(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-14
(45)【発行日】2025-01-22
(54)【発明の名称】天井吊具
(51)【国際特許分類】
E04B 9/00 20060101AFI20250115BHJP
E04B 1/82 20060101ALI20250115BHJP
E04B 9/18 20060101ALI20250115BHJP
【FI】
E04B9/00 A
E04B1/82 V
E04B1/82 N
E04B9/18 L
E04B9/18 M
(21)【出願番号】P 2020207503
(22)【出願日】2020-12-15
【審査請求日】2023-11-30
(73)【特許権者】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105843
【氏名又は名称】神保 泰三
(72)【発明者】
【氏名】高橋 康夫
【審査官】神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-183849(JP,A)
【文献】実開昭59-040418(JP,U)
【文献】特開平11-124946(JP,A)
【文献】特開昭53-023112(JP,A)
【文献】実開昭56-039520(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 9/00
E04B 1/62-1/99
E04B 9/18
E04B 5/43
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上階の床側に固定される床側固定部と、
下階天井構造を支持する天井支持部と、
上記床側固定部に設けられて上記床側からの振動伝播を抑制する第1防振部と、
防振特性が上記第1防振部の防振特性と相違しており、上記天井支持部に設けられて上記下階天井構造への振動伝播を抑制する第2防振部と、
を備えており、
上記第1防振部は、上記床側を構成する部材に接触する防振性板からなることを特徴とする天井吊具。
【請求項2】
上階の床側に固定される床側固定部と、
下階天井構造を支持する天井支持部と、
上記床側固定部に設けられて上記床側からの振動伝播を抑制する第1防振部と、
防振特性が上記第1防振部の防振特性と相違しており、上記天井支持部に設けられて上記下階天井構造への振動伝播を抑制する第2防振部と、
を備えており、
上記第1防振部は、上記床側を構成する水平配置の板状部を上下から挟むように配置されていることを特徴とする天井吊具。
【請求項3】
上階の床側に固定される床側固定部と、
下階天井構造を支持する天井支持部と、
上記床側固定部に設けられて上記床側からの振動伝播を抑制する第1防振部と、
防振特性が上記第1防振部の防振特性と相違しており、上記天井支持部に設けられて上記下階天井構造への振動伝播を抑制する第2防振部と、
を備えており、
上記第2防振部は、上下方向に間隔が変化する2枚以上の板部を有する曲げ板からなることを特徴とする天井吊具。
【請求項4】
請求項1~請求項
3のいずれか1項に記載の天井吊具において、上記第2防振部を、天井下地材を支持する下地材受け部材が固定される下地材支持部が有していることを特徴とする天井吊具。
【請求項5】
請求項1~請求項
3のいずれか1項に記載の天井吊具において、上記第2防振部を、天井下地材を支持する下地材受け部材が有していることを特徴とする天井吊具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、上階で発生した騒音の下階天井への伝播を低減することができる天井吊具に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、本体と、梁ネジと、野縁受ネジと、野縁受ナットと、防振ゴム部材を備える天井吊り金具が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記天井吊り金具は、上記防振ゴム部材だけによる制振(防音)性能を発揮できるに過ぎない。
【0005】
この発明は、上階で発生した騒音の下階天井への伝播を低減して防音性を向上できる天井吊具を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の天井吊具は、上階の床側に固定される床側固定部と、
下階天井構造を支持する天井支持部と、
上記床側固定部に設けられて上記床側からの振動伝播を抑制する第1防振部と、
防振特性が上記第1防振部の防振特性と相違しており、上記天井支持部に設けられて上記下階天井構造への振動伝播を抑制する第2防振部と、
を備えることを特徴とする。
【0007】
上記の構成であれば、上階の床側からの振動は、上記床側固定部に取り付けられた上記第1防振部によって抑制され、さらに、当該天井吊具を伝播する振動は、上記第2防振部によって、上記下階天井構造への伝播が抑制される。そして、上記第1防振部の防振特性と上記第2防振部の防振特性とが相違することで、広い周波数範囲で騒音を抑制することが可能となる。
【0008】
上記第1防振部は、上記床側を構成する部材に接触する防振性板からなっていてもよい。これによれば、上記床側からの天井吊具自体への振動伝播を遮断する構造を得ることができる。
【0009】
上記第1防振部は、上記床側を構成する水平配置の板状部を上下から挟むように配置されていてもよい。これによれば、上記第1防振部を介して上記床側固定部を上階の床側に固定することができる。
【0010】
上記第2防振部は、上下方向に間隔が変化する2枚以上の板部を有する曲げ板からなっていてもよい。これによれば、上記第2防振部において、上記第1防振部とは異なった防振特性を容易に得ることができる。
【0011】
上記第2防振部を、天井下地材を支持する下地材受け部材が固定される下地材支持部が有してもよい。これによれば、防振性を有しない下地材受け部材を用いることができる。
【0012】
或いは、上記第2防振部を、天井下地材を支持する下地材受け部材が有してもよい。これによれば、天井吊具における部品点数の削減が図れる。
【発明の効果】
【0013】
本発明であれば、上階で発生した騒音の下階天井への伝播の抑制力を向上できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】実施形態の天井吊具の平面図と正面図と側面図である。
【
図4】
図1の天井吊具の構造に対して第1防振部および第2防振部のいずれも有しない構造の吊具における振動減衰特性を点線で示し、
図1の天井吊具の構造に対して第1防振部を有しないで第2防振部のみ有する構造の吊具における振動減衰特性を実線で示したグラフである。
【
図5】
図1の天井吊具の構造に対して第1防振部および第2防振部のいずれも有しない構造の吊具における振動減衰特性を点線で示し、天井吊具の構造に対して第2防振部を有しないで第1防振部のみを有する構造の吊具における振動減衰特性を実線で示したグラフであり、同図(A)は1Hz~100Hzまでの範囲を示し、同図(B)は100Hzから1000Hzまでの範囲を示している。
【
図6】
図4および
図5の振動減衰特性を測定した際の床天井模擬構造を示した説明図である。
【
図7】
図1の天井吊具(板バネゴムあり)における床衝撃音遮断性能と、
図1の天井吊具の構造に対して第1防振部を有しないで第2防振部を有する構造(板バネあり)の吊具における床衝撃音遮断性能と、
図1の天井吊具の構造に対して第1防振部も第2防振部も有しない構造(板バネなし)の吊具における床衝撃音遮断性能を示したグラフである。
【
図8】実施形態の天井吊具の変形例を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、この発明の一態様に係る実施形態を添付図面に基づいて説明する。
図1、
図2および
図3に示すように、実施形態の天井吊具(金具)1は、床側固定部2および天井支持部3を備える。床側固定部2は上階の床側に固定され、天井支持部3は下階天井構造を支持する。
【0016】
上記床側固定部2は、支持本体部21と、当該支持本体部21に対して上下方向にスライドするスライド挟持板22と、上記スライド挟持板22を上記支持本体部21に対して上下方向に移動させる固定操作部材23と、を備える。
【0017】
上記支持本体部21は、第1水平部211と、当該第1水平部211から上方向に延びる鉛直部212と、当該鉛直部212の上部から水平方向に上記第1水平部211とは反対方向に延びる第2水平部213とからなる。また、これら第1水平部211と鉛直部212と第2水平部213は、それらの両縁部で曲げ形成された立上リブ部によって補強されている。
【0018】
上記第1水平部211には、その先端よりも上記鉛直部212に近い箇所に鉛直方向に貫通孔が形成されており、この貫通孔に上記固定操作部材23であるボルトが頭部を下にして挿通されている。
【0019】
上記鉛直部212には、鉛直方向に長いガイド孔212aが形成されている。このガイド孔212aには、当該ガイド孔212aに嵌る胴部および当該ガイド孔212aよりも広幅の頭部を有するカシメピン212bがスライド可能に位置している。
【0020】
上記第2水平部213には、鉛直方向に貫通孔が形成されている。
【0021】
また、上記スライド挟持板22は、水平部221と、当該水平部221から上方向に延設された鉛直部222と、を有する。これら水平部221と鉛直部222は、それらの両縁部で曲げ形成された立上リブ部によって補強されており、この立上リブ部は支持本体部21の上記立上リブ部の内側に位置している。
【0022】
上記水平部221には鉛直方向に貫通孔が形成されており、この貫通孔に螺子孔を合わせたナット221aが水平部221の上面に固定されている。そして、ナット221aに固定操作部材23の先端側が螺合される。
【0023】
上記鉛直部222の背側には、上記カシメピン212bが固定されている。このカシメピン212bがガイド孔212aでガイドされることで、スライド挟持板22が支持本体部21から離脱することなく上下方向に移動する。
【0024】
そして、第1水平部211の上面部および水平部221の下面部には、上記床側からの振動伝播を抑制する第1防振部4がそれぞれ貼付されている。この実施形態では、第1防振部4は防振性板からなる。第1水平部211の上面部に貼付される防振性板の高さは、上記立上リブ部の高さよりも高くされる。上記防振性板としては、ゴム板、シリコン板、発泡性樹脂板等の弾性板が用いられる。この実施形態では、上記防振性板としてゴム板を用いており、このゴム板は例えばエチレンプロピレンゴムを主要原材料としたゴム成型品である。
【0025】
上記天井支持部3は、第2水平部213の上記貫通孔に挿通された吊りボルト31と、この吊りボルト31を第2水平部213に固定する下側ナット32および上側蝶ナット33と、下地材支持部34と、この下地材支持部34を吊りボルト31に固定するナット35と、を備える。
【0026】
上記下地材支持部34には、天井下地材である軽量鉄骨の野縁受け7を受ける下地材受け部材9がビス36によって固定される。また、下地材支持部34の上部には、下階天井構造への振動伝播を抑制する第2防振部341が形成されている。
【0027】
上記第2防振部341は、上下方向に間隔が変化する上下2枚の板部341a、341bを有する板バネ(半円状曲げ部を有する曲げ板)からなる。板部341a、341bは、例えば、SUS301からなり、板厚は0.9mmであり、バネ定数は1.7×105N/mである。上側の板部341aには吊りボルト31のボルトが挿通される貫通孔が形成されており、上記2枚の板部341a、341b間には、吊りボルト31の薄厚の頭部が位置する。また、下側の板部341bには、吊りボルト31の上記頭部が挿通できる貫通孔が形成されており、板部341a、341bの曲げ加工後に吊りボルト31を装着できる。また、吊りボルト31の上記頭部は板部341bに接触しないため、板部341bの振動(板部341a、341b間の曲げ箇所による衝撃吸収)に対して上記頭部は妨げにならない。下地材支持部34は、吊りボルト31の上記頭部とナット35とによって吊りボルト31に固定される。また、上記下地材受け部材9(野縁受け7)は、吊りボルト31の中心の下方延長線下には位置せず、板部341a、341b間の曲げ箇所から遠くなる方向に上記下方延長線から離れて位置する。
【0028】
そして、この天井吊具1は、上記床側を構成する水平配置の板状部である、例えば、H形鋼の下フランジ部に取り付けることができる。この取付の作業では、固定操作部材23を回転操作し、支持本体部21の第1水平部211とスライド挟持板22の水平部221とで、上記下フランジ部を上下から挟む。これにより、第1水平部211および水平部221と上記下フランジ部との間に、それぞれ第1防振部4が介在する状態で、天井吊具1が上記下フランジ部に固定される。
【0029】
また、吊りボルト31の高さ位置を調整し、この吊りボルト31を支持本体部21の第2水平部213に固定する。そして、下地材受け部材9によって野縁受け7を受け支持する。野縁受け7には、図示しない野縁が取り付けられる。
【0030】
上記の構成であれば、上階の床側からの振動は、床側固定部2に取り付けられた第1防振部4によって抑制され、さらに、当該天井吊具1を伝播する振動は、第2防振部341によって、野縁受け7への伝播が抑制される。そして、第1防振部4の防振特性と第2防振部341の防振特性とが相違することで、広い周波数範囲で騒音を抑制することが可能となる。
【0031】
この実施形態では、第1防振部4はゴム板からなり、第2防振部341は板バネからなるので、第1防振部4の防振特性と第2防振部341の防振特性とを異ならせることが容易である。
【0032】
図4は、天井吊具1の構造に対して第1防振部4(ゴム板)および第2防振部341(板バネ)のいずれも有しない構造の吊具における振動減衰特性(各振動周波数での減衰量)を点線で示し、天井吊具1の構造に対して第1防振部4(ゴム板)を有しないで第2防振部341(板バネ)のみ有する構造の吊具における振動減衰特性(各振動周波数での減衰量)を実線で示したグラフであり、1Hz~100Hzまでの範囲を示している。
【0033】
このグラフによれば、第2防振部341(板バネ)を有する構造は、63Hzの1オクターブバンド範囲で平均20dB以上の減衰効果がみられた。
【0034】
図5は、天井吊具1の構造に対して第1防振部4(ゴム板)および第2防振部341(板バネ)のいずれも有しない構造の吊具における振動減衰特性(各振動周波数での減衰量)を点線で示し、天井吊具1の構造に対して第2防振部341(板バネ)を有しないで第1防振部4(ゴム板)のみを有する構造の吊具における振動減衰特性(各振動周波数での減衰量)を実線で示したグラフであり、同図(A)は1Hz~100Hzまでの範囲を示し、同図(B)は100Hzから1000Hzまでの範囲を示している。
【0035】
これらのグラフから分かるように、第1防振部4を有する構造では、聴感の改善に効果のある31.5Hzの1オクターブバンド範囲で大きな防振効果がみられた。また、中音域に対しては、125Hzの1オクターブバンド範囲および500Hzの1オクターブバンド範囲において若干の効果がみられた。
【0036】
図6は上記の振動減衰特性を測定した際の床天井模擬構造を示した説明図である。この床天井模擬構造における床側は、H形鋼からなる2本の梁501と、これら梁501上に配置されたコンクリート製の床版502とからなる。また、床天井模擬構造における下階天井構造は、2本の野縁504と、この野縁504を支持する野縁受け503と、上記2本の野縁504に吊り下げられた重り505とからなる。野縁受け503は4個の天井吊具1によって各梁501の下フランジに2個ずつ固定される。そして、床版502上に振動発生器506が置かれ、図示しない振動センサーが野縁受け503と、下フランジとにそれぞれ取り付けられる。なお、H形鋼からなる梁501の高さを250mmとした。また、ゴム板なしの試験では、天井吊具1に対して第1防振部4(ゴム板)が未装着のものを用いた。また、板バネなしの試験では、天井吊具1の下地材支持部34に替えて第2防振部341を有しない下地材支持部を用いた。また、天井吊具の配置ピッチは910mmとした。また、重り505は天井釣具1の配置ピッチ910mmの換算値とした。
【0037】
図7は、天井吊具1(板バネ・ゴムあり)における床衝撃音遮断性能(各オクターブバンド中心周波数での床衝撃音レベル)と、天井吊具1の構造に対して第1防振部4(ゴム板)を有しないで第2防振部341を有する構造(板バネあり)の吊具における床衝撃音遮断性能と、天井吊具1の構造に対して第1防振部4も第2防振部341も有しない構造(板バネなし)の吊具における床衝撃音遮断性能を示したグラフである。天井吊具1(板バネ・ゴムあり)における床衝撃音遮断性能は実線で示され、板バネあり構造における床衝撃音遮断性能は点線で示され、板バネなし構造における床衝撃音遮断性能は一点鎖線で示される。なお、この
図7の床衝撃音遮断性能を測定するにあたっての条件(床天井構造)の概略は、以下の通りである。また、床天井構造の下方に地下残響室が設置される。
【0038】
(1)小梁であるH形鋼の高さ:250mm
(2)小梁の長さ:2730mm(小梁の長さ方向両端部には大梁が直交配置で接合され、この大梁が支持基台に固定されている。)
(3)小梁のピッチ910-1820-910mm(小梁数4本)
(4)天井吊具の配置ピッチ→小梁と直交方向:910-1820-910mm(4本の小梁のうちの中央側2本の小梁の下フランジの左右両側に天井吊具を取り付けている。端側の2本の小梁は支持基台に固定されている。)
→小梁と平行方向:910mm
【0039】
上記
図7の床衝撃音遮断性能のグラフから分かるように、第2防振部341を有する構造(板バネあり構造)であれば、63Hz帯域で2.5dB程度の比較的大きな遮音効果がみられる。そして、第1防振部4および第2防振部341の両方を有する天井吊具1であれば、周波数の相違する範囲において第1防振部4と第2防振部341による分担的な騒音減衰が発揮され、広い周波数範囲で騒音が抑制される効果がみられる。
【0040】
上記
図7では、天井吊具1の構造に対して第1防振部4を有し第2防振部341を有しないゴム板のみが在る構造の吊具における床衝撃音遮断性能は計測していないが、第1防振部4と第2防振部341の単体装備による騒音減衰に対し、天井吊具1であれば、両方を備えることによる相乗的な騒音減衰性能も期待できる。また、第1防振部4と第2防振部341とにおいて、どのような周波数範囲での騒音減衰分担をさせるかの最適化については、さらに実験を重ねて求めていくことが可能である。
【0041】
なお、上記の実施形態では、第2防振部341は、天井下地材である野縁受け7を支持する下地材受け部材9が固定される下地材支持部34に形成されるので、防振性を有しない下地材受け部材9を用いることができる。一方、
図8に示すように、第2防振部341を有する下地材支持部34に下地材受け部が一体化された下地材受け部材9Aを用いることができる。これによれば、天井吊具1における部品点数の削減が図れる。
【0042】
また、上記の実施形態では、第1防振部4は上記床側を構成する部材に接触する防振性板からなるので、上記床側からの天井吊具1自体への振動伝播を遮断する構造となる。また、上記第1防振部4は、上記床側を構成するH形鋼のフランジ部を上下から挟むように構成されているので、上記第1防振部4を介して上記床側固定部2を上階の床側に固定することができる。なお、第1防振部を、上記床側を構成する部材に接触させる構造に限らない。例えば、上側蝶ナット33と第2水平部213との間に第1防振部として円筒状の防振ゴムを設け、第2水平部213を伝わる振動が上記防振ゴムで減衰されて吊りボルト31に伝播するようにしてもよい。また、上記防振性板に貼った非防振性の板材を、上記床側を構成する部材に接触させる構造としてもよい。
【0043】
また、上記の実施形態では、下地材支持部34は、吊りボルト31の頭部とナット35とによって吊りボルト31に固定されたが、このような固定に限らない。例えば、吊りボルト31を頭部の無い両切りボルトとし、上記2枚の板部341a、341bに上記両切りボルトを貫通させる貫通孔を形成しておき、上記両切りボルトの下側に螺合させたナットと上記ナット35とで第2防振部341を挟持する構造としてもよい。或いは、上記両切りボルトの下端部が上側の板部341aに溶接固定された構造でもよい。また、上記の実施形態では、第2防振部341は、上下方向に間隔が変化する上下2枚の板部341a、341bを有する板バネであったが、上下方向に間隔が変化する上下3枚以上の板部からなっていてもよい。
【0044】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示した実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0045】
1 :天井吊具
2 :床側固定部
3 :天井支持部
4 :第1防振部
7 :野縁受け(天井下地材)
9 :下地材受け部材
9A :下地材受け部材
21 :支持本体部
22 :スライド挟持板
23 :固定操作部材
31 :吊りボルト
32 :下側ナット
33 :上側蝶ナット
34 :下地材支持部
35 :ナット
36 :ビス
211 :第1水平部
212 :鉛直部
212a :ガイド孔
212b :カシメピン
213 :第2水平部
221 :水平部
221a :ナット
222 :鉛直部
341 :第2防振部
341a :板部
341b :板部
501 :梁
502 :床版
503 :野縁受け
504 :野縁
505 :重り
506 :振動発生器