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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-14
(45)【発行日】2025-01-22
(54)【発明の名称】駐車支援装置
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20250115BHJP
   G08G 1/14 20060101ALI20250115BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20250115BHJP
【FI】
G08G1/16 C
G08G1/14 A
G06T7/00 350B
G06T7/00 650Z
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2023512932
(86)(22)【出願日】2022-03-23
(86)【国際出願番号】 JP2022013721
(87)【国際公開番号】W WO2022215534
(87)【国際公開日】2022-10-13
【審査請求日】2023-07-03
(31)【優先権主張番号】P 2021063992
(32)【優先日】2021-04-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小久保 嘉人
(72)【発明者】
【氏名】末次 恵久
(72)【発明者】
【氏名】浅田 修作
【審査官】上野 博史
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-004368(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第110706509(CN,A)
【文献】特開2019-151181(JP,A)
【文献】特開2011-030140(JP,A)
【文献】小久保 嘉人 Yoshihito KOKUBO,軽量・低計算量モデルを利用した駐車スペース推定 Parking Space Estimation using Lightweight Model,電子情報通信学会技術研究報告 Vol.119 No.235 [online] IEICE Technical Report,日本,一般社団法人電子情報通信学会 The Institute of Electronics,Information and Communication Engineers,2019年11月19日,p.29-34
【文献】濱田 三弦 Mitsuru HAMADA,携帯機器を用いた口唇情報利用発声支援デバイスの開発,日本音響学会 2020年 春季研究発表会講演論文集CD-ROM [CD-ROM],2020年04月01日,p.1169~1170
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/16
G08G 1/14
G06T 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載された撮像装置により取得された撮像画像に基づいて前記車両を駐車領域に駐車させるための処理を行う駐車支援装置であって、
前記撮像画像を記憶する記憶部と、
前記撮像画像の全体を当該撮像画像よりピクセル数の小さな解像度の低解像度画像に変換する低解像度化部と、
記低解像度画像に基づいて前記撮像装置の撮像領域に存在する駐車領域を検出する第1処理部と、
前記第1処理部が前記駐車領域を検出した場合、検出した当該駐車領域から目標駐車領域を選択する選択部と、
前記記憶部に記憶された前記低解像度画像より解像度の大きな前記撮像画像から、前記低解像度画像に基づいて検出された前記目標駐車領域を含む一部の領域を切り出した抽出画像を抽出する抽出部と、
前記抽出画像に基づいて前記車両を前記目標駐車領域に駐車させる際の目標停止位置を示す目標情報を生成する第2処理部と、
を備え、
前記第1処理部は、第1学習済みモデルを利用して前記低解像度画像を解析した結果に基づいて前記駐車領域を検出し、
前記第2処理部は、所定のサイズにリサイズされた前記抽出画像を前記第1学習済みモデルとは異なる第2学習済みモデルを利用して解析した結果に基づいて前記目標駐車領域を検出する、
駐車支援装置。
【請求項2】
前記目標情報に基づいて前記車両の走行機構に対する指示信号を生成する第1プロセッサと、
前記第1プロセッサと情報の送受が可能に接続し、前記第1学習済みモデルによる処理及び前記第2学習済みモデルによる処理を実行する第2プロセッサと、
を備える請求項1に記載の駐車支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、駐車支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の駐車を支援する装置において、車両に搭載された撮像装置により取得された撮像画像の解析結果に基づいて駐車領域を認識する技術が利用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-041176号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
駐車支援制御の品質を向上させるためには、駐車領域の認識精度を向上させることが必要となる。駐車領域の認識精度を向上させるためには、解析対象として高解像度の画像を用いることが有効であるが、画像の解像度が高いほど演算負荷が大きくなり、処理速度の低下、コストの増加等を招く可能性が高くなる。
【0005】
そこで、本開示の課題の一つは、演算負荷の増大を抑制しつつ駐車領域の認識精度を向上させることが可能な駐車支援装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、車両に搭載された撮像装置により取得された撮像画像に基づいて車両を駐車領域に駐車させるための処理を行う駐車支援装置であって、撮像画像を記憶する記憶部と、撮像画像の全体を当該撮像画像よりピクセル数の小さな解像度の低解像度画像に変換する低解像度化部と、低解像度画像に基づいて撮像装置の撮像領域に存在する駐車領域を検出する第1処理部と、第1処理部が前記駐車領域を検出した場合、検出した当該駐車領域から目標駐車領域を選択する選択部と、記憶部に記憶された低解像度画像より解像度の大きな撮像画像から、低解像度画像に基づいて検出された目標駐車領域を含む一部の領域を切り出した抽出画像を抽出する抽出部と、抽出画像に基づいて車両を目標駐車領域に駐車させる際の目標停止位置を示す目標情報を生成する第2処理部と、を備え、第1処理部は、第1学習済みモデルを利用して低解像度画像を解析した結果に基づいて駐車領域を検出し、第2処理部は、所定のサイズにリサイズされた抽出画像を第1学習済みモデルとは異なる第2学習済みモデルを利用して解析した結果に基づいて目標駐車領域を検出するものである。
【0007】
上記構成によれば、車両の周囲に存在する駐車領域を検出(探索)する際には低解像度画像が用いられ、検出された駐車領域から選択された目標駐車領域に車両を駐車させる際の目標停止位置を示す目標情報を生成する際には撮像画像から抽出された抽出画像が用いられる。このとき、撮像画像から1以上の駐車領域を検出するための処理と、抽出画像から1つの目標駐車領域を検出するための処理とを、それぞれ異なる学習済みモデルを利用して行うことにより、全体としての処理を効率化させることができる。また、目標駐車領域の形状に関わらず一定のサイズの抽出画像に対して解析を行うことができる。これにより、演算負荷の増大を抑制しつつ、駐車領域の認識精度を向上させ、駐車支援制御の品質を向上させることができる。
【0012】
また、駐車支援装置は、目標情報に基づいて車両の走行機構に対する指示信号を生成する第1プロセッサと、第1プロセッサと情報の送受が可能に接続し、第1学習済みモデルによる処理及び第2学習済みモデルによる処理を実行する第2プロセッサと、を備えてもよい。
【0013】
上記構成のように、走行機構を制御する処理と、学習済みモデルを利用して駐車領域を認識する処理とを、それぞれ異なるプロセッサに実行させることにより、特定のプロセッサに負荷が集中することを回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、実施形態に係る車両の構成の一例を示す図である。
図2図2は、実施形態に係る車両制御システムの構成を示すブロック図である。
図3図3は、実施形態に係る駐車支援装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
図4図4は、実施形態に係る撮像画像及び低解像度画像の一例を示す図である。
図5図5は、実施形態に係る抽出画像及び解析結果画像の一例を示す図である。
図6図6は、実施形態に係る駐車支援装置による処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の例示的な実施形態が開示される。以下に示される実施形態の構成、並びに当該構成によってもたらされる作用、結果、及び効果は、一例である。本発明は、以下の実施形態に開示される構成以外によっても実現可能であるとともに、基本的な構成に基づく種々の効果や派生的な効果のうち、少なくとも一つを得ることが可能である。
【0016】
図1は、実施形態に係る車両1の構成の一例を示す図である。車両1は、本実施形態に係る駐車支援装置により制御されるものであり、左右一対の前輪3Fと、左右一対の後輪3Rとを有する四輪自動車である。
【0017】
車両1は、複数(本実施形態では4つ)の撮像装置15a~15dを有する。撮像装置15a~15dは、車両1の周囲の領域を撮像領域とする。撮像装置15aは、車体2の後側の端部2e(例えばリヤトランクのドアの下部)に設けられ、車両1の後方の領域を撮像する。撮像装置15bは、車体2の右側の端部2fのドアミラー2gに設けられ、車両1の右側の領域を撮像する。撮像装置15cは、車体2の前側の端部2c(例えばフロントバンパー)に設けられ、車両1の前方の領域を撮像する。撮像装置15dは、車体2の左側の端部2dのドアミラー2gに設けられ、車両1の左側の領域を撮像する。撮像装置15a~15dのそれぞれは、それぞれの撮像領域に対応する撮像画像(画像データ)を取得する。以下、撮像装置15a~15dを区別する必要がない場合には、これらを総称して撮像装置15と記載する場合がある。
【0018】
図2は、実施形態に係る車両制御システム20の構成を示すブロック図である。本実施形態に係る車両制御システム20は、撮像装置15、制動機構22、駆動機構24、操舵機構26、変速機構28、車速センサ30、モニタ装置32、駐車支援装置34、及び車内ネットワーク36を有する。
【0019】
制動機構22は、車両1の減速させる機構である。制動機構22は、制動部40、制動制御部42、及び制動部センサ44を有する。制動部40は、例えば、ブレーキパッド、ブレーキディスク、ブレーキペダル等を含む。制動制御部42は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等を含む電子デバイスである。制動制御部42は、駐車支援装置34からの指示信号に基づいて制動部40を制御し、車両1の減速を制御する。制動部センサ44は、例えば、ブレーキペダルの位置を検出するセンサ等であり、その検出結果を車内ネットワーク36に出力する。
【0020】
駆動機構24は、車両1を駆動(加速)させる機構である。駆動機構24は、駆動部46、駆動制御部48、及び駆動部センサ50を有する。駆動部46は、例えば、内燃機関、電動モータ、アクセルペダル等を含む。駆動制御部48は、例えば、CPU等を含む電子デバイスである。駆動制御部48は、駐車支援装置34からの指示信号に基づいて駆動部46を制御し、車両1の速度又は加速度を制御する。駆動部センサ50は、例えば、アクセルペダル位置を検出するセンサ等であり、その検出結果を車内ネットワーク36に出力する。
【0021】
操舵機構26は、車両1の進行方向を変化させる機構である。操舵機構26は、操舵部52、操舵制御部54、及び操舵部センサ56を有する。操舵部52は、例えば、ハンドル(ステアリングホイール)等を含む。操舵制御部54は、例えば、CPU等を含む電子デバイスである。操舵制御部54は、駐車支援装置34からの指示信号に基づいて操舵部52を制御し、車両1の進行方向を制御する。操舵部センサ56は、例えば、ハンドルの回転角(操舵角)を検出するセンサ等であり、その検出結果を車内ネットワーク36に出力する。
【0022】
変速機構28は、車両1の変速比を変化させる機構である。変速機構28は、変速部58、変速制御部60、及び変速部センサ62を有する。変速部58は、例えば、オートマチックトランスミッション、無段変速機、マニュアルミッション、シフトレバー等を含む。変速制御部60は、例えば、CPU等を含む電子デバイスである。変速制御部60は、駐車支援装置34からの指示信号に基づいて変速部58を制御し、車両1の変速比を制御する。変速部センサ62は、例えば、シフトレバーの位置を検出するセンサ等であり、その検出結果を車内ネットワーク36に出力する。
【0023】
車速センサ30は、例えば、車両1の車輪3の回転量又は単位時間当たりの回転数を検出するセンサである。車速センサ30は、その検出結果を車内ネットワーク36へ出力する。
【0024】
モニタ装置32は、車両1の車室内のダッシュボード等に設けられるユーザインターフェースである。モニタ装置32は、表示部64、音声出力部66、及び操作入力部68を有する。
【0025】
表示部64は、駐車支援装置34が送信した画像データに基づき画像を表示する。表示部64は、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディプレイ等の表示装置である。表示部64は、例えば、自動運転と手動運転との切り替え、目標駐車領域の選択等の操作を可能にする画像を表示する。
【0026】
音声出力部66は、駐車支援装置34が送信した音声データに基づいて音声を出力する。音声出力部66は、例えば、スピーカである。
【0027】
操作入力部68は、乗員の入力を受け付ける。操作入力部68は、例えば、タッチパネルである。操作入力部68は、表示部64の表示画面に設けられている。操作入力部68は、表示部64が表示する画像を透過可能に構成されている。これにより、操作入力部68は、表示部64の表示画面に表示される画像を乗員に視認させることができる。操作入力部68は、表示部64の表示画面に表示される画像に対応した位置を乗員が触れることによって入力した指示を受け付けて、駐車支援装置34へ送信する。なお、操作入力部68は、タッチパネルに限らず、押しボタン式等のハードスイッチであってもよい。
【0028】
駐車支援装置34は、車両1を駐車領域に駐車させる際の走行を支援するための各種処理を行う電子制御ユニットである。本実施形態に係る駐車支援装置34は、CPU34a(第1プロセッサ)、ROM(Read Only Memory)34b、RAM(Random Access Memory)34c、表示制御部34d、音声制御部34e、SSD(Solid State Drive)34f、及びFPGA(Field Programmable Gate Array)34g(第2プロセッサ)を有する。CPU34a、ROM34b、及びRAM34cは、同一パッケージ内に集積されてもよい。
【0029】
CPU34aは、ROM34b等の不揮発性の記憶装置に記憶されたプログラムを読み出し、当該プログラムに従って各種の演算処理及び制御処理を実行する。本実施形態に係るCPU34aは、車両1の自動運転(半自動運転を含む)による駐車支援を実行する際に、車両の走行機構(制動機構22、駆動機構24、操舵機構26、及び変速機構28のうちの少なくとも1つ)を制御するための指示信号を生成する。
【0030】
ROM34bは、プログラム、プログラムの実行に必要なパラメータ等を記憶する。RAM34cは、CPU34aでの演算で用いられる各種のデータを一時的に記憶する。
【0031】
表示制御部34dは、駐車支援装置34での演算処理のうち、主として撮像装置15により取得された画像データの処理を実行する集積回路である。表示制御部34dは、例えば、表示部64に表示させる表示用の画像のデータ変換、撮像装置15からの画像データをCPU34aへ出力する際のデータ変換等を実行する。音声制御部34eは、駐車支援装置34での演算処理のうち、主として音声出力部66に出力させる音声の処理を実行する集積回路である。SSD34fは、書き換え可能な不揮発性の記憶装置であって、駐車支援装置34の電源がオフされた場合にあってもデータを維持する。SSD34fは、撮像装置15により取得された画像データ(撮像画像)を少なくとも一時的に記憶する。
【0032】
FPGA34gは、駐車支援装置34での演算処理のうち、主として撮像装置15により取得された撮像画像に基づいて駐車領域を認識するための解析処理を実行する。本実施形態に係るFPGA34gは、所定の機械学習(ディープラーニング)により作成された学習済みモデルを利用して撮像画像を解析するハードウェアである。
【0033】
車内ネットワーク36は、例えば、CAN(Controller Area Network)、LIN(Local Interconnect Network)等を含む。車内ネットワーク36は、制動機構22、駆動機構24、操舵機構26、変速機構28、車速センサ30、モニタ装置32の操作入力部68、駐車支援装置34等を互いに情報の送受が可能となるように接続する。
【0034】
なお、図2に示すハードウェア構成は一例であり、駐車支援装置34の構成は上記に限定されるものではない。
【0035】
図3は、実施形態に係る駐車支援装置34の機能構成の一例を示すブロック図である。本実施形態に係る駐車支援装置34は、取得部101、記憶部102、低解像度化部103、第1処理部104、選択部105、抽出部106、リサイズ部107、第2処理部108、及び走行制御部109を有する。これらの機能的構成要素は、上述したようなハードウェアと、プログラム等のソフトウェアとの協働により実現される。
【0036】
取得部101は、車両1の周囲を撮像した撮像画像を取得する。
【0037】
記憶部102は、取得部101により取得された撮像画像を記憶する。
【0038】
低解像度化部103は、記憶部102に記憶された(取得部101により取得された)撮像画像を低解像度化した低解像度画像を生成する。
【0039】
第1処理部104は、低解像度化部103により生成された低解像度画像に基づいて撮像装置15の撮像領域に存在する駐車領域を検出し、当該駐車領域に関する駐車領域情報を生成する。駐車領域とは、車両1が駐車可能な領域であり、例えば駐車場において駐車枠で区画された領域等である。駐車領域情報には、各駐車領域の位置、面積、形状等を推定可能にする情報が含まれ、例えば駐車枠の交点の位置、駐車枠の延長方向等を示す情報が含まれる。本実施形態に係る第1処理部104は、学習済みモデルである第1モデル111を利用して低解像度画像を解析し、その解析結果に基づいて駐車領域を検出(探索)する。
【0040】
選択部105は、第1処理部104により駐車領域が検出された場合、当該駐車領域から1つの目標駐車領域を選択する。目標駐車領域とは、車両1が最終的に駐車される駐車領域であり、駐車支援装置34により所定の条件に基づいて自動的に選択されてもよいし、ユーザにより手動で選択されてもよい。選択部105は、選択された目標駐車領域に関する目標駐車領域情報を生成する。目標駐車領域情報には、例えば目標駐車領域の位置、面積、形状等を示す情報が含まれる。
【0041】
抽出部106は、選択部105により生成された目標駐車領域情報に基づいて、記憶部102に記憶された撮像画像から目標駐車領域を含む抽出画像を抽出する。例えば、抽出画像は、撮像画像から目標駐車領域を含む一部の領域の画像を切り出すことによって抽出される。
【0042】
リサイズ部107は、抽出部106により抽出された抽出画像を所定のサイズに変換(リサイズ)する。
【0043】
第2処理部108は、リサイズ部107によりリサイズされた抽出画像に基づいて、車両1を目標駐車領域に駐車させる際の目標停止位置を示す目標情報を生成する。目標情報には、車両1と目標停止位置との位置関係を推定可能にする情報等が含まれ、例えば目標駐車領域の駐車枠の交点の位置、駐車枠の延長方向等を示す情報が含まれる。
【0044】
本実施形態に係る第2処理部108は、第2モデル121を有する。第2モデル121は、第1モデル111とは異なる学習済みモデルである。本実施形態に係る第2処理部108は、第2モデル121を利用して抽出画像(リサイズ後の抽出画像)を解析し、その解析結果に基づいて目標駐車領域内の目標停止位置を検出(捕捉)し、目標情報を生成する。また、第2モデル121は、第1処理部104(第1モデル111)により生成された駐車領域情報に含まれる、目標駐車領域の位置を示す補助情報を更に利用して抽出画像を解析してもよい。
【0045】
走行制御部109は、第2処理部108により生成された目標情報に基づいて、車両1の走行機構(制動機構22、駆動機構24、操舵機構26、及び変速機構28のうちの少なくとも1つ)を制御するための制御信号を生成する。
【0046】
上記構成によれば、車両の周囲に存在する駐車領域を検出(探索)する際には低解像度画像が用いられ、検出された駐車領域から選択された目標駐車領域に車両1を駐車させる際の目標停止位置を示す目標情報を生成する際には撮像画像から抽出された抽出画像が用いられる。これにより、演算負荷の増大を抑制しつつ、駐車領域の認識精度を向上させ、駐車支援制御の品質を向上させることができる。
【0047】
図4は、実施形態に係る撮像画像201及び低解像度画像202の一例を示す図である。ここで例示する撮像画像201は、車両1の後側の端部2eに設けられた撮像装置15aにより撮像された画像である。撮像画像201は、例えば、ピクセル数が1280*800程度の画像であり得る。この撮像画像201には、6つの駐車領域211A~211Fが含まれ、これらのうち2つの駐車領域211A,211Bは空き状態であり、4つの駐車領域211C~211Fには他の車両が駐車されている。以下、これらの駐車領域211A~211Fを総称して駐車領域211と記載する場合がある。
【0048】
図4の中央部には、撮像画像201を低解像度化した低解像度画像202が例示されている。低解像度画像202は、撮像画像201の全体を撮像画像201よりもピクセル数の小さい解像度の画像に変換することによって得られる。第1処理部104は、このような低解像度画像202を第1モデル111に入力して得られる解析結果に基づいて、車両1が駐車可能な駐車領域の候補を検出する。ここでは、図4の下部に示すように、空き状態の2つの駐車領域211A,211Bが候補として検出され、これらの駐車領域211A,211Bに関する駐車領域情報が生成される。
【0049】
図5は、実施形態に係る抽出画像231A,231B及び解析結果画像251の一例を示す図である。ここでは、上記のように検出された駐車領域211A,211Bのうち、車両1に最も近い駐車領域211Aが目標駐車領域225として選択された場合を例示する。この場合、記憶部102に記憶されている撮像画像201(図5の左上部)から、目標駐車領域225を含む抽出画像231A(図5の右上部)が抽出される。このとき、抽出画像231Aは、目標駐車領域225の全体を含むと共に、他の駐車領域(目標駐車領域225に隣接する駐車領域211B~211F)の全体を含まないように抽出される。抽出画像231Aは、所定のサイズの抽出画像231B(図5の右下部)にリサイズされる。リサイズ後の抽出画像231Bを第2モデル121に入力することで目標駐車領域225に対応する目標停止位置の検出が実行される。
【0050】
なお、本例ではリサイズ前の抽出画像231Aは長方形であり、リサイズ後の抽出画像231Bは正方形となっているが、リサイズの形態はこれに限定されるものではない。リサイズ前の抽出画像231Aの形状は、目標駐車領域225の形状等に応じて変化する。上記のようなリサイズを行うことにより、目標駐車領域225の形状に関わらず一定のサイズの抽出画像231Bを用いて第2モデル122による解析を実行できる。
【0051】
図5の左下部には、抽出画像231Bに対してなされた解析結果を撮像画像201に反映させた解析結果画像251が例示されている。解析結果画像251には、目標駐車領域225の位置、面積、形状等を示す情報が含まれており、このような解析結果画像251に基づいて、車両1の目標停止位置等を決定するための目標情報を生成できる。
【0052】
図6は、実施形態に係る駐車支援装置34による処理の一例を示すフローチャートである。取得部101が撮像画像201を取得すると、撮像画像201は記憶部102に記憶される(S101)。低解像度化部103は、取得部101に取得された(記憶部102に記憶された)撮像画像201を低解像度化し、低解像度画像202を生成する(S102)。
【0053】
第1処理部104は、低解像度画像202を第1モデル111に入力し、撮像領域(車両1の周囲)に存在する駐車領域211に関する駐車領域情報を生成する(S103)。選択部105は、第1処理部104により駐車領域211が検出された場合、駐車領域情報に基づいて1以上の駐車領域211から所定の条件に適合する目標駐車領域225を選択する(S104)。抽出部106は、記憶部102に記憶されている撮像画像201から、目標駐車領域225を含む抽出画像231Aを抽出する(S105)。リサイズ部107は、抽出画像231Aを所定のサイズの抽出画像231Bにリサイズする(S106)。第2処理部108は、リサイズ後の抽出画像231Bを第2モデル121に入力し、目標駐車領域225に対応する目標停止位置を示す目標情報を生成する(S107)。走行制御部109は、目標情報に基づいて車両1の走行を制御し(S108)、車両1が目標停止位置に到達した場合(S109:Yes)には本ルーチンを終了する。車両1が目標停止位置に到達していない場合(S109:No)には、前時点での検出目標位置や車両移動距離等を利用して再度目標駐車領域225を含む抽出画像231Aを抽出及びリサイズし、ステップS107(目標情報の再生成)が実行される。
【0054】
上述したような各種処理を駐車支援装置34に実行させるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、CD-R、メモリカード、DVD(Digital Versatile Disk)、フレキシブルディスク(FD)等のコンピュータで読み取り可能な記憶媒体に記憶されてコンピュータプログラムプロダクトとして提供されてもよい。また、プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するようにしてもよい。また、プログラムを、インターネット等のネットワーク経由で提供又は配布するようにしてもよい。
【0055】
上記実施形態によれば、車両1の周囲に存在する1以上の駐車領域211を検出(探索)する際には低解像度画像202が用いられ、1以上の駐車領域211から選択された目標駐車領域225を検出(捕捉)する際には高解像度の抽出画像231A,231Bが用いられる。これにより、演算負荷の増大を抑制しつつ、駐車領域の認識精度を向上させ、駐車支援制御の品質を向上させることができる。
【0056】
以上、本発明の実施形態を説明したが、上記実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、又は変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0057】
1…車両、2…車体、3…車輪、15,15a~15d…撮像装置、20…車両制御システム、22…制動機構、24…駆動機構、26…操舵機構、28…変速機構、30…車速センサ、32…モニタ装置、34…駐車支援装置、34a…CPU(第1プロセッサ)、34g…FPGA(第2プロセッサ)、36…車内ネットワーク、101…取得部、102…記憶部、103…低解像度化部、104…第1処理部、105…選択部、106…抽出部、107…リサイズ部、108…第2処理部、109…走行制御部、111…第1モデル(第1学習済みモデル)、121…第2モデル(第2学習済みモデル)、201…撮像画像、202…低解像度画像、211A~211F…駐車領域、225…目標駐車領域、231A,231B…抽出画像、251…解析結果画像
図1
図2
図3
図4
図5
図6