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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-14
(45)【発行日】2025-01-22
(54)【発明の名称】連続式粉体処理装置
(51)【国際特許分類】
   B01F 23/60 20220101AFI20250115BHJP
   B01F 29/64 20220101ALI20250115BHJP
   B01F 33/83 20220101ALI20250115BHJP
   B02C 13/02 20060101ALI20250115BHJP
【FI】
B01F23/60
B01F29/64
B01F33/83
B02C13/02 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020202190
(22)【出願日】2020-12-04
(65)【公開番号】P2022089640
(43)【公開日】2022-06-16
【審査請求日】2023-11-15
(73)【特許権者】
【識別番号】503245465
【氏名又は名称】株式会社アーステクニカ
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上野 明紀
【審査官】石岡 隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-094367(JP,A)
【文献】特開昭51-100475(JP,A)
【文献】特開2007-167787(JP,A)
【文献】特開2003-047941(JP,A)
【文献】特開2016-2536(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01F21/00-25/90
B01F29/00-33/87
B01F35/00-35/95
A23L5/00-5/49
B02C13/00-13/31
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉体の混合及び解砕を行う連続式粉体処理装置であって、
横向きに延びる筒状の回転容器と、
前記回転容器内に配置され、中心軸が前記回転容器の中心軸よりも下方に位置する回転シャフトと、
前記回転シャフトに取り付けられ、前記回転容器の入口側開口から出口側開口に向かって前記粉体を混合及び解砕しながら送り出す複数の羽根と、
前記回転容器内の上方部分に形成される隙間空間に配置された回転しない少なくとも1つの仕切板と、を備え
前記仕切板は、前記回転容器の軸方向から見て、上縁が前記回転容器の内周面の近傍で当該内周面に沿って延びており、下縁が前記羽根の先端の回転軌道の近傍で当該回転軌道に沿って延びている、連続式粉体処理装置。
【請求項2】
前記仕切板の下縁は、前記回転容器の軸方向から見て前記羽根の先端よりも半径方向外方に位置している、請求項1に記載の連続式粉体処理装置。
【請求項3】
前記少なくとも1つの仕切板のうち前記入口側開口に最も近い第1仕切板は、前記回転容器の軸方向中心よりも前記入口側開口に近い領域内であって、当該領域の軸方向中心よりも前記出口側開口寄りに配置されている、請求項1又は2に記載の連続式粉体処理装置。
【請求項4】
前記回転シャフトに取り付けられた円盤をさらに備えている、請求項1~3の何れか一項に記載の連続式粉体処理装置。
【請求項5】
前記円盤の外径と前記羽根の先端の回転軌道の外径は略一致する、請求項4に記載の連続式粉体処理装置。
【請求項6】
前記円盤と前記仕切板は軸方向に離間している、請求項4又は5に記載の連続式粉体処理装置。
【請求項7】
前記隙間空間内で前記回転容器の軸方向に延び、前記仕切板を支持する支持部材と、
前記支持部材に設けられ前記回転容器の内周面に付着した粉体を掻き取るスクレーパと、をさらに備える、請求項1~6の何れか一項に記載の連続式粉体処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、連続式粉体処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば医薬品、化学薬品、食品などの分野では、複数の粉体を湿潤させるとともに混合及び解砕して顆粒を製造することが行われている。粉体はそのままではハンドリングが困難であるため、顆粒とすることでハンドリング性を向上させることができる。
【0003】
例えば、特許文献1には、粉体を混合及び解砕する連続式粉体処理装置(特許文献1では、「連続式撹拌処理装置」と称呼)が開示されている。この連続式粉体処理装置は、横方向に延びる筒状の処理容器と、処理容器内に配置された、複数の羽根が取り付けられた回転シャフトとを備えている。処理容器内では、複数の羽根によって粉体を軸方向に搬送しながら、粉体の混合及び解砕が連続的に行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-7571号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の連続式粉体処理装置では、効率的な粉体の混合及び解砕が望まれる。そこで、本願は、粉体の混合及び解砕を効率よく行うことができる連続式粉体処理装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願の一態様に係る連続式粉体処理装置は、粉体の混合及び解砕を行う連続式粉体処理装置であって、横向きに延びる筒状の回転容器と、前記回転容器内に配置され、中心軸が前記回転容器の中心軸よりも下方に位置する回転シャフトと、前記回転シャフトに取り付けられ、前記回転容器の入口側開口から出口側開口に向かって前記粉体を混合及び解砕しながら送り出す複数の羽根と、前記回転容器内の上方部分に形成される隙間空間に配置された回転しない少なくとも1つの仕切板と、を備える。
【0007】
上記の構成では、回転シャフトの中心軸が回転容器の中心軸よりも下方に位置しているため、回転容器内の上方部分に羽根が届かない隙間空間が形成される。そのため、回転容器の回転に伴って持ち上がった粉体は隙間空間で回転容器の内周面から剥離して落下する。落下した粉体は羽根に衝突することで混合及び解砕が促進される。また、隙間空間に仕切板を設けることで、粉体が隙間空間を通過することによる羽根の迂回を抑制することができる。したがって、上記の構成によれば、粉体の混合及び解砕を効率よく行うことができる。なお、上記の粉体には湿潤した粉体及び乾燥した粉体の両方が含まれる。
【発明の効果】
【0008】
上記の構成によれば、粉体の混合及び解砕を効率よく行うことができる連続式粉体処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】連続式粉体処理装置の縦断面図である。
図2】連続式粉体処理装置の横断面図である。
図3図1の回転容器周辺を拡大した図である。
図4】(a)は羽根の正面図、(b)は円盤の正面図、(c)はスペーサの正面図である。
図5図3のV-V線に沿った正面断面図である。
図6】変形例に係る連続式粉体処理装置の回転容器周辺を拡大した図である。
図7図6のVII-VII線に沿った正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<基本構成>
以下、実施形態に係る連続式粉体処理装置100について説明する。はじめに、連続式粉体処理装置100の基本構成について説明する。図1は連続式粉体処理装置100の縦断面図であり、図2は連続式粉体処理装置100の横断面図である。連続式粉体処理装置100は、湿潤粉体(処理液が添加された粉体)から顆粒を製造する装置であって、例えば湿潤前に平均粒径が30~70μmであった粉体を、平均粒径が80~250μmの顆粒に形成する。ただし、連続式粉体処理装置100は、複数の粉体を湿潤させずに混合及び解砕して混合粉体を得る混合装置として使用することもできる。
【0011】
本実施形態では、上向きに開口するホッパー10に湿潤粉体が投入される。ホッパー10に投入された湿潤粉体は、供給管11内で回転するスクリュー13によって送り出されて回転容器14に供給される。なお、スクリュー13は回転シャフト12に取り付けられており、回転シャフト12は電動機15によって回転駆動される。
【0012】
回転容器14は横向きに延びる筒状の形状を有しており、湿潤粉体は一方の開口である入口側開口21から回転容器14内に供給される。回転容器14に供給された湿潤粉体は、他方の開口である出口側開口22に向かって送り出される。図2に示すように、回転容器14は、ベアリング23、24を介してフレーム25に回転可能に支持されるとともに、ベベルギア27を介して電動機26によって回転駆動される。
【0013】
なお、フレーム25には、ベアリング23及びその内側を覆う第1閉塞部材31が取り付けられており、ベアリング24及びその内側を覆う第2閉塞部材32が取り付けられている。さらに、フレーム25には、ベアリング23、24よりも半径方向外側から回転容器14を覆うカバー33が取り付けられている。
【0014】
回転容器14内には複数の羽根41が配置されている。羽根41は回転シャフト12に取り付けられている。前述のとおり、回転シャフト12は電動機15によって回転駆動される。回転シャフト12が回転すると、羽根41は湿潤粉体を混合及び解砕しながら出口側開口22に向かって送り出す。これにより、回転容器14内で顆粒が連続的に製造される。製造された顆粒は、回転容器14の出口側開口22からシュート42を介して外部に排出される。なお、本実施形態のスクリュー13及び羽根41は、同じ回転シャフト12に取り付けられているが、互いに異なる回転シャフトに取り付けられていてもよい。
【0015】
また、本実施形態では、回転容器14の中心軸52(図3参照)が水平方向に延びている。ただし、回転容器14の中心軸52は、入口側開口21から出口側開口22へ向かって下向きに傾斜してもよく、上向きに傾斜してもよい。このように回転容器14の中心軸52を傾斜させることで、回転容器14内での湿潤粉体の滞留時間を調整することができる。回転容器14内における湿潤粉体の滞留時間が長ければ、湿潤粉体の混合及び解砕を十分に行うことができる。
【0016】
さらに、本実施形態では、回転シャフト12の回転方向が回転容器14の回転方向と同じであり(いずれも図4では紙面反時計回り)、回転シャフト12の回転速度が回転容器14の回転速度よりも速い。回転シャフト12の回転速度は、羽根41の先端での周速が5~13m/s程度となるように設定され、回転容器14の回転速度は、回転容器14の内周面43での周速が0.5~1m/s程度となるように設定される。
【0017】
<回転シャフトの位置>
次に、回転シャフト12の回転容器14に対する設置位置を説明する。図3は、図1の回転容器14周辺を拡大した図である。図3に示すように、本実施形態では、回転シャフト12の中心軸51が回転容器14の中心軸52よりも下方に位置している。例えば、回転容器14の中心軸52に対する回転シャフト12の中心軸51の偏心量eは、回転容器14の内周面43の中央部及び出口側端部の直径Dの1/6~1/12である。
【0018】
このように、回転シャフト12の中心軸51が回転容器14の中心軸52よりも下方に位置することにより、回転容器14内の上方部分に羽根41が届かない隙間空間53が形成される。これにより、回転容器14の回転に伴って持ち上がった湿潤粉体は、隙間空間53で回転容器14の内周面43から剥離して落下する。落下した湿潤粉体は羽根41に衝突し、湿潤粉体の混合及び解砕が促進される。
【0019】
<回転シャフトの構造>
次に、回転シャフト12の構造について説明する。図3の破線で示すように、回転シャフト12は供給管11及び回転容器14を貫通する芯棒61を有している。芯棒61の供給管11に対応する部分にはスクリュー13が取り付けられている。スクリュー13は、芯棒61が挿通される中心管62と、中心管62の外周面に設けられた螺旋状のスクリュー羽根63を有している。
【0020】
さらに、芯棒61の回転容器14に対応する部分には羽根41、円盤71、及び、スペーサリング72が軸方向に並んで取り付けられている。図4(a)は羽根41の正面図であり、(b)は円盤71の正面図であり、(c)はスペーサリング72の正面図である。なお、芯棒61の回転容器14に対応する部分の断面は正方形である(図5参照)。ただし、当該部分の断面は正方形以外の形状であってもよい。
【0021】
羽根41は湿潤粉体を混合及び解砕しながら搬送する役割を有する。図4(a)に示すように、羽根41は略菱形状の形状を有しており、その中央に芯棒61が挿通される貫通穴73が形成されている。また、羽根41は、中央から互いに反対向きに突出する一対の刃部を有している。羽根41の各刃部には、回転方向に向かって尖るナイフエッジ74が形成されている。ナイフエッジ74は、回転方向に向かって、入口側開口21へ近づく(出口側開口22から遠ざかる)ように傾斜している。このため、羽根41が回転すると、ナイフエッジ74によって、回転容器14の出口側開口22へ向かう送り力が湿潤粉体に付与される。羽根41の長さLは、羽根41と回転容器14の内周面43との最短距離(回転容器14の中心軸52の真下でのクリアランス)が数ミリ(例えば、1~5mm)程度となるように設定される。ただし、羽根41の形状及び寸法はこれに限られない。
【0022】
円盤71は、湿潤粉体の移動を規制し、回転容器14内における湿潤粉体の滞留時間を調整する役割を有する。図4(b)に示すように、円盤71は正面視において(回転シャフト12の軸方向から見て)円形の形状を有している。円盤71の厚みは羽根41と略同じである。ただし、円盤71の厚みはこれに限定されない。円盤71の中央には芯棒61が挿通される貫通穴75が形成されている。円盤71の外径dと羽根41の先端の回転軌道の外径は略一致する。つまり、円盤71の直径dと羽根41の長さLは略同じである。
【0023】
スペーサリング72は、隣り合う羽根41の軸方向距離又は羽根41と円盤71の軸方向距離を一定にする役割を有している。図4(c)に示すように、スペーサリング72の中央には芯棒61が挿通される貫通穴76が形成されている。スペーサリング72の外縁は正面視において円形である。スペーサリング72の厚み(軸方向寸法)は、羽根41及び円盤71に比べて大きい。ただし、スペーサリング72の形状及び厚みはこれに限定されない。なお、回転シャフト12の先端には、保持部材77が取り付けられている。
【0024】
図5は、図3のV-V線に沿った正面断面図である。図3及び図5に示すように、羽根41は、向きが交互に90度変わるように芯棒61に取り付けられる。また、図5に示すように、隣り合う羽根41の間には、スペーサリング72が配置されている。ただし、一部の羽根41に代えて、円盤71が配置される。本実施形態の円盤71には、第1円盤71a、第2円盤71b、及び、第3円盤71cが含まれる。各円盤71a、71b、71cの配置については後述する。
【0025】
<仕切板の構造>
次に、仕切板81について説明する。本実施形態に係る連続式粉体処理装置100は仕切板81を備えている。仕切板81は、回転容器14内の上方部分に形成される隙間空間53に配置されており、隙間空間53を仕切って複数の領域に分割する。なお、仕切板81は、回転容器14及び回転シャフト12から独立しており、回転容器14や回転シャフト12と一緒に回転することはない。
【0026】
本実施形態の仕切板81は板状の部材であって、図5に示すように回転容器14の軸方向から見て弧状の形状を有している。具体的には、回転容器14の軸方向から見て、仕切板81の上縁82が回転容器14の内周面43の近傍で当該内周面43に沿って延びている。仕切板81の上縁82と回転容器14の内周面43との間には半径方向の隙間が形成されており、その隙間の隙間寸法gは1mm程度又は内周面43の直径Dの1/20程度である。ただし、上記の隙間寸法gはこれに限定されない。
【0027】
また、回転容器14の軸方向から見て、仕切板81の下縁83は羽根41の先端の回転軌道の近傍で当該回転軌道に沿って延びている。さらに本実施形態では、仕切板81の下縁83は、回転容器14の軸方向から見て羽根41の先端よりも半径方向外方に位置している。つまり、回転容器14の軸方向から見て仕切板81と羽根41は重なっていない。回転容器14の軸方向から見たときの仕切板81の下縁83と羽根41の先端との間の半径方向寸法g’(仕切板81の下縁83と円盤71との間の半径方向寸法と略同じ)は、1mm程度又は内周面43の直径Dの1/20程度である。ただし、上記の半径方向寸法g’はこれに限定されない。
【0028】
仕切板81は、隙間空間53内を軸方向に延びる第1支持部材84及び第2支持部材85によって支持されている。図3に示すように、第1支持部材84及び第2支持部材85は、一端(上流側端)が第1閉塞部材31に固定されており、他端(下流側端)がシュート42に固定されている。本実施形態の第1支持部材84及び第2支持部材85は一直線状に形成されているが、屈曲又は湾曲していてもよい。また、仕切板81は、第1支持部材84及び第2支持部材85を用いる以外の方法で支持されていてもよい。
【0029】
本実施形態では、仕切板81を隙間空間53に配置することで、湿潤粉体が隙間空間53を通過することによる羽根41の迂回(ショートパス)を抑制することができる。その結果、湿潤粉体の混合不足及び解砕不足を回避することができ、湿潤粉体の混合及び解砕を効率よく行うことができる。また、本実施形態では、回転容器14の軸方向から見て仕切板81と羽根41とが重なっていないため、仕切板81は羽根41に接触することなく、第1支持部材84及び第2支持部材85と一体的に回転容器14から軸方向に引き抜くことができる。これにより、回転容器14内の清掃が容易になり、衛生上好ましい。
【0030】
<仕切板の軸方向位置>
次に、仕切板81の軸方向位置について説明する。仕切板81は、軸方向において隣り合う羽根41の間に位置している。本実施形態では円盤71は仕切板81の近傍に配置されている。そのため、仕切板81とその近傍に位置する円盤71の両方が、隣り合う羽根41の間に位置している。
【0031】
本実施形態の仕切板81には、第1仕切板81a、第2仕切板81b、及び、第3仕切板81cが含まれ、入口側開口21に近い方からこの順で配置されている。
【0032】
第1仕切板81aは、回転容器14の軸方向中心よりも入口側開口21に近い第1領域86内であって、第1領域86の軸方向中心よりも出口側開口22寄りに配置されている。仕切板81を隙間空間53に設けることで、湿潤粉体のショートパスが抑制され、回転容器14内における湿潤粉体の滞留時間を長くすることができる。ところが、入口側開口21に近い第1領域86では、湿潤粉体が十分に混合されておらず、湿潤粉体が回転容器14の内周面43や第1閉塞部材31の内面に付着しやすい。そこで、本実施形態では、第1領域86においては出口側開口22寄りに仕切板81を配置することで、湿潤粉体の移動があまり妨げられないようにして湿潤粉体の付着を抑制している。
【0033】
また、第1仕切板81aに対応する第1円盤71aは、第1仕切板81aの上流側近傍に配置されている。ただし、第1円盤71aと第1仕切板81aは軸方向に離間している。この場合、湿潤粉体が第1円盤71aの上流側から下流側に移動するには、第1円盤71aと回転容器14の内周面43との隙間、又は、第1円盤71aと第1仕切板81aとの隙間を通る必要がある。そのため、第1円盤71aと第1仕切板81aの軸方向における離間寸法αを調整すれば、回転容器14内における湿潤粉体の滞留時間を調整することができる。
【0034】
第2仕切板81bは、回転容器14の軸方向中央よりも出口側開口22に近い第2領域87内であって、第2領域87の軸方向中央付近に配置されている。さらに、第3仕切板81cは、回転容器14の軸方向中央よりも出口側開口22に近い第2領域87内であって、第2領域87の軸方向中心よりも出口側開口22寄りに配置されている。出口側開口22に近い第2領域87では、湿潤粉体の混合及び解砕が促進されるように湿潤粉体の滞留時間を長くるすことが望ましい。そこで、第2領域87では複数の仕切板81を配置し、回転容器14内における湿潤粉体の滞留時間を長くしている。
【0035】
また、第2仕切板81bに対応する第2円盤71bは、第2仕切板81bの上流側近傍に配置されている。第2円盤71bと第2仕切板81bは軸方向に離間している。さらに、第3仕切板81cに対応する第3円盤71cは、第3仕切板81cの上流側近傍に配置されている。第3円盤71cと第3仕切板81cは軸方向に離間している。この場合も、第2円盤71bと第2仕切板81bの軸方向における離間寸法、及び、第3円盤71cと第3仕切板81cの軸方向における離間寸法を調整することで、回転容器14内における湿潤粉体の滞留時間を調整することができる。
【0036】
なお、円盤71と仕切板81の軸方向位置は特に限定されない。つまり、本実施形態では円盤71が仕切板81よりも上流側に配置されているが、円盤71が仕切板81よりも下流側に配置されていてもよい。また、仕切板81と円盤71を同じ軸方向位置に配置してもよい。
【0037】
<変形例>
次に、本実施形態の変形例について説明する。図6は、変形例に係る連続式粉体処理装置101の回転容器14内の拡大図である。図7は、図6のVII-VII線に沿った正面断面図である。変形例に係る連続式粉体処理装置101はスクレーパ91を備える点で、上述した連続式粉体処理装置100と構成が異なり、それ以外の点については同じ構成を備えている。
【0038】
スクレーパ91は、回転容器14の内周面43に付着した湿潤粉体を掻き取る部材である。図7に示すように、スクレーパ91は、第1仕切板81aよりも上流側、第1仕切板81aと第2仕切板81bの間、第2仕切板81bと第3仕切板81cの間、及び、第3仕切板81cの下流側に配置されている。つまり、スクレーパ91は、仕切板81が設けられていない軸方向位置に配置されている。
【0039】
また、図6に示すように、スクレーパ91は、仕切板81を支持する第2支持部材85に設けられている。そして、スクレーパ91は、第2支持部材85から回転容器14の内周面43に向かって延びている。なお、スクレーパ91は第1支持部材84に設けられていてもよく、第1支持部材84と第2支持部材85の両方に設けられていてもよい。
【0040】
スクレーパ91の先端は回転容器14の内周面43に接触していてもよく、接触していなくてもよい。接触しない場合は、スクレーパ91の先端と回転容器14の内周面43との間のクリアランスは狭い方が望ましい。スクレーパ91の先端が回転容器14の内周面43に接触しない場合、スクレーパ91の材質は、金属(例えば、ステンレス鋼)、樹脂、ゴムのいずれであってもよい。スクレーパ91の先端が回転容器14の内周面43に接触する場合、スクレーパ91の材質は、フッ素樹脂(例えば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン))やナイロンなどの摺動性に優れた樹脂であることが望ましい。特に、スクレーパ91の材質がフッ素樹脂であれば、スクレーパ91自体への湿潤粉体の付着を抑制することができる。スクレーパ91自体への湿潤粉体の付着を抑制するには、スクレーパ91の表面積はなるべく小さいことが望ましい。
【0041】
<その他の変形例>
次に、その他の変形例について説明する。本実施形態では、3つの仕切板81が隙間空間53に設けられているが、このうちの1つのみが設けられていてもよい。この場合、第1仕切板81aを隙間空間53に設けるのが望ましい。また、2つの仕切板81を設けるのであれば、第1仕切板81aと第2仕切板81bを隙間空間53に設けるのが望ましい。ただし、仕切板81の設置数及び位置は特に限定されない。
【0042】
また、本実施形態では、円盤71は仕切板81の近傍に配置されているが、円盤71の軸方向位置もこれに限定されない。さらに、上述した円盤71及び仕切板81のうち一方を省略してもよい。この場合でも、回転容器14内における湿潤粉体の滞留時間を調整することができる。
【0043】
<まとめ>
上記のとおり、実施形態に係る連続式粉体処理装置は、粉体の混合及び解砕を行う連続式粉体処理装置であって、横向きに延びる筒状の回転容器と、前記回転容器内に配置され、中心軸が前記回転容器の中心軸よりも下方に位置する回転シャフトと、前記回転シャフトに取り付けられ、前記回転容器の入口側開口から出口側開口に向かって前記粉体を混合及び解砕しながら送り出す複数の羽根と、前記回転容器内の上方部分に形成される隙間空間に配置された回転しない少なくとも1つの仕切板と、を備える。
【0044】
この構成によれば、回転シャフトの中心軸が回転容器の中心軸よりも下方に位置しているため、回転容器内の上方部分に羽根が届かない隙間空間が形成される。そのため、回転容器の回転に伴って持ち上がった粉体は隙間空間で回転容器の内周面から剥離して落下する。落下した粉体は羽根に衝突することで混合及び解砕が促進される。また、隙間空間に仕切板を設けることで、粉体が隙間空間を通過することによる羽根の迂回を抑制することができる。したがって、上記の構成によれば、粉体の混合及び解砕を効率よく行うことができる。なお、上記の粉体には湿潤した粉体及び乾燥した粉体の両方が含まれる。
【0045】
また、実施形態に係る連続式粉体処理装置では、前記仕切板は、前記回転容器の軸方向から見て、上縁が前記回転容器の内周面の近傍で当該内周面に沿って延びており、下縁が前記羽根の先端の回転軌道の近傍で当該回転軌道に沿って延びている。
【0046】
この構成によれば、回転容器の軸方向から見て、仕切板が隙間空間の大部分を覆うことができるため、粉体が隙間空間を通過することによる羽根の迂回を効果的に抑制することができる。
【0047】
また、実施形態に係る連続式粉体処理装置では、前記仕切板の下縁は、前記回転容器の軸方向から見て前記羽根の先端よりも半径方向外方に位置している。
【0048】
この構成によれば、仕切板を羽根と接触することなく回転容器から軸方向に引き抜くことができるため、回転容器内の清掃が容易になり、衛生上好ましい。
【0049】
また、実施形態に係る連続式粉体処理装置では、前記少なくとも1つの仕切板のうち前記入口側開口に最も近い第1仕切板は、前記回転容器の軸方向中心よりも前記入口側開口に近い領域内であって、当該領域の軸方向中心よりも前記出口側開口寄りに配置されている。
【0050】
この構成によれば、回転容器の入口側開口に近い領域では粉体の回転容器等への付着を抑制しつつ、回転容器内における粉体の滞留時間を適切に調整することができる。
【0051】
また、実施形態に係る連続式粉体処理装置では、前記回転シャフトに取り付けられた円盤をさらに備えている。
【0052】
この構成によれば、円盤によって粉体の移動を抑制することにより、回転容器内における湿潤粉体の滞留時間を調整することができる。
【0053】
また、実施形態に係る連続式粉体処理装置では、前記円盤の外径と前記羽根の先端の回転軌道の外径は略一致する。
【0054】
この構成によれば、円盤と回転容器の内周面とのクリアランスが小さくなる。そのため、より効率的に回転容器内における粉体の滞留時間を調整することができる。
【0055】
また、実施形態に係る連続式粉体処理装置では、前記円盤と前記仕切板は軸方向に離間している。
【0056】
この構成によれば、円盤と仕切板との隙間を通過する粉体の通過量を調整することができ、ひいては滞留時間を調整することができる。
【0057】
また、実施形態の変形例に係る連続式粉体処理装置では、前記隙間空間内で前記回転容器の軸方向に延び、前記仕切板を支持する支持部材と、前記支持部材に設けられ前記回転容器の内周面に付着した粉体を掻き取るスクレーパと、をさらに備える。
【0058】
この構成によれば、スクレーパによって回転容器の内周面に付着した粉体が掻き取られる。そして、掻き取られた粉体は混合及び解砕されることになるため、より均質な顆粒を製造でき又は混合粉体を得ることができる。
【符号の説明】
【0059】
12 回転シャフト
14 回転容器
21 入口側開口
22 出口側開口
41 羽根
43 内周面
51 中心軸
52 中心軸
53 隙間空間
71 円盤
81 仕切板
81a 第1仕切板
81b 第2仕切板
81c 第3仕切板
82 上縁
83 下縁
84 第1支持部材
85 第2支持部材
86 第1領域
87 第2領域
91 スクレーパ
100 連続式粉体処理装置
101 連続式粉体処理装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7