(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-14
(45)【発行日】2025-01-22
(54)【発明の名称】光学構造体、転写箔、および物品
(51)【国際特許分類】
G02B 5/18 20060101AFI20250115BHJP
B42D 25/328 20140101ALI20250115BHJP
B42D 25/40 20140101ALI20250115BHJP
B32B 7/023 20190101ALI20250115BHJP
【FI】
G02B5/18
B42D25/328 100
B42D25/40 100
B32B7/023
(21)【出願番号】P 2021513699
(86)(22)【出願日】2020-04-09
(86)【国際出願番号】 JP2020015964
(87)【国際公開番号】W WO2020209331
(87)【国際公開日】2020-10-15
【審査請求日】2023-03-22
(31)【優先権主張番号】P 2019073860
(32)【優先日】2019-04-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(72)【発明者】
【氏名】南川 直樹
【審査官】植野 孝郎
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2016-0064707(KR,A)
【文献】特開2010-269480(JP,A)
【文献】国際公開第2018/070484(WO,A1)
【文献】特開2003-326824(JP,A)
【文献】特開2010-256595(JP,A)
【文献】国際公開第2006/095902(WO,A1)
【文献】特開平1-235988(JP,A)
【文献】国際公開第2014/141636(WO,A1)
【文献】国際公開第2012/161257(WO,A1)
【文献】特表2007-531906(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/18
G02B 5/32
G03H 1/00- 5/00
B32B 1/00-43/00
B42D25/00-25/485
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一面に凹凸形状を有する多層レリーフと、
前記第一面上に形成された、可視光を反射する反射層と、
を備え、
前記多層レリーフは、
非放射線硬化性のウレタン樹脂を主成分とし、かつ珪酸化合物を含まずに形成され、前記第一面を構成する第一樹脂層と、
放射線硬化樹脂を主成分とし、前記第一樹脂層の前記第一面と反対側の面に隣接する第二樹脂層と、を有し、
前記放射線硬化樹脂の融点が前記ウレタン樹脂の融点よりも高い、または前記放射線硬化樹脂が明確な融点を有さず、
前記第一樹脂層の厚さは、前記凹凸形状の凹凸差よりも小
さく、
前記第一樹脂層と前記第二樹脂層との境界部において、前記放射線硬化樹脂と前記ウレタン樹脂とが混合している、
光学構造体。
【請求項2】
前記第二樹脂層の厚さが前記第一樹脂層の厚さよりも大きい、
請求項1に記載の光学構造体。
【請求項3】
カルボキシル基、アミノ基、水酸基の少なくとも一つが、前記放射線硬化樹脂および前記ウレタン樹脂の両方に含まれている、
請求項1に記載の光学構造体。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の光学構造体を備える、転写箔。
【請求項5】
請求項1から3のいずれか一項に記載の光学構造体を備える、物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、光学レリーフを有する光学構造体、およびその製造方法に関する。さらに、この光学構造体を備えた転写箔および物品についても言及する。
本願は、2019年4月9日に出願された日本国特願2019-073860に対し優先権を主張し、その内容を援用する。
【背景技術】
【0002】
光学レリーフは、マイクロメートル~ナノメートルサイズの周期的又はランダムな凹凸構造で構成される。光学レリーフは、レリーフホログラム、回折格子、サブ波長格子、マイクロレンズ、偏光素子、スクリーンなどに用いられるフレネルレンズ板やレンチキュラー板、光ディスク、及び液晶装置のバックライト関連部品や拡散板、反射防止膜など各種の光学構造体として用いられる。
光学レリーフは、真贋確認用素子としても用いられる。光学レリーフを備えた身分証明用物品や有価物品は、偽造改ざん防止効果を飛躍的に高めることができ、物品自体の価値を高める。
【0003】
光学レリーフを連続的に大量複製するための代表的な手法として、「プレス法」(特許文献1参照)、「キャスティング法」(特許文献2参照)、「フォトポリマー法」(特許文献3参照)、等が知られている。
【0004】
フォトポリマー法は、2P法、感光性樹脂法とも呼ばれる。フォトポリマー法では、紫外線(UV)や電子線(EB)等の広義の放射線照射により硬化する放射線硬化性樹脂を、光学レリーフ複製用金型とプラスチックフィルム等の平担な基材との間に流し込み、放射線照射によって硬化させて硬化膜を得る。この硬化膜を基材とともに複製用金型から剥離することにより、高精細な光学レリーフを連続的に大量複製できる。フォトポリマー法は、熱可塑性樹脂を使用するプレス法やキャスティング法に比べて、光学レリーフを構成する凹凸形状の成形精度が高く、耐熱性や耐薬品性に優れる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】日本国特許第4194073号公報
【文献】日本国実用新案登録第2524092号公報
【文献】日本国特許第4088884号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
フォトポリマー法で作製された放射線硬化性樹脂による光学レリーフは、成形精度や耐熱性等に優れた利点を持つ一方で、これと接する反射層との密着が悪いという欠点を持つ。この原因の一つとして、放射線硬化樹脂の硬化時の体積収縮が考えられる。放射線硬化樹脂は非放射線硬化樹脂に比べて硬化時の体積収縮が大きいために、反射層との界面にひずみ応力が残り、ひずみ応力を起点とする密着不良が起こりやすいと考えられる。
【0007】
上記事情を踏まえ、本発明は、成形精度と耐熱性に優れ、かつ光学レリーフと反射層との密着性が良好な光学構造体およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第一の側面は、第一面に凹凸形状を有する多層レリーフと、第一面上に形成された、可視光を反射する反射層とを備えた光学構造体である。
多層レリーフは、非放射線硬化性のウレタン樹脂を主成分とし、かつ珪酸化合物を含まずに形成され、第一面を構成する第一樹脂層と、放射線硬化樹脂を主成分とし、第一樹脂層の前記第一面と反対側の面に隣接する第二樹脂層とを有する。
放射線硬化樹脂の融点はウレタン樹脂の融点よりも高い、または放射線硬化樹脂が明確な融点を有さない。
第一樹脂層の厚さは、凹凸形状の凹凸差よりも小さく、
第一樹脂層と第二樹脂層との境界部において、放射線硬化樹脂とウレタン樹脂とが混合している。
【0009】
本発明の第二の側面は、本発明の光学構造体を備えた転写箔である。
本発明の第三の側面は、本発明の光学構造体を備えた物品である。
【発明の効果】
【0011】
本発明の光学構造体は、成形精度と耐熱性に優れ、かつ光学レリーフと反射層との密着性が良好である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の第一実施形態に係る光学構造体の構造を概念的に説明する図である。
【
図2】同光学構造体の製造時の一過程を説明する図である。
【
図3】同光学構造体の製造時の一過程を説明する図である。
【
図4】同光学構造体の製造時の一過程を説明する図である。
【
図5】本発明の第二実施形態に係る転写箔の構造を概念的に説明する図である。
【
図6】同光学構造体を備えた物品の一例を概念的に説明する図である。
【
図7】
図6のI-I線における断面構造を概念的に説明する図である。
【
図8】走査電子顕微鏡で取得した実験例の光学構造体の断面像である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の第一実施形態について、
図1から
図4を参照しながら説明する。本発明の実施形態は、背景からの独自の単一の発明を元とする一群の実施形態である。また、本発明の各側面は、単一の発明を元とした一群の実施形態の側面である。本発明の各構成は、本発明の各側面を有しうる。本発明の各特徴(feature)は組合せ可能であり、各構成をなせる。したがって、本発明の各特徴(feature)、本発明の各構成、本発明の各側面、本発明の各実施形態は、組合せることが可能であり、その組合せは相乗的機能を有し、相乗的な効果を発揮しうる。
図1は、本実施形態の光学構造体1の構造を概念的に説明する図である。光学構造体1は、反射層10と、反射層10上に位置する第一樹脂層20と、第一樹脂層20上に位置する第二樹脂層30と、第二樹脂層30上に位置するキャリア40とを備える。第一樹脂層20と、第二樹脂層30とは、第一面2aに凹凸形状を有する多層レリーフ2を構成する。
【0014】
反射層10は、可視光を反射する透光性または隠蔽性の層であり、多層レリーフ2による光学効果を容易に視認可能とする。反射層10の材質は、金属とできる。金属は、純金属または、合金とできる。金属の材料の反射層は、隠蔽性の層とできる。反射層10の材質は、金属化合物とできる。金属化合物の材料の反射層は、透光性の層とできる。反射層10の材料は、アルミニウム、アルミニウム合金、硫化亜鉛、二酸化チタンとできる。アルミニウムまたはアルミニウム合金は安価で取り扱いが容易な金属である。硫化亜鉛は、可視光における屈折率が高く、加工が容易な金属化合物である。二酸化チタンは、屈折率が高い、透光性の金属化合物である。
【0015】
第一樹脂層20は、非放射線硬化樹脂を主成分として形成されている。第一樹脂層20は、多層レリーフの第一面2aを構成する。第一樹脂層20の反射層10に対する密着性は、第二樹脂層30よりも高い。第一樹脂層20の材料は、均一な厚さの薄膜を形成でき、多層レリーフにおける光学レリーフの凹凸形状に追従できる可撓性を有するものがよい。第一樹脂層20の材料の実例は、アクリル系樹脂、セルロース系樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂等とできる。これら樹脂は、フッ素分子構造、シリコーン分子構造を有していてもよい。
第一樹脂層20は、無機粉体、離型剤、レベリング剤、ポリマー粉体、ワックス等の非放射線硬化樹脂以外の添加剤を含んでもよい。第一樹脂層20層に占める非放射線硬化樹脂の割合は、重量比で90%以上とできる。無機粉体の実例は、シリカ粉体である。ポリマー粉体の実例は、フッ素体、シリコーン粉体である。ワックスの実例は、ポリプロピレンワックス、ポリエチレンワックスである。離型剤の実例は、シリコーン、フッ素ポリマー、脂肪族ポリマーである。レベリング剤の実例は、シリコーン、フッ素ポリマー、脂肪族ポリマーである。これら添加剤は、離型剤とレベリング剤の双方の機能を有することもできる。または、ワックスを離型剤やレベリング剤とすることもできる。
脂肪族ポリマーの実例は、エーテルエステル、硫酸エステル塩、リン酸エステル塩、アミン塩、カルボン酸塩である。添加剤の重量比率は、0.3%以上、3%以下とできる。
第一樹脂層20の厚さは、光学レリーフの態様にもよるが、0.05μm~1μm程度とできる。第一樹脂層20は、コーティングにより形成できる。第一樹脂層20は、印刷で形成してもよい。コーティングとして、グラビアコーティング、ダイコーティングが適用できる。印刷は、グラビア印刷、シルクスクリーン印刷が適用できる。第一樹脂層20は、第二樹脂層30を全体的に覆ってもよい。
【0016】
第二樹脂層30は、放射線硬化樹脂を主成分として形成されている。第二樹脂層30は、第一樹脂層20の第一面2aと反対側の面に隣接している。
放射線硬化樹脂は、比較的低分子量の重合性化合物が放射線照射によって高分子化し硬化(反応)する樹脂である。第二樹脂層30の硬化に用いられる放射線は、紫外線(UV)、可視光線、ガンマー線、X線、または電子線(EB)等とでき、紫外線が好ましい。放射線として紫外線を用いる場合、光重合開始剤や重合禁止剤、及び/又は光重合促進剤を添加することによって重合を制御してもよい。
第二樹脂層30の材料となる重合性化合物は、不飽和結合を持つエポキシアクリレート、ウレタンアクリレート等とできる。
【0017】
第二樹脂層30は、放射線硬化樹脂が主成分である限りにおいて、他の樹脂を含有してもよい。
第二樹脂層30の厚さは、光学レリーフの態様にもよるが、1μm~10μm程度とできる。第二樹脂層30は、コーティングにより形成できる。第二樹脂層30は、印刷等で形成してもよい。コーティングとして、グラビアコーティング、ダイコーティングが適用できる。印刷は、グラビア印刷、シルクスクリーン印刷が適用できる。
また、第一樹脂層20の弾性率は、第二樹脂層30の弾性率より低くてもよい。また、硬化前の第二樹脂層30である前駆体層30p(後述)の弾性率は、第二樹脂層30の弾性率より低くてもよい。これにより、成形性が向上しやすい。弾性率は、ヤング率とできる。弾性率は、樹脂の温度が200℃のときの値とできる。弾性率は、光学構造体をカードに熱圧ラミネートする際に変形しないための条件とできる。
【0018】
キャリア40は、少なくとも、可視光の波長帯、および第二樹脂層30の主成分である放射線硬化樹脂を硬化する放射線の波長帯において透過性を有する。キャリア40は、プラスチックフィルムとできる。プラスチックフィルムの材料は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、および、ポリプロピレン(PP)等とできる。
【0019】
第一樹脂層20および第二樹脂層30で構成される多層レリーフ2は、反射層10側の面に微細な凹凸形状を有し、この凹凸形状が光学レリーフとして機能する。光学レリーフが有する光学効果は、光学回折効果、選択反射効果あるいは反射防止効果、等方性または異方性散乱効果、集光効果、偏光反射効果等であり、目視や機械観察等において、偽造改ざん防止や美観の向上等の効果を発現する。
光学レリーフは、光学効果を有する単位レリーフを一つ又は複数組み合わせて形成できる。単位レリーフの繰返し周期は、0.01μm~10μmとできる。単位レリーフをランダム配置して光学レリーフを構成することもできる。
【0020】
多層レリーフ2の第一面2aにおける最凸部2bと最凹部2cとの、光学構造体1の厚さ方向における距離(以下、「凹凸差」と称する。)D1は、第一樹脂層20の厚さT1よりも大きくてもよい。凹凸差は、0.03μm以上5μm以下とできる。
光学レリーフは、凹凸差が異なる単位レリーフを有していてもよい。凹凸差が異なる単位レリーフを有した光学レリーフは、成形時におけるエンボスシリンダーからの剥離性が凹凸差により部位ごとに異なるが、第一樹脂層20によりその差を緩和できる。
反射層10は、多層レリーフ2の凹凸形状に対応して、均一な厚さで形成できる。
【0021】
上記のように構成された本実施形態の光学構造体1の、製造手順の一例について説明する。この手順は、本実施形態に係る光学構造体の製造方法を含んでいる。
【0022】
まず、
図2に示すように、キャリア40上に、第二樹脂層30となる前駆体層30pと、第一樹脂層20とを、この順に形成する(ステップA)。
前駆体層30pを構成する低分子量の重合性化合物は、一般に有機溶剤に対して溶解しやすい。そのため、前駆体層30p上に第一樹脂層20を形成した際に、前駆体層30pが一部再溶解することがある。再溶解自体は、後述するようなメリットもあり、特に問題ないが、再溶解に伴って白濁等が生じると、前駆体層30pの硬化や光学構造体1の光学効果に悪影響を与える可能性がある。
白濁等は、前駆体層30pの材料と、第一樹脂層20の材料との相溶性を考慮することで防止できる。カルボキシル基、アミノ基、水酸基のいずれかが前駆体層30pの材料および第一樹脂層20の材料の両方に含まれるようにそれぞれの材料を選択すると、両者の相溶性が良好となり、白濁等を好適に防止できる。また、第一樹脂層20の材料をウレタン樹脂とし、前駆体層30pの材料をウレタン(メタ)アクリレートとすることができる。
【0023】
次に、
図3に示すように、光学レリーフの形状に対応する表面形状を有するエンボスシリンダー100を第一樹脂層20に押し当てて、エンボスシリンダー100の表面形状を第一樹脂層20に転写する(ステップB)。エンボスシリンダー100の表面形状の凹凸差D2は、形成する多層レリーフ2の凹凸形状に対応している。凹凸差D2は、第一樹脂層20の厚さT1よりも大きくてもよい。すなわち、凹凸差を第一樹脂層20で完全に吸収せず、第二樹脂層30の第一樹脂層20側の面もエンボスシリンダー100の表面形状に対応して変形させてもよい。
第一樹脂層20の厚さは均一とできる。一方で、第二樹脂層30の厚さは、表面の形状に応じて、変調している。第一樹脂層20の厚さの標準偏差は、平均厚みの30%以内とできる。第二樹脂層30の厚さの差は、凹凸差D2の80%以上、100%未満とできる。各樹脂層の厚さは、断面から10点の測定点を抽出し、各測定点の値の平均値とできる。
【0024】
適度に加熱されたエンボスシリンダー100を押し当てると、第一樹脂層20および前駆体層30pを軟化させつつ表面形状を転写できるため、光学レリーフを精度よく形成できる。ステップBの加工条件は、例えば50~200℃、1~50Kgf/cm2とできる。
【0025】
エンボスシリンダー100を第一樹脂層20に押し当てた状態で、キャリア40側から対応する放射線Raを前駆体層30pに照射する(ステップC)。放射線は、キャリア40を透過して前駆体層30pに到達する。前駆体層30pは放射線露光により硬化して、第二樹脂層30となる。
ステップBとステップCは、順に行われてもよいし、同時に行われてもよい。ステップBの後にステップCを行う場合、エンボスシリンダー100は、第一樹脂層20から離れてもよいが、エンボスシリンダー100と第一樹脂層20が一定の圧力で接触していると、光学レリーフを精度良く形成しやすい。
【0026】
次に、真空蒸着やスパッタリング等により第一樹脂層20上に反射層を形成する(ステップD)。反射層形成の前処理として、第一樹脂層20を表面処理してもよい。表面処理の実例は、コロナ処理、プラズマ処理である。
以上の工程を経て、本実施形態の光学構造体1が完成する。
【0027】
本実施形態の光学構造体1においては、多層レリーフ2が、非放射線硬化樹脂を主成分とする第一樹脂層20と放射線硬化樹脂を主成分とする第二樹脂層30とを有し、第一樹脂層20が反射層10と接している。第二樹脂層30よりも反射層10との密着性が高い第一樹脂層20を反射層10と接触させることにより、多層レリーフを放射線硬化樹脂層のみで構成する一般的なフォトポリマー法の構成に比べて、多層レリーフと反射層との密着性を高めることができる。
【0028】
また、第二樹脂層30と反射層10とが直接接触していないため、前駆体層30pが硬化する際に体積収縮が生じても、第二樹脂層30と反射層10の間に非放射線硬化性の第一樹脂層20があるため、その影響が第一樹脂層20と反射層10との界面に直接作用しない。その結果、多層レリーフと反射層との界面に歪みが生じにくく、歪みによる接合不良を防止しやすい。さらに、金属化合物は弾性が低く金属化合物の歪みによる接合不良が生じやすいが、金属化合物の材質の反射層でも、歪みによる接合不良を防止できる。
【0029】
さらに、第一樹脂層20の厚さが多層レリーフ2の凹凸差よりも小さければ、ステップBにおいて必ず第二樹脂層30がエンボスシリンダー100の凹凸形状に応じて変形し、ステップCにおいて変形した状態で硬化される。その結果、第一樹脂層20は、多層レリーフ2の凹凸形状に対応した形状の第二樹脂層30に支持され、第一樹脂層が多層レリーフの成形精度に強く影響する。
これにより、多層レリーフ2は、放射線硬化樹脂に比して成形精度に劣る非放射線硬化樹脂を主成分とする第一樹脂層20を最表面としながらも、高い成形精度を実現できる。第二樹脂層30を第一樹脂層20よりも厚くすると、この効果はさらに顕著になる。
【0030】
加えて、第二樹脂層30の融点が第一樹脂層20の融点よりも高ければ、製造後の光学構造体1に第一樹脂層20の主成分の融点以上の温度が作用した場合も、多層レリーフ2の凹凸形状は第二樹脂層30により維持されやすい。すなわち、光学構造体1の多層レリーフ2の耐熱性を向上できる。
第二樹脂層30の材料は、明確な融点を有さなくてもよい。この場合も、多層レリーフ2の凹凸形状は第二樹脂層30により維持されやすい。
【0031】
さらに、ステップCにおいて、前駆体層30pが第一樹脂層20に覆われており大気に露出しないため、前駆体層の硬化反応の際に大気中の酸素による重合阻害が発生しにくい。
【0032】
本実施形態の光学構造体1においては、ステップAにおいて前駆体層30pが再溶解すると、前駆体層30pと第一樹脂層20との境界部でそれぞれの樹脂材料が混合し、前駆体層30pと第一樹脂層20との間に明確な界面が存在しなくなることがある。このような状態でステップCにより前駆体層30pを硬化させると、第一樹脂層20と第二樹脂層30とは一体となり、層間剥離を生じにくい構造となる。すなわち、第一樹脂層20と第二樹脂層30との間に薄い混合層または混合領域が形成される。その結果、多層レリーフと反射層との密着性に加え、多層レリーフ内の層間の密着性も高めることができ、第一樹脂層と第二樹脂層との界面で生じる不要な反射光も低減される。
第一樹脂層20と第二樹脂層30との間に混合層または混合領域が存在する場合は、染色等により第一樹脂層の樹脂と第二樹脂層の樹脂とが混在する領域を特定し、その厚さ方向における中間部分を第一樹脂層20と第二樹脂層30との境界と定義する。
【0033】
本発明の第二実施形態について、
図5から
図7を参照して説明する。以降の説明において、既に説明したものと共通する構成については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0034】
図5は、本実施形態に係る転写箔51の構造を概念的に示す図である。転写箔51は、光学構造体1を備え、さらに離型層52および接着層53を備えている。
【0035】
離型層52は、キャリア40と第二樹脂層30との間に設けられた層である。離型層52は、キャリア40と第二樹脂層30との界面における層間接着力を低減し、キャリア40を光学構造体1から剥離しやすくする。
【0036】
離型層52は、樹脂と滑剤の混合物とできる。樹脂は、熱可塑性樹脂とできる。熱可塑性樹脂は、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、セルロース樹脂等とできる。滑剤は、ポリエチレンパウダー、シリコーン、および、カルナウバロウなどのワックスとできる。
離型層52の厚さは、0.01μm以上2μm以下とできる。
【0037】
接着層53は、反射層10上に設けられた層である。接着層53は、光学構造体1を他の媒体に取り付け可能とする。接着層53は常時接着性を発揮し、セパレータ等で覆われた構成であってもよい。あるいは、室温において接着層53が接着性を示さず、熱や光、圧力などの外的要因によって接着性を発現する構成であってもよい。
接着層53の材料は、熱可塑性樹脂とできる。熱可塑性樹脂は、変性アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂および、ウレタン樹脂等とできる。接着層53は、エラストマー材料を部分的に有してもよい。エラストマーの材質は、スチレン系、塩化ビニル系、オレフィン系、ウレタン系材料のブロック共重合体または混合物とできる。
【0038】
上記の構成を備えた本実施形態の転写箔51は、接着層53を対象物に接合させてキャリア40を剥離することにより、対象物の真贋確認用素子として機能させることができる。
【0039】
転写箔51の適用例を
図6および7に示す。
図6には、光学構造体1を備える物品の例として、カード60を示している。
図7は、
図6のI-I線における断面図である。
【0040】
カード60は身分証明体とできる。カード60の光学構造体1により、カードが真正であるか否かを検証できる。カード60には、光学構造体1に加えて、レーザー印字61および印刷62が、目視確認可能な状態で設けられている。
【0041】
カード60は、
図6に示すように、第一シート71と、第二シート72と、第一シート71および第二シート72を挟む2枚のラミネート材73とを備える。第一シート71には印刷62が形成されている。第二シート72には、レーザー印字61が形成され、接着層53を介して光学構造体1が接合されている。第一シート71および第二シート72を重ねた状態で厚さ方向両側からラミネート材73で挟み、熱圧ラミネート処理を行うと、第一シート71、第二シート72、およびラミネート材73が一体化したカード60を製造できる。カード60において、光学構造体は、内部に埋め込まれている。
光学構造体1は、転写箔51の接着層53を第二シート72に接合させ、キャリア40を剥離することにより第二シート72に取り付けることができる。
光学構造体1において、硬化後の第二樹脂層30は熱変形が低い。一方で、第一樹脂層20は低弾性で硬いため、凹凸形状を保持している第二樹脂層30が熱圧ラミネート処理の影響を受けにくく、変形しようとしても第一樹脂層20によって抑制される。その結果、多層レリーフの表面形状が好適に保持されたカード60を形成できる。
【0042】
第一シート71、第二シート72、およびラミネート材73は、透明性を有するプラスチックフィルムとできる。第一シート71の下面や下側のラミネート材73は、全面印刷等により隠蔽性に構成されてもよい。
プラスチックフィルムの材料は、PET、PEN、PP、ポリ塩化ビニル(PVC)、グリコール変性PET(PET-G)、および、ポリカーボネート(PC)などとできる。このうち、PVC、PET-G、および、PCのいずれかから形成されるプラスチックフィルムは、通常、各種カードのラミネート材やパスポートのラミネート材として用いられる。これらのプラスチックフィルムは、熱や圧力によって一体化させる加工が容易である点で好ましい。
【0043】
第一シート71、第二シート72、およびラミネート材73の厚さは、50μm以上500μm以下であることが好ましく、75μm以上400μm以下であることがより好ましい。厚さが50μm以上であることによって、物理的な強度が十分となり、取り扱いやすくなる。厚さが500μm以下であることによって、厚さばらつきや撓みが、物品の製造に影響しにくくなる。
【0044】
印刷62は、伝えるべき情報を付与する為に、任意の色彩で、全面又は文字や絵柄等のパターン状に設けられる。
印刷62は、インキを用いて形成できる。インキは、印刷方式に応じて、オフセットインキ、活版インキ、グラビアインキ等とできる。あるいは、組成の違いに応じて、樹脂インキ、油性インキ、水性インキ等とできる。さらに、乾燥方式の違いに応じて、酸化重合型インキ、浸透乾燥型インキ、蒸発乾燥型インキ、紫外線硬化型インキ等とできる。インキとして、光の照明角度又は観察角度に応じて色が変化する機能性インキを使用できる。機能性インキは、光学的変化インキ(Optical Variable Ink)、カラーシフトインキ、パールインキ等とできる。
【0045】
印刷62は、トナーを用いた電子写真法によっても形成できる。帯電性を持ったプラスチック粒子に黒鉛及び顔料等の色粒子を付着させたトナーを準備し、帯電による静電気を利用して、トナーを被印刷体に転写させ、これを加熱し定着させることで印刷62を形成できる。
【0046】
光学構造体1を取り付ける物品は、カード60のような身分証明体に限られない。ブランド価値の高い有価物品自体や、有価物品に取り付けられるタグ等に光学構造体1を取り付け、光学構造体1を有価物品の真贋確認用素子として機能させることもできる。
【0047】
本発明の光学構造体の実験的証拠は、以下の各実験および各比較実験により説明される。以降の記載において、特に断らない限り、「部」は、質量部を意味する。
【0048】
(実験例1に係る光学構造体の作製)
キャリアとして25μm厚のPETフィルム(東レ社製 ルミラー25T60)を使用した。キャリア上に、前駆体層インキをグラビア印刷法で厚み2μmにコートし、有機溶剤を揮発除去させて前駆体層を形成した。さらに、前駆体層上に第一樹脂層インキをグラビア印刷法で厚み0.1μmにコートし、有機溶剤を揮発除去させて第一樹脂層を形成した。
第一樹脂層に、凹凸差0.3μm、周期2μmの凹凸形状パターンを有する円筒状の金属製エンボスシリンダーを、圧力2Kgf/cm2、温度160℃、スピードを10m/minの条件で押し当てて第一樹脂層および前駆体層に凹凸形状を転写した。その後、高圧水銀灯を使用して前駆体層に300mJ/cm2の紫外線露光を行い、前駆体層を硬化させて第二樹脂層を形成した。
最後に、第一樹脂層上に、真空蒸着で硫化亜鉛(ZnS)からなる厚さ60nmの反射層10を形成し、光学構造体を作製した。
【0049】
実験例1で用いた前駆体層インキおよび第一樹脂層インキの組成を以下に示す。
(前駆体層インキ)
ウレタン(メタ)アクリレート 100部
(多官能、分子量20,000、nv=30%)
メチルエチルケトン 60部
酢酸エチル 40部
光開始剤(チバスペシャリティー製イルガキュア184) 3部
(第一樹脂層インキ)
ウレタン樹脂(軟化点140℃) 5部
メチルエチルケトン 35部
酢酸エチル 60部
【0050】
(実験例2に係る光学構造体の作製)
実験例2は、第一樹脂層に添加剤を含んだ構成の例である。
キャリアとして25μm厚のPETフィルム(ルミラー25T60)を使用した。キャリア上に、前駆体層インキをグラビア印刷法で厚み2μmにコートし、有機溶剤を揮発除去させて前駆体層を形成した。さらに、前駆体層上に第一樹脂層インキをグラビア印刷法で厚み0.1μmにコートし、有機溶剤を揮発除去させて第一樹脂層を形成した。
第一樹脂層に、凹凸差0.3μm、周期2μmの凹凸形状パターンを有する円筒状の金属製エンボスシリンダーを、圧力2Kgf/cm2、温度160℃、スピードを10m/minの条件で押し当てて第一樹脂層および前駆体層に凹凸形状を転写した。その後、高圧水銀灯を使用して前駆体層に300mJ/cm2の紫外線露光を行い、前駆体層を硬化させて第二樹脂層を形成した。
次に第一樹脂層上に、反射層形成の前処理として、コロナ処理を行った。コロナ処理の条件は、速度5m/min、出力0.2kW、放電距離は2mmである。
最後に、第一樹脂層上に、真空蒸着でZnSからなる厚さ60nmの反射層10を形成し、光学構造体を作製した。
【0051】
実験例2で用いた前駆体層インキおよび第一樹脂層インキの組成を以下に示す。
(前駆体層インキ)
ウレタン(メタ)アクリレート 100部
(多官能、分子量20,000、nv=30%)
メチルエチルケトン 60部
酢酸エチル 40部
光開始剤(イルガキュア184) 3部
(第一樹脂層インキ)
ウレタン樹脂(軟化点140℃) 5部
リン酸エステル塩 0.05部
メチルエチルケトン 35部
酢酸エチル 60部
【0052】
(比較実験1)
第一樹脂層を設けず、第二樹脂層上に反射層を形成した点を除き、実験例1と同様の手順で比較実験1の光学構造体を作製した。
【0053】
(比較実験2)
第一樹脂層の厚さを1μmとした点を除き、実験例1と同様の手順で比較実験2の光学構造体を作製した。比較実験2の第一樹脂層の厚さは、多層レリーフの凹凸形状の凹凸差の3倍以上である。
【0054】
(比較実験3)
第二樹脂層を設けず、第一樹脂層の厚さを2.1μmとした点を除き、実験例1と同様の手順で比較実験3の光学構造体を作製した。第二樹脂層を設けないため、紫外線露光も行わなかった。
【0055】
各例の光学構造体に対し、以下の項目について評価した。
(成形精度)
エンボスシリンダーの凹凸形状と、多層レリーフの凹凸形状の一致度合いにより、成形精度を評価した。エンボスシリンダーの凹凸形状と、多層レリーフの凹凸形状は、各種顕微鏡で観察することにより計測できる。
まず、所定範囲におけるエンボスシリンダーの凹凸形状と、それに対応する範囲の多層レリーフの凹凸形状について、凹凸差および凹凸間隔を測定した。次に、凹凸差および凹凸間隔のそれぞれについて、多層レリーフの測定値をエンボスシリンダーの測定値で除して一致度(%)を算出し、以下の基準で評価した。
○(good):一致度90%以上
×(bad):一致度90%未満
(多層レリーフと反射層との密着性)
各例の反射層にテープを貼り付け、JISH8504「めっきの密着性試験方法」に沿って剥離の有無を判定した。
○(good):剥がしたテープに反射層の付着なし
×(bad):剥がしたテープに反射層が付着
(耐熱性)
各例の光学構造体を、200℃、平圧プレス圧力200N/cm2の環境にて20分保持した。その後、多層レリーフの光学効果が維持されているかを目視により以下の2段階で評価した。
〇(good):光学効果に変化なし
×(bad):光学効果が消失している
結果を表1に示す。
【0056】
【0057】
各例の光学構造体は、多層レリーフの凹凸形状の成形精度、多層レリーフと反射層との密着性のいずれも良好であった。また、高温高圧環境下でも多層レリーフの光学効果が維持され、十分な耐熱性を示した。実験例2は、特にエンボスシリンダー加工における防汚性に優れており、加工後のシリンダー表面に付着する第一樹脂層材料の量が著しく少ない結果が得られた。
【0058】
比較実験1では、多層レリーフと反射層との密着性が低かった。これは、第一樹脂層がないことによるものと考えられた。
比較実験2では、成形精度および耐熱性が不十分であった。これは、第一樹脂層が厚すぎることにより、第二樹脂層が十分機能しないことによるものと考えられた。
比較実験3では、成形精度および耐熱性が不十分であった。これは、第二樹脂層がないことによるものと考えられた。
【0059】
走査電子顕微鏡(SEM)で取得した実験例1の断面像を
図8に示す。多層レリーフ2の表面形状の凹凸差D1が第一樹脂層20の厚さT1よりも大きい結果、第二樹脂層30は、第一樹脂層20側の面(破線Sで示す)に凹凸が生じた状態で硬化していることがわかる。
【0060】
以上、本発明の各実施形態、および実験例について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の構成の変更、組み合わせなども含まれる。
本開示で用いられる「部分」、「要素」、「画素」、「セル」、「セグメント」「単位」「表示体」、「物品」という用語は、物理的存在である。物理的存在は、物質的形態または、物質に囲まれた空間的形態を指すことができる。物理的存在は、構造体とできる。構造体は、特定の機能を有するものとできる。特定の機能を有した構造体の組合せは、各構造体の各機能の組合せにより相乗的効果を発現できる。
本開示および特に添付の特許請求の範囲内で使用される用語(例えば、添付の特許請求の範囲の本文)は、一般的に、「オープンな」用語として意図される(例えば、「有する」という用語は、「少なくとも有する」と解釈すべきであり、「含む」という用語は「含むがそれに限定されない」などと解釈されるべきである。
本発明の様々な実施形態が、関連する図面を参照して本明細書で説明される。本発明の範囲から逸脱することなく、代替実施形態を考案することができる。様々な接続および位置関係(例えば、上、下、隣接など)が、以下の説明および図面の要素間に示されているが、これらの接続および/または位置関係は、他に特定されない限り、直接的または間接的であり得、本発明は、この点で限定することを意図しない。したがって、エンティティの結合は、直接結合または間接結合のいずれかを指す。エンティティ間の位置関係は、直接または間接の位置関係にすることができる。間接的な位置関係の例として、本明細書における層「A」を層「B」の上に形成することへの言及は、1つ以上の中間層(例えば、層「C」)が層「A」と層「B」の間にある状況を含む。層「A」および層「B」の関連する特性および機能が中間層によって実質的に変更されない限り、層「A」と層「B」の間である。
以下の定義と略語は、クレームと仕様の解釈に使用される。本明細書で使用される場合、「備える」、「備える」、「含む」、「含む」、「有する」、「有する」、「含有する」または「含有する」という用語、またはそれらの他の変形は、例えば、要素のリストを含む組成物、混合物、プロセス、方法、物品、または装置は、必ずしもそれらの要素だけに限定されず、明示的にリストされていないか、またはそのような組成物、混合物、プロセス、方法に固有の他の要素を含むことができる。さらに、「例示的」という用語は、本明細書では、「例、事例、または例示として機能する」ことを意味するために使用される。
本明細書で「例示的」として説明される任意の実施形態または設計は、他の実施形態または設計よりも好ましいまたは有利であると必ずしも解釈されるべきではない。「少なくとも1つ」および「1つまたは複数」という用語は、1以上の任意の整数、すなわち、1、2、3、4などを含むと理解される。「複数」という用語は、任意の整数を含むと理解される「接続」という用語は、間接的な「接続」と直接的な「接続」を含むことができる。本明細書における「一実施形態」、「実施形態」、「例示的実施形態」などへの言及は、記載された実施形態が特定の特徴、構造、または特性を含み得ることを示すが、すべての実施形態は特定のことを含んでも含まなくてもよい。機能、構造、または特性、さらに、そのような語句は、必ずしも同じ実施形態を指しているわけではない。さらに、特定の特徴、構造、または特性が実施形態に関連して説明される場合、他の実施形態に関連してそのような特徴、構造、または特性に影響を与えるかどうかは、当業者の知識の範囲内である場合、明示的に説明されていないことがある。
説明の目的のために、「上部」、「下部」、「右」、「左」、「垂直」、「水平」、「上部」、「下部」、およびそれらの派生語は、説明された構造に関係するものとする。および図面の図に示されている方法。「上にある」、「上に」、「上に」、「上に配置」または「上に配置」という用語は、第1の構造などの第1の要素が第2の構造などの第2の要素上に存在することを意味する。インターフェース構造などの介在要素は、第1の要素と第2の要素との間に存在することができる。「約」、「実質的に」、「およそ」、およびそれらの変形という用語は、出願時に利用可能な機器に基づく特定の量の測定に関連する誤差の程度を含むことを意図している。例えば、「約」は、所与の値の±8%または5%、または2%の範囲を含むことができる。本明細書で使用される場合、使用される本発明の成分、成分、または反応物の量を変更する「約」という用語は、例えば、濃縮物を製造するために使用される典型的な測定および液体処理手順を通じて起こり得る数値の変動を指す。さらに、変動は、測定手順における不注意な誤差、組成物の製造または方法の実施に使用される成分の製造、供給源、または純度の違いなどから生じる可能性がある。一態様では、「約」という用語は、記載された数値の10%以内を意味する。別の態様では、「約」という用語は、記載された数値の5%以内を意味する。さらに、別の態様では、「約」という用語は、記載された数値の10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1%以内を意味する。層、領域などの要素が別の要素の「上」または「上」にあると呼ばれる場合、それは他の要素上に直接存在し得るか、または介在要素も存在し得ることも理解されよう。対照的に、要素が別の要素の「直接上」または「直接上」にあると呼ばれる場合、介在する要素は存在しない。本発明の様々な実施形態の説明は、例示の目的で提示されたが、網羅的であること、または開示された実施形態に限定されることは意図されていない。説明された実施形態の範囲および精神から逸脱することなく、多くの修正および変形が当業者には明らかであろう。本明細書で使用される用語は、実施形態の原理、市場で見られる技術に対する実際の適用または技術的改善を最もよく説明するか、または当業者が本明細書に記載の実施形態を理解できるようにするために選択された。
また、用語、構成、特徴(feature)、側面、実施形態を解釈する場合、必要に応じて図面を参照すべきである。図面により、直接的かつ一義的に導き出せる事項は、テキストと同等に、補正の根拠となるべきである。
さらに、特定の数の導入された請求項の記載が意図される場合、そのような意図は、請求項に明示的に記載され、そのような記載がない場合、そのような意図は存在しない。例えば、理解を助けるために、以下の添付の特許請求の範囲は、「少なくとも1つ」および「1つまたは複数」の導入句の使用を含み、請求の列挙を導入することができる。しかしながら、そのような語句の使用は、不定冠詞「a」または「an」によるクレーム記載の導入が、そのようなクレームを含む特定のクレームを、そのような記載を1つだけ含む実施形態に限定することを意味すると解釈されるべきではない。「1つ以上」または「少なくとも1つ」の冒頭の語句および「a」または「an」などの不定冠詞(例えば、「a」および/または「an」)は、少なくとも「少なくとも」を意味すると解釈されるべきである。「1つ」または「1つ以上」)。請求項の記述を導入するために使用される明確な記事の使用についても同様である。
【符号の説明】
【0061】
1 光学構造体
2 多層レリーフ
2a 第一面
10 反射層
20 第一樹脂層
30 第二樹脂層
30p 前駆体層
40 キャリア
51 転写箔
60 カード(物品、身分証明体)
100 エンボスシリンダー
D1 (多層レリーフの)凹凸差
D2 (エンボスシリンダー表面形状の)凹凸差
T1 (第一樹脂層の)厚さ