(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-14
(45)【発行日】2025-01-22
(54)【発明の名称】ゲームシステム、プログラムおよびゲームシステムの制御方法
(51)【国際特許分類】
A63F 9/00 20060101AFI20250115BHJP
A63F 13/79 20140101ALI20250115BHJP
【FI】
A63F9/00 513
A63F13/79
(21)【出願番号】P 2023216355
(22)【出願日】2023-12-22
(62)【分割の表示】P 2019067980の分割
【原出願日】2019-03-29
【審査請求日】2024-01-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000169477
【氏名又は名称】株式会社コナミアミューズメント
(72)【発明者】
【氏名】奥秋 政人
(72)【発明者】
【氏名】内山 貴視
(72)【発明者】
【氏名】中坂 昇
(72)【発明者】
【氏名】古屋 学
(72)【発明者】
【氏名】石丸 哲夫
【審査官】池田 剛志
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-100384(JP,A)
【文献】特開2009-247460(JP,A)
【文献】特開2009-226098(JP,A)
【文献】特開2013-066510(JP,A)
【文献】特開2007-143998(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 5/04,
9/00-13/98
G06Q 50/00-50/20,
50/26-99/00
G07F 17/00-17/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子遊技媒体を利用するゲームを実行するゲーム装置と、
電子遊技媒体の所有量が利用者毎に登録された口座データを管理する管理装置と
を具備するゲームシステムであって、
電子遊技媒体の所有量が口座データに登録されていない第1利用者が前記ゲーム装置内
に所有する電子遊技媒体の数量である保持数量と第1識別情報とを
、前記保持数量を前記口座データに登録することなく対応付ける管理部と、
前記第1識別情報
に基づいて前記保持数量を前記
第1利用者の所有量として前記口座データに登録する
第1登録部と
を具備し、
前記管理部は、所定の時間が経過することで前記保持数量と前記第1識別情報とを消去する
ゲームシステム。
【請求項2】
電子遊技媒体を利用するゲームを実行するゲーム装置と、
電子遊技媒体の所有量が利用者毎に登録された口座データを管理する管理装置と
を具備するゲームシステムに組み込まれるコンピュータを、
電子遊技媒体の所有量が口座データに登録されていない第1利用者が前記ゲーム装置内に所有する電子遊技媒体の数量である保持数量と第1識別情報とを、前記保持数量を前記口座データに登録することなく対応付ける管理手段、
前記第1識別情報に基づいて前記保持数量を前記第1利用者の所有量として前記口座データに登録する第1登録手段として機能させ、
前記管理手段は、所定の時間が経過することで前記保持数量と前記第1識別情報とを消去する
プログラム。
【請求項3】
電子遊技媒体を利用するゲームを実行するゲーム装置と、
電子遊技媒体の所有量が利用者毎に登録された口座データを管理する管理装置と
を具備するゲームシステムに組み込まれるコンピュータに、
電子遊技媒体の所有量が口座データに登録されていない第1利用者が前記ゲーム装置内に所有する電子遊技媒体の数量である保持数量と第1識別情報とを、前記保持数量を前記口座データに登録することなく対応付ける管理手順と、
前記第1識別情報に基づいて前記保持数量を前記第1利用者の所有量として前記口座データに登録する第1登録手順とを実行させ、
前記管理手順は、所定の時間が経過することで前記保持数量と前記第1識別情報とを消去する
ゲームシステムの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子遊技媒体を利用したゲームに関する。
【背景技術】
【0002】
例えばトークンコイン(メダル)等の有体の物理遊技媒体に代えて電子メダル等の電子遊技媒体を利用するゲームシステムが従来から提案されている。例えば特許文献1には、事前に登録された複数の利用者の各々について電子遊技媒体の所有量を電子メダル管理システムに登録し、電子遊技媒体の消費と引換えに利用者がゲームをプレイする構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の技術のもとで利用者が電子遊技媒体をゲームに利用するには事前の登録が必要であり、未登録の利用者は、電子遊技媒体をゲームのプレイに利用できない。したがって、電子遊技媒体を利用可能なゲームを多数の利用者がプレイすることが制限される。以上の事情を考慮して、本発明は、多数の利用者による電子遊技媒体の利用を促進することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の課題を解決するために、本発明の好適な態様に係るゲームシステムは、電子遊技媒体を利用するゲームを実行するゲーム装置と、電子遊技媒体の所有量が利用者毎に登録された口座データを管理する管理装置とを具備するゲームシステムであって、前記ゲーム装置内に利用者が所有する電子遊技媒体の数量である保持数量と第1識別情報とを対応付ける管理部と、第2識別情報の入力を受付ける受付部と、前記第1識別情報と前記第2識別情報とが相互に対応する場合に、前記保持数量を前記利用者の所有量として前記口座データに登録する登録部とを具備する。
【0006】
本発明の好適な態様に係るゲームシステムは、電子遊技媒体を利用するゲームを実行するゲーム装置と、電子遊技媒体の所有量が利用者毎に登録された口座データを管理する管理装置とを具備するゲームシステムであって、利用者からの指示に応じて、当該利用者の認証の有無を判定し、当該利用者が認証されている場合には、前記ゲーム装置内に利用者が所有する電子遊技媒体の数量である保持数量を前記口座データに登録し、当該利用者が認証されていない場合には、前記保持数量を前記口座データに登録せずに、当該利用者による前記ゲームのプレイの進行を停止する。
【0007】
本発明の好適な態様に係るゲームシステムの動作方法は、電子遊技媒体を利用するゲームを実行するゲーム装置と、電子遊技媒体の所有量が利用者毎に登録された口座データを管理する管理装置とを具備するゲームシステムの動作方法であって、前記ゲーム装置内に利用者が所有する電子遊技媒体の数量である保持数量と第1識別情報とを対応付け、第2識別情報の入力を受付け、前記第1識別情報と前記第2識別情報とが相互に対応する場合に、前記保持数量を前記利用者の所有量として前記口座データに登録する。
【0008】
本発明の好適な態様に係るゲームシステムの動作方法は、電子遊技媒体を利用するゲームを実行するゲーム装置と、電子遊技媒体の所有量が利用者毎に登録された口座データを管理する管理装置とを具備するゲームシステムの動作方法であって、利用者からの指示に応じて、当該利用者の認証の有無を判定し、当該利用者が認証されている場合には、前記ゲーム装置内に利用者が所有する電子遊技媒体の数量である保持数量を前記口座データに登録し、当該利用者が認証されていない場合には、前記保持数量を前記口座データに登録せずに、当該利用者による前記ゲームのプレイの進行を停止する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態に係るゲームシステムの構成を例示するブロック図である。
【
図2】管理装置の構成を例示するブロック図である。
【
図4】媒体付与装置の構成を例示するブロック図である。
【
図5】第1媒体付与処理の具体的な手順を例示するフローチャートである。
【
図6】ゲーム装置の構成を例示するブロック図である。
【
図7】引出処理の具体的な手順を例示するフローチャートである。
【
図8】引出処理の具体的な手順を例示するフローチャートである。
【
図9】第2媒体付与処理の具体的な手順を例示するフローチャートである。
【
図10】終了処理の具体的な手順を例示するフローチャートである。
【
図11】預入処理の具体的な手順を例示するフローチャートである。
【
図12】保管処理の具体的な手順を例示するフローチャートである。
【
図13】登録処理の具体的な手順を例示するフローチャートである。
【
図14】第2実施形態における保管処理の具体的な手順を例示するフローチャート である。
【
図15】第3実施形態における終了処理の具体的な手順を例示するフローチャート である。
【
図16】第4実施形態における登録処理の具体的な手順を例示するフローチャート である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。以下に記載する実施の形態は、技術的に好適な種々の限定を含む。本発明の範囲は、以下に例示する形態には限定されない。
【0011】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係るゲームシステム1の構成を例示するブロック図である。第1実施形態のゲームシステム1は、例えば遊技施設に設置される。遊技施設は、例えばゲームセンターまたはカジノ等の娯楽施設、またはショッピングセンター等の商業施設である。遊技施設には複数の利用者H(Ha,Hb)が所在する。
【0012】
第1実施形態のゲームシステム1においては電子遊技媒体が利用される。電子遊技媒体は、ゲームにおいて利用される価値を有する電子的な媒体(すなわち電子データ)であり、例えばトークンコイン(メダル)、コイン(貨幣)またはチケット等の有体の媒体である物理遊技媒体とは区別される。トークンコイン等の物理メダルとの対比において、電子遊技媒体は電子メダルとも表記される。
【0013】
ゲームシステム1において電子遊技媒体を利用するためには、利用者Hは事前に登録(以下「利用登録」という)を実施する必要がある。以下の説明では、遊技施設内の複数の利用者Hを、利用登録を既に実施した利用者Haと、利用登録を実施していない利用者Hbとに便宜的に区別する。利用登録により利用者Haには識別情報Uが付与される。識別情報Uは、利用者Haを識別するための符号列である。識別情報Uは、例えば利用者Haに発行されるICカード等の可搬型の記録媒体(以下「登録カード」という)に記憶される。
【0014】
図1に例示される通り、第1実施形態のゲームシステム1は、管理装置10と媒体付与装置20と複数のゲーム装置30とを具備する。複数のゲーム装置30の各々は、利用者H(HaまたはHb)にゲームを提供する。管理装置10は、複数のゲーム装置30の各々が実行するゲームに利用される電子遊技媒体を管理する。管理装置10は、複数のゲーム装置30の各々との間で通信網2を介して通信する。通信網2は、例えば遊技施設内に構築されたLAN(Local Area Network)である。なお、管理装置10または各ゲーム装置30と通信網2との間の通信は有線および無線の何れでもよい。媒体付与装置20は、例えば有線または無線で管理装置10に接続され、当該管理装置10との間で通信する。なお、媒体付与装置20が通信網2を介して媒体付与装置20と通信してもよい。また、媒体付与装置20の機能を管理装置10に搭載してもよい。なお、通信網2は、例えばインターネットを含んでもよい。
【0015】
図2は、管理装置10の構成を例示するブロック図である。
図2に例示される通り、管理装置10は、制御装置11と記憶装置12と通信装置13と表示装置14と操作装置15とを具備する。なお、管理装置10は、単体の装置として実現されるほか、相互に別体で構成された複数の装置の集合(すなわちシステム)でも実現される。
【0016】
制御装置11は、例えば単数または複数のプロセッサで構成され、管理装置10の各要素を制御する。具体的には、例えばCPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、またはASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の1種類以上のプロセッサにより、制御装置11が構成される。通信装置13は、制御装置11による制御のもとで、複数のゲーム装置30の各々および媒体付与装置20との間で通信する。
【0017】
表示装置14は、例えば液晶表示パネルで構成され、制御装置11による制御のもとで各種の画像を表示する。操作装置15は、遊技施設内の利用者Hによる操作を受付ける。例えば利用者Hが押下する複数の操作子、または利用者Hによる接触を検知するタッチパネルが、操作装置15として利用される。
【0018】
記憶装置12は、制御装置11が実行するプログラムと制御装置11が使用する各種のデータとを記憶する。例えば半導体記録媒体および磁気記録媒体等の公知の記録媒体、または複数種の記録媒体の組合せが、記憶装置12として採用される。第1実施形態の記憶装置12は口座データAを記憶する。
【0019】
図3は、口座データAの模式図である。
図3に例示される通り、口座データAは、登録済の複数の利用者Haの各々について、当該利用者Haの識別情報U(U1,U2,…)と所有量X(X1,X2,…)とが登録されたデータテーブルである。所有量Xは、利用者Haが所有する電子遊技媒体の数量である。利用者Haは、自身の所有量Xの範囲内で電子遊技媒体を管理装置10から任意のゲーム装置30に転送することで、電子遊技媒体を当該ゲーム装置30において利用できる。
【0020】
図4は、媒体付与装置20の構成を例示するブロック図である。媒体付与装置20は、登録済の利用者Haが所有する通貨と引換えに電子遊技媒体を付与する装置であり、物理メダルにおけるメダル貸出機に相当する。
図4に例示される通り、媒体付与装置20は、制御装置21と記憶装置22と通信装置23と操作装置25と受付機構26とを具備する。
【0021】
制御装置21は、例えば単数または複数のプロセッサで構成され、媒体付与装置20の各要素を制御する。具体的には、例えばCPU、GPU、DSP、FPGA、またはASIC等の1種類以上のプロセッサにより、制御装置21が構成される。通信装置23は、制御装置21による制御のもとで管理装置10と通信する。記憶装置22は、制御装置21が実行するプログラムと制御装置21が使用する各種のデータとを記憶する。例えば半導体記録媒体および磁気記録媒体等の公知の記録媒体、または複数種の記録媒体の組合せが、記憶装置22として採用される。操作装置25は、利用者Haによる操作を受付ける。例えば利用者Haが押下する複数の操作子、または利用者Haによる接触を検知するタッチパネルが、操作装置25として利用される。
【0022】
受付機構26は、利用者Haから通貨を受付ける機構である。具体的には、紙幣または硬貨等の通貨の投入を利用者Haから受付ける投入機構が受付機構26として好適に利用される。電子データで表現される電子的な通貨(すなわち電子マネー)を受付ける構成では、電子マネーによる決済に利用されるICカード等の記録媒体から情報を取得する読取機が受付機構26として利用される。
【0023】
図5は、媒体付与装置20が利用者Haに電子遊技媒体を付与する処理(以下「第1媒体付与処理」という)の具体的な手順を例示するフローチャートである。操作装置25に対する利用者Haからの指示を契機として第1媒体付与処理が実行される。
【0024】
第1媒体付与処理を開始すると、制御装置21は、利用者Haの識別情報Uを受付ける(Sa1)。例えば登録カードから識別情報Uを取得する処理、または、操作装置25の操作で利用者Haが指示した識別情報Uを取得する処理が実行される。
【0025】
制御装置21は、受付機構26により利用者Haから通貨を受付ける(Sa2)。利用者Haは、電子遊技媒体の取得のために使用する通貨の数量(以下「投入量」という)を任意に選定することが可能である。制御装置21は、電子遊技媒体の数量(以下「付与量」という)Y1を通貨の投入量に応じて設定する(Sa3)。例えば、所定の変換率R1を通貨の投入量に乗算することで、電子遊技媒体の付与量Y1が算定される。変換率R1は、通貨の投入量に対する電子遊技媒体の数量の比率である。
【0026】
制御装置21は、媒体付与要求を通信装置23から管理装置10に送信する(Sa4)。媒体付与要求は、利用者Haに対する電子遊技媒体の付与を要求するメッセージである。媒体付与要求は、利用者Haから受付けた識別情報Uと電子遊技媒体の付与量Y1とを含む。
【0027】
管理装置10の制御装置11は、媒体付与装置20が送信した媒体付与要求を通信装置13により受信する(Sa5)。制御装置11は、利用者Haについて口座データAに登録された電子遊技媒体の所有量Xを更新する(Sa6)。具体的には、制御装置11は、媒体付与要求内の識別情報Uを口座データAから検索し、当該識別情報Uに対応する電子遊技媒体の所有量Xに、媒体付与要求内の付与量Y1を加算する。以上の説明から理解される通り、媒体付与装置20に対する通貨の投入により利用者Haに付与された電子遊技媒体(所有量X)が管理装置10に保管される。
【0028】
図6は、複数のゲーム装置30の各々の構成を例示するブロック図である。
図6に例示される通り、ゲーム装置30は、制御装置31と記憶装置32と通信装置33と表示装置34と操作装置35と受付機構36とを具備する。
図6では図示を省略したが、実際にはゲームの内容に応じたゲーム機構がゲーム装置30には搭載される。例えば、物理抽選を含む抽選ゲームのゲーム装置30には、物理抽選のための物理抽選機構(例えばルーレット)が設置される。また、複数の物理メダルを落下させるプッシャーゲームのゲーム装置30には、物理メダルを移動および落下させるためのプッシャー機構が設置される。なお、各ゲーム装置30は、単体の装置として実現されるほか、相互に別体で構成された複数の装置の集合(すなわちシステム)でも実現される。
【0029】
制御装置31は、例えば単数または複数のプロセッサで構成され、ゲーム装置30の各要素を制御する。具体的には、例えばCPU、GPU、DSP、FPGA、またはASIC等の1種類以上のプロセッサにより、制御装置31が構成される。通信装置33は、制御装置31による制御のもとで通信網2を介して管理装置10と通信する。
【0030】
表示装置34は、例えば液晶表示パネルで構成され、制御装置31による制御のもとで各種の画像を表示する。例えばゲームの進行を表すゲーム画面が表示装置34に表示される。操作装置35は、利用者Hによる操作を受付ける。例えば利用者Hが押下する複数の操作子、または利用者Hによる接触を検知するタッチパネルが、操作装置35として利用される。
【0031】
記憶装置32は、制御装置31が実行するプログラムと制御装置31が使用する各種のデータとを記憶する。例えば半導体記録媒体および磁気記録媒体等の公知の記録媒体、または複数種の記録媒体の組合せが、記憶装置32として採用される。
【0032】
第1実施形態の記憶装置32は、利用者Hがゲームのプレイに使用するクレジットの数量Cを記憶する。クレジットは、利用者Hがゲームのプレイの対価として消費する電子的な媒体(すなわち電子データ)である。クレジットの数量Cは、ゲーム装置30によるゲームの進行に応じて随時に増減する。例えばゲームにおいて実行される抽選に利用者Hが当選した場合、または例えば対戦等の各種のイベントにおける目標を利用者Hが達成した場合に、クレジットは増加する。また、利用者Hが抽選に当選しない場合、または、各種のイベントにおける目標の達成に利用者Hが失敗した場合に、クレジットは減少する。電子遊技媒体とクレジットとは相互に変換可能である。
【0033】
受付機構36は、利用者Hから通貨を受付ける機構である。具体的には、紙幣または硬貨等の通貨の投入を利用者Hから受付ける投入機構が受付機構36として好適に利用される。電子データで表現される電子的な通貨(すなわち電子マネー)を受付ける構成では、電子マネーによる決済に利用されるICカード等の記録媒体から情報を取得する読取機が受付機構36として利用される。受付機構36が受付けた通貨に応じた数量のクレジットが利用者Hに付与される。
【0034】
登録済の利用者Haは、自身が所有する電子遊技媒体を管理装置10からゲーム装置30に転送し、当該電子遊技媒体を変換したクレジットをゲームに利用できる。他方、利用登録を実施していない利用者Hbは、受付機構36に対する通貨の投入により当該利用者Hbに付与されたクレジットをゲームに利用することが可能である。なお、利用者Haも、管理装置10から転送された電子遊技媒体に対応するクレジットを利用するほか、受付機構36に対する通貨の投入により付与されたクレジットをゲームに利用できる。
【0035】
図7および
図8は、管理装置10からゲーム装置30に電子遊技媒体を転送する処理(以下「引出処理」という)の具体的な手順を例示するフローチャートである。登録済の利用者Haは、所望のゲーム装置30の操作装置35を操作することで、管理装置10からの電子遊技媒体の転送を指示することが可能である。利用者Haからの指示を契機として引出処理が開始される。
【0036】
引出処理を開始すると、制御装置31は、利用者Haの識別情報Uを受付ける(Sb1)。例えば登録カードから識別情報Uを取得する処理、または、操作装置35に対する操作で利用者Haが指示した識別情報Uを取得する処理が実行される。
【0037】
制御装置31は、利用者Haから受付けた識別情報Uを含む認証要求を通信装置33から管理装置10に送信する(Sb2)。管理装置10の制御装置11は、通信装置13により認証要求を受信する(Sb3)。制御装置11は、認証要求の受信を契機として認証処理Sb4を実行する。認証処理Sb4は、認証要求内の識別情報Uが口座データAに登録されているか否かに応じて利用登録の有無(すなわち利用者Haの正当性)を判定する処理である。制御装置31は、認証結果を通信装置13から要求元のゲーム装置30に送信する(Sb5)。
【0038】
ゲーム装置30の制御装置31は、通信装置33により認証結果を受信する(Sb6)。認証結果が否定(認証失敗)である場合、制御装置31は、認証の失敗を示すメッセージを表示装置34に表示したうえで引出処理を終了する。他方、認証結果が肯定(認証成功)である場合、制御装置31は、電子遊技媒体を転送するための以下の処理を実行する。
【0039】
利用者Haは、操作装置35を操作することで、管理装置10からゲーム装置30に転送すべき電子遊技媒体の数量(以下「指定量」という)Qを指示する。
図8に例示される通り、制御装置31は、利用者Haによる指定量Qの指示を受付ける(Sb7)。制御装置31は、引出要求を通信装置33から管理装置10に送信する(Sb8)。引出要求は、電子遊技媒体の引出を管理装置10に対して要求するメッセージである。引出要求は、利用者Haの識別情報Uと利用者Haが指示した指定量Qとを含む。
【0040】
管理装置10の制御装置11は、ゲーム装置30が送信した引出要求を通信装置13により受信する(Sb9)。制御装置11は、引出要求内の識別情報Uを口座データAから検索し、当該識別情報Uに対応する電子遊技媒体の所有量Xを特定する(Sb10)。制御装置11は、引出要求内の指定量Qが電子遊技媒体の所有量Xを上回るか否かを判定する(Sb11)。指定量Qが所有量Xを上回る場合(Sb11:YES)、所有量Xを転送量Zとして設定する(Sb12)。すなわち、電子遊技媒体の所有量Xの全部が転送量Zとして設定される。他方、指定量Qが所有量Xを下回る場合(Sb11:NO)、制御装置11は、指定量Qを転送量Zとして設定する(Sb13)。制御装置11は、電子遊技媒体の所有量Xから転送量Zを減算する(Sb14)。なお、指定量Qが所有量Xを上回る場合に、利用者Haが指示した指定量Qの電子遊技媒体を転送できないこと(すなわち残高不足)を管理装置10からゲーム装置30に通知してもよい。
【0041】
制御装置11は、引出要求の送信元のゲーム装置30に対して通信装置13から引出通知を送信する(Sb15)。引出通知は、電子遊技媒体の転送量Zを含む。以上の説明から理解される通り、制御装置11は、引出要求の送信元のゲーム装置30において利用可能な電子遊技媒体を当該ゲーム装置30に転送する。
【0042】
ゲーム装置30の制御装置31は、管理装置10が送信した引出通知を通信装置33により受信する(Sb16)。制御装置31は、引出通知内の転送量Zに応じたクレジットの数量(以下「増加量」という)Y2を算定する(Sb17)。具体的には、制御装置31は、所定の変換率R2を転送量Zに乗算することでクレジットの増加量Y2を算定する。変換率R2は、電子遊技媒体の数量に対するクレジットの数量の比率(いわゆるクレジット/メダル)であり、例えば記憶装置32に記憶される。
【0043】
制御装置31は、現在のクレジットの数量Cに増加量Y2を加算する(Sb18)。制御装置31は、利用者Hからの指示に応じて、所定量のクレジットの消費と引換えにゲームを実行する(Sb19)。具体的には、制御装置31は、所定量のクレジットの消費と引換えにゲームを開始し、操作装置35に対する利用者Haからの指示に応じてクレジットを随時に消費しながら当該ゲームを進行させる。
【0044】
以上に説明した通り、複数のゲーム装置30の各々は、管理装置10から当該ゲーム装置30に転送された電子遊技媒体を転送量Zに応じた数量のクレジットに変換し、クレジットの消費と引換えにゲームを実行する。すなわち、利用者Haは、管理装置10からゲーム装置30に転送された電子遊技媒体(転送量Z)を利用してゲームをプレイすることが可能である。
【0045】
第1実施形態のゲーム装置30は、クレジットの数量Cに対応する数量の物理メダルを排出する払出機構を具備しない。なお、物理メダルの払出が可能な構成では、物理メダルの数量が自然数である必要がある。他方、払出機構を具備しない構成では、電子遊技媒体の数量は自然数に限定されない。すなわち、電子遊技媒体の数量は帯小数(整数部がゼロでない小数)でもよい。したがって、電子遊技媒体を取扱う構成では、変換率R2を多様な数値に設定できる(変換率R2の制約が小さい)という利点がある。
【0046】
前述の通り、利用者H(HaまたはHb)は、受付機構36に対する通貨の投入により取得したクレジットをゲームに利用することが可能である。
図9は、通貨の投入によりゲーム装置30が利用者Hにクレジットを付与する処理(以下「第2媒体付与処理」という)の具体的な手順を例示するフローチャートである。操作装置35に対する利用者Hからの指示を契機として第2媒体付与処理が実行される。
【0047】
制御装置31は、受付機構36により利用者Hから通貨を受付ける(Sc1)。利用者Hは、通貨の投入量を任意に選定することが可能である。制御装置31は、利用者Hによる通貨の投入量に応じて、利用者Hに付与されるクレジットの数量(以下「付与量」という)Y3を設定する(Sc2)。例えば、所定の変換率R3を通貨の投入量に乗算することで、クレジットの付与量Y3が算定される。変換率R3は、通貨の投入量に対するクレジットの数量の比率であり、例えば記憶装置32に記憶される。制御装置31は、現在のクレジットの数量Cに付与量Y3を加算する(Sc3)。制御装置31は、加算後のクレジットの消費と引換えにゲームを実行する(Sc4)。
【0048】
以上の説明から理解される通り、第1実施形態においては、利用登録を実施していない利用者Hbでも、通貨と引換えに付与されるクレジットを利用してゲームをプレイすることが可能である。また、利用者Haは、電子遊技媒体の所有量Xの全部を利用した状況でも、通貨の投入によりクレジットを取得することでゲームを継続できる。そして、利用者H(HaまたはHb)は、所望の時点でゲームのプレイを終了する。
【0049】
図10は、利用者Hがゲームの終了を指示した場合に実行される処理(以下「終了処理」という)の具体的な手順を例示するフローチャートである。操作装置35に対する利用者Hからの指示を契機として終了処理が実行される。
【0050】
終了処理を開始すると、ゲーム装置30の制御装置31は、現在のクレジットの数量Cに応じた電子遊技媒体の数量(以下「保持数量」という)Mを算定する(Sd1)。具体的には、現在の価値媒体の数量に変換率R2の逆数を乗算することで保持数量Mが算定される。保持数量Mが算定されると、利用者Hがゲームをプレイできない状態となる。
【0051】
制御装置31は、利用者Hが認証処理Sb4により認証されている(すなわち認証が成功している)か否かを判定する(Sd2)。認証処理Sb4には、事前の利用登録により付与される識別情報Uが必要である。したがって、認認証の有無の判定(Sd2)は、利用者Hに関する利用登録の有無を判定する処理とも換言される。また、前述の通り、利用登録により電子遊技媒体の所有量Xの登録が可能となるから、認証の有無の判定(Sd2)は、管理装置10の口座データAにおける所有量Xの登録の有無を判定する処理とも換言される。
【0052】
利用者Hが認証されている場合(Sd2:YES)、保持数量Mの電子遊技媒体を管理装置10に転送して口座データAに登録する処理(以下「預入処理」という)が実行される。他方、利用者Hが認証されていない場合(Sd2:NO)、保持数量Mの電子遊技媒体を管理装置10に一時的に保存する処理(以下「保管処理」という)が実行される。すなわち、保持数量Mは口座データAに登録されない。以上の説明から理解される通り、利用者Haについては預入処理が実行され、利用者Hbについては保管処理が実行される。保管処理の実行中において、制御装置31は利用者Hbによるゲームのプレイの進行を停止する。例えば、利用者Hbによるクレジットの消費が禁止される。クレジットの消費は、例えば抽選処理を実行するゲーム装置30におけるクレジットの使用(すなわちベット)である。
【0053】
図11は、登録済の利用者Haについて実行される預入処理の具体的な手順を例示するフローチャートである。預入処理を開始すると、制御装置31は、預入要求を通信装置33から管理装置10に送信する(Se1)。預入要求は、電子遊技媒体の預入を管理装置10に対して要求するメッセージである。預入要求は、利用者Haの識別情報Uと電子遊技媒体の保持数量Mとを含む。
【0054】
管理装置10の制御装置11は、預入要求を通信装置13により受信する(Se2)。制御装置11は、利用者Haについて口座データAに登録された電子遊技媒体の所有量Xを更新する(Se3)。具体的には、制御装置11は、預入要求内の識別情報Uを口座データAから検索し、当該識別情報Uに対応する電子遊技媒体の所有量Xに、預入要求内の保持数量Mを加算する。以上の説明から理解される通り、ゲーム装置30の制御装置31は、クレジットの数量Cに応じた数量の電子遊技媒体を管理装置10に転送する要素として機能する。
【0055】
図12は、未登録の利用者Hbについて実行される保管処理の具体的な手順を例示するフローチャートである。保管処理を開始すると、ゲーム装置30の制御装置31は、利用者Hbに対して識別情報D1を提示する(Sf1)。識別情報D1は、当該利用者Hbが保持数量Mの電子遊技媒体の正当な所有者であることを認証するための符号列である。具体的には、制御装置31は、識別情報D1を表示装置34に表示することで当該識別情報D1を利用者Hbに提示する。識別情報D1は利用者Hbのみが確認可能である。利用者Hbは、識別情報D1を記憶またはメモする。なお、遊技施設の従業者等の管理者が操作装置35に対して所定の操作を付与した場合に、制御装置31が識別情報D1を提示してもよい。
【0056】
制御装置31は、保管要求を通信装置33から管理装置10に送信する(Sf2)。保管要求は、保持数量Mの電子遊技媒体を一時的に保管することを管理装置10に対して要求するメッセージである。保管要求は、利用者Hbに提示された識別情報D1と電子遊技媒体の保持数量Mとを含む。
【0057】
管理装置10の制御装置11は、保管要求を通信装置13により受信する(Sf3)。制御装置11は、保管要求に含まれる保持数量Mと識別情報D1とを対応付けて記憶装置12に記憶する(Sf4)。すなわち、利用者Hbが所有する保持数量Mの電子遊技媒体は、現時点では口座データAに登録されず、記憶装置12に一時的に保管される。以上の説明から理解される通り、管理装置10の制御装置11は、電子遊技媒体の保持数量Mと識別情報D1とを対応付ける要素(管理部)として機能する。記憶装置12に記憶された保持数量Mおよび識別情報D1は、例えば所定の時間が経過することで消去される。
【0058】
識別情報D1を提示された利用者Hbは、遊技施設内でゲーム装置30から管理装置10に移動する。利用者Hbは、管理装置10の操作装置15を適宜に操作することで、利用登録のための処理(以下「登録処理」という)を管理装置10に指示する。登録処理は、利用者Hbによるゲームのプレイ後に、保持数量Mの電子遊技媒体を事後的に口座データAに登録するための処理である。
【0059】
図13は、登録処理の具体的な手順を例示するフローチャートである。前述の通り、利用者Hbからの指示を契機として登録処理が開始される。
【0060】
登録処理の開始を指示すると、利用者Hbは、操作装置15を操作することで、自身が記憶またはメモした識別情報D1を入力する。管理装置10の制御装置11は、利用者Hによる識別情報D2の入力を受付ける(Sg1)。識別情報D2は、保持数量Mの電子遊技媒体を所有する正当な利用者Hbにより適切に入力された場合には、識別情報D1と一致する。しかし、利用者Hb以外の利用者H(すなわち、識別情報D1が提示されていない第三者)により入力された識別情報D2は、識別情報D1に一致しない。以上の説明から理解される通り、制御装置11は、識別情報D2の入力を受付ける要素(受付部)として機能する。識別情報D1は「第1識別情報」の一例であり、識別情報D2は「第2識別情報」の一例である。
【0061】
制御装置11は、記憶装置12に記憶された識別情報D1と利用者Hから受付けた識別情報D2とが相互に一致するか否かを判定する(Sg2)。すなわち、識別情報D2を入力した利用者Hの正当性が認証される。識別情報D1と識別情報D2とが一致しない場合(Sg2:NO)、識別情報D2を入力した利用者Hが正当な利用者Hbではない可能性が高い。したがって、制御装置11は、認証の失敗を表すメッセージを表示装置14に表示したうえで登録処理を終了する。
【0062】
他方、識別情報D1と識別情報D2とが一致する場合(Sg2:YES)、識別情報D2を入力した利用者Hは正当な利用者Hbであると推定される。識別情報D1と識別情報D2とが一致する場合、制御装置11は、利用登録のための所定の手続を利用者Hbに実行させる(Sg3)。例えば、利用者Hbに関する各種の情報(例えば氏名、住所またはメールアドレス等)が利用者Hbにより入力されることで利用登録が完了する。
【0063】
利用登録が完了すると、制御装置11は、利用者Hbに識別情報Uを付与する(Sg4)。そして、制御装置11は、識別情報D1に対応付けて記憶装置12に記憶された保持数量Mを所有量Xとして、識別情報Uに対応付けて口座データAに登録する(Sg5)。以上の説明から理解される通り、制御装置11は、識別情報D1と識別情報D2とが相互に一致する場合に、保持数量Mを利用者Hbの所有量Xとして口座データAに登録する要素(登録部)として機能する。
【0064】
以上に説明した通り、第1実施形態では、電子遊技媒体の保持数量Mと識別情報D1とが対応付けられ、識別情報D1と利用者Hが入力した識別情報D2との一致を条件として保持数量Mが利用者Hbの所有量Xとして口座データAに登録される。すなわち、未登録の利用者Hbがゲームをプレイした場合には、利用者Hbが所有する電子遊技媒体が事後的に口座データAに登録される。以上の構成によれば、管理装置10が管理する口座データAの利用のために、利用者Hによる事前の利用登録が要求されない。したがって、未登録の利用者Hbを含む多数の利用者Hがゲームをプレイすることを促進できる。
【0065】
また、第1実施形態においては、利用者Hが認証されている場合には保持数量Mが口座データAに登録され、利用者Hが認証されていない場合には保持数量Mが口座データAに登録されない。以上の構成によれば、保持数量Mを口座データAに登録するか否かを利用者Hが指示する必要はない。したがって、利用者Hの負荷を軽減することが可能である。
【0066】
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態を説明する。以下に例示する各態様において機能が第1実施形態と同様である要素については、第1実施形態の説明で使用した符号を流用することで各々の詳細な説明を適宜に省略する。
【0067】
図14は、第2実施形態における保管処理の具体的な手順を例示するフローチャートである。第1実施形態と同様に、ゲームの終了が指示された場合に実行される終了処理(
図10)において、利用者Hが認証されていない場合に
図14の保管処理が開始される。
【0068】
ゲームの終了を指示した利用者Hbは、当該利用者Hbの識別情報D1をゲーム装置30に提供する。ゲーム装置30の制御装置31は、利用者Hから識別情報D1を受付ける(Sf1)。具体的には、制御装置31は、以下に例示する態様1から態様3の何れかに係る識別情報D1を受付ける。
【0069】
[態様1]
利用者Hbは、操作装置35を操作することで所望の識別情報D1を入力する。制御装置31は、利用者Hbが入力した識別情報D1を受付ける(Sf1)。例えば所定の個数の文字または数字で構成される識別情報D1を制御装置31が受付ける。すなわち、態様1における識別情報D1は、利用者Hbがゲーム装置30に対して入力した情報である。
【0070】
[態様2]
各利用者Hは、当該利用者Hに付与された識別情報が格納された可搬型の記録媒体(以下「ゲームカード」という)を所有する。なお、前述の登録カードをゲームカードとして利用してもよい。ゲーム装置30の制御装置31は、ゲームカードから取得した識別情報に対応するゲームデータを利用してゲームを制御する。ゲームデータは、利用者Hが過去にプレイした時点におけるゲームの状況を表すデータである。例えば過去のプレイにおけるゲームの進行の段階、過去のプレイで獲得したアイテム、ゲームに登場するキャラクタの能力値等が、ゲームデータに含まれる。ゲーム装置30の制御装置31は、ゲームカードに記憶された識別情報に対応するゲームデータを例えばサーバ装置から取得することで、利用者Hが過去にプレイを終了した状態からゲームを再開する。保管処理において、制御装置31は、以上に例示したゲームカードに格納された識別情報を識別情報D1として取得する(Sf1)。すなわち、態様2における識別情報D1は、ゲームカードについて登録された情報である。ゲームカードについて登録された情報とは、例えば、当該ゲームカードに記録された識別情報、または、当該ゲームカードに記録された識別情報に対応付けてゲームサーバに記憶された識別情報である。
【0071】
[態様3]
利用者Hは、自身が所有するスマートフォン等の端末装置によりネットワークサービスを利用することが可能である。ネットワークサービスは、例えばインターネット等の通信網を利用した各種のサービスである。例えば登録者間の情報の交換または各種の記事の投稿および閲覧等の機能を提供するSNS(Social Networking Service)が、ネットワークサービスの典型例である。ネットワークサービスでは、各登録者に識別情報(アカウント情報)が付与される。
【0072】
利用者Hbは、操作装置35を操作することで、自身が利用するネットワークサービスの識別情報をゲーム装置30に入力する。制御装置31は、利用者Hbが入力した識別情報によるSNS認証(例えばOAuth認証)を実行する。制御装置31は、認証が成功した場合に、利用者Hbが入力した識別情報を、保持数量Mの認証用の識別情報D1として受付ける(Sf1)。すなわち、態様3における識別情報D1は、利用者Hbが利用するネットワークサービスにおける当該利用者Hbの情報である。
【0073】
以上に例示した態様1から態様3の何れかの手順で識別情報D1を受付けると、
図14に例示される通り、制御装置31は、当該識別情報D1と電子遊技媒体の保持数量Mとを含む保管要求を通信装置33から管理装置10に送信する(Sf2)。保管要求を受信した管理装置10の動作は第1実施形態と同様である。
【0074】
第1実施形態と同様に、利用者Hbは、遊技施設内でゲーム装置30から管理装置10に移動し、操作装置15を操作することで登録処理(
図13)を管理装置10に指示する。登録処理において、制御装置11は、利用者Hによる識別情報D2の入力を受付ける(Sg1)。識別情報D2の受付の具体的な方法は、前述した識別情報D1の受付の方法(態様1から態様3)と同様である。
【0075】
[態様1]
利用者Hは、操作装置15を操作することで識別情報D2を入力する。保管処理において識別情報D1を入力した正当な利用者Hbは、当該識別情報D1と同一の識別情報D2を入力することが可能である。制御装置11は、利用者Hによる識別情報D2の入力を受付ける(Sg1)。識別情報D2の受付(Sg1)以降の処理は第1実施形態と同様である。
【0076】
[態様2]
制御装置11は、利用者Hが所有するゲームカードに記憶された識別情報を識別情報D2として取得する(Sg1)。
【0077】
[態様3]
利用者Hは、操作装置15を操作することで、自身が利用するネットワークサービスの識別情報を入力する。制御装置11は、利用者Hが入力した識別情報を、前述のSNS認証の成功を条件に、識別情報D2として受付ける(Sg1)。
【0078】
第2実施形態においても第1実施形態と同様の効果が実現される。また、第2実施形態では、利用者Hbが提示する識別情報D1が登録処理に利用されるから、ゲーム装置30が提示する識別情報D1を利用者Hbが記憶またはメモする必要がないという利点もある。
【0079】
前述の態様1では、識別情報D1が利用者Hbにより入力されるから、利用者Hbが記憶し易い識別情報D1を利用できる。態様2では、利用者Hbが所有するゲームカードに記憶された識別情報が識別情報D1として利用されるから、利用者Hbが識別情報D1を入力および記憶する必要がないという利点がある。また、態様3では、利用者Hbが利用するネットワークサービスにおける当該利用者Hbの情報が識別情報D1として流用されるから、新規の識別情報D1を生成する必要がないという利点がある。
【0080】
[第3実施形態]
図15は、第3実施形態において利用者Hがゲームの終了を指示した場合に実行される終了処理の具体的な手順を例示するフローチャートである。
図15に例示される通り、ゲーム装置30の制御装置31は、現在のクレジットの数量Cに応じた電子遊技媒体の保持数量Mを算定し(Sd1)、利用者Hに関する認証の有無を判定する(Sd2)。利用者Hが認証されている場合(Sd2:YES)、第1実施形態と同様に、預入処理(
図11)により口座データAの所有量Xに保持数量Mが加算される。
【0081】
他方、利用者Hが認証されていない場合(Sd2:NO)、制御装置31は、利用者Hbによるゲームのプレイの進行を停止する(Sd3)。ゲームのプレイの進行を停止する処理は、当該ゲームの進行を停止する処理のほか、例えば利用者Hbが所有するクレジットの数量Cが変化することを禁止する処理を包含する。すなわち、制御装置31は、例えば電子遊技媒体または通貨の投入によるクレジットの増加と、ゲーム内での消費によるクレジットの減少とを禁止する。なお、ゲーム内でのクレジットの消費は、例えば抽選処理を実行するゲーム装置30においてクレジットを使用すること(すなわちベット)である。以上の説明から理解される通り、利用者Hが認証されていない場合(Sd2:NO)には、保持数量Mは口座データAに登録されない。
【0082】
ゲームのプレイの進行が停止されると、利用者Hbは、遊技施設の従業者等の管理者にゲームの停止を例えば口頭で通知する。管理者は、電子遊技媒体の保持数量Mに相当する数量の物理遊技媒体(物理メダル)を利用者Hbに手渡す。利用者Hbは、管理者から手渡された物理遊技媒体を利用可能なゲームをプレイすることが可能である。以上の説明から理解される通り、第3実施形態では、利用者Hが認証されていない場合に、管理装置10に対する電子遊技媒体の転送と口座データAに対する保持数量Mの登録とは実行されない。なお、以上の説明では、利用者Hbがゲームの停止を管理者に口頭で通知する構成を例示したが、管理者にゲームの停止を通知するための方法は以上の例示に限定されない。例えば、遊技施設に設置された報知機構により管理者にゲームの停止を通知してもよい。報知機構は、例えば通知音の放音によりゲームの停止を管理者に通知する放音機器(例えばスピーカ)、または、例えば発光によりゲームの停止を管理者に通知する照明機器(例えば通知ランプ)である。
【0083】
以上に説明した通り、第3実施形態においては、利用者Hが認証されている場合には保持数量Mが口座データAに登録され、利用者Hが認証されていない場合には口座データAに対する保持数量Mの登録は実行されない。したがって、保持数量Mを口座データAに登録するか否かを利用者Hが指示する必要がないという利点がある。
【0084】
なお、以上の説明では、利用者Hが認証されていない場合に、電子遊技媒体の保持数量Mに相当する数量の物理遊技媒体を管理者から利用者Hbに手渡す構成を例示したが、利用者Hが認証されていない場合の電子遊技媒体の取扱いは以上の例示に限定されない。例えば、管理装置10に対する管理者または利用者Hbの操作に応じて、当該利用者Hbの識別情報Uと電子遊技媒体の所有量Xとを口座データAに登録してもよい。すなわち、利用者Hbの口座を作成してもよい。
【0085】
[第4実施形態]
第4実施形態におけるゲーム装置30の制御装置31は、第3実施形態と同様に、電子遊技媒体の保持数量Mの算定(Sd1)と利用者Hに関する認証の有無の判定(Sd2)とを実行する。利用者Hが認証されている場合(Sd2:YES)には、第3実施形態と同様に預入処理(
図11)が実行される。
【0086】
利用者Hが認証されていない場合(Sd2:NO)、制御装置31は、第3実施形態と同様に、利用者Hbによるゲームのプレイの進行を停止する(Sd3)。ゲームのプレイの進行を停止する処理の具体例は第3実施形態と同様である。以上の説明から理解される通り、第4実施形態においても第3実施形態と同様に、利用者Hが認証されていない場合には、保持数量Mを口座データAに登録せずに、当該利用者Hによるゲームのプレイの進行が停止される。したがって、第3実施形態と同様の効果が実現される。
【0087】
第4実施形態では、以上に例示したゲームの停止後に、
図16に例示する登録処理が実行される。
図12の保管処理および
図13の登録処理に代えて、
図16の登録処理が実行される。
【0088】
登録処理を開始すると、ゲーム装置30の制御装置31は、利用登録のための所定の手続を利用者Hbに実行させる(Sh1)。例えば、制御装置31は、利用者Hbに関する各種の情報(例えば氏名、住所またはメールアドレス等)を利用者Hbから受付ける。
【0089】
利用登録が完了すると、制御装置31は、利用者Hbに識別情報Uを付与する(Sh2)。そして、制御装置31は、登録要求を通信装置33から管理装置10に送信する(Sh3)。登録要求は、利用者Hbがゲーム装置30に所有する電子遊技媒体を口座データAに登録することを管理装置10に要求するメッセージである。登録要求は、利用者Hbに付与された識別情報Uと電子遊技媒体の保持数量Mとを含む。
【0090】
管理装置10の制御装置11は、登録要求を通信装置13により受信する(Sh4)。制御装置11は、登録要求内の保持数量Mを口座データAに登録する(Sh5)。具体的には、制御装置11は、登録要求に含まれる保持数量Mを所有量Xとして、登録要求内の識別情報Uと当該所有量Xとを相互に対応させて口座データAに追加する。
【0091】
以上に説明した通り、第4実施形態においては、ゲーム装置30において利用登録のための処理(Sh1)が実行されたうえで、保持数量Mが管理装置10の口座データAに登録される。したがって、利用者Hbが管理装置10に移動する必要がないという利点がある。
【0092】
なお、以上の説明では、ゲーム装置30が識別情報Uを利用者Hbに付与する構成を例示したが、管理装置10が識別情報Uを利用者Hbに付与してもよい。すなわち、登録要求には識別情報Uは含まれない。例えば、管理装置10の制御装置11は、登録要求を受信すると、利用者Hbに識別情報Uを付与し、当該識別情報Uと保持数量M(すなわち所有量X)とを口座データAに追加する。
【0093】
[変形例]
以上に例示した各形態は多様に変形され得る。前述の各形態に適用され得る具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様を、相互に矛盾しない範囲で併合してもよい。
【0094】
(1)第1実施形態および第2実施形態では、管理装置10が登録処理を実行したが、管理装置10以外の装置が登録処理を実行してもよい。例えば、管理装置10とは別個の登録装置(図示略)が登録処理を実行してもよい。例えば、ゲーム装置30は、保管処理において保管要求を登録装置に送信する(Sf2)。登録装置は、利用者Hから受付けた識別情報D2とゲーム装置30から受信した識別情報D1とが一致することを条件として利用登録と識別情報Uの付与とを実行し(Sg1~Sg4)、識別情報Uと保持数量Mとを管理装置10に送信する(Sg5)。管理装置10は、登録装置から受信した識別情報Uと保持数量Mとを口座データAに登録する。なお、利用者Hが所有するスマートフォン等の端末装置が登録処理を実行してもよい。
【0095】
(2)第1実施形態では、識別情報D1を表示装置34に表示したが、識別情報D1を利用者Hbに提示する方法は以上の例示に限定されない。例えば、識別情報D1を2次元コード(バーコード)またはQRコード(登録商標)として表示装置34に表示してもよい。利用者Hbは、表示装置34に表示されたQRコードを自身の端末装置(例えばスマートフォン)により読取る。また、利用者Hbの端末装置に対してゲーム装置30から識別情報D1を送信してもよい。登録処理では、管理装置10の制御装置11は、利用者Hbの端末装置から識別情報D2(=D1)を受信する。以上の構成によれば、利用者Hbが識別情報D1を記憶する必要がないという利点がある。
【0096】
(3)前述の各形態では、保持数量Mに対応付けて記憶される識別情報D1と正当な利用者Hbが入力する識別情報D2とが相互に一致する構成を例示したが、識別情報D1と識別情報D2との関係は以上の例示に限定されない。
【0097】
例えば、保管処理(
図12)において、ゲーム装置30の制御装置31は、管理装置10が保持数量Mに対応付けて記憶する識別情報D1を所定の規則で変換した識別情報を、利用者Hbに提示する(Sf1)。利用者Hbは、ゲーム装置30により提示された識別情報を管理装置10に入力する。登録処理(
図13)において、管理装置10の制御装置11は、利用者Hbから受付けた識別情報D2の逆変換により識別情報D2aを生成し、識別情報D1と識別情報D2aとが一致するか否かを判定する(Sg2)。識別情報D1と識別情報D2aとが一致する場合、識別情報D2を入力した利用者Hは正当な利用者Hbであると推定される。したがって、制御装置11は、利用登録(Sg3)と識別情報Uの付与(Sg4)と口座データAに対する保持数量Mの登録(Sg5)とを実行する。
【0098】
以上の説明から理解される通り、識別情報D2を入力した利用者Hの正当性が認証されるには、識別情報D1と識別情報D2とは相互に対応すればよく、識別情報D1と識別情報D2とが一致する必要まではない。すなわち、識別情報D1と識別情報D2とが「相互に対応する場合」の典型例は、識別情報D1と識別情報D2とが相互に一致する場合であるが、識別情報D1と識別情報D2との間に所定の関係が成立する場合(例えば、一方が他方を変換した関係にある場合)も、「相互に対応する場合」の概念には包含される。
【0099】
(4)前述の各形態では、利用登録の完了により制御装置11が利用者Hbに識別情報Uを付与したが(Sg4)、識別情報Uは、制御装置11による付与される情報には限定されない。例えば、利用者Hbが所有するゲームカードについて登録された識別情報を、識別情報Uとして口座データAに登録してもよい。例えば、ゲームカードに記録された識別情報、またはゲームカードについてゲームサーバに登録された識別情報(例えばゲームカードに記録された識別情報に対応付けられた識別情報)が、識別情報Uとして利用される。
【0100】
(5)前述の各形態では、口座データAを管理装置10に保持する構成を例示したが、管理装置10とは別個のサーバ装置(以下「口座用サーバ装置」という)が口座データAを保持してもよい。
【0101】
例えば、管理装置10および口座用サーバ装置の双方に口座データAを保持する構成が想定される。以上の構成によれば、管理装置10に障害が発生した場合に、口座用サーバ装置が保持(すなわちミラーリングまたはバックアップ)する口座データAを管理装置10に復元することが可能である。
【0102】
管理装置10では口座データAを保持せずに、口座用サーバ装置のみが口座データAを保持してもよい。口座用サーバ装置が口座データAを保持する構成によれば、例えばゲームシステム1が設置された遊技施設が閉場される状況において、口座用サーバ装置から他の遊技施設のゲームシステム1に口座データAを容易に移転できるという利点がある。
【0103】
(6)第1実施形態および第2実施形態では、利用者Hが認証処理Sb4により認証されているか否かを判定(Sd2)した結果に応じて預入処理および保管処理を切替えたが、認証の有無の判定(Sd2)は省略され得る。例えば、利用者Hが預入処理および保管処理の何れかを選択してもよい。登録済の利用者Haは預入処理を選択し、未登録の利用者Hbは保管処理を選択する。
【0104】
(7)前述の各形態では、各ゲーム装置30に転送された電子遊技媒体を価値媒体に変換したうえでゲームのプレイのために消費する構成を例示したが、電子遊技媒体から価値媒体への変換を省略してもよい。すなわち、ゲーム装置30に転送された電子遊技媒体の所定量の消費と引換えに利用者Haがゲームをプレイしてもよい。以上の説明から理解される通り、ゲームのプレイのために消費されるクレジットも「電子遊技媒体」の概念に包含される。
【0105】
(8)前述の各形態に係る管理装置10の機能は、前述の通り、制御装置11を構成する1以上のプロセッサとプログラムとの協働により実現される。同様に、前述の各形態に係るゲーム装置30の機能は、制御装置31を構成する1以上のプロセッサとプログラムとの協働により実現される。以上の各形態に係るプログラムは、コンピュータが読取可能な記録媒体に格納された形態で提供されてコンピュータにインストールされ得る。記録媒体は、例えば非一過性(non-transitory)の記録媒体であり、CD-ROM等の光学式記録媒体(光ディスク)が好例であるが、半導体記録媒体または磁気記録媒体等の公知の任意の形式の記録媒体も包含される。なお、非一過性の記録媒体とは、一過性の伝搬信号(transitory, propagating signal)を除く任意の記録媒体を含み、揮発性の記録媒体も除外されない。また、配信装置が通信網を介してプログラムを配信する構成では、当該配信装置においてプログラムを記憶する記憶装置が、前述の非一過性の記録媒体に相当する。
【0106】
[付記]
以上の記載から、例えば以下のように本発明の好適な態様が把握される。なお、各態様の理解を容易にするために、以下では、図面の符号を便宜的に括弧書で併記するが、本発明を図示の態様に限定する趣旨ではない。
【0107】
[付記1]
本発明の好適な態様(付記1)に係るゲームシステム(1)は、電子遊技媒体を利用するゲームを実行するゲーム装置(30)と、電子遊技媒体の所有量(X)が利用者(H)毎に登録された口座データ(A)を管理する管理装置(10)とを具備するゲームシステム(1)であって、前記ゲーム装置(30)内に利用者(H)が所有する電子遊技媒体の数量である保持数量(M)と第1識別情報(D1)とを対応付ける管理部(11,Sf4)と、第2識別情報(D2)の入力を受付ける受付部(11,Sg1)と、前記第1識別情報(D1)と前記第2識別情報(D2)とが相互に対応する場合に、前記保持数量(M)を前記利用者(H)の所有量(X)として前記口座データ(A)に登録する登録部(11,Sg5)とを具備する。以上の態様によれば、電子遊技媒体の保持数量(M)と第1識別情報(D1)とが対応付けられ、第1識別情報(D1)と利用者(H)が入力した識別情報との一致を条件として、保持数量(M)が電子遊技媒体の所有量(X)として口座データ(A)に登録される。すなわち、未登録の利用者(H)がゲームをプレイした場合には、利用者(H)が所有する電子遊技媒体が事後的に口座データ(A)に登録される。以上の構成によれば、管理装置(10)が管理する口座データ(A)の利用にあたり、利用者(H)による事前の利用登録は要求されない。したがって、未登録の利用者(H)を含む多数の利用者(H)がゲームをプレイすることを促進できる。
【0108】
「電子遊技媒体」は、ゲームにおいて利用される価値を有する電子的な媒体(すなわち電子データ)である。例えば電子メダルまたはクレジットが電子遊技媒体の好適例である。「電子遊技媒体の利用」とは、ゲームに関する何らかの行為のために利用者(H)が電子遊技媒体を消費することを意味する。例えば、ゲームをプレイするために電子遊技媒体を消費すること、または、ゲーム内の特定のイベントへの参加またはアイテムの獲得等の各種の動作のために電子遊技媒体を消費することが、「電子遊技媒体の利用」の典型例である。
【0109】
「保持数量(M)」は、利用者(H)がゲームに利用できるようにゲーム装置(30)が保持する電子遊技媒体の数量である。例えば、管理装置(10)からゲーム装置(30)に転送された電子遊技媒体、当該ゲーム装置(30)において利用者(H)が通貨と引換えに取得した電子遊技媒体、または、当該ゲーム装置(30)のゲームを利用者(H)がプレイすることで獲得した電子遊技媒体、を含む電子遊技媒体の数量が、「保持数量(M)」の典型例である。
【0110】
「第1識別情報(D1)」および「第2識別情報(D2)」は、保持数量(M)を登録しようとする利用者(H)の正当性を認証するための符号列である。第1識別情報(D1)は、ゲームシステム(1)が利用者(H)に提示した情報のほか、利用者(H)が指定した情報(例えば暗証番号)でもよい。また、例えば利用者(H)が所持する記録媒体に記憶された識別情報が第1識別情報(D1)として保持数量(M)に対応付けられ、当該記録媒体に記憶された識別情報を第2識別情報(D2)として受付けてもよい。
【0111】
「第1識別情報(D1)と第2識別情報(D2)とが相互に対応する」とは、第1識別情報(D1)と第2識別情報(D2)との間に、利用者(H)の正当性を認証するための一定の関係が成立することを意味する。「利用者(H)の正当性」とは、第2識別情報(D2)を入力した利用者(H)が、保持数量(M)の電子遊技媒体を所有する利用者(H)に該当することを意味する。典型的には、第1識別情報(D1)と第2識別情報(D2)とが相互に一致することで利用者(H)の正当性が認証される。
【0112】
管理部(11,Sf4)および受付部(11,Sg1)が設置される位置は任意である。具体的には、管理部(11,Sf4)および受付部(11,Sg1)の各々は、管理装置(10)およびゲーム装置(30)の何れに設置されてもよい。管理装置(10)およびゲーム装置(30)以外の装置に管理部(11,Sf4)および受付部(11,Sg1)の一方または双方を設置してもよい。
【0113】
[付記2]
付記1の好適例(付記2)において、前記ゲーム装置(30)は、前記第1識別情報(D1)を前記利用者(H)に提示する。以上の態様によれば、ゲーム装置(30)により提示される第1識別情報(D1)を利用者(H)が入力することで当該利用者(H)の正当性が認証されるから、認証に必要な処理が簡素化されるという利点がある。
【0114】
「第1識別情報(D1)の提示」の典型例は、表示装置(34)による第1識別情報(D1)の直接的な表示であるが、第1識別情報(D1)を提示する方法は表示に限定されない。例えば、第1識別情報(D1)を表す画像(例えばQRコード)の表示、または、利用者(H)が所有する端末装置に対する第1識別情報(D1)の送信も、「第1識別情報(D1)の提示」に包含される。
【0115】
[付記3]
付記1の好適例(付記3)において、前記第1識別情報(D1)は、前記ゲーム装置(30)に対して前記利用者(H)が入力した情報である。以上の態様によれば、第1識別情報(D1)が利用者(H)により入力されるから、利用者(H)が記憶し易い第1識別情報(D1)を利用できるという利点がある。
【0116】
[付記4]
付記1の好適例(付記4)において、前記第1識別情報(D1)は、前記利用者(H)が所有する記録媒体について登録された情報である。以上の態様によれば、利用者(H)が所有する記録媒体に記憶された情報が第1識別情報(D1)として利用されるから、利用者(H)が第1識別情報(D1)を入力および記憶する必要がないという利点がある。なお、「記録媒体について登録された情報」とは、当該記録媒体に記録された情報のほか、当該記録媒体に記録された情報に対応付けて登録された情報、を含む概念である。
【0117】
[付記5]
付記1の好適例(付記5)において、前記第1識別情報(D1)は、前記利用者(H)が利用するネットワークサービスにおける当該利用者(H)の情報である。以上の態様によれば、利用者(H)が利用するネットワークサービスに関する情報を第1識別情報(D1)として流用できるという利点がある。
【0118】
「ネットワークサービス」は、通信網を利用した各種のサービスであり、典型的にはSNS(Social Networking Service)である。「ネットワークサービスにおける利用者(H)の情報」は、ネットワークサービスにおいて使用される利用者(H)個人の情報であり、例えばネットワークサービスにおいて利用者(H)を識別するための識別情報(アカウント)が典型例である。
【0119】
[付記6]
本発明の他の態様(付記6)に係るゲームシステム(1)は、電子遊技媒体を利用するゲームを実行するゲーム装置(30)と、電子遊技媒体の所有量(X)が利用者(H)毎に登録された口座データ(A)を管理する管理装置(10)とを具備するゲームシステム(1)であって、利用者からの指示に応じて、当該利用者の認証の有無を判定し、当該利用者が認証されている場合には、前記ゲーム装置(30)内に利用者(H)が所有する電子遊技媒体の数量である保持数量(M)を前記口座データ(A)に登録し、当該利用者(H)が認証されていない場合には、前記保持数量(M)を前記口座データ(A)に登録せずに、当該利用者(H)による前記ゲームのプレイの進行を停止する。以上の態様によれば、保持数量(M)を口座データ(A)に登録するか一時的に保管するかを利用者(H)が選択する必要がないという利点がある。
【0120】
「前記保持数量(M)を前記口座データ(A)に登録せずに」とは、利用者(H)からの指示のみを契機としては、口座データ(A)に対する保持数量(M)の登録を実行しないことを意味する。したがって、ゲームのプレイの進行が停止された後、利用者(H)からの指示以外の条件の成立(例えば事後的な利用登録の実施)を契機として口座データ(A)に対する保持数量(M)の登録を実行する構成は、付記6の範囲に包含される。すなわち、
(1)利用者(H)からの指示後に、口座データ(A)に対する保持数量(M)の登録を実行しない構成、のほか、
(2)保持数量(M)を口座データ(A)に登録することなくゲームの進行を停止し、利用者による利用登録の実施を条件として、当該保持数量(M)を事後的に口座データ(A)に登録する構成も、
付記6における「前記保持数量(M)を前記口座データ(A)に登録せずに、当該利用者(H)による前記ゲームのプレイの進行を停止する」構成には包含される。なお、第3実施形態は構成(1)の一例に相当し、第4実施形態は構成(2)の一例に相当する。
【0121】
[付記7]
本発明の好適な態様(付記7)に係るゲームシステム(1)の動作方法は、電子遊技媒体を利用するゲームを実行するゲーム装置(30)と、電子遊技媒体の所有量(X)が利用者(H)毎に登録された口座データ(A)を管理する管理装置(10)とを具備するゲームシステム(1)の動作方法であって、前記ゲーム装置(30)内に利用者(H)が所有する電子遊技媒体の数量である保持数量(M)と第1識別情報(D1)とを対応付け、第2識別情報(D2)の入力を受付け、前記第1識別情報(D1)と前記第2識別情報(D2)とが相互に対応する場合に、前記保持数量(M)を前記利用者(H)の所有量(X)として前記口座データ(A)に登録する。
【0122】
[付記8]
本発明の好適な態様(付記8)に係るゲームシステム(1)の動作方法は、電子遊技媒体を利用するゲームを実行するゲーム装置(30)と、電子遊技媒体の所有量(X)が利用者(H)毎に登録された口座データ(A)を管理する管理装置(10)とを具備するゲームシステム(1)の動作方法であって、利用者からの指示に応じて、当該利用者の認証の有無を判定し、当該利用者が認証されている場合には、前記ゲーム装置(30)内に利用者(H)が所有する電子遊技媒体の数量である保持数量(M)を前記口座データ(A)に登録し、当該利用者(H)が認証されていない場合には、前記保持数量(M)を前記口座データ(A)に登録せずに、当該利用者(H)による前記ゲームのプレイの進行を停止する。
【符号の説明】
【0123】
1…ゲームシステム、10…管理装置、11,21,31…制御装置、12,22,32…記憶装置、13,23,33…通信装置、14,24,34…表示装置、15,25,35…操作装置、20…媒体付与装置、26,36…受付機構、30…ゲーム装置。