(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-14
(45)【発行日】2025-01-22
(54)【発明の名称】建設業事務代行の支援装置
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/08 20120101AFI20250115BHJP
【FI】
G06Q50/08
(21)【出願番号】P 2024020408
(22)【出願日】2024-02-14
【審査請求日】2024-04-03
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】513200737
【氏名又は名称】株式会社Office Concierge
(74)【代理人】
【識別番号】100185270
【氏名又は名称】原田 貴史
(72)【発明者】
【氏名】小松 延顕
【審査官】木村 慎太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-132251(JP,A)
【文献】特開2019-060741(JP,A)
【文献】特開2020-129168(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建設事業者に係る取引の情報である取引情報を取得する取引情報取得部と、
前記建設事業者の事務を代行する建設業事務代行者と前記取引の関係者との間における通信記録を取得する通信記録取得部と、
前記通信記録と前記取引情報とを関連付けたデータを管理するデータ管理部と、
前記取引に係る法令遵守に必要な検査を依頼するよう指令
し、検査依頼に係る通知を端末に表示させる検査依頼指令部と、
前記データに基づいて、前記取引に係る作業予定を登録する作業予定登録部と、
前記データに基づいて、前記建設事業者に係る取引文書の作成に活用される資料を生成する資料生成部と
を備え、
前記データに基づいて、前記取引に係る顧客の予定である顧客予定を登録する顧客予定
登録部をさらに備え、
前記取引の関係者は、前記建設事業者、前記取引に係る作業担当者、及び前記取引に係る依頼主を含み、
前記作業予定登録部は、前記検査を含む作業予定を登録し、
前記資料生成部は、前記取引と関連付けられた前記通信記録及び/又は前記取引と関連付けられた前記作業予定を含む資料を生成
し、
前記資料生成部は、前記取引と関連付けられた前記顧客予定を含む資料を生成し、
前記検査依頼指令部は、テキストデータを説明変数とし、検査の要否・種類を目的変数とする学習データを用いて事前学習が行われた大規模言語モデル、及び、通話データを説明変数とし、検査の要否・種類を目的変数とする学習データを用いて事前学習が行われた音声認識ネットワークを用いた自然言語処理による、前記通信記録及び/又は前記取引情報の分析により、検査を要するとの分析結果が得られた場合に、前記検査を依頼するよう指令する、
建設業事務代行の支援装置。
【請求項2】
前記検査依頼指令部は、前記建設事業者と異なる検査事業者に石綿の検査を依頼するよ
う指令する、請求項1に記載の支援装置。
【請求項3】
請求代行事業者に前記取引に係る請求の代行を依頼する請求代行依頼部をさらに備え、
前記取引情報は、前記取引に係る請求額を含み、
前記請求代行依頼部は、前記請求額に基づく請求の代行を依頼する
請求項1に記載の支援装置。
【請求項4】
前記資料生成部は、前記データに基づいて、前記取引に係る請求額の素案を含む資料を
生成する、請求項
3に記載の支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設業事務代行の支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
建設事業者において、顧客サポート、データ登録、財務業務等によって例示される事務業務に係る負担を軽減し、コア業務に専念する要望がある。特定業務を外部の専門業者に委託するビジネスプロセスアウトソーシング(Business Process Outsourcing;BPO)により、建設事業者は、事務業務に係る固定費削減、コア業務へのリソース集中、事業規模変動への柔軟な対応等を実現し得る。
【0003】
しかしながら、BPOの導入には、導入コスト、コミュニケーションコスト、運用コスト等によって例示される各種導入ハードルがあり得る。導入コストは、例えば、業務プロセス分析、システム統合、スタッフ育成に係る時間的・経済的コストである。コミュニケーションコストは、例えば、建設事業者の業務内容を専門業者に伝えるコストである。運用コストは、例えば、スタッフの人件費である。そこで、建設事業者における事務業務の外部委託を支援する技術が求められている。
【0004】
建設事業者における事務業務を支援する技術に関し、特許文献1は、建設プロジェクトのプロジェクト実施グループとサプライヤとの建設資機材の取引を支援センターが一元的に管理し、効率的な搬入出計画を策定する建設資機材調達の支援方法を開示している。特許文献1に記載の技術は、建設資機材調達に係る搬入出コスト、人件費等の軽減、及び搬入出作業の効率化を図り得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、建設事業者においては、建設資機材の取引に係るサプライヤに関する事務業務だけでなく、建設に係る各種作業、石綿の検査等の法令遵守に必要な検査作業等に関する、顧客及び作業現場と事業者との間のやり取りに関する事務業務も求められる。特許文献1の技術は、建設資機材調達に係る搬入出コスト、人件費等の軽減、及び搬入出作業の効率化を図り得るに留まる。よって、特許文献1に記載の技術は、法令遵守に必要な検査等の建設事業者固有の事情が反映された作業を含む各種作業等について、顧客及び作業現場と事業者との間の調整を含めた、建設事業者の事務業務代行全般をワンストップで支援する点において、さらなる改良の余地がある。
【0007】
本発明は、係る事情にかんがみてなされたものである。本発明の目的は、法令遵守に必要な検査等の建設事業者固有の事情が反映された作業を含む各種作業等について、顧客及び作業現場と事業者との間の調整を含めた、建設事業者の事務業務代行を支援することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、通信記録、取引情報、石綿の検査を含む作業予定を一元的に管理し、取引文書の作成に活用される資料の生成及び作業予定の登録等をワンストップで行うことによって、上記の目的を達成できることを見いだした。そして、本発明者らは、本発明を完成させるに至った。具体的に、本発明は以下のものを提供する。
【0009】
本発明は、建設事業者に係る取引の情報である取引情報を取得する取引情報取得部と、前記建設事業者の事務を代行する建設業事務代行者と前記取引の関係者との間における通信記録を取得する通信記録取得部と、前記通信記録と前記取引情報とを関連付けたデータを管理するデータ管理部と、前記取引に係る法令遵守に必要な検査を依頼するよう指令する検査依頼指令部と、前記データに基づいて、前記取引に係る作業予定を登録する作業予定登録部と、前記データに基づいて、前記建設事業者に係る取引文書の作成に活用される資料を生成する資料生成部とを備え、前記取引の関係者は、前記建設事業者、前記取引に係る作業担当者、及び前記取引に係る依頼主を含み、前記作業予定登録部は、前記検査を含む作業予定を登録し、前記資料生成部は、前記取引と関連付けられた前記通信記録及び/又は前記取引と関連付けられた前記作業予定を含む資料を生成可能である、建設業事務代行の支援装置を提供する。
【0010】
本発明は、取引情報取得部により取得された取引情報、通信記録取得部により取得された建設事業者・作業担当者・依頼主に係る通信記録をデータ管理部で管理することにより、取引に関する通信記録・作業予定を含む資料を生成し、取引文書の作成に活用させることができる。すなわち、本発明は、システムと利用者との間における相互のフィードバックが実現された無駄のないシステム及び運用の実現に寄与する。
【0011】
ところで、建設業固有の事情として、石綿の検査等によって例示される、法令遵守に必要な検査であって、建設事業者自らによる実施が困難な検査を求められるとの事情がある。本発明は、検査依頼指令部により、このような検査を含めた各種作業を一元的に管理し、建設事業者・作業担当者・依頼主に係る通信記録及び作業予定と関連付けた資料にまとめることができる。よって、本発明は、建設事業者に係る各種事務業務の代行を支援し、建設事業者をコア業務に専念させることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、法令遵守に必要な検査等の建設事業者固有の事情が反映された作業を含む各種作業等について、顧客及び作業現場と事業者との間の調整を含めた、建設事業者の事務業務代行を支援できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、本実施形態のシステムSのハードウェア構成及びソフトウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、建設事業者データベース121に格納されたデータの一例である。
【
図3】
図3は、本実施形態の支援装置1で実行される支援処理の好ましい流れの一例を示すメインフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下は、本発明の実施形態の一例について、図面を参照しながら詳細に説明するものである。
【0015】
<システムS>
図1は、本実施形態のシステムSのハードウェア構成及びソフトウェア構成の一例を示すブロック図である。以下は、本実施形態のシステムSの好ましい態様について、
図1を用いてその一例を説明するものである。本実施形態のシステムSは、建設事業者の事務を代行する建設業事務代行者を支援する、建設業事務代行の支援装置1を含んで構成される。以下、建設業事務代行者は、単に「代行者」とも称される。なお、支援装置1は、ネットワークNを介して端末Tと通信可能である。
【0016】
〔支援装置1〕
支援装置1は、制御部11、記憶部12、及び通信部13等のハードウェア構成要素によって、
図1に示す各ソフトウェア構成要素を実現する。そして、支援装置1は、各ソフトウェア構成要素により、建設事業者の事務業務代行を支援する支援処理を実行する。支援装置1の種類は、特に限定されない。支援装置1の種類は、例えば、各種のサーバ装置、クラウドサーバ等で良い。
【0017】
[制御部11]
制御部11は、Central Processing Unit(CPU)、Random Access Memory(RAM)、及びRead Only Memory(ROM)等を備える。
【0018】
制御部11は、必要に応じて記憶部12及び/又は通信部13と協働する。そして、制御部11は、支援装置1で実行される本実施形態のプログラムのソフトウェア構成要素である、データ管理部111、取引情報取得部112、通信記録取得部113、顧客予定登録部114、検査依頼指令部115、作業予定登録部116、資料生成部117、請求代行依頼部118等を実現する。
【0019】
[記憶部12]
記憶部12は、データ及び/又はファイルが記憶される装置であって、ハードディスク、半導体メモリ、記録媒体、及びメモリカード等によってデータを非一時的に格納するストレージ部を有する。
【0020】
記憶部12には、マイクロコンピューターで実行されるプログラム、建設事業者データベース121、建設事業者において法令遵守に必要な検査一覧等が格納されている。大規模言語モデルによる素案等の生成を可能とすべく、記憶部12には、所定の事前学習が行われた大規模言語モデルがさらに格納されていることが好ましい。素案の生成等の各手順に応じた事前学習は、後に、大規模言語モデルを利用する各手順と共に説明される。
【0021】
(建設事業者データベース121)
建設事業者データベース121には、建設事業者に関する各種データである建設事業者情報が当該建設事業者を特定する情報と関連付けられて格納される。「建設事業者を特定する情報」は、例えば、「建設事業者ID」等である。「建設事業者に関する各種データ」は、少なくとも、建設事業者に係る取引の情報である「取引情報」と、「通信記録」と、「予定」とを含む。各種素案の生成に活用されるべく、「建設事業者に関する各種データ」は、建設事業者に係る基礎情報を含むことが好ましい。
【0022】
「基礎情報」は、建設事業者の名称、事業所所在地、連絡先、業務内容、各担当者等によって例示される、建設事業者の各種基礎情報を含む。連絡先は、特に限定されない。連絡先は、例えば、電話番号、メールアドレス、連絡フォームのURL、郵便等の宛先等である。
【0023】
「取引情報」は、提案書、見積書、発注書、工程表、予定表、及び請求書等によって例示される取引に係る各種書類に係るデータを含む。建設業事務代行者における書類の作成を支援すべく、「取引情報」は、これら各種書類の素案をさらに含むことが好ましい。これらの素案は、例えば、本実施形態の支援装置1において生成される。
【0024】
「通信記録」は、建設業事務代行者と取引の関係者との間における通信記録を含む。「取引の関係者」は、例えば、建設事業者、取引に係る作業担当者、及び取引に係る依頼主(顧客)を含む。「通信記録」の内容は、特に限定されない。「通信記録」の内容は、例えば、電話等によって例示される音声通話・映像通話の発着信が行われたタイミング、音声通話・映像通話の通話内容、電子メール、連絡フォーム、郵便等によって例示される文字通信の送受信タイミング、及び文字通信の内容等を含む。
【0025】
「予定」は、建設事業者に係る作業予定等の各種予定を含む。「予定」は、少なくとも、法令遵守に必要な検査の依頼に係る予定を含む。顧客の予定が管理から漏れないようにすべく、「予定」は、取引に係る顧客の予定である顧客予定を含むことが好ましい。
【0026】
図2は、建設事業者データベース121に格納されたデータの一例である。当該例には、該データとして、建設事業者ID「C0001」と関連付けられた第1建設事業者情報、建設事業者ID「C0002」と関連付けられた第2建設事業者情報等が格納されている。
【0027】
第1建設事業者情報は、名称「△△建設(株)」、事業所所在地「△△県△△市△△区△-△」、連絡先「(TEL)△△△(△△△)△△△△ (E-Mail)foo@foo.foo.bar」等の基礎情報、提案書素案1、提案書1、工程表素案1、工程表1、見積書素案1、見積書1、発注書素案1、発注書1、請求書1等の取引情報、「△△月△△日 △△:△△ △△様から電話 内容:・・・ △△月△△日 △△:△△ △△様宛メール 内容:・・・」等の通信記録、「△△月△△日 △△:△△から現場△△にて、△△社に委託した石綿検査、依頼主△△様立会い」等の予定を含んでいる。
【0028】
第2建設事業者情報は、名称「(株)△△組」、事業所所在地「△△県△△市△△町△-△」、連絡先「(TEL)△△△(△△△)△△△△ (E-Mail)bar@bar.foo.bar」等の基礎情報、提案書素案2、提案書2、工程表素案2、工程表2、見積書素案2、見積書2、発注書素案2、発注書2、請求書2等の取引情報、「△△月△△日 △△:△△ △△様と映像通話 内容:・・・ データ:(映像データ1)」等の通信記録、「△△月△△日 △△:△△から現場△△にて起工式、参加予定:依頼主△△様、現場監督△△、作業員△名」等の予定を含んでいる。
【0029】
当該例に上述の第1建設事業者情報、第2建設事業者情報等の建設事業者に係る各種データが格納されることにより、支援装置1は、取引に関する通信記録・作業予定を含む資料を生成し、取引文書の作成に活用させることができる。また、支援装置1は、第1建設事業者情報に係る石綿検査を含めた各種作業を一元的に管理し、建設事業者・作業担当者・依頼主に係る通信記録及び作業予定と関連付けた資料にまとめることができる。
【0030】
[通信部13]
通信部13は、支援装置1をネットワークNに接続して端末T等と通信可能にするものであれば特に限定されない。通信部13として、例えば、イーサネット規格に対応したネットワークカード等が挙げられる。
【0031】
〔ネットワークN〕
ネットワークNの種類は、支援装置1及び端末T等を互いに通信可能にするものであれば特に限定されない。ネットワークNの種類は、例えば、インターネット、携帯電話ネットワーク、無線LAN等である。
【0032】
〔端末T〕
端末Tの種類は、特に限定されない。端末Tは、例えば、パーソナルコンピュータ、ラップトップコンピュータ、スマートフォン、タブレット端末等である。
【0033】
〔支援処理のメインフローチャート〕
図3は、本実施形態の支援装置1で実行される支援処理の好ましい流れの一例を示すメインフローチャートである。
図4は、
図3から続く図である。
図5は、
図4から続く図である。
図6は、
図5から続く図である。以下は、本実施形態の支援装置1で実行される支援処理の好ましい流れの一例について、
図3から
図6を用いて説明するものである。
【0034】
まず、支援装置1は、支援処理の一部として、建設事業者のデータ登録に係る一連の処理を実行する。ステップS1からステップS2は、当該処理の一例である。これにより、支援装置1は、建設事業者の事務業務代行に係る各種作業のデータを、登録されたデータに関連付けて一元的に管理できる。
【0035】
[ステップS1:建設事業者のデータを登録するか判別]
制御部11は、記憶部12及び通信部13と協働して、データ管理部111を実行する。そして、制御部11は、データ管理部111により、建設事業者のデータを登録するか判別する処理を実行する(データ登録判別ステップ)。登録すると判別した場合、制御部11は、処理をステップS2に移す。登録すると判別しなかった場合、制御部11は、処理をステップS3に移す。
【0036】
建設事業者のデータを登録するか判別する手順は、特に限定されない。当該手順は、例えば、端末T等からデータ登録を指令された場合に、建設事業者のデータを登録すると判別する手順を含む。
【0037】
[ステップS2:建設事業者のデータを登録]
制御部11は、データ管理部111により、データ登録判別ステップで登録すると判別された建設事業者のデータを建設事業者データベース121等に登録する処理を実行する(データ登録ステップ)。制御部11は、処理をステップS3に移す。
【0038】
データ登録ステップにおいて登録されるデータは、特に限定されない。基礎情報を資料に反映させるべく、当該データは、建設事業者の基礎情報を含むことが好ましい。過去の通信、取引を資料に反映させるべく、当該データは、当該建設事業者に係る過去の通信記録、取引情報等をさらに含むことが好ましい。
【0039】
支援装置1は、支援処理の一部として、取引情報の取得に係る一連の処理を実行する。ステップS3からステップS4は、当該処理の一例である。これにより、支援装置1は、取引情報が反映された資料を生成できる。
【0040】
[ステップS3:取引情報を取得するか判別]
制御部11は、記憶部12及び通信部13と協働して、取引情報取得部112を実行する。そして、制御部11は、取引情報取得部112により、建設事業者に係る取引の情報である取引情報を取得するか判別する処理を実行する(取引情報取得判別ステップ)。取得すると判別した場合、制御部11は、処理をステップS4に移す。取得すると判別しなかった場合、制御部11は、処理をステップS5に移す。取引情報を取得するか判別する手順は、特に限定されない。当該手順は、例えば、端末T等から取引情報を受信した場合に、取引情報を取得すると判別する手順を含む。
【0041】
[ステップS4:取引情報を取得]
制御部11は、取引情報取得部112により、取引情報取得判別ステップで取得すると判別された取引情報を取得し、建設事業者データベース121等に登録する処理を実行する(取引情報取得ステップ)。制御部11は、処理をステップS5に移す。
【0042】
取引情報取得ステップにおいて取得される取引情報は、特に限定されない。各種書類が資料に反映されるべく、取引情報は、提案書、見積書、発注書、工程表、及び請求書等によって例示される取引に係る各種書類に係るデータを含むことが好ましい。
【0043】
支援装置1は、支援処理の一部として、通信記録の取得に係る一連の処理を実行する。ステップS5からステップS6は、当該処理の一例である。これにより、支援装置1は、通信記録が反映された資料を生成できる。
【0044】
[ステップS5:通信記録を取得するか判別]
制御部11は、記憶部12及び通信部13と協働して、通信記録取得部113を実行する。そして、制御部11は、通信記録取得部113により、建設事業者に係る取引の情報である通信記録を取得するか判別する処理を実行する(通信記録取得判別ステップ)。取得すると判別した場合、制御部11は、処理をステップS6に移す。取得すると判別しなかった場合、制御部11は、処理をステップS7に移す。通信記録を取得するか判別する手順は、特に限定されない。当該手順は、例えば、端末T等から通信記録を受信した場合に、通信記録を取得すると判別する手順を含む。
【0045】
[ステップS6:通信記録を取得]
制御部11は、通信記録取得部113により、通信記録取得判別ステップで取得すると判別された通信記録を取得し、建設事業者データベース121等に登録する処理を実行する(通信記録取得ステップ)。制御部11は、処理をステップS7に移す。
【0046】
通信記録取得ステップにおいて取得される通信記録は、特に限定されない。建設業事務代行者と取引の各種関係者との間における通信記録を含むようにすべく、通信記録における取引の関係者は、建設事業者、取引に係る作業担当者、及び取引に係る依頼主(顧客)を含むことが好ましい。通信記録の内容は、特に限定されず、例えば、電話等によって例示される音声通話・映像通話の発着信が行われたタイミング、音声通話・映像通話の通話内容、メール、連絡フォーム等によって例示される文字通信の送受信タイミング、及び文字通信の内容等を含む。
【0047】
[通信記録提供ステップ]
過去の通信記録によって代行者の応対を支援すべく、支援装置1は、支援処理の一部として、格納された通信記録を代行者に提供する通信記録提供ステップを実行することが好ましい。通信記録提供ステップは、例えば、代行者からの指示に応じて建設事業者データベース121に格納された通信記録を検索し、その結果を端末T等に表示させる手順を含む。
【0048】
支援装置1は、支援処理の一部として、顧客予定の登録に係る一連の処理を実行することが好ましい。建設事業者固有の事情として現地調査等、顧客との調整が必要な予定が発生し得る。上述の一連の処理により、支援装置1は、顧客予定を管理し、顧客予定が反映された資料を生成し、このような調整を支援できる。ステップS7からステップS8は、当該処理の一例である。
【0049】
[ステップS7:顧客予定を登録するか判別]
制御部11は、記憶部12及び通信部13と協働して、顧客予定登録部114を実行する。そして、制御部11は、顧客予定登録部114により、上述の取引に係る顧客の予定である顧客予定を登録するか判別する処理を実行する(顧客予定登録判別ステップ)。登録すると判別した場合、制御部11は、処理をステップS8に移す。登録すると判別しなかった場合、制御部11は、処理をステップS9に移す。
【0050】
顧客予定を登録するか判別する手順は、特に限定されない。当該手順は、例えば、端末T等から顧客予定の登録を指令された場合に、顧客予定を登録すると判別する手順を含む。また、当該手順は、例えば、上述の処理において取得・登録された通信記録及び/又は取引情報の分析により、これらが顧客予定を含んでいるとの分析結果が得られた場合に、顧客予定を登録すると判別する手順を含む。
【0051】
当該分析は、例えば、大規模言語モデル、音声認識ネットワーク等を用いた自然言語処理によって実現される。大規模言語モデルにより実現される場合、当該大規模言語モデルは、テキストデータを説明変数とし、顧客予定を目的変数とする学習データを用いた、テキストデータから顧客予定を抽出する処理の事前学習が行われていることが好ましい。音声認識ネットワークにより実現される場合、当該音声認識ネットワークは、通話データを説明変数とし、顧客予定を目的変数とする学習データを用いた、通話データから顧客予定を抽出する処理の事前学習が行われていることが好ましい。
【0052】
[ステップS8:顧客予定を登録]
制御部11は、通信記録取得部113により、顧客予定登録判別ステップで登録すると判別された顧客予定を建設事業者データベース121等に登録する処理を実行する(顧客予定登録ステップ)。制御部11は、処理をステップS9に移す。
【0053】
顧客予定登録ステップにおいて取得される顧客予定は、特に限定されない。法令遵守に必要な検査であって、建設事業者自らによる実施が困難な検査に係る事務作業代行を支援すべく、顧客予定は、後述する、取引に係る法令遵守に必要な検査(石綿検査等)に係る顧客予定を含むことが好ましい。
【0054】
支援装置1は、支援処理の一部として、検査依頼の指令に係る一連の処理を実行する。ステップS9からステップS10は、当該処理の一例である。建設業固有の事情として、石綿の検査等によって例示される、法令遵守に必要な検査であって、建設事業者自らによる実施が困難な検査を求められるとの事情がある。検査依頼指令部115に係る一連の処理は、このような検査を含めた各種作業を一元的に管理し、建設事業者・作業担当者・依頼主に係る通信記録及び作業予定と関連付けた資料にまとめることができる。
【0055】
[ステップS9:検査依頼を指令するか判別]
制御部11は、記憶部12及び通信部13と協働して、検査依頼指令部115を実行する。そして、制御部11は、検査依頼指令部115により、上述の取引に係る法令遵守に必要な検査依頼を指令するか判別する処理を実行する(検査依頼指令判別ステップ)。指令すると判別した場合、制御部11は、処理をステップS10に移す。指令すると判別しなかった場合、制御部11は、処理をステップS11に移す。
【0056】
検査依頼を指令するか判別する手順は、特に限定されない。当該手順は、例えば、上述の処理において取得・登録された通信記録及び/又は取引情報の分析により、これらに係る取引が検査を要するとの分析結果が得られた場合に、顧客予定を登録すると判別する手順を含む。
【0057】
当該分析は、例えば、大規模言語モデル、音声認識ネットワーク等を用いた自然言語処理によって実現される。大規模言語モデルにより実現される場合、当該大規模言語モデルは、テキストデータを説明変数とし、検査の要否・種類を目的変数とする学習データを用いた、テキストデータから検査の要否・種類を判別する処理の事前学習が行われていることが好ましい。音声認識ネットワークにより実現される場合、当該音声認識ネットワークは、通話データを説明変数とし、検査の要否・種類を目的変数とする学習データを用いた、通話データから検査の要否・種類を判別する処理の事前学習が行われていることが好ましい。
【0058】
[ステップS10:検査依頼を指令]
制御部11は、検査依頼指令部115により、検査依頼指令判別ステップで指令すると判別された検査依頼を端末T等に指令する処理を実行する(検査依頼指令ステップ)。制御部11は、処理をステップS11に移す。すなわち、検査依頼指令ステップは、上述の建設事業者と異なる検査事業者に石綿等の検査を依頼するよう指令する。
【0059】
検査依頼指令ステップは、例えば、端末T等に検査依頼に係る通知、検査依頼に係る書類の草案等を表示させる手順を含む。検査依頼に係る書類は、例えば、検査機関に送付する帳票である。これにより、支援装置1は、建設事業者の事務業務代行を行う代行者が用いる端末T等を介して、当該検査依頼を代行者に指令できる。法令遵守に必要な検査であって、建設事業者自らによる実施が困難な検査は、例えば、石綿検査等である。
【0060】
検査依頼に係る過去の事務作業を見返せるようにすべく、検査依頼指令ステップは、検査依頼に係る履歴を記憶部12に格納する手順を含むことが好ましい。検査依頼に係る費用を一目瞭然とすべく、検査依頼指令ステップは、検査依頼に係る費用等の一覧表を表示させる手順を含むことが好ましい。Gビズ等を用いた申請によって例示される、検査に係る申請を支援すべく、検査依頼指令ステップは、検査に係る申請を行う手順を含むことが好ましい。
【0061】
支援装置1は、支援処理の一部として、作業予定の登録に係る一連の処理を実行する。ステップS11からステップS12は、当該処理の一例である。これにより、支援装置1は、関係者間でのタイムリーな進捗共有を可能とする。また、これにより、支援装置1は、作業予定が反映された資料を生成できる。
【0062】
[ステップS11:作業予定を登録するか判別]
制御部11は、記憶部12及び通信部13と協働して、作業予定登録部116を実行する。そして、制御部11は、作業予定登録部116により、上述の取引に係る作業予定を登録するか判別する処理を実行する(作業予定登録判別ステップ)。登録すると判別した場合、制御部11は、処理をステップS12に移す。登録すると判別しなかった場合、制御部11は、処理をステップS13に移す。
【0063】
作業予定を登録するか判別する手順は、特に限定されない。当該手順は、例えば、端末T等から作業予定の登録を指令された場合に、作業予定を登録すると判別する手順を含む。また、当該手順は、例えば、上述の処理において取得・登録された通信記録及び/又は取引情報の分析により、これらに係る取引の作業予定を含む分析結果が得られた場合に、作業予定を登録すると判別する手順を含む。
【0064】
当該分析は、例えば、大規模言語モデル、音声認識ネットワーク等を用いた自然言語処理によって実現される。大規模言語モデルにより実現される場合、当該大規模言語モデルは、テキストデータを説明変数とし、作業予定を目的変数とする学習データを用いた、テキストデータから作業予定を判別する処理の事前学習が行われていることが好ましい。音声認識ネットワークにより実現される場合、当該音声認識ネットワークは、通話データを説明変数とし、作業予定を目的変数とする学習データを用いた、通話データから作業予定を判別する処理の事前学習が行われていることが好ましい。
【0065】
[ステップS12:作業予定を登録]
制御部11は、作業予定登録部116により、作業予定登録判別ステップで指令すると判別された作業予定を建設事業者データベース121等に登録する処理を実行する(作業予定登録ステップ)。制御部11は、処理をステップS13に移す。
【0066】
作業予定登録ステップにおいて取得される作業予定は、特に限定されない。法令遵守に必要な検査であって、建設事業者自らによる実施が困難な検査に係る事務作業代行を支援すべく、作業予定は、取引に係る法令遵守に必要な検査(石綿検査等)に係る作業予定を含むことが好ましい。
【0067】
[通知ステップ]
支援装置1は、支援処理の一部として、顧客予定登録ステップにおいて登録された顧客予定、及び/又は、作業予定登録ステップにおいて登録された作業予定を通知する通知ステップを実行することが好ましい。通知ステップにおける通知の手段は、例えば、電子メール、インスタントメッセンジャー、ショートメッセージ等である。
【0068】
支援装置1は、支援処理の一部として、建設事業者に係る取引文書の作成に活用される資料を生成する一連の処理を実行する。建設事業者に係る事務代行では、建設業特有の専門用語・言い回しを適切に利用することに困難を覚え得る。当該一連の処理により、支援装置1は、代行者と関係者との間における精度の高い連携、レスポンスの早い対応等を実現できる。加えて、当該一連の処理により、支援装置1は、取引に関する通信記録・作業予定を含む資料を生成し、建設業特有の専門用語・言い回しの適切な利用を支援できる。
【0069】
ステップS13からステップS14は、当該処理のうち、請求書の素案の生成に係る一例である。本実施形態の支援装置1は、提案書、見積書、発注書、工程表、及び予定表等の他の取引文書についても、同様の手順で素案を生成できる。
【0070】
[ステップS13:請求書の素案を生成するか判別]
制御部11は、記憶部12及び通信部13と協働して、資料生成部117を実行する。そして、制御部11は、資料生成部117により、上述の取引に係る取引文書の素案等の資料(例えば、請求書の素案等)を生成するか判別する処理を実行する(資料生成判別ステップ)。生成すると判別した場合、制御部11は、処理をステップS14に移す。生成すると判別しなかった場合、制御部11は、処理をステップS15に移す。
【0071】
資料を生成するか判別する手順は、特に限定されない。当該手順は、例えば、端末T等から資料の生成を指令された場合に、資料を生成すると判別する手順を含む。また、当該手順は、例えば、上述の処理において取得・登録された通信記録及び/又は取引情報の分析により、これらに係る取引文書を要するとの分析結果が得られた場合に、資料を生成すると判別する手順を含む。
【0072】
当該分析は、例えば、大規模言語モデル、音声認識ネットワーク等を用いた自然言語処理によって実現される。大規模言語モデルにより実現される場合、当該大規模言語モデルは、テキストデータを説明変数とし、取引文書の要否を目的変数とする学習データを用いた、テキストデータから取引文書の要否を判別する処理の事前学習が行われていることが好ましい。音声認識ネットワークにより実現される場合、当該音声認識ネットワークは、通話データを説明変数とし、取引文書の要否を目的変数とする学習データを用いた、通話データから取引文書の要否を判別する処理の事前学習が行われていることが好ましい。
【0073】
[ステップS14:請求書の素案を生成]
制御部11は、資料生成部117により、資料生成判別ステップで指令すると判別された取引文書の資料(例えば、請求書の素案等)を生成する処理を実行する(資料生成ステップ)。制御部11は、処理をステップS15に移す。
【0074】
資料生成ステップにおいて資料を生成する手順は、特に限定されない。当該手順は、例えば、記憶部12に格納された過去の取引文書を取得する手順を含む。また、適切な言語表現を含む資料を生成すべく、当該手順は、大規模言語モデルを用いた自然言語処理によって、資料を生成する手順を含むことが好ましい。
【0075】
このとき、取引文書の種類に応じた資料を生成すべく、当該大規模言語モデルは、取引文書の種類を説明変数とし、当該種類の取引文書に応じた資料の内容を目的変数とする学習データを用いた、取引文書の種類に応じた資料の内容を生成する処理の事前学習が行われていることが好ましい。
【0076】
また、このとき、建設事業者に応じた資料を生成すべく、当該大規模言語モデルは、説明変数として建設事業者を特定する情報をさらに含む学習データを用いた、建設事業者等に応じた資料の内容を生成する処理の事前学習が行われていることが好ましい。
【0077】
さらに、このとき、資料の種類に応じた資料を生成すべく、当該大規模言語モデルは、説明変数として資料の種類をさらに含み、目的変数として資料の種類等に応じた資料を含む学習データを用いた、資料の種類等に応じた資料の内容を生成する処理の事前学習が行われていることが好ましい。
【0078】
[取引文書履歴格納ステップ]
取引文書の作成に係る過去の事務作業を見返せるようにすべく、支援処理は、取引文書の作成に係る履歴を記憶部12に格納する取引文書履歴格納ステップを含むことが好ましい。当該履歴は、資料生成ステップにおいて作成された資料、当該資料に基づいて作成された取引文書等を含む。事務作業に係る時系列を判別できるようにすべく、当該履歴は、格納のタイミングと関連付けられていることが好ましい。取引文書履歴格納ステップにおける履歴の格納先は、例えば、建設事業者データベース121である。
【0079】
基礎情報、取引情報、通信記録、顧客予定、検査依頼、作業予定等によって例示される、記憶部12に格納された各種データが反映されるようにすべく、資料生成ステップは、記憶部12に格納された各種データを参照する手順を含むことが好ましい。当該参照は、例えば、記憶部12に格納された各種データを入力として大規模言語モデルに与える手順の実行、大規模言語モデルから建設事業者データベース121を参照するモジュールを大規模言語モデルに付加する手順等によって実現される。
【0080】
このとき、大規模言語モデルは、基礎情報、取引情報、通信記録、顧客予定、検査依頼、作業予定等の記憶部12に格納された各種データのうち少なくとも1以上のデータ及び資料の種類を説明変数として含み、当該データが反映された当該種類の資料の内容を的変数とする学習データを用いた、資料の種類及び各種データに応じた資料の内容を生成する処理の事前学習が行われていることが好ましい。
【0081】
支援装置1は、支援処理の一部として、請求の代行依頼に係る一連の処理を実行することが好ましい。ステップS15からステップS16は、当該処理の一例である。これにより、支援装置1は、上述の取引に係る請求の代行を依頼する支援を行える。
【0082】
[ステップS15:請求の代行を依頼するか判別]
制御部11は、記憶部12及び通信部13と協働して、請求代行依頼部118を実行する。そして、制御部11は、請求代行依頼部118により、上述の取引に係る請求の代行を依頼するか判別する処理を実行する(請求代行依頼判別ステップ)。依頼すると判別した場合、制御部11は、処理をステップS16に移す。依頼すると判別しなかった場合、制御部11は、処理をステップS1に戻し、ステップS1からステップS16の処理を繰り返す。
【0083】
請求の代行を依頼するか判別する手順は、特に限定されない。当該手順は、例えば、端末T等から請求の代行依頼を指令された場合に、請求の代行を依頼すると判別する手順を含む。
【0084】
[ステップS16:請求の代行を依頼]
制御部11は、請求代行依頼部118により、請求代行事業者に、上述の取引に係る請求の請求額に基づく請求の代行を依頼する処理を実行する(請求代行依頼ステップ)。制御部11は、処理をステップS1に戻し、ステップS1からステップS16の処理を繰り返す。請求代行依頼ステップは、例えば、各種決済サービス等によって例示される請求代行事業者のサーバに請求額に基づく請求の代行を指令する手順を含む。
【0085】
[日報生成ステップ]
日報による代行者と建設事業者との間のコミュニケーションを支援すべく、支援装置1は、支援処理の一部として、定期的な報告を生成する日報生成ステップを実行することが好ましい。日報生成ステップは、例えば、代行者からの指示に応じて日報を生成し、建設事業者データベース121に格納すると共に、建設事業者が利用する端末T等に送信する手順を含む。
【0086】
日報生成ステップは、日報の生成に限定されず、週報、月報、半期報告等によって例示される、各種の定期的な報告を生成するよう構成され得る。また、定期報告の作成まで報告を見送る処理が適切でない事項に係る報告を支援すべく、日報生成ステップは、臨時報告を生成するよう構成されることが好ましい。
【0087】
日報用のフォーマットを逐一用意する負担を低減すべく、日報生成ステップは、資料生成ステップと同様の手順によって日報の素案を生成する手順を含むことが好ましい。記憶部12に格納された各種データが反映されるようにすべく、当該手順は、資料生成ステップと同様に、記憶部12に格納された各種データを参照する手順を含むことが好ましい。
【0088】
[支援処理の効果]
本実施形態の支援装置1は、上述の支援処理を実行することにより、取引情報取得部112により取得された取引情報、通信記録取得部113により取得された建設事業者・作業担当者・依頼主に係る通信記録をデータ管理部111で管理する。そして、支援装置1の資料生成部117は、データ管理部111で管理されるデータを用いて、取引に関する通信記録・作業予定を含む資料を生成し、取引文書の作成に活用させることができる。
【0089】
ところで、建設業固有の事情として、石綿の検査等によって例示される、法令遵守に必要な検査であって、建設事業者自らによる実施が困難な検査を求められるとの事情がある。本実施形態の支援装置1は、検査依頼指令部115により、このような検査を含めた各種作業を一元的に管理し、建設事業者・作業担当者・依頼主に係る通信記録及び作業予定と関連付けた資料にまとめることができる。よって、本実施形態の支援装置1は、建設事業者に係る各種事務業務の代行を支援し、建設事業者をコア業務に専念させることができる。
【0090】
また、本実施形態の支援装置1の検査依頼指令部115は、建設事業者と異なる検査事業者に石綿の検査を依頼するよう指令する態様を取り得る。当該態様は、法令遵守に必要な検査であって、建設事業者自らによる実施が困難な検査として重要な検査である石綿検査の依頼を支援することにより、建設業固有の事情を踏まえた事務業務代行の支援を行える。
【0091】
加えて、本実施形態の支援装置1は、データ管理部111により管理されるデータに基づいて、取引に係る顧客の予定である顧客予定を登録する顧客予定登録部114をさらに備え、資料生成部117が当該取引と関連付けられた顧客予定を含む資料を生成する態様を取り得る。当該態様は、取引と関連付けられた顧客予定を含む資料を生成することにより、各種作業の一元的な管理に、顧客予定の管理を含めることができる。これにより、本実施形態の支援装置1は、建設事業者・作業担当者・依頼主間の調整が必要という、建設業固有の事情を踏まえた事務業務代行の支援を行える。
【0092】
さらに、本実施形態の支援装置1は、代行事業者に取引に係る請求の代行を依頼する請求代行依頼部118をさらに備える態様を取り得る。当該態様は、取引に係る請求の代行を依頼する支援を行える。このとき、支援装置1の資料生成部117は、取引に係る請求額の素案を含む資料を生成する態様を取り得る。当該態様は、取引に係る請求の代行に係る、素案の作成から請求の代行までの一連の手続を総合的に支援できる。
【0093】
以上より、本実施形態の支援装置1は、法令遵守に必要な検査等の建設事業者固有の事情が反映された作業を含む各種作業等について、顧客及び作業現場と事業者との間の調整を含めた、建設事業者の事務業務代行を支援できる。
【0094】
<支援装置1の使用例>
以下は、本実施形態の支援装置1の使用例である。
【0095】
〔建設事業者のデータを登録〕
建設事業者の事務業務代行を行う代行者は、端末T等を介して、建設事業者のデータを支援装置1に送信する。支援装置1は、建設事業者データベース121に当該データを登録する。
【0096】
〔取引情報を取得〕
代行者は、提案書、見積書、発注書、工程表、及び請求書等によって例示される取引に係る各種書類を受領し、端末T等を介して、それらのデータである取引情報を支援装置1に送信する。支援装置1は、建設事業者データベース121に取引情報を格納する。代行者は、格納された取引情報等に基づいて生成された資料を適宜参照しながら、各種書類を作成する。そして、代行者は、作成した各種書類のデータを取引情報として支援装置1に送信する。支援装置1は、建設事業者データベース121に当該データを格納する。
【0097】
〔電話、メール、メッセンジャー等で応対〕
代行者は、建設事業者への電話、メール、インスタントメッセンジャーを介したメッセージ、郵送された信書等への応対を行い、端末T等を介して、それらの応対に係る通信記録を支援装置1に送信する。支援装置1は、建設事業者データベース121に応対記録を格納する。応対において、代行者は、格納された通信記録を適宜参照する。
【0098】
〔タスクの登録〕
代行者は、上述の各種書類、応対に関するタスク等の作業予定・顧客予定を支援装置1に送信する。支援装置1は、建設事業者データベース121に作業予定・顧客予定を格納する。タスクは、例えば、石綿検査の依頼等の法令遵守に必要な検査依頼に係る各種タスクである。
【0099】
〔請求の代行依頼〕
代行者は、支援装置1から提供された請求額、請求書の素案等を参照して、上述の各種書類のうち請求書に係る請求の代行依頼を請求代行事業者に行う。請求代行事業者は、顧客等の請求先に請求を行い、請求先が振り込んだ対価から手数料を差し引いた額を代行者又は建設事業者に送金する。
【0100】
なお、本発明の思想の範疇において、当業者であれば各種の変更例及び修正例に想到し得るものである。よって、それら変更例及び修正例は、本発明の範囲に属するものと了解される。例えば、前述の実施の形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除若しくは設計変更を行ったもの、又は、工程の追加、省略若しくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0101】
S システム
1 支援装置
11 制御部
111 データ管理部
112 取引情報取得部
113 通信記録取得部
114 顧客予定登録部
115 検査依頼指令部
116 作業予定登録部
117 資料生成部
118 請求代行依頼部
12 記憶部
121 建設事業者データベース
13 通信部
N ネットワーク
T 端末
【要約】
【課題】法令遵守に必要な検査等の建設事業者固有の事情が反映された作業を含む各種作業等について、顧客及び作業現場と事業者との間の調整を含めた、建設事業者の事務業務代行を支援すること。
【解決手段】本発明の建設業事務代行の支援装置1は、取引情報を取得する取引情報取得部112と、通信記録を取得する通信記録取得部113と、通信記録と取引情報とを関連付けたデータを管理するデータ管理部111と、必要な検査を依頼するよう指令する検査依頼指令部115と、作業予定を登録する作業予定登録部116と、資料を生成する資料生成部117とを備え、作業予定登録部116は、上述の検査を含む作業予定を登録し、資料生成部117は、通信記録及び/又は作業予定を含む資料を生成可能である。
【選択図】
図1