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▶ ヒュンダイ ヘビー インダストリーズ カンパニー リミテッドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-10
(45)【発行日】2025-01-21
(54)【発明の名称】液化ガス貯蔵タンク及びそれを含む船舶
(51)【国際特許分類】
   F17C 3/04 20060101AFI20250114BHJP
   B63B 25/16 20060101ALI20250114BHJP
   F17C 13/00 20060101ALI20250114BHJP
   B65D 90/02 20190101ALI20250114BHJP
【FI】
F17C3/04 A
B63B25/16 F
F17C3/04 E
F17C13/00 302Z
B65D90/02 B
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023542858
(86)(22)【出願日】2021-12-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-25
(86)【国際出願番号】 KR2021019117
(87)【国際公開番号】W WO2022215829
(87)【国際公開日】2022-10-13
【審査請求日】2023-07-14
(31)【優先権主張番号】10-2021-0046140
(32)【優先日】2021-04-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0071792
(32)【優先日】2021-06-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0165709
(32)【優先日】2021-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】520387760
【氏名又は名称】エイチディー ヒュンダイ ヘビー インダストリーズ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パク ソン ボ
(72)【発明者】
【氏名】ホ ウォン ソク
(72)【発明者】
【氏名】チョ ヘ ミン
(72)【発明者】
【氏名】キム キ ジュン
(72)【発明者】
【氏名】パク チョン チン
(72)【発明者】
【氏名】パク ミン キュ
(72)【発明者】
【氏名】パク チョン キュ
(72)【発明者】
【氏名】チョン ビョン チン
(72)【発明者】
【氏名】キム トン ウ
(72)【発明者】
【氏名】ホン ソン キュ
(72)【発明者】
【氏名】コ クアン ソ
(72)【発明者】
【氏名】ホ チ ヨン
【審査官】加藤 信秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-079987(JP,A)
【文献】特開2011-099548(JP,A)
【文献】特表2020-532690(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-2011866(KR,B1)
【文献】韓国登録特許第10-2020969(KR,B1)
【文献】実開昭56-091996(JP,U)
【文献】特開2011-196412(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2012-0074441(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F17C 3/04
B63B 25/16
F17C 13/00
B65D 90/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1次防壁、1次断熱壁、2次防壁、2次断熱壁からなる極低温物質を貯蔵する液化ガス貯蔵タンクであって、
前記1次断熱壁は、
前記2次断熱壁、前記2次防壁、前記1次断熱壁の一部である固定断熱壁が積層されてなる単位要素が隣り合って配置された状態で、隣り合う前記固定断熱壁の間の空間部分に設けられる連結断熱壁を含み、
隣り合う前記固定断熱壁の間に前記連結断熱壁を挿設したとき、前記固定断熱壁と前記連結断熱壁との間に形成される第1スリットと、
前記固定断熱壁の長手方向及び幅方向に複数形成される第2スリットと、
前記第1スリットを充填する第1充填断熱材と、を含み、
前記連結断熱壁の長手方向に少なくとも1つ以上形成され、前記固定断熱壁の間に前記連結断熱壁を挿設したとき、長手方向に形成される前記第2スリットと同一線上に位置する第3スリットを含み、
前記第2スリット及び前記第3スリットは、
前記固定断熱壁及び前記連結断熱壁の厚さに対して半分程度の厚さに対応する深さで形成され、内部に充填断熱材が充填されず、
前記第1充填断熱材は、
前記第2スリット及び前記第3スリットのそれぞれの深さより少なくとも長く形成され、
前記第1スリット、前記第2スリット及び前記第3スリットによる熱対流経路が不連続的になることを特徴とする液化ガス貯蔵タンク。
【請求項2】
前記第1充填断熱材は、
前記第1スリットを全部充填するように形成されるか、
前記第1スリットの下部に空間ができるように前記第1スリットの入口から一定深さまで充填するように形成されるか、
前記第1スリットの内部に複数の空間ができるように前記第1スリットの内部に多層で充填するように形成されることを特徴とする請求項1に記載の液化ガス貯蔵タンク。
【請求項3】
前記第1充填断熱材は、
前記第1スリットの内部に複数の空間ができるように前記第1スリットの内部に多層で充填するように形成される場合、
前記第1スリットの上部に形成される第1上部充填断熱材と、
前記第1上部充填断熱材から一定間隔離隔されて前記第1スリットの中間に形成される第1中間充填断熱材と、
前記第1中間充填断熱材と一定間隔離隔されて前記第1スリットの下部に形成される第1下部充填断熱材と、からなり、
前記第1上部充填断熱材、前記第1中間充填断熱材、前記第1下部充填断熱材のそれぞれは、
同じ断熱材または異なる断熱材で形成され、
前記断熱材はガラスウール、スーパーライト(super lite)、軟質フォーム(foam)材質、エアロゲルブランケット(aerogel blanket)であることを特徴とする請求項2に記載の液化ガス貯蔵タンク。
【請求項4】
前記第1充填断熱材は、
隣り合う前記固定断熱壁の間に前記連結断熱壁を挿設してから、治具を用いた挿入方式で前記第1スリットを充填するか、
接着部材を用いて前記固定断熱壁の側面と対向する前記連結断熱壁の両側面に取り付けられた状態で、隣り合う前記固定断熱壁の間に前記連結断熱壁を挿設することにより前記第1スリットを充填することを特徴とする請求項1に記載の液化ガス貯蔵タンク。
【請求項5】
前記第2スリットは、
前記固定断熱壁の厚さと類似する深さで形成される場合、内部に第2充填断熱材が充填され、
前記第2充填断熱材は、
前記第2スリットの下部に空間ができるように前記第2スリットの入口から一定深さまで充填するように形成されるか、
前記第2スリットの内部に複数の空間ができるように前記第2スリットの内部に多層で充填するように形成されることを特徴とする請求項1に記載の液化ガス貯蔵タンク。
【請求項6】
前記第2充填断熱材は、
前記第2スリットの内部に複数の空間ができるように前記第2スリットの内部に多層で充填するように形成される場合、
前記第2スリットの上部に形成される第2上部充填断熱材と、
前記第2上部充填断熱材から一定間隔離隔されて前記第2スリットの中間に形成される第2中間充填断熱材と、
前記第2中間充填断熱材と一定間隔離隔されて前記第2スリットの下部に形成される第2下部充填断熱材と、からなり、
前記第2上部充填断熱材、前記第2中間充填断熱材、前記第2下部充填断熱材のそれぞれは、
同じ断熱材または異なる断熱材で形成され、
前記断熱材はガラスウール、スーパーライト(super lite)、軟質フォーム(foam)材質、エアロゲルブランケット(aerogel blanket)であることを特徴とする請求項5に記載の液化ガス貯蔵タンク。
【請求項7】
前記1次断熱壁と前記2次断熱壁は、
同一または類似する厚さを有することを特徴とする請求項1に記載の液化ガス貯蔵タンク。
【請求項8】
1次防壁、1次断熱壁、2次防壁、2次断熱壁からなる極低温物質を貯蔵する液化ガス貯蔵タンクであって、
前記1次断熱壁は、
前記2次断熱壁、前記2次防壁、前記1次断熱壁の一部である固定断熱壁が積層されてなる単位要素が隣り合って配置された状態で、隣り合う前記固定断熱壁の間の空間部分に設けられる連結断熱壁を含み、
前記連結断熱壁の前後左右の側面に形成される第1段差部と、
前記固定断熱壁の前後左右の側面に形成される第2段差部と、
隣り合う前記固定断熱壁の間に前記連結断熱壁を挿設したとき、前記連結断熱壁と前記固定断熱壁との間に前記第1段差部と前記第2段差部によって形成される第1スリットと、
前記第1スリットを充填する第1充填断熱材と、を含み、
前記固定断熱壁の長手方向及び幅方向に複数形成される第2スリットと、
前記連結断熱壁の長手方向に少なくとも1つ以上形成され、前記固定断熱壁の間に前記連結断熱壁を挿設したとき、長手方向に形成される前記第2スリットと同一線上に位置する第3スリットと、を含み、
前記第2スリット及び前記第3スリットは、
前記固定断熱壁及び前記連結断熱壁の厚さに対して半分程度の厚さに対応する深さで形成され、内部に充填断熱材が充填されず、
前記第1充填断熱材が充填される前記第1スリットは、
前記第2スリット及び前記第3スリットのそれぞれの深さより少なくとも長く形成され、
前記第1スリット、前記第2スリット及び前記第3スリットによる熱対流経路が不連続的になることを特徴とする液化ガス貯蔵タンク。
【請求項9】
前記第1段差部は、
前記連結断熱壁の上部の前後左右の幅を前記連結断熱壁の下部の前後左右の幅より狭く形成することにより形成され、
前記第2段差部は、
前記固定断熱壁の上部の前後左右の幅を前記固定断熱壁の下部の前後左右の幅より狭く形成することにより形成され、
前記第1充填断熱材は、
前記連結断熱壁の下部と前記固定断熱壁の下部が隣接するように設けられることにより、前記連結断熱壁の上部と前記固定断熱壁の上部の間に設けられる空間である前記第1スリットに充填されることを特徴とする請求項に記載の液化ガス貯蔵タンク。
【請求項10】
前記1次断熱壁と前記2次断熱壁は、
同一または類似する厚さを有することを特徴とする請求項に記載の液化ガス貯蔵タンク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液化ガス貯蔵タンク及びそれを含む船舶に関する。
【背景技術】
【0002】
最近では、技術開発により、ガソリンやディーゼルに代わって液化天然ガス(Liquefied Natural Gas;LNG)、液化石油ガス(Liquefied Petroleum Gas;LPG)などの液化ガスが広く使用されている。
【0003】
また、LNGなどの液化ガスを海上で輸送または保管するLNG運搬船、LNG RV(Regasification Vessel)、LNG FPSO(Floating、Production、Storage and Offloading)、LNG FSRU(Floating Storage and Regasification Unit)などの船舶内にはLNGを極低温の液体状態で貯蔵するための貯蔵タンク(いわゆる「貨物倉」と呼ばれる)が設けられている。
【0004】
また、液化ガス貯蔵タンクは、外部からの熱侵入により蒸発ガス(Boil Off Gas;BOG)が発生することがあり、断熱設計を通じて蒸発ガスの気化比率である自然気化率(Boil Off Rate;BOR)を下げるのが液化ガス貯蔵タンク設計の核心技術である。また、液化ガス貯蔵タンクはスロッシング(Sloshing)などの様々な荷重にさらされるため、断熱パネルの機械的強度を確保することも必須であり得る。
【0005】
この点を考慮すると、1次断熱壁及び2次断熱壁の厚さ範囲が液化ガス貯蔵タンクの機械的強度と関連し得る。このため、2次防壁の低温負担を無くしながら2次断熱壁の機械的強度も保持できるようにする研究が活発に行われている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記のような従来技術の問題点を解決するために創出されたものであり、本発明の目的は、断熱壁の全厚において1次断熱壁の厚さを2次断熱壁と同一または類似するようにして、2次断熱壁の機械的強度を一定水準に保持しながら2次防壁の低温負担及びスロッシング負担を減らせる液化ガス貯蔵タンク及びそれを含む船舶を提供することである。
【0007】
また、本発明の目的は、断熱壁の全厚において1次断熱壁の厚さを2次断熱壁と同一または類似するようにして、船体の脆性破壊が生じない範囲内で2次防壁の低温負担及びスロッシング負担を減らせる液化ガス貯蔵タンク及びそれを含む船舶を提供することである。
【0008】
また、本発明の目的は、2次防壁の構成を改善して断熱性能を向上させられる液化ガス貯蔵タンク及びそれを含む船舶を提供することである。
【0009】
また、本発明の目的は、2次断熱壁を船体に固定する固定部材の構成を改善して断熱性能の向上だけでなく、工数を低減させられる液化ガス貯蔵タンク及びそれを含む船舶を提供することである。
【0010】
また、本発明の目的は、2次防壁上に形成される1次断熱壁の収縮及び膨張に備えるために設けられるスリットを最適化し、スリットにより発生する対流現象及び2次防壁への熱浸透を最小化できるようにして1次断熱壁の安定性を向上させるとともに、2次防壁の低温負担を減らせる液化ガス貯蔵タンク及びそれを含む船舶を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一側面による液化ガス貯蔵タンクは、1次防壁、1次断熱壁、2次防壁、2次断熱壁からなる極低温物質を貯蔵する液化ガス貯蔵タンクであって、上記1次断熱壁は、上記2次断熱壁、上記2次防壁、上記1次断熱壁の一部である固定断熱壁が積層されてなる単位要素が隣り合って配置された状態で、隣り合う上記固定断熱壁の間の空間部分に設けられる連結断熱壁を含み、隣り合う上記固定断熱壁の間に上記連結断熱壁を挿設しとたき、上記固定断熱壁と上記連結断熱壁との間に形成される第1スリットと、上記固定断熱壁の長手方向及び幅方向に複数形成される第2スリットと、上記第1スリットを充填する第1充填断熱材と、を含んでもよい。
【0012】
具体的に、上記第1充填断熱材は、上記第1スリットを全部充填するように形成されるか、上記第1スリットの下部に空間ができるように上記第1スリットの入口から一定深さまで充填するように形成されるか、上記第1スリットの内部に複数の空間ができるように上記第1スリットの内部に多層で充填するように形成されてもよい。
【0013】
具体的に、上記第1充填断熱材は、上記第1スリットの内部に複数の空間ができるように上記第1スリットの内部に多層で充填するように形成される場合、上記第1スリットの上部に形成される第1上部充填断熱材と、上記第1上部充填断熱材から一定間隔離隔されて上記第1スリットの中間に形成される第1中間充填断熱材と、上記第1中間充填断熱材と一定間隔離隔されて上記第1スリットの下部に形成される第1下部充填断熱材と、からなり、上記第1上部充填断熱材、上記第1中間充填断熱材、上記第1下部充填断熱材のそれぞれは、同じ断熱材または異なる断熱材で形成され、上記断熱材はガラスウール、スーパーライト(super lite)、軟質フォーム(foam)材質、エアロゲルブランケット(aerogel blanket)であってもよい。
【0014】
具体的に、上記第1充填断熱材は、隣り合う上記固定断熱壁の間に上記連結断熱壁を挿設してから、治具を用いた挿入方式で上記第1スリットを充填するか、接着部材を用いて上記固定断熱壁の側面と対向する上記連結断熱壁の両側面に取り付けられた状態で、隣り合う上記固定断熱壁の間に上記連結断熱壁を挿設することにより上記第1スリットを充填してもよい。
【0015】
具体的に、上記第2スリットは、上記固定断熱壁の厚さと類似する深さで形成される場合、内部に第2充填断熱材が充填され、上記第2充填断熱材は、上記第2スリットの下部に空間ができるように上記第2スリットの入口から一定深さまで充填するように形成されるか、上記第2スリットの内部に複数の空間ができるように上記第2スリットの内部に多層で充填するように形成されてもよい。
【0016】
具体的に、上記第2充填断熱材は、上記第2スリットの内部に複数の空間ができるように上記第2スリットの内部に多層で充填するように形成される場合、上記第2スリットの上部に形成される第2上部充填断熱材と、上記第2上部充填断熱材から一定間隔離隔されて上記第2スリットの中間に形成される第2中間充填断熱材と、上記第2中間充填断熱材と一定間隔離隔されて上記第2スリットの下部に形成される第2下部充填断熱材と、からなり、上記第2上部充填断熱材、上記第2中間充填断熱材、上記第2下部充填断熱材のそれぞれは、同じ断熱材または異なる断熱材で形成され、上記断熱材はガラスウール、スーパーライト(super lite)、軟質フォーム(foam)材質、エアロゲルブランケット(aerogel blanket)であってもよい。
【0017】
具体的に、上記連結断熱壁の長手方向に少なくとも1つ以上形成され、上記固定断熱壁の間に上記連結断熱壁を挿設したとき、長手方向に形成される上記第2スリットと同一線上に位置する第3スリットを含み、上記第2スリット及び上記第3スリットは、上記固定断熱壁及び上記連結断熱壁の厚さに対して半分程度の厚さに対応する深さで形成され、内部に充填断熱材が充填されず、上記第1充填断熱材は、上記第2スリット及び上記第3スリットのそれぞれの深さより少なくとも長く形成され、上記第1スリット、上記第2スリット及び上記第3スリットによる熱対流経路が不連続的になることができる。
【0018】
具体的に、上記1次断熱壁と上記2次断熱壁は同一または類似する厚さを有してもよい。
【0019】
本発明の他の側面による液化ガス貯蔵タンクは、1次防壁、1次断熱壁、2次防壁、2次断熱壁からなる極低温物質を貯蔵する液化ガス貯蔵タンクであって、上記1次断熱壁は、上記2次断熱壁、上記2次防壁、上記1次断熱壁の一部である固定断熱壁が積層されてなる単位要素が隣り合って配置された状態で、隣り合う上記固定断熱壁の間の空間部分に設けられる連結断熱壁を含み、上記連結断熱壁の前後左右の側面に形成される第1段差部と、上記固定断熱壁の前後左右の側面に形成される第2段差部と、隣り合う上記固定断熱壁の間に上記連結断熱壁を挿設したとき、上記連結断熱壁と上記固定断熱壁との間に上記第1段差部と上記第2段差部によって形成される第1スリットと、上記第1スリットを充填する第1充填断熱材と、を含んでもよい。
【0020】
具体的に、上記第1段差部は、上記連結断熱壁の上部の前後左右の幅を上記連結断熱壁の下部の前後左右の幅より狭く形成することにより形成され、上記第2段差部は、上記固定断熱壁の上部の前後左右の幅を上記固定断熱壁の下部の前後左右の幅より狭く形成することにより形成され、上記第1充填断熱材は、上記連結断熱壁の下部と上記固定断熱壁の下部が隣接するように設けられることにより、上記連結断熱壁の上部と上記固定断熱壁の上部の間に設けられる空間である上記第1スリットに充填されてもよい。
【0021】
具体的に、上記固定断熱壁の長手方向及び幅方向に複数形成される第2スリットと、上記連結断熱壁の長手方向に少なくとも1つ以上形成され、上記固定断熱壁の間に上記連結断熱壁を挿設したとき、長手方向に形成される上記第2スリットと同一線上に位置する第3スリットと、を含み、上記第2スリット及び上記第3スリットは、上記固定断熱壁及び上記連結断熱壁の厚さに対して半分程度の厚さに対応する深さで形成され、内部に充填断熱材が充填されず、上記第1充填断熱材が充填される上記第1スリットは、上記第2スリット及び上記第3スリットのそれぞれの深さより少なくとも長く形成され、上記第1スリット、上記第2スリット及び上記第3スリットによる熱対流経路が不連続的になることができる。
【0022】
具体的に、上記1次断熱壁と上記2次断熱壁は同一または類似する厚さを有してもよい。
【発明の効果】
【0023】
本発明による液化ガス貯蔵タンク及びそれを備えた船舶は、連結断熱壁を包括する1次断熱壁と2次断熱壁の全厚において1次断熱壁の厚さを2次断熱壁と同一または類似するように構成することで、2次断熱壁の機械的強度を一定水準に保持できるだけでなく、2次防壁の低温負担及びスロッシング負担を減らすことができ、2次防壁の損傷を防止することができる。
【0024】
また、本発明による液化ガス貯蔵タンク及びそれを備えた船舶は、連結断熱壁を包括する1次断熱壁と2次断熱壁の全厚において1次断熱壁の厚さを2次断熱壁と同一または類似するように構成することで、船体の脆性破壊を防止し、2次防壁の低温負担及びスロッシング負担を減らせる。
【0025】
また、本発明による液化ガス貯蔵タンク及びそれを備えた船舶は、単位要素をなす隣り合う1次断熱壁の間の空間に設けられる連結断熱壁の下面に補助断熱板を設けることにより、単位要素をなす隣り合う2次断熱壁の連結部分における断熱性能をさらに向上させることができる。
【0026】
また、本発明による液化ガス貯蔵タンク及びそれを備えた船舶は、2次防壁の構成を改善して断熱性能を向上させることができる。
【0027】
また、本発明による液化ガス貯蔵タンク及びそれを備えた船舶は、2次断熱壁と船体との間に2次断熱壁のレベリング部材として非接着弾性断熱材を適用することにより、従来のマスティックとレベリングウェッジを使用しなくても船体の変形部位の水平を合わせることができ、タンクの断熱性能を向上させることができる。
【0028】
また、本発明による液化ガス貯蔵タンク及びそれを備えた船舶は、2次断熱壁の単位パネルの側面下部に外部に突出して設けられる突出部と、船体に固定されるスタッドボルトによるクリート(cleat)構造方式で隣接する2次断熱壁の単位パネルを固定させることにより、2次断熱壁に孔を開けてスタッドボルトで単位パネルを固定させる方式に比べて工数を低減することができる。
【0029】
また、本発明による液化ガス貯蔵タンク及びそれを備えた船舶は、2次防壁上に形成される1次断熱壁の収縮及び膨張に備えるために設けられるスリットを最適化し、スリットにより発生する対流現象及び2次防壁への熱浸透を最小化できるように、スリット構造を改善しスリットを充填する充填断熱材を多様に構成することにより、スリット形成による1次断熱壁の安定性を向上させられるとともに、2次防壁の低温負担を減らすことができ、1次断熱壁及び2次防壁の損傷を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の第1実施例による液化ガス貯蔵タンクを説明するための一部断面図である。
図2】本発明の第1実施例による液化ガス貯蔵タンクを説明するための一部斜視図である。
図3】本発明の第1実施例による液化ガス貯蔵タンクの1次防壁を説明するための図である。
図4】(a)及び(b)は1次断熱壁及び2次断熱壁の厚さ変化による2次防壁の引張力を示す図である。
図5】本発明の第1実施例による液化ガス貯蔵タンクの1次断熱壁及び2次断熱壁の厚さを導出するために、第1ケースの1次断熱壁と2次断熱壁の厚さを異ならせて構造解析を行った結果を示す図である。
図6】本発明の第1実施例による液化ガス貯蔵タンクの1次断熱壁及び2次断熱壁の厚さを導出するために、第1ケースの1次断熱壁と2次断熱壁の厚さを異ならせて構造解析を行った結果を示す図である。
図7】本発明の第1実施例による液化ガス貯蔵タンクの1次断熱壁及び2次断熱壁の厚さを導出するために、第1ケースの1次断熱壁と2次断熱壁の厚さを異ならせて構造解析を行った結果を示す図である。
図8】本発明の第1実施例による液化ガス貯蔵タンクの1次断熱壁及び2次断熱壁の厚さを導出するために、第1ケースの1次断熱壁と2次断熱壁の厚さを異ならせて構造解析を行った結果を示す図である。
図9】本発明の第1実施例による液化ガス貯蔵タンクの1次断熱壁及び2次断熱壁の厚さを導出するために実施した第2ケースの1次断熱壁と2次断熱壁の厚さを異ならせて構造解析を行った結果を示す図である。
図10】本発明の第1実施例による液化ガス貯蔵タンクの1次断熱壁及び2次断熱壁の厚さを導出するために実施した第2ケースの1次断熱壁と2次断熱壁の厚さを異ならせて構造解析を行った結果を示す図である。
図11】本発明の第1実施例による液化ガス貯蔵タンクの1次断熱壁及び2次断熱壁の厚さを導出するために実施した第2ケースの1次断熱壁と2次断熱壁の厚さを異ならせて構造解析を行った結果を示す図である。
図12】本発明の第1実施例による液化ガス貯蔵タンクの1次断熱壁及び2次断熱壁の厚さを導出するために実施した第2ケースの1次断熱壁と2次断熱壁の厚さを異ならせて構造解析を行った結果を示す図である。
図13】本発明の第1実施例による液化ガス貯蔵タンクの1次断熱壁及び2次断熱壁の厚さを導出するために実施した第3ケースの1次断熱壁と2次断熱壁の厚さを異ならせて構造解析を行った結果を示す図である。
図14】本発明の第1実施例による液化ガス貯蔵タンクの1次断熱壁及び2次断熱壁の厚さを導出するために実施した第3ケースの1次断熱壁と2次断熱壁の厚さを異ならせて構造解析を行った結果を示す図である。
図15】本発明の第1実施例による液化ガス貯蔵タンクの1次断熱壁及び2次断熱壁の厚さを導出するために実施した第3ケースの1次断熱壁と2次断熱壁の厚さを異ならせて構造解析を行った結果を示す図である。
図16】本発明の第1実施例による液化ガス貯蔵タンクの1次断熱壁及び2次断熱壁の厚さを導出するために実施した第3ケースの1次断熱壁と2次断熱壁の厚さを異ならせて構造解析を行った結果を示す図である。
図17】本発明の第1実施例による液化ガス貯蔵タンクの1次断熱壁及び2次断熱壁の厚さを導出するために実施した第4ケースの1次断熱壁と2次断熱壁の厚さを異ならせて構造解析を行った結果を示す図である。
図18】本発明の第1実施例による液化ガス貯蔵タンクの1次断熱壁及び2次断熱壁の厚さを導出するために実施した第4ケースの1次断熱壁と2次断熱壁の厚さを異ならせて構造解析を行った結果を示す図である。
図19】本発明の第1実施例による液化ガス貯蔵タンクの1次断熱壁及び2次断熱壁の厚さを導出するために実施した第4ケースの1次断熱壁と2次断熱壁の厚さを異ならせて構造解析を行った結果を示す図である。
図20】本発明の第1実施例による液化ガス貯蔵タンクの1次断熱壁及び2次断熱壁の厚さを導出するために実施した第4ケースの1次断熱壁と2次断熱壁の厚さを異ならせて構造解析を行った結果を示す図である。
図21】1次断熱壁及び2次断熱壁の厚さ変化による2次防壁の低温ストレスと船体の脆性破壊の確率を示すグラフである。
図22】本発明の第1実施例による液化ガス貯蔵タンクの2次防壁に対する様々な構成を説明するための図である。
図23】本発明の第1実施例による液化ガス貯蔵タンクの2次防壁に対する様々な構成を説明するための図である。
図24】本発明の第1実施例による液化ガス貯蔵タンクの2次防壁に対する様々な構成を説明するための図である。
図25】本発明の第1実施例による液化ガス貯蔵タンクの直角コーナー構造を説明するための一部断面図である。
図26】本発明の第1実施例による液化ガス貯蔵タンクの鈍角コーナー構造を説明するための一部断面図である。
図27】本発明の液化ガス貯蔵タンクの1次断熱材及び2次断熱材の使用材質による熱伝導度を示すグラフである。
図28】本発明の第2実施例による液化ガス貯蔵タンクを説明するための一部断面図である。
図29】本発明の第2実施例による液化ガス貯蔵タンクを説明するための一部斜視図である。
図30】本発明の第3実施例による液化ガス貯蔵タンクを説明するための一部断面図である。
図31】本発明の第3実施例による液化ガス貯蔵タンクの主要部分に対する拡大図である。
図32】本発明の第4実施例による液化ガス貯蔵タンクを説明するための一部断面図である。
図33】1次断熱壁を構成する連結断熱壁と固定断熱壁との間の隙間である第1スリットと固定断熱壁に設けられる複数の第2スリットを充填する充填断熱材を説明するための図である。
図34】1次断熱壁を構成する連結断熱壁と固定断熱壁との間の隙間である第1スリットと固定断熱壁に設けられる複数の第2スリットを充填する他の実施例による充填断熱材を説明するための図である。である。
図35】1次断熱壁を構成する連結断熱壁と固定断熱壁との間の隙間である第1スリットと固定断熱壁に設けられる複数の第2スリットを充填するさらに他の実施例による充填断熱材を説明するための図である。図面である。
図36】本発明の第5実施例による液化ガス貯蔵タンクを説明するための一部断面図である。
図37図36のA-A’線に沿って切断した連結断熱壁の断面図である。
図38図36のB-B’線に沿って切断した2次断熱壁、2次防壁、1次断熱壁を構成する固定断熱壁が積層されてなる単位要素の断面図である。
図39】1次断熱壁を構成する連結断熱壁と固定断熱壁との間の隙間である第1スリットを充填する充填断熱材を説明するための図である。
図40】1次断熱壁を構成する連結断熱壁と固定断熱壁との間の隙間である第1スリットを充填する充填断熱材を説明するための図である。
図41】本発明の第5実施例による液化ガス貯蔵タンクの構造解析の結果を示す図である。
図42】本発明の第5実施例による液化ガス貯蔵タンクの構造解析の結果を示す図である。
図43】本発明の第5実施例による液化ガス貯蔵タンクと比較例による液化ガス貯蔵タンクにおけるスリットの構造及びスリットを充填する充填断熱材の適用有無によって変わる対流経路及び2次防壁の温度を比較説明するための図である。
図44】本発明の第5実施例による液化ガス貯蔵タンクと比較例による液化ガス貯蔵タンクにおけるスリットの構造及びスリットを充填する充填断熱材の適用有無によって変わる対流経路及び2次防壁の温度を比較説明するための図である。
図45】本発明の第5実施例による液化ガス貯蔵タンクと比較例による液化ガス貯蔵タンクにおけるスリットの構造及びスリットを充填する充填断熱材の適用有無によって変わる対流経路及び2次防壁の温度を比較説明するための図である。
図46】本発明の第5実施例による液化ガス貯蔵タンクと比較例による液化ガス貯蔵タンクにおけるスリットの構造及びスリットを充填する充填断熱材の適用有無によって変わる対流経路及び2次防壁の温度を比較説明するための図である。
図47】本発明の第5実施例による液化ガス貯蔵タンクと比較例による液化ガス貯蔵タンクにおいてスリットを充填する充填断熱材の有無に応じたスリットの下部の2次防壁の温度を比較したグラフである。
図48】本発明の第6実施例による液化ガス貯蔵タンクを説明するための一部断面図である。
図49図48のA-A’線に沿って切断した連結断熱壁の断面図である。
図50図48のB-B’線に沿って切断した2次断熱壁、2次防壁、1次断熱壁を構成する固定断熱壁が積層されてなる単位要素の断面図である。
図51】1次断熱壁を構成する連結断熱壁と固定断熱壁との間の隙間である第1スリットに充填断熱材が充填された状態を示す拡大図である。
図52】本発明の第7実施例による液化ガス貯蔵タンクを説明するための斜視図である。
図53】(a)~(c)は図52の2次断熱壁、2次防壁、1次断熱壁を構成する固定断熱壁が積層された単位要素の平面、側面及び断面を示す図である。
図54】(a)~(c)は図52の1次断熱壁を構成する連結断熱壁の平面、側面及び断面を示す図である。
図55】(a)~(c)は図52の1次断熱壁を構成する他の実施例による連結断熱壁の平面、側面及び断面を示す図である。
図56図52の1次断熱壁を構成するさらに他の実施例による連結断熱壁の背面斜視図である。
図57】1次断熱壁を構成する固定断熱壁と連結断熱壁が交互に連結される部分の断面を示す図である。
図58】1次断熱壁を構成する複数の連結断熱壁が連続して連結される部分の断面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明の目的、特定の利点及び新規な特徴は、添付の図面に関連する以下の詳細な説明及び好ましい実施例からより明らかになるであろう。また、本明細書では、各図面の構成要素に参照番号を付するにおいて、同じ構成要素に限ってはたとえ異なる図面上に表示されても、できる限り同じ番号を付したことに留意されたい。なお、本発明を説明するに当たり、関連する公知技術の具体的な説明が本発明の要旨を不要に不明確にすると判断される場合は、その詳細な説明を省略する。
【0032】
また、添付の図面は本明細書に開示された実施例を理解しやすくするためのものであり、添付の図面によって本明細書に開示された技術的思想は限定されず、本発明の思想及び技術範囲に含まれる全ての変更、等価物ないし代替物を含むと理解すべきである。
【0033】
また、第1、第2などの序数を含む用語は様々な構成要素を説明するために用いられるが、上記構成要素は上記用語によって限定されない。上記用語は1つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ使用される。
【0034】
以下、本明細書において、液化ガスはLNGまたはLPG、エチレン、アンモニアなどのように一般的に液体状態で保管される全てのガス燃料を包括する意味で使用してもよく、加熱や加圧によって液体状態でない場合なども便宜上液化ガスと表現することができる。これは蒸発ガスにも同様に適用されることができる。また、LNGは便宜上液体状態であるNG(Natural Gas)だけでなく、超臨界状態などであるLNGを全て包括する意味で使用することができ、蒸発ガスは気体状態の蒸発ガスだけでなく、液化された蒸発ガスを含む意味で使用することができる。
【0035】
以下、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施例を詳細に説明する。
【0036】
図1は本発明の第1実施例による液化ガス貯蔵タンクを説明するための一部断面図であり、図2は本発明の第1実施例による液化ガス貯蔵タンクを説明するための一部斜視図である。図3は本発明の第1実施例による液化ガス貯蔵タンクの1次防壁を説明するための図である。
【0037】
図1図2に示すように、本発明の第1実施例による液化ガス貯蔵タンク1は、船舶に備えられて極低温(約-160℃~-170℃)物質であるLNGなどの液化ガスを貯蔵することができる。
【0038】
以下で説明する液化ガス貯蔵タンク1が備えられる船舶は、図示していないが、貨物を出発地から目的地まで輸送する商船の他にも海上の一定地点に浮遊して特定の作業を行う海洋構造物を包括する概念である。また、本発明における液化ガス貯蔵タンク1には液化ガスを貯蔵する如何なる形態のタンクも含まれる。
【0039】
液化ガス貯蔵タンク1は、液化ガスと接触する1次防壁2と、1次防壁2の外側に設けられる1次断熱壁3と、1次断熱壁3の外側に設けられる2次防壁4と、2次防壁4の外側に配置される2次断熱壁5と、を含んで構成されてもよい。液化ガス貯蔵タンク1は2次断熱壁5と船体7との間に設けられるマスティック6によって船体7に支持されることができる。
【0040】
液化ガス貯蔵タンク1は、断熱性能及び貯蔵容量を最適化するために1次断熱壁3及び2次断熱壁5の厚さの最適化が必要となり得る。例えば、1次断熱壁3と2次断熱壁5の主要材質としてポリウレタンフォームを使用する場合、1次断熱壁3の厚さと2次断熱壁5の厚さを合わせた全厚は250mm~500mmの範囲となるようにすることができる。これに関しては図4図20において説明する。
【0041】
上記において、液化ガス貯蔵タンク1は平面及びコーナー構造を含んでもよい。例えば、液化ガス貯蔵タンク1の前後方向の横壁、横壁の間の底、縦壁及び天井は平面構造に該当することができる。また、例えば、液化ガス貯蔵タンク1の横壁、底、縦壁、天井が当接する構造はコーナー構造に該当することができる。ここで、コーナー構造は鈍角コーナー構造または直角コーナー構造を含んでもよい。1次断熱壁3または2次断熱壁5の厚さが変化すると、鈍角コーナー構造または直角コーナー構造の変化が伴われることがあり、図25図26において説明する。
【0042】
図1及び図2を参照すると、1次防壁2は極低温物質である液化ガスを収容する収容空間を形成し、金属材質からなることができる。例えば、金属材質はステンレス鋼材であってもよいが、これに限定されない。1次防壁2は2次防壁4とともに液化ガスが外部に漏れるのを防止することができる。
【0043】
1次防壁2はアンカーストリップ(不図示)により1次断熱壁3の上部に固定結合され、液化ガス貯蔵タンク1に貯蔵される極低温物質である液化ガスと直接接触するように設けられてもよい。
【0044】
図3を参照すると、1次防壁2は、1次断熱壁3の上面に接触する平面部21と、温度による収縮または膨張応力(stress)の緩和のための曲面部22と、平面部21と曲面部22の間の境界部23と、に区分されることができる。例えば、1.0~1.5mm厚さのステンレス鋼材、好ましくは1.0~1.2mm厚さのステンレス鋼材からなるコルゲーションメンブレンシート(corrugation membrane sheet)で形成されてもよい。即ち、1次防壁はしわの形状に形成されることができる。
【0045】
1次防壁2は、しわの形状が第1曲率半径R1と第2曲率半径R2を有するように形成されてもよい。即ち、本実施例の1次防壁2は平面部21と曲面部22の間の境界部23において第1曲率半径R1をなし、曲面部22が第2曲率半径R2をなす2種類の曲率半径R1、R2を有するように形成されることができる。例えば、第1曲率半径R1は第2曲率半径R2より小さく形成されてもよい。曲率半径R1、R2を有する1次防壁2は上部が緩やかな曲線をなすため、溶接検査に容易であり、また、横から打撃する流体がすぐ流れるため、スロッシングにも柔軟に対応できる。
【0046】
また、本実施例の1次防壁2は、ラージコルゲーション(Large corrugation)とスモールコルゲーション(Small corrugation)の区分なく全地域において水平及び垂直のしわの大きさが同一に形成されてもよい。即ち、1次防壁2の全体において水平及び垂直のしわの大きさが同一であるため、1次防壁の作製が容易である。
【0047】
図1を参照すると、1次断熱壁3は、外部からの熱侵入を遮断しながら外部からの衝撃または内部での液化ガススロッシングによる衝撃に耐えられるように設計され、1次防壁2と2次防壁4との間に設けられてもよい。
【0048】
1次断熱壁3は、1次防壁2の外側に1次プライウッド31と1次断熱材32が順に積層された構造であってもよく、1次プライウッド31の厚さと1次断熱材32の厚さを合わせた厚さに該当することができる。1次断熱壁3は160mm~250mmの厚さに形成されることができる。
【0049】
1次プライウッド31は1次防壁2と1次断熱材32との間に設けられてもよい。
【0050】
1次プライウッド31は6.5mm~15mmの厚さに形成されてもよい。
【0051】
1次断熱材32は、外部からの熱侵入を遮断しながら外部からの衝撃または内部での液化ガススロッシングによる衝撃に耐えられるように、断熱性能に優れ、且つ機械的強度に優れた材質で形成されることができる。
【0052】
1次断熱材32は1次プライウッド31と2次防壁4の間にポリウレタンフォームで形成されてもよく、150mm~240mmの厚さ範囲に該当することができる。
【0053】
図1を参照すると、1次断熱壁3の一部、2次防壁4及び2次断熱壁5が積層されて単位要素を構成することができる。ここで、単位要素を構成する1次断熱壁3の一部は固定断熱壁3bと定義することができ、固定断熱壁3bの幅は単位要素に含まれた2次断熱壁5の幅より小さい幅を有することができる。なお、固定断熱壁3b、2次防壁4及び2次断熱壁5は既に固定された状態で配置されてもよいが、これに限定されず、それぞれが分離されて液化ガス貯蔵タンク1内に配置されてもよい。これにより、1次断熱壁3の両側に2次防壁4の一部が露出することができる。単位要素は隣り合って配置されてもよく、このとき、隣り合う1次断熱壁3の間の空間部分、即ち、2次防壁4が露出する空間部分には連結断熱壁3aが設けられてもよい。
【0054】
2次防壁4はメイン防壁41と補助防壁42に区分されてもよく、メイン防壁41は単位要素の2次断熱壁5の上部に設けられ、補助防壁42は露出するメイン防壁41と連結断熱壁3aとの間に設けられる。このとき、補助防壁42は互いに隣接する単位要素に設けられたメイン防壁41を互いに連結するように設けられる。即ち、隣り合って配置される単位要素はメイン防壁41に積層される補助防壁42及び連結断熱壁3aによって仕上げられてもよい。
【0055】
連結断熱壁3aが設けられる部分の積層構造は図2をもって説明する。連結断熱壁3aは、単位要素を構成する1次断熱壁3で説明したものと同一または類似する連結プライウッド31aと連結断熱材32aとが積層された形態で設けられてもよく、本明細書における1次断熱壁3は連結断熱壁3a及び固定断熱壁3bを包括することができる。
【0056】
図2図1のA-A’面の断面構造を示しており、連結断熱壁3aは連結プライウッド31aと連結断熱材32aが積層された構造を有することができる。連結断熱壁3aの厚さは連結プライウッド31aの厚さと連結断熱材32aの厚さを合わせた厚さに該当することができる。
【0057】
連結プライウッド31aは6.5mm~15mmの厚さに形成されてもよい。
【0058】
連結断熱材32aは連結プライウッド31aと2次防壁4の補助防壁42との間にポリウレタンフォームで形成されてもよく、150mm~240mmの厚さ範囲に該当することができる。
【0059】
上記のように、1次断熱壁3の1次断熱材32と連結断熱壁3aの連結断熱材32aは厚さが同じであってもよい。ただし、連結断熱壁3aの連結断熱材32aの場合、下部に2次防壁4のメイン防壁41に加えて補助防壁42がさらに積層されるため、連結断熱壁3aの連結断熱材32aは1次断熱壁3の1次断熱材32の厚さより補助防壁42の厚さ分だけ小さい厚さであることができる。
【0060】
上記の連結断熱壁3aは、単位要素を隣り合って配置したとき、隣り合う2次断熱壁5の間にできる空間部分を補助防壁42とともに密封して外部からの熱侵入を遮断する役割をするように設けられる。
【0061】
ところが、連結断熱壁3aは、単位要素を構成する隣り合う固定断熱壁3bの間に挿設される構造であるため、連結断熱壁3aの下部の2次防壁4を極低温から保護するには脆弱である。これにより、メイン防壁41と補助防壁42が重なる連結断熱壁3aの下部の2次防壁4で問題が発生する可能性が高い。よって、以下では連結断熱壁3aを中心に説明する。
【0062】
2次防壁4は断熱壁3aを包括する1次断熱壁3と2次断熱壁5との間に設けられてもよく、1次防壁2とともに液化ガスが外部に漏れるのを防止することができる。
【0063】
固定断熱壁3bの下端の2次防壁4は単一防壁であってメイン防壁41を含み、連結断熱壁3aの下端の2次防壁4は、単位要素を互いに連結するメイン防壁41と、単位要素を構成する2次断熱壁5上に設けられる補助防壁42と、を含んでもよい。
【0064】
メイン防壁41は単位要素を構成する2次断熱壁5上に設けられ、0.6mm~1.0mmの厚さに形成されてもよく、互いに隣接するメイン防壁41は補助防壁42が積層されて気密となることができる。
【0065】
補助防壁42は単位要素を互いに連結する構成であり、0.6mm~1.0mmの厚さに形成されてもよく、メイン防壁41上に積層されることができる。
【0066】
一方、図1及び図2を参照すると、2次断熱壁5は、固定断熱壁3b及び連結断熱壁3aとともに外部からの熱侵入を遮断しながら外部からの衝撃または内部での液化ガススロッシングによる衝撃に耐えられるように設計されることができる。また、2次断熱壁5は2次防壁4と船体7との間に設けられてもよく、2次断熱材51と2次プライウッド52を含んで構成されてもよい。
【0067】
2次断熱壁5は2次防壁4の外側に2次断熱材51と2次プライウッド52が順に積層された構造であってもよく、2次断熱材51の厚さと2次プライウッド52の厚さを合わせた全厚が150mm~240mmに形成されることができる。
【0068】
2次断熱材51は、外部からの熱侵入を遮断しながら外部からの衝撃または内部での液化ガススロッシングによる衝撃に耐えられるように、断熱性能に優れ、且つ機械的強度に優れた材質で形成されることができる。
【0069】
2次断熱材51は、2次防壁4と2次プライウッド52との間にポリウレタンフォームで形成されてもよく、140mm~230mmの厚さに形成されることができる。
【0070】
2次プライウッド52は2次断熱材51と船体7との間に設けられてもよい。例えば、2次断熱材51は2次プライウッド52と当接して設けられてもよい。2次プライウッド52は6.5mm~25mmの厚さに形成されることができる。
【0071】
上記のように、本実施例による液化ガス貯蔵タンク1は、1次断熱壁3が2次断熱壁5の66%~166%の厚さを有し、1次断熱壁3に包括される連結断熱壁3aが2次断熱壁5の67%~167%の厚さを有するようにして、連結断熱壁3aが2次断熱壁5と同一または類似する厚さとなるように構成することができる。このような構成と関連するように連結断熱壁3aの連結断熱材32aが2次断熱材51の90%~110%の厚さを有するようにして、連結断熱壁3aの連結断熱材32aが2次断熱材51と同一または類似する厚さとなるように構成することができる。本実施例では、連結断熱壁3aを包括すると、単位要素を構成する固定断熱壁3bの部分に対しては詳細は言及しないが、2次断熱壁5との関係においては固定断熱壁3bも連結断熱壁3aと同一または類似する。
【0072】
このような厚さ比率で連結断熱壁3aと2次断熱壁5または連結断熱壁3aの連結断熱材32aと2次断熱材51を形成すると、2次防壁4の低温における応力の上限値は連結断熱壁3aの下部で50MPa以下に該当することができる。また、具体的には、2次防壁4の低温における応力値は連結断熱壁3aの下部において40MPa~50MPaであってもよい。このような数値は後述する構造解析の結果によって得られたものである。
【0073】
本実施例では、連結断熱壁3aと2次断熱壁5の厚さまたは1次断熱壁3の連結断熱材32aと2次断熱材51の厚さが同一または類似するように構成したが、これに関しては図4図20をもって説明する。
【0074】
図4の(a)、(b)は、1次断熱壁3に包括される連結断熱壁3a及び2次断熱壁5の厚さ変化による連結断熱壁3aの下部における2次防壁4の引張力を示す図である。図4の(a)及び(b)において連結断熱壁3a、2次防壁4、2次断熱壁5などを合わせた全厚は同一であると仮定する。
【0075】
一方、2次防壁4及び2次断熱壁5は露出する温度によって自己収縮量に差が生じるが、2次防壁4及び2次断熱壁5の場合、連結断熱壁3aの厚さが薄くなるほど、極低温の液化ガスの冷熱による影響を多く受けることができる。また、この場合、自己温度が低くなって収縮量そのものが増加して低温での応力が増加し、2次防壁4が損傷する危険性が高くなるという問題がある。この問題は、特に、連結断熱壁3aの下部において互いに隣接する単位要素に設けられたメイン防壁41をボンディングなどで相互連結する補助防壁42において多く発生し得る。連結断熱壁3aの下部において補助防壁42は両端が各単位要素のメイン防壁41に連結されているが、これは単位要素の2次断熱壁5が収縮することにより補助防壁42の両端が互いに遠くなったり近くなるように変形され得るためである。
【0076】
図4の(a)を参照すると、連結断熱壁3aが2次断熱壁5より相対的に薄く形成され、2次防壁4の高さが厚さ方向を基準として全厚の中心から上方に位置する場合が示されている。このとき、船体7の6自由度運動によって船体が構造的に変形されるときの2次防壁4に加わる機械的応力を減らすために、2次断熱壁5の厚さを大きく確保することで、2次断熱壁5の厚さを連結断熱壁3aに比べて相対的に厚くすることができる。
【0077】
図4の(b)を参照すると、連結断熱壁3a及び2次断熱壁5の厚さが類似するように形成されて、2次防壁4の高さが厚さ方向を基準として全厚の中心領域に位置する場合が示されている。ここで、中心領域は全厚の40%~60%の範囲に該当することができる。この場合、図4の(a)と比較して、収縮量そのものが減少して低温でのストレスが減少するようになる。また、図4の(a)と比較して、2次防壁の損傷リスクが相対的に低くなる。
【0078】
本発明では、2次断熱壁5の機械的強度を一定レベルに保持しながら2次防壁4の低温負担及びスロッシング負担を減らせる液化ガス貯蔵タンク1を導出しており、以下、図5図20を参照した説明によって理解できるであろう。
【0079】
図5図20は、上記の本実施例による液化ガス貯蔵タンク1の連結断熱壁3aを包括する1次断熱壁3及び2次断熱壁5の厚さを導出するために、第1ケース(図5図8)、第2ケース(図9図12)、第3ケース(図13図16)、第4ケース(図17図20)毎に連結断熱壁3aと2次断熱壁5の厚さを異ならせて構造解析を行った結果を示す図である。本実施例では、連結断熱壁3aの厚さを中心に説明するが、1次断熱壁3の厚さも連結断熱壁3aと同一または類似する。
【0080】
各ケースごとに構造解析を行うに当たり、解析条件は以下の通りである。
【0081】
第1に、解析モデルである第1ケース~第4ケースの連結断熱壁3aと2次断熱壁5の全厚を400mmと同様に適用した。
【0082】
第2に、連結断熱壁3aと2次断熱壁5のそれぞれの厚さを異ならせることで2次防壁4の位置だけが変わるようにした。
【0083】
第3に、同じ線形温度分布条件を考慮して1次防壁2の位置の温度を液化ガスの温度である-163℃とし、船体7の位置の温度を常温である20℃とした。
【0084】
第4に、応力値に対する最小値と最大値に固定してストレスが異なることを色で表示、例えば、赤色は応力値が最も大きく、青色になるほど応力値が小さいことを示した。
【0085】
第5に、厚さ比率は全厚(400mm)のうち連結断熱壁3aの厚さが占める比率にした。
【0086】
上記のような解析条件で解析モデルである第1ケース~第4ケースの構造解析を行った。
【0087】
図5図8は、本発明の第1実施例による液化ガス貯蔵タンクの1次断熱壁3に包括される連結断熱壁3a及び2次断熱壁5の厚さを導出するために第1ケースの連結断熱壁3aと2次断熱壁5の厚さを異ならせて構造解析を行った結果を示す図である。
【0088】
第1ケースは、図5に示すように、連結断熱壁3aの厚さを100mmとし、2次断熱壁5の厚さを300mmと形成したケースである。即ち、第1ケースは、連結断熱壁3aと2次断熱壁5の全厚(400mm)のうち連結断熱壁3aの厚さが占める割合が0.25であり、2次防壁4が連結断熱壁3aと2次断熱壁5の厚さを合わせた全厚の中心から上端である1次防壁2側に近く位置する。
【0089】
このような第1ケースの場合、図6図8に示すように、構造解析の結果、単位要素が隣り合って配置された状態で、隣り合う2次断熱壁5の間に対応する2次防壁4の部分が赤色系統で表示され、応力値は70.12MPaと算出された。
【0090】
第1ケースの場合に2次防壁4で応力が発生する理由は図4から分かる。即ち、連結断熱壁3aの厚さが薄くなることで、2次防壁4で液化ガスの冷熱に大きく影響を受けるからである。
【0091】
図9図12は、本発明の第1実施例による液化ガス貯蔵タンクの1次断熱壁3に包括される連結断熱壁3a及び2次断熱壁5の厚さを導出するために実施した第2ケースの連結断熱壁3aと2次断熱壁5の厚さを異ならせて構造解析を行った結果を示す図である。
【0092】
第2ケースは、図9に示すように、連結断熱壁3aの厚さを160mmとし、2次断熱壁5の厚さを240mmと形成したケースである。即ち、第2ケースは、連結断熱壁3aと2次断熱壁5の全厚(400mm)のうち連結断熱壁3aの厚さが占める割合が0.4であり、2次防壁4が連結断熱壁3aと2次断熱壁5の厚さを合わせた全厚の中心から1次防壁2側に若干偏って位置する。
【0093】
このような第2ケースの場合、図10図12に示すように、構造解析の結果、単位要素が隣り合って配置された状態で、隣り合う2次断熱壁5の間に対応する2次防壁4の部分が黄色系統で表示され、応力値は55.09MPaと算出された。
【0094】
図13図16は、本発明の第1実施例による液化ガス貯蔵タンクの1次断熱壁3に包括される連結断熱壁3a及び2次断熱壁5の厚さを導出するために実施した第3ケースの連結断熱壁3aと2次断熱壁5の厚さを異ならせて構造解析を行った結果を示す図である。
【0095】
第3ケースは、図13に示すように、連結断熱壁3aの厚さと2次断熱壁5の厚さを同一または類似するように形成したケースである。即ち、第3ケースは、連結断熱壁3aと2次断熱壁5の全厚(400mm)のうち連結断熱壁3aの厚さが占める割合が約0.5であり、2次防壁4が連結断熱壁3aと2次断熱壁5の厚さを合わせた全厚の中心に隣接して位置する。
【0096】
このような第3ケースの場合、図14図16に示すように、構造解析の結果、単位要素が隣り合って配置された状態で、隣り合う2次断熱壁5の間に対応する2次防壁4の部分が淡い水色系統で表示され、応力値は47.63MPaと算出された。
【0097】
図17図20は、本発明の第1実施例による液化ガス貯蔵タンクの1次断熱壁3に包括される連結断熱壁3a及び2次断熱壁5の厚さを導出するために実施した第4ケースの連結断熱壁3aと2次断熱壁5の厚さを異ならせて構造解析を行った結果を示す図である。
【0098】
第4ケースは、図17に示すように、連結断熱壁3aの厚さを240mmとし、2次断熱壁5の厚さを160mmと形成したケースである。即ち、第4ケースは、連結断熱壁3aと2次断熱壁5の全厚(400mm)のうち連結断熱壁3aの厚さが占める割合が0.6であり、2次防壁4が連結断熱壁3aと2次断熱壁5の厚さを合わせた全厚の中心から下の方に位置する。
【0099】
このような第4ケースの場合、図18図20に示すように、構造解析の結果、単位要素が隣り合って配置された状態で、隣り合う2次断熱壁5の間に対応する2次防壁4の部分が水色系統で表示され、応力値は41.21MPaと算出された。
【0100】
上記のように、第1ケース~第4ケースそれぞれの構造解析の結果、連結断熱壁3aの下部の2次防壁4は、1次防壁2から遠くなるほど熱収縮による低温応力が減少する傾向を示すことが分かる。図21を参照して説明する。
【0101】
図21は、1次断熱壁と2次断熱壁の厚さ変化による2次防壁の低温ストレスと船体の脆性破壊の確率との関係を示す図である。
【0102】
図21に示すグラフのように、第1ケース~第4ケースだけでなく、連結断熱壁3aの下部の2次防壁4は1次防壁2から遠くなるほど、低温における熱収縮による応力値が減少することを予測することができる。即ち、連結断熱壁3aの下部の2次防壁4は1次防壁2から遠くなるほど、温度が近いときと比べて相対的に高くなるため、収縮が小さくなり応力が減少することが分かる。本実施例では、連結断熱壁3aの下部の2次防壁4を中心に説明するが、単位要素を構成する固定断熱壁3bの下部の2次防壁4も、1次防壁2から遠くなるほど応力が減少することは明らかである。連結断熱壁3aの下部の2次防壁4はメイン防壁41と補助防壁42が積層された状態であり、1次断熱壁3の下部の2次防壁4はメイン防壁41のみで構成されている。
【0103】
このように導出された本実施例の液化ガス貯蔵タンク1は、連結断熱壁3aと2次断熱壁5の厚さを合わせた全厚において連結断熱壁3aの厚さを増加させることで、2次防壁4が受ける温度が上昇(極低温の液体ガスからの冷熱による影響力減少)するようになる。これにより、2次防壁4そのものの冷熱による収縮が減少し、冷熱による応力が減少することで、冷熱による2次防壁4の損傷を防止することができる。このような原理は連結断熱壁3aを包括すると定義した1次断熱壁3の下部の2次防壁4にも適用される。
【0104】
また、2次防壁4は連結断熱壁3a及び固定断熱壁3bの厚さが増加することにより(2次断熱壁5の厚さが相対的に減少する)、2次防壁4に伝達されるスロッシング荷重及び流体動荷重が低くなり、スロッシングによる応力が減少することで、スロッシングによる損傷を防止することができる。また、2次断熱壁5の厚さが薄くなることにより(1次断熱壁3の厚さは相対的に厚くなる)、2次防壁4の水平(flatness)を合わせることが容易になる。
【0105】
また、連結断熱壁3a及び固定断熱壁3bの厚さが増加することにより、2次断熱壁5の厚さが相対的に減少して1次防壁2から相対的に遠くなるため、2次断熱壁5の冷熱による収縮力も減少し、2次断熱壁5の収縮力の減少により2次防壁4の引張力が減少するため、2次防壁4は2次断熱壁5の収縮力による損傷を防ぐことができる。
【0106】
このような2次防壁4の低温ストレスを考慮すると、本発明では、連結断熱壁3a及び2次断熱壁5を合わせた厚さにおいて連結断熱壁3aが40%以上に該当するように配置させることができる。好ましくは、本発明の液化ガス貯蔵タンク1は第2ケース~第4ケースの範囲、即ち、連結断熱壁3aが連結断熱壁3a及び2次断熱壁5を合わせた厚さにおいて40%~60%に該当するように配置することができる。より好ましくは、本発明の液化ガス貯蔵タンク1は第3ケースの範囲、即ち、連結断熱壁3aが連結断熱壁3a及び2次断熱壁5を合わせた厚さに対して47%~53%に該当するように配置することができる。
【0107】
しかし、連結断熱壁3a及び1次断熱壁3の厚さを増加させると、2次断熱壁5の厚さが相対的に減少するため、2次断熱壁5は船体7の6自由度運動によって船体7が構造的に変形するときに加えられる機械的応力に脆弱となり、これによって2次断熱壁5を介して2次防壁4に伝達される機械的応力の程度が大きくなる。
【0108】
また、液化ガスが積載された状態で、1次防壁2が割れるなどの緊急事態(emergency condition)が発生することがある。この場合、1次防壁2がこれ以上液化ガスの漏れを防止することができなくなるため、2次防壁4に液化ガスが接することができる。また、2次防壁4が極低温の液化ガスに接すると、船体(hull)の温度が低くなり、脆性破壊の確率が高くなり得る。また、低温になるほど船体の材料強度は高くなり、これにより脆性問題が発生するため、脆性破壊の確率が高くなり得る。ここで、脆性破壊(brittle fracture)は塑性変形がほとんどなく発生する突然の破壊に該当し、脆性亀裂(brittle crack)と理解することができる。
【0109】
これに関連して、図21を参照すると、緊急事態において、第1ケースから第4ケースになるほど極低温の液化ガスが接する2次防壁4が船体に近くなるため、脆性破壊の確率は増加する。即ち、図21において、船体の脆性破壊の確率は、第1ケースから第4ケースになるほど、即ち、2次断熱壁5の厚さ対比で連結断熱壁の厚さが増加するほど高くなる。また、第4ケースの連結断熱壁3aの厚さがさらに厚くなると、脆性破壊の確率は1に近づき、船体は亀裂(crack)または分裂され得る。
【0110】
従って、液化ガス貯蔵タンク1の断熱システムは、上述した低温ストレスだけでなく、船体の亀裂または破壊リスクまで考慮して配置されるべきである。本発明では、2次防壁4が連結断熱壁3aと2次断熱壁5の厚さを合わせた全厚の中心領域に位置する第2ケース~第4ケースが低温ストレス及び船体亀裂の側面をすべて考慮すると、適切であることができる。好ましくは、第3ケースが低温ストレス及び船体亀裂の機械的側面において適切であると判断することができる。
【0111】
従って、本発明は、連結断熱壁3a及び1次断熱壁3の厚さを十分に確保して2次防壁4の低温応力を減少させるが、2次断熱壁4の厚さを適切に設けて船体7と2次防壁4の間の間隔を備えることで2次防壁4の船体7から伝達される構造的応力に対する負担を減らせる第2ケースから第4ケースが適切な実施例であることができる。また、このうち第3ケースが低温ストレス及び機械的強度の側面を全て考慮すると、好ましい実施例に該当する。
【0112】
一方、2次防壁4の素材は多様に構成されてもよく、これに関しては図22図24において説明する。
【0113】
図22図23及び図24は本発明の第1実施例による液化ガス貯蔵タンクの2次防壁に対する様々な構成を説明するための図である。
【0114】
図22に示すように、2次防壁4は、ガラスクロス(GC)/アルミニウムホイル(AF)/ガラス-アラミドクロス(GAC)が積層された3層構造の第1素材で形成されてもよい。
【0115】
ガラス-アラミドクロス(GAC)はガラスクロス(Glass Cloth)にアラミド(Aramid)素材を適用したもので、ガラス繊維(Glass fiber)の2本当たりにアラミド1本を混合して製造することができる。
【0116】
このような第1素材は2次防壁4の補助防壁42に適用されてもよいが、これに限定されず、2次防壁4のメイン防壁41にも適用できる。
【0117】
図23に示すように、2次防壁4は、ガラスクロス(GC)/アルミニウムホイル(AF)/ガラスクロス(GC)/アルミニウムホイル(AF)/ガラスクロス(GC)が積層された5層構造の第2素材で形成されてもよい。
【0118】
このような第2素材は2次防壁4のメイン防壁41に適用されてもよいが、これに限定されず、2次防壁4の補助防壁42にも適用できる。
【0119】
図24に示すように、2次防壁4は玄武岩から抽出される無機質系バサルト(Basalt)クロスを利用したものであり、バザルトクロス(BC)/アルミニウムホイル(AF)/バザルトクロス(BC)が積層された3層構造の第3素材で形成されてもよい。
【0120】
このような第3素材は2次防壁4であるメイン防壁41に適用されてもよいが、これに限定されず、2次防壁4である補助防壁42にも適用できる。
【0121】
図22図24で説明したように、本実施例の2次防壁4は第1部材/アルミニウムホイル(AF)/第2部材が積層された多層構造の様々な素材で形成されてもよい。このとき、第1部材及び第2部材の少なくとも1つはガラスクロス(GC)、ガラス-アラミドクロス(GAC)、バザルトクロス(BC)またはガラスクロス(GC)/アルミニウムホイル(AF)/ガラスクロス(GC)であってもよい。
【0122】
また、2次防壁4に適用される様々な素材は2次防壁4のメイン防壁41と補助防壁42に様々な組み合わせで適用されてもよい。
【0123】
図25は本発明の第1実施例による液化ガス貯蔵タンクの直角コーナー構造を説明するための一部断面図であり、図26は本発明の第1実施例による液化ガス貯蔵タンクの鈍角コーナー構造を説明するための一部断面図である。
【0124】
上述した図5図20において、連結断熱壁3aまたは1次断熱壁3の厚さと2次断熱壁5の厚さが同一または類似する範囲内で形成される場合、より安定した断熱システムを有することが確認された。例えば、同一または類似する範囲は、2次防壁4の位置が連結断熱壁3aまたは1次断熱壁3と2次断熱壁5の厚さを合わせた全厚において40%~60%に位置する場合であることができる。このような構成は、図25に示す液化ガス貯蔵タンク1の直角コーナー構造と図26に示す液化ガス貯蔵タンク1の鈍角コーナー構造にも同様に適用することができる。
【0125】
しかし、液化ガス貯蔵タンク1の直角コーナー構造及び鈍角コーナー構造では2次防壁4が曲線に形成され、曲線に形成されると、直線部分対比で周辺環境による荷重に脆弱となるが、本実施例はこのような荷重による応力を緩和させることができる。また、本実施例は船体変形吸収に容易であることができる。
【0126】
図25を参照すると、直角コーナー構造における2次防壁4は、1次断熱壁3の厚さが第1、第2ケースより厚くなることにより、曲率半径が1次断熱壁3の厚さに対して25%以上、例えば、25%~50%を占めるようになる。
【0127】
また、直角コーナー構造における2次防壁4は、1次断熱壁3の厚さが第1、第2ケースより厚くなることにより、従来の薄い厚さの1次断熱壁に比べて船体7側に移動するようになる。この場合、曲率半径が大きくなり、曲率半径が大きくなることで2次防壁4が2次断熱壁5に接着されない部分(secondary Barrier scab part not glued)の長さL1も増加する。これは、直角コーナー構造における2次防壁4の柔軟性(flexibility)の増加を意味し、これにより直角コーナー構造における2次防壁4は周辺部の変形吸収、例えば、船体変形吸収が容易になり、低温応力も減少する。例えば、接着されない部分の長さL1は100mm~200mmであってもよい。
【0128】
図26を参照すると、鈍角コーナー構造における2次防壁4は、1次断熱壁3の厚さが第1、第2ケースより厚くなることにより、曲率半径が1次断熱壁3の厚さに対して15%以上、例えば、15%~35%を占めるようになる。
【0129】
また、鈍角コーナー構造における2次防壁4は、1次断熱壁3の厚さが第1、第2ケースより厚くなることにより、従来の薄い厚さの1次断熱壁に比べて船体7側に移動するようになって曲率半径が大きくなる。この場合、2次防壁4の曲率半径が大きくなることで2次防壁4が2次断熱壁5に接着されない部分(secondary Barrier scab part not glued)の長さL2も増加する。これは、鈍角コーナー構造における2次防壁4の柔軟性(flexibility)の増加を意味し、これにより、鈍角コーナー構造における2次防壁4は周辺部の変形吸収、例えば、船体変形吸収が容易になり、低温応力も減少する。例えば、接着されない部分の長さL2は50mmから90mmであってもよい。
【0130】
上記のように、本発明の直角コーナー構造及び鈍角コーナー構造における2次防壁4は、相対的に薄い厚さに形成される1次断熱壁の直角コーナー構造及び鈍角コーナー構造対比で従来の2次防壁に加わる低温での応力が減少することができる。また、接着されない部分が増加して船体変形吸収も容易である。
【0131】
図27は液化ガス貯蔵タンクの1次断熱材及び2次断熱材の使用材質による熱伝導度を示すグラフである。
【0132】
上記の本発明の実施例による液化ガス貯蔵タンク1において、連結断熱壁3a及び1次断熱壁3の1次断熱材32、32a及び2次断熱壁5の2次断熱材51のそれぞれは、全て同じ材質のポリウレタンフォームで形成されることを説明したが、必要に応じて選択的に材質が異なるポリウレタンフォームを使用してもよい。
【0133】
具体的には、強化ポリウレタンフォーム(RPUF)は、ポリオール(Polyol)、イソシアネート(isocyanate)、発泡剤(blowing agent)を混合して作製されるが、発泡剤としてHFC-245faまたはCOが用いられてもよい。HFC-245faがCOに比べて相対的に高価であることができる。
【0134】
本実施例の場合、1次断熱材32、32aを発泡剤としてCOを用いた強化ポリウレタンフォームで形成し、2次断熱材51を発泡剤HFC-245faを用いた強化ポリウレタンフォームで形成する。
【0135】
発泡剤HFC-245faと発泡剤COの熱伝導度特性を図27のグラフを参照してみると、発泡剤HFC-245faは発泡剤COと比較して常温では熱伝導度値が低いが、極低温になるほど、同一または類似する値を示す。
【0136】
即ち、発泡剤HFC-245faと発泡剤COの熱伝導度値は、-80℃を基点として以下の温度では同一または類似する値を示し、それ以上の温度では発泡剤HFC-245faが発泡剤COより低い値を示す。
【0137】
そのため、本実施例では、相対的に高価の発泡剤HFC-245faを1次断熱材32、32aと2次断熱材51の両方に使用せず、経済的な側面を考慮して、相対的に極低温に近い1次断熱材32、32aを発泡剤としてCOを用いた強化ポリウレタンフォームで形成し、2次断熱材51を発泡剤HFC-245faを用いた強化ポリウレタンフォームで形成することができる。
【0138】
図28は本発明の第2実施例による液化ガス貯蔵タンクを説明するための一部断面図であり、図29は本発明の第2実施例による液化ガス貯蔵タンクを説明するための一部斜視図である。
【0139】
図28図29に示すように、本発明の第2実施例による液化ガス貯蔵タンク1は、内部で液化ガスと接触する1次防壁2と、1次防壁2の外側に設けられる1次断熱壁3及び連結断熱壁3aと、1次断熱壁3及び連結断熱壁3aの外側に設けられる2次防壁4と、2次防壁4の外側に配置されて船体7に固定される2次断熱壁5と、を含んで構成されてもよく、上述した第1実施例と比較して連結断熱壁3aの構成が異なり、その他の構成は同一または類似するため、以下では重複する説明を避けるために異なる部分についてのみ説明する。
【0140】
本実施例は、上述した第1実施例と比較して連結断熱壁3aの構成が異なってもよい。
【0141】
具体的には、上述した第1実施例と比較して連結断熱壁3aは補助断熱板33をさらに含んでもよい。
【0142】
即ち、連結断熱壁3aは連結プライウッド31a、連結断熱材32a、補助断熱板33が積層される構造からなってもよい。
【0143】
補助断熱板33は5mm~10mmの厚さであってもよく、プライウッドや高密度ポリウレタンフォーム(HD PUF)、FRP(Fiber Reinforced Plastic)などで設けられて2次防壁4の荷重分散効果を得ることができる。または、補助断熱板33は断熱特性に優れたVIP(Vacuum Insulation Panel)、LD PUFなどで設けられて連結断熱壁3aが形成される部分における断熱脆弱性を補うことができる。
【0144】
連結断熱壁3aの連結断熱材32aと単位要素を構成する固定断熱壁3bの1次断熱材32は同じ厚さであってもよい。ただし、連結断熱壁3aの場合、下部に2次防壁4のメイン防壁41に加えて補助防壁42がさらに積層され、また、補助断熱板33を含むため、連結断熱壁3aの連結断熱材32aの厚さは補助防壁42の厚さ及び補助断熱板33の厚さ分だけ1次断熱壁3の1次断熱材32より小さい厚さであることができる。
【0145】
上記した補助断熱板33は連結断熱壁3aの連結断熱材32aの下部だけでなく、単位要素を構成する1次断熱壁3の1次断熱材32の下部にも設けられてもよい。
【0146】
図30は本発明の第3実施例による液化ガス貯蔵タンクを説明するための一部断面図であり、図31は本発明の第3実施例による液化ガス貯蔵タンクの主要部分に対する拡大図である。
【0147】
図30図31に示すように、本発明の第3実施例による液化ガス貯蔵タンク1は、内部で液化ガスと接触する1次防壁2と、1次防壁2の外側に設けられる1次断熱壁3及び連結断熱壁3aと、1次断熱壁3及び連結断熱壁3aの外側に設けられる2次防壁4と、2次防壁4の外側に配置されて船体7に固定される2次断熱壁5と、2次断熱壁5と船体7の間に設けられるレベリング部材8と、2次断熱壁5を船体7に固定する固定部材9と、を含んで構成されてもよく、上述した第1実施例と比較してレベリング部材8と固定部材9が異なり、その他の構成は同一または類似するため、以下では重複する説明を避けるために、第1実施例と異なる構成要素であるレベリング部材8及び固定部材9と、これによって異なる部分についてのみ説明する。
【0148】
レベリング部材8は2次断熱壁5と船体7の間に設けられてもよい。
【0149】
レベリング部材8は船体7の変形部位の水平を合わせることができ、タンクの断熱性能を向上させ、2次断熱壁5を支持することができる非接着弾性断熱材であってEPS(Expanded Polystyrene)などであってもよい。
【0150】
このようなレベリング部材8は、弾性力によって2次断熱壁5に密着する上面は平坦になり、船体7に密着する下面は船体7の変形に合うように曲面であってもよい。船体7の変形は、例えば、船体7のブロック間の溶接時に発生し得る。
【0151】
即ち、レベリング部材8は従来のマスティックとレベリングウェッジを使用しなくても船体の変形部位の水平を合わせることができる。ここで、レベリングウェッジは選択的に使用できることは言うまでもない。
【0152】
本実施例は、上記のようなレベリング部材8を適用することにより、ギャップ(gap)の大きさに応じて様々なタイプで塗布する従来のマスティックとは異なって、単一大きさで施工が可能であり、マスティックの硬化時間が必要ないため、作業時間を短縮することができ、断熱材を適用することで、保温力を増加させることができる。
【0153】
固定部材9は、2次断熱壁5を船体7に固定させられるように突出部91とスタッドボルト92を含むクリート(cleat)構造からなってもよい。
【0154】
突出部91は2次断熱壁5の単位パネルの両側面の下部において外部に突出して設けられてもよく、プライウッドで形成されてもよい。
【0155】
突出部91は、一側面が2次断熱壁5の2次プライウッド52の側面と2次プライウッド52から一定高さまでの2次断熱材51の一部の側面にわたって固定設置されてもよく、下面が2次プライウッド52の下面と同じレベルを有する。
【0156】
突出部91の幅の厚さは2次断熱壁5をなす複数の単位パネルを配置したとき、互いに対向する突出部91の間がスタッドボルト92が挿入される程度であってもよい。
【0157】
スタッドボルト92は船体7に固定されてもよい。
【0158】
スタッドボルト92は、2次断熱壁5をなす複数の単位パネルを配置したとき、隣り合う2次断熱壁5の単位パネルの間の空間に一致するように船体7に固定設置されてもよい。
【0159】
スタッドボルト92は、隣り合う2次断熱壁5の単位パネルのそれぞれの側面に設けられて対向する2つの突出部91の間に位置した状態でボルトを締め付けることにより、2次断熱壁5を船体7に固定させることができる。
【0160】
図32は本発明の第4実施例による液化ガス貯蔵タンクを説明するための一部断面図であり、図33は1次断熱壁を構成する連結断熱壁と固定断熱壁との間の隙間である第1スリットと固定断熱壁に設けられる複数の第2スリットを充填する充填断熱材を説明するための図であり、図34は1次断熱壁を構成する連結断熱壁と固定断熱壁との間の隙間である第1スリットと固定断熱壁に設けられる複数の第2スリットを充填する他の実施例による充填断熱材を説明するための図であり、図35は1次断熱壁を構成する連結断熱壁と固定断熱壁との間の隙間である第1スリットと固定断熱壁に設けられる複数の第2スリットを充填するさらに他の実施例による充填断熱材を説明するための図である。
【0161】
図32図35に示すように、本発明の第4実施例による液化ガス貯蔵タンク1は、内部で液化ガスと接触する1次防壁2と、1次防壁2の外側に設けられ、連結断熱壁3aと固定断熱壁3bからなる1次断熱壁3と、1次断熱壁3の外側に設けられる2次防壁4と、2次防壁4の外側に配置されて船体7に固定される2次断熱壁5と、を含んで構成されてもよく、上述した第1実施例と比較して連結断熱壁3aと固定断熱壁3bとの間の隙間である第1スリットSL1を充填する点と、固定断熱壁3bに複数の第2スリットSL2が設けられる点が異なり、他の構成は同一または類似するため、以下では重複する説明を避けるために異なる部分を中心に説明する。
【0162】
本実施例の1次断熱壁3と2次断熱壁5は上述のように同一または類似する厚さであってもよい。
【0163】
1次断熱壁3は連結断熱壁3aと固定断熱壁3bからなってもよい。
【0164】
連結断熱壁3aは、固定断熱壁3bを含む単位要素を隣り合って配置したとき、隣り合う2次断熱壁5の間にできる空間部分を密封するように隣り合う固定断熱壁3bの間に挿設されてもよく、このとき、連結断熱壁3aと固定断熱壁3bとの間に隙間が形成されることができる。
【0165】
第1スリットSL1は連結断熱壁3aと固定断熱壁3bとの間に形成される隙間であって、1次断熱壁3の厚さに対応する深さで形成されてもよい。
【0166】
また、本実施例は、固定断熱壁3bの収縮及び膨張に備えられるように、固定断熱壁3bに一定間隔を置いて複数の第2スリットSL2が形成されてもよい。
【0167】
第2スリットSL2は、固定断熱壁3bに加わる温度による収縮または膨張応力を最大限緩和できるように、固定断熱壁3bの厚さと類似する深さで形成されてもよい。例えば、固定断熱壁3bの厚さが200mmの場合、第2スリットSL2の深さは185mm~195mmであってもよいが、これに限定されない。
【0168】
上記の第1スリットSL1と第2スリットSL2は温度による収縮または膨張応力を緩和して1次断熱壁3の損傷を防止することができるが、対流経路として作用し2次防壁4の低温負担を増加させ得る。
【0169】
そこで、本実施例では、第1スリットSL1を第1充填断熱材GW1で全部または一部充填し、第2スリットSL2を第2充填断熱材GW2で一部充填することにより、固定断熱壁3bの収縮及び膨張による損傷を防止するとともに、2次防壁4の低温負担を減らせるが、以下において具体的に説明する。
【0170】
第1充填断熱材GW1及び第2充填断熱材GW2は治具を用いて第1スリットSL1及び第2スリットSL2に挿入して充填することができる。
【0171】
第1充填断熱材GW1は、図33図35に示すように、第1スリットSL1を全部充填するように形成されるか(図33参照)、第1スリットSL1の下部に空間ができるように第1スリットSL1の入口から一定深さまで充填するように形成するか(図34参照)、第1スリットSL1の内部に複数の空間ができるように第1スリットSL1の内部に多層で充填するように形成されてもよい(図35参照)。
【0172】
また、第2充填断熱材GW2は、図33図35に示すように、第2スリットSL2の下部に空間ができるように第2スリットSL2の入口から一定深さまで充填するように形成されるか(図33及び図34参照)、第2スリットSL2の内部に複数の空間ができるように第2スリットSL2の内部に多層で充填するように形成されてもよい(図35参照)。
【0173】
上記において、第1スリットSL1に充填される第1充填断熱材GW1と第2スリットSL2に充填される第2充填断熱材GW2のそれぞれは、第1スリットSL1と第2スリットSL2の空間に充填された状態で空間を完全に密閉できるように(+)公差を有するように形成されてもよく、これにより、収縮及び膨張を吸収することができる。
【0174】
図33を参照すると、第1充填断熱材GW1は第1スリットSL1を全部充填するように形成され、第2充填断熱材GW2は第2スリットSL2の下部に空間ができるよう第2スリットSL2の入口から一定深さまで充填するように形成されてもよい。
【0175】
第1充填断熱材GW1と第2充填断熱材GW2はガラスウールで形成されてもよいが、これに限定されない。
【0176】
上記において、第1充填断熱材GW1は第1スリットSL1を全部充填するように形成されることにより、連結断熱壁3aと固定断熱壁3bとの連結部分における断熱性能を向上させることができる。第2充填断熱材GW2は第2スリットSL2の下部に空間ができるように形成されることにより、第2充填断熱材GW2によって固定断熱壁3bの断熱性能を向上させるだけでなく、第2スリットSL2の空間部分で固定断熱壁3bの収縮及び膨張を吸収できるようにする。
【0177】
図34を参照すると、第1充填断熱材GW1は第1スリットSL1の下部に空間ができるように第1スリットSL1の入口から一定深さまで充填するように形成され、第2充填断熱材GW2は第2スリットSL2の下部に空間ができるように第2スリットSL2の入口から一定深さまで充填するように形成されてもよい。
【0178】
第1充填断熱材GW1と第2充填断熱材GW2はガラスウールで形成されてもよいが、これに限定されない。
【0179】
上記において、第1充填断熱材GW1は第1スリットSL1の下部に空間ができるように形成されることにより、第1充填断熱材GW1によって連結断熱壁3aと固定断熱壁3bの連結部分における断熱性能を向上させるだけでなく、第1スリットSL1の空間部分で連結断熱壁3a及び固定断熱壁3bの収縮及び膨張を吸収できるようにする。第2充填断熱材GW2は第2スリットSL2の下部に空間ができるように形成されることにより、第2充填断熱材GW2によって固定断熱壁3bの断熱性能を向上させるだけでなく、第2スリットSL2の空間部分で固定断熱壁3bの収縮及び膨張を吸収できるようにする。
【0180】
図35を参照すると、第1充填断熱材GW1は第1スリットSL1の内部に複数の空間ができるように多層で充填するように形成されてもよく、第2充填断熱材GW2は第2スリットSL2の内部に複数の空間ができるように多層で充填するように形成されてもよい。
【0181】
第1充填断熱材GW1は、第1スリットSL1の上部に形成される第1上部充填断熱材GW1-1と、第1上部充填断熱材GW1-1から一定間隔離隔されて第1スリットSL1の中間に形成される第1中間充填断熱材GW1-2と、第1中間充填断熱材GW1-2と一定間隔離隔されて第1スリットSL1の下部に形成される第1下部充填断熱材GW1-3と、からなってもよい。
【0182】
第1上部充填断熱材GW1-1、第1中間充填断熱材GW1-2、第1下部充填断熱材GW1-3のそれぞれは同じ断熱材または異なる断熱材で形成されてもよい。このとき、断熱材にはガラスウール、スーパーライト(super lite)、軟質フォーム(foam)材質、エアロゲルブランケット(aerogel blanket)などを用いてもよい。
【0183】
第2充填断熱材GW2は、第2スリットSL2の上部に形成される第2上部充填断熱材GW2-1と、第2上部充填断熱材GW2-1から一定間隔離隔されて第2スリットSL2の中間に形成される第2中間充填断熱材GW2-2と、第2中間充填断熱材GW2-2と一定間隔離隔されて第2スリットSL2の下部に形成される第2下部充填断熱材GW2-3と、からなってもよい。
【0184】
第2上部充填断熱材GW2-1、第2中間充填断熱材GW2-2、第2下部充填断熱材GW2-3のそれぞれは同じ断熱材または異なる断熱材で形成されてもよい。このとき、断熱材にはガラスウール、スーパーライト(super lite)、軟質フォーム(foam)材質、エアロゲルブランケット(aerogel blanket)などを用いてもよい。
【0185】
上記において、第1充填断熱材GW1は第1スリットSL1の内部に多数の空間ができるように多層で形成されることにより、多層の第1充填断熱材GW1-1、GW1-2、GW1-3によって連結断熱壁3aと固定断熱壁3bの連結部分における断熱性能を向上させるだけでなく、第1スリットSL1の複数の空間部分で連結断熱壁3a及び固定断熱壁3bの収縮及び膨張を吸収できるようにする。第2充填断熱材GW2は第2スリットSL2の内部に複数の空間ができるように形成されることにより、多層の第2充填断熱材GW2-1、GW2-2、GW2-3によって固定断熱壁3bの断熱性能を向上させるだけでなく、第2スリットSL2の複数の空間部分で固定断熱壁3bの収縮及び膨張を吸収できるようにする。
【0186】
図36は本発明の第5実施例による液化ガス貯蔵タンクを説明するための一部断面図であり、図37図36のA-A’線に沿って切断した連結断熱壁の断面図であり、図38図36のB-B’線に沿って切断した2次断熱壁、2次防壁、1次断熱壁を構成する固定断熱壁が積層されてなる単位要素の断面図であり、図39及び図40は1次断熱壁を構成する連結断熱壁と固定断熱壁との間の隙間である第1スリットを充填する充填断熱材を説明するための図であり、図41及び図42は本発明の第5実施例による液化ガス貯蔵タンクの構造解析の結果を示す図であり、図43図46は上記の第5実施例による液化ガス貯蔵タンクと比較例による液化ガス貯蔵タンクにおけるスリットの構造及びスリットを充填する充填断熱材の適用有無によって変わる対流経路及び2次防壁の温度を比較説明するための図であり、図47は本発明の第5実施例による液化ガス貯蔵タンクと比較例による液化ガス貯蔵タンクにおいてスリットを充填する充填断熱材の有無に応じたスリットの下部の2次防壁の温度を比較したグラフである。
【0187】
図36図40に示すように、本発明の第5実施例による液化ガス貯蔵タンク1は、内部で液化ガスと接触する1次防壁2と、1次防壁2の外側に設けられ、連結断熱壁3aと固定断熱壁3bからなる1次断熱壁3と、1次断熱壁3の外側に設けられる2次防壁4と、2次防壁4の外側に配置されて船体7に固定される2次断熱壁5と、を含んで構成されてもよく、上述した第4実施例と比較して、連結断熱壁3aと固定断熱壁3bとの間の隙間である第1スリットSL1を充填する第1充填断熱材GW1と、固定断熱壁3bに設けられる複数の第2スリットSL2が異なり、他の構成は同一または類似するため、以下では重複する説明を避けるために異なる部分を中心に説明する。
【0188】
本実施例の1次断熱壁3と2次断熱壁5は上述のように同一または類似する厚さであってもよい。
【0189】
1次断熱壁3は連結断熱壁3aと固定断熱壁3bからなってもよく、このとき、連結断熱壁3aは、固定断熱壁3bを含む単位要素を隣り合って配置したとき、隣り合う2次断熱壁5の間にできる空間部分を密封するように隣り合う固定断熱壁3bの間に挿設されてもよい。このとき、連結断熱壁3aと固定断熱壁3bとの間に隙間が形成されることができる。
【0190】
第1スリットSL1は連結断熱壁3aと固定断熱壁3bとの間に形成される隙間であって、1次断熱壁3の厚さに対応する深さで形成されてもよい。
【0191】
また、本実施例は、固定断熱壁3bの収縮及び膨張に備えられるように、固定断熱壁3bに一定間隔を置いて複数の第2スリットSL2が形成されてもよい。第2スリットSL2は固定断熱壁3bの長手方向だけでなく、図38に示すように、幅方向に少なくとも1つ以上形成されてもよい。
【0192】
また、本実施例は、連結断熱壁3aの収縮及び膨張に備えられるように、連結断熱壁3aに少なくとも1つ以上の第3スリットSL3を形成してもよい。第3スリットSL3は相対的に狭い幅方向には形成されず、図37に示すように、相対的に長い長手方向に少なくとも1つ以上形成されてもよい。長手方向に形成される第3スリットSL3は、固定断熱壁3bの間に連結断熱壁3aを挿設したとき、長手方向に形成される第2スリットSL2と同一線上に位置することができる。
【0193】
上記において、第2スリットSL2は、固定断熱壁3bに加わる温度による収縮または膨張応力を緩和しながら断熱性能を確保することができるように、固定断熱壁3bの厚さに対して約半分程度の厚さに対応する深さで形成されてもよく、内部に充填断熱材が充填されない。例えば、固定断熱壁3bの厚さが200mmの場合、第2スリットSL2の深さは約90mm程度であってもよいが、これに限定されず、100mm~50mmの範囲内で形成されてもよいことは言うまでもない。第3スリットSL3は第2スリットSL2と同一または類似するように形成されてもよい。
【0194】
上記の第1スリットSL1、第2スリットSL2、及び第3スリットSL3を充填断熱材で全く充填しなかった場合、図41に示す構造解析の結果のように、浅い深さで形成された第2スリットSL2が形成された固定断熱壁3bに比べて、深い深さで形成された第1スリットSL1付近の固定断熱壁3b及び連結断熱壁3aで断熱性能が低下することが分かる。これは深さの深い第1スリットSL1によって対流現象が多く発生するからである。
【0195】
そこで、本実施例では、第1スリットSL1を第1充填断熱材GW1で一部充填することにより、図42に示す構造解析の結果のように、第1充填断熱材GW1が熱対流現象を防止して深い深さで形成された第1スリットSL1付近の固定断熱壁3b及び連結断熱壁3aにおいても、浅い深さで形成された第2スリットSL2が形成された固定断熱壁3bにおける断熱性能と類似する断熱性能を示すことが分かる。即ち、第1スリットSL1に第1充填断熱材GW1を充填する場合、全ての部分で低温伝達の深さが平坦化することが分かる。
【0196】
本実施例では、第1スリットSL1に充填される第1充填断熱材GW1は、スリットによる熱対流現象を改善することができるように、固定断熱壁3bまたは連結断熱壁3aの厚さに対して約半分程度の厚さに対応する深さで形成される第2スリットSL2または第3スリットSL3の深さより少なくとも長く形成されなければならない。
【0197】
具体的には、第1充填断熱材GW1が一部充填される第1スリットSL1の空間部分に形成される対流経路が固定断熱壁3bの第2スリットSL2の空間部分に形成される対流経路及び連結断熱壁3aの第3スリットSL3の空間部分に形成される対流経路と連結されると、熱対流現象が増加するため、熱対流現象を防止するためには第1充填断熱材GW1で経路を遮断しなければならない。
【0198】
例えば、第2スリットSL2及び第3スリットSL3の深さが90mmの場合、第1充填断熱材GW1が第1スリットSL1の入口から80mmの長さで形成されると、10mmの連結経路が形成されることになるため、連結経路を遮断するように第1充填断熱材GW1は少なくとも90mm以上の長さで形成されなければならない。
【0199】
また、本実施例の第1充填断熱材GW1は、図40に示すように、接着部材10を用いて固定断熱壁3bの側面と対向する連結断熱壁3aの両側面に取り付けられてもよい。
【0200】
従来では、連結断熱壁3aを隣り合う固定断熱壁3bの間に設けた後、第1充填断熱材GW1を治具を用いて挿設したが、本実施例の場合、第1充填断熱材GW1が両側面に取り付けられた状態の連結断熱壁3aを隣り合う固定断熱壁3bの間に直接挿設することができ、設置工数を低減することができる。このとき、固定断熱壁3bに取り付けられる第1充填断熱材GW1は、連結断熱壁3aを隣り合う固定断熱壁3bの間に挿設する前には圧縮された状態(体積が減った状態)を保持し、設置後には圧縮が解除された状態(体積が大きくなった状態)となり、第1スリットSL1を完全に塞ぐことができる。
【0201】
上記では、本実施例の第1充填断熱材GW1は第1スリットSL1に一部充填されると説明したが、図33及び図35を参照して説明した第4実施例の第1充填断熱材GW1と同一または類似するように形成されてもよいなど多様に形成された状態で、接着部材10で連結断熱壁3aの両側面に取り付けた後、連結断熱壁3aを隣り合う固定断熱壁3bの間に挿設してもよいことは言うまでもない。
【0202】
以下では、図43図47を参照して、本実施例による液化ガス貯蔵タンク1と比較例による液化ガス貯蔵タンク1’における連結断熱壁3aと固定断熱壁3bに形成されるスリットの構造とスリットを充填する充填断熱材の適用有無によって変わる対流経路及びそれによる温度差を比較説明する。
【0203】
図43の(a)及び図45は本実施例による液化ガス貯蔵タンク1を示すものであり、連結断熱壁3a及び固定断熱壁3bは上述の構成と同一である。直角コーナー構造及び鈍角コーナー構造は図25及び図26に示すものを適用したが、これに限定されず、他の直角コーナー構造及び鈍角コーナー構造を適用しても構わない。
【0204】
図43の(b)は比較例による液化ガス貯蔵タンク1’を示すものであり、本実施例による液化ガス貯蔵タンク1と比較して、第1スリットSL1’は深さは同一であるが、第1充填断熱材GW1を充填していない点が異なり、第2スリットSL2’は深さが固定断熱壁3bの厚さと類似する深さで形成される点が異なり、それ以外の構成は同一または類似することができる。
【0205】
図44の(a)は本実施例による液化ガス貯蔵タンク1における第1、2、3対流経路CP1、CP2、CP3を示すものである。
【0206】
第1対流経路CP1は連結断熱壁3aと固定断熱壁3bとの間に形成される隙間である第1スリットSL1に対応する経路であって、第1スリットSL1の上部において第1充填断熱材GW1によって対流遮断経路CP1’が形成されることによって第1スリットSL1の下部の空間部分にだけ経路が形成されることが分かる。
【0207】
第2対流経路CP2は固定断熱壁3bの厚さに対して約半分程度の厚さに対応する深さで形成される第2スリットSL2に対応する経路であって、第2スリットSL2の空間部分に経路が形成されるが、第1スリットSL1に充填された第1充填断熱材GW1の部分で遮断されることが分かる。
【0208】
第3対流経路CP3は連結断熱壁3aの厚さに対して約半分程度の厚さに対応する深さで形成される第3スリットSL3に対応する経路であって、第3スリットSL3の空間部分に経路が形成されるが、第1スリットSL1に充填された第1充填断熱材GW1の部分で遮断されることが分かる。
【0209】
図44の(b)は比較例による液化ガス貯蔵タンク1’における第4、5、6対流経路CP4、CP5、CP6を示すものである。
【0210】
第4対流経路CP4は連結断熱壁3aと固定断熱壁3bとの間に形成される隙間である第1スリットSL1’に対応する経路であって、本実施例とは異なって、第1スリットSL1’には充填断熱材が充填されないことによって第1スリットSL1’の全ての空間部分に経路が形成されることが分かる。
【0211】
第5対流経路CP5は固定断熱壁3bの厚さと類似する深さで形成される第2スリットSL2’に対応する経路であって、第2スリットSL2’の空間部分に形成された第5対流経路CP5が第1スリットSL1’の空間部分に形成された第4対流経路CP4と連結されることが分かる。
【0212】
第6対流経路CP6は連結断熱壁3aの厚さと類似する深さで形成される第3スリット(不図示)に対応する経路であって、第3スリットの空間部分に形成された第6対流経路CP6が第4対流経路CP4及び第5対流経路CP5と連結されることが分かる。
【0213】
上記のように、本実施例の液化ガス貯蔵タンク1は第1、2、3対流経路CP1、CP2、CP3が互いに連続しておらず、対流領域が減少することが分かる。比較例の液化ガス貯蔵タンク1’は第4、5、6対流経路CP4、CP5、CP6が連続的であり、対流領域が増加することが分かる。
【0214】
また、図44の(b)に示すように、比較例の液化ガス貯蔵タンク1’は第4、5、6対流経路CP4、CP5、CP6のそれぞれが1次防壁2から2次防壁4まで対流空間を形成するため、1次防壁2での温度が2次防壁4に直接影響を及ぼし、2次防壁4で温度降下が激しくなる。一方、本実施例の液化ガス貯蔵タンク1は第1、2、3対流経路CP1、CP2、CP3のそれぞれが第1充填断熱材GW1によって1次防壁2での温度が2次防壁4に伝導されることを防止することができ、比較例の液化ガス貯蔵タンク1’に比べて本実施例の液化ガス貯蔵タンク1の2次防壁4において温度降下が少なくなる。
【0215】
このような対流経路の違いにより、本実施例の液化ガス貯蔵タンク1と比較例の液化ガス貯蔵タンク1’のそれぞれの2次防壁4においても温度差が発生する。
【0216】
図45及び図46に示すように、単位要素を隣り合って配置したとき、隣り合う2次断熱壁5の間にできる空間部分において2次防壁4に近接するように温度センサTLを付着した。
【0217】
1次防壁2の温度が-196度、船体7の温度が10度の状態で温度センサTLで温度を計測したところ、本実施例の液化ガス貯蔵タンク1では-79.3度であり、比較例の液化ガス貯蔵タンク1’では-100.9度であった。このような結果は、上記のように比較例の液化ガス貯蔵タンク1’と比較して本実施例の液化ガス貯蔵タンク1の対流経路が連続しておらず、対流領域が減少することによるものであることが分かる。
【0218】
図47は本実施例の液化ガス貯蔵タンク1における第1スリットSL1に第1充填断熱材GW1を充填したときと比較例の液化ガス貯蔵タンク1’における第1スリットSL1’に充填断熱材を充填しなかったときの第1スリットSL1、SL1’の下部の2次防壁4の温度を比較したグラフである。
【0219】
1次防壁2の温度が-196度、船体7の温度が10度の状態で、第1スリットSL1、SL1’の高さが0.2mmのとき、第1充填断熱材GW1が充填された本実施例の第1スリットSL1の下部の2次防壁4の温度は-90度程度であり(グラフA)、充填断熱材が充填されていない比較例の第1スリットSL1’の下部の2次防壁4の温度は-150度程度であった(グラフB)。
【0220】
これにより、比較例の液化ガス貯蔵タンク1’に比べて本実施例の液化ガス貯蔵タンク1の2次防壁4において温度降下が少なくなる(熱対流防止)ことが分かる。
【0221】
図48は本発明の第6実施例による液化ガス貯蔵タンクを説明するための一部断面図であり、図49図48のA-A’線に沿って切断した連結断熱壁の断面図であり、図50図48のB-B’線に沿って切断した2次断熱壁、2次防壁、1次断熱壁を構成する固定断熱壁が積層されてなる単位要素の断面図であり、図51は1次断熱壁を構成する連結断熱壁と固定断熱壁との間の隙間である第1スリットに充填断熱材が充填された状態を示す拡大図である。
【0222】
図48図51に示すように、本発明の第6実施例による液化ガス貯蔵タンク1は、内部で液化ガスと接触する1次防壁2と、1次防壁2の外側に設けられ、連結断熱壁3aと固定断熱壁3bからなる1次断熱壁3と、1次断熱壁3の外側に設けられる2次防壁4と、2次防壁4の外側に配置されて船体7に固定される2次断熱壁5と、を含んで構成されてもよく、上述した第5実施例と比較して、連結断熱壁3aと固定断熱壁3bのそれぞれの側面に形成される段差部ST1、ST2が異なり、他の構成は同一または類似するため、以下では重複する説明を避けるために異なる部分を中心に説明する。
【0223】
本実施例の1次断熱壁3と2次断熱壁5は上述のように同一または類似する厚さを有することができる。
【0224】
1次断熱壁3は連結断熱壁3aと固定断熱壁3bからなってもよく、このとき、連結断熱壁3aは、固定断熱壁3bを含む単位要素を隣り合って配置したとき、隣り合う2次断熱壁5の間にできる空間部分を密封するように隣り合う固定断熱壁3bの間に挿設されてもよい。
【0225】
連結断熱壁3aは、図48及び図49に示すように上部と下部に区分されてもよく、上部の前後左右の幅が下部の前後左右の幅より狭く形成されることにより、連結断熱壁3aの前後左右の側面にポジティブ形状の第1段差部ST1が形成されてもよい。
【0226】
連結断熱壁3aの上部及び下部は連結断熱壁3aの厚さの半分程度の位置を基準として区分されてもよいが、これに限定されず、連結断熱壁3aの厚さと類似する深さで形成される第3スリットSL3の深さに応じて決まってもよいが、これは後述により理解できるであろう。ここで、第3スリットSL3は連結断熱壁3aの長手方向に少なくとも1つ以上形成され、固定断熱壁3bの間に連結断熱壁3aを挿設したとき、長手方向に形成される第2スリットSL2と同一線上に位置することができる。
【0227】
また、連結断熱壁3aは、図48及び図49に示すように底面の角にネガティブ形状のチャンファーCHが形成されてもよい。
【0228】
チャンファーCHは、連結断熱壁3aを隣り合う固定断熱壁3bの間に設置するとき、挿入を容易にする役割を担う。
【0229】
固定断熱壁3bは、図48及び図50に示すように上部と下部に区分されてもよく、上部の前後左右の幅が下部の前後左右の幅より狭く形成されることにより、固定断熱壁3bの前後左右の側面にポジティブ形状の第2段差部ST2が形成されてもよい。
【0230】
固定断熱壁3bの上部及び下部は固定断熱壁3bの厚さの半分程度の位置を基準として区分されてもよいが、これに限定されず、固定断熱壁3bの厚さと類似する深さで形成される第2スリットSL2の深さに応じて決まってもよいが、これは後述により理解できるであろう。
【0231】
上記において、第1段差部ST1と第2段差部ST2は同一または類似する形状であってもよく、隣り合う固定断熱壁3bの間に連結断熱壁3aを挿設したとき、互いが対向して空間が定義され、連結断熱壁3aと固定断熱壁3bとの間に第1充填断熱材GW1が充填される第1スリットSL1を形成するようになる。
【0232】
即ち、第1段差部PS1は連結断熱壁3aを上部と下部に区分したとき、上部の前後左右の幅を下部の前後左右の幅より狭く形成することにより形成され、第2段差部PS2は固定断熱壁3bを上部と下部に区分したとき、上部の前後左右の幅を下部の前後左右の幅より狭く形成することにより形成され、このとき、第1充填断熱材GW1は、連結断熱壁3aの下部と固定断熱壁3bの下部を隣接するように設けることにより連結断熱壁3aの上部と固定断熱壁3bの上部との間に設けられる空間である第1スリットSL1に充填されることができる。第1スリットSL1に充填される第1充填断熱材GW1は、第1スリットSL1の空間に充填された状態で空間を完全に密閉できるように(+)公差を有するように形成されてもよく、これにより、連結断熱壁3a及び固定断熱壁3bが収縮及び膨張しても第1スリットSL1に熱対流経路が生じない。
【0233】
例えば、厚さ10mmの第1充填断熱材GW1を第1スリットSL1に挿入するためには、第1充填断熱材GW1の圧縮状態を考慮して第1スリットSL1の幅が少なくとも6mm程度でなければならないため、本実施例では、連結断熱壁3aの下部の側面と固定断熱壁3bの下部の側面との幅が2mm(一般に連結断熱壁と固定断熱壁との距離)になるように設置し、連結断熱壁3aに設けられる第1段差部ST1の幅が2mmになるように形成し、固定断熱壁3bに設けられる第2段差部ST2の幅が2mmになるように形成することができる。第1スリットSL1を充填する第1充填断熱材GW1の厚さは可変し得るため、本実施例の第1段差部ST1及び第2段差部ST2のそれぞれの幅も可変し得ることは言うまでもない。
【0234】
本実施例では、第1スリットSL1を形成する第1段差部ST1及び第2段差部ST2の深さは、固定断熱壁3bまたは連結断熱壁3aの厚さに対して約半分程度の厚さに対応する深さで形成される第2スリットSL2または第3スリットSL3が形成されない場合は特に限定されないが、第2スリットSL2または第3スリットSL3が形成される場合には熱対流現象を防止するために制限する必要がある。
【0235】
即ち、第5実施例で説明したように、スリットによる熱対流現象を防止するために、第1スリットSL1に充填される第1充填断熱材GW1が第2スリットSL2または第3スリットSL3の深さより少なくとも長く形成される必要があることを考慮すると、本実施例の第1充填断熱材GW1が充填される第1スリットSL1の深さは、第2スリットSL2及び第3スリットSL3の深さよりさらに深く形成されなければならない。
【0236】
例えば、充填断熱材が充填されない第2スリットSL2及び第3スリットSL3の深さが90mmの場合、第1充填断熱材GW1が充填される第1スリットSL1の深さは少なくとも90mm以上の深さ、例えば、105mmの深さで形成されなければならない。
【0237】
図52は本発明の第7実施例による液化ガス貯蔵タンクを説明するための斜視図であり、図53の(a)~(c)は図52の2次断熱壁、2次防壁、1次断熱壁を構成する固定断熱壁が積層された単位要素の平面、側面及び断面を示す図であり、図54の(a)~(c)は図52の1次断熱壁を構成する連結断熱壁の平面、側面及び断面を示す図であり、図55の(a)~(c)は図52の1次断熱壁を構成する他の実施例による連結断熱壁の平面、側面及び断面を示す図であり、図56図52の1次断熱壁を構成するさらに他の実施例による連結断熱壁の背面斜視図であり、図57は1次断熱壁を構成する固定断熱壁と連結断熱壁が交互に連結される部分の断面を示す図であり、図58は1次断熱壁を構成する複数の連結断熱壁が連続して連結される部分の断面を示す図である。
【0238】
上記において、図53の(c)は図53の(a)のA-A’線に沿って切断した連結断熱壁の断面図であり、図54の(c)は図54の(a)のB-B’線に沿って切断した連結断熱壁の断面図であり、図55の(c)は図55の(a)のC-C’線に沿って切断した連結断熱壁の断面図である。
【0239】
図52図58に示すように、本発明の第7実施例による液化ガス貯蔵タンク1は、内部で液化ガスと接触する1次防壁と、1次防壁の外側に設けられ、連結断熱壁3aと固定断熱壁3bからなる1次断熱壁3と、1次断熱壁3の外側に設けられる2次防壁4と、2次防壁4の外側に配置されて船体7に固定される2次断熱壁5と、を含んでも構成されてもよく、上述した第5実施例と比較して、連結断熱壁3aと固定断熱壁3bのそれぞれの側面に形成される段差部PS1、PS2、PS3、PS4及び段差部PS1、PS2、PS3、PS4を断熱パッドIP1、IP2で仕上げる点が異なり、他の構成は同一または類似するため、以下では重複する説明を避けるために異なる部分を中心に説明する。
【0240】
本実施例の1次断熱壁3と2次断熱壁5は上述のように同一または類似する厚さを有することができる。
【0241】
1次断熱壁3は連結断熱壁3aと固定断熱壁3bからなってもよく、このとき、連結断熱壁3aは、固定断熱壁3bを含む単位要素を隣り合って配置したとき、隣り合う2次断熱壁5の間にできる空間部分を密封するように隣り合う固定断熱壁3bの間に挿設されてもよい。以下では、固定断熱壁3bの前後左右の側面は連結断熱壁3aの前後の側面と連結される側面と定義し、連結断熱壁3aの左右の側面は隣り合う他の連結断熱壁3aの左側面または右側面と連結される側面と定義する。
【0242】
固定断熱壁3bは、図52及び図53の(a)~(c)に示すように上部と下部に区分されてもよい。固定断熱壁3bの上部と下部は固定断熱壁3bの厚さの半分程度の位置を基準として区分されてもよいが、これに限定されない。
【0243】
固定断熱壁3bは上部の前後左右の幅が下部の前後左右の幅より狭く形成されることにより、前後左右の側面にポジティブ形状の第1段差部PS1が形成されてもよい。
【0244】
第1段差部PS1は、固定断熱壁3bの前後左右側で後述する連結断熱壁3aに形成される第2段差部PS2、第3段差部PS3または第4段差部PS4の前後の側面と重畳して、図57に示すように第1スリットSL1を形成することができる。固定断熱壁3bの第1段差部PS1上には第1断熱パッドIP1を接着形成してもよく、第1断熱パッドIP1については後述する。
【0245】
連結断熱壁3aは、図52図54の(a)~(c)、図56の(a)~(c)に示すように上部と下部に区分することができる。連結断熱壁3aの上部と下部は連結断熱壁3aの厚さの半分程度の位置を基準に区分してもよいが、これに限定されない。
【0246】
連結断熱壁3aは隣り合う2つの固定断熱壁3bの間にできる直線状の空間部分に挿設されるものであり、図54の(a)~(c)に示すように上部の前後の幅が下部の前後の幅より広く形成され、上部の左右の幅が下部の左右の幅より狭く形成されることにより、前後左右の側面に第2段差部PS2が形成されることができる。
【0247】
第2段差部PS2は、図54の(b)に示すように連結断熱壁3aの左右の側面でポジティブ形状を成し、図54の(c)に示すように連結断熱壁3aの前後の側面でネガティブ形状を成してもよい。
【0248】
連結断熱壁3aの左右の側面でポジティブ形状を成す第2段差部PS2は、隣り合う2つの固定断熱壁3bの間にできる直線状の空間部分に複数の他の連結断熱壁が連続して挿設されると、隣り合って連結される他の連結断熱壁の側面にネガティブ形状に形成される段差部と重畳して、図58に示すように第4スリットSL4を形成することができる。連結断熱壁3aの左右の側面でポジティブ形状を成す第2段差部PS2上には第2断熱パッドIP2が形成されてもよいが、第2断熱パッドIP2については後述する。ここで、他の連結断熱壁は、図55の(b)に示すように一側面にネガティブ形状の第3段差部PS3を有する連結断熱壁3aであるか、図56に示すように前後左右の側面の陥没部にネガティブ形状の第4段差部PS4を有する連結断熱壁3aであってもよい。
【0249】
連結断熱壁3aの前後の側面でネガティブ形状を成す第2段差部PS2は、隣り合う2つの固定断熱壁3bの間に挿設されると、固定断熱壁3bの前後左右の側面でポジティブ形状を成す第1段差部PS1と重畳して、図57に示すように第1スリットSL1を形成することができる。
【0250】
また、連結断熱壁3aは隣り合う2つの固定断熱壁3bの間にできる直線状の空間部分に挿設されるものであり、図55の(a)~(c)に示すように上部の前後の幅が下部の前後の幅より広く形成され、上部の左右の幅が下部の左右の幅と同一に形成されるが、左右の側面でずれるように形成されて前後左右の側面に第3段差部PS3が形成されることができる。
【0251】
第3段差部PS3は、図55の(b)に示すように連結断熱壁3aの左右の側面のうち、一側面がネガティブ形状を、他側面がポジティブ形状を成しており、図54の(c)に示すように連結断熱壁3aの前後の側面でネガティブ形状を成すことができる。
【0252】
連結断熱壁3aの左右の側面のうちネガティブ形状をなす第3段差部PS3は、隣り合う2つの固定断熱壁3bの間にできる直線状の空間部分に複数の他の連結断熱壁が連続して挿設されると、隣り合って連結される他の連結断熱壁の側面にポジティブ形状に形成される段差部と重畳して、図58に示すように第4スリットSL4を形成することができる。ここで、他の連結断熱壁は、図54の(b)に示すように左右の側面にポジティブ形状の第2段差部PS2を有する連結断熱壁3aであるか、図55の(b)に示すように他側面にポジティブ形状の第3段差部PS3を有する連結断熱壁3aであってもよい。
【0253】
連結断熱壁3aの左右の側面のうちポジティブ形状を成す第3段差部PS3は、隣り合う2つの固定断熱壁3bの間にできる直線状の空間部分に複数の他の連結断熱壁が連続して挿設されると、隣り合って連結される他の連結断熱壁の側面にネガティブ形状に形成される段差部と重畳して、図58に示すように第4スリットSL4を形成することができる。連結断熱壁3aの左右の側面のうちポジティブ形状を成す第3段差部PS3上には第2断熱パッドIP2が形成されてもよいが、第2断熱パッドIP2については後述する。ここで、他の連結断熱壁は、図55の(b)に示すように一側面にネガティブ形状の第3段差部PS3を有する連結断熱壁3aであるか、図56に示すように前後左右の側面の陥没部にネガティブ形状の第4段差部PS4を有する連結断熱壁3aであってもよい。
【0254】
また、連結断熱壁3aは隣り合う4つの固定断熱壁3bの間に生じる交差形状の空間部分に挿設されるものであり、図56に示すように上部の前後左右の幅が下部の前後左右の幅より広く形成されることにより、前後左右の側面に第4段差部PS4が形成されてもよい。
【0255】
第4段差部PS4は連結断熱壁3aの前後左右の側面の突出部及び前後左右の側面の陥没部においてネガティブ形状を成すことができる。
【0256】
連結断熱壁3aの前後左右の側面の突出部においてネガティブ形状を成す第4段差部PS4は、隣り合う4つの固定断熱壁3bの間にできる交差形状の空間部分に挿設されると、隣り合う2つの固定断熱壁3bの間にできる直線状の空間部分に設けられた他の連結断熱壁の側面にポジティブ形状に形成される段差部と重畳して、図58に示すように第4スリットSL4を形成することができる。ここで、他の連結断熱壁は、図54の(b)に示すように左右の側面にポジティブ形状の第2段差部PS2を有する連結断熱壁3aであるか、図55の(b)に示すように他側面にポジティブ形状の第3段差部PS3を有する連結断熱壁3aであってもよい。
【0257】
連結断熱壁3aの前後左右の側面の陥没部においてネガティブ形状を成す第4段差部PS4は、隣り合う4つの固定断熱壁3bの間にできる交差形状の空間部分に挿設されると、隣り合う4つの固定断熱壁3bのそれぞれの前後左右の側面においてポジティブ形状を成す第1段差部PS1と重畳して、図57に示すように第1スリットSL1を形成することができる。
【0258】
上記した本実施例の第1スリットSL1は、図57に示すように、隣り合う固定断熱壁3bの間に連結断熱壁3aを挿設すると、固定断熱壁3bの側面に形成される第1ポジティブ段差部上に連結断熱壁3aの側面に形成される第1ネガティブ段差部が重畳して固定断熱壁3bと連結断熱壁3aとの間に形成される空間であって、屈曲した形状を有する。ここで、固定断熱壁3bの側面に形成される第1ポジティブ段差部は、固定断熱壁3bの前後左右の側面に形成されるポジティブ形状の第1段差部PS1であってもよく、連結断熱壁3aの側面に形成される第1ネガティブ段差部は連結断熱壁3aの前後の側面に形成される第2段差部PS2、第3段差部PS3であるか、連結断熱壁3aの前後左右の側面の陥没部に形成される第4段差部PS4であってもよい。
【0259】
屈曲した形状の第1スリットSL1は直線状のスリットに比べて熱対流現象は減少するものの、第1スリットSL1の空間によって熱対流現象が発生し得る。
【0260】
そのため、本実施例では、熱対流現象を防止できるように、固定断熱壁3bの前後左右の側面にポジティブ形状に形成される第1段差部PS1上に第1断熱パッドIP1を接着形成する。
【0261】
第1断熱パッドIP1は、固定断熱壁3bの連結断熱壁3aと対向する側面に形成される第1ポジティブ段差部に接着形成されてもよく、連結断熱壁3aが隣り合う固定断熱壁3bの間に設けられるとき、連結断熱壁3aに接着されていない状態で連結断熱壁3aの固定断熱壁3bと対向する側面に形成される第1ネガティブ段差部によって圧着されて第1スリットSL1の空間部分を遮断することができる。
【0262】
第1断熱パッドIP1はガラスウールなどの断熱材質で形成されてもよいが、これに限定されない。
【0263】
また、本実施例の第4スリットSL4は、図58に示すように、複数の連結断熱壁3aが連続して設けられるとき、隣り合う連結断熱壁3aのうち何れか1つの連結断熱壁3aの側面に形成される第2ポジティブ段差部上に他の1つの連結断熱壁3aの側面に形成される第2ネガティブ段差部が重畳して隣り合う連結断熱壁3aの間に形成される空間であって、屈曲した形状を有する。ここで、何れか1つの連結断熱壁3aの側面に形成される第2ポジティブ段差部は、連結断熱壁3aの左右の側面の少なくとも何れか1つの側面に形成される第2段差部PS2、第3段差部PS3であってもよく、他の1つの連結断熱壁3aの側面に形成される第2ネガティブ段差部は連結断熱壁3aの左右の側面の少なくとも何れか1つの側面に形成される第3段差部PS3であるか、連結断熱壁3aの前後左右の側面の突出部に形成される第4段差部PS4であってもよい。
【0264】
屈曲した形状の第4スリットSL4は直線状のスリットに比べて熱対流現象は減少するものの、第4スリットSL4の空間によって熱対流現象が発生し得る。
【0265】
そこで、本実施例では、熱対流現象を防止できるように、隣り合う連結断熱壁3aの左右の側面に形成される第2ポジティブ段差部または第2ネガティブ段差部のうち第2ポジティブ段差部上に第2断熱パッドIP2を接着形成する。
【0266】
第2断熱パッドIP2は、隣り合う連結断熱壁3aのうち何れか1つの連結断熱壁3aの側面に形成される第2ポジティブ段差部上に接着形成されてもよく、隣り合う連結断熱壁3aが隣り合う固定断熱壁3bの間に連続して設けられるとき、隣り合う連結断熱壁3aのうち他の1つの連結断熱壁3aの側面に形成される第2ネガティブ段差部によって圧着されて第4スリットSL4の空間部分を遮断することができる。
【0267】
第2断熱パッドIP2はガラスウールなどの断熱材質で形成されてもよいが、これに限定されない。
【0268】
上記の本実施例において、第1、2、3、4段差部PS1、PS2、PS3、PS4のそれぞれの幅は同一または類似することができ、例えば、30mmであってもよいが、これに限定されない。
【0269】
また、第1、4スリットSL1、SL4のそれぞれの幅は同一または類似することができ、例えば、連結断熱壁3aの上部の側面と固定断熱壁3bの上部の側面との間の幅が2mmであり、連結断熱壁3aの下部の側面と固定断熱壁3bの下部の側面との間の幅が2mmであってもよいが、これに限定されない。
【0270】
また、第1、2断熱パッドIP1、IP2のそれぞれの厚さと幅は同一または類似することができ、例えば、厚さが10mmであり、幅が30mmであってもよいが、これに限定されない。
【0271】
このように、本実施例では、連結断熱壁3aを包含する1次断熱壁3と2次断熱壁5の全厚において1次断熱壁3、3aの厚さを2次断熱壁5と同一または類似するように構成することにより、2次断熱壁5の機械的強度を一定水準に保持できるだけでなく、2次防壁4の低温負担及びスロッシング負担を減らせるため、2次防壁4の損傷を防ぐことができる。
【0272】
また、本実施例は、単位要素を構成する隣り合う1次断熱壁3の間の空間に設けられる連結断熱壁3aの下面に補助断熱板33を設けることにより、単位要素を構成する隣り合う2次断熱壁5の連結部分における断熱性能をさらに向上させることができる。
【0273】
また、本実施例は2次防壁4の構成を改善して断熱性能を向上させることができる。
【0274】
また、本実施例は、2次断熱壁5と船体7との間に2次断熱壁5のレベリング部材8として非接着弾性断熱材を適用することにより、従来のマスティックとレベリングウェッジを使用しなくても船体7の変形部位の水平を合わせることができ、タンクの断熱性能を向上させることができる。
【0275】
また、本実施例は、2次断熱壁5の単位パネルの側面下部に外部に突出して設けられる突出部91と、船体7に固定されるスタッドボルト92によるクリート(cleat)構造方式で隣接する2次断熱壁5の単位パネルを固定することにより、2次断熱壁5に孔を開けてスタッドボルトで単位パネルを固定する方式より工数を低減することができる。
【0276】
また、本実施例は、2次防壁4上に形成される1次断熱壁3の収縮及び膨張に備えるために設けられるスリットを最適化し、スリットにより発生する対流現象及び2次防壁4への熱浸透を最小化することができるように、スリット構造を改善し、スリットを充填する充填断熱材を多様に構成することにより、スリットの形成による1次断熱壁3の安定性を向上させることができるとともに、2次防壁4の低温負担を減らせるため、1次断熱壁3及び2次防壁4の損傷を防止することができる。
【0277】
本発明は上記で説明した実施例に限定されず、上記実施例の組み合わせまたは上記実施例の少なくとも何れか1つと公知技術との組み合わせをさらに他の実施例として含むことができる。例えば、図28図29の実施例を図4図27の実施例と組み合わせることができる。また、図30図31の実施例を図1及び図2の断熱システムまたは図28及び図29の断熱システムと組み合わせることができる。さらに、図32図58の実施例を図1図31の実施例と組み合わせることができる。
【0278】
以上、本発明を具体的な実施例を通じて詳細に説明したが、これは本発明を具体的に説明するためのものであり、本発明はこれに限定されず、本発明の技術的な思想内で当該分野の通常の知識を有する者によりその変形や改良が可能であることは明らかである。
【0279】
本発明の単純な変形ないし変更はすべて本発明の範囲に属し、本発明の具体的な保護範囲は添付の特許請求の範囲によって明らかになる。
【符号の説明】
【0280】
1、1’ 液化ガス貯蔵タンク
2 1次防壁
21 平面部
22 曲面部
23 境界部
3 1次断熱壁
3b 固定断熱壁
31 1次プライウッド
32 1次断熱材
3a 連結断熱壁
31a 連結プライウッド
32a 連結断熱材
33 補助断熱板
4 2次防壁
41 メイン防壁
42 補助防壁
GAC ガラス-アラミドクロス
AF アルミニウムホイル
GC ガラスクロス
BC バザルトクロス
5 2次断熱壁
51 2次断熱材
52 2次プライウッド
6 マスティック
7 船体
8 レベリング部材
9 固定部材
91 突出部
92 スタッドボルト
10 接着部材
SL1、SL1’ 第1スリット
SL2、SL2’ 第2スリット
SL3 第3スリット
SL4 第4スリット
GW1 第1充填断熱材
GW1-1 第1上部充填断熱材
GW1-2 第1中間充填断熱材
GW1-3 第1下部充填断熱材
GW2 第2充填断熱材
GW2-1 第2上部充填断熱材
GW2-2 第2中間充填断熱材
GW2-3 第2下部充填断熱材
CP1 第1対流経路
CP1’ 対流遮断経路
CP2 第2対流経路
CP3 第3対流経路
CP4 第4対流経路
CP5 第5対流経路
CP6 第6対流経路
TL 温度センサ
ST1 第1段差部
ST2 第2段差部
CH チャンファー
IP1 第1断熱パッド
IP2 第2断熱パッド
PS1 第1段差部
PS2 第2段差部
PS3 第3段差部
PS4 第4段差部
図1
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図32
図33
図34
図35
図36
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図39
図40
図41
図42
図43
図44
図45
図46
図47
図48
図49
図50
図51
図52
図53
図54
図55
図56
図57
図58