(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-14
(45)【発行日】2025-01-22
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、プログラムおよび情報処理システム
(51)【国際特許分類】
B61L 25/02 20060101AFI20250115BHJP
G01S 17/89 20200101ALI20250115BHJP
【FI】
B61L25/02 G
G01S17/89
(21)【出願番号】P 2024013987
(22)【出願日】2024-02-01
【審査請求日】2024-02-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140958
【氏名又は名称】伊藤 学
(74)【代理人】
【識別番号】100137888
【氏名又は名称】大山 夏子
(74)【代理人】
【識別番号】100190942
【氏名又は名称】風間 竜司
(72)【発明者】
【氏名】松井 美智代
【審査官】武内 大志
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-20551(JP,A)
【文献】特開2020-6775(JP,A)
【文献】特開平11-231052(JP,A)
【文献】特開2004-272842(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61L 1/00-99/00
G01S 17/00-17/95
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の時刻にセンサによって検出された反射波の判定エリアでの第1の検出結果
の大きさに基づいて、前記第1の時刻における前記判定エリアでの第1の反射状態を判定するとともに、前記第1の時刻より前の時刻である第2の時刻に前記センサによって検出された反射波の前記判定エリアでの第2の検出結果
の大きさに基づいて、前記第2の時刻における前記判定エリアでの第2の反射状態を判定する反射状態判定部と、
前記第1の反射状態と、前記第2の反射状態とに基づいて、物体の状態を判定する物体状態判定部と、
を備え
、
前記判定エリアは、1または複数の判定区間を含み、
前記1または複数の判定区間それぞれは、直方体形状を有しており、
前記第1の検出結果の大きさは、前記第1の時刻における前記1または複数の判定区間での反射位置の三次元座標を示す点の数であり、
前記第2の検出結果の大きさは、前記第2の時刻における前記1または複数の判定区間での反射位置の三次元座標を示す点の数である、
情報処理装置。
【請求項2】
前記物体状態判定部は、前記物体の状態として前記物体の在線、非在線または移動を判定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記物体状態判定部は、前記1または複数の判定区間において前記第1の反射状態と前記第2の反射状態とが異なる判定区間があるか否かに基づいて、前記物体の状態が移動であるか、在線または非在線であるかを判定する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記物体状態判定部は、前記1または複数の判定区間において前記第1の反射状態と前記第2の反射状態とが異なる判定区間がない場合に、前記1または複数の判定区間における前記第1の反射状態に基づいて、前記物体の状態が在線であるか非在線であるかを判定する、
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記物体状態判定部は、
前記1または複数の判定区間において前記第1の反射状態と前記第2の反射状態とが異なる判定区間がない場合、かつ、前記1または複数の判定区間の全部において前記第
1の反射状態が低反射状態である場合に、前記物体の状態が非在線であると判定し、
前記1または複数の判定区間において前記第1の反射状態と前記第2の反射状態とが異なる判定区間がない場合、かつ、前記1または複数の判定区間において前記第
1の反射状態が高反射状態である判定区間が存在する場合に、前記物体の状態が在線であると判定する、
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記反射状態判定部は、前記1または複数の判定区間それぞれについて、前記第1の検出結果の大きさがしきい値以上であるか否かに応じて、前記第1の反射状態が高反射状態であるか低反射状態であるかを判定し、前記第2の検出結果の大きさがしきい値以上であるか否かに応じて、前記第2の反射状態が高反射状態であるか低反射状態であるかを判定する、
請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記1または複数の判定区間は、複数の判定区間を含み、
前記第1の反射状態は、前記第1の時刻における前
記複数の判定区間それぞれでの反射状態が並べられた第1のビット列であり、
前記第2の反射状態は、前記第2の時刻における前
記複数の判定区間それぞれでの反射状態が並べられた第2のビット列であり、
前記物体状態判定部は、前記第1のビット列と前記第2のビット列とに基づく所定の論理演算によって、前記物体の状態を判定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記1または複数の判定区間は、1の判定区間を含み、
前記第1の反射状態は、前記第1の時刻における前記1の判定区間での反射状態である第1のビットであり、
前記第2の反射状態は、前記第2の時刻における前記1の判定区間での反射状態である第2のビットであり、
前記物体状態判定部は、前記第1のビットと前記第2のビットとに基づく所定の論理演算によって、前記物体の状態を判定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記所定の論理演算は、論理和、論理積および排他的論理和の少なくともいずれか一つを含む、
請求項7
または8に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記1または複数の判定区間は、ランダムな位置に配置される、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記
1または複数の判定区間は、複数の判定区間を含み、
前記複数の判定区間は、鉛直方向、水平方向または鉛直方向と水平方向との間の方向である斜め方向に配置される、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記反射波は、電磁波または音波である、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項13】
前記物体状態判定部は、
前記物体の状態が表示部によって表示されるように前記表示部を制御する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項14】
第1の時刻にセンサによって検出された反射波の判定エリアでの第1の検出結果
の大きさに基づいて、前記第1の時刻における前記判定エリアでの第1の反射状態を判定するとともに、前記第1の時刻より前の時刻である第2の時刻に前記センサによって検出された反射波の前記判定エリアでの第2の検出結果
の大きさに基づいて、前記第2の時刻における前記判定エリアでの第2の反射状態を判定することと、
前記第1の反射状態と、前記第2の反射状態とに基づいて、物体の状態を判定することと、
を含
み、
前記判定エリアは、1または複数の判定区間を含み、
前記1または複数の判定区間それぞれは、直方体形状を有しており、
前記第1の検出結果の大きさは、前記第1の時刻における前記1または複数の判定区間での反射位置の三次元座標を示す点の数であり、
前記第2の検出結果の大きさは、前記第2の時刻における前記1または複数の判定区間での反射位置の三次元座標を示す点の数である、
コンピュータにより実行される情報処理方法。
【請求項15】
コンピュータを、
第1の時刻にセンサによって検出された反射波の判定エリアでの第1の検出結果
の大きさに基づいて、前記第1の時刻における前記判定エリアでの第1の反射状態を判定するとともに、前記第1の時刻より前の時刻である第2の時刻に前記センサによって検出された反射波の前記判定エリアでの第2の検出結果
の大きさに基づいて、前記第2の時刻における前記判定エリアでの第2の反射状態を判定する反射状態判定部と、
前記第1の反射状態と、前記第2の反射状態とに基づいて、物体の状態を判定する物体状態判定部と、
として機能させ
、
前記判定エリアは、1または複数の判定区間を含み、
前記1または複数の判定区間それぞれは、直方体形状を有しており、
前記第1の検出結果の大きさは、前記第1の時刻における前記1または複数の判定区間での反射位置の三次元座標を示す点の数であり、
前記第2の検出結果の大きさは、前記第2の時刻における前記1または複数の判定区間での反射位置の三次元座標を示す点の数である、
プログラム。
【請求項16】
第1の時刻に判定エリアでの反射波を検出して第1の検出結果を得るとともに、前記第1の時刻より前の時刻である第2の時刻に前記判定エリアでの反射波を検出して第2の検出結果を得るセンサと、
前記第1の検出結果
の大きさに基づいて、前記第1の時刻における前記判定エリアでの第1の反射状態を判定するとともに、前記第2の検出結果
の大きさに基づいて、前記第2の時刻における前記判定エリアでの第2の反射状態を判定する反射状態判定部と、
前記第1の反射状態と、前記第2の反射状態とに基づいて、物体の状態を判定する物体状態判定部と、
を備え
、
前記判定エリアは、1または複数の判定区間を含み、
前記1または複数の判定区間それぞれは、直方体形状を有しており、
前記第1の検出結果の大きさは、前記第1の時刻における前記1または複数の判定区間での反射位置の三次元座標を示す点の数であり、
前記第2の検出結果の大きさは、前記第2の時刻における前記1または複数の判定区間での反射位置の三次元座標を示す点の数である、
情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法、プログラムおよび情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、センサによって得られたデータに基づいて物体の状態を判定する技術が知られている。物体および状態それぞれの例としては様々な例があり得る。例えば、物体が列車である場合には、状態の例として、列車の在線、非在線または移動などが挙げられる。また、列車の移動の例としては、列車の入線、出線または通過などが挙げられる。
【0003】
例えば、列車の在線を判定するための技術が知られている。一例として、非特許文献1には、先頭車両の停止位置が計測範囲に収まるように駅ホーム上方に設けられたラインセンサによる検知状態と、駅ホームに停止する列車の車輪付近が計測範囲に収まるように線路付近に設けられた2D(次元)レーザタイプのセンサによる検知状態とに基づいて、列車の在線を判定する技術が知られている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】南海電鉄、オムロンソーシアルソリューションズ、「レーザ方式の転落検知システムの実用化へ向けて」、サイバネティクス、Vol.28-No.2.2023
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、物体の状態をより高精度に判定することが望まれている。
【0006】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、物体の状態をより高精度に判定することが可能な技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、第1の時刻にセンサによって検出された反射波の判定エリアでの第1の検出結果の大きさに基づいて、前記第1の時刻における前記判定エリアでの第1の反射状態を判定するとともに、前記第1の時刻より前の時刻である第2の時刻に前記センサによって検出された反射波の前記判定エリアでの第2の検出結果の大きさに基づいて、前記第2の時刻における前記判定エリアでの第2の反射状態を判定する反射状態判定部と、前記第1の反射状態と、前記第2の反射状態とに基づいて、物体の状態を判定する物体状態判定部と、を備え、前記判定エリアは、1または複数の判定区間を含み、前記1または複数の判定区間それぞれは、直方体形状を有しており、前記第1の検出結果の大きさは、前記第1の時刻における前記1または複数の判定区間での反射位置の三次元座標を示す点の数であり、前記第2の検出結果の大きさは、前記第2の時刻における前記1または複数の判定区間での反射位置の三次元座標を示す点の数である、情報処理装置が提供される。
【0008】
前記物体状態判定部は、前記物体の状態として前記物体の在線、非在線または移動を判定してもよい。
【0009】
前記物体状態判定部は、前記1または複数の判定区間において前記第1の反射状態と前記第2の反射状態とが異なる判定区間があるか否かに基づいて、前記物体の状態が移動であるか、在線または非在線であるかを判定してもよい。
【0010】
前記物体状態判定部は、前記1または複数の判定区間において前記第1の反射状態と前記第2の反射状態とが異なる判定区間がない場合に、前記1または複数の判定区間における前記第1の反射状態に基づいて、前記物体の状態が在線であるか非在線であるかを判定してもよい。
【0011】
前記物体状態判定部は、前記1または複数の判定区間において前記第1の反射状態と前記第2の反射状態とが異なる判定区間がない場合、かつ、前記1または複数の判定区間の全部において前記第1の反射状態が低反射状態である場合に、前記物体の状態が非在線であると判定し、前記1または複数の判定区間において前記第1の反射状態と前記第2の反射状態とが異なる判定区間がない場合、かつ、前記1または複数の判定区間において前記第1の反射状態が高反射状態である判定区間が存在する場合に、前記物体の状態が在線であると判定してもよい。
【0012】
前記反射状態判定部は、前記1または複数の判定区間それぞれについて、前記第1の検出結果の大きさがしきい値以上であるか否かに応じて、前記第1の反射状態が高反射状態であるか低反射状態であるかを判定し、前記第2の検出結果の大きさがしきい値以上であるか否かに応じて、前記第2の反射状態が高反射状態であるか低反射状態であるかを判定してもよい。
【0013】
前記1または複数の判定区間は、複数の判定区間を含み、前記第1の反射状態は、前記第1の時刻における前記複数の判定区間それぞれでの反射状態が並べられた第1のビット列であり、前記第2の反射状態は、前記第2の時刻における前記複数の判定区間それぞれでの反射状態が並べられた第2のビット列であり、前記物体状態判定部は、前記第1のビット列と前記第2のビット列とに基づく所定の論理演算によって、前記物体の状態を判定してもよい。
前記1または複数の判定区間は、1の判定区間を含み、前記第1の反射状態は、前記第1の時刻における前記1の判定区間での反射状態である第1のビットであり、前記第2の反射状態は、前記第2の時刻における前記1の判定区間での反射状態である第2のビットであり、前記物体状態判定部は、前記第1のビットと前記第2のビットとに基づく所定の論理演算によって、前記物体の状態を判定してもよい。
【0014】
前記所定の論理演算は、論理和、論理積および排他的論理和の少なくともいずれか一つを含んでもよい。
【0015】
前記1または複数の判定区間を含み、前記1または複数の判定区間は、ランダムな位置に配置されてもよい。
【0016】
前記1または複数の判定区間は、複数の判定区間を含み、前記複数の判定区間は、鉛直方向、水平方向または鉛直方向と水平方向との間の方向である斜め方向に配置されてもよい。
【0017】
前記反射波は、電磁波または音波であってもよい。
【0018】
前記物体状態判定部は、前記物体の状態が表示部によって表示されるように前記表示部を制御してもよい。
【0019】
また、上記課題を解決するために本発明の別の観点によれば、第1の時刻にセンサによって検出された反射波の判定エリアでの第1の検出結果の大きさに基づいて、前記第1の時刻における前記判定エリアでの第1の反射状態を判定するとともに、前記第1の時刻より前の時刻である第2の時刻に前記センサによって検出された反射波の前記判定エリアでの第2の検出結果の大きさに基づいて、前記第2の時刻における前記判定エリアでの第2の反射状態を判定することと、前記第1の反射状態と、前記第2の反射状態とに基づいて、物体の状態を判定することと、を含み、前記判定エリアは、1または複数の判定区間を含み、前記1または複数の判定区間それぞれは、直方体形状を有しており、前記第1の検出結果の大きさは、前記第1の時刻における前記1または複数の判定区間での反射位置の三次元座標を示す点の数であり、前記第2の検出結果の大きさは、前記第2の時刻における前記1または複数の判定区間での反射位置の三次元座標を示す点の数である、コンピュータにより実行される情報処理方法が提供される。
【0020】
また、上記課題を解決するために本発明の別の観点によれば、コンピュータを、第1の時刻にセンサによって検出された反射波の判定エリアでの第1の検出結果の大きさに基づいて、前記第1の時刻における前記判定エリアでの第1の反射状態を判定するとともに、前記第1の時刻より前の時刻である第2の時刻に前記センサによって検出された反射波の前記判定エリアでの第2の検出結果の大きさに基づいて、前記第2の時刻における前記判定エリアでの第2の反射状態を判定する反射状態判定部と、前記第1の反射状態と、前記第2の反射状態とに基づいて、物体の状態を判定する物体状態判定部と、として機能させ、前記判定エリアは、1または複数の判定区間を含み、前記1または複数の判定区間それぞれは、直方体形状を有しており、前記第1の検出結果の大きさは、前記第1の時刻における前記1または複数の判定区間での反射位置の三次元座標を示す点の数であり、前記第2の検出結果の大きさは、前記第2の時刻における前記1または複数の判定区間での反射位置の三次元座標を示す点の数である、プログラムが提供される。
【0021】
また、上記課題を解決するために本発明の別の観点によれば、第1の時刻に判定エリアでの反射波を検出して第1の検出結果を得るとともに、前記第1の時刻より前の時刻である第2の時刻に前記判定エリアでの反射波を検出して第2の検出結果を得るセンサと、前記第1の検出結果の大きさに基づいて、前記第1の時刻における前記判定エリアでの第1の反射状態を判定するとともに、前記第2の検出結果の大きさに基づいて、前記第2の時刻における前記判定エリアでの第2の反射状態を判定する反射状態判定部と、前記第1の反射状態と、前記第2の反射状態とに基づいて、物体の状態を判定する物体状態判定部と、を備え、前記判定エリアは、1または複数の判定区間を含み、前記1または複数の判定区間それぞれは、直方体形状を有しており、前記第1の検出結果の大きさは、前記第1の時刻における前記1または複数の判定区間での反射位置の三次元座標を示す点の数であり、前記第2の検出結果の大きさは、前記第2の時刻における前記1または複数の判定区間での反射位置の三次元座標を示す点の数である、情報処理システムが提供される。
【発明の効果】
【0022】
以上説明したように本発明によれば、物体の状態をより高精度に判定することが可能な技術が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の実施形態に係る情報処理システムの機能構成例を示すブロック図である。
【
図2】列車の状態が非在線である場合に検出されたフレームF1の上に判定区間K0~K(N-1)が重ね合わされた図である。
【
図3】列車の状態が在線である場合に検出されたフレームF2の上に判定区間K0~K(N-1)が重ね合わされた図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る列車状態判定装置10の動作例を示すフローチャートである。
【
図5】本発明の実施形態に係る列車状態判定装置10の動作例を示すフローチャートである。
【
図6】本発明の実施形態に係る列車状態判定装置10の動作例を示すフローチャートである。
【
図7】列車の状態が移動である場合における反射状態bitの時間変化の例を示す図である。
【
図8】列車の状態が在線である場合における反射状態bitの時間変化の例を示す図である。
【
図9】列車の状態が非在線である場合における反射状態bitの時間変化の例を示す図である。
【
図10】本発明の実施形態に係る列車状態判定装置10の例としての情報処理装置900のハードウェア構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0025】
<0.背景>
まず、本発明の実施形態の背景を説明する。
【0026】
近年、センサによって得られたデータに基づいて物体の状態を判定する技術が知られている。本明細書においては、状態が判定される物体が、列車である場合を主に想定する。しかし、状態が判定される物体は、列車に限定されなくてもよい。例えば、状態が判定される物体は、飛行機であってもよいし、自動車(トラックなど)であってもよいし、遊園地にある乗り物などであってもよい。このとき、各物体の停止場所(例えば、飛行場、トラックの集配所、乗り物の停車場など)が、駅ホームに代用され得る。
【0027】
また、本明細書においては、物体の状態が、列車の在線、非在線または移動などである場合を想定する。列車の移動の例としては、列車の入線、出線または通過などが挙げられる。しかし、物体の状態は、列車の在線、非在線または移動などに限定されなくてもよい。
【0028】
本明細書において、「在線」は、センサによる計測範囲に列車の一部または全部が存在し、列車が停止している状態を意味し得る。一方、本明細書において、「非在線」は、センサによる計測範囲に列車の一部または全部が存在しない状態を意味し得る。ここで、「列車の一部」と表現されているのは、列車は一つの車両によって構成される場合ばかりではなく、複数の車両が連なって構成されることがあるため、センサによる計測範囲に列車の全部が収まり切らないことが想定されることによる。
【0029】
本明細書において、「移動」は、センサによる計測範囲に列車の一部または全部が存在し、列車が移動している状態を意味し得る。「入線」は、列車の状態が「移動」である場合、かつ、列車が駅に停止する直前に移動している状態を意味し得る。「出線」は、列車の状態が「移動」である場合、かつ、列車が駅から出発した直後に移動している状態を意味し得る。「出線」は、列車の状態が「移動」である場合、かつ、列車が駅に停止せずに駅を通り過ぎている状態を意味し得る。
【0030】
例えば、列車の在線を判定するための技術が知られている。一例として、非特許文献1には、先頭車両の停止位置が計測範囲に収まるように駅ホーム(以下、単に「ホーム」とも言う。)の上方に設けられたラインセンサによる検知状態と、駅に停止する列車の車輪付近が計測範囲に収まるように線路付近に設けられた2Dレーザタイプのセンサによる検知状態とに基づいて、列車の在線を判定する技術が知られている。
【0031】
しかし、列車の状態をより高精度に判定することが望まれている。そこで、本明細書においては、列車の状態をより高精度に判定することが可能な技術について主に提案する。
【0032】
より具体的に、列車を構成する先頭車両の停止位置は、列車によって異なり得る。例えば、先頭車両の停止位置は、列車を構成する車両の数に応じて変化し得る。あるいは、先頭車両の停止位置は、列車の種類に応じて変化し得る。想定され得る全通りの停止位置それぞれに、センサを設けるためには、多くの手間が掛かってしまう。
【0033】
そこで、本明細書においては、センサによる判定区間での反射波の検出結果に基づいて、当該判定区間での反射状態を判定し、反射状態に基づいて列車の状態を判定する技術について主に提案する。これにより、少なくとも先頭車両の停止位置に判定区間が設定されれば、全通りの停止位置それぞれにセンサが設けられなくても、高精度に列車の状態を判定することが可能となる。
【0034】
以上、本発明の実施形態の背景を説明した。
【0035】
<1.実施形態の詳細>
続いて、本発明の実施形態の詳細について説明する。
【0036】
[1-1.情報処理システムの構成例]
まず、本発明の実施形態に係る情報処理システムの機能構成例について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る情報処理システムの機能構成例を示すブロック図である。
図1に示されるように、本発明の実施形態に係る情報処理システム1は、列車状態判定装置10と、レーザーセンサ110と、表示部180とを備える。列車状態判定装置10とレーザーセンサ110と表示部180とは、ネットワークを介して接続されていてもよい。
【0037】
(レーザーセンサ110)
レーザーセンサ110は、ホームまたはホームの周辺に設置される。例えば、レーザーセンサ110は、広い範囲を計測し得るように、ホーム上方などに位置する。そして、レーザーセンサ110は、あらかじめ設定された計測範囲から照射波に対する物体からの反射波を検出する機能を有する。例えば、反射波の検出結果は、反射位置の三次元座標を示す点の集合(以下、「点群」とも言う。)として得られる。このとき、点群を構成する点数が、反射波の検出結果の大きさに該当し得る。
【0038】
より具体的に、レーザーセンサ110は、所定の時間(例えば、1秒など)ごとに計測範囲に対して点群のスキャンを行うことにより、所定の時間ごとに計測範囲から点群を検出する。以下の説明においては、一度のスキャンによって計測範囲から検出される点群を「フレーム」とも言う。
【0039】
また、以下の説明においては、レーザーセンサ110によって検出された最新のフレーム(現時刻に検出された点群)を「現フレーム」とも言う。また、レーザーセンサ110によって検出された、現フレームよりも1フレーム前のフレーム(現時刻よりも前の時刻である前時刻に検出された点群)を「前フレーム」とも言う。ただし、前フレームは、現フレームよりも2フレーム以上前のフレームであってもよい。現時刻は、第1の時刻の例であり、前時刻は、第2の時刻の例である。
【0040】
レーザーセンサ110は、センサの一例である。したがって、レーザーセンサ110は、レーザーセンサ110以外のセンサに置き換えられてもよい。レーザーセンサ110は、「LiDAR(LIght Detection And Ranging)センサ」とも換言され得る。
【0041】
なお、レーザーセンサ110以外のセンサとしては、レーダーなどが挙げられる。レーザーセンサ110が、レーザー光(例えば、紫外線、可視光線、近赤外線など)を照射波として用いるのに対し、レーダーは、レーザー光の波長よりも短い波長の電磁波(例えば、ミリ波など)を照射波として用いる。あるいは、照射波として電磁波を用いるセンサだけではなく、照射波として音波を用いるソナーがレーザーセンサ110の代わりに用いられてもよい。
【0042】
(列車状態判定装置10)
列車状態判定装置10は、コンピュータによって実現され得る。
図1に示されるように、列車状態判定装置10は、点群取得部120と、判定区間記憶部130と、判定区間設定部140と、反射しきい値記憶部150と、反射状態判定部160と、列車状態判定部170とを備える。列車状態判定装置10が備える、これらの構成についての詳細は、後に説明する。
【0043】
例えば、点群取得部120と、判定区間設定部140と、反射状態判定部160と、列車状態判定部170とは、図示しない制御部によって実現され得る。一方、判定区間記憶部130と、反射しきい値記憶部150とは、図示しない記憶部によって実現され得る。
【0044】
図示しない制御部は、CPU(Central Processing Unit)などを含み、不揮発性の記憶装置により記憶されているプログラムがCPUによりRAM(Random Access Memory)に展開されて実行されることにより、その機能が実現され得る。このとき、当該プログラムを記録した、コンピュータに読み取り可能な記録媒体も提供され得る。あるいは、図示しない制御部は、専用のハードウェアにより構成されていてもよいし、複数のハードウェアの組み合わせにより構成されてもよい。
【0045】
図示しない記憶部は、図示しない制御部を動作させるためのプログラムおよびデータを記憶することが可能な記憶装置である。また、図示しない記憶部は、図示しない制御部の動作の過程で必要となる各種データを一時的に記憶することもできる。例えば、記憶装置は、不揮発性の記憶装置であってよい。
【0046】
(表示部180)
表示部180は、ディスプレイによって構成される。例えば、表示部180は、列車状態判定装置10による制御に従って、列車状態を表示する。なお、表示部180が設けられる位置は特に限定されない。例えば、表示部180は、ホームに設けられてもよいし、駅員が存在する駅事務室に設けられてもよいし、列車の運行状況を監視する監視員が存在する監視センタに設けられてもよい。
【0047】
(点群取得部120)
点群取得部120は、レーザーセンサ110によって検出された点群を取得する。例えば、点群取得部120は、前時刻にレーザーセンサ110によって検出された点群を取得する。さらに、点群取得部120は、現時刻にレーザーセンサ110によって検出された点群を取得する。
【0048】
(判定区間記憶部130)
判定区間記憶部130は、N(Nは、1以上の整数)個の判定区間を規定するためのパラメータをあらかじめ記憶している。以下の説明においては、N個の判定区間を、判定区間K0~K(N-1)とも表記する。判定区間K0~K(N-1)それぞれは、反射状態が判定される領域の単位であり、判定区間K0~K(N-1)は、判定エリアに該当する。
図2および
図3を参照しながら、判定区間K0~K(N-1)について説明する。
【0049】
図2は、列車の状態が非在線である場合に検出されたフレームF1の上に判定区間K0~K(N-1)が重ね合わされた図である。
図3は、列車の状態が在線である場合に検出されたフレームF2の上に判定区間K0~K(N-1)が重ね合わされた図である。
図2および
図3に示された例において、白丸は、レーザーセンサ110によって検出された点群を構成する点である。
【0050】
図2に示されるように、列車の状態が非在線である場合には、点群がフレームF1の下側に存在する。フレームF1の下側は、線路が存在する場所に対応しており、フレームF1の下側には、判定区間K0~K(N-1)が存在していない。一方、
図3に示されるように、列車の状態が在線である場合には、点群がフレームF2の下側だけではなく、フレームF2の中央にも存在する。フレームF2の中央には、判定区間K0~K(N-1)が存在している。
【0051】
以下の説明においては、判定区間K0~K(N-1)それぞれが直方体形状を有し、判定区間K0~K(N-1)それぞれの一本の対角線の両端の座標である、pj1(xj1,yj1,zj1)と、pj2(xj2,yj2,zj2)とによって、パラメータが表現される場合を主に想定する。ただし、j=0,1,・・・、N-1である。一例として、
図2には、判定区間K0のパラメータとして、p01(x01,y01,z01)と、p02(x02,y02,z02)とが示されている。
【0052】
以下の説明においては、pj1(xj1,yj1,zj1)と、pj2(xj2,yj2,zj2)との組み合わせを、cube[j]とも表記する。また、判定区間記憶部130は、判定区間数Nをあらかじめ記憶している。
【0053】
なお、判定区間K0~K(N-1)それぞれの形状は、直方体形状でなくてもよい。また、以下の説明においては、判定区間K0~K(N-1)のサイズが同じである場合を主に想定するが、判定区間K0~K(N-1)のサイズは、同じでなくてもよい。また、以下の説明においては、判定区間K0~K(N-1)が等間隔で並んでいる場合を主に想定するが、判定区間K0~K(N-1)は、等間隔で並んでいなくてもよい。
【0054】
(判定区間設定部140)
判定区間設定部140は、判定区間記憶部130から、判定区間の個数Nと、判定区間を規定するためのパラメータcube[j](ただし、j=0,1,・・・、N-1)とを取得することにより、判定区間K0~K(N-1)を設定する。
【0055】
(反射しきい値記憶部150)
反射しきい値記憶部150は、判定区間K0~K(N-1)それぞれにおける反射状態の判定に用いられるしきい値(以下、「反射しきい値」とも言う。)をあらかじめ記憶している。なお、以下の説明においては、判定区間K0~K(N-1)それぞれにおける反射状態の判定に共通する反射しきい値が用いられる場合を主に想定する。しかし、判定区間ごとに異なる反射しきい値が用いられてもよい。以下の説明においては、反射しきい値を「ref_th」とも表記する。
【0056】
(反射状態判定部160)
反射状態判定部160は、前時刻に検出された、判定区間K0~K(N-1)での点群(第2の検出結果)に基づいて、前時刻における判定区間K0~K(N-1)での反射状態(第2の反射状態)を判定する。より具体的に、反射状態判定部160は、前時刻に検出された、判定区間K0~K(N-1)それぞれについて、判定区間での点群を構成する点数が、反射しきい値以上であるか否かに応じて、前時刻における判定区間での反射状態が高反射状態であるか低反射状態であるかを判定する。
【0057】
また、反射状態判定部160は、現時刻に検出された、判定区間K0~K(N-1)での点群(第1の検出結果)に基づいて、現時刻における判定区間K0~K(N-1)での反射状態(第1の反射状態)を判定する。より具体的に、反射状態判定部160は、現時刻に検出された、判定区間K0~K(N-1)それぞれについて、判定区間での点群を構成する点数が、反射しきい値以上であるか否かに応じて、現時刻における判定区間での反射状態が高反射状態であるか低反射状態であるかを判定する。
【0058】
以下の説明においては、前時刻における判定区間K0~K(N-1)での反射状態が、前時刻におけるN個の判定区間それぞれでの反射状態が並べられたビット列(第2のビット列)によって表現される場合を主に想定する。
【0059】
また、以下の説明においては、現時刻における判定区間K0~K(N-1)での反射状態が、現時刻における判定区間K0~K(N-1)それぞれでの反射状態が並べられたビット列(第1のビット列)によって表現される場合を主に想定する。
【0060】
なお、以下の説明では、前時刻における判定区間K0~K(N-1)での反射状態、および、現時刻における判定区間K0~K(N-1)での反射状態において、高反射状態を示すビットに1が設定され、低反射状態を示すビットに0が設定される場合を主に想定する。しかし、高反射状態を示すビットに設定される値、および、低反射状態を示すビットに設定される値は、限定されなくてもよい。
【0061】
(列車状態判定部170)
列車状態判定部170は、現時刻における判定区間K0~K(N-1)での反射状態と、前時刻における判定区間K0~K(N-1)での反射状態とに基づいて、列車の状態を判定する。このように、判定区間ごとの反射状態に基づいて、列車の状態を判定することにより、全通りの列車の停止位置それぞれにセンサを設ける手間を削減しつつも、より高精度に列車の状態を判定することが可能となる。
【0062】
例えば、列車状態判定部170は、列車の状態として、列車の在線、非在線または移動を判定し得る。
【0063】
まず、列車の状態が移動である場合には、判定区間K0~K(N-1)の中に、現時刻における反射状態と、前時刻における反射状態とが異なる判定区間があると考えられる。したがって、列車状態判定部170は、判定区間K0~K(N-1)の中に、現時刻における反射状態と、前時刻における反射状態とが異なる判定区間があるか否かに基づいて、列車の状態が移動であるか、在線または非在線であるかを判定してもよい。
【0064】
一方、列車の状態が在線または非在線である場合には、判定区間K0~K(N-1)の中に、現時刻における反射状態と前時刻における反射状態とが異なる判定区間がないと考えられる。しかし、列車の状態が非在線である場合には、現時刻における判定区間K0~K(N-1)の全部の反射状態が低反射状態であると考えられる。
【0065】
そこで、列車状態判定部170は、判定区間K0~K(N-1)の中に、現時刻における反射状態と、前時刻における反射状態とが異なる判定区間がない場合に、現時刻における判定区間K0~K(N-1)の反射状態に基づいて、物体の状態が在線であるか非在線であるかを判定してもよい。
【0066】
より具体的に、列車状態判定部170は、判定区間K0~K(N-1)の中に、現時刻における反射状態と、前時刻における反射状態とが異なる判定区間がない場合、かつ、現時刻における判定区間K0~K(N-1)の反射状態の全部が低反射状態である場合には、列車の状態が非在線であると判定してもよい。
【0067】
一方、列車状態判定部170は、判定区間K0~K(N-1)の中に、現時刻における反射状態と、前時刻における反射状態とが異なる判定区間がない場合、かつ、現時刻における判定区間K0~K(N-1)の反射状態の中に、高反射状態である判定区間が存在する場合には、列車の状態が在線であると判定してもよい。
【0068】
また、上記したように、前時刻における判定区間K0~K(N-1)での反射状態は、ビット列によって表現され得る。また、現時刻における判定区間K0~K(N-1)での反射状態も、ビット列によって表現され得る。このとき、列車状態判定部170は、これらの二つのビット列に基づく所定の論理演算によって、列車の状態を判定し得る。
【0069】
以下の説明においては、所定の論理演算として、排他的論理和(XOR演算)が用いられる場合を主に想定する。しかし、所定の論理演算は、排他的論理和に限定されなくてもよい。例えば、所定の論理演算として、論理和(OR演算)、論理積(AND演算)が用いられてもよい。あるいは、所定の論理演算として、排他的論理和、論理和および論理積の二つ以上の組み合わせが用いられてもよい。
【0070】
そして、列車状態判定部170は、列車の状態が表示部180によって表示されるように表示部180を制御する。これによって、駅員または監視員などによって列車の状態が把握され得る。
【0071】
以上、本発明の実施形態に係る情報処理システム1の機能構成例について説明した。
【0072】
[1-2.列車状態判定装置10の動作例]
続いて、
図4~
図9を参照しながら(適宜
図1~
図3も参照しながら)、本発明の実施形態に係る列車状態判定装置10の動作例について説明する。
【0073】
図4~
図6は、本発明の実施形態に係る列車状態判定装置10の動作例を示すフローチャートである。
図4に示されるように、判定区間設定部140は、判定区間記憶部130から判定区間数Nを取得する(ステップA1)。また、判定区間設定部140は、判定区間記憶部130から判定区間K0~K(N-1)を規定するためのパラメータcube[0]~cube[N-1]を取得する(ステップA2)。
【0074】
さらに、反射状態判定部160は、反射しきい値記憶部150から反射しきい値ref_thを取得する(ステップA3)。また、反射状態判定部160は、前時刻における判定区間K0~K(N-1)での反射状態を表現するpre_bit[0]~pre_bit[N-1]それぞれに初期値を設定する(ステップA4)。初期値は、どのような値であってもよい。一例として、初期値は、0(ゼロ)であってもよい。
【0075】
点群取得部120は、レーザーセンサ110によって検出された現時刻における点群(現フレーム)を取得する(ステップA5)。例えば、点群を構成する点数をMとした場合、現時刻における点群は、point[0]~point[M-1]={q0(x,y,z),q1(x,y,z),・・・,q(M-1)(x,y,z)}と表現され得る。
図5に示されるように、反射状態判定部160は、判定区間カウンタjに初期値として0(ゼロ)を設定する(ステップA6)。
【0076】
反射状態判定部160は、判定区間カウンタjが判定区間数N未満であるか否かを判定する(ステップA7)。反射状態判定部160は、判定区間カウンタjが判定区間数N未満であると判定した場合には(ステップA7において「YES」)、現時刻における点群q0(x,y,z),q1(x,y,z),・・・,q(M-1)(x,y,z)から、パラメータcube[0]~cube[N-1]によって規定される判定区間K0~K(N-1)に含まれる点数をカウントする。
【0077】
反射状態判定部160は、判定区間K0~K(N-1)に含まれる点数を、配列cube_cnt[0]~cube_cnt[N-1]に代入する(ステップA8)。そして、反射状態判定部160は、cube_cnt[j]が反射しきい値ref_th以上であるか否かを判定する(ステップA9)。
【0078】
反射状態判定部160は、cube_cnt[j]が反射しきい値ref_th以上であると判定した場合には(ステップA9において「YES」)、現時刻における判定区間Kjでの反射状態bit[j]に1(高反射状態)を設定し(ステップA10)、判定区間カウンタjをインクリメントして(ステップA12)、ステップA7に遷移する。一方、反射状態判定部160は、cube_cnt[j]が反射しきい値ref_th未満であると判定した場合には(ステップA9において「NO」)、現時刻における判定区間Kjでの反射状態bit[j]に0(低反射状態)を設定し(ステップA11)、判定区間カウンタjをインクリメントして(ステップA12)、ステップA7に遷移する。
【0079】
反射状態判定部160は、判定区間カウンタjが判定区間数N以上であると判定した場合には(ステップA7において「NO」)、
図6に示されるように、現時刻における判定区間K0~K(N-1)での反射状態bitと、前時刻における判定区間K0~K(N-1)での反射状態pre_bitとに基づく排他的論理和XOR(pre_bit,bit)を演算する。そして、反射状態判定部160は、排他的論理和XOR(pre_bit,bit)をビット列bit_yに代入する(ステップA13)。
【0080】
列車状態判定部170は、排他的論理和bit_yに基づいて、列車の状態を判定する。ここで、排他的論理和bit_yと列車の状態との対応関係の例について説明する。ここでは、具体的に判定区間数Nが9である場合を想定する。
【0081】
図7は、列車の状態が移動である場合における反射状態bitの時間変化の例を示す図である。
図7を参照すると、時刻t1における反射状態bit[0]~[8]と、時刻t2における反射状態bit[0]~[8]と、時刻t3における反射状態bit[0]~[8]とが示されている。ハッチングが入っているbit[]の反射状態は、1(高反射状態)であり、ハッチングが入っていないbit[]の反射状態は、0(低反射状態)である。時刻t1は、時刻t2の前時刻であり、時刻t2は、時刻t3の前時刻である。車両T1は、列車の先頭車両であり、車両T2は、列車の最後尾車両である。
【0082】
時刻t1から時刻t3に向けて時間が経過するとともに、車両T1および車両T2は、紙面の右から左に移動している。このとき、時刻t1においては、反射状態bit[0]~[3]が0(低反射状態)であり、反射状態bit[4]~[8]が1(高反射状態)である。したがって、時刻t1における反射状態bitは、「000011111」である。
【0083】
時刻t2においては、反射状態bit[0]~[1],[8]が0(低反射状態)であり、反射状態bit[2]~[7]が1(高反射状態)である。したがって、時刻t2における反射状態bitは、「001111110」である。例えば、前時刻がt1である場合、かつ、現時刻がt2である場合には、前時刻t1における反射状態bitと、現時刻t2における反射状態bitとの排他的論理和は、「001100001」と算出される。
【0084】
時刻t3においては、反射状態bit[0]~[5]が1(高反射状態)であり、反射状態bit[6]~[8]が0(低反射状態)である。したがって、時刻t3における反射状態bitは、「111111000」である。例えば、前時刻がt2である場合、かつ、現時刻がt3である場合には、前時刻t2における反射状態bitと、現時刻t3における反射状態bitとの排他的論理和は、「110000110」と算出される。
【0085】
このように列車が移動しているときには、前時刻における反射状態と現時刻における反射状態とに基づく排他的論理和の中に1になるビットが存在する。換言すると、列車が移動しているときには、前時刻における反射状態と現時刻における反射状態とに基づく排他的論理和は、「000000000」とはならない。
【0086】
図8は、列車の状態が在線である場合における反射状態bitの時間変化の例を示す図である。
【0087】
図8を参照すると、時刻t1から時刻t3に向けて時間が経過しても、車両T1および車両T2は、移動していない。そのため、時刻t1~t3においては、いずれも、反射状態bit[0]~[1],[8]が0(低反射状態)であり、反射状態bit[2]~[7]が1(高反射状態)である。したがって、時刻t1~t3における反射状態bitは、「001111110」である。
【0088】
例えば、前時刻がt1である場合、かつ、現時刻がt2である場合には、前時刻t1における反射状態bitと、現時刻t2における反射状態bitとの排他的論理和は、「000000000」と算出される。同様に、前時刻がt2である場合、かつ、現時刻がt3である場合には、前時刻t2における反射状態bitと、現時刻t3における反射状態bitとの排他的論理和は、「000000000」と算出される。
【0089】
このように列車の状態が在線であるときには、前時刻における反射状態と現時刻における反射状態とに基づく排他的論理和の中に1になるビットが存在しない。換言すると、列車の状態が在線であるときには、前時刻における反射状態と現時刻における反射状態とに基づく排他的論理和は、「000000000」となる。ただし、列車の状態が在線であるときには、時刻t1~t3のいずれにおいても、反射状態bit自体は、「000000000」とならない。
【0090】
図9は、列車の状態が非在線である場合における反射状態bitの時間変化の例を示す図である。
【0091】
図9を参照すると、時刻t1から時刻t3に向けて時間が経過しても、列車は存在していない。そのため、時刻t1~t3においては、いずれも、反射状態bit[0]~[1],[8]が0(低反射状態)である。したがって、時刻t1~t3における反射状態bitは、「000000000」である。
【0092】
例えば、前時刻がt1である場合、かつ、現時刻がt2である場合には、前時刻t1における反射状態bitと、現時刻t2における反射状態bitとの排他的論理和は、「000000000」と算出される。同様に、前時刻がt2である場合、かつ、現時刻がt3である場合には、前時刻t2における反射状態bitと、現時刻t3における反射状態bitとの排他的論理和は、「000000000」と算出される。
【0093】
このように列車の状態が非在線であるときには、前時刻における反射状態と現時刻における反射状態とに基づく排他的論理和の中に1になるビットが存在しない。換言すると、列車の状態が非在線であるときには、前時刻における反射状態と現時刻における反射状態とに基づく排他的論理和は、「000000000」となる。ただし、列車の状態が非在線であるときには、列車の状態が在線であるときとは異なり、時刻t1~t3のいずれにおいても、反射状態bit自体は、「000000000」となる。
【0094】
図6に戻って説明を続ける。列車状態判定部170は、排他的論理和bit_yが0以外であるか否かを判定する(ステップA13)。列車状態判定部170は、排他的論理和bit_yが0以外であると判定した場合には(ステップA13において「YES」)、列車の状態を格納する変数statusに「移動」を代入し、ステップA19に遷移する。一方、列車状態判定部170は、排他的論理和bit_yが0であると判定した場合には(ステップA13において「NO」)、現時刻における反射状態bitが0であるか否かを判定する(ステップA16)。
【0095】
列車状態判定部170は、現時刻における反射状態bitが0であると判定した場合には(ステップA16において「YES」)、列車の状態を格納する変数statusに「非在線」を代入し(ステップA17)、ステップA19に遷移する。一方、列車状態判定部170は、現時刻における反射状態bitが0ではないと判定した場合には(ステップA16において「NO」)、列車の状態を格納する変数statusに「在線」を代入し(ステップA18)、ステップA19に遷移する。
【0096】
列車状態判定部170は、前時刻における反射状態pre_bitに、現時刻における反射状態bitをコピーする(ステップA19)。列車状態判定部170は、変数statusに格納されている列車の状態を表示部180に出力する(ステップA20)。これによって、列車状態判定部170によって判定された列車の状態の表示部180による表示が制御される。
【0097】
点群取得部120は、処理を終了するか否かを判定する(ステップA21)。点群取得部120は、処理を終了すると判定した場合には(ステップA21において「YES」)、処理を終了する。一方、点群取得部120は、処理を終了しないと判定した場合には(ステップA21において「NO」)、ステップA5に遷移し、次の時刻における点群(次フレーム)を取得する。
【0098】
以上、本発明の実施形態に係る列車状態判定装置10の動作例について説明した。
【0099】
[1-3.実施形態の効果]
以上に説明したように、本発明の実施形態に係る列車状態判定装置10によれば、センサによる判定区間での反射波の検出結果に基づいて、当該判定区間での反射状態が判定され、反射状態に基づいて列車の状態が判定される。これにより、少なくとも先頭車両の停止位置に判定区間が設定されれば、全通りの停止位置それぞれにセンサが設けられなくても、高精度に列車の状態を判定することが可能となる。
【0100】
また、上記したように、列車を構成する先頭車両の停止位置は、列車によって異なり得る。例えば、先頭車両の停止位置は、列車を構成する車両の数に応じて変化し得る。あるいは、先頭車両の停止位置は、列車の種類に応じて変化し得る。本発明の実施形態に係る列車状態判定装置10によれば、複数の判定区間が設定されることによって、先頭車両の停止位置にずれが生じる場合であっても、高精度に列車の状態が判定され得る。
【0101】
以上、本発明の実施形態の効果について説明した。
【0102】
<2.各種変形例>
続いて、各種の変形例について説明する。
【0103】
上記では、判定区間K0~K(N-1)のサイズが同じであってもよいし、同じでなくてもよいことについて言及した。ここで、列車の先頭車両および最後尾車両が停止する判定区間での反射状態は、その判定区間のサイズが小さいほど、停止位置のずれに応じて変化しやすいと言える。その逆に、列車の先頭車両および最後尾車両が停止する判定区間での反射状態は、その判定区間のサイズが大きいほど、停止位置のずれに応じて変化しにくいと言える。
【0104】
上記では、判定区間を規定するためのパラメータcube[j](ただし、j=0,1,・・・、N-1)が、あらかじめ判定区間設定部140によって記憶されている場合を主に想定した。しかし、判定区間を規定するためのパラメータcube[j]は、あらかじめ判定区間設定部140によって記憶されていなくてもよい。このとき、判定区間設定部140は、判定区間K0~K(N-1)をランダムな位置に配置してもよい。
【0105】
上記では、判定区間設定部140が、判定区間K0~K(N-1)を列車の移動方向に沿って水平方向に配置する場合を主に想定した。しかし、判定区間設定部140は、判定区間K0~K(N-1)を、鉛直方向に配置してもよい。あるいは、判定区間設定部140は、判定区間K0~K(N-1)を、鉛直方向と水平方向との間の方向である斜め方向に配置してもよい。
【0106】
上記では、判定区間K0~K(N-1)それぞれが直方体である場合を主に想定した。しかし、レーザーセンサ110として2Dレーザーセンサが用いられる場合も想定される。かかる場合には、判定区間K0~K(N-1)それぞれは、長方形であってもよいし、長方形以外の任意の平面図形であってもよい。
【0107】
上記では、列車状態判定部170が、現時刻および前時刻における判定区間K0~K(N-1)それぞれの反射状態に基づいて、列車の状態を判定する場合を主に想定した。しかし、列車状態判定部170は、三つ以上の時刻における判定区間K0~K(N-1)それぞれの反射状態に基づいて、列車の状態を判定してもよい。
【0108】
例えば、列車状態判定部170は、三つ以上の時刻において反射状態が異なる判定区間がある場合に、列車の状態が移動であると判定してもよい。また、列車状態判定部170は、三つ以上の時刻において反射状態が異なる判定区間がない場合に、列車の状態が在線または非在線であると判定してもよい。このとき、列車状態判定部170は、現時刻において判定区間K0~K(N-1)の全部の反射状態が低反射状態であるか否かに応じて、列車の状態が非在線であるか在線であるかを判定してもよい。
【0109】
以上、各種の変形例について説明した。
【0110】
<3.ハードウェア構成例>
続いて、本発明の実施形態に係る列車状態判定装置10のハードウェア構成例について説明する。以下では、本発明の実施形態に係る列車状態判定装置10のハードウェア構成例として、情報処理装置900のハードウェア構成例について説明する。なお、以下に説明する情報処理装置900のハードウェア構成例は、列車状態判定装置10のハードウェア構成の一例に過ぎない。したがって、列車状態判定装置10のハードウェア構成は、以下に説明する情報処理装置900のハードウェア構成から不要な構成が削除されてもよいし、新たな構成が追加されてもよい。
【0111】
図10は、本発明の実施形態に係る列車状態判定装置10の例としての情報処理装置900のハードウェア構成を示す図である。情報処理装置900は、CPU(Central Processing Unit)901と、ROM(Read Only Memory)902と、RAM(Random Access Memory)903と、ホストバス904と、ブリッジ905と、外部バス906と、インタフェース907と、入力装置908と、出力装置909と、ストレージ装置910と、通信装置911と、を備える。
【0112】
CPU901は、演算処理装置および制御装置として機能し、各種プログラムに従って情報処理装置900内の動作全般を制御する。また、CPU901は、マイクロプロセッサであってもよい。ROM902は、CPU901が使用するプログラムや演算パラメータ等を記憶する。RAM903は、CPU901の実行において使用するプログラムや、その実行において適宜変化するパラメータ等を一時記憶する。これらはCPUバス等から構成されるホストバス904により相互に接続されている。
【0113】
ホストバス904は、ブリッジ905を介して、PCI(Peripheral Component Interconnect/Interface)バス等の外部バス906に接続されている。なお、必ずしもホストバス904、ブリッジ905および外部バス906を分離構成する必要はなく、1つのバスにこれらの機能を実装してもよい。
【0114】
入力装置908は、マウス、キーボード、タッチパネル、ボタン、マイクロフォン、スイッチおよびレバー等ユーザが情報を入力するための入力手段と、ユーザによる入力に基づいて入力信号を生成し、CPU901に出力する入力制御回路等から構成されている。情報処理装置900を操作するユーザは、この入力装置908を操作することにより、情報処理装置900に対して各種のデータを入力したり処理動作を指示したりすることができる。
【0115】
出力装置909は、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ装置、液晶ディスプレイ(LCD)装置、OLED(Organic Light Emitting Diode)装置、ランプ等の表示装置およびスピーカ等の音声出力装置を含む。
【0116】
ストレージ装置910は、データ格納用の装置である。ストレージ装置910は、記憶媒体、記憶媒体にデータを記録する記録装置、記憶媒体からデータを読み出す読出し装置および記憶媒体に記録されたデータを削除する削除装置等を含んでもよい。ストレージ装置910は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)で構成される。このストレージ装置910は、ハードディスクを駆動し、CPU901が実行するプログラムや各種データを格納する。
【0117】
通信装置911は、例えば、ネットワークに接続するための通信デバイス等で構成された通信インタフェースである。また、通信装置911は、無線通信または有線通信のどちらに対応してもよい。
【0118】
以上、本発明の実施形態に係る列車状態判定装置10のハードウェア構成例について説明した。
【0119】
<4.補足>
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0120】
1 情報処理システム
10 列車状態判定装置
110 レーザーセンサ
120 点群取得部
130 判定区間記憶部
140 判定区間設定部
150 反射しきい値記憶部
160 反射状態判定部
170 列車状態判定部
180 表示部
【要約】
【課題】物体の状態をより高精度に判定することが可能な技術を提供する。
【解決手段】第1の時刻にセンサによって検出された反射波の判定エリアでの第1の検出結果に基づいて、前記第1の時刻における前記判定エリアでの第1の反射状態を判定するとともに、前記第1の時刻より前の時刻である第2の時刻に前記センサによって検出された反射波の前記判定エリアでの第2の検出結果に基づいて、前記第2の時刻における前記判定エリアでの第2の反射状態を判定する反射状態判定部と、前記第1の反射状態と、前記第2の反射状態とに基づいて、物体の状態を判定する物体状態判定部と、を備える、情報処理装置が提供される。
【選択図】
図1