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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-14
(45)【発行日】2025-01-22
(54)【発明の名称】無人搬送用昇降・傾斜装置
(51)【国際特許分類】
   G05D 3/12 20060101AFI20250115BHJP
【FI】
G05D3/12 305Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021006103
(22)【出願日】2021-01-19
(65)【公開番号】P2022110601
(43)【公開日】2022-07-29
【審査請求日】2023-08-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000006105
【氏名又は名称】株式会社明電舎
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100104938
【弁理士】
【氏名又は名称】鵜澤 英久
(74)【代理人】
【識別番号】100210240
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 友幸
(72)【発明者】
【氏名】安部 義隆
(72)【発明者】
【氏名】野村 昌克
(72)【発明者】
【氏名】久保 肇
(72)【発明者】
【氏名】米野 敬祐
【審査官】神山 貴行
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/181627(WO,A1)
【文献】特開2012-051385(JP,A)
【文献】特開2004-021693(JP,A)
【文献】特開2010-225139(JP,A)
【文献】特開2008-105844(JP,A)
【文献】特開平09-109644(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/00-1/87
G05D 3/00-3/20
B65G 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動可能な走行体に搭載された基台と、
前記基台上の四隅に各々設置されたアクチュエータであり、出力軸が前記基台上における前記設置された面に対して垂直方向に運動自在に構成された第1~第4のアクチュエータと、
前記第1~第4のアクチュエータの各出力軸の先端部に対向して配設された被制御体と、
前記被制御体の荷重に比べて十分小さい力により第1~第4のアクチュエータを伸長させ、前記各アクチュエータの出力軸の先端が被制御体に接触、停止した後、被制御体の傾きを制御しながら第1~第4のアクチュエータの各出力軸の位置を制御する位置制御部と、を備え
前記位置制御部は、下記(1)式で与えられる傾斜指令[Sx cmd,Sy cmd]に基づいて被制御体の傾きを制御し、
【数1】

(ただしSx cmdは被制御体のロール方向(x軸を回転軸とする回転方向)の傾斜指令、Sy cmdは被制御体のピッチ方向(y軸を回転軸とする回転方向)の傾斜指令、axはx方向の加速度、ayはy方向の加速度、gは重力加速度)
前記基台に設置された加速度センサと、前記移動可能な走行体に設置され、前記走行体の走行指令から加速度を算出する加速度算出装置とを備え、
前記位置制御部は、
前記加速度算出装置で算出された直進方向の加速度aaxと、前記加速度センサで計測された、x方向の加速度ax senおよびz方向の加速度az senとから、(8)式を演算して斜面の傾斜角推定値θsを求め、
【数8】

(9)式、(10)式、(11)式を演算して水平方向の加減速awx、水平面からの傾斜指令Swx cmd、基台からの傾斜指令Sx cmdを求めることによって、傾斜指令を生成する指令値生成部を有していることを特徴とする無人搬送用昇降・傾斜装置。
【数9】

【数10】

【数11】
【請求項2】
移動可能な走行体に搭載された基台と、
前記基台上の四隅に各々設置されたアクチュエータであり、出力軸が前記基台上における前記設置された面に対して垂直方向に運動自在に構成された第1~第4のアクチュエータと、
前記第1~第4のアクチュエータの各出力軸の先端部に対向して配設された被制御体と、
前記被制御体の荷重に比べて十分小さい力により第1~第4のアクチュエータを伸長させ、前記各アクチュエータの出力軸の先端が被制御体に接触、停止した後、被制御体の傾きを制御しながら第1~第4のアクチュエータの各出力軸の位置を制御する位置制御部と、を備え
前記位置制御部は、下記(1)式で与えられる傾斜指令[Sx cmd,Sy cmd]に基づいて被制御体の傾きを制御し、
【数1】

(ただしSx cmdは被制御体のロール方向(x軸を回転軸とする回転方向)の傾斜指令、Sy cmdは被制御体のピッチ方向(y軸を回転軸とする回転方向)の傾斜指令、axはx方向の加速度、ayはy方向の加速度、gは重力加速度)
前記基台に設置された加速度を計測原理とする傾斜センサと、前記移動可能な走行体に設置され、前記走行体の走行指令から加速度を算出する加速度算出装置とを備え、
前記位置制御部は、
前記傾斜センサで計測された傾斜角度θsenから、x方向の加速度ax senおよびz方向の加速度az senを(12)式として求め、
【数12】

(ただしgは重力加速度)
前記加速度算出装置で算出された直進方向の加速度aaxと、前記(12)式で求められたx方向の加速度ax senおよびz方向の加速度az senとから、(8)式を演算して斜面の傾斜角推定値θsを求め、
【数8】

(9)式、(10)式、(11)式を演算して水平方向の加減速awx、水平面からの傾斜指令Swx cmd、基台からの傾斜指令Sx cmdを求めることによって、傾斜指令を生成する指令値生成部を有していることを特徴とする無人搬送用昇降・傾斜装置。
【数9】

【数10】

【数11】
【請求項3】
前記位置制御部は、
次の(2)式、(3)式、(4)式、(5)式を用いて、前記被制御体の中心高さ指令および天板の傾斜指令を第1~第4のアクチュエータの各出力軸の長さ指令に変換する変数変換部を有していることを特徴とする請求項1または2に記載の無人搬送用昇降・傾斜装置。
【数2】

【数3】

【数4】

【数5】

(ただし、x1~x4は被制御体における第1~第4のアクチュエータの各出力軸の先端部の位置、X1は被制御体の昇降に対応するモード変数でありX1=(x1+x2+x3+x4)/4で定義され、X2は被制御体のロール方向(x軸を回転軸とする回転方向)の傾斜に対応するモード変数でありX2=(x1-x2+x3-x4)/4で定義され、ロール方向の傾斜Sxと比例関係X2=(d12/2)Sx(d12は第1のアクチュエータの出力軸の先端部と第2のアクチュエータの出力軸の先端部の間の距離)にあり、X3は被制御体のピッチ方向(y軸を回転軸とする回転方向)の傾斜に対応するモード変数でありX3=(x1+x2-x3-x4)/4で定義され、ピッチ方向の傾斜Syと比例関係X3=(d13/2)Sy(d13は第1のアクチュエータの出力軸の先端部と第3のアクチュエータの出力軸の先端部の間の距離)にあり、X4は被制御体の歪みに対応するモード変数であり、Hcmdは被制御体の中心高さ指令、Sx cmdは被制御体のロール方向の傾斜指令、Sy cmdは被制御体のピッチ方向の傾斜指令、x1 cmd~x4 cmdは第1~第4のアクチュエータの長さ指令)
【請求項4】
前記位置制御部は、前記第1~第4のアクチュエータの各出力軸の位置指令値xcmd、第1~第4のアクチュエータに対して位置制御を行ったことによる各アクチュエータの出力軸の位置応答値xres、位置制御ゲインCp(s)に基づいて(6)式を演算して各アクチュエータの出力軸の推力参照値frefを求め、前記推力参照値frefを第1~第4のアクチュエータの駆動モータに出力する位置制御器を有していることを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の無人搬送用昇降・傾斜装置。
【数6】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無人搬送車(Automated Guided Vehicle;以下AGVと称することもある)による荷物の搬送に係り、特に静止時の荷物の水平維持ならびに加減速時の滑り防止を可能とする装置に関する。
【背景技術】
【0002】
搬送車の荷崩れに関する従来の手法として、次のような技術が挙げられる。特許文献1では、弾性体からなる複数の押圧部材(ゴムチューブ23)を配置する無人搬送車の荷崩れ防止装置を発明している。特許文献2では、センサにより異常を検知し、舵系の制御を行いつつ車両を緊急停止できる技術を提案している。特許文献3では、荷物の軽微なずれで搬送を異常停止させなくてよいことを目的とし、荷崩れを補償するような走行法を扱っている。特許文献4では、搬送中の荷物が落下することを防止するため、特許文献4の図1に示す筐体のような落下防止体(103)を採用している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開1995-285434号公報
【文献】特開2001-344020号公報
【文献】特開2009-292560号公報
【文献】特開2012-158445号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献2ではセンサの異常検知から緊急停止を行うが、緊急停止時に荷崩れを起こす恐れがある。特許文献1および特許文献4では荷崩れの防止を扱っているが、ハードウェアによるアプローチのため大きな機械要素を追加する必要があり手間もかかる。特許文献1はばね(弾性体からなる押圧部材(ゴムチューブ23)による押し付けで荷崩れを防止しているが、荷物の高さに応じて押し付け力が変化する可能性や、ばねの押し付け力の劣化が考えられる。特許文献4の筐体の構造では、筐体内での荷物のすべりを防ぐことは難しい。
【0005】
以上のように、異常検知によりすべりの恐れのある加減速を許容しないアプローチ、機械要素の追加によるアプローチが先行技術で扱われているが、荷物が搭載される台車・天板等の被制御体の傾斜制御によるアプローチはまだ見当たらない。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するものであり、その目的は、加減速時の被制御体上の荷物のすべりを防止することができる無人搬送用昇降・傾斜装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための第1態様の無人搬送用の昇降・傾斜装置は、
移動可能な走行体に搭載された基台と、
前記基台上の四隅に各々設置されたアクチュエータであり、出力軸が前記基台上における前記設置された面に対して垂直方向に運動自在に構成された第1~第4のアクチュエータと、
前記第1~第4のアクチュエータの各出力軸の先端部に対向して配設された被制御体と、
前記被制御体の荷重に比べて十分小さい力により第1~第4のアクチュエータを伸長させ、前記各アクチュエータの出力軸の先端が被制御体に接触、停止した後、被制御体の傾きを制御しながら第1~第4のアクチュエータの各出力軸の位置を制御する位置制御部と、を備え
前記位置制御部は、下記(1)式で与えられる傾斜指令[Sx cmd,Sy cmd]に基づいて被制御体の傾きを制御することを特徴とする無人搬送用昇降・傾斜装置。
【0008】
【数1】
【0009】
(ただしSx cmdは被制御体のロール方向(x軸を回転軸とする回転方向)の傾斜指令、Sy cmdは被制御体のピッチ方向(y軸を回転軸とする回転方向)の傾斜指令、axはx方向の加速度、ayはy方向の加速度、gは重力加速度)
第2態様の無人搬送用昇降・傾斜装置は、前記第1態様において、
前記基台に設置された加速度センサを備え、
前記位置制御部は、前記加速度センサで計測された加速度計測値(ax,ay)を前記(1)式のax,ayに代入して傾斜指令を生成する指令値生成部を有していることを特徴とする。
【0010】
第3態様の無人搬送用昇降・傾斜装置は、前記第1態様において、
前記基台に設置された、加速度を計測原理とする傾斜センサを備え、
前記位置制御部は、前記傾斜センサで計測された傾斜角度をθx,θyとし、tanθx(=ax/g),tanθy(=ay/g)を前記(1)式のax/g,ay/gに代入して傾斜指令を生成する指令値生成部を有していることを特徴とする。
【0011】
第4態様の無人搬送用昇降・傾斜装置は、前記第1態様において、
前記移動可能な走行体に設置され、前記走行体の走行指令から加速度を算出する加速度算出装置を備え、
前記位置制御部は、前記加速度算出装置で算出された加速度を前記(1)式のaxに代入して傾斜指令を生成する指令値生成部を有していることを特徴とする。
【0012】
第5態様の無人搬送用昇降・傾斜装置は、前記第1態様において、
前記基台に設置された加速度センサと、前記移動可能な走行体に設置され、前記走行体の走行指令から加速度を算出する加速度算出装置とを備え、
前記位置制御部は、
前記加速度算出装置で算出された直進方向の加速度aaxと、前記加速度センサで計測された、x方向の加速度ax senおよびz方向の加速度az senとから、(8)式を演算して斜面の傾斜角推定値θsを求め、
【0013】
【数8】
【0014】
(9)式、(10)式、(11)式を演算して水平方向の加減速awx、水平面からの傾斜指令Swx cmd、基台からの傾斜指令Sx cmdを求めることによって、傾斜指令を生成する指令値生成部を有していることを特徴とする。
【0015】
【数9】
【0016】
【数10】
【0017】
【数11】
【0018】
第6態様の無人搬送用昇降・傾斜装置は、前記第1態様において、
前記基台に設置された加速度を計測原理とする傾斜センサと、前記移動可能な走行体に設置され、前記走行体の走行指令から加速度を算出する加速度算出装置とを備え、
前記位置制御部は、
前記傾斜センサで計測された傾斜角度θsenから、x方向の加速度ax senおよびz方向の加速度az senを(12)式として求め、
【0019】
【数12】
【0020】
(ただしgは重力加速度)
前記加速度算出装置で算出された直進方向の加速度aaxと、前記(12)式で求められたx方向の加速度ax senおよびz方向の加速度az senとから、(8)式を演算して斜面の傾斜角推定値θsを求め、
【0021】
【数8】
【0022】
(9)式、(10)式、(11)式を演算して水平方向の加減速awx、水平面からの傾斜指令Swx cmd、基台からの傾斜指令Sx cmdを求めることによって、傾斜指令を生成する指令値生成部を有していることを特徴とする。
【0023】
【数9】
【0024】
【数10】
【0025】
【数11】
【0026】
第7態様の無人搬送用昇降・傾斜装置は、前記第1態様~第6態様のいずれか1において、
前記位置制御部は、
次の(2)式、(3)式、(4)式、(5)式を用いて、前記被制御体の中心高さ指令および天板の傾斜指令を第1~第4のアクチュエータの各出力軸の長さ指令に変換する変数変換部を有していることを特徴とする。
【0027】
【数2】
【0028】
【数3】
【0029】
【数4】
【0030】
【数5】
【0031】
(ただし、x1~x4は被制御体における第1~第4のアクチュエータの各出力軸の先端部の位置、X1は被制御体の昇降に対応するモード変数でありX1=(x1+x2+x3+x4)/4で定義され、X2は被制御体のロール方向(x軸を回転軸とする回転方向)の傾斜に対応するモード変数でありX2=(x1-x2+x3-x4)/4で定義され、ロール方向の傾斜Sxと比例関係X2=(d12/2)Sx(d12は第1のアクチュエータの出力軸の先端部と第2のアクチュエータの出力軸の先端部の間の距離)にあり、X3は被制御体のピッチ方向(y軸を回転軸とする回転方向)の傾斜に対応するモード変数でありX3=(x1+x2-x3-x4)/4で定義され、ピッチ方向の傾斜Syと比例関係X3=(d13/2)Sy(d13は第1のアクチュエータの出力軸の先端部と第3のアクチュエータの出力軸の先端部の間の距離)にあり、X4は被制御体の歪みに対応するモード変数であり、Hcmdは被制御体の中心高さ指令、Sx cmdは被制御体のロール方向の傾斜指令、Sy cmdは被制御体のピッチ方向の傾斜指令、x1 cmd~x4 cmdは第1~第4のアクチュエータの長さ指令)
第8態様の無人搬送用昇降・傾斜装置は、前記第1態様~第7態様のいずれか1において、
前記位置制御部は、前記第1~第4のアクチュエータの各出力軸の位置指令値xcmd、第1~第4のアクチュエータに対して位置制御を行ったことによる各アクチュエータの出力軸の位置応答値xres、位置制御ゲインCp(s)に基づいて(6)式を演算して各アクチュエータの出力軸の推力参照値frefを求め、前記推力参照値frefを第1~第4のアクチュエータの駆動モータに出力する位置制御器を有していることを特徴とする。
【0032】
【数6】
【発明の効果】
【0033】
(1)前記第1態様~第8態様の発明によれば、加減速時の被制御体上の荷物のすべりを防止することができる。すべり力自体をゼロに近づける制御であるため、被制御体上の荷物の摩擦係数がゼロに近くすべりやすい物理条件であっても、すべりを防止することができる。
(2)前記第3態様の発明によれば、傾斜センサから傾斜情報をフィードバックする構成となるため、水平面上で加減速がある状態ではすべり防止制御、静止(または定速)状態では水平維持制御、という2つの機能を同じ制御装置で実現することができる。
(3)前記第4態様の発明によれば、走行体(AGV)の走行指令から加速度を算出しフィードバックしているので、加速度センサまたは傾斜センサを追加することなくすべり防止制御を実現することができる。
(4)前記第5態様、前記第6態様の発明によれば、斜面上での静止・定速時に水平制御を、加減速時にすべり防止制御を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】本発明の実施形態例による昇降・傾斜装置の概要図。
図2】本発明の実施形態例におけるアクチュエータ出力軸と被制御体の接続例を示す説明図。
図3】本発明の実施例1のシステム全体の構成図。
図4】本発明の実施例1のコントローラの構成図。
図5】本発明の実施例1の位置制御系のブロック図。
図6】本発明の実施例1における無人搬送車(AGV)とアクチュエータの番号の対応を示す説明図。
図7】本発明の実施例2のシステム全体の構成図。
図8】本発明の実施例2のコントローラの構成図。
図9】加速時に被制御体にかかる力を示す説明図。
図10】本発明の実施例3のシステム全体の構成図。
図11】本発明の実施例3のコントローラの構成図。
図12】本発明の実施例4のシステム全体の構成図。
図13】本発明の実施例4のコントローラの構成図。
図14】斜面上走行における加速時の説明図。
図15】本発明の実施例5のシステム全体の構成図。
図16】本発明の実施例5のコントローラの構成図。
図17】本発明の効果を検証するための実験装置図。
図18】本発明の実施例2について検証実験を行った際の時系列データの波形図。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明するが、本発明は下記の実施形態例に限定されるものではない。
【0036】
図1に、本発明の昇降・傾斜装置(以下4軸リフタと称することもある)の概要を示す。図1において、無人搬送車(移動可能な走行体)10には基台20が搭載され、固定され、基台20上の四隅には、サーボモータを備えた第1~第4のアクチュエータ31~34の各固定子が固定されている。
【0037】
第1~第4のアクチュエータ31~34の各出力軸は、それぞれの垂直方向図1に示す通り、基台20上における第1~第4のアクチュエータ31~34が設置されている面に対して垂直方向)の運動の自由度を有しており、この垂直方向の運動は、アクチュエータの出力軸(図示a)を垂直方向に移動させるサーボモータの作用によって行われる。
【0038】
第1~第4アクチュエータ31~34の各出力軸の先端部には、該先端部によって支持されるように、荷物搭載用の天板、台車、かご台車等の被制制御体40が配設されている。以下の実施例では、被制御体40は天板の形状で図示している。
【0039】
尚、本実施形態例のアクチュエータ31~34は、一例としてボールねじ機構を採用した。
【0040】
アクチュエータ31~34のうち、第1のアクチュエータ31の出力軸31aと被制御体40の接続例を図2に示す。図2において、出力軸31aの先端部には球面座ナット51-1が取り付けられている。
【0041】
球面座ナット51-1と被制御体40の間には球面座受52-1が配設されている。
【0042】
球面座ナット51-1、球面座受52-1、球面座受52-1の配設位置に対向する被制御体40の部位には、全ねじ(ねじ)53-1の一端が挿通され、球面座ナット51-1、球面座受52-1、被制御体40を接続している。
【0043】
前記、球面座ナット51-1、球面座受52-1に代えて球面ジョイントを用いてもよい。
【0044】
図2の接続構成により、被制御体40が傾く場合でもアクチュエータの出力軸と被制御体40が接することができ、被制御体の傾斜を機構的に許容することができる。
【0045】
また、全ねじ53-1によって被制御体40が崩れ落ちないようになっており、また全ねじ53-1の他端には袋ナット54-1(天板離脱防止具)が被せられており、これによって被制御体40が全ねじ53-1から外れることは防止される。
【0046】
第2~第4のアクチュエータ32~34についても図2と同様の接続構成となる。
【0047】
本発明は、走行体の加減速時の被制御体40上の荷物(50)のすべりを防止するために、すべり自体をゼロに近付ける制御を行うものであり、その原理を図3とともに説明する。図3図1の無人搬送車10が水平面上を走行するときの加減速時にかかる力を表し(a)は被制御体40の傾斜ない場合、(b)は被制御体40の傾斜ありの場合を示している。
【0048】
尚、図3では図1の無人搬送車10および基台20を簡略化して図示しており、30はアクチュエータ(31~34)であり、50は被制御体40上の荷物であり、mは荷物50の質量を表している。
【0049】
図3において、被制御体40の傾斜を慣性力maおよびmgの合力と垂直とすることで、被制御体の面に平行なすべり方向の力をゼロにすることができ、すべりを防止することができる。その原理を説明するイラストを図13に示す。ただし、mは荷物の質量を表す。このように慣性力maおよびmgの合力と垂直な傾斜にすることで図3(b)のようにすべり力自体がゼロとなるため、理想的には荷物50と被制御体40の間の摩擦係数がほぼゼロの場合でも滑らない。すべり力Fsは慣性力ma、重力mg、傾斜角θ、加速度aを用いて(7)式で与えられる。
【0050】
【数7】
【0051】
すべり力をゼロとするためには、tanθ=-a/gとすればよい。このため、被制御体40の傾斜指令[Sx cmd,Sy cmd]は数式では(1)式として与えられる。
【0052】
【数1】
【0053】
ただしaxはx方向の走行加速度、ayはy方向の加速度、gは重力加速度であり、Sx cmdは被制御体40のロール方向(x軸を回転軸とする回転方向)の傾斜指令、Sy cmdは被制御体40のピッチ方向(y軸を回転軸とする回転方向)の傾斜指令である。
【0054】
したがって本発明の位置制御部では、上記(1)式で与えられる傾斜指令[Sx cmd,Sy cmd]に基づいて、以下の実施例のように被制御体の傾きを制御する。
【実施例1】
【0055】
本発明の位置制御部を含めた実施例1における昇降・傾斜装置のシステム全体の構成を図4に示す。図4において図1と同一部分は同一符号をもって示している。図4の太線部分は機械的な接続を示している。図4において、60は位置制御部の機能を備えたコントローラである。コントローラ60はアクチュエータ31~34に推力を与え、推力の値はアクチュエータ長さの情報および基台20に設けられた加速度センサ101の加速度の計測値をフィードバックすることで定める。
【0056】
コントローラ60の構成を図5に示す。図5において、61は、基台20に設けられた加速度センサ101の加速度の計測値ax,ayを(1)式のax,ayに代入して傾斜指令[Sx cmd,Sy cmd]を生成する指令値生成部である。
【0057】
【数1】
【0058】
66は、被制御体40の、中心高さ指令Hcmdおよび指令値生成部61で生成された傾斜指令[Sx cmd,Sy cmd]を、後述する(2)式~(5)式を用いて第1~第4アクチュエータ(31~34)の各出力軸の長さ指令(位置指令値)xcmdに変換する変数変換部である。
【0059】
70は、前記アクチュエータの各出力軸の位置指令値xcmdと、第1~第4のアクチュエータ(31~34)に対して位置制御を行ったことによる各アクチュエータの出力軸の位置応答値xresと、後述の位置制御ゲインに基づいて、後述の(6)式を演算して各アクチュエータの出力軸の推力参照値frefを求める位置制御器である。
【0060】
位置制御器70の推力参照値frefは、第1~第4のアクチュエータ31~34の駆動モータに出力される。
【0061】
図5において、アクチュエータ長さの応答値xresは、ダイレクトドライブのリニアモータの場合、位置センサで直接計測する。ダイレクトドライブではなくボールねじ等の伝動機構を用いる場合は、リード等の定数を用いてアクチュエータ長さを計算する。アクチュエータ長さの指令値xcmdと応答値xresを基に位置制御器70によって位置制御系を構築し、ダイレクトドライブのリニアモータの場合は推力指令frefをアクチュエータ31~34に加える。
【0062】
また、ボールねじ等の伝動機構を用いる場合は、リード等の定数を用いてモータトルクの指令を計算し、モータに与える。
【0063】
制御系を構成する上で最もシンプルな手法は、各軸のアクチュエータ31~34の各出力軸31a~34aの位置を独立に制御することである。
【0064】
ここで、被制御体40における各アクチュエータの位置関係を図6に示す。図6中Actuator1~4は第1~第4のアクチュエータ31~34の位置を示し、x軸をAGVの走行方向としている。アクチュエータの位置と傾斜を変換する式は(2)式、(3)式として表すことができる。
【0065】
【数2】
【0066】
【数3】
【0067】
ただし、モード変数X1は昇降、X2はロール方向(x軸を回転軸とする回転方向)の傾斜、X3はピッチ方向(y軸を回転軸とする回転方向)の傾斜に対応する。
【0068】
モード変数X1=(x1+x2+x3+x4)/4であるが、これは4つのアクチュエータの出力軸の位置の平均となり、被制御体40の中心の位置に対応する。よってX1を制御することで被制御体の中心の位置を制御でき、昇降の機能を持たせることができる。
【0069】
モード変数X2=(x1-x2+x3-x4)/4はロール方向の傾斜Sxと比例関係X2=(d12/2)Sxを満たす。ただしd12図6のアクチュエータ1と2の(各出力軸の)間の距離である。同様にして、モード変数X3=(x1+x2-x3-x4)/4はピッチ方向の傾斜Syと比例関係X3=(d13/2)Syを満たす。ただしd13図6のアクチュエータ1と3の(各出力軸の)間の距離である。
【0070】
モード変数Xから出力軸の位置xの変換については、逆行列T-1をXにかけることでxへ逆変換することができる。
【0071】
これらの関係を用いて図5における変数変換部66が実施する中心高さ・傾斜指令[Hcmd,Sx cmd,Sy cmd]からアクチュエータ長さ指令xcmd=[x1 cmd,x2 cmd,x3 cmd,x4 cmd]までの変数変換は最終的に(4)式、(5)式として表すことができる。
【0072】
【数4】
【0073】
【数5】
【0074】
本制御系における推力参照値frefは、一般的な位置制御系として(6)式のように計算される。
【0075】
【数6】
【0076】
ただし、frefは推力参照値、Cp(s)は位置制御ゲイン、xcmdは位置指令値、xresは位置応答値である。実施例1の制御系のブロック図を図7に示す。図7において、位置制御器70内の81はアクチュエータの出力軸の位置指令値xcmdと出力軸の位置応答値xresの偏差をとる減算器であり、Cp(s)は位置制御器70の位置制御ゲインである。
【0077】
82は各アクチュエータのモータドライバであり、fa refはアクチュエータの出力軸の推力を表している。前記推力fa refと、プラント(被制御体40および被制御体上の荷物等)の外乱fextとの偏差が減算器83によってとられ、その偏差には係数付与部84の力-位置変換係数1/Ms2が付与されることで出力軸の位置応答値xresが出力される(尚、Mはアクチュエータの慣性を表している)。
【0078】
尚、本発明の位置制御部は、前述した傾斜制御の他に、被制御体40の荷重に比べて十分小さい力により第1~第4のアクチュエータ31~34を伸長させ、前記各アクチュエータの出力軸の先端が被制御体に接触、停止した後、被制御体の傾きを制御しながら第1~第4のアクチュエータの各出力軸の位置を制御するものである。
【実施例2】
【0079】
実施例2における昇降・傾斜装置のシステム全体の構成を図8に示す。図8において図4と同一部分は同一符号をもって示している。図8において図4と異なる点は、前記加速度センサ101に代えて、基台20に、加速度を計測原理とする傾斜センサ102を設置し、コントローラ60がアクチュエータ31~34に与える推力の値は、アクチュエータ長さの情報および前記傾斜センサ102のセンサ出力(θx,θy)をフィードバックすることで定めるように構成した点にある。
【0080】
図8のシステムにおけるコントローラ60は図9のように構成されている。加速度を計測原理として用いる傾斜センサ102は静止時に傾斜角度を出力するが、図3のように水平面上を加減速を伴って走行する際は重力mgと、慣性力maおよび重力mgの合力との夾角を出力する。
【0081】
傾斜センサ102のセンサ出力θx,θy図9の指令値生成部62に入力される基台の傾斜Sx,Syであり、図3より、[tanθx,tanθy)は[ax/g,ay/g]に等しい(axはx方向の走行加速度、ayはy方向の加速度、gは重力加速度)。
【0082】
よって指令値生成部62は、[tanθx,tanθy)を(1)式の[ax/g,ay/g]に代入することで傾斜指令値[Sx cmd,Sy cmd]を得る。
【0083】
【数1】
【0084】
図9の変数変換部66および位置制御器70は実施例1の図5のものと同一に構成されている。
【0085】
本実施例2によれば、水平制御を実装する場合には傾斜センサ102を使用するので、追加のセンサが不要であるというメリットがある。
【0086】
また、傾斜センサから傾斜情報をフィードバックする構成となるため、水平面上で加減速がある状態ではすべり防止制御、静止(または定速)状態では水平維持制御、という2つの機能を同じ制御装置で実現することができる。
【実施例3】
【0087】
実施例3における昇降・傾斜装置のシステム全体の構成を図10に示す。図10において図4と同一部分は同一符号をもって示している。図10において図4と異なる点は、前記加速度センサ101に代えて、無人搬送車10(AGV)に、AGVの走行指令から加速度を算出する加速度算出装置103を設置し、コントローラ60がアクチュエータ31~34に与える推力の値は、アクチュエータ長さの情報および前記加速度算出装置103で算出された加速度をフィードバックすることで定めるように構成した点にある。
【0088】
図10のシステムにおけるコントローラ60は図11のように構成されている。図11の指令値生成部63には加速度算出装置103からの、AGV走行指令より算出した加速度aax,aayが入力されるが、簡単のため直進方向のみの加速を考慮し、直進方向の加速度aaxを(1)式のaxに代入することで傾斜指令値[Sx cmd,Sy cmd]を得る。
【0089】
【数1】
【0090】
図11の変数変換部66および位置制御器70は実施例1の図5のものと同一に構成されている。
【0091】
本実施例3によれば、走行体(AGV)の走行指令から加速度を算出しフィードバックしているので、加速度センサまたは傾斜センサを追加することなくすべり防止制御を実現することができる。
【実施例4】
【0092】
実施例4における昇降・傾斜装置のシステム全体の構成を図12に示す。図12において図4と同一部分は同一符号をもって示している。図12において図4と異なる点は、前記加速度センサ101に加えて、無人搬送車10(AGV)に、AGVの走行指令から加速度を算出する加速度算出装置103を設置し、コントローラ60がアクチュエータ31~34に与える推力の値は、アクチュエータ長さの情報および加速度センサ101の加速度計測値と、加速度算出装置103で算出された加速度とをフィードバックすることで定めるように構成した点にある。
【0093】
図12のシステムにおけるコントローラ60は図13のように構成されている。図13の指令値生成部64には、加速度センサ101からの基台の加速ax,ayと、加速度算出装置103からの、AGV走行指令より算出した加速度aax,aayが入力され、以下のようにして被制御体40の傾斜指令[Sx cmd,Sy cmd]を生成する。
【0094】
まず、AGVの走行指令から算出される加速度を用いるために、実施例3と同様に直進方向のみを走行するとする。加速センサ101はMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)センサなど重力加速度を含んで出力するものとする。
【0095】
斜面上での場合、まず傾斜角を正しく求め水平制御を施し、その後に水平方向の加減速のフィードバックしたすべり防止制御を実施するという手順になる。
【0096】
まず傾斜角の導出について、図14に示す斜面上走行における加速度の説明図とともに述べる。図14では、図1の無人搬送車10、基台20、図12の加速度センサ101、加速度算出装置103を簡略化して図示しており、30はアクチュエータ(31~34)、50は被制御体40上の荷物を示している。
【0097】
θslopeは斜面の傾斜角、aaxはAGVの走行指令から算出(加速度算出装置103から出力)された直進方向の加速度、agx,agzは加速度センサ101のx軸、z軸の出力、gは加速度センサ出力に含まれる重力加速度である。
【0098】
図14(a)のように静止または定速時の場合、加速度センサの出力agzとgのなす角(傾斜センサの出力角)θは斜面の傾斜角θslopeに一致する。一方で図14(b)のように加減速時の場合は直進方向の加速度aaxが影響し、加速度センサの出力agxのなす角θは斜面の傾斜角θslopeと一致しない。各軸の加速度の計測値をax sen,az senとすると、図14(b)より、斜面の傾斜角推定値θsは(8)式で求めることができる。
【0099】
【数8】
【0100】
したがって、(8)式で求められる傾斜角を指令値とすることにより、水平制御を実現できる。
【0101】
次に加減速時のすべり防止制御について述べる。水平方向の加減速awxは(9)式で求めることができる。
【0102】
【数9】
【0103】
あとは水平面上での水平制御時のすべり防止制御と同様にして、水平面からの傾斜指令Swx cmdは(10)式で、基台からの傾斜指令Sx cmdは(11)式で算出することができる。
【0104】
【数10】
【0105】
【数11】
【0106】
よって図13の指令値生成部64は前記(8)式~(11)式を算出して傾斜指令値[Sx cmd,Sy cmd]を生成し、変数変換部66に入力する。
【0107】
図13の変数変換部66および位置制御器70は実施例1の図5のものと同一に構成されている。
【0108】
本実施例4によれば、斜面上での静止・定速時に水平制御を、加減速時にすべり防止制御を実現することができる。
【実施例5】
【0109】
実施例5における昇降・傾斜装置のシステム全体の構成を図15に示す。図15において図4と同一部分は同一符号をもって示している。図15において図4と異なる点は、前記加速度センサ101に代えて、基台20に、加速度を計測原理とする傾斜センサ102を設置し、無人搬送車10(AGV)に、AGVの走行指令から加速度を算出する加速度算出装置103を設置し、コントローラ60がアクチュエータ31~34に与える推力の値は、アクチュエータ長さの情報および前記傾斜センサ102のセンサ出力(θx,θy)および加速度算出装置103で算出された加速度とをフィードバックすることで定めるように構成した点にある。
【0110】
図15のシステムにおけるコントローラ60は図16のように構成されている。図16の指令値生成部65には、基台の傾斜Sx,Sy(傾斜センサ102のセンサ出力θx,θyに相当)と、加速度算出装置103からの、AGV走行指令より算出した加速度aax,aayが入力され、以下のようにして被制御体40の傾斜指令値[Sx cmd,Sy cmd]を生成する。
【0111】
実施例3、4と同様に直進方向のみの加速度を考慮し、傾斜センサ出力θsenからx方向の加速度ax senとz方向の加速度az senを(12)式として求めることができる。
【0112】
【数12】
【0113】
以降は実施例4と同様に(8)式~(11)式を計算して傾斜指令を生成し、変数変換部66に入力する。図16の変数変換部66および位置制御器70は実施例1の図5のものと同一に構成されている。
【0114】
本実施例5によれば、斜面上での静止・定速時に水平制御を、加減速時にすべり防止制御を実現することができる。
【0115】
<実験による検証(実施例2)>
ここで実施例2の装置を適用し、被制御体40上に荷物を搭載した状態で、無人搬送車10(AGV)の加速度時に傾斜指令を与える実験を図17の実験装置によって実施した。
【0116】
図17では、滑りやすい荷物110を被制御体40(天板)上に搭載しており、基台20、アクチュエータ31~34等は簡略化して図示している。111は被制御体40上に設けたストッパーである。
【0117】
図18に実験の時系列データを示す。図18では、AGVの加速、減速は0.7m/s2で5秒間加速し、3.5m/s2で1秒間減速し静止している。
【0118】
図18(a)は傾斜指令と傾斜応答を示し、図18(b)はAGVの速度指令を示しているが、加減速時に傾斜指令が変化し、傾斜応答値も追従していることがわかる。
【符号の説明】
【0119】
10…無人搬送車
20…基台
31~34…第1~第4のアクチュエータ
31a~34a…出力軸
40…被制御体
50…荷物
51-1~51-4…球面座ナット
52-1~52-4…球面座受
53-1~53-4…全ねじ
54-1~54-4…袋ナット
60…コントローラ
61~65…指令値生成部
66…変数変換部
70…位置制御器
81,83…減算器
82…モータドライバ
84…係数付与部
101…加速度センサ
102…傾斜センサ
103…加速度算出装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18