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特許7619594商品販売データ処理装置及び商品販売データ処理システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-14
(45)【発行日】2025-01-22
(54)【発明の名称】商品販売データ処理装置及び商品販売データ処理システム
(51)【国際特許分類】
   G07G 1/01 20060101AFI20250115BHJP
【FI】
G07G1/01 301D
G07G1/01 301E
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020151415
(22)【出願日】2020-09-09
(65)【公開番号】P2022045690
(43)【公開日】2022-03-22
【審査請求日】2023-09-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000145068
【氏名又は名称】株式会社寺岡精工
(74)【代理人】
【識別番号】100184066
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 恭
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 友紀
(72)【発明者】
【氏名】安部 俊孝
(72)【発明者】
【氏名】杉森 由希子
【審査官】小島 哲次
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-218751(JP,A)
【文献】特開2011-054108(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07G 1/00- 1/14
G09G 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
寸法の異なる第1表示部と第2表示部をそれぞれ店員側と顧客側に背中合わせで、かつ、位置が入れ替わることなく有する商品販売データ処理装置であって、
前記第2表示部よりも大きな寸法の前記第1表示部に対する店員用の表示及び前記第2表示部に対する表示を制御する表示手段と、
前記第1表示部に表示される複数の店員用の表示領域の中から特定の表示領域を設定する設定手段を有し、
前記表示手段は、前記第2表示部に対する所定の操作に基づいて前記設定手段が設定した前記第1表示部の前記特定の店員用の表示領域について表示形態を変更することなく前記第2表示部に表示する商品販売データ処理装置。
【請求項2】
寸法の異なる第1表示部と第2表示部をそれぞれ店員側と顧客側に背中合わせで、かつ、位置が入れ替わることなく有する商品販売データ処理システムであって、
前記第2表示部よりも大きな寸法の前記第1表示部に対する店員用の表示及び顧客側に固定された前記第2表示部に対する表示を制御する表示手段と、
前記第1表示部に表示される複数の店員用の表示領域の中から特定の表示領域を設定する設定手段を有し、
前記表示手段は、前記第2表示部に対する所定の操作に基づいて前記設定手段が設定した前記第1表示部の前記特定の店員用の表示領域について表示形態を変更することなく前記第2表示部に表示する商品販売データ処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の表示部を有する商品販売データ処理装置、商品販売データ処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、店員側と顧客側に表示部を有するPOS端末などの商品販売データ処理装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-26776号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
レストラン等に配置された店員側と顧客側に表示部を有するPOS端末は、商品の精算時に店員側の表示部において商品の登録処理を行っている間に顧客側の表示部に商品や店舗の広告を表示することで販売促進を行うことができる。
【0005】
上記のような店員側と顧客側に表示部を有するPOS端末は、顧客側の表示部においても店員が商品登録等の種々の操作を可能とすることで、POS端末の使用形態を多様化させることができ、また、メンテナンス性、作業性を向上させることができる。
【0006】
実施形態は、店員側と顧客側に表示部を有するPOS端末などの商品販売データ処理システムにおいて、顧客側の表示部の利用勝手を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態は、寸法の異なる第1表示部と第2表示部をそれぞれ店員側と顧客側に背中合わせで、かつ、位置が入れ替わることなく有する商品販売データ処理装置であって、前記第2表示部よりも大きな寸法の前記第1表示部に対する店員用の表示及び前記第2表示部に対する表示を制御する表示手段と、前記第1表示部に表示される複数の店員用の表示領域の中から特定の表示領域を設定する設定手段を有し、前記表示手段は、前記第2表示部に対する所定の操作に基づいて前記設定手段が設定した前記第1表示部の前記特定の店員用の表示領域について表示形態を変更することなく前記第2表示部に表示する商品販売データ処理装置である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態のPOS端末(商品販売データ処理装置)の斜視図の一例であり、(a)は全体斜視図であり、(b)(c)は、操作部の斜視図である。
図2】一実施形態のPOS端末の概略ブロック図の一例である。
図3】一実施形態の商品販売データ処理システムの概略ブロック構成図の一例である。
図4】一実施形態のPOS端末の店員用表示部に表示される商品登録画面の一例である。
図5】一実施形態のPOS端末の顧客用表示部に表示される操作画面の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
-POS端末(商品販売データ処理装置)の構成-
商品販売データ処理装置について、店員側及び顧客側に表示部を有するPOS端末の例を用いて、図面を参考に説明する。
本実施形態のPOS端末1は、レストラン等の飲食店において、店員によって顧客が購入した商品の登録処理を行い、顧客自らの操作によって精算処理を行うことのできる装置である。
【0010】
本実施形態のPOS端末1は、例えば図1(a)に示すように、本体11と、本体11の上面に配置される操作体12を有しており、操作体12は、図1(b)(c)に示すように、正面側(顧客側)に顧客用表示部(第2表示部)121を有するとともに、裏面側(店員側)に顧客用表示部121よりも大きな寸法の店員用表示部(第1表示部)122を有している。
本実施形態のPOS端末1は、店員用表示部122として15インチのタッチパネルが採用され、顧客用表示部121として横長10インチのタッチパネルが採用されている。
【0011】
POS端末1の操作体12は、正面(顧客側)に、顧客用表示部121に隣接してスキャナ部123を有しており、上面に、レシート発行部124を有しており、必要に応じて、カメラ125等が設けられている。
【0012】
POS端末1の本体11は、正面に、紙幣挿入口114、紙幣返却口115、硬貨投入口116、硬貨返却口117等が設けられている。その他、お釣りの返却を指示するために操作される返却レバー等が設けられていてもよい。
また、POS端末1は、顧客にPOS端末1の操作等についての情報を音声で出力するスピーカを有していてもよい。
【0013】
紙幣挿入口114は、入金に際して紙幣が投入され、紙幣返却口115は、お釣りや返金等の払い出し金の内の紙幣が排出される。硬貨投入口116は、入金に際して硬貨が投入され、硬貨返却口117は、払い出し金の内の硬貨が排出される。
【0014】
店員は、店員用表示部122を操作して顧客が購入した商品の登録処理を行い、顧客は、顧客用表示部121を操作して店員が登録処理を行った商品についての精算処理を行うことができる。
【0015】
顧客は、商品の支払いを電子マネーで行う際には、スキャナ部123によって、顧客のスマホなどに表示されるQRコード(登録商標)等のバーコードを読み取ることで支払いを行うことができる。
また、商品の支払いをクレジットカードで行う際には、スキャナ部123によって、クレジットカード情報を読み取り、テンキーによって暗証番号を入力することで支払いを行うことができる。
【0016】
図2は、本実施形態のPOS端末1の構成の一例である。
本実施形態のPOS端末1は、CPU101、ROM102、RAM103、メモリ104、ネットワークI/F105、入力部I/F106、出力部I/F107、表示部I/F108などを有している。
【0017】
CPU101は、POS端末1の処理動作全体を制御する制御手段である。
例えば、CPU101は、商品登録処理及び精算処理を実行する登録手段及び精算手段として機能する。また、CPU101は、顧客用表示部121及び店員用表示部122を制御する表示手段として機能する。
【0018】
ROM102は、CPU101で動作するためのプログラム等を予め記憶している。なお、プログラム等は、CD-ROMなどの可搬型記憶媒体に記憶させ、CD-ROMドライブなどの外部装置により読み取るように構成してもよい。
【0019】
RAM103は、プログラムの記憶及びソフトウエアが動作するために必要なワーク記憶エリアとして使用される。
メモリ104は、ハードディスク装置等から構成され商品ファイル等の情報を記憶している。
【0020】
ネットワークI/F105は、有線もしくは無線のネットワークまたは専用回線を経由して接続された手段とデータのやり取りを行うための回路である。
入力部I/F106は、スキャナ部123等の入力部との入出力を行うための回路である。
出力部I/F107は、レシート発行部124等の出力部との入出力を行うための回路である。
表示部I/F108は、顧客用表示部121、店員用表示部122等の表示部との入出力を行うための回路である。
【0021】
また、本実施形態のPOS端末1は、返却レバー等の操作入力部を有しており、CPU101は、操作入力部に対して行われた操作に応じて、お釣りの返却などの制御処理を実行する。また、POS端末1は、紙幣処理部201、硬貨処理部202を有している。
【0022】
スキャナ部123等の入力部は、顧客が料金の支払いのためにスマホ等に表示したQRコード(登録商標)等のコード情報やクレジットカードの情報を読み取る。
レシート発行部124等の出力部は、CPU101の指示に従って、購入された商品についてレシートを発行する。
【0023】
紙幣処理部201は、紙幣に関する処理全般を行う。具体的には、紙幣処理部201は、紙幣の鑑定処理として、紙幣挿入口114から投入された紙幣の種別を判定する。また紙幣処理部201は紙幣挿入口114から投入された紙幣の金種毎の枚数をカウントする。また、紙幣処理部201は、釣銭の返却の際に、POS端末1内部の紙幣収納庫に格納されている紙幣の内から必要な金種の紙幣を選別して必要枚数を紙幣返却口115に排出させる。
【0024】
硬貨処理部202は、硬貨に関する処理全般を行う。具体的には、硬貨処理部202は、硬貨の鑑定処理、硬貨の金種毎の枚数カウント、POS端末1の内部に収納された硬貨の内から必要な金種の硬貨を選別して硬貨返却口117から排出する等の動作を実行する。
【0025】
-商品販売データ処理システムの構成-
図3は、POS端末1を用いて構成される商品販売データ処理システムの構成の一例である。
本実施形態の商品販売データ処理システムは、管理装置(ストアコントローラ)2と、POS端末(POSレジスタ)1を、ネットワーク5を介して接続し、各装置間でデータ通信を行うように構成されている。ネットワーク5は有線、無線の何れであっても良い。またPOS端末1は複数台設置しても良く、また登録専用の登録装置3、精算専用の精算装置4等がさらに接続されていてもよい。
【0026】
管理装置2は、商品販売データ処理システム全体を制御するコンピュータ(例えば、クラウドサーバであってもよい。)であって、POS端末1、登録装置3、精算装置4で用いられる各種データを管理しており、商品データなどを記憶し、適宜各機器に配信する。また管理装置2は、POS端末1、精算装置4等で会計処理された会計済みデータを会計後に受信し、受信した会計済みデータを記憶し実績集計等を行う。
【0027】
登録装置3は、例えば、顧客の購入する商品の登録処理専用の装置であり、店員の商品登録操作によって登録処理が行われる。登録処理によって登録された商品の情報は、精算装置4等に送信される。
精算装置4は、例えば、顧客の購入する商品の会計処理専用の装置であり、登録装置3から送信された商品情報等を用いて、店員もしくは顧客自らの精算操作によって会計処理が行われる。
【0028】
-POS端末の表示制御-
本実施形態のPOS端末1は、店員用表示部122に商品登録のための商品登録画面等を表示する。店員は、店員用表示部122に表示された商品登録画面のプリセットキー等の操作部を操作することで、顧客が購入する商品の登録処理を実行することができる。
【0029】
POS端末1は、顧客用表示部121に販売促進のための広告を表示したり、顧客自らの操作で会計処理を行うための精算画面等を表示したりする。顧客は、顧客用表示部121に表示された精算画面を自ら操作することで購入した商品の会計処理を実行することができる。
【0030】
店員用表示部122に表示される商品登録画面800の一例を図4に示す。
本実施形態の商品登録画面800は、キー領域810と、商品リスト領域820と、テンキー領域830を有している。
キー領域810は、登録する商品を選択する際に使用するプリセットキー(操作部)を配置した第1エリア810aと、店員による精算の処理を行う際のプリセットキー(操作部)を配置した第2エリア810bと、その以外のキー(操作部)を配置した第3エリア810cを有している。
【0031】
店員は、第2エリア810bに配置されたプリセットキー(操作部)のいずれかを操作(タッチ)することで、POS端末1は、第1エリア810aにプリセットキーに応じた精算処理用の表示を行い、精算処理時のトラブルを回避するために必要な操作を行うことができる。
なお、第2エリア810bに配置されたプリセットキーは店員がトラブル処理時に操作することがある中で優先度の高いプリセットキーを表示している。
【0032】
第3エリア810cには、第1エリア810a及び第2エリア810bに配置されたキー以外のキー(操作部)が配置されている。例えば、POS端末1は、第3エリア810cに開店前に実行する営業日の設定処理を行うための営業日設定キー、釣銭準備金の設定処理を行うための釣銭準備キー等を配置する。
POS端末1は、店員が営業日設定キーもしくは釣銭準備キーを操作することで、店員用表示部122の全体もしくは一部に営業日設定処理のための画面もしくは銭準備処理のための画面を表示する。
なお、POS端末1は、店員が営業日設定キーもしくは釣銭準備キーを操作することで、店員用表示部122の第1エリア810aに営業日設定処理のための画面もしくは銭準備処理のための画面を表示してもよい。
【0033】
図4に示された実施形態の商品登録画面800は、第1エリア810aに丼の商品群に含まれる商品のプリセットキーが表示されている例である。なお、第1エリア810aに表示される商品のプリセットキーは、適宜の方法で変更することができる。
そして、店員によって第1エリア810aに表示された親子丼(大)と天津丼のプリセットキーが操作されており、商品リスト領域820には、登録した商品が表示されている。
【0034】
以上のように、店員用表示部122に表示される商品登録画面800の第1エリア810aは、店員にとって操作頻度の高い表示領域であり、日々の使用によってその表示形態に慣れ、日々の業務をスムーズにこなすことができる。
また、店員が商品の登録精算処理を行う上で必要最低限表示する必要がある操作部を集めた表示領域でもある。従って、表示領域内の操作部だけで登録精算処理を完了することができる。
【0035】
ここで、近年、顧客自らが商品登録処理もしくは会計処理を行うことのできるセルフ会計が進み、POS端末1の利用形態が多様化している。例えば、POS端末1の顧客用表示部121を利用してPOS端末1をセルフPOS端末として使用したり、顧客用表示部121を利用した精算装置として使用したりすることがある。
【0036】
そのような状況下、顧客が店員を呼んで店員に顧客用表示部121を操作してもらい処理を進める場合がある。
例えば、顧客がセルフ精算を行おうとしているときに頼んでいない(購入する予定のない)商品が入っている場合(ケース1)、クレジットなどで精算するつもりで処理していたが途中で精算方法を変更する場合(ケース2)、精算途中で割引券やクーポン券があるのを思い出した場合(ケース3)、釣銭が詰まって顧客が対応できない場合(ケース4)、メンテナンスなどで顧客用表示部121を使用する方が行いやすい場合(ケース5)などには、店員が顧客用表示部121を操作して処理を行うことがある。
なお、店員が顧客用表示部121を操作するケースは、上記ケースに限定されるものではない。
【0037】
しかし、顧客用表示部121と店員用表示部122は寸法や縦横比が異なるので、店員の使い慣れた店員用表示部122に表示された内容をそのまま顧客用表示部121に表示することができず、店員は、顧客用表示部121に表示された普段とは異なる表示形態の画面に戸惑い、スムーズな操作ができない可能性がある。
【0038】
本実施形態のPOS端末1は、店員用表示部122における店員の操作頻度の高い表示領域等の特定の表示領域を寸法や縦横比の異なる顧客用表示部121においても同じ表示形態で表示することで、店員による顧客用表示部121の操作性を向上させるものである。
以下、具体的に説明する。
【0039】
本実施形態のPOS端末1の店員用表示部122は、図4に示すように、縦寸法y1及び横寸法x1を有しており、商品登録画面800には、複数の表示領域(エリア)が配置されている。
各表示領域は、表示領域ごとに配置される位置や表示する寸法が設定されており、第1エリア810aは縦寸法y、横寸法xで商品登録画面800の中央位置に配置され、第2エリア810bは第1エリア810aの右側に配置され、第3エリア810cは第1エリア810a及び第2エリア810bの上方位置に配置されるように設定されている。
さらに、商品リスト領域820及びテンキー領域830は第1エリア810a及び第3エリア810cの左側に配置されるように設定されている。
【0040】
なお、領域の配置の設定は、上記以外に別のパターンとして設定もできる。例えば、第3エリア810cを第1エリア810a及び第2エリア810bの下方位置に配置されるように設定することもできる。
【0041】
これに対して顧客用表示部121は、店員用表示部122よりも小さい寸法の縦寸法y2(<y1)及び横寸法x2(≦x1)であることから、店員用表示部122に表示される商品登録画面(店員の操作画面)800をそのまま表示することができない。
そこで、本実施形態のPOS端末1は、顧客用表示部121を店員が操作する際には、図5に示すように、商品登録画面(操作画面)における店員の操作頻度の高い第1エリア810a(特定の表示領域)について、その表示形態を変更することなくそのまま表示するように構成されている。
【0042】
なお、本実施形態のPOS端末1での表示形態を変更することなくそのまま表示するとは、例えば、第1エリア810aの縦横寸法x,yを変更することなく同じ寸法で表示するとともに、第1エリア810aに表示されるプリセットキー(操作部)の大きさ及び配列を変更することなく表示することを意味する。さらに、プリセットキーの内容を示すフォント等についても変更することなく同じフォントで表示してもよい。
【0043】
POS端末1の顧客用表示部121に表示される店員の操作画面の例を図5に示す。
本実施形態の顧客用表示部121の操作画面900において、各表示領域(エリア)は、表示領域ごとに、配置される位置や表示する寸法が設定されており、最も操作頻度の高い第1エリア810aについては、顧客用表示部121の中央に表示形態を変えることなく配置し、第2エリア810bを第1エリア810aの右側でかつ上方のエリアに上下に縮小して新たな第2エリア910bとして配置している。
【0044】
そして、第3エリア810cは表示することなく第2エリア910bに「次へ」キー910cを配置して、店員が「次へ」キー910cを操作することで第2エリア910bもしくは第1エリア810aに表示するようにしている。
また、商品リスト領域820の下方位置に配置されていたテンキー領域830を第2エリア810bの下方位置に配置して新たなテンキー領域930として表示して、十分な商品リスト領域920を確保している。
【0045】
以上のように、画面寸法の小さい顧客用表示部121において、特定の表示領域(操作頻度の高い第1エリア810a)をその表示形態を変更することなくそのまま表示することで、店員が戸惑うことなくスムーズな画面操作を実行することができる。
【0046】
-表示領域の設定-
以上の店員用表示部122に配置される各表示領域(エリア)の顧客用表示部121における配置は、店員用表示部122に配置される各表示領域の設定と同様に、表示領域毎に設定すればよく、店員の設定操作によって設定手段(CPU101)が実行する。なお、設定された情報は、テーブルなどにしてRAM等に記憶しておけばよい。
【0047】
例えば、本実施形態のPOS端末1の店員用表示部122の各表示領域を顧客用表示部121に表示する場合においては、最も操作頻度の高い第1エリア810aについて、表示位置として中央位置が設定され、店員用表示部122に表示される寸法に対する倍率100%(表示形態を変更しない領域)の寸法が設定されている。
なお、表示領域の縦横寸法が店員用表示部122における寸法と同じ数値で直接設定されていてもよい。
【0048】
また、第2エリア810bについて、顧客用表示部121に表示される操作画面おける表示位置として右上位置が設定され、店員用表示部122に表示される寸法に対する倍率として垂直方向60%が設定されている。
【0049】
同様に、商品リスト領域820について、顧客用表示部121に表示される操作画面おける表示位置として左位置が設定され、店員用表示部122に表示される寸法に対する倍率110%が設定されており、テンキー領域830について、表示位置として右下位置が設定され、店員用表示部122に表示される寸法に対する倍率40%が設定されている。
【0050】
さらに、第3エリア810cについて、顧客用表示部121に表示される操作画面おける表示位置として右位置が設定され、店員用表示部122に表示される寸法に対する倍率0%が設定されることで、一つの操作キー(例えば、「次へ」キー910c)として表示されるように設定され、「次へ」キー910cの操作によっていずれかの表示領域に表示されるように設定されている。
以上のように、各表示領域について、顧客用表示部121に表示する際の表示位置および店員用表示部122に表示される寸法に対する倍率(もしくは寸法)を設定しておくことで、顧客用表示部121への表示指示がなされた場合に設定された情報に基づいて表示することができる。
【0051】
また、POS端末1は、店員用表示部122に表示される各表示領域に予め優先度を設定しておくことで、優先度が最も高く設定された特定の表示領域(第1エリア810a)について表示形態を変えることなく表示するとともに、その他の各表示領域については優先度に応じて画面の寸法、形状を自動的に決定して顧客用表示部121に割り振りして表示するようにしてもよい。
その他、各表示領域の顧客用表示部121における表示の設定は、どのように実行してもよい。
【0052】
-特定の表示領域の制限-
次に、店員用表示部に表示される表示領域の制限について説明する。
本実施形態のPOS端末1は、店員用表示部122が縦寸法y1、横寸法x1の15インチ画面であり、顧客用表示部121が縦寸法y2、横寸法x2の横長10インチ画面であることから、顧客用表示部121には、縦寸法y2以上もしくは横寸法x2以上のエリアを配置することはできない。
【0053】
そこで、本実施形態のPOS端末1は、店員用表示部122に表示される商品登録画面800に配置される特定の表示領域(第1エリア810a)の縦横寸法について、縦寸法がy2以上もしくは横寸法がx2以上に設定できないように制限している。
例えば、POS端末1の店員用表示部122に表示する商品登録画面800の表示領域の設定を行う際に、顧客用表示部121の寸法以上の表示領域が設定された場合に、制限手段(CPU101)はその設定を無効とするように制御してもよい。
また、表示領域設定時にエラーの報知として設定できないメッセージを表示したり報知音を出したりしてもいい。
【0054】
-他の実施形態-
上記実施形態においては、店員用表示部122と顧客用表示部121を有するPOS端末1の例をあげて説明しているが、店員用表示部と顧客用表示部は同一の装置に設けられているものでなくてもよい。
【0055】
例えば、複数の装置をネットワークで接続してなる商品販売データ処理システムの精算装置の表示部に店員が操作する操作画面900を表示できるようにしてもよく、操作画面900を表示する表示部を備えた装置は限定されない。
なお、上記のように商品登録データ処理システムが複数の装置によって構成されている場合には、特定の表示領域の制限について、システムを構成する各装置の表示部の寸法以上の表示領域が設定できないように制限されてもよい。
【0056】
また、特定の表示領域を含む画面は、商品登録画面に限定されない。
例えば、登録装置、精算装置等のメンテナンス画面や設定画面等でもよい。
メンテナンス画面や設定画面等の一部の領域を特定の表示領域として設定して、いずれの表示部に表示する際にも表示形態を異ならせることなく表示するようにしてもよい。
【0057】
さらに言えば、顧客用表示部121においても同一の表示形態で表示される特定の表示領域は、操作頻度の最も高い表示領域でなくてもよい。店員が、常に同じ表示形態での表示を希望する表示領域について表示形態を変更しない特定の表示領域として設定してもよい。
すなわち、店員用表示部122に表示される操作画面に表示される複数の表示領域のうち特定の表示領域について、商品販売データ処理システムにおけるいずれの表示部においても同一の表示形態で表示するようにしてもよい。
【0058】
また、顧客用表示部121に対して、店員が操作する操作画面を表示する方法は何ら限定されない。例えば、精算画面が表示されている顧客用表示部121の適宜領域を適当数(例えば3回)タッチすることで、従業員ID及びパスワードの入力画面を表示して、店員が従業員ID及びパスワードを入力することで顧客用表示部121に店員の操作画面900を表示するようにしてもよい。
【0059】
また、同一の表示形態で表示される特定の表示領域以外の領域については、領域内に配置された操作部ごとに顧客用表示部121において配置される表示位置及び倍率を設定してもよい。
例えば、店員用表示部122においては、第3エリア810cに配置されているキー(操作部)を顧客用表示部121においては、第2エリア910bに配置するようにしてもよい。
【0060】
また、表示する画面が小さく、画面全体を使用しても所定の表示領域が表示できない場合などには、表示する表示領域に配置される操作部(キー)の大きさと配列を変更することなく、スクロールすることで全体が表示できるようにしてもよい。
【0061】
また、店員が顧客用表示部121を操作して処理する内容によって、特定の表示領域の表示形態を同一の表示形態とするか否かを決定してもよい。
例えば、店員が顧客用表示部121を操作する場合の例を上述しているが、上記ケース1ないしケース3の場合には、POS端末1は、図5に示すように、顧客用表示部121に特定の表示領域(第1エリア810a)を同一の表示形態で表示した操作画面900を表示するようにしてもよい。
【0062】
店員は、顧客用表示部121の第2エリア910bに表示される会計前レジミスキー等のキー及び第1エリア810aに表示されるプリセットキーを使用して、顧客が購入する商品情報の修正処理を行うことができる。
【0063】
一方、上記ケース4およびケース5の場合には、商品情報の修正処理等を行わず商品群のプリセットキーは必要ないので、特定の表示領域(第1エリア810a)を同一の表示形態で表示することなく、釣銭詰まりなどのエラー処理のための画面もしくはメンテナンスのための画面を表示するようにしてもよい。
【0064】
なお、顧客用表示部121において、特定の表示領域を同一の表示形態で表示するか否かは、店員が顧客用表示部121に操作画面を表示する際に決定するようにしてもよい。
例えば、店員が顧客用表示部121に操作画面を表示するために従業員ID及びパスワードの入力画面に従業員ID及びパスワードを入力した後に、表示する操作画面を選択できるようにしてもよい。
【0065】
また、店員が従業員ID及びパスワードの入力画面に従業員ID及びパスワードを入力した後に、一旦、図5に示す操作画面900を表示して、操作画面900の「次へ」キー910cを操作することで、メンテナンス画面に切り替えるための操作キーを表示するようにしてもよい。
その他、特定の表示領域の表示形態を同一の表示形態とするか否かの判断は、どのように行われてもよい。
【0066】
商品販売データ処理システムが実行する各処理は、ネットワークによって接続されるどの装置によって行われてもよい。
例えば、商品登録処理、精算処理等の各処理を管理装置(クラウドサーバ等)2や他のクラウドサーバ等で行い、POS端末は、スキャナやタッチパネル等から入力される入力情報を管理装置2に送信し、管理装置2から送信される画像情報を表示画面に表示する端末として、データ処理システムを構築してもよい。
【0067】
以上の実施形態は,請求項に記載された発明を限定するものではなく,例示として取り扱われることは言うまでもない。
【0068】
-実施形態のデータ処理システムの効果-
従来、店員側と顧客側に表示画面を有するPOS端末などの商品販売データ処理装置が知られている。
レストラン等の飲食店に配置された店員側と顧客側に表示画面を有するPOS端末は、商品の精算時に店員側の表示部において商品の登録処理を行っている間に顧客側の表示部に商品や店舗の広告を表示することで販売促進を行うことができる。
【0069】
上記のような店員側と顧客側に表示画面を有するPOS端末は、顧客側の表示画面においても商品登録処理等を可能とすることで、POS端末の使用形態を多様化させることができ、また、作業性を向上させることができる。
【0070】
本実施形態の商品販売データ処理システムによれば、商品販売処理システムを構成する各装置において、所定の表示領域を同一の表示形態で表示することができ、店員は、顧客用表示部においても使い慣れた操作画面での操作を行うことができ、商品登録操作、設定操作やメンテナンス操作をスムーズにして効率化を図ることができる。
【符号の説明】
【0071】
1 :POS端末
121 :顧客用表示部(第2表示部)
122 :店員用表示部(第1表示部)
800 :商品登録画面
810a :第1エリア(表示領域)
810b :第2エリア(表示領域)
810c :第3エリア(表示領域)
900 :操作画面

図1
図2
図3
図4
図5