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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-14
(45)【発行日】2025-01-22
(54)【発明の名称】ステアリングホイール
(51)【国際特許分類】
   B60Q 3/283 20170101AFI20250115BHJP
   B62D 1/04 20060101ALI20250115BHJP
   B60Q 3/80 20170101ALN20250115BHJP
【FI】
B60Q3/283
B62D1/04
B60Q3/80
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2022050577
(22)【出願日】2022-03-25
(65)【公開番号】P2023143284
(43)【公開日】2023-10-06
【審査請求日】2024-03-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076473
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 昭夫
(72)【発明者】
【氏名】藪下 雅也
(72)【発明者】
【氏名】日比野 康司
(72)【発明者】
【氏名】大北 直之
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 彩加
【審査官】野木 新治
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-502493(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 3/283
B62D 1/04
B60Q 3/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
操舵中心軸を回転中心として回転操作する構成とされ、
前記操舵中心軸を囲むように配設されて、車両の操舵時に把持する操舵部と、
前記操舵部の中央側となる前記操舵中心軸側に配設されるボス部と、
前記操舵部と前記ボス部とを連結するスポーク部と、
を備える構成とされるとともに、
作動時に、運転者から視認可能な所定箇所を照射可能な照明装置を、配設させて構成されるステアリングホイールであって、
前記ボス部の周囲を覆うべゼルを、備え、
前記照明装置が、前記ボス部側における前記べゼルの内側となる位置に、配設されるとともに、前記操舵部と前記ボス部との間において、前記運転者の把持しない非把持部位に形成される凹んだ領域の内周面側で、かつ、前記照明装置と略対向する領域を、被照射領域として、作動時に、前記べゼルに形成される照射用開口を経て、前記被照射領域を直接的に照射するように、構成されていることを特徴とするステアリングホイール。
【請求項2】
前記被照射領域が、直進操舵時において、前記操舵中心軸よりも後方となる位置に、配設されていることを特徴とする請求項1に記載のステアリングホイール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操舵中心軸を回転中心として回転操作する構成とされるとともに、作動時に、運転者から視認可能な所定箇所を照射可能な照明装置を、配設させている構成のステアリングホイールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、照明装置を有したステアリングホイールとしては、操舵中心軸側に配設されるボス部の領域に、照明装置を配置させて、作動時に、運転者から視認可能な領域として、円環状の操舵部の内周側を照射させる構成のものがあった(例えば、特許文献1参照)。具体的には、従来のステアリングホイールでは、操舵部において、直進操舵時にボス部より前側に配置される領域の内周側を、照明装置により照射させていた。このような照明装置による所定箇所の照射は、発光状態を運転者に視認させることにより、運転者への注意喚起や警告のために行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-111440公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来のステアリングホイールでは、作動時に、照明装置によって、操舵部の内周側の領域を照射する構成であり、換言すれば、照明装置によって運転者が回転操作時に把持する領域を照射する構成であることから、走行時等に作動させる際に、運転者の手を照射してしまう場合もあり、作動時の視認性が良好でない場合があった。
【0005】
本発明は、上述の課題を解決するものであり、作動時における被照射領域の照射状態を、良好に視認可能なステアリングホイールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るステアリングホイールは、操舵中心軸を回転中心として回転操作する構成とされるもので、
操舵中心軸を囲むように配設されて、車両の操舵時に把持する操舵部と、
操舵部の中央側となる操舵中心軸側に配設されるボス部と、
操舵部とボス部とを連結するスポーク部と、
を備える構成とされるとともに、
作動時に、運転者から視認可能な所定箇所を照射可能な照明装置を、配設させて構成されるステアリングホイールであって、
照明装置が、ボス部側に配設されるとともに、作動時に、操舵部とボス部との間において、運転者の把持しない非把持部位に形成される凹んだ領域の内周面側で、かつ、照明装置と略対向する領域を、被照射領域として、被照射領域を照射するように、構成されていることを特徴とする。
【0007】
本発明のステアリングホイールでは、作動時の照明装置によって照射される被照射領域が、操舵部とボス部との間において運転者の把持しない非把持部位に形成される凹んだ領域から、構成され、照明装置は、作動時に、この凹んだ領域の内周面側からなる被照射領域を照射することとなる。すなわち、本発明のステアリングホイールでは、照明装置によって、運転者の把持しない領域(非把持部位)を照射させる構成であり、また、この照射される被照射領域は、非把持部位において凹んだ領域の内周面側であることから、運転者の手によって覆われない領域を確実に照射させることができ、かつ、昼間等においても、照射状態を安定して視認させることができる。
【0008】
したがって、本発明のステアリングホイールでは、作動時における被照射領域の照射状態を、良好に視認させることができる。
【0009】
また、本発明のステアリングホイールにおいて、被照射領域を、直進操舵時において、操舵中心軸よりも後方となる位置に、配設させる構成とすれば、昼間等においても、一層照射状態を視認しやすく、また、停車時等において下を見ている運転者の目に届きやすく、好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態であるステアリングホイールの概略平面図である。
図2】実施形態のステアリングホイールの概略縦断面図である。
図3】実施形態のステアリングホイールにおいて、芯金とベゼルとを示す概略分解斜視図である。
図4】実施形態のステアリングホイールにおいて、被照射領域の照射状態を示す部分拡大平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。実施形態のステアリングホイールWは、図1,2に示すように、操舵中心軸COを中心として回転操作する構成とされて、操舵中心軸COを構成するステアリングシャフトSSを囲むように配設される操舵部としての略円環状のリング部Rと、リング部Rの中央側に配設されてステアリングシャフトSSに連結されるボス部Bと、リング部Rとボス部Bとを連結するスポーク部Sと、を有して構成されている。実施形態のステアリングホイールWでは、スポーク部Sは、ボス部Bから左右両側に延びる左スポーク部SL,右スポーク部SRと、ボス部Bから後方に延びる後スポーク部SBと、を備える構成とされている。なお、実施形態のステアリングホイールWでは、各スポーク部S(左スポーク部SL,右スポーク部SR,後スポーク部SB)は、幅寸法を大きく設定されており、特に、後スポーク部SBは幅広となっていることから、運転者の把持できる部位ではなく、非把持部位となる。また、ステアリングホイールWは、構成部品としては、ボス部Bの上部のエアバッグ装置20と、ボス部B側に配設される照明装置30と、それ以外のステアリングホイール本体1と、備えて構成されている。
【0012】
なお、本明細書では、前後,上下,左右の方向は、特に断らない限り、車両に搭載させた状態のステアリングホイールWの直進操舵状態を基準として、ステアリングシャフトSS(操舵中心軸CO)に沿った方向を上下方向とし、ステアリングシャフトSS(操舵中心軸CO)と直交して車両の前後方向に略沿う方向を前後方向とし、ステアリングシャフトSS(操舵中心軸CO)と直交して車両の左右方向に略沿う方向を左右方向としている。
【0013】
ボス部Bの上部に配置されるエアバッグ装置20は、図1,2に示すように、折り畳まれて収納されるエアバッグ21と、エアバッグ21に膨張用ガスを供給するインフレーター22と、折り畳まれたエアバッグ21の上面側を覆うパッド23と、エアバッグ21とインフレーター22とパッド23とを保持する板金製のホルダ24と、板金製のリテーナ25と、を備えている。パッド23は、図1に示すように、ボス部Bの上面側を全面にわたって覆うように、配置されている。
【0014】
ステアリングホイール本体1は、図1,2に示すように、リング部R,ボス部B,スポーク部S(左スポーク部SL,右スポーク部SR,後スポーク部SB)を相互に連結するように配置される芯金2と、芯金2におけるリング部Rとスポーク部Sとの部位の周囲を覆う被覆層4と、左スポーク部SL,右スポーク部SRの上面側に配設されるカバー体5と、エアバッグ21の外周縁(すなわち、ボス部の周囲)から後スポーク部SBの上面側にかけてを覆うベゼル10と、ボス部Bの下面側を覆うロアカバー6と、を備えている。芯金2におけるボス部Bの部位には、ステアリングシャフトSSを挿入させてナットN止めするための鋼製のボス3が、配設されている。
【0015】
ベゼル10は、エアバッグ装置20の周囲を覆うとともに後スポーク部SBの左右の外方側を覆うべゼル本体11と、べゼル本体11の後端側に取り付けられて後スポーク部SBの左右の内方側を覆う内側カバー部17と、を備える構成とされている。
【0016】
べゼル本体11は、図3に示すように、エアバッグ装置20におけるパッド23の外周縁から下方に延びてエアバッグ装置20の外周側を覆う略円筒状の筒状部12と、筒状部12から後方に延びる左右の縦杆部15a,15aと、縦杆部15aの後端相互を連結する横杆部15bと、を備えた略U字状の環状部15と、を備えている。筒状部12において、エアバッグ装置20の後方を覆う後側部位12aにおける左右の略中央となる位置には、照明装置30から照射される可視光VLを透過可能に開口した照射用開口13が、形成されている(図2,3参照)。照射用開口13は、実施形態の場合、円形に開口して、筒状部12の上下の中央より下側となる領域に、形成されている。環状部15は、後スポーク部SBの領域に配置される部位であり、後スポーク部SBの左右の外方と、後端側の上面側と、を覆うように、配設される。
【0017】
内側カバー部17は、べゼル本体11の環状部15の内周側に配設されるもので、外形形状を、環状部15と略相似形とした略U字形状とされている。この内側カバー部17は、後スポーク部SBの内方側を覆うもので、詳細な図示は省略するが、べゼル本体11に対して、所定箇所をねじ止めされることにより、取り付けられている。
【0018】
照明装置30は、作動時に、図示しない運転者から視認可能な所定箇所を照射する構成とされるもので、ボス部B側に、配設されている。実施形態のステアリングホイールWでは、このボス部B側に配設される照明装置30によって照射される被照射領域は、ボス部Bと操舵部としてのリング部Rとの間において、運転者の把持しない非把持部位に形成される凹んだ領域の内周面側から、構成されている。詳細には、実施形態のステアリングホイールWでは、非把持部位である後スポーク部SBにおいて、ベゼル10(具体的には、べゼル本体11と内側カバー部17)に囲まれた領域の内周面側であって、かつ、照明装置30と略対向する領域(内側カバー部17における後側部位17aの領域)が、被照射領域LAを構成しており(図1,4参照)、このベゼル10における内側カバー部17の後側部位17a付近の領域が、作動時の照明装置30によって照射されることとなる(図4参照)。照明装置30は、ボス部Bの後端側であって、エアバッグ装置20の下方の領域に配設されるもので、図示しない基板と、基板に取り付けられる図示しない可視光光源(可視光LED)と、を、内蔵させたLEDユニットから、構成されている。照明装置30は、実施形態の場合、外形形状を、略四角柱形状として、一端側に可視光LEDを配設させて構成されるもので、作動時に、可視光VLを後上方に向かって発光可能とするように、可視光LED配設側の端部30aを下方に位置させるように上下方向に対して傾斜させて、図示しない所定箇所をロアカバー6側に取り付けられている(図2参照)。照明装置30は、図示しない作動回路と電気的に接続されるもので、この図示しない作動回路からの作動信号を受けて、所定色の可視光VLを発光させるように、可視光LEDを点灯可能とされている。そして、照明装置30の作動時に、端部30a側から発光される可視光VLは、図2に示すように、べゼル本体11の筒状部12に形成される照射用開口13を経て、後スポーク部SBにおいてベゼル10に囲まれた領域、具体的には、ベゼル10における内周側の領域である内側カバー部17の表面側を、直接的に、照射することとなる。さらに具体的には、照明装置30から発光される可視光VLは、内側カバー部17における後側部位17aの表面側を、主に照射することとなる。


【0019】
実施形態のステアリングホイールWでは、照明装置30に配設される図示しない可視光LEDは、例えば、運転者への注意喚起等の際に、図示しない作動回路からの作動信号を入力させて、点灯若しくは点滅される構成である。そして、可視光LEDの点灯時に、図2に示すように、可視光LEDから発光される可視光VLが、照射用開口13を経て、ベゼル10における内側カバー部17の領域を、照射することとなり、ステアリングホイールWを上面側から見た状態で、図4に示すように、内側カバー部17における後側部位17aの領域が光るような態様となる(光る状態を網掛表示している)。実施形態のステアリングホイールWにおける照明装置30の作動例としては、例えば、信号等において一旦停止している車両内で運転者が前方から視線を外して下方を見ているような時において、先行車両の発進を検知した際に、運転者に注意喚起を促すために作動させることを例示できる。
【0020】
そして、実施形態のステアリングホイールWでは、作動時の照明装置30によって照射される被照射領域LAが、操舵部としてのリング部Rとボス部Bとの間において運転者の把持しない非把持部位に形成される凹んだ領域(具体的には、後スポーク部SBにおけるベゼル10の配置領域)から、構成され、照明装置30は、作動時に、この被照射領域LA(具体的には、ベゼル10の内側カバー部17の内周面側であって、照明装置30と略対向する後側部位17aの領域)を照射することとなる。すなわち、実施形態のステアリングホイールWでは、照明装置30によって、運転者の把持しない領域(非把持部位)を照射させる構成であり、また、この照射される被照射領域LAは、非把持部位(後スポーク部SB)において凹んだ領域であることから、運転者の手によって覆われない領域を確実に照射させることができ、かつ、昼間等においても、照射状態を安定して視認させることができる。
【0021】
したがって、実施形態のステアリングホイールWでは、作動時における被照射領域LAの照射状態を、良好に視認させることができる。
【0022】
また、実施形態のステアリングホイールWでは、被照射領域LAは、後スポーク部SBに配設される構成であり、すなわち、直進操舵時において、操舵中心軸CO(ステアリングシャフトSS)よりも後方となる位置に、配設される構成である。そのため、昼間等においても、一層照射状態を視認しやすく、また、停車時等において下を見ている運転者の目に届きやすい。なお、このような点を考慮しなければ、被照射領域(非把持部位)は、直進操舵時のステアリングホイールにおける操舵中心軸よりも前方となる位置に、配設させる構成としてもよい。
【0023】
なお、実施形態のステアリングホイールWは、操舵部として、円環状のリング部Rを備える構成であるが、本発明を適用可能なステアリングホイールにおける操舵部は、操舵中心軸を囲むように配設される構成であれば、円環状に限定されるものではなく、例えば、操舵部として、四角環状のリング部を備えるタイプのステアリングホイールにも、本発明は適用可能である。また、実施形態のステアリングホイールWでは、照明装置30は、エアバッグ装置20の下方において、外周側をベゼル10におけるべゼル本体11の筒状部12とロアカバー6とによって覆われる領域に収納されて、照明装置30から発光される可視光VLを、ベゼル10に形成される照射用開口13を経て、後スポーク部SBを照射させる構成であるが、照明装置の配置位置等は、実施形態に限定されるものではない。例えば、ベゼルを備えないタイプのステアリングホイールにも、本発明は適用可能であり、この場合、ロアカバーに照射用開口を配設させる構成としてもよい。また、照明装置は、ボス部側に配設させる構成であれば、ロアカバーやベゼルによって外周側を覆われない構成としてもよい。
【符号の説明】
【0024】
1…ステアリングホイール本体、10…ベゼル、13…照射用開口、17…内側カバー部、20…エアバッグ装置、30…照明装置、LA…被照射領域、VL…可視光、B…ボス部、R…リング部(操舵部)、S…スポーク部、SB…後スポーク部(非把持部位)、W…ステアリングホイール。
図1
図2
図3
図4