(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-14
(45)【発行日】2025-01-22
(54)【発明の名称】作業実施期間推定システム、方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/04 20230101AFI20250115BHJP
G06Q 10/1091 20230101ALI20250115BHJP
【FI】
G06Q10/04
G06Q10/1091
(21)【出願番号】P 2024201753
(22)【出願日】2024-11-19
【審査請求日】2024-11-19
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523353498
【氏名又は名称】株式会社最中屋
(74)【代理人】
【識別番号】110004093
【氏名又は名称】弁理士法人アクセル特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】結城 崇
【審査官】関 博文
(56)【参考文献】
【文献】特開2023-152539(JP,A)
【文献】特開2024-057469(JP,A)
【文献】特開平10-240827(JP,A)
【文献】特開2020-091801(JP,A)
【文献】特開2022-128207(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業者が実施した作業の種類及び実施時刻を含む作業記録を示す情報を記憶する記憶部と、
前記作業の種類ごとに設定された標準時間と、前記実施時刻と、に基づいて、
前の作業の実施期間と、後の作業の実施期間と、が重複しないように前記作業の開始時刻及び終了時刻を推定する推定部と、
推定結果を表示する表示部と、
を備える作業実施期間推定システム。
【請求項2】
前記推定部は、前記実施時刻を終了時刻として前記作業の実施期間を推定し、
前の作業の実施期間と、後の作業の実施期間と、が重複した場合、前記後の作業の実施期間を、前記後の作業の開始時刻が前記前の作業の終了時刻となるように修正する
請求項1に記載の作業実施期間推定システム。
【請求項3】
前記推定部は、前記前の作業の終了時刻が、前記後の作業の実施時刻より後である場合、前記前の作業の開始時刻を維持したまま、前記前の作業の終了時刻を、前記後の作業の実施時刻に修正する
請求項
2に記載の作業実施期間推定システム。
【請求項4】
前記推定部は、前記実施時刻を開始時刻として前記作業の実施期間を推定し、
前の作業の実施期間と、後の作業の実施期間と、が重複した場合、前記前の作業の実施期間を、前記前の作業の終了時刻が前記後の作業の開始時刻となるように修正する
請求項1に記載の作業実施期間推定システム。
【請求項5】
前記推定部は、前記後の作業の開始時刻が、前記
前の作業の実施時刻より前である場合、前記後の作業の終了時刻を維持したまま、前記後の作業の開始時刻を、前記前の作業の実施時刻に修正する
請求項
4に記載の作業実施期間推定システム。
【請求項6】
前記記憶部は、実施する作業の種類、開始予定時刻及び終了予定時刻を含む作業計画を示す情報を記憶し、
前記推定部は、作業の実施時刻が、前記作業計画に含まれる前記作業の前記開始予定時刻から前記終了予定時刻までに含まれる場合、前記作業の開始時刻又は終了時刻を、前記作業の開始予定時刻又は終了予定時刻と推定する
請求項1に記載の作業実施期間推定システム。
【請求項7】
前記推定部は、作業の実施期間が前記作業計画に基づいて推定された場合、前記作業の実施期間が、他の作業の実施期間と重複しても、前記作業の実施期間を修正しない
請求項
6に記載の作業実施期間推定システム。
【請求項8】
作業推定部を更に備え、
前記記憶部は、時刻及び測定値を示す測定情報を記憶し、
前記作業推定部は、前記測定情報に基づいて、前記作業者が実施した作業の種類、開始時刻及び終了時刻を推定し、
前記推定部は、作業の実施時刻が、推定された前記作業の推定開始時刻から推定終了時刻までに含まれる場合、前記作業の開始時刻又は終了時刻を、前記作業の推定開始時刻又は推定終了時刻と推定する
請求項1に記載の作業実施期間推定システム。
【請求項9】
前記推定部は、作業の実施期間が前記測定情報に基づいて推定された場合、前記作業の実施期間が、他の作業の実施期間と重複しても、前記作業の実施期間を修正しない
請求項
8に記載の作業実施期間推定システム。
【請求項10】
前記標準時間は、ユーザにより設定可能である
請求項1に記載の作業実施期間推定システム。
【請求項11】
前記標準時間は、前記作業者及び作業対象の少なくとも一方の属性に応じて設定される
請求項1に記載の作業実施期間推定システム。
【請求項12】
前記推定結果は、推定された作業の開始時刻及び終了時刻を含み、
前記開始時刻及び終了時刻は、ユーザにより修正可能である
請求項1に記載の作業実施期間推定システム。
【請求項13】
複数の推定結果を集計する集計部を更に備え、
前記表示部は、前記集計結果を表示する
請求項1に記載の作業実施期間推定システム。
【請求項14】
前記集計結果は、単位期間における前記作業の種類ごとの平均作業時間又は平均作業回数を含む
請求項1
3に記載の作業実施期間推定システム
【請求項15】
作業実施期間推定システムが実行する作業実施期間推定方法であって、
作業者が実施した作業の種類及び実施時刻を含む作業記録を示す情報を記憶するステップと、
前記作業の種類ごとに設定された標準時間と、前記実施時刻と、に基づいて、
前の作業の実施期間と、後の作業の実施期間と、が重複しないように前記作業の開始時刻及び終了時刻を推定するステップと、
推定結果を表示するステップと、
を含む作業実施期間推定方法。
【請求項16】
作業実施期間推定システムに、
作業者が実施した作業の種類及び実施時刻を含む作業記録を示す情報を記憶するステップと、
前記作業の種類ごとに設定された標準時間と、前記実施時刻と、に基づいて、
前の作業の実施期間と、後の作業の実施期間と、が重複しないように前記作業の開始時刻及び終了時刻を推定するステップと、
推定結果を表示するステップと、
を含む作業実施期間推定方法を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業実施期間推定システム、方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、様々な作業の現場でタイムスタディが行われている。タイムスタディで作業ごとに要している時間を計測することで、作業の改善や効率化のための示唆を得ることができる。例えば、引用文献1には、作業者が広い範囲を移動しながら作業を行う場合に適切なタイムスタディーデータの採取・集計方法を改善する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のタイムスタディは、ストップウォッチを利用して行われていた。この方法によれば、計測した時間や作業の内容を人の手で記録していく必要があるため、大きな手間がかかった。
【0005】
本発明は、上記の課題を鑑みてなされたものであり、タイムスタディを実施することなく、作業の実施期間を取得することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態によれば、作業実施期間推定システムは、作業者が実施した作業の種類及び実施時刻を含む作業記録を示す情報を記憶する記憶部と、前記作業の種類ごとに設定された標準時間と、前記実施時刻と、に基づいて、前記作業の開始時刻及び終了時刻を推定する推定部と、推定結果を表示する表示部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
一実施形態によれば、タイムスタディを実施することなく、作業の実施期間を取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】推定システム1000の構成の一例を示す図である。
【
図2】情報処理装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図3】推定装置1の機能構成の一例を示す図である。
【
図8】ユーザ端末2の機能構成の一例を示す図である。
【
図9】推定システム1000が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【
図10】推定結果表示画面sc1の一例を示す図である。
【
図11】推定結果の修正方法の一例を示す図である。
【
図12】集計結果表示画面sc2の一例を示す図である。
【
図13】実施期間の推定方法1の一例を示すフローチャートである。
【
図14】実施期間の推定方法1の具体例を示す図である。
【
図15】実施期間の推定方法2の一例を示すフローチャートである。
【
図16】実施期間の推定方法2の具体例を示す図である。
【
図17】推定装置1の機能構成の一例を示す図である。
【
図19】作業対象情報126の一例を示す図である。
【
図20】推定装置1の機能構成の一例を示す図である。
【
図21】作業計画情報127の一例を示す図である。
【
図22】推定システム1000の構成の一例を示す図である。
【
図23】推定装置1の機能構成の一例を示す図である。
【
図24】推定作業記録情報129の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の各実施形態について、添付の図面を参照しながら説明する。なお、各実施形態に係る明細書及び図面の記載に関して、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省略する。
【0010】
[第1実施形態]
<システム構成>
まず、第1実施形態に係る作業実施期間推定システム1000(以下「推定システム100」という。)の概要について説明する。推定システム1000は、作業記録に基づいて、作業の実施期間を推定する情報処理システムである。推定システム1000により、タイムスタディを実施することなく、作業の実施期間を取得することができる。
【0011】
ここで、タイムスタディとは、作業の現場において、作業者が作業対象に対して実施した各作業の時間を計測し、記録する一連の手続きのことをいう。タイムスタディは、例えば、介護施設、医療施設、工場など、現場での作業が生じる任意の場所で実行され得る。推定システム1000は、タイムスタディが実施され得る任意の場所で、タイムスタディの代わりに利用できる。
【0012】
作業者は、作業を実施する者である。作業者は、複数の作業を実施し得る。
【0013】
作業対象は、作業者が作業を実施する対象であり、物、場所又は人である。作業者は、作業の種類に応じた作業対象に対して作業を実施する。
【0014】
実施期間は、作業者が作業を実施した期間であり、作業の開始時刻から終了時刻までの期間である。
【0015】
図1は、推定システム1000の構成の一例を示す図である。
図1に示すように、推定システム1000は、ネットワークNを介して相互に通信可能に接続された、作業実施期間推定装置1(以下「推定装置1」という。)と、ユーザ端末2と、を備える。ネットワークNは、例えば、有線LAN(Local Area Network)、無線LAN、インターネット、公衆回線網、モバイルデータ通信網、又はこれらの組み合わせである。
図1の例では、推定システム1000は、推定装置1及びユーザ端末2をそれぞれ1つずつ備えるが、それぞれ複数備えてもよい。
【0016】
推定装置1は、作業記録に基づいて、作業の実施期間を推定する情報処理装置である。推定装置1は、例えば、PC(Personal Computer)、スマートフォン、タブレット端末、サーバ装置、又はマイクロコンピュータであるが、これに限られない。
図1の例では、推定装置1は、1の情報処理装置であるが、ネットワークNを介して接続された複数の情報処理装置からなるシステムとして実現されてもよい。
【0017】
ユーザ端末2は、推定システム1000のユーザが利用する情報処理装置である。ユーザ端末2は、例えば、PC、スマートフォン又はタブレット端末であるが、これに限られない。
【0018】
<情報処理装置100のハードウェア構成>
次に、情報処理装置100のハードウェア構成について説明する。
図2は、情報処理装置100のハードウェア構成の一例を示す図である。
図2に示すように、情報処理装置100は、バスBを介して相互に接続された、プロセッサ101と、メモリ102と、ストレージ103と、通信I/F104と、入力装置105と、出力装置106と、ドライブ装置107と、を備える。
【0019】
プロセッサ101は、ストレージ103に記憶されたOS(Operating System)を含む各種のプログラムをメモリ102に展開して実行することにより、情報処理装置100の各構成を制御し、情報処理装置100の機能を実現する。プロセッサ101は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)又はDSP(Digital Signal Processor)であるが、これに限られない。
【0020】
メモリ102は、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、又はこれらの組み合わせである。ROMは、例えば、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)、又はこれらの組み合わせである。RAMは、例えば、DRAM(Dynamic RAM)又はSRAM(Static RAM)であるが、これに限られない。
【0021】
ストレージ103は、OSを含む各種のプログラム及びデータを記憶する。ストレージ103は、例えば、フラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)又はSCM(Storage Class Memories)であるが、これに限られない。
【0022】
通信I/F104は、情報処理装置100を、ネットワークNを介して外部装置に接続し、通信を制御するためのインタフェースである。通信I/F104は、例えば、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)、ZigBee(登録商標)又はEthernet(登録商標)であるが、これに限られない。
【0023】
入力装置105は、情報処理装置100に情報を入力するための装置である。入力装置105は、例えば、マウス、キーボード、タッチパネル、マイク、スキャナ、撮影装置(カメラ)、各種センサ又は操作ボタンであるが、これに限られない。
【0024】
出力装置106は、情報処理装置100から情報を出力するための装置である。出力装置106は、例えば、表示装置、プロジェクタ、プリンタ、スピーカ又はバイブレータであるが、これに限られない。
【0025】
ドライブ装置107は、記録メディア108のデータを読み書きする装置である。ドライブ装置107は、例えば、磁気ディスクドライブ、光学ディスクドライブ、光磁気ディスクドライブ又はSDカードリーダであるが、これに限られない。記録メディア108は、例えば、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、FD(Floppy Disk)、MO(Magneto-Optical disk)、BD(Blu-ray(登録商標) Disc)、USB(登録商標)メモリ又はSDカードであるが、これに限られない。
【0026】
なお、本実施形態において、プログラムは、情報処理装置100の製造段階でメモリ102又はストレージ103に書き込まれてもよいし、ネットワークNを介して情報処理装置100に提供されてもよいし、記録メディア108などの非一時的でコンピュータ読み取り可能な記録媒体を介して情報処理装置100に提供されてもよい。
【0027】
<推定装置1の機能構成>
次に、推定装置1の機能構成について説明する。
図3は、推定装置1の機能構成の一例を示す図である。
図3に示すように、推定装置1は、通信部11と、記憶部12と、制御部13と、を備える。
【0028】
通信部11は、通信I/F104により実現される。通信部11は、ネットワークNを介して、ユーザ端末2との間で情報の送受信を行う。
【0029】
記憶部12は、メモリ102及びストレージ103により実現される。記憶部12は、作業記録情報121と、推定結果情報122と、集計結果情報123と、標準時間情報124と、を記憶する。
【0030】
作業記録情報121は、作業者が作業対象に対して実施した作業の記録である作業記録を示す情報である。作業記録は、作業者が実施した作業の種類と、作業者が作業を実施した実施時刻と、を含む。作業記録は、作業者により作成される。推定装置1は、ユーザ端末2から作業記録情報121を取得してもよいし、ネットワークNを介して接続された外部装置から作業記録情報121を取得してもよい。また、作業記録情報121は、推定装置1を利用して作成されてもよいし、記録メディア108から推定装置1に入力されてもよい。
【0031】
図4は、作業記録の一例を示す図である。
図4の作業記録は、情報項目として、「WID」、「種類」、「作業者」、「作業対象」、「実施時刻」及び「量」を含む。「WID」は、作業を一意に識別する識別子である。「種類」は、作業者が実施した作業の種類である。作業の種類は、同種の作業が1つの種類(例えば、食事介助)として設定されてもよいし、同種の作業が時間帯によって異なる種類(例えば、朝食介助、昼食介助、夕食介助)として設定されてもよい。作業の種類は、ユーザが任意に設定できる。「作業者」は、作業を実施した作業者である。「作業対象」は、作業を実施された作業対象である。「実施時刻」は、作業者が作業を実施した時刻である。「量」は、作業者が作業を実施した量である。
【0032】
図4の例では、作業W01は、「種類」が「A」、「作業者」が「x1」、「作業対象」が「y1」、「実施時刻」が「9:40」、「量」が「z1」である。これは、作業W01は、9:40に作業者x1が作業対象y1に対してz1だけ作業Aを実施したことを示している。
図4の例のように、作業記録は、1つの実施時刻しか含まないため、実施期間が不明確である。
【0033】
なお、作業記録情報121は、
図4の例に限られない。作業記録情報121は、上記以外の情報項目を含んでもよいし、上記の情報項目の一部を含まなくてもよい。
【0034】
推定結果情報122は、作業の実施期間の推定結果を示す情報である。推定結果は、例えば、作業者が実施した作業の種類、作業を実施した作業者、作業を実施された作業対象、推定された作業の実施期間(作業の開始時刻及び終了時刻)を含むが、これに限られない。
【0035】
図5は、推定結果の一例を示す図である。
図5の推定結果は、情報項目として、「WID」、「種類」、「作業者」、「作業対象」及び「実施期間」を含む。「実施期間」は、「開始時刻」及び「終了時刻」を含む。「WID」は、作業を一意に識別する識別子である。「種類」は、作業者が実施した作業の種類である。「作業者」は、作業を実施した作業者である。「作業対象」は、作業を実施された作業対象である。「実施期間」は、作業者が作業を実施したと推定された期間である。「開始時刻」は、作業者が作業を開始したと推定された時刻である。「終了時刻」は、作業者が作業を終了したと推定された時刻である。
【0036】
図5の例では、作業W01は、「種類」が「A」、「作業者」が「x1」、「作業対象」が「y1」、「開始時刻」が「9:10」、「終了時刻」が「9:40」である。これは、作業W01は、9:10から9:40まで作業者x1が作業対象y1に対してz1だけ作業Aを実施したと推定されたことを示している。
図5の例のように、推定結果では、実施期間が明確である。
【0037】
集計結果情報123は、複数の推定結果を集計した集計結果を示す情報である。集計結果は、集計項目ごとに集計された作業時間及び作業回数の統計値を含むが、これに限られない。集計項目は、例えば、集計の単位となる単位期間(時間帯、曜日など)、作業の種類、作業者、作業対象又はこれらの組み合わせであるが、これに限られない。統計値は、平均値、中央値、最頻値、最大値又は最小値であるが、これに限られない。
【0038】
図6は、集計結果の一例を示す図である。
図6の集計結果は、情報項目として、「時間帯」、「種類」、「平均作業時間」、「平均作業回数」を含む。「時間帯」は、集計項目であり、単位期間である。
図6の例では、推定結果が1時間ごとに集計されている。「種類」は、集計項目であり、作業の種類である。
図6の例では、推定結果が作業の種類ごとに集計されている。「平均作業時間」は、時間帯ごとかつ作業の種類ごとに集計された作業時間の平均値である。「平均作業回数」は、時間帯ごとかつ作業の種類ごとに集計された作業の実施回数の平均値である。
【0039】
図6の例では、9:00から9:59までの時間帯は、「種類」が「A」,「B」、「平均作業時間」が「45」,「12」、「平均作業回数」が「1.5」,「0.2」である。これは、9:00から9:59までの時間帯には、作業Aが平均して45分(1.5回)実施され、作業Bが平均して12分(0.2回)実施されたことを示している。
【0040】
標準時間情報124は、標準時間を示す情報である。標準時間は、作業の種類ごとに設定された、標準的な作業時間である。各作業の標準時間は、同一であってもよいし、異なってもよい。また、標準時間は、予めデフォルト値が設定されていてもよいし、ユーザ端末2を介してユーザが設定可能であってもよい。標準時間情報124は、作業の種類と対応づけて記憶される。
【0041】
図7は、標準時間の一例を示す図である。
図7の例では、作業Aの標準時間として30分、作業Bの標準時間として60分が設定されている。
【0042】
制御部13は、プロセッサ101がメモリ102からプログラムを読み出して実行し、他のハードウェア構成と協働することにより実現される。制御部13は、推定装置1の動作全体を制御する。制御部13は、推定部131と、集計部132と、を備える。
【0043】
推定部131は、作業記録情報121及び標準時間情報124に基づいて、作業の実施期間(開始時刻及び終了時刻)を推定する。推定部131は、推定結果を示す情報を推定結果情報122として記憶部12に保存する。作業の実施期間の推定方法については後述する。
【0044】
集計部132は、複数の推定結果を集計する。集計部132は、例えば、複数の推定結果から、集計項目ごとに作業時間及び作業回数の統計値を算出する。集計項目は、例えば、所定期間(時間帯、曜日など)、作業の種類、作業者、作業対象又はこれらの組み合わせであるが、これに限られない。統計値は、平均値、中央値、最頻値、最大値又は最小値であるが、これに限られない。集計部132は、集計結果を示す情報を集計結果情報123として記憶部12に保存する。
【0045】
なお、推定装置1の機能構成は、上記の例に限られない。例えば、推定装置1は、上記の機能構成の一部を備え、残りをユーザ端末2が備えてもよい。また、推定装置1は、上記以外の機能構成を備えてもよい。また、推定装置1の各機能構成は、上記の通り、ソフトウェアにより実現されてもよいし、ICチップ、SoC(System on Chip)、LSI(Large Scale Integration)、マイクロコンピュータ等のハードウェアによって実現されてもよい。
【0046】
<ユーザ端末2の機能構成>
次に、ユーザ端末2の機能構成について説明する。
図8は、ユーザ端末2の機能構成の一例を示す図である。
図8に示すように、ユーザ端末2は、通信部21と、記憶部22と、制御部23と、を備える。
【0047】
通信部21は、通信I/F104により実現される。通信部21は、ネットワークNを介して、推定装置1との間で情報の送受信を行う。
【0048】
記憶部22は、メモリ102及びストレージ103により実現される。記憶部22は、作業記録情報221と、推定結果情報222と、集計結果情報223と、を記憶する。
【0049】
作業記録情報221は、作業者が作業対象に対して実施した作業の記録である作業記録を示す情報である。作業記録情報221は、推定装置1から受信した作業記録情報121であってもよいし、ユーザが作業者である場合、ユーザ(作業者)が作成した作業記録を示す情報であってもよい。
【0050】
推定結果情報222は、推定装置1から受信した推定結果情報122である。
【0051】
集計結果情報223は、推定装置1から受信した集計結果情報123である。
【0052】
制御部23は、プロセッサ101がメモリ102からプログラムを読み出して実行し、他のハードウェア構成と協働することにより実現される。制御部23は、ユーザ端末2の動作全体を制御する。制御部23は、表示部231と、修正部232と、を備える。
【0053】
表示部231は、ユーザの操作に応じてユーザ端末2の表示装置を制御し、ユーザ端末2に各種の画面を表示する。表示部231は、例えば、作業記録、推定結果、集計結果などを表示する。
【0054】
修正部232は、作業記録及び推定結果に対するユーザからの修正を受け付け、推定装置1に当該修正を要求する。
【0055】
なお、ユーザ端末2の機能構成は、上記の例に限られない。例えば、ユーザ端末2は、上記の機能構成の一部を備え、残りをユーザ端末2が備えてもよい。また、ユーザ端末2は、上記以外の機能構成を備えてもよい。また、ユーザ端末2の各機能構成は、上記の通り、ソフトウェアにより実現されてもよいし、ICチップ、SoC、LSI、マイクロコンピュータ等のハードウェアによって実現されてもよい。
【0056】
<推定システム1000が実行する処理>
次に、推定システム1000が実行する処理について説明する。
図9は、推定システム1000が実行する処理の一例を示すフローチャートである。以下では、ユーザが作業者である場合を例に説明する。ユーザ(作業者)は、ユーザ端末2を介して作業記録を作成し、推定装置1に送信するものとする。なお、ユーザは、作業者に限られない。また、作業記録は、ユーザ端末2とは異なる外部装置で作成され、推定装置1に送信されてもよい。
【0057】
(ステップS101)
ユーザ(作業者)は、ユーザ端末2を介して、作業記録を作成する。具体的には、ユーザの操作に応じて表示部231が作業記録の入力画面を表示し、入力画面からユーザが実施した作業の種類、実施時刻、作業対象、及び量などの情報を入力する。記憶部22は、ユーザにより入力された情報と、ユーザ(作業者)を示す情報と、を対応づけて、作業記録情報221として記憶する(
図4参照)。
【0058】
(ステップS102)
ユーザ端末2は、作業記録情報221を推定装置1に送信する。作業記録情報221を推定装置1に送信するタイミングは、例えば、ユーザが送信操作を行ったタイミング、作業記録情報221が更新されたタイミング、又は前回の送信から所定時間が経過したタイミングであるが、これに限られない。
【0059】
推定装置1は、ユーザ端末2から作業記録情報221を受信すると、作業記録情報121として記憶部12に保存する。図示省略されているが、推定装置1は、ユーザ端末2から作業記録情報221を受信する。これにより、記憶部12には、複数の作業者の作業記録情報121が記憶される。
【0060】
(ステップS103)
推定装置1の推定部131は、作業記録情報121及び標準時間情報124に基づいて、作業の実施期間(開始時刻及び終了時刻)を推定する。推定部131は、推定結果を示す情報を推定結果情報122として記憶部12に保存する(
図5参照)。作業の実施期間の推定方法については後述する。
【0061】
(ステップS104)
推定装置1は、推定結果情報122をユーザ端末2に送信する。推定結果情報122をユーザ端末2に送信するタイミングは、例えば、ユーザが推定結果の要求操作を行ったタイミング、推定結果情報122が更新されたタイミング、又は前回の送信から所定時間が経過したタイミングであるが、これに限られない。
【0062】
また、ユーザ端末2は、推定装置1から推定結果情報122を受信すると、推定結果情報222として記憶部22に保存する。
【0063】
(ステップS105)
ユーザ端末2の表示部231は、ユーザの操作に応じてユーザ端末2に推定結果情報222が示す推定結果を表示する。
【0064】
図10は、推定結果表示画面sc1の一例を示す図である。推定結果表示画面sc1は、推定結果を表示及び修正するための画面である。
図10の推定結果は、作業者x1の2024/11/6の作業記録から推定されたものである。
図10の推定結果表示画面sc1には、推定結果sc11と、戻るボタンsc12と、修正ボタンsc13と、決定ボタンsc14と、が表示されている。
【0065】
推定結果sc11は、時間帯表示されており、各作業のタイムスロットの形式で表示されている。タイムスロットの時間幅が実施期間に相当する。タイムスロットには、作業の種類と、作業対象と、が記載されている。なお、推定結果sc11の表示方法は、
図10の例に限られない。
【0066】
戻るボタンsc12は、前の画面に戻るためのボタンである。ユーザが戻るボタンsc12を選択すると、表示部231は、推定結果表示画面sc1の前の画面を表示する。
【0067】
修正ボタンsc13は、推定結果sc11(作業の実施期間)を修正するためのボタンである。ユーザが修正ボタンsc13を選択すると、推定結果sc11が修正可能となり、修正部232がユーザの操作に応じた推定結果sc11の修正を受け付ける。
【0068】
決定ボタンsc14は、推定結果sc11を決定するためのボタンである。ユーザが決定ボタンsc14を選択すると、推定結果sc11が決定し、推定結果sc11が修正不能となる。
【0069】
(ステップS106)
ユーザは、ユーザ端末2に表示された推定結果sc11を参照して、推定結果sc11を修正する。ユーザは、例えば、作業に対応するタイムスロットの全体、開始時刻又は終了時刻を、推定結果表示画面sc1上でスライド操作することにより、推定結果sc11を修正することができる。なお、推定結果sc11の修正方法は、上記の例に限られない。また、ユーザは、自分が作業者である推定結果sc11のみを修正可能であってもよいし、自分以外が作業者である推定結果sc11を修正可能であってもよい。
【0070】
図11は、推定結果sc11の修正方法の一例を示す図である。
図11の例では、推定結果表示画面sc1上でユーザが作業Bのタイムスロット(ドット部分)を操作により、作業Bの終了時刻が10:40に修正されている。
【0071】
(ステップS107)
修正部232は、決定ボタンsc14が選択された時点で、ユーザにより推定結果sc11が修正されている場合、修正された作業の識別子及び実施期間を示す修正情報を生成し、推定結果の修正を推定装置1に要求する。推定装置1は、修正情報及び修正要求を受信する。
【0072】
(ステップS108)
推定装置1の推定部131は、ユーザ端末2から修正要求を受信すると、修正情報に従って推定結果情報122を修正する。
図11の例では、作業W02の終了時刻(ドット部分)が修正されている。このように、ユーザによる推定結果の修正を受け付けることにより、推定された実施期間がより現実の実施期間に近くなり、作業の実施期間の推定の精度を向上させることができる。
【0073】
(ステップS109)
集計部132は、複数の推定結果を集計する。推定結果を集計するタイミングは、例えば、ユーザが集計結果を要求したタイミング、推定結果情報122が更新されたタイミング、又は前回の集計から所定時間が経過したタイミングであるが、これに限られない。集計部132は、集計結果を示す情報を集計結果情報123として記憶部12に保存する。
【0074】
(ステップS110)
集計部132は、集計結果情報123をユーザ端末2に送信する。ユーザ端末2は、推定装置1から集計結果情報123を受信すると、集計結果情報223として記憶部22に保存する。
【0075】
(ステップS111)
表示部231は、集計結果情報223が示す集計結果をユーザ端末2に表示する。
【0076】
図12は、集計結果表示画面sc2の一例を示す図である。集計結果表示画面sc2は、集計結果を表示するための画面である。
図12の集計結果は、作業者x1を含むグループXの2024/11/6の推定結果を集計したものである。
図12の集計結果表示画面sc2には、集計項目選択ボタンsc21と、集計結果sc22と、戻るボタンsc23と、が表示されている。
【0077】
集計項目選択ボタンsc21は、集計項目を選択するためのボタンである。
図12の例では、日次ボタン及び作業時間ボタンが選択されており、2024/11/6の作業時間が集計されている。
【0078】
集計結果sc21は、時間帯(1時間)ごとの作業時間が、作業種類ごとに積み上げ棒グラフの形式で表示されている。なお、集計結果sc21の表示方法は、
図12の例に限られない。
【0079】
戻るボタンsc23は、前の画面に戻るためのボタンである。ユーザが戻るボタンsc23を選択すると、表示部231は、集計結果表示画面sc2の前の画面を表示する。
【0080】
<作業の実施期間の推定方法1>
ここで、作業の実施期間の第1の推定方法について説明する。
図13は、作業の実施期間の第1の推定方法の一例を示すフローチャートである。
図13の処理は、
図9のステップS103の内部処理に相当する。
【0081】
(ステップS201)
推定部131は、作業記録及び標準時間に基づいて、各作業の実施期間を推定する。具体的には、推定部131は、作業の開始時刻が実施時刻の標準時間前(開始時刻=実施時刻-標準時間)、作業の終了時刻が実施時刻(終了時刻=実施時刻)となるように実施期間を推定する。
【0082】
(ステップS202)
推定部131は、先頭の作業を選択する。先頭の作業は、実施時刻が一番早い作業である。以下、推定部131に選択された作業を選択作業と称する。
【0083】
(ステップS203)
推定部131は、選択作業の前の作業の終了時刻が、選択作業の開始時刻より後であるか判定する(前の作業の終了時刻>選択作業の開始時刻)。これは、前の作業の実施期間と選択作業の実施期間が重複しているか判定することに相当する。
【0084】
前の作業の終了時刻が選択作業の開始時刻以前である場合(ステップS203:NO)、すなわち、前の作業の実施期間と選択作業の実施期間が重複していない場合、処理はステップS204に進む。
【0085】
前の作業の終了時刻が選択作業の開始時刻より後である場合(ステップS203:YES)、すなわち、前の作業の実施期間と選択作業の実施期間が重複している場合、処理はステップS205に進む。
【0086】
(ステップS204)
推定部131は、次の作業を選択する。次の作業は、選択した作業の次に実施時刻が早い作業である。
【0087】
(ステップS205)
推定部131は、選択作業の前の作業の終了時刻が、選択作業の実施時刻より後であるか判定する(前の作業の終了時刻>選択作業の実施時刻)。
【0088】
前の作業の終了時刻が選択作業の実施時刻以前である場合(ステップS205:NO)、処理はステップS207に進む。
【0089】
前の作業の終了時刻が選択作業の実施時刻より後である場合(ステップS205:YES)、処理はステップS206に進む。
【0090】
(ステップS206)
推定部131は、前の作業の開始時刻を維持したまま、前の作業の終了時刻を、選択作業の実施時刻に修正する(前の作業の終了時刻=選択作業の実施時刻)。これにより、前の作業の作業時間は、標準時間より短くなる。
【0091】
また、前の作業の終了時刻が選択作業の実施時刻となるため、後述するステップS207において、選択作業の開始時刻が選択作業の実施時刻となる。すなわち、選択作業の実施時刻が、選択作業の実施期間に含まれるようになる。これにより、実施時刻から外れた実施期間が推定されることを防ぐことができる。
【0092】
(ステップS207)
推定部131は、選択作業の作業時間を維持したまま、選択作業の実施期間を、選択作業の開始時刻が、前の作業の終了時刻となるように修正する(選択作業の開始時刻=前の作業の終了時刻)。これは、選択作業の実施期間を後ろにずらすことに相当する。これにより、前の作業の実施期間と選択作業の実施期間の重複が解消される。
【0093】
(ステップS208)
推定部131は、作業記録に含まれる全ての作業が選択されたか確認する。全ての作業が選択された場合(ステップS208:YES)、処理は終了する。選択していない作業がある場合(ステップS208:NO)、処理はステップS204に戻る。
【0094】
ここで、
図14は、第1の推定方法による実施期間の推定方法の具体例を示す図である。
図14の例では、3つの作業W11~W13の実施期間を推定する場合について説明する。作業W11~W13は、それぞれの実施時刻がt11~t13、標準時間が30分、60分、60分であるものとする。
【0095】
まず、
図14(a)に示すように、作業W11~W13の実施期間が推定される(ステップS201)。作業W11の開始時刻はt11-30分、終了時刻はt11、作業W12の開始時刻はt12-60分、終了時刻はt12、作業W13の開始時刻はt13-60分、終了時刻はt13と推定される。
【0096】
次に、作業W11が選択される(ステップS202)。選択作業W11は前の作業がないため(ステップS203:NO)、次の作業W12が選択される(ステップS204)。
【0097】
前の作業W11の終了時刻(t11)が選択作業W12の開始時刻(t12-60分)より後である(ステップS203:YES)、すなわち、前の作業W11の実施期間と選択作業W12の実施期間が重複しているため、処理はステップS205に進む。
【0098】
前の作業W11の終了時刻(t11)が選択作業W12の実施時刻t11以前であるため(ステップS205:NO)、処理はステップS207に進む。
【0099】
図14(b)に示すように、推定部131は、選択作業W12の作業時間を維持したまま、選択作業W12の実施期間を、選択作業W12の開始時刻が、前の作業W11の終了時刻(t11)となるように修正する(ステップS207)。選択作業W12の作業時間は維持されているため、選択作業W12の終了時刻はt11+60分となる。これにより、前の作業W11の実施期間と選択作業W12の実施期間の重複が解消される。
【0100】
まだ作業W13が選択されていないため(ステップS208:NO)、次の作業W13が選択される(ステップS204)。
【0101】
前の作業W12の終了時刻(t11+60分)が選択作業W13の開始時刻(t13-60分)より後である(ステップS203:YES)、すなわち、前の作業W12の実施期間と選択作業W13の実施期間が重複しているため、処理はステップS205に進む。
【0102】
前の作業W12の終了時刻(t11+60分)が選択作業W13の実施時刻t13より後であるため(ステップS205:YES)、処理はステップS206に進む。
【0103】
図14(c)に示すように、推定部131は、前の作業W12の開始時刻(t11)を維持したまま、前の作業W12の終了時刻を、選択作業W13の実施時刻t13に修正する(ステップS206)。これにより、前の作業W12の作業時間は、標準時間(60分)より短くなる。
【0104】
図14(d)に示すように、推定部131は、選択作業W13の作業時間を維持したまま、選択作業W13の実施期間を、選択作業W13の開始時刻が、前の作業W12の終了時刻(t13)となるように修正する(ステップS207)。選択作業W13の作業時間は維持されているため、選択作業W13の終了時刻はt13+60分となる。これにより、前の作業W12の実施期間と選択作業W13の実施期間の重複が解消される。
【0105】
以上で全ての作業W11~W13が選択されたため(ステップS208:YES)、処理は終了する。
【0106】
結果として、作業W11の開始時刻はt11-30分、終了時刻はt11、作業W12の開始時刻はt11、終了時刻はt13、作業W13の開始時刻はt13、終了時刻はt13+60分と推定される。
図14(d)より、作業W11~W13の実施期間が重複しておらず、かつ、作業W11~W13の実施期間に作業W11~W13の実施時刻t11~t13がそれぞれ含まれていることがわかる。
【0107】
<作業の実施期間の推定方法2>
次に、作業の実施期間の第2の推定方法について説明する。
図15は、作業の実施期間の第2の推定方法の一例を示すフローチャートである。
図15の処理は、
図9のステップS103の内部処理に相当する。
【0108】
(ステップS301)
推定部131は、作業記録及び標準時間に基づいて、各作業の実施期間を推定する。具体的には、推定部131は、作業の開始時刻が実施時刻(開始時刻=実施時刻)、作業の終了時刻が実施時刻の標準時間後(終了時刻=実施時刻+標準時間)となるように実施期間を推定する。
【0109】
(ステップS302)
推定部131は、後尾の作業を選択する。後尾の作業は、実施時刻が一番遅い作業である。以下、推定部131に選択された作業を選択作業と称する。
【0110】
(ステップS303)
推定部131は、選択作業の後の作業の開始時刻が、選択作業の終了時刻より前であるか判定する(選択作業の終了時刻>後の作業の開始時刻)。これは、選択作業の実施期間と後の作業の実施期間が重複しているか判定することに相当する。
【0111】
選択作業の終了時刻が後の作業の開始時刻以前である場合(ステップS303:NO)、すなわち、選択作業の実施期間と後の作業の実施期間が重複していない場合、処理はステップS304に進む。
【0112】
選択作業の終了時刻が後の作業の開始時刻より後である場合(ステップS303:YES)、すなわち、選択作業の実施期間と後の作業の実施期間が重複している場合、処理はステップS305に進む。
【0113】
(ステップS304)
推定部131は、次の作業を選択する。次の作業は、選択作業の次に実施時刻が遅い作業である。
【0114】
(ステップS305)
推定部131は、選択作業の後の作業の開始時刻が、選択作業の実施時刻より前であるか判定する(後の作業の開始時刻<選択作業の実施時刻)。
【0115】
選択作業の実施時刻が後の作業の開始時刻以前である場合(ステップS305:NO)、処理はステップS307に進む。
【0116】
選択作業の実施時刻が後の作業の開始時刻より後である場合(ステップS305:YES)、処理はステップS306に進む。
【0117】
(ステップS306)
推定部131は、後の作業の終了時刻を維持したまま、後の作業の開始時刻を、選択作業の実施時刻に修正する(後の作業の開始時刻=選択作業の実施時刻)。これにより、後の作業の作業時間は、標準時間より短くなる。
【0118】
また、後の作業の開始時刻が選択作業の実施時刻となるため、後述するステップS307において、選択作業の終了時刻が選択作業の実施時刻となる。すなわち、選択作業の実施時刻が、選択作業の実施期間に含まれるようになる。これにより、実施時刻から外れた実施期間が推定されることを防ぐことができる。
【0119】
(ステップS307)
推定部131は、選択作業の作業時間を維持したまま、選択作業の実施期間を、選択作業の終了時刻が、後の作業の開始時刻となるように修正する(選択作業の終了時刻=後の作業の開始時刻)。これは、選択作業の実施期間を前にずらすことに相当する。これにより、選択作業の実施期間と後の作業の実施期間の重複が解消される。
【0120】
(ステップS308)
推定部131は、作業記録に含まれる全ての作業が選択されたか確認する。全ての作業が選択された場合(ステップS308:YES)、処理は終了する。選択していない作業がある場合(ステップS308:NO)、処理はステップS304に戻る。
【0121】
ここで、
図16は、第2の推定方法による実施期間の推定方法の具体例を示す図である。
図16の例では、3つの作業W21~W23の実施期間を推定する場合について説明する。作業W21~W23は、それぞれの実施時刻がt21~t23、標準時間が30分、60分、60分であるものとする。
【0122】
まず、
図16(a)に示すように、作業W21~W23の実施期間が推定される(ステップS301)。作業W21の開始時刻はt21、終了時刻はt21+30分、作業W22の開始時刻はt22、終了時刻はt22+60分、作業W23の開始時刻はt23、終了時刻はt23+60分と推定される。
【0123】
次に、作業W23が選択される(ステップS302)。選択作業W23は後の作業がないため(ステップS303:NO)、次の作業W22が選択される(ステップS304)。
【0124】
選択作業W22の終了時刻(t22+60分)が後の作業W23の開始時刻(t23)より後である(ステップS303:YES)、すなわち、選択作業W22の実施期間と後の作業W23の実施期間が重複しているため、処理はステップS305に進む。
【0125】
選択作業W22の実施時刻t22が後の作業W23の開始時刻(t23)以前である(ステップS305:NO)、処理はステップS307に進む。
【0126】
図16(b)に示すように、推定部131は、選択作業W23の作業時間を維持したまま、選択作業W23の実施期間を、選択作業W23の終了時刻が、後の作業W23の開始時刻(t23)となるように修正する(ステップS307)。選択作業W23の作業時間は維持されているため、選択作業W23の開始時刻はt23-60分となる。これにより、選択作業W22の実施期間と後の作業W23の実施期間の重複が解消される。
【0127】
まだ作業W21が選択されていないため(ステップS308:NO)、次の作業W21が選択される(ステップS304)。
【0128】
選択作業W21の終了時刻(t21+30分)が後の作業W22の開始時刻(t23-60分)より後である(ステップS303:YES)、すなわち、選択作業W21の実施期間と後の作業W22の実施期間が重複しているため、処理はステップS305に進む。
【0129】
後の作業W22の開始時刻(t23-60分)が選択作業W21の実施時刻t21より前であるため(ステップS305:YES)、処理はステップS306に進む。
【0130】
図16(c)に示すように、推定部131は、後の作業W22の終了時刻(t23)を維持したまま、後の作業W22の開始時刻を、選択作業W21の実施時刻t21に修正する(ステップS306)。これにより、後の作業W22の作業時間は、標準時間(60分)より短くなる。
【0131】
図16(d)に示すように、推定部131は、選択作業W21の作業時間を維持したまま、選択作業W21の実施期間を、選択作業W21の終了時刻が、後の作業W22の開始時刻(t21)となるように修正する(ステップS307)。選択作業W21の作業時間は維持されているため、選択作業W21の開始時刻はt21-30分となる。これにより、選択作業W21の実施期間と後の作業W22の実施期間の重複が解消される。
【0132】
以上で全ての作業W21~W23が選択されたため(ステップS308:YES)、処理は終了する。
【0133】
結果として、作業W21の開始時刻はt21-30分、終了時刻はt21、作業W22の開始時刻はt21、終了時刻はt23、作業W23の開始時刻はt23、終了時刻はt23+60分と推定される。
図16(d)より、作業W21~W23の実施期間が重複しておらず、かつ、作業W21~W23の実施期間に作業W21~W23の実施時刻t21~t23がそれぞれ含まれていることがわかる。
【0134】
<まとめ>
以上説明した通り、本実施形態によれば、作業者が実施した作業の種類及び実施時刻を含む作業記録を示す情報(作業記録情報121)を記憶する記憶部12と、作業の種類ごとに設定された標準時間と、実施時刻と、に基づいて、作業の開始時刻及び終了時刻(実施期間)を推定する推定部131と、推定結果を表示する表示部231と、を備える推定システム1000が実現される。推定システム1000により、タイムスタディを実施することなく、作業記録から作業の実施期間を取得することができる。
【0135】
[第2実施形態]
第2実施形態に係る推定システム1000について説明する。本実施形態に係る推定システム1000は、作業者及び作業対象の少なくとも一方の属性に基づいて、標準時間を設定する。以下、第1実施形態との相違点について説明する。
【0136】
図17は、推定装置1の機能構成の一例を示す図である。
図3に示すように、記憶部12は、作業者情報125と、作業対象情報126と、を記憶する。
【0137】
作業者情報125は、作業者に関する情報である。作業者情報125は、作業者の識別子及び属性を示す情報を含む。
【0138】
図18は、作業者情報125の一例を示す図である。
図18の作業者情報125は、情報項目として、「PID」、「氏名」、「住所」、「連絡先」及び「属性」を含む。「属性」は、「職種」、「資格」及び「勤続年数」を含む。
【0139】
「PID」は、作業者の識別子である。「氏名」は、作業者の氏名である。「住所」は、作業者の住所である。「連絡先」は、作業者の連絡先である。「属性」は、作業者の属性である。「職種」は、作業者の職種である。「資格」は、作業者が有する資格である。「勤続年数」は、作業者の勤続年数である。
【0140】
なお、作業者の属性は、
図18の例に限られない。属性は、作業者の作業時間に影響する任意の項目であり得る。属性は、例えば、年齢、性別、役職、作業者に付与されたランクなどを含んでもよい。
【0141】
図19は、作業対象情報126の一例を示す図である。
図19の例では、作業は介護であり、作業対象は被介護者である。
図19の作業対象情報126は、情報項目として、「pID」、「氏名」、「住所」、「連絡先」及び「属性」を含む。「属性」は、「年齢」、「要介護度」及び「ADL(Activities of Daily Living)」を含む。
【0142】
「pID」は、作業対象(被介護者)の識別子である。「氏名」は、作業対象の氏名である。「住所」は、作業対象の住所である。「連絡先」は、作業対象の連絡先である。「属性」は、作業対象の属性である。「年齢」は、作業対象の職種である。「要介護度」は、作業対象の要介護度である。「ADL」は、作業対象のADLである。
【0143】
なお、作業対象の属性は、
図19の例に限られない。属性は、作業者の作業時間に影響する任意の項目であり得る。属性は、例えば、性別、既往歴、作業対象に付与されたランクなどを含んでもよい。また、作業対象は、被介護者に限られない。作業対象は、被介護者以外の人であってもよいし、物であってもよいし、場所であってもよい。
【0144】
ここで、本実施形態における標準時間の設定方法について説明する。以下の処理は、
図13のステップS201又は
図15のステップS301の内部処理に相当する。
【0145】
本実施形態において、推定部131は、ある作業Wの標準時間を設定する際、作業記録情報121を参照して、作業Wの作業記録に含まれる作業者の識別子を取得し、作業者情報125を参照して、識別子に対応する作業者の属性を取得する。また、推定部131は、作業記録情報121を参照して、作業Wの作業記録に含まれる作業対象の識別子を取得し、作業対象情報126を参照して、識別子に対応する作業対象の属性を取得する。そして、推定部131は、標準時間情報124を参照して、作業者及び作業対象の少なくとも一方の属性に応じた作業Wの標準時間を設定する。
【0146】
推定部131は、例えば、標準時間情報124に設定された作業Wの標準時間を、属性に応じた補正値で補正することにより、作業Wの標準時間を設定する(標準時間×補正値又は標準時間+補正値)。また、標準時間情報124に属性に応じた標準値が設定され、推定部131は、標準時間情報124から作業Wの属性に応じた標準値を取得してもよい。
【0147】
以降の処理は、第1又は第2の推定方法と同様である。すなわち、推定部131は、
図13のステップS202以降又は
図15のステップS302以降の処理を実行する。
【0148】
以上のような構成により、本実施形態によれば、同じ種類の作業であっても、作業者及び作業対象の少なくとも一方に応じて、実施期間の推定に利用される標準時間の長さを変えることができる。例えば、勤続年数が長い作業者の場合に標準時間を短くしたり、要介護度が高い作業対象(被介護者)の場合に標準時間を長くしたりすることができる。これにより、標準時間が現実の作業時間に近くなるため、推定された実施期間がより現実の実施期間に近くなり、作業の実施期間の推定の精度を向上させることができる。
【0149】
[第3実施形態]
第3実施形態に係る推定システム1000について説明する。本実施形態に係る推定システム1000は、作業計画に基づいて、作業の実施期間を推定する。以下、第1実施形態との相違点について説明する。
【0150】
図20は、推定装置1の機能構成の一例を示す図である。
図20に示すように、記憶部12は、作業計画情報127を記憶する。
【0151】
作業計画情報127は、予め用意された作業の実施計画である作業計画を示す情報である。作業計画は、作業者が実施する作業の種類と、作業者が作業を実施する実施予定期間と、を含む。実施予定期間は、作業者が作業を開始する開始予定時刻と、作業者が作業を終了する終了予定時刻と、を含む。作業計画は、計画者により作成される。推定装置1は、ユーザ端末2から作業計画情報127を取得してもよいし、ネットワークNを介して接続された外部装置から作業計画情報127を取得してもよい。また、作業計画情報127は、推定装置1を利用して作成されてもよいし、記録メディア108から推定装置1に入力されてもよい。
【0152】
図20は、作業計画の一例を示す図である。
図20の作業計画は、情報項目として、「wID」、「種類」、「作業者」、「作業対象」、「実施予定時刻」及び「量」を含む。「実施予定期間」は、「開始予定時刻」及び「終了予定時刻」を含む。「wID」は、作業を一意に識別する識別子である。「種類」は、作業者が実施する作業の種類である。「作業者」は、作業を実施する作業者である。「作業対象」は、作業を実施される作業対象である。「実施予定期間」は、作業者が作業を実施する予定の期間である。「開始予定時刻」は、作業者が作業を開始する予定の時刻である。「終了予定時刻」は、作業者が作業を終了する予定の時刻である。「量」は、作業者が作業を実施する量である。
【0153】
図20の例では、作業w01は、「種類」が「A」、「作業者」が「x1」、「作業対象」が「y1」、「開始予定時刻」が「9:30」、「終了予定時刻」が「10:00」、「量」が「z1」である。これは、作業W01は、9:30から10:00までの間に作業者x1が作業対象y1に対してz1だけ作業Aを実施する予定であることを示している。
【0154】
なお、作業計画情報127は、
図20の例に限られない。作業計画情報127は、上記以外の情報項目を含んでもよいし、上記の情報項目の一部を含まなくてもよい。
【0155】
ここで、本実施形態における実施期間の推定方法について説明する。
【0156】
<作業の実施期間の推定方法3>
ここで、作業の実施期間の第3の推定方法について説明する。以下の処理は、
図13のステップS201又は
図15のステップS301の内部処理に相当する。第3の推定方法では、推定部131は、作業記録、標準時間及び作業計画に基づいて、各作業の実施期間を推定する。
【0157】
具体的には、推定部131は、作業の実施時刻が、作業計画におけるその作業の実施予定期間に含まれる場合、作業の開始時刻が開始予定時刻、作業の終了時刻が終了予定時刻となるように実施期間を推定する。また、推定部131は、作業の開始時刻が開始予定時刻、作業の終了時刻が実施時刻となるように実施期間を推定してもよい。また、推定部131は、作業の開始時刻が実施時刻、作業の終了時刻が終了予定時刻となるように実施期間を推定してもよい。いずれの場合も、推定部131は、作業計画に基づいて、作業の実施期間を推定することができる。
【0158】
また、推定部131は、作業の実施時刻が、作業計画におけるその作業の実施予定期間に含まれない場合、第1の推定方法又は第2の推定方法と同様の方法で実施期間を推定する。具体的には、第1の推定方法では、作業の開始時刻が実施時刻の標準時間前(開始時刻=実施時刻-標準時間)、作業の終了時刻が実施時刻(終了時刻=実施時刻)となるように実施期間を推定する。第2の推定方法では、作業の開始時刻が実施時刻(開始時刻=実施時刻)、作業の終了時刻が実施時刻の標準時間後(終了時刻=実施時刻+標準時間)となるように実施期間を推定する。
【0159】
以降の処理は、第1又は第2の推定方法と同様であってもよい。すなわち、推定部131は、
図13のステップS202以降又は
図15のステップS302以降の処理を実行してもよい。
【0160】
また、第1又は第2の推定方法とは変えて、推定部131は、作業Wの実施期間が作業計画に基づいて推定された場合、作業Wの実施期間が、他の作業の実施期間と重複しても、作業Wの実施期間を修正しなくてもよい。この場合、他の作業の実施期間は、作業Wの実施期間と重複しないようにずらされる。
【0161】
以上のような構成により、本実施形態によれば、予め用意された作業計画に基づいて、作業の実施期間を推定することができる。これにより、推定される作業の実施期間が、作業計画で定められた実施予定期間に近くなるため、作業の実施期間の推定の精度を向上させることができる。
【0162】
[第4実施形態]
第4実施形態に係る推定システム1000について説明する。本実施形態に係る推定システム1000は、測定装置3により測定された測定値に基づいて、実施された作業の種類、開始時刻及び終了時刻を推定し、推定開始時刻及び推定終了時刻に基づいて、作業の実施期間を推定する。以下、第1実施形態との相違点について説明する。
【0163】
図22は、推定システム1000の構成の一例を示す図である。
図22に示すように、推定システム1000は、ネットワークNを介して相互に通信可能に接続された、測定装置3を備える。
図22の例では、推定システム1000は、測定装置3を1つ備えるが、複数備えてもよい。
【0164】
測定装置3は、作業に関するデータを測定するセンサを備えた情報処理装置である。
図22の例では、測定装置3は、ベッドに敷設され、ベッド上の被介護者(作業対象)の体動、脈拍、血圧などを測定するマットレス型の測定装置であるが、これに限られない。測定装置3は、作業に関するデータを測定可能な任意の測定装置であり得る。また、測定装置3は、ユーザ端末2に含まれていてもよい。
【0165】
測定装置3は、ネットワークNを介して、測定した時刻及び測定値を示す測定情報を、推定装置1に送信する。測定装置3は、測定情報を、ユーザ端末2を介して推定装置1に送信してもよい。推定装置1の記憶部12は、測定装置3から受信した測定情報を、測定情報128として記憶する。
【0166】
図23は、推定装置1の機能構成の一例を示す図である。
図23に示すように、記憶部12は、測定情報128と、推定作業記録情報129と、を記憶する。
【0167】
測定情報128は、測定装置3から受信した測定情報である。測定情報は、時刻及び測定値を示す情報を含む。
【0168】
推定作業記録情報129は、測定情報128に基づいて推定された作業記録を示す情報である。推定作業記録は、作業者が実施したと推定された作業の種類と、作業者が作業を実施したと推定された推定実施期間と、を含む。推定実施期間は、作業者が作業を開始したと推定された推定開始時刻と、作業者が作業を終了したと推定された推定終了時刻と、を含む。
【0169】
図24は、推定作業記録の一例を示す図である。
図24の推定作業記録は、情報項目として、「WID」、「種類」、「作業者」、「作業対象」、「推定実施期間」及び「量」を含む。「推定実施期間」は、「推定開始時刻」及び「推定終了時刻」を含む。「WID」は、作業を一意に識別する識別子である。「種類」は、作業者が実施したと推定された作業の種類である。「作業者」は、作業を実施した作業者である。「作業対象」は、作業を実施された作業対象である。「推定実施期間」は、作業者が作業を実施したと推定された期間である。「推定開始時刻」は、作業者が作業を開始したと推定された時刻である。「推定終了時刻」は、作業者が作業を終了したと推定された時刻である。「量」は、作業者が作業を実施した量である。
【0170】
図24の例では、作業W31は、「種類」が「A」、「作業者」が「x1」、「作業対象」が「y1」、「推定開始時刻」が「9:30」、「推定終了時刻」が「10:00」、「量」が「z1」である。これは、作業W31は、9:30から10:00までの間に作業者x1が作業対象y1に対してz1だけ作業Aを実施したと推定されたことを示している。
【0171】
なお、推定作業記録は、
図24の例に限られない。推定作業記録は、上記以外の情報項目を含んでもよいし、上記の情報項目の一部を含まなくてもよい。
【0172】
本実施形態において、制御部13は、作業推定部133を備える。
【0173】
作業推定部133は、測定情報128に基づいて、作業者が実施した作業の種類、開始時刻及び終了時刻を推定し、推定した作業の種類、推定開始時刻及び推定終了時刻を示す情報を、推定作業記録情報129として記憶部12に保存する。作業推定部133は、測定情報128に基づいて、作業を実施した作業者、作業を実施された作業対象、実施された作業の量などを推定し、これらを示す情報を推定作業記録情報129として記憶部12に保存してもよい。
【0174】
例えば、測定装置3がマットレス型の測定装置である場合、作業推定部133は、被介護者(作業対象)の体動の測定情報128に基づいて、介護者(作業者)が被介護者に実施した体位変換(作業)の開始時刻及び終了時刻を推定することができる。
【0175】
また、測定装置3がユーザ端末2に搭載された加速度センサであり、ユーザが介護者(作業者)である場合、作業推定装置133は、ユーザ端末2の動きを示す測定情報128に基づいて、介護者(作業者)が実施した巡回(作業)の開始時刻及び終了時刻を推定することができる。
【0176】
なお、作業推定部133が推定可能な作業は、上記の例に限られない。作業推定部133は、測定情報128に基づいて推定可能な任意の作業及び実施期間を推定できる。
【0177】
ここで、本実施形態における実施期間の推定方法について説明する。
【0178】
<作業の実施期間の推定方法4>
ここで、作業の実施期間の第4の推定方法について説明する。以下の処理は、
図13のステップS201又は
図15のステップS301の内部処理に相当する。第4の推定方法では、推定部131は、作業記録、標準時間及び推定作業記録に基づいて、各作業の実施期間を推定する。
【0179】
具体的には、推定部131は、作業の実施時刻が、推定作業記録におけるその作業の推定実施期間に含まれる場合、作業の開始時刻が推定開始時刻、作業の終了時刻が推定終了時刻となるように実施期間を推定する。また、推定部131は、作業の開始時刻が推定開始時刻、作業の終了時刻が実施時刻となるように実施期間を推定してもよい。また、推定部131は、作業の開始時刻が実施時刻、作業の終了時刻が推定終了時刻となるように実施期間を推定してもよい。いずれの場合も、推定部131は、推定作業記録に基づいて、作業の実施期間を推定することができる。
【0180】
また、推定部131は、作業の実施時刻が、推定作業記録におけるその作業の推定実施期間に含まれない場合、第1の推定方法又は第2の推定方法と同様の方法で実施期間を推定する。具体的には、第1の推定方法では、作業の開始時刻が実施時刻の標準時間前(開始時刻=実施時刻-標準時間)、作業の終了時刻が実施時刻(終了時刻=実施時刻)となるように実施期間を推定する。第2の推定方法では、作業の開始時刻が実施時刻(開始時刻=実施時刻)、作業の終了時刻が実施時刻の標準時間後(終了時刻=実施時刻+標準時間)となるように実施期間を推定する。
【0181】
以降の処理は、第1又は第2の推定方法と同様であってもよい。すなわち、推定部131は、
図13のステップS202以降又は
図15のステップS302以降の処理を実行してもよい。
【0182】
また、第1又は第2の推定方法とは変えて、推定部131は、作業Wの実施期間が推定作業記録に基づいて推定された場合、作業Wの実施期間が、他の作業の実施期間と重複しても、作業Wの実施期間を修正しなくてもよい。この場合、他の作業の実施期間は、作業Wの実施期間と重複しないようにずらされる。
【0183】
以上のような構成により、本実施形態によれば、測定情報128に基づいて推定された推定作業記録に基づいて、作業の実施期間を推定することができる。これにより、推定された実施期間がより現実の実施期間に近くなるため、作業の実施期間の推定の精度を向上させることができる。
【0184】
<付記>
本実施形態は、以下の開示を含む。
【0185】
(付記1)
作業者が実施した作業の種類及び実施時刻を含む作業記録を示す情報を記憶する記憶部と、
前記作業の種類ごとに設定された標準時間と、前記実施時刻と、に基づいて、前記作業の開始時刻及び終了時刻を推定する推定部と、
推定結果を表示する表示部と、
を備える作業実施期間推定システム。
【0186】
(付記2)
前記推定部は、前の作業の実施期間と、後の作業の実施期間と、が重複しないように前記作業の開始時刻及び終了時刻を推定する
付記1に記載の作業実施期間推定システム。
【0187】
(付記3)
前記推定部は、前記実施時刻を終了時刻として前記作業の実施期間を推定し、
前の作業の実施期間と、後の作業の実施期間と、が重複した場合、前記後の作業の実施期間を、前記後の作業の開始時刻が前記前の作業の終了時刻となるように修正する
付記1に記載の作業実施期間推定システム。
【0188】
(付記4)
前記推定部は、前記前の作業の終了時刻が、前記後の作業の実施時刻より後である場合、前記前の作業の開始時刻を維持したまま、前記前の作業の終了時刻を、前記後の作業の実施時刻に修正する
付記3に記載の作業実施期間推定システム。
【0189】
(付記5)
前記推定部は、前記実施時刻を開始時刻として前記作業の実施期間を推定し、
前の作業の実施期間と、後の作業の実施期間と、が重複した場合、前記前の作業の実施期間を、前記前の作業の終了時刻が前記後の作業の開始時刻となるように修正する
付記1に記載の作業実施期間推定システム。
【0190】
(付記6)
前記推定部は、前記後の作業の開始時刻が、前記後の作業の実施時刻より前である場合、前記後の作業の終了時刻を維持したまま、前記後の作業の開始時刻を、前記前の作業の実施時刻に修正する
付記5に記載の作業実施期間推定システム。
【0191】
(付記7)
前記記憶部は、実施する作業の種類、開始予定時刻及び終了予定時刻を含む作業計画を示す情報を記憶し、
前記推定部は、作業の実施時刻が、前記作業計画に含まれる前記作業の前記開始予定時刻から前記終了予定時刻までに含まれる場合、前記作業の開始時刻又は終了時刻を、前記作業の開始予定時刻又は終了予定時刻と推定する
付記1に記載の作業実施期間推定システム。
【0192】
(付記8)
前記推定部は、作業の実施期間が前記作業計画に基づいて推定された場合、前記作業の実施期間が、他の作業の実施期間と重複しても、前記作業の実施期間を修正しない
付記7に記載の作業実施期間推定システム。
【0193】
(付記9)
作業推定部を更に備え、
前記記憶部は、時刻及び測定値を示す測定情報を記憶し、
前記作業推定部は、前記測定情報に基づいて、前記作業者が実施した作業の種類、開始時刻及び終了時刻を推定し、
前記推定部は、作業の実施時刻が、推定された前記作業の推定開始時刻から推定終了時刻までに含まれる場合、前記作業の開始時刻又は終了時刻を、前記作業の推定開始時刻又は推定終了時刻と推定する
付記1に記載の作業実施期間推定システム。
【0194】
(付記10)
前記推定部は、作業の実施期間が前記測定情報に基づいて推定された場合、前記作業の実施期間が、他の作業の実施期間と重複しても、前記作業の実施期間を修正しない
付記9に記載の作業実施期間推定システム。
【0195】
(付記11)
前記標準時間は、ユーザにより設定可能である
付記1に記載の作業実施期間推定システム。
【0196】
(付記12)
前記標準時間は、前記作業者及び作業対象の少なくとも一方の属性に応じて設定される
付記1に記載の作業実施期間推定システム。
【0197】
(付記13)
前記推定結果は、推定された作業の開始時刻及び終了時刻を含み、
前記開始時刻及び終了時刻は、ユーザにより修正可能である
付記1に記載の作業実施期間推定システム。
【0198】
(付記14)
複数の推定結果を集計する集計部を更に備え、
前記表示部は、前記集計結果を表示する
付記1に記載の作業実施期間推定システム。
【0199】
(付記15)
前記集計結果は、単位期間における前記作業の種類ごとの平均作業時間又は平均作業回数を含む
付記14に記載の作業実施期間推定システム
【0200】
(付記16)
作業実施期間推定システムが実行する作業実施期間推定方法であって、
作業者が実施した作業の種類及び実施時刻を含む作業記録を示す情報を記憶するステップと、
前記作業の種類ごとに設定された標準時間と、前記実施時刻と、に基づいて、前記作業の開始時刻及び終了時刻を推定するステップと、
推定結果を表示するステップと、
を含む作業実施期間推定方法。
【0201】
(付記17)
作業実施期間推定システムに、
作業者が実施した作業の種類及び実施時刻を含む作業記録を示す情報を記憶するステップと、
前記作業の種類ごとに設定された標準時間と、前記実施時刻と、に基づいて、前記作業の開始時刻及び終了時刻を推定するステップと、
推定結果を表示するステップと、
を含む作業実施期間推定方法を実行させるプログラム。
【0202】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。また、本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0203】
1:作業実施期間推定装置
2:ユーザ端末
3:測定装置
121:作業記録情報
122:推定結果情報
123:集計結果情報
124:標準時間情報
125:作業者情報
126:作業対象情報
127:作業計画情報
128:測定情報
129:推定作業記録情報
131:推定部
132:集計部
133:作業推定部
【要約】
【課題】 タイムスタディを実施することなく、作業の実施期間を取得する。
【解決手段】
一実施形態によれば、作業実施期間推定システムは、作業者が実施した作業の種類及び実施時刻を含む作業記録を示す情報を記憶する記憶部と、前記作業の種類ごとに設定された標準時間と、前記実施時刻と、に基づいて、前記作業の開始時刻及び終了時刻を推定する推定部と、推定結果を表示する表示部と、を備える。
【選択図】
図10