(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-14
(45)【発行日】2025-01-22
(54)【発明の名称】情報処理方法、情報処理装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H02J 3/00 20060101AFI20250115BHJP
B60L 55/00 20190101ALI20250115BHJP
G06Q 50/06 20240101ALI20250115BHJP
H02J 13/00 20060101ALI20250115BHJP
H02J 7/00 20060101ALN20250115BHJP
【FI】
H02J3/00 180
B60L55/00
G06Q50/06
H02J13/00 311R
H02J7/00 P
(21)【出願番号】P 2023532887
(86)(22)【出願日】2021-07-05
(86)【国際出願番号】 JP2021025330
(87)【国際公開番号】W WO2023281588
(87)【国際公開日】2023-01-12
【審査請求日】2023-11-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000003687
【氏名又は名称】東京電力ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】姉川 尚史
(72)【発明者】
【氏名】荒木 登
(72)【発明者】
【氏名】吉田 知
(72)【発明者】
【氏名】今津 知也
【審査官】杉田 恵一
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-081722(JP,A)
【文献】特開2021-093802(JP,A)
【文献】国際公開第2013/115318(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/130930(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 55/00
G06Q 50/06
H02J 3/00
H02J 7/00
H02J 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アグリゲータ
からの指令に従って充放電可能な充放電器への電気自動車の接続状況を示す情報を取得し、
充放電の有無に関わらず、前記充放電器に前記電気自動車が接続されている並列待機時間に応じて、前記電気自動車による前記アグリゲータへの貢献度を特定し、
特定した前記貢献度に応じて、前記電気自動車のユーザに対応付けて特典を付与する
処理をコンピュータが実行する情報処理方法。
【請求項2】
前記アグリゲータが指定した指定時間帯における前
記並列待機時間に基づき、前記貢献度を特定する
請求項
1に記載の情報処理方法。
【請求項3】
前記充放電器が接続されている送配電網における電力需給の調整依頼を取得し、
前記調整依頼において指定された調整時間帯における前
記並列待機時間に基づき、前記貢献度を特定する
請求項1
又は2に記載の情報処理方法。
【請求項4】
前記貢献度に応じて、分散配置された公共充電器における充電料金の精算に利用可能な前記特典を付与する
請求項1~
3のいずれか1項に記載の情報処理方法。
【請求項5】
前記公共充電器における充電料金と交換可能なポイントを前記特典として付与する
請求項
4に記載の情報処理方法。
【請求項6】
前記公共充電器において無償で充電可能な無償化期間を前記特典として付与する
請求項
4又は5に記載の情報処理方法。
【請求項7】
前記ユーザによる前記公共充電器での利用時に、前記ユーザに対応する前記特典を記憶部から読み出し、
読み出した前記特典に応じて、前記充電料金の精算処理を実行する
請求項
4~6のいずれか1項に記載の情報処理方法。
【請求項8】
前記充放電器又は公共充電器への前記電気自動車の接続時に、前記充放電器又は公共充電器の識別子と、前記ユーザ又は前記電気自動車の識別子とを取得し、
前記充放電器又は公共充電器の識別子と、前記電気自動車又はユーザの識別子と、前記電気自動車の接続日時とを対応付けて記憶部に記憶する
請求項1~
7のいずれか1項に記載の情報処理方法。
【請求項9】
前記記憶部に記憶された各充放電器又は各公共充電器の接続履歴に基づき、各充放電器又は各公共充電器に対する電気自動車の接続動向を予測する
請求項
8に記載の情報処理方法。
【請求項10】
前記ユーザが新たに前記充放電器を導入したことを示す導入情報を取得し、
前記導入情報を取得した場合、前記ユーザに対応付けて前記特典を付与する
請求項1~
9のいずれか1項に記載の情報処理方法。
【請求項11】
アグリゲータ
からの指令に従って充放電可能な充放電器への電気自動車の接続状況を示す情報を取得する取得部と、
充放電の有無に関わらず、前記充放電器に前記電気自動車が接続されている並列待機時間に応じて、前記電気自動車による前記アグリゲータへの貢献度を特定する特定部と、
特定した前記貢献度に応じて、前記電気自動車のユーザに対応付けて特典を付与する付与部と
を備える情報処理装置。
【請求項12】
アグリゲータ
からの指令に従って充放電可能な充放電器への電気自動車の接続要求であって、前記アグリゲータが指定した指定時間帯を含む接続要求を取得し、
前記指定時間帯と、
充放電の有無に関わらず該指定時間帯に前記充放電器へ前記電気自動車を接続した
並列待機時間に応じて付与される特典の数量とを表示部に表示し、
前記接続要求を承認するか否かの操作入力をユーザから受け付ける
処理をコンピュータに実行させるプログラム。
【請求項13】
アグリゲータの管理下にある充放電器への電気自動車の接続状況を示す情報を取得し、
前記接続状況に応じて、前記電気自動車による前記アグリゲータへの貢献度を特定し、
特定した前記貢献度に応じて、前記電気自動車のユーザに対応付けて、公共空間に分散配置された公共充電器における充電料金の精算に利用可能な特典を付与する
処理をコンピュータが実行する情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理方法、情報処理装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
電力の送配電網における需給調整のために、電気自動車を分散電源として活用する方法が提案されている。例えば特許文献1では、充電ステーションを有する駐車場に利用者が電気自動車を駐車し、充電ステーションを介して電力系統に電力を供給、又は充電を行った場合、その充放電の取引情報に応じて、利用者に対し駐車料等に利用可能な報酬ポイントを設定する車両管理システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に係る発明は、特定の駐車場に車両を駐車した利用者に対して報酬ポイントを設定するものに過ぎず、例えば自宅、職場など、任意の場所で充放電を行う場合にユーザへ特典を付与するものではない。
【0005】
一つの側面では、分散電源として電気自動車を好適に活用することができる情報処理方法等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一つの側面に係る情報処理方法は、アグリゲータからの指令に従って充放電可能な充放電器への電気自動車の接続状況を示す情報を取得し、充放電の有無に関わらず、前記充放電器に前記電気自動車が接続されている並列待機時間に応じて、前記電気自動車による前記アグリゲータへの貢献度を特定し、特定した前記貢献度に応じて、前記電気自動車のユーザに対応付けて特典を付与する処理をコンピュータが実行する。
【発明の効果】
【0007】
一つの側面では、分散電源として電気自動車を好適に活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】充放電管理システムの構成例を示す説明図である。
【
図4】ユーザDB、調整予定DB、充放電器DB及び公共充電器DBのレコードレイアウトの一例を示す説明図である。
【
図7】ポイント付与処理の手順を示すフローチャートである。
【
図8】ポイント利用処理の手順を示すフローチャートである。
【
図10】接続動向の予測処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
(実施の形態1)
図1は、充放電管理システムの構成例を示す説明図である。本実施の形態では、電力需給を調整するアグリゲータの管理下にある充放電器3に電気自動車を接続した場合に、その電気自動車の接続によるアグリゲータへの貢献度に応じて、電気自動車のユーザに特典を付与する充放電管理システムについて説明する。
【0010】
本実施の形態に係る充放電管理システム(以下、「本システム」と呼ぶ)について説明する前に、本システムの運営形態について説明する。本システムの運営者は、リソースアグリゲータ(RA:Resource Aggregator)と、eモビリティサービスプロバイダ(eMSP:e-Mobility Service Provider)とを兼務し、電力の供給力及び調整力を一般送配電事業者等に提供すると共に、公共空間に設置された充電器における充電時の認証、課金等を担う。
【0011】
リソースアグリゲータとは、小規模なエネルギーリソース(発電設備、蓄電設備及び/又は負荷設備)を多数集め、大規模電源と同等の電力供給力、需給調整力として活用する事業者である。リソースアグリゲータは、複数の需要家のエネルギーリソースを束ねて電力需給を統合制御し、一般送配電事業者、小売事業者等との間で電力の売買取引を行う。
【0012】
なお、本明細書で言うアグリゲータは、需要家のエネルギーリソースを直接制御するリソースアグリゲータに限定されず、複数のリソースアグリゲータを束ねるアグリゲーションコーディネータであってもよい。すなわち、アグリゲータは、複数の需要家のエネルギーリソースを直接的又は間接的に統合制御可能な事業者であればよい。
【0013】
eモビリティサービスプロバイダとは、公共空間等に設置された充電器の課金インフラを開発し、ユーザが充電器を利用する際のユーザ認証、充電料金の精算等を担う事業者である。eモビリティサービスプロバイダは、各ユーザの支払い情報(クレジットカード情報など)を一元管理し、提携事業者の充電器でユーザが充電を行う場合に、そのユーザの認証(例えばICカードを使ったID認証)、充電完了後の精算等を行う。
【0014】
以下、本システムについて説明する。本システムは、情報処理装置1、端末2、充放電器3、公共充電器4を含む。各装置は、インターネット等のネットワークNに接続されている。また、充放電器3及び公共充電器4は送配電網Sに接続されており、送配電網Sとの間で電力の授受を行う。なお、
図1では充放電器3及び公共充電器4が一つずつ図示しているが、充放電器3及び公共充電器4はそれぞれ複数存在するものとして説明する。
【0015】
情報処理装置1は、種々の情報処理、情報の送受信が可能な情報処理装置であり、例えばサーバコンピュータ、パーソナルコンピュータ等である。本実施の形態では情報処理装置1がサーバコンピュータであるものとし、以下では簡潔のためサーバ1と読み替える。
【0016】
サーバ1は本システムの運営者のサーバコンピュータであり、アグリゲータ(運営者)の管理下にある充放電器3への電気自動車の接続状況に応じて、電気自動車によるアグリゲータへのユーザの貢献度(例えば送配電網Sにおける電力の需給調整にどの程度貢献したか)を特定し、ユーザに特典を付与する。具体的には後述の如く、サーバ1は、公共空間に分散配置された公共充電器4における充電料金の精算に利用可能なポイント(クレジット)を付与する。特典を付与することで、アグリゲータにとっては充放電器3への電気自動車の接続率等を向上させつつ、電気自動車のユーザにとっては負担となっている公共充電サービスへの加入料を軽減することができる。
【0017】
端末2は、本システムの会員であるユーザが使用する情報処理端末であり、例えばスマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ等である。後述するように、サーバ1は、一般送配電事業者等からの調整依頼に応じて、充放電器3への電気自動車の接続要求を端末2に配信する。サーバ1は、当該接続要求に対する電気自動車の接続状況に応じて、ユーザにポイントを付与する。例えば端末2には、本実施の形態に係る処理を行うためのアプリケーションプログラムが予めインストールされており、端末2は当該アプリケーションプログラムを実行することでサーバ1から配信される接続要求を表示し(
図6参照)、ユーザに電気自動車を接続させる。
【0018】
充放電器3は、各需要家に設置された電気自動車の充電器であり、アグリゲータの管理下にある充電器である。充放電器3は、例えばユーザの自宅、職場等に設置されており、送配電網Sから電力の供給を受けての充電、及び電気自動車から送配電網Sへの放電(電力供給)を行う。充放電器3はサーバ1と通信可能に接続されており、サーバ1からの指令(デマンドレスポンス)に従って充放電を行うことができる。なお、後述の如く、充放電器3はユーザの所有物であってもよく、あるいはユーザに貸し与えられたリース製品であってもよい。
【0019】
公共充電器4は、本システムの運営者と提携する事業者が管理する充電器であり、公共空間(例えば駐車場、商業施設等)に分散配置された充電器である。公共充電器4は、外部のCPO(Charging Point Operator、充電器の設置、保守を行う事業者)や、運営者以外のeモビリティサービスプロバイダによって管理されている。なお、公共充電器4の管理者と本システムの運営者は同一であってもよい。
【0020】
なお、本実施の形態では、ポイントを付与するアグリゲータと、ポイントを利用した公共充電器4の充電料金の精算を行うeモビリティサービスプロバイダとが同一であるものとして説明するが、両者は別々の事業者であってもよい。例えばサーバ1は、アグリゲータとしての機能(充放電器3の管理)を実行するのみで、eモビリティサービスプロバイダとしての機能(充電料金の精算)は他のコンピュータが実行するようにしてもよい。このように、両者は別々であってもよい。なお、この場合、ポイントの付与及び管理は、サーバ1が実行する。
【0021】
図2は、サーバ1の構成例を示すブロック図である。サーバ1は、制御部11、主記憶部12、通信部13、表示部14及び補助記憶部15を備える。
【0022】
制御部11は、一又は複数のCPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro-Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)等の演算処理装置を有し、補助記憶部15に記憶されたプログラムP1を読み出して実行することにより、種々の情報処理、制御処理等を行う。主記憶部12は、SRAM(Static Random Access Memory)、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の一時記憶領域であり、制御部11が演算処理を実行するために必要なデータを一時的に記憶する。通信部13は、通信に関する処理を行うための通信モジュールであり、外部と情報の送受信を行う。表示部14は、液晶ディスプレイ等の表示画面であり、画像を表示する。
【0023】
補助記憶部15は、大容量メモリ、ハードディスク等の不揮発性記憶領域であり、制御部11が処理を実行するために必要なプログラムP1、その他のデータを記憶している。また、補助記憶部15は、ユーザDB151、調整予定DB152、充放電器DB153、公共充電器DB154を記憶している。ユーザDB151は、各ユーザの情報を格納するデータベースである。調整予定DB152は、電力需給の調整予定(スケジュール)を格納するデータベースである。充放電器DB153は、各充放電器3の情報を格納するデータベースである。公共充電器DB154は、各公共充電器4の情報を格納するデータベースである。
【0024】
なお、補助記憶部15はサーバ1に接続された外部記憶装置であってもよい。また、サーバ1は複数のコンピュータからなるマルチコンピュータであっても良く、ソフトウェアによって仮想的に構築された仮想マシンであってもよい。
【0025】
また、サーバ1は、非一時的なコンピュータ読取可能な記録媒体1aを読み取る読取部を備え、記録媒体1aからプログラムP1(プログラム製品)を読み込んでもよい。また、プログラムP1は単一のコンピュータ上で実行されてもよく、ネットワークNを介して相互接続された複数のコンピュータ上で実行されてもよい。
【0026】
図3は、端末2の構成例を示すブロック図である。端末2は、制御部21、主記憶部22、通信部23、表示部24、入力部25、及び補助記憶部26を備える。
【0027】
制御部21は、一又は複数のCPU等のプロセッサを有し、補助記憶部26に記憶されたプログラムP2を読み出して実行することにより、種々の情報処理を行う。主記憶部22は、RAM等の一時記憶領域であり、制御部21が演算処理を実行するために必要なデータを一時的に記憶する。通信部23は、通信に関する処理を行うための通信モジュールであり、外部と情報の送受信を行う。表示部24は、液晶ディスプレイ等の表示画面であり、画像を表示する。入力部25は、キーボード、マウス等の操作インターフェイスであり、ユーザから操作入力を受け付ける。補助記憶部26は、ハードディスク、大容量メモリ等の不揮発性記憶領域であり、制御部21が処理を実行するために必要なプログラムP2、その他のデータを記憶している。
【0028】
なお、端末2は、非一時的なコンピュータ読取可能な記録媒体2aを読み取る読取部を備え、記録媒体2aからプログラムP2(プログラム製品)を読み込んでもよい。また、プログラムP2は単一のコンピュータ上で実行されてもよく、ネットワークNを介して相互接続された複数のコンピュータ上で実行されてもよい。
【0029】
図4は、ユーザDB151、調整予定DB152、充放電器DB153及び公共充電器DB154のレコードレイアウトの一例を示す説明図である。
【0030】
ユーザDB151は、ユーザID列、ユーザ名列、支払い列、ポイント列を含む。ユーザID列は、各ユーザの識別子であるユーザIDを記憶している。ユーザ名列、支払い列、ポイント列はそれぞれ、ユーザIDと対応付けて、ユーザ名、ユーザとの間で精算を行う際に参照する支払い情報(例えばクレジットカード情報)、及びユーザが現在保有しているポイント数を記憶している。
【0031】
調整予定DB152は、日時列、対象列、調整量列、約定価格列、承認ユーザ列を含む。日時列は、電力需給の調整を予定している調整時間帯を記憶している。調整予定DB152に格納される調整時間帯は、一般送配電事業者等からの電力需給の調整依頼で指定された時間帯であり、例えば所定の電力市場(需給調整市場等)を介して、一般送配電事業者等との間で約定した電力売買取引において合意した調整時間帯である。対象列、調整量列、約定価格列、承認ユーザ列はそれぞれ、調整時間帯と対応付けて、調整対象となる送配電網Sの範囲、電力需給の調整量、約定価格、及び需給調整のための電気自動車の接続要求を承認したユーザのユーザIDを記憶している。なお、調整量の正負の符号は、正(プラス)がアグリゲータ管理下の需要家(充放電器3)からの電力供給、すなわち売電を表し、負(マイナス)が電力需要の創出、すなわち買電を表す。
【0032】
充放電器DB153は、充電器ID列、ユーザ列、場所列、接続履歴列を含む。充電器ID列は、各充放電器3の識別子である充放電器IDを記憶している。ユーザ列、場所列、接続履歴列はそれぞれ、充放電器IDと対応付けて、充放電器3のユーザ(所有者又は賃借人)のユーザID、充放電器3の設置場所、及び充放電器3における接続履歴(接続されていた日時及び充放電量)を記憶している。なお、充放電量の正負の符号は充電又は放電のいずれか(例えば正が放電、負が充電)を表す。
【0033】
公共充電器DB154は、充電器ID列、提携事業者列、場所列、接続履歴列を含む。充電器ID列は、各公共充電器4の識別子である充電器IDを記憶している。提携事業者列、場所列、及び接続履歴列はそれぞれ、充電器IDと対応付けて、公共充電器4を管理する提携事業者(CPO等)、公共充電器4の設置場所、及び公共充電器4における本システムのユーザの電気自動車の接続履歴(例えば接続されていた日時、充電量、ユーザID、充電料金及び充電時の使用ポイント数)を記憶している。
【0034】
図5は、実施の形態1の概要を示す説明図である。
図5では、アグリゲータに対するユーザの貢献度に応じてユーザに特典を付与すると共に、当該ポイントを使用して公共充電器4における充電を行う様子を図示している。
図5に基づき、本実施の形態の概要を説明する。
【0035】
まず、ユーザに対する特典の付与について説明する。上述の如く、サーバ1は、複数の需要家のエネルギーリソースを制御するアグリゲータ(
図5では「RA」)として機能する。アグリゲータの管理下にある一部又は全部の需要家施設には、電気自動車への充電、及び電気自動車から送配電網Sへの放電(電力供給)が可能な充放電器3が設置されている。
【0036】
例えば充放電器3は、電気自動車のユーザの自宅、職場等に設置されている。充放電器3は、所定の販売会社及び/又はリース会社からユーザに提供(販売又はリース)されたものであり、ユーザは充放電器3により電気自動車への充電を行う。なお、本実施の形態では、対象となる充放電器3の販売会社及び/又はリース会社も本システムの運営者と提携している。
【0037】
なお、サーバ1は、後述のように充放電器3への電気自動車の接続状況(貢献度)に応じて特典を付与するだけでなく、電気自動車のユーザが充放電器3を導入(購入又はリース)した際にも特典を付与するようにすると好適である。具体的には、サーバ1は、本システムの会員であるユーザが新たに充放電器3を導入した場合に、充放電器3の販売会社及び/又はリース会社から、充放電器3を導入したことを示す導入情報を取得する。導入情報は、充放電器3を導入したユーザの識別子であるユーザID、導入した充放電器3の情報(製品名等)を含む。導入情報を取得した場合、サーバ1は、ユーザに対して所定数のポイントを付与する。例えばサーバ1は、充放電器3の購入代金又はリース代金に比例した数量のポイントを付与する。
【0038】
なお、サーバ1は、購入代金又はリース代金以外に、充放電器3が急速充電器であるか否かに応じてポイントの付与量を変更してもよい。例えばサーバ1は、急速充電器である場合にポイントを多く付与する。あるいはサーバ1は、急速充電器である場合のみポイントを付与するようにしてもよい。これにより、急速充電器の普及が促進され、後述の電力需給の調整時に、送配電網Sへの電力供給(放電)、及び需要の創出(充電)を迅速に行うことができる。
【0039】
各充放電器3は、サーバ1と通信可能に接続されている。サーバ1は、各充放電器3から電気自動車の接続状況(接続の有無、充放電量等)を示す接続情報を取得する。サーバ1は、取得した接続情報を、充電器ID及びユーザIDと対応付けて、接続履歴として充放電器DB153に記憶する。
【0040】
サーバ1は、充放電器3への電気自動車の接続状況に応じて、ユーザにポイントを付与する。当該ポイントは、提携する公共充電器4での充電時に利用可能なポイントであり、公共充電器4の充電料金と交換可能なポイントである。サーバ1は、単位数量当たりのポイントの価格を規定しており、ユーザが公共充電器4を利用した場合に、充電料金とポイントとを交換する。
【0041】
なお、本実施の形態ではポイントの利用用途が充電料金であるものとして説明するが、本実施の形態はこれに限定されるものではない。例えば本システムのポイントを他のポイントプログラム(小売店チェーンのポイントカード等)と統合し、商品購入等に転用可能としてもよい。
【0042】
また、本実施の形態ではユーザへの特典としてポイントを付与するものとして説明するが、本実施の形態はこれに限定されるものではない。例えばサーバ1は、本システムの会員であるユーザに対し、会員の等級を表す会員グレードを付与するようにしてもよい。会員グレードは、例えば公共充電器4における充電料金を一定期間無償で行うことができる権利である。例えばサーバ1は、後述するようにアグリゲータへの貢献度を特定して特典を付与する場合に、その貢献度の大小に応じて、「プラチナ」、「ゴールド」、「シルバー」等の会員グレードを付与する。サーバ1は、会員グレードに応じて無償化期間の長短を設定し、その無償化期間の間は公共充電器4における充電料金を無償とする。このように、ユーザへ付与する特典は電子ポイントに限定されない。また、サーバ1は、アグリゲータへの貢献度とは別に特典のグレードを変えるようにしてもよい。例えば、サーバ1は、充放電器3を一括支払いで購入、または、長期(例えば5年のリース)リース契約を行ったユーザには、高い会員グレードを付与する。一方、サーバ1は、充放電器3を分割払い(例えば5年ローン)で購入、または、短期リース契約(例えば2年のリース)を行ったユーザには、低い会員グレードを付与する。サーバ1は、ユーザDB151に、ユーザIDに対応付けて、グレードを記憶する。サーバ1は、ユーザDB151を参照し、公共充電器4によりユーザの電気自動車に対し充電を行う場合、グレードに応じて条件を異ならせた形態で充電を許可する。さらに、アグリゲータへの貢献度がなくても別の特典を付与することができる。例えば、サーバ1は、充放電器3を購入、または、リース契約したユーザに対し第2特典を付与するようにしてもよい。この場合、サーバ1は、ユーザDB151に、ユーザIDに対応付けて、第2特典を記憶する。サーバ1は、ユーザDB151を参照し、分散配置された公共充電器4により第2特典を有するユーザの電気自動車に対し充電を行う場合、無料、または、第2特典若しくは特典を有さないユーザよりも低額の条件で充電を許可する。またサーバ1は、購入またはリース条件に応じてグレードを設定してもよい。例えば、サーバ1は、充放電器3を一括支払いで購入、または、長期(例えば5年のリース)リース契約を行ったユーザには、高い会員グレードを付与する。一方、サーバ1は、充放電器3を分割払い(例えば5年ローン)で購入、または、短期リース契約(例えば2年のリース)を行ったユーザには、低い会員グレードを付与する。サーバ1は、ユーザDB151に、ユーザIDに対応付けて、第2特典及びグレードを記憶する。サーバ1は、ユーザDB151を参照し、公共充電器4により第2特典を有するユーザの電気自動車に対し充電を行う場合、グレードに応じて条件を異ならせた形態で充電を許可する。また本実施形態では個人ユーザの例を示しているが、複数の電気自動車を所有する法人ユーザに対しても同様に適用可能である。この場合、法人に帰属する所定数の職員のユーザに特典または第2特典を付与する。さらに、電気自動車は自動運転車であり、あらかじめプログラムされたスケジュールに従い、充放電器3での充放電を行う形態であってもよい。
【0043】
上述の如く、サーバ1は、充放電器3への電気自動車の接続状況に応じてポイントを付与する。この場合にサーバ1は、電気自動車の接続状況に応じて、アグリゲータに対するユーザの貢献度を特定する。サーバ1は、特定した貢献度に基づき、ユーザにポイントを付与する。
【0044】
具体的には、サーバ1は、単位期間(週、月等)当たりの、又は指定時間帯における、充放電器3への電気自動車の並列待機時間、並列待機回数、充放電器3を介した電気自動車の充放電回数、充放電時間、充放電電力(kW)、及び/又は充放電電力量(kWh)を貢献度として特定する。なお、「並列待機」とは、充放電の有無に関わらず、充放電器3に電気自動車が接続されている状態(充放電可能な状態)を指す。指定時間帯は、本システムの運営者、すなわちアグリゲータが指定した時間帯を指し、本実施の形態では、後述の如く一般送配電事業者等との間で合意(約定)した電力需給の調整時間帯を指す。
【0045】
サーバ1は、並列待機時間、並列待機回数、充放電回数、充放電時間、充放電電力、及び充放電電力量のうち、少なくとも一つのデータに基づいて貢献度を特定する。なお、これらは貢献度の基準の一例であって、その他のデータを基準としてもよい。
【0046】
サーバ1は、貢献度が大きいほど付与量が多くなるようにポイントを付与する。例えばサーバ1は、貢献度に比例した数量のポイントを付与する。あるいはサーバ1は、貢献度の累乗値に比例した数量のポイントを付与するなどしてもよい。
【0047】
本実施の形態では一例として、アグリゲータが指定した指定時間帯における電気自動車の並列待機時間を貢献度として特定し、並列待機時間に応じてポイントを付与する。例えばサーバ1は、一般送配電事業者、小売事業者等から電力需給の調整依頼を受け付け、一般送配電事業者等が指定した電力需給の調整時間帯を、指定時間帯とする。
【0048】
例えば本システムの運営者、すなわちアグリゲータは、所定の電力市場(卸電力市場、需給調整市場、容量市場等)を介して、一般送配電事業者等との間で電力需給に係る売買取引を行う。サーバ1は、一般送配電事業者等との間で約定した取引の情報を、調整依頼として調整予定DB152に記憶してある。調整予定DB152に記憶する情報は、例えば電力需給の調整時間帯、調整量(電力量)、約定価格等の情報を含む。本システムでは、一般送配電事業者等との間の取引による収益がポイントの原資となる。
【0049】
なお、調整依頼は、電力市場を介さず、一般送配電事業者等から直接受けるものであってもよい。
【0050】
サーバ1は、調整予定DB152に記憶されている調整依頼に従い、各ユーザに対して、充放電器3への電気自動車の接続を要求する。具体的には、サーバ1は、一般送配電事業者等との間で約定した調整時間帯に電気自動車を接続するよう、各ユーザの端末2へ接続要求を配信する。サーバ1からの接続要求に対し、端末2は、当該接続要求を承認するか否か、すなわち需給調整に協力するか否かの操作入力をユーザから受け付ける。サーバ1は、ユーザから接続要求の承認を受け付け、当該ユーザの電気自動車が調整時間帯に充放電器3へ接続されていた場合、ユーザにポイントを付与する。
【0051】
図6は、端末2の表示画面例を示す説明図である。
図6では、サーバ1から配信された接続要求の表示画面を図示している。
【0052】
端末2は、保有ポイント61と、デマンド62、62、62…とを含む画面を表示する。保有ポイント61は、ユーザが現在保有しているポイントの数量である。デマンド62、62、62…は、サーバ1から配信された電気自動車の接続要求を示す表示欄である。端末2は、サーバ1から配信された一又は複数の接続要求をデマンド62として一覧表示する。
【0053】
例えば端末2は、
図6に示すように、電気自動車を接続すべき指定時間帯(調整時間帯)と、指定時間帯に電気自動車を接続した場合に付与されるポイントの数量(単位時間当たりの付与量)とをデマンド62に表示する。なお、デマンド62に表示されるポイントの付与量は、例えば一般送配電事業者等との間で約定した電力の取引価格に応じて決定される。端末2は、デマンド62に承諾ボタン621を表示する。承諾ボタン621への操作入力に応じて、端末2は、ユーザから接続要求の承認を受け付ける。
【0054】
なお、サーバ1は、各ユーザから接続要求の承認を受け付ける場合に、承認を受け付けた順序に応じてポイントの付与量を変更してもよい。例えばサーバ1は、承認順序が上位一定数のユーザに対し、下位のユーザよりもポイントを多く付与する。例えば端末2は、
図6に示すように、現在承認しているユーザの総数が定員数(一定数)に満たない場合、ポイントの加算量をデマンド62に表示する。これにより、多くのユーザから早く承認を受けることができるよう、ユーザを誘導することができる。
【0055】
図5に戻って説明を続ける。指定時間帯になった場合、サーバ1は、接続要求を承認した各ユーザの電気自動車が充放電器3に接続されているか否かを判定する。そしてサーバ1は、指定時間帯において電気自動車が充放電器3に接続されている時間、すなわち並列待機時間に応じて、ユーザにポイントを付与する。
【0056】
なお、この場合にサーバ1は、並列待機時間以外の要素も考慮してユーザの貢献度を特定し、ポイントを付与してもよい。例えばサーバ1は、指定時間帯の途中で電気自動車の接続が解除された場合、貢献度を低くし、ポイントの付与数を少なくしてもよい。これにより、指定時間帯の途中で接続を解除しないようユーザを誘導することができる。
【0057】
また、サーバ1は、充放電器3への接続時における電気自動車の残蓄電量(残電池容量)に応じて貢献度を特定してもよい。例えば電力供給(発電)の調整依頼を一般送配電事業者等から受けている場合に、サーバ1は、残蓄電量が多いほど貢献度を高くし、ポイントの付与量を多くする。また、電力消費(需要創出)の調整依頼を受けている場合に、サーバ1は、残蓄電量が少ないほど貢献度を高くし、ポイントの付与量を多くする。これにより、調整依頼に対して的確に貢献するようユーザを誘導することができる。
【0058】
次に、ポイントを利用した公共充電器4の充電料金の精算処理について説明する。例えば各ユーザには、本システムの運営者(eモビリティサービスプロバイダ)から会員カード(ICカード)が発行されている。会員カードは、ユーザの識別子であるユーザIDを記録したカードである。公共充電器4は、不図示の読取手段で会員カードを読み取り、サーバ1へ問合せを行う。
【0059】
なお、本実施の形態では会員カードを本システムの運営者が発行するものとするが、公共充電器4を運営する提携事業者が会員カードを発行するようにしてもよい。また、会員カードを発行する事業者は本システムの運営者とも提携事業者とも異なる第三者(例えば本システムのポイントを他のポイントプログラムと統合する場合の、当該ポイントプログラムを運営する事業者)であってもよい。
【0060】
また、本実施の形態では会員カードを使ってユーザを認証するが、例えば端末2にインストールされたアプリケーションプログラムに認証機能(公共充電器4との間のIDの送受信機能)を持たせ、公共充電器4が端末2と通信を行うことでポイントを利用可能としてもよい。
【0061】
サーバ1は、会員カードから読み取られたユーザID、及び公共充電器4の識別子である充電器IDを公共充電器4から取得する。サーバ1は、ユーザIDに基づいてユーザの認証を行い、認証結果を公共充電器4に返信する。また、サーバ1は、公共充電器4において充電が終了した場合、公共充電器4から充電量(充電料金)を取得する。
【0062】
サーバ1は、ユーザIDに対応付けられたユーザの保有ポイント数をユーザDB151から読み出し、充電料金の精算処理を実行する。すなわち、サーバ1は充電料金に応じてユーザの保有ポイント数を減算し、減算後のポイント数をユーザDB151に記憶する。
【0063】
サーバ1は、公共充電器4を利用したユーザのユーザID、利用日時(時間帯)、充電量、充電料金、使用ポイント等の情報を、充電履歴として、公共充電器4の充電器IDと対応付けて公共充電器DB154に記憶する。本システムの運営者(eモビリティサービスプロバイダ)は、ポイントを使用して減算された充電料金を提携事業者に支払う。
【0064】
なお、サーバ1は、ユーザが保有するポイント数が一定数に満たない場合、公共充電器4での充電時におけるポイントの利用を禁止してもよい。これにより、アグリゲータへの貢献をユーザに促すことができる。
【0065】
以上より、本実施の形態によれば、アグリゲータへの貢献度に応じて特典を付与することで、充放電器3への電気自動車の接続率の向上、接続有無の予見性の向上を図ることができる。特に本実施の形態では、公共充電器4での充電時に特典を利用可能とすることで、電気自動車のユーザにとって負担となっている公共充電サービスへの加入料を軽減することができる。なお、本実施形態では、サーバ1と公共充電器4とが連携して清算を行う例を示したがこれに限るものではない。例えば、CPOが公共充電器4における各ユーザの充電量を特定し、特定した各ユーザの充電量に応じた請求をサーバ1に送信するようにしてもよい。具体的には、本システムの運営者がCPOで使えるカードをユーザに配布する。ユーザはカードを使用して無償で公共充電器4により充電することができる。ユーザ使用料は本システム運用者にCPOから請求される。本システムはユーザの使用料を受け付け、ポイントを減算する。なお、ユーザのグレードにより無償期間の場合は減算しない。
【0066】
図7は、ポイント付与処理の手順を示すフローチャートである。
図7に基づき、ポイント付与時の処理の流れについて説明する。
【0067】
サーバ1の制御部11は、電力需給の調整依頼を調整予定DB152から読み出す(ステップS11)。調整依頼は、一般送配電事業者、小売事業者等からの電力需給の調整依頼であって、例えば電力市場において一般送配電事業者等との間で約定された電力の売買取引の情報である。制御部11は、調整依頼に係る情報(電力需給の調整時間帯、調整量等)を調整予定DB152から読み出す。
【0068】
制御部11は、読み出した調整依頼に係る情報に基づき、充放電器3への電気自動車の接続要求を各ユーザの端末2に配信する(ステップS12)。接続要求は、電気自動車を充放電器3に接続する指定時間帯(調整時間帯)、並列待機時間に応じたポイントの付与量等を含む。制御部11は、当該接続要求の承認を各ユーザの端末2から受け付ける(ステップS13)。制御部11は、接続要求を承認したユーザの識別子(ユーザID)を調整予定DB152に記憶する。
【0069】
制御部11は、指定時間帯の開始時点になったか否かを判定する(ステップS14)。開始時点になっていないと判定した場合(S14:NO)、制御部11は処理を待機する。開始時点になったと判定した場合(S14:YES)、制御部11は、接続要求を承認したユーザに対応する充放電器3から、電気自動車の接続状況を示す接続情報を順次取得し、充放電器DB153に記憶する(ステップS15)。
【0070】
制御部11は、指定時間帯の終了時点になったか否かを判定する(ステップS16)。終了時点になっていないと判定した場合(S16:NO)、制御部11は処理をステップS15に戻す。終了時点になったと判定した場合(S16:YES)、制御部11は、充放電器3への電気自動車の接続状況に応じて、アグリゲータに対するユーザの貢献度を特定する(ステップS17)。具体的には、制御部11は並列待機時間を貢献度として特定する。制御部11は、特定した貢献度に応じて、ユーザに対応付けてポイントを付与し(ステップS18)、一連の処理を終了する。
【0071】
図8は、ポイント利用処理の手順を示すフローチャートである。
図8に基づき、ポイントを利用した公共充電器4の充電料金の精算処理の流れについて説明する。
【0072】
サーバ1の制御部11は、公共充電器4に電気自動車が接続された場合に、当該電気自動車への充電要求を受け付ける(ステップS31)。充電要求は、電気自動車のユーザの識別子(ユーザID)、及び公共充電器4の識別子(充電器ID)を含む。
【0073】
制御部11は、ユーザIDに対応するユーザの保有ポイント数をユーザDB151から読み出す(ステップS32)。充電が完了した場合、制御部11は、読み出したポイント数に基づき、充電料金の精算処理を行う(ステップS33)。すなわち、サーバ1は充電料金に応じてユーザの保有ポイント数を減算し、減算後のポイント数をユーザDB151に記憶する。制御部11は、公共充電器4への電気自動車の接続履歴を公共充電器DB154に記憶し(ステップS34)、一連の処理を終了する。
【0074】
なお、上記では充放電器3のオーナーと電気自動車のオーナーが同一人物であるものとし、電気自動車のオーナー(ユーザ)に特典を付与するものとしたが、本実施の形態はこれに限定されるものではない。例えばサーバ1は、充放電器3のオーナーと電気自動車のオーナーとが異なる場合において、充放電器3のオーナーに特典を付与するようにしてもよい。このケースは、例えばユーザの職場企業が充放電器3のオーナーであるケースや、ホテル等のように不特定多数のユーザが利用する施設に充放電器3を設置するケースが想定される。上記のようなケースにおいて、充放電器3のオーナーに特典を付与することで、電気自動車のオーナーだけでなく、充放電器3を電気自動車のオーナーに利用させる人物、団体等にも、アグリゲータに貢献するインセンティブを与えることができる。
【0075】
以上より、本実施の形態1によれば、分散電源として電気自動車を好適に活用することができる。
【0076】
(実施の形態2)
実施の形態1では、充放電器3への接続状況に応じて、公共充電器4での充電時に利用可能なポイントユーザに付与する形態について述べた。本実施の形態では、各充電器(充放電器3及び公共充電器4)での接続履歴に基づき、各充電器への電気自動車の接続動向を予測する形態について述べる。なお、実施の形態1と重複する内容については同一の符号を付して説明を省略する。
【0077】
図9は、実施の形態2の概要を示す説明図である。
図9では、充放電器3及び公共充電器4の将来の接続動向を予測した予測結果を表示する画面例を図示している。
図9に基づき、本実施の形態の概要を説明する。
【0078】
上述の如く、サーバ1は、充放電器3への接続状況に応じてユーザにポイントを付与し、公共充電器4での充電時に、当該ポイントを利用した充電料金の精算処理を実行する。その結果、各充電器への接続履歴が充放電器DB153、公共充電器DB154に記録される。サーバ1は、各データベースに記憶された接続履歴に基づき、各充電器における将来の接続動向を予測する。
【0079】
なお、本実施の形態では充放電器3及び公共充電器4の双方の接続動向を予測するものとするが、何れか一方のみの接続動向を予測するものであってもよい。
【0080】
具体的な接続動向の予測方法は特に問わないが、例えばサーバ1は、単位期間(例えば一日)当たりの電気自動車の接続回数、接続時間、接続率(接続時間を単位期間で除算した値)等を、充電器毎に、かつ、曜日別、季節別等の期間毎に集計する。サーバ1は集計結果に基づき、将来のある日時(日付)における接続回数、接続時間、接続率等を、接続動向として予測する。またサーバ1は、電気自動車の接続履歴に基づいて、当該電気自動車の次の接続日時、または、単位期間における(例えば、次週)の接続回数を予測してもよい。この場合、サーバ1は、充放電器3または公共充電器4等への接続時に電気自動車から得られる接続開始日時、接続終了日時、接続対象機器、充電量、放電量及び電池残量等の履歴をユーザIDに対応付けてユーザDB151に記憶しておく。サーバ1は時系列的に蓄積された履歴に基づき、当該電気自動車の次の接続日時または接続回数を予測する。具体的には、サーバ1は時系列で得られる履歴を入力した場合に、将来の接続日時、または単位週当たりの接続回数を予測する機械学習モデルを用いることにより、予測を行う。この予測を多くの電気自動車に対して実行することにより、需要予測または公共充電器4の設置計画等を含めた各種電力供給サービスに活用することができる。また、サーバ1は、充放電器3におけるユーザの充電時間帯及び放電時間帯の履歴に基づき、特定の曜日の予測充電時間帯及び予測放電時間帯を予測してもよい。同様に、サーバ1は充放電器3におけるユーザの充電頻度及び放電頻度の履歴に基づき、特定の月または週の予測充電頻度及び予測放電頻度を推定してもよい。その他、サーバ1は、公共充電器4におけるユーザの充電時間帯の履歴に基づき、特定の曜日の予測充電時間帯を予測してもよい。さらに、サーバ1は機械学習により、電気自動車が接続されて放電に寄与する充放電器3の接続率を予測するようにしてもよい。この場合、学習モデルは、調整量、天候、曜日、または時間帯を入力とし、放電を行う電気自動車が接続される接続率を出力するよう、天候履歴、調整予定DB152及び充放電器DB153を参照して学習される。接続率は例えば、放電を行う電気自動車が接続されている充放電器3の数を、予測するエリアに存在する充放電器3の総数で除し、100を乗じた値である。なお、学習モデルは例えば、深層学習、LSTM(Long-Short Term Memory)、トランスフォーマー、決定木、またはSVM(Support Vector Machine)等を用いればよい。これによりサーバ1は、対象エリアについて要求された調整量に加えて、天候、曜日、または、時間帯を学習モデルに入力することで、予測される接続率を得ることができる。
【0081】
なお、例えばサーバ1は、個々の充電器における接続履歴だけでなく、予測対象の充電器の周辺に設置されている他の充電器の接続履歴も参照して、予測対象の充電器への接続動向を予測してもよい。例えばサーバ1は、予測対象の充電器から地理的に所定範囲内に位置する接続履歴を参照して接続動向を予測する。これにより、各充電器の接続動向をより好適に予測することができる。
【0082】
サーバ1は、接続動向の予測結果を表示部14に表示する。例えば
図9に示すように、サーバ1は、各充電器の位置を示す地図画像を表示すると共に、各充電器と対応付けて、接続回数、接続時間、接続率等を表示する。
【0083】
例えばサーバ1は、
図9に示す接続動向の予測結果を、充電器を利用する各ユーザ、及び公共充電器4を管理する提携事業者に提供する。なお、ユーザ及び提携事業者以外の第三者に提供してもよい。サーバ1は、予測結果をユーザ及び提携事業者に対して出力し、
図9に示す画面等を閲覧可能とする。
【0084】
図10は、接続動向の予測処理の手順を示すフローチャートである。
図10に基づき、本実施の形態に係るサーバ1が実行する処理手順について説明する。
【0085】
サーバ1の制御部11は、充放電器DB153及び/又は公共充電器DB154から、充放電器3及び/又は公共充電器4それぞれの接続履歴を読み出す(ステップS201)。充放電器3の接続履歴は、本システムのユーザの電気自動車が充放電器3に接続されていた日時(時間帯)、充放電量等を含む。公共充電器4の接続履歴は、本システムのユーザの電気自動車が公共充電器4に接続されていた時間帯、充電量等を含む。
【0086】
制御部11は、充放電器3及び/又は公共充電器4の充電履歴に基づき、充放電器3及び/又は公共充電器4に対する電気自動車の接続動向を予測する(ステップS202)。例えば制御部11は、将来のある日時における各充放電器3及び/又は公共充電器4の接続回数、接続時間、接続率等を予測する。制御部11は、予測結果をユーザ、提携事業者等に対して出力し(ステップS203)、一連の処理を終了する。
【0087】
なお、上記では接続履歴から各公共充電器4への接続動向を予測する形態について説明したが、各公共充電器4への接続履歴に応じて、各公共充電器4の充電料金の精算に必要なポイント数を変更するようにしてもよい。例えばサーバ1は、接続回数、接続時間、接続率等の値が高いほど、充電料金の精算時における一ポイント当たりの交換価格を引き下げる。あるいはサーバ1は、接続回数、接続時間、接続率等の値が一定値以上の場合、ポイントを利用した精算を禁止してもよい。このように、公共充電器4への電気自動車の接続頻度(単位期間当たりの接続回数、接続時間、接続率等)が高いほど必要ポイント数を引き上げたり、ポイントの利用を禁止することで、一部の公共充電器4への利用集中を抑制することができる。
【0088】
以上より、本実施の形態2によれば、各充電器への接続有無の予見性を更に高めることができる。以下の付記を開示する。
(付記1)
アグリゲータの管理下にある充放電器への電気自動車の接続状況を示す情報を取得し、
前記接続状況に応じて、前記電気自動車による前記アグリゲータへの貢献度を特定し、
特定した前記貢献度に応じて、前記電気自動車のユーザに対応付けて特典を付与する
処理をコンピュータが実行する情報処理方法。
(付記2)
充放電器を購入またはリース契約したユーザに対し第2特典を付与する
付記1に記載の情報処理方法。
(付記3)
前記第2特典を有するユーザの電気自動車に対し、無料、または、前記特典若しくは前記第2特典を有さないユーザよりも低額の条件で分散配置された公共充電器での充電を行う
付記2に記載の情報処理方法。
【0089】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0090】
1 サーバ(情報処理装置)
11 制御部
12 主記憶部
13 通信部
14 表示部
15 補助記憶部
P1 プログラム
151 ユーザDB
152 調整予定DB
153 充放電器DB
154 公共充電器DB
2 端末
21 制御部
22 主記憶部
23 通信部
24 表示部
25 入力部
26 補助記憶部
P2 プログラム
3 充放電器
4 公共充電器