IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コニカミノルタ株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-14
(45)【発行日】2025-01-22
(54)【発明の名称】ロボットハンド、及び物品取出システム
(51)【国際特許分類】
   B25J 15/00 20060101AFI20250115BHJP
【FI】
B25J15/00 F
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2021026523
(22)【出願日】2021-02-22
(65)【公開番号】P2022128152
(43)【公開日】2022-09-01
【審査請求日】2023-08-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】浅岡 正悟
【審査官】杉山 悟史
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-059078(JP,A)
【文献】特開平05-293784(JP,A)
【文献】特開2017-170560(JP,A)
【文献】特開2017-052094(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00 ~ 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品載置部に載置された物品群から物品を個別に取り出し、前記物品を保持するピックアップ部と、
前記ピックアップ部が解放した前記物品を受け取る物品保持部と、を備え、
前記物品保持部は、
前記ピックアップから解放された前記物品を転動させ、且つ、前記物品の転動態様を規制することで、前記物品を目標姿勢に変更する姿勢変更部と、
前記目標姿勢に変更された前記物品を把持する把持部と、を有する、
物品取出システムのロボットハンド。
【請求項2】
前記姿勢変更部は、前記ピックアップ部の直下に形成された収容溝内の前記ピックアップ部から解放された前記物品が着地する受け取り領域に形成され、前記物品を転動させながら、前記物品の姿勢を前記目標姿勢に変更するガイド溝を含んで構成され、
前記把持部は、前記収容溝内の前記ガイド溝にて案内される領域に形成され、前記目標姿勢に変更された前記物品を位置決めする嵌合溝を含んで構成されている、
請求項1に記載のロボットハンド。
【請求項3】
前記物品は、細長い脚部と、前記脚部の一端に形成された前記脚部よりも幅広な頭部とを有し、
前記ガイド溝は、前記物品を前記受け取り領域から前記嵌合溝に案内する経路において、前記物品の前記頭部の通過を不可とし、且つ、前記物品の前記脚部の通過を可能とする姿勢変更誘導穴を含み、前記物品が前記姿勢変更誘導穴を通過する過程で、前記物品を前記目標姿勢に変更する、
請求項2に記載のロボットハンド。
【請求項4】
前記物品が、前記嵌合溝内に嵌合した状態となっていることを検出するセンサ部を有する、
請求項2又は3に記載のロボットハンド。
【請求項5】
前記物品保持部は、前記物品の一部が、自身が前記ピックアップ部の直下に形成する収容溝から突出した状態となるように、前記物品を把持する、
請求項1乃至4のいずれか一項に記載のロボットハンド。
【請求項6】
前記姿勢変更部にて前記物品を転動させる力は、重力を含む、
請求項1乃至5のいずれか一項に記載のロボットハンド。
【請求項7】
前記姿勢変更部にて前記物品を転動させる力は、前記物品保持部に近接して又は前記物品保持部内に配設されたマグネットによって発生する磁力を含む、
請求項1乃至6のいずれか一項に記載のロボットハンド。
【請求項8】
前記姿勢変更部にて前記物品を転動させる力は、前記物品保持部の回転運動によって発生する遠心力を含む、
請求項1乃至7のいずれか一項に記載のロボットハンド。
【請求項9】
前記姿勢変更部にて前記物品を転動させる力は、前記物品保持部の加速運動によって発生する慣性力を含む、
請求項1乃至8のいずれか一項に記載のロボットハンド。
【請求項10】
前記姿勢変更部にて前記物品を転動させる力は、前記物品保持部に近接して又は前記物品保持部内に配設されたエアポンプによって発生する流体圧力を含む、
請求項1乃至9のいずれか一項に記載のロボットハンド。
【請求項11】
前記物品保持部は、互いに対向して配設され、それぞれの対向面を突き合わせることで前記ピックアップ部の直下に収容溝を形成する一対の把持部材により構成され、
前記一対の把持部材の部材間距離は、前記物品取出システムを制御する制御部により制御可能となっている、
請求項1乃至10のいずれか一項に記載のロボットハンド。
【請求項12】
前記一対の把持部材の前記部材間距離の調整により、前記物品保持部における前記物品の把持状態と非把持状態とを変更する、
請求項11に記載のロボットハンド。
【請求項13】
前記一対の把持部材の前記部材間距離の調整により、前記収容溝内における前記物品の動きを規制する、
請求項11又は12に記載のロボットハンド。
【請求項14】
前記一対の把持部材の前記部材間距離は、前記物品のサイズに基づいて調整される、
請求項11乃至13のいずれか一項に記載のロボットハンド。
【請求項15】
前記物品保持部が前記ピックアップ部の直下に形成する収容溝の鉛直方向に対する傾斜角度が、前記物品取出システムを制御する制御部により制御可能となっている、
請求項1乃至14のいずれか一項に記載のロボットハンド。
【請求項16】
前記収容溝の前記傾斜角度の調整により、前記収容溝内における前記物品の動きを規制する、
請求項15に記載のロボットハンド。
【請求項17】
前記収容溝の前記傾斜角度の調整により、前記収容溝内で前記物品に転動動作のリトライを実行させる、
請求項15又は16に記載のロボットハンド。
【請求項18】
前記物品保持部は、振動動作を可能に構成され、前記振動動作により、自身が前記ピックアップ部の直下に形成する収容溝内における前記物品の動きを促進させる、
請求項1乃至17のいずれか一項に記載のロボットハンド。
【請求項19】
前記ピックアップ部は、吸着ヘッドによって構成されている、
請求項1乃至18のいずれか一項に記載のロボットハンド。
【請求項20】
請求項1乃至19のいずれか一項に記載のロボットハンドを有する物品取出システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ロボットハンド、及び物品取出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、産業用ロボットを用いたシステムとして、物品載置部(例えば、物品収容箱内)にランダムに積み重ねられた多数個の物品を、撮像部(例えば、カメラ装置)によって認識し、ロボットハンドを用いて1個ずつ把持して搬送し、所定の設置対象に特定の姿勢で設置する物品取出システムが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-052094号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の物品取出システムにおいては、ばら積みされた物品群から、物品を個別に取り出した際に、その後、当該物品を位置ずれなく、姿勢を揃えて、精度良くプレイスすることが要求される。但し、ばら積みされた物品群においては、各物品は、姿勢がランダムであり、且つ、掴もうとする物品が他の物品と重なったり接触していたりするため、ロボットハンドによりうまく掴むことが難しい事情がある。
【0005】
このような背景から、例えば、特許文献1では、一度把持した物品を、重力を利用して、ロボットハンドの中で姿勢を変更する物品取出システムが提案されている。特許文献1の物品取出システムでは、物品にモーメントが生じる位置を把持して、ロボットハンドの把持力などを変えて物品を回転させる手法が記載されている。
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の手法では、ロボットハンドの中で、物品を滑らせながら物品の姿勢を変更するため、物品の姿勢を変更する際に、把持力を繊細に制御する必要があり、ロボットハンド及びロボットアームの制御が複雑化するという問題があった。加えて、かかる手法では、物品の把持位置のずれが生じやすいため、物品をプレイスする際に、プレイス位置のばらつきがでてしまう、という問題も有する。
【0007】
本開示は、上記問題点に鑑みてなされたもので、簡易な構成で、物品載置部から取り出した物品を、目標姿勢に姿勢変更した上で保持することが可能なロボットハンド、及び物品取出システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述した課題を解決する主たる本開示は、
物品載置部に載置された物品群から物品を個別に取り出し、解放可能な状態で前記物品を保持するピックアップ部と、
前記ピックアップ部の直下に収容溝を有し、前記ピックアップ部が前記物品を解放した際、前記物品を、前記収容溝内で受け取る物品保持部と、を備え、
前記物品保持部は、
前記収容溝内で前記物品を受け取った際、非接触で前記物品に作用する外力を利用して前記物品を前記収容溝内で転動させ、且つ、その際の前記物品の前記収容溝内での転動態様を規制することで、前記物品を目標姿勢に変更する姿勢変更部と、
前記収容溝内で前記目標姿勢に変更された前記物品を把持する把持部と、を有する、
物品取出システムのロボットハンドである。
【0009】
又、他の局面では、
上記のロボットハンドを有する物品取出システムである。
【発明の効果】
【0010】
本開示に係るロボットハンドによれば、簡易な構成で、物品載置部から取り出した物品を、目標姿勢に姿勢変更した上で保持することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1の実施形態に係る物品取出システムの全体構成を示す図
図2】第1の実施形態に係る物品取出システムの制御系の構成を示す図
図3】第1の実施形態に係る物品取出システムが取り出し対象とする物品を示す図
図4】第1の実施形態に係るロボットハンドの構成を示す図
図5】第1の実施形態に係るロボットハンドの物品保持部(収容溝)の構成を示す図
図6】第1の実施形態に係るロボットハンドの物品保持部が形成する収容溝内において、物品が転動する態様の一例を示す図
図7】第1の実施形態に係るロボットハンドを動作させる際に制御部が行う処理の一例を示すフローチャート
図8】第2の実施形態に係るロボットハンドの構成の一例を示す図
図9】第2の実施形態に係るロボットハンドの物品保持部(収容溝)の構成を示す図
図10】第2の実施形態に係るロボットハンドの物品保持部が形成する収容溝内において、物品が転動する態様の一例を示す図
図11】第2の実施形態に係るロボットハンドを動作させる際に制御部が行う処理の一例を示すフローチャート
図12】第3の実施形態に係るロボットハンドの構成の一例を示す図
図13】第3の実施形態に係るロボットハンドの物品保持部が形成する収容溝内において、物品が転動する態様の一例を示す図
図14】第3の実施形態に係るロボットハンドを動作させる際に制御部が行う処理の一例を示すフローチャート
図15】第4の実施形態に係るロボットハンドの構成の一例を示す図
図16】第4の実施形態に係るロボットハンドの物品保持部が形成する収容溝内において、物品が転動する態様の一例を示す図
図17】第5の実施形態に係るロボットハンドの構成の一例を示す図
図18】第5の実施形態に係るロボットハンドの物品保持部が形成する収容溝内において、物品が転動する態様の一例を示す図
図19】第5の実施形態に係るロボットハンドを動作させる際に制御部が行う処理の一例を示すフローチャート
図20】第6の実施形態に係るロボットハンドの構成の一例を示す図
図21】第6の実施形態に係るロボットハンドの構成の一例を示す図
図22】第7の実施形態に係るロボットハンドの動作について説明する図
図23】第7の実施形態に係るロボットハンドの動作について説明する図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施形態について詳細に説明する。尚、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0013】
尚、各図面において、特に断りがない場合には、図面中の上方向が鉛直上向きを表し、図面中の下方向が鉛直下向きを表し、図面中の横方向が水平方向を表すものとする。以下では、図面中の上方向を「上方向」と称し、図面中の下方向を「下方向」と称し、図面中の横方向を「横方向」と称して説明する。
【0014】
(第1の実施形態)
<物品取出システムの全体構成>
以下、図1図7を参照して、本発明の一実施形態に係る物品取出システムの構成について説明する。
【0015】
図1は、本実施形態に係る物品取出システム1の全体構成を示す図である。図2は、本実施形態に係る物品取出システム1の制御系の構成を示す図である。図3は、本実施形態に係る物品取出システム1が取り出し対象とする物品10を示す図である。
【0016】
本実施形態に係る物品取出システム1は、物品載置部2(例えば、容器)にばら積みにされた物品10(即ち、ワーク)を取り出し、取り出した物品10を保持して運搬し、設置対象20に整列した状態でプレイスするためのシステムである。
【0017】
又、本実施形態に係る物品取出システム1では、ボルト部材が、物品載置部2から取り出す対象の物品10(以下、単に「物品10」と称する)となっている。物品10(ボルト部材)は、細長い脚部10aと、脚部10aの一端に形成され、脚部10aよりも幅広な頭部10bと、を有する。尚、設置対象20には、例えば、物品10の脚部10aが挿通可能な複数の穴部21が形成されており、物品取出システム1は、物品載置部2から物品10を取り出した後、物品10の姿勢を、設置対象20の穴部21の穴形状に対応する姿勢に変更した上で、物品10を設置対象20の穴部21に設置する。
【0018】
尚、本実施形態では、設置対象20の穴部21の穴形状に対応して、頭部10bが上方を向き、脚部10aが下方を向いた姿勢が、物品10の目標姿勢となる(以下、単に「目標姿勢」と称する)。
【0019】
物品取出システム1は、ロボットアーム30と、ロボットハンド40と、撮像部50と、制御部60と、を備える。
【0020】
<撮像部>
撮像部50は、例えば、カメラ装置であって、物品載置部2に載置された物品群10Wを撮像し、その撮像により得られた画像データを制御部60へ出力する。尚、撮像部50は、例えば、画像データから、物品載置部2に載置された物品10の3次元空間内での位置及び姿勢を検出し得るように、撮像位置をずらしながら複数回の撮像を実行する。又、撮像部50は、ステレオカメラやレーダ装置等、撮像部50から物品10までの距離データを取得可能な撮像装置で構成されていてもよい。
【0021】
又、撮像部50は、ロボットハンド40に保持された物品10についても、撮像し得るように配設されていてもよい。これによって、撮像部50の撮像により得られた画像データから、ロボットハンド40に保持された物品10の状態(即ち、後述する収容溝T内における物品10の位置や姿勢)についても、検出することが可能となる。
【0022】
<制御部>
制御部60は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、入力ポート、及び出力ポート等を含んで構成されるマイコンである。制御部60は、物品取出システム1の各部(ロボットアーム30、ロボットハンド40、及び撮像部50)と通信することで、これらを制御したり、これらからデータを受信したりする。
【0023】
制御部60は、例えば、撮像部50から画像データを取得し、当該画像データに基づいて、物品載置部2に載置された物品群10Wのうち、一又は複数の物品10の3次元空間内での位置及び姿勢を検出する。そして、制御部60は、例えば、物品載置部2に載置された物品群10Wのうち、上部に存在する物品10を取り出し対象として決定し、当該物品10の位置及び姿勢に基づいて、ロボットアーム30及びロボットハンド40を制御する。即ち、制御部60は、かかる制御によって、ロボットハンド40に物品10を保持させ、保持した物品10を設置対象20の穴部21に設置させる。
【0024】
<ロボットアーム>
ロボットアーム30は、例えば、垂直多関節ロボットのロボットアームであり、ロボットハンド40の位置及び姿勢を三次元的に変更する。
【0025】
ロボットアーム30は、例えば、床面等に設置される基部31と、基部31に対して直列に連結される複数のリンク32と、連結部位に設けられる複数の関節部33と、関節部33を駆動する複数の関節用モータ34(図2を参照)と、を備える。
【0026】
<ロボットハンド>
ロボットハンド40は、関節部33を介してロボットアーム30の先端部に設けられており、物品載置部2に載置された物品群10Wから一個ずつ物品10を取り出し、物品10を保持する。そして、ロボットハンド40は、物品10の姿勢を目標姿勢(物品10の頭部10bが上方を向き、物品10の脚部10aが下方を向いた姿勢)に変更した上で、物品10を設置対象20まで運搬して、物品10を設置対象20の穴部21にプレイスする。
【0027】
図4は、本実施形態に係るロボットハンド40の構成を示す図である。尚、図4A図4Cは、ロボットハンド40にて物品10をピッキングしてから、当該物品10を把持するまでの間の各部の状態を時系列に示している。
【0028】
図5は、本実施形態に係るロボットハンド40の物品保持部42(収容溝T)の構成を示す図である。図5Aは、物品保持部42を斜め上方から見た図、図5Bは、物品保持部42を上方から見た図、図5Cは、物品保持部42を側方から見た図である。尚、図5Cは、物品保持部42で物品10を把持した状態を示している。
【0029】
図6は、本実施形態に係るロボットハンド40の物品保持部42が形成する収容溝T内において、物品10が転動する態様の一例を示す図である。図6A図6Eは、物品10が、ピックアップ部41から物品保持部42の収容溝T内に落下した後、物品保持部42に把持されるまでの間の物品10の転動態様の一例を時系列に示している。
【0030】
ロボットハンド40は、ピックアップ部41、物品保持部42、及びセンサ部43を備えている(図2及び図4を参照)。
【0031】
ピックアップ部41は、例えば、エア式又は磁石式の吸着ヘッドであり、物品載置部2に載置された物品群10Wから物品10を個別に取り出す(以下、「ピッキング動作」と称する)(図4Aを参照)。そして、ピックアップ部41は、解放可能な状態で物品10を保持する。吸着ヘッドは、ヘッド先端(即ち、ノズル先端)に吸引力を発生させることによって、当該吸着ヘッドと対向する位置に存在する物品10の一面(例えば、上面)を吸着し、物品10を保持することが可能であるため、物品10の姿勢の違いに影響を受けることなく、物品10を個別に取り出すことが可能である。ピックアップ部41は、例えば、ノズル状に構成され、ロボットアーム30の先端部に取り付けられたハンド基部40Tの中央位置から下方に延在する。尚、ピックアップ部41は、昇降可能に構成されてもよい。
【0032】
物品載置部2に載置された物品群10Wは、ばら積み状態となっており、各物品10は、様々な姿勢で載置されている。かかる観点から、本実施形態に係るロボットハンド40は、まず、ピックアップ部41にて、様々な姿勢で載置された物品10を、物品載置部2から個別に取り出す構成を取っている。
【0033】
ピックアップ部41のピッキング動作は、制御部60の制御のもと実行される。制御部60は、例えば、取り出し対象の物品10の3次元空間内での位置及び姿勢に基づいて、物品10に対するピックアップ部41のアプローチ姿勢を決定し、当該アプローチ姿勢に従って、ロボットアーム30を動作させる。そして、制御部60は、ピックアップ部41が物品10と対向する状態となったときに、ピックアップ部41に対して吸引力を発生させることで、ピックアップ部41に物品10を保持させる。そして、制御部60は、ピックアップ部41の直下に、物品保持部42が収容溝Tを形成した状態となったときに、ピックアップ部41に対して、物品10の保持状態を解放させる(図4Bを参照)。
【0034】
物品保持部42は、ピックアップ部41の直下に収容溝Tを形成し、ピックアップ部41から落下する物品10を、収容溝T内で受け取る。そして、物品保持部42は、非接触で物品10に作用する外力(ここでは、重力)を利用して、物品10の収容溝T内での転動態様を規制することで(図6を参照)、物品10を目標姿勢に変更し、その後、目標姿勢に変更した物品10を把持する。尚、本実施形態に係る物品取出システム1では、物品10に作用する重力を利用して、収容溝T内での物品10の転動態様を規制する構成となっているが、物品10の転動態様を規制するための外力は、他の外力であってもよく、例えば、磁力、遠心力、慣性力、又は、流体圧力等であってもよい(例えば、後述する第3の実施形態~第6の実施形態を参照)。
【0035】
物品保持部42は、例えば、ハンド基部40Tから下方に対になって配設された一対の把持部材42A、42Bにより構成される。そして、収容溝Tは、凹凸形状を有する把持部材42Aの対向面と把持部材42Bの対向面とが突き合わされることで、その間の空間領域に形成されている。一対の把持部材42A、42Bの左側の把持部材42Aと右側の把持部材42Bとは、それぞれ、ピックアップ部41の左右に配設されている。
【0036】
一対の把持部材42A、42Bは、左側の把持部材42Aと右側の把持部材42Bの間の横方向の距離(以下、「部材間距離」と称する)を調整する把持部材駆動機構に接続され、制御部60の制御のもと、開閉動作を行う。把持部材駆動機構は、任意の構成であってよいが、例えば、モータやシリンダによって駆動するリンク機構によって構成される。尚、以下では、把持部材42Aと把持部材42Bとを近接させる動作を「閉」動作と称し、把持部材42Aと把持部材42Bとを離間させる動作を「開」動作と称する。
【0037】
物品取出システム1の概略動作は、例えば、以下の通りである(図4を参照)。
【0038】
最初に、物品取出システム1は、ピックアップ部41にて物品10のピッキング動作を行う。このステージにおいては、物品取出システム1は、ピックアップ部41の下端部が下方に突き出た状態となるように、一対の把持部材42A、42Bをピックアップ部41の下端部よりも上方に持ち上げた状態(即ち、開状態)で保持する(図4Aを参照)。
【0039】
次に、物品取出システム1は、一対の把持部材42A、42Bを、「閉側」に動作制御し、左側の把持部材42Aの対向面と右側の把持部材42Bの対向面とが突き合わせることで、ピックアップ部41の直下に、物品10を受け取る収容溝Tを形成する。そして、物品取出システム1は、ピックアップ部41に物品10の保持状態を解放させ、ピックアップ部41から落下する物品10を、物品保持部42に収容溝T内で受け取らせる(図4Bを参照)。尚、この際、物品10は、非接触で自身に作用する外力(ここでは、重力)により、収容溝Tの溝形状に沿って転動し、目標姿勢に変更して収容溝T内の所定位置(図5Cに示す嵌合溝Tb)に位置決めされることになる(図6を参照して後述)。
【0040】
次に、物品取出システム1は、物品10が物品保持部42に収容溝T内で目標姿勢となって位置決めされた状態で、一対の把持部材42A、42Bを、更に「閉側」に動作制御し、一対の把持部材42A、42Bに、物品10を収容溝T内で把持させる(図4Cを参照)。尚、ここで言う「把持状態」とは、一対の把持部材42A、42Bにて、物品10を挟持し、固定した状態を意味する(以下同じ)。本実施形態に係る物品取出システム1では、物品10を収容溝T内で把持した状態(即ち、固定状態)で保持することによって、物品10の保持状態を安定化し、その後、物品10を設置対象20の穴部21に挿入したりする作業を可能としている。
【0041】
ここで、図5図6を参照して、物品保持部42の詳細構成について、説明する。
【0042】
物品保持部42は、収容溝T内で物品10を受け取った際、非接触で物品10に作用する外力を利用して物品10を収容溝T内で転動させ、且つ、その際の物品10の収容溝T内での転動態様を規制することで、物品10を目標姿勢に変更する姿勢変更部42xと、収容溝T内で目標姿勢に変更された物品を把持する把持部42yと、を有する。
【0043】
本実施形態では、姿勢変更部42xは、収容溝Tのピックアップ部41から落下する物品10が最初に着地する領域(ここでは、収容溝Tの最上面の領域)(以下、「受け取り領域」と称する)に形成され、物品10を受け取り領域から嵌合溝Tbに案内するガイド溝Taを含んで構成される。又、把持部42yは、収容溝T内のガイド溝Taにて案内される領域に形成され、目標姿勢に変更された物品10を位置決めする嵌合溝Tbを含んで構成されている。尚、把持部42yは、嵌合溝Tbに位置決めされた物品10を両側から挟み込むことで、物品10を嵌合溝Tb内で把持する。
【0044】
換言すると、本実施形態では、把持部材42Aの対向面と把持部材42Bの対向面とが突き合わされた際、その間の空間領域に形成されるガイド溝Taと嵌合溝Tbとにより、収容溝Tが形成されている。尚、本実施形態に係る収容溝Tは、重力を利用して物品10を上方から下方へ転動させる溝構造を呈し、収容溝Tのピックアップ部41から落下する物品10が最初に着地する領域にガイド溝Taを有し、ガイド溝Taの直下に嵌合溝Tbを有する構造となっている。
【0045】
より詳細には、ガイド溝Taは、傾斜面Taaと、姿勢変更誘導穴Tabと、を有している(図5A図5Bを参照)。尚、本実施形態に係るガイド溝Taは、例えば、平面視で、姿勢変更誘導穴Tabがガイド溝Taを中央で2つに分断するように縦長に形成され、傾斜面Taaが姿勢変更誘導穴Tabの両側に隣接して形成された構造となっている。
【0046】
傾斜面Taaは、水平方向に対して傾斜し、且つ、当該傾斜面Taaに着地した物品10が、重力の作用により、姿勢変更誘導穴Tab側に転動するように移動方向を規制する面形状を有している。尚、より詳細には、傾斜面Taaは、物品10の長手方向が、姿勢変更誘導穴Tabの形成方向に沿うに、物品10の転動態様を規制する。
【0047】
姿勢変更誘導穴Tabは、傾斜面Taaから案内された物品10の姿勢を、目標姿勢(ここでは、物品10の頭部10bが上方を向き、脚部10aが下方を向いた姿勢)に変更する。姿勢変更誘導穴Tabは、例えば、物品10の脚部10aのみが通過し且つ物品10の頭部10bは通過不可となった穴形状(例えば、脚部10aの幅よりも大きく、頭部10bの幅よりも小さい幅を有する貫通穴)を呈し、傾斜面Taaから姿勢変更誘導穴Tabに案内された物品10が、頭部10bが姿勢変更誘導穴Tabの入口で引っ掛かり、脚部10aのみが重力の作用で姿勢変更誘導穴Tab内に落ち込む構成となっている。これにより、物品10は、姿勢変更誘導穴Tabを通過する過程で、頭部10bが上方を向き、脚部10aが下方を向いた姿勢に変更するように誘導されるになる。
【0048】
姿勢変更誘導穴Tabで目標姿勢に姿勢変更された物品10は、例えば、一対の把持部材42A、42Bの開動作やロボットアーム30を用いた一対の把持部材42A、42Bに対する振動付与による強制的な移動の促進によって、姿勢変更誘導穴Tabの入口に引っ掛かった物品10の頭部10bが、引っ掛かり状態から外れ、更に嵌合溝Tb側(ここでは、収容溝Tの下方側)に移動させられる。
【0049】
嵌合溝Tbは、目標姿勢(物品10の頭部10bが上方を向き、脚部10aが下方を向いた姿勢)に変更された物品10に嵌合する形状を呈し、物品10と嵌合することで、物品10を目標姿勢にて位置決めする。尚、本実施形態に係る嵌合溝Tbは、姿勢変更誘導穴Tabの直下に形成され、姿勢変更誘導穴Tabで目標姿勢に変更された物品10は、重力の作用でそのままの姿勢で下方に落下することで、嵌合溝Tbに嵌合する。
【0050】
嵌合溝Tbの下端側には、物品10の脚部10aが嵌合溝Tbから下方に突出した状態となるように、物品10の脚部10aが挿通可能な貫通穴Tbb(図5Cを参照)が形成されている。換言すると、物品10は、嵌合溝Tb内に嵌合した際、脚部10aが嵌合溝Tbの貫通穴Tbbから下方に突出し、且つ、頭部10bが嵌合溝Tbの底面及び側面に当接した状態で、嵌合溝Tb内に保持されることになる。
【0051】
姿勢変更誘導穴Tabから嵌合溝Tbへの物品10の移動は、例えば、一対の把持部材42A、42Bの開閉動作により誘導される。例えば、一対の把持部材42A、42Bの部材間距離を僅かに拡張することによって、重力の作用により、物品10を、姿勢変更誘導穴Tabから嵌合溝Tbに移動させることができる。他方、ロボットアーム30を用いて物品保持部42に対して振動を付与することで、物品10の移動を促進し、物品10を姿勢変更誘導穴Tabから嵌合溝Tbへ誘導してもよい。尚、これらの動作は、制御部60の制御のもと、実施されることになる。
【0052】
収容溝T内に落下した物品10の挙動は、図6A図6Eに示す通りである。
【0053】
ピックアップ部41で保持状態を解放された物品10は、まず、ガイド溝Ta内に着地する。そして、ガイド溝Ta内に着地した物品10は、重力の作用により、ガイド溝Ta内の傾斜面Taaに沿って転動する(図6A)。このとき、物品10は、傾斜面Taaにて転動態様が規制され、自身の長手方向が姿勢変更誘導穴Tabの長手方向に沿った姿勢となるように、姿勢変更誘導穴Tabに案内される(図6B)。姿勢変更誘導穴Tabでは、物品10の頭部10bは通過不可となっているため、物品10の脚部10aが姿勢変更誘導穴Tabの下方に落ち、物品10の頭部10bが姿勢変更誘導穴Tabに引っ掛かり、これに伴って、物品10は、脚部10aを下に向け、頭部10bを上に向けた状態の姿勢に変更されることになる(図6C)。この状態で、一対の把持部材42A、42Bの部材間距離が僅かに拡張され、物品10は、脚部10aを下に向け、頭部10bを上に向けた姿勢のまま、嵌合溝Tb内に嵌まり込む(図6D)。その後、制御部60の制御により、一対の把持部材42A、42Bは、閉方向に動作させられ、これにより、物品10は、嵌合溝Tb内にて、把持されることになる(図6E)。
【0054】
センサ部43は、物品10が嵌合溝Tb内に嵌合した状態となっていることを検出する(図4Cを参照)。センサ部43は、例えば、嵌合溝Tbを間に挟んで対向するように発光部と受光部とを配した光透過式の物体検出センサにて構成される。
【0055】
センサ部43を設けることによって、ピックアップ部41から解放された物品10が、収容溝T内で嵌合溝Tbに移動している最中に途中で引っ掛かった状態となったことを検出することが可能である。換言すると、これによって、必要に応じて、物品10の転動動作のリトライを実施することが可能である。尚、物品10の転動動作のリトライは、例えば、ロボットアーム30を制御して、物品保持部42の収容溝Tを傾斜させて、物品10を、ガイド溝Ta内に落下した際とは異なる方向に移動させ、その後、再度、物品保持部42の姿勢を元の姿勢(例えば、物品保持部42の姿勢を水平方向)に戻すことにより実施することが可能である。
【0056】
<物品取出システムの動作例>
続いて、物品取出システム1の動作例について説明する。尚、本実施形態に係る物品取出システム1は、制御部60の制御のもと、動作する。
【0057】
図7は、本実施形態に係るロボットハンド40を動作させる際に制御部60が行う処理の一例を示すフローチャートである。
【0058】
ステップS1において、制御部60は、撮像部50に対して、物品載置部2に載置された物品群10Wの撮影を実施させる。そして、制御部60は、撮像部50から画像データを取得して、当該画像データにより、物品載置部2に載置された物品群10Wの状態を認識する。この際、制御部60は、例えば、物品群10Wの各物品10の位置等から、物品群10Wから取り出しやすい一個の物品10(例えば、物品群10Wのうち、最も上方に存在する物品10)を取り出し対象として決定し、当該物品10の位置及び姿勢を検出する。
【0059】
ステップS2において、制御部60は、ロボットアーム30を制御して、ステップS1で取り出し対象として決定した物品10に向かって、ロボットハンド40を近接させる。そして、制御部60は、ピックアップ部41に吸引力を発生させることで、ピックアップ部41にて、物品10の上面を吸着させ、ピックアップ部41にて物品10を保持した後、ロボットハンド40を物品載置部2から退避させる(図4A)。
【0060】
ステップS3において、制御部60は、物品保持部42の一対の把持部材42A、42Bを閉じ、ピックアップ部41の直下に収容溝Tを形成する。尚、制御部60は、例えば、予め設定された物品10のサイズに基づいて、一対の把持部材42A、42Bの部材間距離を調整する。
【0061】
ステップS4において、制御部60は、ピックアップ部41に物品10を解放させ、物品10を、ピックアップ部41から物品保持部42が形成する収容溝T内に落下させる(図4B)。この際、物品10は、収容溝T内でガイド溝Taの領域に着地し、重力の作用により、ガイド溝Taから嵌合溝Tbに自然に移動することになる。尚、このステップS4において、制御部60は、例えば、ガイド溝Taの姿勢変更誘導穴Tabから嵌合溝Tbへの物品10の移動を促進するため、例えば、ピックアップ部41に物品10を解放させた後、所定時間経過した後、一対の把持部材42A、42Bの部材間距離を僅かに拡張したり、一対の把持部材42A、42Bに対して振動を付与する制御を行ってもよい。
【0062】
ステップS5において、制御部60は、ステップS4でピックアップ部41に物品10を解放させてから所定時間経過した後、センサ部43からのセンサ信号に基づいて、物品10が嵌合溝Tbに嵌まり込み、物品10が目標姿勢に変更したか否かを判定する。そして、制御部60は、物品10が目標姿勢に変更している場合(S5:YES)、ステップS7に処理を進め、物品10が目標姿勢に変更していない場合(S5:NO)、ステップS6に処理を進める。
【0063】
ステップS6において、制御部60は、物品10に転動動作のリトライを実施させる。尚、このステップS6において、制御部60は、例えば、ガイド溝Ta内で移動する予定の方向とは逆方向に物品10が移動するように、一旦、物品保持部42の収容溝Tを傾斜させ、その後、再度、物品保持部42の姿勢を元の姿勢(例えば、物品保持部42の姿勢を水平方向)に戻す。これにより、物品10が嵌合溝Tbに嵌まり込む前に途中で引っ掛かった状態を解消する。そして、制御部60は、再度、ステップS5に戻って、センサ部43からのセンサ信号に基づいて、物品10が目標姿勢に変更したか否かを判定する。
【0064】
ステップS7において、制御部60は、一対の把持部材42A、42Bの部材間距離を更に狭めるように制御し、一対の把持部材42A、42Bで、嵌合溝Tbに嵌まり込んだ状態の物品10を把持させる。
【0065】
ステップS8において、制御部60は、ロボットアーム30でロボットハンド40を移動させ、ロボットハンド40に保持された物品10を物品載置部2から設置対象20の穴部21上まで運搬させる。そして、制御部60は、物品10の脚部10aを設置対象20の穴部21に挿通させ、その後、一対の把持部材42A、42Bを開動作し、一対の把持部材42A、42Bにおける物品10の保持状態を解放する。これにより、物品10は、脚部10aが穴部21に収容されるとともに頭部10bが穴部21の開口部周縁に当接した状態で設置対象20に設置されることになる。
【0066】
ステップS9において、制御部60は、撮像部50から得られる画像データを参照して、物品載置部2の全ての物品10の取り出しが完了したか否かを判定する。そして、制御部60は、全ての物品10の取り出しが完了した場合(S9:YES)、図7の一連のフローチャートの動作を終了する。一方、全ての物品10の取り出しが完了していない場合(S9:NO)、ステップS1に戻って、物品載置部2に載置された物品群10Wから、次の取り出し対象の物品10を決定して、同様の処理を行う。
【0067】
本実施形態に係る物品取出システム1においては、以上のような動作によって、物品載置部2に載置された物品群10Wの物品10を個別に取り出し、整列した状態で、設置対象20に設置していくことが可能となっている。
【0068】
[効果]
以上のように、本実施形態に係るロボットハンド40は、
物品載置部2に載置された物品群10Wから物品10を個別に取り出し、解放可能な状態で物品10を保持するピックアップ部41と、
ピックアップ部41の直下に収容溝Tを形成し、ピックアップ部41が物品10を解放した際、物品10を、収容溝T内で受け取る物品保持部42と、を備え、
物品保持部42は、
収容溝T内で物品10を受け取った際、非接触で物品10に作用する外力を利用して物品10を収容溝T内で転動させ、且つ、その際の物品10の収容溝T内での転動態様を規制することで、物品10を目標姿勢に変更する姿勢変更部42xと、
収容溝T内で目標姿勢に変更された物品10を把持する把持部42yと、を有する。
【0069】
従って、本実施形態に係るロボットハンド40によれば、簡易な構成で、種々の姿勢で載置された物品10を取り出し、目標姿勢に姿勢変更した上で、物品を把持することが可能である。特に、本実施形態に係るロボットハンド40によれば、物品10の把持位置のずれを抑制することができるため、物品10の動きの不確実要素を低減することができ、ロボットハンド40の制御の簡易化を図ることが可能となる点で有用である。又、これによって、物品10を設置対象20にプレイスする際のプレイス位置のばらつきを抑制することも可能である。
【0070】
(第2の実施形態)
次に、図8図11を参照して、第2の実施形態に係る物品取出システム1の構成について説明する。
【0071】
図8は、第2の実施形態に係るロボットハンド40の構成の一例を示す図である。尚、図8A図8Dは、ロボットハンド40にて物品10をピッキングしてから、当該物品10を把持するまでの間の各部の状態を時系列に示している。
【0072】
図9は、第2の実施形態に係るロボットハンド40の物品保持部42(収容溝T)の構成を示す図である。
【0073】
図10は、第2の実施形態に係るロボットハンド40の物品保持部42が形成する収容溝T内において、物品10が転動する態様の一例を示す図である。尚、図10A図10Eは、物品10が、ピックアップ部41から物品保持部42の収容溝T内に落下した後、嵌合溝Tbに嵌合するまでの間の物品10の転動態様の一例を時系列に示している。
【0074】
本実施形態に係る物品取出システム1は、収容溝Tに落下した物品10の移動を規制及び促進するため、ロボットアーム30で収容溝Tの鉛直方向に対する傾斜角度を制御する点で、第1の実施形態に係る物品取出システム1と相違する。換言すると、本実施形態に係る物品取出システム1では、収容溝Tを転動する際に物品10に作用する重力に起因した外力を、物品10の位置にあわせて制御し、これにより、収容溝T内における物品10の移動を規制する。尚、第1の実施形態と共通する構成については、説明を省略する(以下、他の実施形態についても同様)。
【0075】
本実施形態に係る物品取出システム1の動作は、例えば、以下の通りである。
【0076】
最初に、物品取出システム1は、まず、ピックアップ部41にて物品10のピッキング動作を行う。このステージにおいては、物品取出システム1は、ピックアップ部41の下端部が下方に突き出た状態となるように、一対の把持部材42A、42Bをピックアップ部41の下端部よりも上方に持ち上げた状態(即ち、開状態)で保持する(図8Aを参照)。
【0077】
次に、物品取出システム1は、一対の把持部材42A、42Bを、「閉側」に動作制御され、左側の把持部材42Aの対向面と右側の把持部材42Bの対向面とが突き合わされることで、ピックアップ部41の直下に、物品10を受け取る収容溝Tを形成する。そして、物品取出システム1は、ピックアップ部41に物品10の保持状態を解放させ、ピックアップ部41から落下する物品10を、物品保持部42が形成する収容溝T内で受け取らせる(図8Bを参照)。尚、本実施形態では、ピックアップ部41から落下する物品10を受け取るときの収容溝Tの状態を「水平状態」と称し、収容溝Tがこの水平状態から鉛直方向に90度傾けられた状態を「垂直状態」と称する。
【0078】
次に、物品取出システム1は、収容溝Tが水平状態から段階的に垂直状態に変化するように、物品保持部42を段階的に傾斜させる(図8C)。これにより、物品10は、非接触で自身に作用する外力(ここでは、重力)により、収容溝Tの溝形状に沿って転動し、目標姿勢に変更して収容溝T内の所定位置(図9に示す嵌合溝Tb)に位置決めされることになる。
【0079】
次に、物品取出システム1は、一対の把持部材42A、42Bを更に「閉側」に動作し、収容溝T内で位置決めされた物品10を把持する(図8Dを参照)。
【0080】
本実施形態に係る物品取出システム1では、物品10に対して作用させる外力の可変制御により、ガイド溝Taから嵌合溝Tbへの移動を制御する用に好適な収容溝Tの構造を採用している。
【0081】
具体的には、本実施形態に係る収容溝Tは、ガイド溝Taと嵌合溝Tbとを湾曲状の同一の転動面内に有し、且つ、ガイド溝Taの溝形成方向と嵌合溝Tbの溝形成方向とが異なる方向(例えば、両者が直交関係となっている)を向く構成となっている(図9を参照)。つまり、本実施形態に係る収容溝Tは、ピックアップ部41から落下する物品10を収容溝T内で受け取る際には、ガイド溝Taの溝形成方向が鉛直方向を向き(即ち、ガイド溝Taの物品受取領域が水平面となる)(図10A図10Bを参照)、物品取出システム1が物品保持部42の傾斜角度を収容溝T形成時の角度から変更した際には、嵌合溝Tbの溝形成方向が鉛直方向を向くように形成されている。又、本実施形態に係る収容溝Tは、姿勢変更誘導穴Tabと嵌合溝Tbとが連通して形成されている。
【0082】
本実施形態に係る物品取出システム1における収容溝T内での物品10の転動態様は、以下の通りである。
【0083】
物品10は、まず、ピックアップ部41からガイド溝Taに着地し(図10Aを参照)、ガイド溝Taの溝形状に沿って姿勢変更誘導穴Tabに向かって転動する(図10Bを参照)。そして、物品取出システム1が収容溝Tを鉛直方向に傾斜させるにつれて、物品10は、ガイド溝Taの姿勢変更誘導穴Tab側に移動して、姿勢変更誘導穴Tabに落ち込み、目標姿勢(脚部10aを下に向け、頭部10bを上に向けた姿勢)に変更する(図10C図10Dを参照)。そして、物品取出システム1が更に収容溝Tを鉛直方向に傾斜させることで、物品10は、目標姿勢の状態で、姿勢変更誘導穴Tabから嵌合溝Tbへと移動することになる(図10Eを参照)。
【0084】
図11は、第2の実施形態に係るロボットハンド40を動作させる際に制御部60が行う処理の一例を示すフローチャートである。図11のフローチャートは、ステップS3とステップS4の間に、ステップS3aの処理が追加されている点、及び、ステップS4とステップS5の間に、ステップS4aの処理が追加されている点でのみ、図7のフローチャートと相違する。
【0085】
つまり、本実施形態に係る制御部60は、ステップS3で、ピックアップ部41にて物品10をピックアップさせた後、まず、物品保持部42を水平状態に変更して、ピックアップ部41から物品10を受け取れる状態とする処理(ステップS3a)を行う。その後、制御部60は、ステップS4で、ピックアップ部41に対して物品10を解放させた後、物品10がガイド溝Ta内を転動している際に、物品保持部42を段階的に水平状態から垂直状態に変更する処理(ステップS4a)を行う。これによって、図8及び図10を参照して説明したように、ガイド溝Taに着地した物品10は、収容溝Tの嵌合溝Tbに移動することになる。
【0086】
以上のように、本実施形態に係る物品取出システム1によれば、収容溝Tの傾斜角度を制御することで、収容溝T内における物品10の移動を規制及び促進する構成を取っている。これによって、収容溝T内における物品10の転動態様を効率的に規制し、物品10の姿勢制御を円滑に行うことが可能である。
【0087】
(第3の実施形態)
次に、図12図14を参照して、第3の実施形態に係る物品取出システム1の構成について説明する。
【0088】
図12は、第3の実施形態に係るロボットハンド40の構成の一例を示す図である。図12A図12Dは、第3の実施形態に係るロボットハンド40の動作を時系列に示している。
【0089】
図13は、第3の実施形態に係るロボットハンド40の物品保持部42が形成する収容溝T内において、物品10が転動する態様の一例を示す図である。図13A図13Eは、物品10が、ピックアップ部41から物品保持部42の収容溝T内に落下した後、嵌合溝Tbに嵌合するまでの間の物品10の転動態様の一例を時系列に示している。
【0090】
本実施形態に係る物品取出システム1は、収容溝Tに落下した物品10の移動を規制及び促進するため、物品10に作用させる遠心力を利用する点で、第2の実施形態に係る物品取出システム1と相違する。換言すると、本実施形態に係るに係る物品取出システム1では、収容溝Tに落下した物品10に作用する外力を、遠心力により制御する。尚、本実施形態に係る物品取出システム1では、物品保持部42の構成(即ち、収容溝Tの形状)としては、第2の実施形態に係る物品保持部42と同様の構成を採用している。尚、物品10に作用させる遠心力は、ロボットアーム30で、ロボットハンド40を回転動作させることで制御可能である。
【0091】
本実施形態に係る物品取出システム1の動作は、例えば、以下の通りである。
【0092】
最初に、物品取出システム1は、まず、ピックアップ部41にて物品10のピッキング動作を行う。このステージにおいては、物品取出システム1は、ピックアップ部41の下端部が下方に突き出た状態となるように、一対の把持部材42A、42Bをピックアップ部41の下端部よりも上方に持ち上げた状態(即ち、開状態)で保持する(図12Aを参照)。
【0093】
次に、物品取出システム1は、一対の把持部材42A、42Bを、「閉側」に動作制御され、左側の把持部材42Aの対向面と右側の把持部材42Bの対向面とが突き合わされることで、ピックアップ部41の直下に、物品10を受け取る収容溝Tを形成する。そして、物品取出システム1は、ピックアップ部41に物品10の保持状態を解放させ、ピックアップ部41から落下する物品10を、物品保持部42が形成する収容溝T内で受け取らせる(図12Bを参照)。尚、本実施形態では、ピックアップ部41から落下する物品10を受け取るときの収容溝Tの状態を「水平状態」と称する。
【0094】
次に、物品取出システム1は、収容溝Tが水平状態を向いた状態のまま、ロボットアーム30にて、物品保持部42を水平面内で回転させる(図12C)。これにより、物品10は、非接触で自身に作用する外力(ここでは、遠心力)により、収容溝Tの溝形状に沿って転動し、目標姿勢に変更して収容溝T内の所定位置(図9に示す嵌合溝Tb)に位置決めされることになる(図12Dを参照)。
【0095】
次に、物品取出システム1は、一対の把持部材42A、42Bを更に「閉側」に動作し、収容溝T内で位置決めされた物品10を把持する(図示せず)。
【0096】
本実施形態に係る物品取出システム1における収容溝T内での物品10の転動態様は、以下の通りである。
【0097】
本実施形態に係る物品取出システム1では、物品10は、まず、ピックアップ部41からガイド溝Taに着地し(図13Aを参照)、ガイド溝Taの溝形状に沿って姿勢変更誘導穴Tabに向かって転動する(図13Bを参照)。そして、物品10は、遠心力による移動の促進効果を利用して、重力の作用でガイド溝Taの姿勢変更誘導穴Tabに落ち込む(図13Cを参照)。そして、姿勢変更誘導穴Tabに落ち込んだ物品10は、目標姿勢(脚部10aを下に向け、頭部10bを上に向けた姿勢)に変更し(図13Dを参照)、遠心力の影響により、そのまま、当該姿勢にて、嵌合溝Tbへと移動することになる(図13Eを参照)。
【0098】
図14は、第3の実施形態に係るロボットハンド40を動作させる際に制御部60が行う処理の一例を示すフローチャートである。図14のフローチャートは、ステップS4とステップS5の間に、ステップS4aの処理に代えて、ステップS4bの処理が追加されている点でのみ、図11のフローチャートと相違する。
【0099】
つまり、本実施形態に係る制御部60は、ステップS4で、ピックアップ部41に対して物品10を解放させた後、物品保持部42に遠心力を作用させる処理(ステップS4b)を行うように構成されている。これによって、図12及び図13を参照して説明したように、ガイド溝Taに着地した物品10は、収容溝Tの嵌合溝Tbに移動することになる。
【0100】
以上のように、本実施形態に係る物品取出システム1によれば、物品保持部42に対して作用する遠心力を制御することで、収容溝T内における物品10の移動を規制及び促進する構成を取っている。これによって、収容溝T内における物品10の転動態様を効率的に規制し、物品10の姿勢制御を円滑に行うことが可能である。
【0101】
(第4の実施形態)
次に、図15図16を参照して、第4の実施形態に係る物品取出システム1の構成について説明する。
【0102】
図15は、第4の実施形態に係るロボットハンド40の構成の一例を示す図である。
【0103】
図16は、第4の実施形態に係るロボットハンド40の物品保持部42が形成する収容溝T内において、物品10が転動する態様の一例を示す図である。図16A図16Cは、物品10が、ピックアップ部41から物品保持部42の収容溝T内に落下した後、嵌合溝Tbに嵌合するまでの間の物品10の転動態様の一例を時系列に示している。
【0104】
本実施形態に係る物品取出システム1は、収容溝Tに落下した物品10の移動を規制及び促進するため、物品10に作用させる慣性力を利用する点で、第3の実施形態に係る物品取出システム1と相違する。換言すると、本実施形態に係るに係る物品取出システム1では、収容溝Tに落下した物品10に作用する外力を、慣性力により制御し、これにより、収容溝T内における物品10の移動を規制及び促進する。
【0105】
尚、物品10に作用させる慣性力は、ロボットアーム30で、ロボットハンド40を加速動作させることで制御可能である。本実施形態に係る物品取出システム1では、例えば、ロボットハンド40を、ガイド溝Taが嵌合溝Tbに面する方向とは逆方向に、加速度的に並進移動させることで、物品10をガイド溝Taから嵌合溝Tbに向かって転動させることが可能である。
【0106】
図15図16に示すように、本実施形態に係るに係る物品取出システム1は、収容溝Tに落下した物品10に作用する外力を、遠心力により制御する態様に代えて、慣性力により制御している点以外には、第3の実施形態に係る物品取出システム1と同一の構成及び動作を行うことになる。
【0107】
以上のように、本実施形態に係る物品取出システム1によれば、物品10に対して作用する慣性力を制御することで、収容溝T内における物品10の移動を規制及び促進する構成を取っている。これによって、収容溝T内における物品10の転動態様を効率的に規制し、物品10の姿勢制御を円滑に行うことが可能である。
【0108】
(第5の実施形態)
次に、図17図19を参照して、第5の実施形態に係る物品取出システム1の構成について説明する。
【0109】
図17は、第5の実施形態に係るロボットハンド40の構成の一例を示す図である。図17A図17Bでは、第5の実施形態に係るロボットハンド40の動作を時系列に示している。
【0110】
図18は、第5の実施形態に係るロボットハンド40の物品保持部42が形成する収容溝T内において、物品10が転動する態様の一例を示す図である。図18A図18Cは、物品10が、ピックアップ部41から物品保持部42の収容溝T内に落下した後、嵌合溝Tbに嵌合するまでの間の物品10の転動態様の一例を時系列に示している。
【0111】
本実施形態に係る物品取出システム1は、収容溝Tに落下した物品10の移動を規制及び促進するため、物品保持部42に近接して又は物品保持部42内に配設したマグネットMGが発生する磁力を利用する点で、第2の実施形態に係る物品取出システム1と相違する。換言すると、本実施形態に係るに係る物品取出システム1では、収容溝Tに落下した物品10に作用する外力を、磁力により制御する。尚、本実施形態に係る物品取出システム1では、マグネットMGが発生する磁力による外力に加えて、第2の実施形態に係る物品取出システム1と同様に、収容溝Tの鉛直方向に対する傾斜角度を制御することで、収容溝T内における物品10の移動を規制及び促進する構成を取っている。
【0112】
本実施形態に係る物品取出システム1の動作は、例えば、以下の通りである。
【0113】
最初に、物品取出システム1は、まず、ピックアップ部41にて物品10のピッキング動作を行う。そして、物品取出システム1は、ピックアップ部41に物品10の保持状態を解放させ、ピックアップ部41から落下する物品10を、物品保持部42が有する収容溝T内で受け取らせる(図17A図18Aを参照)。尚、本実施形態に係る物品取出システム1では、物品保持部42は、収容溝Tを有する容器状の部材によって構成されている。本実施形態に係る物品保持部42は、物品10が嵌合溝Tbに嵌まり込んだ際、物品10を容器状の部材の上方から別体の把持部材42Cで覆うことで、物品10を把持する。
【0114】
次に、物品取出システム1は、物品10が収容溝Tを転動している際、物品10に対して、マグネットMGによる磁力を作用させて、物品10を所定の位置(ここでは、嵌合溝Tbと対向する位置)に案内すると共に、物品10の姿勢を目標姿勢に変更する(図18Bを参照)。そして、物品取出システム1は、物品10が目標姿勢に変更した後、マグネットMGを物品保持部42から退避させて、マグネットMGによる磁力を解放する。そして、物品取出システム1は、物品保持部42を垂直状態に変更する。これにより、物品10は、目標姿勢に変更された状態で、収容溝T内の嵌合溝Tb内に嵌まり込み、嵌合溝Tb内に位置決めされることになる(図17B図18Cを参照)。
【0115】
図19は、第5の実施形態に係るロボットハンド40を動作させる際に制御部60が行う処理の一例を示すフローチャートである。図19のフローチャートは、ステップS4の処理の直後に、ステップS4cの処理が追加されている点、及び、ステップS4aの処理に代えて、ステップS4dの処理が追加されている点で、図11のフローチャートと相違する。又、本実施形態に係る物品取出システム1では、物品保持部42は、収容溝Tを有する容器状の部材によって構成されているため、図19のフローチャートでは、図11のフローチャート中のステップS3の処理が省略されている。
【0116】
つまり、本実施形態に係る制御部60は、ステップS4で、ピックアップ部41に対して物品10を解放させた後、物品10が収容溝T内で転動している際に、マグネットMGにて物品10を引き寄せ、物品10の姿勢を目標姿勢に変更する(ステップS4c)。そして、制御部60は、その後、マグネットMGを物品保持部42から離間させると共に、物品保持部42を垂直状態に変更する処理(ステップS4d)を行うように構成されている。これによって、図17及び図18を参照して説明したように、収容溝Tに着地した物品10は、嵌合溝Tbに移動することになる。
【0117】
尚、マグネットMGは、永久磁石で構成されてもよいし、電磁石で構成されてもよい。マグネットMGを電磁石で構成する場合、制御部60にて、マグネットMGの磁力を可変制御することで、物品10に作用させる外力を変化させてもよい。
【0118】
以上のように、本実施形態に係る物品取出システム1によれば、マグネットMGで物品10に対して作用させる磁力を制御することで、収容溝T内における物品10の移動を規制及び促進する構成を取っている。これによって、収容溝T内で転動する物品10の姿勢を適確に制御することが可能である。
【0119】
(第6の実施形態)
次に、図20図21を参照して、第6の実施形態に係る物品取出システム1の構成について説明する。
【0120】
図20図21は、第6の実施形態に係るロボットハンド40の構成の一例を示す図である。
【0121】
本実施形態に係る物品取出システム1は、収容溝Tに落下した物品10の移動を規制及び促進するため、物品保持部42に近接して又は物品保持部42内に配設したエアポンプMFが発生する流体圧力を利用する点で、第2の実施形態に係る物品取出システム1と相違する。換言すると、本実施形態に係るに係る物品取出システム1では、収容溝Tに落下した物品10に作用する外力を、流体圧力により制御する。
【0122】
これによって、収容溝T内で転動する物品10の姿勢を適確に制御することが可能である。
【0123】
(第7の実施形態)
次に、図22図23を参照して、第7の実施形態に係る物品取出システム1の構成について説明する。
【0124】
図22図23は、第7の実施形態に係るロボットハンド40の動作について説明する図である。
【0125】
第7の実施形態に係る物品取出システム1は、物品保持部42の部材間距離の可変制御により、様々なサイズの物品10に対応可能となっている点で、上記各実施形態に係る物品取出システム1と相違する。
【0126】
製品の製造現場によっては、図22の物品10s及び物品10tのように、物品載置部2に載置された物品群10W中に、サイズの異なる物品10が混在している場合がある。尚、図22に示す物品10s及び物品10tは、高さ及び幅が異なる同一種別の物品10(例えば、ボルト部材)である(ここでは、高さHs及び幅Wsの物品10sと、高さHt及び幅Wtの物品10t)。本実施形態に係る物品取出システム1では、かかる状況にも対応可能とするため、取り出し対象の物品10のサイズに応じて、物品保持部42の部材間距離を変化させる(図23A図23Bを参照)。本実施形態に係る物品取出システム1では、これによって、収容溝Tの姿勢変更誘導穴Tabの穴サイズ、及び嵌合溝Tbの溝サイズを変更し、サイズの異なる物品10についても、目標姿勢に変更するとともに、当該目標姿勢にて物品10を把持することを可能としている。
【0127】
尚、本実施形態に係る物品取出システム1は、ユーザが指定する物品10のサイズに応じて、物品保持部42の部材間距離を決定する構成としてもよいが、より好ましくは、物品載置部2に載置された物品群10Wから取り出し対象の物品10を決定した際、撮像部50から得られた画像データ等からその物品10のサイズを検出し、検出された物品10のサイズに基づいて、物品保持部42の部材間距離を調整する構成とする。これによって、物品載置部2に載置された物品群10Wにサイズの異なる物品10が混在している場合にも、正確に物品10の姿勢を目標姿勢に変更することが可能となる。
【0128】
以上のように、本実施形態に係る物品取出システム1によれば、同一の構成で、サイズの異なる物品10にも適用することが可能である。
【0129】
(その他の実施形態)
本発明は、上記実施形態に限らず、種々の変形態様が考えられる。例えば、物品取出システム1は、各実施形態で示した態様を種々に組み合わせた構成であってもよい。
【0130】
又、上記実施形態では、物品10の一例として、ボルト部材を示したが、物品10は、ボルト部材以外の任意の物品であってよく、例えば、L字状の留具、キャップ、棒状部材の一部に筒状部材を取り付けたもの、キャップ等であってもよい。但し、ガイド溝Ta内での転動により姿勢を変更する観点から、物品10は、細長い脚部10aと、脚部10aの一端に形成され、脚部10aよりも幅広な頭部10bと、を有する形状を呈する部材が好ましい。
【0131】
又、上記実施形態では、ピックアップ部41の構成の一例として、吸着ヘッドを示したが、ピックアップ部41は、例えば、物品10を側面から挟持することによって、物品10を保持する二爪ハンドで構成されてもよい。但し、様々な姿勢で載置された物品10を、姿勢の違いによる影響を受けることなく取り出し得る点で、ピックアップ部41は、吸着ヘッドで構成されるのが好ましい。
【0132】
又、上記実施形態では、物品保持部42の構成の一例を示したが、物品保持部42の構成は、種々に変更可能である。例えば、物品10の姿勢を目標姿勢に変更するガイド溝Taを形成する部材と、嵌合溝Tbを形成する部材(即ち、物品10を把持する部材)とが組み合わされて、物品保持部42が構成されてもよい。又、一対の把持部材42A、42Bで収容溝Tを形成する物品保持部42に代えて、予め収容溝Tが形成された容器状の物品保持部42で構成されてもよい。
【0133】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、請求の範囲を限定するものではない。請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0134】
本開示に係るロボットハンドによれば、簡易な構成で、物品載置部から取り出した物品を、目標姿勢に姿勢変更した上で保持することが可能である。
【符号の説明】
【0135】
1 物品取出システム
2 物品載置部
10 物品
10W 物品群
20 設置対象
21 穴部
30 ロボットアーム
40 ロボットハンド
40T ハンド基部
41 ピックアップ部
42 物品保持部
42A、42B 把持部材
42C 把持部材
42x 姿勢変更部
42y 把持部
43 センサ部
50 撮像部
60 制御部
MF エアポンプ
MG マグネット
T 収容溝
Ta ガイド溝
Taa 傾斜面
Tab 姿勢変更誘導穴
Tb 嵌合溝
Tbb 貫通穴
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23