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特許7619604計量装置、計量ラベルプリンタ、及び価格算出方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-14
(45)【発行日】2025-01-22
(54)【発明の名称】計量装置、計量ラベルプリンタ、及び価格算出方法
(51)【国際特許分類】
   G01G 19/414 20060101AFI20250115BHJP
   G01G 21/28 20060101ALI20250115BHJP
   G06Q 30/06 20230101ALI20250115BHJP
   G01G 23/42 20060101ALI20250115BHJP
   G01G 17/00 20060101ALI20250115BHJP
   G01G 23/36 20060101ALI20250115BHJP
【FI】
G01G19/414 F
G01G21/28
G06Q30/06
G01G23/42 B
G01G17/00 C
G01G23/36 K
G01G23/36 J
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020201025
(22)【出願日】2020-12-03
(65)【公開番号】P2022088895
(43)【公開日】2022-06-15
【審査請求日】2023-11-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000145068
【氏名又は名称】株式会社寺岡精工
(74)【代理人】
【識別番号】100103872
【弁理士】
【氏名又は名称】粕川 敏夫
(74)【代理人】
【識別番号】100088856
【弁理士】
【氏名又は名称】石橋 佳之夫
(74)【代理人】
【識別番号】100149456
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 喜幹
(74)【代理人】
【識別番号】100194238
【弁理士】
【氏名又は名称】狩生 咲
(72)【発明者】
【氏名】寺岡 和治
【審査官】榮永 雅夫
(56)【参考文献】
【文献】特開平8-299130(JP,A)
【文献】特開2007-71647(JP,A)
【文献】特開2008-45907(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01G 19/414
G01G 21/28
G06Q 30/06
G01G 23/42
G01G 17/00
G01G 23/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被計量物の重量を計量する計量部と、
前記被計量物の一部又は全部を取る前の被計量物の計量結果に係る第一の計量値から、前記被計量物の一部又は全部を取った後の被計量物の計量結果に係る第二の計量値を差し引き、第三の計量値を算出する第一の算出処理部と、
計量装置を支持する筐体と、を有
前記筐体には、並設される前記計量装置同士を離間させる衝止部が設けられている、
計量装置。
【請求項2】
記被計量物の情報と前記計量部の識別情報とを関連づけて記憶する記憶手段と、
所定の前記計量部によって計量される前記被計量物を特定する特定処理部と、をさらに有する、
請求項に記載の計量装置。
【請求項3】
連続する計量操作において、新たな計量操作の開始時に、前回の計量操作における前記第二の計量値を表示させる第二の表示処理部、をさらに有する、
請求項1又は2に記載の計量装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、任意の量の商品を顧客に提供する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に示すように、商品等の物品を計量して販売するシステムが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実公平6-50740号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、商品を貯留させている装置から、物品を計量して取り出す操作は工程が多くなり、顧客には負担であるし、計量ミスも生じやすい。
【0005】
そこで本発明は、所望量の商品を簡便に提供可能な装置を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る計量装置は、被計量物の重量を計量する計量部と、前記被計量物の一部又は全部を取る前の被計量物の計量結果に係る第一の計量値から、前記被計量物の一部又は全部を取った後の被計量物の計量結果に係る第二の計量値を差し引き、第三の計量値を算出する第一の算出処理部と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の実施形態に係る計量ラベルプリンタを示した外観斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係る計量ラベルプリンタの構造を示した外観斜視図であり、(a)上蓋を閉止している状態、(b)上蓋を開放している状態、を示す。
図3】本発明の実施形態に係る計量ラベルプリンタを構成する計量装置の構造を示した外観斜視図である。
図4】本発明の実施形態に係る計量ラベルプリンタのハードウェア構成を示したブロック図である。
図5】本発明の実施形態に係る計量ラベルプリンタのソフトウェア構成を示したブロック図である。
図6】本発明の実施形態に係る計量ラベルプリンタを構成する商品情報記憶部に記憶されるデータの一例を示した図である。
図7】本発明の実施形態に係る計量ラベルプリンタによって実行される一連の処理の流れを示す処理フロー図である。
図8】本発明の実施形態に係る計量ラベルプリンタによって実行される計量処理の流れを示す処理フロー図である。
図9】本発明の実施形態に係る計量ラベルプリンタを構成する表示部上に表示される待機画面の一例を示す。
図10】本発明の実施形態に係る計量ラベルプリンタを構成する表示部上に表示される画面であって、商品の選択画面の一例を示す。
図11】本発明の実施形態に係る計量ラベルプリンタを構成する表示部上に表示される画面であって、計量値及び販売価格を表示した画面の一例を示す。
図12】本発明の実施形態に係る計量ラベルプリンタによって発行されるラベルの一例を示した図であって、(a)顧客による容器の購入がなかった場合、(b)顧客による容器の購入があった場合、を示す。
図13】本発明の実施形態に係る計量ラベルプリンタのソフトウェア構成を示したブロック図である。
図14】本発明の実施形態に係る計量ラベルプリンタによって実行される一連の処理の流れを示す処理フロー図である。
図15】本発明の実施形態に係る計量ラベルプリンタの構造を示した外観斜視図であり、(a)上蓋を閉止している状態、(b)上蓋を開放している状態、を示す。
図16】本発明の実施形態に係る計量ラベルプリンタのハードウェア構成を示したブロック図である。
図17】本発明の実施形態に係る計量ラベルプリンタのソフトウェア構成を示したブロック図である。
図18】本発明の実施形態に係る計量ラベルプリンタを構成する変位センサの機能を説明するための模式図であり、(a)操作検出部が水平な状態にある様子、(b)操作検出部が所定の角度aだけ傾斜した状態にある様子、(c)操作検出部が所定の角度a+bだけ傾斜した状態にある様子、を示す。
図19】本発明の実施形態に係る計量ラベルプリンタによって実行される一連の処理の流れを示す処理フロー図である。
図20】本発明の実施形態に係る計量ラベルプリンタが配設される筐体の構造を部分的に示した外観斜視図である。
図21】電子棚札のディスプレイに表示される画面の一例であって、(a)販売可能な状態、(b)売り切れ状態、を示す。
図22】本発明の実施形態に係る計量ラベルプリンタの表示タッチパネル上に表示される精算用情報の一例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
●概要
以下、本発明の実施形態に係る計量ラベルプリンタ、及び当該計量ラベルプリンタによる価格算出方法について、図を参照して説明する。
図1に示す本実施形態に係る計量ラベルプリンタ1は、顧客の操作に応じて被計量物たる商品を量り売りするための装置である。
本実施形態では、商品は例えば、ドライフルーツやナッツ、豆類などの食品である。ただし、量り売りするのが好適な商品であれば、これらの商品に限られることはない。また、本実施形態に係る計量ラベルプリンタ1は、このような例に係る食品を商品として顧客に提供する場合に限らず、店舗側で所定量の商品の供給を受ける場合にも使用できる。
【0009】
この計量ラベルプリンタ1は、顧客に対して任意の量の商品を提供する複数の計量装置2で構成された計量ユニットU、及びラベルプリンタ3から構成される。
本実施形態では、図1に示すように、計量装置2は棚状の筐体T内に縦横に並設されており、ラベルプリンタ3は上段に設置されている。複数の計量装置2はいずれも、同様の機能や構造を備えたものであり、顧客に提供する商品の種類ごとに設けられている。
【0010】
計量装置2は、顧客に提供する商品を保持しており、顧客が商品を取り出す前後の重量を計量する。
ラベルプリンタ3は、計量装置2から商品の計量値に係るデータを受け付け、当該データに応じた精算用ラベルを発行する。
【0011】
なお、計量装置2は、ラベルプリンタ3と一対一となるように設けてもよい。
また、本実施形態では、計量装置2とラベルプリンタ3は所定のネットワークを介して通信可能に構成されているが、一体的な装置として構成してもよい。
【0012】
また、店舗内には、計量ラベルプリンタ1によって発行された精算用ラベルに基づいて、商品の決済処理を実行する店舗端末が別途、設置されている。この店舗端末は例えば、店員又は顧客自らが操作するPOS端末であり、店員又は顧客は精算用ラベルに印刷されている商品の販売価格に係る情報を店舗端末に入力し、所定の決済手段に応じた決済操作を実行する。
【0013】
また、計量ラベルプリンタ1には、計量装置2ごとに電子棚札10が取り付けられている。電子棚札10は、計量装置2内の商品の内容等をディスプレイ上に表示する電子デバイスであり、顧客はこの電子棚札10を参照することにより、各計量装置2によって提供を受けることのできる商品を把握することができる。
なお、電子棚札10の構成の一例については後に詳述する。
【0014】
本実施形態に係る価格算出方法では、顧客に対する商品の提供重量と、当該商品の単価に基づいて販売価格(売価)を算出する。ここで、計量ラベルプリンタ1は、顧客に商品を提供する前後で商品の重量を計量しており、顧客に商品を提供する前の計量値と顧客に商品を提供した後の計量値の差分、即ち総重量からの減算した重量を商品の提供重量とみなす。
【実施例1】
【0015】
●計量装置2の構造
図2は、計量装置2の構造の一例を示している。
計量装置2は、商品を内部に貯留させて保持する保持体20と、被計量物たる商品の重量を計量する計量部21のほか、所定の箇所に表示部26と操作部27(図4参照)を有している。
なお、本実施例では図3に示すように、計量部21の上面を構成する載置面21a上に保持体20が載置されており、計量部21は保持体20ごと商品の重量を計量する。ただし、本発明の実施において、計量部21は保持体20と一体的に構成されていてもよい。
【0016】
保持体20は、中空の容器であり、内部に物品を貯留させることができる。この保持体20は、例えば、透明な樹脂材料からなり、外側から商品の種類や貯留量を視認できる。
また、保持体20には、内部の物品を取り出すための開閉自在な上蓋22と、スコップ23を収容する収容部25が設けられているほか、スコップ23を保持体20に連結しておくための連結部24を介して、商品を掬い取るためのスコップ23が取り付けられている。
【0017】
上蓋22は、保持体20の一部を構成しており、保持体20内の商品を取り出したり、保持体20内に商品を詰めたりできるように開閉する。本実施例では、上蓋22は一端側を支点にして上方に跳ね上げられるようになっており、上蓋22を上方に跳ね上げると開口部22aがあらわれ、スコップ23により当該開口部22aから商品を掬い取ることができる。
【0018】
スコップ23は、保持体20内から商品を掬い取るための部材であり、柄の部分には、スコップ23を保持体20に連結するための連結部24が連結している。
【0019】
連結部24は、例えば伸縮自在なカールコードであって、一端がスコップ23に連結すると共に、他端が保持体20に連結している。この連結部24により、スコップ23の紛失等を防ぐことができる。また、連結部24が伸縮することにより、顧客は支障なくスコップ23を扱い、商品を掬い取ることができる。
【0020】
収容部25は、スコップ23を挿し入れることのできる凹部である。この収容部25は上蓋22の上方に設けられており、収容部25にスコップ23を収容させた状態では、スコップ23の柄が外側に突出するようになっている。スコップ23の柄が外側に突出した状態では、スコップ23の柄が上蓋22の開放を妨げ、上蓋22を完全に開放できないようになっている。
なお、本実施例では、保持体20は中空の容器によって構成したが、これにかかわらず、商品を計量部21上に保持することができればよく、例えば、商品を載置可能な皿状のものであってもよい。
【0021】
●計量ラベルプリンタ1のハードウェア構成
計量ラベルプリンタ1は図4に示すように、計量装置2とラベルプリンタ3によって構成され、計量装置2とラベルプリンタ3は、商品の計量と精算用ラベルの発行処理を行うためのハードウェア資源として同図に示す機能部を備える。
【0022】
計量装置2は、情報処理を実行するためのCPU(Central Processing Unit)などの演算装置、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)などの記憶装置、計量部21、表示部26、操作部27、通信部28を備える。
【0023】
この計量装置2は、ロードセルによる重量検出方式により、載置面21a面上の保持体20ごと、当該保持体20内の商品の重量を計量する。
【0024】
ここで、計量装置2において計量を行う計量部21は、重量検出部211及びAD変換機212によって構成される。
重量検出部211はロードセルによって実現され、AD変換機212は、重量検出部211から入力されたアナログ信号をデジタル信号に変換する。デジタル信号への変換においては、重量値を適切に取得できる範囲を設定した上で、0点と最大秤量の値を記録する。デジタルデータに変換された値は、表示部26及びラベルプリンタ3のタッチパネルディスプレイ31上に計量値(重量)として表示される。
【0025】
なお、計量部21は計量装置2と一体的に構成されていてもよいし、専用の通信ケーブルによって接続された別体の機器として構成されていてもよい。
【0026】
表示部26は、各種の情報を表示するディスプレイ等によって実現され、例えば商品の計量値を表示する。
操作部27は、物理キーやタッチパネル等によって実現され、計量装置2の設定等の操作を可能とする。
【0027】
ラベルプリンタ3は、顧客に提供した物品に係る情報を取得し、これに応じて当該顧客に提供した物品を販売するための情報が印刷された精算用ラベルを発行するプリンタ装置である。
このラベルプリンタ3は、タッチパネルディスプレイ31、通信部32を備える。また、ラベルプリンタ3には、精算用ラベルを発行する発行部33が専用ケーブルを介して接続している。
【0028】
タッチパネルディスプレイ31は、顧客に計量結果等の各種情報を表示する表示部を構成するとともに、各種の操作情報を受け付ける操作部を構成する。
【0029】
通信部32は、各端末や装置との接続を実現する一又は複数の通信手段によって実現される。例えば、発行部33との相互接続は、所定の専用ケーブルによって実現される。また、計量装置2との相互接続は、有線又は無線のLANによって実現される。
【0030】
発行部33は、後述する情報処理部207によって生成された印刷データを所定の媒体に印刷して精算用ラベルを生成し、図1に示すラベル発行口3aから当該精算用ラベルを排出する。
なお、精算用ラベルは、紙媒体の所謂レシートであってもよいし、商品を入れる容器等に貼付可能なシールであってもよい。
【0031】
なお、計量ラベルプリンタ1はこのほか、商品の販売態様や適宜の仕様により、スキャナ部や音声出力部などを備えていてもよい。
【0032】
スキャナ部は、各種の情報を光学的に読み取る機能部であり、所定の情報をコード化した一次元又は二次元のコードを読み取る。
これにより、例えば、商品を識別可能な商品識別情報や精算情報を二次元コードにコード化し、コード化された情報を読み取ることで情報を取得できる。
【0033】
音声出力部は、所定の情報を音声により出力する。これにより、例えば、音声ガイダンス等を出力したり、エラー音や操作音を出力したりできる。
【0034】
●計量ラベルプリンタ1のソフトウェア構成
図5に示すように、計量ラベルプリンタ1のソフトウェア資源について、計量装置2は、商品情報記憶部2A、計量情報記憶部2B、抽出処理部201、入出力処理部202、判定処理部203、比較処理部204、報知処理部205、算出処理部206、情報処理部207、及び通信処理部208を備える。
また、ラベルプリンタ3は、入出力処理部301、通信処理部302を備え、通信処理部302は、発行処理部303との通信を確立している。
なお、これらの機能部は、適宜の設計により本実施例とは異なるハードウェア資源に備えさせることができる。
【0035】
商品情報記憶部2Aは、商品の名称や価格などの基本情報を記憶する記憶部であり、被計量物たる商品の情報を記憶する被計量物情報記憶部を構成する。
この商品情報記憶部2Aに記憶されるデータ項目には例えば、図6に示すように、商品識別情報、商品名、計量区分、単価、単位重量が含まれる。
なお、商品情報記憶部2Aに記憶されている情報は、店舗内に設置されている管理装置や店舗外に存在するクラウドサーバ等から受信するものであってもよい。
【0036】
ここで、計量区分は、計量に関する区分である。
計量区分「0」は、「不定貫」に対応する計量区分である。不定貫とは、予め設定した単位重量(本実施形態では「100g」)当りの単価と、販売する重量(計量値)とに基づいて販売価格が決定される販売方法である。計量区分「0(不定貫)」の物品については、販売価格の決定に際し、販売する重量が必要になる。
【0037】
計量区分「0(不定貫)」であるときは、単価欄には、単位重量当りの単価が記憶され、単位重量欄には、単位重量が記憶されている。例えば、商品識別情報「SH001」の商品(物品名「AAA」)の場合、100g当りの単価が250円である旨が記憶されている。従って、物品名「AAA」の物品は、例えば、計量値が50gであれば販売価格は125円となり、計量値が200gであれば販売価格は500円となる。
【0038】
計量区分は「1」は、「定貫」に対応する計量区分である。定貫とは、予め設定した単位数量(本実施形態では「1個」)当りの単価と、単位重量から換算される販売数量とに基づいて販売価格が決定される販売方法である。計量区分「1(定貫)」の商品については、当該商品の単位重量(単位数量である1個の重量。既に記憶)と計量値とから、当該商品の数量を算出(推定)し、算出した当該商品の数量と、単位数量当りの単価とから、販売価格が決定されるため、計量装置2による計量は必要である。
なお、個体の重量誤差はカウンティングスケール等に備えている精度補正機能を用いてもよい。
【0039】
計量区分「1(定貫)」であるときは、単価欄には、単位重量(すなわち数量1)当りの単価が記憶され、単位重量欄には、数量1に相当する単位重量が記憶されている。例えば、商品識別情報「SH103」の商品(商品名「ABC」)の場合、1個(重量80g)当りの単価が90である旨が記憶されている。従って、商品名「ABC」の物品は、例えば、計量値が85g程度であれば販売価格は1個分の90円となり、計量値が150g程度であれば販売価格は2個分の180円となる。
【0040】
計量情報記憶部2Bは、計量部21による商品の計量結果に係る計量値を記憶する記憶部である。
ここで、計量部21による計量値には、保持体20から商品の一部又は全部を取る前の商品の計量結果に係る第一の計量値、保持体20から商品の一部又は全部を取った後の商品の計量結果に係る第二の計量値、及び、第一の計量値から第二の計量値を差し引いた第三の計量値がある。本実施例では少なくとも、連続する計量操作において、一の計量操作の終了時の計測結果たる第二の計量値と、当該一の計量操作に続く計量操作の開始時の計量値たる第一の計量値を比較可能とすべく、第二の計量値を記憶する。
【0041】
抽出処理部201は、所定の処理の実行に必要な情報を各記憶部から抽出する処理を実行する。
この抽出処理部201は例えば、商品識別情報に基づいて、商品情報記憶部2Aを参照して、商品の名称や商品の単価等の商品情報を抽出する。
【0042】
入出力処理部202は、各種のデータを表示部26上に表示させたり、操作部27により各種のデータの入力を受け付けたりする。
この入出力処理部202は本実施例において、例えば、商品の名称等の商品情報と共に、第一の計量値、第二の計量値、及び第三の計量値に係る情報、これら第一乃至第三の計量値それぞれに応じた商品の販売価格を表示部26上に表示させる。
【0043】
判定処理部203は、計量部21によって計測している商品の重量値が安定したか否かを判定する。例えば、所定の微小時間において、計量部21によって計測している商品の重量値が所定の閾値に収まる値を示した場合に、重量値が安定したものと判別し、これにより当該重量値が商品の計量値とみなされる。
【0044】
比較処理部204は、連続する計量操作において、新たな計量操作の開始時に計量情報記憶部2Bを参照して、今回の計量操作における第一の計量値と、前回の計量操作における第二の計量値とを比較する。
通常、前回の計量操作における第二の計量値は、今回の計量操作における第一の計量値と一致するか、あるいは微小なずれの範囲に収まっているはずである。比較処理部204は、この微小なずれとして許容できる値を所定の閾値としてもっておき、前回の計量操作における第二の計量値と、今回の計量操作における第一の計量値とを比較し、その差分が当該所定の閾値を超えるか否かを判別する。その結果、差分が所定の閾値を超える場合には、何かしら不適切な操作やアクシデント等が介在したものと推測できる。
【0045】
報知処理部205は、比較処理部204による処理の結果、前回の計量操作における第二の計量値と、今回の計量操作における第一の計量値との差分が所定の閾値を超える場合にエラーを報知する。エラーの報知は例えば、表示部26上にエラーを報知する表示を出したり、別途設けた警告灯等を点灯させたりするなどする。また、エラーを管理者が使用する管理者端末等に通知したり、計量操作を中断させたりしてもよい。また、エラーの情報をラベルプリンタ3に送信し、ラベルプリンタ3上においてエラーを報知させるようにすることもできる。
【0046】
算出処理部206は、保持体20から商品の一部又は全部を取る前の商品の計量結果に係る第一の計量値から、保持体20から商品の一部又は全部を取った後の商品の計量結果に係る第二の計量値を差し引き、第三の計量値を算出する。ここで、第一の計量値と第二の計量値は、顧客に商品を提供した前後における、保持体20と商品の重量値であり、この差分である第三の計量値は、顧客に提供した商品の重量とみなすことができる。
【0047】
算出処理部206はまた、商品情報記憶部2Aを参照して、顧客に提供した商品の単価に基づき、第一の計量値、第二の計量値、及び第三の計量値それぞれに応じた商品の販売価格を算出する。このうち、第三の計量値に応じた商品の販売価格が、最終的に顧客に提示される、商品の販売価格となる。
なお、商品の提供に際して顧客が容器を購入した場合には、販売価格の算出において当該容器の購入費用を含める。
【0048】
情報処理部207は、精算用ラベルに印刷する内容に係る印刷情報を生成する。精算用ラベルに印刷される情報には少なくとも、顧客に提供した商品の販売価格に係る情報が含まれるほか、商品情報記憶部2Aに記憶されている商品の名称等の情報、計量部21による商品の計量結果に係る情報等が適宜に含まれる。
この情報処理部207によって生成された印刷情報はラベルプリンタ3に送信され、発行処理部303に供給される。
なお、商品の販売価格に係る情報は例えば、一次元あるいは二次元のコードにコード化してもよい。
【0049】
通信処理部208は、通信部28によりラベルプリンタ3とのデータ通信を実行し、例えば、計量部21による計量結果に係る情報を送信できる。
【0050】
なお、計量装置2は、上述した機能部のほか、第一乃至第三の計量値を一時的に格納する一時記憶領域や、表示部26に操作可能に表示するボタンに関するボタン設定ファイルなどを適宜に備える。
【0051】
また、計量装置2は、計時機能を備えていてもよい。計時機能を備える計量装置2は例えば、現在時刻や、ある時間までの残時間、ある状態となってからの経過時間等を管理可能である。また、この計時機能によって取得される情報は、ラベルプリンタ3に対して供給してもよい。
【0052】
また、計量装置2は、上位の装置等とデータの送受信を実行する通信処理部を有し、例えば、有線又は無線LAN(Local Area Network)、Bluetooth(登録商標)によるデータ通信を実現するようになっていてもよい。さらに、インターネット等のネットワークに接続し、外部のサーバとのデータ通信を可能とする機能を備えていてもよい。
【0053】
入出力処理部301は、タッチパネルディスプレイ31を制御して、各種の情報の入力及び出力を実行する。
通信処理部302は、発行処理部303とのデータの送受信、及び計量装置2とデータの送受信を実行する。
なお、ラベルプリンタ3はさらに、上位の装置等とデータの送受信を実行する通信処理部を有し、例えば、有線又は無線LAN(Local Area Network)、Bluetooth(登録商標)によるデータ通信を実現するようになっていてもよい。
【0054】
発行処理部303は、発行部33を制御して、情報処理部207によって生成された印刷情報を所定の媒体に印刷させ、精算用ラベルを発行させる。
【0055】
●処理の流れ
以下、本実施例に係る計量ラベルプリンタ1により、顧客が商品の提供を受ける際に実行される処理の流れについて図7及び図8を参照して説明する。
なお、計量ラベルプリンタ1を構成する計量装置2とラベルプリンタ3は、相互に通信可能に構成されており、顧客に対する情報の表示及び顧客からの情報の入力は、計量装置2とラベルプリンタ3のどちらからでも可能となるように構成できる。以下の例では、顧客が計量装置2を操作して商品の提供を受ける場合を説明するが、他の例においては、顧客がラベルプリンタ3を操作して商品の提供を受けることもできる。
【0056】
なお、顧客が必要とする場合には、顧客が商品を入れる容器を購入し、購入に係る情報を操作部27やタッチパネルディスプレイ31から登録できるようになっていてもよい。この場合には例えば、表示部26やタッチパネルディスプレイ31において、店舗が販売用に用意している複数サイズの容器が指定可能に表示され、これに基づいて顧客が容器を選択すると、当該選択された容器が購入品として登録される。商品の精算時に当該容器の価格が販売価格に加算される。
また、容器の選択は、顧客が商品を取り出した後に行うようになっていてもよい。例えば、顧客が所定の計量装置2から商品を取り出し、表示部26やタッチパネルディスプレイ31上に商品の計量結果が表示された後、容器の選択画面を展開し、顧客から容器の選択を受け付けてもよい。
【0057】
まず、計量ラベルプリンタ1は、図9に示される待機画面を表示部26に表示し、顧客による操作を受け付け可能に待機している。
顧客は、待機画面に表示されている「商品を載せるか、画面タッチでスタート」というメッセージに従って操作を開始し、操作部27により、所望の商品の商品識別情報をコード化した商品コードを入力する。計量装置2はこれに応じて、当該商品コードの入力を受け付ける(S101)。
なお、商品コードの入力は、顧客が商品を指定あるいは選択するための一例であり、商品に対応するバーコードを所定のスキャナによって読み取らせて商品を指定又は選択したり、表示部26上に表示された商品ごとのプリセットキーの押下によって商品を指定又は選択したりしてもよい。また、計量装置2に貼付されているICタグを所定のリーダで読み取ったり、商品そのものや所定の識別マークをカメラで撮像した上、画像認識をしたりすることにより、商品が特定されるようになっていてもよい。
【0058】
図10は、表示部26上に表示される、商品の選択画面の一例を示している。
この選択画面には、上部に計量値、単位重量、金額を表示する領域が設けられている。また、選択画面の下部には、仮想キーボード、仮想テンキーが表示されている。商品選択画面の中央部には、商品ボタンを表示する領域(商品ボタン領域)が設けられている。
【0059】
また、選択画面において、ボタン領域に表示される商品ボタンは、タブによって切り替え可能である。タブ「FRUIT」、「VEG(Vegetables)」、「は、夫々の商品に関するタブである。タブ「FRUIT」が選択された場合、商品ボタン領域には、図10に示すように、フルーツ類に含まれる全商品の商品ボタンが一覧表示される。タブ「Veg」が選択された場合についても同様である。
【0060】
これに続いて、顧客は、所望の商品が貯留されている計量装置2から所望の量の商品を取る。
このような顧客による操作と並行して、計量装置2では、商品の重量を計量している。
【0061】
ここで、商品の重量の計量について、図8を参照して説明する。
なお、以下に説明する計量の処理と並行して、計量値に係る情報や計量値に基づいて算出される販売価格に係る情報は表示部26やタッチパネルディスプレイ31に表示される。
まず、待機状態から計量部21において重量の変化が検出されると(S111)、判定処理部203は、計量部21によって計量された商品の重量値が安定しているか否かを判別し(S112)、重量値が安定すると、当該重量値が第一の計量値として取得され、一時記憶領域に格納される(S113)。
【0062】
比較処理部204は、計量情報記憶部2Bを参照して、今回の計量操作における第一の計量値と、前回の計量操作における第二の計量値とを比較する(S114)。
その結果、前回の計量操作における第二の計量値と、今回の計量操作における第一の計量値との差分が所定の閾値を超える場合には、エラー処理が実行される(S115)。エラー処理は例えば、報知処理部205により、顧客に対して「容器(保持体20)から手を離してください」といったメッセージを出し、数秒程度、重量安定をまって再比較を行う。これによってもエラーが解消しない場合には例えば、店員にエラー状態を報知し、店員によって計量ラベルプリンタ1の確認等が行われる。
一方、前回の計量操作における第二の計量値と、今回の計量操作における第一の計量値との差分が所定の閾値を超えなかった場合には、そのまま処理が続行する。
【0063】
なお、比較処理部204による処理結果にかかわらず、新たな計量操作の開始時や第一の計量値の取得時において、表示部26に前回の第二の計量値に係る情報を表示するようにしてもよい。
【0064】
顧客が、所望の商品が収められた計量装置2から商品を取り出し、容器等に移すと(S116)、判定処理部203が改めて、計量部21によって計量された商品の重量値が安定しているか否かを判別する(S117)。重量値が安定し、第一の計量値と異なる計量値が得られると、当該計量値が第二の計量値として取得され、一時記憶領域に格納される(S118)。
算出処理部206は、一時記憶領域に格納されている第一の計量値と第二の計量値に基づき、第一の計量値から第二の計量値を差し引き、顧客が提供を受けた商品の重量に係る第三の計量値を算出する(S119)
【0065】
顧客は、所望の量の商品が得られた場合には、表示部26上から、その旨を示す確定ボタン等を押下するなどする一方(S120)、所望の量に至っていない場合には、再び、計量装置2から商品を取り出す。商品が再び取り出されると、重量の計測が行われ、当該計測結果は第二の計量値として更新される。表示部26上には、常に商品の計量値と販売価格が表示されるため、顧客は表示部26上で商品の計量値や販売価格を確認しながら購入する商品の量を加減できる。
【0066】
計量ラベルプリンタ1では、このような商品の重量の計量と並行して、図7に示すように、抽出処理部201が商品情報記憶部2Aを参照して、顧客が選択した商品の商品情報を抽出する(S102)。
算出処理部206は、商品情報に含まれる商品の単価に基づき、第一乃至第三の計量値それぞれに応じた商品の販売価格を算出する(S103)。
なお、商品の販売価格の算出においては、別途、容器の購入があった場合には、当該容器の価格を売価に含めるように計算してもよい。
【0067】
ここで、算出処理部206によって算出された商品の販売価格は、入出力処理部202により、第一の計量値、第二の計量値、第三の計量値、及び商品の名称等の情報と共に、表示部26上に表示されている。
ここで、表示部26上に表示される画面の一例を図11に示す。
画面上には、第三の計量値に基づいた情報を示す情報表示欄G11、第一の計量値に基づいた情報を示す情報表示欄G12、第二の計量値に基づいた情報を示す情報表示欄G13、商品の購入を取り止めるための取消ボタンG14、計量を確定し、精算用ラベルの発行を要求する発行ボタンG15が設けられている。
【0068】
情報表示欄G11には、第三の計量値に応じた情報として、商品の品番、風袋重量、顧客に提供された商品の重量値たる第三の計量値、商品の100g当たりの単価、第三の計量値に基づいた値段が表示されている。
情報表示欄G12には、第一の計量値に応じた情報として、商品の品番、風袋重量、顧客に商品を提供する前の商品の重量値たる第一の計量値、単価、第一の計量値に基づいた値段が表示されている。
情報表示欄G13には、第二の計量値に応じた情報として、商品の品番、風袋重量、顧客に商品を提供した後の商品の重量値たる第二の計量値、単価、第二の計量値に基づいた値段が表示されている。
顧客はこれらの情報表示欄G11、G12、G13を参照することにより、自らが取り出した商品の重量と共に、当該重量に応じた商品の販売価格を把握できる。
なお、この画面において商品の重量として表示されている数値は、少なくとも10mm以上のサイズで表示され、計量法等の要請に合致し、視認容易なものとなっている。
【0069】
顧客は情報表示欄G11、G12、G13を確認し、問題がなければ発行ボタンG15を押下して精算用ラベルの発行を受ける。一方、商品の購入を取り止める場合には、取消ボタンG14を押下する。
【0070】
図7に戻り、計量ラベルプリンタ1は顧客による確定操作に応じて、情報処理部207により精算用ラベルに印刷する内容に係る印刷情報を生成する(S106)。発行処理部303は発行部33を制御して、当該印刷情報に基づいた精算用ラベルを発行させる(S107)。
なお、計量の確定操作は、顧客が能動的に確定キー等を押下するものに限らず、計量後に一定時間、無操作状態が経過したことをもって確定したものとみなすものであってもよい。
【0071】
ここで、発行部33により発行された精算用ラベルの一例を図12に示す。
図12(a)は、顧客が容器を購入しない場合に発行される精算用ラベルの一例を示している。図12(a)の精算用ラベル上の90円は、単価(円/100g)98円の(ドライフルーツミックス)の正味量(92g)分の金額である。
また、精算用ラベルには、提供された商品の量として第三の計量値がNETとして表示されているほか、計量前の計量値である第一の計量値、計量後の計量値である第二の計量値が表示されている。
なお、図12(a)の例では印刷していないが、顧客が容器を購入しない旨、あるいは顧客が自ら持参した容器を使用する旨の表記を印刷してもよい。また、顧客が容器を購入しない、あるいは顧客が自ら持参した容器を使用する場合に、所定の割引を設定し、当該所定の割引の金額を印刷してもよい。
また、図12(a)の精算用ラベル上のバーコードは、例えば、上記金額(90円)をコード化したものである。
【0072】
図12(b)は、顧客が店舗から容器を購入した場合に発行される精算用ラベルの一例である。図12(b)の精算用ラベルには、店舗から購入した容器の表記として、「容器A」が印刷されている。本例では、容器Aの価格は、30円であるため、30円と印刷されている。図12(b)の精算用ラベル上の120円は、図12(a)にて説明した90円に容器A分の価格30円を加算した金額である。図12(b)の精算用ラベル上のバーコードは、例えば、上記金額(120円)をコード化したものである。
【0073】
なお、本例にかかわらず、精算用ラベルには、第一乃至第三の計量値それぞれに応じた商品の販売価格に係る情報等を印刷してもよい。
また、精算用ラベルにおいて商品の重量として表示されている数値は、少なくとも2mm以上のサイズで表示され、計量法等の要請に合致し、視認容易なものとなっている。
【0074】
顧客は、ラベル発行口3aより排出された精算用ラベルを受け取ると、当該精算用ラベルを店員に渡し、店員は店舗端末により決済処理を実行する。
なお、決済処理は、顧客自らが店舗決済で行えるようになっていてもよく、どのような態様で行われてもよい。
また、顧客による精算用ラベルの取り忘れを防ぐために、取り忘れを防止するためのセンサを取り付け、取り忘れを報知してもよい。
また、計量ラベルプリンタ1は、顧客による商品の計量操作が開始した後、無操作状態で一定時間が経過すると、顧客による操作が終了したものとして、精算用ラベルの発行以降の処理を行うこともできる。
さらに、精算用ラベルの発行と共に、あるいは精算用ラベルの発行に代えて、精算に必要な情報をコード化したQRコード(登録商標)を表示部26上に表示し、これを顧客が所持するスマートフォン等のスマートデバイスに読み取らせたり、短距離無線通信により、顧客が所持するスマートフォン等のスマートデバイスに転送したりしてもよい。このような態様は、スマートデバイス上での精算を可能とするシステムが運用されている場合に有用である。
【0075】
計量ラベルプリンタ1は、一連の計量操作の終了に応じて、第二の計量値を計量情報記憶部2Bに記憶し(S108)、次の計量操作を受付可能に待機する。
【0076】
以上の本実施例に係る計量ラベルプリンタ1によれば、商品の提供前後における差分を商品の提供重量とするため、風袋引きの操作が必要なく、顧客にかかる操作の負担が少なくて済む。その結果、商品を顧客に提供するのに要する時間も短くなり、順番待ちも生じにくい。また、操作負担が少ない分、操作に起因した計量ミスを減らすことができる。
【実施例2】
【0077】
●計量ラベルプリンタ4の構成
図13は、実施例2に係る計量ラベルプリンタ4のソフトウェア構成を示している。
本実施例に係る計量ラベルプリンタ4は、計量装置5により顧客の操作に応じて重量変化を検出し、顧客に商品を提供する計量装置5、さらには当該計量装置5によって提供される商品を特定する。
なお、以下の説明においては、特段の記述がない限り、上述した機能部や処理等に付した符号と同一の符号が付された機能部や処理等については、上述した機能部や処理等と同様に構成されるものとし、説明を省略する。
【0078】
計量ラベルプリンタ4は、上述した実施例1に係る計量ラベルプリンタ1と同様の構造及びハードウェア構成を備えている。一方、そのソフトウェア構成について、計量装置5は、上述した入出力処理部202と通信処理部208のほか、識別情報記憶部5Aと検出処理部501を備える。また、ラベルプリンタ6は、上述した計量装置2が備えた商品情報記憶部2A、計量情報記憶部2B、抽出処理部201、判定処理部203、比較処理部204、報知処理部205、算出処理部206、情報処理部207、上述した通信処理部302のほか、設定情報記憶部6Aと特定処理部601を備える。また、通信処理部302は、発行処理部303に接続している。
【0079】
なお、本実施形態では、複数の計量装置5が中継器41を介してラベルプリンタ6に接続している。中継器41は、所謂ジャンクションボックスであり、複数の計量装置5につながれた専用の通信ケーブルを集約してラベルプリンタ6に接続する。
【0080】
本実施例において、計量装置5が備える計量部21は、重量変化を検出する重量センサとしても機能する。
【0081】
識別情報記憶部5Aは、計量装置5を識別可能な装置識別情報を記憶する。この装置識別情報は、計量装置5ごとにユニークな情報であり、かかる装置識別情報により、計量ユニットUが備える複数の計量装置5から、所定の計量装置5が一意に特定される。
なお、装置識別情報は、所定の計量装置5を識別可能な情報であればよく、例えば、AD変換機212を識別可能な変換機識別情報によって構成することもできる。また、装置識別情報は、計量部21を識別可能として構成されていてもよい。
また識別情報記憶部5Aは中継器41が備え、当該中継器41がラベルプリンタ6に装置識別情報を送信するようになっていてもよい。
【0082】
検出処理部501は、計量部21から提供される計量値に基づき、所定の閾値を超える重量変化を検出する。
顧客による計量操作を受付可能に待機している計量ラベルプリンタ4は、検出処理部501によって所定の閾値を超える重量変化を検出すると、当該重量変化が検出された計量装置5において、商品の計量操作が開始したものとみなす。このようなことは、商品の計量操作の開始時に顧客が計量装置5の上蓋22を開放したり、スコップ23を手に取ったりすることで重量変化を生じることからの合理的な帰結である。
検出処理部501によって重量変化が検出されると、通信処理部208により、ラベルプリンタ6に対し、重量変化が検出された旨の情報と共に装置識別情報が送信される。
【0083】
設定情報記憶部6Aは、計量装置5を識別可能な装置識別情報と、計量装置5に貯留されている商品の商品識別情報とを関連付けた設定情報を記憶している。
この設定情報記憶部6Aを参照することにより、所定の計量装置5に貯留され、当該所定の計量装置5によって顧客に提供可能な商品を特定できる。
なお、本実施例にかかわらず、計量装置5を識別可能な装置識別情報に代えて、AD変換機212を識別可能な変換機識別情報を当該AD変換機212に保持させ、当該変換機識別情報によって計量装置5を識別することもできる。
【0084】
特定処理部601は、計量装置5から、重量変化が検出された旨の情報と共に装置識別情報を受信すると、当該装置識別情報に基づき、設定情報記憶部6Aを参照して、当該装置識別情報に関連付けられた商品識別情報を特定する。
【0085】
なお、本実施例では、検出処理部501を計量装置5に備えさせ、計量装置5が重量変化を検出すると、重量変化が検出された旨の情報と共に、装置識別情報がラベルプリンタ6に送信されるようにした。一方、他の実施例では、検出処理部501をラベルプリンタ6に備えさせ、ラベルプリンタ6が計量装置5から供給される計量値に係る情報に基づいて計量装置5の重量変化を検出するようにしてもよい。この場合、ラベルプリンタ6は、所定の計量装置5において所定の閾値を超える重量変化を検出すると、当該所定の計量装置5に対して装置識別情報の取得を要求する。ラベルプリンタ6は当該所定の計量装置5から装置識別情報を取得すると、設定情報記憶部6Aを参照して、装置識別情報に関連付けられた計量装置5に保持されている商品を特定することができる。
【0086】
●処理の流れ
続いて、本実施例に係る計量ラベルプリンタ4により、顧客が物品の提供を受ける際に実行される処理の流れについて図14を参照して説明する。
なお、店舗側では、計量ラベルプリンタ4の使用前に、各計量装置5の装置識別情報と、当該各計量装置5によって提供される商品の商品識別情報とを関連付けて設定情報記憶部6Aに登録しておく。
【0087】
顧客は、所望の商品を保持する計量装置5から商品の提供を受けるべく、当該所望の商品を保持する計量装置5の上蓋22を開放したり、スコップ23を手に取ったりする。
これに応じて検出処理部501は、計量部21から供給された計量値に基づき、顧客による上蓋22の開放等に伴う、所定の閾値を超える重量変化を検出する(S201)。
検出処理部501によって所定の閾値を超える重量変化が検出されると、当該重量変化が検出された計量装置5において商品の計量操作が開始したものとみなされる。これに応じて通信処理部208は、ラベルプリンタ6に対し、重量変化が検出された旨の情報と共に装置識別情報を送信し、ラベルプリンタ6はこれを受信する(S202)。
【0088】
このとき、重量変化の検出情報が計量装置5からラベルプリンタ6に送信されており、一の計量装置5を判別可能な場合には(S203)、続くS205の処理に移行する。
一方、複数の計量装置5から重量変化の検出情報がラベルプリンタ6に対して送信される場合には、「他の容器(保持体20)に触れないでください。」といったメッセージをタッチパネルディスプレイ31に出力し、エラーの解消を図る(S204)。その結果、重量が一旦、安定した後に再度、装置識別情報がラベルプリンタ6に送信され、一の計量装置5が判別される場合には、続くS205の処理に移行する。
【0089】
特定処理部601は、計量装置5から受信した装置識別情報に基づき、設定情報記憶部6Aを参照して、当該装置識別情報に関連付けられた商品識別情報を特定する(S205)。
【0090】
これにより、計量操作が開始された商品が特定されると、以降、計量装置5において図8を参照して説明した計量処理が実行されると共に、ラベルプリンタ6において図7を参照して説明したS102以降の処理が実行され、顧客に所定量の商品が提供される。
【0091】
本実施例に係る計量ラベルプリンタ4によれば、顧客は商品の提供を受ける際、商品コードの入力等、商品を指定又は選択する操作を行う必要がなく、便利である。
【実施例3】
【0092】
●計量ラベルプリンタ7の構成
図15は、実施例3に係る計量ラベルプリンタ7の構造を示し、図16は計量ラベルプリンタ7のハードウェア構成を示している。
本実施例に係る計量ラベルプリンタ7を構成する計量装置8の上蓋22には変位センサ71が取り付けられている。計量ラベルプリンタ7は、この変位センサ71によって上蓋22の変位を検出し、これにより、顧客に商品を提供する計量装置8、さらには当該計量装置8によって提供される商品を特定する。
なお、以下の説明においては、特段の記述がない限り、上述した機能部や処理等に付した符号と同一の符号が付された機能部や処理等については、上述した機能部や処理等と同様に構成されるものとし、説明を省略する。
【0093】
変位センサ71は例えば、変位センサ71が取り付けられている部材の傾斜や回転、変位といった変化を検出可能なジャイロセンサ、加速度センサである。
なお、変位センサ71は、顧客による計量操作の対象たる計量装置8を特定するためのものであるから、商品の提供に応じて変位を検出可能な部材又は部分であれば上蓋22以外のものに取り付けられてもよく、例えばスコップ23に取り付けてもよい。
【0094】
図17は、計量ラベルプリンタ7のソフトウェア構成を示している。
計量装置8は、上述した入出力処理部202と通信処理部208を備える。また、ラベルプリンタ9は、上述した計量装置2が備えた商品情報記憶部2A、計量情報記憶部2B、抽出処理部201、判定処理部203、比較処理部204、報知処理部205、算出処理部206、情報処理部207、及び上述した通信処理部302のほか、設定情報記憶部9Aと特定処理部901を備える。また、通信処理部302は、発行処理部303に接続している。
計量装置2に取り付けられる変位センサ71は、識別情報記憶部7A、検出処理部701、及び通信処理部702を備える。
【0095】
識別情報記憶部7Aは、変位センサ71を識別可能なセンサ識別情報を記憶する。このセンサ識別情報は、変位センサ71ごとにユニークな情報であり、かかるセンサ識別情報により、計量ユニットUが備える複数の計量装置8から、変位センサ71が取り付けられた所定の計量装置8が一意に特定される。
【0096】
検出処理部701は、顧客による上蓋22の開放等の操作に基づいた変位を検出できる。即ち、計量装置8において、顧客による計量操作を受付可能に待機した図15(a)の状態から、図15(b)の状態へと上蓋22が持ち上げられると、検出処理部701が上蓋22の傾斜角の変化を検出する。これにより、当該上蓋22が開放された計量装置8において商品の提供が開始されたことが分かる。
【0097】
なお、検出処理部701は、変位センサ71が取り付けられている上蓋22の傾斜角や変位を入力値として、当該入力値が所定の閾値を超えるか否かを判定してもよい。そして、入力値が当該所定の閾値を超えている場合には、商品が顧客に提供されたものと判別する。
【0098】
ここで、入力値が傾斜角である場合において、図18に示すように、変位センサ71が図18(a)に示した姿勢から図18(b)に示した姿勢に傾斜(回転)した場合、a度が入力値となる(又は、傾斜方向も含め、+a度となる)。また、変位センサ71が図18(c)に示した姿勢から図18(b)に示した姿勢に傾斜(回転)した場合、b度が入力値となる(又は、傾斜方向も含め、-b度となる)。
【0099】
このように、変位センサ71が取り付けられている上蓋22の傾斜角や変位といった入力値が所定の閾値以上である場合には、商品が顧客に提供されたと推定できるため、検出処理部701は、商品の提供を推定する推定手段であると言うこともできる。
【0100】
また、変位センサ71によって取得された上蓋22の変位量を所定の閾値と比較することにより、上蓋22の開放と上蓋22の閉止を区別して検出でき、上蓋22が閉止された場合には、これにより計量操作が確定したものとし、精算用ラベルの発行処理に移るようにしてもよい。
【0101】
通信処理部702は、ラベルプリンタ9とデータ通信を実現する処理部であり、具体的には有線又は無線のLANのほか、Bluetooth(登録商標)、IrDA、Zigbee(登録商標)、特定小電力無線などによる通信を実行可能とする。
【0102】
設定情報記憶部9Aは、変位センサ71を識別可能なセンサ識別情報と、変位センサ71が取り付けられている計量装置8に貯留されている商品の商品識別情報とを関連付けた設定情報を記憶している。
この設定情報記憶部9Aを参照することにより、所定の計量装置8に貯留され、当該所定の計量装置8によって顧客に提供可能な商品を特定できる。
【0103】
特定処理部901は、変位センサ71から、当該変位センサ71が取り付けられた部材又は部分の変位が検出された旨の情報と共にセンサ識別情報を受信すると、当該センサ識別情報に基づき、設定情報記憶部9Aを参照して、当該センサ識別情報に関連付けられた商品識別情報を特定する。
【0104】
なお、本実施例では、検出処理部701を変位センサ71に備えさせ、変位センサ71が所定の部材又は部分の変位を検出すると、変位が検出された旨の情報と共に、センサ識別情報がラベルプリンタ9に送信されるようにした。一方、他の実施例では、検出処理部701をラベルプリンタ9に備えさせ、ラベルプリンタ9が変位センサ71から供給される、所定の部材又は部分の変位に係る情報に基づいて変位センサ71の変位を検出するようにしてもよい。この場合、ラベルプリンタ9は、所定の変位センサ71において所定の閾値を超える変位を検出すると、当該所定の変位センサ71に対してセンサ識別情報の取得を要求する。ラベルプリンタ9は当該所定の変位センサ71からセンサ識別情報を取得すると、設定情報記憶部9Aを参照して、センサ識別情報に関連付けられた変位センサ71が取り付けられている計量装置8に保持されている商品を特定することができる。
【0105】
●処理の流れ
続いて、本実施例に係る計量ラベルプリンタ7により、顧客が物品の提供を受ける際に実行される処理の流れについて図19を参照して説明する。
なお、店舗側では、計量ラベルプリンタ4の使用前に、各変位センサ71のセンサ識別情報と、当該各変位センサ71が取り付けられている計量装置8によって提供される商品の商品識別情報とを関連付けて設定情報記憶部9Aに登録しておく。
【0106】
顧客は、所望の商品を保持する計量装置8から商品の提供を受けるべく、当該所望の商品を保持する計量装置5の上蓋22を開放する。
上蓋22には、上蓋22の変位を検出する変位センサ71が取り付けられており、検出処理部701は、顧客による上蓋22の開放等に伴う、所定の閾値を超える変位を検出する(S301)。
検出処理部701によって所定の閾値を超える変位が検出されると、当該変位が検出された変位センサ71が取り付けられている計量装置8において商品の計量操作が開始したものとみなされる。これに応じて通信処理部702は、ラベルプリンタ9に対し、所定の変位が検出された旨の情報と共にセンサ識別情報を送信するし、ラベルプリンタ9はこれを受信する(S302)。
【0107】
このとき、変位の検出情報が変位センサ71からラベルプリンタ9に送信されており、一の変位センサ71を判別可能な場合には(S303)、続くS305の処理に移行する。
一方、複数の変位センサ71から変位の検出情報がラベルプリンタ9に対して送信される場合には、「他の容器(保持体20)に触れないでください。」といったメッセージをタッチパネルディスプレイ31に出力し、エラーの解消を図る(S304)。その結果、変位が一旦、安定した後に再度、センサ識別情報がラベルプリンタ9に送信され、一の変位センサ71が判別される場合には、続くS305の処理に移行する。
【0108】
特定処理部901は、変位センサ71から受信したセンサ識別情報に基づき、設定情報記憶部9Aを参照して、当該センサ識別情報に関連付けられた商品識別情報を特定する(S305)。
【0109】
これにより、計量操作が開始された商品が特定されると、以降、計量装置5において図8を参照して説明した計量処理が実行されると共に、ラベルプリンタ9において図7を参照して説明したS102以降の処理が実行され、顧客に所定量の商品が提供される。
【0110】
本実施例に係る計量ラベルプリンタ7によっても、顧客は商品の提供を受ける際、商品コードの入力等、商品を指定又は選択する操作を行う必要がなく、便利である。
【実施例4】
【0111】
以上の実施例に係る計量ラベルプリンタ1、4、7では、計量操作の開始時に第一の計量値を一時記憶領域に格納し、第二の計量値との差分として第三の計量値を求めたが、連続する計量操作において、一の計量操作における第二の計量値を次の計量操作における第一の計量値として扱うこともできる。
この場合には、所定の計量操作の開始時において、第一の計量値を取得して一時記憶領域に格納する必要がなく、算出処理部206によって第三の計量値を算出する際には、計量情報記憶部2Bに記憶されている前回の計量操作時の第二の計量値を抽出し、今回の第二の計量値との差分を求める。
【0112】
このような処理は、前回の計量操作の終了後、次の計量操作まで商品重量が変化しないという前提が担保される限り有効であり、合理的である。
特に、上述した実施例2や実施例3では、顧客が上蓋22を開放するなど、顧客による計量装置5、8の物理的な操作を計量操作の開始時点とみなして第一の計量値を取得しようとする。そのため、計量装置5が揺れて正確な重量を検出できない可能性があり、このような処理が有用である。
【0113】
また、上述した実施例では、比較処理部204が今回の計量操作における第一の計量値と、前回の計量操作における第二の計量値とを比較し、その差分が所定の閾値を超えなかった場合には、第一の計量値を正確なものとしてみなして以降の処理を実行したが、このような場合に、第一の計量値に代えて、前回の計量操作における第二の計量値を今回の計量値とみなして以降の処理を実行することもできる。
【0114】
●筐体T
図20は、筐体Tの構造の一例を部分的に示している。
計量装置2(計量装置5、8についても同様)は、筐体T内に配設されるところ、各計量装置2は、枠状の支持体T1上に支持されている。
この支持体T1の外形寸法は、計量装置2の縦幅及び横幅よりもわずかに大きく、その幅方向には、並設する計量装置2同士を離間させる凸状の衝止部T11が設けられている。この衝止部T11により、計量装置2を支持する支持体T1を並設させると、衝止部T11同士が当接する。この状態において、支持体T1上の計量装置2は、隣接する計量装置2と一定の距離を保ち、互いに接触することがない。その結果、並設された計量装置2同士が接触し、計量値が不正確な値を示すといった不具合を生じることがなく、正確な計量値を得ることができる。
【0115】
なお、支持体T1は、筐体Tの一部を構成するものであってもよいし、筐体Tの棚板上に固定して取り付けられるようになっていてもよい。
また、支持体T1はあ、並設される計量装置2同士を離間させ、これにより正確な計量値を得るためのものであるから、このような効果を得ることができる限り、衝止部T11の形状等は他の図20の例に限られない。
また、衝止部T11は、並設する計量装置2側のみならず、棚状の筐体Tの背面板が存する側にも設けられていてもよく、これにより背面版と計量装置2とを離間させることができる。
【0116】
●電子棚札10
以上の本実施形態に係る計量ラベルプリンタ1(計量ラベルプリンタ4、7についても同様)において、各計量装置2には電子棚札10が取り付けられており、各計量装置2によって提供される商品が把握可能となっている。
このような電子棚札10には、商品の内容を示す機能のほか、保持体20内の商品の貯留量を検出し、これを報知等する機能を備えさせてもよく、そのような機能を備えた電子棚札10の一例について以下に述べる。
【0117】
電子棚札10は、保持体20内の商品の貯留量を検出する所定のセンサと共に、ディスプレイ、識別情報記憶部、及び通信処理部を備えており、保持体20に取り付けられている。
【0118】
センサは、電子棚札10が取り付けられている保持体20内の商品の量を検出する貯留量検出部を構成する。このセンサは例えば、光センサ等によって実現され、保持体20に取り付けられる背面側に設けられる。
電子棚札10は保持体20の下方に取り付けられ、電子棚札10の背面側に取り付けられセンサは、保持体20に向けて検出光を照射する。保持体20内の商品による検出光の反射あるいは遮光される光量の変化から、保持体20内の貯留状況が把握される。即ち、保持体20内の商品が減り、センサからの検出光が保持体20内の商品に遮られなくなると、商品が不足してきたものと認識できる。
このセンサによる情報は、通信処理部により、電子棚札10を識別する識別情報と共に上位端末等に提供される。
【0119】
ディスプレイは、保持体20内の商品に関する情報を電子的に表示する。商品に関する情報は、LAN等のネットワークを介して上位端末等から提供される。
ここで、ディスプレイ上に表示され情報の一例を図21に示す。
図21(a)では、電子棚札10が取り付けられている計量ラベルプリンタ1において、“Hazel Nuts”が200mLあたり14.20ドルで提供されていることを示している。
また、図21(b)では、電子棚札10が取り付けられている計量ラベルプリンタ1において、1kgあたり34.0ドルで提供されている“Roasted salted Almond”が売り切れていることを示している。この例では、売り切れを示すべく、”SOLD OUT”の表示をすると共に、物品名の“Roasted salted Almond”に取消線が付されている。
【0120】
識別情報記憶部は、電子棚札10を識別するための識別情報を記憶する。上位端末等においては予め、電子棚札10に割り振られた識別情報と商品を関連付けて設定情報として登録しておき、識別所情報に基づいて電子棚札10が管理される。
これにより、例えば、商品の更新情報などを電子棚札10に提供し、更新後の商品の情報をディスプレイ上に表示させられる。より具体的には、センサに基づいた情報から、商品の貯留量が所定の閾値を下回ったと判断した場合に、売り切れを示す情報の表示要求を電子棚札10に送信し、ディスプレイに表示させられる。
【0121】
通信処理部は、例えば、有線又は無線方式によるLANによって実現され、ラベルプリンタ3や上位端末、あるいは他の中継装置とデータの送受信を実行する。
【0122】
なお、電子棚札10を上蓋22に取り付けると共に、変位を検出可能なセンサとしての機能を備えさせることにより、電子棚札10を上述した変位センサ71として構成することもできる。
また、電子棚札10を保持体20あるいはその近傍に設ければ、計量装置2を操作する顧客からすると電子棚札10のディスプレイが見やすく、意識もディスプレイに向きやすい。また、これにより、顧客は、電子棚札10が取り付けられている計量ラベルプリンタ1の内容や物品の供給量などをディスプレイで確認しながら商品を取り出すことができる。
【0123】
なお、以上の本実施形態においては、計量が確定すると精算用のラベルを発行部33により発行したが、これに限らず、精算用の情報をコード化したシンボルコードをタッチパネルディスプレイ31に表示し、顧客が所持する携帯端末等に情報を取得させてもよい。
このとき、タッチパネルディスプレイ31に表示される情報の一例は図22に示すとおりであり、精算用の情報をコード化したシンボルコード共に、容器の重さや商品の重量に係る情報が表示されている。
【0124】
なお、これらのソフトウェア資源は、適宜の設計によりいずれかのハードウェア資源に分散又は集約させることができるし、ハードウェア資源も物理的に一体をなす装置あるいは別体をなす装置として構成することもできる。
【0125】
●実施形態総括
【0126】
本発明は、任意の量の商品を顧客に提供する技術に関する。
【0127】
実公平6-50740号公報に示すように、商品等の物品を計量して販売するシステムが知られている。
【0128】
しかしながら、商品を貯留させている装置から、商品を計量して取り出す操作は工程が多くなり、顧客には負担であるし、計量ミスも生じやすい。特に、セルフサービスとして運用し、顧客自ら操作する場合には、そのような懸念は顕著なものとなる。
【0129】
そこで本発明は、所望量の商品を簡便に提供可能な装置を提供することを目的の一つとする。
【0130】
上記目的を達成するため、本発明の一の観点に係る計量装置は、被計量物の重量を計量する計量部と、前記被計量物の一部又は全部を取る前の被計量物の計量結果に係る第一の計量値から、前記被計量物の一部又は全部を取った後の被計量物の計量結果に係る第二の計量値を差し引き、第三の計量値を算出する第一の算出処理部と、を有する。
【0131】
前記被計量物の単価を記憶する被計量物情報記憶部と、前記被計量物の単価に基づき、前記第一の計量値、前記第二の計量値、及び前記第三の計量値それぞれに応じた価格を算出する第二の算出処理部と、前記第一の計量値、前記第二の計量値、及び前記第三の計量値それぞれに応じた価格を表示させる第一の表示処理部と、をさらに有するものとしてもよい。
【0132】
前記被計量物情報記憶部はさらに、前記被計量物の名称を記憶し、前記第一の表示処理部はさらに、前記第一の計量値、前記第二の計量値、及び前記第三の計量値に応じた価格と共に、前記被計量物の前記名称を表示させるものとしてもよい。
【0133】
前記計量部を複数、備えてなり、前記被計量物の情報と前記計量部の識別情報とを関連づけて記憶する記憶手段と、所定の前記計量部によって計量される前記被計量物を特定する特定処理部と、をさらに有するものとしてもよい。
【0134】
前記計量部を支持する筐体、をさらに有し、前記筐体には、並設される前記計量部同士を離間させる衝止部が設けられているものとしてもよい。
【0135】
連続する計量操作において、新たな計量操作の開始時に、前回の計量操作における前記第二の計量値を表示させる第二の表示処理部、をさらに有するものとしてもよい。
【0136】
本発明の別の観点に係る計量ラベルプリンタは、複数の計量部を備える計量ラベルプリンタであって、前記複数の計量部の識別情報と、被計量物の単価情報を記憶する記憶手段、を備え、前記複数の計量部のうち、重量変化があった計量部から、前記被計量物の計量値と前記識別情報を取得し、取得された前記被計量物の計量値と単価情報に基づき、前記被計量物の売価を算出する。
【0137】
本発明の別の観点に係る価格算出方法は、被計量物を特定するステップと、所定の被計量物情報記憶部を参照して、特定された前記被計量物の単価を抽出するステップと、被計量物の重量を計量するステップと、前記被計量物の計量結果に係る第一の計量値を記憶するステップと、前記被計量物の重量変化を検出するステップと、前記被計量物の重量変化が検出され、前記第一の計量値と異なる計量値が得られたときに、当該計量値を第二の計量値として記憶するステップと、前記第一の計量値から前記第二の計量値を差し引き、第三の計量値を算出するステップと、前記単価に基づき、前記第三の計量値に応じた価格を算出するステップと、を実行する。
【0138】
以上の本発明の実施形態に係る計量ラベルプリンタ1によれば、商品の提供前後における差分を商品の提供重量とするため、風袋引きの操作が必要なく、顧客にかかる操作の負担が少なくて済む。その結果、商品を顧客に提供するのに要する時間も短くなり、順番待ちも生じにくい。また、操作負担が少ない分、操作に起因した計量ミスを減らすことができる。
さらに、顧客による計量操作の開始時に、商品の重量変化や、計量ラベルプリンタの所定の部材又は部分の変位の検出に基づいて計量装置、さらには当該計量装置に保持されている商品を特定することができる。これにより、顧客は商品の提供を受ける際、商品コードの入力等、商品を指定又は選択する操作を行う必要がなく、便利である。
また、連続する計量操作において、前回の計量操作後の商品重量たる第二の計量値を保持しておき、今回の計量操作において前回の第二の計量値を参照することで、計量操作の開始時に何かしらの問題が生じていないか否かを確認することができる。
【符号の説明】
【0139】
1 :計量ラベルプリンタ
2 :計量装置
20 :保持体
21 :計量部
21a :載置面
211 :重量検出部
212 :AD変換機
22 :上蓋
23 :スコップ
24 :連結部
25 :収容部
26 :表示部
27 :操作部
28 :通信部
2A :商品情報記憶部
2B :計量情報記憶部
201 :抽出処理部
202 :入出力処理部
203 :判定処理部
204 :比較処理部
205 :報知処理部
206 :算出処理部
207 :情報処理部
208 :通信処理部
3 :ラベルプリンタ
31 :タッチパネルディスプレイ
32 :通信部
33 :発行部
301 :入出力処理部
302 :通信処理部
303 :発行処理部
4 :計量ラベルプリンタ
41 :中継器
5 :計量装置
5A :識別情報記憶部
501 :検出処理部
6 :ラベルプリンタ
6A :設定情報記憶部
601 :特定処理部
7 :計量ラベルプリンタ
71 :変位センサ
7A :識別情報記憶部
701 :検出処理部
702 :通信処理部
8 :計量装置
9 :ラベルプリンタ
9A :設定情報記憶部
901 :特定処理部
10 :電子棚札
T :筐体
T1 :支持体
T11 :衝止部
U :計量ユニット

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22