(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-14
(45)【発行日】2025-01-22
(54)【発明の名称】板紙およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
D21H 27/00 20060101AFI20250115BHJP
【FI】
D21H27/00 E
(21)【出願番号】P 2022526550
(86)(22)【出願日】2021-05-25
(86)【国際出願番号】 JP2021019693
(87)【国際公開番号】W WO2021241531
(87)【国際公開日】2021-12-02
【審査請求日】2024-03-05
(31)【優先権主張番号】P 2020093051
(32)【優先日】2020-05-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000183484
【氏名又は名称】日本製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100162396
【氏名又は名称】山田 泰之
(74)【代理人】
【識別番号】100194803
【氏名又は名称】中村 理弘
(72)【発明者】
【氏名】山崎 政義
(72)【発明者】
【氏名】玉井 光義
(72)【発明者】
【氏名】河村 耕平
(72)【発明者】
【氏名】奥村 寛之
(72)【発明者】
【氏名】大川 信二
【審査官】野木 新治
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-181262(JP,A)
【文献】特開2017-218721(JP,A)
【文献】特開2010-242247(JP,A)
【文献】特開2003-328299(JP,A)
【文献】特開2008-038287(JP,A)
【文献】特開2005-264404(JP,A)
【文献】紙パルプ技術便覧,第5版,日本,紙パルプ技術協会,1992年01月30日,第480-481頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D21H 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
3層以上の紙層を有し、
坪量が100g/m
2以上350g/m
2以下であり、
全坪量に対する裏層の坪量の割合が25重量%以上50重量%以下であり、
全紙層が含む全パルプに対して、古紙パルプを40重量%以上80重量%以下、クラフトパルプを20重量%以上60重量%以下含み、
表層と裏層が合わせて、全紙層が含む全クラフトパルプのうち80重量%以上を含
み、
JIS P8117:2009に規定される透気抵抗度(王研式試験機法)が175秒以上であることを特徴とする板紙。
【請求項2】
表層、裏層の少なくとも一方の層が、この一方の層が含むパルプに対して、クラフトパルプを60重量%以上含むことを特徴とする請求項1に記載の板紙。
【請求項3】
表層、裏層のいずれか、または両方が、古紙パルプを含むことを特徴とする請求項1または2に記載の板紙。
【請求項4】
紙力増強剤を、0.3重量%以上含むことを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の板紙。
【請求項5】
比破裂強さが、3.5kPa・m
2/g以上であることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の板紙。
【請求項6】
引張強さが、縦7kN/m以上かつ横4kN/m以上であることを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の板紙。
【請求項7】
表層面と裏層面の120秒コッブ吸水度が、いずれも100g/m
2以下であることを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載の板紙。
【請求項8】
表層面の120秒コッブ吸水度と裏層面の120秒コッブ吸水度との比(表層面/裏層面)が、0.5以上2.0以下の範囲内であることを特徴とする請求項1~7のいずれかに記載の板紙。
【請求項9】
段ボール用ライナであることを特徴とする請求項1~8のいずれかに記載の板紙。
【請求項10】
3層以上の紙層を有し、
坪量が100g/m
2以上350g/m
2以下であり、
全坪量に対する裏層の坪量の割合が25重量%以上50重量%以下であり、
全紙層が含む全パルプに対して、古紙パルプを40重量%以上80重量%以下、クラフトパルプを20重量%以上60重量%以下含み、
表層と裏層が合わせて、全紙層が含む全クラフトパルプのうち80重量%以上を含
み、
JIS P8117:2009に規定される透気抵抗度(王研式試験機法)が175秒以上である板紙の製造方法であって、
表層用パルプと裏層用パルプの機械的処理直後の濾水度(CSF)が、中層用パルプのうち少なくとも1層の濾水度(CSF)より大きいことを特徴とする板紙の製造方法。
【請求項11】
中層用パルプのうち少なくとも1層の、機械的処理直後の濾水度(CSF)が150ml以上550ml以下であることを特徴とする請求項10に記載の板紙の製造方法。
【請求項12】
ワイヤーパートにおいて、シェーキング装置を使用することを特徴とする請求項10または11に記載の板紙の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、板紙、特に、段ボール用ライナや製函、積層合紙等に好適な板紙と、その製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
段ボールは、波形に成形した中芯の片面あるいは両面にライナをコルゲーターで貼り合わせて製造される。
段ボールは、軽量で安価であるため、種々の物品の梱包に使用されている。段ボールは、運搬時等に梱包物が内側から衝突する、あるいは、保管時等に外部から衝撃を受ける場合がある。そのため、段ボール用ライナには、その用途に応じて、衝撃を受けても破れないように、高い破裂強さが要求される場合がある。従来、破裂強さが要求される板紙としては、原料パルプとして、バージンパルプ、バージンパルプ100%の段ボール由来の古紙パルプのいずれか、またはこれらの混合物が使用されている。このような原料パルプを使用した板紙は、強度が高く、罫線割れ(段ボール原紙に付与された罫線(浅い溝)から発生する破損線)が生じ難く、段ボール用ライナに適したものである。
【0003】
しかし、バージンパルプは、原料コストが高い。また、バージンパルプ100%の段ボール由来の古紙パルプも、他の古紙(例えば、古紙パルプを用いた段ボール)が混入しないように専用の回収ルートで回収する必要があるため高コストであり、また、その発生量も少ない。そのため、原料パルプとしてこれらのパルプを多く含む板紙を、段ボール製造や、製函、合紙製造に使用した場合、高コストとなる。
原料コストを低減するために、古紙パルプの配合率を高くした板紙が提案されている。例えば、本出願人は、全パルプに占める古紙パルプの配合率が70質量%以上であり、坪量が350g/m2以上であり、透気抵抗度が25秒以上である板紙を提案している(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、古紙パルプを配合していながらも、破裂強さに優れた板紙を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための手段は以下の通りである。
1.3層以上の紙層を有し、
全紙層が含む全パルプに対して、古紙パルプを40重量%以上80重量%以下、クラフトパルプを20重量%以上60重量%以下含み、
表層と裏層が合わせて、全紙層が含む全クラフトパルプのうち80重量%以上を含むことを特徴とする板紙。
2.表層、裏層の少なくとも一方の層が、この一方の層が含むパルプに対して、クラフトパルプを60重量%以上含むことを特徴とする1.に記載の板紙。
3.表層、裏層のいずれか、または両方が、古紙パルプを含むことを特徴とする1.または2.に記載の板紙。
4.紙力増強剤を、0.3重量%以上含むことを特徴とする1.~3.のいずれかに記載の板紙。
5.比破裂強さが、3.5kPa・m2/g以上であることを特徴とする1.~4.のいずれかに記載の板紙。
6.引張強さが、縦7kN/m以上かつ横4kN/m以上であることを特徴とする1.~5.のいずれかに記載の板紙。
7.表層面と裏層面の120秒コッブ吸水度が、いずれも100g/m2以下であることを特徴とする1.~6.のいずれかに記載の板紙。
8.表層面の120秒コッブ吸水度と裏層面の120秒コッブ吸水度との比(表層/裏層)が、0.5以上2.0以下の範囲内であることを特徴とする1.~7.のいずれかに記載の板紙。
9.段ボール用ライナであることを特徴とする1.~8.のいずれかに記載の板紙。
10.3層以上の紙層を有し、
全紙層が含む全パルプに対して、古紙パルプを40重量%以上80重量%以下、クラフトパルプを20重量%以上60重量%以下含み、
表層と裏層が合わせて、全紙層が含む全クラフトパルプのうち80重量%以上を含む板紙の製造方法であって、
表層用パルプと裏層用パルプの機械的処理直後の濾水度(CSF)が、中層用パルプのうち少なくとも1層の濾水度(CSF)より大きいことを特徴とする板紙の製造方法。
11.中層用パルプのうち少なくとも1層の、機械的処理直後の濾水度(CSF)が150ml以上550ml以下であることを特徴とする10.に記載の板紙の製造方法。
12.ワイヤーパートにおいて、シェーキング装置を使用することを特徴とする10.または11.に記載の板紙の製造方法。
【0007】
13.全紙層が含む全パルプに対して、古紙パルプを40重量%以上70重量%以下、クラフトパルプを30重量%以上60重量%以下含むことを特徴とする1.に記載の板紙。
【発明の効果】
【0008】
本発明の板紙は、全パルプに対して古紙パルプを40重量%以上含むため、低コストである。本発明の板紙は、破裂強さ、引張強さに優れており、衝撃等を受けても破れにくい。本発明の板紙は、水分や湿気による影響を受けにくく、使用環境によっても強度があまり低下しない。本発明の板紙は、段ボール用ライナ、中しん原紙、紙器用板紙、製函用の板紙、積層合紙用の板紙等に好適に利用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の板紙は、3層以上の紙層を有し、
全紙層が含む全パルプに対して、古紙パルプを40重量%以上80重量%以下、クラフトパルプを20重量%以上60重量%以下含み、
表層と裏層が合わせて、全紙層が含む全クラフトパルプのうち80重量%以上を含むことを特徴とする。
本発明の板紙は、3層以上の紙層、すなわち、表層、1層以上の中層、裏層とで構成され、表層と裏層とが最外層である。本発明の板紙の層数は、3層以上であり、坪量に応じて適宜設定することができる。
なお、裏層とは、抄紙時において紙の流れ方向において下面であり、かつ多層抄き抄紙機において最初にワイヤーパートへ原料が供給されて形成される層を指し、表層とは裏層の反対側、つまり抄紙時において紙の流れ方向において上面であり、かつ多層抄き抄紙機において最後にワイヤーパートへ原料が供給されて形成される層を指す。
【0010】
本発明の板紙は、全パルプに対して古紙パルプを40重量%以上80重量%以下含む。古紙パルプの配合率を高くすることにより、原料パルプのコストを低減することができるため、全パルプに対する古紙パルプの配合率は、50重量%以上であることが好ましく、60重量%以上であることがより好ましい。
古紙パルプとしては、段ボール古紙、上白、特白、中白、白損等の未印刷古紙を離解した古紙パルプ、上質紙、上質コート紙、中質紙、中質コート紙、更紙等に印刷された古紙、および筆記された古紙、廃棄機密文書等の紙類、雑誌古紙、新聞古紙を離解した古紙パルプ、及びこれら離解した古紙パルプを脱墨した脱墨古紙パルプ(DIP)等の1種、または2種以上を混合して使用することができる。これらの中で、段ボール古紙由来の古紙パルプ(以下、段ボール古紙パルプという)を用いることが好ましい。段ボールは、針葉樹未晒クラフトパルプなどの比較的長繊維のパルプが主に使用され、ライナと中しんとは澱粉系接着剤で貼合され、印刷量も少ないため、段ボール古紙パルプは、他の古紙パルプと比較して、繊維長が長く、リグニン含有率および澱粉含有率が高く、インキ含有率が低い傾向がある。また、段ボールは、リサイクルシステムが確立されている国が多く、新聞古紙や雑誌古紙と並び回収率が高いため、段ボール古紙パルプは安価である。そのため、段ボール古紙パルプを用いることにより、板紙の強度発現と、生産コスト低減とを両立することができる。古紙パルプに対する段ボール古紙パルプの配合率は、80重量%以上であることが好ましく、90重量%以上であることがより好ましく、95重量%以上であることが更に好ましく、100重量%であることが最も好ましい。
【0011】
本発明の板紙は、全パルプに対してクラフトパルプを20重量%以上60重量%以下含み、表層と裏層が合わせて、全紙層が含む全クラフトパルプのうち80重量%以上を含む。このように、全パルプに対してクラフトパルプを20重量%以上含み、全クラフトパルプの80重量%以上を最外層に集中させることにより、板紙の破裂強さを高くすることができる。破裂強さに優れた板紙を得るためには、全パルプに対するクラフトパルプの配合率が高いことが好ましく、全パルプに対するクラフトパルプの配合率は、22重量%以上であることが好ましく、24重量%以上であることがより好ましく、30重量%以上であることがさらに好ましい。破裂強さに優れた板紙を得るために、表層と裏層が合わせて、全紙層が含む全クラフトパルプのうち85重量%以上含むことが好ましく、90重量%以上含むことがより好ましく、95重量%以上含むことがさらに好ましい。
【0012】
クラフトパルプとしては、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、針葉樹未晒クラフトパルプ(NUKP)、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、広葉樹未晒クラフトパルプ(LUKP)の1種、または2種以上を混合して使用することができる。これらの中で、針葉樹未晒クラフトパルプ(NUKP)が、繊維長が長く、かつ繊維径も太いため破裂強さの向上に寄与するため好ましい。クラフトパルプに対するNUKPの配合率は、80重量%以上であることが好ましく、90重量%以上であることがより好ましく、95重量%以上であることが更に好ましく、100重量%であることが最も好ましい。
【0013】
本発明の板紙は、表層と裏層が合わせて、全紙層が含む全クラフトパルプのうち80重量%以上を含むが、表層がクラフトパルプを含むことが好ましく、表層と裏層がともにクラフトパルプを含むことがより好ましい。表層と裏層の両方が、クラフトパルプを含むことにより、破裂強さをより高くすることができる。
本発明の板紙は、表層用パルプ、裏層用パルプのいずれか、または両方が、クラフトパルプを60重量%以上含むことが好ましい。表層用パルプ、裏層用パルプのいずれか、または両方が、クラフトパルプを60重量%以上含むことにより、破裂強さをより高くすることができる。このクラフトパルプ配合率は、80重量%以上であることがより好ましく、90重量%以上であることが更に好ましく、100重量%であることが最も好ましい。
【0014】
本発明の板紙は、表層用パルプ、裏層用パルプのいずれか、または両方が、古紙パルプを含むことができる。表層用パルプ、裏層用パルプのいずれか、または両方に古紙パルプを含ませることにより、古紙パルプの配合率をより高くして、原料コストを削減することができる。
なお、本発明の板紙は、本発明の効果を損なわない限り、古紙パルプとクラフトパルプ以外の他のパルプ、例えば、砕木パルプ(GP)、リファイナーグラウンドパルプ(RGP)、ケミカルパルプ(CP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)等の木材繊維由来の各種パルプ、ケナフ、バガス、竹、麻、ワラなどから得られた非木材パルプを含むことができる。また、上記した他のパルプは、本発明の効果を損なわない限り、表層、裏層に含ませることもできる。
【0015】
本発明の板紙は、表層用パルプと裏層用パルプのいずれか、または両方が、平均繊維長が1.2mm(1200μm)以上2.0mm(2000μm)以下の範囲であることが好ましい。平均繊維長を上記の範囲内とすることで、破裂強さの向上に寄与する。表層用パルプと裏層用パルプのいずれか、または両方の平均繊維長は、1.3mm以上が好ましく、1.4mm以上がより好ましい。その上限は1.9mm以下が好ましく、1.8mm以下がより好ましい。また、表層用パルプと裏層用パルプの両方が、上記平均繊維長を満足することが好ましい。本発明において平均繊維長は長さ加重平均繊維長であり、例えばABB株式会社製ファイバーテスターやバルメット株式会社製フラクショネータ等の画像解析装置や光学顕微鏡、電子顕微鏡を用いて繊維を観察することにより測定できる。
【0016】
本発明の板紙は、中層が古紙パルプを含む。中層用パルプにおける古紙パルプの配合率は、80重量%以上であることが好ましく、90重量%以上であることがより好ましく、95重量%以上であることが更に好ましく、100重量%であることが最も好ましい。中層の古紙パルプは、平均繊維長が0.7mm(700μm)以上1.6mm(1600μm)以下の範囲であることが好ましい。平均繊維長を上記の範囲内とすることで、抄紙機での抄紙の際に繊維分が均等に分散され、良好な地合を形成することにより破裂強さの向上に寄与する。中層の古紙パルプの平均繊維長は、0.8mm以上が好ましく、0.9mm以上がより好ましい。その上限は1.5mm以下が好ましく、1.4mm以下がより好ましい。複数の中層を備える場合、各中層における古紙パルプの配合率、平均繊維長は、同一でもよく、異なっていてもよいが、各層の古紙パルプが、いずれも上記値を満足することが好ましい。
【0017】
表層用パルプと裏層用パルプの機械的処理直後の濾水度(カナダ標準式濾水度:CSF)が、中層用パルプのうち少なくとも1層の機械的処理直後の濾水度(CSF)より大きい、具体的には、10mlCSF以上大きいことが好ましく、30mlCSF以上大きいことがより好ましく、50mlCSF以上大きいことがさらに好ましい。濾水度がこの関係を満足すると、製造時に、濾水度の小さい中層用の繊維が下層の繊維間に効率よく歩留まり、また、適度な保水性を有することから各層の繊維がより絡み合うため、破裂強さの向上に寄与する。複数の中層を備える場合、最も裏層に近い中層用パルプが、上記濾水度の関係を満足することが好ましく、中層用パルプの中で最も裏層に近い中層用パルプの濾水度が、他の中層用パルプの濾水度よりも10mlCSF以上小さいことがより好ましく、30mlCSF以上小さいことがさらに好ましい。
【0018】
表層用パルプは、機械的処理を終えた直後の濾水度(CSF)が400ml以上650ml以下の範囲であることが好ましい。その下限値は、420ml以上がより好ましく、440ml以上がさらに好ましい。その上限値は、600ml以下がより好ましく、550ml以下がさらに好ましい。
裏層用パルプは、機械的処理を終えた直後の濾水度(CSF)が300ml以上600ml以下の範囲であることが好ましい。その下限値は、320ml以上が好ましく、350ml以上がより好ましく、370ml以上がさらに好ましい。その上限値は、580ml以下が好ましく、550ml以下がより好ましい。
中層用パルプは、機械的処理を終えた直後の濾水度(CSF)が150ml以上550ml以下の範囲であることが好ましい。その下限値は、200ml以上が好ましく、250ml以上がより好ましい。その上限は、500ml以下が好ましく、450ml以下がより好ましい。特に、段ボール古紙パルプを、CSF150ml以上550ml以下に高叩解することにより、破裂強さを向上させることができる。複数の中層を備える場合、複数の中層用パルプのうち、最も裏層に近い中層用パルプが、機械的処理を終えた直後の濾水度が最も小さいことが好ましい。
【0019】
パルプの平均繊維長、濾水度(CSF)は、機械的処理により調整することができる。機械的処理の方法は特に限定されず、叩解、解繊、分散、混錬等があげられ、中でも叩解が好ましい。機械的処理に用いる装置は限定されないが、例えば、高速回転式、コロイドミル式、高圧式、ロールミル式、超音波式などのタイプの装置が挙げられ、リファイナー、ビーター、PFIミル、ニーダー、ディスパーザー、高速離解機、コニファイナー、トップファイナーなど回転軸を中心として金属または刃物とパルプ繊維を作用させるもの、あるいはパルプ繊維同士の摩擦によるものを使用することができる。本発明において、繊維を効率的に叩解することができるため、機械的処理はディスクリファイナー、コニファイナー、トップファイナーを用いた叩解であることが好ましい。機械的処理を行う際の濃度については特に限定されず、固形分濃度が15重量%以上50重量%以下の高濃度条件下で行ってもよく、0.5重量%以上15重量%未満の低濃度条件下で行ってもよい。また機械的処理の処理回数についても限定されず、1回としてもよく複数回行ってもよく、機械的処理を複数回行う場合は異なる装置や固形分濃度条件を組み合わせて行ってもよい。
【0020】
本発明の板紙は、強度を向上するために、ポリアクリルアミド(PAM)や変性でん粉等の従来から使用されている紙力増強剤を必要に応じて、内添及び/又は外添することができ、内添することが好ましい。なお、外添紙力増強剤を、表面紙力剤ともいう。紙力増強剤は、板紙全体に対して0.3重量%以上含むことが好ましく、0.4重量%以上含むことがより好ましい。また紙力増強剤の配合率の上限は特に限定されないが、例えば、1.5重量%以下とすることができる。紙力増強剤を1.5重量%より多く配合しても、効果が飽和してそれ以上の紙力増強はほとんど望めず、高コストとなる。紙力増強剤を内添する場合、紙力増強効果が高いため、ポリアクリルアミドを用いることが好ましい。ポリアクリルアミドとしては、アニオン性、カチオン性、両性のいずれも使用することができる。なお、紙力増強剤を内添する場合、本発明の板紙の各紙層における紙力増強剤の配合率は、同一であってもよく、また、異なるものであってもよい。本発明においては、表層および/または裏層に内添紙力増強剤が配合されていることが好ましく、表層における内添紙力剤の配合率が他の紙層における内添紙力剤の配合率以下であることがより好ましい。
【0021】
本発明の板紙は、板紙の耐候性を向上するために、吸湿防止用のサイズ剤を内添することができる。サイズ剤としては、例えば、ロジン系サイズ剤、ロジンエマルジョン系サイズ剤、α-カルボキシルメチル飽和脂肪酸等、また、中性ロジン系サイズ剤、アルキルケテンダイマー(AKD)、アルケニル無水コハク酸(ASA)、カチオンポリマー系サイズ剤等が挙げられる。また、品質に影響のない範囲で、硫酸バンド、塩化アルミニウム、アルミン酸ソーダ、塩基性アルミニウム化合物、水溶性アルミニウム化合物、多価金属化合物、シリカゾル等の内添薬品を内添することができる。なお、本発明の板紙の各紙層におけるサイズ剤、内添薬品の配合率は、同一であってもよく、また、異なるものであってもよい。
【0022】
さらに、必要に応じて、公知の填料を内添させることができる。填料としては、例えば、カオリン、焼成カオリン、デラミネーティッドカオリン、クレー、焼成クレー、デラミネーティッドクレー、イライト、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム-シリカ複合物、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化珪素、非晶質シリカ、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛等の無機填料、及び尿素-ホルマリン樹脂、ポリスチレン樹脂、フェノール樹脂等の有機填料等が挙げられる。なお、本発明の板紙の各紙層における填料の配合率は、同一であってもよく、また、異なるものであってもよい。
【0023】
本発明の板紙は、板紙の強度向上や印刷適性付与等を目的として、表面に塗工層を有することができる。塗工層は、その目的に応じて、表面紙力剤(外添紙力増強剤)、表面サイズ剤、撥水剤、顔料、バインダー樹脂、防滑剤、防腐剤、消泡剤、粘度調整剤、罫割防止剤等の公知の表面処理薬品の1種、または2種以上を含むことができる。本発明の板紙は、強度向上の点から、表面紙力剤を含む塗工層を有することが好ましい。表面紙力剤は、ポリアクリルアミド系、ポリビニルアルコール系、酸化澱粉、カチオン化澱粉、両性澱粉等の澱粉系、カルボキシメチルセルロース等のセルロース系等を用いることができるが、ポリアクリルアミド系が好ましい。表面紙力剤を含む塗工層を設ける場合、塗工層に含まれる表面紙力剤の塗工量が、0.05g/m2以上であることが好ましく、0.1g/m2以上であることがより好ましい。また、耐候性の向上を目的として、表面サイズ剤、撥水剤を含む塗工層を有することが好ましい。表面サイズ剤としては、上記した内添用と同様のものが挙げられ、撥水剤としては、フッ素系樹脂、ポリアミド系樹脂、ワックスエマルジョン等が挙げられる。
【0024】
本発明の板紙は、強度の観点から、坪量が70g/m2以上であることが好ましく、100g/m2以上であることがより好ましく、120g/m2以上であることがさらに好ましい。坪量の上限は、抄紙機で製造可能な範囲で特に制限されないが、350g/m2以下であることが好ましく、320g/m2以下であることがより好ましく、300g/m2以下であることがさらに好ましい。
全紙層の全坪量に対する表層の坪量の割合は、破裂強さの点から、20重量%以上35重量%以下が好ましく、22重量%以上32重量%以下がより好ましく、24重量%以上30重量%以下がさらに好ましい。全紙層の全坪量に対する裏層の坪量の割合は、破裂強さの点から、25重量%以上55重量%以下が好ましく、30重量%以上50重量%以下がより好ましい。
【0025】
本発明の板紙は、JIS P8131:2009に規定する比破裂強さ(破裂強さを坪量で除した値)が、3.5kPa・m2/g以上であることが好ましい。この比破裂強さが3.5kPa・m2/g以上である板紙は、衝撃により破れにくいため、段ボール用ライナにより適している。比破裂強さは、3.6kPa・m2/g以上であることがより好ましく、3.8kPa・m2/g以上であることがさらに好ましく、4.0kPa・m2/g以上であることが最も好ましい。
【0026】
本発明の板紙は、JIS P8113に規定する引張強さが、縦(MD方向)が7.0kN/m以上かつ横(CD方向)が4.0kN/m以上であることが好ましい。この引張強さが上記範囲であることにより、内容物の自重等によって破損しにくいライナとなる。この引張強さは、縦が9.0kN/m以上であることがより好ましく、11.0kN/m以上であることがさらに好ましい。また、横が4.5kN/m以上であることがより好ましく、5.0kN/m以上であることがさらに好ましい。
【0027】
本発明の板紙は、JIS P8140に規定する表層面の120秒コッブ吸水度が100g/m2以下が好ましく、90g/m2以下がより好ましく、80g/m2以下がさらに好ましい。また裏層面の120秒コッブ吸水度も100g/m2以下が好ましく、90g/m2以下がより好ましく、80g/m2以下がさらに好ましい。この両面の120秒コッブ吸水度が100g/m2以下である板紙は、水分や湿気といった使用環境による影響を受けにくく、また破裂強さや引張強さを維持することが可能であることから、段ボール用ライナにより適している。
【0028】
また本発明の板紙は、コッブ吸水度の表裏差を小さくすることが好ましい。具体的には、表層面の120秒コッブ吸水度の値と裏層面の120秒コッブ吸水度の値との比(表層面/裏層面)が0.50以上2.00以下の範囲内であることが好ましい。表層面と裏層面の120秒コッブ吸水度の比が上記範囲外である(すなわち、120秒コッブ吸水度の表裏差が大きい)板紙は、湿気や水分によって紙層間の剥離が生じやすくなり、紙層間剥離によって破裂強さをはじめとした板紙強度が低下しやすくなる場合がある。このコッブ吸水度の比は、0.60以上1.67以下であることがより好ましく、0.70以上1.43以下であることがさらに好ましい。
【0029】
本発明の板紙は、JIS P8117:2009に規定される透気抵抗度(王研式試験機法)が150秒以上であることが好ましい。透気抵抗度が150秒以上である板紙は、真空吸引方式の吸着パッドにより搬送する際の吸引圧を低くすることができるため、この板紙を段ボール用ライナとして用いた段ボールを、物流倉庫等で自動搬送する際の作業性、省エネルギー性が向上する。透気抵抗度は、175秒以上であることがより好ましく、200秒以上であることがさらに好ましい。
【0030】
本発明の板紙は、JIS P8126:2005に規定する比圧縮強さが170N・m2/g以上であることが好ましい。板紙の比圧縮強さが170N・m2/g以上であると、板紙が潰れにくいため、重量物の梱包に用いる段ボール用ライナにより適している。比圧縮強さは、175N・m2/g以上であることがより好ましく、180N・m2/g以上であることがさらに好ましい。
【0031】
本発明の板紙の用途は特に制限されず、例えば、段ボール用ライナ、中しん原紙、紙器用板紙、製函用の板紙、積層合紙用の板紙等に好適に利用することができる。これらの中で、段ボール用ライナが特に好ましい。
【0032】
本発明に係る板紙は、3層以上の紙層を有するが、長網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機、円網抄紙機、ギャップフォーマー、ハイブリッドフォーマー(オントップフォーマー)等を組み合わせた抄き合わせの抄紙機等を用いた公知の製造(抄紙)方法、抄紙機が選択可能である。また、抄紙時のpHは酸性領域(酸性抄紙)、疑似中性領域(疑似中性抄紙)、中性領域(中性抄紙)、アルカリ性領域(アルカリ性抄紙)のいずれでもよく、酸性領域で抄紙した後、紙層の表面にアルカリ性薬剤を塗布してもよい。
本発明の板紙は、各層毎に原料パルプ等の配合が異なるため、各層に応じた紙料を調製して、抄紙する。この際、上記したように、表層用パルプと裏層用パルプの機械的処理直後の濾水度(CSF)が、中層用パルプのうち少なくとも1層の機械的処理直後の濾水度(CSF)より大きいことが好ましい。
【0033】
また、ワイヤーパートは、シェーキング装置を使用することが好ましい。シェーキング装置とは、ワイヤーパートのブレストロールを紙料の流れ方向と垂直な方向(マシン幅方向とも呼ぶ。)に摺動させる装置である。シェーキング装置を使用することにより、坪量が均一化する(地合が向上する)ため、破壊の起点となる他の部分と比較して薄い箇所が減少するため、破裂強さが向上する。
【0034】
さらに、各層の抄造条件を調整することにより、板紙の強度を向上させることもできる。例えば、ヘッドボックスから射出されるジェット液(紙料)の速度(J)と、ワイヤーの速度(W)との比であるJ/W比(=J/W×100)を100%未満とすることにより、ジェット液がワイヤーに引っ張られてパルプが抄紙方向(流れ方向)に配向させることができる。そして、パルプが縦方向(長手方向)に配向した板紙は、比破裂強さが向上する傾向がある。J/W比は、81%以上99%以下であることが好ましく、84%以上98%以下であることがより好ましい。また、各層の坪量配分を変更して表層および/または裏層の坪量を増加させること、各層の紙力増強剤配合率を調整して表層および/または裏層への紙力増強剤配合を中層より多くすること等により、強度を向上させることができる。
【0035】
ワイヤーパート以降の製造(抄紙)方法、抄紙機についても、要求される板紙の強度および生産効率を損なわない範囲で特に限定されず、通常の抄紙機に使用されているものを用いることができる。
抄紙機のプレスパート工程におけるプレスの形式は、例えばストレートスルー型プレス、リバース型プレス、インバープレス、ツインバープレス、ピックアッププレス、ユニプレス、トライニッププレス、トライベントプレス、シュープレス、ミニシュープレス等、特に限定されるものではないが、公知のプレス装置を用いることができる。また、プレス条件についても特に限定はなく、通常の操業範囲で適宜設定できるが、プレス時間を長くすることで繊維がより水素結合しやすくなり、板紙の強度が向上することから、生産効率を損なわない範囲で低速抄造することが好ましい。
【0036】
抄紙機のドライパート工程におけるドライヤー(乾燥装置)の形式についても、生産効率および板紙の強度を損なわない範囲であれば特に限定されるものではなく、通常の抄紙機に使用されている熱風乾燥方式、多筒式シリンダー乾燥方式等、公知の乾燥装置が使用でき、乾燥装置の設置数についても1台でもよく、プレドライヤー、アフタードライヤーの2台以上設置してもよい。また、乾燥条件についても特に限定はなく、通常の操業範囲で適宜設定できる。
【0037】
また、塗工層を設ける場合、抄紙した後に、表面紙力剤、表面サイズ剤、撥水剤等の表面処理薬品を含む塗工液を塗工する。塗工液を塗布する方法は特に限定はなく、ツーロールサイズプレス、ゲートロールコーター、シムサイザー、スプレー等の公知の装置を適宜用いることができる。カレンダーは、バイパスしてもよく、通常の操業範囲内で処理してもよい。
【実施例】
【0038】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明は下記実施例のみに限定されるものではない。
以下の実施例及び比較例で得られた板紙は、以下の方法で測定した。結果を表1に示す。
(坪量)
JIS P 8124に準拠し測定した。
(厚さ)
JIS P 8118及びJIS P 8124に準拠し測定した。
(密度)
JIS P 8118及びJIS P 8124に準拠し測定した坪量と厚さから求めた。
【0039】
(破裂強さ、比破裂強さ)
JIS P 8131に準拠し、紙の表層側から加圧して破裂強さを測定し、これを坪量で除して比破裂強さを算出した。
(圧縮強さ、比圧縮強さ)
JIS P 8126に準拠し、リングクラッシュ法により圧縮強さを測定し、これを坪量で除して比圧縮強さを算出した。
(透気抵抗度)
JIS P 8117に準拠し、表層側より王研式平滑度透気度試験機を用いて測定した。
(引張強さ)
JIS P 8113に準拠し、引張試験機を用いて測定した。
(コッブ吸水度)
JIS P 8140に準拠し測定した。具体的には、100mlの蒸留水を紙面に接触させ、120秒経過後に吸収された水の単位面積あたりの重量を測定した。
【0040】
・実施例1
各層に使用したパルプを以下に示す。なお、パルプの機械的処理は、表層はダブルコニファイナー、中層および裏層はダブルディスクリファイナーを使用した。ダブルコニファイナーおよびダブルディスクリファイナー出口における濾水度(CSF)を、機械的処理直後の濾水度(CSF)として示す。
裏層:段ボール古紙パルプ70重量%と針葉樹未晒クラフトパルプ30重量%
CSF480ml
中層:段ボール古紙パルプ100重量%
CSF330ml(裏中層)、350ml(表中層)
表層:針葉樹未晒クラフトパルプ100重量%
CSF500ml
【0041】
全層に対して内添紙力増強剤(PAM)を対固形分で1.0重量%、表層と裏層に対して内添サイズ剤(ロジン系)を対固形分で0.45重量%となるように加えた紙料を、裏層(40重量%)、中層を2層(合計で35重量%)、表層(25重量%)の順に、合計150g/m2となるように多層抄き板紙抄紙機を用いて抄き合わせ、表面紙力剤(PAM、外添紙力増強剤)を表層側に固形分換算で0.1g/m2塗工し、板紙を得た。この板紙は、全紙層が含む全パルプに対して、古紙パルプを63重量%、クラフトパルプを37重量%含み、表層と裏層が全クラフトパルプを含む。なお、表層、中層2層、裏層のJ/W比をいずれも90%とし、ワイヤーパートにおいては裏層抄造時にシェーキング装置を作動させた。
【0042】
・実施例2
各層に使用したパルプを以下に示す。
裏層:段ボール古紙パルプ85重量%と針葉樹未晒クラフトパルプ15重量%
CSF540ml
中層:段ボール古紙パルプ100重量%
CSF350ml(裏中層)、460ml(表中層)
表層:針葉樹未晒クラフトパルプ100重量%
CSF500ml
【0043】
内添紙力増強剤(PAM)を対固形分で表層は0.4重量%、他の層は0.8%、表層と裏層に対して内添サイズ剤(ロジン系)を対固形分で0.35重量%となるように加えた紙料を、裏層(45重量%)、中層を2層(合計で30重量%)、表層(25重量%)の順に、合計150g/m2となるように多層抄き板紙抄紙機を用いて抄き合わせ、板紙を得た。この板紙は、全紙層が含む全パルプに対して、古紙パルプを68重量%、クラフトパルプを32重量%含み、表層と裏層が全クラフトパルプを含む。なお、表層のJ/W比を93%、中層2層および裏層のJ/W比を95%とし、ワイヤーパートにおいては裏層抄造時にシェーキング装置を作動させた。
【0044】
・実施例3
各層に使用したパルプを以下に示す。
裏層:段ボール古紙パルプ100重量%
CSF390ml
中層:段ボール古紙パルプ100重量%
CSF330ml(裏中層)、380ml(表中層)
表層:針葉樹未晒クラフトパルプ100重量%
CSF500ml
【0045】
内添紙力増強剤(PAM)を対固形分で表層は0.6重量%、他の層は1.0%、表層と裏層に対して内添サイズ剤(ロジン系)を対固形分で0.25重量%となるように加えた紙料を、裏層(40重量%)、中層を2層(合計で35重量%)、表層(25重量%)の順に、合計160g/m2となるように多層抄き板紙抄紙機を用いて抄き合わせ、板紙を得た。この板紙は、全紙層が含む全パルプに対して、古紙パルプを75重量%、クラフトパルプを25重量%含み、表層が全クラフトパルプを含む。なお、表層のJ/W比を90%、中層2層および裏層のJ/W比を95%とし、ワイヤーパートにおいては裏層抄造時にシェーキング装置を作動させた。
【0046】
・実施例4
各層に使用したパルプを以下に示す。
裏層:段ボール古紙パルプ85重量%と針葉樹未晒クラフトパルプ15重量%
CSF390ml
中層:段ボール古紙パルプ100重量%
CSF330ml(裏中層)、380ml(表中層)
表層:針葉樹未晒クラフトパルプ100重量%
CSF500ml
【0047】
そのほかの薬品使用量、紙層の重量比率、操業条件を実施例3と同様にして、合計160g/m2となるように多層抄き板紙抄紙機を用いて抄き合わせ、板紙を得た。この板紙は、全紙層が含む全パルプに対して、古紙パルプを68重量%、クラフトパルプを32重量%含み、表層と裏層が全クラフトパルプを含む。
【0048】
・実施例5
内添紙力増強剤(PAM)を対固形分ですべての層で0.85重量%となるように加えた以外は、実施例4と同様のパルプ構成、薬品添加量、操業条件とし、合計160g/m2となるように多層抄き板紙抄紙機を用いて抄き合わせ、板紙を得た。
【0049】
・実施例6
内添紙力増強剤(PAM)を対固形分ですべての層で0.9重量%となるように加えた以外は、実施例4と同様のパルプ構成、薬品添加量、操業条件とし、合計160g/m2となるように多層抄き板紙抄紙機を用いて抄き合わせ、板紙を得た。
【0050】
・実施例7
内添紙力増強剤(PAM)を対固形分ですべての層で0.5重量%となるように加えた以外は、実施例4と同様のパルプ構成、薬品添加量、操業条件とし、合計160g/m2となるように多層抄き板紙抄紙機を用いて抄き合わせたのち、板紙を得た。
【0051】
・実施例8
各層に使用したパルプを以下に示す。
裏層:段ボール古紙パルプ70重量%と針葉樹未晒クラフトパルプ30重量%
CSF390ml
中層:段ボール古紙パルプ100重量%
CSF330ml(裏中層)、380ml(表中層)
表層:針葉樹未晒クラフトパルプ100重量%
CSF500ml
【0052】
内添紙力増強剤(PAM)を対固形分で表層にのみ1.0重量%(他の層は添加せず)、表層と裏層に対して内添サイズ剤(ロジン系)を対固形分で0.5重量%となるように加えた紙料を、裏層(40重量%)、中層を2層(合計で35重量%)、表層(25重量%)の順に、合計160g/m2となるように多層抄き板紙抄紙機を用いて抄き合わせ、表面紙力剤(PAM、外添紙力増強剤)を表層側に固形分換算で0.2g/m2塗工し、板紙を得た。この板紙は、全紙層が含む全パルプに対して、古紙パルプを63重量%、クラフトパルプを37重量%含み、表層と裏層が全クラフトパルプを含む。なお、表層のJ/W比を90%、中層2層のJ/W比を97%、裏層のJ/W比を97.5%とし、ワイヤーパートにおいては裏層抄造時にシェーキング装置を作動させた。
【0053】
・比較例1
各層に使用したパルプを以下に示す。
裏層:段ボール古紙パルプ100重量%
CSF520ml
中層:段ボール古紙パルプ100重量%
CSF350ml(裏中層)、450ml(表中層)
表層:針葉樹未晒クラフトパルプ100重量%
CSF440ml
【0054】
全層に対して内添紙力増強剤(PAM)を対固形分で0.1重量%、表層に対して内添サイズ剤(ロジン系)を対固形分で0.5重量%となるように加えた紙料を、裏層(40重量%)、中層を2層(合計で40重量%)、表層(20重量%)の順に、合計160g/m2となるように多層抄き板紙抄紙機を用いて抄き合わせ、板紙を得た。この板紙は、全紙層が含む全パルプに対して、古紙パルプを82重量%、クラフトパルプを18重量%含み、表層と裏層が全クラフトパルプを含む。なお、表層のJ/W比を90%、中層2層および裏層のJ/W比を95%とし、ワイヤーパートにおいては裏層抄造時にシェーキング装置を作動させた。
【0055】