(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-14
(45)【発行日】2025-01-22
(54)【発明の名称】制御装置、プログラム、及び、電力管理システム
(51)【国際特許分類】
H02J 3/00 20060101AFI20250115BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20250115BHJP
H02J 3/32 20060101ALI20250115BHJP
B60L 53/63 20190101ALI20250115BHJP
B60L 53/66 20190101ALI20250115BHJP
B60L 53/67 20190101ALI20250115BHJP
B60L 53/68 20190101ALI20250115BHJP
【FI】
H02J3/00 170
H02J7/00 P
H02J7/00 B
H02J3/00 180
H02J3/32
B60L53/63
B60L53/66
B60L53/67
B60L53/68
(21)【出願番号】P 2021132847
(22)【出願日】2021-08-17
【審査請求日】2023-11-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森 純一
(72)【発明者】
【氏名】伴 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】清原 達郎
(72)【発明者】
【氏名】間庭 佑太
(72)【発明者】
【氏名】西川 裕己
【審査官】鈴木 智之
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-044972(JP,A)
【文献】特開2012-115066(JP,A)
【文献】国際公開第2018/061857(WO,A1)
【文献】国際公開第2012/120976(WO,A1)
【文献】特開2019-087087(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0180336(US,A1)
【文献】特開2020-129917(JP,A)
【文献】特開2012-115065(JP,A)
【文献】特開2015-163027(JP,A)
【文献】特開2015-163026(JP,A)
【文献】特開2015-022469(JP,A)
【文献】特開2012-221496(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/00
H02J 7/00
H02J 3/32
B60L 53/63
B60L 53/66
B60L 53/67
B60L 53/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電動車両のそれぞれのSOC情報及び充電要求信号に基づいて充電総需要を算出し、算出した充電総需要に基づいて、充電設備によって前記電動車両を充電するための電力を管理する電力需給運用計画を作成する演算を行うプロセッサを有する、
制御装置
であって、
前記プロセッサは、
前記SOC情報及び前記充電要求信号に基づいて、前記電動車両の充電電力の期待値を算出し、算出した前記期待値を前記複数の電動車両について積算することによって、前記充電総需要を算出し、
前記プロセッサは、
前記期待値を算出する際に用いる、SOCに応じて前記電動車両が充電を実施する可能性を表した確率である充電確率を、災害時に平時よりも高く設定する、
制御装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、
前記充電総需要を、発電計画、蓄電計画、または、買電計画へ反映させるように、前記電力需給運用計画を作成する演算を行う、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、
前記複数の電動車両のそれぞれに推奨する前記充電設備を選定する、
請求項1
または2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、
推奨する前記充電設備に関する情報の信号を、前記電動車両に搭載された車載情報端末と、前記電動車両のドライバーが所有する携帯情報端末との少なくとも一方に出力する、
請求項
3に記載の制御装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、
推奨する前記充電設備の使用予定情報を更新する、
請求項
3または
4に記載の制御装置。
【請求項6】
複数の電動車両のそれぞれのSOC情報及び充電要求信号に基づいて充電総需要を算出し、算出した充電総需要に基づいて、充電設備によって前記電動車両を充電するための電力を管理する電力需給運用計画を作成する演算をプロセッサに実行させる、
プログラム
であって、
前記プロセッサに、
前記SOC情報及び前記充電要求信号に基づいて、前記電動車両の充電電力の期待値を算出し、算出した前記期待値を前記複数の電動車両について積算することによって、前記充電総需要を算出する制御を実行させ、
前記プロセッサに、
前記期待値を算出する際に用いる、SOCに応じて前記電動車両が充電を実施する可能性を表した確率である充電確率を、災害時に平時よりも高く設定する制御を実行させる、
プログラム。
【請求項7】
前記プロセッサに、
前記充電総需要を、発電計画、蓄電計画、または、買電計画へ反映させるように、前記電力需給運用計画を作成する演算を実行させる、
請求項
6に記載のプログラム。
【請求項8】
前記プロセッサに、
前記複数の電動車両のそれぞれに推奨する前記充電設備を選定する制御を実行させる、
請求項
6または7に記載のプログラム。
【請求項9】
前記プロセッサに、
推奨する前記充電設備に関する情報の信号を、前記電動車両に搭載された車載情報端末と、前記電動車両のドライバーが所有する携帯情報端末との少なくとも一方に出力する制御を実行させる、
請求項
8に記載のプログラム。
【請求項10】
前記プロセッサに、
推奨する前記充電設備の使用予定情報を更新する制御を実行させる、
請求項
8または
9に記載のプログラム。
【請求項11】
SOC情報及び充電要求信号を出力する第1のプロセッサを有する電動車両と、
複数の電動車両のそれぞれの前記SOC情報及び前記充電要求信号に基づいて充電総需要を算出し、算出した充電総需要に基づいて、充電設備によって前記電動車両を充電するための電力を管理する電力需給運用計画を作成する演算を行う第2のプロセッサを有する制御装置と、
を備える電力管理システム
であって、
前記第2のプロセッサは、
前記SOC情報及び前記充電要求信号に基づいて、前記電動車両の充電電力の期待値を算出し、算出した前記期待値を前記複数の電動車両について積算することによって、前記充電総需要を算出し、
前記第2のプロセッサは、
前記期待値を算出する際に用いる、SOCに応じて前記電動車両が充電を実施する可能性を表した確率である充電確率を、災害時に平時よりも高く設定する、
電力管理システム。
【請求項12】
前記第2のプロセッサは、
前記充電総需要を、発電計画、蓄電計画、または、買電計画へ反映させるように、前記電力需給運用計画を作成する演算を行う、
請求項
11に記載の電力管理システム。
【請求項13】
前記第2のプロセッサは、
前記複数の電動車両のそれぞれに推奨する前記充電設備を選定する、
請求項
11または12に記載の電力管理システム。
【請求項14】
前記第2のプロセッサは、
推奨する前記充電設備に関する情報の信号を、前記電動車両に搭載された車載情報端末と、前記電動車両のドライバーが所有する携帯情報端末との少なくとも一方に出力する、
請求項
13に記載の電力管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、制御装置、プログラム、及び、電力管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、電動車両が使用する充電器の割り当てと充電開始時刻と充電必要量とを含む充電計画にしたがって、充電器のオンとオフとを制御する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複数の電動車両の充電需要が大きい場合には、充電設備によって電動車両を充電するための電力を管理する電力需給運用計画が破綻するおそれがある。
【0005】
本開示は、上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、電力需給運用計画が破綻することを抑制できる制御装置、プログラム、及び、電力管理システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る制御装置は、複数の電動車両のそれぞれのSOC情報及び充電要求信号に基づいて充電総需要を算出し、算出した充電総需要に基づいて、充電設備によって前記電動車両を充電するための電力を管理する電力需給運用計画を作成する演算を行うプロセッサを有する。
【0007】
本開示に係るプログラムは、複数の電動車両のそれぞれのSOC情報及び充電要求信号に基づいて充電総需要を算出し、算出した充電総需要に基づいて、充電設備によって前記電動車両を充電するための電力を管理する電力需給運用計画を作成する演算をプロセッサに実行させる。
【0008】
本開示に係る電力管理システムは、SOC情報及び充電要求信号を出力する第1のプロセッサを有する電動車両と、複数の電動車両のそれぞれの前記SOC情報及び前記充電要求信号に基づいて充電総需要を算出し、算出した充電総需要に基づいて、前記充電設備によって前記電動車両を充電するための電力を管理する電力需給運用計画を作成する演算を行う第2のプロセッサを有する制御装置と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示においては、電力需給運用計画が破綻することを抑制できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施形態に係る電力管理システムの概略構成を示した図である。
【
図2】
図2は、管理サーバの概略構成を示した図である。
【
図3】
図3は、電動車両の概略構成を示した図である。
【
図4】
図4は、充電設備の概略構成を示した図である。
【
図5】
図5は、災害情報管理装置の概略構成を示した図である。
【
図6】
図6は、電動車両の車両制御装置が実施する制御ルーチンを示した図である。
【
図7】
図7は、管理サーバのサーバ制御装置が実施する電力需給運用計画の算出制御ルーチンを示した図である。
【
図8】
図8は、管理サーバのサーバ制御装置が実施する推奨充電設備の選定制御ルーチンを示した図である。
【
図9】
図9は、管理サーバのサーバ制御装置が実施する災害時における充電確率マップの制御ルーチンを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本開示に係る制御装置、プログラム、及び、電力管理システムの実施形態について説明する。なお、本実施形態により本開示が限定されるものではない。
【0012】
図1は、実施形態に係る電力管理システム1の概略構成を示した図である。電力管理システム1は、管理区域100内に設けられた、管理サーバ10、複数の電動車両20A,20B,20C、複数の充電設備30A,30B,30C、災害情報管理装置40、及び、ネットワークNWなどによって構成されている。
【0013】
なお、以下の説明において、電動車両20A,20B,20Cを特に区別しないときには、単に電動車両20と記す。また、充電設備30A,30B,30Cを特に区別しないときには、単に充電設備30と記す。また、
図1では、説明の便宜上、3台の電動車両20A,20B,20C、及び、3つの充電設備30A,30B,30Cのみを示すが、管理区域100内に設けられる複数の電動車両20及び複数の充電設備30の数としては、特に限定されるものではない。
【0014】
電力管理システム1は、例えば、複数の充電設備30A,30B,30Cによって複数の電動車両20A,20B,20Cを充電するための電力を管理する電力需給運用計画に基づいて、複数の充電設備30A,30B,30Cから複数の電動車両20A,20B,20Cへの電力の供給を管理サーバ10によって管理している。
【0015】
管理サーバ10、複数の電動車両20A,20B,20C、複数の充電設備30A,30B,30C、及び、災害情報管理装置40は、ネットワークNWを介して互いに通信が可能に構成されている。
【0016】
図2は、管理サーバ10の概略構成を示した図である。管理サーバ10は、サーバ制御装置11、記憶装置12、及び、通信装置13などを備えている。
【0017】
サーバ制御装置11は、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、及び、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等からなるプロセッサと、RAM(Random Access Memory)、及び、ROM(Read Only Memory)等からなるメモリと、を備えている。サーバ制御装置11は、記憶装置12に格納されたプログラムをメモリの作業領域にロードして実行し、プログラムの実行を通じて各構成部等を制御することにより、所定の目的に合致した機能を実現する。
【0018】
記憶装置12は、EPROM(Erasable Programmable ROM)、ハードディスクドライブ(Hard Disk Drive:HDD)、及び、リムーバブルメディア等の記録媒体から構成される。リムーバブルメディアとしては、例えば、光ディスク(CD(Compact Disc)-RまたはCD-ROM、DVD(Digital Versatile Disc)-RまたはDVD-ROM、BD(Blu-ray(登録商標) Disc)等)、フラッシュメモリ(USB(Universal Serial Bus)メモリ、メモリカード等)等の記録媒体が挙げられる。記憶装置12には、オペレーティングシステム(Operating System:OS)、各種プログラム、各種テーブル、及び、各種データベース等が記憶可能であり、例えば、管理区域100内における複数の充電設備30によって複数の電動車両20を充電するための電力を管理する電力需給運用計画が格納されている。また、記憶装置12には、複数の電動車両20A,20B,20Cのそれぞれを特定するための固有の情報である電動車両IDと、複数の充電設備30A,30B,30Cのそれぞれを特定するための固有の情報である充電設備IDとが記憶されている。
【0019】
通信装置13は、例えば、LAN(Local Area Network)インターフェースボード、及び、無線通信のための無線通信回路等から構成される。通信装置13は、公衆通信網であるインターネット等のネットワークNWに接続されている。そして、通信装置13は、ネットワークNWに接続することにより、サーバ制御装置11とネットワークNWとの間で双方向通信を実現する。
【0020】
図3は、電動車両20の概略構成を示した図である。電動車両20は、車両制御装置21、記憶装置22、通信装置23、受電装置24、及び、車載バッテリ25などを備えている。なお、車両制御装置21、記憶装置22、及び、通信装置23の物理的な構成は、例えば、管理サーバ10が備える、サーバ制御装置11、記憶装置12、及び、通信装置13と同様である。
【0021】
受電装置24は、充電設備30から受電して車載バッテリ25に電力を供給する。なお、受電装置24の受電方式は、例えば、接触式受電と非接触式受電との少なくとも一方の公知の受電方式を採用することができる。
【0022】
車載バッテリ25は、例えば、ニッケル水素電池やリチウムイオン電池等の二次電池からなり、受電装置24を介して充電設備30から供給される電力によって充電されたり、電動車両20のモータやインバータなどからなる駆動装置に電力を供給したりする。なお、車載バッテリ25としては、電気二重層キャパシタ等のキャパシタも採用可能である。
【0023】
図4は、充電設備30の概略構成を示した図である。充電設備30は、充電制御装置31、記憶装置32、通信装置33、及び、給電装置34などを備えている。なお、充電制御装置31、記憶装置32、及び、通信装置33の物理的な構成は、例えば、管理サーバ10が備える、サーバ制御装置11、記憶装置12、及び、通信装置13と同様である。
【0024】
給電装置34は、例えば、電力系統50などの商用電源に接続されており、電動車両20に設けられた受電装置24に給電する。なお、給電装置34の給電方式としては、例えば、接触式給電と非接触式給電との少なくとも一方の公知の給電方式を採用することができる。
【0025】
図5は、災害情報管理装置40の概略構成を示した図である。災害情報管理装置40は、情報制御装置41、記憶装置42、及び、通信装置43などを備えている。なお、情報制御装置41、記憶装置42、及び、通信装置43の物理的な構成は、例えば、管理サーバ10が備える、サーバ制御装置11、記憶装置12、及び、通信装置13と同様である。
【0026】
災害情報管理装置40は、例えば、管理区域100に関する災害情報を管理サーバ10へ、ネットワークNWを介して出力する装置である。情報制御装置41は、例えば、天気予報を発信している公的機関または民間機関や、国や地方自治体の防災センターなどから、大雨、洪水、台風、及び、地震などの災害に関する情報(以下、災害情報ともいう)を取得して記憶装置42に記憶させる。そして、情報制御装置41は、記憶装置42に記憶させた災害情報を通信装置43によって管理サーバ10に出力する。なお、災害情報には、今後予測される災害の発生予測時刻なども含まれる。
【0027】
図1に戻って、電力系統50は、例えば、電気事業者などが提供する発電所及び送配電設備などから構成される電力網である。
【0028】
発電設備60は、例えば、水素供給源から供給される水素を利用して発電を行う燃料電池などによって構成されている。なお、発電設備60としては、石油系燃料やアルコールなどの液体燃料を利用して内燃機関を動作させて回転電機により発電を行う構成であってもよい。発電設備60によって発電した電力は、電力ケーブルなどを介して充電設備30や蓄電設備70などに供給される。
【0029】
蓄電設備70は、例えば、リチウムイオン電池またはニッケル水素電池などの二次電池を備えている。なお、蓄電設備70には、電気二重層キャパシタ等のキャパシタも採用可能である。蓄電設備70は、電力系統50や発電設備60から供給される電力を蓄電したり、充電設備30へ放電したりすることが可能である。
【0030】
ここで、管理区域100内に点在している複数の充電設備30で電動車両20が車載バッテリ25の充電を行う場合に、複数の充電設備30のそれぞれの使用状況によっては、使用可能な充電設備30を探し回らなければならないおそれがある。また、管理区域100内において、複数の電動車両20による充電総需要が大きい場合には、充電計画が破綻するおそれがある。
【0031】
そのため、実施形態に係る電力管理システム1においては、管理サーバ10のサーバ制御装置11が、複数の電動車両20のそれぞれの車載バッテリ25の残量の情報であるSOC(State Of Charge)情報及び充電要求信号に基づいて、複数の電動車両20のそれぞれの充電電力の期待値を算出し、算出した期待値を管理区域100内の複数の電動車両20について積算することによって、充電総需要を算出する。そして、管理サーバ10は、算出した充電総需要に基づいて電力需給運用計画を作成する。この際、サーバ制御装置11は、前記充電総需要を、発電設備60による発電計画、蓄電設備70による蓄電計画、または、電力系統50からの買電計画へ反映させるように、前記電力需給運用計画を作成する。
【0032】
図6は、電動車両20の車両制御装置21が実施する制御ルーチンを示した図である。なお、本制御ルーチンは、例えば、1秒周期で実施される。
【0033】
まず、車両制御装置21は、ステップS1において、車載バッテリ25のSOCを算出する。次に、車両制御装置21は、ステップS2において、ドライバーからの充電要求が有るか否かを判断する。車両制御装置21は、ドライバーからの充電要求が有ると判断した場合(ステップS2にてYes)、ステップS3において、充電要求信号をONにする。次に、車両制御装置21は、ステップS4において、充電設備30で車載バッテリ25の充電が実施されて、車載バッテリ25の充電が完了したか否かを判断する。車両制御装置21は、車載バッテリ25の充電が完了したと判断した場合(ステップS4にてYes)、ステップS5において、充電要求信号をOFFにする。次に、車両制御装置21は、ステップS6において、通信装置23によってSOC情報の信号と充電要求信号(OFF)とを、ネットワークNWなどを介して管理サーバ10に出力する。そして、車両制御装置21は、本制御ルーチンを終了する。
【0034】
また、ステップS4において、車両制御装置21は、充電設備30で車載バッテリ25の充電を実施しておらず、車載バッテリ25の充電が完了していないと判断した場合(ステップS4にてNo)、ステップS6において、通信装置23によってSOC情報の信号と充電要求信号(ON)とを、ネットワークNWなどを介して管理サーバ10に出力する。そして、車両制御装置21は、本制御ルーチンを終了する。
【0035】
また、ステップS2において、ドライバーからの充電要求がないと判断した場合(ステップS2にてNo)、ステップS5において、充電要求信号をOFFにする。次に、車両制御装置21は、ステップS6において、通信装置23によってSOC情報の信号と充電要求信号(OFF)とを、ネットワークNWなどを介して管理サーバ10に出力する。そして、車両制御装置21は、本制御ルーチンを終了する。
【0036】
図7は、管理サーバ10のサーバ制御装置11が実施する電力需給運用計画の算出制御ルーチンを示した図である。
【0037】
まず、サーバ制御装置11は、ステップS11において、電動車両20のSOC情報及び充電要求信号を取得する。次に、サーバ制御装置11は、ステップS12において、充電要求信号がONであるか否かを判断する。サーバ制御装置11は、充電要求信号がONであると判断した場合(ステップS12にてYes)、ステップS13において、充電確率を1と算出する。そして、サーバ制御装置11は、ステップS15に移行する。一方、サーバ制御装置11は、充電要求信号がONではないと判断した場合(ステップS12にてNo)、ステップS14において、管理サーバ10の記憶装置12に記憶されている、電動車両20のSOCに応じて充電確率が定まる、SOCと充電確率との関係を表した充電確率マップに基づいて、充電確率を算出する。そして、サーバ制御装置11は、ステップS15に移行する。
【0038】
次に、サーバ制御装置11は、ステップS15において、電動車両20が車載バッテリ25の充電にどれだけの充電電力を必要としているのかを示す期待値である充電期待値を算出する。なお、充電期待値は、例えば、充電期待値=(100[%]-SOC[%])/100×充電確率×車載バッテリの充電容量[kWh])の式で算出することができる。次に、サーバ制御装置11は、ステップS16において、管理区域100内における複数の電動車両20のそれぞれの充電期待値を積算して、充電電力の総需要(充電総需要)を算出する。次に、サーバ制御装置11は、ステップS17において、算出した充電電力の総需要(充電総需要)に基づいて、充電電力の総需要(充電総需要)を、CO2の排出量やコストなどを考慮した、発電計画、蓄電計画、または、買電計画へ反映させるように、電力需給運用計画を作成する演算を行う。そして、サーバ制御装置11は、本制御ルーチンを終了する。
【0039】
これにより、実施形態に係る電力管理システム1においては、管理区域100内における複数の電動車両20の充電電力の総需要(充電総需要)を事前に算出し、算出した充電電力の総需要(充電総需要)に基づいて電力需給運用計画を算出することによって、複数の電動車両20の充電需要が大きい場合に、電力需給運用計画が破綻することを抑制できる。
【0040】
また、実施形態に係る電力管理システム1においては、サーバ制御装置11が、複数の充電設備30から推奨する充電設備30を選定する。例えば、サーバ制御装置11は、複数の電動車両20のそれぞれの充電期待値や、複数の電動車両20の充電方式などに基づいて、複数の充電設備30から推奨する充電設備30を選定する。そして、サーバ制御装置11は、推奨する充電設備30に関する情報の信号を、電動車両20に搭載されたカーナビゲーションシステムなどの車載情報端末26と、電動車両20のドライバーが所有するスマートフォンなどの携帯情報端末との少なくとも一方に出力する。
【0041】
図8は、管理サーバ10のサーバ制御装置11が実施する推奨充電設備の選定制御ルーチンを示した図である。
【0042】
まず、サーバ制御装置11は、ステップS21において、電動車両20に関する情報及び当該電動車両20の充電期待値に基づいて、当該電動車両20に対して推奨する充電設備30を選定して割り当てる。次に、サーバ制御装置11は、ステップS22において、電力需給運用計画において、割り当てた充電設備30の使用予定情報を更新する。なお、前記使用予定情報は、例えば、使用開始時刻や使用終了見込み時刻などである。次に、サーバ制御装置11は、ステップS23において、電動車両20のドライバーが所有する携帯情報端末との少なくとも一方に、割り当てた充電設備30に関する情報の信号を出力する。
【0043】
これにより、電動車両20の使用者が、電動車両20の車載バッテリ25を充電するために推奨される充電設備30を事前に知ることができる。これにより、管理区域100内に点在している複数の充電設備30で電動車両20が車載バッテリ25の充電を行う場合に、使用可能な充電設備30を探し回るおそれがあることを抑制することができる。
【0044】
図9は、管理サーバ10のサーバ制御装置11が実施する災害時における充電確率マップの制御ルーチンを示した図である。
【0045】
まず、サーバ制御装置11は、ステップS31において、災害情報管理装置40からの災害情報に基づいて、管理区域100内が災害時であるか否かを判断する。サーバ制御装置11は、管理区域100内が災害時であると判断した場合(ステップS31にてYes)、ステップS32において、管理サーバ10の記憶装置12に記憶している充電確率マップ値(SOC毎の充電確率)を嵩上げする(ステップS32)。そして、サーバ制御装置11は、本制御ルーチンを終了する。一方、サーバ制御装置11は、管理区域100内が災害時ではないと判断した場合(ステップS31にてNo)、ステップS33において、過去1週間分の電動車両20に関する情報を、電動車両20から取得して記憶装置12に蓄積する。次に、サーバ制御装置11は、ステップS34において、SOC毎(例えば、SOCが10[%]毎)の充電確率を算出する。次に、サーバ制御装置11は、ステップS35において、充電確率マップを学習する。充電確率マップの学習では、例えば、サーバ制御装置11は、SOCごとに、充電確率マップ値=充電確率×(1/n)+現在の充電確率マップ値×nの式を算出することによって充電確率マップ値を更新する。なお、前記式中のnは、なまし値であり、例えば、n=10とすることができる。そして、サーバ制御装置11は、充電確率マップを学習した後、本制御ルーチンを終了する。
【0046】
これにより、実施形態に係る電力管理システム1においては、平時よりも電動車両20の充電要求が高まると予測される災害時に、平時よりも充電確率を高く設定して電力需給運用計画を算出することができ、電力需給運用計画が破綻することを抑制することができる。
【0047】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。本開示のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付のクレームおよびその均等物によって定義される総括的な開示の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0048】
1 電力管理システム
10 管理サーバ
11 サーバ制御装置
12,22,32,42 記憶装置
13,23,33,43 通信装置
20,20A,20B,20C 電動車両
21 車両制御装置
24 受電装置
25 車載バッテリ
26 車載情報端末
30,30A,30B,30C 充電設備
31 充電制御装置
34 給電装置
40 災害情報管理装置
41 情報制御装置
50 電力系統
60 発電設備
70 蓄電設備
100 管理区域