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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-14
(45)【発行日】2025-01-22
(54)【発明の名称】筐体
(51)【国際特許分類】
   F16K 37/00 20060101AFI20250115BHJP
【FI】
F16K37/00 B
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2024075221
(22)【出願日】2024-05-07
【審査請求日】2024-12-04
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】592115504
【氏名又は名称】金子産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100214248
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 純
(74)【代理人】
【識別番号】100233124
【弁理士】
【氏名又は名称】網田 朱莉
(72)【発明者】
【氏名】中村 善典
【審査官】所村 陽一
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-145931(JP,A)
【文献】特開2022-93261(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体であって、
当該筐体の内部と外部とを連通する回転軸と、
検知体と、
前記回転軸の回転運動に応じて前記検知体を直線上に可動させるカム機構と、
前記可動により所定の位置に到達した特定の状態の前記検知体を検知するセンサと、
調整部とを備え、
前記調整部は、
前記センサを支持している台座と、
前記台座を前記直線に沿って移動可能に支持するレールと、
少なくとも一端が前記筐体の外部に露出している棒状部材として形成され長手方向の軸線回りに回転可能に支持された駆動部材と、
前記駆動部材の回転運動を前記レールに沿った前記台座の直線運動に変換する変換機構と、
を有し、前記一端に回転力を加えることによって、前記筐体における前記センサの設置位置を調整することで、前記検知体の所定の位置を調整する、筐体。
【請求項2】
前記駆動部材は、前記棒状部材の外周にねじ山が形成されており、
前記台座は、内周に前記ねじ山に対応するねじ溝が形成され前記直線に沿って延びる穴を有しており、
前記変換機構は、前記駆動部材の回転運動を、前記ねじ山と前記ねじ溝との嵌合作用によって、前記レールに沿った前記台座の直線運動に変換する、
請求項1に記載の筐体。
【請求項3】
前記筐体は、防爆対応である、請求項1又は請求項2のいずれか一項に記載の筐体。
【請求項4】
前記筐体は、スプール弁を操作するコイルをさらに備える、請求項3に記載の筐体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筐体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、主弁を備える装置において、主弁の開閉を検知するセンサの位置を調整する機構が知られている。例えば、特許文献1には、流量調整弁を設けたドラフトチャンバーにおいて、流量調整弁の開閉を検知するリミットスイッチの位置を調整する手段を有する、ドラフトチャンバーの排気装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-106590号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されたドラフトチャンバーの排気装置は、リミットスイッチの取付け位置を調整するために、リミットスイッチが固定された取付け板を、流量調整弁の回転軸の軸心回りに無段階的に回動調節し得るように設けている。
【0005】
しかしながら、特許文献1では、リミットスイッチの位置を調整する際に、流量調整弁を動かすモータのカバーを取り外す必要があった。そのため、従来の排気装置を可燃性物質と支燃性物質とにより生成された爆発性ガス蒸気雰囲気の中に設置した場合には、カバーを取り外すことで、着火の原因となる電気花火や電気機器の故障などによる過熱で高温となる部分(着火源)が爆発性ガス蒸気雰囲気に晒されることになるため、火災や爆発の発生を防ぐために、筐体のカバーを取り外して筐体におけるリミットスイッチ等のセンサの設置位置を調整することができないという問題点があった。
【0006】
また、上述のようなリミットスイッチを備える排気装置のみならず、センサを備える筐体においては、爆発性ガスに晒される状態でなくとも、カバーを取り外す必要があり、また、場合によってはカバーの取り外しのために他の部品も取り外す必要もあることから、メンテナンス性が悪く、容易にセンサとセンサの検知対象である検知体との相対関係を調整することができないという問題もあった。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、リミットスイッチ等のセンサが内部に設置された筐体のカバーを取り外すことなく、筐体の外部からセンサと検知体との相対関係を調整する手段を備えた筐体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するものであって、本発明の一実施形態に係る筐体は、
前記筐体の内部に設置されたセンサと、
前記センサの検知対象である検知体と、
前記センサと前記検知体との相対関係を前記筐体の外部から調整する調整部と、
を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一実施形態に係る筐体によれば、筐体の外部から、筐体の内部に設置されたセンサと検知体との相対関係を調整する調整部を備えている。
【0010】
そのため、筐体のカバーを取り外すことなく、筐体の内部に設置されたセンサと検知体との相対関係を調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態に係る筐体1の一例を示す正面断面図である。
図2】本発明の実施形態に係る筐体1の一例を示す上部断面図である。
図3】本発明の実施形態に係る調整手段を示す模式図である。
図4】本発明の実施形態に係るキャップ50の拡大図である。
図5】本発明の実施形態に係る筐体1を備えた流体圧駆動弁4の一例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態について添付図面を参照しつつ説明する。
【0013】
(実施形態)
図1は、本発明の実施形態に係る筐体1の一例を示す正面断面図である。図2は、本発明の実施形態に係る筐体1の一例を示す上部断面図である。なお、図1は、図2のi-i線に沿った断面図である。
【0014】
筐体1は、装置機器の外観や外形を形成する箱体であって、通常、電気機器や機械が内蔵されている。筐体1は、略長方体形状を有している。筐体1は、筐体上部2と筐体下部3とから構成される。すなわち、筐体1は、筐体上部2と筐体下部3とに分離することが可能であり、筐体下部3の上に筐体上部2を重ねると、筐体1の内部は密閉される。なお、筐体1は、例えば、アルミニウム等の金属材料で製作されている。
【0015】
本実施形態では、筐体1が、電磁弁100の筐体として機能する場合について説明する。すなわち、電磁弁100は、筐体1とスプール弁101(後述)と、を備えている。
【0016】
筐体1は、筐体1の内部と外部とを連通する回転軸10と、検知体12と、クランク溝11aを有するクランク11と、カム溝13aを有するガイドプレート13と、第1センサ30と、第2センサ31と、第1調整部20と、第2調整部21と、を備える。
【0017】
回転軸10は、シャフト状に形成されており、筐体1の内部と外部とを連通するように配置される。回転軸10は、例えば主弁(後述)に接続され、主弁の開閉に伴って回転軸10は回転する。
【0018】
検知体12は、筐体1の内部で可動する可動体であり、第1センサ30及び第2センサ31の検知対象である。検知体12は、回転軸10の回転に応じて可動する。検知体12は、棒状部材である。
【0019】
筐体1は、回転軸10の回転運動に応じて検知体12を直線上に可動させるカム機構として、クランク11と、クランク溝11aと、ガイドプレート13と、カム溝13aと、を備える。
【0020】
クランク11は、長尺の板状の部材で構成されている。クランク11の長手方向の一方の端部には、回転軸10が貫通している。クランク11と回転軸10とは互いに固定されている。クランク11は、回転軸10の回転運動に伴って、回転軸10の軸心回りに回転運動する。クランク11には、回転軸10から離れる方向に延びる直線状の長孔であるクランク溝11aが形成されている。クランク溝11aには、検知体12が、クランク溝11aの長手方向に沿って移動可能に支持されている。
【0021】
ガイドプレート13は、平板状の板材で構成されている。ガイドプレート13は、クランク11の下側に設置されている。ガイドプレート13は、ガイドプレート13の表面が回転軸10の軸心方向に直交するように、筐体下部3に支持されている。カム溝13aは、直線状の長穴と、当該直線状の長穴の上端と下端にそれぞれ半弧状の長穴とが接続された形状を有している。検知体12は、回転軸10の回転運動に応じて、カム溝13aに沿って移動可能である。
【0022】
すなわち、回転軸10が反時計回りに回転すると、検知体12は、図2の紙面上方向に直線状に移動する。回転軸10が時計回りに回転すると、検知体12は、図2の紙面下方向に直線状に移動する。
【0023】
第1センサ30及び第2センサ31は、検知体12を検知対象とするセンサである。第1センサ30及び第2センサ31は、検知体12に当接することで、検知体12の所定の位置を検知する。第1センサ30及び第2センサ31には、例えば、検知体12の所定の位置を検知する位置検知センサとして、リミットスイッチを用いる。リミットスイッチは、アクチュエータ、カバー、内蔵スイッチ、及びスイッチケースを備える。アクチュエータは、検知体12から受ける力や動きを、内部のプランジャを介して内蔵スイッチに伝える。内蔵スイッチは、スナップアクション機構によって、瞬時にオンとオフとを切り替える。内蔵スイッチの端子には、電源供給と信号送信のために、外部接続用ケーブルが配線されている。スイッチケースは、内蔵スイッチを保護する。
【0024】
検知体12は、第1センサ30のアクチュエータ又は第2センサ31のアクチュエータを押圧する。具体的には、回転軸10の回転運動に応じて検知体12が往復直線運動する場合において、検知体12が第1センサ30のアクチュエータを押圧すると、力がプランジャを介して第1センサ30内部の内蔵スイッチに伝達される。押圧操作によって内蔵スイッチが通電されると、内蔵スイッチは、検知体12を検知したことを示す信号を外部へ送信する。
【0025】
第1調整部20は、第1レール22と、第1台座24と、第1駆動部材26と、第1変換機構28とを備える。同様に、第2調整部21は、第2レール23と、第2台座25と、第2駆動部材27と、第2変換機構29とを備える。第1調整部20と第2調整部21とは、それぞれ筐体1における第1センサ30と第2センサ31との設置位置を調整することで、検知体12の所定の位置を調整する。
【0026】
第1レール22と第2レール23とは、筐体1の長方形状の底面のいずれか一辺と平行になるように、直線状に敷設されたレールである。カム溝13aの直線状の部分の長手方向と、第1レール22の長手方向と、第2レール23の長手方向とのそれぞれは、互いに平行である。
【0027】
第1レール22の上及び第2のレール23の上には、それぞれ第1台座24と第2台座25とが支持されている。また、第1台座24と第2台座25とは、それぞれ第1レール22の上と第2レール23の上を、対応するレール及びカム溝13aの直線状の部分の長手方向に沿って直線上に移動可能である。
【0028】
第1台座24と第2台座25とは、それぞれ第1センサ30と第2センサ31とを支持している。すなわち、第1台座24の上部と第2台座25の上部とには、それぞれ第1センサ30と第2センサ31とが載置されている。また、第1台座24と第2台座25とは、それぞれ直線に沿って延びる穴を有している。それぞれの穴には、内周にねじ溝が形成されている。それぞれの穴には、対応する第1駆動部材26及び第2駆動部材27がねじ込まれ、貫通している。
【0029】
第1駆動部材26と第2駆動部材27とのそれぞれは、少なくとも一端が筐体1の外部に露出している棒状部材として形成され、長手方向の軸線回りに回転可能に筐体1に支持されている。棒状部材の外周には、ねじ山が形成されている。また、筐体1の外部に露出している第1駆動部材26の一端と第2駆動部材27の一端とには、それぞれ第1操作部26aと第2操作部27aとが形成されている。具体的には、第1操作部26aと第2操作部27aとは、ドライバなどの工具に適合する形状が形成された部分である。したがって、ドライバなどの工具を第1操作部26a又は第2操作部27aに連結し、工具を用いて第1駆動部材26又は第2駆動部材27をそれぞれの軸心回りに回転させることができる。所定の方向へ回転させられた第1駆動部材26又は第2駆動部材27は、対応する第1台座24又は第2台座25にねじ込まれ、これにより、対応する第1台座24又は第2台座25は、対応する第1レール22又は第2レール23に沿って移動することができる。
【0030】
第1変換機構28は、第1駆動部材26の外周のねじ山と、第1台座24が有する穴の内周のねじ溝と、を備える。第1変換機構28である第1台座24が有するねじ溝と第1駆動部材26が有するねじ山との嵌合作用によって、第1駆動部材26の回転運動を、第1レール22に沿った第1台座24の直線運動に変換することができる。同様に、第2変換機構29は、第2駆動部材27の外周のねじ山と、第2台座25が有する穴の内周のねじ溝とを備える。第2変換機構29である第2台座25が有するねじ溝と第2駆動部材27が有するねじ山との嵌合作用によって、第2駆動部材27の回転運動を第2レール23に沿った第2台座25の直線運動に変換することができる。
【0031】
ソレノイド部40は、ソレノイドケースと、ソレノイドケースに収容されたソレノイドコイル(不図示)と、ソレノイドコイル内に移動可能に配置された可動鉄芯(不図示)とを備える。筐体1が電磁弁100の筐体として機能する場合は、ソレノイド部40の通電状態を切り替えることで、電磁弁100に接続された駆動装置200(後述)が操作される。電磁弁100の詳細な動作については後述する。
【0032】
図3は、本発明の実施形態に係る調整手段の一例を示す模式図である。
【0033】
第1調整部20と第2調整部21とは、それぞれ第1変換機構28と第2変換機構29とを介して、筐体1の内部における第1センサ30と第2センサ31との設置位置を調整することで、検知体12の所定の位置を調整する。検知体12の所定の位置とは、検知体12の往復直線運動に応じて回転運動を行う回転軸10が、特定の状態にあることを表す位置である。回転軸10の特定の状態とは、例えば、回転軸10に接続された主弁が全開のときの回転軸10の状態や、当該主弁が全閉のときの回転軸10の状態のことである。すなわち、第1調整部20と第2調整部21とのそれぞれは、第1センサ30と検知体12又は第2センサ31と検知体12との相対関係を、筐体1の外部から調整することができる。
【0034】
図3は、筐体1の内部を上面視した場合におけるカム溝13a、カム溝13aに嵌め込まれた検知体12、第1センサ30、及び第2センサ31の位置関係を表している。図3には、三通りの位置関係が示されている。図3のそれぞれの図において、一つのカム溝13aについて、二つの検知体12が、紙面上下方向に間隔をあけて示されている。この図では、回転軸10の回転運動によって、検知体12が二つの所定の位置の位置に到達したときの検知体12が示されている。実際には、図1及び図2に示されているように、検知体12は一つである。図3において、例えば、カム溝13aの紙面下方にある検知体12は、主弁が全開の状態であるときを表す所定の位置に到達した検知体12を示しており、一方で、紙面上方にある検知体12は、主弁が全閉の状態であるときを表す所定の位置に到達した検知体12を示している。第1センサ30及び第2センサ31は、検知体12が到達するそれぞれの所定の位置に対応する位置に設置されている。
【0035】
図3の中央に示される図では、カム溝13aの中央付近に、二つの検知体12が示されており、それぞれの検知体12に対応する位置に第1センサ30、及び第2センサ31が設置されている。ここで、図3の左側に示される図では、図3の中央に示される図より、二つの検知体12の位置が紙面上方に偏っている。これは、例えば、メンテナンスの際に回転軸10を取り外し、再度取り付けた場合や、経年劣化によって、主弁の全開・全閉の位置と回転軸10の位置がずれた場合に起こりうる。
【0036】
すなわち、図3の左側の図では、例えば、回転軸10が反時計回りにずれて主弁に取り付けられたものを示している。この場合には、第1センサ30及び第2センサ31の位置を調整して、検知体12を所定の位置に対応させる必要がある。第1センサ30の位置の調整方法としては、ドライバなどの工具を第1操作部26aに連結させ、第1駆動部材26を、例えば反時計回りに回転させることで、第1センサ30を第1操作部26aから遠ざかる方向、つまり、図3の紙面上方に向かう方向に移動させる。第2センサ31についても、同様の位置調整方法により、第2センサ31を移動させる。これにより、第1センサ30及び第2センサ31の位置を調整することができる。
【0037】
図3の右側に示される図では、図3の中央に示される図より、二つの検知体12の位置が紙面下方に偏っている。図3の右側の図では、例えば、回転軸10が時計回りにずれて主弁に取り付けられたものを示している。この場合にも、第1センサ30及び第2センサ31の位置を調整して、検知体12を所定の位置に対応させる必要がある。ドライバなどの工具を第1操作部26aに連結させ、第1駆動部材26を、例えば時計回りに回転させることで、第1センサ30を第1操作部26aに近づく方向、つまり、図3の紙面下方に向かう方向に移動させる。第2センサ31についても、同様の位置調整方法により、第2センサ31を移動させる。これにより、第1センサ30及び第2センサ31の位置を調整することができる。
【0038】
なお、上記では、第1センサ30及び第2センサ31という二つのセンサの設置位置を紙面上方又は紙面下方へ調整する場合について説明したが、第1センサ30又は第2センサ31のいずれか一方のみの設置位置を調整してもよい。また、第1センサ30の設置位置を紙面上方へ、第2センサ31の設置位置を紙面下方へというように、二つのセンサのそれぞれの設置位置の調整方向が異なってもよい。
【0039】
図4は、本発明の実施形態に係るキャップ50の一例を示す拡大図である。本実施形態に係る筐体1について特筆すべき事項として、筐体1の側面に取り付けられたキャップ50について説明する。
【0040】
キャップ50は、第1操作部26a及び第2操作部27aを被覆する機能を備える。キャップ50を第1操作部26a及び第2操作部27aに取り付けることで、操作者が不用意に第1操作部26a又は第2操作部27aに接触した場合に、筐体1における第1センサ30又は第2センサ31の設置位置が意図せずして動くことを防止する。操作者が第1センサ30又は第2センサ31の設置位置を調整したい場合は、キャップ50を取り外してそれぞれの位置を調整することができる。
【0041】
(流体圧駆動弁の構成と実施形態)
図5は、本発明の実施形態に係る筐体1を備えた流体圧駆動弁4の一例を示す正面図である。
【0042】
筐体1は、例えば、流体圧駆動弁4を構成する電磁弁100の筐体として使用される。流体圧駆動弁4は、配管310の途中に配置される主弁300と、主弁300に連結された回転軸10を駆動流体の流体圧に応じて駆動させることで主弁300の開閉操作を行う駆動装置200と、駆動装置200に対して駆動流体の給排を制御する機能を有する電磁弁100と、を備える。
【0043】
流体圧駆動弁4は、例えば、プラント設備において各種のガスや石油等が流れる配管310に設置され、プラント設備に異常が発生したような緊急停止時に、配管310の流れを遮断するための緊急遮断弁として用いられる。なお、流体圧駆動弁4の設置場所や用途は、上記の例に限られない。
【0044】
流体圧駆動弁4には、駆動流体の一例として、空気供給源(不図示)から空気(エアー)が供給されるものであり、空気供給源からの空気は、第1空気配管(不図示)を介して電磁弁100に供給され、さらに、第2空気配管220を介して駆動装置200に供給される。また、流体圧駆動弁4には、外部電源(不図示)から電磁弁100に電力を供給するための電力ケーブル(不図示)が接続される。なお、駆動流体は、上記の空気に限られず、他の気体でもよいし、液体(例えば、油)でもよい。
【0045】
本実施形態では、流体圧駆動弁4は、エアーレスクローズ方式を採用したものである。したがって、定常運転時は、空気供給源(不図示)から電磁弁100を介して駆動装置200に空気(給気)を供給することで、主弁300が全開操作され、緊急停止時や試験運転時は、駆動装置200から電磁弁100を介して空気(排気)を排出することで、主弁300が全閉操作される。なお、流体圧駆動弁4は、エアーレスオープン方式を採用したものでもよく、その場合には、駆動装置200に空気を供給することで全開操作され、駆動装置200から空気を排出することで主弁300を全閉操作されてもよい。
【0046】
主弁300は、例えば、ボールバルブと呼ばれる弁で構成されている。主弁300は、その構成例として、配管310の途中に配置される弁箱320と、弁箱320内に回転可能に設けられたボール状の弁体321とを備え、弁体321の上部には、回転軸10の第1端部が連結されている。回転軸10が0度から90度に回転駆動されることに応じて弁箱320内で弁体321が回転し、主弁300の全開状態(図5に示す状態)と全閉状態とが切り替えられる。なお、主弁300として用いられる弁は、ボールバルブに限られず、例えば、バタフライバルブ等の他の形式でもよい。
【0047】
駆動装置200は、例えば、主弁300と電磁弁100との間に配置されるとともに、単作動式のエアシリンダ機構として構成されている。駆動装置300は、その構成例として、円筒状のシリンダ210と、シリンダ内に往復直線移動可能に設けられ、ピストンロッド211を介して連結された一対のピストン212A、212Bと、第1ピストン212A側に設けられたコイルばね213と、第2ピストン212B側に形成された空気給排口214と、シリンダ210を径方向に沿って貫通するように配置された回転軸10とピストンロッド211とが直交する部分に設けられた伝達機構215と、を備える。なお、駆動装置200は、単作動式に限られず、例えば、複作動式等の他の形式で構成されていてもよい。
【0048】
第1ピストン212Aは、コイルばね213により主弁300を閉じる方向に付勢される。第2ピストン212Bは、空気給排口214から供給された空気(給気)によりコイルばね213の付勢力に抗して主弁300を開く方向に押圧される。伝達機構215は、例えば、ラックアンドピニオン機構、リンク機構、カム機構等で構成されており、ピストンロッド211の往復直線運動を回転運動に変換して回転軸10に伝達する。
【0049】
回転軸10は、回動可能な状態で駆動装置200を貫通するようにして配置される。回転軸10の第1端部は、主弁300に連結されるとともに、回転軸10の第2端部は、電磁弁100により軸支される。なお、回転軸10は、複数のシャフトが、例えば、カップリング等により連結されたものでもよい。
【0050】
電磁弁100は、駆動装置200に対して空気の給排を制御する機能を有し、例えば、2ポジションでノーマルクローズタイプ(通電時「開」、非通電時「閉」)の三方電磁弁として構成されている。電磁弁100は、屋内型又は防爆型の電磁弁100のハウジングとして機能する筐体1の外部に、空気が流れる流路を切り替えるスプール弁101を備える。また、電磁弁100は、筐体1の内部に、通電状態(通電時又は非通電時)に応じてスプール弁101を変位させるソレノイド部(不図示)備える。電磁弁100は、2ポジションでノーマルクローズタイプの三方電磁弁に限られず、3ポジションでもよく、ノーマルオープンタイプでもよく、四方電磁弁等でもよく、任意の組み合わせに基づく各種の形成で構成されていてもよい。また、本実施形態では、電磁弁100は、流体圧駆動弁4におけるパイロットバルブとして用いられるものであるが、電磁弁100の用途はこれに限られない。
【0051】
スプール弁101は、空気供給源に第1空気配管を介して接続される入力ポートと、駆動装置200に第2空気配管220を介して接続される出力ポートと、駆動装置200からの排気を排出する排気ポートとを備える。
【0052】
ソレノイド部は、通電時に、入力ポートと出力ポートとの間を連通するように、スプール弁101を変位させ、非通電時に、出力ポートと排気ポートとの間を連通するように、スプール弁101を変位させる。
【0053】
したがって、電磁弁100が通電状態である場合には、空気供給源からの空気(給気)が、第1空気配管、入力ポート、出力ポート及び第2空気配管220の順に流れて、空気給排口214に供給されることで、第2ピストン212Bが押圧されてコイルばね213が圧縮する。そして、コイルばね213の圧縮に応じてピストンロッド211が移動した分だけピストンロッド211及び伝達機構215を介して回転軸10が回転駆動されると、弁箱320内で弁体321が回転し、主弁300が全開状態に操作される。
【0054】
一方、電磁弁100が非通電状態である場合には、シリンダ210内の空気(排気)が、空気給排口214から第2空気配管220、出力ポート及び排気ポートの順に流れて、外気に排出されることで、第2ピストン212Bの押圧力が低下し、コイルばね213が圧縮状態から復元する。そして、コイルばね213の復元に応じてピストンロッド211が移動した分だけ伝達機構215を介して回転軸10が回転駆動されると、弁箱320内で弁体321が回転し、主弁300が全閉状態に操作される。
【0055】
(他の実施形態)
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。そして、それらはすべて、本発明の技術的思想に含まれるものである。
【0056】
例えば、上記実施形態では、筐体1の内部に設置されたセンサは、可動する検知体12が特定の状態にあることを示す所定の位置を検知するリミットスイッチであり、第1センサ30及び第2センサ31という2つのセンサが設置されているものとして説明した。しかし、第1センサ30及び第2センサ31は非接触式の位置検知センサであってもよいし、検知体12を検知対象とするならば、第1センサ30及び第2のセンサ31は位置検知センサに限られず、他の種類のセンサでもよい。さらに、センサの個数は一つでもよく、複数個あってもよい。
【0057】
また、上記実施形態では、筐体1は内部が密閉された容器であると説明したが、必ずしも密閉されている必要はなく、隙間や開放口があってもよい。さらに、筐体1は、ただ密閉されているだけでなく、防爆対応の筐体であってもよい。その場合は、筐体1が防爆容器とするために、筐体1に相対する第1駆動部材26又は第2駆動部材27の接合面間の隙間は、筐体1の厚みに対し、所定の長さ以下でなければならない等の防爆の設計要件を満たす必要がある。上述のその他の隙間や開放口も同様であって、防爆の設計要件を満たすものである。そして、防爆種別としては、耐圧防爆、粉じん防爆、本質安全防爆等、筐体の目的にあった適宜の防爆の設計要件を満たすものであればよい。
【0058】
さらに、上記実施形態では、検知体12は、筐体1の内部で可動するものとして説明したが、筐体1の内部に設置された第1センサ30又は第2のセンサ31と検知体12との所定の相対関係を規定することが可能であれば、検知体12は、筐体1の外部を可動してもよい。
【0059】
また、上記実施形態では、筐体1は、筐体1の内部と外部とを連通する回転軸10を備えているものとして説明したが、検知体12が可動するのであれば、筐体1は回転軸10を備えていなくてもよい。
【0060】
さらに、上記実施形態では、筐体1は、スプール弁101を操作するコイルを備えるソレノイド部40を有するものとして説明したが、筐体1は、ソレノイド部40を備えていなくてもよい。
【0061】
また、上記実施形態では、第1変換機構28及び第2変換機構29は、それぞれ、第1駆動部材26の一端及び第2駆動部材27の一端に回転力を加えると、第1駆動部材26と第2駆動部材27の回転運動を、第1駆動部材26及び第2駆動部材27が有するねじ山と、第1台座24及び第2台座25が有するねじ溝との嵌合作用によって、第1レール22及び第2レール23に沿った第1台座24及び第2台座25の直線運動に変換するものとして説明したが、第1駆動部材26の一端及び第2駆動部材27の一端に回転力を加えることで、第1駆動部材26及び第2駆動部材27の回転運動を第1レール22及び第2レール23に沿った第1台座24及び第2台座25の直線運動に変換する変換機構であれば、ギア機構など、どのような変換機構であってもよい。
【0062】
さらに、上記実施形態では、センサの個数に対応して第1調整部20と第2調整部21という二つの調整部を設けたが、調整部の個数はセンサの個数に対応する必要はなく、複数のセンサに一つの調整部があってもよいし、センサの個数より調整部の個数が多くなってもよい。
【0063】
以上のように、上記実施形態に係る筐体1によれば、筐体は、筐体の内部に設置されたセンサと、センサの検知対象である検知体と、センサと検知体との相対関係を筐体の外部から調整する調整部と、を備える。そのため、筐体のカバーを取り外さなくとも、筐体の内部に設置されたセンサと検知体との相対関係を筐体の外部から調整することができる。これにより、容易に筐体におけるセンサと検知体との相対関係を調整することができる。また、これにより、例えば爆発性雰囲気中に筐体が供されている場合でも、筐体のカバーを取り外すことなく、安全に筐体におけるセンサと検知体との相対関係を調整することができる。
【0064】
また、センサは、検知体の所定の位置を検知する位置検知センサであり、調整部は、相対関係として検知体の所定の位置を調整する。これにより、容易に検知体の所定の位置を調整することができる。また、これにより、例えば爆発性雰囲気中に筐体が供されている場合でも、筐体のカバーを取り外すことなく、安全に検知体の所定の位置を調整することができる。
【0065】
また、調整部は、筐体におけるセンサの設置位置を調整することで、検知体の所定の位置を調整する。これにより、筐体におけるセンサの設置位置を調整することで、容易に検知体の所定の位置を調整することができる。また、これにより、例えば爆発性雰囲気中に筐体が供されている場合でも、筐体のカバーを取り外すことなく、筐体におけるセンサの設置位置を調整することで、安全に検知体の所定の位置を調整することができる。
【0066】
また、検知体は、筐体の内部で可動する可動体であり、検知体の所定の位置は、可動体が特定の状態にあることを表す位置である。これにより、筐体におけるセンサの設置位置を調整することで、容易に可動体である検知体が特定の状態にあることを表す位置を調整することができる。また、これにより、例えば爆発性雰囲気中に筐体が供されている場合でも、筐体のカバーを取り外すことなく、筐体におけるセンサの設置位置を調整することで、安全に可動体である検知体が特定の状態にあることを表す位置を調整することができる。
【0067】
また、位置検知センサは、検知体に当接することで、所定の位置を検知する。これにより、センサが位置検知センサであって、検知体に当接することで、所定の位置を検知するセンサである場合に、筐体におけるセンサの設置位置を調整することで、容易に可動体である検知体が特定の状態にあることを表す位置を調整することができる。また、これにより、例えば爆発性雰囲気中に筐体が供されている場合であり、かつ、センサが位置検知センサであって、検知体に当接することで、所定の位置を検知するセンサである場合でも、筐体のカバーを取り外すことなく、筐体におけるセンサの設置位置を調整することで、安全に可動体である検知体が特定の状態にあることを表す位置を調整することができる。
【0068】
また、筐体は、筐体の内部と外部とを連通する回転軸をさらに備え、検知体は、回転軸の回転に応じて可動する。これにより、センサが位置検知センサであって、回転軸の回転に応じて可動する検知体に当接することで、所定の位置を検知するセンサである場合に、筐体におけるセンサの設置位置を調整することで、容易に可動体である検知体が特定の状態にあることを表す位置を調整することができる。また、これにより、例えば爆発性雰囲気中に筐体が供されている場合であり、かつ、センサが位置検知センサであって、回転軸の回転に応じて可動する検知体に当接することで、所定の位置を検知するセンサである場合でも、筐体のカバーを取り外すことなく、筐体におけるセンサの設置位置を調整することで、安全に可動体である検知体が特定の状態にあることを表す位置を調整することができる。
【0069】
また、筐体は、防爆対応である。これにより、例えば爆発性雰囲気中に筐体が供されている場合でも、筐体のカバーを取り外すことなく、筐体におけるセンサの設置位置を調整することで、防爆要件を満たしながら安全に検知体の所定の位置を調整することができる。
【0070】
また、筐体は、スプール弁を操作するコイルをさらに備える。これにより、例えば爆発性雰囲気中にスプール弁を操作するコイルを備える筐体が供されている場合であり、かつ、センサが位置検知センサであって、回転軸の回転に応じて可動する検知体に当接することで、所定の位置を検知するセンサである場合でも、筐体のカバーを取り外すことなく、筐体におけるセンサの設置位置を調整することで、防爆要件を満たしながら安全に可動体である検知体が特定の状態にあることを表す位置を調整することができる。
【0071】
さらに、上記実施形態に係る筐体1によれば、筐体は、筐体の内部と外部とを連通する回転軸と、検知体と、回転軸の回転運動に応じて検知体を直線上に可動させるカム機構と、可動により所定の位置に到達した特定の状態の検知体を検知するセンサと、調整部とを備え、調整部は、センサを支持している台座と、台座を直線に沿って移動可能に支持するレールと、少なくとも一端が筐体の外部に露出している棒状部材として形成され長手方向の軸線回りに回転可能に支持された駆動部材と、駆動部材の回転運動を前記レールに沿った台座の直線運動に変換する変換機構と、を有し、一端に回転力を加えることによって、筐体におけるセンサの設置位置を調整することで、検知体の所定の位置を調整する。そのため、調整部は、変換機構という、駆動部材の一端に回転力を加えると、駆動部材の回転運動を、レールに沿った台座の直線運動に変換する機構によって、筐体の外部から、筐体におけるセンサの設置位置を調整する。これにより、特別の機械装置を必要とすることなく、簡易的な仕組みで筐体におけるセンサの設置位置を調整することができる。
【0072】
また、駆動部材は、棒状部材の外周にねじ山が形成されており、台座は、内周にねじ山に対応するねじ溝が形成され直線に沿って延びる穴を有しており、変換機構は、駆動部材の回転運動を、ねじ山とねじ溝との嵌合作用によって、レールに沿った台座の直線運動に変換する。そのため、調整部は、変換機構という、駆動部材の一端に回転力を加えると、駆動部材の回転運動を、駆動部材が有するねじ山と、台座が有するねじ溝との嵌合作用を介した、レールに沿った台座の直線運動に変換する機構によって、筐体の外部から、筐体におけるセンサの設置位置を調整する。これにより、特別の機械装置を必要とすることなく、ねじ山とねじ溝という簡易的な仕組みで筐体におけるセンサの設置位置を調整することができる。
【0073】
また、筐体は、防爆対応である。そのため、調整部は、変換機構という、駆動部材の一端に回転力を加えると、駆動部材の回転運動を、レールに沿った台座の直線運動に変換する機構によって、筐体の外部から、筐体におけるセンサの設置位置を調整する。これにより、特別の機械装置を必要とすることなく、防爆要件を満たしながら安全に、かつ、簡易的な仕組みで筐体におけるセンサの設置位置を調整することができる。
【0074】
また、筐体は、スプール弁を操作するコイルをさらに備える。そのため、調整部は、変換機構という、駆動部材の一端に回転力を加えると、駆動部材の回転運動を、駆動部材が有するねじ山と、台座が有するねじ溝との嵌合作用を介した、レールに沿った台座の直線運動に変換する機構によって、防爆対応の筐体であって、スプール弁を操作するコイルを備える筐体の外部から、筐体におけるセンサの設置位置を調整する。これにより、例えば爆発性雰囲気においても、防爆要件を満たしながら安全に、かつ、特別の機械装置を必要とすることなく、簡易的な仕組みでスプール弁を操作するコイルを備える筐体におけるセンサの設置位置を調整することができる。
【符号の説明】
【0075】
1…筐体、2…筐体上部、3…筐体下部、
10…回転軸、
11…クランク、11a…クランク溝、
12…検知体、
13…ガイドプレート、13a…カム溝、
20…第1調整部、21…第2調整部、
22…第1レール、23…第2レール、
24…第1台座、25…第2台座、
26…第1駆動部材、26a…第1操作部、
27…第2駆動部材、27a…第2操作部、
28…第1変換機構、29…第2変換機構、
30…第1センサ、31…第2センサ、
40…ソレノイド部、
50…キャップ、
100…電磁弁、101…スプール弁、
200…駆動装置、210…シリンダ、211…ピストンロッド
212A…第1ピストン、212B…第2ピストン、
213…コイルばね、214…空気給排口、215…伝達機構、
220…第2空気配管、
300…主弁、310…配管、
320…弁箱、321…弁体

【要約】
【課題】筐体の内部に設置されたセンサと、センサの検知対象である検知体の相対関係を、筐体の外部から調整可能な手段を備える筐体を提供する。
【解決手段】
筐体1は、筐体1の内部に設置されたセンサ30と、センサの検知対象である検知体12と、センサ30と検知体12との相対関係を筐体の外部から調整する調整部20とを備える。これにより、筐体1の外部から、センサ30と検知体12の相対関係を調整できるため、爆発性雰囲気においても安全に筐体1内のセンサ30と検知体12の相対関係を調整することができる。
【選択図】 図2

図1
図2
図3
図4
図5