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特許7619607構造物検査装置、構造物検査方法及び構造物検査システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-14
(45)【発行日】2025-01-22
(54)【発明の名称】構造物検査装置、構造物検査方法及び構造物検査システム
(51)【国際特許分類】
   G01V 3/12 20060101AFI20250115BHJP
   G01N 22/02 20060101ALI20250115BHJP
【FI】
G01V3/12 B
G01N22/02 Z
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020219426
(22)【出願日】2020-12-28
(65)【公開番号】P2021110743
(43)【公開日】2021-08-02
【審査請求日】2023-12-19
(31)【優先権主張番号】P 2020001759
(32)【優先日】2020-01-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】500293434
【氏名又は名称】インダストリーネットワーク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002697
【氏名又は名称】めぶき弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100104709
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 誠剛
(72)【発明者】
【氏名】大橋 俊夫
【審査官】福田 裕司
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-043540(JP,A)
【文献】米国特許第06429802(US,B1)
【文献】特開2004-245742(JP,A)
【文献】特開2008-275639(JP,A)
【文献】国際公開第2013/182948(WO,A2)
【文献】国際公開第2019/022030(WO,A1)
【文献】米国特許第06333631(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01V 3/12
G01N 22/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁波レーダを用いて構造物の検査を行う構造物検査装置であって、
前記構造物の表面に沿って連続的又は間欠的に移動する移動体と、
前記移動体に連結され、電磁波レーダを用いる第1検査具が前記移動体の移動方向と交差する方向に沿って複数個配列されている第1検査部と、
前記移動体に連結され、電磁波レーダを用いる第2検査具が前記構造物の表面において前記移動体の移動方向と直交する成分を少なくとも有する方向に移動可能な第2検査部とを備えることを特徴とする構造物検査装置。
【請求項2】
前記各第1検査具は、前記構造物の一方面に電磁波を照射する第1照射部と、前記第1照射部から照射された電磁波の反射波を受信する第1受信部とを有し、
前記第2検査具は、前記構造物の一方面に電磁波を照射する第2照射部と、前記第2照射部から照射された電磁波の反射波を受信する第2受信部とを有することを特徴とする請求項1に記載の構造物検査装置。
【請求項3】
前記第2検査具を前記構造物の表面に沿って揺動させる第2検査具移動機構をさらに備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の構造物検査装置。
【請求項4】
前記第2検査部は、前記移動体と前記第2検査具とを連結する第2検査具連結部を有し、
前記第2検査具連結部は、前記第2検査具が揺動する支点から前記第2検査具までの長さを伸縮させる伸縮機構を有することを特徴とする請求項3に記載の構造物検査装置。
【請求項5】
前記移動体の移動方向と直交する成分を少なくとも有する方向に延在するレールと、前記第2検査具を前記レールに沿って往復移動させる第2検査具移動機構とをさらに備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の構造物検査装置。
【請求項6】
前記レールが延在する方向を切り替えるレール延在方向切替機構をさらに備えることを特徴とする請求項5に記載の構造物検査装置。
【請求項7】
構造物の表面に沿って連続的又は間欠的に移動する移動体と、前記移動体に連結され、電磁波レーダを用いる第1検査具が前記移動体の移動方向と交差する方向に沿って複数個配列されている第1検査部と、前記移動体に連結され、電磁波レーダを用いる第2検査具が前記移動体の移動方向と直交する成分を少なくとも有する方向に移動可能な第2検査部とを備える構造物検査装置を用いて前記構造物の検査を行う構造物検査方法であって、
前記移動体が連続的又は間欠的に移動しながら、
前記第1検査部の第1照射部が前記構造物の一方面に電磁波を照射するとともに、前記第1検査部の第1受信部が、その反射波を受信し、かつ、
前記第2検査具を前記構造物の表面において前記移動体の移動方向と直交する成分を少なくとも有する方向に移動させながら、前記第2検査具の第2照射部が前記構造物の一方面に電磁波を照射するとともに、前記第2検査具の第2受信部が、その反射波を受信することにより前記構造物の検査を行うことを特徴とする構造物検査方法。
【請求項8】
請求項1~6のいずれかに記載の構造物検査装置と、
前記構造物検査装置の第1検査部によって得られた第1反射波情報、前記構造物検査装置の第2検査部によって得られた第2反射波情報、及び、前記構造物検査装置の前記第2検査具の位置情報を少なくとも含む情報に基づいて検査対象である構造物の内部の状態を解析する解析部と、
前記解析部の解析結果に基づいて前記構造物の内部の状態を表示する表示部とを備えることを特徴とする構造物検査システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造物検査装置、構造物検査方法及び構造物検査システムに関する。
【背景技術】
【0002】
過去に建造された道路や鉄道の橋梁及びトンネルなどの土木構造物、並びにビルやマンションなどの大型構造物の外壁や、道路のアスファルトやコンクリートなどの床面は、経年劣化や老朽化が進行してきており、これらの構造物(以下、大型構造物等という)の維持管理が急務となってきている。これら大型構造物等の点検方法として、従来、電磁波レーダを用いて土中やアスファルト、鉄筋コンクリート構造物等の内部の空隙や鉄筋、配管等の状態(例えば、破断、未配置、未施工の有無等)を検査する構造物検査装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
特許文献1に記載の構造物検査装置(以下、従来の構造物検査装置、という)は、構造物の表面に沿って移動する移動体と、移動体に設けられ、電磁波レーダを用いる検査具とを備える。従来の構造物検査装置においては、作業者が構造物の表面に沿って構造物検査装置を所定の方向に移動させながら大型構造物等の内部に電磁波を照射し、その反射波を受信部で受信することによりコンクリートや土中の状態を検査する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2000-19257号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の構造物検査装置においては、所定の方向に沿って構造物検査装置を移動させながら反射波を受信する(走査する)ため、土中やアスファルト、コンクリート構造物内等の内部の空隙や鉄筋、配管等が密状態に配筋されている場合や、ダブル配筋のように複数の鉄筋等が重なっている場合等には、構造物の内部の状態を高い精度で把握することは難しい、という問題がある。
【0006】
また、従来の構造物検査装置においては、反射波の波形データに基づいて作業者が構造物の内部の状態を把握しているが、反射波の波形データから構造物の内部の状態を識別するには専門的な知識と経験が必要となるため作業者の技量によって左右され、構造物の内部の状態を安定して高い精度で把握することは難しい、という問題もある。
【0007】
また、従来の構造物検査装置においては、大型構造物等の外壁や床面など広大な面積の検査を行う場合には、構造物検査装置を何度も行き来させて検査しなければならず、作業効率を良くすることが難しい、という問題がある。
【0008】
そこで、本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、コンクリート構造物内等の鉄筋が密状態に配筋されている場合や、ダブル配筋のように複数の鉄筋が重なっている場合等でも構造物の内部の状態を高い精度で把握することが可能で、かつ、構造物の内部の状態を安定して高い精度で把握することが可能で、かつ、作業効率を高くすることが可能な構造物検査装置、構造物検査方法及び構造物検査システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の構造物検査装置は、電磁波レーダを用いて構造物の検査を行う構造物検査装置であって、前記構造物の表面に沿って連続的又は間欠的に移動する移動体と、前記移動体に連結され、電磁波レーダを用いる第1検査具が前記移動体の移動方向と交差する方向に沿って複数個配列されている第1検査部と、前記移動体に連結され、電磁波レーダを用いる第2検査具が前記構造物の表面において前記移動体の移動方向と直交する成分を少なくとも有する方向に移動可能な第2検査部とを備えることを特徴とする。
【0010】
本発明の構造物検査方法は、構造物の表面に沿って連続的又は間欠的に移動する移動体と、前記移動体に連結され、電磁波レーダを用いる第1検査具が前記移動体の移動方向と交差する方向に沿って複数個配列されている第1検査部と、前記移動体に連結され、電磁波レーダを用いる第2検査具が前記移動体の移動方向と直交する成分を少なくとも有する方向に移動可能な第2検査部とを備える構造物検査装置を用いて前記構造物の検査を行う構造物検査方法であって、前記移動体を連続的又は間欠的に移動させながら、前記第1検査部の第1照射部が前記構造物の一方面に電磁波を照射するとともに、前記第1検査部の第1受信部が、その反射波を受信し、かつ、前記第2検査具を前記構造物の表面において前記移動体の移動方向と直交する成分を少なくとも有する方向に移動させながら、前記第2検査具の第2照射部が前記構造物の一方面に電磁波を照射するとともに、前記第2検査具の第2受信部が、その反射波を受信することにより前記構造物の検査を行うことを特徴とする。
【0011】
本発明の構造物検査システムは、本発明の構造物検査装置と、前記構造物検査装置の第1検査部によって得られた第1反射波情報、前記構造物検査装置の第2検査部によって得られた第2反射波情報、及び、前記構造物検査装置の前記第2検査具の位置情報を少なくとも含む情報に基づいて検査対象である構造物の内部の状態を解析する解析部と、前記解析部の解析結果に基づいて前記構造物の内部の状態を表示する表示部とを備えることを特徴とする。
【0012】
本発明の第2の構造物検査装置は、電磁波レーダを用いて構造物の検査を行う構造物検査装置であって、前記構造物の表面に沿って連続的又は間欠的に移動する移動体と、前記移動体に連結され、電磁波レーダを用いる検査具が前記構造物の表面において前記移動体の移動方向と直交する成分を少なくとも有する方向に移動可能な検査部とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の第1の構造物検査装置、構造物検査方法及び構造物検査システムによれば、構造物の表面に沿って連続的又は間欠的に移動する移動体と、移動体に連結され、電磁波レーダを用いる第1検査具が移動体の移動方向と交差する方向に沿って複数個配列されている第1検査部と、移動体に連結され、電磁波レーダを用いる第2検査具が構造物の表面において移動体の移動方向と直交する成分を少なくとも有する方向に移動可能な第2検査部とを備えるため、第1検査部によって、移動体の移動方向に沿った方向の反射波情報を得るとともに、第2検査部によって、移動体の移動方向とは直角な方向に沿った方向の反射波情報を得ることができる。従って、土中やアスファルト、コンクリート構造物内等の内部の空隙や鉄筋、配管等が密状態に配筋されている場合や、ダブル配筋のように複数の鉄筋等が重なっている場合であっても、構造物の内部の状態を高い精度で把握することができる。
【0014】
また、本発明の第1の構造物検査装置、構造物検査方法及び構造物検査システムによれば、上記したように、移動体の移動方向に沿った方向の反射波情報と移動体の移動方向とは直角な成分の反射波情報とを得ることができるため、平面的な位置情報及び各地点の深さ情報を高い精度で得ることができる。また、構造物検査装置の第1検査部によって得られた第1反射波情報と、構造物検査装置の第2検査部によって得られた第2反射波情報と、構造物検査装置の第2検査部の位置情報とを少なくとも含む情報に基づいて検査対象である構造物の内部の状態を解析することができるため、位置情報及び各地点の深さ情報を高い精度で得ることができ、表示部によって、3次元的に表示(例えば、3次元CT画像のようなバーチャル画像として表示)することができる。従って、反射波の波形データから構造物の内部の状態を識別しなくてもよくなることから、構造物の内部の状態を作業者の技量に左右されることなく安定して高い精度で把握することができる。
【0015】
さらにまた、本発明の第1の構造物検査装置、構造物検査方法及び構造物検査システムによれば、構造物の表面に沿って連続的又は間欠的に移動する移動体と、移動体に連結され、電磁波レーダを用いる第1検査具が移動体の移動方向と交差する方向に沿って複数個配列されている第1検査部と、移動体に連結され、電磁波レーダを用いる第2検査具が構造物の表面において移動体の移動方向と直交する成分を少なくとも有する方向に移動可能な第2検査部とを備えるため、1度の移動体の移動で、移動体の移動方向の反射波情報と、移動体の移動方向とは直角な方向の反射波情報との両方を得ることができる。
また、第1検査具が複数個配列されており、かつ、第2検査具が移動体の移動方向と直交する成分を少なくとも有する方向に移動するため、1度の移動体の移動で、広範囲の反射波情報を得ることができる。
従って、大型構造物等の床面や外壁など広大な面積の検査を行う場合であっても、構造物検査装置を往復させる回数が少なくて済み、作業効率を高くすることができる。
【0016】
本発明の第2の構造物検査装置によれば、移動体に連結され、電磁波レーダを用いる第2検査具が構造物の表面において移動体の移動方向と直交する成分を少なくとも有する方向に移動可能な第2検査部を備えるため、第2検査部によって、移動体の移動方向に沿った方向の反射波情報を得るとともに、移動体の移動方向とは直角な方向に沿った方向の反射波情報を得ることができる。従って、土中やアスファルト、コンクリート構造物内等の内部の空隙や鉄筋、配管等が密状態に配筋されている場合や、ダブル配筋のように複数の鉄筋等が重なっている場合であっても、構造物の内部の状態を高い精度で把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施形態1に係る構造物検査装置1を示す図である。
図2】実施形態1における第1検査具21及び第2検査具31を説明するために示す図である。
図3】実施形態1における第2検査具31の動作を模式的に示す図である。
図4】第2検査具31の第2照射部33及び第2受信部34を説明するために示す模式図である。
図5】実施形態1における第2検査部30の軌跡を模式的に示す図である。
図6】実施形態1に係る構造物検査システム100を示す図である。
図7】実施形態1において、所定の領域を移動する第1検査具21及び第2検査具31を示す図である。
図8】実施形態2に係る構造物検査装置2を示す図である。
図9】実施形態2における第2検査部30aの軌跡を模式的に示す図である。
図10】実施形態3に係る構造物検査装置3を示す図である。
図11】実施形態3における第2検査部30a及びレール51の動作を模式的に示す図である。
図12】実施形態3における第2検査部30の軌跡を模式的に示す図である。
図13】実施形態4に係る構造物検査装置4を示す図である。
図14】実施形態5に係る構造物検査装置5を示す図である。
図15】実施形態5における第2検査具31の動作を模式的に示す図である。
図16】変形例1に係る構造物検査装置1aを示す図である。
図17】変形例1における第2検査具31の動作を模式的に示す図である。
図18】変形例2に係る構造物検査装置2aを示す図である。
図19】変形例2における第2検査具31aの動作を模式的に示す図である。
図20】変形例3に係る構造物検査装置3aを示す図である。
図21】変形例4に係る構造物検査装置4aを示す図である。
図22】変形例5に係る構造物検査装置5aを示す図である。
図23】変形例6に係る構造物検査装置1bを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態に係る構造物検査装置、構造物検査方法及び構造物検査システムについて図を参照しながら説明する。構造物検査装置、構造物検査方法及び構造物検査システムは、構造物が劣化したり異物が混入したりしていることなどの異常の有無を非破壊で検査する検査装置、検査方法及び検査システムである。構造物は、例えば、道路や鉄道の橋梁及びトンネルなどの土木構造物、並びにビルやマンションなどの大型構造物の外壁や道路のアスファルトやコンクリートなどの床面などである。
【0019】
[実施形態1]
1.実施形態1に係る構造物検査装置1の構成
図1は、実施形態1に係る構造物検査装置1を示す図である。図1(a)は構造物検査装置1の平面模式図であり、図1(b)は構造物検査装置1の側面模式図である。図2は、実施形態1における第1検査具21及び第2検査具31を説明するために示す図である。図2(a)は第1検査具21の平面模式図であり、図2(b)は第1検査具21の側面模式図であり、図2(c)は第2検査具31の平面模式図であり、図2(d)は第2検査具31の側面模式図である。図3は、実施形態1における第2検査具31の動作を説明するために示す模式図である。図4は、第2検査具31の第2照射部33及び第2受信部34を説明するために示す模式図である。
【0020】
実施形態1に係る構造物検査装置1は、図1に示すように、移動体10と、第1検査部20と、第2検査部30と、第2検査具移動機構40とを備える。構造物検査装置1は、構造物や道路の床面、傾斜面、垂直面、或いは天井面などの構造物の表面に沿って移動しながら、第1検査部20及び第2検査部30によって電磁波レーダを用いて、移動体の移動方向、及び、移動体の移動方向と直角な方向の電磁波情報(電磁波の反射波情報)を受信し、大型構造物等の内部の状態を検査する装置である。実施形態1に係る構造物検査装置1は、直角方向に上昇・加工する壁昇降ロボットに搭載することに好適に用いることができるが、地面やコンクリートの床面を走行する台車に搭載することも可能である。
【0021】
移動体10は、本体ユニット11と、本体ユニット11の側面に配置された駆動輪12及び従動輪13とを備える。移動体10の走行方向に対し前方側には一対の駆動輪12が配置されており、後方側には一対の従動輪13が配置されている。移動体10の所定の箇所(例えば、駆動輪12)には距離計(図示せず。)が設けられている。
【0022】
本体ユニット11は、本体駆動部15を有する。
本体駆動部15は、2つのモータ(図示せず。)を有し、一方のモータは移動体10の走行方向に対して左側の駆動輪12を駆動し、他方のモータは右側の駆動輪12を駆動する。これにより、移動体10(すなわち、構造物検査装置)を前方(図1(a)上方)や後方(図1(a)下方)に移動できるだけでなく、移動体10を右旋回や左旋回させる等構造物の床面等を自由自在に移動させることができる。
【0023】
第1検査部20は、第1検査具21と、第1検査具連結部22とを有する。第1検査具21は、移動体10の後方に第1検査具連結部22を介して連結され、移動体10の移動に追従する。第1検査部20においては、電磁波レーダを用いる第1検査具21が構造物の表面において移動体10の移動方向と交差する方向(実施形態1においては直角な方向)に沿って複数個配列され、第1検査具ユニット27を構成する(図2(a)参照。)。
【0024】
複数の第1検査具21のそれぞれは、第1照射部23と、第1受信部24とを有する。第1検査具ユニット27の両端にはそれぞれ2つずつ車輪26が設けられている。これにより、移動体10の移動に追従することが可能となるとともに、構造物の表面に対する第1照射部23及び第1受信部24の高さを一定に保つことができる。第1検査具ユニット27は図示しないばねや自重、吸着等により構造物の表面に所定の押圧力で押圧されている。これにより、車輪26との作用で構造物の表面と第1照射部23及び第1受信部24との間に適切な間隙を形成することができる。
【0025】
第1照射部23は、図2(b)に示すように、第1検査具21における構造物と対向する側の面に配置されており、構造物の一方面に向けて電磁波を照射する。なお、電磁波を照射したタイミングは、図示しない記憶部に記憶されている。
【0026】
第1受信部24は、第1検査具21における構造物と対向する側の面に配置されており、第1照射部23から照射された電磁波に対して平面的に見て移動体10の移動方向に伝播する反射波を受信する。
【0027】
実施形態1に係る構造物検査装置1において、第1検査部20は、複数の第1検査具21を有し、そのそれぞれが第1照射部23及び第1受信部24を有しており、さらに、後述する第2検査部30は、第2検査具31を有し、第1照射部23及び第2受信部34を有していることから、各第1照射部23及び第2照射部33から照射する電磁波や反射波が互いに干渉するおそれがあり、それぞれの照射部と受信部の組が混線しないように対策することが望ましい。そのため、例えば、各第1照射部23及び第2照射部33から照射する電磁波の周波数を互いに異ならせたり、パルス状の電磁波照射の照射タイミングや受信タイミングをずらしたりすることが望ましい。
【0028】
第1検査具連結部22は、一方端が移動体10に接続され、他方端が第1検査具ユニット27に接続されているプレートである。
【0029】
第2検査部30は、図1に示すように、第2検査具31と、第2検査具連結部32とを有する。第2検査部30は、移動体10の後方(第1検査部20のさらに後方)に第2検査具連結部32を介して連結されている。なお、移動体10の移動方向前方から移動体10、第1検査部20、第2検査部30の順序で配置したが、この順序は任意である。
【0030】
第2検査具31は、第2照射部33と、第2受信部34とを有する(図2(c)、図2(d)及び図4参照。)。第2検査具31は後述する第2検査具移動機構40により、第2検査具連結部32を介して構造物の表面に沿って揺動(移動体10の一部を支点とした振り子運動)をする。第2検査具31の両端にはそれぞれ2つずつ車輪36が設けられており、スムーズに揺動することができる。
【0031】
第2照射部33は、第2検査具31における構造物と対向する側の面に配置され、構造物の表面に向けて電磁波を照射する。電磁波はパルス波である。ただし、連続波でもよいしその他適宜の波形の電磁波を照射してもよい。また、電磁波は、第1照射部が照射する電磁波と同じ周波数を用いてもよいが、第1照射部23の電磁波と干渉しないように第1照射部23と異なる周波数を用いることが好ましい。
【0032】
第2受信部34は、第2検査具31における構造物と対向する側の面に配置されており、第2照射部33から照射された電磁波に対する平面的に見て移動体10の移動方向と直交する成分を少なくとも有する方向に伝播する反射波を受信する。
【0033】
第2検査具連結部32は、一方端が移動体10に取り付けられており、他方端が第2検査具31に取り付けられている。第2検査具連結部32は、一方端と他方端との間で第1検査部20を避けるように架橋している。第2検査具連結部32の他方端には第2検査具31を保持する保持板35が設けられている。保持板35は、図示しないばねや自重、吸着等により構造物の表面に所定の押圧力で押圧されている。これにより、車輪36との作用で構造物の表面と第2照射部33及び第2受信部34との間に適切な間隙を形成することができる。
【0034】
第2検査具移動機構40(リンク機構)は、第2検査具連結部32を介して第2検査具31を構造物の表面に沿って揺動(振り子運動)させる。第2検査具移動機構40の構成は適宜の構成をとることができるが、例えば、以下のような構成をとることができる。
【0035】
第2検査具移動機構40は、図3に示すように、リンク用モータ41と、リンク用モータ41と同軸で回転するリンク駆動輪42と、リンク駆動輪42によって作動する従動アーム43とを有する。従動アーム43の一端は、リンク駆動輪42の外側周縁部にピンなどで回転可能に軸支されており、他端は第2検査具連結部32に回転可能に軸支されている。この第2検査具連結部32と従動アーム43の連結部は第2検査具移動機構40におけるジョイント部44である。
【0036】
リンク駆動輪42の回転とリンク作用によって、第2検査具連結部32は回転軸37を回転中心として搖動する。すなわち、第2検査具31を搖動する。なお、リンク駆動輪42を一方向に回転させるようにしてもよく、右回りと左回りとを交互に繰り返すようにしてもよい。また、リンク機構の代わりにダイレクトモータ駆動機構を用いてもよい。
【0037】
2.第1検査具21及び第2検査具31の動作
図5は、実施形態1における第2検査部30の動作を模式的に示す図である。図5(a)は、移動体10を間欠的に移動させ、かつ、第2検査具31を一方端から他方端まで揺動させる様子(移動体10が移動方向に移動していないときには第2検査具31を一方端から他方端まで揺動させ、移動体10が移動方向に移動しているときには第2検査具31を停止させる様子)を示す図であり、図5(b)は、移動体10を間欠的に移動させ、かつ、第2検査具31を一方端と他方端との間を揺動させる様子(移動体10が移動方向に移動していないときには第2検査具31を一方端から他方端、そして、一方端に戻るまで揺動させ、移動体10が移動方向に移動しているときには第2検査具31を停止させる様子)を示す図であり、図5(c)は、移動体10を連続的に移動させ、かつ、第2検査具31を揺動させる様子を示す図である。なお、図5中、破線は第1検査具21の軌跡を示し、実線は第2検査具31における揺動しているときの軌跡を示し、丸は揺動の端部を示す。また、図5では、移動体10の走行方向の逆側において第2検査部30が動作する例を表しているが、移動体10の走行方向は自在に変更可能なので、図5の図示とは逆方向に移動体10が走行することもある。図5では、第1検査具21が構造物の表面を移動する際の軌跡をaで表し、第2検査具31が構造物の表面を移動する際の第2検査具31の軌跡をAで表している。
【0038】
第2検査具移動機構40は、第2検査具連結部32を介して第2検査具31を構造物の表面に沿って揺動(振り子運動)させる。
具体的には、移動体10を間欠的に移動させ、かつ、第2検査具31を一方端から他方端まで揺動させる。すなわち、移動体10が移動方向に移動していないときには第2検査具31を一方端から他方端まで揺動させ、移動体10が移動方向に移動しているときには第2検査具31を停止させる(図5(a)参照。)。このような動作を繰り返すことによって無駄のない動作が可能となる。
【0039】
また、移動体10間欠的に移動させ、かつ、第2検査具31を一方端と他方端との間を往復させてもよい。すなわち、移動体10をおいて、移動体10が移動方向に移動していないときには第2検査具31を一方端から他方端、そして、一方端に戻るまで揺動させ、移動体10が移動方向に移動しているときには第2検査具31を停止させる(図5(b)参照。)。このような動作を繰り返すことにより第2検査具31を同じ軌跡上で2回転動させる、すなわち同じ部分を2回検査することになるので、検査の信頼性を高めることが可能となる。
【0040】
さらにまた、移動体10を連続的に移動させ、かつ、第2検査具31を揺動させてもよい(図5(c)参照。)。このような動作を繰り返すことにより移動体10を停止させることなく検査を継続できるので、構造物(特に大型の構造物)の点検をより高い作業効率で行うことが可能となる。なお、第2検査具31が左方から右方に転動する軌跡、あるいは右方から左方に転動する軌跡のピッチ(または勾配)は、移動体10の走行速度と第2検査具31の搖動速度によって密にしたり疎にしたり調整することが可能である。
【0041】
3.実施形態1に係る構造物検査方法及び実施形態1に係る構造物検査システム100
上記した実施形態1に係る構造物検査装置1を用いて、移動体10を連続的又は間欠的に移動させながら、第1検査部20の第1照射部23が構造物の一方面に向かって電磁波を照射するとともに、第1検査部20の第1受信部24が、その反射波を受信し、かつ、第2検査具31を構造物の表面において移動体10の移動方向と直交する成分を少なくとも有する方向に移動させながら、第2検査具31の第2照射部33が構造物の一方面に向かって電磁波を照射するとともに、第2検査具31の第2受信部34が、その反射波を受信することにより構造物の検査を行う(実施形態1に係る構造物検査方法)。
【0042】
実施形態1に係る構造物検査システム100においては、実施形態1に係る構造物検査装置1によって得られた各情報を基に構造物の内部の状態を解析し、表示部において、3次元的に表示(例えば3次元CT画像のようなバーチャル画像として表示)する。
【0043】
実施形態1に係る構造物検査システム100は、実施形態1に係る構造物検査装置1と、構造物検査装置1の第1検査部20によって得られた第1反射波情報、構造物検査装置1の第2検査部30によって得られた第2反射波情報、及び、構造物検査装置1の第2検査具31の位置情報を少なくとも含む情報に基づいて検査対象である構造物の内部の状態を解析する解析部70と、解析部70の解析結果に基づいて構造物の内部の状態を表示する表示部80とを備える。
【0044】
実施形態1に係る構造物検査装置1は、図6に示すように、(1)移動体10の駆動輪12に取り付けられた距離計によって得られた移動体位置情報、(2)第1検査部20の第1照射部23が照射した第1の電磁波情報(例えば、電磁波の周波数、タイミング等)及び第1受信部24で受信した第1反射波情報、(3)第2検査部30の第2照射部33が照射した第2の電磁波情報(例えば、電磁波の周波数、タイミング等)及び第2受信部34で受信した第2反射波情報、及び、(4)第2検査具移動機構40によって揺動している第2検査具31の位置情報、を解析部70へ送る。
解析部70は、解析部70内の記憶部(図示せず。)に上記各情報を格納する。
【0045】
解析部70は、記憶部に格納された各情報に基づいて、コンピュータ等を用いて、構造物表面の各地点の構造物の内部の状態について解析する。
具体的には、移動体位置情報及び第2検査具位置情報に基づいて、第1受信部24で反射波を受信した位置及び第2受信部34で反射波を受信した位置を特定する。また、第2反射波情報は、移動体10の移動方向の成分とそれに直交する成分とに分けられる。こうして、構造物表面上の各地点における移動体10の移動方向の反射波情報及び移動方向と直交する方向の反射波情報を得ることができ、当該情報を解析して、構造物の内部の状態の深さ方向の情報を高い精度で得ることができる。
【0046】
解析部70は、第2反射波情報を、移動体10の移動方向の成分とそれに直角な成分とに分けて用いたが、コンピュータプログラム等で第2反射波情報を修正したものを用いてもよい。
【0047】
解析部70は、構造物の表面をメッシュで領域に区切り、領域ごとにおける第1反射波情報及び第2反射波情報に基づいて構造物の内部の状態を解析する(図7参照。)。ただし、メッシュの各交点の近傍の位置における第1反射波情報及び第2反射波情報を重みづけしてメッシュの各交点の構造物の内部の状態の深さ方向の情報を解析してもよいし、そのほか適宜の方法で適切に構造物の内部の状態を解析してもよい
【0048】
表示部80は、解析部70によって解析された構造物の内部の状態を表示する。実施形態1に係る構造物検査装置1は、移動体10の移動方向の反射波情報と移動方向と直角な方向の反射波情報を得ることができる。従って、構造物の内部の状態の詳細、かつ、高精度のデータを得ることができることから、3次元(例えば、3次元CT画像のようなバーチャル画像として表示)で構造物の内部の状態を表示することができる。
【0049】
4.実施形態1に係る構造物検査装置1、構造物用検査法及び構造物検査システム100の効果
実施形態1に係る構造物検査装置1、構造物検査方法及び構造物検査システム100によれば、移動体10に連結され、電磁波レーダを用いる第1検査具21が移動体10の移動方向と交差する方向に沿って複数個配列されている第1検査部20と、移動体10に連結され、電磁波レーダを用いる第2検査具31が構造物の表面において移動体10の移動方向と直交する成分を少なくとも有する方向に移動可能な第2検査部30とを備えるため、第1検査部20によって、移動体10の移動方向に沿った方向の反射波情報を得るとともに、第2検査部30によって、移動体10の移動方向とは直角な方向に沿った方向の反射波情報を得ることができる。従って、土中やアスファルト、コンクリート構造物内等の内部の空隙や鉄筋、配管等が密状態に配筋されている場合や、ダブル配筋のように複数の鉄筋等が重なっている場合であっても、構造物の内部の状態を高い精度で把握することができる。
【0050】
また、実施形態1に係る構造物検査装置1、構造物検査方法及び構造物検査システム100によれば、上記したように、移動体10の移動方向に沿った方向の反射波情報と移動体10の移動方向とは直角な成分の反射波情報とを得ることができるため、平面的な位置情報及び各地点の深さ情報を高い精度で得ることができる。
また、構造物検査装置1の第1検査部20によって得られた第1反射波情報と、構造物検査装置1の第2検査部30によって得られた第2反射波情報と、構造物検査装置1の第2検査具31の位置情報とを少なくとも含む情報に基づいて検査対象である構造物の内部の状態を解析することができるため、位置情報及び各地点の深さ情報を高い精度で得ることができ、表示部によって、3次元的に表示(例えば、3次元CT画像のようなバーチャル画像として表示)することができる。従って、反射波の波形データから構造物の内部の状態を識別しなくてもよくなることから、構造物の内部の状態を作業者の技量に左右されることなく安定して高い精度で把握することができる。
【0051】
また、実施形態1に係る構造物検査装置1、構造物検査方法及び構造物検査システム100によれば、構造物の表面に沿って連続的又は間欠的に移動する移動体10と、移動体10に連結され、電磁波レーダを用いる第1検査具21が移動体10の移動方向と交差する方向に沿って複数個配列されている第1検査部20と、移動体10に連結され、電磁波レーダを用いる第2検査具31が構造物の表面において移動体10の移動方向と直交する成分を少なくとも有する方向に移動可能な第2検査部30とを備えるため、1度の移動体10の移動で、移動体10の移動方向の反射波情報と、移動体10の移動方向とは直角な方向の反射波情報との両方を得ることができる。
また、第1検査具21が複数個配列されており、かつ、第2検査具31は移動体10の移動方向と直交する成分を少なくとも有する方向に移動するため、1度の移動体10の移動で、広範囲の反射波情報を得ることができる。
従って、大型構造物等の外壁など広大な面積の検査を行う場合であっても、構造物検査装置を往復させる回数が少なくて済み、作業効率を高くすることができる。
【0052】
また、実施形態1に係る構造物検査装置1、構造物検査方法及び構造物検査システム100によれば、各第1検査具21は、構造物の一方面に電磁波を照射する第1照射部23と、第1照射部23から照射された電磁波の反射波を受信する第1受信部24とを有し、第2検査具31は、構造物の一方面に電磁波を照射する第2照射部33と、第2照射部33から照射された電磁波の反射波を受信する第2受信部34とを有するため、1度の検査で(1度の移動体10の移動で)平面的に見て移動体10の移動方向に伝播する反射波と、移動体10の移動方向と直角な成分を有する方向に伝播する反射波との両方を受信することができる。このため、構造物の内部の状態についての情報を効率よく取得することができる。
【0053】
また、実施形態1に係る構造物検査装置1によれば、第2検査具31を構造物の表面に沿って揺動させる第2検査具移動機構40を備えるため、平面的に見て移動体10の移動方向と直角な成分を有する方向に伝播する反射波を比較的簡便な方法で受信することができる。
【0054】
[実施形態2]
図8は、実施形態2に係る構造物検査装置2を示す図である。図8(a)は構造物検査装置2の平面模式図であり、図8(b)は構造物検査装置2の側面模式図である。図9は、実施形態2における第2検査部30aの動作を模式的に示す図である。図9(a)は、移動体10を間欠的に移動させ、かつ、第2検査具31aを一方端から他方端まで移動させる様子を示す図であり、図9(b)は、移動体10を間欠的に移動させ、かつ、第2検査具31aを一方端と他方端との間を往復移動させる様子を示す図であり、図9(c)は、移動体10を連続的に移動させ、かつ、第2検査具31aを往復移動させる様子を示す図である。
【0055】
実施形態2に係る構造物検査装置2は、基本的には実施形態1に係る構造物検査装置1と同様の構成を有するが、第2検査部の構成が実施形態1に係る構造物検査装置1の場合とは異なる。すなわち、実施形態2に係る構造物検査装置2においては、第2検査具31aをレール51に沿って往復移動をさせる(図8参照。)。なお、実施形態2においては、移動体10の移動方向前方から移動体10、第2検査具31a、第1検査具21の順序で配置したが、移動体10、第1検査具21、第2検査具31aの順序で配置してもよいし、その他適宜の順序で配置してもよい。
【0056】
実施形態2に係る構造物検査装置2は、移動体10の移動方向と直交する方向に延在するレール51、及び、第2検査具31aをレール51に沿って移動させる第2検査具移動機構52を備える(図8参照。)。
レール51は、移動体10から延在する2本の支持部53の間に移動体10の移動方向と直交する方向に延在している。レール51にはレール溝が形成されており、第2検査具31aに取り付けられたランナーがレール溝に組み合わされ、第2検査具31aをレール51に沿って往復移動可能に連結されている。
第2検査具31aの両端にはそれぞれ2つの車輪36が配置されている。このため、第2検査具移動機構52によってスムーズな移動が可能となっている。
【0057】
実施形態2において、第1検査部20は、移動体10の移動に追従し、第2検査部30aは、第2検査具31aをレール51に沿って移動する。
第2検査具31aを往復移動させる方法としては、移動体10を間欠的に移動させ、かつ、第2検査具31aを一方端から他方端まで移動させてもよいし(図9(a)参照)、移動体10を間欠的に移動させ、かつ、第2検査具31aを一方端と他方端との間で往復移動させてもよいし(図9(b)参照)、移動体10を連続的に移動させ、かつ、第2検査具31aを往復移動させてもよい(図9(c)参照)。
【0058】
このように、実施形態2に係る構造物検査装置2は、第2検査部の構成が実施形態1に係る構造物検査装置1の場合とは異なるが、実施形態1に係る構造物検査装置1の場合と同様に、移動体10に連結され、移動体10の移動に追従し、電磁波レーダを用いる第1検査具21が移動体10の移動方向と交差する方向に沿って複数個配列されている第1検査部20と、移動体10に連結され、電磁波レーダを用いる第2検査具31aが少なくとも移動体10の移動方向と直交する成分を有する方向に移動可能な第2検査部30aとを備えるため、第1検査部20によって、移動体10の移動方向に沿った方向の反射波情報を得るとともに、第2検査部30aによって、移動体10の移動方向とは直角な方向に沿った方向の反射波情報を得ることができる。従って、土中やアスファルト、コンクリート構造物内等の内部の空隙や鉄筋、配管等が密状態に配筋されている場合や、ダブル配筋のように複数の鉄筋等が重なっている場合であっても、構造物の内部の状態を高い精度で把握することができる。
【0059】
また、実施形態2に係る構造物検査装置2によれば、移動体10の移動方向と直交する成分を少なくとも有する方向に延在するレール51と、第2検査具31aをレール51に沿って往復移動させる第2検査具移動機構52とを備えるため、比較的簡単な構成で、移動体10の移動方向に沿った方向の反射波情報と、移動体10の移動方向とは直角な方向の反射波情報とを1度の検査で得ることができる。
【0060】
なお、実施形態2に係る構造物検査装置2は、第2検査部の構成以外の点においては実施形態1に係る構造物検査装置1と同様の構成を有するため、実施形態1に係る構造物検査装置1が有する効果のうち該当する効果を有する。
【0061】
[実施形態3]
図10は、実施形態3に係る構造物検査装置3を示す図である。図10(a)は構造物検査装置3の平面模式図であり、図10(b)は構造物検査装置3の側面模式図である。図11は、実施形態3における第2検査部30a及びレール51の動作を模式的に示す図である。図11(a)~図11(f)は各工程図である。図12は、実施形態3における第2検査部30の軌跡を模式的に示す図である。
【0062】
実施形態3に係る構造物検査装置3は、基本的には実施形態2に係る構造物検査装置2と同様の構成を有するが、レールが延在する方向を切り替える点で実施形態2に係る構造物検査装置2の場合とは異なる。すなわち、実施形態3に係る構造物検査装置3は、レール51が延在する方向を切り替えるレール延在方向切替機構54を備える(図10参照。)。なお、レール51と2本の支持部53との接続の詳細については図示を省略する。
【0063】
実施形態3において、第2検査具移動機構52は、第2検査具31aをレール51に沿って移動させるが、レール延在方向切替機構54によって、レール51が移動体10の移動方向に対して傾けた状態となるため、第2検査具31aは、移動体10の移動方向に対して斜め後方に向かって進むことになる。
【0064】
ここで、第2検査具移動機構52及びレール延在方向切替機構54の動作を移動体10の移動と連動させることにより、第2検査具31aを疑似的に直線的に移動させることができる。
具体的には、まず、移動体10を移動させた状態で、第2検査具31aが移動体10の進行方向の左方にあるとき、レール延在方向切替機構54によって、レール51の右端が移動体10の進行方向の後方となるように(図11(a)のようにレール51が右下がりとなるように)レール51を傾ける。そして、第2検査具移動機構52によって第2検査具31aを左方から右方に向かって移動させる。このとき、移動体10と第2検査具31aとが移動しているが、第2検査具31aは外部から見て直線に移動しているように見える(図11(a)~図11(c)及び図12参照。)。第2検査具31aが右端に移動すると、レール延在方向切替機構54によって、レール51の左端が移動体10の進行方向の後方となるように(図11(d)のようにレール51が左下がりとなるように)レール51を傾ける。そして、第2検査具移動機構52によって第2検査具31aを右方から左方に向かって移動させる。このとき、移動体10と第2検査具31aとが移動しているが、第2検査具31aは外部から見て直線に移動しているように見える(図11(d)~図11(f)及び図12参照。)。以後、これを繰り返す。これにより、図12に示すように、第2検査具31aを移動体10の移動方向に対して直角な方向に移動させることができる。
【0065】
このように、実施形態3に係る構造物検査装置3は、レールが延在する方向を切り替える点で実施形態2に係る構造物検査装置2の場合とは異なるが、実施形態2に係る構造物検査装置2の場合と同様に、移動体10に連結され、移動体10の移動に追従し、電磁波レーダを用いる第1検査具21が移動体10の移動方向と交差する方向に沿って複数個配列されている第1検査部20と、移動体10に連結され、電磁波レーダを用いる第2検査具31aが少なくとも移動体10の移動方向と直交する成分を有する方向に移動可能な第2検査部30aとを備えるため、第1検査部20によって、移動体10の移動方向に沿った方向の反射波情報を得るとともに、第2検査部30aによって、移動体10の移動方向とは直角な方向に沿った方向の反射波情報を得ることができる。従って、土中やアスファルト、コンクリート構造物内等の内部の空隙や鉄筋、配管等が密状態に配筋されている場合や、ダブル配筋のように複数の鉄筋等が重なっている場合であっても、構造物の内部の状態を高い精度で把握することができる。
【0066】
また、実施形態3に係る構造物検査装置3によれば、レール51が延在する方向を切り替えるレール延在方向切替機構54を備えるため、第2検査具移動機構52及びレール延在方向切替機構54を調整し、第2検査具31aの移動を移動体10の移動と連動させることにより、第2検査具31aを移動体10の移動方向に対して直角な方向に疑似的に直線的に移動させることができる。従って、受信した反射波データの解析過程において、移動体10の移動方向の成分を取り除く作業が必要なく、高い精度で移動体10の移動方向に対して直角な方向の反射波データを得ることができる。
【0067】
なお、実施形態3に係る構造物検査装置3は、レールが延在する方向を切り替える点以外の点においては実施形態2に係る構造物検査装置2と同様の構成を有するため、実施形態2に係る構造物検査装置2が有する効果のうち該当する効果を有する。
【0068】
[実施形態4]
図13は、実施形態4に係る構造物検査装置4を示す図である。図13(a)は構造物検査装置4の平面模式図であり、図13(b)は構造物検査装置4の側面模式図である。
【0069】
実施形態4に係る構造物検査装置4は、基本的には実施形態1に係る構造物検査装置1と同様の構成を有するが、第1検査部及び第2検査部の構成が実施形態1に係る構造物検査装置1の場合とは異なる。すなわち、実施形態4に係る構造物検査装置4においては、移動体10bの下側(構造物の表面と対向する面側)における、駆動輪12と従動輪13との間に第1検査具21b(第1検査部ユニット27b)及び第2検査具31bが取り付けられている。なお、図13(b)において、移動体10bと第1検査具ユニット27とを接続する接続部については図示を省略している。
【0070】
このように、実施形態4に係る構造物検査装置4は、第1検査部及び第2検査部の構成が実施形態1に係る構造物検査装置1の場合とは異なるが、実施形態1に係る構造物検査装置1の場合と同様に、移動体10bに連結され、移動体10bの移動に追従し、電磁波レーダを用いる第1検査具21が移動体10bの移動方向と交差する方向に沿って複数個配列されている第1検査部20と、移動体10bに連結され、電磁波レーダを用いる第2検査具31bが少なくとも移動体10の移動方向と直交する成分を有する方向に移動可能な第2検査部30bとを備えるため、第1検査部20によって、移動体10bの移動方向に沿った方向の反射波情報を得るとともに、第2検査部30bによって、移動体10bの移動方向とは直角な方向に沿った方向の反射波情報を得ることができる。従って、土中やアスファルト、コンクリート構造物内等の内部の空隙や鉄筋、配管等が密状態に配筋されている場合や、ダブル配筋のように複数の鉄筋等が重なっている場合であっても、構造物の内部の状態を高い精度で把握することができる。
【0071】
なお、実施形態4に係る構造物検査装置4は、第1検査部及び第2検査部の構成以外の点においては実施形態1に係る構造物検査装置1と同様の構成を有するため、実施形態1に係る構造物検査装置1が有する効果のうち該当する効果を有する。
【0072】
[実施形態5]
図14は、実施形態5に係る構造物検査装置5を示す図である。図14(a)は構造物検査装置5の平面模式図であり、図14(b)は構造物検査装置5の側面模式図である。図15は、実施形態5における第2検査具31の動作を示す図である。図15(a)は移動体10から見た第2検査具31の移動可能範囲を模式的に示す図であり、図15(b)は第2検査具31が移動体の移動方向に対して直交する方向に直線的に往復移動させた場合の第2検査具31の動作を示す図であり、図15(c)は第2検査具31が移動体10の移動方向に対して斜めに交差する方向に往復移動させた場合の第2検査具31の動作を示す図であり、図15(d)は図15(c)の場合の第2検査具31の軌跡を模式的に示す図である。
【0073】
実施形態5に係る構造物検査装置5は、基本的には実施形態1に係る構造物検査装置1と同様の構成を有するが、第2検査具連結部の構成が実施形態1に係る構造物検査装置1の場合とは異なる。すなわち、実施形態5に係る構造物検査装置5において、第2検査具連結部32cは、第2検査具31が揺動する支点から第2検査具31までの長さを伸縮させる伸縮機構(図示せず)を有し(具体的には、ばね等の弾性体が内蔵されている)、第2検査具31を揺動させるとともに第2検査具連結部32cを伸び縮みさせて第2検査具31と移動体10との間の距離を変動させることができる。
【0074】
これにより、第2検査具31を広い範囲で(移動体10が停止している場合には図15(a)の符号Bで示す領域全ての範囲で)移動可能となる。従って、第2検査具連結部32cの伸縮と第2検査具31の往復移動とを連動させることにより、例えば、第2検査具31を、移動体の移動方向とは直交する方向に直線的に移動させることができる(図15(b)参照。)。この場合には、第2検査具31は、図9のような軌跡をたどるように第2検査具31を移動させることができる。
また、第2検査具31を、移動体10の移動方向に対して斜めに交差する方向に往復移動させることもできる(図15(c)参照)。従って、移動体10の移動と連動させることにより、疑似的に移動体10の移動方向とは直交する方向に疑似的に直線的に往復移動させることもできる(図15(d)参照)。
【0075】
このように、実施形態5に係る構造物検査装置5は、第2検査具連結部の構成が実施形態1に係る構造物検査装置1の場合とは異なるが、実施形態1に係る構造物検査装置1の場合と同様に、移動体10に連結され、電磁波レーダを用いる第1検査具21が移動体10の移動方向と交差する方向に沿って複数個配列されている第1検査部20と、移動体10に連結され、電磁波レーダを用いる第2検査具31が移動体10の移動方向と直交する成分を少なくとも有する方向に移動可能な第2検査部30とを備えるため、第1検査部20によって、移動体10の移動方向に沿った方向の反射波情報を得るとともに、第2検査部30によって、移動体10の移動方向とは直角な方向に沿った方向の反射波情報を得ることができる。従って、土中やアスファルト、コンクリート構造物内等の内部の空隙や鉄筋、配管等が密状態に配筋されている場合や、ダブル配筋のように複数の鉄筋等が重なっている場合であっても、構造物の内部の状態を高い精度で把握することができる。
【0076】
なお、実施形態5に係る構造物検査装置5は、第1検査部及び第2検査部の構成以外の点においては実施形態1に係る構造物検査装置1と同様の構成を有するため、実施形態1に係る構造物検査装置1が有する効果のうち該当する効果を有する。
【0077】
[変形例1]
図16は、変形例1に係る構造物検査装置1aを示す図である。図16(a)は構造物検査装置1aの平面模式図であり、図16(b)は構造物検査装置1aの側面模式図である。図17は、変形例1における第2検査部30の動作を模式的に示す図である。図17(a)は、移動体10を間欠的に移動させ、かつ、第2検査具31を一方端から他方端まで揺動させる様子(移動体10が移動方向に移動していないときには第2検査具31を一方端から他方端まで揺動させ、移動体10が移動方向に移動しているときには第2検査具31を停止させる様子)を示す図であり、図17(b)は、移動体10を間欠的に移動させ、かつ、第2検査具31を一方端から他方端まで揺動させる様子(移動体10が移動方向に移動していないときには第2検査具31を一方端から他方端、そして、一方端に戻るまで揺動させ、移動体10が移動方向に移動しているときには第2検査具31を停止させる様子)を示す図であり、図17(c)は、移動体10を連続的に移動させ、かつ、第2検査具31を揺動させる様子を示す図である。
【0078】
変形例1に係る構造物検査装置1aは、基本的には実施形態1に係る構造物検査装置1と同様の構成を有するが、第1検査具を設けない点で実施形態1に係る構造物検査装置1の場合とは異なる(図16参照)。
【0079】
変形例1に係る構造物検査装置1aにおいては、第1検査具を設けないが、第2検査具31は振り子運動をしており、移動体10の移動方向に沿った方向の反射波情報を得るとともに、移動体10の移動方向とは直角な方向に沿った方向の反射波情報を得ることができる。従って、移動体の移動間隔を実施形態1よりも短くすることによって(図17参照)、移動体10の移動方向とは直角な方向に沿った方向の反射波情報を詳細に得ることができるだけでなく、移動体10の移動方向に沿った方向の反射波情報を得ることができる。
【0080】
このように、変形例1に係る構造物検査装置1aは、第1検査具を設けない点で実施形態1に係る構造物検査装置1の場合とは異なるが、移動体10に連結され、電磁波レーダを用いる第2検査具31が少なくとも移動体10の移動方向と直交する成分を有する方向に移動可能な第2検査部30を備えるため、第2検査部30によって、移動体10の移動方向に沿った方向の反射波情報を得るとともに、移動体10の移動方向とは直角な方向に沿った方向の反射波情報を得ることができる。従って、土中やアスファルト、コンクリート構造物内等の内部の空隙や鉄筋、配管等が密状態に配筋されている場合や、ダブル配筋のように複数の鉄筋等が重なっている場合であっても、構造物の内部の状態を高い精度で把握することができる。
【0081】
また、変形例1に係る構造物検査装置1aによれば、第1検査具が設けられていないため、比較的簡単な構成で構造物の内部の状態を高い精度で把握することができる。
【0082】
なお、変形例1に係る構造物検査装置1aは、第1検査具を設けない点以外の点においては実施形態1に係る構造物検査装置1と同様の構成を有するため、実施形態1に係る構造物検査装置1が有する効果のうち該当する効果を有する。
【0083】
[変形例2]
図18は、変形例2に係る構造物検査装置2aを示す図である。図18(a)は構造物検査装置2aの平面模式図であり、図18(b)は構造物検査装置2aの側面模式図である。図20は、変形例2における第2検査部30aの動作を模式的に示す図である。図19(a)は、移動体10を連続的に移動させ、かつ、第2検査具31を往復移動させる様子を示す図であり、図19(b)は、移動体10を間欠的に移動させ、かつ、第2検査具31aを一方端から他方端まで移動させる様子を示す図であり、図19(c)は、移動体10を間欠的に移動させ、かつ、第2検査具31aを往復移動させる様子を示す図である。
【0084】
変形例2に係る構造物検査装置1aは、基本的には実施形態2に係る構造物検査装置2と同様の構成を有するが、第1検査具を設けない点で実施形態2に係る構造物検査装置2の場合とは異なる(図18参照)。
【0085】
変形例2に係る構造物検査装置2aにおいても、変形例1に係る構造物検査装置1aの場合と同様に第1検査具を設けないが、移動体10を移動させながら第2検査具31aを一方端から他方端まで往復させることによって(図19(a)参照)、移動体10の移動方向に沿った方向の反射波情報、及び、移動体10の移動方向とは直角な方向に沿った方向の反射波情報の両方を含む情報を得ることができる。なお、移動体の移動間隔を実施形態2の場合よりも短くすることによって(図19参照)、移動体10の移動方向に沿った方向の反射波情報をより詳細に得ることできるため、第2検査具のみの場合であっても構造物の内部の状態を十分に高い精度で把握することができる。
【0086】
なお、図19(b)及び図19(c)に示すように、第2検査具31aが移動体10の移動方向とは直角な方向に沿った方向に移動する場合には、移動体10の移動方向に沿った方向の反射波情報は得られないものの、移動体10の移動方向に沿った方向とは垂直な方向に沿った方向の反射波情報を、第2検査具31aの往復運動によって様々な方向から繰り返し得ることができることから、移動体の移動間隔を短くすることによって詳細な反射波情報を得ることで、構造物の内部の状態を比較的高い精度で把握することができる。
【0087】
このように、変形例2に係る構造物検査装置2aは、第1検査具を設けない点で実施形態2に係る構造物検査装置2の場合とは異なるが、第2検査具31aが少なくとも移動体10の移動方向と直交する成分を有する方向に移動可能な第2検査部30aを備えるため、第2検査部30によって、移動体10の移動方向に沿った方向の反射波情報を得るとともに、移動体10の移動方向とは直角な方向に沿った方向の反射波情報を得ることができる。従って、土中やアスファルト、コンクリート構造物内等の内部の空隙や鉄筋、配管等が密状態に配筋されている場合や、ダブル配筋のように複数の鉄筋等が重なっている場合であっても、構造物の内部の状態を高い精度で把握することができる。
【0088】
また、変形例2に係る構造物検査装置2aによれば、第1検査具が設けられていないため、比較的簡単、かつ、安価で軽量な構成とすることができる。なお、第1検査具が設けられていないが、移動体の移動間隔を実施形態1よりも短くすることにより、第2検査具で反射波情報を高い精度で受信することができるため、第2検査具が受信する反射波情報を分析することで構造物の内部の状態を高い精度で把握することができる。
【0089】
なお、変形例2に係る構造物検査装置2aは、第1検査具を設けない点以外の点においては実施形態2に係る構造物検査装置2と同様の構成を有するため、実施形態2に係る構造物検査装置2が有する効果のうち該当する効果を有する。
【0090】
以上、本発明を上記の実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。その趣旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば、次のような変形も可能である。
【0091】
(1)上記各実施形態において記載した構成要素の数、形状、位置、大きさ等は例示であり、本発明の効果を損なわない範囲において変更することが可能である。例えば、上記各実施形態において、第2検査部は1つの検査具を有するが、本発明はこれに限定されるものではない。第2検査部は複数の検査具を有することとしてもよい。
【0092】
(2)上記実施形態3~5に係る構造物検査装置3~5においては、第1検査具を設けることとしたが、第1検査具を設けなくてもよい(変形例3に係る構造物検査装置3a(図20参照)、変形例4に係る構造物検査装置4a(図21参照)、変形例5に係る構造物検査装置5a(図22参照))。この場合であっても、変形例1及び2と同様に、第2検査具が移動体の移動方向に沿った成分及び移動体の移動方向と直交する成分の両方の成分を有する方向に移動可能な第2検査部を備えるため、第2検査部によって、移動体の移動方向に沿った方向の反射波情報を得るとともに、移動体の移動方向とは直角な方向に沿った方向の反射波情報を得ることができる。従って、土中やアスファルト、コンクリート構造物内等の内部の空隙や鉄筋、配管等が密状態に配筋されている場合や、ダブル配筋のように複数の鉄筋等が重なっている場合であっても、構造物の内部の状態を高い精度で把握することができる。なお、移動体の移動間隔を実施形態3-5よりも短くすることによって、第2検査具で反射波情報を高い精度で受信することができるため、第2検査具が受信する反射波情報を分析することで構造物の内部の状態を高い精度で把握することができる。
【0093】
(3)上記実施形態1,4,5及び変形例1,4,5において、第2検査具連結部として、1本のプレートの第2検査具連結部を用いたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、第2検査具連結部として、2本の平行アームを用いたリンク構造の第2検査具連結部32aを用いてもよい(例えば、変形例6に係る構造物検査装置1b(図23参照))。この場合には、第2検査具31が移動体10の移動方向に対して常に同じ方向(移動方向に垂直な方向)を向いたまま揺動する(図23(b)参照)。このため、第2検査具の反射波のデータ解析の際に第2検査具31の傾きを考慮しなくてもよくなり、反射波情報のデータ解析が容易となる、という利点がある。
【0094】
(4)上記実施形態1,4,5においては、第2検査具を揺動によって、実施形態2及び3においてはレールによって第2検査具を移動体の移動方向に対して直交する成分を含む方向に移動させたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、ばねを用いて第2検査具を移動体の移動方向に対して直交する成分を含む方向に移動させてもよいし、その他適宜の方法で第2検査具を移動体の移動方向に対して直交する成分を含む方向に移動させてもよい。
【0095】
(5)上記各実施形態においては、第1検査具21を移動体10の移動方向に対して直交するように配置したが、本発明はこれに限定されるものではない。第1検査具を移動体の移動方向に対して斜めに配置してもよい。
【0096】
(6)上記実施形態2においては、レール51を移動体10の移動方向に対して直交するように配置したが、本発明はこれに限定されるものではない。レール51を移動体の移動方向に対して斜めに配置してもよい。
【0097】
(7)上記実施形態3においては、移動体10及び第2検査具31aの移動速度とレールの傾きを連動させることにより、上記実施形態5においては、移動体10、第2検査具31aの移動速度及び第2検査具連結部32cの伸縮を連動させることにより、第2検査具を疑似直線的に移動させたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、いわゆるワッツのリンクの機構を用いる等疑似直線運動をさせて第2検査具を疑似直線的に移動させてもよい。
【0098】
(8)上記各実施形態においては、移動体として、床面上を走行する走行車を用いたが、本発明はこれに限定されるものではない。移動体として、構造物の傾斜面、垂直面、或いは天井面などの構造物の表面に沿って走行する(登攀する)走行車を用いてもよいし、ドローン等の空中を移動させる飛翔体を用いてもよい。
【0099】
(9)上記各実施形態においては、移動体に駆動部を設け自走可能な移動体を用いたが、本発明はこれに限定されるものではない。駆動部を設けず、作業者が動かすことを前提とした移動体を用いてもよい。
【0100】
(10)上記各実施形態においては、第1検査具及び第2検査具を設けたが、第2検査具を設けない場合も考えられる。この場合、第1検査具を多数配置し、多数の反射波情報を得ることによって構造物の内部の状態を高い精度、かつ、多角的に把握することができる。
【0101】
(11)上記各実施形態においては、移動体の移動手段として駆動輪及び従動輪からなる車輪を用いたが、本発明はこれに限定されるものではない。走行帯を用いたキャタピラ等適宜の移動手段を用いることができる。
【符号の説明】
【0102】
1,1a,1b,2,2a,3,3a,4,4a,5,5a…構造物検査装置、10…移動体、11…本体ユニット、12…駆動輪、13…従動輪、15…本体駆動部、20…第1検査部、21,21b…第1検査具、22…第1検査具連結部、23…第1照射部、24…第1受信部、26,36…車輪、27…第1検査具ユニット、30、30a,30b,30c…第2検査部、31,31a,31b,31c…第2検査具、32,32c…第2検査具連結部、33…第2照射部、34…第2受信部、35…保持板、37…回転軸、40,52…第2検査具移動機構、41…リンク用モータ、42…リンク駆動輪、43…従動アーム、44…ジョイント部、51…レール、53…支持板、54…レール延在方向切替機構、70…解析部、80…表示部、100…構造物検査システム
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