(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-10
(45)【発行日】2025-01-21
(54)【発明の名称】管腔内デバイスシステム、管腔内デバイスシステムの作動方法および管腔内デバイスを制御するプログラムを記憶するコンピュータプログラム記憶媒体
(51)【国際特許分類】
A61B 1/045 20060101AFI20250114BHJP
A61B 1/005 20060101ALI20250114BHJP
【FI】
A61B1/045 641
A61B1/005 523
(21)【出願番号】P 2023561465
(86)(22)【出願日】2022-10-17
(86)【国際出願番号】 JP2022038580
(87)【国際公開番号】W WO2023090021
(87)【国際公開日】2023-05-25
【審査請求日】2024-02-01
(32)【優先日】2021-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-02-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】304050923
【氏名又は名称】オリンパスメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100207789
【氏名又は名称】石田 良平
(72)【発明者】
【氏名】柳川 涼太
(72)【発明者】
【氏名】岸 宏亮
【審査官】渡▲辺▼ 純也
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-170853(JP,A)
【文献】特開2019-000351(JP,A)
【文献】国際公開第2019/107226(WO,A1)
【文献】特開2012-020028(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00 ~ 1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
管腔に挿入される管腔内デバイスと、
オブジェクトの接触を検知する接触検知デバイスと、
ハードウェアを有する1つ以上のプロセッサと、を備えた管腔内デバイスシステムであって、
前記1つ以上のプロセッサは、
前記接触検知デバイスに接触する前記オブジェクトの動きにもとづいて、第1操作を検出し、
前記第1操作にもとづいて、前記管腔内デバイスの少なくとも一部の形状を変化させる形状制御を実施し、
前記第1操作の検出を開始してから前記接触検知デバイスに接触し続ける間の前記オブジェクトの動きにもとづいて、第2操作を検出し、
前記第2操作にもとづいて、前記管腔内デバイスの少なくとも一部の変化した形状を維持する第1制御を実施する、
ことを特徴とする管腔内デバイスシステム。
【請求項2】
前記1つ以上のプロセッサは、
前記第1操作の検出を開始してから、前記第2操作を検出することなく、前記第1操作が終了した場合に、前記第1制御とは異なる第2制御を実施する、
ことを特徴とする請求項1に記載の管腔内デバイスシステム。
【請求項3】
前記1つ以上のプロセッサは、
前記第1操作の終了時または前記第2操作の検出時における前記管腔内デバイスの少なくとも一部の変化した形状を維持する前記第1制御を実施する、
ことを特徴とする請求項1に記載の管腔内デバイスシステム。
【請求項4】
前記管腔内デバイスは、形状を変化可能な湾曲部と、前記湾曲部の基端に接続される軟性部を有し、
前記1つ以上のプロセッサは、
前記湾曲部が湾曲した形状を維持する前記第1制御を実施する、
ことを特徴とする請求項1に記載の管腔内デバイスシステム。
【請求項5】
前記管腔内デバイスは、形状を変化可能な湾曲部と、前記湾曲部の基端に接続される軟性部を有し、
前記1つ以上のプロセッサは、
前記湾曲部が外力に応じてその形状を変化させられるようにする前記第2制御を実施する、
ことを特徴とする請求項2に記載の管腔内デバイスシステム。
【請求項6】
前記管腔内デバイスは、形状を変化可能な湾曲部と、前記湾曲部の基端に接続される軟性部を有し、
前記1つ以上のプロセッサは、
前記湾曲部を直線形状に戻す前記第2制御を実施する、
ことを特徴とする請求項2に記載の管腔内デバイスシステム。
【請求項7】
前記湾曲部に作用する外力を検出する外力センサをさらに備え、
前記1つ以上のプロセッサは、
前記外力センサが外力を検出すると、前記外力を検出した時点の前記湾曲部の形状を維持するように前記第2制御を実施する、
ことを特徴とする請求項6に記載の管腔内デバイスシステム。
【請求項8】
前記管腔内デバイスに作用する外力を検出する外力センサをさらに備え、
前記1つ以上のプロセッサは、
前記外力センサが検出した外力の大きさと方向に応じて、前記管腔内デバイスの少なくとも一部の形状を制御する前記第2制御を実施する、
ことを特徴とする請求項2に記載の管腔内デバイスシステム。
【請求項9】
前記1つ以上のプロセッサは、
前記第1操作を、前記オブジェクトをスライドする動きにもとづいて検出し、
前記第2操作を、前記オブジェクトを押し込む動き、または前記オブジェクトを所定時間以上静止する動きにもとづいて検出する、
ことを特徴とする請求項2に記載の管腔内デバイスシステム。
【請求項10】
前記1つ以上のプロセッサは、
前記オブジェクトの接触点の移動距離と移動方向を検出し、
前記移動距離と前記移動方向の少なくとも一方にもとづいて、前記管腔内デバイスの少なくとも一部の形状を変化させる前記形状制御を実施する、
ことを特徴とする請求項9に記載の管腔内デバイスシステム。
【請求項11】
前記接触検知デバイスは、前記オブジェクトの押圧力を検出する圧力センサを備え、
前記1つ以上のプロセッサは、
前記圧力センサが検出した押圧力にもとづいて、前記第2操作を検出する、
ことを特徴とする請求項2に記載の管腔内デバイスシステム。
【請求項12】
前記1つ以上のプロセッサは、
前記オブジェクトの接触点の面積または接触点の移動速度にもとづいて、前記第2操作を検出する、
ことを特徴とする請求項10に記載の管腔内デバイスシステム。
【請求項13】
管腔に挿入される管腔内デバイスと、オブジェクトの接触を検知する接触検知デバイスとを備える管腔内デバイスシステムにおいて、前記管腔内デバイス
システムの作動方法であって、
前記接触検知デバイスは、前記接触検知デバイスに接触する前記オブジェクトの動きにもとづいて、第1操作を検出し、
前記管腔内デバイスは、前記第1操作にもとづ
く形状制御に従って、少なくとも一部の形状を変化さ
せ、
前記接触検知デバイスは、前記第1操作の検出を開始してから前記接触検知デバイスに接触し続ける間の前記オブジェクトの動きにもとづいて、第2操作を検出し、
前記管腔内デバイスは、前記第2操作にもとづ
く第1制御に従って、少なくとも一部の変化した形状を維持す
る、
管腔内デバイス
システムの作動方法。
【請求項14】
前記第1操作の検出を開始してから、前記第2操作を検出することなく、前記第1操作が終了した場合に、
前記管腔内デバイスは前記第1制御とは異なる第2制御
に従って動作する、
請求項13に記載の管腔内デバイス
システムの作動方法。
【請求項15】
前記管腔内デバイスは、前記第1制御に従って、前記第1操作の終了時または前記第2操作の検出時における前記管腔内デバイスの少なくとも一部の変化した形状を維持す
る、
請求項13に記載の管腔内デバイス
システムの作動方法。
【請求項16】
前記管腔内デバイスは、形状を変化可能な湾曲部と、前記湾曲部の基端に接続される軟性部を有し、
前記管腔内デバイスは、前記第1制御に従って、前記湾曲部が湾曲した形状を維持す
る、
請求項13に記載の管腔内デバイス
システムの作動方法。
【請求項17】
管腔に挿入される管腔内デバイスを制御するプログラムを記憶するコンピュータプログラム記憶媒体であって、コンピュータに、
接触検知デバイスに接触するオブジェクトの動きにもとづいて、第1操作を検出する機能と、
前記第1操作にもとづいて、前記管腔内デバイスの少なくとも一部の形状を変化させる形状制御を実施する機能と、
前記第1操作の検出を開始してから前記接触検知デバイスに接触し続ける間の前記オブジェクトの動きにもとづいて、第2操作を検出する機能と、
前記第2操作にもとづいて、前記管腔内デバイスの少なくとも一部の変化した形状を維持する第1制御を実施する機能と、を実現させるためのプログラムを記憶するコンピュータプログラム記憶媒体。
【請求項18】
前記コンピュータに、
前記第1操作の検出を開始してから、前記第2操作を検出することなく、前記第1操作が終了した場合に、前記第1制御とは異なる第2制御を実施する機能を実現させる、プログラムを記憶する請求項17に記載のコンピュータプログラム記憶媒体。
【請求項19】
前記コンピュータに、
前記第1操作の終了時または前記第2操作の検出時における前記管腔内デバイスの少なくとも一部の変化した形状を維持する前記第1制御を実施する機能を実現させる、プログラムを記憶する請求項17に記載のコンピュータプログラム記憶媒体。
【請求項20】
前記管腔内デバイスは、形状を変化可能な湾曲部と、前記湾曲部の基端に接続される軟性部を有し、
前記コンピュータに、
前記湾曲部が湾曲した形状を維持する前記第1制御を実施する機能を実現させる、プログラムを記憶する請求項17に記載のコンピュータプログラム記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、内視鏡などの管腔内(endoluminal)デバイスの動作を制御する技術に関する。本願は、2021年11月22日に、アメリカ合衆国に仮出願された米国特許仮出願第63/281,796号および2022年02月16日に、アメリカ合衆国に仮出願された米国特許仮出願第63/310,756号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
内視鏡検査では、可撓性を有する細長い挿入部が、患者の体内に挿入される。可撓性挿入部の先端部分には、上下左右に湾曲可能な湾曲部が設けられ、湾曲部は、医師による内視鏡操作部の操作に応じて、その形状を自在に湾曲させることができる。検査中、医師は内視鏡操作部のアングルノブを操作して、湾曲部の先端を所望の方向に向けた後、内視鏡操作部のアングル固定レバーをロック操作して、湾曲部を湾曲させた状態で固定し、病変を撮像部により撮影する。病変の撮影が終了して、医師がアングル固定レバーをロック解除操作すると、湾曲部は、弾性力により湾曲形状から徐々に元の直線形状に復帰する。
【0003】
近年、病変の観察や処置を効率的に実施する目的で、内視鏡の湾曲部をアクチュエータにより湾曲動作させる電動内視鏡が開発されている。特許文献1は、タッチパネルを手指で撫でる操作により、湾曲部を撫でた方向に湾曲させる技術を開示する。特許文献1は、タッチパネルを手指でタップ操作すると、タップ位置が画像表示領域の中央になるように湾曲部を湾曲させて、湾曲部の形状を固定する(アングルロックする)ことも開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
医師が内視鏡操作部のアングルノブおよびアングル固定レバーを操作して、湾曲部を湾曲動作させることと比べると、医師が湾曲部の湾曲動作をタッチパネルの操作で制御できるようになることは、検査中の医師の疲労を大きく軽減することが期待される。そこでタッチパネルなどの接触検知デバイスを利用して、ユーザが、内視鏡などの管腔内デバイスの動作を簡易に制御できる技術の開発が望まれている。
【0006】
本開示は、前述した事情に鑑みてなされたものであり、ユーザが管腔内デバイスの動作を簡易に制御できる技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の管腔内デバイスシステムは、管腔に挿入される管腔内デバイスと、オブジェクトの接触を検知する接触検知デバイスと、ハードウェアを有する1つ以上のプロセッサとを備える。1つ以上のプロセッサは、接触検知デバイスに接触するオブジェクトの動きにもとづいて、第1操作を検出し、第1操作にもとづいて、管腔内デバイスの少なくとも一部の形状を変化させる形状制御を実施し、第1操作の検出を開始してから接触検知デバイスに接触し続ける間のオブジェクトの動きにもとづいて、第2操作を検出し、第2操作にもとづいて、管腔内デバイスの少なくとも一部の変化した形状を維持する第1制御を実施する。
【0008】
本発明の別の態様は、管腔に挿入される管腔内デバイスと、オブジェクトの接触を検知する接触検知デバイスとを備える管腔内デバイスシステムにおいて、管腔内デバイスを制御する方法に関する。この制御方法は、接触検知デバイスに接触するオブジェクトの動きにもとづいて、第1操作を検出し、第1操作にもとづいて、管腔内デバイスの少なくとも一部の形状を変化させる形状制御を実施し、第1操作の検出を開始してから接触検知デバイスに接触し続ける間のオブジェクトの動きにもとづいて、第2操作を検出し、第2操作にもとづいて、管腔内デバイスの少なくとも一部の変化した形状を維持する第1制御を実施する。
【0009】
本発明のさらに別の態様は、管腔に挿入される管腔内デバイスを制御するプログラムを記憶するコンピュータプログラム記憶媒体に関する。当該記憶媒体は、コンピュータに、接触検知デバイスに接触するオブジェクトの動きにもとづいて、第1操作を検出する機能と、第1操作にもとづいて、管腔内デバイスの少なくとも一部の形状を変化させる形状制御を実施する機能と、第1操作の検出を開始してから接触検知デバイスに接触し続ける間のオブジェクトの動きにもとづいて、第2操作を検出する機能と、第2操作にもとづいて、管腔内デバイスの少なくとも一部の変化した形状を維持する第1制御を実施する機能と、を実現させるためのプログラムを記憶する。
【0010】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせ、本開示の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本開示の態様として有効である。
【発明の効果】
【0011】
本発明の管腔内デバイスシステム、管腔内デバイス制御方法および管腔内デバイスを制御するプログラムを記憶するコンピュータプログラム記憶媒体は、ユーザが管腔内デバイスの動作を簡易に制御できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施形態の管腔内デバイスシステムの構成を示す図である。
【
図7】ユーザの手指が入力面上を移動する様子を示す図である。
【
図8】(a)~(c)は、湾曲部の形状が変化する様子を説明するための図である。
【
図9】実施例1における手指の動きと駆動制御部が実施する制御との関係を示す図である。
【
図10】湾曲部の動作を制御するフローチャートを示す図である。
【
図11】実施例2における手指の動きと駆動制御部が実施する制御との関係を示す図である。
【
図12】実施例3における手指の動きと駆動制御部が実施する制御との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、実施形態の管腔内デバイスシステム1の構成を示す。管腔内デバイスシステム1は、病院などの医療施設に設けられる医療システムであって、管腔内デバイス2、表示装置3、制御装置10、駆動装置12および接触検知デバイス14を備える。管腔内デバイス2は患者の管腔内に挿入されて、病変を観察および/または処置する医療機器である。実施形態の管腔内デバイス2は内視鏡であり、管腔内デバイスシステム1は内視鏡検査室に設けられてよい。
【0014】
管腔内デバイス2は、挿入部18と、体外軟性部26と、挿入部18と体外軟性部26とを連結する連結部30と、駆動装置12に接続する接続部28aと、制御装置10に接続する接続部28bとを備える。挿入部18は、患者の管腔内に挿入可能な細長い長尺部材であり、先端部20と、形状を変化可能な湾曲部22と、湾曲部22の基端に接続される体内軟性部24とを有する。体内軟性部24および体外軟性部26は、曲がりやすく軟らかい部材であり、外力を受けて変形可能である。連結部30は、体内軟性部24と体外軟性部26とを、長手方向に延びる回転軸を中心に回転可能に連結する。そのため医師であるユーザが体内軟性部24を回転させても、体外軟性部26は回転しない。管腔内デバイス2は、接続部28aで駆動装置12に接続され、接続部28bで制御装置10に接続される。
【0015】
先端部20は、処置具を進退させるための開口部と、ライトガイドにより伝送される照明光を管腔内へ出射するための照明窓と、管腔内を所定の周期で撮影して撮像信号を制御装置10に出力する撮像部とを備える。撮像部は、入射光を電気信号に変換する固体撮像素子(たとえばCCDイメージセンサまたはCMOSイメージセンサ)を含む。なお管腔内デバイス2が内視鏡以外のデバイスである場合、先端部20には、様々な種類のエンドエフェクタが搭載されてよい。
【0016】
図2は、湾曲部22の断面内部構成を示す。湾曲部22は、先端側の第1湾曲部113と、基端側の第2湾曲部114と、湾曲部22の内部構造を保護するアウターシース118(
図3参照)とを有する。第1湾曲部113および第2湾曲部114は、それぞれ異なる方向に湾曲可能である。実施形態では、管腔内デバイス2の長手方向Aにおける相対的な位置関係を表現するために、先端部20に近い側を「先端側(A1)」と呼び、接続部28に近い側を「基端側(A2)」と呼ぶこともある。
【0017】
第1湾曲部113は、複数の節輪(「湾曲駒」ともいう)115と、先頭の節輪115に連結された第1先端部116とを有する。複数の節輪115および第1先端部116は、アウターシース118の内部において長手方向Aに連結されている。第1湾曲部113が有する節輪115の形状および数は、
図2に示す節輪115の形状および数に限定されない。
【0018】
図3は、
図2に示す領域Rにおける節輪115の拡大図を示す。節輪115は、金属で形成された短筒状の部材であり、先端側の第1節輪115aと、基端側の第2節輪115bとを有する。第1節輪115aと第2節輪115bとは、第1回動ピン115pによって、長手方向Aに対して垂直な上下方向(「UD方向」ともいう)に回動可能に連結されている。
【0019】
複数の節輪115は、隣り合う節輪115の内部空間が連続するように連結されている。隣り合う節輪115において、先端側の節輪115における第2節輪115bと、基端側の節輪115における第1節輪115aとが、第2回動ピン115qによって、長手方向Aおよび上下方向(UD方向)に対して垂直な左右方向(「LR方向」ともいう)に回動可能に連結されている。第1節輪115aと第2節輪115bとが第1回動ピン115pと第2回動ピン115qによって交互に連結されており、第1湾曲部113は所望の方向に湾曲自在である。
【0020】
図4は、
図2および
図3のC1-C1線に沿う湾曲部22の断面図を示す。第2節輪115bの内周面には、上ワイヤガイド115uと、下ワイヤガイド115dとが形成されている。上ワイヤガイド115uと下ワイヤガイド115dとは、長手方向Aの中心軸Oを挟んで上下方向(UD方向)の両側に配置されている。第1節輪115aの内周面には、左ワイヤガイド115lと、右ワイヤガイド115rとが形成されている。左ワイヤガイド115lと右ワイヤガイド115rとは、長手方向Aの中心軸Oを挟んで左右方向(LR方向)の両側に配置されている。上ワイヤガイド115uと、下ワイヤガイド115dと、左ワイヤガイド115lと、右ワイヤガイド115rには、湾曲ワイヤ160が挿通される貫通孔が長手方向Aに沿って形成されている。
【0021】
第2湾曲部114は、複数の節輪115と、先頭の節輪115に連結された第2先端部117とを有する。複数の節輪115および第2先端部117は、アウターシース118の内部において長手方向Aに連結されている。第2先端部117は、第1湾曲部113の基端の節輪115に連結され、第2湾曲部114の基端の節輪115は、体内軟性部24の先端に取り付けられている。第2湾曲部114が有する節輪115の形状および数は、
図2に示す節輪115の形状および数に限定されない。
【0022】
実施形態の湾曲部22において、第1湾曲部113の長手方向Aの長さは、第2湾曲部114の長手方向Aの長さより短くてよい。同じ湾曲角度でも、湾曲長の長さが短いほど先端精度は高い。そこで第1湾曲部113の長手方向Aの長さを、既存の一般的な内視鏡の湾曲部の長手方向長さよりも短くすることで、先端部20をより精確に動かすことができる。第1湾曲部113の長手方向Aの長さと第2湾曲部114の長手方向Aの長さの比は、例えば2:3~1:4の範囲内であってよい。
【0023】
湾曲ワイヤ160は、湾曲部22を曲げるワイヤであり、第1湾曲部113を曲げる第1湾曲ワイヤ161と、第2湾曲部114を曲げる第2湾曲ワイヤ162とを有する。第1湾曲ワイヤ161および第2湾曲ワイヤ162は、内部経路101を通って接続部28aまで延びている。
【0024】
第1湾曲ワイヤ161は、
図2および
図5に示すように、第1上湾曲ワイヤ161u、第1下湾曲ワイヤ161d、第1左湾曲ワイヤ161lおよび第1右湾曲ワイヤ161rを有する。第1上湾曲ワイヤ161u、第1下湾曲ワイヤ161d、第1左湾曲ワイヤ161lおよび第1右湾曲ワイヤ161rは、それぞれ第1ワイヤシース161sに挿通されている。第1ワイヤシース161sの先端は、第2先端部117に取り付けられている。第1ワイヤシース161sは、接続部28aまで延びている。
【0025】
第1上湾曲ワイヤ161uおよび第1下湾曲ワイヤ161dは、第1湾曲部113を上下方向(UD方向)に曲げるワイヤである。
図4に示すように、第1上湾曲ワイヤ161uは、上ワイヤガイド115uに挿通され、第1下湾曲ワイヤ161dは、下ワイヤガイド115dに挿通されている。第1上湾曲ワイヤ161uと第1下湾曲ワイヤ161dの先端は、
図2に示すように、第1先端部116に固定される。第1先端部116に固定された第1上湾曲ワイヤ161uと第1下湾曲ワイヤ161dの先端は、長手方向Aの中心軸Oを挟んで上下方向(UD方向)の両側に配置される。
【0026】
第1左湾曲ワイヤ161lおよび第1右湾曲ワイヤ161rは、第1湾曲部113を左右方向(LR方向)に曲げるワイヤである。
図4に示すように、第1左湾曲ワイヤ161lは、左ワイヤガイド115lに挿通され、第1右湾曲ワイヤ161rは、右ワイヤガイド115rに挿通されている。第1左湾曲ワイヤ161lと第1右湾曲ワイヤ161rの先端は、
図2に示すように、第1先端部116に固定される。第1先端部116に固定された第1左湾曲ワイヤ161lと第1右湾曲ワイヤ161rの先端は、長手方向Aの中心軸Oを挟んで左右方向(LR方向)の両側に配置される。
【0027】
第1湾曲部113は、第1湾曲ワイヤ161(第1上湾曲ワイヤ161u,第1下湾曲ワイヤ161d,第1左湾曲ワイヤ161l,第1右湾曲ワイヤ161r)をそれぞれ牽引または弛緩することによって、所望の方向に湾曲自在である。
【0028】
図5は、
図2のC2-C2線に沿う第2湾曲部114の断面図を示す。第2湾曲ワイヤ162は、
図2および
図5に示すように、第2上湾曲ワイヤ162u、第2下湾曲ワイヤ162d、第2左湾曲ワイヤ162lおよび第2右湾曲ワイヤ162rを有する。第2上湾曲ワイヤ162u、第2下湾曲ワイヤ162d、第2左湾曲ワイヤ162lおよび第2右湾曲ワイヤ162rは、
図2に示すように、それぞれ第2ワイヤシース162sに挿通されている。第2ワイヤシース162sの先端は、第2湾曲部114の基端の節輪115に取り付けられている。第2ワイヤシース162sは、接続部28aまで延びている。
【0029】
第2上湾曲ワイヤ162uおよび第2下湾曲ワイヤ162dは、第2湾曲部114を上下方向(UD方向)に曲げるワイヤである。
図5に示すように、第2上湾曲ワイヤ162uが、上ワイヤガイド115uに挿通され、第2下湾曲ワイヤ162dが、下ワイヤガイド115dに挿通されている。第2上湾曲ワイヤ162uと第2下湾曲ワイヤ162dの先端は、
図2に示すように、第2先端部117に固定される。第2先端部117に固定された第2上湾曲ワイヤ162uと第2下湾曲ワイヤ162dの先端は、長手方向Aの中心軸Oを挟んで上下方向(UD方向)の両側に配置される。
【0030】
第2左湾曲ワイヤ162lおよび第2右湾曲ワイヤ162rは、第2湾曲部114を左右方向(LR方向)に曲げるワイヤである。
図5に示すように、第2左湾曲ワイヤ162lが、左ワイヤガイド115lに挿通され、第2右湾曲ワイヤ162rが、右ワイヤガイド115rに挿通されている。第2左湾曲ワイヤ162lと第2右湾曲ワイヤ162rの先端は、
図2に示すように、第2先端部117に固定される。第2先端部117に固定された第2左湾曲ワイヤ162lと第2右湾曲ワイヤ162rの先端は、長手方向Aの中心軸Oを挟んで左右方向(LR方向)の両側に配置される。
【0031】
第2湾曲部114は、第2湾曲ワイヤ162(第2上湾曲ワイヤ162u,第2下湾曲ワイヤ162d,第2左湾曲ワイヤ162l,第2右湾曲ワイヤ162r)をそれぞれ牽引または弛緩することによって、所望の方向に湾曲自在である。
【0032】
図4および
図5に示すように、湾曲部22の内部に形成された内部経路101には、湾曲ワイヤ160と、チャンネルチューブ171と、撮像ケーブル173と、ライトガイド174とが挿通されている。
【0033】
図1に戻って、撮像ケーブル173およびライトガイド174は、接続部28bを介して、制御装置10に接続されてよい。また湾曲ワイヤ160およびチャンネルチューブ171は、接続部28aを介して、駆動装置12に接続されてよい。
【0034】
実施形態において、接続部28aは、第1上下湾曲ワイヤ接続部と、第1左右湾曲ワイヤ接続部と、第2上下湾曲ワイヤ接続部と、第2左右湾曲ワイヤ接続部とを有する。第1上下湾曲ワイヤ接続部は、第1湾曲部113を上下方向に曲げるワイヤ(第1上湾曲ワイヤ161uおよび第1下湾曲ワイヤ161d)を駆動装置12に着脱自在に連結する機構である。第1左右湾曲ワイヤ接続部は、第1湾曲部113を左右方向に曲げるワイヤ(第1左湾曲ワイヤ161lおよび第1右湾曲ワイヤ161r)を駆動装置12に着脱自在に連結する機構である。第2上下湾曲ワイヤ接続部は、第2湾曲部114を上下方向に曲げるワイヤ(第2上湾曲ワイヤ162uおよび第2下湾曲ワイヤ162d)を駆動装置12に着脱自在に連結する機構である。第2左右湾曲ワイヤ接続部は、第2湾曲部114を左右方向に曲げるワイヤ(第2左湾曲ワイヤ162lおよび第2右湾曲ワイヤ162r)を駆動装置12に着脱自在に連結する機構である。管腔内デバイス2が、接続部28aを介して駆動装置12に接続されることで、駆動装置12に設けられたアクチュエータ(電動モータを少なくとも含む)が、ユーザ操作に応じて、第1湾曲ワイヤ161および第2湾曲ワイヤ162を牽引または弛緩して、湾曲部22の形状を変化させることができる。なお実施形態においては、湾曲部22が、2つの第1湾曲部113および第2湾曲部114から構成されているが、3つ以上の独立した湾曲部から構成されてもよく、また1つの湾曲部から構成されてもよい。
【0035】
接触検知デバイス14は、オブジェクトの接触を検知するデバイスであり、湾曲部22を動作させるためのユーザ入力を受け付ける。接触検知デバイス14は、ユーザ入力を受け付けるためのタッチセンシティブな入力面14aを備えてよい。内視鏡検査中、ユーザは、一方の手を使って管腔内デバイス2を患者体内に挿入し、他方の手の指を使って接触検知デバイス14に操作入力する。たとえばユーザは、
図1に示すように、親指を動かして、接触検知デバイス14に操作入力してよい。接触検知デバイス14はオブジェクトの接触点(タッチ位置)を検知する位置情報入力装置であって、投影型静電容量方式、表面型静電容量方式、抵抗膜方式、赤外線方式、超音波表面弾性波方式のいずれのタイプであってもよい。なお接触検知デバイス14は、オブジェクトの接触点検知機能を有していればよく、他の方式を利用するタイプの位置情報入力装置であってよい。
【0036】
接触検知デバイス14は、オブジェクトが接触した入力面14a上の位置を検知して、接触点の位置座標を含む位置情報を制御装置10に出力する。なお接触点が存在しない場合、つまりオブジェクトが入力面14aに接触していない場合、接触検知デバイス14は、接触点が存在しないことを示す位置情報を制御装置10に出力する。接触検知デバイス14は、所定の周期で位置情報を制御装置10に出力してよい。なお接触検知デバイス14はオブジェクトの押圧力を検出する圧力センサを備えて、接触点の位置座標とともに、検出した押圧力を含む位置情報を制御装置10に出力してもよい。なお接触検知デバイス14は、オブジェクトが接触している領域を検知して、接触している領域から、当該領域を代表する位置座標を制御装置10に出力してよいが、接触している領域の輪郭を示す位置座標を制御装置10に出力してもよい。実施形態において、接触検知デバイス14は無線通信モジュールを搭載し、制御装置10と直接または無線中継器経由で無線接続することで、接触点に関する位置情報を制御装置10に送信するが、制御装置10とケーブルで接続してもよい。
【0037】
入力面14aをタッチするオブジェクトは、ユーザの手指であってよいが、手袋を付けた手指であってもよく、スタイラスペンなどのタッチ用ペンであってもよい。ユーザは任意のオブジェクトで、接触検知デバイス14に接触してよい。以下では、ユーザが、手指で接触検知デバイス14に接触する場合について説明する。
【0038】
図6は、制御装置10の機能ブロックを示す。制御装置10は、通信部38および処理部40を備え、処理部40は、画像処理部42、光源制御部44、操作検出部46および駆動制御部48を備える。通信部38は、接触検知デバイス14と無線接続して、接触検知デバイス14から接触点に関する位置情報を受信する。操作検出部46は、通信部38が受信した接触点に関する位置情報を取得して、ユーザが入力した操作を検出する。
【0039】
制御装置10はコンピュータを備え、コンピュータがプログラムを実行することによって、
図6に示す各種機能が実現される。コンピュータは、プログラムをロードするメモリ、ロードされたプログラムを実行する1つ以上のプロセッサ、補助記憶装置、その他のLSIなどをハードウェアとして備える。プロセッサは、半導体集積回路やLSIを含む複数の電子回路により構成され、複数の電子回路は、1つのチップ上に搭載されてよく、または複数のチップ上に搭載されてもよい。
図6に示す機能ブロックは、ハードウェアとソフトウェアとの連携によって実現され、したがって、これらの機能ブロックがハードウェアのみ、ソフトウェアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0040】
画像処理部42は、管腔内デバイス2の撮像部により光電変換された撮像信号に対して画像処理を施して内視鏡画像を生成し、表示装置3にリアルタイムに表示する。画像処理部42は、A/D変換、ノイズ除去などの通常の画像処理に加えて、強調表示等を目的とする特別な画像処理を実施する機能を備えてよい。画像処理部42は、特別な画像処理機能を搭載することで、通常光を用いて撮像した撮像信号から、特別な画像処理を施していない内視鏡画像と、特別な画像処理を施した内視鏡画像とを生成できる。
【0041】
光源制御部44は、撮影モードに応じた照明光をライトガイドに供給する。光源制御部44は、通常光(白色光)や、狭帯域光または励起光などの特殊光を、観察モードに応じてライトガイドに供給してよい。
【0042】
操作検出部46は、接触点の位置情報からユーザの手指の動きを特定し、ユーザの手指の動きにもとづいて、ユーザ操作を検出する。実施形態において操作検出部46は、ユーザの手指が入力面14a上をスライドする動きにもとづいて、湾曲部22の形状を変化させるユーザ操作を検出する。以下、湾曲部22の形状を変化させるユーザ操作を「湾曲操作(第1操作)」と呼ぶ。駆動制御部48は、操作検出部46が検出した湾曲操作にもとづいて駆動装置12を制御して、湾曲部22の形状を変化させる形状制御を実施する。具体的に駆動制御部48は、駆動装置12に、第1湾曲ワイヤ161、第2湾曲ワイヤ162をそれぞれ牽引または弛緩させることで、湾曲部22を所望の方向に、所望の角度で湾曲させる。
【0043】
操作検出部46は、湾曲操作の検出を開始してから接触検知デバイス14に接触し続ける間の手指の動きにもとづいて、湾曲部22の湾曲形状を維持させるユーザ操作を検出する。具体的に操作検出部46は、ユーザの手指を押し込む動き、または手指を所定時間以上静止する動きにもとづいて、湾曲部22の湾曲形状を維持させるユーザ操作を検出する。以下、湾曲部22の湾曲形状を維持させるユーザ操作を「アングルロック操作(第2操作)」と呼ぶ。駆動制御部48は、操作検出部46が検出したアングルロック操作にもとづいて駆動装置12を制御して、湾曲部22の形状を維持する第1制御(アングルロック制御)を実施する。
【0044】
なお従来の非電動駆動の内視鏡(手動で湾曲部を湾曲させるタイプの内視鏡)を用いた検査において、ユーザは内視鏡操作部のアングルノブを操作して、湾曲部の先端を所望の方向に向けた後、内視鏡操作部のアングル固定レバーをロック操作して、湾曲部の湾曲形状を維持(アングルロック)し、病変が存在する部位を撮像部により撮影する。病変の撮影が終了して、医師がアングル固定レバーをロック解除操作すると、湾曲していた湾曲部は、弾性力により徐々に湾曲形状から元の直線形状に復帰する挙動を示す。
【0045】
実施形態の管腔内デバイス2においても、湾曲部22は、弾性をもつアウターシース118により被覆され、また内部にもチューブやシースが設けられているため、湾曲された湾曲部22は、直線形状に復帰するための弾性力をもつ。しかしながら実施形態の管腔内デバイス2は電動駆動であり、第1湾曲ワイヤ161、第2湾曲ワイヤ162が駆動装置12のアクチュエータに連結した構造をとるため、アングルロックを解除したとき、この連結構造が弾性力に対する抵抗となる。そのためアングルロック解除時、電動駆動の湾曲部22の湾曲形状は、非電動駆動の湾曲部と異なり、すみやかに元の直線形状に復帰できない。そこで、非電動駆動の内視鏡操作に慣れたユーザが、電動駆動の管腔内デバイス2を利用する場合に、当該ユーザに対して、アングルロック解除時に非電動駆動の内視鏡と同等の操作感を与えられることが好ましい。
【0046】
以下、湾曲部22を湾曲させる操作(湾曲操作、第1操作)について説明する。
図7は、接触検知デバイス14の入力面14aに接触したユーザの手指が、入力面14a上をスライド(移動)する様子を示す。まずユーザは、位置P1に手指を接触させ、その後、位置P3まで手指を下方にスライドさせる。接触検知デバイス14は、接触点の位置情報を、制御装置10に周期的(周期T)に送信する。このように手指を入力面14a上でスライドさせる動きを、スワイプジェスチャと呼んでもよい。
【0047】
制御装置10において、操作検出部46は接触点の位置情報(位置座標)を取得する。操作検出部46は、接触点位置が時間的に連続している場合に、ユーザの入力が湾曲部22の形状を変化させる湾曲操作であることを検出する。操作検出部46は、(条件1)位置座標を含む位置情報が連続して周期的に取得されていること、(条件2)1周期における移動距離が所定の閾値以下であること、の2つの条件が満たされている場合に、接触点位置が時間的に連続していることを判定して、ユーザの入力が湾曲操作であることを検出してよい。
【0048】
操作検出部46は、時系列的な接触点位置情報(位置座標)から、接触点の移動距離および移動方向を導出する。なお検出する移動距離は、単位時間あたりの移動距離であってよく、この場合、操作検出部46は、接触点の移動速度を導出してもよい。操作検出部46は、湾曲操作が行われていること、および接触点の移動距離および移動方向を、駆動制御部48に通知する。駆動制御部48は、湾曲操作が行われていることを通知されると、接触点の移動距離および移動方向の少なくとも一方にもとづいて、駆動装置12のアクチュエータを制御する。
【0049】
図8(a)~(c)は、ユーザの湾曲操作によって、管腔内デバイス2の一部である湾曲部22の形状が変化する様子を説明するための図である。なお
図7に示す接触点の移動は、位置P1からP3まで一定速度で行われるものとする。
【0050】
図8(a)は、湾曲部22が直線形状にある状態を示す。
図8(a)に示す状態は、たとえばユーザの手指が入力面14aの位置P1に接触した瞬間の状態である。
【0051】
図8(b)は、湾曲部22の形状が変化した状態を示す。接触点が位置P1から位置P2に移動すると、駆動制御部48は、その移動距離および移動方向にもとづいて駆動装置12のアクチュエータを制御して、湾曲部22の形状を変化させる形状制御を実施する。駆動制御部48は、接触点の移動距離および移動方向にもとづいて、湾曲部22の湾曲量(湾曲角度)および湾曲方向を定めてよい。この例では、接触点の移動方向が下向きであるため、駆動制御部48は、第1上湾曲ワイヤ161uおよび第2上湾曲ワイヤ162uを弛緩し、第1下湾曲ワイヤ161dおよび第2下湾曲ワイヤ162dを牽引することで、先端部20が下を向くように、湾曲部22を湾曲させている。
【0052】
図8(c)は、湾曲部22の形状がさらに変化した状態を示す。接触点が位置P2から位置P3に移動すると、駆動制御部48は、その移動距離および移動方向にもとづいて駆動装置12のアクチュエータを制御して、湾曲部22の形状を変化させる。この例では、
図8(b)に示す湾曲状態よりも、駆動制御部48は、第1上湾曲ワイヤ161uおよび第2上湾曲ワイヤ162uをさらに弛緩し、第1下湾曲ワイヤ161dおよび第2下湾曲ワイヤ162dをさらに牽引することで、湾曲部22を、湾曲角度がより大きくなるように湾曲させている。
【0053】
内視鏡検査中、ユーザは、先端部20に配置された撮像部を病変に向けるために湾曲部22を湾曲させ、病変が撮像部の画角の略中央に位置したときに湾曲部22の湾曲形状を維持(アングルロック)させる。そのためユーザは、表示装置3に表示される内視鏡画像を見ながら湾曲操作を行って、所望のタイミング、つまり病変が画角の略中央に位置したタイミングで、湾曲形状を維持させる操作(アングルロック操作)を簡易且つすみやかに行えることが好ましい。
【0054】
たとえば、接触検知デバイス14の外枠に、アングルロック操作を入力するための操作ボタンが設けられている場合、ユーザは湾曲操作の終了後、当該操作ボタンを押すことで、アングルロック操作を入力できる。しかしながらユーザは片手で接触検知デバイス14に操作入力するため、当該操作ボタンを押すためには、湾曲操作の後、手指を入力面14aから一度離す必要がある。そのため手指が入力面14aから離れてから、当該操作ボタンを押すまでの間に、アングルロックされていない湾曲部22が動いてしまい、画角と病変の位置関係がずれる可能性がある。このため接触検知デバイス14の外枠に、アングルロック操作を入力するための操作ボタンを設けることは、好適な入力手段とはいえない。
【0055】
そこで以下において、ユーザが入力面14aから手指を離すことなく、アングルロック操作を行うことができる手法を提案する。
(実施例1)
図9は、実施例1における接触検知デバイス14に対する手指の動きと、駆動制御部48が実施する制御との関係を示す。実施例1において、接触検知デバイス14は、手指が入力面14aを押す押圧力を検出する圧力センサを備える。接触検知デバイス14は、接触点の位置座標と手指による押圧力を含む位置情報を、制御装置10に周期的に送信する。実施例1では、ユーザが手指の移動を終了した位置で、手指を入力面14aに対して強く押し込んでから離すことで、アングルロック操作を行うことができる。
【0056】
接触検知デバイス14は、時間t1でユーザの手指の接触を検知する。操作検出部46は、時間t1~t2までの間、接触点の時系列的な位置情報にもとづいて、接触点位置が時間的に連続していることを判定し、ユーザの入力が湾曲部22の形状を変化させる湾曲操作であることを検出する。駆動制御部48は、操作検出部46が検出した湾曲操作にもとづいて駆動装置12を制御して、湾曲部22の形状を変化させる形状制御を実施する。
【0057】
時間t2において、押圧力が所定の閾値Fthを超えると、操作検出部46は、湾曲部22の湾曲形状を維持させるアングルロック操作の開始を検出する。この時点で、アングルロック操作は、まだ有効ではない。操作検出部46は、アングルロック操作の開始後、手指が入力面14aから離れたタイミング(時間t3)で、アングルロック操作の終了を検出して、有効なアングルロック操作として認識する。つまり操作検出部46は、入力面14aで検知された押圧力が閾値Fthを超えて、押圧力が実質的にゼロとなる圧力変化を検出することで、有効なアングルロック操作を検出する。
【0058】
このように実施例1において、アングルロック操作のための手指の動作は、押圧力が所定の閾値Fthを超えるように手指を入力面14aに押し込んだ後、手指を入力面14aから離す動作となる。アングルロック操作のための手指の動きを、ホールドジェスチャと呼んでもよい。ユーザは、手指を入力面14aから離すことなく、スワイプジェスチャおよびホールドジェスチャを連続してシームレスに行うことで、湾曲部22の形状の変化および形状の維持を簡易に実現できるようになる。閾値Fthは、ユーザごとに設定されてよい。なお、ホールドジェスチャとスワイプジェスチャは、同時に行えるようにしてもよい。例えば、押圧力が所定の閾値Fthを超えた状態でスワイプジェスチャした場合、スワイプ中は湾曲操作が検出され、手指が入力面14aから離れると、有効なアングルロック操作が検出される。
【0059】
なお操作検出部46は、アングルロック操作の開始を検出した後も、接触点位置が時間的に連続しているため、湾曲操作を検出し続ける。ただしアングルロック操作の開始(時間t2)から終了(時間t3)までの間に、接触している手指の位置が動かなければ(移動距離がゼロ)、湾曲部22の湾曲形状は変化しない。時間t3で手指が入力面14aから離れると、操作検出部46は、湾曲操作の終了を判定するとともに、有効なアングルロック操作を検出する。
【0060】
なお操作検出部46は、押圧力が閾値Fthを超えたことを条件として、押圧力が閾値Fthを下回ってからゼロになるまでの時間にもとづいて、アングルロック操作が有効であるか判定してもよい。
図9において、時間taで押圧力が閾値Fthを下回り、時間t3で押圧力がゼロになっているが、(t3-ta)が所定時間(たとえば1秒)以下である場合に、操作検出部46は、アングルロック操作が有効であることを判定してもよい。この場合、(t3-ta)が所定時間を超えていれば、操作検出部46は、アングルロック操作が無効であることを判定してよい。
【0061】
アングルロック操作が検出されると、駆動制御部48は駆動装置12を制御して、湾曲部22の変化した形状を維持する第1制御(アングルロック制御)を実施する。駆動制御部48は、湾曲操作の終了時または有効なアングルロック操作の検出時における湾曲部22の形状を維持するように、駆動装置12を制御してよい。駆動制御部48は、以下の手法を用いて、第1制御を実施してよい。
【0062】
(1)湾曲角度制御手法
駆動制御部48は、第1湾曲ワイヤ161、第2湾曲ワイヤ162のそれぞれの張力から、アングルロック開始時の湾曲部22の湾曲角度を推定する。駆動制御部48は、第1湾曲ワイヤ161、第2湾曲ワイヤ162のそれぞれの張力を維持することで、湾曲部22の湾曲角度を維持する制御を行う。
(2)モータ角度制御手法
駆動制御部48は、アングルロック開始時の駆動装置12におけるモータ角度を記憶し、当該モータ角度を維持することで、湾曲部22の湾曲角度を維持する制御を行う。
(3)モータロック制御手法
駆動制御部48は、アングルロック開始時、駆動装置12におけるモータ端子を短絡させて、モータにブレーキをかけることで、湾曲部22の湾曲角度を維持する。
駆動制御部48は、湾曲部22の湾曲形状を維持するために、上記手法のいずれを採用してもよく、または他の手法を採用してもよい。
【0063】
アングルロック状態は、ユーザの手指が入力面14aに接触した瞬間に解除されてよい。つまり駆動制御部48が第1制御(アングルロック制御)の実行中、操作検出部46が、接触検知デバイス14から接触点の位置座標を含む位置情報を取得すると、駆動制御部48は、第1制御の実行をすみやかに中止してよい。
【0064】
接触検知デバイス14は、時間t4でユーザの手指の接触を検知する。この瞬間に、駆動制御部48は、第1制御をすみやかに中止する。操作検出部46は、時間t4~t5までの間、接触点の時系列的な位置情報にもとづいて、接触点位置が時間的に連続していることを判定し、ユーザの入力が湾曲操作であることを検出する。駆動制御部48は、操作検出部46が検出した湾曲操作にもとづいて駆動装置12を制御して、湾曲部22の形状を変化させる形状制御を実施する。
【0065】
操作検出部46が、時間t4以降の接触点の時系列的な位置情報にもとづいて湾曲操作を検出してから、アングルロック操作を検出することなく、湾曲操作が終了した場合、駆動制御部48は、時間t5で形状制御を終了した後、第1制御とは異なる第2制御を実施する。以下、第2制御の具体例を示す。
【0066】
(a)直線化制御
駆動制御部48は、湾曲している湾曲部22を直線形状に戻すように制御する。たとえば
図8(b)、
図8(c)に示すように、先端部20が下を向いて湾曲部22が湾曲している場合、第1上湾曲ワイヤ161uおよび第2上湾曲ワイヤ162uが弛緩され、第1下湾曲ワイヤ161dおよび第2下湾曲ワイヤ162dが牽引された状態にある。そこで駆動制御部48は、湾曲部22が直線形状となるように、第1上湾曲ワイヤ161uおよび第2上湾曲ワイヤ162uを牽引し、第1下湾曲ワイヤ161dおよび第2下湾曲ワイヤ162dを弛緩する。駆動制御部48が直線化制御を行うことで、湾曲操作を終了したユーザに対して、湾曲部22が湾曲形状から直線形状に復帰する挙動を提供できる。
【0067】
(b)直線化制御+外力監視
駆動制御部48は、湾曲している湾曲部22を直線形状に戻すように制御しつつ、湾曲部22に外力が作用した場合には、直線化制御を停止する。この場合、管腔内デバイス2または駆動装置12は、湾曲部22に作用する外力を検出する外力センサを有してよい。たとえば外力センサの一つの態様は、湾曲部22の表面や内部に設けた複数の感圧センサであってよい。
【0068】
湾曲部22に外力が作用した場合、駆動制御部48が、ただちに直線化制御を停止することで、管腔に過剰な力を与えることを防止できる。このとき駆動制御部48は、外力を検出した時点の湾曲部22の形状を維持するように第2制御を実施してよい。なお外力センサが、外力が作用していないことを検出すると、駆動制御部48は、直線化制御を再開してよい。
【0069】
(c)ワイヤーフリー制御
駆動制御部48は、湾曲部22に連結されている湾曲ワイヤ160により湾曲部22の動きが拘束されないようにして、湾曲部22が外力に応じてその形状を変化させられるようにする。たとえば駆動制御部48がワイヤ経路長を短くして、全ての湾曲ワイヤ160を十分に弛緩させることで、湾曲ワイヤ160による湾曲部22の動きの拘束を解放してよい。たとえば湾曲ワイヤ160がプーリを介して湾曲部22に連結している場合に、駆動制御部48は当該プーリの位置をずらすことで、ワイヤ経路長を短くしてもよい。
【0070】
また湾曲ワイヤ160の牽引装置が電動クラッチを介してモータに連結している場合には、駆動制御部48が、電動クラッチによる動力伝達を遮断することで、湾曲ワイヤ160が自由に可動できるようにしてもよい。また駆動制御部48が、モータの電気回路を開放することで、モータが受動回転できるようにして、湾曲ワイヤ160が自由に可動できるようにしてもよい。駆動制御部48がワイヤーフリー制御を実行することで、湾曲している湾曲部22が、湾曲ワイヤ160による拘束を受けることなく、その弾性力により元の直線形状に復帰できるようになる。
【0071】
以上のように、操作検出部46が、湾曲操作の開始から終了までの間に、アングルロック操作を検出しない場合、駆動制御部48は、アングルロック制御とは異なる第2制御を実施して、湾曲している湾曲部22を元の直線形状に復帰させてよい。実施する第2制御は、(a)~(c)のいずれであってもよいが、別の制御であってもよい。たとえば管腔内デバイス2または駆動装置12が、湾曲部22に作用する外力を検出する外力センサを有し、駆動制御部48が、外力センサが検出した外力の大きさと方向に応じて、湾曲部22の形状を制御してもよい。このとき駆動制御部48は、外力が湾曲部22に加えられた場合に、当該外力により変形する湾曲部22の形状を推定して、当該推定形状となるように湾曲部22の形状を制御してもよい。
【0072】
図10は、湾曲部22の動作を制御するフローチャートを示す。操作検出部46は、接触検知デバイス14からユーザの手指の接触情報を取得し、接触の有無を監視する(S10)。操作検出部46がユーザの手指の接触を検出すると(S10のY)、操作検出部46は、接触検知デバイス14から位置情報を時系列的に取得して、湾曲操作を検出する。駆動制御部48は、湾曲操作にもとづいて、管腔内デバイス2の少なくとも一部の形状を変化させる形状制御を実施する(S12)。なお、接触位置に変化がない場合、駆動制御部48は、制御量0の形状制御を実行することとなり、実質的に形状は変化しない。実施形態では、駆動制御部48が湾曲部22の湾曲角度を制御してよい。
【0073】
操作検出部46が、有効なアングルロック操作を検出すると(S14のY)、駆動制御部48は、湾曲部22の形状を維持する第1制御(アングルロック制御)を実施する。このように実施形態によれば、ユーザは、湾曲操作とアングルロック操作とをシームレスな動きで入力できる。操作検出部46がユーザの手指の接触を検出するまでの間(S10のN)、駆動制御部48は第1制御を継続して実施し、操作検出部46がユーザの手指の接触を検出すると(S10のY)、駆動制御部48は第1制御を終了して、形状制御を実施する(S12)。
【0074】
S14において、操作検出部46が、有効なアングルロック操作を検出しておらず(S14のN)、ユーザの手指の接触を継続して検出していると(S20のY)、駆動制御部48は、形状制御を継続して実施する(S12)。一方、操作検出部46が、ユーザの手指の接触を検出しなくなると(S20のN)、駆動制御部48は形状制御を終了して、第2制御を実施する(S22)。操作検出部46がユーザの手指の接触を検出するまでの間(S10のN)、駆動制御部48は第2制御を継続して実施し、操作検出部46がユーザの手指の接触を検出すると(S10のY)、駆動制御部48は第2制御を終了して、形状制御を実施する(S12)。
【0075】
(実施例2)
図11は、実施例2における接触検知デバイス14に対する手指の動きと、駆動制御部48が実施する制御との関係を示す。実施例2において、接触検知デバイス14は、手指が入力面14aに接触する面積を導出する機能を備える。接触検知デバイス14は、接触点の位置座標と手指の接触面積を含む位置情報を、制御装置10に周期的に送信する。実施例2では、ユーザが手指の移動を終了した位置で、手指を入力面14aに対して押し込んでから離すホールドジェスチャをすることで、アングルロック操作を行うことができる。
【0076】
接触検知デバイス14は、時間t11でユーザの手指の接触を検知する。操作検出部46は、時間t11~t12までの間、接触点の時系列的な位置情報にもとづいて、接触点位置が時間的に連続していることを判定し、ユーザの入力が湾曲操作であることを検出する。駆動制御部48は、操作検出部46が検出した湾曲操作にもとづいて駆動装置12を制御して、湾曲部22の形状を変化させる形状制御を実施する。
【0077】
時間t12において、接触面積が所定の閾値Sthを超えると、操作検出部46は、湾曲部22の湾曲形状を維持させるアングルロック操作の開始を検出する。この時点で、アングルロック操作は、まだ有効ではない。操作検出部46は、アングルロック操作の開始後、手指が入力面14aから離れたタイミング(時間t13)で、アングルロック操作の終了を検出して、有効なアングルロック操作として認識する。つまり操作検出部46は、手指の接触面積がSthを超えて、接触面積が実質的にゼロとなる面積変化を検出することで、有効なアングルロック操作を検出する。駆動制御部48は、有効なアングルロック操作が検出されると、アングルロック制御を開始する。
【0078】
このように実施例2において、アングルロック操作のための手指の動作は、接触面積が所定の閾値Sthを超えるように手指を入力面14aに押し込んだ後、手指を入力面14aから離す動作となる。ユーザは、手指を入力面14aから離すことなく、スワイプジェスチャおよびホールドジェスチャを連続してシームレスに行うことで、湾曲部22の形状の変化および形状の維持を簡易に実現できるようになる。閾値Sthは、ユーザごとに設定されてよい。
【0079】
なお操作検出部46は、アングルロック操作の開始を検出した後も、接触点位置が時間的に連続しているため、湾曲操作を検出し続ける。ただしアングルロック操作の開始から終了までの間に、接触している手指の位置が動かなければ(移動距離がゼロ)、湾曲部22の湾曲形状は変化しない。時間t13で手指が入力面14aから離れると、操作検出部46は、湾曲操作の終了を判定するとともに、有効なアングルロック操作を検出する。
【0080】
なお操作検出部46は、接触面積が閾値Sthを超えたことを条件として、接触面積が閾値Sthを下回ってからゼロになるまでの時間にもとづいて、アングルロック操作が有効であるか判定してもよい。
図11において、時間tbで接触面積が閾値Sthを下回り、時間t13で接触面積がゼロになっているが、(t13-tb)が所定時間(たとえば1秒)以下である場合に、操作検出部46は、アングルロック操作が有効であることを判定してもよい。
【0081】
接触検知デバイス14は、時間t14でユーザの手指の接触を検知する。操作検出部46は、時間t14~t15までの間、接触点の時系列的な位置情報にもとづいて、接触点位置が時間的に連続していることを判定し、ユーザの入力が湾曲操作であることを検出する。駆動制御部48は、操作検出部46が検出した湾曲操作にもとづいて駆動装置12を制御して、湾曲部22の形状を変化させる形状制御を実施する。
【0082】
操作検出部46が、時間t14以降の接触点の時系列的な位置情報にもとづいて湾曲操作を検出してから、アングルロック操作を検出することなく、湾曲操作が終了した場合、駆動制御部48は、時間t15で形状制御を終了した後、第1制御とは異なる第2制御を実施してよい。つまり操作検出部46が、湾曲操作の開始から終了までの間に、アングルロック操作を検出しない場合に、駆動制御部48は、上記した第2制御を実施してよい。
【0083】
(実施例3)
図12は、実施例3における接触検知デバイス14に対する手指の動きと、駆動制御部48が実施する制御との関係を示す。実施例3における接触検知デバイス14は、圧力検出機能や接触面積の測定機能を有しなくてよい。接触検知デバイス14は、接触点の位置情報を、制御装置10に周期的に送信し、操作検出部46は、接触点の移動速度をリアルタイムに導出する。実施例3では、ユーザが手指の移動を終了した位置で、手指の動きを所定時間以上静止させてから離すホールドジェスチャをすることで、アングルロック操作を行うことができる。
【0084】
接触検知デバイス14は、時間t21でユーザの手指の接触を検知する。操作検出部46は、時間t21~t22までの間、接触点の時系列的な位置情報にもとづいて、接触点位置が時間的に連続していることを判定し、ユーザの入力が湾曲操作であることを検出する。駆動制御部48は、操作検出部46が検出した湾曲操作にもとづいて駆動装置12を制御して、湾曲部22の形状を変化させる形状制御を実施する。
【0085】
時間t22において、接触点の移動速度が所定の閾値Vthを下回ると、操作検出部46は、湾曲部22の湾曲形状を維持させるアングルロック操作の開始を検出する。この時点で、アングルロック操作は、まだ有効ではない。操作検出部46は、アングルロック操作の開始後、手指が入力面14aから離れたタイミング(時間t23)で、アングルロック操作の終了を検出して、有効なアングルロック操作として認識する。操作検出部46は、手指の移動速度がVthを下回る期間が所定時間以上続いた後、手指が入力面14aから離れたことを検出することで、有効なアングルロック操作を検出し、駆動制御部48が、アングルロック制御を開始する。閾値Vthは、手指が実質的に静止していることを判定するための値に設定され、静止判定するための所定時間は、たとえば2秒程度であってよい。
【0086】
このように実施例3において、アングルロック操作のための手指の動作は、手指を入力面14a上で所定時間以上静止した後、手指を入力面14aから離す動作となる。ユーザは、手指を入力面14aから離すことなく、スワイプジェスチャおよびホールドジェスチャを連続してシームレスに行うことで、湾曲部22の形状の変化および形状の維持を簡易に実現できるようになる。
【0087】
なお操作検出部46は、アングルロック操作の開始を検出した後も、接触点位置が時間的に連続しているため、湾曲操作を検出し続ける。ただし実施例3では、アングルロック操作の開始から終了までの間に、接触している手指の位置は静止しているため(移動速度が実質的にゼロ)、湾曲部22の湾曲形状は変化しない。時間t23で手指が入力面14aから離れると、操作検出部46は、湾曲操作の終了を判定するとともに、有効なアングルロック操作を検出する。
【0088】
接触検知デバイス14は、時間t24でユーザの手指の接触を検知する。操作検出部46は、時間t24~t25までの間、接触点の時系列的な位置情報にもとづいて、接触点位置が時間的に連続していることを判定し、ユーザの入力が湾曲操作であることを検出する。駆動制御部48は、操作検出部46が検出した湾曲操作にもとづいて駆動装置12を制御して、湾曲部22の形状を変化させる形状制御を実施する。
【0089】
操作検出部46が、時間t24以降の接触点の時系列的な位置情報にもとづいて湾曲操作を検出してから、アングルロック操作を検出することなく、湾曲操作が終了した場合、駆動制御部48は、時間t25で形状制御を終了した後、第1制御とは異なる第2制御を実施してよい。つまり操作検出部46が、湾曲操作の開始から終了までの間に、アングルロック操作を検出しない場合、駆動制御部48は、上記した第2制御を実施してよい。
【0090】
以上、本開示を複数の実施例をもとに説明した。これらの実施形態および実施例は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本開示の範囲にあることは当業者に理解されるところである。実施形態では、湾曲部22は、2つの第1湾曲部113、第2湾曲部114から構成されたが、1つの湾曲部から構成されてもよく、3つ以上の湾曲部から構成されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明は、管腔器官内等を観察および処置する医療システムに適用することができる。
【符号の説明】
【0092】
1 管腔内デバイスシステム
2 管腔内デバイス
3 表示装置
10 制御装置
12 駆動装置
14 接触検知デバイス
18 挿入部
20 先端部
22 湾曲部
24 体内軟性部
26 体外軟性部
28 接続部
30 連結部
38 通信部
40 処理部
42 画像処理部
44 光源制御部
46 操作検出部
48 駆動制御部
101 内部経路
113 第1湾曲部
114 第2湾曲部