(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-14
(45)【発行日】2025-01-22
(54)【発明の名称】画像生成装置、画像生成方法、及び車両制御システム
(51)【国際特許分類】
H04N 23/667 20230101AFI20250115BHJP
H04N 23/55 20230101ALI20250115BHJP
H04N 23/12 20230101ALI20250115BHJP
【FI】
H04N23/667
H04N23/55
H04N23/12
(21)【出願番号】P 2021124652
(22)【出願日】2021-07-29
【審査請求日】2023-10-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】蜂須賀 元晃
【審査官】彦田 克文
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-006066(JP,A)
【文献】特開2019-001324(JP,A)
【文献】特開2017-108062(JP,A)
【文献】特開2020-028085(JP,A)
【文献】特開2020-170966(JP,A)
【文献】特開2007-174277(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 23/667
H04N 23/55
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を生成する画像生成装置であって、
1又は複数のプロセッサを備え、
前記1又は複数のプロセッサは、
フィルタを通して不可視光と可視光とを別々に受光する撮像素子から、前記不可視光の受光結果を示す第1受光データと前記可視光の受光結果を示す第2受光データを取得し、
前記撮像素子の周囲の環境の照度を示す照度情報に基づいて、前記第1受光データと前記第2受光データの少なくとも一方に対してデモザイク処理を行うことによって前記画像を生成する
ように構成され、
第2閾値は第1閾値より高く、
前記照度が
前記第1閾値未満である場合、前記1又は複数のプロセッサは、前記第2受光データに対して第2デモザイク処理を行うことなく、前記第1受光データに対して第1デモザイク処理を行うことによって不可視光画像を前記画像として生成
し、
前記照度が前記第2閾値以上である場合、前記1又は複数のプロセッサは、前記第1受光データに対して前記第1デモザイク処理を行うことなく、前記第2受光データに対して前記第2デモザイク処理を行うことによって可視光画像を前記画像として生成し、
前記照度が前記第1閾値以上であり、且つ、前記第2閾値未満である場合、前記1又は複数のプロセッサは、前記第1デモザイク処理と前記第2デモザイク処理を行うことによって前記不可視光画像と前記可視光画像の両方を生成する
画像生成装置。
【請求項2】
請求項1
に記載の画像生成装置であって、
前記不可視光は近赤外光である
画像生成装置。
【請求項3】
請求項1
に記載の画像生成装置と、
前記画像に基づいて車両を制御する制御装置と
を備える
車両制御システム。
【請求項4】
フィルタを通して不可視光と可視光とを別々に受光する撮像素子を用いて、前記不可視光の受光結果を示す第1受光データと前記可視光の受光結果を示す第2受光データを取得する処理と、
前記撮像素子の周囲の環境の照度を示す照度情報に基づいて、前記第1受光データと前記第2受光データの少なくとも一方に対してデモザイク処理を行うことによって画像を生成する現像処理と
を含み、
第2閾値は第1閾値より高く、
前記現像処理は、
前記照度が
前記第1閾値未満である場合、前記第2受光データに対して第2デモザイク処理を行うことなく、前記第1受光データに対して第1デモザイク処理を行うことによって不可視光画像を前記画像として生成する処理
と、
前記照度が前記第2閾値以上である場合、前記第1受光データに対して前記第1デモザイク処理を行うことなく、前記第2受光データに対して前記第2デモザイク処理を行うことによって可視光画像を前記画像として生成する処理と、
前記照度が前記第1閾値以上であり、且つ、前記第2閾値未満である場合、前記第1デモザイク処理と前記第2デモザイク処理を行うことによって前記不可視光画像と前記可視光画像の両方を生成する処理と
を含む
画像生成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、可視光画像と不可視光画像をフレキシブルに生成可能な画像生成技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、単板式撮像素子を備える画像信号処理装置を開示している。単板式撮像素子は、RGB信号等の可視光領域信号を取得する特定波長領域信号取得素子と、可視光および赤外光成分を含む光信号を取得する広波長領域信号取得素子とから構成される。画像信号処理装置は、広波長領域信号に対応するデモザイク画像を輝度信号として生成する。また、画像信号処理装置は、可視光領域信号に対応するデモザイク画像に基づいて色差信号を生成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両制御、街の監視等において、カメラによって撮影される画像が利用される場合がある。可視光の光量が少ない暗環境においては、近赤外画像等の不可視光画像も有用である。よって、通常の可視光画像と近赤外画像等の不可視光画像の両方を取得することができるカメラは有用であると考えられる。但し、可視光画像と不可視光画像の両方を生成するということは、その分だけデモザイク処理が増加することを意味する。必要以上にデモザイク処理を行い、必要以上に画像を生成することは、計算資源及びストレージ資源の浪費、処理時間の増大、等を招く。
【0005】
本開示の1つの目的は、必要以上にデモザイク処理を行うことなく、状況に応じて可視光画像と不可視光画像をフレキシブルに生成することができる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の観点は、画像を生成する画像生成装置に関連する。
画像生成装置は、1又は複数のプロセッサを備える。
1又は複数のプロセッサは、フィルタを通して不可視光と可視光とを別々に受光する撮像素子から、不可視光の受光結果を示す第1受光データと可視光の受光結果を示す第2受光データを取得する。
更に、1又は複数のプロセッサは、撮像素子の周囲の環境の照度を示す照度情報に基づいて、第1受光データと第2受光データの少なくとも一方に対してデモザイク処理を行うことによって画像を生成する。
照度が第1閾値未満である場合、1又は複数のプロセッサは、第2受光データに対して第2デモザイク処理を行うことなく、第1受光データに対して第1デモザイク処理を行うことによって不可視光画像を画像として生成する。
【0007】
第2の観点は、画像を生成する画像生成装置に関連する。
画像生成装置は、1又は複数のプロセッサを備える。
1又は複数のプロセッサは、フィルタを通して不可視光と可視光とを別々に受光する撮像素子から、不可視光の受光結果を示す第1受光データと可視光の受光結果を示す第2受光データを取得する。
更に、1又は複数のプロセッサは、撮像素子の周囲の環境の照度を示す照度情報に基づいて、第1受光データと第2受光データの少なくとも一方に対してデモザイク処理を行うことによって画像を生成する。
照度が閾値以上である場合、1又は複数のプロセッサは、第1受光データに対して第1デモザイク処理を行うことなく、第2受光データに対して第2デモザイク処理を行うことによって可視光画像を画像として生成する。
【0008】
第3の観点は、車両制御システムに関連する。
車両制御システムは、
上記第1あるいは第2の観点に係る画像生成装置と、
生成された画像に基づいて車両を制御する制御装置と
を備える。
【0009】
第4の観点は、画像生成方法に関連する。
画像生成方法は、
フィルタを通して不可視光と可視光とを別々に受光する撮像素子を用いて、不可視光の受光結果を示す第1受光データと可視光の受光結果を示す第2受光データを取得する処理と、
撮像素子の周囲の環境の照度を示す照度情報に基づいて、第1受光データと第2受光データの少なくとも一方に対してデモザイク処理を行うことによって画像を生成する現像処理と
を含む。
現像処理は、照度が第1閾値未満である場合、第2受光データに対して第2デモザイク処理を行うことなく、第1受光データに対して第1デモザイク処理を行うことによって不可視光画像を画像として生成する処理を含む。
【0010】
第5の観点は、画像生成方法に関連する。
画像生成方法は、
フィルタを通して不可視光と可視光とを別々に受光する撮像素子を用いて、不可視光の受光結果を示す第1受光データと可視光の受光結果を示す第2受光データを取得する処理と、
撮像素子の周囲の環境の照度を示す照度情報に基づいて、第1受光データと第2受光データの少なくとも一方に対してデモザイク処理を行うことによって画像を生成する現像処理と
を含む。
現像処理は、照度が閾値以上である場合、第1受光データに対して第1デモザイク処理を行うことなく、第2受光データに対して第2デモザイク処理を行うことによって可視光画像を画像として生成する処理を含む。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、撮像素子の周囲の環境の照度を考慮して、第1デモザイク処理と第2デモザイク処理のうち必要なものが実行される。すなわち、必要以上にデモザイク処理を行うことなく、状況に応じて可視光画像と不可視光画像をフレキシブルに生成することが可能となる。その結果、計算資源及びストレージ資源の浪費が防止され、計算資源及びストレージ資源が効率的に使用されることになる。また、全体としての処理時間も軽減される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本開示の実施の形態に係る画像生成装置の構成例を示すブロック図である。
【
図2】本開示の実施の形態に係る撮像素子の構成例を示す概念図である。
【
図3】本開示の実施の形態に係るデモザイク処理の第1の例を説明するための概念図である。
【
図4】本開示の実施の形態に係るデモザイク処理の第2の例を説明するための概念図である。
【
図5】本開示の実施の形態に係るデモザイク処理の第3の例を説明するための概念図である。
【
図6】本開示の実施の形態に係るデモザイク処理の第4の例を説明するための概念図である。
【
図7】本開示の実施の形態に係る画像生成方法を示すフローチャートである。
【
図8】本開示の実施の形態に係る車両制御システムの構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
添付図面を参照して、本開示の実施の形態を説明する。
【0014】
1.画像生成装置の概要
本実施の形態に係る画像生成装置1は、画像を生成する。例えば、画像生成装置1は、車両やロボット等の移動体に搭載されるカメラである。画像生成装置1(カメラ)は、移動体の周囲の状況を撮影し、その周囲の状況を示す画像を生成する。生成された画像は、移動体の制御(例:自律走行制御、遠隔制御)に利用される。他の例として、画像生成装置1は、スマートシティ等の街に設置されるカメラである。生成された画像は、街の監視等に利用される。
【0015】
以下の説明において、「可視光」は、可視領域の光であり、「不可視光」は、可視領域以外の波長領域(不可視領域)の少なくとも一部の光である。例えば、不可視光は、近赤外光である。「可視光画像IMG_VI」は、可視光を用いた撮像により生成される画像である。一方、「不可視光画像IMG_IR」は、可視光ではない不可視光を用いた撮像により生成される画像である。例えば、近赤外光の場合の不可視光画像IMG_IRは近赤外画像である。
【0016】
以下に説明されるように、本実施の形態に係る画像生成装置1は、可視光画像IMG_VIと不可視光画像IMG_IRを状況に応じてフレキシブルに生成することができるように構成される。
【0017】
図1は、本実施の形態に係る画像生成装置1の構成例を示すブロック図である。画像生成装置1は、撮像素子10、1又は複数のプロセッサ20(以下、単に「プロセッサ20」と呼ぶ)、及び記憶装置30を含んでいる。尚、撮像素子10、プロセッサ20、及び記憶装置30は、単一の装置内に集積されていてもよいし、複数の装置に分散的に配置されていてもよい。
【0018】
撮像素子10は、フィルタを通して不可視光と可視光とを別々に受光する。そして、撮像素子10は、不可視光の受光結果を示す「第1受光データRAW_IR」と、可視光の受光結果を示す「第2受光データRAW_VI」を取得する。撮像素子10は、取得した第1受光データRAW_IRと第2受光データRAW_VIをプロセッサ20に出力する。
【0019】
図2は、撮像素子10の構成例を示す概念図である。撮像素子10は、カラーフィルタアレイ(CFA: Color Filter Array)11及びセンサアレイ12を含んでいる。撮像素子10に入射した光は、カラーフィルタアレイ11を通してセンサアレイ12に入射する。
【0020】
カラーフィルタアレイ11は、アレイ状に配置された複数のカラーフィルタを含んでいる。複数のカラーフィルタは、異なる波長帯の光を透過させる複数種類のカラーフィルタから構成されている。例えば
図2において、「R」は赤色光を透過させるカラーフィルタであり、「G」は緑色光を透過させるカラーフィルタであり、「B」は青色光を透過させるカラーフィルタであり、「N」は近赤外光を透過させるカラーフィルタである。赤色光、緑色光、及び青色光が可視光であり、近赤外光が不可視光である。
【0021】
センサアレイ12は、カラーフィルタアレイ11を透過した光を受光する。センサアレイ12は、アレイ状に配置された複数のセンサ(セル)を含んでいる。複数のフィルタと複数のセンサは、1対1に対応付けられている。各センサは、フォトダイオードを含んでおり、対応するフィルタを透過した光量に応じた電荷を生成する。受光データ(モザイクデータ)は、複数のセンサのそれぞれにより生成された電荷量を含む。
【0022】
プロセッサ20は、撮像素子10から第1受光データRAW_IRと第2受光データRAW_VIを取得する。そして、プロセッサ20は、取得した受光データから画像を生成する「現像処理」を行う。
【0023】
より詳細には、プロセッサ20は、デモザイク処理部21を含んでいる。デモザイク処理部21は、第1受光データRAW_IRに対してデモザイク処理を行うことによって、不可視光画像IMG_IRを生成することができる。不可視光に関する第1受光データRAW_IRに対して行われるデモザイク処理を、以下、「第1デモザイク処理」と呼ぶ。また、デモザイク処理部21は、第2受光データRAW_VIに対してデモザイク処理を行うことによって、可視光画像IMG_VIを生成することができる。可視光に関する第2受光データRAW_VIに対して行われるデモザイク処理を、以下、「第2デモザイク処理」と呼ぶ。
【0024】
プロセッサ20は、更に、画像圧縮を行う画像圧縮部22を含んでいてもよい。画像圧縮部22は、不可視光画像IMG_IR及び可視光画像IMG_VIを圧縮する。圧縮形式は特に限定されない。
【0025】
記憶装置30は、プロセッサ20によって生成される不可視光画像IMG_IR及び可視光画像IMG_VIを記憶する。記憶装置30としては、不揮発性メモリ、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、等が例示される。
【0026】
このように、画像生成装置1は、可視光画像IMG_VIと不可視光画像IMG_IRの両方を同時に生成することができる。可視光画像IMG_VIは、色再現性の観点から優れている。一方、不可視光画像IMG_IRは、可視光の光量が少ない暗環境(例:夜間、トンネル)においても良好に得られるという長所を有する。
【0027】
但し、可視光画像IMG_VIと不可視光画像IMG_IRの両方を生成するということは、その分だけデモザイク処理が増加することを意味する。必要以上にデモザイク処理を行い、必要以上に画像を生成することは、計算資源及びストレージ資源の浪費、処理時間の増大、等を招く。これらのことは、車両制御等のリアルタイム性が要求される制御では特に好ましくない。
【0028】
そこで、本実施の形態によれば、画像生成装置1は、状況に応じて可視光画像IMG_VIと不可視光画像IMG_IRをフレキシブルに生成することができるように構成される。特に、画像生成装置1は、周囲環境の照度に応じて可視光画像IMG_VIと不可視光画像IMG_IRをフレキシブルに生成することができるように構成される。
【0029】
以下、本実施の形態に係る照度に基づく画像生成処理について詳しく説明する。
【0030】
2.照度に基づく画像生成処理
図1に示される照度情報取得装置40は、撮像素子10(画像生成装置1)の周囲の環境の照度を示す照度情報ILUMを取得する。つまり、照度情報取得装置40は、撮像素子10の周囲の環境の照度を計測、算出、あるいは、推定する。例えば、照度情報取得装置40は、照度を計測する照度センサである。他の例として、照度情報取得装置40は、ライダー(LIDAR: Laser Imaging Detection and Ranging)を含み、ライダー反射率から照度を推定してもよい。照度情報取得装置40は、照度情報ILUMをプロセッサ20に出力する。尚、照度情報取得装置40は、画像生成装置1に含まれていてもよいし、画像生成装置1とは別に設けられてもよい。
【0031】
プロセッサ20は、更に、デモザイク手法決定部23を含んでいる。デモザイク手法決定部23は、照度情報取得装置40から照度情報ILUMを取得する。そして、デモザイク手法決定部23は、照度情報ILUMで示される照度に基づいて、デモザイク処理部21におけるデモザイク処理の内容を決定する。デモザイク処理部21は、デモザイク手法決定部23による決定に従って、必要なデモザイク処理を実行する。
【0032】
以下、本実施の形態に係る照度に応じたデモザイク処理の様々な例について説明する。
【0033】
2-1.第1の例
可視光の光量が少ない暗環境(低照度環境)では、可視光画像IMG_VIの輝度や品質は低い。一方、不可視光画像IMG_IRは、暗環境においても高感度、高輝度に得られる。よって、暗環境では、不可視光画像IMG_IRは有用であり、可視光画像IMG_VIの有用性は比較的低い。そのような暗環境の場合、可視光画像IMG_VIが生成されなくても、後段の処理精度はさほど変わらないと考えられる。言い換えれば、可視光画像IMG_VIと不可視光画像IMG_IRの両方を生成する必要は必ずしもなく、後段の処理には不可視光画像IMG_IRだけで十分であると考えられる。このような観点から、暗環境では不可視光画像IMG_IRが優先される。
【0034】
図3は、本実施の形態に係るデモザイク処理の第1の例を説明するための概念図である。照度が第1閾値Th1未満である場合、プロセッサ20は、第1受光データRAW_IRに対して第1デモザイク処理を行うが、第2受光データRAW_VIに対して第2デモザイク処理を行わない。すなわち、プロセッサ20は、可視光画像IMG_VIを生成することなく、不可視光画像IMG_IRだけを生成する。これにより、少なくとも照度が第1閾値Th1未満である場合に、必要以上にデモザイク処理が行われることが防止される。その結果、計算資源及びストレージ資源の浪費が防止され、また、処理時間も軽減される。
【0035】
尚、第1の例では、照度が第1閾値Th1以上である場合、プロセッサ20は、第1デモザイク処理と第2デモザイク処理を行い、不可視光画像IMG_IRと可視光画像IMG_VIの両方を生成する。
【0036】
2-2.第2の例
明環境(高照度環境)では、良好な可視光画像IMG_VIが生成される。また、色再現性の観点から言えば、可視光画像IMG_VIは不可視光画像IMG_IRよりも優れている。よって、明環境では、可視光画像IMG_VIは有用であり、不可視光画像IMG_IRの有用性は比較的低い。そのような明環境の場合、不可視光画像IMG_IRが生成されなくても、後段の処理精度はさほど変わらないと考えられる。言い換えれば、可視光画像IMG_VIと不可視光画像IMG_IRの両方を生成する必要は必ずしもなく、後段の処理には可視光画像IMG_VIだけで十分であると考えられる。このような観点から、明環境では可視光画像IMG_VIが優先される。
【0037】
図4は、本実施の形態に係るデモザイク処理の第2の例を説明するための概念図である。照度が第2閾値Th2以上である場合、プロセッサ20は、第2受光データRAW_VIに対して第2デモザイク処理を行うが、第1受光データRAW_IRに対して第1デモザイク処理を行わない。すなわち、プロセッサ20は、不可視光画像IMG_IRを生成することなく、可視光画像IMG_VIだけを生成する。これにより、少なくとも照度が第2閾値Th2以上である場合に、必要以上にデモザイク処理が行われることが防止される。その結果、計算資源及びストレージ資源の浪費が防止され、また、処理時間も軽減される。
【0038】
尚、第2の例では、照度が第2閾値Th2未満である場合、プロセッサ20は、第1デモザイク処理と第2デモザイク処理を行い、不可視光画像IMG_IRと可視光画像IMG_VIの両方を生成する。
【0039】
2-3.第3の例
図5は、本実施の形態に係るデモザイク処理の第3の例を説明するための概念図である。第3の例は、上述の第1の例と第2の例の組み合わせである。
【0040】
照度が第1閾値Th1未満である場合、プロセッサ20は、第2デモザイク処理を行うことなく第1デモザイク処理だけを行い、可視光画像IMG_VIを生成することなく不可視光画像IMG_IRだけを生成する。一方、照度が第2閾値Th2以上である場合、プロセッサ20は、第1デモザイク処理を行うことなく第2デモザイク処理だけを行い、不可視光画像IMG_IRを生成することなく可視光画像IMG_VIだけを生成する。ここで、第2閾値Th2は、第1閾値Th1よりも高い。これにより、上述の第1の例と第2の例の両方の効果が得られる。
【0041】
尚、第3の例では、照度が第1閾値Th1以上であり、且つ、第2閾値Th2未満である場合、プロセッサ20は、第1デモザイク処理と第2デモザイク処理を行い、不可視光画像IMG_IRと可視光画像IMG_VIの両方を生成する。
【0042】
2-4.第4の例
図6は、本実施の形態に係るデモザイク処理の第4の例を説明するための概念図である。第4の例は、上述の第3の例の変形例である。具体的には、第1閾値Th1と第2閾値Th2は等しい。この場合、プロセッサ20は、照度に応じて第1デモザイク処理と第2デモザイク処理を切り替えて実行することになる。
【0043】
2-5.処理フロー
図7は、本実施の形態に係る画像生成方法を要約的に示すフローチャートである。
【0044】
ステップS10において、画像生成装置1は、撮像素子10を用いて第1受光データRAW_IRと第2受光データRAW_VIを取得する。
【0045】
ステップS20において、画像生成装置1は、取得した受光データから画像を生成する現像処理を行う。具体的には、ステップS21において、画像生成装置1は、撮像素子10(画像生成装置1)の周囲の環境の照度を示す照度情報ILUMを取得する。ステップS22において、画像生成装置1は、照度に応じてデモザイク手法を決定する(
図3~
図6参照)。そして、ステップS23において、画像生成装置1は、ステップS22において決定した手法に従ってデモザイク処理を実行し、必要な画像を生成する。
【0046】
ステップS30において、画像生成装置1は、生成した画像を記憶装置30に格納する。また、画像生成装置1は、生成した画像を外部に出力する。
【0047】
2-6.効果
以上に説明されたように、本実施の形態によれば、撮像素子10の周囲の環境の照度を考慮して、第1デモザイク処理と第2デモザイク処理のうち必要なものが実行される。すなわち、必要以上にデモザイク処理を行うことなく、状況に応じて可視光画像IMG_VIと不可視光画像IMG_IRをフレキシブルに生成することが可能となる。その結果、計算資源及びストレージ資源の浪費が防止され、計算資源及びストレージ資源が効率的に使用されることになる。また、全体としての処理時間も軽減される。これらのことは、車両制御等のリアルタイム性が要求される制御において特に好ましい。
【0048】
3.車両制御システム
本実施の形態に係る画像生成装置1は、例えば、車両制御(例:自動運転制御、遠隔制御)に適用される。以下、本実施の形態に係る画像生成装置1が車両制御に適用される例について説明する。
【0049】
図8は、本実施の形態に係る車両制御システム100の構成例を示すブロック図である。車両制御システム100は、センサ群110、走行装置120、及び制御装置130を含んでいる。
【0050】
センサ群110は、車両に搭載されている。センサ群110は、車両の周囲の状況を認識する認識センサを含んでいる。認識センサは、本実施の形態に係る画像生成装置1(カメラ)を含んでいる。画像生成装置1は、車両の周囲の状況を撮影し、その周囲の状況を示す画像(不可視光画像IMG_IR、可視光画像IMG_VI)を生成する。認識センサは、更に、LIDARやミリ波レーダを含んでいてもよい。更に、認識センサは、車両の周囲の環境の照度を検出する照度センサを含んでいてもよい。
【0051】
また、センサ群110は、車両の状態を検出する車両状態センサを含んでいる。車両状態センサは、速度センサ、加速度センサ、ヨーレートセンサ、舵角センサ、等を含んでいる。更に、センサ群110は、車両の位置及び方位を検出する位置センサを含む。位置センサとしては、GPS(Global Positioning System)センサが例示される。
【0052】
走行装置120は、車両に搭載されている。走行装置120は、操舵装置、駆動装置、及び制動装置を含んでいる。操舵装置は、車輪を転舵する。例えば、操舵装置は、パワーステアリング(EPS: Electric Power Steering)装置を含んでいる。駆動装置は、駆動力を発生させる動力源である。駆動装置としては、エンジン、電動機、インホイールモータ、等が例示される。制動装置は、制動力を発生させる。
【0053】
制御装置130は、車両を制御する。制御装置130は、1又は複数のプロセッサ131(以下、単にプロセッサ131と呼ぶ)と1又は複数の記憶装置132(以下、単に記憶装置132と呼ぶ)を含んでいる。プロセッサ131は、各種処理を実行する。例えば、プロセッサ131は、CPU(Central Processing Unit)を含んでいる。記憶装置132は、プロセッサ131による処理に必要な各種情報を格納する。記憶装置132としては、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、HDD、SSD、等が例示される。制御装置130は、1又は複数のECU(Electronic Control Unit)を含んでいてもよい。制御装置130の一部は、車両の外部の情報処理装置であってもよい。その場合、制御装置130の一部は、車両と通信を行い、車両をリモートで制御する。
【0054】
プロセッサ131は、車両の走行を制御する車両走行制御を実行する。車両走行制御は、操舵制御、加速制御、及び減速制御を含む。プロセッサ131は、走行装置120(操舵装置、駆動装置、制動装置)を制御することによって車両走行制御を実行する。
【0055】
プロセッサ131は、自動運転制御を行ってもよい。より詳細には、プロセッサ131は、認識センサを用いて車両の周囲の物体を認識(検出)する。この物体認識に、画像生成装置1によって生成された画像が利用される。本実施の形態によれば、不可視光画像IMG_IRと可視光画像IMG_VIのうち周囲環境(シーン)に適したものが生成される。よって、物体認識が精度良く行われる。プロセッサ131は、物体認識の結果に基づいて、車両の走行プランや目標トラジェクトリを生成する。そして、プロセッサ131は、車両が目標トラジェクトリに追従するように車両走行制御を行う。
【0056】
画像生成装置1によって生成された画像は、車両の遠隔支援や遠隔運転に利用されてもよい。その場合、制御装置130は、遠隔支援装置(図示されない)と通信を行い、遠隔支援装置に画像を送信する。遠隔支援装置は、受信した画像を表示装置に表示する。遠隔オペレータは、表示された画像を見て、遠隔指示あるいは遠隔操作を行う。遠隔支援装置は、遠隔オペレータによる遠隔指示あるいは遠隔操作の情報を車両に送信する。制御装置130は、受信した遠隔指示あるいは遠隔操作に従って車両走行制御を行う。
【0057】
以上に説明されたように、画像生成装置1によって生成された画像は車両制御に利用され得る。本実施の形態によれば、不可視光画像IMG_IRと可視光画像IMG_VIのうち周囲環境(シーン)に適したものが生成される。すなわち、不必要なデモザイク処理を抑制しつつ、車両制御の精度も確保することが可能となる。
【符号の説明】
【0058】
1 画像生成装置
10 撮像素子
11 カラーフィルタアレイ
12 センサアレイ
20 プロセッサ
21 デモザイク処理部
22 画像圧縮部
23 デモザイク手法決定部
30 記憶装置
40 照度情報取得装置
100 車両制御システム
110 センサ群
120 走行装置
130 制御装置
ILUM 照度情報
IMG_IR 不可視光画像
IMG_VI 可視光画像
RAW_IR 第1受光データ
RAW_VI 第2受光データ