補強部材220が、内壁204の外面と外壁の内面の両方にある。
【0028】
いくつかの例では、隆起部を備える内部補強部材220は、互いに周方向に間隔を空けるように、内壁204の外面又は外壁206の内面の少なくとも一方に沿って、軸線方向に配置されることがある。円筒形壁の表面に沿って軸線方向に配置された隆起部は、壁の軸線方向の強度を特に向上させることができる。いくつかの例では、隆起部を備える内部補強部材220は、内壁204の外面又は外壁206の内面の少なくとも一方に沿って螺旋形状に配置することができる。壁の表面に沿って螺旋の形に配置された隆起部は、前記壁の周方向(フープ)強度と軸線方向強度の両方を向上させることができる。内壁204の外面及び/又は外壁206の内面に沿って軸線方向に配置された単一の隆起部も可能であることを理解されたい。同様に、軸線方向に配置された複数の隆起部が互いに間隔を置いて、内壁204の外面及び/又は外壁206の内面の長さに沿って配置されることも可能である。
【0029】
いくつかの例では、内部補強部材220は、追加的に、又は代替として、1つ又は複数のスタッドを備え得る。そのような例では、1つ又は複数のスタッドは、内壁204の外面及び外壁206の内面の一方又は両方と接合されること、及び/又は一体化されることがある。そのような例では、1つ又は複数のスタッドは、スタッドが取り付けられている、及び/又はスタッドが一体化されている壁に、その領域に追加の材料を供給することによって支持を施してもよい。いくつかの例では、1つ又は複数のスタッドは、内壁204の外面及び外壁206の内面の一方と接合及び/又は一体化されており、使用時には、内壁204の外面及び外壁206の内面の他方と物理的に接触している。そのような例では、スタッドは、内壁204と外壁206の両方に支持を施して、断熱材202が内側につぶれることを防止する。しかし、スタッドが取り付けられていない、接合されていない、又は一部を形成していない壁との、内部補強部材220のいかなる接触も、内壁と外壁との間に低圧領域を形成することには影響を与えないようなものであると理解されたい。
【0030】
内部補強部材220は、任意の適切な間隔で、任意の組合せで、また任意の形状で、内壁204及び/又は外壁206に配置することができる。内部補強部材220は、剛性とすることができ、又は、例えば衝撃からのエネルギーを吸収できるように弾力性とすることができる。
【0031】
図4は、本開示の第1の態様による、別の例示的な断熱材302の外部概略図を示す。断熱材302は、内壁304及び外壁306を含む。内壁304及びこの外壁は、断熱領域(図示せず)を取り囲んでおり、この断熱領域は、この断熱領域の外部よりも低い圧力に排気されている。外壁306は、外部補強部材322をさらに備え、これは外壁306の外面に配置され、断熱材302の長さに沿って少なくとも部分的に軸線方向に延びる。外部補強部材322は、外壁306の強度を増大させて、断熱領域と断熱領域の外側の領域との間の圧力差によって作用する内向きの力に外壁306が抵抗する助けになる。円筒形の壁の表面に沿って軸線方向に配置された隆起部は、壁の軸線方向の強度を特に向上させることができる。このような外部補強部材322は、代替として、又は追加的に、内壁304の内面に配置されてもよい(内壁304の内面は、内壁304の、断熱領域とは反対側の面である)。図4には、隆起部が連続しているように、すなわち中断していないように示されているが、間隔を空けた複数の隆起部が、外壁306の外面及び/又は内壁304の内面に沿って軸線方向に配置されてもよいことを理解されたい。
【0032】
いくつかの例では、隆起部を備える外部補強部材322は、図3を参照して上で論じたのと同様に、内壁204の内面又は外壁206の外面の少なくとも一方に沿って半径方向に延びるように配置されてもよい。半径方向に延びる隆起部は、内壁204及び/又は外壁206と一体化されること、又は接合若しくは付着されることが可能である。円筒形壁の表面に沿って半径方向に配置された隆起部は、前記壁の周方向強度(フープ強度)を特に向上させることができる。いくつかの例では、隆起部を備える外部補強部材320は、内壁304の内面又は外壁306の外面の少なくとも一方に沿って螺旋形状で配置することができる。壁の表面に沿って螺旋の形に配置された隆起部は、前記壁の周方向(フープ)強度と軸線方向強度の両方を向上させることができる。
【0033】
他の例では、外部補強部材322は、他のタイプの支持構造、例えばスタッドであってもよい。外部補強部材322は、任意の適切な間隔で、任意の組合せで、また任意の形状で、内壁304及び/又は外壁306に配置されてもよい。外部補強部材322は、剛性とすることができ、又は、例えば衝撃からのエネルギーを吸収できるように弾力性とすることができる。
【0034】
図3及び図4は、内壁204若しくは外壁206に配置された内部補強部材220、又は外壁304若しくは内壁306に配置された外部補強部材322だけを備える断熱材202、302を描いているが、このような支持体は組み合わせて一緒に設けられてもよいことを理解されたい。
【0035】
再び図3を参照すると、大気圧よりも低い圧力の断熱領域208を設けることは、代替の断熱オプションを用いて可能であり得るよりもサイズがはるかに小さい領域で非常に効果的な断熱が行われることを可能にするので、特に有利である。断熱材202に少なくとも1つの補強部を設けることによって、断熱材の全体サイズがさらに低減され得る。こうすると、加熱チャンバ/ゾーン144の断熱を損なうことなく、エアロゾル供給デバイス100の全体のサイズを最小限に保つことが可能になる。代替として、又は追加的に、別の方法では使用できない材料を内壁及び/又は外壁に使用することができ、このような材料は、製造の複雑さ及びコストの低減を可能にすることもできる。
【0036】
図3に示されたエアロゾル供給デバイス100の断面は、第1の加熱要素210及び第2の加熱要素212をさらに含む。この例では、第1の加熱要素210は、使用時にエアロゾル生成材料(図示せず)が挿入される加熱ゾーンを画定する。第2の加熱要素212は、例えば、第1の加熱要素210によって画定された加熱チャンバをデバイス100の外部と流体接続する入口導管130の少なくとも一部であってもよい。使用時、空気はデバイス100内に引き込まれて、第1の加熱要素210によって画定されている加熱チャンバ144に流入する前に、第2の加熱要素212によって部分的に画定された入口導管130に沿って流れる。前に論じたように、第2の加熱要素212は、入口導管130を暖めることにより使用期間中に入口導管130内に生じ得る凝縮水の蓄積を制限する。図3に示された例は、第1の加熱要素210を細長い管状部材として示すとともに、第2の加熱要素212を第1の加熱部材210の一方の端部に軸線方向に配置された短い管状部材として示しているが、用語の「第1の」及び「第2の」は、単なる任意のラベルと考えられるべきものであり、そのような部材の代替の構成体、相対的位置及び相対的サイズの可能性を排除しないことを理解されたい。
【0037】
図3において、断熱材202は、第1の加熱要素210の全長に沿って延びているように示されている。しかし、代替例では、断熱材202は、第1の加熱要素210の長さに沿って部分的にしか延びることができない。すなわち、断熱材202は、断熱が第1の加熱要素210の一部分のまわりだけで行われ得るように、第1の加熱要素210の一部分に沿って延びることしかできない。第1の加熱要素210の長さに沿って一部にだけ延びる断熱材202を設けることにより、エアロゾル供給デバイス100の全体サイズがさらに小さくなることが可能になり得る。断熱材202と第1の加熱要素210は、互いに同軸であるように図示されているが、これは必須ではない。この段落の第1の加熱要素210に関する記述のそれぞれは、断熱材102が第1の加熱要素210の少なくとも一部のまわりに延びるとともに、第2の加熱要素212の少なくとも一部のまわりにも延び得ることが強調されているが、第2の加熱要素212にも同様に当てはまり得ることを理解されたい。第1の加熱要素210の少なくとも一部のまわり、及び任意選択で第2の加熱要素212の少なくとも一部のまわりに延びることにより、断熱材202は、デバイス100の他の構成要素への不要な熱伝達を低減させることができる。こうすることは、上で論じたように、熱がデバイス100の他の領域に伝達すると他の構成要素の損傷、及び場合によっては使用者の傷害さえも引き起こすことがあるので、有益である。低圧領域を備える断熱材202は、損傷又は疲労により外気が断熱領域208に漏れ込む場合には効果がなくなり、圧力が通常の大気レベルまで上昇するようになる。第2の加熱要素212が含まれる例では、第1の加熱要素210と第2の加熱要素212の両方の少なくとも一部のまわりに単一の断熱部品202が両方の加熱要素間に連続して延びることによって、このエアロゾル供給デバイスの断熱の信頼性が、故障することもある構成要素の数を減少させることで改善される。さらに、排気断熱領域208を含む断熱材202を製造することは技法的に困難であることが知られており、したがって、第1の加熱要素210と第2の加熱要素212の両方からの熱伝達を低減させる単一の断熱材202を設けることが、製造プロセスの複雑さを軽減することになる。
【0038】
いくつかの例では、断熱材102は、第1の加熱要素210の少なくとも一部を取り囲むように、第1の加熱要素210の少なくとも一部のまわりに延びる。第2の加熱要素212が含まれる例では、断熱材102は、追加的に、又は代替として、第2の加熱要素212の少なくとも一部のまわりに延びることができる。第1の加熱要素210及び/又は第2の加熱要素212の少なくとも一部を取り囲むことによって、デバイス100の他の構成要素への不要な熱伝達を低減させることが改善されてもよい。
【0039】
いくつかの例では、第1の加熱要素210は、変動磁場を侵入させることによって加熱可能である。変動磁場を侵入させることによる加熱は、熱が、外部熱源からの熱伝導によってではなく、物体自体の内部で発生し、したがって、物体内の急速な温度上昇と、より均一な熱分布とが達成され得るので有利である。この加熱は、適切な物体材料及び幾何形状と、適切な変動磁場の大きさ及び物体に対する配向とを選択することによってさらに改善されることがある。さらに、変動磁場を侵入させることによる加熱は、変動磁場の供給源と物体との間が物理的に結合される必要がないので、設計の自由、及び第1の加熱要素210の加熱プロファイルに対する制御性が大きくなる可能性があり、またコストが低くなる可能性がある。1つの例では、第1の加熱要素210は軟鋼で形成されてもよい。軟鋼は、安価で、加工しやすく、またサセプタである。適切な軟鋼のグレードは、例えば、SPCE鋼又は1010グレード鋼である。別の例では、第1の加熱要素210は、フェライトステンレス鋼で形成されてもよい。フェライトステンレス鋼は、加工しやすく、耐腐食性に優れ、またサセプタである。Kovar(登録商標)などのニッケルコバルト鉄合金がさらに代替として使用されてもよい。
【0040】
いくつかの例では、第2の加熱要素212もまた、変動磁場を侵入させることによって加熱可能である。変動磁場を侵入させることによって第2の加熱要素212が加熱可能である例では、第2の加熱要素212もまた、SPCE鋼若しくは1010グレード鋼などの軟鋼、又はフェライトステンレス鋼から形成することができる。第1の加熱要素210と同様に、Kovar(登録商標)は、第2の加熱要素212の代替として適切な材料である。
いくつかの例では、第1の加熱要素210及び/又は第2の加熱要素212は、抵抗加熱によって加熱可能である。抵抗加熱は、変動磁場を侵入させることによる加熱に対する追加、又は代替とすることができる。第1の加熱要素210又は第2の加熱要素212の一方だけが、変動磁場を侵入させることによって加熱可能であるという例では、他方の加熱要素は、変動磁場を侵入させることによって加熱可能な要素からの熱伝導によって加熱可能とすることができ、又は別個に抵抗加熱することができる。この例には、加熱中に印加される変動磁場を、加熱要素の一方に侵入させるように構成されるだけでよいという利点があり、このことにより、このエアロゾル供給デバイスのサイズ及び/又は複雑さを低減させることができる。抵抗加熱される、又は伝導により加熱される加熱要素の材料要件は、変動磁場を侵入させることによって加熱可能な加熱要素の場合よりも制限が少ない。例えば、抵抗加熱可能な、又は伝導により加熱可能な加熱要素は、オーステナイト系ステンレス鋼又はアルミニウムなどの金属を含むこともある。オーステナイト系ステンレス鋼は安価で、成形が容易で、耐腐食特性が優れているのに対して、アルミニウムは軽量で耐腐食性があり、機械加工が容易である。オーステナイト系ステンレス鋼及びアルミニウムは、変動磁場を侵入させることによって加熱可能ではない。ここで、「変動磁場を侵入させることによって加熱可能ではない」という表現は、軟鋼などの、変動磁場を侵入させることによって容易に加熱できる材料と比較した場合に、変動磁場を侵入させることによってそのような材料に生じる熱が、たとえあったとしても無視できることを意味すると理解されるべきものであることに留意されたい。伝導による加熱を考えると、具体的には、一方の加熱要素が、他方の加熱要素との接触によって、又は接続する熱伝導性構成要素を介して加熱される場合の加熱を考えると(他方の加熱要素は抵抗加熱又は誘導加熱される)、他の材料もまた加熱要素材料として適している。例えば、セラミック材料又はガラス材料は、良好な熱伝導特性を有する。
【0041】
第1の加熱要素210及び/又は第2の加熱要素212が金属材料を含む例では、金属は耐腐食性コーティングで被覆されてもよい。例えば、軟鋼が使用される例では、ニッケルめっきが軟鋼に施されてもよい。ニッケルめっきを施すことは、表面酸化(すなわち、鉄ベースの金属の場合には錆)が熱性能の低下をもたらし得るので、有益である。例えば、表面酸化が断熱材のように作用して、加熱要素が熱を意図したように消耗品に伝達できる能率を低下させことがある。酸化層が存在することはさらに、使用者の感覚的体験に悪影響を及ぼすおそれがある。
【0042】
いくつかの例では、第1の加熱要素210及び第2の加熱要素212の材料は、同様な熱膨張係数を有するように選択される。この選択は、ろう付け又は溶接などの何らかの高温製造プロセス中、及び使用中にエアロゾル供給デバイス100の加熱要素に加わる、繰り返し加熱・冷却サイクル中の各構成要素に対する機械的ストレスを低減させる上で有益である。
【0043】
いくつかの例では、断熱材202の内壁204と第1の加熱要素210との間にエアギャップ214が存在していてもよい。代替として、又は追加的に、エアギャップ214が内壁214と第2の加熱要素212との間に存在してもよい。エアギャップ214は、第1の加熱要素210及び/又は第2の加熱要素212から断熱材202の内壁204への伝導性熱伝達を低減させることによって、断熱材によって行われる断熱を改善する助けになる。エアギャップ214を設けることによって伝導性熱伝達を低減させることは有利でもあり得る。その理由は、エアギャップにより、有利な特性を有しているものの第1の加熱要素210及び/又は第2の加熱要素212との直接接触によって損傷又は劣化する材料が、内壁204に使用されることが可能になり得るからである。
【0044】
いくつかの例では、断熱材202の内壁204及び外壁206は、断熱性材料を含む。いくつかの例では、内壁204及び外壁206は、変動磁場にさらされたときに誘導加熱によって著しく加熱されないように、非感受性及び非導電性の材料から形成されている。非感受性の材料からなる内壁204及び外壁206を設けることは、交流などの変動電流がコイル116a、116bに通されたときに、断熱材202が誘導加熱によって加熱されないことを意味する。したがって、断熱材202を加熱するエネルギーが浪費されないとともに、内壁204及び外壁206の過剰な温度上昇が制御及び/又は緩和されなくてもよくなるので、このシステムの効率及びこのシステム内の熱管理を改善することができる。内壁204及び外壁206が変動印加磁場によって加熱されたとしても、第1の加熱要素210及び/又は第2の加熱要素212は、望ましくない加熱されることが実際には最小限でしかないことがある。この構成体は、ハウジング108の外側の温度を特にその表面において、使用者が取り扱うのに許容可能なレベルに維持する役割も果たす。
【0045】
いくつかの例では、内壁204及び外壁206は、熱が断熱材の材料を通して容易に伝導されないように、熱伝導率が低い材料から形成される。いくつかの例では、内壁204及び外壁206は、使用時に外気が断熱領域208に漏れ込むことがある速度を低減させるために、非多孔質の材料を含む。いくつかの例では、内壁204及び外壁206は、金属、非多孔質プラスチック、ガラス又はセラミック材料のうちの1つ又は複数を含む。金属は安価で、加工しやすく、良好な機械的特性を有し、プラスチックは安価で、成形しやすく、丈夫であり、ガラスは安価で、成形しやすく、良好な強度を有するのに対して、セラミック材料は安価で、強く、丈夫で軽量である。適切なプラスチック材料は、少なくとも250℃、好ましくは少なくとも320℃まで熱的及び機械的に安定なポリマーであり得る。このようなポリマーの例には、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)がある。適切なガラス材料には、熱膨張係数が低いことによって特に熱衝撃耐性になる、ホウケイ酸ガラスがあり得る。適切なセラミック材料は、ジルコニアであり得る。ガラス強化プラスチックなどの、上に列記された材料のうちの2つ以上を含む複合材料は、組み合わされる材料の有益な特性を可能にし得る。
【0046】
内壁204、304と外壁206、306と補強部材220、322とは、同じ材料、又は異なる材料を含み得る。同じ材料を使用すると、内壁204、304と外壁206、306と補強部材220、322とを互いにより容易に接合することが可能になり、したがって製造の複雑さが低減する。代替として、内壁204、304、外壁206、306及び/又は補強部材220、322に異なる材料が使用される場合には、内壁204、304、外壁206、306及び補強部材のそれぞれの材料を各構成要素の特定の要件に対してより厳密に対処するように選択することができる。例えば、内壁204、304は、外壁206、306よりも第1の加熱要素210及び第2の加熱要素212に近い位置にあり、したがって、内壁204、304の材料は、温度及び/又は熱サイクルに対して外壁206、306の材料よりも高い耐性を必要とし得る。外壁206、306は、対照的に、内壁204、304ほど高い温度に直接さらされる可能性が低く、したがって、例えば、熱安定性は低いが機械的特性が改善されている材料が選択されてもよい。補強部材220、322が内壁又は外壁の一方に接合される例では、補強部材220、322をそれと接合される壁と同じ材料から作ると、製造プロセスが大幅に簡略化するはずである。代替として、内壁204、304及び/又は外壁206、306は、1つ又は複数の補強部材220、322と一体化されてもよく、したがって、単一部片として成形されることが可能である。
【0047】
上記のように、図3は、第1の加熱要素210の一方の端部から軸線方向に延び、加熱チャンバ144と接続された中空チャンバ216をさらに示す。中空チャンバ216は、エアロゾル生成材料を含む消耗品が第1の加熱要素210によって画定される加熱ゾーン/チャンバ144に挿入された場合に、中空チャンバ216が消耗品の少なくとも一部分を取り囲み、中空チャンバ216の内壁と消耗品の少なくとも一部分とがこれらの間にエアチャネル(図3に示されていない)を画定するように配置される。いくつかの例では、中空チャンバ216は、第1の加熱要素210又は第2の加熱要素212の少なくとも一部を備える。代替として、又は追加的に、中空チャンバ216は、第1の加熱要素212若しくは第2の加熱要素212と一体化して形成されてもよく、又は中空チャンバ216は、第1の加熱要素212若しくは第2の加熱要素212と単純に当接していてもよく、又は第1の加熱要素212若しくは第2の加熱要素212と隣り合って配置されてもよい。中空チャンバ216が第1の加熱要素210又は第2の加熱要素212の少なくとも一部を備える、又はそれと接合している例では、中空チャンバ216の材料要件は、第1の加熱要素210及び第2の加熱要素212の材料要件と類似している。このような例では、中空チャンバ216用に選ばれる材料は、第1の加熱要素210及び/又は第2の加熱要素212と同様の熱膨張係数を有するように選択され、又は代替として、選ばれる材料は、加熱要素210、212によって中空チャンバ216に導入される可能性がある熱及び機械応力に対して耐性があるように選択されてもよい。中空チャンバ216が第1の加熱部材210又は第2の加熱部材212に接合される例では、接合は、溶接、ろう付け、接着剤、又は締まり嵌めによって達成され得る。
【0048】
図5は、図3に特定されている断面Bの拡大図である。図4に示された拡大図は、図3に示されたような第1の加熱要素210、断熱材202及び中空チャンバ216からなる構成体をより明確に示す。図3に図示され、上で詳細に論じられたエアギャップ214もまた、図4により明確に示されており、第1の加熱要素210と絶縁体206の内壁204との間に配置されている。
【0049】
中空チャンバ216の内壁及び消耗品によって画定されたエアチャネル(図示せず)は、装置100のハウジング108の外側の領域と流体連通することができる。このような例では、中空チャンバ216の内壁によって画定されたエアチャネルと装置100のハウジング108の外部の領域との間の流体連通経路は、第1の加熱要素210によって画定された加熱ゾーンの中へ延びていない。このような流体連通経路は、例えば、消耗品からその外側包装体を通って漏れる加熱揮発成分が、使用者によって吸入されたり加熱チャンバ144に再び入ったりすることなく装置100から安全に流れ出ることを可能にし得る。流体連通経路は、冷気がエアチャネルに入ることをさらに可能にし得る。中空チャンバ216の内壁及び消耗品によって画定されたエアチャネルの換気能力を向上させるために、流体連通経路は、中空チャンバ216の内面まわりに突起を含むことによって、中空チャンバ216の内壁のまわりに周方向に延びる多数の換気経路に分割することができる。
中空チャンバ216が第1の加熱要素210又は第2の加熱要素212を含まない例では、中空チャンバ216の材料要件は、上で論じたように、外壁206の材料要件と同様であってもよい。
【0050】
第1及び第2の加熱要素の代わりに、加熱要素が1つだけ設けられてもよいことを理解されたい。同様に、2つより多い加熱要素が設けられてもよい。さらに、単一の加熱要素だけが存在する例では、上述の例において「第2の加熱要素212」と呼ばれるものと同様の構成要素が存在し得るが、このような構成要素は加熱されないか、又は加熱可能ではない。
【0051】
図6は、本開示の第2の態様による断熱材402の一例の断面図を示し、断熱材402は、断熱材202、302の代替としてエアロゾル供給デバイス100の一部にもなっている。図6は、中空チャンバ416も示す。上で論じられた断熱材202、302と同様に、断熱材402は、内壁及び外壁406を備えるが、この内壁は、第1の加熱要素410の少なくとも一部を備える。この例では、第2の加熱要素412も含まれ、内壁は、第2の加熱要素412の少なくとも一部も備える。内壁が第1の加熱要素410、第2の加熱要素412、及び断熱材402の壁として機能するので、エアロゾル供給デバイス100の全体のサイズ及び重量は、別個の加熱要素及び別個の絶縁部材を含むための要件がないときには、低減され得る。上述の断熱材202、302と同様に、内壁及び外壁406は、断熱領域408を取り囲んでおり、この断熱領域は、断熱領域408の外側よりも低い圧力に排気されている。上で論じられた断熱材202、302と同様に、第1の加熱要素410と第2の加熱要素412は、任意の適切な手段で接合されてもよい。ただし、第1の加熱要素410及び第2の加熱要素412は内壁の少なくとも一部を構成するので、第1の加熱要素410と第2の加熱要素412を接合する手段は、外気が断熱領域に漏れ込むのを防止するのに適していなければならない。断熱領域408の圧力は、10-1~10-7torrの範囲であってもよく、10-3torr以下の圧力が特に有利であると考えられる。いくつかの例では、断熱領域408の圧力は真空であると考えられる。ガス吸収材料が、断熱領域408内の比較的低い圧力を維持するために、又はその生成を助けるために断熱領域408に使用されてもよい。本開示の第2の態様による断熱材は、断熱材を強化するための少なくとも1つの補強部も備える。図6に示された例では、補強部は、外壁406の内面に配置された内部補強部材420を備えて、外壁406を強化し、断熱材402が内側につぶれることを防止する。この特定の例では、内部補強部材420は第1の加熱要素410と接触していないので、第1の加熱要素410には支持体が設けられていない。内壁が第1の加熱要素410を備える例では、内部補強部材420が第1の加熱要素と外壁406との間で直接接触することを防止することが、直接伝導による熱の伝達を制限するために有利であり得る。上で論じられた断熱材202、302と同様に、いくつかの例では、補強部は、外壁406に配置された1つ又は複数の内部及び/又は外部補強部材を、任意の適切な組合せ及び/又は構成で備えることができる。
【0052】
内壁が第1の加熱要素410の少なくとも一部を備える例では、第1の加熱要素410は、第1の加熱要素(図示せず)を強化するための少なくとも1つの補強部を備える。外壁406、及び上で論じられた内壁204、304の例と同様に、補強部は、1つ又は複数の内部又は外部補強部材を備えてもよい。このような補強部材は、例えば、軸線方向に、半径方向に、又は螺旋形状に配置された1つ又は複数の隆起部を備えてもよく、又は1つ又は複数のスタッドを備えてもよい。これらのタイプの内部及び外部補強部材のそれぞれの利点は、断熱材202、302に関連して上で論じられており、そのような利点は、第1の加熱要素410に適用できる補強部材にも当てはまる。いくつかの例では、第1の加熱要素の外面に配置された(すなわち、断熱領域に突き出ている)内部補強部材は、伝導による外壁406への熱伝達を低減させるために、外壁406とは接触しない。外壁406と同様に、少なくとも1つの補強部を含むことが、断熱材402が内側につぶれることを防止しながら、第1の加熱要素410のサイズ及び/又は重量が低減されることを可能にすることができる。こうすることには、そのような第1の加熱要素410を備えるエアロゾル供給デバイスの全体のサイズ及び/又は重量を低減させるという利点があり得る。第1の加熱要素410のサイズ及び/又は重量を低減させることが、使用時に第1の加熱要素410を加熱するのに必要なエネルギーもまた低減させ得る。こうすることには、第1の加熱要素410を加熱する手段のサイズ及び/又は重量が低減されることを可能にするという利点があり得る。変動磁場を侵入させることによって第1の加熱要素410が加熱される例では、こうすることが、磁場発生器106及び/又は電源114のサイズ及び/又は重量が低減されることを可能にし得る。
【0053】
図6に示される例では、第2の加熱要素412は、断熱領域408を囲むために外壁406に接合される。このような例では、第2の加熱要素412は、溶接、ろう付け、又は接着剤を用いるなどの、任意の適切な手段によって外壁406に接合される。上で論じられた第1の加熱要素410と第2の加熱要素412との接合と同様に、第2の加熱要素412と外壁406を接合する手段は、外気が断熱領域408に漏れ込むのを防止するのに適していなければならない。この特定の構成体は、本開示の第2の態様のすべての例に存在するとは限らないことがある。例えば、第2の加熱要素412は、中空チャンバ416及び第1の加熱要素410に接合されてもよく、中空チャンバ416及び第1の加熱要素410のそれぞれが、断熱領域を囲むために外壁406に接合されている。すべての例において、断熱領域を囲む構成要素間に形成されるいずれの接合部も、外気が断熱領域408に漏れ込むのを防ぐのに適しているように選択されるべきであることを理解されたい。
【0054】
図6に示された例は、第1の加熱要素410及び外壁406が中空チャンバ416の一部分を囲んでいること、及び中空チャンバ416が、断熱領域408内に捕捉された、断熱領域408を閉鎖する構成要素の1つであることを示している。このような構成体は、本開示の第2の態様による1つの可能な選択肢の単なる例である。中空チャンバ416は、いくつかの例ではこのようにして含まれないことがあることを理解されたい。さらに、中空チャンバ416が含まれるいくつかの例では、外壁406は、中空チャンバ416が断熱領域408に突き出ないように第1の加熱要素410に直接接合されてもよい。こうすることは、断熱領域408を包含することに要する構成要素の数を減少させるので有利であり得る。こうすることで、製造プロセスを単純化することもでき、エアロゾル供給デバイス100の耐用期間中に、外気が断熱領域408に漏れ込むことを防止する助けになり得る。
【0055】
図6において、外壁406は、第1の加熱要素410の全長に沿って延びているように示されている。しかし、一代替例では、外壁406は、第1の加熱要素410の長さに沿って部分的に延びるだけでもよい。すなわち、外壁406は、断熱が第1の加熱要素410の一部分のまわりだけで行われ得るように、第1の加熱要素410の一部にだけ沿って延びていてもよい。第1の加熱要素410の長さに沿って一部にだけ延びる外壁406を設けることは、エアロゾル供給デバイス100の全体のサイズがさらに低減されることを可能にすることができる。外壁406と第1の加熱要素410は、互いに同軸であるように示されているが、これは必須ではない。第1の加熱要素410に関するこの段落の記述のそれぞれは、第2の加熱要素412が含まれる例では、第2の加熱要素412にも同様に当てはまり得ることを理解されたい。しかし、すべての例において、外壁406は、加熱要素及び外壁406の特定の構成体にかかわらず、第1の加熱要素410の少なくとも一部を取り囲む。
【0056】
上で論じられた断熱材202、302と同様に、第1の加熱要素410及び第2の加熱要素412は、上で論じられたように、すなわち、変動磁場を侵入させることによって、抵抗加熱によって、及び/又は伝導によって加熱されることが可能である。第1の加熱要素410及び第2の加熱要素412に対する材料要件は、上で論じられたものと同様であり、選ばれた材料は、断熱408への外気の侵入を防止することができなければならない(例えば、非多孔質でなければならない)という追加の要件がある。さらに、選ばれた材料は、断熱領域408と断熱領域408の外部の領域との間の圧力差により第1の加熱要素410及び第2の加熱要素412に対して作用するいかなる力にも耐える十分な強度を有して、断熱材402が内側につぶれることを防止しなければならない。
【0057】
外壁406及び補強部材420に対する材料要件は、上で論じられた外壁206、306及び補強部材220、320の材料要件と同様である。中空チャンバ416に対する材料要件は、上で論じられた中空チャンバ216の材料要件と同様であり、中空チャンバ416の少なくとも一部分が断熱領域408を囲むことに関与する例では、選ばれる材料は、断熱408の中への外気の侵入を防止することができなければならない(例えば、非多孔質でなければならない)という追加の要件がある。
【0058】
本開示の第1の態様と同様に、第1及び第2の加熱要素に代えて、加熱要素が1つだけ設けられてもよいことを理解されたい。同様に、2つより多い加熱要素が設けられてもよい。
【0059】
本開示の第3の態様では、エアロゾル生成材料を加熱してエアロゾル生成材料の少なくとも1つの成分を揮発させるための非燃焼式エアロゾル供給デバイスについて説明しており、このデバイスは、エアロゾル生成材料を含む消耗品の少なくとも一部分を受け入れるための加熱ゾーンを少なくとも部分的に画定する加熱要素と、内壁、外壁、並びに内壁及び外壁で巻かれた断熱領域を含む断熱材とを備え、この断熱領域は、この断熱領域の外部よりも低い圧力に排気されており、内壁及び外壁の少なくとも一方が、少なくとも250℃の融点を持つポリマーを含み、断熱材が、加熱要素の少なくとも一部のまわりに延びるように配置されている。
【0060】
上で論じられた断熱材202、302、402と同様に、加熱要素は、上で論じられたように、すなわち変動磁場を侵入させることによって、抵抗加熱によって、及び/又は伝導によって、加熱されることが可能である。加熱要素に対する材料要件は、上で議論されたものと同様である。
【0061】
内壁及び外壁の少なくとも一方に使用される、少なくとも250℃の融点を持つポリマーは、例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)であってもよい。PEEKは、優れた機械的特性を有し、化学分解に対して優れた耐性を示す。さらに、PEEKは、そのような優れた特性を高温で保持する。PEEKの融点はおよそ340℃である。PEEKには、超高真空環境(10-9torr未満の圧力)においても化学的に安定であるというさらなる利点がある。このような特性の組合せによりPEEKは、内壁及び/又は外壁の材料として優れた選択肢になる。
【0062】
少なくとも250℃の融点を持つポリマーを内壁又は外壁の一方だけが含む例では、他方の壁に対する材料要件は、上で論じられた内壁204及び外壁206に対する要件と同様である。
【0063】
本開示の第1及び第2の態様と同様に、2つ以上の加熱要素が設けられてもよいことを理解されたい。
【0064】
本開示の第4の態様では、本開示の第1又は第2の態様による装置と、使用時に第1及び/又は第2の加熱要素の加熱ゾーン内に少なくとも部分的に配置されるエアロゾル生成材料とを備える、エアロゾル供給システムについて説明している。
【0065】
上記の実施形態は、本発明の例示的なものとして理解されたい。本発明のさらなる実施形態が想起される。いずれか1つの実施形態に関して説明されたいずれかの機能は単独で、又は説明された他の特徴と一緒に使用されてもよく、また、諸実施形態のうちのいずれか他のものの、又は実施形態のうちのいずれか他のものの任意の組合せの、1つ又は複数の機能と一緒に使用されてもよいと理解されたい。さらに、上述されていない均等物及び修正形態もまた、添付の特許請求の範囲に定義されている本発明の範囲から逸脱することなく使用されてもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6