(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-14
(45)【発行日】2025-01-22
(54)【発明の名称】室内排気用床材
(51)【国際特許分類】
F24F 7/10 20060101AFI20250115BHJP
F24F 7/00 20210101ALI20250115BHJP
F24F 13/02 20060101ALI20250115BHJP
F24F 13/08 20060101ALI20250115BHJP
E04B 1/70 20060101ALI20250115BHJP
E04F 15/18 20060101ALI20250115BHJP
【FI】
F24F7/10 A
F24F7/00 C
F24F13/02 C
F24F13/02 D
F24F13/08 A
E04B1/70 C
E04F15/18 B
(21)【出願番号】P 2024186185
(22)【出願日】2024-10-22
【審査請求日】2024-10-22
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】500429789
【氏名又は名称】中野 恭男
(74)【代理人】
【識別番号】100120868
【氏名又は名称】安彦 元
(72)【発明者】
【氏名】中野 恭男
【審査官】杉山 健一
(56)【参考文献】
【文献】特許第7508149(JP,B1)
【文献】特開2000-002457(JP,A)
【文献】特開2003-294264(JP,A)
【文献】特開2018-096585(JP,A)
【文献】実開昭59-070133(JP,U)
【文献】特開2015-129618(JP,A)
【文献】国際公開第2015/137443(WO,A1)
【文献】韓国登録特許第10-1422607(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 7/10
F24F 7/00
F24F 13/02
F24F 13/08
E04B 1/70
E04F 15/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内の空気を室外に排気するための室内排気用床材であって、
互いに離間して対向し閉塞空間を形成する複数の主板のうち、通気孔が穿設される前記室内側の第1主板と、
前記複数の主板のうち、前記第1主板に対して下方に離間して対向する前記室外側の第2主板と、
前記第2主板の内面に設けられ、下方に向かうにつれて拡径された第1傾斜面を有する整流部と、
前記閉塞空間と前記室外とを繋ぎ、前記整流部の上方に配置され、前記閉塞空間側の開口端部が前記整流部に向かう下方に配向された排気管と、
前記排気管の前記開口端部から下方に延長され、下方に向かうにつれて拡径された第2傾斜面を有し、前記整流部と互いに離間する第1フード部と、
を備えること
を特徴とする室内排気用床材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、建物内に設置される室内排気用床材に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、建物の床下や壁裏等の空間を活用して建物内の空気を排気する技術が研究されている。近年において、鉄筋コンクリートや鉄骨システム、商業施設やタワーマンションなど、気密性の高い住居、施設が多数存在する。そして、それらは人が多く集まる建物であり、感染症の拡大問題など、建物内の換気の必要性の認識が高まっている。一方で、その換気方法は、ほぼすべてが天井面や高所に取り付けられる換気扇によるものである。感染症の病巣となる微細なウイルスや細菌は、飛散した後に下方の床面へ落下し、密度の高い病巣層を形成して足元に集まり、人が歩くことにより飛散を繰り返す問題がある。以上の理由から、最も感染予防の見地において厳格な医療施設の手術室の清潔環境においても、CDC(米国疾病管理予防センター)手術部位感染予防対策のガイドライン(1999年)において、換気対策として「給気は天井から、排気は床面付近からとする。」と規定されている。また、同様の理由により、ウイルスや細菌叢による感染予防ばかりでなく、人の生活空間で生じるハウスダストなどのいわゆる埃もまた、飛散の後下方に集層されるため、喘息などの病症の原因となっている。また、従来の建物の床下通気孔は、床下空間の排気を目的としており、室内空間の排気を目的としていなかった。このような現状から、天井面以外の排気、例えば床面排気や壁面排気による換気の必要性が、より健康な環境づくりの一環として切望されている。
【0003】
また、世界的に喫煙の分煙化が進んでいる中で、分煙化のための喫煙室では、喫煙者自体も副流煙などによる他者の喫煙の影響リスクにさらされているといえる。一方、世界的なコロナ等感染症リスクの対策として、人が集まる場において、適切に管理された給排気システムの構築が推奨されている。特に喫煙室は、複数の人が滞留する閉塞された室内であるため、喫煙の影響リスクに加えて感染症罹患のリスクが少なからずある。そのため、喫煙室等の室内においては、それら二つのリスクを解決するための室内排気方法が求められている。
【0004】
特許文献1には、内部に閉塞空間が形成された室内排気用床材が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示された換気装置によれば、床下空間のない室内において床下空間に排気するシステムの設置性の向上を図ることができる。しかしながら、特許文献1に開示された換気装置では、異物が排気口を通過して閉塞空間に侵入したとき排気路が詰まるおそれがある。また、日常的な換気を実施して上述の喫煙又は感染症のリスクを解決するためには換気量をより向上させる余地がある。以上により、特許文献1に開示された換気装置は、床面排気に係るシステムの管理性と排気性能とに改善の余地がある。
【0007】
そこで本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、床下空間のない室内において床下空間に排気するシステムの管理性及び排気性能の向上が図られた室内排気用床材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1発明における室内排気用床材は、室内の空気を室外に排気するための室内排気用床材であって、互いに離間して対向し閉塞空間を形成する複数の主板のうち、通気孔が穿設される前記室内側の第1主板と、前記複数の主板のうち、前記第1主板に対して下方に離間して対向する前記室外側の第2主板と、前記第2主板の内面に設けられ、下方に向かうにつれて拡径された第1傾斜面を有する整流部と、前記閉塞空間と前記室外とを繋ぎ、前記整流部の上方に配置され、前記閉塞空間側の開口端部が前記整流部に向かう下方に配向された排気管と、前記排気管の前記開口端部から下方に延長され、下方に向かうにつれて拡径された第2傾斜面を有し、前記整流部と互いに離間する第1フード部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
第1発明によれば、室内排気用床材は、下方に向かうにつれて拡径された第1傾斜面を有する整流部と、開口端部が整流部に向かう下方に配向された排気管と、排気管の開口端部から下方に延長され、下方に向かうにつれて拡径された第2傾斜面を有し、整流部と互いに離間する第1フード部と、を備える。このため、通気孔を通過して閉塞空間内に落下した異物が第1傾斜面と第2傾斜面とに阻害されて開口端部に流入せず排気管に吸引されにくく、排気路の詰まりを抑制できる。これにより、床下空間のない室内において床下空間に排気するシステムの管理性向上を図ることができる。また、排気管の内部又は下方の圧力損失を低減できる。これにより、床下空間のない室内において床下空間に排気するシステムの排気性能の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本実施形態における室内排気用床材の一例を示す模式図である。
【
図2】
図2は、本実施形態における室内排気用床材の一例を示す模式断面図である。
【
図3】
図3は、本実施形態における室内排気用床材の一例を示す模式拡大図である。
【
図5】
図5(a)~
図5(b)は、本実施形態における室内排気用床材のうち整流部の変形例を示す模式拡大図である。
【
図6】
図6は、本実施形態における室内排気用床材の一例について第1主板を省略して示す模式平面図である。
【
図7】
図7は、本実施形態における室内排気用床材のうち排気管の変形例を示す模式拡大図である。
【
図8】
図8は、本実施形態における室内排気用床材を用いた室内排気用床構造の一例を示す模式図である。
【
図9】
図9は、本実施形態における室内排気用床材を用いた室内排気用床構造の変形例を示す模式図である。
【
図10】
図10は、本発明例1の室内排気用床材についてシミュレーション結果の一例を示す模式図である。
【
図11】
図11は、本発明例2の室内排気用床材についてシミュレーション結果の一例を示す模式図である。
【
図12】
図12は、比較例1の室内排気用床材についてシミュレーション結果の一例を示す模式図である。
【
図13】
図13は、比較例2の室内排気用床材についてシミュレーション結果の一例を示す模式図である。
【
図14】
図14は、比較例3の室内排気用床材についてシミュレーション結果の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態としての室内排気用床材1の一例について詳細に説明をする。なお、各図において、第1方向Xとし、第1方向Xと直交する1つの方向を第2方向Yとし、第1方向X及び第2方向Yのそれぞれと直交する方向を下方向Zとする。各図における構成は、説明のため模式的に記載されており、例えば各構成の大きさや、構成毎における大きさの対比等については、図とは異なってもよい。
【0012】
(室内排気用床材1)
図面を参照して、本実施形態における室内排気用床材1の一例を説明する。
【0013】
室内排気用床材1は、例えば
図1に示すように、室内の空気を室外に排気するために建物の室内床面に構築される室内排気床構造100を構成するための床材である。室内排気用床材1は、室内空間Rと室外空間Oとを隔てる床材であり、室内空間Rを形成する床の少なくとも一部を構成する。
【0014】
ここで、室内空間Rとは、例えば閉塞された空間を指し、特に手術室や喫煙室等の継続的な排気が必要とされる空間を含む。
【0015】
室内排気用床材1は、例えば互いに離間して対向し閉塞空間Qを形成する複数の主板2を備え、複数の主板2には通気孔3が穿設される室内側の第1主板2fと、第1主板2fと互いに離間して対向する室外側の第2主板2bと、が含まれる。
【0016】
ここで、室内排気用床材1は、室内に設置されるとき、閉塞空間Qが排気路である床下空間となり、通気孔3を介して室内空間Rと床下空間とを繋ぐ。一方で、例えば従来の床面排気は、通常、床下に排気用の配管を施すために、全ての床面を削ったり、大部分の床面を剥がしたりした上で排気用配管を施工する手間があった。室内排気床構造100によれば、閉塞空間Qを介して室内空間Rの排気を行うことで、床面の掘削を新たに行う手間なく床下空間を容易に形成することができ、建物の床下空間への排気を実現することができる。これにより、床下空間に排気可能な室内排気床構造100の設置性の向上を図ることができる。
【0017】
また、室内排気用床材1は、例えば
図2~
図5に示すように、第2主板2bに設けられ下方に向かうにつれて拡径された第1傾斜面41を有する整流部4と、開口端部51が整流部4に向かう下方に配向された排気管5と、排気管5の開口端部51から下方に延長され、下方に向かうにつれて拡径された第2傾斜面61を有し、整流部4と互いに離間する第1フード部6と、を備える。室内排気用床材1は、室内に設置されるとき、排気管5を介して床下空間と室外空間Oとを繋ぐ。この場合、通気孔3を通過して閉塞空間Q内に落下した異物が第1傾斜面41と第2傾斜面61とに阻害されて開口端部51に流入せず排気管5に吸引されにくく、排気路の詰まりを抑制できる。これにより、床下空間のない室内において床下空間に排気するシステムの管理性向上を図ることができる。なお、
図3は、室内排気用床材1の一部を拡大した模式拡大図である。また、
図4は、
図3の室内排気用床材1に対応する上方斜視図であり、
図5は、室内排気用床材1の床面を省略してた模式平面図である。
【0018】
なお、室内排気用床材1は、例えば第1フード部6の元口端部から径方向外向きに延長され、第2主板2bと略平行に互いに離間して対向する第2フード部7をさらに備えてもよい。
【0019】
室内排気用床材1は、例えば
図1に示すように、室内空間Rと給排気装置9の給気ダクト91とが接続されることで、給気経路として閉塞空間Qと室外空間Oとが連通される。また、室内排気用床材1は、例えば第2端部22に設けられた開口と給排気装置9の排気ダクト92とが接続されることで、排気路として閉塞空間Qと室外空間Oとが連通される。このとき、給排気装置9の駆動部90が給排気動作をすることで、閉塞空間Qにおいて第1端部21から第2端部22に向かう方向を排気方向とする排気が実施されるとともに、室内空間Rの上方から下方に向かう方向を給気方向とする給気が実施される。
【0020】
室内排気用床材1の形状としては、例えば中空の略直方体形状である。室内排気用床材1の寸法としては、例えば第2方向Yの幅w1が約300mm、下方向Zの幅w2が約22mmである。幅w1及び幅w2は、例えば室内排気床構造100に要求される排気能力に応じた閉塞空間Qの断面積(排気方向に直交する断面積)と、室内排気用床材1に要求される耐久性能に応じた複数の主板2の板厚と、に基づいて設計される。なお、第1方向Xの幅w3は、本実施形態において第1方向Xが排気方向であり、その長さが給排気能力に直接影響しないため任意の長さを採用してもよく、例えば1~5m程度でもよい。また、室内排気用床材1は、例えば平面視長方形状でもよく、平面視正方形状でもよい。
【0021】
ここで、従来の床下空間を排気路とする排気システムは、厚さが約40~100mmと大きく、既設の室内に設置する際に小上がりができてしまう等の不便があった。一方で、本発明の室内排気用床材1は、下方向Zの幅w2が約22mmと薄く室内用の床材としての利便性が高く、かつ室内用の床材として用いることで、この床材の内部を床下空間の排気路とすることができる。また、この薄さにより排気路の断面積が低減され、より速い風速で排気しやすい。これにより、建物の床下空間への排気効率の向上を図ることができる。
【0022】
室内排気用床材1の材質としては、例えばアルミニウム、ステンレス鋼(SUS304等)等の金属が用いられる。
【0023】
<複数の主板2>
複数の主板2は、例えば互いに離間して対向し閉塞空間Qを形成する第1主板2f及び第2主板2bと、互いに離間して対向し閉塞空間Qを形成する第1端部21及び第2端部22と、を含む。
【0024】
複数の主板2のうち、第2主板2bと第1主板2fとの離間幅、すなわち閉塞空間Qの下方向Z(深さ方向)の幅は、例えば約14mmである。また、複数の主板2のうち、各主板2f、2b、及び各端部21、22を除く、第1方向Xと下方向Zとを含む第2平面方向に延長された一対の側板の厚さは、例えばそれぞれ約4mmである。このとき、当該一対の側板の離間幅、すなわち閉塞空間Qの第2方向Yの幅は、例えば約292mmである。
【0025】
<第1主板2f>
第1主板2fは、室内排気用床材1の複数の主板2のうち、室内空間R側に設置される板材である。第1主板2fは、例えば第1方向Xと第2方向Yとを含む第1平面方向に延長される。
【0026】
第1主板2fの寸法としては、例えば厚さが約4mmである。
【0027】
第1主板2fは、室内空間Rの床面であり、複数の主板2の上方の板材である。すなわち、第1主板2fは、第2主板2bに対して上方に離間して対向する。
【0028】
第1主板2fは、例えば通気孔3が1以上穿設される。このとき、室内空間Rと閉塞空間Qとは、通気孔3を介して接続される。第1主板2fとしては、例えば公知の格子蓋が用いられてもよい。この場合、格子の隙間が通気孔3に相当するため、通気孔3を新たに穿設しなくてもよい。
【0029】
<第2主板2b>
第2主板2bは、室内排気用床材1の複数の主板2のうち、室外空間O側に設置される板材である。第2主板2bは、例えば第1方向Xと第2方向Yとを含む第1平面方向に延長される。第2主板2bは、例えば第1主板2fと平行である。
【0030】
第2主板2bの寸法としては、例えば厚さが約4mmである。
【0031】
第2主板2bは、室内空間Rの床面とは反対の面であり、複数の主板2の下方の板材である。すなわち、第2主板2bは、第1主板2fに対して下方に離間して対向する。
【0032】
第2主板2bは、例えば
図2に示すように、内面に一以上の整流部4が設けられる。設けられる整流部4の数は、例えば排気管5の配置数や配置位置に応じて設けられる。このとき、室内空間Rと閉塞空間Qとを行き来する空気は、整流部4に衝突する。
【0033】
<第1端部21、第2端部22>
第1端部21及び第2端部22は、室内排気用床材1の複数の主板2のうち、閉塞空間Qにおける排気方向を決めるための板材である。第1端部21及び第2端部22は、例えば第2方向Yと下方向Zとを含む第3平面方向に延長される。
【0034】
本実施形態においては、例えば第1主板2f及び第2端部22以外の面(第2主板2b、一対の側板を含む)が閉塞され、第2端部22のうち少なくとも一部が開口している。また、室内排気用床材1の閉塞空間Qは、例えば第2端部22に設けられた開口に接続される給排気装置9を介して室外空間Oと接続されている。これにより、室内空間Rが、閉塞空間Qを介して室外空間Oと接続される。また、室内空間Rから室外空間Oへ排気する際の閉塞空間Qにおける排気方向は、第1端部21から第2端部22に向かう方向となる。なお、第2端部22は、第3平面方向に延長された板材を設けないことで、端部の全面が開口されてもよい。
【0035】
<通気孔3>
通気孔3は、第1主板2fに穿設される。通気孔3は、室内空間Rと閉塞空間Qとを接続する。
【0036】
本実施形態においては、通気孔3の形状として円形を例に説明するが、要求される排気能力に応じた面積を確保できる形状であれば任意である。通気孔3の寸法としては、人間が第1主板2f上を歩行でき、空気が室内空間Rから閉塞空間Qに流入できる寸法であればよい。
【0037】
通気孔3は、例えば第1主板2fの内面又は外面において開口を覆うようにフィルタが設けられてもよい。フィルタは、例えば通気性のある公知の不織布フィルタ等が用いられる。フィルタを設けることにより、室内空間Rから閉塞空間Qを介して室外空間Oに排気する際に、排気する空気に含まれる埃やゴミが閉塞空間Q内で排気路を塞ぐことを防ぐことができる。
【0038】
<整流部4>
整流部4は、例えば
図2~
図3に示すように、第2主板2bのうち閉塞空間Qの内面側に設けられる。整流部4は、第2主板2bと同一又は異なる材質からなり、第2主板2bと着脱自在である。
【0039】
整流部4は、例えば頂部40と、第1傾斜面41と、底部42と、を有する。整流部4は、下方向Zに向かうにつれて拡径された第1傾斜面41を有する突起である。整流部4は、例えば底部42を設置面として第2主板2bの内面に設置される。
【0040】
整流部4の形状としては、本実施形態では円錐を例に説明するが、第1傾斜面41を有する任意の突起形状でもよく、例えば多角錐を含む錐体のほか、円錐台及び角錐台を含む錐台でもよい。
【0041】
整流部4は、例えば錐体が用いられてよい。この場合、錐台が用いられる場合と比べて、整流部4と排気管5との間の空間で排気速度が低下しにくい。これにより、床下空間に排気するシステムの排気効率の低下抑制を図ることができる。なお、錐体の整流部4を用いる場合の効用については、後述の実施例で説明する。
【0042】
整流部4は、例えば
図3に示すように、側面視で底角α=30°、頂角β=120°の二等辺三角形が好ましい。この場合、底角αが30°超若しくは30°未満の場合、又は頂角βが120°超若しくは120°未満の場合と比べて、整流部4と排気管5との間の空間で排気速度が低下しにくい。これにより、床下空間に排気するシステムの排気効率の低下抑制を図ることができる。なお、底角α=30°、頂角β=120°の錐体の整流部4を用いる場合の効用については、後述の実施例で説明する。
【0043】
整流部4は、例えば
図5(a)に示すように、第1傾斜面41が、頂部40から底部42に向かって、異なる傾斜角(底角)γ、δを有する複数の傾斜面41a、41bを有してもよい。傾斜面41aは、第1方向Xに対して傾斜角γである。傾斜面41bは、第1方向Xに対して傾斜角δである。
図5(a)の例では、傾斜角γが傾斜角δよりも小さい例を示す。
【0044】
すなわち、整流部4は、第1主板2fから下方向Zに向かうにつれて第1傾斜面41の傾斜角が小さくなる。この場合、閉塞空間Q内の排気が第1傾斜面41に衝突する際、排気方向がより緩やかに変換され、衝突に伴う排気音を抑制できる。これにより、室内排気用床材1の利便性の向上を図ることができる。
【0045】
整流部4は、例えば
図5(b)に示すように、頂部40から底部42に向かって、傾斜角が小さくなる凹曲面の第1傾斜面41を有してもよい。この場合においても同様に、排気方向がより緩やかに変換され、衝突に伴う排気音を抑制できるため、室内排気用床材1の利便性の向上を図ることができる。
【0046】
整流部4は、例えば第2主板2bの別体として、第2主板2bの内面に対して接合される。整流部4は、例えば第2主板11bと一体でもよい。この場合、室内空間Rの排気が第1傾斜面41に衝突することによる整流部4のせん断応力による変形や剥離を防止できる。これにより、室内排気床構造100の耐久性の向上を図ることができる。整流部4は、第2主板2bがプレス加工等により塑性変形される方法によって設けられてよい。また、整流部4は、第2主板2bが切削加工等により周囲の面が切り欠かれる方法によって設けられてよい。
【0047】
整流部4の寸法としては、例えば底部42の直径が約50~150mmであり、下方向Zに沿った高さが閉塞空間Qの高さの半分以上であることが好ましく、例えば約11~30mmである。
【0048】
<排気管5>
排気管5は、閉塞空間Qと室外空間Oとを繋ぐ。排気管5は、例えば
図2~
図3に示すように、整流部4の上方に配置され、閉塞空間Q側の開口端部51が整流部4に向かう下方に配向される。なお、開口端部51が配向される向きは、鉛直下方向(下方向Z)でもよく、斜め下方向でもよい。
【0049】
排気管5の開口端部51は、例えば整流部4の頂部40に向かって下方向Zに配向されてよい。すなわち、排気管5は、下方向Zの方向視すなわち平面視で、開口端部51と頂部40とが重なるように設けられる。この場合、開口端部51が頂部40以外の第1傾斜面41に向かって配向される場合と比べて、整流部4と排気管5との間の空間で排気速度が低下しにくい。これにより、床下空間に排気するシステムの排気効率の低下抑制を図ることができる。また、開口端部51が斜め下方向に配向される場合と比べて、通気孔3を通過して閉塞空間Q内に落下した異物が第1傾斜面41に沿って上昇して頂部40まで到達しなければ開口端部51に流入しないため排気管5に吸引されにくく、排気路の詰まりをさらに抑制できる。これにより、床下空間のない室内において床下空間に排気するシステムのさらなる管理性向上を図ることができる。
【0050】
また、排気管5の開口端部51が下方向Zに配向されるとき、閉塞空間Q内を第1方向Xと第2方向Yとを含む第1平面方向に流動する水平層流の排気について、第1傾斜面41に衝突して下方向Zとは反対の上方向に沿った垂直層流に変換された排気を確実に排気することができる。詳しくは、第1傾斜面41に衝突する前の閉塞空間Q内の水平層流が、第1傾斜面41に沿った排気方向に変換された上で、排気方向が上方向に沿った垂直層流に変換されるため、第1傾斜面41に衝突せずに水平層流が垂直層流に変換される場合と比べて排気効率が高い。これにより、床下空間への排気効率の向上を図ることができる。
【0051】
排気管5は、例えば
図6に示すように、給排気装置9の排気ダクト92に対して複数接続されてよい。このとき、排気管5は、それぞれ一の開口端部51が設けられてよい。この場合、一部の開口端部51の詰まり等の不具合が他の開口端部51に影響しにくい。これにより、室内排気用床材1の利便性の向上を図ることができる。
【0052】
排気管5は、例えば
図7に示すように、複数の開口端部51が設けられてよい。この場合、それぞれ一の開口端部51が設けられる場合と比べて、排気管5を第2端部22から露出させる本数を低減でき、第2端部22の加工が容易となる。これにより、室内排気用床材1の製造性の向上を図ることができる。
【0053】
排気管5の寸法としては、例えば開口端部51の直径及び管内の内径について、公知の排気パイプの寸法と同様でよい。排気管5は、例えば整流部4の直径よりも小さい直径の開口端部51を有し、頂部40と少なくとも一部の第1傾斜面41とが、下方向Zの方向視すなわち平面視で開口端部51と重なるように設けられることが好ましい。この場合、閉塞空間Q内の水平層流が確実に第1傾斜面41に衝突し、第1傾斜面41に沿った排気方向に変換された上で、排気方向が上方向に沿った垂直層流に変換されるため、第1傾斜面41に衝突せずに水平層流が垂直層流に変換される場合と比べて排気効率が高い。これにより、床下空間への排気効率の向上を図ることができる。
【0054】
<第1フード部6>
第1フード部6は、例えば
図2~
図3に示すように、排気管5の開口端部51から下方に延長される。第1フード部6は、例えば下方に向かうにつれて拡径された第2傾斜面61を有する。第1フード部6は、例えば整流部4と互いに離間する。第1フード部6は、例えば下方に向かうにつれて拡径されたテーパ形状であり、所定の開き角度で下方に向かって延長される。
【0055】
第1フード部6は、例えば整流部4との間に排気路となる第1離間空間を形成する。第1フード部6の第2傾斜面61は、例えば第1離間空間で整流部4の第1傾斜面41と対向する。この場合、通気孔3を通過して閉塞空間Q内に落下した異物が、第2傾斜面61により直接開口端部51に流入せず、また第1傾斜面41に沿って第1離間空間を通過しなければ排気管5に吸引されないため、排気路の詰まりを抑制できる。これにより、床下空間のない室内において床下空間に排気するシステムの設置性及び管理性向上を図ることができる。また、排気管の内部又は下方の圧力損失を低減できる。これにより、床下空間のない室内において床下空間に排気するシステムの排気性能の向上を図ることができる。
【0056】
また、第1フード部6の第2傾斜面61は、例えば側面視の第1離間空間で整流部4の第1傾斜面41と平行に離間して配置されてよい。具体的には、
図3に示すように、整流部4の頂角β=120°のとき、第1フード部6の開き角度も120°(第1方向Xに対して30°下方に延長)となる。この場合、排気路の断面積が略一定となり、排気の風速が安定しやすい。これにより、床下空間のない室内において床下空間に排気するシステムの排気性能の向上を図ることができる。
【0057】
なお、第1フード部6の開き角度が120°を超過する場合、開口端部51に対する第1フード部6の開き角度が急となり水平層流を垂直層流に変換しにくい。また、第2フード部7を第1フード部6に対して外側に向かって30°傾斜させることが流体力学上好ましく、この場合第1フード部6の開き角度が120°を超過すると第2フード部7が水平よりも上方に傾斜してしまい、その結果埃が侵入しやすく排気性能が低下するおそれがあるため、好ましくない。また、第1フード部6の開き角度が120°未満である場合、第2主板2bや第2フード部7に対する第1フード部6の開き角度が急となり水平層流を垂直層流に変換しにくく、排気性能が低下するおそれがあるため、好ましくない。
【0058】
第1フード部6は、上方の縮径された末口端部が排気管5の開口端部51に接続される。第1フード部6は、例えば予め加工されたテーパ管が排気管5の開口端部51に接合されてもよく、排気管5の端部を加工してテーパ形状の第1フード部6を形成してもよい。
【0059】
第1フード部6は、例えば下方の拡径された元口端部に第2フード部7が接続されてもよい。
【0060】
第1フード部6は、例えば下方の拡径された元口端部に、元口端部の開口を覆うように図示しない通気フィルタが設けられてもよい。通気フィルタは、例えば通気性を有し異物の侵入を防ぐための公知のフィルタ用金網や不織布フィルタ等が用いられる。通気フィルタを設けることにより、室内空間Rから閉塞空間Qを介して室外空間Oに排気する際に、排気する空気に含まれる埃やゴミが閉塞空間Q内で排気路を塞ぐことを防ぐことができる。
【0061】
<第2フード部7>
第2フード部7は、例えば
図2、
図3、
図6に示すように、第1フード部6の第2主板2b側の元口端部から径方向外向きに延長される。第2フード部7は、例えば第2主板2bと略平行に互いに離間して対向する。このとき、第2フード部7の開き角度は約180°となる。なお、第2フード部7は、第1フード部6に対して外側あるいは上方に向かって30°傾斜させることが、流体力学上排気性能を向上できることが自明であるため、好ましい。
【0062】
第2フード部7は、例えば第2主板2bとの間に排気路となる第2離間空間を形成する。第2フード部7の内面は、例えば第2離間空間で第2主板2bの内面と対向する。この場合、通気孔3を通過して閉塞空間Q内に落下した異物が、第2フード部7により直接第1離間空間に流入せず、第2離間空間を通過しなければ排気管5に吸引されないため、排気路の詰まりを抑制できる。これにより、床下空間のない室内において床下空間に排気するシステムの設置性及び管理性向上を図ることができる。また、第2フード部7を設けることで、第2フード部7がない場合と比べてより広い範囲から排気吸引し、室内空間R内により均等な下降気流を創出できる。これにより、床下空間のない室内において床下空間に排気するシステムの排気性能の品質向上を図ることができる。
【0063】
第2フード部7は、例えば
図4及び
図6に示すように、第1フード部6の元口端部の外周全体から径方向外向きに延長された平面視環状の形状である。第2フード部7は、例えば第1フード部6の元口端部の外周形状に応じて形状が設計されてよく、平面視円環状又は平面視角環状の何れでもよい。第2フード部7は、例えば予め加工された管状の部材が第1フード部6の元口端部に接合されてもよく、第1フード部6の元口端部を加工して径方向外向きに延長された平面視環状の第2フード部7を形成してもよい。
【0064】
<室内排気床構造100>
室内排気床構造100は、例えば
図8に示すように、室内排気用床材1と、第1種換気を行うための給排気装置9と、を備える。室内排気床構造100は、例えば給排気装置9の給気ダクト91及び給気口91aを介して室外空間Oの空気を給気して室内空間Rに供給する。また、室内排気床構造100は、例えば給排気装置9の排気ダクト92及び排気口92aを介して室内空間Rの空気を室外空間Oに排気する。このとき、室内排気用床材1は、室内空間Rの空気を、通気孔3と、閉塞空間Qと、排気管5と、を通過させて、室外空間Oに排気する。
【0065】
室内排気床構造100は、例えば給排気装置9の制御により、室内排気用床材1を介して、室内空間Rの空気を室外空間Oに排気できる。閉塞空間Qは、室外空間Oと遮断されており、外部から小動物の侵入を防ぐことができる。また、閉塞空間Qは、室外空間Oと遮断されているため、内部において排気方向が乱れにくく排気効率を向上できる。
【0066】
室内排気床構造100は、既存の給気用ダクト等と組み合わせて室内空間Rの空気を排気してもよい。従来の排気方法は、例えば天井に設置された換気口を介して室内空間Rの空気を排気する。このため、室内の空気が下から上に向かう垂直層流が形成され、ウイルスや細菌等の感染物質が巻き上がり、感染を拡大させる懸念があった。一方で、室内排気床構造100は、例えば
図8に示すように、天井に設置された換気口を介して室外空間Oから外気を取り入れ、室内空間Rの空気を室内排気用床材1内の閉塞空間Qと排気管5と給排気装置9とを介して室外空間Oに排気するため、室内の空気が上から下に向かう垂直層流が形成され、ウイルスや細菌等の感染物質の拡散を抑制し、感染防止に資することができる。なお、図中の室内空間R内及び給排気装置9内の矢印は空気の流れを示している。
【0067】
室内排気床構造100は、例えば
図9に示すように、給排気装置9の代わりに、給気機能を有さず吸気により排気を実現する、第3種換気を行うための吸気装置9’を備えてもよい。第3種換気用の吸気装置9’は、第1種換気用の給排気装置9と比べて、装置の導入費用を低減しやすく、結露等の不具合が生じにくいため耐久性を向上しやすい。
【0068】
また、室内排気床構造100は、例えば上方が室内空間Rと連通し、下方が室内空間Rと分割され室内排気用床材1と連通する間仕切り空間PSを形成する間仕切りPが立設されてもよい。また、間仕切りPは、室内空間Rの床に対して着脱自在に立設されてよい。このとき、室内排気床構造100は、例えば室内空間Rの壁面に穿設された給気口Hを介して室外空間Oの空気を室内空間Rに給気する。また、室内排気床構造100は、例えば給排気装置9の排気ダクト92及び排気口92aを介して室内空間Rの空気を室外空間Oに排気する。このとき、室内排気用床材1は、室内空間Rの空気を、間仕切り空間PSと、通気孔3と、閉塞空間Qと、排気管5と、を通過させて、室外空間Oに排気する。この場合、室内空間Rの室内排気用床材1の上方又は周囲に間仕切りPを立設して任意の寸法・形状の仕切り空間PSを設置することで、臨時の喫煙室を容易に設けられる。これにより、床下空間のない室内において床下空間に排気するシステムの利便性の向上を図ることができる。
【0069】
<給排気装置9>
給排気装置9は、室内空間Rの排気と給気とを制御する第1種換気を行う装置である。給排気装置9は、例えば
図8に示すように、駆動部90と、給気ダクト91と、給気口91aと、排気ダクト92と、排気口92aと、を備える。駆動部90は、例えば公知の吸引動力ブロアと公知の排気動力ブロアとを含む。
【0070】
給排気装置9は、例えば室内排気用床材1の第2端部22に設けられた穿孔から露出した排気管5に排気ダクト92が接続されることで、排気ダクト92を介して室内排気用床材1の閉塞空間Qと室外空間Oとを連通する。給排気装置9は、通気孔3と排気管5と排気ダクト92とを介して、閉塞空間Qの空気を第1端部21から第2端部22に向かう排気方向に沿って吸引することで室内空間Rの空気を吸引し、吸引した空気を室外空間Oに排気できる。すなわち、室内排気床構造100は、給排気装置9を介して、通気孔3と閉塞空間Qとを介した室内の排気を制御して、室内空間Rにおいて上から下へ向かう垂直層流を形成できる。このため、一方向の排気により室内のウイルスや細菌等の拡散を防ぐことができる。これにより、室内排気床構造100の利便性の向上を図ることができる。なお、給排気装置9は、室内空間Rから吸引した空気を、吸引動力ブロアに設置された図示しないヘパフィルター等により適正処理した上で、室外空間Oに排出するとともに、再び給気資源として再利用し得る。
【0071】
給排気装置9としては、例えば公知のブロワー等が用いられる。給排気装置9の排気性能は、室内空間Rに要求される排気量に応じて任意に設計されてもよいが、「手術室の空調と環境整備(甲斐 哲也著 日本臨床麻酔学会第35回大会シンポジウム 日臨麻会誌Vol.37 No3,369~379,2017)」によれば、手術室室内の換気に要求される換気回数は「外気3回/hr以上」、「吹出し風速:0.35m/s(垂直層流式)、0.45m/s(水平層流式)程度」を参考に設定されることが好ましい。また、通気孔3の開口の面積や穿設される数量は、給排気装置9の排気性能と、室内空間Rに要求される排気量とに応じて設計されてもよい。
【0072】
例えば、室内空間Rの体積が約24.3m3(幅2.7m×奥行3.6m×高さ2.5m)であって、室内排気用床材1を床材として垂直層流の排気を行うときは、給排気装置9に要求される排気能力は72.9m3/hr(24.3m3/回×3回/hr)となり、これは約0.020m3/sであるため、室内排気用床材1に穿設された通気孔3全ての開口の面積合計を約0.055m2(直径100mmの正円7個分)と設計することで、通気孔3を通過する際の垂直層流の風速が約0.37m/s(0.020m3/s÷0.055m2)となり、「吹出し風速:0.35m/s(垂直層流式)」の条件を満たせる。この風速は、通気孔3を通過する空気の通気孔3内における風速である。このとき、閉塞空間Q内を流動する空気の風速は、閉塞空間Qの断面積が約0.004m2(幅w6=0.014m、一対の側板の離間幅0.292m)のとき、約5m/sとなる。
【0073】
また、排気能力が55m3/分、すなわち排気能力約0.917m3/sの給排気装置9を用いて排気する場合、室内空間Rの体積が約1100m3(幅10m×奥行10m×高さ11m)の排気を3回/hr実施できる。また、通気孔3を通過する際の垂直層流の風速が約0.35m/s以上を満たす通気孔3の面積合計は約2.619m2以下であり、これは直径100mmの正円を333個穿設する設計である。このように、室内排気床構造100は、既存の給排気装置9の排気能力と、通気孔3の開口の面積及び穿設される数量とによっては、広範な室内空間Rの排気にも対応することができる。
【0074】
なお、排気能力約0.020m3/sで室内排気用床材1を壁材として水平層流の排気を行うときは、室内排気用床材1に穿設された通気孔3全ての開口の面積合計を約0.045m2以下、すなわち直径100mmの正円を5個穿設するものと設計することで、通気孔3を通過する際の水平層流の風速が約0.52m/s(0.020m3/s÷0.039m2)となり、「0.45m/s(水平層流式)」の条件を満たせる。
【0075】
<吸気装置9’>
吸気装置9’は、室内空間Rの排気を吸気により制御する第3種換気を行う装置である。吸気装置9’は、例えば
図9に示すように、図示しない駆動部と、排気ダクト92と、排気口92aと、を備える。吸気装置9’としては、例えば公知の吸排気装置が用いられる。吸気装置9’の排気性能は、上述の給排気装置9の排気性能と同様でよい。
【0076】
(室内排気用床材1の使用方法の一例)
次に、図面を参照して、本実施形態における室内排気用床材1の使用方法の一例として、室内排気床構造100の給排気装置9の排気条件と、室内排気床構造100の排気動作方法とを説明する。
【0077】
<排気条件>
まず、給排気装置9の排気条件について説明する。
【0078】
給排気装置9の排気条件として、例えば
図8に示すように、室内空間Rへの給気風量を20m
3/分とし、室内空間Rからの排気風量を20m
3/分として、室内排気用床材1を用いることが好ましい。このとき、室内空間Rの圧力は室外空間Oと略同じ圧力状態となる。室内排気用床材1は、室内空間Rが締め切られた閉塞状態のとき、この排気条件で安定的な下方整流の空気の流れを作り出すことができる。
【0079】
ここで、室内空間Rの床面積をおおよそ畳8畳間(約3.6m×3.6m)、天井高を3mと仮定すると、室内空間Rの容積は約40m3になる。このとき、20m3/分の換気を行えば、1200m3/時の換気量となる。これは、室内容積の30倍の量であり、換気回数30回/時に相当する。ここで、「手術医療の実践ガイドライン 改訂第三版 2019年発行」に示される「換気回数15回/時」を満たす。以上により、本発明の室内排気用床材1は、手術室に要求される排気性能を満たす実用性の高い排気能力を有するといえる。
【0080】
また、室内排気用床材1による換気は、室内空間R内を上方から下方に向けて整流されるものであり、上記条件の場合、換気風速が25cm/秒(0.025m/秒)となる。ここで、改正健康増進法によれば。喫煙専用室及び加熱式たばこ専用喫煙室の技術的基準として、「出入り口において、室外から室内に流入する空気の気流が、0.2m毎秒以上であること。」とあるが、室内排気用床材1はこの基準を満たす。以上により、本発明の室内排気用床材1は、喫煙室に要求される排気性能を満たす実用性の高い排気能力を有するといえる。
【0081】
「CFD解析による受動喫煙性状の検討 1999年1月 林 立也、加藤 信介、村上 周三、曽 潔ら」の論文によれば、「人体近傍においては人体生理発熱による上昇流が顕著に生じており、人体頭頂部で最大0.25m/sとなる。」とあり、室内空間R内の換気による25cm/秒の下方対流が相殺されるので、室内空間Rの利用者は、換気による風を体感しにくい。また、同論文には「喫煙者指先近傍では、煙草の発熱による上昇流が生じ、最大0.34m/sとなる。」ともあり、この条件では、34cm/秒の上昇流が25cm毎秒の下方対流とぶつかり、残った差分(9cm/秒)の上昇流もすぐに攪拌されて室内空間Rの空気と熱交換されて冷却されるため、上昇バイアスが減少して下方対流に飲み込まれる。以上のメカニズムを通じて、本発明の室内排気用床材1は、煙草の副流煙による受動喫煙のリスクを低減するとともに、感染症の罹患リスクも低減することができる。
【0082】
さらに、喫煙室に要求される上記基準の充足に万全を期すために、室内空間Rにおいて室外空間Oに対する陰圧状態を形成することで、出入口解放時に室内空間Rの空気が外気に流出することを防いでもよい。具体的には、室内空間Rへの給気風量を20m3/分として、室内空間Rからの排気風量を22m3/分まで上げることにより、閉塞された室内空間Rでは外気に対する陰圧状態を形成できる。また、室内空間Rの入り口にエアカーテンを設置し、上記基準を充たすような風向調整を行う。以上の方策により、上記基準の達成を担保できる。
【0083】
<排気動作>
次に、室内排気床構造100の排気動作について説明する。
【0084】
<<事前準備>>
室内排気床構造100の動作準備として、例えば
図1、
図8に示すように、室内空間Rに予め室内排気用床材1を設置する。このとき、室内排気用床材1は、通気孔3が穿設された第1主板2fが室内空間R側となり、第2主板2bが室外空間O側となるように配向される。また、室内排気用床材1の閉塞空間Qは、第2端部22と排気管5と排気ダクト92と給排気装置9とを介して室外空間Oに接続される。これにより、室内空間Rは、閉塞空間Qを介して室外空間Oに接続され、給排気装置9により室外空間Oへの排気が制御される。
【0085】
<<第1排気工程>>
室内排気床構造100は、給排気装置9を介して、室内空間Rの排気動作を実施する。このとき、室内空間Rの空気は、例えば
図2に示すように、通気孔3に向かう排気方向f1に流動する(第1排気工程)。ここで、排気方向f1は、例えば
図2における下方向Zである。また、排気方向f1は、通気孔3の寸法や厚さによっては、第1方向Xと下方向Zとを含む第2平面方向、又は第2方向Yと下方向Zとを含む第3平面方向であり得る。このとき、排気方向f1に流動する当該空気は、室内排気用床材1の第1主板2fを基準として垂直層流であり得る。
【0086】
<<第2排気工程>>
第1排気工程の後、当該空気は、例えば
図2、
図3に示すように、第2主板2bの内面に衝突し、排気方向f2に流動する(第2排気工程)。このとき、排気方向f2に流動する当該空気は、室内排気用床材1の第1主板2fを基準として水平層流であり得る。当該空気は、給排気装置9からの吸引力により排気管5の下方まで吸引されることで、第2フード部7と第2主板2bとの間の第2離間空間を通過する。
【0087】
<<第3排気工程>>
第2排気工程の後、当該空気は、給排気装置9からの吸引力により排気管5の下方まで吸引されることで、排気管5の下方に設けられた整流部4の第1傾斜面41に衝突し、少なくとも一部が第1傾斜面41に沿って排気管5に近づく排気方向f3に流動する(第3排気工程)。当該空気は、排気方向f3の流動により、第1フード部6と第1傾斜面41との間の第1離間空間を通過し、整流部4の頂部40に向かって流動する。
【0088】
<<第4排気工程>>
第3排気工程の後、当該空気は、給排気装置9からの吸引力により、第1フード部6と第1傾斜面41との間の第1離間空間から、排気管5の開口端部51を通過する排気方向f4に流動する(第4排気工程)。このとき、排気方向f4に流動する当該空気は、室内排気用床材1の第1主板2fを基準として上昇する対流であり、上昇する垂直層流であり得る。
【0089】
<<第5排気工程>>
第4排気工程の後、当該空気は、給排気装置9からの吸引力により、排気管5の内部を開口端部51から排気ダクト92側(第2端部22側)の端部に向かう排気方向f5に流動する(第5排気工程)。このとき、排気方向f5に流動する当該空気は、室内排気用床材1の第1主板2fを基準として水平層流であり得る。
【0090】
ここで、整流部4及び排気管5が設けられていない場合、上述の第3排気工程、第4排気工程、及び第5排気工程を実施することができない。すなわち、閉塞空間Q内の空気は、上昇する対流又は上昇する垂直層流を形成できず、閉塞空間Q内に落下した異物が排気管5に吸引され、排気路の詰まりが生じるおそれがある。室内排気床構造100によれば、整流部4及び排気管5を有する室内排気用床材1を備えるため、上述の第3排気工程、第4排気工程、及び第5排気工程を実施することができる。このため、通気孔3を通過して閉塞空間Q内に落下した異物が第1傾斜面41と第2傾斜面61とに阻害されて開口端部51に流入せず排気管5に吸引されにくく、排気路の詰まりを抑制できる。これにより、床下空間のない室内において床下空間に排気するシステムの設置性及び管理性向上を図ることができる。
【0091】
第5排気工程の後、室内空間Rの空気は、第2端部22を通過した上で、排気ダクト92と給排気装置9とを介して室外空間Oに排気される。
【0092】
以上の動作により、室内排気床構造100による室内空間Rの排気が完了する。
【0093】
(室内排気用床材1の製造方法)
次に、本実施形態における室内排気床構造100を構成する室内排気用床材1の製造方法の一例を説明する。
【0094】
作業者は、まず複数の主板2のうち、第2主板2bと、第1端部21と、排気管5を挿通するための開口が設けられた第2端部22と、一対の側板とを組立て、上方が開放された函体を形成する。このとき、函体には第1主板2fが取り付けられていない。
【0095】
次に、作業者は、第2端部22の開口に排気管5を挿通する。このとき、排気管5が第2端部22に固定されるため、排気管5の開口端部51の位置が定まる。
【0096】
次に、作業者は、排気管5の開口端部51の下方となるように、第2主板2bの内面に整流部4を設置する。ここで、第1フード部6及び第2フード部7は、整流部4を設置した後に開口端部51に接続してもよく、整流部4を設置する前に開口端部51に接続してもよい。なお、整流部4と一体の第2主板2bを用いる場合は、整流部4の上方に開口端部51が配置されるように排気管5の位置や形状を調整してもよい。
【0097】
最後に、作業者は、予め通気孔3が穿設された第1主板2fを函体の開放部分に取り付けて、閉塞空間Qを形成する。
【0098】
以上の工程により、室内排気用床材1の製造が完了する。
【0099】
本実施形態によれば、室内排気用床材1は、下方に向かうにつれて拡径された第1傾斜面41を有する整流部4と、開口端部51が整流部4に向かう下方に配向された排気管5と、排気管5の開口端部51から下方に延長され、下方に向かうにつれて拡径された第2傾斜面61を有し、整流部4と互いに離間する第1フード部6と、第1フード部6の元口端部から径方向外向きに延長され、第2主板2bと略平行に互いに離間して対向する第2フード部7と、を備える。このため、通気孔3を通過して閉塞空間Q内に落下した異物が第1傾斜面41と第2傾斜面61とに阻害されて開口端部51に流入せず排気管5に吸引されにくく、排気路の詰まりを抑制できる。これにより、床下空間のない室内において床下空間に排気するシステムの設置性及び管理性向上を図ることができる。
【実施例】
【0100】
上述した室内排気用床材1について、条件に応じた排気性能のシミュレーション結果を説明する。
【0101】
本シミュレーションでは、公知の流体シミュレーションソフトウェア「FLOWSQUARE+」を用いて、各実施例について数値流体力学(CFD)モデルにより空気の流れを定量的に可視化した上で比較検討し、排気性能の優劣を考察した。詳しくは、例えば
図10に示すように、閉塞空間Q内の排気管5に上方の吸引動力値を設定し、通気口3から閉塞空間Qに流入した空気を、整流部4と第1フード部6との間の離間空間を通過させて排気管5を介して排気するモデルとした。なお、当該モデルは、第1方向Xと下方向Zとを含む平面方向の二次元解析モデルとした。
【0102】
各実施例については、次のとおりとした。
【0103】
本発明例1は、例えば
図10に示すとおり、頂角120°の整流部4と、排気管5と、開き角度120°の第1フード部6と、を備える形態である。本発明例2は、例えば
図11に示すとおり、頂角120°の整流部4と、排気管5と、開き角度120°の第1フード部6と、開き角度180°の第2フード部7と、を備える。比較例1は、例えば
図12に示すように、排気管5と、開き角度120°の第1フード部6と、を備え、整流部4を備えない。比較例2は、例えば
図13に示すように、排気管5と、開き角度90°の第1フード部6と、を備え、整流部4を備えない。比較例3は、例えば
図14に示すように、排気管5と、開き角度120°の第1フード部6と、開き角度180°の第2フード部7と、を備え、整流部4を備えない。すなわち、本発明例1と比較例1、及び本発明例2と比較例3は、整流部4の有無だけ異なり、それ以外の条件は同様である。なお、
図10~
図14の閉塞空間Q内に示す矢印は、排気の方向を示す。
【0104】
シミュレーション条件として、何れの実施例についても次の条件を適用した。閉塞空間Qの鉛直方向全長と水平方向全長については、350mm×425mmとした。また、排気路の幅について、第1フード部6下端の第2主板2bからの高さと、排気管5の内径と、については、50mmとした。また、排気管5の吸引動力値を0.0025m3/sとした。ここで、排気管5の内周断面が直径50mmの正円であるとき、排気管5内における理論上の風速は約1.2736m/sとなる。その他、各構成の寸法、形状、相対的な位置については、何れの実施例も同様の設定とした。
【0105】
評価方法については、例えば
図10~
図14に示すとおり、本発明例1、2及び比較例1~3について、第1フード部6及び第2主板2bの間の空間である位置Aと、排気管5の排気路上部の位置Bと、における風速[m/s]について、水平成分(第1方向Xに相当)と鉛直成分(下方向Zに相当)を算出し、それぞれの実施例の風速を比較することで、排気性能を評価した。また、本発明例1、2については、第1フード部6及び整流部4の間の空間である位置Cについても風速を比較することで、排気性能を評価した。
【0106】
シミュレーション結果を
図10~
図14、表1に示す。また、
図10~14の黒で表示された空間は、周囲よりも風速が著しく低い状態あるいは無風状態(無圧状態)であることを示している。特に、排気管5、第1フード部6、及び第2フード部7の内壁周辺、本発明例1~2の整流部4の表面周辺、及び比較例1~3の排気管5の下方周辺において黒く表示された領域(圧力損失領域L)は、排気路の圧力損失が生じている領域を示しており、圧力損失領域Lで風速が低下することで全体の排気性能が低下する。換言すれば、圧力損失領域Lが小さいほど、排気路の圧力損失が低減され、排気性能が向上されているものといえる。また、表1について、特に各実施例の位置Bにおける鉛直成分の風速の大小が、排気性能の優劣の評価に関する。
【0107】
【0108】
本発明例1は、位置Aの風速について、水平成分が0.4708[m/s]、鉛直成分が0.0594[m/s]であった。また、位置Bの風速について、水平成分が0.0023[m/s]、鉛直成分が1.2361[m/s]であった。また、位置Cの風速について、水平成分が0.6431[m/s]、鉛直成分が0.2280[m/s]であった。
【0109】
本発明例2は、位置Aの風速について、水平成分が0.6405[m/s]、鉛直成分が0.1463[m/s]であった。また、位置Bの風速について、水平成分が0.0030[m/s]、鉛直成分が1.2349[m/s]であった。また、位置Cの風速について、水平成分が0.6271[m/s]、鉛直成分が0.3007[m/s]であった。
【0110】
比較例1は、位置Aの風速について、水平成分が0.5247[m/s]、鉛直成分が0.1431[m/s]であった。また、位置Bの風速について、水平成分が0.0021[m/s]、鉛直成分が1.2928[m/s]であった。
【0111】
比較例2は、位置Aの風速について、水平成分が0.4178[m/s]、鉛直成分が0.2062[m/s]であった。また、位置Bの風速について、水平成分が0.0026[m/s]、鉛直成分が1.1950[m/s]であった。
【0112】
比較例3は、位置Aの風速について、水平成分が0.6854[m/s]、鉛直成分が0.1016[m/s]であった。また、位置Bの風速について、水平成分が0.0037[m/s]、鉛直成分が1.2143[m/s]であった。
【0113】
上記の結果から、本発明例1、2は、位置Bの鉛直成分の風速が比較例1~3よりも高いことが分かった。また、本発明例1は、第2フード部7を有する本発明例2と比べて、位置Aでは風速が水平成分及び鉛直成分ともに低いが、位置B及び位置Cでは同程度の風速となり、排気性能が同程度であることが分かった。以上により、本発明例1、2によれば、排気管5の内部又は下方の圧力損失を低減でき、排気性能の向上を図ることができるものといえる。
【0114】
なお、本発明例2は、第2フード部7を介してより広い範囲から排気吸引することで室内空間R内により均等な下降気流を創出するため、第2フード部7を有しない本発明例1と比べて吸引の負荷が大きいにもかかわらず、位置Bの鉛直成分の風速が略同程度であることが分かった。これは、第2フード部7により、排気範囲の向上と引き換えに本来損なわれていた排気性能の損失が抑制され、結果的に排気性能が向上されたものといえる。以上により、第2フード部7を設けることで、圧力損失を低減でき、排気性能の向上を図ることができるものといえる。
【0115】
また、本発明例1は、比較例1と比べて、位置Aの風速が水平成分及び鉛直成分ともに低いにもかかわらず、位置Bの風速が水平成分及び鉛直成分ともに高いことが分かった。同様に、本発明例2は、比較例3と比べて、位置Aの水平成分の風速が低いにもかかわらず、位置Bの鉛直成分の風速が高いことが分かった。以上により、整流部4を排気管5の下方に設けることで、圧力損失を低減でき、排気性能の向上を図ることができるものといえる。
【0116】
また、比較例1~3は、位置Bの鉛直成分の風速が本発明例1、2よりも低いことが分かった。これは、
図12~
図14に示すように、整流部4が設けられる本発明例1、2と比べて圧力損失領域Lが大きく、整流効率の損失の原因になっているものと考えられる。以上により、比較例例1~3によれば、排気管5の内部又は下方の圧力損失を低減できず、排気性能の向上を図ることができない。
【0117】
なお、開き角度が90°の第1フード部6を有する比較例2は、開き角度が120°の第1フード部6を有する比較例1と比べて、位置Bの鉛直成分の風速が低いことが分かった。以上により、第1フード部6の開き角度は、120°の方が、排気性能の向上を図ることができるため、好ましいといえる。
【0118】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0119】
100 室内排気床構造
1 室内排気用床材
2 複数の主板
2f 第1主板
2b 第2主板
21 第1端部
22 第2端部
3 通気孔
4 整流部
40 頂部
41 第1傾斜面
42 底部
5 排気管
51 開口端部
6 第1フード部
61 第2傾斜面
7 第2フード部
9 給排気装置
90 駆動部
91 給気ダクト
91a 給気口
92 排気ダクト
92a 排気口
O 室外
R 室内
Q 閉塞空間
A、B、C (風速測定)位置
L 圧力損失領域
【要約】
【課題】床下空間のない室内において床下空間に排気するシステムの管理性及び排気性能の向上が図られた室内排気用床材を提供する。
【解決手段】室内排気用床材1は、閉塞空間Qを形成する複数の主板2のうち、通気孔3が穿設される室内側の第1主板2fと、第1主板2fに対して下方に離間して対向する室外側の第2主板2bと、第2主板2bの内面に設けられ、下方に向かうにつれて拡径された第1傾斜面を有する整流部4と、閉塞空間Qと室外とを繋ぎ、整流部4の上方に配置され、閉塞空間Q側の開口端部が整流部4に向かう下方に配向された排気管5と、排気管5の開口端部51から下方に延長され、下方に向かうにつれて拡径された第2傾斜面を有し、整流部4と互いに離間する第1フード部6と、を備えることを特徴とする。
【選択図】
図2