(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-14
(45)【発行日】2025-01-22
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
H04N 1/32 20060101AFI20250115BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20250115BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20250115BHJP
【FI】
H04N1/32 037
H04N1/00 838
G06T7/00 300D
G06T7/00 570
G06T7/00 590
(21)【出願番号】P 2021072997
(22)【出願日】2021-04-23
【審査請求日】2024-03-14
(31)【優先権主張番号】P 2020089043
(32)【優先日】2020-05-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001900
【氏名又は名称】弁理士法人 ナカジマ知的財産綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】山内 香奈
(72)【発明者】
【氏名】中尾 竹寿
【審査官】松永 隆志
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-074409(JP,A)
【文献】特開2013-125461(JP,A)
【文献】特開2008-054084(JP,A)
【文献】特開2017-005296(JP,A)
【文献】特開2010-011007(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/32
H04N 1/00
G06T 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
これまでにした印刷の要求元を示す印刷履歴を、当該印刷に用いられた画像データと対応付けて保持する保持手段と、
装置本体に対し、これまでになされた操作を示す操作履歴を格納する格納手段と、
原稿の読取りを行う場合、そのユーザーが、前記印刷の印刷履歴に示される要求元と同一か否かを判定する判定手段と、
原稿の読取りで得られた画像データと、前記印刷に用いられた画像データとを照合して、読取りで得られた画像データが所定の条件を満たすかを検証する照合手段と、
前記ユーザーが、印刷に用いられた画像データに対応付けられた印刷履歴に示される要求元と同一であり、且つ、原稿の読取りで得られた画像データが所定の条件を満たす場合、操作履歴に示される操作であって、前記ユーザーによりなされたものを用いて設定画面を作成して提示する提示手段と
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記照合手段は、前記判定手段による判定がなされた後に、読み取りで得られた画像データと、印刷に用いられた画像データとの照合を行う
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記判定手段は、前記照合手段により所定の条件を満たすとの検証がなされた後に、前記ユーザーが、前記印刷履歴に示される要求元と同一かどうかの判定を行う
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記印刷の要求元としての端末のホスト名又はネットワークアドレスと、ユーザーIDとの対応関係を示すテーブルと、
予め登録されたユーザーIDを用いてユーザーの本人確認を行う認証手段とを備え、
前記判定手段による判定は、前記本人確認に用いられたユーザーIDが、前記印刷の要求を発した端末のホスト名又はネットワークアドレスに対応するユーザーIDと同一かどうかの判断でなされる
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記所定の条件は、前記印刷に用いられた画像データ、及び、前記原稿読取りで得られた画像データのうち所定の部位にのみに差異があり、残りの部位に同一性があるとの条件である
請求項1~4の何れかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記所定の部位は署名欄であり、
前記照合手段は、前記印刷に用いられた画像データ、及び、前記原稿読取りで得られた画像データの対応する位置に署名欄が存在するかどうか、前記原稿読取りで得られた画像データの署名欄にのみ、手書き文字が記載されているかどうかの判定を行い、前記原稿読取りで得られた画像データの署名欄にのみ手書き文字が記載されている場合、前記差異を有するとする
ことを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記所定の部位は捺印欄であり、
前記照合手段は、前記印刷に用いられた画像データ、及び、前記原稿記読取りで得られた画像データの対応する位置に捺印欄が存在するかどうか、前記原稿読取りで得られた画像データの捺印欄にのみ、印章が存在するかどうかの判定を行い、前記原稿読取りで得られた画像データの捺印欄にのみ印章が記載されている場合、前記差異を有するとする
ことを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記印刷に用いられた画像データ、及び、読み取りで得られた画像データのうち、前記所定の部位以外の残りの部位を対象として文字認識を行い、
前記文字認識により得られた文字列が同一である場合、前記同一性を有するとする
ことを特徴とする請求項5~7の何れかに記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記印刷に用いられた画像データのうち、所定の部位以外の部位から抽出された特徴点と、前記原稿読取りで得られた画像データのうち、所定の部位以外から抽出された特徴点とが所定の幾何学関係をなす場合、前記同一性を有するとする
ことを特徴とする請求項5~7の何れかに記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記印刷に用いられた画像データ、及び、前記原稿読取りで得られた画像データに所定の部位が存在しないか、又は、所定の部位に差異が存在しない場合、前記所定の条件を満たさないとする
ことを特徴とする請求項5~9の何れかに記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記保持手段は、印刷に用いられた画像データを所定の倍率で縮小して保持しており、
前記照合手段は、前記原稿読取りで得られた画像データを前記所定の倍率で縮小した上、保持手段に保持される画像データと照合する
ことを特徴とする請求項1~10の何れかに記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記印刷に用いられた画像データ及び原稿から読み取りで得られた画像データのうち、データサイズが大きいものは、データサイズが小さいものの画像内容を包含しているかどうかの判定を行い、包含している場合、前記所定の条件を満たすとする
ことを特徴とする請求項1~11の何れかに記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記保持手段は、前記要求元から画像データを受け取り、画像データを用いた印刷を実行してから、所定の期間にわたり、前記印刷に用いられた画像データを保持する
ことを特徴とする請求項1~12の何れかに記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記操作履歴は、ユーザーによる画像データの送信先の指定を示し、
前記提示手段により作成され、提示される設定画面は、送信先を用いた送信設定を示す
ことを特徴とする請求項1~13の何れかに記載の画像形成装置。
【請求項15】
前記操作履歴がユーザーにより指定された送信先を複数示す場合、前記提示手段は、前記複数の送信先のそれぞれを選択候補とした、選択候補のリストを、前記設定画面に配置する
ことを特徴とする請求項14に記載の画像形成装置。
【請求項16】
前記選択候補のリストにおいて、送信先に対応する選択候補は、送信日時の高低順又は使用頻度の高低順に従いソートされる
ことを特徴とする請求項15に記載の画像形成装置。
【請求項17】
前記設定画面に含まれる何れかの選択候補が選択されることを契機にして、スタートキーの押下を待つことなく、選択候補に示される送信先に、前記原稿から読み取りで得られた画像データを送信する送信手段を備える
ことを特徴とする請求項15又は16に記載の画像形成装置。
【請求項18】
ユーザーによって所定の操作が行われた場合、前記設定画面に含まれる何れかの選択候補に示される送信先に、前記原稿読取りで得られた画像データを送信する送信手段を備え、
前記提示手段は、前記設定画面が表示された後、前記設定画面に含まれる何れかの選択候補が選択された場合、確認画面を表示し、
前記所定の操作とは、提示手段が表示した確認画面に対する肯定的な操作である
ことを特徴とする請求項15又は16に記載の画像形成装置。
【請求項19】
所定のタイミングで、前記設定画面に含まれる選択候補に示される送信先に、前記原稿読取りで得られた画像データを送信する送信手段を備え、
前記所定のタイミングとは、前記提示手段が設定画面をユーザーに提示してから所定の期間が経過したタイミングである
ことを特徴とする請求項14に記載の画像形成装置。
【請求項20】
前記操作履歴は、パネル操作による送信先の指定に基づき、生成される送信履歴である
ことを特徴とする請求項1~19の何れかに記載の画像形成装置。
【請求項21】
前記操作履歴は、前記読み取りで得られた画像データの送信先を指示するため、ユーザーのパネル操作で入力される登録情報である
ことを特徴とする請求項1~19の何れかに記載の画像形成装置。
【請求項22】
前記送信先は、メールアドレス、ファイルパス、FAX番号の何れかである
ことを特徴とする請求項15~21の何れかに記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像データに基づく印刷と、原稿の画像の読み取りを実行可能な画像形成装置に関し、特に、原稿画像の読み取りで画像データを作成して送信する際の設定支援に関する。
【背景技術】
【0002】
上記原稿読み取りにあたって、画像データの送信方法、送信先など、様々なパラメーターをパネル操作により入力する必要がある。特に、メールアドレスやURL、FAX番号等、送信先の文字入力は面倒なので、様々な支援機能が設けられている。
【0003】
代表的な支援機能としては、予め登録された送信先から宛先となるものの選択を受け付ける機能、過去の送信履歴から宛先となるものの選択を受け付ける機能などがある。更に進んでユーザーに固有となる宛先を提示する機能としては、特許文献1に記載されたものがある。
【0004】
特許文献1に記載された画像形成装置は、操作を行うとするユーザー名の入力、パスワード入力を受け付け、操作を行おうとするユーザーの個人認証を行う。ユーザー認証により、ユーザーの正当性が明らかになると、サーバーに事前に登録された送信先、画像形式を示すデータ(マイアドレスデータと呼ぶ)がサーバーからダウンロードされて画像形成装置に設けられたメモリに格納される。そして、画素送信にあたり、ユーザーにより入力操作がなかった場合、ダウンロードしたマイアドレスデータを用いて送信先を作成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2009-273028号公報
【文献】特開2006-203874号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
IT技術が浸透しているとはいえ、現在でも、捺印、署名がなされた書類が社会活動の基盤になっている。例えば契約を急ぐような局面では、当事者が合意した後、パソコン等の端末で作成した捺印欄又は署名欄を含む書類を画像形成装置に送信して印刷を行わせ、印刷された書類に署名、捺印を行って、これらがなされた書類を原稿として原稿画像を読み取り、画像データを端末に送信することで、正式な文書のデータを端末等に保存した上、早期に引き渡したいとの心理が働く。捺印、署名がなされた書類がないと、書類に法的効力が発生しないからである。焦る心理の下で、原稿読取り及び送信を行おうとした場合、パネル操作に面倒臭さを感じ、疎ましく思うことがある。気持ちが焦る中、画像形成装置に送信履歴や宛先の登録が保存されていてそれらが目に入ると思わずそれらを、捺印、署名がなされた画像データの送信先として選び、誤送信する恐れがある。
【0007】
かかる誤送信は、特許文献1に記載された画像形成装置によっても解決されない。特許文献1に記載された画像形成装置は、個人認証により本人確認がなされただけで、マイアドレスデータに示される送信先を提示していたので、捺印、署名がなされた画像データの送信先として、適切でない送信先を選んでしまうからである。
【0008】
本開示の目的は、印刷、原稿画像の読み取りからなるルーチンワークにおける、誤送信を減らすことができる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題は、これまでにした印刷の要求元を示す印刷履歴を、当該印刷に用いられた画像データと対応付けて保持する保持手段と、装置本体に対し、これまでになされた操作を示す操作履歴を格納する格納手段と、原稿の読取りを行う場合、そのユーザーが、前記印刷の印刷履歴に示される要求元と同一か否かを判定する判定手段と、原稿の読取りで得られた画像データと、前記印刷に用いられた画像データとを照合して、読取りで得られた画像データが所定の条件を満たすかを検証する照合手段と、前記ユーザーが、印刷に用いられた画像データに対応付けられた印刷履歴に示される要求元と同一であり、且つ、原稿の読取りで得られた画像データが所定の条件を満たす場合、操作履歴に示される操作であって、前記ユーザーによりなされたものを用いて設定画面を作成して提示する提示手段とを備えることを特徴とする画像形成装置により達成される。
【0010】
前記照合手段は、前記判定手段による判定がなされた後に、読み取りで得られた画像データと、印刷に用いられた画像データとの照合を行うとしてもよい。
【0011】
前記判定手段は、前記照合手段により所定の条件を満たすとの検証がなされた後に、前記ユーザーが、前記印刷履歴に示される要求元と同一かどうかの判定を行うとしてもよい。
【0012】
前記印刷の要求元としての端末のホスト名又はネットワークアドレスと、ユーザーIDとの対応関係を示すテーブルと、予め登録されたユーザーIDを用いてユーザーの本人確認を行う認証手段とを備え、前記判定手段による判定は、前記本人確認に用いられたユーザーIDが、前記印刷の要求を発した端末のホスト名又はネットワークアドレスに対応するユーザーIDと同一かどうかの判断でなされるとしてもよい。
【0013】
前記所定の条件は、前記印刷に用いられた画像データ、及び、前記原稿読取りで得られた画像データのうち所定の部位にのみに差異があり、残りの部位に同一性があるとの条件であるとしてもよい。
【0014】
前記所定の部位は署名欄であり、前記照合手段は、前記印刷に用いられた画像データ、及び、前記原稿読取りで得られた画像データの対応する位置に署名欄が存在するかどうか、前記原稿読取りで得られた画像データの署名欄にのみ、手書き文字が記載されているかどうかの判定を行い、前記原稿読取りで得られた画像データの署名欄にのみ手書き文字が記載されている場合、前記差異を有するとするとしてもよい。
【0015】
前記所定の部位は捺印欄であり、前記照合手段は、前記印刷に用いられた画像データ、及び、前記原稿記読取りで得られた画像データの対応する位置に捺印欄が存在するかどうか、前記原稿読取りで得られた画像データの捺印欄にのみ、印章が存在するかどうかの判定を行い、前記原稿読取りで得られた画像データの捺印欄にのみ印章が記載されている場合、前記差異を有するとするとしてもよい。
【0016】
前記印刷に用いられた画像データ、及び、読み取りで得られた画像データのうち、前記所定の部位以外の残りの部位を対象として文字認識を行い、前記文字認識により得られた文字列が同一である場合、前記同一性を有するとするとしてもよい。
【0017】
前記印刷に用いられた画像データのうち、所定の部位以外の部位から抽出された特徴点と、前記原稿読取りで得られた画像データのうち、所定の部位以外から抽出された特徴点とが所定の幾何学関係をなす場合、前記同一性を有するとするとしてもよい。
【0018】
前記印刷に用いられた画像データ、及び、前記原稿読取りで得られた画像データに所定の部位が存在しないか、又は、所定の部位に差異が存在しない場合、前記所定の条件を満たさないとするとしてもよい。
【0019】
前記保持手段は、印刷に用いられた画像データを所定の倍率で縮小して保持しており、前記照合手段は、前記原稿読取りで得られた画像データを前記所定の倍率で縮小した上、保持手段に保持される画像データと照合するとしてもよい。
【0020】
前記印刷に用いられた画像データ及び原稿から読み取りで得られた画像データのうち、データサイズが大きいものは、データサイズが小さいものの画像内容を包含しているかどうかの判定を行い、包含している場合、前記所定の条件を満たすとするとしてもよい。
【0021】
前記保持手段は、前記要求元から画像データを受け取り、画像データを用いた印刷を実行してから、所定の期間にわたり、前記印刷に用いられた画像データを保持するとしてもよい。
【0022】
前記操作履歴は、ユーザーによる画像データの送信先の指定を示し、前記提示手段により作成され、提示される設定画面は、送信先を用いた送信設定を示すとしてもよい。
【0023】
前記操作履歴がユーザーにより指定された送信先を複数示す場合、前記提示手段は、前記複数の送信先のそれぞれを選択候補とした、選択候補のリストを、前記設定画面に配置するとしてもよい。
【0024】
前記選択候補のリストにおいて、送信先に対応する選択候補は、送信日時の高低順又は使用頻度の高低順に従いソートされるとしてもよい。
【0025】
前記設定画面に含まれる何れかの選択候補が選択されることを契機にして、スタートキーの押下を待つことなく、選択候補に示される送信先に、前記原稿から読み取りで得られた画像データを送信する送信手段を備えるとしてもよい。
【0026】
ユーザーによって所定の操作が行われた場合、前記設定画面に含まれる何れかの選択候補に示される送信先に、前記原稿読取りで得られた画像データを送信する送信手段を備え、前記提示手段は、前記設定画面が表示された後、前記設定画面に含まれる何れかの選択候補が選択された場合、確認画面を表示し、前記所定の操作とは、提示手段が表示した確認画面に対する肯定的な操作であるとしてもよい。
【0027】
所定のタイミングで、前記設定画面に含まれる選択候補に示される送信先に、前記原稿読取りで得られた画像データを送信する送信手段を備え、前記所定のタイミングとは、前記提示手段が設定画面をユーザーに提示してから所定の期間が経過したタイミングであるとしてもよい。
【0028】
前記操作履歴は、パネル操作による送信先の指定に基づき、生成される送信履歴であるとしてもよい。
【0029】
前記操作履歴は、前記読み取りで得られた画像データの送信先を指示するため、ユーザーのパネル操作で入力される登録情報であるとしてもよい。
【0030】
前記送信先は、メールアドレス、ファイルパス、FAX番号の何れかであるとしてもよい。
【発明の効果】
【0031】
上記によれば、パソコン等の端末で作成した文書の印刷を行い、署名、捺印を行って、これらがなされた文書を読取り、送信するというルーチンワークを行おうとした場合、署名等が未だ入っていない文書の印刷と、署名等がなされた文書の読み取りの主体とが同一であり、かつ、それぞれの文書の画像データが所定の条件を満たすことで、文書の印刷と、原稿の読み取りとは相互に関連性があるとして、その主体が過去に操作した履歴から設定画面を自動で作成する。従来のように、ユーザーIDと、パスワードとでユーザーを認証し得た場合に、設定画面をユーザーに提示する構成に比べて誤送信を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図2】画像形成部本体1003、スキャナー1004、自動原稿フィーダー1006の内部構成を示す図である。
【
図3】画像形成部本体1003の制御系統の構成を示す。
【
図4】
図4(a)は、印刷履歴231、232、233を示す。
図4(b)は、印刷された画像データのバックアップを示す。
図4(c)は、紐付けテーブル245の一例を示す。
【
図5】
図5(a)は、スキャンジョブの送信履歴221、222、223・・・229を示す。
図5(b)は、ユーザーのパネル操作で不揮発メモリ205に格納される登録情報を示す。
【
図6】画像形成部本体1003による原稿読取送信手順のフローチャートを示す。
【
図7】ユーザーID入力欄311、パスワード入力欄312の他、プリント画像との照合を受け付けるためのアイコン316を含む認証画面を示す図である。
【
図8】第1実施形態にかかる画像形成部本体1003による原稿読取送信手順のフローチャートを示す。
【
図9】第1実施形態にかかる画像データの照合手順を示すフローチャートである。
【
図10】文書の印刷、及び、署名・捺印がなされた原稿を読み取るという一連のルーチンワークを示す図である。
【
図11】第1実施形態における原稿読取りで得られた画像データと、印刷に用いられた画像データとの照合から、送信設定画面の作成までの一連の処理の流れを示す。
【
図12】(a)(b)は、送信設定画面501の一例を示す図である。
【
図13】第1実施形態にかかる画像形成部本体1003による原稿読取送信手順のフローチャートを示す。
【
図14】第1実施形態にかかる画像データの照合手順を示すフローチャートである。
【
図15】第2実施形態における原稿読取りで得られた画像データと、印刷に用いられた画像データとの照合から、送信設定画面の作成までの一連の処理の流れを示す。
【発明を実施するための形態】
【0033】
(第1実施形態)
以下、図面を参照しながら、本開示にかかる画像形成装置の実施形態について説明する。
【0034】
[1]画像形成装置の外観
図1は、画像形成装置1000の外観を示す。
図1に示す画像形成装置1000は、多機能複合機(Multifunction Peripheral)であり、入力パネル1010、タッチパネルディスプレイ1001、給紙カセット1002a、b、c、d、画像形成部本体1003、スキャナー1004、原稿押えカバー1005と一体になった自動原稿フィーダー1006により構成され、ユーザーからの操作に従い、原稿読取り、FAX、コピー、文書印刷といったジョブを実行する。タッチパネルディスプレイ1001は、ユーザーから設定操作を受け付けるための様々なタブ(
図7、
図12(a)参照)を表示すると共に、ソフトキーボード(図示せず)を表示することでユーザーからパネル操作を受け付ける。入力パネル1010は、原稿読取り、FAX、コピー、文書印刷のうち、実行を望むものの種別を選択するボタン141、142、143、144、ジョブの開始操作を受け付けるためのスタートボタン145、ジョブのキャンセルを受け付けるためのキャンセルボタン146を含む。
【0035】
[2]ユーザー認証
タッチパネルディスプレイ1001、入力パネル1010からパネル操作を受け付けるにあたって、複数の認証方法の何れかを実行することで、操作を行おうとするユーザーを認証し、当該ユーザーの正当性を判定する。ユーザーの認証方法には、カメラ161を用いた顔認証、カードリーダー162を用いたカード認証、タッチパネルディスプレイ1001を用いたパスワード認証、スマートフォン通信部163を用いたスマートフォン認証がある。何れかの認証方法により、画像形成装置1000の前に立ったユーザーの正当性が認められると、入力パネル1010、タッチパネルディスプレイ1001から送信設定を受け付け、これらの設定に従ってスキャナー1004に原稿の光学的な読み取りを行わせ画像データを作成して送信する。
【0036】
[3]スキャナー1004の構成
図2は、画像形成部本体1003、スキャナー1004、自動原稿フィーダー1006の内部構成を示す図である。スキャンユニット10は、
図2に示すようにLEDユニット31、ミラー部材32をキャリッジ35に搭載することで構成され、シートスルー方式、原稿スキャン方式という2通りの方式で、原稿読み取りを行う。シートスルー方式では、載置台1006Tに載置された原稿束の原稿が、自動原稿フィーダー1006の、ローラー部材41、42、43、44により一枚ずつ繰り出されてスリットガラス1007の位置まで搬送される。この際、スキャンユニット10をスリットガラス1007の真下の位置まで移動させ、当該位置にスキャンユニット10を静止し、スリットガラス1007上を通過する原稿に対して光を照射して、その反射光を、ラインセンサー12に導く。
【0037】
原稿スキャン方式では、自動原稿フィーダー1006を開きプラテンガラス1008に原稿を載置して、スキャンユニット10をX軸正方向に移動させる。スキャンユニット10は、キャリッジ35をX軸正方向に移動したときに、ミラー部材32の組に対して、ミラー部材33、34の組が1/2の速度で移動するように構成されており、プラテンガラス1008上の原稿面との距離が一定に保たれるようになっている。このように、原稿面との距離を保つことで、プラテンガラス1008に載置された原稿を走査する。以上の原稿スキャン方式、シートスルー方式による原稿読み取りで、スキャンにより送信されるべき画像データ、FAXにより送信されるべき画像データが得られる。尚、スキャン、FAXは送信方法や送信先が、異なるのみで画像形成装置1000が実行する処理内容はほぼ同じである。簡略化を期するためスキャンについてのみ説明を行い、FAXについては説明を省略する。また、原稿スキャン方式、シートスルー方式による原稿読み取りで得られる画像データは、各画素が、R(レッド)、G(グリーン)、B(ブルー)の3原色の階調を有する。
【0038】
[4]電子写真方式の画像形成のための構成要素
画像形成部本体1003は、電子写真方式の画像形成を行うための複数の構成要素として、
図2に示すように、スキャナー1004が読み取った画像に基づき感光体ドラム109Y、M、C、Kを露光して静電潜像を得る露光器110Y、M、C、Kと、感光体ドラム109Y、M、C、Kに得られた静電潜像を現像してトナー像を得る現像器111Y、M、C、Kと、現像で得られたトナー像を中間転写ベルト112Nに転写して2次転写位置112Pに搬送し、2次転写位置112Pにおいて用紙に転写する転写器112と、給紙カセット1002a、b、c、d(
図2では給紙カセット1002b、c、dを省略し、給紙カセット1002aのみを示す)から用紙を繰り出して搬送する搬送部113と、用紙に転写されたトナー像を熱圧着する定着器114とを含む。この熱圧着により、用紙に転写されたトナー像が定着されることで、印刷文書が得られ、
図1に示す排出トレイ1003Tに排出される。
【0039】
[5]画像形成部本体1003の制御系統
画像形成部本体1003の制御系統の構成を
図3に示す。
図3に示すように、画像形成部本体1003の制御系統は、NIC201、周辺ポート202、CPU203、RAM204、不揮発メモリ205により構成される。
【0040】
NIC(Network Interface Card)201は、有線、無線のネットワークを通じて、
図1に示す端末1011とのデータ送受信を行い、周辺ポート202は、スキャナー1004、画像形成部本体1003との入出力を行う。
【0041】
CPU203は、NIC201によるデータ送受信、周辺ポート202による入出力を通じて、端末1011からの要求による文書印刷、原稿読取りを実行する。
【0042】
(5-1)印刷時の制御
端末1011から印刷が要求されると、CPU203はNIC201を通じて、端末1011が送信したジョブデータを受信してRAM204に書き込む。ジョブデータとは、端末1011にインストールされたデバイスドライバにより作成されたPCL(Printer Control Language)形式のデータであり、端末1011にインストールされたデバイスドライバによって作成される。
【0043】
CPU203は、かかるジョブデータを画像データに展開する。そして、周辺ポート202を通じて露光器110Y、M、C、K、現像器111Y、M、C、K、転写器112、搬送部113、定着器114を駆動することで、画像形成部本体1003に、印刷文書の出力を実行させる。
【0044】
(5-2)印刷時に書き込まれる履歴情報
以上の過程を経て、文書の印刷が完了するとCPU203は、印刷の履歴情報(印刷履歴)を不揮発メモリ205に書き込むのと共に、印刷に用いられた画像データのバックアップを不揮発メモリ205に書き込む。
【0045】
図4(a)に示す印刷履歴231、232、233は、印刷を要求した端末のホスト名(図中のPC-A、PC-B、PC-C)、IPアドレス(00.01.23.45、00.01.23.67、00.01.23.89)、印刷に用いられた画像データID(01001、02002、03003)に、ジョブ日時(2020年8月1日14:00、2020年8月2日17:00、2020年8月3日13:00)を対応付けた形式になっている。ホスト名は、ユーザーが端末1011等に命名した名称であり、画像形成装置1000、端末1011が属するネットワークにおいて、端末はこのホスト名で識別される。
【0046】
不揮発メモリ205には、各端末が印刷を要求した際、印刷に用いられた画像データが格納されている。PC-Aの端末が要求した印刷では、
図4(b)に示す画像データ241、1241、2241、3241が用いられている。PC-Bの端末が要求した印刷では、
図4(b)に示す画像データ242、1242、2242、3242が用いられる。PC-Cの端末が要求した印刷では、
図4(b)に示す画像データ243、1243、2243、3243が設けられる。これらの画像データは、PCL形式のジョブデータを、表示形式に展開することで得られる画像データであり、
図4(a)の各印刷履歴に対応付けて格納される。印刷に用いられた画像データの画像データIDと、印刷を要求した端末のホスト名、IPアドレスとの組を含むことで、印刷履歴は、印刷に用いられた画像データと、当該印刷を要求した端末との対応付けを示す。不揮発メモリ205において、印刷に用いられた画像データを保持する期間には、一週間等の限度が設けられ、限度となる期間にわたり、印刷に用いられた画像データのバックアップを複数保持する。この期間を超えると、CPU203は不揮発メモリ205において画像データが記録されている領域を空き領域に開放して、他のデータによる上書きに供する。この他、画像形成装置1000を利用し得る複数ユーザーのそれぞれの個人情報を格納している。これらの個人情報は、本人確認のためのもので、事前登録されたユーザーID、パスワード、顔画像や個人カードのカード情報を含む。
【0047】
(5-3)原稿読取り時の制御
スキャンにおいてCPU203は、ユーザーがタッチパネルディスプレイ1001、入力パネル1010を操作すると、それらパネル操作に基づき入力される入力データを周辺ポート202を通じて取り込み、送信先の登録や読み取られた原稿の送信設定を行う。それから、スキャナー1004が読み込んだ画像データを周辺ポート202を通じてRAM204に取り込む。これらの過程を経て、原稿読取りで得られた画像データの送信先が定まると、NIC201を通じて、端末1011やその他の端末、サーバー、他のMFPに原稿読取りで得られた画像データを送信する。
【0048】
(5-4)原稿読取りの履歴
原稿読取りにおいては、ユーザーが画像形成装置1000の前に立ち、タッチパネルディスプレイ1001、入力パネル1010に対してパネル操作を行う。この際、不揮発メモリ205には、ユーザーによって画像形成部本体1003になされた操作の履歴が格納される。パネル操作の操作履歴は、原稿読取りで得られた画像データの送信先を示す送信履歴、ユーザーのパネル操作で登録された登録内容を示す登録情報を含む。
【0049】
以上の過程を経て原稿読み取りで得られた画像データが送信されると、CPU203は、
図5(a)に示す送信履歴を不揮発メモリ205に書き込む。
図5(a)に示すスキャン履歴221、222、223・・・229は、ジョブを要求したユーザーのユーザーID(akiyama、inoue、ueyamaといった文字列)と、送信方法(E-mail、SMB、FTP)と、送信先とを含む。送信先には、電子メールアドレス(ドメインcompanyにおけるakiyama、inoue、managerのメールアドレス)で構成されるもの、格納先のIPアドレスとファイルパスからなるもの(00.01.23.45/akiyama/document,00.01.23.67/inoue等)がある。ユーザーIDはアカウント設定時にユーザーが命名する英数字の文字列であり、主にユーザーの氏名の一部(名字、名前)、通称等が使用される。
【0050】
その他、スキャンの実行のため、ユーザーが送信先の登録を行うと、不揮発メモリ205には、
図5(b)に示すような登録情報が格納される。本図に示すように、登録情報251、252、253は、ジョブを要求したユーザーのユーザーID(akiyama、inoue、ueyama)、送信方法(E-mail、SMB、PC)、送信先(00.01.23.45/akiyama/document,00.01.23.67/inoue/document等)、ファイル形式(コンパクトPDF、PDF)を含む。
【0051】
(5-5)端末と、ユーザーとの対応付け
その他、不揮発メモリ205には、端末と、ユーザーとの対応付けを示す情報として、
図4(c)に示す紐付けテーブル245が格納される。紐付けテーブル245は、ホスト名(図中のPC-A、PC-B、PC-C)及びIPアドレス(図中の00.01.23.45、00.01.23.67、00.01.23.89)に、端末を操作するユーザーのユーザーID(akiyama、inoue、ueyamaといった文字列)と対応付けて示す。
【0052】
[6]制御手順
CPU203は、不揮発メモリ205に格納された印刷履歴、スキャン送信履歴、スキャン登録情報を用いて、ユーザーによるスキャン送信設定を支援する処理を実行する。印刷履歴、スキャン送信履歴、スキャン登録情報を用いたスキャン送信設定の設定手順を示したのが、
図6、
図8のフローチャートである。
図6、
図8は、原稿の読取送信手順を示すフローチャートである。
図6、
図8のフローチャートにおける変数uは、スキャナー1004による原稿読取りを命じたユーザーを指示する変数である。
図8におけMaxは、不揮発メモリ205に格納されている送信履歴の総数である。変数vは、印刷履歴に示される文書印刷を要求した端末を指示する変数であり、1からMaxまでの範囲で変化する。
【0053】
(6-1)原稿読取送信手順
図6の原稿読取送信手順は、ステップS101~ステップS102のループから始まる。ステップS101では印刷が要求されたかの判定を行い、ステップS102ではスキャンの実行が要求されたかの判定を行う。印刷の実行が要求されれば(ステップS101でYes)、ステップS103~ステップS106において印刷を実行してステップS101~S102のループに戻り、スキャンの実行が要求されれば(ステップS102でYes)、ステップS111~ステップS127において、スキャンを実行し、ステップS101~S102のループに戻る制御構造になっている。
【0054】
印刷の実行にあたっては、紐付けテーブル245を用いてユーザーが操作する端末を認証して(ステップS103)、認証により端末の正当性が明らかになったかどうかを判定する(ステップS104)。正当性が明らかになれば(ステップS104でYes)、要求にかかる画像データを対象として印刷を実行する(ステップS105)。そして、印刷履歴と、印刷に用いられた画像データとを不揮発メモリ205に保存する(ステップS106)。印刷の対象になったジョブの履歴情報に対応付けて、印刷に用いられた画像データが書き込まれることで、どういった内容の画像が印刷されたかが明らかになる。
【0055】
(6-2)スキャン時の制御手順
スキャン時の制御手順は以下の通りである。スキャンが要求されれば(ステップS102でYes)、認証画面を表示する(ステップS111)。認証画面は、
図7の通りであり、ユーザーID入力欄311、パスワード入力欄312を含み、ユーザーID、パスワード入力を受け付ける。また認証画面は、顔認証のアイコン313、カード認証のアイコン314、スマートフォン認証のアイコン315の提示を含み、これらのアイコンによる認証方法の選択を受け付ける。
【0056】
何れかの認証方法が選択されれば、選択された認証方法を用いて、ユーザーの正当性を判定する(ステップS112)。ユーザーID及びパスワードを認証方法に用いる場合、上記判定は、ユーザーID及びパスワードの組が、正当なユーザーの情報として予め登録されているかどうかを判定することでなされる。ユーザーID、パスワードが、予め登録されていて、ユーザーの正当性が認証された場合(ステップS112でYes)、認証でユーザーIDを取得し、当該ユーザーIDで特定されるユーザーをユーザーuとする(ステップS113)。変数vに1を代入した後(ステップS114)、端末のホスト名、IPアドレスと、ユーザーIDとの対応付けを示す紐付けテーブルを用いて、端末vの印刷履歴に示されるホスト名又はIPアドレスを、ユーザ-IDに変換し(ステップS115)、印刷を要求したユーザーを特定する。
【0057】
認証で得られたユーザーIDと、ホスト名/IPアドレスの変換で得られたユーザーIDとが同じかどうかを判定する(ステップS116)。同じであれば、ステップS115~S118のループを抜けてステップS119に移行する。
【0058】
認証で得られたユーザーIDuと、ホスト名/IPアドレスの変換で得られたユーザーIDvとが異なれば(ステップS116でNo)、変数vが印刷履歴の総数maxを下回るかどうかを判定し(ステップS117)、下回る場合(ステップS117でYes)、変数vをインクリメントして(ステップS118)、ステップS115に戻る。認証で得られたユーザーIDuと、ホスト名/IPアドレスの変換で得られたユーザーIDとが同じであれば(ステップS116でYes)、自動原稿フィーダー1006のトレイに原稿が載置されるのを待ち(ステップS119でNo)、原稿が載置されると(ステップS119でYes)、画像の読み取りを開始し(ステップS120)、そのあと、原稿読取りで得られた画像データを、不揮発メモリ205に格納されている全ての画像データのそれぞれと照合する(ステップS121)。
【0059】
図9は、照合条件を満たす画像データの検証手順を示すフローチャートである。本フローチャートにおける変数pは、スキャナー1004による原稿読取りで読み取られた画像データを指示する変数である。変数tは、端末vにより要求された個々の印刷に用いられた画像データのジョブ日時を特定する変数、変数qは、不揮発メモリ205に格納された複数の画像データのうち、端末vにより印刷が要求された1以上のもののそれぞれを指示する変数である。
【0060】
はじめに、端末vが要求したそれぞれの印刷に用いられた画像データのジョブ日時tの新旧比較を行い(ステップS200)、端末vが要求したそれぞれの印刷に用いられた画像データのうち、印刷履歴のジョブ日時tがもっとも新しいものを画像データqとする(ステップS201)。ステップS202において、原稿読取りで得られた画像データpの画像と、印刷に用いられた画像データqの画像の対応する位置に、他の罫線の接続していない、孤立した水平線を表す画素群が存在するかどうかを判定する。こうした水平線を表す画素群は署名欄に該当する。双方の画像データに、水平線の画素群が存在する場合(ステップS202でYes)、原稿読取りで得られた画像データpの署名欄から読み取られた文字に対してオフライン手書き文字認識を実行し、署名欄における手書きによる署名の有無を判断する(ステップS203)。
【0061】
オフライン手書き文字認識は、以下の手順1、2からなる。
【0062】
[手順1]画像データpの署名欄に記載された個々の文字を区切って抽出する。
【0063】
[手順2] 抽出された個々の文字の画像を認識エンジンに入力して、対応する文字コードを特定する。認識エンジンは、予め設定された属性に従い、特徴を決定して、決定された特徴を、活字毎の閾値と比較する判定することで、署名欄の文字がどの文字コードの活字に該当するかを判定する。ここでいう属性には、縦横比、上半分のピクセルの比率、右半分のピクセルの比率、一筆で書かれた線分の本数、イメージの中心からの平均距離、Y軸を中心とした対称性、X軸を中心とした対称性といったものがある。
【0064】
印刷に用いられた画像データ、原稿読取りで得られた画像データのうち、原稿読取りで得られた画像データの署名欄にのみ手書き文字が記載されている場合(ステップS203でYes)、原稿読取りで得られた画像データp、印刷に用いられた画像データqは、差異を有するとの条件を満たすとする(ステップS206)。
【0065】
ステップS204では、印刷に用いられた画像データ、原稿読取りで得られた画像データの各画像の対応する場所に円を表す画素群が存在していて、その内部の画素群が、「印」なる文字が記載されているかどうかを判定する。こうした円、「印」なる文字は、捺印欄をなす。ステップS204でYesである場合、原稿読み取りで得られた画像データp、印刷に用いられた画像データqの双方に捺印欄が存在していて、画像データpにおける捺印欄にのみ、赤系統の画素で表された印章が存在するかどうかの判定を行う(ステップS205)。
【0066】
ステップS203、ステップS205の何れかがYesになった場合、ステップS206において、原稿読取りで得られた画像データp、印刷に用いられた画像データqは照合条件のうち、差異の要件を満たすとし、ステップS207において、原稿読取りで得られた画像データp、印刷に用いられた画像データqを対象としてOCRを実行して、原稿読取りで得られた画像データpの画像、印刷に用いられた画像データqの画像に記載された文字列を識別する。ステップS208では、原稿読取りで得られた画像データpに示される画像から識別された文字列と、印刷に用いられた画像データqに示される画像から識別された文字列とが同一かどうかを判定する。同一であれば、ステップS209、S210をスキップしてステップS211に移行する。文字列が同一でなければ(ステップS208でNo)、ステップS209において、原稿読取りで得られた画像データpと、印刷に用いられた画像データqとのテンプレートマッチングを実行する。
【0067】
ステップS209のテンプレートマッチングによる対比は、以下のi)~iii)の過程からなる。
i)原稿読取りで得られた画像データ、印刷に用いられた画像データの各々に特徴抽出フィルタを適用して特徴点を抽出する。
ii)各特徴点の近傍をテンプレートマッチングで比較して特徴点間の対応の候補を得る。
iii)特徴点間の対応の中から、最小メジアン法のランダム投票により、幾何学的拘束条件を満たすものを選ぶ。幾何学的拘束条件としては射影変換によるもの、エピ極線方程式によるもの等がある。原稿読取りで得られた画像データpから抽出された特徴点と、印刷に用いられた画像データqから抽出された特徴点とに、平行移動、回転、拡大、歪みの関係が認められる場合、原稿読取りで得られた画像データp、印刷に用いられた画像データqは幾何学的拘束条件を満たす。
【0068】
i)の特徴抽出フィルタにより、原稿読取りで得られた画像データpからN個の特徴点が、印刷に用いられた画像データからM個の特徴点がそれぞれ抽出されたとする。
【0069】
画像データpにおけるN個の特徴点Pを中心とするn×n個の輝度値の集まりをTP(I,J)とし、印刷に用いられた画像データqにおけるM個の特徴点Qを中心とするn×n個の輝度値の集まりをTQ(I,J)とした場合、原稿読取りで得られた画像データpと、印刷に用いられた画像データqとの間の類似度は、以下の数1の式の計算により算出される。
【0070】
【0071】
署名欄、捺印欄以外の文字、枠、罫線の配置が同一であると、ii)における、数1の類似度が大きく算出され、またiii)における幾何学的拘束条件を満たす。
【0072】
原稿読取りで得られた画像データp、印刷に用いられた画像データqの対応する位置に文字を囲んだ円がない場合(ステップS204でNo)、原稿読取りで得られた画像データp、印刷に用いられた画像データqの対応する位置に文字を囲んだ円があるものの、円内に赤系統の文字がない場合(ステップS204でYes、ステップS205でNo)、原稿読取りで得られた画像データu、印刷に用いられた画像データqが幾何学的拘束要件を満たさない場合(ステップS210でNo)、端末vが要求した印刷に用いられた画像データqは、照合条件を満たさないとする。端末vが要求した印刷に用いられた画像データqが、照合条件を満たさない場合、印刷に用いられた画像データqは、端末vが要求した複数の画像データの中で、ジョブ日時tがもっとも古い画像データであるかを判定する(ステップ212)。もっとも古い画像データではなく、次に新しい印刷画像データが不揮発メモリ205に格納されている場合(ステップS212でNo)、端末vが要求した印刷に用いられた複数の画像データのうち、ジョブ日時tが次に新しいものを画像データqとして(ステップS213)、ステップS202に移行する。ステップS202~S210は、端末vが要求した印刷に用いられた画像データのそれぞれについて実行される。何れかの印刷に用いられた画像データを対象として、ステップS208、ステップS210がYesと判定された場合、照合条件を満たす画像データとして、画像データqを示す情報を戻り値に設定して(ステップS211)、
図6のフローチャートにリターンする。端末vが要求した全ての印刷に用いられた画像データについて、ステップS202からステップS210までの処理が実行された場合、ステップS212がYesになり、端末vの印刷に用いられた画像データには、照合条件を満たすものがない旨を示す戻り値を設定して(ステップS214)、メインルーチンにリターンする。
【0073】
図8のフローチャートにリターンすると、照合条件を満たす画像があったかどうかを判定する。照合条件を満たす画像データが存在する場合(ステップS122でYes)、ユーザーuの送信履歴、ユーザーuが登録した登録情報から設定画面を作成してユーザーに提示し(ステップS123)、設定画面における何れかの送信先が選択されたかどうかを判定する(ステップS124)。何れかの送信先が選択された場合(ステップS124でYes)、設定画面において選択された送信先に原稿読取りで得られた画像データを送信する(ステップS127)。
【0074】
原稿読み取りで得られた画像データと、端末vの印刷履歴に対応付けられた画像データとが照合条件を満たさない場合(ステップS122でNo)、文字入力により送信先が設定されるのを待ち(ステップS125でNo)、入力されれば(ステップS125でYes)、スタートキーが押下されるのを待ち(ステップS126でNo)、押下されれば(ステップS126でYes)、設定された設定画面に示される送信先に原稿読取りで得られた画像データを送信をする(ステップS127)。尚、画像データの送信に伴って、
図5(a)に示したスキャン送信履歴の書き込みが実行される。
【0075】
[7]動作
以上のように構成された装置の動作を説明する。この動作例では、印刷履歴231、232(
図4(a)参照)が不揮発メモリ205に格納されており、また、印刷に用いられた画像データのバックアップとして、不揮発メモリ205には印刷に用いられた画像データ241、1241、2241、3241、242、1242、2242、3242、243、1243、2243、3243(
図4(b)参照)が格納されている状況を想定する。また、3人のユーザーがこれまでに画像形成装置1000を操作した経験があり、
図5(a)の送信履歴221~229、
図5(b)に示す登録情報251、252、253が不揮発メモリ205に保存されている。
【0076】
かかる状況において、
図10に示すユーザーXが、端末1011にインストールされたアプリケーションを起動して、文書作成を行い、その後、文書の印刷をアプリケーションに命じることで、印刷文書400が排出トレイ1003Tに排出されている。
【0077】
その後、ユーザーXは印刷文書400を、画像形成装置1000の排出トレイ1003Tから取り出す(
図10の矢印1003Y)。そして、契約の相手側と共に、署名欄411に署名425、426を行い、捺印欄412に捺印422、423を行っている。これら署名、捺印がなされた用紙401aをもって画像形成装置1000に出向く(
図10の1004S)。この場合、画像形成装置1000は、
図7の画面を表示して、ユーザーXの個人認証を行う。当該個人認証の結果、ユーザーXが特定されると(
図6(a)に示すueyamaであるとする)、
図11に示すように、紐付けテーブルを用いて、
図4(a)の印刷履歴に示されるホスト名又はIPアドレスを、ユーザーIDに変換する(ステップS115)。
図4(a)の印刷履歴231、232、233には、PC-A、PC-B、PC-Cというホスト名が示されており、
図4(c)の紐付けテーブル245は、PC-A、PC-B、PC-Cというホスト名を、akiyama,inoue,ueyamaというユーザーIDに対応付けている。
【0078】
PC-Cというホスト名に対応するユーザーIDのueyamaは、認証画面での本人確認に用いたユーザーIDのueyamaと一致するので(ステップS116でYes)、スキャンを行おうとするユーザーと、印刷を行ったユーザーとの同一性は明らかになる。PC-Cから印刷が要求した印刷に用いられた画像データとしては、印刷に用いられた画像データ243、1243、2243、3243が格納されている。これらのうち、画像データ243のジョブ日時がもっとも新しいとする。スキャナー1004による読み取りで
図11に示す原稿読取りで得られた画像データ401aが得られると、原稿読取りで得られた画像データ401aと、ジョブ日時がもっとも新しい画像データ243との照合が開始される(ステップS201)。
【0079】
土地売買契約書である印刷に用いられた画像データ243は、原稿読取りで得られた画像データ401と同様、下方に署名欄411(
図10参照)がある。印刷に用いられた画像データ243の署名欄411には手書き文字はないが、土地売買契約書である原稿読取りで得られた画像データ401の署名欄411に手書きによる署名425、426(
図10参照)が存在するので、ステップS202、S203がYesになる。また、その他の部分の文字列が同一なので、ステップS208がYesになり照合結果は、
図11の矢印242mに示す通りであり、画像データ243が一致というものになり、画像データ243は、照合要件を満たすとされる(ステップS211)。
【0080】
図4(a)の印刷履歴の一例を参照すると、画像データ243の印刷を画像形成装置1000に命じたのは、ホスト名が「PC-C」、IPアドレスが「00.01.23.89」の端末である。これらのホスト名は、
図4(c)の紐付けテーブル245においてueyamaというユーザーIDに対応付けられている。
【0081】
ユーザーXであるueyamaがパネル操作で入力した送信先としては、部署の責任者であるmanagerのメールアドレス(manager@company.comというドメイン名によるもの)、端末1011のフォルダを示すURL(IPアドレス00.01.23.89と、ファイルパスueyama/documentとの組)がある。また、ユーザーueyamaがパネル操作で入力した登録情報は、00.01.23.89/ueyama/documentという送信先と、コンパクトPDFというファイル形式とがある。
図11の矢印221f、222fに示すように、これらの送信先が取り出され、これらの送信先を送信日時、アルファベット順に配置することで、送信設定画面501が作成される(ステップS123)。
【0082】
送信設定画面501は、
図12(a)に示す通りであり、送信候補511、512、513を配したリストと、登録情報に記載されたファイル形式のボタン514とを含む。リストにおける送信候補511は、部署の責任者のメールアドレスを含むものの、当該送信候補を含む送信設定画面は、印刷履歴に示される印刷の要求元と、操作しようとするユーザーとが同一であり、尚且つ、原稿読取りで得られた画像データが、照合条件を満たした場合に限り、ユーザーに提示されるので、ユーザーは安易に、部署の責任者に、画像データを送信することはない。そのため、送信設定画面が重要な送信先を含む場合の誤送信を極力なくすことができる。
【0083】
[8]まとめ
以上のように本実施形態によれば、端末1011で作成した文書印刷を行い、署名、捺印を行って、これらがなされた原稿をスキャナー1004で読み取り、送信するというルーチンワークを行おうとした場合、署名等が未だ入っていない文書印刷と、署名等がなされた文書の読み取りの主体とが同一であり、かつ、それぞれの文書の画像データが所定の条件を満たすことで、文書印刷と、原稿の読取りとは相互に関連性があるとして、その主体が過去に操作した履歴から送信のための設定画面を自動で作成する。従来のように、ユーザーIDと、パスワードとでユーザーを認証し得た場合に、設定画面をユーザーに提示する構成に比べて誤送信を減らすことができる。
【0084】
(第2実施形態)
[9]第2実施形態の概要
第1実施形態では、スキャンを行おうとするユーザーの個人認証を行った上、スキャンを行おうとする主体と、PCプリントの要求元とが同一人かどうかの判定を行った後に、自動原稿搬送装置による原稿読み取りを行なった。これに対し第2実施形態では、印刷に用いられた画像データと、原稿読取りで得られた画像データとの照合を行った後に、ユーザーの個人認証を行い、スキャン履歴として記憶されている操作主体と、文書印刷の要求元とが同一人かどうかの判定を行うことにしている。
【0085】
[10]第2実施形態の制御手順
第2実施形態では、
図6のステップS111から
図8のステップS122までの処理が、
図13のステップS301からステップS310までの処理に置き換えられている。
図8のフローチャートと共通のステップ(ステップS123からステップS127まで)は、
図8と同じ参照符号を付して説明を省略する。
図13における変数rは、不揮発メモリ205に保存されている複数の印刷に用いられた画像データのうち、照合条件をみたすとされたそれぞれのものを示す変数である。変数uは、
図8同様に、スキャンを行おうとするユーザーを指示する変数である。スキャンが選択されると(
図6のステップS102でYes)、スキャナー1004に原稿が載置されたかどうかを判定し(ステップS301)、載置されれば(ステップS301でYes)、スキャナー1004を用いて原稿の読み取りを行う(ステップS302)。原稿読取りで画像データが得られれば、当該画像データを、端末毎の印刷済み印刷に用いられた画像データと照合する(ステップS303)。
【0086】
図14は、ステップS303の手順のサブルーチンを示すフローチャートである。本図のフローチャートは、
図9と一部共通の内容になっている。
図9と共通となるステップには、
図9と同一の参照符号を付して説明を省略する。
図14のフローチャートでは、変数vに1を代入した後(ステップS401)、
図9のフローチャートと同様、端末vで印刷を要求した画像のジョブ日時の新旧を比較し(
図14のステップS200)、端末vが要求した印刷に用いられた画像データのうち、印刷履歴のジョブ日時tがもっとも新しいものを画像データqとする(
図14のステップS201)。以下、印刷に用いられた画像データqを対象として、
図9のステップS202~ステップS211の処理を行うことで、原稿読取りで得られた画像データpと、印刷に用いられた画像データqとが照合条件を満たすかどうかを判定する。
【0087】
端末vによって印刷が要求された全ての印刷に用いられた画像データについて、ステップS202~S210の処理が実行され、照合条件を満たす画像データが存在しなかった場合、ステップS212がYesになり、変数vが端末総数maxを下回るかどうかを判定する(ステップS402)。下回る場合(ステップS402でYes)、変数vをインクリメントして(ステップS403)、ステップS200に戻る。こうすることで、次の端末により印刷が要求された複数の印刷に用いられた画像データのそれぞれを、原稿読取りで得られた画像データと照合する。以下、ステップS402がNoと判定されるまで、ステップS202~S210の処理を繰り返す。何れかの端末により印刷が要求された画像データについて、ステップS208、S210の何れかがYesであれば、照合条件を満たす画像データとして、端末vの印刷に用いられた画像データをエントリーして(ステップS404)、ステップS213に移行する。
【0088】
変数vがmaxになって、ステップS402がNoになると、ステップS405において、照合条件を満たす画像データがエントリーされたかどうかを判定し、照合条件を満たすとしてエントリーされた画像データがある場合(ステップS405でYes)、照合条件を満たすとしてエントリーされた全ての画像データを戻り値に設定してリターンする(ステップS406)。
【0089】
エントリーされた画像データが存在しない場合(ステップS405でNo)、照合条件を満たす画像データがない旨を戻り値に設定してリターンする(ステップS407)。
図13のフローチャートにリターンすると、各端末により印刷された印刷に用いられた画像データの中に、照合条件を満たす画像データがあるかどうかを判定する(ステップS304)。照合条件を満たす画像データがなければ(ステップS304でNo)、ステップS125に移行して、文字入力による送信先の設定を行う。照合条件を満たす画像データがあれば(ステップS304でYes)、認証画面を表示して、ユーザーの本人確認を行い(ステップS305)、本人確認に用いたユーザーIDからユーザーuを特定する(ステップS306)。
【0090】
以降、ステップS307~ステップS311からなるループに移行する。照合条件を満たすと判定された画像データを指示する変数(変数r)を1で初期化し(ステップS307)、印刷に用いられた画像データrの印刷を要求した端末のホスト名/IPアドレスを、ユーザーIDに変換して(ステップS308)、認証で入力されたユーザーIDと、変換で得られたユーザーIDとが同じかどうかを判定する(ステップS309)。同じでなければ(ステップS309でNo)、変数rがmaxを下回るかどうかを判定し(ステップS310)、下回る場合(ステップS310でYes)、変数rをインクリメントして(ステップS311)、ステップS307に戻る。照合条件を満たす画像データのそれぞれについて、ステップS308~S311の処理を繰り返す。
【0091】
認証で入力されたユーザーIDと、変換で得られたユーザーIDとが同じであれば(ステップS309がYes)、ステップS123に移行して、実施形態1と同様、ユーザーuの送信履歴、登録情報から設定画面を作成してユーザーに提示し、設定画面における何れかの選択先が選択されるのを待つ(
図8のステップS124)。
【0092】
[11]動作
以上のように構成された装置の動作を説明する。第1実施形態の
図10に示した状況で、ユーザーXが印刷文書400の署名欄411に署名425、426を行い、捺印欄412に捺印422、423を行って、これら署名、捺印がなされた用紙をもって画像形成装置1000に出向き(
図10の1004S)、スキャナー1004による読み取りを命じたとする。
【0093】
スキャナー1004による読み取りで
図15に示す画像データ401が得られると、原稿読取りで得られた画像データ401と、端末PC-Aが要求した印刷に用いられた画像データ241、1241、2241、端末PC-Bが要求した印刷に用いられた画像データ242、1242、2242、端末PC-Cが要求した印刷に用いられた画像データ243、1243、2243との照合が開始される(ステップS401~S403、ステップS201~S213)。署名欄の位置が異なる印刷に用いられた画像データ241、署名欄がない印刷に用いられた画像データ242は何れもステップS201がNoになる。その他、印刷に用いられた画像データ1241、2241、印刷に用いられた画像データ1242、2242もステップS201がNoになったとする。
【0094】
端末PC-Cが要求した印刷に用いられた画像データのうち、もっともジョブ日時が新しいものを印刷に用いられた画像データ243とする。第1実施形態と同様、印刷に用いられた画像データ243は、照合要件を満たすとされ、エントリーされ(ステップS404)、印刷に用いられた画像データ243を戻り値に設定して(ステップS406)、
図13のフローチャートにリターンする。印刷に用いられた画像データ243の印刷を画像形成装置1000に命じたのは、ホスト名が「PC-C」、IPアドレスが「00.01.23.89」の端末である。これらのホスト名は、
図4(c)の紐付けテーブル245においてueyamaというユーザーIDに対応付けられているので、ueyamaというユーザーIDが取得される(ステップS306)。一方、原稿読み取りがなされれば、認証画面を表示し、ユーザーID、パスワードの入力を受け付ける(ステップS305)。認証画面においてueyamaなるユーザーIDが入力されれば、認証画面で入力されたユーザーIDと、ホスト名の変換で得られたユーザーIDとが同一かどうかを判定する(ステップS309)。両者は何れもueyamaであるから、第1実施形態と同様、ueyamaのスキャン送信履歴、ユーザー登録情報を用いた送信設定画面501をユーザーに提示する(ステップS123)。
【0095】
[12]変形例
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明してきたが本発明は上述の実施の形態に限定されないのは勿論であり以下の変形例が考えられる。
【0096】
(1)印刷履歴として、不揮発メモリ205に格納される印刷に用いられた画像データは、実行済みジョブにおいて印刷された画像データを所定の倍率で縮小し、解像度を落としたサムネール画像であってもよい。この場合、スキャナー1004が原稿から読み取った画像データを縮小してサムネール画像と同じ倍率で縮小し、同じ解像度にした上、印刷履歴をなす画像データと照合する。
【0097】
(2)上記実施形態では、印刷に用いられた画像データと、原稿読取りで得られた画像データとを照合して、照合条件を満たすかどうかを判定したがこれに限られない。印刷に用いられた画像データ、原稿読取りで得られた画像データのうち、原稿読取りで得られた画像データのデータサイズが印刷に用いられた画像データのデータサイズよりも大きいかどうか、原稿読取りで得られた画像データは、印刷に用いられた画像データの画像内容を包含しているかどうかの判定を行い、原稿読取りで得られた画像データのデータサイズが、原稿読取りで得られた画像データのデータサイズよりも大きく、尚且つ、原稿読取りで得られた画像データの画像内容が、スキャン画像データの画像内容を包含している場合、照合条件を満たすとしてもよい。
【0098】
(3)不揮発メモリ205において印刷に用いられた画像データのバックアップを保持する期間は画像形成装置1000を利用するユーザーの人数に応じて増減することが望ましい。例えば、少人数の事業所に設置された画像形成装置1000では期間を一か月、大人数の事業所に設置された画像形成装置1000では期間を一日というように設定する。また、デフォルトの期間として1週間の期間をしてもよい。かかる期間を越えると、不揮発メモリ205からは、印刷に用いられた画像データのバックアップが削除されるので、別のユーザーがたまたま似たような所持していてスキャンしたような場合の誤照合を防止することができる。
【0099】
(4)送信設定画面において、選択候補のリストにおいて、送信先に対応する選択候補を複数提示する際、送信日時の高低順、及び/又は、使用頻度の高低順に従い選択候補をソートしてユーザーに提示することが望ましい。
【0100】
(5)上記実施形態では、送信履歴に含まれる送信先やユーザーのパネル操作で登録された送信先から送信設定画面を作成してユーザーに提示し、ユーザーからの選択操作を待って原稿読取りで得られた画像データの送信を実行したがこれに限られない。送信先の選択候補が1つのみの場合、又は、デフォルトの送信先が設定されている場合、送信設定画面を所定期間だけ表示した後、自動的に、送信を行ってもよい。
【0101】
(6)上記実施形態では、設定画面に含まれる何れかの選択候補が選択されることを契機にして、原稿読取りで得られた画像データを送信したがこれに限られない。送信先にあたる選択候補が、タッチパネルディスプレイ1001においてタッチされたら、タッチパネルディスプレイ1001がタッチされたタイミングで
図12(b)に示す確認ダイアログ521を表示する。確認ダイアログ521に対し、肯定的な操作がなされるか、スタートキーが押下されれば、選択候補に示される宛先に、前記原稿からの読み取りで得られた画像データを送信してもよい。
【0102】
(7)印刷履歴は、データの送信元となる端末のホスト名、ネットワークアドレスの双方を示すとしたが、一方のみを示すとしてもよい。また、紐付けテーブル245を用いることなくユーザー名を判定してもよい。具体的にいうと、端末のホスト名が、ユーザー名の一部又は全部を含んでいる場合、ホスト名における、ユーザー名の一部又は全部から、印刷を要求したユーザーを特定してもよい。
【0103】
(8)原稿読取りで得られた画像データが複数のページにわたる場合、複数のページの中から署名欄、捺印欄が存在するページを特定して、当該ページにおいて、印刷に用いられた画像データとの照合を行うことが望ましい。
【0104】
(9)署名欄、捺印欄には様々な様式があり、
図8は、これら様々な様式のうち、典型的な1つのものを照合する照合手順を開示したに過ぎない。様々な様式の署名欄、捺印欄を照合するよう、2以上の様式に対する照合を実行することが望ましい。例えば、罫線で囲まれた署名欄における署名、罫線で囲まれた捺印欄における捺印について照合を実行してもよい。また、円の枠のみからなる捺印欄における捺印について照合を実行してもよい。
【0105】
また上記実施形態では、署名欄における署名、捺印欄における捺印のうち一方が存在する場合、照合条件を満たすとしたがこれに限られない。署名欄における署名、捺印欄における捺印の双方が存在することを、照合条件としてもよい。また、署名、捺印に限らず、紙面上に追記された何等かの手書きや印を手掛かりとしてもよい。
【0106】
(10)上記実施形態では、パネル操作により入力された送信先を用いて設定画面を作成したがこれに限られない。ファイル形式など、送信先以外のみの設定項目からなる設定画面を自動的に作成してもよい。
【0107】
濃度調整、下地調整、コントラスト調整、明度調整、シャープネス調整をユーザーが設定した際の設定項目の操作履歴を不揮発メモリ205に格納して、これらを用いて設定画面を作成してもよい。また、ウォーターマーク、日付/時刻、ページ番号、スタンプをユーザーが設定した際の設定項目の操作履歴を不揮発メモリ205に格納して、これらの設定を用いて設定画面を作成し表示してもよい。ウォーターマークとして選択可能な文字列としては、複写、コピー、無効、社外秘、親展、取扱注意がある。これらの設定項目を含む設定画面が提示されることで、設定項目の入力漏れをなくすことができる。
【0108】
(11)上記実施形態では、画像形成装置1000を多機能複合機としたがこれに限らない。プロダクションプリント装置に設けてもよい。またパーソナルコンピュータの周辺機器(スキャン機能を具備したプリンター)に設ける構成としてもよい。また電子写真方式に限らず、インクジェット方式でもよい。加えて、Y、M、C、K色の露光器、現像器を設けてカラー型の画像形成装置としたが、K色について露光器、現像器を設けてモノクロ型としてもよい。Y、M、C、K色のうち、2色、3色について露光器、現像器を設けて2色刷り、3色刷りの画像形成装置としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0109】
本開示は、文書を印刷して、署名、捺印を行い、その後スキャンするという作業が一連のルーチンワークになっている職種の業界で利用することができ、OA機器、情報機器の産業分野を始め小売業、賃貸業、不動産業、広告業、運輸業、出版業等、様々な業種の産業分野で利用される可能性がある。
【符号の説明】
【0110】
201 NIC
202 周辺ポート
203 CPU
204 RAM
205 不揮発メモリ
1000 画像形成装置
1001 タッチパネルディスプレイ
1003 画像形成部本体
1003T 排出トレイ
1004 スキャナー
1005 カバー
1010 入力パネル
1011 端末