(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-14
(45)【発行日】2025-01-22
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/04 20120101AFI20250115BHJP
【FI】
G06Q50/04
(21)【出願番号】P 2024196825
(22)【出願日】2024-11-11
【審査請求日】2024-11-15
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004381
【氏名又は名称】弁理士法人ITOH
(72)【発明者】
【氏名】増田 達矢
(72)【発明者】
【氏名】松井 哲郎
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 拓也
【審査官】星野 裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2023-19824(JP,A)
【文献】国際公開第2022/070231(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2023/0112921(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
設備に関するデータに対して生成する説明の種別として1以上の種別を選択する選択部と、
選択された前記1以上の種別に応じて、前記データを取得するデータ取得部と、
取得された前記データと、大規模言語モデルを含む機械学習モデルで実現される生成AIとに基づいて、前記1以上の種別のそれぞれに対応する1以上の説明を生成する説明生成部と、
前記1以上の種別のそれぞれに対応する前記1以上の説明を統合した説明を表す第1の統合説明を作成する統合部と、
を有する情報処理装置。
【請求項2】
前記1以上の種別のそれぞれの種別毎に、前記種別に対応する前記データを用いて、前記種別に対応するプロンプトを作成する作成部を有し、
前記説明生成部は、
前記プロンプトを前記生成AIに入力することにより、前記種別に対応する説明を生成する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記1以上の種別には、前記設備の現状の運転の問題点に関する説明を表す第1の種別と、前記問題点に対する改善策に関する説明を表す第2の種別と、前記設備の現状の運転と前記設備の最適な運転計画との比較及び考察に関する説明を表す第3の種別と、前記設備の最適な運転計画の理由に関する説明を表す第4の種別とが含まれ、
前記説明生成部は、
前記第1の種別から前記第4の種別まで順に、前記プロンプトを作成し、前記種別に対応する説明を生成する、請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記説明生成部は、
前記プロンプトを前記生成AIに複数回入力することにより、前記種別に対応する説明を複数生成し、
前記統合部は、
前記種別に対応する複数の説明を統合した説明を表す第2の統合説明を作成し、
前記1以上の種別のそれぞれに対応する第2の統合説明を統合することにより、前記第1の統合説明を作成する、請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記説明生成部は、
前記プロンプトを複数の生成AIに入力することにより、前記種別に対応する説明を複数生成し、
前記統合部は、
前記種別に対応する複数の説明を統合した説明を表す第2の統合説明を作成し、
前記1以上の種別のそれぞれに対応する第2の統合説明を統合することにより、前記第1の統合説明を作成する、請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記統合部は、
生成AI又は文書要約技術を用いて、複数の説明を統合した説明を作成する、請求項1乃至5の何れか一項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
設備に関するデータに対して生成する説明の種別として1以上の種別を選択する選択手順と、
選択された前記1以上の種別に応じて、前記データを取得するデータ取得手順と、
取得された前記データと、大規模言語モデルを含む機械学習モデルで実現される生成AIとに基づいて、前記1以上の種別のそれぞれに対応する1以上の説明を生成する説明生成手順と、
前記1以上の種別のそれぞれに対応する前記1以上の説明を統合した説明を表す第1の統合説明を作成する統合手順と、
をコンピュータが実行する情報処理方法。
【請求項8】
設備に関するデータに対して生成する説明の種別として1以上の種別を選択する選択手順と、
選択された前記1以上の種別に応じて、前記データを取得するデータ取得手順と、
取得された前記データと、大規模言語モデルを含む機械学習モデルで実現される生成AIとに基づいて、前記1以上の種別のそれぞれに対応する1以上の説明を生成する説明生成手順と、
前記1以上の種別のそれぞれに対応する前記1以上の説明を統合した説明を表す第1の統合説明を作成する統合手順と、
をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
各種プラント(例:発電プラント、鉄鋼プラント、化学プラント、石油プラント、エネルギープラント等)といった設備を対象として、最適化問題を解くことにより、当該設備の最適な運転計画を決定する手法が知られている。例えば、特許文献1には、熱源システムの最適な運転計画を算出する手法が開示されている。また、例えば、特許文献2には、生産設備の最適な生産計画を作成する手法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6810597号公報
【文献】特許第7349608号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、最適化問題を解くことにより得られた運転計画の正しさを確認することは一般に困難な場合が多いため、その運転計画を表すデータに対する説明を生成する技術が求められている。このことは、最適化問題を解くことにより得られた運転計画を表すデータに限られず、例えば、運転実績を表すデータ等に関しても同様である。
【0005】
本開示は、上記の点に鑑みてなされたもので、データに対する説明を生成できる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様による情報処理装置は、設備に関するデータに対して生成する説明の種別として1以上の種別を選択する選択部と、選択された前記1以上の種別に応じて、前記データを取得するデータ取得部と、取得された前記データと、大規模言語モデルを含む機械学習モデルで実現される生成AIとに基づいて、前記1以上の種別のそれぞれに対応する1以上の説明を生成する説明生成部と、前記1以上の種別のそれぞれに対応する前記1以上の説明を統合した説明を表す第1の統合説明を作成する統合部と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
データに対する説明を生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】本実施形態に係るデータ説明装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図3】本実施形態に係るデータ説明装置の機能構成の一例を示す図である。
【
図4】本実施形態に係るデータ説明処理の一例を示すフローチャートである。
【
図5】配列形式の運転実績データの一例を示す図である。
【
図6】配列形式の最適運転計画データの一例を示す図である。
【
図7】本実施形態に係る説明生成処理の一例を示すフローチャートである。
【
図8】プロンプトの一例(その1)を示す図である。
【
図9】プロンプトの一例(その2)を示す図である。
【
図10】プロンプトの一例(その3)を示す図である。
【
図11】データ説明情報一例(その1)を示す図である。
【
図12】データ説明情報一例(その2)を示す図である。
【
図13】本実施形態に係る説明生成処理の変形例(その1)を示すフローチャートである。
【
図14】本実施形態に係る説明生成処理の変形例(その2)を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。以下の実施形態では、或る所定の設備(以下、「対象設備」という。)に関するデータに対して説明を生成することができるデータ説明装置10について説明する。対象設備としては、例えば、発電プラント、鉄鋼プラント、化学プラント、石油プラント、エネルギープラント等といった各種プラントが挙げられる。また、対象設備に関するデータとしては、対象設備の運転実績を表すデータ(以下、「運転実績データ」という。)、対象設備の最適な運転計画を表すデータ(以下、「最適運転計画データ」という。)等が挙げられる。最適運転計画データは、例えば、対象設備の最適な運転計画を求めるための最適化問題を解くことにより得られたデータのことである。
【0010】
なお、最適運転計画データを得るための最適化問題の形式は特定の形式に限定されるものではなく、任意の形式の最適化問題を解くことにより得られた最適運転計画データを用いることが可能である。すなわち、最適運転計画データは、例えば、連続最適化問題を解くことにより得られたデータであっても、離散最適化問題(これは「組合せ最適化問題」等とも呼ばれる。)を解くことにより得られたデータであってもよい。また、最適化問題の解法はその問題に応じて様々な手法(例:メタヒューリスティック、強化学習、その他の既存手法等)を用いることができる。以下では、一例として、最適運転計画データは、連続最適化問題を解くことにより得られたデータであるものとする。
【0011】
また、設備に関するデータを対象とすることは一例であって、例えば、機器に関するデータ、システムに関するデータ等を対象とすることも可能である。
【0012】
ここで、本実施形態に係るデータ説明装置10は、生成AI(Artificial Intelligence)を用いて、対象設備に関するデータに対する説明を生成する。このとき、本実施形態に係るデータ説明装置10は、当該データに対して複数の説明を生成した上で、これら複数の説明を統合した説明を作成する。これにより、ユーザは、この説明を参照することにより、例えば、運転実績から現在の運転の問題点を把握したり、最適な運転計画の妥当性を検証したりすることが可能となる。また、更に現在の運転の問題点に対する改善策を確認したり、現状の運転と最適な運転計画とを比較したりすることも可能となる。このため、本実施形態に係るデータ説明装置10を用いることにより、対象設備に関してユーザが何等かの意思決定(例:最適運転計画を実際に適用するか否かを決定する等)を行う際にその意思決定を支援することが可能となる。
【0013】
なお、本実施形態に係るデータ説明装置10は、例えば、情報処理装置(コンピュータ)又は1以上の情報処理装置で構成される情報処理システム(コンピュータシステム)により実現される。情報処理装置の具体例としては、パーソナルコンピュータ、汎用サーバ、スマートフォン、タブレット端末等が挙げられる。
【0014】
生成AIとは、与えられた指示又は質問等(これらの指示又は質問等は「プロンプト」等と呼ばれる。)に対して、その指示又は質問等を満たす自然言語文や画像等のコンテンツを生成する技術又は仕組み等のことである。生成AIは、一般に、例えば、大規模言語モデル(LLM:Large Language Models)等を含む機械学習モデルで実現される。
【0015】
<対象設備の構成例>
以下、対象設備の一例として、
図1に示すエネルギープラントを対象とする。
図1に示すエネルギープラントは、ガスタービン(+排ガスボイラ)、貫流ボイラ、N台のターボ冷凍機、N台の蒸気吸収式冷凍機で構成されている。ガスタービン(+排ガスボイラ)は、都市ガスから電力を発電するガスタービンと、ガスタービンから排出されたガスから蒸気を出力する排ガスボイラとで構成されている。貫流ボイラは、都市ガスから蒸気を出力する。ターボ冷凍機は、ガスタービンで発電された電力と、必要に応じて購入した電力とを用いて、冷熱を出力する。蒸気吸収式冷凍機は、排ガスボイラから出力された蒸気と、貫流ボイラから出力された蒸気と用いて、冷熱を出力する。エネルギープラントから出力された電力、冷熱及び蒸気はそれぞれ電力負荷、熱負荷及び蒸気負荷で利用される。
【0016】
なお、
図1に示すエネルギープラントの構成は一例であって、これに限られるものではない。
【0017】
<データ説明装置10のハードウェア構成例>
本実施形態に係るデータ説明装置10のハードウェア構成例を
図2に示す。
図2に示すように、本実施形態に係るデータ説明装置10は、入力装置101と、表示装置102と、外部I/F103と、通信I/F104と、RAM(Random Access Memory)105と、ROM(Read Only Memory)106と、補助記憶装置107と、プロセッサ108とを有する。これらの各ハードウェアは、それぞれがバス109を介して通信可能に接続される。
【0018】
入力装置101は、例えば、キーボード、マウス、タッチパネル、物理ボタン等である。表示装置102は、例えば、ディスプレイ、表示パネル等である。なお、データ説明装置10は、例えば、入力装置101及び表示装置102のうちの少なくとも一方を有していなくてもよい。
【0019】
外部I/F103は、記録媒体103a等の外部装置とのインタフェースである。記録媒体103aとしては、例えば、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disk)、SDメモリカード(Secure Digital memory card)、USB(Universal Serial Bus)メモリカード等が挙げられる。
【0020】
通信I/F104は、通信ネットワークに接続するためのインタフェースである。RAM105は、プログラムやデータを一時保持する揮発性の半導体メモリ(記憶装置)である。ROM106は、電源を切ってもプログラムやデータを保持することができる不揮発性の半導体メモリ(記憶装置)である。補助記憶装置107は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ等の不揮発性の記憶装置である。プロセッサ108は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphic Processing Unit)等の演算装置である。
【0021】
なお、
図2に示すハードウェア構成は一例であって、データ説明装置10のハードウェア構成はこれに限られるものではない。例えば、データ説明装置10は、複数の補助記憶装置107や複数のプロセッサ108を有していてもよいし、図示したハードウェアの一部を有していなくてもよいし、図示したハードウェア以外の種々のハードウェアを有していてもよい。
【0022】
<データ説明装置10の機能構成例>
本実施形態に係るデータ説明装置10の機能構成例を
図3に示す。
図3に示すように、本実施形態に係るデータ説明装置10は、説明種別選択部201と、データ取得部202と、情報整理部203と、説明生成処理部204と、説明出力部205と、ユーザ入力取得部206とを有する。また、本実施形態に係るデータ説明装置10は、データ記憶部301を有する。
【0023】
説明種別選択部201、データ取得部202、情報整理部203、説明生成処理部204、説明出力部205、及びユーザ入力取得部206は、例えば、データ説明装置10にインストールされた1以上のプログラムが、プロセッサ108等に実行させる処理により実現される。なお、これら各部のうちの少なくとも1つが、例えば、外部のクラウドサーバ等が実行する処理により実現されていてもよい。
【0024】
また、データ記憶部301は、例えば、補助記憶装置107等の記憶領域により実現される。なお、データ記憶部301は、データ説明装置10と通信可能に接続された記憶装置(例:データベースサーバが備える記憶装置等)の記憶領域により実現されていてもよい。
【0025】
説明種別選択部201は、予め決められた1以上の説明種別の中からユーザが説明を得たい1以上の説明種別を選択する。説明種別とは、対象設備に関するデータに対する説明の種別のことである。以下、一例として、説明種別としては、「現状運転の問題点」、「問題点の改善策」、「現状運転と最適化結果との比較及び考察」、「最適化結果の理由」の4つを想定する。ここで、「現状運転の問題点」は、対象設備の現状の運転の問題点に関する説明を得たい場合の説明種別である。「問題点の改善策」は、対象設備の現状の運転の問題点に対する改善策に関する説明を得たい場合の説明種別である。「現状運転と最適化結果との比較及び考察」は、対象設備の現状の運転と最適な運転計画との比較及び考察に関する説明を得たい場合の説明種別である。「最適化結果の理由」とは、対象設備の最適な運転計画の理由に関する説明を得たい場合の説明種別である。ただし、これら4つの説明種別はいずれも一例であって、説明種別はこれら4つに限られるものではない。
【0026】
データ取得部202は、説明種別選択部201によって選択された説明種別に応じて、運転実績データと最適運転計画データとの少なくとも一方をデータ記憶部301から取得する。ここで、データ取得部202は、例えば、説明種別選択部201によって選択された説明種別の中に「現状運転の問題点」又は「問題点の改善策」が含まれる場合は運転実績データをデータ記憶部301から取得し、「最適化結果の理由」が含まれる場合は最適運転計画データをデータ記憶部301から取得し、「現状運転と最適化結果との比較及び考察」が含まれる場合は運転実績データと最適運転計画データとをデータ記憶部301から取得する。
【0027】
情報整理部203は、データ取得部202によって取得されたデータ(運転実績データ若しくは最適運転計画データ又はその両方)を、生成AIに入力することが可能な所定の形式(例:配列形式等)に整理又は変換する。
【0028】
説明生成処理部204は、データ取得部202によって取得されたデータに対する説明を表すデータ説明情報を生成する。ここで、説明生成処理部204には、プロンプト生成部211と、説明生成部212と、統合部213とが含まれる。プロンプト生成部211は、説明種別選択部201によって選択された説明種別毎に、その説明種別に対応するプロンプトを作成する。説明生成部212は、説明種別選択部201によって選択された説明種別毎に、プロンプト生成部211によって生成されたプロンプトと、生成AIとを用いて、データ取得部202によって取得されたデータに対する説明を表すデータ説明情報を生成する。すなわち、説明生成部212は、プロンプト生成部211によって生成されたプロンプトを生成AIに入力することにより、その生成AIによりデータ説明情報を生成する。統合部213は、説明生成部212によって生成された1以上のデータ説明情報を統合したデータ説明情報(以下、「統合データ説明情報」ともいう。)を作成する。
【0029】
なお、生成AIを実現する大規模言語モデルは学習時に様々なドメイン知識を獲得している。このため、生成AIによりデータ説明情報が生成される際には、これらのドメイン知識を利用したデータ説明情報の生成が期待できる。
【0030】
また、説明生成部212は、後述するユーザ入力情報をプロンプトとして生成AIに入力することにより、その生成AIにより新たなデータ説明情報を生成する。この新たなデータ説明情報は、例えば、当該生成AIで前回生成されたデータ説明情報に対する追加の説明を表す情報、当該生成AIで前回生成されたデータ説明情報の要約を表す情報、当該生成AIで前回生成されたデータ説明情報に対する何等かの質問や指示の回答を表す情報等である。
【0031】
説明出力部205は、説明生成部212によって生成されたデータ説明情報又は統合データ説明情報を予め決められた所定の出力先に出力する。所定の出力先としては、例えば、ディスプレイ等の表示装置102、補助記憶装置107等の記憶領域、通信可能に接続された他の機器や装置等が挙げられる。
【0032】
ユーザ入力取得部206は、ユーザにより入力された自然言語文等の情報(以下、「ユーザ入力情報」ともいう。)を入力する。ユーザ入力情報としては、例えば、データ説明情報に対して追加の説明を求める自然言語文を表す情報、データ説明情報の要約を求める自然言語文を表す情報、データ説明情報に対する定型的な質問等の自然言語文を表す情報、その他のデータ説明情報に対する何等かの質問や指示を意味する自然言語文を表す情報等が挙げられる。
【0033】
データ記憶部301は、対象設備に関するデータ(運転実績データや最適運転計画データ等)を記憶する。運転実績データは、対象設備から収集(より正確には、対象設備やそれを構成する機器又は設備等に設置されたセンサ等から収集)される。一方で、最適運転計画データは、対象設備の最適な運転計画を求めるための最適化問題を解くことにより得られる。なお、当該最適化問題を解く主体は、データ説明装置10であってもよいし、データ説明装置10と通信可能に接続されたサーバ(例:クラウドサーバ)等であってもよい。当該最適化問題をデータ説明装置10が解く場合には、データ説明装置10は、当該最適化問題を解くための機能部として、例えば、「最適化計算部」等と呼ぶ機能部を有していてもよい。
【0034】
<データ説明処理の例>
本実施形態に係るデータ説明処理の一例について、
図4を参照しながら説明する。なお、例えば、
図4のステップS101~ステップS105はデータ説明情報が必要なときに都度実行され、ステップS106~ステップS108はデータ説明情報が得られた後に必要に応じて1回以上繰り返し実行される。
【0035】
説明種別選択部201は、予め決められた1以上の説明種別の中からユーザが説明を得たい1以上の説明種別を選択する(ステップS101)。なお、説明種別選択部201は、例えば、予め決められた1以上の説明種別の中からユーザによって指定された説明種別を選択すればよい。以下では、一例として、「現状運転の問題点」、「問題点の改善策」、「現状運転と最適化結果との比較及び考察」、「最適化結果の理由」の4つの説明種別が選択されたものとして説明する。
【0036】
データ取得部202は、上記のステップS101で選択された説明種別に応じて、運転実績データと最適運転計画データとの少なくとも一方をデータ記憶部301から取得する(ステップS102)。例えば、上記のステップS101で選択された説明種別の中に「現状運転の問題点」又は「問題点の改善策」が含まれる場合、データ取得部202は、運転実績データをデータ記憶部301から取得する。また、例えば、上記のステップS101で選択された説明種別の中に「最適化結果の理由」が含まれる場合、データ取得部202は、最適運転計画データをデータ記憶部301から取得する。更に、例えば、上記のステップS101で選択された説明種別の中に「現状運転と最適化結果との比較及び考察」が含まれる場合、データ取得部202は、運転実績データと最適運転計画データとをデータ記憶部301から取得する。
【0037】
ここで、運転実績データ及び最適運転計画データは、1以上の変数(対象設備がプラント等である場合、これらの変数は「状態変数」等とも呼ばれる。)で構成されるデータ(以下、「状態データ」という。)の時系列データとして表される。
図1に示すエネルギープラントを対象設備とした場合、状態変数としては、例えば、電力購入量、都市ガス購入量、ガスタービンの都市ガス使用量、ガスタービンの発電出力、排ガスボイラの蒸気出力、ターボ冷凍機の電力使用量、ターボ冷凍機の熱出力、蒸気吸収式冷凍機の蒸気使用量、蒸気吸収式冷凍機の熱出力、貫流ボイラの都市ガス使用量、貫流ボイラの蒸気出力、貫流ボイラの余剰蒸気、電力負荷、熱負荷、蒸気負荷等が挙げられる。
【0038】
なお、上記のステップS102で運転実績データが取得される場合、データ取得部202は、例えば、運転実績データを構成する状態データを対象設備からリアルタイムに逐次的に取得してもよい。
【0039】
情報整理部203は、上記のステップS102で取得されたデータ(運転実績データ若しくは最適運転計画データ又はその両方)を、生成AIに入力することが可能な所定の形式(例:配列形式等)に整理又は変換する(ステップS103)。一例として、
図1に示すエネルギープラントを対象設備とした場合における運転実績データを配列形式に整理又は変換したデータを
図5に示す。同様に、
図1に示すエネルギープラントを対象設備とした場合における最適運転計画データを配列形式に整理又は変換したデータを
図6に示す。
図5及び
図6は、各状態変数の時系列データをそれぞれ配列で表現した場合の例を示している。
図5及び
図6では各行のそれぞれが1つの配列を表しており、各配列には、その配列に対応する状態変数の名称とその状態変数に設定される値の単位とが設定されている。また、各配列には、時刻s=1から時刻s=tまでの状態変数の時系列データが格納されている。
【0040】
なお、上記のステップS102で取得されたデータ(運転実績データ若しくは最適運転計画データ又はその両方)が生成AIに入力することが可能な形式である場合、上記のステップS103は実行されなくてもよい。以下、上記のステップS103における整理又は変換後のデータ(運転実績データ若しくは最適運転計画データ又はその両方)も、単に「運転実績データ」や「最適運転計画データ」と表すことにする。
【0041】
説明生成処理部204は、上記のステップS103で整理又は変換されたデータに対する説明を表すデータ説明情報を生成するための説明生成処理を実行する(ステップS104)。これにより、統合データ説明情報が得られる。なお、説明生成処理の詳細については後述する。
【0042】
説明出力部205は、上記のステップS104で得られた統合データ説明情報を予め決められた所定の出力先に出力する(ステップS105)。
【0043】
ユーザ入力取得部208は、ユーザにより入力されたユーザ入力情報を取得する(ステップS106)。
【0044】
説明生成処理部204の説明生成部212は、上記のステップS106で取得されたユーザ入力情報と、生成AIとを用いて、新たなデータ説明情報を生成する(ステップS107)。すなわち、説明生成部212は、上記のステップS106で取得されたユーザ入力情報をプロンプトとして生成AIに入力することにより、その生成AIにより新たなデータ説明情報を生成する。
【0045】
説明出力部205は、上記のステップS107で生成されたデータ説明情報を予め決められた所定の出力先に出力する(ステップS108)。
【0046】
≪説明生成処理の例≫
本実施形態に係る説明生成処理の一例について、
図7を参照しながら説明する。以下、
図4のステップS101で選択された説明種別のことを「説明対象種別」と呼ぶことにする。また、説明対象種別の個数のことを「説明対象種別数」と呼び、Iで表すことにする。更に、i番目の説明対象種別のことを「説明対象種別i」と表すことにする。以下、一例として、1番目の説明対象種別を「現状運転の問題点」、2番目の説明対象種別を「問題点の改善策」、3番目の説明対象種別を「現状運転と最適化結果との比較及び考察」、4番目の説明対象種別を「最適化結果の理由」とする。
【0047】
説明生成処理部204は、説明対象種別の番号を表す変数iを1に初期化する(ステップS201)。
【0048】
説明生成処理部204のプロンプト生成部211は、説明対象種別iに対応するプロンプトを生成する(ステップS202)。プロンプト生成部211は、例えば、以下の手順1~手順3により、説明対象種別iに対応するプロンプトを生成すればよい。
【0049】
手順1:プロンプト生成部211は、当該説明対象種別iに対応するプロンプトの雛形(テンプレート)であるプロンプトテンプレートを取得する。プロンプトテンプレートとは、説明対象種別iに関する説明を生成するための指示を表す自然言語文と、0個以上の変数部分とが含まれるテンプレート情報のことである。変数部分とは、当該説明対象種別iに対応するデータが設定される部分(つまり、プロンプトテンプレートの可変部分)のことである。プロンプトテンプレートは、例えば、ユーザ等によって予め作成された上で、所定の記憶領域に保存される。
【0050】
手順2:上記の手順1で取得したプロンプトテンプレートに変数部分が含まれる場合、プロンプト生成部211は、その変数部分に対して、当該説明対象種別iに対応するデータ(運転実績データ若しくは最適運転計画データ又はその両方)を設定する。以下、プロンプトテンプレートに含まれる変数部分に設定されたデータのことを「設定情報」と呼ぶことにする。
【0051】
手順3:上記の手順1で取得したプロンプトテンプレートに変数部分が含まれない場合、プロンプト生成部211は、当該プロンプトテンプレートを、当該説明対象種別iに対応するプロンプトとする。
【0052】
上記の手順2又は3により、当該説明対象種別iに対応するプロンプトが生成される。なお、変数部分が含まれるプロンプトテンプレートとしては、例えば、「現状運転の問題点」に対応するプロンプトテンプレート、「現状運転と最適化結果との比較及び考察」に対応するプロンプトテンプレート、「最適化結果の理由」に対応するプロンプトテンプレートが挙げられる。一方で、変数部分が含まれないプロンプトテンプレートとしては、例えば、「問題点の改善策」に対応するプロンプトテンプレートが挙げられる。
【0053】
一例として、説明対象種別「現状運転の問題点」に対応するプロンプトを
図8に示す。
図8に示すプロンプト1100は、エネルギーコストの効率化という観点で対象設備の現状の運転(つまり、
図5に示す運転実績データ)の問題点の洗い出した結果をデータ説明情報として生成するためのプロンプトである。なお、
図8に示すプロンプト1100では、設定情報が太字及び下線で表されている。
【0054】
他の例として、説明対象種別「最適化結果の理由」に対応するプロンプトを
図9に示す。
図9に示すプロンプト1200は、数理最適化技術により求められた最適解(つまり、
図6に示す最適運転計画データ)に対する理由をデータ説明情報として生成するためのプロンプトである。なお、
図9に示すプロンプト1200では、設定情報が太字及び下線で表されている。
【0055】
また、他の例として、説明対象種別「問題点の改善策」に対応するプロンプトを
図10に示す。
図10に示すプロンプト1300は、説明対象種別「現状運転の問題点」に関する説明として得られた問題点に対する改善策をデータ説明情報として生成するためのプロンプトである。なお、
図10に示すプロンプト1300には、設定情報は存在しない。
【0056】
説明生成処理部204の説明生成部212は、上記のステップS202で生成されたプロンプトを用いて、説明対象種別iに対応するデータ説明情報を生成する(ステップS203)。すなわち、説明生成部212は、上記のステップS202で生成されたプロンプトを生成AIに入力することにより、その生成AIによって説明対象種別iに対応するデータ説明情報を生成する。以下、説明対象種別iに対応するデータ説明情報のことを「データ説明情報i」とも表すことにする。
【0057】
なお、生成AIでは、データ説明情報i(ただし、i≧2)を生成する際に、データ説明情報1~データ説明情報i-1にも基づいて、データ説明情報iが生成される。このため、データ説明情報i(ただし、i≧2)を生成する際には、データ説明情報1~データ説明情報i-1の内容も考慮したデータ説明情報iを生成することができる。
【0058】
一例として、説明対象種別「現状運転の問題点」に対応するデータ説明情報を
図11に示す。
図11に示すデータ説明情報2100では、エネルギーコストの効率化という観点で、対象設備の現状の運転の問題点が自然言語文で説明されている。なお、
図11に示すデータ説明情報2100は、
図8に示すプロンプト1100を生成AIに入力することにより生成されたデータ説明情報である。
【0059】
他の例として、説明対象種別「最適化結果の理由」に対応するデータ説明情報を
図12に示す。
図12に示すデータ説明情報2200では、数理最適化技術により求められた最適解が最適である理由が自然言語文で説明されている。なお、
図12に示すデータ説明情報2200は、
図9に示すプロンプト1200を生成AIに入力することにより生成されたデータ説明情報である。
【0060】
説明生成処理部204は、説明対象種別の番号を表す変数iに対して1を加算する(ステップS204)。
【0061】
説明生成処理部204は、iが説明対象種別数以下であるか否かを判定する(ステップS205)。すなわち、説明生成処理部204は、i≦Iであるか否かを判定する。
【0062】
上記のステップS205でiが説明対象種別数以下であると判定された場合、説明生成処理部204は、上記のステップS202に戻る。これにより、i>Iとなるまで、上記のステップS202~ステップS204が繰り返し実行される。
【0063】
一方で、上記のステップS205でiが説明対象種別数以下であると判定されなかった場合、説明生成処理部204の統合部213は、データ説明情報i(1≦i≦I)を統合した統合データ説明情報を作成する(ステップS206)。データ説明情報i(1≦i≦I)を統合する方法は特定の方法に限定されるものではないが、一例として、i=1,・・・,I-1に対して、データ説明情報iの後にデータ説明情報i+1を連結することが考えられる。その他の例としては、生成AIや既存の文書要約技術を用いて、データ説明情報i(1≦i≦I)を要約することにより統合データ説明情報を作成することが考えられる。
【0064】
以上の説明生成処理により、例えば、説明対象種別「現状運転の問題点」、「問題点の改善策」、「現状運転と最適化結果との比較及び考察」及び「最適化結果の理由」にそれぞれ対応するデータ説明情報を統合した統合データ説明情報が得られる。このため、ユーザは、例えば、現状運転の問題点、その改善策、現状運転と最適化結果との比較及び考察、最適化結果の理由を一貫して知ることができる。
【0065】
<変形例>
・変形例1
図7に示す説明生成処理の一変形例として、同一のプロンプトを用いて同一の生成AIにより複数のデータ説明情報を生成した上、これらのデータ説明情報を統合する場合の説明生成処理について、
図13を参照しながら説明する。
【0066】
説明生成処理部204は、
図7のステップS201と同様に、説明対象種別の番号を表す変数iを1に初期化する(ステップS301)。
【0067】
説明生成処理部204のプロンプト生成部211は、
図7のステップS202と同様に、説明対象種別iに対応するプロンプトを生成する(ステップS302)。
【0068】
説明生成処理部204は、説明対象種別iに対応するプロンプトによるデータ説明情報の生成回数を表す変数jを1に初期化する(ステップS303)。
【0069】
説明生成処理部204の説明生成部212は、
図7のステップS203と同様に、上記のステップS302で生成されたプロンプトを用いて、説明対象種別iに対応するj番目のデータ説明情報を生成する(ステップS304)。以下、説明対象種別iに対応するj番目のデータ説明情報のことを「データ説明情報i
j」とも表すことにする。
【0070】
説明生成処理部204は、説明対象種別iに対応するプロンプトによるデータ説明情報の生成回数を表す変数jに対して1を加算する(ステップS305)。
【0071】
説明生成処理部204は、jが予め決められた指定回数以下であるか否かを判定する(ステップS306)。すなわち、例えば、説明対象種別iに対応する指定回数をJ(i)とした場合、説明生成処理部204は、j≦J(i)であるか否かを判定する。
【0072】
上記のステップS306でjが予め決められた指定回数以下であると判定された場合、説明生成処理部204は、上記のステップS304に戻る。これにより、j>J(i)となるまで、上記のステップS304~ステップS305が繰り返し実行される。
【0073】
一方で、上記のステップS306でjが予め決められた指定回数以下であると判定されなかった場合、説明生成処理部204の統合部213は、データ説明情報ij(1≦j≦J(i))を統合した第1の統合データ説明情報を作成する(ステップS307)。データ説明情報ij(1≦j≦J(i))を統合する方法は特定の方法に限定されるものではないが、一例として、j=1,・・・,J(i)-1に対して、データ説明情報ijの後にデータ説明情報ij+1を連結することが考えられる。その他の例としては、生成AIや既存の文書要約技術を用いて、データ説明情報ij(1≦j≦J(i))を要約することにより第1の統合データ説明情報を作成することが考えられる。以下、データ説明情報ij(1≦j≦J(i))を統合した第1の統合データ説明情報を「第1の統合データ説明情報i」とも表すことにする。
【0074】
説明生成処理部204は、
図7のステップS204と同様に、説明対象種別の番号を表す変数iに対して1を加算する(ステップS308)。
【0075】
説明生成処理部204は、
図7のステップS205と同様に、iが説明対象種別数以下であるか否かを判定する(ステップS309)。すなわち、説明生成処理部204は、i≦Iであるか否かを判定する。
【0076】
上記のステップS309でiが説明対象種別数以下であると判定された場合、説明生成処理部204は、上記のステップS302に戻る。これにより、i>Iとなるまで、上記のステップS302~ステップS308が繰り返し実行される。
【0077】
一方で、上記のステップS309でiが説明対象種別数以下であると判定されなかった場合、説明生成処理部204の統合部213は、第1の統合データ説明情報i(1≦i≦I)を統合した第2の統合データ説明情報を作成する(ステップS310)。第1の統合データ説明情報i(1≦i≦I)を統合する方法は特定の方法に限定されるものではないが、一例として、i=1,・・・,I-1に対して、第1の統合データ説明情報iの後に第1の統合データ説明情報i+1を連結することが考えられる。その他の例としては、生成AIや既存の文書要約技術を用いて、第1の統合データ説明情報i(1≦i≦I)を要約することにより第2の統合データ説明情報を作成することが考えられる。なお、
図4のステップS105では第2の統合データ説明情報が予め決められた所定の出力先に出力される。
【0078】
図13に示す説明生成処理では、データ説明情報i
j(1≦j≦J(i))を統合した第1の統合データ説明情報iが作成されるため、説明対象種別iに対応する説明として頑健性の高い第1の統合データ説明情報iが得られる。このため、生成AIが確率的な手法を利用して説明を生成する場合であっても、信頼性の高い第1の統合データ説明情報iの生成が期待できる。
【0079】
・変形例2
図7に示す説明生成処理の一変形例として、同一のプロンプトから複数の生成AIにより複数のデータ説明情報を生成した上、これらのデータ説明情報を統合する場合の説明生成処理について、
図14を参照しながら説明する。
【0080】
説明生成処理部204は、
図7のステップS201と同様に、説明対象種別の番号を表す変数iを1に初期化する(ステップS401)。
【0081】
説明生成処理部204のプロンプト生成部211は、
図7のステップS202と同様に、説明対象種別iに対応するプロンプトを生成する(ステップS402)。
【0082】
説明生成処理部204の説明生成部212は、上記のステップS402で生成されたプロンプトを用いて、複数の生成AIにより複数のデータ説明情報を生成する(ステップS403)。すなわち、説明生成部212は、上記のステップS402で生成されたプロンプトを複数の生成AIにそれぞれ入力することにより、これらの複数の生成AIにより複数のデータ説明情報を生成する。以下、説明対象種別iに対応するプロンプトからデータ説明情報を生成する際に用いられる生成AIの個数をK(i)として、k番目の生成AIにより生成されたデータ説明情報を「データ説明情報ik」とも表すことにする。なお、K(i)個の生成AIはすべて異なる生成AIであってもよいし、一部の生成AIが同一の生成AIであってもよい。
【0083】
説明生成処理部204の統合部213は、データ説明情報ik(1≦k≦K(i))を統合した第1の統合データ説明情報を作成する(ステップS404)。データ説明情報ik(1≦k≦K(i))を統合する方法は特定の方法に限定されるものではないが、一例として、k=1,・・・,K(i)-1に対して、データ説明情報ikの後にデータ説明情報ik+1を連結することが考えられる。その他の例としては、生成AIや既存の文書要約技術を用いて、データ説明情報ik(1≦k≦K(i))を要約することにより第1の統合データ説明情報を作成することが考えられる。以下、データ説明情報ik(1≦k≦K(i))を統合した第1の統合データ説明情報を「第1の統合データ説明情報i」とも表すことにする。
【0084】
説明生成処理部204は、
図7のステップS204と同様に、説明対象種別の番号を表す変数iに対して1を加算する(ステップS405)。
【0085】
説明生成処理部204は、
図7のステップS205と同様に、iが説明対象種別数以下であるか否かを判定する(ステップS406)。すなわち、説明生成処理部204は、i≦Iであるか否かを判定する。
【0086】
上記のステップS406でiが説明対象種別数以下であると判定された場合、説明生成処理部204は、上記のステップS402に戻る。これにより、i>Iとなるまで、上記のステップS402~ステップS405が繰り返し実行される。
【0087】
一方で、上記のステップS406でiが説明対象種別数以下であると判定されなかった場合、説明生成処理部204の統合部213は、
図13のステップS310と同様に、第1の統合データ説明情報i(1≦i≦I)を統合した第2の統合データ説明情報を作成する(ステップS407)。なお、
図4のステップS105では第2の統合データ説明情報が予め決められた所定の出力先に出力される。
【0088】
図14に示す説明生成処理では、データ説明情報i
k(1≦k≦K(i))を統合した第1の統合データ説明情報iが作成されるため、説明対象種別iに対応する説明として頑健性の高い第1の統合データ説明情報iが得られる。このため、上記の変形例1と同様に、生成AIが確率的な手法を利用して説明を生成する場合であっても、信頼性の高い第1の統合データ説明情報iの生成が期待できる。
【0089】
・変形例3
プロンプトは自然言語文に限られず、例えば、画像、動画、音声等のコンテンツが含まれていてもよい。また、数式やプログラムコード等が含まれていてもよい。
【0090】
特に、何等かの数値計算や処理を生成AIに指示する際には、その数値計算や処理に用いられる数式やプログラムコードがプロンプトに含まれていてもよい。これにより、生成AIで数値計算を行う際の計算ミスを削減することが可能となる。
【0091】
<まとめ>
以上のように、本実施形態に係るデータ説明装置10は、生成AIを用いて、対象設備に関するデータに対する説明を生成及び出力する。このとき、本実施形態に係るデータ説明装置10は、当該データに対して複数の説明を生成した上で、これら複数の説明を統合した説明を作成する。これにより、本実施形態に係るデータ説明装置10のユーザは、この説明を参照することにより、様々な意思決定を行うことが可能となる。
【0092】
本発明は、具体的に開示された上記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載から逸脱することなく、種々の変形や変更、既知の技術との組み合わせ等が可能である。
【符号の説明】
【0093】
10 データ説明装置
101 入力装置
102 表示装置
103 外部I/F
103a 記録媒体
104 通信I/F
105 RAM
106 ROM
107 補助記憶装置
108 プロセッサ
109 バス
201 説明種別選択部
202 データ取得部
203 情報整理部
204 説明生成処理部
205 説明出力部
206 ユーザ入力取得部
211 プロンプト生成部
212 説明生成部
213 統合部
301 データ記憶部
【要約】
【課題】データに対する説明を生成できる技術を提供すること。
【解決手段】本開示の一態様による情報処理装置は、設備に関するデータに対して生成する説明の種別として1以上の種別を選択する選択部と、選択された前記1以上の種別に応じて、前記データを取得するデータ取得部と、取得された前記データと、大規模言語モデルを含む機械学習モデルで実現される生成AIとに基づいて、前記1以上の種別のそれぞれに対応する1以上の説明を生成する説明生成部と、前記1以上の種別のそれぞれに対応する前記1以上の説明を統合した説明を表す第1の統合説明を作成する統合部と、を有する。
【選択図】
図6