(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-14
(45)【発行日】2025-01-22
(54)【発明の名称】通信サービスを移動端末に提供するための無線通信システム及び方法
(51)【国際特許分類】
H04W 76/25 20180101AFI20250115BHJP
H04W 8/24 20090101ALI20250115BHJP
H04W 88/14 20090101ALI20250115BHJP
H04W 92/24 20090101ALI20250115BHJP
【FI】
H04W76/25
H04W8/24
H04W88/14
H04W92/24
(21)【出願番号】P 2023521345
(86)(22)【出願日】2022-07-11
(86)【国際出願番号】 EP2022069299
(87)【国際公開番号】W WO2023006401
(87)【国際公開日】2023-02-02
【審査請求日】2023-04-06
(32)【優先日】2021-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】392026693
【氏名又は名称】株式会社NTTドコモ
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】サマ,マラ レディ
(72)【発明者】
【氏名】タコルスリ,スリサクル
(72)【発明者】
【氏名】巳之口 淳
(72)【発明者】
【氏名】彦坂 真央樹
【審査官】本橋 史帆
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2020/0280836(US,A1)
【文献】国際公開第2021/145660(WO,A1)
【文献】特開2003-209890(JP,A)
【文献】特開2018-041996(JP,A)
【文献】米国特許第09131429(US,B1)
【文献】Qualcomm Incorporated,Evaluation for small data optimization with RAN context: 5G UP optimization vs CM-CONNECTED with RRC inactive with data buffering at CN.[online],3GPP TSG SA WG2 #128BIS S2-18xxxx,Internet<URL:https://www.3gpp.org/ftp/tsg_sa/WG2_Arch/TSGS2_128BIS_Sophia_Antipolis/Docs/S2-188145.zip>,2018年08月14日
【文献】Sony,New solution RRC Inactive with longer sleep time[online],3GPP TSG SA WG2 #132 S2-1903583,Internet<URL:https://www.3gpp.org/ftp/tsg_sa/WG2_Arch/TSGS2_132_XiAn/Docs/S2-1903583.zip>,2019年04月02日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信ネットワークが通信サービスを移動端末に提供する方法であって、当該方法は、
前記移動端末が所定のデータ処理手順を実行することにより、前記移動端末が前記通信ネットワークに一時的に到達不可能であると検出するステップと、
前記移動端末が、前記検出に反応して、前記移動端末が前記通信ネットワークに一時的に到達不可能であるという指標を、通信サービスを提供するための前記通信ネットワークのコア・ネットワーク・コンポーネントに送信するステップと、
該指標の受信に反応して、前記移動端末が前記通信ネットワークに一時的に到達不可能であることを考慮して、前記通信サービスを前記移動端末に提供
し、前記通信ネットワークに一時的に到達不可能である期間に関する情報をアプリケーション機能に提供するステップと、
到達不可能を原因とするバックオフタイマを起動するステップと、を含む、
方法。
【請求項2】
前記コア・ネットワーク・コンポーネントは、アクセス及びモビリティ管理機能及び/又はセッション管理機能及び/又は統合データ管理及び/又はポリシー制御機能及び/又はネットワーク公開機能及び/又はネットワークデータ解析機能である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記指標には、前記移動端末が前記通信ネットワークに対して一時的に到達不可能である原因の明細が含まれる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記指標には、前記移動端末が前記通信ネットワークに到達不可能である最大期間の指定が含まれ、前記通信サービスは、前記最大期間を考慮に入れて前記移動端末に提供される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記所定のデータ処理手順は、前記通信ネットワークにおける前記移動端末のソフトウェア更新及び/又は公衆陸上移動体ネットワークの選択及び/又は前記移動端末の再登録である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記通信サービスには、前記移動端末への1つ又は複数の通信セッションの提供が含まれる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記移動端末が前記通信ネットワークに一時的に到達不可能であることを考慮して通信サービスを前記移動端末に提供するステップは、
前記移動端末が一時的に到達不可能になる前に確立された1つ又は複数の通信セッションを保持するステップと、
前記移動端末が再び到達可能になったときに、前記保持していた1つ又は複数の通信セッションを前記移動端末に提供するステップと、を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記移動端末が前記通信ネットワークに一時的に到達不可能であることを考慮して通信サービスを前記移動端末に提供するステップは、
前記移動端末が再び到達可能になるまでダウンリンクのバッファリングを開始するステップと、
前記移動端末が再び到達可能になったときに、前記バッファリングしたダウンリンクの送信を開始するステップと、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記移動端末が前記通信ネットワークに一時的に到達不可能であることを考慮して通信サービスを前記移動端末に提供するステップは、前記移動端末のモビリティ管理コンテキスト、セッション管理コンテキスト、又はそれらの両方を保持するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記移動端末が前記通信ネットワークに再び到達可能であるときに、モビリティ管理コンテキスト、セッション管理コンテキスト、又はそれらの両方を前記移動端末に送信するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
無線通信システムであって、当該無線通信システムは、
移動端末が所定のデータ処理手順を実行することにより、前記移動端末が当該無線通信システムの通信ネットワークに一時的に到達不可能であると検出するように構成される移動端末と、
前記通信ネットワークのコア・ネットワーク・コンポーネントと、を含み、
前記移動端末は、前記検出に反応して、前記移動端末が前記通信ネットワークに一時的に到達不可能であるという指標を前記コア・ネットワーク・コンポーネントに送信するように構成され、
前記コア・ネットワーク・コンポーネントは、前記指標の受信に反応して、前記移動端末が前記通信ネットワークに一時的に到達不可能であることを考慮して、通信サービスを前記移動端末に提供し、
前記通信ネットワークに一時的に到達不可能である期間に関する情報をアプリケーション機能に提供し、到達不可能を原因とするバックオフタイマを起動するように構成される、
無線通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、通信サービスを移動端末に提供するための通信システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
移動無線通信システムでは、例えば、オペレーティング・システム(OS)の更新等のアップグレードを行うときに、移動端末が分単位で利用不可能になることがある。その場合に、移動端末は、例えば、アプリケーション・サーバ又はコア・ネットワークがそれについて認識していなければ、利用不可能になる可能性がある(こうして、ネットワーク側に到達不可能になる)。
【0003】
さらに、例えば、オペレーティング・システムの更新のために、移動端末が分単位で利用不可能になった場合に、通信システムは、典型的に、デタッチ(detach:切離し)(登録解除)手順を実行し、移動端末の全てのセッション(例えば、PDU(Packet Data Unit)セッション)を解放(release)する。これは、移動端末又はネットワーク側によってトリガーされ得る。これは、移動端末及びネットワークが、モビリティ管理(MM)及びセッション管理(SM)コンテキスト、及びIP(インターネット・プロトコル)接続を解放(削除)することを意味する。移動端末が再び利用可能になった(例えば、更新後に再起動した)場合に、セッションの再登録及び再確立等、通信を再確立するために対応する手順を実行する必要がある。これにより、通信システムで多くのシグナリングが発生する。
【発明の概要】
【0004】
従って、移動端末の一時的な利用不可能状態のより良い処理を可能にするアプローチが望ましい。
【0005】
一実施形態によれば、通信ネットワークが通信サービスを移動端末に提供する方法が提供され、この方法は、移動端末が所定のデータ処理手順(例えば、オペレーティング・システム(OS)の更新、手動によるPLMNの選択等)を実行することにより、移動端末が通信ネットワークに一時的に到達不可能であると検出するステップと、検出に反応して、移動端末が通信ネットワークに一時的に到達不可能であるという指標を、通信サービスを提供するためのコンポーネントに送信するステップと、指標の受信に反応して、移動端末が通信ネットワークに一時的に到達不可能であることを考慮して、通信サービスを移動端末に提供し、前記通信ネットワークに一時的に到達不可能である期間に関する情報をアプリケーション機能に提供するステップと、到達不可能を原因とするバックオフタイマを起動するステップと、を含む。
【0006】
別の実施形態によれば、上述の方法による(無線)通信システムを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図面において、同様の参照符号は、一般に、異なる図を通して同じ部分を指す。図面は必ずしも一定の縮尺で描いているわけではなく、代わりに、本発明の原理を示すことに重点を置いている。以下の説明では、様々な態様について、以下の図面を参照して説明する。
【
図2】通信ネットワークからの移動端末のデタッチに関与するコンポーネントを示す図である。
【
図3】通信ネットワークからの移動端末のソフトデタッチを示すメッセージフロー図である。
【
図4】通信ネットワークが通信サービスを移動端末に提供する方法を示すフロー図である。
【
図5】一実施形態による無線通信システムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下の詳細な説明では、本発明を実施することができる本開示の特定の詳細及び態様を例示として示す添付の図面を参照する。本発明の範囲から逸脱することなく、他の態様を利用することができ、構造的、論理的、及び電気的な変更を行うことができる。本開示のいくつかの態様を本開示の1つ又は複数の他の態様と組み合わせて新しい態様を形成することができるので、本開示の様々な態様は必ずしも相互に排他的ではない。
【0009】
本開示の態様に対応する様々な例について、以下に説明する。
【0010】
例1は、上述したように通信ネットワークが通信サービスを移動端末に提供する方法である。
【0011】
例2は、例1の方法であり、指標は移動端末によって送信され、通信サービスを提供するコンポーネントには、通信ネットワークの1つ又は複数のコア・ネットワーク・コンポーネントが含まれる。
【0012】
例3は、例2の方法であり、登録解除メッセージ及び/又は登録メッセージと共に指標を送信するステップを含む。
【0013】
例4は、例2又は例3の方法であり、コア・ネットワーク・コンポーネントは、アクセス及びモビリティ管理機能及び/又はセッション管理機能及び/又は統合データ管理及び/又はポリシー制御機能及び/又はネットワーク公開機能及び/又はネットワークデータ解析機能である。
【0014】
例5は、例1の方法であり、指標は、通信ネットワークのアクセス及びモビリティ管理機能及び/又はネットワークデータ解析機能及び/又はセッション管理機能及び/又は統合データ管理及び/又はポリシー制御機能及び/又はネットワーク公開機能によって送信され、通信サービスを提供するためのコンポーネントは、アプリケーション機能である。
【0015】
例6は、例1~例5のいずれか1つの方法であり、指標には、移動端末が通信ネットワークに一時的に到達不可能である原因の明細(specification)が含まれる。
【0016】
例7は、例1~例6のいずれか1つの方法であり、指標には、移動端末が通信ネットワークに到達不可能である最大期間の指定(specification)が含まれ、通信サービスは、最大期間を考慮して移動端末に提供される。
【0017】
例8は、例7の方法であり、ネットワーク解析による最大期間を推定するステップを含む。
【0018】
例9は、例1~例8のいずれか1つの方法であり、所定のデータ処理手順は、通信ネットワークにおける移動端末のソフトウェア更新及び/又は公衆陸上移動体ネットワークの選択及び/又は移動端末の再登録である。
【0019】
例10は、例1~例9のいずれか1つの方法であり、通信サービスには、移動端末への1つ又は複数の通信セッションの提供が含まれる。
【0020】
例11は、例10の方法であり、移動端末が通信ネットワークに一時的に到達不可能であることを考慮して、通信サービスを移動端末に提供するステップは、移動端末が一時的に到達不可能になる前に確立された1つ又は複数の通信セッションを保持するステップと、移動端末が再び到達可能になったときに、保持していた1つ又は複数の通信セッションを移動端末に提供するステップと、を含む。
【0021】
例12は、例1~例11のいずれか1つの方法であり、通信サービスには、移動端末へのダウンリンク及びアップリンクデータの提供が含まれる。
【0022】
例13は、例12の方法であり、移動端末が通信ネットワークに一時的に到達不可能であることを考慮して通信サービスを移動端末に提供するステップは、移動端末が再び到達可能になるまでダウンリンクデータのバッファリングを開始するステップと、移動端末が再び到達可能になったときに、バッファリングしたダウンリンクデータの送信を開始するステップと、を含む。
【0023】
例14は、例1~例13のいずれか1つの方法であり、移動端末が通信ネットワークに一時的に到達不可能であることを考慮して通信サービスを移動端末に提供するステップは、移動端末のモビリティ管理コンテキスト、セッション管理コンテキスト、又はそれらの両方を保持するステップを含む。
【0024】
例15は、例1~14のいずれか1つの方法であり、移動端末が通信ネットワークに再び到達可能になったときに、モビリティ管理コンテキスト、セッション管理コンテキスト、又はそれら両方を移動端末に送信するステップをさらに含む。
【0025】
例16は、無線通信システムを提供し、この無線通信システムは、移動端末が所定のデータ処理手順を実行することにより、移動端末が無線通信システムの通信ネットワークに一時的に到達不可能であると検出するように構成された第1の通信システムコンポーネントと、第2の通信システムコンポーネントとを含み、第1の通信システムコンポーネントは、検出に反応して、移動端末が通信ネットワークに一時的に到達不可能であるという指標を第2の通信システムコンポーネントに送信するように構成され、第2の通信システムコンポーネントは、指標の受信に反応して、移動端末が通信ネットワークに一時的に到達不可能であることを考慮して、通信サービスを移動端末に提供するように構成される。
【0026】
例17は、例16の通信システムであり、第1の通信システムコンポーネントは移動端末であり、第2の通信システムコンポーネントは、通信システムのコア・ネットワークのコンポーネントである。
【0027】
例18は、例17の通信システムであり、コア・ネットワークのコンポーネントは、アクセス及びモビリティ管理機能である。
【0028】
例19は、例18の通信システムであり、第1の通信システムコンポーネントはアクセス及びモビリティ管理機能であり、第2の通信システムコンポーネントはアプリケーション機能である。
【0029】
上記の例のいずれかの特徴の1つ又は複数は、他の例のいずれかと組み合わせることができることに留意されたい。特に、方法に関連して説明した例は、無線通信システムに対して同様に有効であり、その逆も同様である。
【0030】
更なる実施形態によれば、命令を含むコンピュータプログラム及びコンピュータ可読媒体が提供され、命令がコンピュータによって実行されると、コンピュータに上記の例のいずれか1つの方法を実行させる。
【0031】
以下に、様々な例をより詳細に説明する。
【0032】
図1は、例えば、3GPP(登録商標)(第3世代パートナーシッププロジェクト)によって指定された5G(第5世代)、すなわち例えば5GSに従って構成された無線通信システム100を示す。
【0033】
無線通信システム100は、UE(ユーザ機器)、及びナノ機器(NE)等の移動無線端末装置102を含む。加入者端末とも呼ばれる移動無線端末装置102は端末側を形成する一方、以下に説明する無線通信システム100の他のコンポーネントは、移動無線通信ネットワーク側の一部、すなわち移動無線通信ネットワーク(例えば、公衆陸上移動体ネットワーク、PLMN)の一部である。
【0034】
さらに、無線通信システム100は、複数の無線アクセスネットワークノード、すなわち、5G(第5世代)無線アクセス技術(5G New Radio)に従って無線アクセスを提供するように構成された基地局を含み得る無線アクセスネットワーク103を含む。無線通信システム100は、LTE(ロングタームエボリューション)又は他の無線通信規格に従って構成してもよいが、ここでは一例として5Gを使用することに留意されたい。各無線アクセスネットワークノード103は、エアインターフェイスを介して移動無線端末装置102との無線通信を提供することができる。無線アクセスネットワーク103は、任意の数の無線アクセスネットワークノードを含み得ることに留意されたい。
【0035】
無線通信システム100はさらに、RAN103及び統合データ管理(UDM)104に接続されたアクセス及びモビリティ管理機能(AMF)101を含むコア・ネットワーク(5GC)108を含む。ここ及び以下の例では、UDMは、さらに、例えばUDR(Unified Data Repository)として知られる実際のUEの加入データベースで構成され得る。コア・ネットワーク108は、AUSF(認証サーバ機能)109と、1つ又は複数のPCF(ポリシー制御機能)、この例では、第1のPCF106及び第2のPCF107とをさらに含む。
【0036】
コア・ネットワーク108は、複数のセッション管理機能(SMF)、この例では第1のセッション管理機能(SMF)110及び第2のセッション管理機能(SMF)112と、複数のユーザプレーン機能(UPF)、この例では第1のユーザプレーン機能(UPF)111及び第2のユーザプレーン機能(UPF)113とをさらに含む。SMF110、112は、PDU(プロトコルデータユニット)セッションを処理するため、すなわち、PDUセッションを作成、更新、及び削除し、ユーザプレーン機能(UPF)とのセッションコンテキストを管理するためのものである。
【0037】
コア・ネットワーク108は、アプリケーション機能(AF)105をさらに含む。AF105は、SMF110、112及びPCF106、107に直接接続されるように示されるが、特に、AF105が第三者(すなわち、移動無線通信システム100の運用者以外の当事者)によって維持される場合に、NEF(ネットワーク公開機能)を介してそれらSMF及びPCMに接続してもよい。この場合に、コア・ネットワーク機能とAFとの間(及びその逆)の全ての通信は、NEFを介して行われる。
【0038】
AF105は、アプリケーションが、そのアプリケーションに通信サービスを提供するPDUセッションを確立するUE102に、特定のQoS(サービス品質)ポリシーをサポートするように5Gシステム100に要求することを可能にする。
【0039】
SMF110、112は、PDU(プロトコルデータユニット)セッションを処理するためのものであり、すなわち、PDUセッションを作成、更新、及び削除し、ユーザプレーン機能(UPF)を用いてセッションコンテキストを管理するためのものである。
【0040】
RAN103及びコア・ネットワーク108は、移動無線通信システムのネットワーク側、すなわち(移動無線)通信ネットワークを形成する。移動無線通信ネットワークと、移動無線通信ネットワークにアクセスする移動端末とが一体となって、移動無線通信システムを形成する。
【0041】
UE102は、オペレーティング・システム(OS)の更新等のアップグレードを実行することができる。例えば、UE102は、バイナリ更新ファイルを受信し、夜の0:00にアップグレード手順を実行すると決定する。その後、そのUE102は、対応するアップグレード手順を夜の0:00に開始し、ネットワーク側から到達不可能になる、例えば、0:00から開始して(例えば)5分間到達可能でなくなり利用可能でなくなる。特に、UE102は、アプリケーション機能105によって到達可能ではない。
【0042】
さらに、それによってUE102にデタッチ(detachment:切離し)が利用不可能になり(こうして到達不可能になる)、それに続いて、通信セッションの再登録及び再確立により、多くのシグナリングが発生し、例えば、UE102、AMF101、それぞれのSMF110、112、それぞれのUPF111、113、及び通信のために通信ネットワークを使用するUE102上で動作する全てのアプリケーションに対して影響を及ぼす。
【0043】
図2は、UEのデタッチに関与するコンポーネントを示す。
【0044】
例えばUE102に対応するUE201は、通信ネットワークを介した通信を使用するアプリケーション202を実行する。例えばAMF101に対応するAMF203は、UE201のモビリティ管理(MM)コンテキスト204を維持する。例えばSMF110、112のうちの1つに対応するSMF205は、SMF110、112は、(データを送受信するためにアプリケーション202によって使用される)1つ又は複数の通信セッションをUE201に提供するために、UE201のセッション管理(SM)コンテキスト206を維持する。
【0045】
UE201のデタッチには、アプリケーション・ソケットのリセット又は削除、MMコンテキスト204の削除、SMコンテキスト206の削除、及びUPF207(例えば、UPF111、113のうちの1つに対応する)のユーザ・プレーン・コンテキストの削除が含まれる。
【0046】
UEが再び利用可能になると、対応するコンテキストを再確立する必要があり、例えば、登録手順を実行する必要があり(MMシグナリング)、PDUセッション確立手順を実行する必要があり(SMシグナリング)、IMS(IPマルチメディア・サブシステム)登録等のアプリケーション・シグナリングを実行する必要があるため、大量のシグナリングが発生する。
【0047】
様々な実施形態によれば、UEが一時的に、すなわち数分のような短い時間だけ(例えば更新の場合に、例えば、5分未満又は10分未満)利用不可能になるためにそのシグナリングが不要である可能性がある場合に、このシグナリング・エフォート(effort)を回避することを可能にするアプローチを提供する。
【0048】
以下のアプローチは、手動によるPLMN選択のユースケースにも適用できることに留意されたい。PLMNを検索している間に、UEは到達可能ではないため、一部のUEは、RRC(無線リソース制御)接続(及びMMコンテキスト)を解放する必要がある。様々な実施形態によれば、UEは、SMコンテキストを解放する必要がない間、PLMNを再選択することができる(すなわち、ユーザが別のPLMNを選択するまで保持することができる)。
【0049】
図3は、移動端末のソフトデタッチを示すメッセージフロー
図300を示す。
【0050】
UE301(例えば、UE102に対応する)及びUE301にサービスを提供するAMF(例えば、AMF101に対応する)が、フローに関与する。
【0051】
303において、UE301は、UEのオペレーティング・システムの更新による再起動のため、データ処理動作を実行しなければならないためにそのUEが一時的に利用不可能になる(これは、ネットワーク側から到達不可能になる)ことを検出する。
【0052】
従って、304において、UE301は登録解除要求をAMF302に送信する。登録解除要求は、ソフトデタッチの指標、OSアップデートをそのUEが実行する指標、一時的な障害の指標、手動によるPLMN選択の指標等、UE301が一時的に利用不可能である指標を含む。
【0053】
このような指標を含む登録解除要求に応答して、AMF302は、UE301が一時的に利用不可能であることを通知するが、305においてUEのMM及びSMコンテキストを保持する(つまり、それらコンテキストを格納し続ける)。例えば、AMF302は、UE301との非アクセス層(NAS)を解放するが、AMF302は、UE301のコンテキストを削除しない。
【0054】
AMF302は、306において登録解除受諾メッセージで応答する。
【0055】
次に、UE301及びAMF302は、307においてシグナリング情報の交換を停止する。
【0056】
次に、UE301は、そのUEが一時的に利用不可能であるため、データ処理手順、例えば再起動を実行する。
【0057】
309において、再起動後に、UE301は登録要求をAMF302に送信し、AMF302は、310において、そのAMFが保持していたMMコンテキスト及びSMコンテキストを再使用する。
【0058】
311において、AMF302は、登録受諾メッセージをUE301に送信し、MM及び/又はSMコンテキストを、例えば専用コンテナでUE301に送信する。登録受諾メッセージを送信する前に、AMF302が別のネットワーク機能から(例えば、SMF205から)のコンテキストが必要であると判定した場合に、次に、AMF302は、それぞれのネットワーク機能(例えば、SMF)からコンテキスト(例えば、SMコンテキスト)を取得することができる。
【0059】
表1は、UE301が到達不可能である期間中にAMF302が保持することができるMMコンテキスト及びSMコンテキストのパラメータを列挙する。
【0060】
【0061】
309で送信された登録要求が新しいAMF(AMF302以外)に再ルーティングされる場合に、新しいAMFは、UDM104から最後にサービスを提供したAMFの詳細を取得でき、それによって新しいAMFは、(古い)AMF302からSMコンテキストを抽出できることに留意されたい。
【0062】
AMF302のポリシーに基づいて、AMF302は、UE301のダウンリンク及びアップリンク・トラフィックを格納又はバッファリングすると決定する。AMF302情報は、RAN103とUPF113、111との間のN3インターフェイスを解放するため(例えば、AN解放手順)の情報である。この場合に、UPF113、111は、UE301のトラフィック/セッションを格納又はバッファリングし、登録手順の後にUE301に送り返す。あるいはまた、AMF302は、RAN103に格納又はバッファリングすることを決定することができ、この場合に、AMF302は、UE301、102のトラフィック/セッションを格納又はバッファリングすることを示すことによってRAN103に通知する。RAN103へのこの指標は、登録解除手続き中又はその後に行うことができる。
【0063】
(そのUE)301が304で登録解除要求を送信しない場合に、そのUEが一時的に利用不可能になったデータ処理手順(例えば、バイナリのインストール及び再起動)を実行した後に、そのUEは、更新のために、一時的に利用不可能になったことを示す登録要求、つまり例えば「バイナリ更新指標」を送信することができる。
【0064】
次に、AMFは必要なアクションについて判断を行い、必要なアクションを実行する、例えば、MMの状態を更新するが、そのAMFが依然として持っている情報を保持することもできる(つまり、殆ど行う必要がない場合がある)。
【0065】
一実施形態によれば、更新後に、UEのMM能力及びSM能力に何らかの変更があった場合に、UE301は、更新されたMM/SM能力を登録要求309でAMF302に送信することができる(そのUEが登録解除要求309を送信したかどうかに関係なく)。能力の変更に基づいて、AMF302は、必要なアクションについての判断を実行し、必要なアクションがあればそのアクションを実行することができる。
【0066】
前述のように、高いシグナリング・エフォートに加えて、UE102の一時的な利用不可能は、利用不可能期間中に、アプリケーション機能105がUE102に到達しようとしているが、このアプリケーション機能105は、UE102が到達可能でない理由を知らず、利用できなくなる期間も分からないというケースにつながる可能性がある。
【0067】
様々な実施形態によれば、AF105、ひいてはサードパーティに、UE102が一時的に利用不可能であることを知らせるメカニズムが提供される。これには、到達できない期間又は期間の推定の指標が含まれる場合がある。次に、AF105又はサードパーティのアプリケーション・サーバは、それに応じて反応することができる。例えば、アプリケーションがメッセージングサービスである場合に、アプリケーション・サーバは、送信できないメッセージをバッファリングし、指示された時間後にそのメッセージを再送信する、すなわち、UE102の到達可能性に基づいてデータのダウンリンク又はアップリンク送信をスケジュールすることができる。
【0068】
期間の指標を含む可能性のある、UEが一時的に利用不可能であるというそのような指標は、例えば、AMF101によってAF105に提供してもよい。換言すると、
図3の例では、UE301は、そのUEが所定のデータ処理手順を実行するために一時的に到達不可能であるという指標をAMF105に送信し、このような指標は、AMF101がその指標をAF105に送信するように、通信システムの他のコンポーネント同士の間で送信してもよい。その場合に、例えば、そのAMF101は、UE301が(AMF101が関与する可能性がある)到達不可能にするデータ処理手順を実行する必要があることを知っているので、AMF101は、UEが一時的に利用可能であると検出するコンポーネントでもあり得る。AMF101は、UE301から、そのUEが一時的に到達不可能になるという知見も有し得る。
【0069】
データ処理手順は、例えば登録であり、UE102が再登録できるまでUE102が一定のバックオフ期間待機する必要があることを含み得る(例えば、更新の場合又は他の場合)。その場合に、AMF101は、(UEベースの)バックオフタイマーに対応する期間についてAF105に通知することができる(これは、バックオフタイマーがネットワーク側で設定されるため、典型的にその情報を知っている)。これにより、例えば、サードパーティのアプリケーション・サーバは、いつアプリケーションデータを再送信するかを決定することができる。
【0070】
ネットワーク側は、ネットワークによって設定されたバックオフ時間(バックオフによる登録の場合)又はNWDAF(ネットワークデータ解析機能)からの情報のような他のメカニズムに基づいて期間を決定することができる。
【0071】
例えば、NWDAFは、「UE到達不可能」統計をAMF101に提供する及び/又はAF105に直接提供する。AMF101及び/又はAF105は、NWDAFでUE到達不可能解析にサブスクライブすることができる。例えば、NWDAFは、NF(例えば、AMF、SMF、AF)から入力データを収集し、UE到達不可能の期間の予測を決定し(例えば、UEは00.00時間に5分間利用できない可能性がある)、予測した期間を消費者(例えば、AMF、AF)に提供する。あるいはまた、NWDAFは、統計情報をAMF101及び/又はAF105に提供し、この情報に基づいて、AMF101及び/又はAF105は、UE到達不可能の期間を決定することができる。
【0072】
要約すると、様々な実施形態によれば、
図4に示されるような方法を提供する。
【0073】
図4は、通信ネットワークが通信サービスを移動端末に提供する方法を示すフロー
図400を示す。
【0074】
401において、移動端末が所定のデータ処理手順を実行することにより、移動端末が通信ネットワークに一時的に到達不可能であることが検出される。
【0075】
402において、検出に反応して、移動端末が通信ネットワークに一時的に到達不可能であるという指標が送信される。指標は、通信サービスを提供するコンポーネントに送信される。
【0076】
403において、指標の受信に反応して、移動端末が通信ネットワークに一時的に到達不可能であることを考慮して、通信サービスが移動端末に提供される。
【0077】
様々な実施形態によれば、換言すれば、移動端末が更新又は再登録(バックオフ期間の待機を含む)のような所定のデータ処理手順を実行するために一時的に利用可能になるときに、通信サービスの提供をサポートするコンポーネントは、通知を受け、それに応じて反応することができる。
【0078】
指標は、移動端末自体によって、又はネットワーク側コンポーネント、特にAMF、SMF、PCF、UDM、NEF、又はNWDAF等のネットワーク機能によって送信することができる。指標は、例えば、アプリケーション機能に送信してもよい。
【0079】
例えば、SMFに指標が送信され、SMコンテキストを格納する必要があると判定された場合に、次に、SMFは、AMFに、移動端末のSMコンテキストを解放しないように通知する。通知に基づいて、AMFは、コンテキストを保持し、移動端末の登録解除等の更なるアクションを実行する。同様に、PCF、UDM、NEF等の他のネットワーク機能にも同じメカニズムを適用でき、すなわち指標及びポリシーに基づいて、ネットワーク機能は、UEコンテキスト(例えば、SM又はMMコンテキスト又は両方)を解放しないように決定し、コンテキストを解放しないようにAMF及び/又はSMFに通知することができる。
【0080】
通信サービスを提供するためのコンポーネントは、移動端末が通信ネットワークに到達不可能である期間、及び/又は移動端末が利用不可能である原因(移動端末が通信ネットワークに到達不可能である理由)についても通知され得る。
【0081】
例えば、様々な実施形態によれば、アプリケーション・サーバは、移動端末が到達できない理由、及び/又は移動端末が(おそらく)到達できない期間について通知される。
【0082】
指標が移動端末によってコア・ネットワーク(例えば、AMF)に送信される場合に、その指標(例えば、ソフト登録解除メッセージ等のメッセージの形式)は、コア・ネットワークへの、MMコンテキスト及び/又はSMコンテキスト(例えば、移動端末のために確立した1つ又は複数のセッション)を少なくとも部分的に保持することができる指標と見なすことができる。
【0083】
利用不可能の原因を示すために、指標(例えば、移動端末が到達不可能であることを示すメッセージ)には原因の値の明細が含まれ得る。例えば、コア・ネットワーク・コンポーネント(例えば、AMF)は、(例えば、UEが利用できない期間の持続期間の指定の代わりに)原因の値をAFに送信することができる。UEは、原因の値(例えば、利用不可能の原因又は理由:例えば、「OSの更新」、「一時的な障害」、「手動によるPLMN選択」等を指定する)をネットワークコンポーネントに送信することができる。次に、ネットワークコンポーネントは、原因の値をAFに転送して、原因の値によって示される原因のためにUEが到達不可能であることを示すことができる。原因の値に基づいて、AFは現地時間を決定し、有効期限が切れた後に再試行することができる。また、AFは移動端末の状態を把握している。コア・ネットワーク・コンポーネント(例えば、AMF)が、ローカルポリシー及び/又はUE提供情報に基づいて原因の値を決定する場合がある。
【0084】
移動端末が通信ネットワークに到達できないという指標は、移動端末が無線通信システムのコア・ネットワークに到達できないという指標であってもよい。
【0085】
図5は、一実施形態による無線通信システム500を示す。
【0086】
通信システム500は、移動端末が所定のデータ処理手順を実行することにより、移動端末が無線通信システムの通信ネットワークに対して一時的に(例えば、現在又は近い将来)到達不可能であると検出するように構成された第1の通信システムコンポーネント501と、第2の通信システムコンポーネント502とを含む。
【0087】
第1の通信システムコンポーネント501は、検出に反応して、移動端末が通信ネットワークに一時的に到達不可能であるという指標503を第2の通信システムコンポーネント502に送信するように構成される。
【0088】
第2の通信システムコンポーネント502は、指標の受信に反応して、移動端末が通信ネットワークに一時的に到達不可能であることを考慮して、通信サービスを移動端末に提供するように構成される。
【0089】
例えば、様々な実施形態によれば、以下の1つ又は複数が通信システムにおいて実行される。
【0090】
・ UEは、ソフト再起動を実行することを決定し、対応するNAS指標又はAS指標をRAN経由でAMFに送信する。
【0091】
・ AMFは、UEからの指標に基づいて、UEコンテキストを解放せず、UEの1つ又は複数のセッションを解放するようSMFに通知しない。
【0092】
・ AMFは、バックオフタイマー(UEが到達不可能になる原因)に基づいて、「到達不可能時間」の指標を決定し、その指標をAFで利用できるようにする。
【0093】
・ NWDAFは、UEの利用不可能の解析を決定し、出力(例えば、到達不可能予測)を消費者(AMF、AF)に配信する。
【0094】
・ AFは、「到達不可能時間」の指標に基づいて、UEへのデータ送信を含む各ダウンリンク及び/又はアップリンクイベントのスケジュールを変更する。
【0095】
この方法を実行することができ、通信ネットワーク構成のコンポーネントを、例えば、1つ又は複数の回路によって実装することができる。「回路」は、メモリ、ファームウェア、又はそれらの任意の組合せに格納したソフトウェアを実行する専用回路又はプロセッサであり得る、任意の種類のロジック実装エンティティとして理解され得る。こうして、「回路」は、ハードワイヤード論理回路又はプログラム可能なプロセッサ、例えばマイクロプロセッサ等のプログラム可能な論理回路であってもよい。「回路」は、ソフトウェアを実行するプロセッサ、例えば、任意の種類のコンピュータプログラムであってもよい。上述のそれぞれの機能の他の種類の実施態様も、「回路」として理解することができる。
【0096】
特定の態様について説明したが、当業者は、添付の特許請求の範囲によって規定される本開示の態様の精神及び範囲から逸脱することなく、形態及び詳細に様々な変更を加えることができることを理解すべきである。こうして、その範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と同等の意味及び範囲内にある全ての変更が含まれることが意図される。