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特許7619032指紋処理装置、指紋処理方法及びコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-14
(45)【発行日】2025-01-22
(54)【発明の名称】指紋処理装置、指紋処理方法及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/00 20170101AFI20250115BHJP
   G06T 1/00 20060101ALI20250115BHJP
   A61B 5/1172 20160101ALI20250115BHJP
【FI】
G06T7/00 530
G06T1/00 400G
A61B5/1172
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020206509
(22)【出願日】2020-12-14
(65)【公開番号】P2022093819
(43)【公開日】2022-06-24
【審査請求日】2023-11-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104765
【弁理士】
【氏名又は名称】江上 達夫
(74)【代理人】
【識別番号】100107331
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 聡延
(74)【代理人】
【識別番号】100131015
【弁理士】
【氏名又は名称】三輪 浩誉
(72)【発明者】
【氏名】坂本 静生
【審査官】藤原 敬利
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/136369(WO,A1)
【文献】特開2004-295383(JP,A)
【文献】特開2006-072553(JP,A)
【文献】特開2010-225102(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/1172
G06T 1/00
G06T 7/00
G06V 40/00-40/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
指紋を3次元座標空間内で表す第1の指紋画像を取得する取得手段と、
前記第1の指紋画像から、前記指紋を2次元座標平面内で表し且つ前記指紋が所望の画像特性で写り込んでいる第2の指紋画像を生成する生成手段と
前記第2の指紋画像から所望の指紋特徴抽出方法を用いて前記指紋の特徴を抽出し、抽出した前記特徴を用いて指紋認証処理を行う認証手段と
を備え、
第1の指紋検出方法を用いて検出された前記指紋が写り込んだ画像から前記所望の指紋特徴抽出方法によって抽出された前記特徴を用いて行われる前記指紋認証処理の精度が、前記第1の指紋検出方法とは異なる第2の指紋検出方法を用いて検出された前記指紋が写り込んだ画像から前記所望の指紋特徴抽出方法によって抽出された前記特徴を用いて行われる前記指紋認証処理の精度よりも高い場合には、前記生成手段は、前記第1の指紋検出方法を用いて検出された前記指紋が写り込んだ画像を、前記第2の指紋画像として生成し、
前記第2の指紋画像は、指紋鑑定を行う鑑定官に提供され、
前記生成手段は、前記鑑定官に対応する指紋検出方法で検出された前記指紋が写り込んだ画像を、前記第2の指紋画像として生成し、
前記指紋検出方法は、インクに指を押し当てることで指紋を採取するインク押捺方法、指の表面を光学的に計測することで指紋を検出する光学検出方法、指の表面と電極との間の静電容量を計測することで指紋を検出する静電容量検出方法、電極から指に注入された電磁波が指から放出される場合に生ずる電界を計測することで指紋を検出する電界検出方法、検出面に押し当てられた指からの圧力を計測することで指紋を検出する感圧方法、及び、検出面に押し当てられた指の温度を計測することで指紋を検出する感熱方法の少なくとも一つを含む
指紋処理装置。
【請求項2】
第1の指紋検出方法を用いて検出された前記指紋が写り込んだ画像を用いて前記鑑定官が行う前記指紋鑑定の効率が、前記第1の指紋検出方法とは異なる第2の指紋検出方法を用いて検出された前記指紋が写り込んだ画像を用いて前記鑑定官が行う前記指紋鑑定の効率よりも高い場合には、前記生成手段は、前記第1の指紋検出方法を用いて検出された前記指紋が写り込んだ画像を、前記第2の指紋画像として生成する
請求項に記載の指紋処理装置。
【請求項3】
前記第1及び第2の指紋画像の夫々には、第1の指紋が写り込んでおり、
前記生成手段は、前記第1の指紋のうち、前記第1の指紋画像とは異なる第3の指紋画像に写り込んでいる第2の指紋の部位に対応する注目部位が、前記第2の指紋と同じ向きで写り込んでいる画像を、前記第2の指紋画像として生成する
請求項1又は2に記載の指紋処理装置。
【請求項4】
指紋を3次元座標空間内で表す第1の指紋画像を取得することと
前記第1の指紋画像から、前記指紋を2次元座標平面内で表し且つ前記指紋が所望の画像特性で写り込んでいる第2の指紋画像を生成することと、
前記第2の指紋画像から所望の指紋特徴抽出方法を用いて前記指紋の特徴を抽出し、抽出した前記特徴を用いて指紋認証処理を行うことと
を含み、
第1の指紋検出方法を用いて検出された前記指紋が写り込んだ画像から前記所望の指紋特徴抽出方法によって抽出された前記特徴を用いて行われる前記指紋認証処理の精度が、前記第1の指紋検出方法とは異なる第2の指紋検出方法を用いて検出された前記指紋が写り込んだ画像から前記所望の指紋特徴抽出方法によって抽出された前記特徴を用いて行われる前記指紋認証処理の精度よりも高い場合には、前記第1の指紋検出方法を用いて検出された前記指紋が写り込んだ画像を、前記第2の指紋画像として生成し、
前記第2の指紋画像は、指紋鑑定を行う鑑定官に提供され、前記鑑定官に対応する指紋検出方法で検出された前記指紋が写り込んだ画像を、前記第2の指紋画像として生成し、前記指紋検出方法は、インクに指を押し当てることで指紋を採取するインク押捺方法、指の表面を光学的に計測することで指紋を検出する光学検出方法、指の表面と電極との間の静電容量を計測することで指紋を検出する静電容量検出方法、電極から指に注入された電磁波が指から放出される場合に生ずる電界を計測することで指紋を検出する電界検出方法、検出面に押し当てられた指からの圧力を計測することで指紋を検出する感圧方法、及び、検出面に押し当てられた指の温度を計測することで指紋を検出する感熱方法の少なくとも一つを含む
指紋処理装置による指紋処理方法。
【請求項5】
指紋を3次元座標空間内で表す第1の指紋画像を取得することと
前記第1の指紋画像から、前記指紋を2次元座標平面内で表し且つ前記指紋が所望の画像特性で写り込んでいる第2の指紋画像を生成することと、
前記第2の指紋画像から所望の指紋特徴抽出方法を用いて前記指紋の特徴を抽出し、抽出した前記特徴を用いて指紋認証処理を行うことと
を含み、
第1の指紋検出方法を用いて検出された前記指紋が写り込んだ画像から前記所望の指紋特徴抽出方法によって抽出された前記特徴を用いて行われる前記指紋認証処理の精度が、前記第1の指紋検出方法とは異なる第2の指紋検出方法を用いて検出された前記指紋が写り込んだ画像から前記所望の指紋特徴抽出方法によって抽出された前記特徴を用いて行われる前記指紋認証処理の精度よりも高い場合には、前記第1の指紋検出方法を用いて検出された前記指紋が写り込んだ画像を、前記第2の指紋画像として生成し、
前記第2の指紋画像は、指紋鑑定を行う鑑定官に提供され、前記鑑定官に対応する指紋検出方法で検出された前記指紋が写り込んだ画像を、前記第2の指紋画像として生成し、前記指紋検出方法は、インクに指を押し当てることで指紋を採取するインク押捺方法、指の表面を光学的に計測することで指紋を検出する光学検出方法、指の表面と電極との間の静電容量を計測することで指紋を検出する静電容量検出方法、電極から指に注入された電磁波が指から放出される場合に生ずる電界を計測することで指紋を検出する電界検出方法、検出面に押し当てられた指からの圧力を計測することで指紋を検出する感圧方法、及び、検出面に押し当てられた指の温度を計測することで指紋を検出する感熱方法の少なくとも一つを含む
指紋処理方法をコンピュータに実行させるコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、指紋に関する処理を行うことが可能な指紋処理装置、指紋処理方法及びコンピュータプログラムの技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ユーザの生体情報を用いてユーザを認証するための生体認証が様々な場面で活用されている。生体認証の一例として、ユーザの指紋を用いてユーザを認証する指紋認証があげられる。例えば、特許文献1には、スキャナを用いてユーザの指紋が写り込んだ指紋画像を生成し、指紋画像を用いてユーザを認証する個人認証システムが記載されている。
【0003】
その他、この開示に関連する先行技術文献として、特許文献2から特許文献5があげられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2001-084371号公報
【文献】特開2009-053842号公報
【文献】特開2006-072554号公報
【文献】特開2003-044857号公報
【文献】特開2001-014462号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
指紋認証を行うにあたって、指紋画像から認証用の特徴を抽出する必要がある。ここで、指紋の特徴は、様々な指紋特徴抽出方法を用いて抽出可能である。この場合、指紋画像から特徴を抽出するための指紋特徴抽出方法によっては、所望の用途に適していない指紋の特徴が抽出される可能性があるという技術的問題が生ずる。つまり、指紋画像は、ある特定の指紋特徴抽出方法を用いて抽出された指紋の特徴を用いて行われる指紋認証の用途に適していない可能性がある。
【0006】
或いは、指紋画像は、指紋認証に加えて又は代えて、指紋鑑定に用いられることもある。指紋鑑定は、通常は、鑑定官によって行われる。この場合、指紋画像は、鑑定官が行う指紋鑑定の用途に適していない可能性があるという技術的問題が生ずる。或いは、指紋鑑定は、鑑定官を介することなく、指紋鑑定を行うことが可能な指紋鑑定装置(例えば、コンピュータ)によって行われることもある。この場合、指紋鑑定装置は、通常、指紋画像から鑑定用の特徴を抽出し、抽出した特徴を用いて指紋鑑定を行う。その結果、指紋認証が行われる場合と同様に、指紋画像から特徴を抽出するための指紋特徴抽出方法によっては、所望の用途に適していない指紋の特徴が抽出される可能性があるという技術的問題が生ずる。つまり、指紋画像は、ある特定の指紋特徴抽出方法を用いて抽出された指紋の特徴を用いて行われる指紋鑑定の用途に適していない可能性がある。
【0007】
この開示は、上述した技術的問題を解決可能な指紋処理装置、指紋処理方法及びコンピュータプログラムを提供することを課題とする。一例として、この開示は、所望の用途(例えば、指紋認証の用途又は指紋鑑定の用途)に適した指紋画像を生成可能な指紋処理装置、指紋処理方法及びコンピュータプログラムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この開示の指紋処理装置の第1の態様は、指紋を3次元座標空間内で表す第1の指紋画像を取得する取得手段と、前記第1の指紋画像から、前記指紋を2次元座標平面内で表し且つ前記指紋が所望の画像特性で写り込んでいる第2の指紋画像を生成する生成手段とを備える。
【0009】
この開示の指紋処理装置の第2の態様は、第1の指紋を表す指紋画像を取得する取得手段と、前記指紋画像とは異なる他の指紋画像に写り込んでいる第2の指紋の部位に対応する前記第1の指紋の第1の部位と、前記第1の指紋のうちの前記第1の部位とは異なる第2の部位とが区別可能な態様で、前記指紋が写り込んでいる前記指紋画像を表示する表示手段とを備える。
【0010】
この開示の指紋処理方法の第1の態様は、指紋を3次元座標空間内で表す第1の指紋画像を取得し、前記第1の指紋画像から、前記指紋を2次元座標平面内で表し且つ前記指紋が所望の画像特性で写り込んでいる第2の指紋画像を生成する。
【0011】
この開示の指紋処理方法の第2の態様は、第1の指紋を表す指紋画像を取得し、前記指紋画像とは異なる他の指紋画像に写り込んでいる第2の指紋の部位に対応する前記第1の指紋の第1の部位と、前記第1の指紋のうちの前記第1の部位とは異なる第2の部位とが区別可能な態様で、前記指紋が写り込んでいる前記指紋画像を表示する。
【0012】
この開示のコンピュータプログラムの第1の態様は、指紋を3次元座標空間内で表す第1の指紋画像を取得し、前記第1の指紋画像から、前記指紋を2次元座標平面内で表し且つ前記指紋が所望の画像特性で写り込んでいる第2の指紋画像を生成する指紋処理方法をコンピュータに実行させる。
【0013】
この開示のコンピュータプログラムの第2の態様は、第1の指紋を表す指紋画像を取得し、前記指紋画像とは異なる他の指紋画像に写り込んでいる第2の指紋の部位に対応する前記第1の指紋の第1の部位と、前記第1の指紋のうちの前記第1の部位とは異なる第2の部位とが区別可能な態様で、前記指紋が写り込んでいる前記指紋画像を表示する指紋処理方法をコンピュータに実行させる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本実施形態の指紋処理システムの全体構成を示すブロック図である。
図2図2は、本実施形態の指紋処理装置の構成を示すブロック図である。
図3図3は、本実施形態の第1の指紋処理の流れを示すフローチャートである。
図4図4は、指紋画像の一例を示す。
図5図5は、指紋画像の一例を示す。
図6図6は、本実施形態の第2の指紋処理の流れを示すフローチャートである。
図7図7は、出力装置による指紋画像及び鑑定対象画像の表示例を示す。
図8図8は、出力装置による指紋画像及び鑑定対象画像の表示例を示す。
図9図9は、出力装置による指紋画像及び鑑定対象画像の表示例を示す。
図10図10は、出力装置による指紋画像及び鑑定対象画像の表示例を示す。
図11図11は、本実施形態の第3の指紋処理の流れを示すフローチャートである。
図12図12は、取得指紋のうち鑑定対象指紋と同じ注目部位を示す。
図13図13は、本実施形態の第4の指紋処理の流れを示すフローチャートである。
図14図14は、注目部位と非注目部位とを区別可能な表示態様で取得指紋画像を表示する表示例を示す。
図15図15は、注目部位と非注目部位とを区別可能な表示態様で取得指紋画像を表示する表示例を示す。
図16図16は、注目部位と非注目部位とを区別可能な表示態様で取得指紋画像を表示する表示例を示す。
図17図17は、変形例の指紋センサの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら、指紋処理装置、指紋処理方法及びコンピュータプログラムの実施形態について説明する。以下では、指紋処理装置、指紋処理方法及びコンピュータプログラムの実施形態が適用された指紋処理システムSYSについて説明する。
【0016】
(1)指紋処理システムSYSの概要
指紋処理システムSYSは、指紋が写り込んだ指紋画像を用いて所定の処理を行う。所定の処理を行うために、指紋処理システムSYSは、典型的には、指紋画像から所望の指紋特徴抽出方法を用いて指紋の特徴を抽出する。ここで、指紋特徴抽出方法として、様々な方法が存在する。この場合、第1の指紋特徴抽出方法で検出された指紋の特徴(以降、“第1の特徴”と称する)と、第1の指紋特徴抽出方法とは異なる第2の指紋特徴抽出方法で抽出された指紋の特徴(以降、“第2の特徴”と称する)とは、もとの指紋画像の画像性質と指紋特徴抽出方法の特性に依存して異なる可能性がある。この結果、第1の特徴と第2の特徴とを比較した時、同一人物の同じ指から採取した指紋画像から抽出した第1及び第2の特徴であっても類似性が十分高くならないことがある。
【0017】
一例として、指紋処理システムSYSは、指紋画像を用いてユーザを認証するための指紋認証処理を行うことがある。この場合、指紋認証処理において第1の指紋特徴抽出方法を用いてある第1の指紋画像から指紋の特徴が抽出される場合には、指紋認証が相対的に高精度に行われる一方で、指紋認証処理において第2の指紋特徴抽出方法を用いて同じ第1の指紋画像から指紋の特徴が抽出される場合には、指紋認証が相対的に高精度に行われない可能性があるという技術的問題が生ずる。逆に、第1の指紋画像とは画像特性が異なる第2の指紋画像から第1の指紋特徴抽出方法を用いて指紋の特徴が抽出される場合には、指紋認証が相対的に高精度に行われない一方で、指紋認証処理において第2の指紋特徴抽出方法を用いて同じ第2の指紋画像から指紋の特徴が抽出される場合には、指紋認証が相対的に高精度に行われる可能性があるという技術的問題も生ずる。このような技術的問題が生ずる原因の一つは、指紋認証処理で用いられる指紋抽出方法は、通常は、指紋画像の画像特性に合わせてチューニングされていることにある。その結果、指紋認証処理で採用される指紋特徴抽出方法の種類と指紋画像の画像特性との組み合わせによっては、指紋認証処理の精度にばらつきが生ずる可能性があるという技術的問題が生ずる。
【0018】
或いは、他の一例として、指紋画像は、指紋鑑定を行う鑑定官によって用いられることがある。この場合、第1の指紋画像が、鑑定官が慣れ親しんだ画像となる一方で、第1の指紋画像とは画像特性が異なる第2の指紋画像が、鑑定官が慣れ親しんでいない画像となる可能性がある。その結果、指紋画像の画像特性によっては、鑑定官による指紋鑑定の効率にばらつきが生ずる可能性があるという技術的問題が生ずる。
【0019】
或いは、他の一例として、指紋画像は、指紋鑑定を行う指紋鑑定装置(例えば、コンピュータ)によって用いられることがある。この場合、指紋鑑定装置は、通常、指紋画像から所望の指紋特徴抽出方法を用いて指紋の特徴を抽出し、抽出した特徴を用いて指紋鑑定を行う。その結果、指紋認証が行われる場合と同様に、指紋画像から特徴を抽出するための指紋特徴抽出方法によっては、所望の用途に適していない指紋の特徴が抽出される可能性があるという技術的問題が生ずる。その結果、指紋鑑定で採用される指紋特徴抽出方法の種類と指紋画像の画像特性との組み合わせによっては、指紋鑑定の精度にばらつきが生ずる可能性があるという技術的問題が生ずる。
【0020】
本実施形態の指紋処理システムSYSは、上述した技術的問題を解決可能である。つまり、本実施形態の指紋処理システムSYSは、上述した技術的問題を解決可能な指紋処理装置、指紋処理方法及びコンピュータプログラムの実施形態が適用された指紋処理システムである。以下、このような指紋処理システムSYSの構成及び動作について順に説明する。
【0021】
(2)指紋処理システムSYSの構成
初めに、図1を参照しながら、本実施形態の指紋処理システムSYSの構成について説明する。図1は、本実施形態の指紋処理システムSYSの構成を示すブロック図である。
【0022】
図1に示すように、指紋処理システムSYSは、指紋センサ1と、指紋処理装置2とを備えている。指紋センサ1と、指紋処理装置2とは、通信ネットワーク3を介して通信可能である。通信ネットワーク3は、有線の通信ネットワークを含んでいてもよい。通信ネットワーク3は、無線の通信ネットワークを含んでいてもよい。
【0023】
指紋センサ1は、指紋を検出可能な検出装置である。本実施形態では、指紋センサ1は、指紋の3次元形状(つまり、指の表面の凹凸の3次元形状であり、指の表面に形成される隆線の3次元形状)を検出可能な検出装置である。指紋センサ1は、指紋を3次元的に検出可能な検出装置である。このような指紋センサ1の一例として、指紋の3次元形状を光学的に検出可能な3Dスキャナ(つまり、3次元計測器)があげられる。
【0024】
指紋センサ1は、指紋を検出することで、検出した指紋を3次元座標空間内で表す指紋画像IMG_3Dを生成する。指紋画像IMG_3Dは、例えば、指の表面の凹凸(例えば、隆線)の各部の位置を3次元座標空間内で示す点を複数含む点群データ(いわゆる、ポイントクラウド)であってもよい。指紋センサ1が生成した指紋画像IMG_3Dは、通信ネットワーク3を介して、指紋センサ1から指紋処理装置2へと送信される。
【0025】
但し、指紋センサ1は、指紋の3次元形状を検出可能な検出装置でなくてもよい。例えば、指紋センサ1は、指紋の2次元形状(つまり、指紋の表面の凹凸のパターンを所定の平面に投影することで得られる指紋の凹凸のパターンの形状)を検出可能な検出装置であってもよい。この場合、指紋センサ1は、指紋を検出することで、指紋を2次元座標平面内で表す画像を生成してもよい。
【0026】
指紋処理装置2は、指紋センサ1から送信される指紋画像IMG_3Dを受信する。指紋処理装置2は、指紋画像IMG_3Dを用いて、指紋に関する所望の処理を行う。尚、以下の説明では、指紋に関する所望の処理を、“指紋処理”と称する。
【0027】
指紋処理装置2は、指紋処理の少なくとも一部として、指紋画像IMG_3Dから指紋画像IMG_2Dを生成するための画像生成処理を行ってもよい。尚、指紋画像IMG_3Dから指紋画像IMG_2Dを生成する動作は、指紋画像IMG_3Dを指紋画像IMG_2Dに変換する動作と等価であるとみなしてもよい。この場合、画像生成処理は、画像変換処理と称されてもよい。
【0028】
指紋画像IMG_2Dは、指紋画像IMG_3Dが表す指紋(つまり、指紋画像IMG_3Dに写り込んでいる指紋)を2次元座標平面内で表す画像である。つまり、指紋画像IMG_2Dは、2次元座標平面内に分布する複数の画素(典型的には、マトリクス状に分布する複数の画素)を用いて指紋を表す画像である。上述したように、指紋画像IMG_3Dは、指紋を3次元座標空間内で表す画像(例えば、点群データ)である。このため、指紋画像IMG_3Dから指紋画像IMG_2Dを生成する動作は、指紋の3次元データを指紋の2次元データに変換する動作と等価であるとみなしてもよい。指紋画像IMG_3Dから指紋画像IMG_2Dを生成する動作は、指紋画像IMG_3Dが3次元座標空間内で表す指紋を所定の平面に投影する(言い換えれば、射影する)ことで、2次元座標平面内での指紋の形状を算出する動作と等価であるとみなしてもよい。
【0029】
指紋画像IMG_2Dは更に、指紋画像IMG_3Dに写り込んでいる指紋が所望の画像特性(言い換えれば、傾向)で写り込んでいる画像である。つまり、指紋画像IMG_2Dは、写り込んでいる指紋が所望の画像特性を有している画像である。指紋の画像特性は、例えば、指紋の各部分(例えば、指紋を構成する各画素)の明度、彩度、輝度、解像度及び階調のうちの少なくとも一つを含んでいてもよい。指紋の画像特性は、指紋を表す画素の数(いわゆる、画素数)を含んでいてもよい。指紋の画像特性は、指紋を表す画素に重畳されているノイズに関する特性を含んでいてもよい。指紋の画像特性は、画像内での指紋の位置に関する特性を含んでいてもよい。
【0030】
本実施形態では、指紋の画像特性は、指紋を検出するために利用可能な指紋検出方法の種類の違いに応じて変化する特性を含んでいてもよい。例えば、指紋を検出するための方法の一例として、インクに指を押し当てることで指紋を採取するインク押捺方法、指の表面を光学的に計測することで指紋を検出する光学検出方法、指の表面と電極との間の静電容量を計測することで指紋を検出する静電容量検出方法、電極から指に注入された電磁波が指から放出される場合に生ずる電界を計測することで指紋を検出する電界検出方法、検出面に押し当てられた指からの圧力を計測することで指紋を検出する感圧方法、及び、検出面に押し当てられた指の温度を計測することで指紋を検出する感熱方法の少なくとも一つがあげられる。この場合、指紋画像IMG_2Dを生成する動作は、インク押捺方法で検出された指紋を表す画像と同じ指紋画像IMG_2Dを生成する動作、光学検出方法で検出された指紋を表す画像と同じ指紋画像IMG_2Dを生成する動作、静電容量検出方法で検出された指紋を表す画像と同じ指紋画像IMG_2Dを生成する動作、電界検出方法で検出された指紋を表す画像と同じ指紋画像IMG_2Dを生成する動作、感圧方法で検出された指紋を表す画像と同じ指紋画像IMG_2Dを生成する動作、及び、感熱方法で検出された指紋を表す画像と同じ指紋画像IMG_2Dを生成する動作のうちの少なくとも一つを含んでいてもよい。指紋画像IMG_2Dを生成する動作は、インク押捺方法に固有の画像特性を有する指紋が写り込んだ指紋画像IMG_2Dを生成する動作、光学検出方法に固有の画像特性を有する指紋が写り込んだ指紋画像IMG_2Dを生成する動作、静電容量検出方法に固有の画像特性を有する指紋が写り込んだ指紋画像IMG_2Dを生成する動作、電界検出方法に固有の画像特性を有する指紋が写り込んだ指紋画像IMG_2Dを生成する動作、感圧方法に固有の画像特性を有する指紋が写り込んだ指紋画像IMG_2Dを生成する動作、及び、感熱方法に固有の画像特性を有する指紋が写り込んだ指紋画像IMG_2Dを生成する動作のうちの少なくとも一つを含んでいてもよい。つまり、指紋画像IMG_2Dを生成する動作は、所望の指紋検出方法で検出された指紋を表す画像と同じ指紋画像IMG_2D(つまり、所望の指紋検出方法に固有の画像特性を有する指紋が写り込んだ指紋画像IMG_2D)を生成する動作を含んでいてもよい。指紋画像IMG_2Dを生成する動作は、指紋画像IMG_3Dに写り込んでいる指紋が所望の指紋検出方法で検出されたと仮定した場合に生成される指紋画像IMG_2Dを模擬的に又は疑似的に生成する動作を含んでいてもよい。
【0031】
指紋処理装置2は、指紋処理の少なくとも一部として、指紋画像IMG_2Dに写り込んだ指紋を用いた指紋認証処理を行ってもよい。指紋認証処理は、指紋画像IMG_2Dに指紋が写り込んでいる認証対象者を認証するための処理を含んでいてもよい。指紋認証処理を行うために、指紋処理装置2は、典型的には、指紋画像IMG_2Dから所望の指紋特徴抽出方法を用いて指紋の特徴を抽出し、抽出した指紋の特徴を用いて認証対象者を認証する。
【0032】
指紋処理装置2は、指紋処理の少なくとも一部として、指紋画像IMG_2Dに写り込んだ指紋を用いた指紋鑑定処理を行ってもよい。指紋鑑定処理は、指紋画像IMG_2Dに写り込んだ指紋が、鑑定対象となる指紋と一致するか否かを判定する処理を含んでいてもよい。一例として、指紋鑑定処理は、指紋画像IMG_2Dに写り込んだ指紋が、犯罪現場に残された遺留指紋と一致するか否かを判定する処理を含んでいてもよい。指紋鑑定処理を行うために、指紋処理装置2は、典型的には、指紋画像IMG_2Dから所望の指紋特徴抽出方法を用いて指紋の特徴を抽出し、抽出した指紋の特徴を用いて、指紋画像IMG_2Dに写り込んだ指紋が、犯罪現場に残された遺留指紋と一致するか否かを判定する。
【0033】
尚、指紋認証処理においても、指紋処理装置2は、通常は、指紋画像IMG_2Dに写り込んだ指紋が、指紋認証用の指紋データベースに登録された指紋と一致するか否かを判定している。このため、指紋鑑定処理は、指紋認証処理に包含される処理であるとみなしてもよい。つまり、本実施形態では、指紋認証処理は、指紋画像IMG_2Dに指紋が写り込んでいる認証対象者を認証するための処理のみならず、指紋画像IMG_2Dに写り込んだ指紋が、鑑定対象となる指紋と一致するか否かを判定する処理をも含んでいてもよい。
【0034】
指紋処理装置2は、指紋処理の少なくとも一部として、指紋画像IMG_2Dを用いて指紋鑑定を行う鑑定官を支援する鑑定支援処理を行ってもよい。鑑定支援処理は、鑑定官による指紋鑑定の効率を上げるための処理を含んでいてもよい。鑑定支援処理は、鑑定官による指紋鑑定の精度を上げるための処理を含んでいてもよい。一例として、鑑定支援処理は、指紋画像IMG_2Dに写り込んだ指紋と、鑑定対象となる指紋(例えば、犯罪現場に残された遺留指紋)とを並べて表示する処理を含んでいてもよい。一例として、鑑定支援処理は、指紋画像IMG_2Dに写り込んだ指紋を、鑑定対象となる指紋(例えば、犯罪現場に残された遺留指紋)に重ねて表示する処理を含んでいてもよい。
【0035】
指紋処理を行う指紋処理装置2の構成が図2に示されている。図2に示すように、指紋処理装置2は、演算装置21と、記憶装置22と、通信装置23とを備えている。更に、指紋処理装置2は、入力装置24と、出力装置25とを備えていてもよい。但し、指紋処理装置2は、入力装置24及び出力装置25の少なくとも一つを備えていなくてもよい。演算装置21と、記憶装置22と、通信装置23と、入力装置24と、出力装置25とは、データバス26を介して接続されていてもよい。
【0036】
演算装置21は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphic Processing Unit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、DSP(Demand-Side Platform)及びASIC(Application Specific Integrated Circuit)のうちの少なくとも一つを含んでいてもよい。また、複数を並列で用いてもよい。演算装置21は、コンピュータプログラムを読み込む。例えば、演算装置21は、記憶装置22が記憶しているコンピュータプログラムを読み込んでもよい。例えば、演算装置21は、コンピュータで読み取り可能であって且つ一時的でない記録媒体が記憶しているコンピュータプログラムを、図示しない記録媒体読み取り装置を用いて読み込んでもよい。演算装置21は、通信装置23を介して、指紋処理装置2の外部に配置される不図示の装置からコンピュータプログラムを取得してもよい(つまり、ダウンロードしてもよい又は読み込んでもよい)。演算装置21は、読み込んだコンピュータプログラムを実行する。その結果、演算装置21内には、指紋処理装置2が行うべき処理(例えば、指紋処理の少なくとも一部)を実行するための論理的な機能ブロックが実現される。つまり、演算装置21は、指紋処理装置2が行うべき処理を実行するための論理的な機能ブロックを実現するためのコントローラとして機能可能である。
【0037】
図2には、指紋処理の少なくとも一部を実行するために演算装置21内に実現される論理的な機能ブロックの一例が示されている。図2に示すように、演算装置21内には、「取得手段」の一具体例である画像取得部211と、「生成手段」の一具体例である画像生成部212と、「表示手段」の一具体例である出力制御部213と、指紋認証部214とが実現される。画像取得部211は、通信装置23を用いて、指紋センサ1から指紋画像IMG_3Dを取得する。画像生成部212は、画像取得部211が取得した指紋画像IMG_3Dから、指紋画像IMG_2Dを生成する。出力制御部213は、画像生成部212が生成した指紋画像IMG_2Dを出力する(例えば、表示する)ように出力装置25を制御する。指紋認証部214は、画像生成部212が生成した指紋画像IMG_2D(或いは、指紋画像IMG_3D)を用いて、指紋認証処理を行う。
【0038】
記憶装置22は、所望のデータを記憶可能である。例えば、記憶装置22は、演算装置21が実行するコンピュータプログラムを一時的に記憶していてもよい。記憶装置22は、演算装置21がコンピュータプログラムを実行している際に演算装置21が一時的に使用するデータを一時的に記憶してもよい。記憶装置22は、指紋処理装置2が長期的に保存するデータを記憶してもよい。尚、記憶装置22は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、ハードディスク装置、光磁気ディスク装置、SSD(Solid State Drive)及びディスクアレイ装置のうちの少なくとも一つを含んでいてもよい。つまり、記憶装置22は、一時的でない記録媒体を含んでいてもよい。
【0039】
本実施形態では、記憶装置22は、指紋データベース(DB:DataBase)221を記憶していてもよい。指紋データベース221は、指紋に関するデータ(情報)を格納するデータベースである。例えば、指紋データベース221は、指紋センサ1が生成した指紋画像IMG_3Dを格納してもよい。例えば、指紋データベース221は、指紋処理装置2が生成した指紋画像IMG_2Dを格納してもよい。例えば、指紋データベース221は、任意の指紋画像(つまり、任意の指紋が写り込んだ任意の画像)を格納してもよい。
【0040】
通信装置23は、通信ネットワーク3を介して、指紋センサ1から送信される情報を受信可能である。本実施形態では、上述したように、通信装置23は、指紋センサ1から送信される指紋画像IMG_3Dを受信可能(つまり、取得可能)である。
【0041】
入力装置24は、指紋処理装置2の外部からの指紋処理装置2に対する情報の入力を受け付ける装置である。例えば、入力装置24は、指紋処理装置2のユーザが操作可能な操作装置(例えば、キーボード、マウス及びタッチパネルのうちの少なくとも一つ)を含んでいてもよい。例えば、入力装置24は、指紋処理装置2に対して外付け可能な記録媒体にデータとして記録されている情報を読み取り可能な読取装置を含んでいてもよい。
【0042】
尚、指紋センサ1が、指紋処理装置2の入力装置24として用いられてもよい。例えば、指紋センサ1が、指紋画像IMG_3Dを指紋処理装置2に入力するための入力装置24として用いられてもよい。
【0043】
出力装置25は、指紋処理装置2の外部に対して情報を出力する装置である。例えば、出力装置25は、情報を画像として出力してもよい。つまり、出力装置25は、出力したい情報を示す画像を表示可能な表示装置(いわゆる、ディスプレイ)を含んでいてもよい。例えば、出力装置25は、情報を音声として出力してもよい。つまり、出力装置25は、音声を出力可能な音声出力装置(いわゆる、スピーカ)を含んでいてもよい。例えば、出力装置25は、紙面に情報を出力してもよい。つまり、出力装置25は、紙面に所望の情報を印刷可能な印刷装置(いわゆる、プリンタ)を含んでいてもよい。
【0044】
(3)指紋処理装置2が行う指紋処理の具体例
続いて、指紋処理装置2が行う指紋処理の具体例について説明する。本実施形態では、指紋処理装置2は、第1の指紋処理から第4の指紋処理のうちの少なくとも一つを行ってもよい。以下、第1の指紋処理から第4の指紋処理について順に説明する。
【0045】
(3-1)第1の指紋処理
初めに、第1の指紋処理について説明する。第1の指紋処理は、指紋認証処理で用いられる指紋特徴抽出方法の内容に基づいて指紋画像IMG_3Dから指紋画像IMG_2Dを生成する第1の画像生成処理を含む。このため、指紋処理装置2は、典型的には、指紋認証処理を行う場合に、第1の画像生成処理を行う。つまり、指紋処理装置2は、典型的には、第1の画像生成処理と指紋認証処理とを含む第1の指紋処理を行う。以下、図3を参照しながら、第1の指紋処理の流れについて説明する。図3は、第1の指紋処理の流れを示すフローチャートである。
【0046】
図3に示すように、画像取得部211は、通信装置23を用いて、指紋センサ1から指紋画像IMG_3Dを取得する(ステップS11)。尚、ステップS11において取得された指紋画像IMG_3Dは、記憶装置22が記憶する指紋データベース221に格納されてもよい。
【0047】
但し、画像取得部211は、ステップS11において、指紋センサ1とは異なる装置から指紋画像IMG_3Dを取得してもよい。例えば、画像取得部211は、記憶装置22から(具体的には、記憶装置22が格納している指紋データベース221から)、指紋画像IMG_3Dを取得してもよい。例えば、画像取得部211は、通信ネットワーク3を介して指紋処理装置2と通信可能なクラウドサーバから、指紋画像IMG_3Dを取得してもよい。例えば、画像取得部211は、入力装置24を介して指紋処理装置2に入力される指紋画像IMG_3Dを取得してもよい。
【0048】
その後、画像生成部212は、ステップS11で取得された指紋画像IMG_3Dから、指紋画像IMG_2Dを生成する(ステップS12)。第1の指紋処理では、画像生成部212は、指紋認証処理で用いられる指紋特徴抽出方法の内容に基づいて、指紋画像IMG_3Dから指紋画像IMG_2Dを生成する。具体的には、指紋特徴抽出方法の内容は、指紋認証処理を行うために指紋処理装置2が採用している指紋認証アルゴリズムの種類によって決まる。このため、画像生成部212は、指紋認証アルゴリズムの種類に基づいて、指紋画像IMG_3Dから指紋画像IMG_2Dを生成する。
【0049】
一例として、指紋認証アルゴリズムは、通常、特定の指紋検出方法で検出された指紋が写り込んだ指紋画像から指紋の特徴を抽出するように設計されている(或いは、チューニングされている)ことがある。この場合、画像生成部212は、指紋認証アルゴリズムに対応する特定の指紋検出方法で検出された指紋を表す画像と同じ指紋画像IMG_2Dを生成してもよい。例えば、指紋処理装置2が、インク押捺方法で検出された指紋が写り込んだ指紋画像から指紋の特徴を抽出するように設計されている指紋認証アルゴリズムを用いて指紋認証処理を行う場合には、画像生成部212は、インク押捺方法で検出された指紋を表す画像と同じ指紋画像IMG_2D(つまり、インク押捺方法に固有の画像特性で指紋が写り込んだ指紋画像IMG_2D)を生成してもよい。例えば、指紋処理装置2が、光学検出方法で検出された指紋が写り込んだ指紋画像から指紋の特徴を抽出するように設計されている指紋認証アルゴリズムを用いて指紋認証処理を行う場合には、画像生成部212は、光学検出方法で検出された指紋を表す画像と同じ指紋画像IMG_2D(つまり、光学検出に固有の画像特性で指紋が写り込んだ指紋画像IMG_2D)を生成してもよい。
【0050】
ステップS12において、画像生成部212は、指紋画像IMG_3Dが入力された場合に指紋画像IMG_2Dを出力する画像生成モデルを用いて、指紋画像IMG_2Dを生成してもよい。このような画像生成モデルの一例として、ニューラルネットワークを用いた画像生成モデルがあげられる。ニューラルネットワークを用いた画像生成モデルの一例として、GAN(Generative Adversarial Network:敵対的生成ネットワーク)を用いた画像生成モデルがあげられる。このようにニューラルネットワークを用いた画像生成モデルを用いて指紋画像IMG_2Dが生成される場合には、画像生成部212は、指紋特徴抽出方法の内容(例えば、指紋認証アルゴリズムの種類であり、実質的には、指紋認証アルゴリズムに対応する指紋検出方法の種類)に基づいて、ニューラルネットワークのパラメータ(例えば、重み及びバイアスの少なくとも一つ)を調整してもよい。その結果、画像生成部212は、指紋認証アルゴリズムに対応する指紋画像IMG_2Dを比較的容易に生成することができる。但し、画像生成部212は、任意の画像生成方法(或いは、任意の画像変換方法)を用いて、指紋画像IMG_3Dから指紋画像IMG_2Dを生成してもよい。
【0051】
ステップS12において、画像生成部212は、指紋画像IMG_3Dから、指紋画像IMG_3Dが表す指紋の3次元形状を所定の平面に忠実に投影することで得られる指紋画像IMG_2D_realを生成してもよい。その後、画像生成部212は、指紋画像IMG_2D_realから、指紋画像IMG_2Dを生成してもよい。指紋画像IMG_2D_realは、例えば、指紋画像IMG_3Dに含まれる点群が投影された所定の平面上の領域に対応する画素が白画素及び黒画素のいずれか一方になる一方で、指紋画像IMG_3Dに含まれる点群が投影されなかった所定の平面上の領域に対応する画素が白画素及び黒画素のいずれか他方になる二値画像であってもよい。尚、指紋画像IMG_2D_realの一例が、図4に示されている。一方で、指紋画像IMG_2Dの一例が、図5に示されている。図5は、インク押捺方法で検出された指紋を表す画像と同じ指紋画像IMG_2D(つまり、インク押捺方法に固有の画像特性を有する指紋が写り込んだ指紋画像IMG_2D)の一例を示している)。或いは、画像生成部212は、指紋画像IMG_3Dから、指紋画像IMG_2Dを直接生成してもよい。つまり、画像生成部212は、指紋画像IMG_3Dから、指紋画像IMG_2D_realを生成することなく、指紋画像IMG_2Dを生成してもよい。
【0052】
ステップS12において画像生成部212が生成した指紋画像IMG_2Dは、記憶装置22が記憶する指紋データベース221に格納されてもよい。また、画像生成部212が指紋画像IMG_2D_realを生成する場合には、画像生成部212が生成した指紋画像IMG_2D_realは、記憶装置22が記憶する指紋データベース221に格納されてもよい。
【0053】
その後、指紋認証部214は、ステップS12で生成された指紋画像IMG_2Dを用いて、指紋認証処理を行う(ステップS13)。
【0054】
ここで、上述したように、指紋認証部214が用いる指紋認証アルゴリズムは、特定の指紋検出方法で検出された指紋が写り込んだ指紋画像IMG_2Dから指紋の特徴を抽出するように設計されている。このため、通常、特定の指紋検出方法で検出された指紋が写り込んだ指紋画像IMG_2Dを用いて行われる指紋認証処理の精度は、特定の指紋検出方法とは異なる指紋検出方法で検出された指紋が写り込んだ指紋画像IMG_2Dを用いて行われる指紋認証処理の精度よりも高くなる。例えば、インク押捺方法で検出された指紋が写り込んだ指紋画像IMG_2Dから指紋の特徴を抽出するように指紋認証アルゴリズムが設計されている場合には、インク押捺方法で検出された指紋が写り込んだ指紋画像IMG_2Dを用いて行われる指紋認証処理の精度は、インク押捺方法とは異なる指紋検出方法(例えば、光学検出方法)で検出された指紋が写り込んだ指紋画像IMG_2Dを用いて行われる指紋認証処理の精度よりも高くなる。
【0055】
このような状況下で、第1の指紋処理では、画像生成部212は、指紋認証アルゴリズムに対応する特定の指紋検出方法で検出された指紋を表す画像と同じ指紋画像IMG_2Dを生成する。つまり、第1の指紋検出方法を用いて検出された指紋が写り込んだ指紋画像IMG_2Dを用いて行われる指紋認証処理の精度が、第1の指紋検出方法とは異なる第2の指紋検出方法を用いて検出された指紋が写り込んだ指紋画像IMG_2Dを用いて行われる指紋認証処理の精度よりも高い場合には、画像生成部212は、第1の指紋検出方法を用いて検出された指紋が写り込んだ画像を、指紋画像IMG_2Dとして生成する。その結果、指紋認証部214は、指紋認証アルゴリズムに対応する特定の指紋検出方法で検出された指紋を表す画像と同じ指紋画像IMG_2Dを用いて、指紋認証処理を行うことになる。このため、指紋認証アルゴリズムに対応する特定の指紋検出方法とは異なる指紋検出方法で検出された指紋を表す指紋画像IMG_2Dを用いる場合と比較して、指紋認証処理の精度が高くなる。
【0056】
このように、第1の指紋処理によれば、指紋特徴抽出方法の内容に基づいて指紋画像IMG_2Dが生成される。このため、第1の指紋処理によれば、指紋特徴抽出方法の内容に基づいて指紋画像IMG_2Dが生成されない場合と比較して、指紋認証処理の精度が高くなるという効果を享受可能である。つまり、第1の指紋処理によれば、指紋特徴抽出方法の内容が何ら考慮されていない(つまり、指紋認証アルゴリズムに対応する特定の指紋検出方法の種類が何ら考慮されていない)指紋画像IMG_2D_realを用いて指紋認証処理が行われる場合と比較して、指紋認証処理の精度が高くなるという効果を享受可能である。このように、第1の指紋処理によれば、指紋認証処理(指紋鑑定処理を含む)という用途に適した指紋画像IMG_2Dが生成される。
【0057】
尚、第1の指紋処理では、出力制御部213は、画像生成部212が生成した指紋画像IMG_2Dを出力する(例えば、表示する)ように出力装置25を制御しなくてもよい。この場合、演算装置21は、出力制御部213を備えていなくてもよい。また、指紋処理装置2は、出力装置25を備えていなくてもよい。但し、出力制御部213は、画像生成部212が生成した指紋画像IMG_2Dを出力する(例えば、表示する)ように出力装置25を制御してもよい。
【0058】
(3-2)第2の指紋処理
続いて、第2の指紋処理について説明する。第2の指紋処理は、指紋画像IMG_2Dを用いて指紋鑑定を行う鑑定官に関する情報に基づいて、指紋画像IMG_3Dから指紋画像IMG_2Dを生成する第2の画像生成処理を含む。このため、指紋処理装置2は、典型的には、鑑定官が指紋鑑定を行う場合に第2の画像生成処理を行う。また、鑑定官が指紋鑑定を行う場合には、指紋処理装置2が鑑定支援処理を行ってもよいことは上述したとおりである。このため、指紋処理装置2は、典型的には、第2の画像生成処理と鑑定支援処理とを含む第2の指紋処理を行う。以下、図6を参照しながら、第2の指紋処理の流れについて説明する。図6は、第2の指紋処理の流れを示すフローチャートである。尚、既に説明済みの動作については、同一のステップ番号を付することでその詳細な説明を省略する。
【0059】
図6に示すように、第2の指紋処理においても、第1の指紋処理と同様に、画像取得部211は、指紋画像IMG_3Dを取得する(ステップS11)。
【0060】
その後、画像生成部212は、ステップS11で取得された指紋画像IMG_3Dから、指紋画像IMG_2Dを生成する(ステップS22)。第2の指紋処理では、画像生成部212は、鑑定官に関する情報に基づいて、指紋画像IMG_3Dから指紋画像IMG_2Dを生成する。
【0061】
鑑定官に関する情報は、鑑定官に対応する指紋検出方法に関する情報を含んでいてもよい。鑑定官に対応する指紋検出方法に関する情報は、鑑定官にとって好ましい指紋検出方法に関する情報を含んでいてもよい。鑑定官にとって好ましい指紋検出方法は、鑑定官が慣れ親しんでいる指紋検出方法を含んでいてもよい。鑑定官にとって好ましい指紋検出方法は、鑑定官が指紋鑑定を行う際によく又は通常用いられる指紋検出方法を含んでいてもよい。鑑定官にとって好ましい指紋検出方法は、鑑定官が指紋鑑定を行う際に用いられることが多い指紋検出方法を含んでいてもよい。この場合、画像生成部212は、鑑定官に対応する指紋検出方法で検出された指紋を表す画像と同じ指紋画像IMG_2Dを生成してもよい。例えば、鑑定官にとってインク押捺方法が好ましい(つまり、鑑定官が、インク押捺方法で検出された指紋を用いて指紋鑑定を行うことが多い)場合には、画像生成部212は、インク押捺方法で検出された指紋を表す画像と同じ指紋画像IMG_2D(つまり、インク押捺方法に固有の画像特性で指紋が写り込んだ指紋画像IMG_2D)を生成してもよい。例えば、鑑定官にとって光学検出方法が好ましい(つまり、鑑定官が、光学検出方法で検出された指紋を用いて指紋鑑定を行うことが多い)場合には、画像生成部212は、光学検出方法で検出された指紋を表す画像と同じ指紋画像IMG_2D(つまり、光学検出方法に固有の画像特性で指紋が写り込んだ指紋画像IMG_2D)を生成してもよい。
【0062】
画像生成部212は、鑑定官に対応する指紋検出方法として予め設定されている特定の指紋検出方法で検出された指紋を表す画像と同じ指紋画像IMG_2Dを生成してもよい。例えば、鑑定官に対応する指紋検出方法としてインク押捺方法が予め設定されている場合には、画像生成部212は、インク押捺方法で検出された指紋を表す画像と同じ指紋画像IMG_2Dを生成してもよい。例えば、鑑定官に対応する指紋検出方法として光学検出方法が予め設定されている場合には、画像生成部212は、光学検出方法で検出された指紋を表す画像と同じ指紋画像IMG_2Dを生成してもよい。この場合、画像生成部212は、指紋画像IMG_2Dを生成する都度、必ずしも鑑定官に関する情報(例えば、鑑定官に対応する指紋検出方法に関する情報)を取得しなくてもよい。画像生成部212が鑑定官に関する情報を取得しない場合であっても、鑑定官に対応する指紋検出方法として予め設定されている特定の指紋検出方法で検出された指紋を表す画像と同じ指紋画像IMG_2Dを生成する限りは、画像生成部212は、鑑定官に関する情報(例えば、鑑定官に対応する指紋検出方法に関する情報)に基づいて指紋画像IMG_2Dを生成していると言える。
【0063】
画像生成部212は、鑑定官に対応する指紋検出方法に関する情報を取得し、取得した情報に基づいて、指紋画像IMG_2Dを生成してもよい。例えば、画像生成部212は、鑑定官に対応する指紋検出方法を指定する鑑定官の指示に基づいて、鑑定官に対応する指紋検出方法に関する情報を取得してもよい。この場合、鑑定官は、入力装置24を用いて、鑑定官に対応する指紋検出方法を指定してもよい。或いは、画像生成部212は、鑑定官を識別するための識別情報を取得し、識別情報に基づいて、鑑定官に対応する指紋検出方法を記録しているテーブル等から、鑑定官に対応する指紋検出方法に関する情報を取得してもよい。この場合、画像生成部212は、指紋処理装置2(或いは、指紋鑑定のために鑑定官が用いる任意の情報処理装置)に鑑定官がログインする際に使用したログインID等を、鑑定官を識別するための識別情報として取得してもよい。
【0064】
尚、第2の指紋処理においても、第1の指紋処理と同様に、画像生成部212は、画像生成モデル(或いは、任意の画像生成方法)を用いて、指紋画像IMG_2Dを生成してもよい。画像生成部212は、指紋画像IMG_3Dから指紋画像IMG_2D_realを生成し、指紋画像IMG_2D_realから指紋画像IMG_2Dを生成してもよい。画像生成部212は、指紋画像IMG_3Dから、指紋画像IMG_2Dを直接生成してもよい。ステップS22において画像生成部212が生成した指紋画像IMG_2Dは、記憶装置22が記憶する指紋データベース221に格納されてもよい。
【0065】
その後、指紋処理装置2は、ステップS22で生成された指紋画像IMG_2Dを用いて指紋鑑定を行う鑑定官を支援する鑑定支援処理を行う。具体的には、出力制御部213は、ステップS22で生成された指紋画像IMG_2Dを鑑定官に対して提示する(ステップS23)。例えば、出力制御部213は、ステップS22で生成された指紋画像IMG_2Dを出力する(典型的には、表示する)ように出力装置25を制御する。その結果、鑑定官、出力装置25が出力した指紋画像IMG_2Dを認識することができる。
【0066】
指紋鑑定を行う際には、鑑定官は、通常、指紋画像IMG_2Dに写り込んだ指紋が、鑑定対象となる指紋(例えば、犯罪現場に残された遺留指紋であり、以降、“鑑定対象指紋”と称する)と一致するか否かを判定する。このため、出力制御部213は、指紋画像IMG_2Dに加えて又は代えて、鑑定対象指紋を表す画像である鑑定対象画像IMG_targetを鑑定官に対して提示してもよい。例えば、出力制御部213は、鑑定対象画像IMG_targetを出力する(典型的には、表示する)ように出力装置25を制御してもよい。その結果、鑑定官は、出力装置25が出力した鑑定対象画像IMG_targetを認識することができる。つまり、鑑定官は、出力装置25が出力した指紋画像IMG_2Dと鑑定対象画像IMG_targetとを比較することで、指紋画像IMG_2Dに写り込んだ指紋が鑑定対象画像IMG_targetに写り込んだ鑑定対象指紋と一致するか否かを判定することができる。
【0067】
出力装置25による指紋画像IMG_2D及び鑑定対象画像IMG_targetの表示例が図7に示されている。図7に示すように、出力制御部213は、指紋画像IMG_2Dと鑑定対象画像IMG_targetとを並べて表示する(つまり、出力する)ように、出力装置25を制御してもよい。その結果、鑑定官は、指紋画像IMG_2Dと鑑定対象画像IMG_targetとを比較的容易に比較することができる。
【0068】
出力制御部213は、夫々異なる画像特性を有する同じ指紋が写り込んだ複数の指紋画像IMG_2Dの中から、出力装置25が表示するべき少なくとも一つの指紋画像IMG_2Dを選択し、選択した少なくとも一つの指紋画像IMG_2Dを表示するように出力装置25を制御してもよい。例えば、出力制御部213は、インク押捺方法で検出された指紋を表す画像と同じ第1の指紋画像IMG_2Dと、光学検出方法で検出された指紋を表す画像と同じ第2の指紋画像IMG_2Dとのいずれか一方を、出力装置25が表示するべき指紋画像IMG_2Dとして選択し、選択した指紋画像IMG_2Dを表示するように出力装置25を制御してもよい。
【0069】
この場合、出力制御部213は、出力装置25が表示するべき指紋画像IMG_2Dを指定するための鑑定官の指示に基づいて、出力装置25が表示するべき少なくとも一つの指紋画像IMG_2Dを選択してもよい。鑑定官は、入力装置24を用いて、出力装置25が表示するべき指紋画像IMG_2Dを指定するための鑑定官の指示を指紋処理装置2に入力してもよい。また、出力装置25が表示するべき指紋画像IMG_2Dを指定するための鑑定官の指示が入力される場合には、出力制御部213は、出力装置25が表示するべき指紋画像IMG_2Dを鑑定官が指定するためのGUI(Graphical User Interface)を表示するように、出力装置25を制御してもよい。例えば、図8に示すように、出力制御部213は、出力装置25が表示するべき指紋画像IMG_2Dを指定するテキストを鑑定官が入力可能なテキストボックスTXTを表示するように、出力装置25を制御してもよい。例えば、図9に示すように、出力制御部213は、出力装置25が表示する指紋画像IMG_2Dを切り替えるために鑑定官が押下可能なボタンBTNを表示するように、出力装置25を制御してもよい。
【0070】
上述したように画像生成部212が指紋画像IMG_2D_realを生成した後に指紋画像IMG_2Dを生成する場合には、出力制御部213は、指紋画像IMG_2Dに加えて、指紋画像IMG_2D_realを表示するように、出力装置25を制御してもよい。その結果、鑑定官は、出力装置25が出力した指紋画像IMG_2D_realを認識することができる。更に、鑑定官は、指紋画像IMG_2D_realも参照しながら、指紋鑑定を行うことができる。
【0071】
指紋画像IMG_2Dに加えて指紋画像IMG_2D_realが表示される場合には、出力制御部213は、指紋画像IMG_2Dと指紋画像IMG_2D_realとを合成することで得られる合成画像IMG_COMを表示するように、出力装置25を制御してもよい。合成画像IMG_COMは、例えば、図10に示すように、合成画像IMG_COM内に設定される境界BDを隔てて、指紋画像IMG_2Dが指紋の一部を表す領域と指紋画像IMG_2D_realが指紋の残りの一部を表す領域とが隣接する画像であってもよい。この場合、鑑定官は、入力装置24を用いて境界BDの位置を合成画像IMG_COM内で変更してもよい。その結果、合成画像IMG_COMに対して指紋画像IMG_2Dが占める割合及び合成画像IMG_COMに対して指紋画像IMG_2D_realが占める割合が変化する。つまり、指紋画像IMG_2Dが表す指紋の部位と、指紋画像IMG_2D_realが表す指紋の部位とが変化する。
【0072】
このように、第2の指紋処理によれば、鑑定官に関する情報(特に、鑑定官に対応する指紋検出方法に関する情報)に基づいて指紋画像IMG_2Dが生成される。その結果、鑑定官に対応する画像特性を有する指紋(例えば、鑑定官が慣れ親しんでいる見た目の指紋)が写り込んだ指紋画像IMG_2Dが生成される。このため、第2の指紋処理によれば、鑑定官に関する情報に基づいて指紋画像IMG_2Dが生成されない場合と比較して、鑑定官による指紋鑑定の効率が高くなるという効果を享受可能である。つまり、第2の指紋処理によれば、鑑定官に対応する指紋検出方法とは異なる指紋検出方法で検出された指紋を表す指紋画像IMG_2Dを用いて鑑定官が指紋鑑定を行う場合と比較して、鑑定官による指紋鑑定の効率が高くなるという効果を享受可能である。つまり、第2の指紋処理によれば、鑑定官に関する情報が何ら考慮されていない(つまり、鑑定官に対応する指紋検出方法の種類が何ら考慮されていない)指紋画像IMG_2Dを用いて指紋鑑定が行われる場合と比較して、鑑定官による指紋鑑定の効率が高くなるという効果を享受可能である。従って、第2の指紋処理では、実質的には、第1の指紋検出方法を用いて検出された指紋が写り込んだ指紋画像IMG_2Dを用いて鑑定官が行う指紋鑑定の効率が、第1の指紋検出方法とは異なる第2の指紋検出方法を用いて検出された指紋が写り込んだ指紋画像IMG_2Dを用いて鑑定官が行う指紋鑑定の効率よりも高い場合には、画像生成部212は、第1の指紋検出方法を用いて検出された指紋が写り込んだ画像を、指紋画像IMG_2Dとして生成するとも言える。このように、第2の指紋処理によれば、鑑定官による指紋鑑定という用途に適した指紋画像IMG_2Dが生成される。
【0073】
一方で、指紋鑑定の結果は、様々な用途で用いられる。例えば、指紋鑑定の結果は、裁判における証拠として用いられることがある。この場合、指紋鑑定の結果の信用度を高めるために、指紋鑑定の結果は、指紋画像IMG_2Dに代えて、指紋画像IMG_3Dが表す指紋の3次元形状を所定の平面に忠実に投影することで得られる指紋画像IMG_2D_realを含んでいてもよい。なぜならば、指紋画像IMG_2Dは、一定の加工が加えられた画像であると裁判所によってみなされ、その結果、指紋画像IMG_2Dの証拠としての信用度が、指紋画像IMG_2D_realの証拠としての信用度よりも低いと裁判所によってみなされる可能性があるからである。
【0074】
尚、第2の指紋処理では、指紋認証部214は、指紋認証処理を行わなくてもよい。この場合、演算装置21は、指紋認証部214を備えていなくてもよい。但し、指紋認証部214は、指紋認証処理を行ってもよい。
【0075】
(3-3)第3の指紋処理
続いて、第3の指紋処理について説明する。第3の指紋処理は、鑑定対象画像IMG_targetに写り込んでいる鑑定対象指紋に関する情報に基づいて、指紋画像IMG_3Dから指紋画像IMG_2Dを生成する第3の画像生成処理を含む。このため、指紋処理装置2は、典型的には、指紋処理装置2及び鑑定官の少なくとも一方が指紋鑑定を行う場合に第3の画像生成処理を行う。指紋処理装置2が指紋鑑定を行う状況下で第3の画像生成処理が行われる場合には、指紋処理装置2は、典型的には、第3の画像生成処理と指紋鑑定処理とを含む第3の指紋処理を行ってもよい。鑑定官が指紋鑑定を行う状況下で第3の画像生成処理が行われる場合には、指紋処理装置2は、典型的には、第3の画像生成処理と鑑定支援処理とを含む第3の指紋処理を行ってもよい。以下、図11を参照しながら、第3の指紋処理の流れについて説明する。図11は、第3の指紋処理の流れを示すフローチャートである。
【0076】
図11に示すように、画像取得部211は、鑑定対象指紋が写り込んだ鑑定対象画像IMG_targetを取得する(ステップS31)。例えば、鑑定対象画像IMG_targetが、記憶装置22が記憶する指紋データベース221に格納されている場合には、画像取得部211は、記憶装置22が記憶する指紋データベース221から鑑定対象画像IMG_targetを取得してもよい。例えば、画像取得部211は、通信ネットワーク3を介して指紋処理装置2と通信可能なクラウドサーバから、鑑定対象画像IMG_targetを取得してもよい。例えば、画像取得部211は、入力装置24を介して指紋処理装置2に入力される鑑定対象画像IMG_targetを取得してもよい。
【0077】
その後、画像生成部212は、ステップS31で取得された鑑定対象画像IMG_targetの特徴点を抽出する(ステップS32)。具体的には、画像生成部212は、ステップS11で取得された鑑定対象画像IMG_targetに写り込んでいる鑑定対象指紋の特徴を抽出する(ステップS32)。本実施形態では、一例として、画像生成部212は、鑑定対象画像IMG_targetに写り込んでいる鑑定対象指紋の特徴点を、鑑定対象指紋の特徴として抽出する。例えば、画像生成部212は、鑑定対象指紋の隆線が切断されている点(この点を、“端点”と称してもよい)を、特徴点として抽出してもよい。例えば、画像生成部212は、鑑定対象指紋の隆線が分岐している点(この点を、“分岐点”と称してもよい)を、特徴点として抽出してもよい。例えば、画像生成部212は、鑑定対象指紋の隆線が合流している点(この点を、“合流点”と称してもよい)を、特徴点として抽出してもよい。
【0078】
ステップS31からステップS32の処理と並行して又は相前後して、画像取得部211は、指紋画像IMG_3Dを取得する(ステップS11)。その後、画像生成部212は、ステップS11で取得された指紋画像IMG_3Dから指紋画像IMG_2D_realを生成する(ステップS33)。その後、画像生成部212は、ステップS33で生成された指紋画像IMG_2D_realの特徴を抽出する(ステップS34)。具体的には、画像生成部212は、ステップS33で生成された指紋画像IMG_2D_realに写り込んでいる指紋(以降、“取得指紋”と称する)の特徴を抽出する(ステップS34)。本実施形態では、一例として、画像生成部212は、取得指紋の特徴点を、取得指紋の特徴として抽出する。例えば、画像生成部212は、取得指紋の隆線が切断されている点(この点を、“端点”と称してもよい)を、特徴点として抽出してもよい。例えば、画像生成部212は、取得指紋の隆線が分岐している点(この点を、“分岐点”と称してもよい)を、特徴点として抽出してもよい。例えば、画像生成部212は、取得指紋の隆線が合流している点(この点を、“合流点”と称してもよい)を、特徴点として抽出してもよい。
【0079】
その後、画像生成部212は、ステップS32で抽出された鑑定対象指紋の特徴点と、ステップS34で抽出された取得指紋の特徴点とに基づいて、取得指紋のうち、鑑定対象指紋に対応する部位(典型的には、鑑定対象指紋の部位と同じ部位)である注目部位を算出する(ステップS35)。例えば、図12に示すように、画像生成部212は、鑑定対象指紋の特徴点の分布パターンと取得指紋の特徴点の分布パターンとを照合するパターンマッチングを行うことで、注目部位を算出してもよい。
【0080】
その後、画像生成部212は、指紋画像IMG_2D_realを生成し直す(ステップS36)。具体的には、画像生成部212は、ステップS35で算出した注目部位が、鑑定対象指紋と同じ向きで写り込んでいる指紋画像IMG_2D_realを生成する(ステップS36)。例えば、指が押し当てられたと推定される押圧面に対して指が正対する向きで押圧された状況下で鑑定対象指紋が採取された場合には、画像生成部212は、取得指紋を有する指が押圧面に対して正対する向きで押圧された場合に採取されると推定される取得指紋の注目部位が写り込んでいる指紋画像IMG_2D_realを生成してもよい。例えば、鑑定対象指紋が、指が押し当てられたと推定される押圧面に対して指が所定角度だけ傾斜した向きで押圧された状況下で鑑定対象指紋が採取された場合には、画像生成部212は、取得指紋を有する指が押圧面に対して同じ所定角度だけ傾斜した向きで押圧された場合に採取されると推定される取得指紋の注目部位が写り込んでいる指紋画像IMG_2D_realを生成してもよい。
【0081】
鑑定対象指紋の向きと注目部位を含む取得指紋の向きとの一致度は、鑑定対象指紋の特徴点の分布パターンと取得指紋の特徴点の分布パターンとの一致度と等価であるとみなしてもよい。このため、画像生成部212は、取得指紋の特徴点の分布パターンが鑑定対象指紋の特徴点の分布パターンと同じになるように取得指紋の少なくとも一部を画像変換する(例えば、平行移動する、拡大する、縮小する及び/又は回転する)ことで、鑑定対象指紋と同じ向きで取得指紋(特に、注目部位)が写り込んでいる指紋画像IMG_2D_realを生成してもよい。
【0082】
ステップS36で生成される指紋画像IMG_2D_realは、取得指紋のうちの注目部位が写り込んでいる一方で、取得指紋のうちの注目部位とは異なる部位が写り込んでいない画像であってもよい。或いは、ステップS36で生成される指紋画像IMG_2D_realは、取得指紋のうちの注目部位が写り込んでおり、且つ、取得指紋のうちの注目部位とは異なる部位が写り込んでいる画像であってもよい。ステップS36において生成された指紋画像IMG_2D_realは、記憶装置22が記憶する指紋データベース221に格納されてもよい。
【0083】
その後、画像生成部212は、ステップS36で生成された指紋画像IMG_2D_realから、指紋画像IMG_2Dを生成する(ステップS37)。尚、ステップS37において指紋画像IMG_2Dを生成する処理は、図6のステップS22において指紋画像IMG_2Dを生成する処理と同一であってもよい。つまり、図11のステップS37において、画像生成部212は、指紋鑑定を行う鑑定官に関する情報(例えば、鑑定官にとって好ましい指紋検出方法の種類に関する情報)に基づいて、指紋画像IMG_2Dを生成してもよい。
【0084】
その後、指紋処理装置2は、ステップS37で生成された指紋画像IMG_2Dを用いて、鑑定支援処理を行う(ステップS38)。例えば、指紋処理装置2(特に、出力制御部213)は、第2の指紋処理と同様に、指紋画像IMG_2Dを出力するように出力装置25を制御する鑑定支援処理を行ってもよい。この場合、ステップS38で行われる鑑定支援処理は、図6のステップS23で行われる鑑定支援処理と同じであってもよい。
【0085】
或いは、ステップS38において、指紋処理装置2は、ステップS37で生成された指紋画像IMG_2Dを用いて、鑑定支援処理に加えて又は代えて、指紋鑑定処理を行ってもよい。例えば、指紋処理装置2は、指紋画像IMG_2Dに写り込んだ取得指紋を用いた指紋鑑定処理を行ってもよい。つまり、指紋処理装置2は、指紋画像IMG_2Dに写り込んだ取得指紋と鑑定対象画像IMG_targetに写り込んだ鑑定対象指紋とが一致するか否かを判定する指紋鑑定処理を行ってもよい。この場合、ステップS37において指紋画像IMG_2Dを生成する処理は、図3のステップS12において指紋画像IMG_2Dを生成する処理と同一であってもよい。つまり、図11のステップS37において、画像生成部212は、指紋認証処理の内容(例えば、指紋認証アルゴリズムの種類)に基づいて、指紋画像IMG_2Dを生成してもよい。
【0086】
但し、指紋処理装置2は、ステップS37で生成された指紋画像IMG_2Dに加えて又は代えて、ステップS36で生成された指紋画像IMG_2D_realを用いて、鑑定支援処理(或いは、指紋鑑定処理)を行ってもよい。また、第3の指紋処理が行われる場合に限らず、指紋処理装置2は、指紋画像IMG_2Dに加えて又は代えて、指紋画像IMG_2D_realを用いて、鑑定支援処理(或いは、指紋鑑定処理)を行ってもよい。同様に、指紋処理装置2は、指紋画像IMG_2Dに加えて又は代えて、指紋画像IMG_2D_realを用いて、指紋認証処理を行ってもよい。
【0087】
このように、第3の指紋処理によれば、取得指紋のうちの鑑定対象指紋の部位に対応する注目部位が、鑑定対象指紋と同じ向きで写り込んでいる指紋画像IMG_2Dが生成される。その結果、鑑定官は、指紋画像IMG_2Dを用いて、鑑定対象画像IMG_targetに写り込んだ鑑定対象指紋を、鑑定対象指紋と同じ向きで指紋画像IMG_2Dに写り込んだ鑑定対象指紋の部位に対応する取得指紋の注目部位と比較することができる。その結果、第3の指紋処理によれば、鑑定官による指紋鑑定の効率が高くなるという効果を享受可能である。このように、第3の指紋処理によれば、鑑定官による指紋鑑定という用途に適した指紋画像IMG_2Dが生成される。
【0088】
尚、出力装置25が投影装置(いわゆる、プロジェクタ)を備えている場合には、出力制御部213は、図11のステップS37で生成された指紋画像IMG_2Dを、鑑定対象指紋が写り込んだ投影面に投影するように、出力装置25を制御してもよい。例えば、出力制御部213は、指紋画像IMG_2Dを、鑑定対象指紋が描画された(或いは、印刷された)紙面である投影面に投影するように、出力装置25を制御してもよい。例えば、出力制御部213は、指紋画像IMG_2Dを、鑑定対象指紋が表示された表示装置の表示面である投影面に投影するように、出力装置25を制御してもよい。例えば、出力制御部213は、指紋画像IMG_2Dを、鑑定対象指紋が投影された投影スクリーンである投影面に投影するように、出力装置25を制御してもよい。或いは、出力制御部213は、図11のステップS37で生成された指紋画像IMG_2Dを、鑑定対象指紋が写り込んだ鑑定対象画像IMG_targetに重ねて表示してもよい。例えば、出力制御部213は、取得指紋(特に、注目部位)が鑑定対象指紋(特に、注目部位と対応する部位)に重なるように、指紋画像IMG_2Dと鑑定対象画像IMG_targetとを重ねて表示してもよい。
【0089】
上述した説明では、画像生成部212は、図11のステップS36において、取得指紋のうちの注目部位が、鑑定対象指紋と同じ向きで写り込んでいる指紋画像IMG_2D_realを生成している。しかしながら、取得指紋の再検出が可能な場合には、指紋処理装置2は、指紋センサ1を用いて取得指紋を再検出してもよい。具体的には、指紋処理装置2は、出力装置25(或いは、その他の任意の出力装置)を用いて、指紋センサ1を用いて指紋の再検出を行う旨を、指紋の再検出の対象者に通知してもよい。この際、鑑定対象指紋と同じ向きで指紋が再検出できるように、指紋処理装置2は、指紋の再検出の対象者に対して、指紋を再検出する時点での指の向きを指示してもよい。その後、指紋処理装置2は、指紋センサ1を用いて、指紋を再検出してもよい。特に、指紋処理装置2は、指紋センサ1を用いて、指紋のうちの注目部位を再検出してもよい。その結果、指紋センサ1は、指紋のうちの注目部位が、鑑定対象指紋と同じ向きで写り込んでいる指紋画像IMG_3Dを生成する。この場合、指紋処理装置2は、指紋画像IMG_3Dから、指紋画像IMG_2Dを直接生成してもよい。このように生成される指紋画像IMG_2Dは、取得指紋のうちの注目部位が鑑定対象指紋と同じ向きで写り込んでいる画像となる。
【0090】
(3-4)第4の指紋処理
続いて、第4の指紋処理について説明する。第4の指紋処理は、指紋画像IMG_2Dに写り込んでいる取得指紋のうちの鑑定対象指紋の部位に対応する注目部位を、指紋画像IMG_2Dに写り込んでいる取得指紋のうちの注目部位とは異なる部位(以下、注目部位とは異なる部位を、“非注目部位”と称する)とは区別可能な態様で、指紋画像IMG_2Dを表示する画像表示処理を含む。表示された指紋画像IMG_2Dは、典型的には、鑑定官が指紋鑑定を行う場合に鑑定官によって参照されてもよい。このため、指紋処理装置2は、典型的には、鑑定官が指紋鑑定を行う場合に、画像表示処理を行う。この場合、指紋処理装置2は、画像表示処理を、鑑定支援処理の少なくとも一部として行ってもよい。以下、図13を参照しながら、第4の指紋処理の流れについて説明する。図13は、第4の指紋処理の流れを示すフローチャートである。
【0091】
図13に示すように、第4の指紋処理においても、第3の指紋処理と同様に、画像取得部211は、鑑定対象指紋が写り込んだ鑑定対象画像IMG_targetを取得する(ステップS31)。その後、画像生成部212は、ステップS31で取得された鑑定対象画像IMG_targetの特徴点を抽出する(ステップS32)。
【0092】
ステップS31からステップS32の処理と並行して又は相前後して、画像取得部211は、指紋画像IMG_3Dを取得する(ステップS11)。その後、画像生成部212は、ステップS11で取得された指紋画像IMG_3Dから指紋画像IMG_2Dを生成する(ステップS43)。尚、ステップS43において指紋画像IMG_2Dを生成する処理は、図6のステップS22において指紋画像IMG_2Dを生成する処理と同一であってもよい。つまり、図13のステップS43において、画像生成部212は、指紋鑑定を行う鑑定官に関する情報(例えば、鑑定官にとって好ましい指紋検出方法の種類に関する情報)に基づいて、指紋画像IMG_2Dを生成してもよい。但し、ステップS43において、画像生成部212は、第3の指紋処理と同様に、指紋画像IMG_2D_realを生成してもよい。
【0093】
その後、画像生成部212は、ステップS43で生成された指紋画像IMG_2Dの特徴点を抽出する(ステップS44)。尚、ステップS44において指紋画像IMG_2Dの特徴点を抽出する処理は、図11のステップS34において指紋画像IMG_2D_realの特徴点を抽出する処理と同一であってもよい。つまり、画像生成部212は、ステップS43で生成された指紋画像IMG_2Dに写り込んでいる取得指紋の特徴点を抽出する。
【0094】
その後、画像生成部212は、ステップS32で抽出された鑑定対象指紋の特徴点と、ステップS44で抽出された取得指紋の特徴点とに基づいて、取得指紋のうち、鑑定対象指紋に対応する部位(典型的には、鑑定対象指紋の部位と同じ部位)である注目部位を算出する(ステップS45)。尚、ステップS45において取得指紋の注目部位を算出する処理は、図11のステップS35において取得指紋の注目部位を算出する処理と同一であってもよい。
【0095】
その後、出力制御部213は、取得指紋のうちの注目部位と取得指紋のうちの注目部位とは異なる非注目部位とが視覚的に区別可能な表示態様で、指紋画像IMG_2Dを表示するように、出力装置25を制御する(ステップS46)。例えば、図14に示すように、出力制御部213は、注目部位を取り囲むフレームFと共に指紋画像IMG_2Dを表示するように、出力装置25を制御してもよい。この場合、注目部位と非注目部位とは、フレームFによって視覚的に区別可能である。例えば、図15に示すように、出力制御部213は、注目部位における隆線を第1の種類の線(図15に示す例では、実線)で示す一方で、非注目部位における隆線を第1の種類とは異なる第2の種類の線(図15に示す例では、点線)で示す指紋画像IMG_2Dを表示するように、出力装置25を制御してもよい。この場合、注目部位と非注目部位とは、隆線を示す線の種類によって区別可能である。例えば、図16に示すように、出力制御部213は、注目部位を含む一方で非注目部位を含まない指紋画像IMG_2Dを表示するように、出力装置25を制御してもよい。この場合、注目部位と非注目部位とは、部位の表示の有無によって区別可能である。
【0096】
このように、第4の指紋処理によれば、取得指紋のうちの鑑定対象指紋の部位に対応する注目部位と取得指紋のうちの注目部位とは異なる非注目部位とが区別可能な態様で、指紋画像IMG_2Dが表示される。その結果、鑑定官は、指紋画像IMG_2Dを用いて、鑑定対象画像IMG_targetに写り込んだ鑑定対象指紋を、指紋画像IMG_2Dに写り込んだ鑑定対象指紋の部位に対応する取得指紋の注目部位と比較することができる。その結果、第4の指紋処理によれば、鑑定官による指紋鑑定の効率が高くなるという効果を享受可能である。このように、第4の指紋処理によれば、鑑定官による指紋鑑定という用途に適した指紋画像IMG_2Dが生成される。
【0097】
尚、出力装置25が投影装置(いわゆる、プロジェクタ)を備えている場合には、出力制御部213は、図13のステップS43で生成された指紋画像IMG_2D(特に、図13のステップS45で算出された注目部位に関する画像)を、鑑定対象指紋が写り込んだ投影面に投影するように、出力装置25を制御してもよい。例えば、出力制御部213は、指紋画像IMG_2D(特に、注目部位に関する画像)を、鑑定対象指紋が描画された(或いは、印刷された)紙面である投影面に投影するように、出力装置25を制御してもよい。例えば、出力制御部213は、指紋画像IMG_2D(特に、注目部位に関する画像)を、鑑定対象指紋が表示された表示装置の表示面である投影面に投影するように、出力装置25を制御してもよい。例えば、出力制御部213は、指紋画像IMG_2D(特に、注目部位に関する画像)を、鑑定対象指紋が投影された投影スクリーンである投影面に投影するように、出力装置25を制御してもよい。或いは、出力制御部213は、図13のステップS43で生成された指紋画像IMG_2D(特に、図13のステップS45で算出された注目部位に関する画像)を、鑑定対象指紋が写り込んだ鑑定対象画像IMG_targetに重ねて表示してもよい。例えば、出力制御部213は、取得指紋(特に、注目部位)が鑑定対象指紋(特に、注目部位と対応する部位)に重なるように、指紋画像IMG_2Dと鑑定対象画像IMG_targetとを重ねて表示してもよい。
【0098】
(4)変形例
上述した説明では、指紋処理装置2が、指紋センサ1が生成した指紋画像IMG_3Dから、指紋画像IMG_2Dを生成している。しかしながら、指紋センサ1が、指紋センサ1が生成した指紋画像IMG_3Dから、指紋画像IMG_2Dを生成してもよい。つまり、図17に示すように、指紋センサ1が、演算装置11を備えており、演算装置11の内部に、指紋画像IMG_3Dから指紋画像IMG_2Dを生成するための処理ブロック(例えば、画像生成部212)が実現されてもよい。この場合、指紋センサ1は、指紋画像IMG_3Dに加えて又は代えて、指紋画像IMG_2Dを指紋処理装置2に送信してもよい。指紋処理装置2は、指紋画像IMG_2Dを用いて、指紋認証処理を行ってもよい。
【0099】
上述した説明では、指紋センサ1と指紋処理装置2とは別々の装置である。しかしながら、指紋センサ1と指紋処理装置2とが一体化されていてもよい。つまり、指紋処理装置2が、指紋処理装置2の構成要素の一部として、指紋センサ1を備えていてもよい。
【0100】
(5)付記
以上説明した実施形態に関して、更に以下の付記を開示する。
[付記1]
指紋を3次元座標空間内で表す第1の指紋画像を取得する取得手段と、
前記第1の指紋画像から、前記指紋を2次元座標平面内で表し且つ前記指紋が所望の画像特性で写り込んでいる第2の指紋画像を生成する生成手段と
を備える指紋処理装置。
[付記2]
前記第2の指紋画像から所望の指紋特徴抽出方法を用いて前記指紋の特徴を抽出し、抽出した前記特徴を用いて指紋認証処理を行う認証手段を更に備え、
前記生成手段は、前記指紋特徴抽出方法の内容に基づいて、前記第1の指紋画像から、前記第2の指紋画像を生成する
付記1に記載の指紋処理装置。
[付記3]
第1の指紋検出方法を用いて検出された前記指紋が写り込んだ画像から前記所望の指紋特徴抽出方法によって抽出された前記特徴を用いて行われる前記指紋認証処理の精度が、前記第1の指紋検出方法とは異なる第2の指紋検出方法を用いて検出された前記指紋が写り込んだ画像から前記所望の指紋特徴抽出方法によって抽出された前記特徴を用いて行われる前記指紋認証処理の精度よりも高い場合には、前記生成手段は、前記第1の指紋検出方法を用いて検出された前記指紋が写り込んだ画像を、前記第2の指紋画像として生成する
付記2に記載の指紋処理装置。
[付記4]
前記第2の指紋画像は、指紋鑑定を行う鑑定官に提供され、
前記生成手段は、前記鑑定官に関する情報に基づいて、前記第1の指紋画像から、前記第2の指紋画像を生成する
付記1から3のいずれか一項に記載の指紋処理装置。
[付記5]
前記鑑定官に関する情報は、前記鑑定官に対応する指紋検出方法に関する情報を含み、
前記生成手段は、前記鑑定官に対応する指紋検出方法で検出された前記指紋が写り込んだ画像を、前記第2の指紋画像として生成する
請求項4に記載の指紋処理装置。
[付記6]
第1の指紋検出方法を用いて検出された前記指紋が写り込んだ画像を用いて前記鑑定官が行う前記指紋鑑定の効率が、前記第1の指紋検出方法とは異なる第2の指紋検出方法を用いて検出された前記指紋が写り込んだ画像を用いて前記鑑定官が行う前記指紋鑑定の効率よりも高い場合には、前記生成手段は、前記第1の指紋検出方法を用いて検出された前記指紋が写り込んだ画像を、前記第2の指紋画像として生成する
付記4又は5に記載の指紋処理装置。
[付記7]
前記第1及び第2の指紋画像の夫々には、第1の指紋が写り込んでおり、
前記生成手段は、前記第1の指紋画像とは異なる第3の指紋画像に写り込んでいる第2の指紋に関する指紋情報に基づいて、前記第1の指紋画像から、前記第2の指紋画像を生成する
付記1から6のいずれか一項に記載の指紋処理装置。
[付記8]
前記生成手段は、前記第1指紋のうちの前記第2の指紋の部位に対応する注目部位が、前記第2の指紋と同じ向きで写り込んでいる画像を、前記第2の指紋画像として生成する
付記7に記載の指紋処理装置。
[付記9]
前記生成手段は、所望の指紋検出方法を用いて検出された前記指紋が写り込んだ画像を、前記第2の指紋画像として生成し、
前記画像特性は、前記指紋検出方法の種類の違いに応じて変化する特性を含む
付記1から8のいずれか一項に記載の指紋処理装置。
[付記10]
前記指紋の第1の部位と前記指紋のうちの前記第1の部位とは異なる第2の部位とが区別可能な態様で前記指紋が写り込んでいる前記第2の指紋画像を表示する表示手段を更に備える
付記1から9のいずれか一項に記載の指紋処理装置。
[付記11]
前記第1及び第2の指紋画像の夫々には、第1の指紋が写り込んでおり、
前記第1の指紋の前記第1の部位は、前記第1の指紋画像とは異なる第3の指紋画像に写り込んでいる第2の指紋の部位に対応する部位を含む
付記10に記載の指紋処理装置。
[付記12]
前記第1及び第2の指紋画像の夫々には、第1の指紋が写り込んでおり、
前記第2の指紋画像を、第2の指紋が写り込んだ投影面に投影可能な投影手段を更に備える
付記10又は11に記載の指紋認証装置。
[付記13]
指紋を表す指紋画像を取得する取得手段と、
前記指紋の第1の部位と前記指紋のうちの前記第1の部位とは異なる第2の部位とが区別可能な態様で前記指紋が写り込んでいる前記指紋画像を表示する表示手段と
を備える指紋処理装置。
[付記14]
前記指紋画像には、第1の指紋が写り込んでおり、
前記第1の指紋の前記第1の部位は、前記指紋画像とは異なる他の指紋画像に写り込んでいる第2の指紋の部位に対応する部位を含む
付記13に記載の指紋処理装置。
[付記15]
指紋を3次元座標空間内で表す第1の指紋画像を取得し、
前記第1の指紋画像から、前記指紋を2次元座標平面内で表し且つ前記指紋が所望の画像特性で写り込んでいる第2の指紋画像を生成する
指紋処理方法。
[付記16]
指紋を表す指紋画像を取得し、
前記指紋の第1の部位を前記指紋の第2の部位と区別可能な態様で前記指紋が写り込んでいる前記指紋画像を表示する
指紋処理方法。
[付記17]
指紋を3次元座標空間内で表す第1の指紋画像を取得し、
前記第1の指紋画像から、前記指紋を2次元座標平面内で表し且つ前記指紋が所望の画像特性で写り込んでいる第2の指紋画像を生成する
指紋処理方法をコンピュータに実行させるコンピュータプログラム。
[付記18]
指紋を表す指紋画像を取得し、
前記指紋の第1の部位を前記指紋の第2の部位と区別可能な態様で前記指紋が写り込んでいる前記指紋画像を表示する
指紋処理方法をコンピュータに実行させるコンピュータプログラム。
[付記19]
指紋を3次元座標空間内で表す第1の指紋画像を取得し、
前記第1の指紋画像から、前記指紋を2次元座標平面内で表し且つ前記指紋が所望の画像特性で写り込んでいる第2の指紋画像を生成する
指紋処理方法をコンピュータに実行させるコンピュータプログラムが記録された記録媒体。
[付記20]
指紋を表す指紋画像を取得し、
前記指紋の第1の部位を前記指紋の第2の部位と区別可能な態様で前記指紋が写り込んでいる前記指紋画像を表示する
指紋処理方法をコンピュータに実行させるコンピュータプログラムが記録された記録媒体。
【0101】
この開示は、請求の範囲及び明細書全体から読み取るこのできるこの開示の要旨又は思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う指紋処理装置、指紋処理方法、コンピュータプログラム及び記録媒体もまたこの開示の技術思想に含まれる。
【符号の説明】
【0102】
SYS 指紋処理システム
1 指紋センサ
2 指紋処理装置
21 演算装置
211 画像取得部
212 画像生成部
213 出力制御部
214 指紋認証部
22 記憶装置
221 指紋データベース
IMG_3D 指紋画像
IMG_2D 指紋画像
IMG_2D_real 指紋画像
IMG_target 鑑定対象画像
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