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特許7619184遺伝子増幅処理用の容器セット、及び遺伝子増幅装置から複数の容器を取り出す方法
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  • 特許-遺伝子増幅処理用の容器セット、及び遺伝子増幅装置から複数の容器を取り出す方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-14
(45)【発行日】2025-01-22
(54)【発明の名称】遺伝子増幅処理用の容器セット、及び遺伝子増幅装置から複数の容器を取り出す方法
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/00 20060101AFI20250115BHJP
【FI】
C12M1/00 A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021108420
(22)【出願日】2021-06-30
(65)【公開番号】P2023006044
(43)【公開日】2023-01-18
【審査請求日】2023-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110003993
【氏名又は名称】弁理士法人野口新生特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100205981
【弁理士】
【氏名又は名称】野口 大輔
(72)【発明者】
【氏名】篠山 智生
【審査官】斉藤 貴子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05722553(US,A)
【文献】特開2018-038312(JP,A)
【文献】特開2019-119495(JP,A)
【文献】Applied Biosystems Veriti(TM) サーマルサイクラー 日本語ユーザーマニュアル,アプライドバイオシステムズジャパン株式会社,2007年
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12M 1/00-1/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体及び/又は試薬を個別に収容するためのカップ型の複数の容器が互いに平行にかつ互いの間に隙間をもって一直線上に並び、隣り合う前記容器が連結橋により互いに連結されている一体的な連結容器と、
本体部と前記本体部の先端に設けられた保持部を有し、前記連結容器において互いに隣り合う前記容器の間の隙間に前記連結容器の側方から挿入するための少なくとも1つの爪が前記保持部に設けられ、前記連結容器の側方から前記保持部を略水平方向へスライドさせることによって前記爪を前記連結容器の側方から前記隙間に挿入して前記連結橋に対して下方から係合させることによって前記連結容器を前記保持部で保持するように構成されている搬送器具と、を備えた遺伝子増幅処理用の容器セット。
【請求項2】
前記連結容器は前記複数の容器のそれぞれに装着されて前記複数の容器の上面をそれぞれ封止する蓋部を備え、
前記搬送器具は、前記爪が前記連結容器の前記隙間に挿入されたときに前記複数の容器のそれぞれの前記蓋部の上方に位置するように設けられた押さえ部を備え、前記保持部に保持された前記連結容器の前記複数の容器のそれぞれに装着されている前記蓋部が前記複数の容器のそれぞれから外れることを前記押さえ部によって抑止するように構成されている、請求項1に記載の容器セット。
【請求項3】
前記搬送器具は、前記爪と前記押さえ部との間の距離を調節することができるように構成されており、前記爪と前記押さえ部とを互いに接近させることによって前記保持部で保持した前記連結容器の前記蓋部を前記押さえ部で押さえるように構成されている、請求項2に記載の容器セット。
【請求項4】
前記搬送器具は、前記本体部の基端を作業者が把持したときに前記作業者の手指が届く位置に、前記爪と前記押さえ部との間の距離を調整するための操作部を備えている、請求項3に記載の容器セット。
【請求項5】
前記搬送器具の前記本体部は長手方向をもつ板状又は棒状の部材であり、前記保持部の前記爪は前記本体部の長手方向と実質的に平行な平面内において前記長手方向とは交差する方向へ伸びるように設けられている、請求項1から4のいずれか一項に記載の容器セット。
【請求項6】
遺伝子増幅装置にセットされた複数の容器を前記遺伝子増幅装置から取り出すための方法であって、
前記複数の容器は、互いに平行にかつ互いの間に隙間をもって一直線上に並び、隣り合う前記容器が連結橋により互いに連結されている一体的な連結容器を構成しており、
本体部と前記本体部の先端に設けられた保持部を有し、前記連結容器において互いに隣り合う前記容器の間の隙間に前記連結容器の側方から挿入するための少なくとも1つの爪が前記保持部に設けられた搬送器具を用意するステップと、
前記連結容器の側方から前記搬送器具を略水平方向へスライドさせることによって前記保持部の前記爪を前記連結容器の側方から前記隙間に挿入するステップと、
前記保持部を上昇させることによって前記爪を前記連結橋に対して下方から係合させ、前記連結容器を前記保持部で保持するステップと、
前記保持部を移動させることによって前記遺伝子増幅装置から前記連結容器を取り出すステップと、をその順に備えている方法。
【請求項7】
前記連結容器及び前記搬送器具は、請求項2から5のいずれか一項に記載の容器セットを構成するものである、請求項6に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遺伝子増幅処理用の容器セット、及び遺伝子増幅装置から複数の容器を取り出す方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
PCR反応(ポリメラーゼ連鎖反応)を利用して目的遺伝子を増幅させる機能を備えた装置(以下、遺伝子増幅装置と称する)がある(特許文献1参照。)。遺伝子増幅装置は、ヒータやペルチェ素子によって温度が調節される温調ブロックを備えており、温調ブロックの上面に設けられた複数の窪みに検体と試薬の混合液を収容したカップ状の容器をセットし、温調ブロックの温度を所定のサイクルで昇降させることで、容器内の検体の目的遺伝子にPCR反応を起こさせて増幅する装置である。遺伝子増幅装置には、遺伝子増幅処理を行なう機能のほかに、容器内における目的遺伝子に対する光学的な測定を行なう機能を有するものもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-038312号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
遺伝子増幅装置での処理が終了した容器の遺伝子増幅装置からの取出しは、作業者が手作業で行なっている。この取出し作業はこれまで、作業者に対する汚染やコンタミネーションの発生を考慮して汎用のピンセット等の器具を用いて行なわれることが一般的であった。しかし、容器内が高温・高圧になっていると、少しの衝撃が容器に加わっただけで容器の上面を封止している蓋が外れ、増幅処理後の検体が容器から漏れて装置内やその周辺が汚染される危険がある。装置内が増幅処理後の検体によって汚染されると、その後に装置にセットされる検体の測定結果に影響を及ぼす可能性がある。そのため、遺伝子増幅装置から容器を取り出す作業を慎重に行なう必要があり、作業効率が良好とは言えなかった。
【0005】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、遺伝子増幅装置からの容器の取出し作業を容易にして作業効率を向上させることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る遺伝子増幅処理用の容器セットは、検体及び/又は試薬を個別に収容するためのカップ型の複数の容器が互いに平行にかつ互いの間に隙間をもって一直線上に並び、隣り合う前記容器が連結橋により互いに連結されている一体的な連結容器と、本体部と前記本体部の先端に設けられた保持部を有し、前記保持部に前記連結容器において互いに隣り合う前記容器の間の隙間に入り込む少なくとも1つの爪が設けられ、前記保持部の前記爪を前記連結容器の前記隙間に挿入して前記連結橋に対して下方から係合させることによって前記連結容器を前記保持部で保持するように構成されている搬送器具と、を備えている。
【0007】
本発明に係る方法は、遺伝子増幅装置にセットされた複数の容器を遺伝子増幅装置から取り出すための方法である。前記複数の容器は、互いに平行にかつ互いの間に隙間をもって一直線上に並び、隣り合う前記容器が連結橋により互いに連結されている一体的な連結容器を構成している。そして、当該方法は、
本体部と前記本体部の先端に設けられた保持部を有し、前記保持部に前記連結容器において互いに隣り合う前記容器の間の隙間に入り込む少なくとも1つの爪が設けられた搬送器具を用意するステップと、
前記保持部の前記爪を前記連結容器の前記隙間に挿入するステップと、
前記保持部を上昇させることによって前記爪を前記連結橋に対して下方から係合させ、前記連結容器を前記保持部で保持するステップと、
前記保持部を移動させることによって前記遺伝子増幅装置から前記連結容器を取り出すステップと、をその順に備えている。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る遺伝子増幅処理用の容器セットによれば、複数の容器が一直線上に並んだ状態で互いの上部が連結橋により連結されて一体化された連結容器とその連結容器を保持して搬送するための専用の搬送器具からなり、前記搬送器具は、複数の容器の間に設けられた隙間に入り込む爪が設けられた保持部を先端に有している。そして、当該搬送器具は、先端の前記保持部に設けられている前記爪を前記隙間に挿入して前記連結橋に対して下方から係合させるだけで連結容器を保持して搬送することができるので、遺伝子増幅装置からの容器の取出しが容易になり取出し作業の効率が向上するだけでなく、誤って蓋を開けてしまうリスクが低減され、装置の汚染による損害機会を減らすことができる。
【0009】
本発明に係る方法によれば、連結容器を構成している複数の容器の間の隙間に入り込む爪が設けられた保持部を先端に有する搬送器具を使用し、前記搬送器具の前記保持部の前記爪を前記連結容器の前記隙間に挿入して前記保持部を上昇させることで前記爪を前記連結容器の連結橋に対して下方から係合させて前記連結容器を保持し、そのまま前記保持部を移動させることによって前記連結容器を遺伝子増幅装置から取り出すだけであるため、前記遺伝子増幅装置からの容器の取出しが容易になり、取出し作業の効率が向上するだけでなく、誤って蓋を開けてしまうリスクが低減され、装置の汚染による損害機会を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】遺伝子増幅処理用の容器セットの一実施例を示す斜視図である。
図2】同実施例において作業者が搬送器具を把持している状態を示す斜視図である。
図3】作業者が搬送器具で連結容器を保持している状態を示す斜視図である。
図4】他の構造をもつ搬送器具の一例を示す斜視図である。
図5】遺伝子増幅装置に連結容器がセットされている状態を示す画像である。
図6】遺伝子増幅装置から連結容器を取り出す方法の一例を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら遺伝子増幅処理用の容器セット、及び遺伝子増幅装置から連結容器を取り出す方法についての一実施例について説明する。
【0012】
図1に示されているように、この実施例の遺伝子増幅処理用の容器セットは、連結容器1と、その連結容器1を保持して搬送するための搬送器具100と、を備えている。
【0013】
連結容器1は、増幅すべき遺伝子を含む検体とPCR試薬との混合液を収容するためのカップ型の複数の容器4を備えている。複数の容器4は、互いに平行にかつ互いの間に隙間10をもって一直線上に並んでおり、隣り合う容器4の上部が連結橋6によって互いに連結されることによって一体化されている。各容器4の上部には蓋部8が装着されており、各容器4の上面が蓋部8によって封止されている。
【0014】
ここで、この実施例では、4つの容器4が互いに連結されることによって1つの連結容器1を構成しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、連結容器1を構成する容器4の数は2以上であればいくらでもよい。
【0015】
搬送器具100は、長手方向をもつ本体部102と、本体部102の先端に設けられた爪104と、を備えている。以下では、本体部102の長手方向が略水平となるように配置された状態を前提として説明する。
【0016】
搬送器具100は、それぞれが長手方向をもつ板状の第1部材106と第2部材108とが、第2部材108の上に第1部材106が重ね合わされた状態で基端において接合されて構成されている。なお、搬送器具100の本体部102を構成する部材は必ずしも板状である必要はなく、棒状のものであってもよい。
【0017】
第1部材106は途中で屈折し、それによって第1部材106と第2部材108との間の隙間が基端から先端に向かって徐々に広くなっている。第1部材106及び第2の部材108の先端には、鉛直下方へ伸びる第1支持部110及び第2支持部114がそれぞれ設けられている。第1支持部110の下端に、互いに平行な3本の爪104が水平方向へ伸びるように設けられている。第2支持部114の下端には、3本の爪104よりも上方に位置で水平方向へ伸びる平板形状の押さえ部116が設けられている。爪104を先端に備えた第1支持部110は、連結容器1を保持するための保持部を構成している。
【0018】
ここで、図1の例では、爪104は本体部102の長手方向と直交する方向へ伸びるように設けられているが、本発明はこれに限定されるものではなく、爪104が本体部102の長手方向と交差する方向又は平行な方向へ伸びるように設けられていてもよい。
【0019】
3本の爪104は、連結容器1の各容器4の間の隙間10にそれぞれを挿入することができるような幅寸法及び間隔で設けられている。爪104は、連結容器1の各容器4の間の隙間10に挿入され、下方から連結橋6と係合することによって連結容器1を保持する。押さえ部116は、爪104が連結容器1の各容器4の隙間10に挿入されて連結橋6と係合しているときに、各容器4の蓋部8の上方に位置して各容器4の蓋部8が開くことを防止する。
【0020】
搬送器具100を取り扱う作業者は、本体部102の基端を把持する。第1部材106は弾性力を有する、例えば鋼材、プラスチック材などの素材で構成されている。図2に示されているように、基端を把持した作業者が第1部材106の屈折部分よりも先端側を指で押さえると、第1部材106が弾性的に変形して第1支持部110の先端の爪104が押さえ部116とは相対的に変位し、爪104と押さえ部116との間の距離が大きくなる。この状態で爪104を連結容器100の隙間10に挿入した後、作業者が第1部材106に対する押圧を緩めると、図3に示されているように、爪104と押さえ部116との距離が縮み、連結容器1の各容器4の蓋部8を押さえ部116で押さえることができる。すなわち、搬送器具100には、爪104と押さえ部116との間の距離を作業者が調節するための操作部が、基端を把持した作業者の手指の届く位置に設けられている。
【0021】
なお、本発明における搬送器具100は上記の構造をもったものに限定されるものではなく、搬送器具100に爪104と押さえ部116との間の距離を調節する機能をもたせるための構成はどのようなものであってもよい。例えば、図4に示されているように、第1部材106の第1支持部110の下端に押さえ部材116が設けられ、第2部材108の第2支持部114の下端に爪104が設けられていてもよい。図4の構成では、基端を把持した作業者が第1部材106の屈折部分よりも先端側を指で押さえると、第1部材106が弾性的に変形して第1支持部110の押さえ部116が爪104とは相対的に変位して爪104と押さえ部116との間の距離が縮む。逆に、作業者が第1部材106に対する押圧を緩めると、爪104と押さえ部116との距離が大きくなる。
【0022】
なお、搬送器具100は、爪104を連結容器1の連結橋6に対して下方から係合させて連結容器1を保持する機能を備えるものでさえあればよいので、押さえ部116が設けられていなくてもよいし、押さえ部116が設けられていても、爪104と押さえ部116との間の距離が調節可能である必要はない。そのような場合、搬送器具100は、複数の部材(この実施例では第1部材106と第2部材108)によって構成されている必要もなく、単一の部材で構成されていてもよい。
【0023】
図5は遺伝子増幅装置の内部構造の一例を示す画像である。
【0024】
遺伝子増幅装置の内部には、試薬の入った複数の試薬容器をセットするための試薬収容部と、検体と試薬の混合液が入った複数の検体容器をセットして遺伝子増幅処理を行なうための検体収容部と、が設けられている。図5の例では、試薬収容部として、試薬容器を上方から挿し込んで収容する複数の窪みがAのゾーンに設けられており、検体収容部として、検体容器を挿し込んで収容する複数の窪みがBのゾーンに設けられている。検体収容部には、4つの検体容器が互いに連結されて構成されている複数の連結容器1をセットすることができる。
【0025】
検体収容部において遺伝子増幅処理が終了した後の連結容器1を遺伝子増幅装置から取り出す際に、図1から図4を用いて説明した搬送器具100が使用される。遺伝子増幅装置から連結容器1を取り出す方法について、図6のフローチャートを用いて説明する。
【0026】
検体収容部における遺伝子増幅処理が終了すると、作業者は既述の搬送器具100を用意する(ステップ101)。作業者は、搬送器具100の長手方向が略水平になるように搬送器具100の基端を把持し、搬送器具100の爪104を連結容器1の側方に位置させてから略水平方向へスライドさせることで、連結容器1の隙間10に爪104を挿入する(ステップ102)。このとき、保持部104の押さえ部116が連結容器1の各蓋部8に接触しないように、作業者は爪104と押さえ部116との間の距離を広げておく。
【0027】
連結容器1の隙間10に爪104を挿入した後、爪104を上昇させて連結容器1の連結橋6に対して下方から係合させ、連結容器1を爪104によって持ち上げることにより連結容器1を保持し(ステップ103)、保持した連結容器1を遺伝子増幅装置から取り出す(ステップ104)。このとき、爪104と押さえ部116との間の距離を縮めることで、各容器4の蓋部8を上方から押さえて各容器の上面が開放されることを防止することができる。
【0028】
なお、以上において説明した容器セット及び方法は本発明の実施形態の態様を例示したに過ぎない。本発明に係る容器セット及び方法の実施形態は以下に示すとおりである。
【0029】
本発明に係る容器セットの一実施形態では、検体及び/又は試薬を個別に収容するためのカップ型の複数の容器が互いに平行にかつ互いの間に隙間をもって一直線上に並び、隣り合う前記容器が連結橋により互いに連結されている一体的な連結容器と、本体部と前記本体部の先端に設けられた保持部を有し、前記保持部に前記連結容器において互いに隣り合う前記容器の間の隙間に入り込む少なくとも1つの爪が設けられ、前記保持部の前記爪を前記連結容器の前記隙間に挿入して前記連結橋に対して下方から係合させることによって前記連結容器を前記保持部で保持するように構成されている搬送器具と、を備えている。
【0030】
上記一実施形態の第1局面では、前記連結容器は前記複数の容器のそれぞれに装着されて前記複数の容器の上面をそれぞれ封止する蓋部を備え、前記搬送器具は、前記爪が前記連結容器の前記隙間に挿入されたときに前記複数の容器のそれぞれの前記蓋部の上方に位置するように設けられた押さえ部を備え、前記保持部に保持された前記連結容器の前記複数の容器のそれぞれに装着されている前記蓋部が前記複数の容器のそれぞれから外れることを前記押さえ部によって抑止するように構成されている。このような態様により、連結容器の搬送中に各容器の蓋部が外れて容器の上面が開放されることを抑制できる。
【0031】
上記第1局面の1つの態様として、前記搬送器具は、前記爪と前記押さえ部との間の距離を調節することができるように構成されており、前記爪と前記押さえ部とを互いに接近させることによって前記保持部で保持した前記連結容器の前記蓋部を前記押さえ部で押さえるように構成されている態様が挙げられる。このような態様により、連結容器の搬送中に各容器の蓋部が外れることを確実に防止することができる。
【0032】
上記態様において、前記搬送器具は、前記本体部の基端を作業者が把持したときに前記作業者の手指が届く位置に、前記爪と前記押さえ部との間の距離を調整するための操作部を備えることができる。
【0033】
また、上記一実施形態の第2局面では、前記搬送器具の前記本体部は長手方向をもつ板状又は棒状の部材であり、前記保持部の前記爪は前記本体部の長手方向と実質的に平行な平面内において前記長手方向とは交差する方向へ伸びるように設けられている。
【0034】
本発明に係る方法の一実施形態は、遺伝子増幅装置にセットされた複数の容器を前記遺伝子増幅装置から取り出すための方法である。前記複数の容器は、互いに平行にかつ互いの間に隙間をもって一直線上に並び、隣り合う前記容器が連結橋により互いに連結されている一体的な連結容器を構成している。当該一実施形態では、
本体部と前記本体部の先端に設けられた保持部を有し、前記保持部に前記連結容器において互いに隣り合う前記容器の間の隙間に入り込む少なくとも1つの爪が設けられた搬送器具を用意するステップと、
前記保持部の前記爪を前記連結容器の前記隙間に挿入するステップと、
前記保持部を上昇させることによって前記爪を前記連結橋に対して下方から係合させ、前記連結容器を前記保持部で保持するステップと、
前記保持部を移動させることによって前記遺伝子増幅装置から前記連結容器を取り出すステップと、をその順に備えている。
【0035】
上記一実施形態において、前記連結容器及び前記搬送器具は、上述した容器セットを構成することができる。
【符号の説明】
【0036】
1 連結容器
4 容器
6 連結橋
8 蓋部
10 隙間
100 搬送器具
104 爪
106 第1部材
108 第2部材
110 第1支持部
114 第2支持部
116 押さえ部
図1
図2
図3
図4
図5
図6