(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-14
(45)【発行日】2025-01-22
(54)【発明の名称】樹脂微粒子及び樹脂微粒子含有組成物
(51)【国際特許分類】
C08F 20/00 20060101AFI20250115BHJP
C08F 2/48 20060101ALI20250115BHJP
C08J 3/12 20060101ALI20250115BHJP
【FI】
C08F20/00
C08F2/48
C08J3/12 Z CEY
(21)【出願番号】P 2021030954
(22)【出願日】2021-02-26
【審査請求日】2023-07-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000002440
【氏名又は名称】積水化成品工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100162396
【氏名又は名称】山田 泰之
(74)【代理人】
【識別番号】100214363
【氏名又は名称】安藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】田中 浩平
【審査官】赤澤 高之
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/114653(WO,A1)
【文献】特開2013-227535(JP,A)
【文献】国際公開第2014/050177(WO,A1)
【文献】特開2018-062583(JP,A)
【文献】特開2010-195992(JP,A)
【文献】国際公開第2019/188996(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F
C08J
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビニル系単量体の1種又は2種以上を重合して得られ
る樹脂微粒子であって、
赤外分光光度計によるATR法で測定した赤外分光スペクトルにおいて、波数1700cm
-1~1800cm
-1の最大ピーク高さ(極大吸光度)(A)と波数1600cm
-1~1700cm
-1の最大ピーク高さ(極大吸光度)(B)との吸光度比(B)/(A)が0.020~0.060の範囲にあ
り、
下記要件(a)~(c):
(a)前記樹脂微粒子中の未反応のビニル系単量体量が1.0質量%以下、
(b)前記樹脂微粒子100質量部に対する残存界面活性剤量が0.01質量部以上1質量部以下、
(c)前記ビニル系単量体100質量部中、多官能ビニル系単量体の含有量が70質量部~100質量部の範囲、
の1以上を満たすものである、
樹脂微粒子。
【請求項2】
前記ビニル系単量体が、(メタ)アクリル酸エステル系単量体を含む、請求項
1に記載の樹脂微粒子。
【請求項3】
前記樹脂微粒子が、含有水分量2.0質量%以下の乾燥粉体である、請求項
1又は2に記載の樹脂微粒子。
【請求項4】
請求項
1~3のいずれか1項に記載の樹脂微粒子、光重合開始剤及び紫外線硬化型樹脂を含む、樹脂微粒子含有組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はビニル系単量体を重合して得られる樹脂微粒子及び樹脂微粒子含有組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
樹脂微粒子は、近年その用途を拡大し続けており、樹脂フィルム用の添加剤、各種電子デバイスの微小部位間のスペーサー用途、各種電池部材の造孔剤、電気接続を担う導電性微粒子のコア粒子等、多岐にわたって使用されている。
このうち、樹脂フィルム用の添加剤としては、光拡散フィルムや防眩フィルム等の光学部材や電子デバイス用途に使用される樹脂フィルム用の添加剤、各種樹脂フィルムのアンチブロッキング剤、各種樹脂フィルムの改質剤等の用途が挙げられる。
【0003】
光学部材用途や電子デバイス用途等で使用される樹脂フィルムは、要求される特性が高度化されている。その特性として、貼り付き防止性や高透明性、高耐久性、傷付き防止性(耐傷付き性)等が代表的に挙げられる。これらの特性は基材フィルムに直接付与されるものや、コーティング等の後工程で付与されるもの等様々である。
これらの特性のうち、貼り付き防止性は、樹脂フィルムをロール状で保管した際に、重なり部分に生じる樹脂フィルム同士の貼り付きを防止し、樹脂フィルムの滑り性や剥離性の悪化を防止するために重要な特性である。樹脂フィルムに貼り付き防止性を付与する課題に対して、貼り付き防止剤として樹脂微粒子や無機粒子を添加することが知られている。
【0004】
貼り付き防止剤としては、無機粒子ではシリカ、樹脂微粒子では(メタ)アクリル系の樹脂微粒子等が挙げられる。
シリカは、硬度が高いことがメリットであり、少量の添加で貼り付き防止性を付与できる。しかしながら、その材質上、樹脂フィルムとの間に屈折率差が生じてしまい、透明性を損なう要因となるデメリットが存在する。
一方、樹脂微粒子は、樹脂フィルムの透明性を維持して、かつ貼り付き防止性を付与できる点から、高度な品質を要求される樹脂フィルム等においても使用できる点がメリットであるが、無機粒子と比較すると強度に劣っていた。
【0005】
特許文献1には、架橋構造に工夫をもたせることで強度面を改良する技術を用いて得られた架橋樹脂微粒子が記載されている。
特許文献2には、コアシェル型の滑性粒子を光学フィルムに適用して、透明性を維持しつつ貼り付き防止性能を付与することが記載されている。
特許文献3には、ヒドロキシル基、エポキシ基、カルボキシル基、及びアルコキシシリル基から選ばれる少なくとも1つの反応性官能基と、エチレン性不飽和基とを有する樹脂微粒子を使用することで、マトリックス樹脂との親和性を向上させることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第6258740号公報
【文献】特開2017-181990号公報
【文献】特許第5011731号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の架橋微粒子はフィルム化した際に透明性や貼り付き防止性能を付与できる一方、基材やバインダーからの粒子の脱落等が発生するため、耐傷付き性等が課題として残されていた。特許文献2に記載のコアシェル粒子に関しても同様に、粒子の脱落等が発生するため、耐傷付き性能の付与には至っていなかった。また、特許文献3に記載の反応性単分散樹脂微粒子は耐傷付き性能の付与は出来ているものの、粒子の製造方法が煩雑であり、生産面やコスト面で課題が残されていた。
【0008】
本発明の課題は、簡便な手法にて作成される樹脂微粒子であって、基材やバインダーからの脱落を防ぎ、フィルムに耐傷付き性を付与可能な樹脂微粒子ならびに樹脂微粒子含有組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、上記課題に鑑みて鋭意検討を行った結果、簡便な手法により作製される樹脂微粒子でありながら、赤外分光スペクトルにおける特定の波数範囲の最大吸光度の吸光度比を特定の範囲とすることで、基材やバインダーからの樹脂微粒子の脱落を抑えられ、フィルムに耐傷付き性を付与可能な樹脂微粒子とできることを見出した。
すなわち、本発明は、具体的には以下のとおりである。
[1] ビニル系単量体の1種又は2種以上を重合して得られ、
赤外分光光度計によるATR法で測定した赤外分光スペクトルにおいて、波数1700cm-1~1800cm-1の最大ピーク高さ(極大吸光度)(A)と波数1600cm-1~1700cm-1の最大ピーク高さ(極大吸光度)(B)との吸光度比(B)/(A)が0.020~0.060の範囲にある、樹脂微粒子。
[2] 前記ビニル系単量体が、多官能ビニル系単量体を含む、[1]に記載の樹脂微粒子。
[3] 前記ビニル系単量体が、(メタ)アクリル酸エステル系単量体を含む、[1]又は[2]に記載の樹脂微粒子。
[4] 前記ビニル系単量体100質量部中、多官能ビニル系単量体の含有量が51質量部~100質量部の範囲である、[1]~[3]のいずれか1項に記載の樹脂微粒子。
[5] 前記樹脂微粒子中の未反応のビニル系単量体量が1.0質量%以下である、[1]~[4]のいずれか1項に記載の樹脂微粒子。
[6] 前記樹脂微粒子が、含有水分量2.0質量%以下の乾燥粉体である、[1]~[5]のいずれか1項に記載の樹脂微粒子。
[7] [1]~[6]のいずれか1項に記載の樹脂微粒子、光重合開始剤及び紫外線硬化型樹脂を含む、樹脂微粒子含有組成物。
【発明の効果】
【0010】
本発明の樹脂微粒子は、簡便な手法にて作成される樹脂微粒子でありながら、基材やバインダーからの脱落を防止することができ、フィルムに耐傷付き性を付与可能な樹脂微粒子ならびに樹脂微粒子含有組成物を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の樹脂微粒子及び樹脂微粒子含有組成物について、詳細に説明する。
本明細書において、(メタ)アクリル酸エステル系単量体は、アクリル酸エステル系単量体又はメタクリル酸エステル系単量体を、(メタ)アクリル酸は、アクリル酸又はメタクリル酸を意味する。
【0012】
[樹脂微粒子]
本発明の樹脂微粒子は、ビニル系単量体の1種又は2種以上を重合して得られる。ビニル系単量体としては、1分子中にビニル基を1つ以上有する単官能ビニル系単量体及び分子中にビニル基を2つ以上有する多官能ビニル系単量体から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。
【0013】
<単官能ビニル系単量体>
単官能ビニル系単量体としては、例えば、単官能(メタ)アクリル系単量体、単官能芳香族ビニル系単量体、脂肪酸ビニルエステル系単量体、ハロゲン化オレフィン系単量体、シアン化ビニル系単量体、不飽和カルボン酸系単量体、不飽和ポリカルボン酸エステル系単量体、不飽和カルボン酸アミド系単量体、不飽和カルボン酸アミド類メチロール化物系単量体等が挙げられる。
【0014】
これら単官能ビニル系単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0015】
単官能(メタ)アクリル酸エステル系単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル(メタクリル酸メチル、アクリル酸メチル)、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s-ブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸イソペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸イソステアリル、(メタ)アクリル酸ノナデシル、(メタ)アクリル酸エイコシル等のエステル結合しているアルキル基の炭素数が1~20の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル等の脂環構造をエステル部に有する(メタ)アクリル酸エステル、グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基(グリシジル基)をエステル部に有する(メタ)アクリル酸エステル、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシル基をエステル部に有する(メタ)アクリル酸エステル、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基をエステル部に有する(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。
これら単官能(メタ)アクリル酸エステル系単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0016】
これら単官能(メタ)アクリル酸エステル系単量体の中でも、エステルに結合しているアルキル基の炭素数が1~10である、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s-ブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸イソペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシルが汎用的で好ましく、特に耐熱性が求められる用途においては、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニルが好ましい。これら単官能(メタ)アクリル酸エステル系単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0017】
単官能芳香族ビニル系単量体としては、例えば、スチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン(ビニルトルエン)、エチルビニルベンゼン、α-メチルスチレン;スチレンスルホン酸ナトリウム、スチレンスルホン酸アンモニウム等のスチレンスルホン酸塩、ビニルナフタレン、アリルベンゼン等が挙げられる。これらの中でも、スチレン、α-メチルスチレン、スチレンスルホン酸ナトリウムが好ましい。これら単官能スチレン系単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0018】
脂肪酸ビニルエステル系単量体としては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等が挙げられる。これら脂肪酸ビニルエステル系単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
ハロゲン化オレフィン系単量体としては、例えば、塩化ビニル、塩化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、フッ化ビニリデン等が挙げられる。これらハロゲン化オレフィン系単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
シアン化ビニル系単量体としては、例えば、(メタ)アクリロニトリル等が挙げられる。
不飽和カルボン酸系単量体としては、不飽和カルボン酸、その塩又は無水物を含むものであり、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、それらのアンモニウムや金属塩、無水マレイン酸等が挙げられる。これら不飽和カルボン酸系単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0019】
不飽和ポリカルボン酸エステル系単量体としては、不飽和ジカルボン酸モノエステル、その塩、不飽和ジカルボン酸ジエステルを含むものであり、例えば、モノブチルマレイン酸、それらのアンモニウムや金属塩、マレイン酸ジメチル等が挙げられる。これら不飽和ポリカルボン酸エステル系単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
不飽和カルボン酸アミド系単量体としては、例えば、(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。これら不飽和カルボン酸アミド系単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
不飽和カルボン酸アミド類メチロール化物系単量体としては、例えば、N-メチロールアクリルアミド、N-メチロールメタクリルアミド、メチロール化ジアセトンアクリルアミド、及び、これら単量体と炭素数1~8のアルコール類とのエーテル化物等が挙げられる。これら不飽和カルボン酸アミド類メチロール化物系単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0020】
<多官能ビニル系単量体>
多官能ビニル系単量体としては、例えば、多官能(メタ)アクリル系単量体、多官能芳香族ビニル系単量体、多官能アリル系単量体等が挙げられる。
これら多官能ビニル系単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0021】
多官能(メタ)アクリル系単量体としては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、デカエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタデカエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタコンタヘクタエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3-ブチレンジ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート等が挙げられる。これらの中でも、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレートが好ましい。これら多官能(メタ)アクリル系単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0022】
多官能芳香族ビニル系単量体としては、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、及びこれらの芳香環が置換基で置換されている誘導体等が挙げられる。これらの多官能芳香族ビニル系単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
多官能アリル系単量体としては、例えば、ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート等が挙げられる。これらの多官能アリル系単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0023】
<樹脂微粒子の組成>
本発明においては、樹脂微粒子を構成するビニル系単量体が多官能ビニル系単量体を含むことが好ましい。
本発明においては、樹脂微粒子を構成するビニル系単量体が、(メタ)アクリル酸エステル系単量体を含むことが好ましい。ここで、(メタ)アクリル酸エステル系単量体は、単官能(メタ)アクリル系単量体及び多官能(メタ)アクリル系単量体からなる群より選ばれる1種又は2種以上である。
また、本発明においては、樹脂微粒子を構成するビニル系単量体が、単官能ビニル系単量体と多官能ビニル系単量体との混合物であることが好ましい。
【0024】
本発明の樹脂微粒子は、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、及び(メタ)アクリル-スチレン系樹脂の少なくとも1種の樹脂により構成されることが好ましい。これにより、光透過性の高い樹脂微粒子を構成できる。
(メタ)アクリル系樹脂は、(メタ)アクリル酸エステル系単量体の1種又は2種以上を重合して得られる樹脂、又は、(メタ)アクリル酸エステル系単量体の1種又は2種以上と、(メタ)アクリル酸エステル系単量体及びスチレン系単量体以外のビニル系単量体の1種又は2種以上とを重合して得られる樹脂である。
スチレン系樹脂は、スチレン系単量体の1種又は2種以上を重合して得られる樹脂、又は、スチレン系単量体の1種又は2種以上と、(メタ)アクリル酸エステル系単量体及びスチレン系単量体以外のビニル系単量体の1種又は2種以上を重合して得られる樹脂である。
(メタ)アクリル-スチレン系共樹脂は、(メタ)アクリル酸エステル系単量体の1種又は2種以上とスチレン系単量体の1種又は2種以上を重合して得られる樹脂、又は、(メタ)アクリル酸エステル系単量体の1種又は2種以上と、スチレン系単量体の1種又は2種以上と、それら以外のビニル系単量体の1種又は2種以上とを重合して得られる樹脂である。
【0025】
本発明において、樹脂微粒子を構成するビニル系単量体100質量部中の多官能ビニル系単量体の含有量は、特に限定されない。例えば、ビニル系単量体100質量部中、多官能ビニル系単量体の含有量が51質量部以上、好ましくは60質量部以上、より好ましくは70質量部以上であり、例えば100質量部以下、好ましくは95質量部以下である。
樹脂微粒子を構成するビニル系単量体100質量部中の多官能ビニル系単量体の含有量が少ない場合、(i)基材やバインダーからの樹脂微粒子の脱落を防止できない、(ii)フィルムに耐傷付き性を付与できない、(iii)赤外分光光度計によるATR法で測定した赤外分光スペクトルにおいて、波数1600cm-1~1700cm-1の最大ピーク高さ(極大吸光度)(B)が大きくならない、(iv)樹脂微粒子の架橋度が低くなり、樹脂微粒子をバインダー及び/又は溶剤と混合した際に膨潤し、粘度が上昇して塗工作業性等が低下する、(v)樹脂微粒子の架橋度が低くなるため、樹脂微粒子とバインダーとを混合し加熱して成形する際に、樹脂微粒子が変形、溶解しやすくなるおそれがある。
【0026】
本発明の樹脂微粒子は、各種添加剤を含んでいてもよい。例えば、酸化防止剤を含んでいてもよい。
酸化防止剤としては特に限定されないが、例えば硫黄系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、及びラクトン系酸化防止剤等が挙げられる。酸化防止剤は、樹脂微粒子の重合時に添加できる。
【0027】
<吸光度比>
吸光度比は、樹脂微粒子を赤外分光光度計によるATR法で測定した赤外分光スペクトルより得られる波数1700cm-1~1800cm-1の最大ピーク高さ(極大吸光度)(A)(以下、「吸光度(A)」という場合がある。)、波数1600cm-1~1700cm-1の最大ピーク高さ(極大吸光度)(B)(以下、「吸光度(B)」という場合がある。)を求めた後に、その吸光度比を(式1)より算出したものである。
(式1)吸光度比=(B)/(A)
【0028】
吸光度(A)は、主としてエステル基のC=O伸縮振動に由来する吸収スペクトルに対応する吸光度である。なお、1700cm-1~1800cm-1で他の吸収スペクトルが重なっている場合でも、ピーク分離を実施していない。また、吸光度(A)は、1700cm-1と1800cm-1を結ぶ直線をベースラインとして、1700cm-1と1800cm-1間の最大吸光度を意味する。
吸光度(B)は、主としてアルケンC=C伸縮振動に由来する吸収スペクトルに対応する吸光度である。なお、1600cm-1~1700cm-1で他の吸収スペクトルが重なっている場合でも、ピーク分離を実施していない。また、吸光度(B)は、1600cm-1と1700cm-1を結ぶ直線をベースラインとして、1600cm-1と1700cm-1間の最大吸光度を意味する。
本発明において、吸光度(A)及び吸光度(B)は、例えば、[実施例]の項において記載した方法を用いて求めることができる。
【0029】
本発明の樹脂微粒子の吸光度比は、0.020以上、好ましくは0.025以上であり、0.060以下、好ましくは0.055以下である。吸光度比が0.020未満であると、樹脂微粒子が基材やバインダーから脱落するおそれがあり、フィルムに耐傷付き性を付与できなくなるおそれがある。吸光度比が0.060を超えると、樹脂微粒子が凝集するおそれがあり、樹脂微粒子が基材やバインダーから脱落するおそれがあり、フィルムに耐傷付き性を付与できなくなるおそれがある。
本発明の樹脂微粒子の吸光度(B)は、特に限定されないが、例えば0.0040以上、好ましくは0.0045以上であり、例えば0.0120以下、好ましくは0.0100以下である。
【0030】
<樹脂微粒子中の未反応のビニル系単量体量>
樹脂微粒子中の未反応のビニル系単量体量は、特に限定されない。例えば、樹脂微粒子の調製に使用した全ビニル系単量体量を100質量%として、1.0質量%以下、好ましくは0.9質量%以下、より好ましくは0.8質量%以下である。未反応のビニル系単量体量が1.0質量%を超えると、光学特性の低下、残存臭気の発生、環境汚染、樹脂微粒子使用時の異物(樹脂メヤニ等)の発生等の問題が生じるおそれがある。
本発明において、樹脂微粒子における未反応のビニル系単量体量は、例えば、[実施例]の項において記載した方法を用いて求めることができる。
【0031】
<含有水分量>
樹脂微粒子中の含有水分量は、特に限定されないが、水分量が低い乾燥したものであることが好ましい。例えば、樹脂微粒子全体を100質量%として、2.0質量%以下、好ましくは1.0質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下である。水分含有量が2.0質量%を超えると、樹脂微粒子含有組成物の成形時や塗膜形成時にムラ等が生じ、光学特性の低下等の問題が生じるおそれがある。
本発明において、樹脂微粒子の含有水分量は、例えば、[実施例]の項において記載した方法を用いて求めることができる。
【0032】
<体積平均粒子径>
本発明において、樹脂微粒子の体積平均粒子径は、特に限定されない。例えば0.01μm以上、好ましくは0.1μm以上であり、例えば20μm以下、好ましくは15μm以下、より好ましくは10μm以下である。体積平均粒子径をこのような範囲とすることで、フィルムの添加剤として使用した場合に、光学特性を向上させることができる。
本発明において、樹脂微粒子の体積平均粒子径は、例えば、[実施例]の項において記載した方法により得られた、体積基準の粒度分布の算術平均を指すものとする。
【0033】
<樹脂微粒子の粒子径の変動係数>
本発明において、粒子径の変動係数は、特に限定されない。例えば35.0%以下、好ましくは33.0%以下である。樹脂微粒子の粒子径の変動係数をこの範囲とすることで、樹脂微粒子の分散均一性をさらに向上できる。
本発明の樹脂微粒子の粒子径の変動係数は、下記の式により求められる。
樹脂微粒子の粒子径の変動係数=(樹脂微粒子の体積基準の粒度分布の標準偏差÷樹脂微粒子の体積平均粒子径)×100
【0034】
<残存界面活性剤量>
本発明の樹脂微粒子の樹脂微粒子100質量部に対する残存界面活性剤量は、特に限定されず、目的や用途に応じて適宜設定される。例えば0.01質量部以上、好ましくは0.03質量部以上、より好ましくは0.05質量部以上であり、例えば1質量部以下、好ましくは0.7質量部以下、より好ましくは0.5質量部以下の範囲とされる。
重合時に界面活性剤を用いる場合において、残存界面活性剤量を0.01質量部未満とすることは、工程が煩雑となりコスト等の点で不利となるおそれがある。残存界面活性剤量が1質量部を超えると、樹脂微粒子をコーティング組成物に配合した際に、フリーの界面活性剤が存在することとなり、粒子が脱落しやすくなる傾向にある。
本発明において、残存界面活性剤量は、例えば、[実施例]の項において記載した方法を用いて求めることができる。
【0035】
[樹脂微粒子の製造方法]
本発明の樹脂微粒子の製造方法は、特に限定されない。例えば、
(i)液状媒体中、界面活性剤及び重合開始剤の存在下で、ビニル系単量体を重合させて、前記界面活性剤を含む樹脂微粒子と前記媒体とを含む粗生成物を得る重合工程、
(ii)粗生成物に含まれる媒体を、濾材を用いて除去する固液分離工程、
(iii)樹脂微粒子と洗浄液とを接触させた後に、洗浄液を除去する洗浄工程、
(iv)必要に応じて、乾燥工程及び/又は分級工程、
を含む方法が好ましい。
以下、本発明の樹脂微粒子の製造方法の各工程について、詳述する。
【0036】
<重合工程>
本発明の樹脂微粒子の製造方法において、重合工程における重合方法としては、特に制限されない。例えば、ビニル系単量体、重合開始剤及び液状媒体を用い、必要に応じて界面活性剤を用いる、懸濁重合、シード重合、シード乳化重合、乳化重合、ソープフリー重合、ミニエマルション重合、及び分散重合等の重合方法が挙げられる。
これらの重合方法においては種々の有機溶剤を添加して重合することで、樹脂微粒子の構造制御等が可能であることが公知の技術となっているが、本発明においては、有機溶剤非存在下での重合が好ましい。有機溶剤が存在している系での重合の場合、残存する反応性基数が減少する傾向にあり、これは重合中の高分子鎖が溶剤に膨潤することにより駆動性が向上し、系内のラジカルと接触する頻度が増加するためと考えられるが、この限りではない。
本発明の樹脂微粒子の重合に際して使用されるビニル系単量体としては、[樹脂微粒子]において記載したビニル系単量体が挙げられる。
【0037】
(重合開始剤)
本発明の樹脂微粒子を、乳化重合やシード乳化重合、ソープフリー重合等の重合方法で作成する場合に用いられる重合開始剤としては、特に限定されない。例えば、熱分解性の水溶性重合開始剤が用いられる。熱分解性の水溶性重合開始剤としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸リチウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩、過酸化水素、水溶性アゾ系重合開始剤が用いられる。水溶性アゾ系重合開始剤としては、従来から乳化重合等に汎用的に用いられている重合開始剤を使用でき、また、新規に開発された乳化重合等に用いられる重合開始剤も使用できる。水溶性アゾ系重合開始剤の例としては、例えば、VA-080(2,2’-アゾビス(2-メチル-N-(1,1-ビス(ヒドロキシメチル)-2-ヒドロキシエチル)プロピオンアミド))、VA-086(2,2’-アゾビス(2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)-プロピオンアミド))、VA-057(2,2’-アゾビス(2-(N-(2-カルボキシエチル)アミジノ)プロパン))、VA-058(2,2’-アゾビス(2-(3,4,5,6,-テトラヒドロピリミジン-2-イル)プロパン)ジヒドロクロライド)、VA-060(2,2’-アゾビス(2-(1-(2-ヒドロキシエチル)-2-イミダゾリン-2-イル)プロパン)ジヒドロクロライド)、V-50(2,2’-アゾビス(2-アミジノプロパン)ジヒドロクロライド)、V-501(4,4’-アゾビス(4-シアノペンタノン酸))、VA-082(2,2’-アゾビス(2-メチル-N-(1,1-ビス(ヒドロキシメチル)エチル)プロピオンアミド))、VA-085(2,2’-アゾビス(2-メチル-N-(2-(1-ヒドロキシブチル))-プロピオンアミド))、VA-044(2,2’-アゾビス(2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン)2塩酸塩)、VA-046B(2,2’-アゾビス(2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン)2硫酸塩2水和物)、VA-061(2,2’-アゾビス(2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン))(いずれも、富士フイルム和光純薬社製)、2,2’-アゾビス(2-アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2’-アゾビス(2-(1-(2-ヒドロキシエチル)-2-イミダゾリン-2-イル)プロパン)二塩酸塩、2,2’-アゾビス(1-イミノ-1-ピロリジノ-2-エチルプロパン)二塩酸塩、2,2’-アゾビス(1-イミノ-1-ピロリジノ-2-メチルプロパン)二塩酸塩、2,2’-アゾビス(2-メチル-N-(1,1-ビス(ヒドロキシメチル)-2-ヒドロキシエチル)プロピオンアミド)等からなる群より選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。
重合後のスラリーpHへ与える影響が少なく、分散性低下による粒子の凝集や粗大粒子の発生を抑制できることから、水溶性アゾ系重合開始剤であることが好ましく、さらに樹脂微粒子の分散性向上の観点から、重合開始剤の末端に水酸基が存在しているものが好ましい。
また、水溶性アゾ系重合開始剤の中でも、樹脂微粒子分散体の導電率を低減する観点から、ハロゲンを有しないものがより好ましく、更に水溶性の良さからVA-086、VA-057が特に好ましい。
【0038】
また、懸濁重合やシード重合、ミニエマルション重合等の重合方法で作成する場合、特に制限なく、公知の重合開始剤を用いることができるが、好ましくは熱分解性の油溶性重合開始剤を用いるのが良い。例えば、クメンハイドロパーオキサイド、ジ-tert-ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ジメチルビス(tert-ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジメチルビス(tert-ブチルパーオキシ)ヘキシン-3、ビス(tert-ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、ビス(tert-ブチルパーオキシ)トリメチルシクロヘキサン、ブチル-ビス(tert-ブチルパーオキシ)バレラート、2-エチルヘキサンペルオキシ酸tert-ブチル、ジベンゾイルパーオキサイド、パラメンタンハイドロパーオキサイド及びtert-ブチルパーオキシベンゾエート等の有機過酸化物;2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、2,2’-アゾビス(2-イソプロピルブチロニトリル)、2,2’-アゾビス(2,3-ジメチルブチロニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルブチロニトリル)、2,2’-アゾビス(2-メチルカプロニトリル)、2,2’-アゾビス(2,3,3-トリメチルブチロニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4,4-トリメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(4-エトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(4-n-ブトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、1,1’-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)、2-(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル、4,4’-アゾビス(4-シアノペンタン酸)等のニトリル-アゾ系化合物等からなる群より選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。
【0039】
重合開始剤の使用量は、その種類により適宜定めることができ、特に限定されない。重合時に使用する全ての単量体の合計量100質量部に対して、例えば0.1質量部以上、好ましくは0.3質量部以上であり、例えば5質量部以下、好ましくは3質量部以下の範囲内である。
【0040】
(界面活性剤)
本発明の樹脂微粒子を作成するために必要に応じて用いられる界面活性剤としては、特に限定されない。
本発明の樹脂微粒子の重合に際しては、アニオン性界面活性剤を用いることができる。アニオン性界面活性剤は、ビニル基などの反応性基を有する反応性界面活性剤と、反応性基を有さない非反応性界面活性剤に分類される。
アニオン性の非反応性界面活性剤としては、脂肪酸塩型、硫酸エステル塩型、スルホン酸塩型、リン酸エステル塩型等の公知のアニオン性界面活性剤をいずれも用いることができる。例えばラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム等のアルキル硫酸エステル塩;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩;ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ジ(2-エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウム等のジアルキルスルホコハク酸塩;オレイン酸ナトリウム、ヒマシ油カリ石鹸等の脂肪酸石鹸;アルキルナフタレンスルホン酸塩;アルカンスルホン酸塩;アルケニルコハク酸(モノ又はジ)ナトリウム等のアルケニルコハク酸塩;アルキルリン酸エステル塩;ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物;ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩;ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム等のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩;ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル;ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸エステルアンモニウム等のポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸エステル塩;ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルリン酸塩(例えばポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルリン酸ナトリウム)等のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸塩;等からなる群より選ばれる1種または2種以上が挙げられる。このうち、リン酸エステル系アニオン系界面活性剤としては、例えば、第一工業製薬社製のプライサーフ(AL、A210G、A208F等)、東邦化学工業社製のフォスファノール(LO-529等)等の市販品及びそれらの塩から選ばれる1種以上を用いることができる。
アニオン性の反応性界面活性剤としては、例えば、三洋化成社製のエレミノール(登録商標)のJS-20やRS-3000、第一工業製薬社製のアクアロン(登録商標)のKH-10、KH-1025、KH-05、HS-10、HS-1025、BC-0515、BC-10、BC-1025、BC-20、BC-2020、AR-1025、AR-2025、花王社製のラテムル(登録商標)のS-120、S-180A、S-180、PD-104、ADEKA社製のアデカリアソープ(登録商標)のSR-1025、SE-10N等からなる群より選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。中でも分子鎖中にオキシアルキレン鎖を有するものが、粒子の分散性向上の観点から好ましい。
【0041】
本発明の樹脂微粒子の重合に際しては、ノニオン性界面活性剤を用いることができる。ノニオン性界面活性剤は、ビニル基などの反応性基を有する反応性界面活性剤と、反応性基を有さない非反応性界面活性剤に分類される。
ノニオン性の非反応性界面活性剤としては、エステル型、エーテル型、エステル・エーテル型等の公知のノニオン性界面活性剤をいずれも用いることができる。例えば、アルキレン基の炭素数が3以上であるポリオキシアルキレントリデシルエーテル等のポリオキシアルキレンアルキルエーテル;ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、パルミチン酸イソプロピル、トリオレイン酸ソルビタン等の脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル;ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル(例えば、第一工業製薬社製ノイゲンEAシリーズ);ポリオキシエチレントリデシルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル系;ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル系;ポリオキシエチレン脂肪酸エステル;モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンアルキルアミン;オキシエチレン-オキシプロピレンブロック重合体;ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルリン酸エステル等のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸エステル;ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテルリン酸エステル;ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル;等からなる群より選ばれる1種または2種以上が挙げられる。
ノニオン性の反応性界面活性剤としては、例えば、アルキルエーテル系(例えば、ADEKA社製アデカリアソープER-10、ER-20、ER-30、ER-40、花王社製ラテムルPD-420、PD-430、PD-450等);アルキルフェニルエーテル系もしくはアルキルフェニルエステル系(例えば、第一工業製薬社製アクアロンRN-10、RN-20、RN-30、RN-50、AN-10、AN-20、AN-30,AN-5065、ADEKA社製アデカリアソープNE-10、NE-20、NE-30、NE-40等);(メタ)アクリレート硫酸エステル系(例えば、日本乳化剤社製RMA-564、RMA-568、RMA-1114等)等からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。中でも分子鎖中にオキシアルキレン鎖を有するものが、粒子の分散安定性の観点から好ましい。
【0042】
界面活性剤の使用量は、特に限定されないが、ビニル系単量体100質量部に対して、例えば0.01~10質量部である。界面活性剤の総量が上記範囲より少ない場合には、重合安定性が低くなる恐れがあり、樹脂微粒子に含まれる界面活性剤の量とすることが困難になるおそれがある。また、界面活性剤の使用量が上記範囲より多い場合には、コスト的に不経済であり、また、樹脂微粒子に含まれる各界面活性剤の量を規定の範囲に調整することが困難になるおそれがある。
【0043】
(液状媒体)
本発明の樹脂微粒子を作成するために用いられる液状媒体としては、特に限定されない。例えば、水、有機溶剤、及びこれらの混合物のいずれを用いることができる。本発明においては、水性媒体が好ましく、例えば、水、メチルアルコール、エチルアルコール等の炭素数5以下の低級アルコール、水と低級アルコールとの混合物等を用いることができる。
【0044】
(重合方法)
ビニル系単量体の重合方法は、特に限定されない。例えば、懸濁重合、乳化重合、シード重合、シード乳化重合、ソープフリー重合、ミニエマルション重合、及び分散重合などの、公知の重合方法が挙げられる。
懸濁重合により、粒子径が小さく、かつ粒子径のばらつきが小さい(粒子径が比較的整った)樹脂微粒子を得ることができる。
乳化重合により、得られる樹脂微粒子の粒子径のばらつきを小さくすることができる。
シード重合により得られる樹脂微粒子は、粒子径のばらつきが少なく、防眩フィルムや光拡散フィルム等の光学部材用とした場合に、光学部材の防眩性や光拡散性等の光学特性を向上できる。
得られる樹脂微粒子の粒子径のばらつきが少ないことから、懸濁重合、乳化重合又はシード重合が好ましく、シード重合が最も好ましい。
以下、シード重合の一般的な方法を述べるが、本発明の製造方法における重合方法は、この方法に限定されるものではない。
【0045】
シード重合に際しては、はじめに、水性媒体、ビニル系単量体、及び、界面活性剤を含む乳化液(懸濁液)を調製する。ここで、水性媒体は、水又は水と有機溶剤との混合物である。
乳化液(懸濁液)の調製は、公知の方法を用いることができる。例えば、ビニル系単量体と界面活性剤とを水性媒体に添加し、ホモジナイザー、超音波処理機、ナノマイザー(登録商標)等の微細乳化機により分散させることで、乳化液を得ることができる。
なお、得られた乳化液中に存するビニル系単量体の液滴の粒子径は、次に添加する種粒子の粒子径よりも小さい方が、種粒子に効率よく吸収されるので好ましい。
【0046】
次に、得られた乳化液(懸濁液)に、種粒子を添加する。
種粒子は、そのままで乳化液に添加されてもよく、水性媒体に分散された形態で乳化液に添加されてもよい。種粒子が乳化液へ添加されると、種粒子にビニル系単量体が吸収される。種粒子にビニル系単量体を吸収させる方法としては、通常、乳化液を、室温(約20℃)で1~12時間撹拌する方法が挙げられる。また、種粒子にビニル系単量体が吸収されるのを促進するため、乳化液を30~50℃程度に加温してもよい。
種粒子にビニル系単量体が吸収されると、種粒子は膨潤する。ビニル系単量体と種粒子との混合比率は、種粒子1質量部に対して、例えばビニル系単量体が5~300質量部の範囲内が好ましい。なお、種粒子へのビニル系単量体の吸収の終了判定は、光学顕微鏡の観察で粒子径を確認することで行うことができる。
次いで、種粒子に吸収されたビニル系単量体を重合して、樹脂微粒子が得られる。なお、種粒子にビニル系単量体を吸収させて重合させる工程を複数回繰り返すことにより樹脂微粒子を得てもよい。
ビニル系単量体の重合に際しては、必要に応じて重合開始剤を使用してもよい。重合開始剤は、あらかじめビニル系単量体と混合した後、水性媒体中に分散させてもよく、重合開始剤とビニル系単量体との両者を別々に水性媒体に分散させてもよい。
【0047】
シード重合の重合温度及び重合時間は、ビニル系単量体の種類や、必要に応じて用いられる重合開始剤の種類に応じて適宜選択できる。重合温度は、例えば25~110℃であり、重合時間は、例えば1~12時間である。
シード重合の重合反応は、重合に対して不活性な不活性ガス(例えば窒素)の雰囲気下で行ってもよい。
本発明の樹脂微粒子の製造において、シード重合の重合反応は、ビニル系単量体及び必要に応じて用いられる重合開始剤が種粒子に完全に吸収された後に、昇温して行うことが好ましい。
【0048】
シード重合においては、樹脂微粒子の分散安定性を向上させるために、高分子分散安定剤を重合反応系に添加してもよい。高分子分散安定剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリカルボン酸、セルロース類、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。また、上記高分子分散安定剤と、トリポリリン酸ナトリウム等の無機系水溶性高分子化合物とを併用してもよい。これら高分子分散安定剤のうち、ポリビニルアルコール及びポリビニルピロリドンを用いることが好ましい。高分子分散安定剤の添加量は、例えばビニル系単量体100質量部に対して1~10質量部の範囲内が好ましい。
重合反応における水性媒体中での乳化重合生成物(粒子径の小さすぎる樹脂微粒子)の発生を抑えるために、亜硝酸ナトリウム等の亜硝酸塩類、亜硫酸塩類、ハイドロキノン類、アスコルビン酸類、水溶性ビタミンB類、クエン酸、ポリフェノール類等の水溶性の重合禁止剤を水性媒体に添加してもよい。重合禁止剤を使用する場合の添加量は、例えばビニル系単量体100質量部に対して0.02~0.2質量部の範囲内が好ましい。
【0049】
シード重合に用いる種粒子の作成方法は、特に限定されず、分散重合、乳化重合、ソープフリー乳化重合(乳化剤としての界面活性剤を用いない乳化重合)、シード重合、懸濁重合等を用いることができる。
【0050】
<固液分離工程>
本発明の樹脂微粒子を製造する際の固液分離工程は、重合工程で得られた樹脂微粒子、界面活性剤及び媒体を含む粗生成物から、濾材を備える濾過器を用いて媒体等を除去し、樹脂微粒子を固液分離する工程である。
【0051】
濾過器は、特に限定されない。例えば、耐圧容器と、この耐圧容器の内底部に配置された濾材と、圧縮気体を耐圧容器内に供給する圧縮気体供給機と、を備える加圧濾過器を用いることができる。
濾材は、樹脂微粒子を確実に捕集できるものであれば特に限定されない。例えば、天然繊維、合成繊維等からなる、織布、不織布等の濾布、焼結金属からなる金網、焼結金属からなる不織布、天然繊維、ガラス繊維等からなる濾過板(多孔板)、合成樹脂からなる網、濾紙、ガラス繊維フィルター等よりなる群から選ばれる1種又は2種以上が挙げられ、特に濾布が好ましい。
固液分離工程では、濾材を通過する媒体の単位時間当たりの量、加圧条件、媒体を除去する際の脱液速度等を制御することで、樹脂微粒子中の残存界面活性剤量及び非揮発成分量を容易に調整できる。
【0052】
<洗浄工程>
本発明の樹脂微粒子を製造する際の洗浄工程は、固液分離工程後の樹脂微粒子と洗浄液とを接触させた後に洗浄液を除去し、洗浄された樹脂微粒子を得る工程である。
洗浄工程において、固液分離工程で得られた樹脂微粒子のケーキを、樹脂微粒子ケーキ体積の10倍以下、好ましくは1.5~7倍の洗浄液中に浸漬後、洗浄液を除去する洗浄処理を、必要に応じて繰り返すことで、樹脂微粒子における残存界面活性剤量等を制御できる。
洗浄液を除去する手段としては、例えば、遠心分離機を用い、洗浄液を遠心分離除去する洗浄処理を、必要に応じて繰り返す手段が挙げられる。
また、例えば、加圧濾過器を用い、濾材上の樹脂微粒子のケーキと洗浄液を接触させて洗浄する手段は、洗浄液のショートパスがなくなり、洗浄液の使用量が抑制され、効率的な洗浄を行うことができる。洗浄液の除去は、例えば、加圧濾過器内に圧縮気体を導入して加圧することで、ケーキと洗浄液を接触させるとともに、洗浄後の洗浄液を濾液として排出する方法が挙げられる。
洗浄工程では、遠心分離の回数、洗浄液の添加量、濾材を通過する媒体の量(排出量)等を調整することで、樹脂微粒子に含まれる残存界面活性剤量や非揮発成分量を調製できる。
【0053】
洗浄工程において使用する洗浄液としては、水性媒体が好ましく、例えば、水、メチルアルコール、エチルアルコール等の炭素数5以下の低級アルコール、これらの混合物等が挙げられる。特に、重合工程で使用した媒体と同様のものを用いることが好ましい。
洗浄工程で用いる洗浄液の重量は、洗浄する樹脂微粒子の重量の10倍以下、好ましくは1.5~7倍である。これにより、洗浄工程において、界面活性剤が必要以上に溶出することを防止できる。
【0054】
洗浄工程において、洗浄液の濾過速度は、特に限定されず、例えば0.025~0.095kg/min・m2の範囲である。
洗浄に用いる洗浄液の温度は、重合時に用いた界面活性剤が十分に溶出する温度であり、例えば40~80℃の範囲である。
洗浄工程は、濾材を通過した洗浄液の導電率が、濾過器投入前の洗浄液の導電率の2.0倍以下、加圧濾過器内圧が、加圧時の圧力の2/3以下になったときに終了することが好ましい。
【0055】
<乾燥工程及び分級工程>
洗浄工程で得られた樹脂微粒子は、乾燥機で乾燥して洗浄液を除去するとともに必要に応じて分級することが好ましい。乾燥機としては、特に限定されないが、例えば、噴霧乾燥装置(スプレードライヤー)やフリーズドライ、撹拌羽を組み込んだ真空撹拌ドライヤー(解砕乾燥機)が好ましく、粒子径、組成に応じて適切な乾燥装置を選択することができる。乾燥によって、洗浄液をほぼ完全に除去し、必要に応じて分級(好ましくは、気流分級)し、製品として利用可能な樹脂微粒子とできる。
本発明における乾燥条件としては、使用する乾燥機の容量・能力等に応じて適宜調整される。例えば、真空度(対大気圧)を-0.001~-0.5MPaに、乾燥温度を40~80℃に、乾燥時間を4~10時間(hr)とできる。
本発明においては、乾燥工程において、界面活性剤を樹脂微粒子表面から水中へ溶出させ、その後、解砕乾燥機を使用して、水分と共に非揮発成分を除去できる。これにより、樹脂微粒子の残存界面活性剤量等を調製できる。
例えば、洗浄後の樹脂微粒子ケーキを、予め温めておくことにより、粒子表面の界面活性剤を容易に規定量に調整することが可能となる。さらに、解砕乾燥プロセスにより、非揮発成分がせん断されてほとんどが分取されることとなる。そして、残存界面活性剤により樹脂微粒子表面が効果的に修飾され、分散均一性に優れ、分散性が向上した樹脂微粒子を得ることができる。
このような樹脂微粒子の製造方法によれば、重合工程において樹脂微粒子に付着した残存界面活性剤を、媒体及び洗浄液と共に適量除去でき、さらに、非揮発成分の含有量(残存量)も適量にすることが可能となる。
【0056】
[樹脂微粒子含有組成物]
本発明の樹脂微粒子含有組成物は、前記本発明の樹脂微粒子、光重合開始剤及び紫外線硬化型樹脂を含むものである。
【0057】
<光重合開始剤>
本発明の樹脂微粒子含有組成物に含まれる光重合開始剤としては、光又は紫外線の照射により組成物内にラジカルを発生させ、紫外線硬化型樹脂の重合を開始させ得る化合物であれば、特に限定されない。光重合開始剤は、使用する紫外線硬化型樹脂にあったものを用いることが好ましい。
光重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、ホスフィンオキシド類、ケタール類、α-ヒドロキシアルキルフェノン類、α-アミノアルキルフェノン、アントラキノン類、チオキサントン類、アゾ化合物、過酸化物類、2,3-ジアルキルジオン化合物類、ジスルフィド化合物類、フルオロアミン化合物類、芳香族スルホニウム類、オニウム塩類、ボレート塩、活性ハロゲン化合物、α-アシルオキシムエステル等よりなる群から選ばれる1種又は2種以上を用いることができる。
光重合開始剤の使用量は、紫外線重合型樹脂100質量部に対し、例えば0.5質量部以上、好ましくは1.0質量部以上であり、例えば20.0質量部以下、好ましくは5.0質量部以下である。
【0058】
<紫外線硬化型樹脂>
本発明の樹脂微粒子含有組成物に含まれる紫外線硬化型樹脂としては、透明性、樹脂微粒子の分散性、耐光性、耐湿性及び耐熱性等の要求される特性に応じて適宜選択されるもので、特に限定されない。例えば多官能(メタ)アクリレート樹脂、多官能ウレタン(メタ)アクリレート樹脂、多官能ポリエステル(メタ)アクリレート樹脂、エポキシ(メタ)アクリレート樹脂、アルキッド樹脂等からなる群より選ばれる1種又は2種以上を含むものが挙げられる。
紫外線硬化型樹脂としては、多官能(メタ)アクリレート樹脂を含むものが好ましく、1分子中に3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多価アルコール多官能(メタ)アクリレートを含むものがより好ましい。1分子中に3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多価アルコール多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、1,2,4-シクロヘキサントリ(メタ)アクリレート、ペンタグリセロールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールトリアクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサアクリレート等からなる群より選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。
【0059】
樹脂微粒子含有組成物は、樹脂微粒子、光重合開始剤及び紫外線硬化型樹脂以外の成分を必要に応じて含んでいてもよい。
例えば、樹脂微粒子及び紫外線硬化型樹脂以外の樹脂(セルロース系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂等のビニル系樹脂、アセタール系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド樹脂、線状ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂等からなる群より選ばれる1種又は2種以上)を含んでいてもよい。
また、例えば、反応性希釈剤を溶媒として含んでいてもよい。反応性希釈剤としては、ビニル系単量体の1種又は2種以上が挙げられる。反応性希釈剤として用いられるビニル系単量体としては、例えば、本発明の樹脂微粒子の重合に際して用いられる単官能(メタ)アクリル系単量体や多官能(メタ)アクリル系単量体から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。
さらに、シリカ等の無機粒子、着色剤、有機溶剤等を含んでいてもよい。なお、有機溶媒は微量であることが好ましく、通常は有機溶剤を用いないことが好ましい。
【0060】
樹脂微粒子含有組成物中における樹脂微粒子の量は、特に限定されない。紫外線硬化型樹脂の固形分100質量部に対して、例えば2質量部以上、好ましくは4質量部以上、より好ましくは6質量部以上であり、300質量部以下、好ましくは200質量部以下、より好ましくは100質量部以下である。
樹脂微粒子の量を、紫外線硬化型樹脂の固形分100質量部に対して2質量部以上とすることで、樹脂微粒子含有樹脂組成物によって形成される層(塗膜)の艶消し性等の光学特性を十分発揮させることができ、樹脂微粒子含有樹脂組成物を基材上に塗工してなる光学部材の防眩性や光拡散性等の光学特性を十分なものにできる。また、300質量部以下とすることで、樹脂微粒子含有組成物によって形成される層(塗膜)の直線透過性を十分なものにし易くなる。
【0061】
樹脂微粒子含有組成物を基材上に塗布する方法としては、特に限定されない。例えば、バーコート、ブレードコート、スピンコート、リバースコート、ダイコート、スプレーコート、ロールコート、グラビアコート、マイクログラビアコート、リップコート、エアーナイフコート、ディップコート法等の公知の塗工方法を用いることができる。
【0062】
樹脂微粒子含有組成物を塗布し基材上に樹脂組成物の層を形成した後に、活性エネルギー線を照射して乾燥・硬化させることができる。
活性エネルギー線としては、例えば、LED、高圧水銀灯等の光源から発せられる紫外線、赤外線、電子線加速器から発せられる電子線、α線、β線、γ線等を用いることができる。
樹脂微粒子含有樹脂組成物によって形成される層(塗膜)の厚さ(乾燥厚さ)は、特に限定されず、目的や求める特性等に応じて適宜調整できる。例えば1μm以上、好ましくは3μm以上であり、例えば10μm以下、好ましくは7μm以下である。
【0063】
[樹脂微粒子の用途]
本発明の樹脂微粒子は、前記樹脂微粒子含有組成物以外に、各種の用途に供することができる。例えば、樹脂微粒子と樹脂とを含む成形用樹脂組成物を形成し、これを用いて、防眩フィルムや光拡散フィルム等の光学フィルムや光拡散体等の光学部材、特に、防眩部材を得ることができる。
さらに、樹脂微粒子自体又はそれと樹脂との混合物を成形して、樹脂成形体を得ることができる。
【0064】
例えば、基材上に、前記樹脂微粒子含有組成物を塗工することで層を設け、光学部材を形成できる。光学部材としては、例えば、光拡散用又は防眩用の、光拡散フィルム又は防眩フィルムが挙げられる。
基材は、透明であることが好ましい。透明の基材としては、例えば、ガラス、ポリエステル系樹脂、セルロース系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、これらの樹脂の1種又は2種以上を含む混合物、これらの樹脂の積層物等を基材とすることができる。これらの中でも、特に複屈折率の少ないものが好適に用いられる。
さらに、これらの基材の少なくとも一方の面に、(メタ)アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂等の易接着層を設けたものを基材として用いることができる。
基材の厚さは、適宜に決定し得るが、一般には、強度や取り扱い等の作業性、薄層性等の点より10~500μmの範囲内である。好ましくは20~300μm、より好ましくは30~200μmである。
基材は、添加剤を含んでいてもよい。添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、帯電防止剤、屈折率調整剤、増強剤等が挙げられる。
【0065】
例えば、本発明の樹脂微粒子は、それ単独で用い、又は、他の樹脂と混合して用い、各種の成形法により樹脂成形体を調製できる。他の樹脂としては、好ましくは透明樹脂を用いることができ、樹脂成形体中において、樹脂微粒子は光拡散粒子として機能させることができる。
上記樹脂成形体は、光拡散板等の光拡散体として機能し、LED照明カバー等として利用できる。
透明樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン系樹脂、(メタ)アクリル-スチレン系樹脂((メタ)アクリル)酸エステルとスチレンとの共重合体)等よりなる群から選ばれる1種又は2種以上を用いることができる。それらの中でも、ポリスチレン系樹脂又は(メタ)アクリル-スチレン系樹脂が好ましい。
本発明の樹脂微粒子と透明樹脂とから樹脂成形体を調製する際、樹脂成形体に含まれる樹脂微粒子の量は、透明樹脂100質量部に対して0.01~5質量部の範囲、好ましくは0.1~5質量部の範囲とできる。樹脂成形体は、必要に応じて、紫外線吸収剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、蛍光増白剤等の添加剤を含んでいてもよい。
樹脂成形体の厚み及び形状等は、用途によって適宜選択できる。
【0066】
樹脂成形体は、上記透明樹脂と上記樹脂微粒子とを一軸押出機や二軸押出機等で溶融混練することにより得ることができる。また、溶融混練によって得られた樹脂組成物を、Tダイ及びロールユニットを介して板状に成形して樹脂成形体を得てもよい。さらに、溶融混練によって得られた樹脂組成物をペレット化し、ペレットを射出成形やプレス成形等により成形して樹脂成形体を得てもよい。
本発明の樹脂微粒子を含む樹脂成形体は、樹脂微粒子の分散均一性に優れたものであり、むらのない均一な光拡散性や防眩性等の光学特性を発揮する。
【実施例】
【0067】
以下、実施例及び比較例により本発明を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。特に記載がない限り、「%」は「質量%」を、「部」は質量部を意味する。
【0068】
[測定方法]
<極大吸光度及び吸光度比>
Thermo SCIENTIFIC社製フーリエ変換赤外分光光度計「Nicoet iS10」に、ATRアクセサリーとしてThermo SCIENTIFIC社製「Smart-iTR」を接続して測定した。
赤外分光分析ATR測定の条件は以下のとおりである。
【0069】
(測定条件)
・測定装置:フーリエ変換赤外分光光度計 Nicolet iS10(Thermo SCIENTIFIC社製)及び一回反射型水平状ATR Smart-iTR(Thermo SCIENTIFIC社製)
・ATRクリスタル:Diamond with ZnSe lens、角度=42°
・測定方法:一回ATR法
・測定波数領域:4000cm-1~650cm-1
・測定深度の波数依存性:補正せず
・検出器:重水素化硫酸トリグリシン(DTGS)検出器及びKBrビームスプリッター
・分解能:4cm-1
・積算回数:16回(バックグラウンド測定時も同様)
【0070】
ATR法では、試料と高屈折率結晶の密着度合によって測定で得られる赤外吸収スペクトルの強度が変化するため、ATRアクセサリーの「Smart-iTR」で掛けられる最大荷重を掛けて密着度合をほぼ均一にして測定を行なった。
以上の条件で得られた赤外線吸収スペクトルは、次のようにピーク処理をして波数1700cm-1~1800cm-1の最大ピーク高さ(極大吸光度)(A)と波数1600cm-1~1700cm-1の最大ピーク高さ(極大吸光度)(B)を求めた。
赤外吸収スペクトルから得られる波数1700cm-1~1800cm-1での極大吸光度(A)は、エステル基のC=O伸縮振動に由来する吸収スペクトルに対応する吸光度であった。この吸光度の測定では、1700cm-1~1800cm-1で他の吸収スペクトルが重なっている場合でもピーク分離を実施しなかった。吸光度(A)は、1700cm-1と1800cm-1を結ぶ直線をベースラインとして、1700cm-1と1800cm-1間の最大吸光度を意味する。
また、1600cm-1~1700cm-1での極大吸光度(B)は、アルケンC=C伸縮振動に由来する吸収スペクトルに対応する吸光度であった。この吸光度の測定では、1600cm-1~1700cm-1で他の吸収スペクトルが重なっている場合でもピーク分離を実施しなかった。吸光度(B)は、1600cm-1と1700cm-1を結ぶ直線をベースラインとして、1600cm-1と1700cm-1間の最大吸光度を意味する。
上記のようにして、樹脂微粒子を赤外分光光度計によるATR法で測定した赤外分光スペクトルより得られる波数1700cm-1~1800cm-1の最大ピーク高さ(極大吸光度)(A)、波数1600cm-1~1700cm-1の最大ピーク高さ(極大吸光度)(B)とし、その吸光度比を(式1)より算出した。
(式1)吸光度比=(B)/(A)
【0071】
<含有水分量>
電量滴定方式 微量水分測定装置(三菱ケミカルアナリテック社 CA-310型)を用いて、JIS K0113に準拠したカールフィッシャー法により電量滴定を行い、樹脂微粒子の含有水分量を測定した。
【0072】
<樹脂微粒子中の未反応のビニル系単量体量>
樹脂微粒子0.01gにメタノール5mLを加え、充分に混合させた後、24時間静置させることにより分散液を得る。次いで、遠心分離機で30分間、撹拌回転数18500rpmで分散液を処理することにより不溶物を沈殿させる。超高速液体クロマトグラムLa Chrom Ultra(日立ハイテクノロジーズ社製)で、得られる上澄液2μLを解析することにより、樹脂微粒子に対する残存モノマー量を測定する。
測定条件は、カラムとしてLa Chrom Ultra C18 2μmを用い、カラム温度を40℃とする。溶媒は0.05%トリフルオロ酢酸水溶液とアセトニトリルの混合物(50/50 w/w)を使用し、フロー速度を0.6mL/minとした。
【0073】
<固着性評価>
樹脂微粒子2部を、バインダーとしてペンタエリスリトールトリアクリレート55部とアクリロイルモルフォリン38部の混合物に添加して攪拌、混合した。さらに光重合開始剤としてイルガキュア184を5部加え、PETフィルムにアプリケーターで膜厚が10μmになるように塗工し、メタルハライドランプで400mJ/cm2の紫外線を照射し、PETフィルム上に塗膜を有する塗工物を作製した。室温で1週間経過した後に、以下の固着性評価試験で固着性を評価した。
(固着性評価試験)
200gの荷重をかけながら#1000のスチールウールで塗膜を10往復させた後、塗膜上に出た粉を目視で観察し評価した。樹脂微粒子の脱離が確認されなかったものはA、樹脂微粒子の脱離が確認されたものはDとした。
【0074】
<残存界面活性剤量>
樹脂微粒子を溶媒により抽出し、液体クロマトグラフリニアイオントラップ型質量分析計(LC/MS/MS装置)を用いて測定した。
LC/MS/MS装置としては、Thermo Fisher Scientific社製の「UHPLC ACCELA」及びThermo Fisher Scientific社製の「Linear Ion Trap LC/MSn LXQ」を用いた。
界面活性剤の含有量は、以下に示す方法により測定される。
樹脂微粒子約0.01gを遠沈管に精秤後、抽出液を注加して、樹脂微粒子と抽出液とをよく混合し、超音波抽出を行った後再度混合し、遠心分離を行い、得られた上澄み液を濾過したものを試験液とした。
この試験液中の界面活性剤の濃度をLC/MS/MS装置を用い、得られたクロマトグラム上のピーク面積値から予め作成した検量線より含有量を算出した。そして、測定された試験液中の界面活性剤濃度と、試料として用いた樹脂微粒子の重量(試料重量)と、抽出液量とから、下記算出式により、樹脂微粒子中の界面活性剤の含有量を求めた。
界面活性剤の含有量=試験液中の界面活性剤濃度×抽出液量÷試料重量
なお、検量線作成方法は、以下の通りである。
界面活性剤の約1000ppm中間標準液(メタノール溶液)を調製後、さらにメタノールで段階的に希釈して20ppm、10ppm、5ppm、2.5ppmの検量線作成用標準液を調製する。各濃度の検量線作成用標準液を下記条件にて測定し、モニターイオンm/z=730~830のクロマトグラム上のピーク面積値を得た。各濃度と面積値をプロットして最小二乗法により近似曲線(二次曲線)を求め、これを定量用の検量線とした。
【0075】
<体積平均粒子径、個数平均粒子径>
樹脂微粒子の体積平均粒子径ならびに個数平均粒子径は、レーザー回折散乱方式粒度分布測定装置(型番「LS230」、ベックマン・コールター社製)で測定した。具体的には、樹脂微粒子水分散液(固形分20%)0.1gと2質量%アニオン性界面活性剤溶液20mlとを、試験管に投入した。その後、試験管ミキサー(アズワン社製、「試験管ミキサーTRIO HM-1N」)及び超音波洗浄器(アズワン社製、「ULTRASONIC CLEANER VS-150」)を用いて5分間かけて分散させ、分散液を得た。得られた分散液をレーザー回折散乱方式粒度分布測定装置(ベックマン・コールター社製、「LS230」)により、超音波を照射しながら、下記の測定条件により、分散液中の樹脂微粒子の体積平均粒子径ならびに個数平均粒子径を測定した。
(レーザー回折散乱方式粒度分布測定装置の測定条件)
媒体=水
媒体の屈折率=1.333
固体の屈折率=樹脂微粒子の屈折率
PIDS相対濃度:40~55%
測定時の光学モデルは、製造した樹脂微粒子の屈折率に合わせた。樹脂微粒子の製造に1種類の単量体を用いた場合には、樹脂微粒子の屈折率としてその単量体の単独重合体の屈折率を用いた。樹脂微粒子の製造に複数種類の単量体を用いた場合には、樹脂微粒子の屈折率として、各単量体の単独重合体の屈折率を各単量体の使用量で加重平均した平均値を用いた。
測定結果から、樹脂微粒子の体積基準の粒度分布を得た。当該体積基準の粒度分布の算術平均を樹脂微粒子の体積平均粒子径とした。
【0076】
<体積平均粒子径の変動係数>
樹脂微粒子の体積平均粒子径の変動係数(CV値)を以下の数式によって算出した。
樹脂微粒子の体積平均粒子径の変動係数=[(樹脂微粒子の体積基準の粒度分布の標準偏差)/(樹脂微粒子の体積平均粒子径)]×100
【0077】
[実施例1]
<樹脂微粒子の製造>
攪拌装置と温度計と冷却機構を兼ね備えた重合器内で、イオン交換水320部とアクアロンAR-1025(第一工業製薬社製)0.2部を混合した。別の容器でメタクリル酸メチル3.8部とエチレングリコールジメタクリレート0.2部を混合して、重合器に投入し、TKホモミキサー(プライミクス社製)により8000rpmで10分間攪拌することにより、単量体混合液を得た。重合器の窒素パージを5分間実施した後85℃まで昇温し、85℃に到達した時点で、10部のイオン交換水に溶解させたVA-086(富士フィルム和光純薬社製)0.2部を投入し1時間反応させてスラリー(1)を得た。
次に先程使用したものとは別の容器でイオン交換水36部とアクアロンAR-1025(第一工業製薬社製)0.3部とアクアロンAN-5065(第一工業製薬社製)0.03部を混合して界面活性剤溶液を得た。さらに別の容器でエチレングリコールジメタクリレート36部をよく混合して、前記界面活性剤溶液に投入し、TKホモミキサー(プライミクス社製)により8000rpmで10分間攪拌して、単量体混合液(2)を得た。
前記単量体混合液(2)を、前記重合器内で85℃に保持されたスラリー(1)に2時間かけて8分割して投入した。その後1時間熟成工程を経て、100℃まで昇温し3時間保持してから冷却して、樹脂微粒子含有スラリーを作成した。
樹脂微粒子含有スラリーを400Meshのナイロン網に通過させて樹脂微粒子の分級を行い、分級された樹脂微粒子スラリーを得た。
分級された樹脂微粒子スラリーを、噴霧乾燥機(坂本技研社製、機械名:スプレードライヤー、型式:アトマイザーテイクアップ方式、型番:TRS-3WK)を用いて、以下の装置条件下、噴霧乾燥して、樹脂微粒子の集合体を得た。
【0078】
<装置条件>
樹脂微粒子を含むスラリー供給速度:25mL/min
アトマイザ回転数:12000rpm
風量:2m3/min
入口温度(スプレードライヤーに備えられた、樹脂微粒子を含むスラリーが噴霧されて導入される樹脂微粒子を含むスラリー投入口の温度):150℃
出口温度(スプレードライヤーに備えられた、ビニル系樹脂微粒子の集合体が排出される粉体出口温度):70℃
得られた樹脂微粒子集合体を、カレントジェットミル(日清エンジニアリング社製、商品名:CJ-10、粉砕空気圧:0.5MPa)を使用して解砕処理を行った結果、目的の樹脂微粒子を得た。
【0079】
<樹脂微粒子の物性>
得られた樹脂微粒子の体積平均粒子径は183nmであり、変動係数は20.8%であった。また、得られた樹脂微粒子を赤外分光光度計によるATR法で測定した赤外分光スペクトルにて、波数1700cm-1~1800cm-1の最大ピーク高さ(極大吸光度)(A)=0.1921、波数1600cm-1~1700cm-1の最大ピーク高さ(極大吸光度)(B)=0.00965を確認し、吸光度比(B)/(A)は0.05023であった。
また、固着性試験の評価は、Aであった。
得られた樹脂微粒子の物性及び評価結果を、表1に示す。
【0080】
[実施例2]
実施例1に記載の樹脂微粒子の製造条件において、単量体混合液(2)の作成時に使用したエチレングリコールジメタクリレート36部を、エチレングリコールジメタクリレート34部及びスチレン2部に変更した以外は、実施例1と同条件で処理して、目的の樹脂微粒子を得た。
得られた樹脂微粒子の物性及び評価結果を、表1に示す。
【0081】
[実施例3]
実施例1に記載の樹脂微粒子の製造条件において、単量体混合液(2)の作成時に使用したエチレングリコールジメタクリレート36部を、エチレングリコールジメタクリレート24部及びメタクリル酸メチル12部に変更した以外は、実施例1と同条件で処理して、目的の樹脂微粒子を得た。
得られた樹脂微粒子の物性及び評価結果を、表1に示す。
【0082】
[実施例4]
攪拌装置と温度計と冷却機構を兼ね備えた重合器内で、イオン交換水70部にピロリン酸マグネシウム6部、ラウリル硫酸ナトリウム0.04部を混合した。別の容器にてエチレングリコールジメタクリレート20部と2,2´-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)0.12部をよく混合し、重合器内に投入し、TKホモミキサー(プライミクス社製)により7,000rpmで5分間攪拌して、単量体混合液を得た。さらに得られた単量体混合液をマイクロフルイダイザーにて20MPaで処理し、重合器内に再度投入した。重合器の窒素パージを5分間実施した後55℃まで昇温し、4時間反応を行い、その後1時間熟成させた後、100℃まで昇温し3時間重合させた。得られた樹脂微粒子含有スラリーを冷却して取り出した後、遠心分離機にて粒子と上澄み液を分離し、上澄み液のみを除去した。得られた粒子をイオン交換水に再分散させたのち、同様に遠心分離機にて分離し上澄みを除去する洗浄工程を繰り返し、上澄み液の導電率が15μS以下になった時点で洗浄終点とした。得られた粒子を真空オーブンにて乾燥し、乾燥粉体を得た。得られた乾燥粉体をターボクラシファイア(日清エンジニアリング社製)にて気流分級処理して、目的の樹脂微粒子を得た。
得られた樹脂微粒子の物性及び評価結果を、表1に示す。
【0083】
[実施例5]
実施例4に記載の樹脂微粒子の製造条件において、単量体混合液(2)の作成時に使用したエチレングリコールジメタクリレート20部を、エチレングリコールジメタクリレート18部とペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート2部に変更した以外は、実施例4と同条件で処理して、目的の樹脂微粒子を得た。
得られた樹脂微粒子の物性及び評価結果を、表1に示す。
【0084】
[比較例1]
実施例1に記載の樹脂微粒子の製造条件において、単量体混合液(2)の作成時に使用したエチレングリコールジメタクリレート36部を、エチレングリコールジメタクリレート8部及びメタクリル酸メチル28部に変更した以外は、実施例1と同条件で処理して、目的の樹脂微粒子を得た。
得られた樹脂微粒子の物性及び評価結果を、表1に示す。
【0085】
[比較例2]
実施例4に記載の樹脂微粒子の製造条件において、単量体混合液(2)の作成時に使用したエチレングリコールジメタクリレート20部を、エチレングリコールジメタクリレート4部及びメタクリル酸メチル16部に変更した以外は、実施例4と同条件で処理して、目的の樹脂微粒子を得た。
得られた樹脂微粒子の物性及び評価結果を、表1に示す。
【0086】
実施例1~5及び比較例1~2について、得られた樹脂微粒子の体積平均粒子径、変動係数、極大吸光度(A)、極大吸光度(B)、吸光度比(B)/(A)、含有水分量、未反応ビニル系単量体総量、残存界面活性剤量、及び、固着性試験結果を表1に示す。
【0087】
【0088】
本発明は、その精神又は主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、上述の実施例はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。