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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-14
(45)【発行日】2025-01-22
(54)【発明の名称】エレベータのピット梯子装置
(51)【国際特許分類】
   B66B 5/00 20060101AFI20250115BHJP
【FI】
B66B5/00 D
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021042985
(22)【出願日】2021-03-17
(65)【公開番号】P2022142801
(43)【公開日】2022-10-03
【審査請求日】2023-12-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109612
【弁理士】
【氏名又は名称】倉谷 泰孝
(74)【代理人】
【識別番号】100116643
【弁理士】
【氏名又は名称】伊達 研郎
(74)【代理人】
【識別番号】100184022
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 美保
(72)【発明者】
【氏名】若森 純子
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 紘暢
【審査官】中島 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-194077(JP,A)
【文献】特開2010-064869(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0162689(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第103350937(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 5/00- 5/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータの昇降路底部のピットで保守作業のときに用いられるピット梯子装置において、
使用時に乗場敷居に上部が支持されて配置されるピット梯子と、
前記ピット梯子の上部に設けられ、前記ピット梯子が使用される使用位置で前記乗場敷居に係合して、着脱自在に前記ピット梯子の水平方向の移動を制限する固定部と、
前記昇降路の前記乗場敷居側の壁面で前記ピット梯子の中間部に対向する位置に延在して設けられ、前記使用位置と、前記エレベータの乗りかごに干渉しない位置であって前記ピット梯子が収納される収納位置と、の間で前記ピット梯子の倒れ方向を支持する支持部と、
前記ピット梯子の中間部に設けられ、前記支持部に支持される被支持部と、
前記ピット梯子の下端部に設けられ、前記ピット梯子に作用する荷重を支持すると共に、前記ピット梯子を移動可能にする可動部と、
一方が前記ピット梯子に固定され、他方が前記乗場敷居の下側に水平方向に配置されており、水平方向に移動させたとき、前記ピット梯子を移動可能にする制御棒と、を備えたことを特徴とするピット梯子装置。
【請求項2】
前記収納位置は、鉛直方向から見て、前記使用位置から前記乗場敷居の長手方向に沿って離れる方向であって、前記乗場敷居の長手方向から前記昇降路側に隣接していることを特徴とする請求項1に記載のピット梯子装置。
【請求項3】
前記使用位置と前記収納位置とは同じ高さに配置されており、前記支持部は、水平方向に配置されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のピット梯子装置。
【請求項4】
前記制御棒に対向する前記壁面に設けられ、前記制御棒に係合して、着脱自在に前記制御棒の水平方向の移動を制限する保持部を備えたことを特徴とする請求項に記載のピット梯子装置。
【請求項5】
前記収納位置の高さは、前記使用位置の高さより低く配置され、
前記支持部は、前記使用位置から前記収納位置の間で下向きに傾斜して配置され、前記被支持部は、前記下向きの傾斜に沿うように傾斜して配置されており、
前記壁面の前記可動部に対向する位置に延在して設けられ、前記使用位置の直下に形成され、前記可動部に当接して前記ピット梯子に作用する荷重を支持する水平面と、
前記水平面の一方に連続して形成され、前記使用位置と前記収納位置との間で前記ピット梯子を移動可能に案内する傾斜面と、を備えたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のピット梯子装置。
【請求項6】
一方が前記ピット梯子に固定され、他方が前記乗場の前記昇降路側に配置されており、長手方向に移動させたとき、前記ピット梯子を移動可能にする制御ロープを備えたことを特徴とする請求項に記載のピット梯子装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、エレベータのピット梯子装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、乗場からピット悌子への移動を簡易にできるエレベータのピット梯子装置が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-276959
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来のピット梯子装置は、昇降路ピットに収納されたピット梯子を使用開始するとき、引き上げロープの他端部を持って、ピット床面に寝かせた状態のピット梯子を起こして引き上げる。また、ピット梯子を使用後、ピット床面に収納するとき、引き上げロープの他端部を持って、ピット梯子をピット床面に寝かせるように戻す。このとき、ピット梯子が直立した状態のときは、引き上げロープの他端部にはピット梯子の重量はほぼ作用していない。しかしながら、ピット梯子を寝かせた状態から引き起こすとき、または直立した状態から寝かせた状態に戻すとき、引き上げロープの他端部にはピット梯子の重量が大きく作用するため、作業員が引き上げロープの他端部に引っ張られてバランスを崩したり、作業員の手から引き上げロープの他端部が外れて、ピット梯子が床面に自然落下して破損するという課題があった。
【0005】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、ピット梯子を収納位置と使用位置との間で移動するとき、軽い力で移動することができるピット梯子装置を提供することである。また、ピット梯子を収納位置と使用位置との間で移動するとき、ピット梯子の破損を防止可能なピット梯子装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明におけるピット梯子装置は、エレベータの昇降路底部のピットで保守作業のときに用いられるピット梯子装置において、使用時に乗場敷居に上部が支持されて配置されるピット梯子と、ピット梯子の上部に設けられ、ピット梯子が使用される使用位置で乗場敷居に係合して、着脱自在にピット梯子の水平方向の移動を制限する固定部と、昇降路の乗場敷居側の壁面でピット梯子の中間部に対向する位置に延在して設けられ、使用位置と、前記エレベータの乗りかごに干渉しない位置であってピット梯子が収納される収納位置と、の間でピット梯子の倒れ方向を支持する支持部と、ピット梯子の中間部に設けられ、支持部に支持される被支持部と、ピット梯子の下端部に設けられ、ピット梯子に作用する荷重を支持すると共に、ピット梯子を移動可能にする可動部と、一方がピット梯子に固定され、他方が乗場敷居の下側に水平方向に配置されており、水平方向に移動させたとき、ピット梯子を移動可能にする制御棒と、を備えたことを特徴とするものである。


【発明の効果】
【0007】
この発明は、ピット梯子を使用位置と収納位置との間で移動するとき、軽い力で移動することができるピット梯子装置を実現できる。また、ピット梯子を収納位置と使用位置との間で移動するとき、ピット梯子の破損を防止可能なピット梯子装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】この発明の実施の形態1によるエレベータのピット梯子装置(使用時)を示す正面図である。
図2】この発明の実施の形態1によるエレベータのピット梯子装置(使用時)を示す平面図である。
図3】この発明の実施の形態1によるエレベータのピット梯子装置(使用時)の要部を示す側面図である。
図4】この発明の実施の形態1によるエレベータのピット梯子装置(収納時)を示す正面図である。
図5】この発明の実施の形態1によるエレベータのピット梯子装置(収納時)を示す平面図である。
図6】この発明の実施の形態1によるエレベータのピット梯子装置(収納時)の要部を示す側面図である。
図7】この発明の実施の形態1によるエレベータのピット梯子装置(使用時)の固定部を示す側面図である。
図8】この発明の実施の形態1によるエレベータのピット梯子装置(収納時)の固定部を示す側面図である。
図9】この発明の実施の形態1によるエレベータのピット梯子装置の支持部を示す側面図である。
図10】この発明の実施の形態1によるエレベータのピット梯子装置(使用時)の保持部を示す側面図である。
図11】この発明の実施の形態1によるエレベータのピット梯子装置(収納時)の保持部を示す側面図である。
図12】この発明の実施の形態2によるエレベータのピット梯子装置(使用時)を示す正面図である。
図13】この発明の実施の形態2によるエレベータのピット梯子装置(収納時)を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
図1図3は、この発明の実施の形態1によるエレベータのピット梯子装置(使用時)を説明するもので、図1はピット梯子装置9の正面図、図2はピット梯子装置9の側面図、図3はピット梯子装置9の平面図である。図4図6は、エレベータのピット梯子装置(収納時)を示すもので、図4は正面図、図5は側面図、図6は平面図である。図において、建屋内の設けられた昇降路1の下部にはピット2が設けられている。昇降路1を形成する壁面3の各階の乗場4には、乗りかご5に乗客が乗り降りする出入口6が形成されている。出入口6の下部には昇降路1内に突出した乗場敷居7が形成されている。乗場敷居7は乗りかご5と出入口6との隙間を塞ぎ、乗客が乗りかご5に乗り降りする際の安全性を確保するものである。出入口6には、2枚戸片開きの乗場扉8が設けられている。
【0010】
ピット2の壁面3には、本実施例に係るピット梯子装置9が設けられている。ピット梯子装置9は出入口6が設けられた壁面31に配置されている。また、ピット梯子装置9は、壁面31に収納されている状態においては乗りかご5の昇降に対して干渉しない位置にある。また、壁面31にはピット梯子装置9が使用されている時に、乗りかご5の昇降を強制的に停止させる安全スイッチ10が設けられている。この安全スイッチ10は信号線11を介して制御盤(図示せず)に接続されており、巻上機(図示せず)の運転を制御する。
【0011】
ピット梯子12は、作業員が乗場4とピット2との間を移動する際に、乗場敷居7の使用位置に配置されて使用される。ピット梯子12が使用される使用位置は、出入口6の乗場扉8の戸袋側付近である。また、ピット梯子12が収納される収納位置は、鉛直方向から見て、使用位置から乗場敷居7の長手方向に沿って水平方向に離れる方向であって、乗場敷居7の長手方向から昇降路1側に隣接しており、乗りかご5の昇降に対して干渉しない位置である。また、使用位置と収納位置とは同じ高さに配置されている。
【0012】
図7図8において、ピット梯子12の上部には、乗場敷居7の溝に係合して、使用位置でピット梯子12の水平方向の移動を制限する固定部13が設けられている。固定部13には、使用位置で乗場敷居7の溝に着脱自在な係合アーム14が設けられている。係合アーム14は、ピット梯子12を使用するとき、ピット梯子12側から引き出されて、乗場敷居7の溝と係合される。ピット梯子12を使用しないとき、係合アーム14は、乗場敷居7の溝から解放されてピット梯子12側に収納される。
【0013】
また、図9において、ピット梯子12の中間部に対向する壁面31には、ピット梯子12の倒れ方向を支持する支持部15が使用位置から収納位置までの間で水平方向に延在して配置されている。ピット梯子12の中間部には、支持部15に支持されてピット梯子12の倒れを防止する被支持部16が設けられている。支持部15に被支持部16が支持されて、使用位置と収納位置との間でピット梯子12の倒れが防止される
【0014】
ピット梯子12の下端部には、鉛直方向から見て乗場敷居7の長手方向と平行方向に回動可能なローラ17が設けられている。ローラ17は、ピット梯子12に作用する荷重を支持すると共に、ピット2の床面と当接して使用位置から収納位置の間でピット梯子12を移動可能に案内する。
【0015】
乗場敷居7の下側には、ピット梯子12を移動可能にする制御棒18が設けられている。制御棒18は、一方がピット梯子12に接続されており、他方が乗場敷居7の下側で、乗場4から手の届く位置に配置されている。制御棒18を手前側に引いたり、押し出すように操作することで、ピット梯子12を使用位置から収納位置の間で自由に移動または停止させることができる。
【0016】
図10図11において、制御棒18に対向する壁面31には、制御棒18に係合して、着脱自在に制御棒18の水平方向の移動を制限する保持部19が設けられている。ピット梯子12が収納位置にあるとき、制御棒18を保持部19に係合する。ピット梯子12は、制御棒18が保持部19に係合されると、収納位置に保持される。ピット梯子12を使用する場合は、保持部19と制御棒18との係合は解除されている。
【0017】
次に、上記のように構成された実施の形態1の動作について説明する。始めに、出入口6から保持部19を操作して、保持部19に係合された制御棒18を解放して、制御棒18を移動可能にする。制御棒18を出入口6側に引いて、収納位置に配置されたピット梯子12を使用位置まで水平方向に移動させる。使用位置に移動されたピット梯子12は、固定部13の係合アーム14を引き出して、乗場敷居7の溝と係合させて、乗場敷居7に固定する。これにより、ピット梯子12は水平方向の移動が制限されて、使用可能な状態になる。作業員は、乗場4とピット2との間を移動するためにピット梯子12を使用する。このとき、安全スイッチ10がピット梯子12を検出していないため、乗りかご5の運転は強制的に停止されている。
【0018】
次に、ピット作業が終了すると、ピット梯子12を使用位置から収納位置に移動させる。まず、使用位置に固定されたピット梯子12は、固定部13の係合アーム14を乗場敷居7から解放する。ここで、ピット梯子12は自由に移動可能になるため、出入口6から制御棒18を出入口6から外側に押し出して、使用位置に配置されたピット梯子12を収納位置まで水平方向に移動させる。ピット梯子12を収納位置まで移動させると、ピット梯子12が安全スイッチ10に当接する。最後に、保持部19を操作して、制御棒18を保持部19に係合させる。これにより、安全スイッチ10によりピット梯子12が収納位置に配置されたことが検出されるため、ピット梯子12乗りかご5の運転が再開される。
【0019】
上記のように実施の形態1によれば、エレベータの昇降路1底部のピット2で保守作業のときに用いられるピット梯子装置9において、使用時に乗場敷居7に上部が支持されて配置されるピット梯子12と、ピット梯子12の上部に設けられ、ピット梯子12が使用される使用位置で乗場敷居7に係合して、着脱自在にピット梯子12の水平方向の移動を制限する固定部13と、昇降路1の乗場敷居7側の壁面31でピット梯子12の中間部に対向する位置に延在して設けられ、使用位置と、エレベータの乗りかご5に干渉しない位置であってピット梯子12が収納される収納位置と、の間でピット梯子12の倒れ方向を支持する支持部15と、ピット梯子12の中間部に設けられ、支持部15に支持される被支持部16と、ピット梯子12の下端部に設けられ、ピット梯子12に作用する荷重を支持すると共に、ピット梯子12を移動可能にするローラ17と、を備えたことにより、ピット梯子12を使用位置と収納位置との間で移動するとき、軽い力で移動することができるピット梯子装置9を実現できる。
【0020】
また、収納位置は、鉛直方向から見て、使用位置から乗場敷居7の長手方向に沿って離れる方向であって、乗場敷居7の長手方向から昇降路5側に隣接していることにより、ピット梯子装置9を使用時に収納位置から使用位置へ短時間で配置できる。
【0021】
また、使用位置と収納位置とは同じ高さに配置されており、支持部15は、水平方向に配置されていることにより、制御棒18を操作したとき、ピット梯子12は使用位置と収納位置との間を水平方向に移動することから、ピット梯子12を軽い力で移動できる。また、ピット梯子12を収納位置と使用位置との間で移動するとき、ピット梯子12がピット2の床面に自然落下することはないため、ピット梯子12の破損を防止可能なピット梯子装置9を実現できる。
【0022】
また、一方がピット梯子12に固定され、他方が乗場敷居7の下側に水平方向に配置されており、水平方向に移動させたとき、ピット梯子12を移動可能にする制御棒18を備えたことにより、作業員がピット梯子12を使用位置から収納位置に移動するとき、昇降路1側に身を乗り出すことなく操作できるため、ピット梯子装置9を安全に使用できる。
【0023】
また、制御棒18に対向する壁面31に設けられ、制御棒18に係合して、着脱自在に制御棒18の水平方向の移動を制限する保持部19を備えたことにより、ピット梯子12を使用しないときに、ピット梯子12を収納位置に保持できると共に、ピット梯子12が安全スイッチ10から外れるのを防止できる。
【0024】
実施の形態2.
図12図13は、この発明の実施の形態2によるピット梯子装置20を説明するもので、図12はピット梯子装置20(使用時)を示す正面図、図13はピット梯子装置20(収納時)を示す正面図である。図において、この発明の実施の形態2によるピット梯子装置20は、支持部21が傾斜して形成されており、ピット梯子23を支持する水平面24と、ピット梯子23を案内する傾斜面25とを有することが異なり、それ以外の同様な部分に同じ記号を付記し説明を省略する。
【0025】
ピット梯子23が使用される使用位置は、出入口6が2枚戸横開き扉の場合、実施の形態1と同じである。また、ピット梯子23が収納される収納位置は、乗りかご5の昇降に対して干渉しないピット2面である。収納位置の高さは、使用位置の高さより低く配置されている。
【0026】
壁面31には、ピット梯子23の倒れ方向を支持する支持部21が延在して配置されている。支持部21は、使用位置から収納位置までの間で下向きに傾斜して配置されている。支持部21に支持されてピット梯子23の倒れ方向を支持する被支持部22は、ピット梯子23を正面から見たとき、支持部21に沿うように傾斜して配置されている。
【0027】
ピット梯子23のローラ17に対向する壁面31には、使用位置の直下に、ピット梯子23に作用する荷重を支持する水平面24が設けられている。水平面24の一方には、水平面24に連続して形成され、使用位置と収納位置との間でピット梯子23を移動可能に案内する傾斜面25が設けられている。
【0028】
乗場敷居7の下側から乗場4の昇降路1側には、ピット梯子23を移動可能にする制御ロープ26が設けられている。制御ロープ26は、一方がピット梯子23に接続されており、他方が乗場4から手の届く壁3の昇降路1側に配置されている。ピット梯子23を収納位置から使用位置に移動させるときは、制御ロープ26を手前側に引いたり、緩めるように操作することで、ピット梯子23を自由に移動または停止させることができる。
【0029】
次に、上記のように構成された実施の形態2の動作について説明する。始めに、制御ロープ26を乗場4側に引くことにより、収納位置に配置されたピット梯子23は、支持部21に支持されて、傾斜面25に案内されながら引き上げられて、水平面24の使用位置まで移動する。使用位置に移動されたピット梯子23は、固定部13の係合アーム14が引き出されて、乗場敷居7の溝と係合されて、乗場敷居7に固定される。これにより、ピット梯子23は水平方向の移動が制限されて、使用可能な状態になる。作業員は、乗場4とピット2との間を移動するためにピット梯子23を使用する。
【0030】
次に、ピット作業が終了すると、ピット梯子23を使用位置から収納位置に戻す。まず、使用位置に固定されたピット梯子23は、固定部13の係合アーム14を乗場敷居7の溝から解放して、固定部13の元の位置に戻す。次に、作業員は制御ロープ26を掴みながら、ピット梯子23を使用位置から収納位置側に向けて手動で軽く押し出す。ピット梯子23を、水平面24から傾斜面25に移動した時点で、ローラ17の片側が傾斜面25に当接しながら収納位置まで自重で移動していく。このとき、作業員は制御ロープ26を軽く支える程度の力で繰り出しながら、ピット梯子23を収納位置まで移動させる。
【0031】
ピット梯子23は、被支持部22が支持部21に支持されながら傾斜面25を移動して、収納位置に配置されると、ピット梯子23の自重で安全スイッチ10に当接する。これにより、ピット梯子23の使用を終了したことが検出されて、乗りかご5は使用可能な状態になる。
【0032】
上記のように実施の形態2によれば、収納位置の高さは、使用位置の高さより低く配置され、支持部21は、使用位置から収納位置の間で下向きに傾斜して配置され、被支持部22は、下向きの傾斜に沿うように傾斜して配置されており、壁面31のローラ17に対向する位置に延在して設けられ、使用位置の直下に形成され、ローラ17に当接してピット梯子23に作用する荷重を支持する水平面24と、水平面24の一方に連続して形成され、使用位置と収納位置との間でピット梯子23を移動可能に案内する傾斜面25と、を備えたことにより、ピット梯子23は、傾斜面25に当接しながら収納位置まで自重で移動していくため、実施の形態1より軽い力でピット梯子23を収納できるピット梯子装置20を実現できる。
【0033】
また、傾斜面25の傾斜角度を緩く設定することで、ピット梯子23を使用位置と収納位置との間で移動するとき、制御ロープ26に作用する力が小さくなる。これにより、制御ロープ26を操作するとき、作業員がバランスを崩すことはない。また、ピット梯子23を収納位置と使用位置との間で移動するとき、ピット2の床面に自然落下することもない。そのため、ピット梯子23の破損を防止可能なピット梯子装置20を実現できる。
【0034】
また、収納位置に配置されたピット梯子23は、傾斜面25によって水平方向の移動が制限される。そのため、ピット梯子23を収納位置に保持する手段を設けることなく、ピット梯子23が安全スイッチ10から外れることを防止できる。
【0035】
また、一方がピット梯子23に固定され、他方が出入口6の昇降路1側に配置されており長手方向に移動させたとき、ピット梯子23を移動可能にする制御ロープを備えたことにより、作業員は出入口6から身を乗り出すことなくピット梯子23を移動させることができるため、ピット梯子装置20を安全に使用できる。
【0036】
なお、乗場扉8は2枚戸片開き式であるが、2枚戸中央開き式でも良い。2枚戸中央開き式の場合、使用位置は実施の形態1と同じでも良い。また、ピット梯子12が使用される使用位置は、出入口6の乗場扉8の戸袋側付近であるが、必ずしもこの位置でなくても良く、出入口6からピット2へ移動可能であれば乗場敷居7のどこでも良い。
【0037】
また、ピット梯子12またはピット梯子23が収納される収納位置は、鉛直方向から見て、いずれも同じ位置に配置されているが、必ずしも同じ位置でなくても良い。例えば、傾斜面25の傾斜角度を緩く設定するため、実施の形態2の収納位置を実施の形態1よりも使用位置から離れた位置または近い位置に設定しても良い。
【0038】
また、ピット梯子23の収納位置は、ピット2の床面であるが、必ずしもこの位置でなくても良い。例えば、傾斜面25の傾斜角度を緩く設定するため、収納位置を壁面31に配置しても良い。また、この収納位置には、ピット梯子23を収納する手段として、水平面または傾斜面のいずれを形成しても良い。
【0039】
実施の形態1では、乗場敷居7の下側に制御棒18が設けられているが、必ずしも設けなくても良い。制御棒18が無い場合、例えば、作業員の手または押すための棒状の道具を用いることによりピット梯子12を移動できる。また、壁面31には、保持部19が設けられているが、必ずしも設けなくても良い。保持部19が無い場合、例えば、収納位置において、ピット梯子12を保持可能な磁石などを設けて保持しても良い。
【0040】
実施の形態2では、乗場敷居7の下側に制御ロープ26が設けられているが、必ずしも設けなくても良い。制御ロープ26が無い場合、作業員の手または引き上げるための棒状の道具を用いることによりピット梯子12を移動できる。
【符号の説明】
【0041】
1 昇降路、2 ピット、3 壁面、31 壁面、4 乗場、5 乗りかご、6 出入口、7 乗場敷居、8 乗場扉、9,20 ピット梯子装置、10 安全スイッチ、11 信号線、12,23 ピット梯子、13 固定部、14 係合アーム、15,21 支持部、16,22 被支持部、17 ローラ、18 制御棒、19 保持部、24 水平面、25 傾斜面、26 制御ロープ
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、エレベータのピット梯子装置に関するものである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13