(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-14
(45)【発行日】2025-01-22
(54)【発明の名称】増設バッテリボックス及びそれを備えた無停電電源装置
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20250115BHJP
H02J 7/34 20060101ALI20250115BHJP
H02J 9/06 20060101ALI20250115BHJP
H01M 50/296 20210101ALI20250115BHJP
【FI】
H02J7/00 301B
H02J7/34 G
H02J9/06
H02J7/00 302C
H01M50/296
(21)【出願番号】P 2020126332
(22)【出願日】2020-07-27
【審査請求日】2023-07-06
(73)【特許権者】
【識別番号】507151526
【氏名又は名称】株式会社GSユアサ
(72)【発明者】
【氏名】留河 英知
(72)【発明者】
【氏名】土手 芳浩
【審査官】清水 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-065393(JP,A)
【文献】国際公開第2017/056408(WO,A1)
【文献】特開2012-019609(JP,A)
【文献】特開2005-347203(JP,A)
【文献】国際公開第2012/132135(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00 - 7/12
H02J 7/34 - 11/00
H01M 10/42 - 10/48
H01M 50/20 - 50/298
H01M 50/50 - 50/598
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無停電電源装置の増設バッテリボックスであって、
背面板と、
前記背面板に設けられ、電源ケーブルが接続されるコネクタと、を備え、
前記背面板は、外側から内側に凹んだ凹部を有し、前記凹部を形成する傾斜部に、前記コネクタが配置されており、
前記背面板は、回路基板保持部を有し、前記背面板の断面視において、前記回路基板保持部と前記傾斜部とにより前記背面板の内表面に鈍角が形成されている
、増設バッテリボックス。
【請求項2】
回路基板を更に備え、
前記傾斜部は、前記回路基板保持部に保持された前記回路基板の仮想延長線と交差している、請求項
1に記載の増設バッテリボックス。
【請求項3】
前記背面板の一端及び他端にそれぞれ接続されて互いに平行に配置された第1板及び第2板を更に備え、
前記第1板及び第2板のそれぞれは、前記凹部の形状に適合する切り欠きが形成されている、請求項1
または2に記載の増設バッテリボックス。
【請求項4】
当該増設バッテリボックスに収容される第1バッテリ及び第2バッテリを更に備え、
前記背面板は、前記傾斜部とともに前記凹部を形成する底部を有し、
前記回路基板は、水平方向に間隔を隔てて前記第1バッテリに対向し、
前記底部は、その内表面が前記第2バッテリを水平方向に支持する、請求項
2に記載の増設バッテリボックス。
【請求項5】
前記第1バッテリ及び第2バッテリは、前記回路基板上で並列に接続されている
、請求項
4に記載の増設バッテリボックス。
【請求項6】
無停電電源装置の増設バッテリボックスであって、
背面板と、
前記背面板に設けられ、電源ケーブルが接続されるコネクタと、を備え、
前記背面板は、外側から内側に凹んだ凹部を有し、前記凹部を形成する傾斜部に、前記コネクタが配置されており、
前記背面板の一端及び他端にそれぞれ接続されて互いに平行に配置された第1板及び第2板を更に備え、
前記第1板及び第2板のそれぞれは、前記凹部の形状に適合する切り欠きが形成されている
、増設バッテリボックス。
【請求項7】
請求項1~請求項6のいずれか1項に記載の増設バッテリボックスが積層された無停電電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、増設バッテリボックス及びそれを備えた無停電電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、容量の異なる複数の無停電電源装置に使用することが可能な増設バッテリボックスを開示している。増設バッテリボックスは、無停電電源装置に内蔵されたバッテリの個数に対応して増設バッテリボックス内のバッテリを直列接続する切り替え部を有している(特許文献1、
図1及び
図2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
無停電電源装置の増設バッテリボックスは、その背面側で、電源ケーブルによって無停電電源装置と接続される。
増設バッテリボックス背面側における電源ケーブルの配置に関して、改善の余地があった。
【0005】
本発明の一態様は、電源ケーブルの配置スペースを縮小できる、無停電電源装置の増設バッテリボックスを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る無停電電源装置の増設バッテリボックスは、
背面板と、
前記背面板に設けられ、電源ケーブルが接続されるコネクタと、を備え、
前記背面板は、外側から内側に凹んだ凹部を有し、前記凹部を形成する傾斜部に、前記コネクタが配置されている。
【発明の効果】
【0007】
上記態様により、電源ケーブルの突出量を抑制して、増設バッテリボックスの実質的な設置スペースを縮小できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】増設バッテリボックスを備えた無停電電源装置を示す正面図である。
【
図2】増設バッテリボックスを備えた無停電電源装置を示す背面図である。
【
図4】増設バッテリボックスの前面板を取外した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
従来、無停電電源装置の増設バッテリボックスとして、設置面に対して垂直に延びる背面板に、電源ケーブルが接続されるコネクタが配置されたものがある。
本発明者らが検討したところ、増設バッテリボックスの実質的な設置スペースを縮小することに関し、改善の余地があった。
【0010】
本発明者らが考案した無停電電源装置の増設バッテリボックスは、背面板と、前記背面板に設けられ、電源ケーブルが接続されるコネクタと、を備え、前記背面板は、外側から内側に凹んだ凹部を有し、前記凹部を形成する傾斜部に、前記コネクタが配置されている。
【0011】
上記構成により、電源ケーブルの突出量を抑制して、増設バッテリボックスの実質的な設置スペースを縮小できる。
【0012】
前記背面板は、回路基板保持部を有し、前記背面板の断面視において、前記回路基板保持部と前記傾斜部とにより前記背面板の内表面に鈍角が形成されていてもよい。
【0013】
回路基板保持部と傾斜部とにより背面板の内表面に鈍角を形成することで、背面板の外表面に、180°より大きく270°未満の優角(reflex angle)を形成できる。
上記構成により、電源ケーブルの着脱性を保ちながら、電源ケーブルの突出量を抑制できる。
仮に、回路基板保持部と傾斜部とにより背面板の内表面に直角ないし鋭角が形成されていると、電源ケーブルの着脱性が低下する。
【0014】
増設バッテリボックスは、回路基板を更に備え、前記傾斜部は、前記回路基板保持部に保持された前記回路基板の仮想延長線と交差していてもよい。
【0015】
上記構成により、凹部が設けられた箇所よりも外側に張り出した回路基板保持部に回路基板を収容して、増設バッテリボックス内の、バッテリや配線を収容するためのスペースを拡大できる。
【0016】
増設バッテリボックスは、前記背面板の一端及び他端にそれぞれ接続されて互いに平行に配置された第1板及び第2板を更に備え、前記第1板及び第2板のそれぞれは、前記凹部の形状に適合する切り欠きが形成されていてもよい。
【0017】
上記構成により、背面板から第1板及び第2板が突出しないため、電源ケーブルの着脱性が保たれる。
【0018】
増設バッテリボックスは、当該増設バッテリボックスに収容される第1バッテリ及び第2バッテリを更に備えてもよい。前記背面板は、前記傾斜部とともに前記凹部を形成する底部を有してもよい。前記回路基板は、水平方向に間隔を隔てて前記第1バッテリに対向し、前記底部は、その内表面が前記第2バッテリを水平方向に支持してもよい。
【0019】
上記構成により、背面板の底部が、第2バッテリを位置決めする機能を兼ねるため、増設バッテリボックスの部品点数を減らすことができる。
【0020】
前記第1バッテリ及び第2バッテリは、前記回路基板上で並列に接続されていてもよい。
【0021】
上記構成により、回路基板からコネクタに延びる配線の数を減らしてコネクタを小型化することが可能となる。
【0022】
以下、図面を参照しながら、増設バッテリボックス及びそれを備えた無停電電源装置の実施形態を説明する。
【0023】
本明細書において、「縦置き」とは、「横置き」したときよりも、設置面から上端までの高さが高くなる増設バッテリボックスの姿勢を意味する。「横置き」とは、「縦置き」したときよりも、設置面から上端までの高さが低くなる増設バッテリボックスの姿勢を意味する。
「縦方向」とは、設置面に対し、ほぼ垂直な方向を意味する。すなわち、「縦方向」は、増設バッテリボックスの設置面に対して垂直な方向であってもよいし、垂直方向から若干逸脱するが垂直方向に近い方向であってもよい。
「水平方向」とは、設置面に対し、ほぼ平行な方向を意味する。すなわち、「水平方向」は、増設バッテリボックスの設置面に対して平行な方向であってもよいし、平行方向から若干逸脱するが平行方向に近い方向であってもよい。
【0024】
図1に示す無停電電源装置10(以下、「UPS」と呼ぶ)は、3個の増設バッテリボックス30が水平方向に積層されている。UPS10の内部には、組電池(図示せず)が収容されており、商用電源の停電時にその組電池が放電して所定時間(例えば約10分間)にわたり負荷に電力を供給する。UPS10は、組電池を内蔵せず、組電池が外付けされるものであってもよい。各増設バッテリボックス30は、UPS10に電力を供給する組電池(バッテリ)を内蔵し、停電時に、UPS10単独のときと比較してより長時間にわたりUPS10経由で負荷に電力を供給することを可能にする。
【0025】
UPS10に接続される増設バッテリボックス30の数は3個に限定はされず、1個又は2個でもよいし、4個以上(例えば最大6個)でもよい。
【0026】
UPS10の前面板12には、操作ボタンやインジケータを含む操作表示部14が設けられている。増設バッテリボックス30の前面板32には、そのような操作表示部は設けられていない。
【0027】
図1は、UPS10及び増設バッテリボックス30を、縦置きした状態を示している。この状態で、UPS10の高さと、増設バッテリボックス30の高さとは、同一になっている。UPS10と増設バッテリボックス30、並びに、隣接する増設バッテリボックス30同士は、連結金具などを用いて物理的に固定されていることが好ましい。こうすることで、UPS10や増設バッテリボックス30が横倒れすることを防止できる。
【0028】
図示しないが、横置きの場合、
図1に示される最も左側の増設バッテリボックス30が下側に配置され(設置面に接し)、UPS10が最も上側に配置される。
【0029】
図2は、増設バッテリボックス30を一体的に備えたUPS10の背面図である。UPS10の背面板13には、負荷を接続するためのソケット(アウトレット)16が4個設けられている。ソケット16の数は4個に限定されない。また、背面板13には、背面板13の内表面に隣接して設けられたファンの排気口15と、UPSコネクタ17(
図2では蓋で覆われている)とが設けられている。
【0030】
各増設バッテリボックス30は、その背面板33に、一対のコネクタ36を備えている。UPS10に隣接する増設バッテリボックス30に着目すると、一方のコネクタ36はUPSコネクタ17に接続されてUPS10に給電したりUPS10から受電したりするために用いられ、他方のコネクタ36はUPS10とは反対側に配置された増設バッテリボックス30と給電・受電を行うために用いられる。
【0031】
図3に、一つの増設バッテリボックス30の内部構造を示す。
図3では、組電池の図示は省略する。
増設バッテリボックス30は、当該増設バッテリボックスが縦置きされた場合に縦方向に延びる第1板41と、第2板42とを有する。本実施形態では、第2板42に、水平方向に延びる板43と、板44とが一体的に形成されている。第1板41、第2板42、板43、板44は、金属板である。
【0032】
第1板41及び第2板42の縦方向ほぼ中央に、金属板である仕切板45が、固定具により固定される。仕切板45は、増設バッテリボックス30の内部に、二つの収容空間を形成する。
図3における上部の収容空間に一つの組電池が収容され、下部の収容空間に他の組電池が収容される。
上部の収容空間は、第1板41の一部(上部)、第2板42の上部、板43、仕切板45により区画される。
下部の収容空間は、第1板41の下部、第2板42の下部、仕切板45、板44により区画される。
【0033】
第1板41の内表面に、二つの組電池を支持するための第1支持部材51が内表面から突出するように設けられる。本実施形態における第1支持部材51は、4個の金属レール51a、51b、51c、51dを有する。
【0034】
第2板42の内表面に、二つの組電池を支持するための第2支持部材52が内表面から突出するように設けられる。本実施形態における第2支持部材52は、2個の金属レール52a、52bを有する。
【0035】
本実施形態では、金属レール51a、51b、51c、51d、並びに、金属レール52a、52bとして、断面コ字状のものが用いられている。
【0036】
増設バッテリボックス30が横置きされる場合、第1板41が設置面に平行な方向に延びて底壁となり、第1支持部材51が組電池を下側から支持する。金属レール51a、51b、51c、51dは、組電池の重量に耐える剛性を有して耐久性に優れる。また、金属レール51a、51b、51c、51dは、表面の摩擦抵抗が小さいため、組電池をスムーズにガイドできる。そのため、組電池の取り出し作業・挿入作業が行いやすくなる。
【0037】
増設バッテリボックス30が横置きされる場合、第2板42が底壁となることはない。第2支持部材52は、組電池を下側から支持する機会が想定されないため、第1支持部材51ほどの剛性は必要ない。そこで、第2支持部材52を2個の金属レール52a、52bのみで構成して、増設バッテリボックス30の重量を軽減している。
【0038】
第1板41、第2板42、板43及び板44の一端には、前面板32が取外し可能に取り付けられ、他端には、背面板33が取り付けられる。本実施形態では、背面板33はほぼ一様な厚みを有する金属板である。背面板33は、金属板を折り曲げて(プレス加工して)形成されている。
【0039】
背面板33は、縦方向に延びる回路基板保持部33aを有し、そこに(内表面に)回路基板35が縦方向に延びる姿勢で保持される。回路基板35は、回路基板保持部33aの内表面に固定されたボスにネジ止めされてもよい。
背面板33は、開口が形成された傾斜部(コネクタ保持部)33bを有し、そこにコネクタ36を保持する。コネクタ36は、回路基板35に電気的に接続される。背面板33の外側からは、傾斜部33bに備えられたコネクタ36の穴形状が視認しにくいため、回路基板保持部33aの外表面に、コネクタ36の穴形状を呈示するシールなどの呈示部34が設けられている(
図2参照)。
回路基板35は、縦方向に延びる回路基板保持部33aに近接した位置で保持される。傾斜部33bは、回路基板保持部33aに保持された回路基板35の仮想延長線と交差する。
背面板33は更に、底部33cと、もう一つの傾斜部33dとを有する。傾斜部33b、底部33c、傾斜部33dによって、背面板33の外側から内側に凹んだ凹部33eが形成されている。上側の傾斜部33bと下側の傾斜部33dとが反対方向に傾斜しているため、凹部33eは、外側に向かうほど開口面積が大きい。
第1板41、第2板42の、背面板33に接続される辺には、背面板33の凹部33eの形状に適合する切り欠き41a、42aが形成されている。
【0040】
仕切板45に沿って配置されている電源ケーブル55は、その一端が、前面板32の近傍に位置する組電池の端子に接続され、その他端が、回路基板35に接続される。
電源ケーブル55は、上部の収容空間において、金属レール51a、51b、金属レール52a、及び組電池と干渉しないように、上部の収容空間の周辺に配置される。
【0041】
金属レール51a、51b、51c、51dと前面板32との間、並びに、金属レール52a、52bと前面板32との間に、ガイド板54と押さえ金具37とが設けられている。
【0042】
図4に、隣接する二つの増設バッテリボックス30の、前面板を取外した状態を示す。
図4における左側の増設バッテリボックス30は、組電池を図示していない。
【0043】
左側の増設バッテリボックス30に示されるように、左右に位置するガイド板54が、組電池20a、20bの挿入方向の奥側に位置する金属レール51a、51b、51c、51d、並びに、図示しない金属レール52a、52bに組電池20a、20bが到るまで、組電池の挿入をガイドする。
ガイド板54は、組電池を前側から押さえるための押さえ金具37や、隣接する増設バッテリボックス30同士を固定するための連結金具25を取り付けるための、ブラケットとしても機能している。
【0044】
上述したように、仕切板45に沿って、電源ケーブル55が前方に引き出されて、上部の収容空間に収容された組電池20aの端子から延びたケーブルのコネクタ21に接続されている。
ここでは、上部の収容空間において、電源ケーブル55は、仕切板45の上面と第1板41の内表面とが形成する角部(金属レール51bと仕切板45との間)に配置されている。下部の収容空間において、電源ケーブルは、仕切板45の下面と第1板41の内表面とが形成する角部(金属レール51cと仕切板45との間)に配置されている。
【0045】
右側の増設バッテリボックス30に示されるように、上部の収容空間に一つの組電池(第1のバッテリ)20aが収容され、下部の収容空間に他の組電池(第2のバッテリ)20bが収容される。収容空間における組電池20a、20bの上下の動きは、板43、仕切板45、板44によって規制される。板43の下面と仕切板45の上面との間隔、仕切板45の下面と板44の上面との間隔はそれぞれ、組電池20a、20bの縦方向の寸法とほぼ等しい。そのため、組電池20a、20bの上方向及び下方向には、部品を配置するための空間がない。
【0046】
第1板41の内表面と第2板42の内表面との間隔は、組電池20a、20bの水平方向の寸法より大きい。収容空間における組電池20a、20bの水平方向の動きは、金属レール51a、51b、51c、51d、並びに、図示しない金属レール52a、52bによって規制される。金属レール51a、51b、51c、51d、並びに、金属レール52a、52bによって、第1板41の内表面及び第2板42の内表面と組電池20a、20bとの間に、電源ケーブル55やガイド板54などの部品を配置するために適当な空間を確保できる。
【0047】
組電池20a、20bそれぞれは、例えば4個の制御弁式鉛蓄電池を、
図4の紙面に直交する方向に並べて配置し、それらを直列に接続したものであってもよい。
【0048】
増設バッテリボックス30は、平行に配置された第1板41及び第2板42と、第1板41及び第2板42とは垂直な方向に平行に配置された第3板43(45)及び第4板45(44)と、第1板41、第2板42、第3板43(45)及び第4板45(44)によって区画された収容空間に収容される組電池20a、20bと、前面板32と、背面板33とを備える。第1板41の内表面に、組電池20a、20bを支持する第1支持部材51(金属レール51a、51b、51c、51d)が内表面から突出して設けられている。前面板32の近傍に位置する組電池20aの端子に一端が接続され、背面板33の近傍に位置する回路基板35に他端が接続される電源ケーブル55が、第1支持部材51及び組電池20aと干渉しないように、収容空間の周辺に配置されている。
【0049】
そのため、前面板32を取り外すのみで、増設バッテリボックス30の前側から組電池20aの交換が行える。電源ケーブル55が、背面板33の近傍に位置する回路基板35から前面板32の近傍にまで延びて、組電池20aの端子に接続されているため、前面板32を取り外すことで、電源ケーブル55と組電池20aの端子との接続点(コネクタ21)に容易にアクセスできる。電源ケーブル55と組電池20aの端子との接続を外すことで、組電池20aを収容空間から取り出せるようになる。新しい組電池20aを収容空間に挿入し、その組電池20aの端子と電源ケーブル55とを接続する作業も、増設バッテリボックス30の前側から容易に行うことができる。
【0050】
上述したように、増設バッテリボックス30の背面板33に、一対のコネクタ36が設けられている(
図2参照)。コネクタ36には、電源ケーブルが接続される。
図5に示すように、本実施形態ではコネクタ36が背面板33の傾斜部33bに設けられているため、コネクタ36の穴(端子)は外側に、斜め下方向を向いて露呈している。このコネクタ36に対する電源ケーブル57の挿抜方向は、傾斜部33bに対し垂直な方向(
図5における斜め方向)である。
【0051】
コネクタ36に電源ケーブル57が装着されると、電源ケーブル57は斜め下方向に向けて延びる。電源ケーブル57、又は電源ケーブル57先端のコネクタは、増設バッテリボックス30の背面の、外側から内側に凹んだ凹部33e内に少なくともその一部が収容される。
【0052】
図5に破線で示すように、回路基板35上に設けられたコネクタが、縦方向に延びる回路基板保持部33a(又はその他の縦方向に延びる面)から外側に露呈する場合、電源ケーブル57の挿抜方向は水平方向となる。
そのようなコネクタに電源ケーブル57が装着されると、増設バッテリボックス30の背面から水平方向(X方向)に電源ケーブル57が突出する量が大きくなる。電源ケーブル57が背面から大きく張り出すため、増設バッテリボックス30の実質的な設置スペースが大きい。
【0053】
本実施形態のように、傾斜部33bに設けられたコネクタ36に電源ケーブル57を装着することで、増設バッテリボックス30の背面から水平方向(X方向)に電源ケーブル57が突出する量を抑制できる。
例えば、電源ケーブル57を、コネクタ36から斜め下方向に向かわせ、U字状に湾曲させて斜め上方向に向かわせて、隣接するUPSコネクタ17や他の増設バッテリボックス30のコネクタに接続させることができる。
こうして、増設バッテリボックス30の実質的な設置スペースを縮小できる。
【0054】
本実施形態では、回路基板保持部33aと傾斜部33bとにより背面板33の内表面に鈍角を形成することで、背面板33の外表面に、180°より大きく270°未満の優角(reflex angle)を形成している。これにより、電源ケーブル57の着脱性を保ちながら、電源ケーブル57の突出量を抑制できる。
仮に、回路基板保持部33aと傾斜部とにより背面板33の内表面に直角ないし鋭角が形成されていると(背面板の外表面に270°以上の優角が形成されていると)、外側からコネクタ36を視認しにくく、かつ、電源ケーブル57をコネクタ36に接続する作業を視認しにくいため、電源ケーブル57の着脱性が低下する。
【0055】
本実施形態では、背面板33における、凹部33eが設けられた箇所に隣接して(上方で)外側に張り出した回路基板保持部33aに、回路基板35を収容している。これにより、増設バッテリボックス30内の、バッテリ20aや配線を収容するためのスペースを拡大できる。
【0056】
本実施形態では、回路基板35は、水平方向に間隔を隔てて組電池20aに対向している。組電池20aと回路基板35との間に、
図4に示した内部の電源ケーブル55が引き回される。他方、凹部33eを形成している底部33cは、その内表面が組電池20bに直接的又は間接的に当接して、組電池20bを水平方向に支持している。底部33cが、組電池20bを位置決めする機能を兼ねるため、増設バッテリボックス30の部品点数を減らすことができる。
本実施形態は、底部33cから斜め下方向に延びる下側の傾斜部33dを有するが、代替的に、下側の傾斜部33dを設けずに、底部33cがそのまま縦方向に設置面まで延びて、その底部33cの内表面により組電池20bを支持してもよい。
【0057】
図6は、増設バッテリボックス30の結線の概略図である。回路基板35上に、並列接続線(パターン)58a、58bが設けられている。並列接続線58aにより、第1バッテリ20aのプラス線に、第2バッテリ20bのプラス線と、隣接するバッテリボックスからのプラス線とが並列に接続されている。並列接続線58bにより、第1バッテリ20aのマイナス線に、第2バッテリ20bのマイナス線と、隣接するバッテリボックスからのマイナス線とが並列に接続されている。
第1バッテリ20aのプラス線、第2バッテリ20bのプラス線には、ヒューズ59が設けられていてもよい。代替的に、マイナス線にヒューズ59が設けられてもよいし、プラス線とマイナス線の両方にヒューズ59が設けられてもよい。
【0058】
上記構成により、回路基板35からコネクタ36に延びる配線の数を減らしてコネクタ36を小型化することが可能となる。
【0059】
本発明は、上述した実施形態に限定はされない。
コネクタ36は、凹部33eを形成する上側の傾斜部33bに代えて、下側の傾斜部33dに設けられてもよい。ただしこの場合、回路基板35からコネクタ36に延びる配線が長くなる。
【0060】
組電池20a、20bは、複数個の鉛蓄電池を一列に並べたもの以外に、複数個の鉛蓄電池を複数列に並べたものであってもよい。
組電池20a、20bは、複数個の鉛蓄電池を直列及び/又は並列に接続したものに限定はされない。組電池20a、20bは、複数個のリチウムイオン電池や、その他の蓄電素子を、直列及び/又は並列に接続したものであってもよい。
組電池20a、20bに代えて、バッテリとして単一の蓄電素子が用いられてもよい。
【符号の説明】
【0061】
10 無停電電源装置(UPS)
30 増設バッテリボックス
33 背面板
33b 傾斜部
33e 凹部
36 コネクタ
41 第1板
42 第2板
43(45) 第3板
45(44) 第4板
51 第1支持部材(金属レール51a、51b、51c、51d)
52 第2支持部材(金属レール52a、52b)
55、57 電源ケーブル