(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-14
(45)【発行日】2025-01-22
(54)【発明の名称】検査用シールユニット
(51)【国際特許分類】
A61B 10/00 20060101AFI20250115BHJP
【FI】
A61B10/00 Y
A61B10/00 B
A61B10/00 T
(21)【出願番号】P 2020565225
(86)(22)【出願日】2020-01-10
(86)【国際出願番号】 JP2020000648
(87)【国際公開番号】W WO2020145385
(87)【国際公開日】2020-07-16
【審査請求日】2022-12-19
(31)【優先権主張番号】P 2019003643
(32)【優先日】2019-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】戸出 良平
(72)【発明者】
【氏名】田辺 淳也
(72)【発明者】
【氏名】野村 彩英子
【審査官】牧尾 尚能
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第00800788(EP,A1)
【文献】米国特許第05727550(US,A)
【文献】特表2007-532169(JP,A)
【文献】特開2007-291154(JP,A)
【文献】特開2017-136458(JP,A)
【文献】特開平08-299449(JP,A)
【文献】米国特許第05372589(US,A)
【文献】特開平11-009697(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 9/00 - 10/06
A61B 5/06 - 5/22
A61M 25/00 - 25/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面と前記表面とは反対側の面である裏面とを含むベースフィルムと、
前記ベースフィルムの前記裏面に位置する粘着層と、
前記ベースフィルムの前記表面に取り付けられ、前記表面と対向する平面視において、前記ベースフィルムの周縁の少なくとも一部に沿う形状を有する支持体であって、前記ベースフィルムの中央部を挟んで前記周縁において互いに対向する2点間を接続する帯状部を備える前記支持体と、を備え、
前記支持体は、前記支持体における
前記帯状部のなかで曲がる位置に脆弱部以外の部分よりも破断されやすい前記脆弱部を備え
、
前記支持体は、内周縁と外周縁とを含み、前記内周縁と前記中央部との間の距離が、前記外周縁と前記中央部との間の距離よりも小さく、
前記脆弱部は、前記外周縁から前記内周縁にわたる長さを有する
検査用シールユニット。
【請求項2】
前記支持体は、前記中央部の全体を囲む多角形状、前記周縁の一部を空けて前記中央部を囲む折れ線状、前記中央部の全体を囲む円形状、および、前記周縁の一部を空けて前記中央部を囲む弧状のいずれか一つの形状を有する
請求項1に記載の検査用シールユニット。
【請求項3】
前記脆弱部は、ミシン目である
請求項1または2に記載の検査用シールユニット。
【請求項4】
前記支持体における前記脆弱部以外の部分での破断強度は、前記ベースフィルムの破断強度よりも高く、
前記支持体と前記表面との間の密着強度は、前記粘着層と検査対象との間の密着強度よりも高い
請求項1から3のいずれか一項に記載の検査用シールユニット。
【請求項5】
前記脆弱部は、前記表面と対向する平面視において、前記支持体のなかで前記ベースフィルムの重心からの距離が最も大きい点を含む部位に位置する
請求項1から4のいずれか一項に記載の検査用シールユニット。
【請求項6】
前記支持体は、前記2点のうちの第1点を含む第1辺と、前記2点のうちの第2点を含む第2辺と、前記第1辺と前記第2辺とを接続する接続辺とを備えた多角形状を有し、
前記支持体は、前記第1辺と前記接続辺とが形成する第1角部と、前記第2辺と前記接続辺とが形成する第2角部とを有し、
前記第1角部および前記第2角部の内周縁が、前記ベースフィルム上に曲率中心を有した弧状を有する
請求項1に記載の検査用シールユニット。
【請求項7】
前記支持体は、前記第1角部と前記第2角部との少なくとも一方に、前記脆弱部を備える
請求項6に記載の検査用シールユニット。
【請求項8】
前記支持体は、前記ベースフィルムに対向する裏面と、前記裏面とは反対側の面である表面とを含み、前記支持体の前記裏面における表面粗さが、前記支持体の前記表面における表面粗さよりも大きい
請求項1から7のいずれか一項に記載の検査用シールユニット。
【請求項9】
前記表面と対向する平面視において、前記表面のうちで前記支持体よりも内側の部分を覆う保護層をさらに備える
請求項1から8のいずれか一項に記載の検査用シールユニット。
【請求項10】
表面と前記表面とは反対側の面である裏面とを含むベースフィルムと、
前記ベースフィルムの前記裏面に位置する粘着層と、
前記ベースフィルムの前記表面に取り付けられるための支持体と、を備え、
前記支持体は、前記表面に取り付けられた状態において、前記表面と対向する平面視にて、前記ベースフィルムの周縁の少なくとも一部に沿う形状を有し、かつ、前記ベースフィルムの中央部を挟んで前記周縁において互いに対向する2点間を接続する帯状部を備え、
前記支持体は、前記支持体における
前記帯状部のなかで曲がる位置に脆弱部以外の部分よりも破断されやすい前記脆弱部を備え
、
前記支持体は、内周縁と外周縁とを含み、前記内周縁と前記中央部との間の距離が、前記外周縁と前記中央部との間の距離よりも小さく、
前記脆弱部は、前記外周縁から前記内周縁にわたる長さを有する
検査用シールユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロ波を用いた画像診断に用いられる検査用シールユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
乳がんの検査方法として、マイクロ波を用いたマンモグラフィーが提案されている(例えば、特許文献1を参照)。マイクロ波を用いたマンモグラフィーでは、検査対象である乳房を圧迫する必要がないため、被検者は検査時に痛みを感じることがない。また、マイクロ波を用いたマンモグラフィーではX線を用いないため、被検者が被爆しない。
【0003】
マイクロ波を用いたマンモグラフィーでは、プローブによって乳房の全体をスキャンする。この際に、スキャン漏れが生じないように、座標グリッドが印字されたタトゥーシールが、乳房に貼り付けられる。タトゥーシールは、粘着層と受像層とを備えている(例えば、特許文献2,3を参照)。受像層には、インクジェットプリンターなどを用いて座標グリッドが形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2017/057524号
【文献】特開2006-130865号公報
【文献】特開2000-160111号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
乳房を検査するための検査用シールとしてタトゥーシールを用いる場合には、検査用シールには、乳房の全体を覆うことが可能な程度に大きい面積を有することが必要とされる。検査用シールは非常に薄いため、検査用シールにはしわが生じやすい。それゆえに、検査用シールにしわが生じないように検査用シールを乳房に貼り付けるためには、検査用シールを一旦乳房に貼り付けた後に、検査用シールのなかでしわが生じた部分のみを乳房から剥がし、再度引き延ばして乳房に貼り付けることを繰り返すことが必要である。また、検査用シールの貼り直す回数を少なくするためには、検査用シールにしわを生じさせないように複数人で検査用シールを乳房に貼り付けることが必要である。このように、検査用シールを用いたマンモグラフィーでは、検査用シールを乳房に貼り付ける操作に手間がかかるため、操作の手間を削減することによって、検査の作業効率を高めることが求められている。
【0006】
なお、こうした事項は、検査対象が乳房である場合に限らず、人体における他の部位である場合にも共通する。
本発明は、検査における作業の効率を高めることを可能とした検査用シールユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための検査用シールユニットは、表面と前記表面とは反対側の面である裏面とを含むベースフィルムと、前記ベースフィルムの前記裏面に位置する粘着層と、前記ベースフィルムの前記表面に取り付けられ、前記表面と対向する平面視において、前記ベースフィルムの周縁の少なくとも一部に沿う形状を有する支持体であって、前記ベースフィルムの中央部を挟んで前記周縁において互いに対向する2点間を接続する帯状部を備える前記支持体と、を備える。
【0008】
上記課題を解決するための検査用シールユニットは、表面と前記表面とは反対側の面である裏面とを含むベースフィルムと、前記ベースフィルムの前記裏面に位置する粘着層と、前記ベースフィルムの前記表面に取り付けるための支持体と、を備える。前記支持体は、前記表面に取り付けられた状態において、前記表面と対向する平面視にて、前記ベースフィルムの周縁に沿う形状を有し、かつ、前記ベースフィルムの中央部を挟んで前記周縁において互いに対向する2点間を接続する帯状部を備える。
【0009】
上記各構成によれば、ベースフィルムと粘着層との積層体が支持体に支持されることによって、積層体の周縁のなかで、支持体によって支持された部分は、支持体が有する形状にしたがって延ばされた状態に維持される。そのため、積層体を検査対象に貼り付ける検査実施者は、積層体の周縁のなかで、支持体によって支持されていない部分のみを外側に向けて引っ張るのみで積層体の全体をしわのない状態に維持することが可能である。これにより、しわが寄っていない積層体を検査対象に貼り付けることが可能であるため、検査対象に貼り付けられた積層体にしわが生じることが抑えられる。このように、支持体を有した検査用シールユニットによれば、検査における作業の効率を高めることが可能である。
【0010】
上記検査用シールユニットにおいて、前記支持体は、前記中央部の全体を囲む多角形状、前記周縁の一部を空けて前記中央部を囲む折れ線状、前記中央部の全体を囲む円形状、および、前記周縁の一部を空けて前記中央部を囲む弧状のいずれか一つの形状を有してもよい。
【0011】
上記構成によれば、積層体のなかで支持体によって囲まれた領域が、支持体によって延ばされた状態に維持される。これにより、積層体が検査対象に貼り付けられる際に、積層体にしわが生じることが抑えられる。
【0012】
上記検査用シールユニットにおいて、前記支持体は、前記支持体における脆弱部以外の部分よりも破断されやすい前記脆弱部を備えてもよい。この構成によれば、脆弱部をきっかけにして支持体を破断することが容易である。そのため、ベースフィルムの表面から支持体を取り外すことが容易である。
【0013】
上記検査用シールユニットにおいて、前記脆弱部は、ミシン目であってもよい。この構成によれば、ミシン目に沿って支持体を破断することが可能になる。
【0014】
上記検査用シールユニットにおいて、前記支持体における前記脆弱部以外の部分での破断強度は、前記ベースフィルムの破断強度よりも高く、前記支持体と前記表面との間の密着強度は、前記粘着層と検査対象との間の密着強度よりも高くてもよい。
【0015】
上記構成によれば、脆弱部をきっかけとして支持体を破断した場合に、ベースフィルムの表面と対向する平面視における支持体とベースフィルムとの境界に沿って、ベースフィルムと粘着層との積層体を破断することが可能である。さらに、積層体の厚さ方向から見て、積層体のなかで支持体と重なる部分を、支持体とともに検査対象から取り除くことが可能である。
【0016】
上記検査用シールユニットにおいて、前記脆弱部は、前記表面と対向する平面視において、前記支持体のなかで前記ベースフィルムの重心からの距離が最も大きい点を含む部位に位置してもよい。
【0017】
上記構成によれば、脆弱部とベースフィルムの重心との距離がより小さい場合に比べて、ベースフィルムから支持体を取り外す際にベースフィルムと粘着層との積層体にしわが生じたり、検査対象に対する積層体の位置が変わったりすることが抑えられる。
【0018】
上記検査用シールユニットにおいて、前記支持体は、前記1つの点のうちの第1点を含む第1辺と、前記2つの点のうちの第2点を含む第2辺と、前記第1辺と前記第2辺とを接続する接続辺とを備えた多角形状を有し、前記支持体は、前記第1辺と前記接続辺とが形成する第1角部と、前記第2辺と前記接続辺とが形成する第2角部とを有し、前記第1角部および前記第2角部の内周縁が、前記ベースフィルム上に曲率中心を有した弧状を有してもよい。
【0019】
上記構成によれば、内周縁が曲率を有することによって、曲面を有した検査対象の形状に内周縁が沿いやすくなるため、内周縁に囲まれたベースフィルムと粘着層との積層体を検査対象に貼り付けた際に、積層体にしわが寄りにくくなる。また、内周縁が曲率を有することによって、角部が2つの直線によって形成される場合に比べて、外周縁から内周縁に向けた支持体の切断が容易である。
【0020】
上記検査用シールユニットにおいて、前記支持体は、前記第1角部と前記第2角部との少なくとも一方に、前記支持体における脆弱部以外の部分よりも破断されやすい前記脆弱部を備えてもよい。この構成によれば、各辺が延びる途中に脆弱部が位置する場合に比べて、脆弱部の周囲を把持しやすいため、脆弱部を破断するための力を脆弱部に作用させやすい。
【0021】
上記検査用シールユニットにおいて、前記支持体は、前記ベースフィルムに対向する裏面と、前記裏面とは反対側の面である表面とを含み、前記支持体の前記裏面における表面粗さが、前記支持体の前記表面における表面粗さよりも大きくてもよい。
【0022】
上記構成によれば、支持体において相対的に表面粗さが大きい面がベースフィルムに対して取り付けられる裏面であることによって、支持体の裏面と支持体の接着対象との接触面積を大きくすることが可能である。これにより、ベースフィルムと支持体との密着性を高めることができる。
【0023】
上記検査用シールユニットにおいて、前記表面と対向する平面視において、前記表面のうちで前記支持体よりも内側の部分を覆う保護層をさらに備えてもよい。
【0024】
上記構成によれば、ベースフィルムの表面のうちで、支持体から露出した部分が保護層によって覆われるため、ベースフィルムと粘着層との積層体を検査に用いるまで保護層によって覆われた部分を清浄に保つことが可能である。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、検査における作業の効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】一実施形態における検査用シールユニットの構造を示す断面図。
【
図2】
図1の検査用シールユニットの構造を示す平面図。
【
図3】
図2の検査用シールユニットにおける一部を拡大して示す部分平面図。
【
図4】
図1の検査用シールユニットにおける一部を拡大して示す部分断面図。
【
図5】
図1の検査用シールユニットが使用されるときのシール本体の構造を示す断面図。
【
図6】
図1の検査用シールユニットの使用方法を説明するための模式図。
【
図7】
図1の検査用シールユニットの使用方法を説明するための模式図。
【
図8】検査用シールユニットにおける第1変更例の構造を示す平面図。
【
図9】検査用シールユニットにおける第2変更例の構造を示す平面図。
【
図10】検査用シールユニットにおける第3変更例の構造を示す平面図。
【
図11】検査用シールユニットにおける第4変更例の構造を示す平面図。
【
図12】検査用シールユニットにおける第5変更例の構造を示す断面図。
【
図13】
図12が示す検査用シールユニットにおける第5変更例の構造を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1から
図7を参照して、検査用シールユニットの一実施形態を説明する。以下では、検査用シールユニットの構造、検査用シールユニットの使用方法、検査用シールユニットの流通形態、および、実施例を順に説明する。
【0028】
[検査用シールユニットの構造]
図1から
図4を参照して、検査用シールユニットの構造を説明する。本実施形態において、検査用シールユニットは、マイクロ波を用いた画像診断の一例であるマンモグラフィーに用いられる。本実施形態では、特に300MHz以上300GHz以下の波長帯域のマイクロ波を用いることが好ましい。検査用シールユニットは、マンモグラフィーにおいて、検査対象である乳房に貼り付けられるシール本体を含む。
【0029】
図1が示すように、検査用シールユニット10は、ベースフィルム11、粘着層12、および、支持体13を備えている。ベースフィルム11は、表面11Fと表面11Fとは反対側の面である裏面11Rとを含んでいる。粘着層12は、ベースフィルム11の裏面11Rに位置している。ベースフィルム11と粘着層12とが、シール本体10Aを形成している。支持体13は、ベースフィルム11の表面11Fに取り付けられている。
【0030】
支持体13は、ベースフィルム11の表面11Fに直接的に取り付けられてもよいし、間接的に取り付けられてもよい。本実施形態では、検査用シールユニット10は、支持体13をベースフィルム11の表面11Fに取り付けるための接着層14をさらに備えている。支持体13は、接着層14を介してベースフィルム11の表面11Fに間接的に取り付けられている。
【0031】
ベースフィルム11は、合成樹脂製である。ベースフィルム11は、例えばポリウレタン樹脂製である。ベースフィルム11は、以下の2つの条件を満たしていれば、ポリウレタン樹脂以外の合成樹脂から形成されてもよい。ベースフィルム11の厚さは、例えば、5μm以上15μm以下であってよい。
(条件1)引張破断伸度が130%以上である。
(条件2)100%伸び引張り応力が10MPa以下である。
【0032】
引張破断伸度は、JIS K7127:1999(ISO 527-3:1995)の「プラスチック-引張特性の試験方法-第3部:フィルム及びシートの試験条件」、および、JIS K7161-1:2014(ISO 527-1:2012)の「プラスチック-引張特性の求め方-第1部:通則」に準拠して算出される。測定対象物である試験片が降伏点を有しない場合には、JIS K7161-1:2014の3.7.2に定義された「引張破壊ひずみ」を引張破断伸度として算出する。一方で、試験片が降伏点を有する場合には、当該規格の3.8.1に定義される「引張破壊呼びひずみ」を引張破断伸度として算出する。なお、引張破壊ひずみは、当該規格の10「計算及び試験結果の表現」に記載された以下の式(1)によって算出される。また、引張破壊呼びひずみは、当該規格の10「計算及び試験結果の表現」に記載された以下の式(2)によって算出される。
【0033】
ε=ΔL0/L0 … 式(1)
εt=εy+ΔLt/L … 式(2)
なお、式(1)において、εはひずみ(%)であり、L0は試験片の標線間距離(mm)であり、ΔL0は試験片の標線間距離の増加量(mm)である。また、式(2)において、εtは呼びひずみ(%)であり、εyは降伏ひずみ(%)であり、Lは初めのつかみ具間距離(mm)であり、ΔLtは降伏点からのつかみ具間距離の増加量(mm)である。
【0034】
100%伸び引張応力は、JIS K7127:1999(ISO 527-3:1995)の「プラスチック-引張特性の試験方法-第3部:フィルム及びシートの試験条件」に準拠し、JIS K7161-1:2014(ISO 527-1:2012)の「プラスチック-引張特性の求め方-第1部:通則」の3.6.3に定義された「x%ひずみ引張応力」において、ひずみが規定の値(100%)に達したときの応力として算出される。なお、100%ひずみ引張応力は、当該規格の10「計算及び試験結果の表現」に記載された以下の式(3)によって算出される。
【0035】
σ=F/A … 式(3)
なお、式(3)において、σは応力(MPa)であり、Fは測定した力(N)であり、Aは試験片の初めの断面積(mm2)である。
【0036】
粘着層12は、ベースフィルム11と同様、合成樹脂製である。粘着層12は、例えばポリウレタン樹脂製である。粘着層12は、ベースフィルム11と粘着層12との積層体であるシール本体10Aにおいて、上述した条件1および条件2に加えて、以下の条件3を満たしていれば、ポリウレタン樹脂以外の合成樹脂から形成されてもよい。粘着層12の厚さは、例えば、5μm以上25μm以下であってよい。
(条件3)JIS Z 0208に規定される透湿度が、40℃かつ相対湿度90%の条件において、750g/m2・day以上である。
【0037】
支持体13は、紙製でもよいし、合成樹脂製でもよい。支持体13は、シール本体10Aよりも高い剛性を有することが好ましい。一方で、支持体13は、検査用シールユニット10が乳房などの曲面に適用された場合に、曲面に沿った湾曲を可能とする可撓性を有することが好ましい。支持体13が紙製である場合には、紙の坪量によって、支持体13の剛性と可撓性とを調整することが可能である。支持体13が合成樹脂製である場合には、合成樹脂の種類、および、支持体13の厚さによって、支持体13の剛性と可撓性とを調整することが可能である。
【0038】
検査用シールユニット10は、保護フィルム15をさらに備えている。保護フィルム15は、ベースフィルム11の裏面11Rに対して剥離可能に積層されている。保護フィルム15と対向する視点から見て、保護フィルム15は、ベースフィルム11の全体を覆っている。保護フィルム15は、透明または半透明な合成樹脂製であることが好ましい。保護フィルム15は、例えば、基材フィルムと、離型層とから構成されている。離型層は、基材フィルム上に積層されている。保護フィルム15において、離型層が粘着層12に接している。基材フィルムは、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムなどであってよい。離型層は、例えば、シリコーン樹脂製の層であってよい。なお、保護フィルム15は、基材フィルムのみから形成され、かつ、基材フィルムのなかでベースフィルム11と接する面に、剥離性を高める加工が施されていてもよい。
【0039】
図2が示すように、ベースフィルム11の表面11Fと対向する平面視において、支持体13は、ベースフィルム11の周縁11Eに沿う形状を有している。支持体13は、ベースフィルム11の中央部11Mを挟んで周縁11Eにおいて互いに対向する2点間を結ぶ帯状部を備えている。なお、ベースフィルム11の中央部11Mとは、表面11Fの面積に対する半分の面積を有し、かつ、ベースフィルム11の周縁11Eと相似形の周縁を有した部分であって、ベースフィルム11の周縁11Eからの距離が、中央部11Mの周縁上の任意の点間で等しい部分である。
【0040】
本実施形態において、支持体13は、中央部11Mの全体を囲む多角形状を有している。詳細には、支持体13は、閉環状、かつ、矩形状の枠体である。支持体13は、ベースフィルム11の周縁11Eにおける全体に位置している。本実施形態では、紙面の上下方向において互いに対向する一対の辺を第1辺13b1および第2辺13b2と定義した場合に、紙面の左右方向において互いに対向する辺の両方が、第1辺13b1を第2辺13b2に接続する接続辺13b3として定義される。第1辺13b1は上述した2点のうちの一方の点である第1点P1を含む辺であり、第2辺13b2は上述した2点のうちの他方の点である第2点P2を含む辺である。支持体13は、上述したように、第1辺13b1、第2辺13b2、および、接続辺13b3を含む矩形枠状を有している。本実施形態のように第1点P1および第2点P2を設定した場合には、帯状部が、第1辺13b1の一部、第2辺13b2の一部、および、一方の接続辺13b3を備えている。
【0041】
シール本体10Aが支持体13に支持されることによって、シール本体10Aの周縁のなかで、支持体13によって支持された部分は、支持体13が有する形状にしたがって延ばされた状態に維持される。そのため、シール本体10Aを乳房に貼り付ける検査実施者は、シール本体10Aの周縁のなかで、支持体13によって支持されていない部分のみを外側に向けて引っ張るのみでシール本体10Aの全体をしわのない状態に維持することが可能である。これにより、しわが寄っていないシール本体10Aを乳房に貼り付けることが可能であるため、乳房に貼り付けられたシール本体10Aにしわが生じることが抑えられる。このように、支持体13を有した検査用シールユニット10によれば、検査における作業効率を高めることが可能である。なお、検査実施者は、例えば医師または検査技師などである。
【0042】
ベースフィルム11は、検査対象におけるスキャンの位置を案内するための座標グリッド16を有している。座標グリッド16は、ベースフィルム11の表面11Fと対向する平面視において、支持体13によって囲まれる領域内に位置している。座標グリッド16は、複数の第1グリッド線16aを含んでいる。各第1グリッド線16aは、スキャン方向に沿って延び、かつ、複数の第1グリッド線16aは、スキャン方向と交差する配列方向に沿って並んでいる。本実施形態において、紙面の上下方向がスキャン方向であり、紙面の左右方向が配列方向である。スキャン方向は、マンモグラフィーにおいて、検査実施者が、プローブを用いて検査対象をスキャンする方向である。
【0043】
座標グリッド16は、配列方向に沿って延び、かつ、スキャン方向に沿って並ぶ複数の第2グリッド線16bをさらに含んでいる。ベースフィルム11の表面11Fと対向する方向から見て、複数の第2グリッド線16bは、複数の第1グリッド線16aとともに正方格子を形成している。
【0044】
座標グリッド16は、インキを用いてベースフィルム11の裏面11Rに印字されている。座標グリッド16を印字するためのインキには、ベースフィルム11に対する印字が可能な任意のインキを用いることが可能である。
【0045】
検査用シールユニット10において、シール本体10Aのうちで、座標グリッド16を除く部分において、JIS K 7361-1に規定される全光線透過率が50%以上であることが好ましい。これにより、検査用シールユニット10を乳房に貼り付ける場合に、乳房に対する座標グリッド16の位置を目視によって確認しながら、乳房に対する検査用シールユニット10の位置を調整することが可能である。また、検査用シールユニット10の全光線透過率が50%以上であれば、ベースフィルム11と粘着層12とを乳房に貼り付けた後に、これらを介して乳房に位置するほくろやしみの位置を、目視やカメラによって特定することが可能である。乳房におけるほくろやしみの位置は変わらないため、乳房における病巣の位置を特定する上で、乳房におけるほくろやしみの位置は重要である。
【0046】
これに対して、支持体13において、JIS K 7361-1に規定される全光線透過率は、シール本体10Aにおいて座標グリッド16を除く部分における全光線透過率よりも低いことが好ましい。支持体13は、半透明または不透明であることが好ましい。これにより、支持体13がシール本体10Aと同程度の透過性を有する場合に比べて、シール本体10Aと支持体13との境界が明確である。そのため、検査用シールユニット10から支持体13を取り除く場合に、支持体13に沿ってシール本体10Aが切断されているか否かの判断が容易である。これにより、検査用シールユニット10から支持体13を取り除く場合に、シール本体10Aと支持体13との境界よりも内側を不用意に切断することが抑えられる。
【0047】
支持体13は、脆弱部13aを備えている。脆弱部13aは、支持体13における脆弱部13a以外の部分よりも破断されやすい部分である。脆弱部13aは、支持体13における脆弱部13a以外の部分よりも機械的な強度が低い部分である。支持体13が脆弱部13aを有することによって、脆弱部13aにおいて支持体13を破断することが可能である。そのため、脆弱部13aにおける破断をきっかけにしてベースフィルム11の表面11Fから支持体13を取り外すことが容易である。
【0048】
支持体13における脆弱部13a以外の部分での破断強度は、ベースフィルム11の破断強度よりも高く、支持体13とベースフィルム11の表面11Fとの密着強度は、検査対象との密着強度よりも高い。これにより、脆弱部13aをきっかけとして支持体13を破断した場合に、ベースフィルム11の表面11Fと対向する平面視における支持体13とベースフィルム11との境界に沿って、シール本体10Aを破断することが可能である。さらに、シール本体10Aの厚さ方向から見て、すなわち、ベースフィルム11の表面11Fと対向する視点から見て、シール本体10Aのなかで支持体13と重なる部分を、支持体13とともに乳房から取り除くことが可能である。
【0049】
ベースフィルム11において、JIS K 7127に規定される破断強度が35N/25mm以下であることが好ましく、25N/25mm以下であることがより好ましい。ベースフィルム11の破断強度が35N/25mm以下の範囲に含まれることによって、シール本体10Aを支持体13とともに破断することが容易である。
【0050】
脆弱部13aは、ベースフィルム11の表面11Fと対向する平面視において、支持体13のなかでベースフィルム11の重心からの距離が最も大きい点を含む部位に位置することが好ましい。これにより、脆弱部13aとベースフィルム11の重心との距離がより小さい場合に比べて、ベースフィルム11から支持体13を取り外す際にベースフィルム11にしわが生じたり、乳房に対するベースフィルム11の位置が変わったりすることが抑えられる。
【0051】
本実施形態では、ベースフィルム11の表面11Fと対向する方向から見て、シール本体10Aは矩形状を有し、支持体13は矩形枠状を有している。そのため、支持体13において、ベースフィルム11の重心からの距離が最も大きい点を含む部位は、支持体13における各角部である。支持体13は、第1辺13b1と接続辺13b3とが交差する第1角部13c1と、第2辺13b2と接続辺13b3とが交差する第2角部13c2とを有している。支持体13は、第1角部13c1と第2角部13c2との少なくとも一方に、脆弱部13aを備えることが好ましい。この場合には、各辺13b1,13b2,13b3が延びる途中に脆弱部13aが位置する場合に比べて、脆弱部13aの周囲を把持しやすいため、脆弱部13aを破断するための力を脆弱部13aに作用させやすい。
【0052】
また、本実施形態では、脆弱部13aは、第1角部13c1と第2角部13c2との両方に位置している。そのため、支持体13が脆弱部13aを1つのみ備える場合に比べて、検査対象に対する検査用シールユニット10の貼り付け方の自由度が高まる。特に、乳房のように左右対称な2つの部位が検査対象である場合には、第1角部13c1と第2角部13c2との両方に脆弱部13aを備える仕様によって、左側の乳房と右側の乳房との両方において、脆弱部13aによる効果を得ることが可能である。
【0053】
図3は、第2角部13c2に位置する脆弱部13aの平面構造を拡大して示している。
図3が示すように、脆弱部13aは、ミシン目13amである。そのため、ミシン目13amに沿って支持体13を破断することが可能である。支持体13は、外周縁13e1と内周縁13e2とを含んでいる。内周縁13e2は、ベースフィルム11の中央部11Mからの距離が外周縁13e1よりも小さい部位である。ミシン目13amは、外周縁13e1から内周縁13e2に向けた矢印形状を含んでいる。そのため、外周縁13e1から内周縁13e2に向けて脆弱部13aを破断する力が支持体13に加えられたときに、脆弱部13aが直線状のミシン目のみから形成される場合に比べて、外周縁13e1から内周縁13e2に向かって支持体13が破断されやすい。
【0054】
ベースフィルム11の表面11Fと対向する平面視において、支持体13が有する各角部13c1,13c2の内周縁が、ベースフィルム11内に曲率中心を有した弧状を有している。言い換えれば、内周縁13e2のうちで、各角部13c1,13c2に対応する部位が、ベースフィルム11内に曲率中心を有した弧状を有している。そのため、曲面を有した乳房の形状に内周縁が沿いやすくなり、内周縁13e2に囲まれたシール本体10Aを乳房に貼り付けた際に、シール本体10Aにしわが寄りにくくなる。また、内周縁が曲率を有することによって、角部13c1,13c2が2つの直線によって形成される場合に比べて、外周縁13e1から内周縁13e2に向けた支持体13の切断が容易である。
【0055】
本実施形態では、外周縁13e1のうちで、各角部13c1,13c2に対応する部位が、ベースフィルム11に曲率中心を有した弧状を有している。これにより、外周縁13e1が曲率を有することによって、被検者の皮膚が角部13c1,13c2によって傷つけられることが抑えられる。
【0056】
図4は、
図1における検査用シールユニット10の断面構造の一部を拡大して示している。
図4が示すように、支持体13は、裏面13Rと表面13Fとを含んでいる。支持体13の裏面13Rは、ベースフィルム11に対向する面である。支持体13の表面13Fは、裏面13Rとは反対側の面である。支持体13の裏面13Rにおける表面粗さが、支持体13の表面13Fにおける表面粗さよりも大きい。
【0057】
このように、支持体13の面のうちで相対的に表面粗さが大きい面を、ベースフィルム11に対して取り付けられる裏面13Rに設定することによって、支持体13の裏面13Rと支持体13の接着対象との接触面積を大きくすることが可能である。これにより、ベースフィルム11と支持体13との密着性を高めることができる。本実施形態では、支持体13が接着層14によってベースフィルム11に接着されるため、支持体13と接着層14との接触面積を大きくすることが可能である。これにより、支持体13と接着層14との界面における剥離が生じにくくなり、結果として、ベースフィルム11に対する支持体13の密着性が高められる。
【0058】
支持体13の表面13Fおよび裏面13Rの表面粗さは、例えば、JIS B 0601に規定される算術平均粗さRa、最大高さRz、最大山高さRp、および、最大谷深さRvなどによって評価することが可能である。
【0059】
支持体13の剛性は、保護フィルム15の剛性よりも低くてもよいし、高くてもよい。支持体13の剛性が保護フィルム15の剛性よりも低い場合には、粘着層12、ベースフィルム11、および、支持体13の積層体を乳房に貼り付けながら乳房の曲面にあわせて曲げるときに、乳房の形状に追従した曲げがより容易である。また、支持体13の剛性が保護フィルム15の剛性よりも高い場合には、検査用シールユニット10の使用時に粘着層12から保護フィルム15を剥がしやすく、かつ、保護フィルム15を剥がした後から粘着層12を乳房に貼り付けるまで、シール本体10Aにしわが寄ることが抑えられる。
【0060】
[検査用シールユニットの使用方法]
図5から
図7を参照して、検査用シールユニット10の使用方法を説明する。
図5が示すように、検査用シールユニット10を使用する際には、まず、使用者が、粘着層12から保護フィルム15を剥がす。検査用シールユニット10のなかで、ベースフィルム11および粘着層12から形成されるシール本体10Aが、乳房の検査に用いられる。
【0061】
次いで、
図6が示すように、粘着層12を被検者Sの乳房Bに貼り付ける。このとき、検査実施者は、例えば、支持体13が有する一対の辺における一方の辺を、当該辺と重なるシール本体10Aの一部とともに一方の手で把持し、かつ、他方の辺を、当該辺と重なるシール本体10Aの一部とともに他方の手で把持する。シール本体10Aは、支持体13によってその形状が変わらないように変形が規制され、さらには、検査実施者が一対の辺が互いから離れる方向に向けてシール本体10Aに力を作用させることが可能であるため、シール本体10Aにしわが生じることが抑えられる。
【0062】
上述したように、シール本体10Aは、非常に薄く、かつ、条件1および条件2を満たすため、シール本体10Aに対して小さな力を加えるのみで非常によく延びる。それゆえに、矩形状を有し、かつ、乳房Bの全体を覆う程度に大きい面積を有したシール本体10Aを乳房Bに対してしわなく貼り付けるためには、シール本体10Aの周縁を構成する4辺を外側に向けて引っ張ることが必要とされる。すなわち、二人以上の検査実施者によって、シール本体10Aを乳房Bに貼り付けることが必要とされる。
【0063】
この点で、本実施形態の検査用シールユニット10によれば、シール本体10Aが支持体13によって変形が規制された状態で支持されていることから、一人の検査実施者によってシール本体10Aを乳房Bに貼り付けたとしても、シール本体10Aの貼り付け時にシール本体10Aにしわが生じることが抑えられる。このように、検査実施者の人数を減らすことが可能であるため、検査用シールユニット10によれば、マンモグラフィーにおける作業効率を高めることが可能である。さらには、本実施形態の検査用シールユニット10によれば、シール本体10Aにしわが生じない状態で、シール本体10Aを乳房Bに貼り付けることが可能である。そのため、シール本体10Aにおいてしわが生じた部分を貼り直す手間が削減される。これによっても、マンモグラフィーにおける作業効率を高めることが可能である。
【0064】
なお、シール本体10Aを乳房Bに貼り付ける際には、脆弱部13aを有する角部13c1,13c2の一方を、当該角部以外の角部よりも被検者Sの正中線寄り、かつ、頭部寄りに位置させることが好ましい。これにより、脆弱部13aを被検者Sの肋骨上に位置させることが可能であるため、脆弱部13aをきっかけとして支持体13を破断する際に、脆弱部13aに力を作用させやすい。
【0065】
図7が示すように、脆弱部13aをきっかけとして支持体13を破断し、支持体13をシール本体10Aの一部とともにシール本体10Aから取り外す。上述したように、シール本体10Aは、小さな力を加えるのみで非常によく延びる。そのため、支持体13を破断することなく、また、シール本体10Aをしわなく乳房に貼り付けた状態で、シール本体10Aから支持体13のみを取り外すことは困難である。
【0066】
この点で、本実施形態の検査用シールユニット10によれば、脆弱部13aをきっかけとして支持体13を破断し、その後に、ベースフィルム11の表面11Fと対向する方向から見た場合の支持体13とシール本体10Aとの境界において、支持体13に沿ってシール本体10Aを破断することが可能である。そのため、シール本体10Aから支持体13を取り外すときに、シール本体10Aにしわが寄ることが抑えられる。
【0067】
[検査用シールユニットの流通形態]
検査用シールユニット10は、保護フィルム15、粘着層12、ベースフィルム11、および、支持体13が一体化された状態で取引されてもよい。あるいは、検査用シールユニット10において、保護フィルム15付のシール本体10Aと、支持体13とは、別々の状態で取引されてもよい。この場合には、シール本体10Aが、ベースフィルム11を覆うセパレートフィルムを備えることが好ましい。また、接着層14を介して支持体13をシール本体10Aに取り付ける場合には、支持体13が接着層14を有することが好ましい。支持体13が接着層14を有し、かつ、支持体13が保護フィルム15付のシール本体10Aとは別々の状態で取引される場合には、支持体13に積層された接着層14を保護する保護フィルムを支持体13が備えることが好ましい。
【0068】
すなわち、検査用シールユニット10は、以下の形態であってもよい。検査用シールユニット10は、ベースフィルム11と、粘着層12と、ベースフィルム11の表面11Fに取り付けられるための支持体13とを備える。支持体13は、ベースフィルム11の表面11Fに取り付けられた状態において、表面11Fと対向する平面視にて、ベースフィルム11の周縁11Eに沿う形状を有し、かつ、ベースフィルム11の中央部を挟んで周縁11Eにおいて互いに対向する2点間を接続する帯状部を備える。
【0069】
[実施例]
表1を参照して、検査用シールユニットの実施例および比較例を説明する。
実施例1から実施例5、および、比較例1の各々では、これらに共通する保護フィルム付シール本体を以下に記載の方法によって準備した。
【0070】
[保護フィルム付シール本体]
75μmの厚さを有し、片面にシリコーンコートが施されたPETフィルム(東レフィルム加工(株)製、セラピール)を保護フィルムとして準備した(セラピールは登録商標)。そして、PETフィルムのシリコーンコート面にウレタン系粘着剤(トーヨーケム(株)、サイアバインSP-205)100部に対して硬化剤(トーヨーケム(株)、T-501B)1部を添加したものを塗工し、15μmの厚さを有した粘着層を形成した(サイアバインは登録商標)。次いで、40μmの厚さを有した二軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルム(フタムラ化学(株)製、FOR-MP)をセパレートフィルムとして準備した。その後に、水性ウレタン樹脂(三井化学(株)製、WS-6021)をセパレートフィルムに塗工して、15μmの厚さを有したベースフィルムを形成した。さらに、ベースフィルムの裏面に検査用の座標グリッドを印刷した。続いて、ベースフィルムの印刷面である裏面に、上述した塗工によって形成された粘着層を貼り合わせ、その後、セパレートフィルムをベースフィルムから剥離することによって、保護フィルム付シール本体を得た。
【0071】
[比較例1]
保護フィルム付シール本体を、縦の長さが220mmであり、横の長さが240mmである矩形状に成形することによって、比較例1の検査用シールユニットを得た。
【0072】
[実施例1]
比較例1と同じ方法によって、保護フィルム付シール本体を準備した。次いで、保護フィルム付シール本体の周縁のなかで、横方向に延びる1辺を除く3辺に沿う形状を有した支持体を準備した。支持体において、各辺が延びる方向に直交する方向の長さである幅を10mmに設定した。支持体を形成する材料には、坪量が260g/m2である紙材料((株)竹尾製、インバーコートM-FS)を用いた。ベースフィルムの表面に支持体を貼り付けることによって、実施例1の検査用シールユニットを得た。
【0073】
[実施例2]
実施例1において、保護フィルム付シール本体の周縁に沿う矩形枠状を有した支持体を準備した以外は、実施例1と同じ方法によって実施例2の検査用シールユニットを得た。
【0074】
[実施例3]
実施例2において、支持体が有する1つの角部に、支持体の外周縁から内周縁に向かって窪む切り欠きを形成した以外は、実施例2と同じ方法によって実施例3の検査用シールユニットを得た。
【0075】
[実施例4]
実施例2において、支持体が有する1つの角部に、支持体の外周縁から内周縁にわたるミシン目を形成した以外は、実施例2と同じ方法によって実施例4の検査用シールユニットを得た。
【0076】
[実施例5]
実施例4において、保護フィルム付シール本体を半径が140mmである円状に成形し、かつ、円環状の支持体を形成した以外は、実施例4と同じ方法によって実施例5の検査用シールユニットを得た。
【0077】
[評価方法]
実施例1から実施例5の検査用シールユニット、および、比較例1の検査用シールユニットを一人の実験者によって乳癌触診訓練用モデル((株)タナック製)の乳房に貼り付けた。実施例1から実施例5では、粘着層から保護フィルムを取り外した後に、シール本体を支持体とともに乳癌触診訓練用モデルに貼り付けた。一方で、比較例1では、粘着層から保護フィルムを取り外し、かつ、ベースフィルムからセパレートフィルムを取り外した後に、シール本体を乳癌触診訓練用モデルに貼り付けた。この際に、以下の3項目を評価した。
【0078】
(項目1)シール本体の周縁を均一に引っ張ることが可能
(項目2)シール本体にしわが生じないようにシール本体を乳房に貼り付けることが可能
(項目3)シール本体の貼り付け後にシール本体から支持体を取り外すことが可能
【0079】
項目1では、シール本体を乳房に貼り付ける際に、シール本体の周縁を均一に引っ張ることが可能であるか否かを以下の2段階で評価した。
○ シール本体の周縁における全周にわたって、シール本体を均一に引っ張ることが可能
× シール本体の周縁における少なくとも一部において、シール本体を引っ張ることができない
【0080】
項目2では、シール本体を乳房に貼り付けたときに、シール本体にしわが生じているか否かを以下の3段階で評価した。
◎ シール本体にしわが生じない
○ シール本体のなかで検査に用いる領域にしわが生じない
× シール本体のなかで検査に用いる領域にしわが生じる
【0081】
項目3では、シール本体を乳房に貼り付けた後に、シール本体から支持体を取り外すことが可能であるか否かを以下の2段階で評価した。
○ シール本体が乳房に貼り付いた状態を維持しつつ、支持体を取り外すことが可能
× シール本体から支持体を取り外す際に、シール本体が乳房に貼り付いた状態を維持できない
【0082】
[評価結果]
実施例1から実施例5の検査用シールユニット、および、比較例1の検査用シールユニットについて、上述した項目1から項目3を評価した結果は、以下の表1に示す通りであった。
【0083】
【0084】
表1が示すように、比較例1の検査用シールユニットを用いた場合には、一人の実験者によってシール本体の周縁を均一に引っ張ることができなかった。そのため、比較例1の検査用シールユニットを用いた場合には、シール本体にしわが生じない状態でシール本体を乳房に貼り付けることができなかった。
【0085】
実施例1の検査用シールユニットを用いた場合には、シール本体の周縁における3辺が支持体によって引っ張られた状態であるため、一人の実験者が残りの一辺を引っ張ることによって、シール本体の周縁を均一に引っ張ることができた。そのため、実施例1の検査用シールユニットを用いた場合には、シール本体における周辺部にはしわが生じたとしても、検査に用いられる領域にはしわが生じない状態でシール本体を乳房に貼り付けることができた。すなわち、実施例1によれば、検査には支障がない程度にしわを有しない状態で、シール本体を乳房に貼り付けることが可能であることが認められた。また、シール本体を乳房に貼り付けた状態で、支持体における開口端とシール本体との境界をきっかけとして、シール本体を支持体に沿って破断することができた。これにより、実施例1の検査用シールによれば、シール本体が乳房に貼り付いた状態を維持しながら、シール本体から支持体を取り外すことができた。
【0086】
実施例2の検査用シールを用いた場合には、シール本体の周縁における全体が支持体によって引っ張られた状態であることから、シール本体の周縁を均一に引っ張ることができた。そのため、実施例2の検査用シールユニットを用いた場合には、シール本体にしわが生じない状態でシール本体を乳房に貼り付けることができた。一方で、支持体を破断するためのきっかけを支持体が有しないことから、シール本体から支持体を取り除くための力を支持体に作用させると、シール本体の一部にしわが生じたり、シール本体の他の一部が乳房から浮いたりすることが認められた。このように、実施例2の検査用シールによれば、シール本体が乳房に貼り付いた状態を維持しながら、シール本体から支持体を取り外すことができなかった。
【0087】
実施例3の検査用シールユニットを用いた場合には、シール本体の周縁における全体が支持体によって引っ張られた状態であることから、シール本体の周縁を均一に引っ張ることができた。そのため、実施例3の検査用シールユニットを用いた場合には、シール本体にしわが生じない状態でシール本体を乳房に貼り付けることができた。また、実施例3の検査用シールでは、支持体が切り欠きを有するため、切り欠きをきっかけとして、支持体を破断し、かつ、シール本体のなかで、支持体が貼り付いた部分の一部を支持体とともに破断することができた。これにより、シール本体と支持体との境界に沿ってシール本体を破断することによって、シール本体が乳房に貼り付いた状態を維持しながら、シール本体から支持体を取り外すことができた。
【0088】
実施例4の検査用シールユニットを用いた場合には、シール本体の周縁における全体が支持体によって引っ張られているため、シール本体の周縁を均一に引っ張ることができた。そのため、試験例4の検査用シールユニットを用いた場合には、シール本体にしわが生じない状態でシール本体を乳房に貼り付けることができた。また、実施例4の検査用シールユニットでは、支持体がミシン目を有するため、ミシン目をきっかけとして、支持体を破断し、かつ、シール本体のなかで、支持体が貼り付いた部分の一部を支持体とともに破断することができた。これにより、シール本体と支持体との境界に沿ってシール本体を破断することによって、シール本体が乳房に貼り付いた状態を維持しながら、シール本体から支持体を取り外すことができた。
【0089】
実施例5の検査用シールを用いた場合には、実施例4の検査用シールを用いた場合と同様の結果が得られた。
【0090】
以上説明したように、検査用シールの一実施形態によれば、以下に列挙する効果を得ることができる。
(1)シール本体10Aが支持体13に支持されることによって、シール本体10Aの周縁のなかで、支持体13によって支持された部分は、支持体13が有する形状にしたがって延ばされた状態に維持される。そのため、シール本体10Aを乳房Bに貼り付ける検査実施者は、シール本体10Aの周縁のなかで、支持体13によって支持されていない部分のみを外側に向けて引っ張るのみでシール本体10Aの全体をしわのない状態に維持することが可能である。これにより、しわが寄っていないシール本体10Aを乳房Bに貼り付けることが可能であるため、乳房Bに貼り付けられたシール本体10Aにしわが生じることが抑えられる。このように、支持体13を有した検査用シールユニット10によれば、検査における作業の効率を高めることが可能である。
【0091】
(2)シール本体10Aのなかで支持体13によって囲まれた領域が、支持体13によって延ばされた状態に維持される。これにより、シール本体10Aが乳房Bに貼り付けられる際に、シール本体10Aにしわが生じることが抑えられる。
【0092】
(3)脆弱部13aをきっかけにして支持体13を破断することが容易である。そのため、ベースフィルム11の表面11Fから支持体13を取り外すことが容易である。
(4)ミシン目13amに沿って支持体13を破断することが可能になる。
【0093】
(5)外周縁13e1から内周縁13e2に向けて脆弱部13aを破断する力が支持体13に加えられたときに、脆弱部13aが直線状のミシン目のみから形成される場合に比べて、外周縁13e1から内周縁13e2に向かって支持体13が破断されやすい。
【0094】
(6)脆弱部13aをきっかけとして支持体13を破断した場合に、ベースフィルム11の表面11Fと対向する平面視における支持体13とベースフィルム11との境界に沿って、シール本体10Aを破断することが可能である。さらに、ベースフィルム11の表面11Fと対向する視点から見て、シール本体10Aのなかで支持体13と重なる部分を、支持体13とともに乳房Bから取り除くことが可能である。
【0095】
(7)脆弱部13aとベースフィルム11の重心との距離がより小さい場合に比べて、ベースフィルム11から支持体13を取り外す際にシール本体10Aにしわが生じたり、乳房Bに対するシール本体10Aの位置が変わったりすることが抑えられる。
【0096】
(8)内周縁が曲率を有することによって、曲面を有した乳房Bの形状に内周縁が沿いやすくなるため、内周縁に囲まれたシール本体10Aを乳房Bに貼り付けた際に、シール本体10Aにしわが寄りにくくなる。
【0097】
(9)各辺が延びる途中に脆弱部13aが位置する場合に比べて、脆弱部13aの周囲を把持しやすいため、脆弱部13aを破断するための力を脆弱部13aに作用させやすい。
【0098】
(10)支持体13において相対的に表面粗さが大きい面がベースフィルム11に対して取り付けられる裏面13Rであることによって、支持体13の裏面13Rと支持体13の接着対象との接触面積を大きくすることが可能である。これにより、ベースフィルム11と支持体13との密着性を高めることができる。
【0099】
なお、上述した実施形態は、以下のように変更して実施することができる。
[支持体]
・支持体13の外周縁13e1および内周縁13e2の少なくとも一方は、各角部において曲率を有しなくてもよい。例えば、外周縁13e1および内周縁13e2の少なくとも一方において、各角部が、2つの直線によって形成されてもよい。または、外周縁13e1および内周縁13e2の少なくとも一方が、2つの直線によって形成された角部と、曲率を有する角部との両方を含んでもよい。この場合であっても、検査用シールユニット10が支持体13を有する以上は、上述した(1)に準じた効果を得ることはできる。
【0100】
・支持体13の裏面13Rにおける表面粗さは、表面13Fにおける表面粗さ以下であってもよい。この場合であっても、検査用シールユニット10が支持体13を有する以上は、上述した(1)に準じた効果を得ることはできる。
【0101】
・
図8が示すように、支持体13Aは、脆弱部13aとしてミシン目13amに代えて、支持体13の外周縁13e1から内周縁13e2に向けて窪む切り欠き13akを有してもよい。この場合であっても、上述した(3)に準じた効果を得ることはできる。
【0102】
・
図9が示すように、支持体13Bは、ベースフィルム11の周縁11Eの一部を空けて中央部11Mを囲む折れ線状を有してもよい。例えば、矩形状を有したシール本体10Aの周縁のなかで、互いに対向する一対の辺と、当該一対の辺を接続する1つの辺とに沿う形状を有してもよい。すなわち、支持体13Bは、第1辺13B1と、第1辺13B1と対向する第2辺13B2と、第1辺13B1と第2辺13B2とを接続する接続辺13B3とのみを備えてもよい。この場合であっても、上述した(2)に準じた効果を得ることはできる。
【0103】
また、この場合には、第1辺13B1において接続辺13B3に接続されていない端部、または、第2辺13B2において接続辺13B3に接続されていない端部をきっかけとして、シール本体10Aを破断することが可能である。そのため、支持体13Bが脆弱部13aを有していなくとも、シール本体10Aを乳房Bに貼り付けた状態で、シール本体10Aから支持体13Bを取り外すことが可能である。なお、支持体13Bは、脆弱部13aを有してもよい。
【0104】
・
図10が示すように、支持体13Cは、ベースフィルム11の中央部11Mにおける全体を囲む円形状を有してもよい。例えば、シール本体10A1は円状を有し、かつ、支持体13Cは、シール本体10A1の周縁に沿った円環状を有してもよい。支持体13Cが円環状を有する場合には、支持体13Cは
図10が示すような閉環状を有してもよいし、開環状、すなわち、ベースフィルム11の周縁11Eの一部を空けて中央部を囲む弧状を有してもよい。この場合であっても、上述した(2)に準じた効果を得ることはできる。
【0105】
・支持体13の剛性はシール本体10Aの剛性よりも高い方が好ましいが、支持体13の剛性はシール本体10Aの剛性以下であってもよい。この場合であっても、シール本体10Aが、ベースフィルム11の周縁11Eに沿って支持体13によって支持されることによって、上述した(1)に準じた効果を得ることは可能である。
【0106】
[脆弱部]
・
図11が示すように、支持体13が複数の脆弱部13aを有する場合には、支持体13の四隅のそれぞれに脆弱部13aが位置してよい。また、
図11が示すように、第1辺13b1および第2辺13b2が接続辺13b3よりも長い場合に、支持体13は、第1辺13b1が延びる途中、および、第2辺13b2が延びる途中の少なくとも一方に、脆弱部13aを有することができる。そして、第1辺13b1が延びる途中に位置する脆弱部13aは、第1辺13b1が延びる方向における第1辺13b1の中央部よりも、支持体13の角部寄りに位置することができる。また、第2辺13b2が延びる途中に位置する脆弱部13aは、第2辺13b2が延びる方向における第2辺13b2の中央部よりも、支持体13の角部寄りに位置することができる。
【0107】
図11が示す例では、支持体13の四隅のそれぞれに脆弱部13aが位置し、かつ、第1辺13b1および第2辺13b2のそれぞれに、脆弱部13aが2つずつ位置している。第1辺13b1に位置する2つの脆弱部13aは、第1辺13b1が延びる方向において、第1辺13b1の中央部に対して、支持体13の角部のうち、互いに異なる角部寄りに位置している。第2辺13b2に位置する2つの脆弱部13aは、第2辺13b2が延びる方向において、第2辺13b2の中央部に対して、支持体13の角部のうち、互いに異なる角部寄りに位置している。
【0108】
シール本体10Aが貼り付けられる対象である乳房Bはお椀状を有するため、支持体13が取り付けられたシール本体10Aを乳房Bに貼り付けた際には、支持体13の四隅においてシール本体10Aにしわが生じやすい。
【0109】
例えば、シール本体10Aを乳房Bに貼り付ける前に、支持体13のうちで、四隅に位置する脆弱部13aと、各辺13b1,13b2の途中に位置する脆弱部13aとに挟まれた部分を支持体13から取り除くことが可能である。これにより、ベースフィルム11の四隅には支持体13の一部が位置しないため、ベースフィルム11の四隅における可撓性、および、乳房に対する追従性を高めることが可能である。そのため、ベースフィルム11の四隅にしわが生じることが抑えられる。
【0110】
また例えば、シール本体10Aを乳房Bに貼り付けた後に、支持体13のうちで、四隅に位置する脆弱部13aと、各辺13b1,13b2の途中に位置する脆弱部13aとに挟まれた部分を支持体13から取り除くことが可能である。ベースフィルム11のうちでしわが生じている部分では、ベースフィルム11のうちでしわが生じていない部分に比べて、ベースフィルム11から支持体13を取り外すことが難しい。この点で、ベースフィルム11の四隅に位置する支持体13の一部を、支持体13における他の部分から切り離すことが可能であるため、1つの支持体13を一体としてベースフィルム11から取り外す場合に比べて、ベースフィルム11から支持体13を取り外すことが容易である。
なお、支持体13は、接続辺13b3が延びる途中に位置する脆弱部13aを備えてもよい。
【0111】
・支持体13が複数の脆弱部13aを有する場合には、複数の脆弱部13aには、ミシン目13amによって形成される脆弱部13aと、切り欠き13akによって形成される脆弱部13aとが含まれてもよい。
【0112】
・支持体13のなかで脆弱部13aが位置する部位は、ベースフィルム11の重心からの距離が最も大きい点を含む部位でなくてもよい。この場合であっても、上述した(3)に準じた効果を得ることはできる。
【0113】
・脆弱部13aは、第1角部13c1および第2角部13c2の一方のみに位置してもよい。この場合であっても、上述した(3)に準じた効果を得ることはできる。
【0114】
・ミシン目13amは、直線状でもよい。この場合であっても、ミシン目13amをきっかけとして支持体13を破断することは可能であるため、上述した(3)に準じた効果を得ることはできる。
【0115】
・支持体13は脆弱部13aを有しなくてもよい。この場合であっても、上述した(1)に準じた効果を得ることはできる。また、この場合には、シール本体10Aに支持体13が取り付けられた状態で、乳房Bの検査を行ってもよいし、シール本体10Aから支持体13を取り外した後に、乳房Bの検査を行ってもよい。
【0116】
[接着層]
・検査用シールユニット10は、支持体13がベースフィルム11の粘性によってベースフィルム11に接着される場合には、支持体13をベースフィルム11に接着するための接着層14を有しなくてもよい。この場合であっても、支持体13の裏面13Rにおける表面粗さは、支持体13の表面13Fにおける表面粗さよりも大きいことが好ましい。これにより、支持体13の表面13Fをベースフィルム11に接着させる場合に比べて、支持体13とベースフィルム11との密着性を高めることが可能である。
【0117】
[座標グリッド]
・ベースフィルム11の表面11Fと対向する平面視において、座標グリッド16は正方格子以外の形状を有してもよい。例えば、座標グリッド16は、互いに異なる直径を有した複数の同心円から構成されてもよい。すなわち、座標グリッド16は、極座標に対応するグリッドであってもよい。要は、座標グリッド16は、乳房Bに貼り付けられた状態で、プローブのスキャンを行う方向や位置を案内することが可能な形状を有していればよい。
【0118】
・ベースフィルム11は、座標グリッド16に限らず、1つの方向に沿って延びる形状などの他の形状を有するスキャンの指標を有してもよい。スキャンの指標は、例えば、プローブによってスキャンすべき位置を案内したり、スキャンの方向を案内したりするものであればよい。
【0119】
・座標グリッド16は印刷によって形成されなくてもよい。例えば、座標グリッド16は、ベースフィルム11が有する凹部や凸部によって形成されてもよい。
【0120】
[ベースフィルム]
・検査用シールユニット10が含むベースフィルム11が上述した条件1および条件2を満たしていれば、ベースフィルム11を形成するための合成樹脂は、ポリウレタン樹脂以外の樹脂であってもよい。例えば、ベースフィルム11を形成するための合成樹脂は、EVA樹脂でもよい。
【0121】
・ベースフィルム11は、上述した条件1および条件2の少なくとも一方を満たさなくてもよい。この場合であっても、検査用シールユニット10が、ベースフィルム11に取り付けられた支持体13を備えていれば、上述した(1)に準じた効果を得ることはできる。
【0122】
・支持体13において、脆弱部13a以外の部分での破断強度は、ベースフィルム11の破断強度以下であってもよい。この場合には、脆弱部13aにおいて支持体13を破断した場合に、少なくとも脆弱部13aの一部をシール本体10Aから取り外すことは可能である。また、支持体13とベースフィルム11の表面11Fとの密着強度は、粘着層12と乳房Bとの密着強度以下であってもよい。この場合には、脆弱部13aにおいて破断した後の支持体13をベースフィルム11から剥がしやすくなる。
【0123】
[シール本体]
・シール本体10Aは、上述した条件3を満たさなくてもよい。この場合であっても、検査用シールユニット10が、ベースフィルム11に取り付けられた支持体13を備えていれば、上述した(1)に準じた効果を得ることはできる。
【0124】
[保護フィルム]
・保護フィルム15は省略されてもよい。この場合であっても、検査用シールユニット10が、ベースフィルム11に取り付けられた支持体13を備えていれば、上述した(1)に準じた効果を得ることはできる。
【0125】
[保護層]
・
図12および
図13を参照して以下に説明するように、検査用シールユニット10は、ベースフィルム11の表面11Fを覆う保護層をさらに備えてもよい。
図12は、ベースフィルム11の表面11Fに直交する断面に沿う検査用シールユニット10の断面構造を示している。
【0126】
図12が示すように、検査用シールユニット10は、ベースフィルム11の表面11Fを覆う保護層17をさらに備えている。保護層17は、ベースフィルム11の表面11Fと対向する視点から見て、ベースフィルム11の表面11Fのうちで、支持体13よりも内側の部分を覆っている。
図12が示す例では、保護層17がベースフィルム11の表面11Fに接し、かつ、表面11Fに平行な形状を有する状態が例示されている。なお、保護層17は、撓みを有してもよい。この場合には、保護層17は、保護層17の周縁から中心に向けて、ベースフィルム11から粘着層12に向かう方向に沿った凸状を有する。また、保護層17は、シール本体10Aの厚さ方向において、支持体13と同一の平面上に位置する平面状を有してもよい。言い換えれば、検査用シールユニット10は、シール本体10Aの厚さ方向において、ベースフィルム11の表面11Fと保護層17との間に、接着層14の厚さに相当する隙間を有してもよい。保護層17は、保護層17が有する剛性に応じて、上述したいずれかの形状を有することが可能である。
【0127】
図13は、ベースフィルム11の表面11Fと対向する視点から見た検査用シールユニット10の平面構造を示している。
図13が示すように、ベースフィルム11の表面11Fと対向する視点から見て、保護層17は、支持体13よりも内側の部分におけるほぼ全体を覆っている。保護層17は、支持体13の内周縁が有する形状と相似な形状を有している。これにより、保護層17は、ベースフィルム11の表面11Fのうちで、支持体13から露出した部分のほとんどを覆うことが可能である。
【0128】
保護層17と支持体13とは、保護層17と支持体13との間に位置する隙間Gによって、互いから区分されている。隙間Gには、保護層17と支持体13とを連結する連結部18が位置している。検査用シールユニット10は、1以上の連結部18を備えることが可能である。検査用シールユニット10の運搬時などに、保護層17が支持体13から脱離することを抑える観点では、検査用シールユニット10は複数の連結部18を備え、かつ、保護層17の周方向において、複数の連結部18が間隔を空けて位置することが好ましい。保護層17の周方向に沿う連結部18の長さは、隙間Gのうちで、2つの連結部18によって挟まれた部分での保護層17の周方向に沿う長さよりも短い。
【0129】
保護層17は、支持体13と同様、紙製でもよいし、合成樹脂製でもよい。保護層17を形成する材料は、支持体13を形成する材料と同一であってよい。この場合には、支持体13および保護層17を形成するための1つの部材を準備し、打ち抜き加工またはレーザー加工を用いることによって、当該部材から支持体13、保護層17、および、連結部18を形成することが可能である。なお、打ち抜き加工またはレーザー加工によって支持体13、保護層17、および、連結部18を形成する際には、支持体13が備える脆弱部13aも同一の加工方法を用いて形成することが可能である。
【0130】
検査用シールユニット10を使用する際には、連結部18を破断することによって、支持体13から保護層17を切り離す。これにより、ベースフィルム11の表面11Fの一部を露出させることによって、ベースフィルム11に形成された座標グリッド16を外部に露出させることが可能である。
【0131】
このように、保護層17を備える検査用シールユニット10によれば、以下に記載の効果を得ることができる。
(11)ベースフィルム11の表面11Fのうちで、支持体13から露出した部分が保護層17によって覆われるため、シール本体10Aを検査に用いるまで保護層17によって覆われた部分を清浄に保つことが可能である。
【0132】
・検査用シールユニット10は、保護層17を支持体13に連結する連結部18を備えなくてもよい。この場合であっても、検査用シールユニット10が保護層17を備えることによって、上述した(11)に準じた効果を得ることは可能である。
【0133】
・保護層17は、ベースフィルム11の表面11Fと対向する視点から見て、表面11Fのうちで支持体13から露出する部分の一部のみを覆う形状を有してもよい。この場合であっても、表面11Fのうちで、保護層17に覆われた部分においては、少なくとも上述した(11)に準じた効果を得ることはできる。
【0134】
・保護層17は、ベースフィルム11の表面11Fと対向する視点から見て、支持体13と、ベースフィルム11の表面11Fのうちで、支持体13よりも内側の部分との両方を覆ってもよい。この場合には、保護層17は、支持体13とベースフィルム11の表面11Fとによって形成される高低差に沿う形状を有することが可能な可撓性を有することが好ましい。
【0135】
[検査対象]
・検査対象は、乳房に限らず人体における他の部位でもよい。すなわち、検査用シールユニット10は、マンモグラフィーに限らず他の画像診断に用いられてもよい。
【符号の説明】
【0136】
10…検査用シールユニット、10A,10A1…シール本体、11…ベースフィルム、11E…周縁、11F,13F…表面、11M…中央部、11R,13R…裏面、12…粘着層、13,13A,13B,13C…支持体、13a…脆弱部、13ak…切り欠き、13am…ミシン目、13b1,13B1…第1辺、13b2,13B2…第2辺、13b3,13B3…接続辺、13c1…第1角部、13c2…第2角部、13e1…外周縁、13e2…内周縁、14…接着層、15…保護フィルム、16…座標グリッド、16a…第1グリッド線、16b…第2グリッド線、17…保護層、18…連結部。