(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-10
(45)【発行日】2025-01-21
(54)【発明の名称】マグネシウム合金製スプールおよびそれを含む釣り用リール
(51)【国際特許分類】
A01K 89/015 20060101AFI20250114BHJP
【FI】
A01K89/015 C
(21)【出願番号】P 2024506222
(86)(22)【出願日】2023-09-26
(86)【国際出願番号】 JP2023034805
【審査請求日】2024-10-02
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】509344157
【氏名又は名称】ピュア・フィッシング・ジャパン株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】517260906
【氏名又は名称】ジャ ドゥン スポーツ エキップメント カンパニー、リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】占部 英吾
(72)【発明者】
【氏名】リ チ シン
(72)【発明者】
【氏名】ザン グォ ファ
(72)【発明者】
【氏名】チャン チャオ ヨン
【審査官】大澤 元成
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-183005(JP,A)
【文献】特開2020-117766(JP,A)
【文献】登録実用新案第3222310(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2011/0303547(US,A1)
【文献】特開2013-000043(JP,A)
【文献】特開平11-225633(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 89/015
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マグネシウム合金製のスプールであって、
前記スプールの全体の表面に、マイクロアーク酸化(MAO)処理により形成された被膜を有するスプールと、前記スプールが、直接またはスリーブを介して装着されているスプール軸とを備える、スプールアッセンブリであって、
(1)前記スプール軸は、アルマイト処理されたアルミニウム合金で構成され、前記スプール軸の外表面に、アルマイト処理により形成された非導電性の被膜を有するか、または
(2)前記スプールが前記スリーブを介して前記スプール軸に装着されており、前記スプール軸は、ステンレス合金で構成され、前記スリーブはアルマイト処理されたアルミニウム合金で構成され、前記スリーブの外表面に、アルマイト処理により形成された非導電性の被膜を有するか、または
(3)前記スプール軸は、MAO処理されたマグネシウム合金で構成され、前記スプール軸の外表面に、MAO処理により形成された非導電性の被膜を有するか、または
(4)前記スプールが前記スリーブを介して前記スプール軸に装着されており、前記スプール軸および前記スリーブはMAO処理されたマグネシウム合金で構成され、前記スプール軸および前記スリーブの外表面に、MAO処理により形成された非導電性の被膜を有する、スプールアッセンブリ。
【請求項2】
前記被膜の厚さが、20±3μmである、請求項
1に記載のスプール
アッセンブリ。
【請求項3】
請求項
1または2に記載のスプールアッセンブリを備える、釣り用リール。
【請求項4】
リールフレームと前記スプールのフランジとの隙間が0.08mm~0.18mmである、請求項
3に記載の釣り用リール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マグネシウム合金製スプールおよびそれを含む釣り用リールに関し、より具体的には、腐食を防止するための被膜を有するマグネシウム合金製スプールおよびそれを含む釣り用リールに関する。
【背景技術】
【0002】
釣り用リールには、スピニングリール、両軸受リールおよび片軸受リールがあり、両軸受リールおよび片軸受リールでは、スプールはリール本体に回転自在に支持され、スピニングリールでは、リール本体に前後移動自在に装着されている。これらの釣り用リールのスプールは、合成樹脂、アルミニウム合金、またはマグネシウム合金などで構成されている。
【0003】
合成樹脂製のスプールは、安価に製造できかつ軽量化を図ることができる。しかし、曲げ弾性率が小さく、剛性を維持するために肉厚にする必要があり、質感や高級感も得られ難い。
【0004】
アルミニウム合金製のスプールは、合成樹脂よりは曲げ弾性率が大きく、質感も良好で高級感が得られやすい。しかし、金属としては曲げ弾性率が大きくなく十分な剛性を維持するためには依然として肉厚にする必要があり、軽量化に限界を有する。
【0005】
これらの材質のスプールに比べ、マグネシウム合金製のスプールは、剛性が高く薄肉化が可能であるため、より軽量化が可能である。他方、マグネシウム合金は腐食し易いため、この種のスプールでは耐腐食構造が必要となる。
【0006】
マグネシウム合金製のスプールでは、この問題に対処するために、ウレタン樹脂系塗料などの塗料でスプールを被覆することが一般的に行われている。しかし、このような塗膜は、表面の硬度が低く、釣り糸の巻き跡がスプール表面に残ることがあった。
【0007】
これに対しては、マグネシウム合金のスプール本体の表面に、陽極酸化による酸化膜層、ポリアミンを主成分とするカチオン系電着塗料で形成される低硬度の下地層、ウレタン樹脂系塗料で形成される低硬度の中間層、および紫外線硬化塗料で形成される高硬度の表面層を順に備えるスプールが提案されている(特許文献1)。このような被膜は、被膜とスプールとの密着性を高めながら、表面の硬度を高くするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、釣り用リール、特にベイトキャスティングリールのスプールは、フレームとスプールフランジの隙間にラインが入り込まないようにするため、スプールの外径を精密に制御する必要がある。これに関し、従来の多層の被膜を有するスプールでは、基本的に被膜の厚さが大きく、被膜の厚さを精密に制御することが難しいためこの問題に対処することができなかった。
本発明は、このような問題に鑑み、耐腐食性を付与する被膜を有するマグネシウム合金製のスプールを備える釣り用リールにおいて、当該被膜の厚さを精密に制御することができ、延いては、リールフレームとスプールフランジの隙間の大きさを精密に制御することができる、釣り用リールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、係る目的を達成するために、様々な被膜を検討し、マイクロアーク酸化(MAO)処理により被膜を形成することでこの問題を解決し得ることを見出し、本発明に至った。
【0011】
即ち、本発明は、マグネシウム合金製のスプールであって、その表面にマイクロアーク酸化(MAO)処理により形成された被膜を有することを特徴とするスプールを提供する。好ましい実施形態においては、被膜の厚さは、15~25μmであり、特に好ましくは17~23μmである。
本発明はまた、他の好ましい実施形態において、上述したスプールを備える釣り用リールを提供する。好ましい実施形態において、リールフレームとスプールフランジの隙間は0.05~0.25mmである。
【発明の効果】
【0012】
マイクロアーク酸化(MAO)処理により形成される被膜は、極めて薄く且つ精密に厚さを制御できる。このため、スプールの外径を精密に制御することができ、リールフレームとスプールフランジの隙間の大きさを精密に制御して、フレームとスプールフランジの隙間にラインが入り込まないような大きさで当該隙間を繰り返し形成できる。
また、マイクロアーク酸化(MAO)処理により形成される被膜は、非導電性で硬度が高く、耐腐食性および耐擦傷性に優れるスプールとすることができる。
また、マグネシウム合金でスプールを構成することから、剛性が高く薄肉のスプールにすることができ、リールのより軽量化を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態による釣り用リールを示す。
【
図2】
図2は、
図1の実施形態よる釣り用リールのサイドプレート、リールフレームおよびスプールアセンブリを示す。
【
図3】
図3は、
図1の実施形態よる釣り用リールの一部断面図を示す。
【
図4】
図4は、
図3のリールフレームとスプールフランジの隙間付近の構造を示す拡大図である。
【
図5】
図5は、この実施形態よる釣り用リールにおけるスプール表面の被覆状態を模式的に示す一部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施の形態を詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施の形態に限定して理解されるべきものではない。
図1は、本発明の一実施形態よる釣り用リールを示す。
図2は、この実施形態よる釣り用リールのサイドプレート、リールフレームおよびスプールアセンブリを示す。
図3は、この実施形態よる釣り用リールの一部断面図を示す。
図4は、
図3のリールフレームとスプールフランジの隙間付近の構造を示す拡大図である。
図5は、この実施形態よる釣り用リールにおけるスプール表面の被覆状態を模式的に示す一部断面図である。
この釣り用リール1は、両軸受リールであり、ベイトキャスト用のロープロフィール型のリールである。この釣り用リール1は、
図1乃至3に示す通り、リール本体2と、リール本体2の側方に配置されたハンドルアセンブリ3と、リール本体2の内部に回転自在かつ着脱自在に装着された糸巻用のスプールアセンブリ4を備えている。ハンドルアセンブリ3のリール本体2側には、ドラグ調整用のスタードラグ5が設けられている。
【0015】
リール本体2は、リールフレーム6と、リールフレーム6の両側方に装着されたサイドプレート7と、リールフレーム6の前方を覆う前カバー8とを有している。
【0016】
スプール4aは、たとえばダイキャスト法により射出成形して得られるマグネシウム合金製の部材である。スプール4aは、筒状の糸巻胴部4a-1と、糸巻胴部4a-1の両側部に一体で形成され外方向に突出しているフランジ部4a-2とを有している。スプール4aは、たとえばステンレス製またはアルミニウム合金製の棒状部材からなるスプール軸4bに、たとえばセレーション結合により回転不能に固定され、スプールアセンブリ4が形成される。この固定方法はセレーション結合等の凹凸による固定法に限定されず、接着やインサート成形等、種々の結合方法を用いることができる。
他の実施形態において、スプールアッセンブリ4は、スプール軸4bと、スプール4aと、これらの間に介装されるスリーブ(図示せず)とを備え、スプール4aがスリーブ(図示せず)を介してスプール軸4bに固定される。このスプールアッセンブリ4では、例えば、スプール軸4bは、ステンレス合金などで構成され、スリーブ(図示せず)は、アルミニウム合金などで構成される。
【0017】
スプール4aは、マグネシウム合金で構成されるが、
図4および5に示す通り、このスプール4aは、少なくともフランジ部4a-2を含む一部、好ましくは、少なくともフランジ部4a-2および糸巻き胴部4a-1の内周側4cを含む一部、特に好ましくは全体の表面に、MAO処理により被膜11が形成されている。MAO処理により形成された被膜11は、これを形成するために使用する電解浴中の電解化合物により異なるが、例えば、MgO、MgAl
2O
4、MgSiO
3、Cu
3MgO
4、V
2O
5、V
2O
3、VAlO
4などの酸化物で構成され、被覆されたスプール部分を外環境から完全に遮断する。また、この被膜11は、非導電性で硬度が非常に高い。このため、この被膜11は、スプール4aの腐食を長期間防ぐことができると共に、優れた耐擦傷性およびUV耐候性をスプール4aに付与する。
【0018】
MAO処理により形成される被膜11はまた、極めて薄く且つ精密に厚さを制御でき、通常、1μm~50μmの厚さとすることができ、好ましくは、5μm~約40μm、より好ましくは10μm~30μm、さらに好ましくは15μm~25μm、特に好ましくは17μm~23μmの厚さとすることができる。また、処理条件を一定にすることで、通常±5μm、好ましくは±3μmの範囲で厚さを制御することができる。このため、
図4に示す、リールフレーム6とスプールフランジ部4a-2の隙間10の大きさを精密に制御することができ、例えば、スプールの円滑な稼働を確保しながらラインの隙間10への侵入を防ぐことが可能な大きさで隙間10を設定することが可能である。このような隙間10の大きさは、通常、0.05mm~0.25mmであり、好ましくは、0.10mm~0.20mmであり、より好ましくは、0.08mm~0.18mmである。
【0019】
スプール4aを、スプール軸4bに直接接着してスプールアッセンブリ4が形成されている場合、スプール軸4bは、例えば、アルミニウム合金、ステンレス合金などで構成されても、スプール4aの表面に非導電性の被膜11を有しているため、リール内に海水が侵入した際に局部電池が形成されることはなく、腐食は生じない。好ましい実施形態においては、スプール軸4bは、アルマイト処理されたアルミニウム合金で構成される。この場合には、スプール4aとスプール軸4bの両方の表面に、非導電性の被膜が形成されており、両者はより確実に非電気的接触状態になる。
スプール軸4bと、スプール4aと、これらの間に介装されるスリーブ(図示せず)とを備え、スプール4aがスリーブ(図示せず)を介してスプール軸4bに固定されているスプールアッセンブリ4では、例えば、スプール軸4bは、ステンレス合金などで構成され、スリーブ(図示せず)はアルミニウム合金などで構成される。この場合でも、スプール4aは、その表面に非導電性の被膜11を有しているため、リール内に海水が侵入した場合でもこれらの部材と局部電池が形成されることはなく、腐食は生じない。好ましい実施形態では、スリーブはアルマイト処理されたアルミニウム合金で形成され、これによりスリーブとスプール軸との間でも局部電池が形成されることはなく、腐食は生じない。
また、他の実施形態においては、スプール軸4bおよびスリーブ(図示せず)もマグネシウム合金で構成され、スプール軸4bおよびスリーブ(図示せず)の表面にMAO処理により形成される被膜11を有する。被膜11により各部材の表面は完全に非導電性となり、腐食が確実に防止される。
【0020】
MAO処理により形成される被膜11は、スプール、および必要に応じてスプール軸4bおよびスリーブ(図示せず)などの他の部材を電解浴に浸漬し、次いで、マイクロ放電によりスプールの表面のMgを酸化させて形成することができる。
【0021】
電解浴は、通常、5質量%~30質量%、好ましくは、7質量%~18質量重量%、より好ましくは、10質量%~15質量%の電解化合物の水溶液である。
電解化合物としては、例えば、塗膜を形成する化合物に含まれるケイ酸塩、水酸化物、フッ化物、リン酸塩、アルミン酸塩、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
ケイ酸塩としては、例えば、ケイ酸ナトリウム(Na2SiO3)が挙げられ、アルカリ金属水酸化物としては、例えば、水酸化ナトリウム(NaOH)が挙げられる。フッ化物としては、例えば、フッ化ナトリウム(NaF)が挙げられ、リン酸塩としては、例えば、リン酸ナトリウム(Na3PO4)が挙げられる。アルミン酸塩としては、例えば、二酸化ナトリウムアルミニウム(NaAlO2)、テトラヒドロキシドアルミン酸ナトリウム(Na[Al(OH)4])が挙げられる。中でも、ケイ酸塩、リン酸塩、またはこれらの組み合わせが好ましい。
【0022】
マイクロ放電は、高電圧電流を、電解浴に浸漬されたスプールに印加してスプールの表面にプラズマを生成することにより実施される。このプロセスでは、電解浴に浸漬されたスプールが、1つの電極として機能し、対電極は、同じ電解浴に浸漬された任意の不活性金属からなる電極である。対電極は、例えば、ステンレス鋼の電極とすることができる。両電極間に、直流又は交流の電圧が印加される。電圧は、通常、約200V以上であってよく、好ましくは、約200V~約700Vであり、より好ましくは、約300V~約600Vであり、さらに好ましくは、約400V~約550Vである。電解浴の温度について、特に制限はないが、通常、約20℃~約40℃とすればよく、好ましくは、約25℃~約35℃である。ただし、これらの範囲外の温度が使用されてもよい。
MAO処理時間は、5分から1間程度でよく、好ましくは、10~30分であり、より好ましくは、15~25分である。
【0023】
好ましい実施形態において、MAO処理により形成された被膜11は、さらなる層を積層することなく、スプールの外表面を構成する。MAO処理により形成された被膜11は、構成する酸化物の種類によって異なる色彩を有し得、例えば、上述した酸化物またはこれらの組み合わせで被膜を形成することで、特有の質感の黒色または白色を呈する被膜とすることができる。このようなMAO処理により形成された被膜11によってもたらされる独特の色彩は、そのままリールの意匠を構成することができ、特有の質感をもったリールとすることができる。
【0024】
本発明によるスプールは、マグネシウム合金で構成されるため、剛性が高く薄肉化が可能であり、リールをより軽量化することができる。このような特性から、ロープロフィール型のリールに適用することが好ましく、3g程度の極めて軽量のリグでも簡単にキャストすることを可能とするロープロフィール型のリールを設計できる。もっとも、この実施形態に限定されるものではなく、レバードラグ型や電動型の両軸受リール、スピニングリール及び片軸受リール等の他の釣り用リールのスプールにも適用可能である。
【実施例】
【0025】
以下、本発明を実施例によってさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0026】
1.スプールの製造
以下のサイズのマグネシウム合金製スプールを、丸棒材から切削加工を施し、MAO処理により120個製造した。
・スプールフランジ直径:30mm
・スプール幅:25.5mm
【0027】
次いで、スプールを、ケイ酸ナトリウム(Na2SiO3)およびリン酸ナトリウム(Na3PO4)を、それぞれ、15~20質量%の濃度で含有し、pHを9~13に調整した電解液に浸漬し、以下の条件で、MAO処理を実施した。
・電圧・電流条件:10-15A/dm2の定電流、500V-550Vの電圧
・電流供給方法:直流定電流
・周波数:500Hz
・デューティ比:20%
・正負電流比:3:1
・陽極酸化時間:25℃のリサイクル冷却装置で15-25分
【0028】
処理後、スプールを切断して切断面を電子顕微鏡により観察し、形成された酸化被膜の厚さを確認した。120個のスプールに形成された被膜の厚さは、いずれも20±3μmであることが確認された。
【0029】
2.UV耐候性試験
上記で得られたMAO被膜付きのスプールを、UV耐候性試験に供した。試験条件は、以下のとおりである。
(試験条件)
試験は、SAE J1960規格に従って実施した。具体的には、「Accelerated Exposure of Automotive Exterior Materials Using Controlled Irradiance Water-Cooled Xenon Arc Apparatus」を用いて、上述のように製造されたスプールを、以下のサイクルで、33KJ/m
2から1000kJ/m
2までの14段階の紫外線量(33KJ/m
2、66KJ/m
2、100KJ/m
2、233KJ/m
2、300KJ/m
2、366KJ/m
2、500KJ/m
2、600KJ/m
2、700KJ/m
2、800KJ/m
2、833KJ/m
2、933KJ/m
2、966KJ/m
2、および1000KJ/m
2)で紫外線に暴露して実施した。
【表1】
【0030】
(評価)
処理後のスプールの表面を肉眼で観察し、変色、ひび割れ、剥離、および水ぶくれが無いかを確認し、いずれかが認められたスプールを×、いずれも認められないスプールを〇と評価した。
【0031】
(試験結果)
紫外線量の異なる各試験に供されたスプールの評価は以下のとおりである。
【表2】
アルマイト処理されているスプールでは、500KJ/m
2程度で変色が認められることが知られているが、MAO処理で形成された被膜を有する本実施例のスプールでは、600KJまで変色、ひび割れ、剥離、および水ぶくれのいずれも認められず、より高いUV耐候性が認められた。
【符号の説明】
【0032】
1.釣り用リール
2.リール本体
3.ハンドルアセンブリ
4.スプールアセンブリ
4a.スプール
4a-1.糸巻胴部
4a-2.フランジ部
4b.スプール軸
5.スタードラグ
6.リールフレーム
7.サイドプレート
8.前カバー
9.スリーブ
10.隙間
11.MAO処理により形成された被膜
【要約】
耐腐食性を付与する被膜を有するマグネシウム合金製のスプールを備える釣り用リールにおいて、フレームとスプールフランジの隙間の大きさを精密に制御することができる、釣り用リールを提供する。
スプールの少なくともフランジを含む部分の表面に、マイクロアーク酸化(MAO)処理により形成された被膜を形成する。