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特許7619810インビボ翻訳後修飾のための組成物および方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-14
(45)【発行日】2025-01-22
(54)【発明の名称】インビボ翻訳後修飾のための組成物および方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 48/00 20060101AFI20250115BHJP
   C12N 15/54 20060101ALI20250115BHJP
   C12N 15/12 20060101ALI20250115BHJP
   C12N 15/13 20060101ALI20250115BHJP
   C12N 15/62 20060101ALI20250115BHJP
   A61K 39/00 20060101ALI20250115BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20250115BHJP
   A61P 31/00 20060101ALI20250115BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20250115BHJP
   A61K 31/7088 20060101ALI20250115BHJP
   A61K 38/45 20060101ALI20250115BHJP
   C12N 9/10 20060101ALN20250115BHJP
   C07K 19/00 20060101ALN20250115BHJP
   C07K 16/00 20060101ALN20250115BHJP
   C07K 14/73 20060101ALN20250115BHJP
【FI】
A61K48/00
C12N15/54 ZNA
C12N15/12
C12N15/13
C12N15/62 Z
A61K39/00 Z
A61K39/395
A61K39/395 Z
A61P31/00
A61P43/00 111
A61K31/7088
A61K38/45
C12N9/10
C07K19/00
C07K16/00
C07K14/73
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2020568742
(86)(22)【出願日】2019-06-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-10-11
(86)【国際出願番号】 US2019036470
(87)【国際公開番号】W WO2019241193
(87)【国際公開日】2019-12-19
【審査請求日】2022-06-10
(31)【優先権主張番号】62/683,344
(32)【優先日】2018-06-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516142001
【氏名又は名称】ザ ウィスター インスティテュート オブ アナトミー アンド バイオロジー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100150810
【弁理士】
【氏名又は名称】武居 良太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100134784
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 和美
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド ウェイナー
(72)【発明者】
【氏名】ミーガン ワイズ
(72)【発明者】
【氏名】ツーヤン シュイ
【審査官】横田 倫子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0118815(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2003/0170849(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0340405(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0069256(US,A1)
【文献】MABS,2016年,vol. 8, no. 4,p.761-774
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 48/00
A61K 39/00
A61P
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
UniProt/GeneSeq
GeneCards
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象において合成タンパク質を翻訳後修飾するためのワクチンであって、
(a)前記合成タンパク質をコードする第1の組換え核酸配列、ここで、前記合成タンパク質は配列番号1又は3の配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含み、
(b)修飾タンパク質をコードする第2の組換え核酸配列、ここで、前記修飾タンパク質が、配列番号5又は7の配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む、チロシルタンパク質スルホトランスフェラーゼ2(TPST2である、
を含む、ワクチン。
【請求項2】
前記翻訳後修飾が、硫酸化、アセチル化、N結合グリコシル化、ミリストイル化、パルミトイル化、SUMO化、ヒドロキシル化、メチル化、O結合グリコシル化、ユビキチル化、酸化、およびパルミトイル化からなる群から選択される、請求項1に記載のワクチン。
【請求項3】
前記翻訳後修飾が、硫酸化である、請求項2に記載のワクチン。
【請求項4】
TPST2が、IgEリーダーを含む、請求項に記載のワクチン。
【請求項5】
前記第2の組換え核酸配列が、配列番号6または8の配列に少なくとも90%同一である核酸配列を含む、請求項1に記載のワクチン。
【請求項6】
前記合成タンパク質が、抗原、抗体、またはイムノアドヘシンである、請求項1に記載のワクチン。
【請求項7】
前記イムノアドヘシンが、eCD4-Igである、請求項に記載のワクチン。
【請求項8】
前記第1の組換え核酸配列が、配列番号2または4に少なくとも90%同一である配列を含む、請求項1に記載のワクチン。
【請求項9】
前記翻訳後修飾が、硫酸化であり、前記修飾タンパク質が、チロシルタンパク質スルホトランスフェラーゼ(TPST2)であり、前記合成タンパク質が、eCD4-Igであり、eCD4-Igが、前記対象において硫酸化される、請求項に記載のワクチン。
【請求項10】
対象における合成タンパク質を翻訳後修飾するための組成物であって、
(a)前記合成タンパク質をコードする第1の組換え核酸配列、ここで、前記合成タンパク質は配列番号1又は3の配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含み、
(b)修飾タンパク質をコードする第2の組換え核酸配列、ここで、修飾タンパク質が前記対象における合成タンパク質を翻訳後に修飾し、前記修飾タンパク質が配列番号5又は7の配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む、チロシルタンパク質スルホトランスフェラーゼ2(TPST2)である、
を含む、組成物。
【請求項11】
前記修飾タンパク質が、前記合成タンパク質上の翻訳後修飾(PTM)を触媒し、前記PTMが、硫酸化、アセチル化、N結合グリコシル化、ミリストイル化、パルミトイル化、SUMO化、ヒドロキシル化、メチル化、O結合グリコシル化、ユビキチル化、酸化、およびパルミトイル化からなる群から選択される翻訳後修飾からなる群から選択される、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
PTMが、硫酸化である、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
TPST2が、IgEリーダーを含む、請求項10に記載の組成物。
【請求項14】
前記第2の組換え核酸配列が、配列番号6または8の配列に少なくとも90%同一である配列を含む、請求項10に記載の組成物。
【請求項15】
前記合成タンパク質が、抗原、抗体またはイムノアドヘシンである、請求項10に記載の組成物。
【請求項16】
前記イムノアドヘシンが、eCD4-Igである、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
前記第1の組換え核酸配列が、配列番号2または4に少なくとも90%同一である配列を含む、請求項10に記載の組成物。
【請求項18】
前記1つ以上の核酸分子が、発現ベクター内にあるように操作される、請求項1015及び17のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項19】
薬学的に許容される賦形剤をさらに含む、請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症を治療するための、請求項1115及び1719のいずれか1項に記載の組成物であって、前記組成物が前記対象に投与される、組成物。
【請求項21】
前記組成物を投与することが、エレクトロポレーションステップを含む、請求項20に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この出願は、2018年6月11日に出願された米国仮出願第62/683,344号に対する優先権の権利があり、その全体において参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
多くのタンパク質の活性は、翻訳後修飾によって改善され得る。翻訳後修飾(PTM)は、タンパク質への異なる官能基の共有結合をもたらす化学変化である。これらの修飾は、当該タンパク質を特定の細胞経路に特異的に標的化する、全体的な機能および効力を改善する、安定性もしくは半減期を変化させる、または折り畳みおよび他のタンパク質相互作用の違いをもたらすことができる。異なる標的タンパク質をコードする能力は、DNAプラスミドを使用して十分に確立されている。しかしながら、これらのDNAコードされたタンパク質をさらに改善することが必然的に必要とされている。翻訳後修飾を行うことができる異なる酵素をコードすることによって、標的タンパク質を修飾することができ、したがって全体的な所望の転帰を改善する。この追加の調節ステップは、コードされたタンパク質の特異的な調整を可能にし、ワクチンならびに他のDNAコードされたタンパク質の両方に使用することができる。
【0003】
現在、医薬品として使用される生物製剤(抗体、エリスロポエチン、凝固因子)は、哺乳動物細胞株(CHO)においてしばしば産生され、PTMの位置および程度の点で不均一性を示し、そのうちのいくつかは、生物製剤の機能を低下させる可能性がある(Harris、2005)。したがって、高度なDNA/エレクトロポレーション(EP)技術を使用して、これらの複雑な生物学的分子のインビボ送達および修飾を容易にするための単純なアプローチを有することが大きな利点となるであろう。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、対象において合成タンパク質を翻訳後修飾する方法を提供する。一実施形態では、方法は、合成タンパク質をコードする第1の組換え核酸配列と、修飾タンパク質をコードする第2の組換え核酸配列とを含む組成物を対象に投与することを含み、修飾タンパク質は、対象において合成生物製剤を翻訳後修飾する。
【0005】
一実施形態では、翻訳後修飾は、硫酸化、アセチル化、N結合グリコシル化、ミリストイル化、パルミトイル化、SUMO化、ヒドロキシル化、メチル化、O結合グリコシル化、ユビキチル化、酸化、およびパルミトイル化からなる群から選択される。
【0006】
一実施形態では、翻訳後修飾は、硫酸化であり、修飾タンパク質は、チロシルタンパク質スルホトランスフェラーゼ1(TPST1)およびTPST2からなる群から選択される。
【0007】
一実施形態において、修飾タンパク質は、TPST2である。一実施形態において、TPST2は、IgEリーダーを含む。一実施形態では、TPST2は、配列番号5または7に少なくとも90%相同なアミノ酸配列を含む。一実施形態では、第2の組換え核酸配列は、配列番号6または8に少なくとも90%相同な配列を含む。
【0008】
一実施形態では、合成タンパク質は、抗原、抗体またはイムノアドヘシンである。一実施形態では、イムノアドヘシンは、eCD4-Igである。一実施形態では、eCD4-Igは、配列番号1または3に少なくとも90%相同なアミノ酸配列を含む。一実施形態では、第1の組換え核酸配列は、配列番号2または4に少なくとも90%相同な配列を含む。
【0009】
一実施形態では、翻訳後修飾は、硫酸化であり、修飾タンパク質は、チロシルタンパク質スルホトランスフェラーゼ1(TPST2)であり、合成タンパク質は、eCD4-Igであり、eCD4-Igは、対象において硫酸化される。
【0010】
本発明はまた、対象における合成タンパク質を翻訳後修飾するための組成物を提供する。一実施形態では、組成物は、合成タンパク質をコードする第1の組換え核酸配列と、修飾タンパク質をコードする第2の組換え核酸配列とを含む。
【0011】
一実施形態では、修飾タンパク質は、合成タンパク質上の翻訳後修飾(PTM)を触媒し、PTMは、硫酸化、アセチル化、N結合グリコシル化、ミリストイル化、パルミトイル化、SUMO化、ヒドロキシル化、メチル化、O結合グリコシル化、ユビキチル化、酸化、およびパルミトイル化からなる群から選択される翻訳後修飾からなる群から選択される。
【0012】
一実施形態では、翻訳後修飾は、硫酸化であり、修飾タンパク質は、チロシルタンパク質スルホトランスフェラーゼ1(TPST1)およびTPST2からなる群から選択される。
【0013】
一実施形態では、修飾タンパク質は、TPST2である。一実施形態では、TPST2は、IgEリーダーを含む。一実施形態では、TPST2は、配列番号5または7に少なくとも90%相同なアミノ酸配列を含む。一実施形態では、第2の組換え核酸配列は、配列番号6または8に少なくとも90%相同な配列を含む。
【0014】
一実施形態では、合成タンパク質は、抗原、抗体またはイムノアドヘシンである。一実施形態では、イムノアドヘシンは、eCD4-Igである。一実施形態では、eCD4-Igは、配列番号1または3に少なくとも90%相同なアミノ酸配列を含む。一実施形態では、第1の組換え核酸配列は、配列番号2または4に少なくとも90%相同な配列を含む。
【0015】
一実施形態では、1つ以上の核酸分子は、発現ベクター内にあるように操作される。一実施形態では、組成物は、薬学的に許容される賦形剤を含む。
【0016】
一実施形態では、本発明は、疾患、障害または感染を治療することを必要とする対象においてそれを行うための方法を提供する。一実施形態では、方法は、本発明の組成物を対象に投与することを含む。一実施形態では、方法は、エレクトロポレーションステップを含む。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1A-F】図1A図1Fを含み、ReCD4-Igのインビトロ発現および硫酸化を示す図である。図1Aは、総タンパク質濃度に正規化されたHEK293T細胞のトランスフェクション溶解物中のReCD4-Igの発現を示す。図1Bは、HEK293T細胞のトランスフェクション上清におけるReCD4-Igの発現を示す。図1Cは、p-ReCD4-IgまたはpVAX(プラスミド骨格ベクター)のいずれかでトランスフェクトしたHEK293T細胞の上清のウェスタンブロットを示す。図1Dは、トランスフェクション上清中のReCD4-Igのチロシン硫酸化を検出するための結合ELISAを示す。図1Eは、p-ReCD4-Igおよび様々な用量のp-IgE-TPST2でトランスフェクトしたHEK293T細胞の上清中のReCD4-Igの定量化を示す。酵素群を有さない各群間のレベルを比較するために対T検定を使用し、1:20 IgE-TPST2群において有意な低下(p<0.05)が検出された。図1Fは、p-ReCD4-Ig単独またはp-ReCD4-Igおよび1:1000プラスミド酵素のいずれかでトランスフェクトしたHEK293T細胞の上清のウェスタンブロットを示す。下部パネルは、トランスフェクション上清中の同じ量のReCD4-Igを実証するための負荷対照である。
図2A-C】図2A図2Cを含み、IgE-TPST2の細胞下標的化を示す実験結果を示す図である。図2Aは、TPST2バリアント(赤色)とゴルジン97(緑色)との間の局在化を決定するための共焦点顕微鏡法を示す。核は、DAPI(青色)で染色される。IgE-TPST2は、TPST2と比較してTGNへの増加したトラフィックを示す。ΔTM-TPST2の拡散した細胞質分布は、最後のパネルで観察され得る。図2Bは、TPST2バリアントとゴルジン97との間の局在化が関心領域分析で定量化されたことを示す(n=16)。一元配置分散分析(F-統計値=79.67、p値<0.0001)および事後対T検定(Holmの調整による)を使用して、異なる群間のピアソン相関係数を比較した。P値は、示される通りである。図2Cは、pGX00001骨格プラスミド単独でトランスフェクトされたHEK293T細胞、またはプラスミドにコードされた酵素でトランスフェクトされたpGX00001の蛍光顕微鏡画像を示す。3つのチャネルのオーバーレイは、TPST2およびΔTM-TPST2と比較して、TGNへのIgE-TPST2の強化されたトラフィックを示す。
図3A-F】図3A図3Fを含み、ReCD4-Igのインビボ発現および硫酸化を示す図である。図3Aは、筋肉ホモジネート7d.p.iのウェスタンブロットを示し、対側脚と比較した注射された脚におけるIgE-TPST2(43kDa)の発現を示す。GAPDH(37kDa)は、負荷対照の役割を果たす。図3Bは、単回用量のDNAを注射した一時的に免疫調節されたB6.Cg-Foxn1nu/Jおよびbalb/cにおけるReCD4-Igの血清発現を示す。図3Cは、マウス血清中のReCD4-Igチロシン硫酸化を決定するための結合ELISAを示す。一時的に枯渇したbalb/cマウスに、p-ReCD4-Igおよび様々な用量のp-IgE-TPST2を注射し、分析のために血清7d.p.iを収集した。各群のOD450を、無酵素および1:20IgE-TPST2群と比較して、硫酸化に必要なIgE-TPST2の最小用量を決定した。図3Dは、p-ReCD4-Igおよび様々なプラスミド酵素用量7d.p.iで共処理したマウスにおけるReCD4-Igの血清発現レベルを示す。p値は、対T検定で計算した。*p<0.05、**p<0.005、***p<0.0005、*****p<0.00005、*****p<0.000005。図3Eは、p-ReCD4-Igまたはp-ReCD4-Igのいずれかおよび1:1000用量のp-IgE-TPST2で処理した一時的に枯渇したbalb/c中の異なる時点におけるReCD4-Igの血清発現レベルを示す。各線は、個々のマウスを表す。図3Fは、p-ReCD4-Ig単独またはp-ReCD4-Ig+p-TPST1/p-HS3SAを注射した一時的に枯渇したbalb/cマウスにおけるReCD4-Ig7d.p.iの血清濃度を示す。ReCD4-Ig単独群と比較した場合、両群において発現レベルの有意な低下(p<0.05、Holm調整を伴う対T検定)が観察された。*、p<0.05、**、P<0.005。
図4A-F】図4A図4Fを含み、ReCD4-IgのIgE-TPST2媒介性硫酸化の機能的特徴付けを示す。図4Aは、p-ReCD4-Ig単独またはp-ReCD4-Ig+p-IgE-TPST2を注射した一時的に枯渇したbalb/cマウスにおける末端出血時のReCD4-Igの血清濃度(7d.p.i)を示す。図4Bは、ReCD4-Igの25710偽型ウイルス対血清濃度の中和を示す実験結果を示す。エラーバーは、標準偏差を表す。図4Cは、HIV偽型ウイルスに対する硫酸化を伴う、または伴わないReCD4-IgIC50の比較を示す。図4Dは、IgE-TPST2処置を伴う、または伴わないマウスの血清中のReCD4-IgのIC50値(平均±標準偏差)を示す。比較のために、パネル全体のIC50の幾何平均(MLVを除く)も示されている。図4Eおよび図4Fは、エクスビボ中和アッセイにおける硫酸化を伴う、または伴わないReCD4-IgのIC50値を示す。各ドットは、単一のマウスから計算されたIC50値を表し、各ウイルスのp値は、複数の比較のためのHolm調整を伴う対T検定で計算される。0.05未満のp値は有意であるとみなされる。図4Eは、硫酸化ReCD4-Igが有意に強化された効力を有するウイルスのIC50値を示す。図4Fは、硫酸化ReCD4-Igの効力が有意に高くないIC50値を示す。
図5A-D】図5A図5Dを含み、ヒト胎児胸腺インプラントの移植および一連のDNAコードサイトカインの投与を介してヒト免疫系で再構成されたNSG SCIDマウスの代替モデルにおけるイムノアドヘシンの発現の実験結果を示す図である。図5Aは、様々な時点からの血清を使用したJR-FL GP120へのELISA結合によって実証されるように、320μgのDNAコードReCD4-Igと0.32μgのp-IgE-TPST2を受けたこれらのヒト化マウスにおけるReCD4-Igのインビボ発現を示す。図5Bは、注射後35日間にわたる各個々のマウスにおけるReCD4-Igの血清濃度を示し(d.p.i)、ピーク発現は14d.p.iで観察され、各線は個々のマウスを表す。図5Cは、DNA処理前(青色)およびDNA処理後(赤色)のマウス血清によるTier 1 SF162偽ウイルスのエクスビボ中和を示す。図5Dは、IC50中和力価に関して、マウスのD7血清によるTier 1ウイルスSF162、ならびにTier 2ウイルスTHROおよびJR-FLの中和を示し、各マウスは、個々のマウスを表し、力価の平均および標準偏差も示されている。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、インビボで直接産生するための標的タンパク質の翻訳後修飾(PTM)用の酵素をコードするための核酸配列の使用に部分的に基づく。一実施形態では、本発明は、対象において合成タンパク質を翻訳後修飾するための組成物および方法に関する。一態様では、本発明は、合成タンパク質をコードする第1の組換え核酸配列と、修飾タンパク質をコードする第2の組換え核酸配列とを含む組成物を提供する。
【0019】
組成物は、合成タンパク質のインビボ発現、形成、および翻訳後修飾を容易にするために、それを必要とする対象に投与され得る。
【0020】
特に、組換え核酸配列からの合成タンパク質および修飾タンパク質が発現され、修飾タンパク質は、合成タンパク質を翻訳後修飾する。翻訳後修飾合成タンパク質は、本明細書に記載されるように発現および修飾されていないタンパク質と比較して増加した生物学的活性を有する。
【0021】
一実施形態では、修飾タンパク質は、合成タンパク質上の翻訳後修飾(PTM)を触媒し、PTMは、硫酸化、アセチル化、シアリル化およびフコシル化/脱フコシル化を含むN結合グリコシル化、ミリストイル化、パルミトイル化、SUMO化、ヒドロキシル化、メチル化、O結合グリコシル化、ユビキチル化、酸化、アミド化、ならびにパルミトイル化からなる群から選択される翻訳後修飾からなる群から選択される。PTMの例としては、表1が挙げられるが、これらに限定されない。
【0022】
【表1】
【0023】
一態様では、本発明は、操作された合成タンパク質(例えば、合成核酸プラスミドの形態の合成タンパク質および修飾タンパク質)を投与することによって疾患または障害を治療するために使用することができる組成物に関する。
【0024】
一態様では、本発明は、合成eCD4-Igをコードする第1の組換え核酸配列、および合成チロシルタンパク質スルホトランスフェラーゼ(TPST)をコードする第2の組換え核酸配列を含む組成物に関する。一実施形態では、TPSTは、TPST1またはTPST2である。一実施形態では、TPSTは、TPST2である。一実施形態において、TPSTは、IgEリーダーを含む。組成物は、eCD4-Igのインビボ発現、形成および硫酸化を容易にするために、それを必要とする対象に投与され得る。
【0025】
一実施形態では、合成eCD4-Igをコードする第1の組換え核酸配列は、配列番号1もしくは3、またはその断片に少なくとも90%相同な配列をコードする。一実施形態では、第1の組換え核酸配列は、配列番号2もしくは4、またはその断片に少なくとも90%相同な配列を含む。
【0026】
一実施形態では、TPST2をコードする第2の組換え核酸配列は、配列番号5もしくは7、またはその断片に少なくとも90%相同な配列をコードする。一実施形態では、第2の組換え核酸配列は、配列番号6もしくは8、またはその断片に少なくとも90%相同な配列を含む。
【0027】
一実施形態では、第2の組換え核酸配列は、配列番号5もしくは7、またはその断片に少なくとも90%相同なポリペプチド配列をコードする配列を含む。一実施形態では、第2の組換え核酸配列は、本明細書に記載されるDNA配列から転写されるRNA配列を含む。例えば、一実施形態では、第2の組換え核酸配列は、配列番号5もしくは7、またはその断片に少なくとも90%相同なポリペプチド配列をコードするDNA配列によって転写されるRNA配列を含む。
【0028】
一実施形態では、第2の組換え核酸配列は、配列番号5または7に少なくとも90%相同なアミノ酸配列をコードする。一実施形態では、第2の組換え核酸配列は、配列番号5または7に少なくとも90%相同なアミノ酸配列の断片をコードする。一実施形態では、第2の組換え核酸配列は、配列番号6もしくは8、またはその断片に少なくとも90%相同な配列を含む。
【0029】
本明細書に提供される組成物はまた、薬学的に許容される賦形剤を含み得る。
【0030】
本発明の態様はまた、本明細書で提供される組成物のいずれかを対象に投与することによって、疾患、障害または感染症を治療することを必要とする対象においてそれらを行う方法を含む。一実施形態では、感染症は、HIV感染症である。免疫応答を増加させる方法はまた、エレクトロポレーションステップを含むことができる。
【0031】
1.定義
別段に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術および科学用語は、当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。矛盾する場合、定義を含む本明細書が優先するであろう。本発明の実施または試験において本明細書に記載されるものと類似または同等の方法および材料を使用することができるが、例示的な方法および材料が本明細書に記載される。本明細書で言及される全ての刊行物、特許出願、特許、および他の参考文献は、それらの全体において参照により組み込まれる。本明細書に開示される材料、方法、および例は、例示的のみであり、限定的であることを意図しない。
【0032】
「含む(comprise(s))」、「含む(include(s))」、「有すること」、「有する」、「できる」、「含有する」という用語およびそれらの変形は、本明細書で使用される場合、追加の行為または構造の可能性を妨げない、オープンエンドな移行句、用語、または語であることを意図する。「a」、「an」、および「the」という単数形は、文脈が別段に明示しない限り、複数の参照物を含む。本開示はまた、明示的に記載されるか否かにかかわらず、本明細書で提示される実施形態または要素「を含む」、「からなる」、および「から本質的になる」他の実施形態を企図する。
【0033】
「抗体」とは、クラスIgG、IgM、IgA、IgD、もしくはIgEの抗体、または断片、Fab、F(ab’)2、Fdを含む、その断片もしくは誘導体、ならびに一本鎖抗体、およびそれらの誘導体を意味し得る。抗体は、哺乳動物の血清試料から単離された抗体、ポリクローナル抗体、親和性精製抗体、またはそれらの混合物であり得、これは、所望のエピトープまたはそれに由来する配列に対する十分な結合特異性を示す。
【0034】
「抗原」とは、宿主において免疫応答を生成する能力を有するタンパク質を指す。抗原は、抗体によって認識され、結合され得る。抗原は、体内から、または外部環境が起源であり得る。
【0035】
「CDR」は、免疫グロブリン重鎖および軽鎖の超可変領域である抗体の相補性決定領域アミノ酸配列として定義される。例えば、Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,4th Ed.,U.S.Department of Health and Human Services,National Institutes of Health(1987)を参照されたい。免疫グロブリンの可変部分に3つの重鎖および3つの軽鎖CDR(またはCDR領域)がある。したがって、本明細書で使用される「CDR」は、3つ全ての重鎖CDR、または3つ全ての軽鎖CDR(または適切な場合、全ての重鎖CDRおよび全ての軽鎖CDRの両方)を指す。抗体の構造およびタンパク質折り畳みは、他の残基が抗原結合領域の一部と見なされ、当業者によってそうであると理解されることを意味し得る。例えば、Chothia et al.,(1989)Conformations of immunoglobulin hypervariable regions;Nature 342,p877-883を参照されたい。
【0036】
本明細書で互換的に使用される「抗体断片」または「抗体の断片」とは、抗原結合部位または可変領域を含む無傷の抗体の一部分を指す。部分は、無傷の抗体のFc領域の定常重鎖ドメイン(すなわち、抗体アイソタイプに応じて、CH2、CH3、またはCH4)を含まない。抗体断片の例は、これらに限定されないが、Fab断片、Fab’断片、Fab’-SH断片、F(ab’)2断片、Fd断片、Fv断片、ダイアボディ、一本鎖Fv(scFv)分子、1つの軽鎖可変ドメインのみを含む一本鎖ポリペプチド、軽鎖可変ドメインの3つのCDRを含む一本鎖ポリペプチド、1つの重鎖可変領域のみを含む一本鎖ポリペプチド、および重鎖可変領域の3つのCDRを含む一本鎖ポリペプチドを含む。
【0037】
本明細書で使用される「アジュバント」とは、抗原の免疫原性を増強するために本明細書に記載のワクチンに添加される任意の分子を意味する。
【0038】
本明細書で使用される「コード配列」または「コード核酸」とは、本明細書に示されるように、抗体をコードするヌクレオチド配列を含む核酸(RNAまたはDNA分子)を指し得る。コード配列はまた、RNA配列をコードするDNA配列を含み得る。コード配列は、プロモーターを含む制御エレメントに作動可能に連結した開始および終結シグナル、ならびに核酸を投与される個体または哺乳動物の細胞における発現を誘導することができるポリアデニル化シグナルをさらに含み得る。コード配列は、シグナルペプチドをコードする配列をさらに含み得る。
【0039】
本明細書で使用される「補体」または「相補的」とは、核酸が核酸分子のヌクレオチドまたはヌクレオチド類似体間のワトソン-クリック(例えば、A-T/UおよびC-G)またはフーグスティーン塩基対合を有し得ることを意味し得る。
【0040】
本明細書で使用される「コンセンサス」または「コンセンサス配列」は、特定の抗原の複数のサブタイプの複数の配列のアラインメントの分析に基づくポリペプチド配列を意味する。コンセンサスポリペプチド配列をコードする核酸配列を調製することができる。コンセンサス配列および/またはそのようなタンパク質をコードする核酸分子を含むタンパク質を含むワクチンまたは免疫学的組成物は、特定の抗原の複数のサブタイプまたは血清型に対して広範な免疫性を誘導するために使用され得る。
【0041】
本明細書で使用される「定電流」とは、組織、または当該組織を画定する細胞が、電気パルスが同組織に送達される期間にわたって受けるか、または経験する電流を定義する。電気パルスは、本明細書に記載されるエレクトロポレーションデバイスから送達される。本明細書で提供されるエレクトロポレーションデバイスは、好ましくは、即時フィードバックを有する、フィードバックエレメントを有するので、この電流は、電気パルスの寿命にわたって当該組織において定アンペア数に留まる。フィードバックエレメントは、パルスの持続期間を通して組織(または細胞)の抵抗を測定し、エレクトロポレーションデバイスにその電気エネルギー出力を変更させる(例えば、電圧を増加させる)ことができ、したがって同じ組織における電流は、電気パルス(マイクロ秒台)を通して、およびパルス間で一定のままである。いくつかの実施形態では、フィードバックエレメントは、コントローラを含む。
【0042】
本明細書で使用される「電流フィードバック」または「フィードバック」とは、互換的に使用され得、提供されたエレクトロポレーションデバイスの活性応答を意味し得、これは、電流を一定のレベルで維持するために、電極間の組織における電流を測定し、適宜にEPデバイスによって送達されるエネルギー出力を変更することを含む。この一定のレベルは、パルス配列または電気処理の開始前にユーザによって予め設定される。その中の電気回路が、電極間の組織における電流を連続的に監視し、その監視された電流(または組織内の電流)を予め設定された電流と比較し、エネルギー出力調節を連続的に行って、監視される電流を予め設定されたレベルに維持することができるように、フィードバックは、エレクトロポレーションデバイスのエレクトロポレーションコンポーネント、例えば、コントローラによって達成され得る。フィードバックループは、アナログ閉ループフィードバックであるので、即時であり得る。
【0043】
本明細書で使用される「分散電流」とは、本明細書に記載されるエレクトロポレーションデバイスの様々な針電極アレイから送達される電流のパターンを意味し得、パターンは、エレクトロポレートされる組織の任意の領域上でのエレクトロポレーション関連熱ストレスの発生を最小化するか、または好ましくは排除する。
【0044】
本明細書で互換的に使用される「エレクトロポレーション」、「電気透過化」、または「電気運動向上」(「EP」)とは、生体膜において微視的経路(細孔)を誘導するための膜貫通電場パルスの使用を指し得、それらの存在は、プラスミド、オリゴヌクレオチド、siRNA、薬物、イオン、および水などの生体分子が細胞膜の一方の側から他方へと通過することを可能にする。
【0045】
本明細書で使用される「内因性抗体」とは、体液性免疫応答の誘導のために有効用量の抗原が投与される対象において生み出された抗体を指し得る。
【0046】
本明細書で使用される「フィードバックメカニズム」とは、ソフトウェアまたはハードウェア(もしくはファームウェア)のいずれかによって行われるプロセスを指し得、そのプロセスは、(エネルギーのパルスの送達の前、その間、および/またはその後)所望の組織のインピーダンスを受け、現在値、好ましくは電流と比較し、予め設定された値を達成するために送達されるエネルギーのパルスを調節する。フィードバックメカニズムは、アナログ閉ループ回路によって行われ得る。
【0047】
本明細書で使用される「断片」または「免疫原性断片」は、核酸配列またはアミノ酸配列を意味する。一実施形態では、断片は、抗体または抗原などのタンパク質の断片をコードする核酸配列である。断片は、その生物学的活性を保持するタンパク質、抗体、または抗原の断片であってもよい。「断片」または「免疫原性断片」はまた、核酸分子の断片を意味し得る。断片は、タンパク質断片をコードする様々なヌクレオチド配列のDNA断片であってもよい。断片は、以下に記載されるタンパク質断片をコードする様々なヌクレオチド配列のうちの少なくとも1つと相同性を有するDNA配列のDNA断片であってもよい。タンパク質または核酸の断片は、N末端および/またはC末端から少なくとも1つのアミノ酸/核酸が欠損している場合を除いて、完全長と100%同一であってもよく、各場合において、1位にシグナルペプチドおよび/またはメチオニンが存在するかまたは存在しない。断片は、追加される任意の異種シグナルペプチドを除く、特定の完全長タンパク質または核酸の長さの20%以上、25%以上、30%以上、35%以上、40%以上、45%以上、50%以上、55%以上、60%以上、65%以上、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上のパーセントを含み得る。断片は、タンパク質または核酸と95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、または99%以上同一であるポリペプチドの断片を含み得、さらに、同一性パーセントを計算するときに含まれないN末端メチオニンまたは異種シグナルペプチドを含み得る。断片は、N末端メチオニンおよび/または免疫グロブリンシグナルペプチド、例えば、IgEもしくはIgGシグナルペプチドなどのシグナルペプチドをさらに含み得る。N末端メチオニンおよび/またはシグナルペプチドは、抗体の断片に連結され得る。
【0048】
核酸配列の断片は、5’末端および/または3’末端から少なくとも1つのヌクレオチドを欠損していることを除いて、完全長と100%同一であってもよい。核酸配列がタンパク質をコードする場合、核酸配列の断片は、各場合において、1位にシグナルペプチドおよび/またはメチオニンをコードする配列が存在してもよく、または存在しなくてもよい。断片は、追加される任意の異種シグナルペプチドを除く、特定の完全長コード配列の長さの20%以上、25%以上、30%以上、35%以上、40%以上、45%以上、50%以上、55%以上、60%以上、65%以上、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上のパーセントを含み得る。断片は、抗体と95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、または99%以上同一であるポリペプチドをコードする断片を含み得、さらに、任意に、同一性パーセントを計算するときに含まれないN末端メチオニンまたは異種シグナルペプチドをコードする配列を含み得る。断片は、N末端メチオニンおよび/または免疫グロブリンシグナルペプチド、例えば、IgEもしくはIgGシグナルペプチドなどのシグナルペプチドのコード配列をさらに含み得る。N末端メチオニンおよび/またはシグナルペプチドをコードするコード配列は、コード配列の断片に連結され得る。
【0049】
本明細書で使用される「遺伝子コンストラクト」は、抗体などのタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含むDNAまたはRNA分子を指す。遺伝子コンストラクトはまた、RNAを転写するDNA分子を指し得る。コード配列は、核酸分子が投与される個体の細胞における発現を指示することができるプロモーターおよびポリアデニル化シグナルを含む調節エレメントに作動可能に連結された開始および終結シグナルを含む。本明細書で使用される場合、「発現可能な形態」という用語は、個体の細胞に存在する場合、コード配列が発現されるように、タンパク質をコードするコード配列に作動可能に連結した必要な制御エレメントを含む遺伝子コンストラクトを指す。
【0050】
本明細書で使用される「相同性」という用語は、ある程度の相補性を指す。部分的相同性または完全相同性(すなわち同一性)が存在し得る。標的核酸にハイブリダイゼーションする完全相補配列を少なくとも部分的に阻害する部分相補配列は、機能的用語「実質的に相同な」を使用して言及される。cDNAまたはゲノムクローンなどの二本鎖核酸配列に関して使用される場合、本明細書で使用される「実質的に相同な」という用語は、低ストリンジェンシーの条件下で二本鎖核酸配列の鎖にハイブリダイズすることができるプローブを指す。一本鎖核酸配列に関して使用される場合、本明細書で使用される「実質的に相同な」という用語は、低ストリンジェンシーの条件下で一本鎖核酸テンプレート配列にハイブリダイズすることができる(すなわちその相補体である)プローブを指す。
【0051】
2つ以上の核酸またはポリペプチド配列の文脈において本明細書で使用される「同一」または「同一性」は、配列が特定された領域にわたって同じである残基の特定されたパーセントを有することを意味し得る。パーセンテージは、2つの配列を最適に整列させ、指定された領域で2つの配列を比較し、両方の配列で同一の残基が発生する位置の数を決定して、一致する位置の数を算出し、一致する位置の数を指定された領域内の位置の総数で割り、結果に100を掛けて、配列同一性のパーセンテージを得ることによって計算できる。2つの配列の長さが異なる場合、またはアラインメントによって1つ以上の千鳥末端が産生され、指定された比較領域に単一の配列のみが含まれる場合、単一の配列の残基は分母に含まれるが、計算の分子には含まれない。DNAとRNAを比較する場合、チミン(T)とウラシル(U)は同等とみなされる場合がある。同一性は、手動で実行することも、BLASTまたはBLAST2.0などのコンピュータ配列アルゴリズムを使用して実施することもできる。
【0052】
本明細書で使用される「インピーダンス」とは、フィードバックメカニズムを議論する場合に使用され得、オームの法則に従って電流値に変換することができ、したがって、予め設定された電流との比較を可能にする。
【0053】
本明細書で使用される「免疫応答」は、1つ以上の核酸および/またはペプチドの導入に応答した、宿主の免疫系、例えば、哺乳動物の免疫系の活性化を意味し得る。免疫応答は、細胞性もしくは体液性応答、または両方の形態であり得る。
【0054】
本明細書で使用される「核酸」または「オリゴヌクレオチド」または「ポリヌクレオチド」は、一緒に共有結合した少なくとも2つのヌクレオチドを意味し得る。一本鎖の描写はまた、相補鎖の配列を定義する。したがって、核酸はまた、描写された一本鎖の相補鎖も包含する。核酸の多くのバリアントは、所与の核酸と同じ目的で使用することができる。したがって、核酸はまた、実質的に同一の核酸およびその相補体を包含する。一本鎖は、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で標的配列にハイブリダイズし得るプローブを提供する。したがって、核酸はまた、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズするプローブを包含する。
【0055】
核酸は、一本鎖もしくは二本鎖であり得るか、または二本鎖と一本鎖配列の両方の部分を含み得る。核酸は、DNA、ゲノムおよびcDNAの両方、RNA、またはハイブリッドであり得、核酸は、デオキシリボ-およびリボ-ヌクレオチドの組み合わせ、ならびにウラシル、アデニン、チミン、シトシン、グアニン、イノシン、キサンチン、ヒポキサンチン、イソシトシン、およびイソグアニンを含む塩基の組み合わせを含み得る。核酸は、化学合成方法によって、または組換え方法によって得られ得る。
【0056】
本明細書で使用される「作動可能に連結」とは、遺伝子の発現が、これによって空間的に接続される、プロモーターの制御下にあることを意味し得る。プロモーターは、その制御下で遺伝子の5’(上流)または3’(下流)に配置され得る。プロモーターと遺伝子との間の距離は、プロモーターが由来する遺伝子においてそれが制御するプロモーターと遺伝子との間の距離とおよそ同じであり得る。当該技術分野で知られているように、この距離における変動は、プロモーター機能の喪失なしに順応され得る。
【0057】
本明細書で使用される「ペプチド」、「タンパク質」、または「ポリペプチド」は、アミノ酸の連結配列を意味することができ、天然、合成、または天然および合成の修飾もしくは組み合わせであり得る。
【0058】
本明細書で使用される「プロモーター」は、細胞における核酸の発現を与え、活性化し、または向上させることができる合成または天然由来分子を意味し得る。プロモーターは、その発現をさらに向上させるため、ならびに/または空間的発現および/もしくは時間的発現を変更するために、1つ以上の特異的転写制御配列を含み得る。プロモーターはまた、転写の開始部位から数千塩基対ほどに配置することができる、遠位エンハンサーまたはリプレッサーエレメントを含み得る。プロモーターは、ウイルス、細菌、真菌、植物、昆虫、および動物を含む源に由来し得る。プロモーターは、細胞、発現が起こる組織もしくは器官に対して、または発現が起こる発生段階に対して、または生理学的ストレス、病原体、金属イオン、もしくは誘導剤などの外部刺激に応答して、構成的にまたは差別的に遺伝子構成要素の発現を制御し得る。プロモーターの代表的な例には、バクテリオファージT7プロモーター、バクテリオファージT3プロモーター、SP6プロモーター、lacオペレータ-プロモーター、tacプロモーター、SV40後期プロモーター、SV40初期プロモーター、RSV-LTRプロモーター、CMV IEプロモーター、SV40初期プロモーターまたはSV40後期プロモーター、およびCMV IEプロモーターが挙げられる。
【0059】
「シグナルペプチド」および「リーダー配列」は、本明細書で互換的に使用され、本明細書に記載されるタンパク質のアミノ末端で連結することができるアミノ酸配列を指す。シグナルペプチド/リーダー配列は、典型的には、タンパク質の局在化を誘導する。本明細書で使用されるシグナルペプチド/リーダー配列は、それが産生される細胞からのタンパク質の分泌を容易にし得る。シグナルペプチド/リーダー配列は、多くの場合、タンパク質の残部から開裂され、多くの場合、細胞からの分泌後、成熟タンパク質と称される。シグナルペプチド/リーダー配列は、タンパク質のN末端で連結される。
【0060】
本明細書で使用される「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」とは、第1の核酸配列(例えば、プローブ)が第2の核酸配列(例えば、標的)に、核酸の複合体混合物のようにハイブリダイズするであろう平均条件を意味し得る。ストリンジェントな条件は、配列依存的であり、異なる状況では異なるであろう。ストリンジェントな条件は、定義されたイオン強度pHでの特定の配列についての熱融解点(T)よりも約5~10℃低くなるように選択され得る。Tは、標的に相補的なプローブの50%が平衡状態で標的配列にハイブリダイズする温度(定義されたイオン強度、pH、および核酸濃度下)であり得る(標的配列が過剰に存在するので、Tでは、プローブの50%は平衡状態で占有される)。ストリンジェントな条件は、塩濃度が、pH7.0~8.3で約0.01~1.0Mナトリウムイオン濃度(または他の塩)などの、約1.0Mナトリウムイオン未満であり、温度が、短いプローブ(例えば、約10~50ヌクレオチド)について少なくとも約30℃および長いプローブ(例えば、約50ヌクレオチド超)について少なくとも約60℃であるものであり得る。ストリンジェントな条件はまた、ホルムアミドなどの不安定化剤の添加で達成され得る。選択的または特異的ハイブリダイゼーションについて、正のシグナルは、バックグラウンドハイブリダイゼーションの少なくとも2~10倍であり得る。例示的なストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、以下を含む:50%ホルムアミド、5×SSC、および1%SDS、42℃でインキュベート、または5×SSC、1%SDS、65℃でインキュベート、0.2×SSCおよび0.1%SDS中で65℃で洗浄。
【0061】
本明細書で使用される「対象」および「患者」は、これらに限定されないが、哺乳動物(例えば、ウシ、ブタ、ラクダ、ラマ、ウマ、ヤギ、ウサギ、ヒツジ、ハムスター、モルモット、ネコ、イヌ、ラット、およびマウス、非ヒト霊長類(例えば、カニクイザルまたはアカゲザルなどのサル、チンパンジーなど)、ならびにヒト)を含む、任意の脊椎動物を互換的に指す。いくつかの実施形態では、対象は、ヒトまたは非ヒトであり得る。対象または患者は、他の形態の治療を受けていてもよい。
【0062】
本明細書で使用される「実質的に相補的」とは、第1の配列が、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、またはそれ以上のヌクレオチドもしくはアミノ酸の領域にわたって、第2の配列の補体に少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%同一であること、または2つの配列がストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズすることを意味し得る。
【0063】
本明細書で使用される「実質的に同一」とは、第1の配列が、第2の配列の補体に実質的に相補的である場合、第1および第2の配列が、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1100、またはそれ以上のヌクレオチドもしくはアミノ酸の領域にわたって、または核酸に対して、少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であることを意味し得る。
【0064】
本明細書で使用される「合成抗体」は、本明細書に記載される組換え核酸配列によってコードされ、かつ対象において生成される抗体を指す。
【0065】
本明細書で使用される「合成生物学的」は、本明細書に記載される組換え核酸配列によってコードされ、かつ対象において生成されるタンパク質、または対象に投与される組換え核酸配列を指す。
【0066】
本明細書で使用される「治療」または「治療すること」は、疾患を予防、抑制、抑圧、または完全に排除する手段を通した疾患からの対象の保護を意味し得る。疾患を予防することは、本発明のワクチンを、疾患の発症前に対象に投与することを含む。疾患を抑制することは、本発明のワクチンを、疾患の誘導後であるがその臨床的出現前に対象に投与することを含む。疾患を抑圧することは、本発明のワクチンを、疾患の臨床的出現後に対象に投与することを含む。
【0067】
核酸に関して本明細書で使用される「バリアント」は、(i)参照されたヌクレオチド配列の部分もしくは断片、(ii)参照されたヌクレオチド配列もしくはその部分の補体、(iii)参照された核酸もしくはその補体に実質的に同一である核酸、または(iv)参照された核酸、その補体、もしくはそれに実質的に同一である配列にストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸を意味し得る。
【0068】
ペプチドまたはポリペプチドに対する「バリアント」は、ペプチドまたはポリペプチドが、アミノ酸の挿入、欠失、または保存的置換によってアミノ酸配列において異なるが、少なくとも1つの生物学的活性を保持することを示し得る。バリアントはまた、少なくとも1つの生物学的活性を保持するアミノ酸配列を有する参照されたタンパク質と実質的に同一であるアミノ酸配列を有するタンパク質を意味し得る。アミノ酸の保存的置換、すなわち、アミノ酸を類似の特性(例えば、親水性、荷電領域の程度および分布)の異なるアミノ酸で置き換えることは、典型的には小さな変更を含むものとして当該技術分野で認識される。これらの小さな変更は、当該技術分野で理解されるように、部分的に、アミノ酸のハイドロパシーインデックスを考慮することによって特定することができる。Kyte et al.,J.Mol.Biol.157:105-132(1982)。アミノ酸のハイドロパシーインデックスは、その疎水性および電荷の考慮に基づく。類似のハイドロパシーインデックスのアミノ酸は、置換され、依然としてタンパク質機能を保持し得ることが当該技術分野で知られている。一態様では、±2のハイドロパシーインデックスを有するアミノ酸が置換される。アミノ酸の親水性はまた、生物学的機能を保持するタンパク質をもたらすであろう置換を明らかにするために使用することができる。ペプチドの文脈におけるアミノ酸の親水性の考慮は、そのペプチドの最も大きな局所平均親水性、抗原性および免疫原性と十分に相関することが報告されている有用な尺度の計算を可能にする。米国特許第4,554,101号は、参照によって本明細書に完全に組み込まれる。類似の親水性値を有するアミノ酸の置換は、当該技術分野で理解されるように、生物学的活性、例えば、免疫原性を保持するペプチドをもたらすことができる。置換は、互いに±2以内の親水性値を有するアミノ酸で行われ得る。アミノ酸の疎水性インデックスおよび親水性値の両方は、そのアミノ酸の特定の側鎖によって影響される。その観察と一貫して、生物学的機能と適合性であるアミノ酸置換は、疎水性、親水性、電荷、サイズ、および他の特性によって明らかになるように、アミノ酸、および特にそれらのアミノ酸の側鎖の相対類似性に依存することが理解される。
【0069】
バリアントは、完全遺伝子配列またはその断片の完全長にわたって実質的に同一である核酸配列であり得る。核酸配列は、遺伝子配列またはその断片の完全長にわたって80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であり得る。バリアントは、アミノ酸配列またはその断片の完全長にわたって実質的に同一であるアミノ酸配列であり得る。アミノ酸配列は、アミノ酸配列またはその断片の完全長にわたって80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であり得る。
【0070】
本明細書で使用される「ベクター」は、複製起点を含む核酸配列を意味し得る。ベクターは、プラスミド、バクテリオファージ、細菌人工染色体、または酵母人工染色体であり得る。ベクターは、DNAまたはRNAベクターであり得る。ベクターは、自己複製染色体外ベクターまたは宿主ゲノムに統合するベクターのいずれかであり得る。
【0071】
本明細書における数値範囲の列挙について、同じ精度でその間に介在する各数が明示的に企図される。例えば、6~9の範囲について、6および9に加えて数7および8が企図され、6.0~7.0の範囲について、数6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、および7.0が明示的に企図される。これは、範囲の幅に関係なく適用される。
【0072】
2.組成物
一態様では、本発明は、対象において生物製剤を生成し、対象において生物製剤を翻訳後修飾するための組成物を提供する。一実施形態では、組成物は、第1の核酸配列および第2の核酸配列を含む。
【0073】
一実施形態では、第1の核酸は、生物製剤をコードする。一実施形態では、第1の核酸配列は、タンパク質をコードする。一実施形態では、第1の核酸配列は、合成抗原、合成抗体、または合成タンパク質をコードする。一実施形態では、第1の核酸配列は、イムノアドヘシンをコードする。
【0074】
一実施形態では、第2の核酸は、修飾タンパク質をコードする。一実施形態では、修飾タンパク質は、第1の核酸配列によってコードされたタンパク質を翻訳後修飾する。一実施形態では、修飾タンパク質は、第1の核酸配列を修飾する。
【0075】
一態様では、本発明は、合成eCD4-Igをコードする第1の組換え核酸配列と、合成チロシルタンパク質スルホトランスフェラーゼ(TPST)をコードする第2の組換え核酸配列とを含む組成物に関する。一実施形態では、TPSTは、TPST1またはTPST2である。一実施形態では、TPSTは、TPST2である。一実施形態では、TPSTは、IgEリーダーを含む。組成物は、eCD4-Igのインビボ発現、形成および硫酸化を容易にするために、それを必要とする対象に投与され得る。
【0076】
一実施形態では、合成eCD4-Igをコードする第1の組換え核酸配列は、配列番号1もしくは3、またはその断片に少なくとも90%相同な配列をコードする。一実施形態では、第1の組換え核酸配列は、配列番号2もしくは4、またはその断片に少なくとも90%相同な配列を含む。
【0077】
一実施形態では、第1の組換え核酸配列は、配列番号1もしくは3、またはその断片に少なくとも90%相同なポリペプチド配列をコードする配列を含む。一実施形態では、第1の組換え核酸配列は、本明細書に記載されるDNA配列から転写されるRNA配列を含む。例えば、一実施形態では、第1の組換え核酸配列は、配列番号1もしくは3、またはその断片に少なくとも90%相同なポリペプチド配列をコードするDNA配列によって転写されるRNA配列を含む。
【0078】
一実施形態では、第2の組換え核酸配列は、配列番号1または3に少なくとも90%相同なアミノ酸配列をコードする。一実施形態では、第2の組換え核酸配列は、配列番号1または3に少なくとも90%相同なアミノ酸配列の断片をコードする。一実施形態では、第2の組換え核酸配列は、配列番号2または4に少なくとも90%相同な配列を含む。
【0079】
一実施形態では、TPST2をコードする第2の組換え核酸配列は、配列番号5もしくは7、またはその断片に少なくとも90%相同な配列をコードする。一実施形態では、第2の組換え核酸配列は、配列番号6もしくは8、またはその断片に少なくとも90%相同な配列を含む。
【0080】
一実施形態では、第2の組換え核酸配列は、配列番号5もしくは7、またはその断片に少なくとも90%相同なポリペプチド配列をコードする配列を含む。一実施形態では、第2の組換え核酸配列は、本明細書に記載されるDNA配列から転写されるRNA配列を含む。例えば、一実施形態では、第2の組換え核酸配列は、配列番号5もしくは7、またはその断片に少なくとも90%相同なポリペプチド配列をコードするDNA配列によって転写されるRNA配列を含む。
【0081】
一実施形態では、第2の組換え核酸配列は、配列番号5または7に少なくとも90%相同なアミノ酸配列をコードする。一実施形態では、第2の組換え核酸配列は、配列番号5または7に少なくとも90%相同なアミノ酸配列の断片をコードする。一実施形態では、第2の組換え核酸配列は、配列番号6また8に少なくとも90%相同な配列を含む。
【0082】
本明細書に提供される組成物はまた、薬学的に許容される賦形剤を含み得る。
【0083】
3.修飾タンパク質
対象のタンパク質または核酸を翻訳後修飾することができるタンパク質が本明細書に提供される。例えば、一実施形態では、本明細書に記載される修飾タンパク質は、生物学的活性に必要とされるタンパク質を翻訳後修飾するために使用され得る。一実施形態では、本明細書に記載の修飾タンパク質は、タンパク質を翻訳後修飾することができ、修飾は、硫酸化、アセチル化、シアリル化およびフコシル化/脱フコシル化を含むN結合グリコシル化、ミリストイル化、パルミトイル化、SUMO化、アミド化、ヒドロキシル化、メチル化、O結合グリコシル化、ユビキチル化、ピロリドンカルボン酸、脱アミノ化、異性化、酸化、パルミトイル化、および環化を含むが、これらに限定されない(表1)。
【0084】
例示的な硫酸化酵素には、チロシルタンパク質スルホトランスフェラーゼ(TPST)が含まれる。例示的なアセチル化酵素には、NatA、NatB、NatC、NatD、NatE、NatF、アセチル-コエンザイムA、ヒストンアセチルトランスフェラーゼ、およびヒストンデアセチラーゼが含まれるが、これらに限定されない。例示的な脱アミド酵素には、O-アシルトランスフェラーゼが含まれるが、これらに限定されない。例示的なミリストイル化酵素には、N-ミリストイルトランスフェラーゼ(NMT)が含まれるが、これらに限定されない。例示的なユビキチル化酵素には、ユビキチン活性化酵素、ユビキチン共役酵素、およびユビキチンリガーゼが含まれるが、これらに限定されない。例示的なSUMO化酵素には、SUMO-1、SUMO-2、SUMO-3、およびSUMO-4が含まれるが、これらに限定されない。例示的なメチル化酵素には、カテコール-O-メチルトランスフェラーゼ、DNAメチルトランスフェラーゼ、ヒストンメチルトランスフェラーゼ、5-メチルテトラヒドロ葉酸ホモシステインメチルトランスフェラーゼ、O-メチルトランスフェラーゼ、メチオニンシンターゼ、およびコリノイド-鉄硫黄タンパク質が含まれるが、これらに限定されない。例示的なヒドロキシル化酵素には、プロリル4-ヒドロキシラーゼ、プロリル3-ヒドロキシラーゼ、およびリシル5-ヒドロキシラーゼが含まれるが、これらに限定されない。リン酸化酵素には、MAPキナーゼ、AGCキナーゼ、CaMキナーゼ、CK1、CDK、GSK3 CLK、STE、チロキシンキナーゼ、およびTKLなどのキナーゼが含まれる。例示的なN-グリコシル化エクシムには、Fut8、GMDS、GNT-III B4Galt1、SLC35A2、ST6Gal1、およびMGAT3が含まれるが、これらに限定されない。
【0085】
一実施形態では、修飾タンパク質は、細胞の分泌区画に移動するように修飾され得る。一実施形態では、修飾タンパク質は、インビボで修飾される標的生物学的タンパク質または核酸と局在化するように修飾されてもよい。いくつかの実施形態では、修飾タンパク質は、免疫グロブリンタンパク質、例えば、IgEシグナルペプチドまたはIgGシグナルペプチドなどの異なるタンパク質からのシグナルペプチドを含み得る。一実施形態では、IgEシグナルペプチドは、配列MDWTWILFLVAAATRVHS(配列番号11)を含む。
【0086】
一実施形態では、修飾タンパク質は、ミトコンドリアに移動するように修飾され得る。一実施形態において、修飾タンパク質は、両親媒性螺旋を形成する10~70個のアミノ酸を含むN末端ペプチドを含み得る。一実施形態では、修飾タンパク質は、N末端ペプチドジロイシンモチーフ(DXXLL(配列番号12))を含み得る。一実施形態では、修飾タンパク質は、N末端ペプチドチロシンベースのモチーフ(YXXО(配列番号13))を含んでもよい。
【0087】
一実施形態では、修飾タンパク質は、リソソームに移動するように修飾され得る。一実施形態では、修飾タンパク質は、膜貫通タンパク質の細胞質尾部を含み得る。一実施形態では、修飾タンパク質は、N末端上の膜貫通タンパク質の細胞質尾部を含んでもよい。一実施形態では、修飾タンパク質は、C末端上の膜貫通タンパク質の細胞質尾部を含んでもよい。
【0088】
一実施形態では、修飾タンパク質は、核に移動するように修飾され得る。一実施形態では、修飾タンパク質は、5個の塩基性正荷電アミノ酸を含んでもよい。一実施形態では、修飾タンパク質は、N末端上に5個の塩基性正荷電アミノ酸を含んでもよい。一実施形態では、修飾タンパク質は、C末端上に5個の塩基性正荷電アミノ酸を含んでもよい。
【0089】
一実施形態では、修飾タンパク質は、硫酸化酵素である。一実施形態では、硫酸化酵素は、チロシルタンパク質スルホトランスフェラーゼ(TPST)である。一実施形態では、硫酸化酵素は、TPST1またはTPST2である。一実施形態では、硫酸化酵素は、TPST2である。
【0090】
一実施形態では、TPST2は、細胞の分泌区画に移動するように修飾される。一実施形態では、TPST2は、細胞の分泌区画に移動し、インビボで修飾される標的生物学的タンパク質または核酸と局在化するように修飾される。一実施形態において、TPST2は、N末端IgEペプチドを含むように修飾される。
【0091】
一実施形態では、TPST2は、配列番号5または7に少なくとも90%相同なアミノ酸配列を含む。一実施形態では、TPST2は、配列番号5または7で記載されるアミノ酸配列を含む。一実施形態では、TPST2は、配列番号5または7で記載されるアミノ酸配列の全長にわたって少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0092】
TPST2の断片は、TPST2のアミノ配列の1つ以上の少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも95%を含むことができる。一実施形態では、TPST2は、TPST2の断片を含む。一実施形態では、TPST2の断片は、配列番号5または7の断片を含み得る。一実施形態では、TPST2の断片は、配列番号5または7で記載されるアミノ酸配列の全長にわたって少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有するタンパク質の断片を含み得る。
【0093】
本明細書に記載の修飾タンパク質をコードする核酸配列を含む核酸分子もまた、本明細書に提供される。本明細書に示されるタンパク質をコードするコード配列は、ルーチン方法を使用して生成され得る。タンパク質をコードする核酸配列を含む単離された核酸も本明細書に記載される。
【0094】
一実施形態では、修飾タンパク質のコード配列が提供される。修飾タンパク質は、標的生物学的タンパク質または核酸を修飾し得る少なくとも1つの翻訳後修飾活性を有し得る。核酸配列は、例えば、IgEまたはIgGシグナルペプチドなどのシグナルペプチドをコードするコード配列を任意に含み得る。
【0095】
核酸配列は、完全長タンパク質をコードし得る。例えば、核酸配列は、完全長硫酸化酵素をコードし得る。一実施形態では、核酸配列は、TPST2をコードする配列を含み得る。一実施形態では、核酸配列は、配列番号5もしくは7、そのバリアント、またはその断片をコードする配列を含み得る。一実施形態では、核酸配列は、配列番号6または8に少なくとも90%相同な配列を含み得る。一実施形態では、核酸配列は、配列番号6または8を含み得る。一実施形態では、核酸配列は、完全長タンパク質をコードするRNA配列を含む。例えば、核酸は、硫酸化酵素をコードするRNA配列を含み得る。一実施形態では、核酸配列は、TPST2をコードするRNA配列を含み得る。一実施形態では、核酸は、配列番号5もしくは7、そのバリアント、その断片、またはその任意の組み合わせのうちの1つ以上をコードするRNA配列を含み得る。
【0096】
核酸配列は、タンパク質の断片をコードし得る。完全長タンパク質の断片は、完全長タンパク質の1つ以上の少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも95%を含み得る。例えば、eCD4-Igをコードする核酸の断片は、本明細書に記載の核酸配列の1つ以上の少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも95%を含み得る。
【0097】
核酸配列は、生物学的タンパク質に相同なタンパク質をコードし得る。例えば、核酸配列は、eCD4-Igに相同なタンパク質をコードし得る。核酸配列は、配列番号5または7と相同なタンパク質をコードする配列を含み得る。一実施形態では、配列は、配列番号5または7で記載されるアミノ酸配列の全長にわたって少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有するタンパク質をコードする配列を含み得る。一実施形態では、配列は、配列番号6または8で記載されるヌクレオチド配列の全長にわたって少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有する配列を含み得る。
【0098】
4.生物製剤
本明細書では、生物製剤および生物製剤をコードする核酸が提供される。一実施形態では、生物製剤は、タンパク質または核酸である。一実施形態では、生物製剤は、核酸である。一実施形態では、生物製剤は、タンパク質である。一実施形態では、生物製剤は、タンパク質をコードする核酸配列を含む核酸である。例えば、一実施形態では、第1の核酸配列は、合成抗原、合成抗体、または合成タンパク質をコードする。
【0099】
一実施形態では、第1の核酸配列は、イムノアドヘシンをコードする。例えば、一実施形態では、イムノアドヘシンは、eCD4-Igである。一実施形態では、eCD4-Igは、配列番号1または3に少なくとも90%相同なアミノ酸配列を含む。一実施形態では、eCD4-Igは、配列番号1または3で記載されるアミノ酸配列を含む。一実施形態では、eCD4-Igは、配列番号1または3で記載されるアミノ酸配列の全長にわたって少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。一実施形態では、第1の核酸配列は、配列番号2または4で記載されるヌクレオチド配列の全長にわたって少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有する配列を含む。
【0100】
イムノアドヘシンの断片は、eCD4-Igのアミノ配列の1つ以上の少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも95%を含み得る。一実施形態では、eCD4-Igは、eCD4-Igの断片を含む。一実施形態では、eCD4-Igの断片は、配列番号3の断片を含み得る。一実施形態では、eCD4-Igの断片は、配列番号1または3で記載されるアミノ酸配列の全長にわたって少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有するタンパク質の断片を含み得る。
【0101】
a.タンパク質
本明細書では、生物学的機能を実行することができる生物学的タンパク質が提供される。タンパク質は、本発明の組成物を投与された対象において疾患または感染症に対し治療、予防、および/または保護することができる。一実施形態では、生物学的タンパク質は、哺乳動物において免疫応答を誘発することができる抗原である。
【0102】
いくつかの実施形態では、生物学的タンパク質は、免疫グロブリンタンパク質、例えばIgEシグナルペプチドまたはIgGシグナルペプチドなどの異なるタンパク質からのシグナルペプチドを含み得る。
【0103】
完全長生物学的タンパク質の断片は、完全長配列の1つ以上の少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも95%を含み得る。
【0104】
(1)タンパク質をコードする核酸およびコード配列
本明細書では、生物学的機能を実行することができるタンパク質のコード配列が提供される。本明細書に記載されるタンパク質をコードするコード配列は、慣例的方法を使用して生成され得る。タンパク質をコードする核酸配列を含む単離された核酸も本明細書に記載される。
【0105】
一実施形態では、免疫応答を誘発することができる抗原のコード配列が提供される。抗原は、これに対して免疫応答を誘導することができる特定の免疫原に対して効果的であり得る少なくとも1つの抗原エピトープを含み得る。核酸配列は、例えば、IgEまたはIgGシグナルペプチドなどのシグナルペプチドをコードするコード配列を任意に含み得る。
【0106】
核酸配列は、完全長タンパク質をコードし得る。例えば、核酸配列は、完全長イムノアドヘシンタンパク質をコードし得る。一実施形態では、核酸配列は、配列番号3、そのバリアント、またはその断片をコードする配列を含み得る。一実施形態では、核酸配列は、完全長タンパク質をコードするRNA配列を含む。例えば、核酸は、イムノアドヘシンをコードするRNA配列を含み得る。一実施形態では、核酸は、eCD4-IgをコードするRNA配列を含み得る。一実施形態では、核酸は、配列番号3、そのバリアント、その断片、またはその任意の組み合わせのうちの1つ以上をコードするRNA配列を含み得る。
【0107】
核酸配列は、タンパク質の断片をコードし得る。完全長タンパク質の断片は、完全長タンパク質の1つ以上の少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも95%を含み得る。例えば、eCD4-Igをコードする核酸の断片は、本明細書に記載の核酸配列の1つ以上の少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも95%を含み得る。
【0108】
核酸配列は、生物学的タンパク質に相同なタンパク質をコードし得る。例えば、核酸配列は、eCD4-Igに相同なタンパク質をコードし得る。核酸配列は、配列番号3と相同なタンパク質をコードする配列を含み得る。
【0109】
b.抗原
本明細書では、免疫応答を誘発することができる免疫原性組成物が提供される。タンパク質は、本発明の組成物を投与された対象において疾患または感染症に対し治療、予防、および/または保護することができる。一実施形態では、免疫原性組成物は、哺乳動物において免疫応答を誘発することができる抗原である。
【0110】
一実施形態では、免疫原性組成物は、抗原またはその断片もしくはバリアントも含み得る。抗原は、対象において免疫応答を誘導する任意のものであり得る。抗原は、核酸配列、アミノ酸配列、またはこれらの組み合わせであり得る。核酸配列は、DNA、RNA、cDNA、それらのバリアント、それらの断片、またはそれらの組み合わせであり得る。核酸配列はまた、ペプチド結合によって抗原に連結しているリンカーまたはタグ配列をコードする追加の配列を含むことができる。アミノ酸配列は、タンパク質、ペプチド、それらのバリアント、それらの断片、またはそれらの組み合わせであり得る。
【0111】
抗原は、任意の数の生物、例えばウイルス、寄生虫、細菌、真菌、または哺乳動物からのタンパク質、核酸、またはその断片、またはそのバリアント、またはその組み合わせに含まれ得る。抗原は、自己免疫疾患、アレルギー、または喘息に関連し得る。他の実施形態では、抗原は、がん、ヘルペス、インフルエンザ、B型肝炎、C型肝炎、ヒト乳頭腫ウイルス(HPV)、またはヒト免疫不全ウイルス(HIV)に関連し得る。
【0112】
(1)ウイルス抗原
抗原は、ウイルス抗原、またはその断片、またはそのバリアントであり得る。ウイルス抗原は、以下の科のうちの1つからのウイルス由来であり得る:Adenoviridae、Arenaviridae、Bunyaviridae、Caliciviridae、Coronaviridae、Filoviridae、Hepadnaviridae、Herpesviridae、Orthomyxoviridae、Papovaviridae、Paramyxoviridae、Parvoviridae、Picornaviridae、Poxviridae、Polyomaviridae、Reoviridae、Retroviridae、Rhabdoviridae、またはTogaviridae。ウイルス抗原は、乳頭腫ウイルス、例えば、ヒト乳頭腫ウイルス(HPV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、ポリオウイルス、肝炎ウイルス、例えば、A型肝炎ウイルス(HAV)、B型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、D型肝炎ウイルス(HDV)、およびE型肝炎ウイルス(HEV)、ヒトT細胞白血病ウイルス(HTLV-I)、毛細胞白血病ウイルス(HTLV-II)、単純ヘルペス1(HSV1;経口ヘルペス)、単純ヘルペス2(HSV2;性器ヘルペス)、帯状疱疹(VZV;水痘帯状疱疹、水痘としても知られる)、エプスタインバーウイルス(EBV)、メルケル細胞ポリオーマウイルス(MCV)、またはがんを引き起こすウイルス由来であり得る。
【0113】
(a)肝炎抗原
肝炎抗原は、A型肝炎ウイルス(HAV)、B型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、D型肝炎ウイルス(HDV)、および/またはE型肝炎ウイルス(HEV)由来の抗原または免疫原であり得る。いくつかの実施形態では、肝炎抗原は、HAV、HBV、HCV、HDV、およびHEV由来の抗原の1つ以上をコードするプラスミド(複数可)などの核酸分子(複数可)であり得る。肝炎抗原は、完全長タンパク質の完全長または免疫原性断片であり得る。
【0114】
肝炎抗原は、改善した発現のためのコンセンサス配列および/または修飾を含み得る。コドン最適化、RNA最適化、およびコンストラクトの免疫原性を増加させるための高効率免疫グロブリンリーダー配列の付加を含む遺伝子修飾が、修飾コンセンサス配列に含まれ得る。コンセンサス肝炎抗原は、シグナルペプチド、例えばIgEまたはIgGシグナルペプチドなどの免疫グロブリンシグナルペプチドを含み得、いくつかの実施形態では、HAタグを含み得る。免疫原は、対応するコドン最適化免疫原よりも強く広い細胞性免疫応答を誘発するように設計され得る。
【0115】
肝炎抗原は、HAV由来の抗原であり得る。肝炎抗原は、HAVキャプシドタンパク質、HAV非構造タンパク質、それらの断片、それらのバリアント、またはそれらの組み合わせであり得る。
【0116】
肝炎抗原は、HCV由来の抗原であり得る。肝炎抗原は、HCVヌクレオキャプシドタンパク質(すなわちコアタンパク質)、HCVエンベロープタンパク質(例えばE1およびE2)、HCV非構造タンパク質(例えばNS1、NS2、NS3、NS4a、NS4b、NS5a、およびNS5b)、その断片、そのバリアント、またはその組み合わせであり得る。
【0117】
肝炎抗原は、HDV由来の抗原であり得る。肝炎抗原は、HDVデルタ抗原、その断片、またはそのバリアントであり得る。
【0118】
肝炎抗原は、HEV由来の抗原であり得る。肝炎抗原は、HEVキャプシドタンパク質、その断片、またはそのバリアントであり得る。
【0119】
肝炎抗原は、HBV由来の抗原であり得る。肝炎抗原は、HBVコアタンパク質、HBV表面タンパク質、HBV DNAポリメラーゼ、遺伝子XによってコードされるHBVタンパク質、その断片、そのバリアント、またはその組み合わせであり得る。肝炎抗原は、HBV遺伝子型Aコアタンパク質、HBV遺伝子型Bコアタンパク質、HBV遺伝子型Cコアタンパク質、HBV遺伝子型Dコアタンパク質、HBV遺伝子型Eコアタンパク質、HBV遺伝子型Fコアタンパク質、HBV遺伝子型Gコアタンパク質、HBV遺伝子型Hコアタンパク質、HBV遺伝子型A表面タンパク質、HBV遺伝子型B表面タンパク質、HBV遺伝子型C表面タンパク質、HBV遺伝子型D表面タンパク質、HBV遺伝子型E表面タンパク質、HBV遺伝子型F表面タンパク質、HBV遺伝子型G表面タンパク質、HBV遺伝子型H表面タンパク質、その断片、そのバリアント、またはその組み合わせであり得る。肝炎抗原は、コンセンサスHBVコアタンパク質、またはコンセンサスHBV表面タンパク質であり得る。
【0120】
いくつかの実施形態では、肝炎抗原は、HBV遺伝子型AコンセンサスコアDNA配列コンストラクト、HBV遺伝子型Aコアタンパク質についてのコンセンサス配列に連結されたIgEリーダー配列、またはHBV遺伝子型Aコンセンサスコアタンパク質配列であり得る。
【0121】
他の実施形態では、肝炎抗原は、HBV遺伝子型BコンセンサスコアDNA配列コンストラクト、HBV遺伝子型Bコアタンパク質のコンセンサス配列に連結されたIgEリーダー配列、またはHBV遺伝子型Bコンセンサスコアタンパク質配列であり得る。
【0122】
さらに他の実施形態では、肝炎抗原は、HBV遺伝子型CコンセンサスコアDNA配列コンストラクト、HBV遺伝子型Cコアタンパク質のコンセンサス配列に連結されたIgEリーダー配列、またはHBV遺伝子型Cコンセンサスコアタンパク質配列であり得る。
【0123】
いくつかの実施形態では、肝炎抗原は、HBV遺伝子型DコンセンサスコアDNA配列コンストラクト、HBV遺伝子型Dコアタンパク質のコンセンサス配列に連結されたIgEリーダー配列、またはHBV遺伝子型Dコンセンサスコアタンパク質配列であり得る。
【0124】
他の実施形態では、肝炎抗原は、HBV遺伝子型EコンセンサスコアDNA配列コンストラクト、HBV遺伝子型Eコアタンパク質のコンセンサス配列に連結されたIgEリーダー配列、またはHBV遺伝子型Eコンセンサスコアタンパク質配列であり得る。
【0125】
いくつかの実施形態では、肝炎抗原は、HBV遺伝子型FコンセンサスコアDNA配列コンストラクト、HBV遺伝子型Fコアタンパク質についてのコンセンサス配列に連結されたIgEリーダー配列、またはHBV遺伝子型Fコンセンサスコアタンパク質配列であり得る。
【0126】
他の実施形態では、肝炎抗原は、HBV遺伝子型GコンセンサスコアDNA配列コンストラクト、HBV遺伝子型Gコアタンパク質のコンセンサス配列に連結されたIgEリーダー配列、またはHBV遺伝子型Gコンセンサスコアタンパク質配列であり得る。
【0127】
いくつかの実施形態では、肝炎抗原は、HBV遺伝子型HコンセンサスコアDNA配列コンストラクト、HBV遺伝子型Hコアタンパク質についてのコンセンサス配列に連結されたIgEリーダー配列、またはHBV遺伝子型Hコンセンサスコアタンパク質配列であり得る。
【0128】
さらに他の実施形態では、肝炎抗原は、HBV遺伝子型Aコンセンサス表面DNA配列コンストラクト、HBV遺伝子型A表面タンパク質のコンセンサス配列に連結されたIgEリーダー配列、またはHBV遺伝子型Aコンセンサス表面タンパク質配列であり得る。
【0129】
いくつかの実施形態では、肝炎抗原は、HBV遺伝子型Bコンセンサス表面DNA配列コンストラクト、HBV遺伝子型B表面タンパク質についてのコンセンサス配列に連結されたIgEリーダー配列、またはHBV遺伝子型Bコンセンサス表面タンパク質配列であり得る。
【0130】
他の実施形態では、肝炎抗原は、HBV遺伝子型Cコンセンサス表面DNA配列コンストラクト、HBV遺伝子型C表面タンパク質のコンセンサス配列に連結されたIgEリーダー配列、またはHBV遺伝子型Cコンセンサス表面タンパク質配列であり得る。
【0131】
さらに他の実施形態では、肝炎抗原は、HBV遺伝子型Dコンセンサス表面DNA配列コンストラクト、HBV遺伝子型D表面タンパク質のコンセンサス配列に連結されたIgEリーダー配列、またはHBV遺伝子型Dコンセンサス表面タンパク質配列であり得る。
【0132】
いくつかの実施形態では、肝炎抗原は、HBV遺伝子型Eコンセンサス表面DNA配列コンストラクト、HBV遺伝子型E表面タンパク質のコンセンサス配列に連結されたIgEリーダー配列、またはHBV遺伝子型Eコンセンサス表面タンパク質配列であり得る。
【0133】
他の実施形態では、肝炎抗原は、HBV遺伝子型Fコンセンサス表面DNA配列コンストラクト、HBV遺伝子型F表面タンパク質のコンセンサス配列に連結されたIgEリーダー配列、またはHBV遺伝子型Fコンセンサス表面タンパク質配列であり得る。
【0134】
さらに他の実施形態では、肝炎抗原は、HBV遺伝子型Gコンセンサス表面DNA配列コンストラクト、HBV遺伝子型G表面タンパク質のコンセンサス配列に連結されたIgEリーダー配列、またはHBV遺伝子型Gコンセンサス表面タンパク質配列であり得る。
【0135】
他の実施形態では、肝炎抗原は、HBV遺伝子型Hコンセンサス表面DNA配列コンストラクト、HBV遺伝子型H表面タンパク質のコンセンサス配列に連結されたIgEリーダー配列、またはHBV遺伝子型Hコンセンサス表面タンパク質配列であり得る。
【0136】
(b)ヒト乳頭腫ウイルス(HPV)抗原
HPV抗原は、子宮頸癌、直腸癌、および/または他の癌を引き起こすHPV型16、18、31、33、35、45、52、および58に由来し得る。HPV抗原は、生殖器疣贅を引き起こすHPV型6および11由来であってもよく、頭頸部癌の原因であることが知られている。
【0137】
HPV抗原は、各HPV型由来のHPV E6またはE7ドメインであり得る。例えば、HPV型16(HPV16)の場合、HPV16抗原は、HPV16 E6抗原、HPV16 E7抗原、断片、バリアント、またはこれらの組み合わせを含み得る。同様に、HPV抗原は、HPV6 E6および/もしくはE7、HPV11 E6および/もしくはE7、HPV18 E6および/もしくはE7、HPV31 E6および/もしくはE7、HPV33 E6および/もしくはE7、HPV52 E6および/もしくはE7、またはHPV58 E6および/もしくはE7、フラグメント、バリアント、またはそれらの組み合わせであり得る。
【0138】
(c)RSV抗原
RSV抗原は、ヒトRSV融合タンパク質(本明細書では「RSV F」、「RSV Fタンパク質」および「Fタンパク質」とも称される)、またはその断片もしくはバリアントであり得る。ヒトRSV融合タンパク質は、RSVサブタイプAとBとの間で保存され得る。RSV抗原は、RSV Long株(GenBank AAX23994.1)由来のRSV Fタンパク質、またはその断片もしくはバリアントであり得る。RSV抗原は、RSV A2株(GenBank AAB59858.1)由来のRSV Fタンパク質、またはその断片もしくはバリアントであり得る。RSV抗原は、RSV Fタンパク質の単量体、二量体もしくは三量体、またはその断片もしくはバリアントであり得る。RSV抗原は、最適化アミノ酸RSV Fアミノ酸配列、またはその断片もしくはバリアントであり得る。
【0139】
RSV Fの融合後形態は、免疫化された動物において高力価中和抗体を誘発し、動物をRSVチャレンジから保護する。本発明は、特許請求されたワクチンにおけるこの免疫応答を利用する。本発明によれば、RSV Fタンパク質は、融合前形態または融合後形態であり得る。
【0140】
RSV抗原はまた、ヒトRSV結合糖タンパク質(本明細書では「RSV G」、「RSV Gタンパク質」および「Gタンパク質」とも称される)、またはその断片もしくはバリアントであり得る。ヒトRSV Gタンパク質は、RSVサブタイプAとBとの間で異なる。抗原は、RSV Long株(GenBank AAX23993)由来のRSV Gタンパク質、またはその断片もしくはバリアントであり得る。RSV抗原は、RSVサブタイプB分離株H5601、RSVサブタイプB分離株H1068、RSVサブタイプB分離株H5598、RSVサブタイプB分離株H1123、またはその断片もしくはバリアント由来のRSV Gタンパク質であり得る。RSV抗原は、最適化アミノ酸RSV Gアミノ酸配列、またはその断片もしくはバリアントであり得る。
【0141】
他の実施形態では、RSV抗原は、ヒトRSV非構造タンパク質1(「NS1タンパク質」)、またはその断片もしくはバリアントであり得る。例えば、RSV抗原は、RSV Long株(GenBank AAX23987.1)由来のRSV NS1タンパク質、またはその断片もしくはバリアントであり得る。RSV抗原ヒトはまた、RSV非構造タンパク質2(「NS2タンパク質」)、またはその断片もしくはバリアントであり得る。例えば、RSV抗原は、RSV Long株(GenBank AAX23988.1)由来のRSV NS2タンパク質、またはその断片もしくはバリアントであり得る。RSV抗原はさらに、ヒトRSVヌクレオキャプシド(「N」)タンパク質、またはその断片もしくはバリアントであり得る。例えば、RSV抗原は、RSV Long株(GenBank AAX23989.1)由来のRSV Nタンパク質、またはその断片もしくはバリアントであり得る。RSV抗原は、ヒトRSVリンタンパク質(「P」)タンパク質、またはその断片もしくはバリアントであり得る。例えば、RSV抗原は、RSV Long株(GenBank AAX23990.1)由来のRSV Pタンパク質、またはその断片もしくはバリアントであり得る。RSV抗原はまた、ヒトRSVマトリックスタンパク質(「M」)タンパク質、またはその断片もしくはバリアントであり得る。例えば、RSV抗原は、RSV Long株(GenBank AAX23991.1)由来のRSV Mタンパク質、またはその断片もしくはバリアントであり得る。
【0142】
さらに他の実施形態では、RSV抗原は、ヒトRSV小疎水性(「SH」)タンパク質、またはその断片もしくはバリアントであり得る。例えば、RSV抗原は、RSV Long株(GenBank AAX23992.1)由来のRSV SHタンパク質、またはその断片もしくはバリアントであり得る。RSV抗原はまた、ヒトRSVマトリックスタンパク質2-1(「M2-1」)タンパク質、またはその断片もしくはバリアントであり得る。例えば、RSV抗原は、RSV Long株(GenBank AAX23995.1)由来のRSV M2-1タンパク質、またはその断片もしくはバリアントであり得る。RSV抗原はさらに、ヒトRSVマトリックスタンパク質2-2(「M2-2」)タンパク質、またはその断片もしくはバリアントであり得る。例えば、RSV抗原は、RSV Long株(GenBank AAX23997.1)由来のRSV M2-2タンパク質、またはその断片もしくはバリアントであり得る。RSV抗原ヒトは、RSVポリメラーゼL(「L」)タンパク質、またはその断片もしくはバリアントであり得る。例えば、RSV抗原は、RSV Long株(GenBank AAX23996.1)由来のRSV Lタンパク質、またはその断片もしくはバリアントであり得る。
【0143】
さらなる実施形態では、RSV抗原は、NS1、NS2、N、P、M、SH、M2-1、M2-2、またはLタンパク質の最適化されたアミノ酸配列を有し得る。RSV抗原は、ヒトRSVタンパク質または組換え抗原、例えば、ヒトRSVゲノムによってコードされるタンパク質のいずれか1つであり得る。
【0144】
他の実施形態では、RSV抗原は、RSV Long株由来のRSV Fタンパク質、RSV Long株由来のRSV Gタンパク質、最適化アミノ酸RSV Gアミノ酸配列、RSV Long株のヒトRSVゲノム、最適化アミノ酸RSV Fアミノ酸配列、RSV Long株由来のRSV NS1タンパク質、RSV Long株由来のRSV NS2タンパク質、RSV Long株由来のRSV Nタンパク質、RSV Long株からのRSV Pタンパク質、RSV Long株からのRSV Mタンパク質、RSV Long株からのRSV SHタンパク質、RSV Long株からのRSV M2-1タンパク質、RSV Long株からのRSV M2-2タンパク質、RSV Long株からのRSV Lタンパク質、RSVサブタイプB分離株H5601からのRSV Gタンパク質、RSVサブタイプB分離株H1068からのRSV Gタンパク質、RSVサブタイプB分離株H5598からのRSV Gタンパク質、RSVサブタイプB分離株H1123からのRSV Gタンパク質、またはその断片、またはそのバリアントであり得るが、これらに限定されない。
【0145】
(d)インフルエンザ抗原
インフルエンザ抗原は、1つ以上のインフルエンザ血清型に対して哺乳動物において免疫応答を誘発することができるものである。抗原は、完全長翻訳産物HAO、サブユニットHA1、サブユニットHA2、そのバリアント、その断片、またはその組み合わせを含み得る。インフルエンザヘマグルチニン抗原は、A型インフルエンザ血清型H1の複数株に由来するコンセンサス配列、A型インフルエンザ血清型H2の複数株に由来するコンセンサス配列、異なるセットのA型インフルエンザ血清型H1の複数株に由来する2つの異なるコンセンサス配列の一部を含有するハイブリッド配列、またはB型インフルエンザの複数株に由来するコンセンサス配列であり得る。インフルエンザヘマグルチニン抗原は、B型インフルエンザに由来してもよい。
【0146】
インフルエンザ抗原はまた、これに対して免疫応答を誘導することができる特定のインフルエンザ免疫原に対して効果的であり得る少なくとも1つの抗原エピトープを含み得る。抗原は、無傷のインフルエンザウイルスに存在する免疫原性部位およびエピトープの全レパートリーを提供し得る。抗原は、血清型H1または血清型H2の複数のインフルエンザAウイルス株などの1つの血清型の複数のインフルエンザAウイルス株からのヘマグルチニン抗原配列に由来し得るコンセンサスヘマグルチニン抗原配列であり得る。抗原は、2つの異なるコンセンサスヘマグルチニン抗原配列またはその一部を組み合わせることから得ることができるハイブリッドコンセンサスヘマグルチニン抗原配列であり得る。2つの異なるコンセンサスヘマグルチニン抗原配列のそれぞれは、血清型H1の複数のインフルエンザAウイルス株などの、1つの血清型の複数のインフルエンザAウイルス株の異なるセットに由来し得る。抗原は、複数のインフルエンザBウイルス株からのヘマグルチニン抗原配列に由来し得るコンセンサスヘマグルチニン抗原配列であり得る。
【0147】
いくつかの実施形態では、インフルエンザ抗原は、H1 HA、H2 HA、H3 HA、H5 HA、またはBHA抗原であり得る。あるいは、インフルエンザ抗原は、コンセンサスH1アミノ酸配列またはコンセンサスH2アミノ酸配列を含むコンセンサスヘマグルチニン抗原であり得る。コンセンサスヘマグルチニン抗原は、各々が他方とは異なる配列のセットに由来する、2つの異なるコンセンサスH1配列の部分を含む合成ハイブリッドコンセンサスH1配列であり得る。合成ハイブリッドコンセンサスH1タンパク質であるコンセンサスHA抗原の一例は、U2アミノ酸配列を含むタンパク質である。コンセンサスヘマグルチニン抗原は、コンセンサスBHAアミノ酸配列を含むタンパク質などの、インフルエンザB株からのヘマグルチニン配列に由来するコンセンサスヘマグルチニンタンパク質であり得る。
【0148】
コンセンサスヘマグルチニン抗原は、1つ以上の追加のアミノ酸配列要素をさらに含み得る。コンセンサスヘマグルチニン抗原は、そのN末端にIgEまたはIgGリーダーアミノ酸配列をさらに含み得る。コンセンサスヘマグルチニン抗原は、容易に入手可能な抗体によって検出され得る独自の免疫原性エピトープである免疫原性タグをさらに含み得る。そのような免疫原性タグの一例は、コンセンサスヘマグルチニンC末端上に連結され得る9個のアミノ酸インフルエンザHAタグである。いくつかの実施形態では、コンセンサスヘマグルチニン抗原は、そのN末端にIgEまたはIgGリーダーアミノ酸配列を、およびそのC末端にHAタグをさらに含み得る。
【0149】
コンセンサスヘマグルチニン抗原は、コンセンサスインフルエンザアミノ酸配列またはその断片およびバリアントからなるコンセンサスヘマグルチニンタンパク質であり得る。コンセンサスヘマグルチニン抗原は、非インフルエンザタンパク質配列ならびにインフルエンザタンパク質配列、またはそれらの断片およびバリアントを含むコンセンサスヘマグルチニンタンパク質であり得る。
【0150】
コンセンサスH1タンパク質の例には、コンセンサスH1アミノ酸配列からなり得るもの、またはIgEリーダー配列、もしくはHAタグ、もしくはIgEリーダー配列およびHAタグの両方などの追加の要素をさらに含むものが含まれる。
【0151】
コンセンサスH2タンパク質の例には、コンセンサスH2アミノ酸配列からなり得るもの、またはIgEリーダー配列もしくはHAタグ、もしくはIgEリーダー配列およびHAタグの両方をさらに含むものが含まれる。
【0152】
ハイブリッドコンセンサスH1タンパク質の例には、コンセンサスU2アミノ酸配列からなり得るもの、またはIgEリーダー配列もしくはHAタグ、もしくはIgEリーダー配列およびHAタグの両方をさらに含むものが含まれる。
【0153】
ハイブリッドコンセンサスインフルエンザBヘマグルチニンタンパク質の例には、コンセンサスBHAアミノ酸配列からなり得るものが含まれ、またはIgEリーダー配列、もしくはHAタグ、もしくはIgEリーダー配列およびHAタグの両方を含み得る。
【0154】
コンセンサスヘマグルチニンタンパク質は、コンセンサスヘマグルチニン核酸、そのバリアント、またはその断片によってコードされ得る。異なる株およびバリアントからの複数の異なるヘマグルチニン配列に由来するコンセンサス配列であり得るコンセンサスヘマグルチニンタンパク質とは異なり、コンセンサスヘマグルチニン核酸は、コンセンサスタンパク質配列をコードする核酸配列を指し、使用されるコード配列は、コンセンサスヘマグルチニンタンパク質配列が由来する複数の異なるヘマグルチニン配列中の特定のアミノ酸配列をコードするために使用されるものと異なり得る。コンセンサス核酸配列は、コドン最適化および/またはRNA最適化され得る。コンセンサスヘマグルチニン核酸配列は、5’非翻訳領域中のコザックの配列を含み得る。コンセンサスヘマグルチニン核酸配列は、リーダー配列をコードする核酸配列を含んでもよい。N末端リーダー配列のコード配列は、ヘマグルチニンコード配列の5’である。N末端リーダーは、分泌を容易にすることができる。N末端リーダーは、IgEリーダーまたはIgGリーダーであり得る。コンセンサスヘマグルチニン核酸配列は、免疫原性タグをコードする核酸配列を含み得る。免疫原性タグは、タンパク質のC末端上にあり得、それをコードする配列はHAコード配列の3’である。免疫原性タグは、そのような抗体をアッセイで使用してタンパク質の発現を検出および確認することができるように、容易に入手可能な抗体が存在する独自のエピトープを提供する。免疫原性タグは、タンパク質のC末端のHタグであり得る。
【0155】
(e)ヒト免疫不全ウイルス(HIV)抗原
HIV抗原は、免疫原のための修飾コンセンサス配列を含み得る。コドン最適化、RNA最適化、およびコンストラクトの免疫原性を増加させるための高効率免疫グロビンリーダー配列の付加を含む遺伝子修飾が、修飾コンセンサス配列に含まれ得る。新規免疫原は、対応するコドン最適化免疫原よりも強く広い細胞性免疫応答を誘発するように設計され得る。
【0156】
いくつかの実施形態では、HIV抗原は、サブタイプAコンセンサスエンベロープDNA配列コンストラクト、サブタイプAエンベロープタンパク質のコンセンサス配列に連結されたIgEリーダー配列、またはサブタイプAコンセンサスエンベロープタンパク質配列であり得る。
【0157】
他の実施形態では、HIV抗原は、サブタイプBコンセンサスエンベロープDNA配列コンストラクト、サブタイプBエンベロープタンパク質のコンセンサス配列に連結されたIgEリーダー配列、またはサブタイプBコンセンサスエンベロープタンパク質配列であり得る。
【0158】
さらに他の実施形態では、HIV抗原は、サブタイプCコンセンサスエンベロープDNA配列コンストラクト、サブタイプCエンベロープタンパク質のコンセンサス配列に連結されたIgEリーダー配列、またはサブタイプCコンセンサスエンベロープタンパク質配列であり得る。
【0159】
さらなる実施形態では、HIV抗原は、サブタイプDコンセンサスエンベロープDNA配列コンストラクト、サブタイプDエンベロープタンパク質のコンセンサス配列に連結されたIgEリーダー配列、またはサブタイプDコンセンサスエンベロープタンパク質配列であり得る。
【0160】
いくつかの実施形態では、HIV抗原は、サブタイプB Nef-RevコンセンサスエンベロープDNA配列コンストラクト、サブタイプB Nef-Revタンパク質のコンセンサス配列に連結されたIgEリーダー配列、またはサブタイプB Nef-Revコンセンサスタンパク質配列であり得る。
【0161】
他の実施形態では、HIV抗原は、サブタイプA、B、C、およびD DNA配列コンストラクトのGagコンセンサスDNA配列、GagコンセンサスサブタイプA、B、C、およびDタンパク質のコンセンサス配列に連結されたIgEリーダー配列、またはコンセンサスGagサブタイプA、B、C、およびDタンパク質配列であり得る。
【0162】
さらに他の実施形態では、HIV抗原は、Pol DNA配列またはPolタンパク質配列であり得る。HIV抗原は、Env A、Env B、Env C、Env D、B Nef-Rev、Gag、またはこれらの任意の組み合わせの核酸またはアミノ酸配列であり得る。
【0163】
(f)ヘルペス抗原
一実施形態において、ヘルペス抗原は、HCMV、HSV1、HSV2、CeHV1、VZV、またはEBVに由来する。ヘルペス抗原は、HCMV、HSV1、HSV2、CeHV1、VZV、またはEBVに由来するかどうかにかかわらず、gB、gM、gN、gH、gL、gO、gE、gI、gK、gC、gD、UL128、UL130、UL-131A、UL-83(pp65)を含む免疫原性タンパク質を含む。いくつかの実施形態では、抗原は、HSV1-gH、HSV1-gL、HSV1-gC、HSV1-gD、HSV2-gH、HSV2-gL、HSV2-gC、HSV2-gD、VZV-gH、VZV-gL、VZV-gM、VZV-gN、CeHV1-gH、CeHV1-gL、CeHV1-gC、CeHV1-gD、VZV-gE、またはVZV-gIであり得る。
【0164】
(2)寄生虫抗原
一実施形態では、寄生虫は、原虫、蠕虫、またはエクトパラサイトであり得る。蠕虫(すなわちワーム)は、扁平虫(例えば吸虫および条虫)、棘頭虫、または回虫(例えば蟯虫)であり得る。エクトパラサイトは、シラミ、ノミ、マダニ、およびダニであり得る。
【0165】
寄生虫は、以下の疾患を引き起こす任意の寄生虫であり得る:アカントアメーバ角膜炎、アメーバ症、回虫症、バベシア症、バランチジウム症、ベイリーサスカリア症、シャーガス病、肝吸虫症、コクリオミイヤ症、クリプトスポリジウム症、裂頭条虫症、メジナ虫症、エキノコックス症、象皮病、蟯虫症、肝蛭症、肥大吸虫症、糸状虫症、ジアルジア症、顎口虫症、膜様条虫症、イソスポーラ症、片山熱、リーシュマニア症、ライム病、マラリア、横川吸虫症、ハエウジ症、オンコセルカ症、シラミ症、疥癬、住血吸虫症、睡眠病、糞線虫症、テニア症、トキソカラ症、トキソプラズマ症、旋毛虫症、および鞭虫症。
【0166】
寄生虫は、アカントアメーバ、アニサキス、ヒト回虫、ウマバエ、大腸バランチジウム、ナンキンムシ、条虫類(条虫)、ツツガムシ、ラセンウジバエ、赤痢アメーバ、肝蛭、ランブル鞭毛虫、鉤虫、リーシュマニア、鼻腔舌虫、肝吸虫、ロア糸状虫、肺吸虫、蟯虫、熱帯熱マラリア原虫、住血吸虫、糞線虫、ダニ、条虫、トキソプラズマ原虫、トリパノソーマ、鞭虫、またはバンクロフト糸状虫であり得る。
【0167】
(a)マラリア抗原
一実施形態では、抗原は、マラリアを引き起こす寄生虫由来であり得る。マラリアを引き起こす寄生虫は、熱帯熱マラリア原虫であり得る。熱帯熱マラリア原虫抗原は、ポロゾイト周囲(CS)抗原を含み得る。
【0168】
いくつかの実施形態では、マラリア抗原は、熱帯熱マラリア原虫免疫原CS、LSA1、TRAP、CelTOS、およびAma1の1つ以上をコードするプラスミドなどの核酸分子であり得る。免疫原は、完全長タンパク質または完全長タンパク質の免疫原性断片であり得る。免疫原は、改善した発現のためのコンセンサス配列および/または修飾を含む。
【0169】
他の実施形態では、マラリア抗原は、GenBankデータベース(合計28個の配列)における全ての完全長熱帯熱マラリア原虫TRAP/SSP2配列のコンパイルから設計されたTRAPのコンセンサス配列であり得、これはSSP2とも称される。コンセンサスTRAP免疫原(すなわちConTRAP免疫原)は、IgEまたはIgGシグナルペプチドなどの免疫グロブリンシグナルペプチドなどのシグナルペプチドを含み得、いくつかの実施形態では、HAタグを含み得る。
【0170】
さらに他の実施形態では、マラリア抗原は、Ag2とも称され、高度に保存されたマラリア原虫抗原であるCelTOSであり得る。コンセンサスCelTOS抗原(すなわちConCelTOS免疫原)は、IgEまたはIgGシグナルペプチドなどの免疫グロブリンシグナルペプチドなどのシグナルペプチドを含み得、いくつかの実施形態では、HAタグを含み得る。
【0171】
さらなる実施形態では、マラリア抗原は、高度に保存されたマラリア原虫抗原であるAma1であり得る。マラリア抗原はまた、いくつかの事例において、シグナルペプチド、例えばIgEまたはIgGシグナルペプチドなどの免疫グロブリンシグナルペプチドを含むAma1(すなわちConAmal免疫原)のコンセンサス配列であり得、いくつかの実施形態では、HAタグを含み得る。
【0172】
いくつかの実施形態では、マラリア抗原は、いくつかの事例において、シグナルペプチド、例えばIgEまたはIgGシグナルペプチドなどの免疫グロブリンシグナルペプチドを含むコンセンサスCS抗原(すなわち、コンセンサスCS免疫原)であり得、いくつかの実施形態では、HAタグを含み得る。
【0173】
他の実施形態では、マラリア抗原は、本明細書に記載のPFタンパク質の2つ以上の組み合わせを含む融合タンパク質であり得る。例えば、融合タンパク質は、互いに直接隣接して連結されるか、または間にスペーサーもしくは1つ以上のアミノ酸と連結されたコンセンサスCS免疫原、ConLSA1免疫原、ConTRAP免疫原、ConCelTOS免疫原、およびConAma1免疫原の2つ以上を含み得る。いくつかの実施形態では、融合タンパク質は、2つのPF免疫原を含み、いくつかの実施形態では、融合タンパク質は、3つのPF免疫原を含み、いくつかの実施形態では、融合タンパク質は、4つのPF免疫原を含み、いくつかの実施形態では、融合タンパク質は、5つのPF免疫原を含む。2つのコンセンサスPF免疫原を有する融合タンパク質は、CSおよびLSA1;CSおよびTRAP;CSおよびCelTOS;CSおよびAma1;LSA1およびTRAP;LSA1およびCelTOS;LSA1およびAma1;TRAPおよびCelTOS;TRAPおよびAma1;またはCelTOSおよびAma1を含み得る。3つのコンセンサスPF免疫原を有する融合タンパク質は、CS、LSA1およびTRAP;CS、LSA1およびCelTOS;CS、LSA1およびAma1;LSA1、TRAPおよびCelTOS;LSA1、TRAPおよびAma1;またはTRAP、CelTOSおよびAma1を含み得る。4つのコンセンサスPF免疫原を有する融合タンパク質は、CS、LSA1、TRAPおよびCelTOS;CS、LSA1、TRAPおよびAma1;CS、LSA1、CelTOSおよびAma1;CS、TRAP、CelTOSおよびAma1;またはLSA1、TRAP、CelTOSおよびAma1を含み得る。5つのコンセンサスPF免疫原を有する融合タンパク質は、CSまたはCS-alt、LSA1、TRAP、CelTOSおよびAma1を含み得る。
【0174】
いくつかの実施形態では、融合タンパク質は、N末端に結合したシグナルペプチドを含む。いくつかの実施形態では、融合タンパク質は、各コンセンサスPF免疫原のN末端に連結した複数のシグナルペプチドを含む。いくつかの実施形態では、スペーサーは、融合タンパク質のPF免疫原の間に含まれ得る。いくつかの実施形態では、融合タンパク質のPF免疫原間のスペーサーは、タンパク質分解性切断部位であり得る。いくつかの実施形態では、スペーサーは、免疫原性組成物が投与される、および/または取り込まれることが意図される細胞で見出されるプロテアーゼによって認識されるタンパク質分解性切断部位であり得る。いくつかの実施形態では、スペーサーは、融合タンパク質のPF免疫原の間に含まれ得、スペーサーは、免疫原性組成物が投与されるおよび/または取り込まれることが意図される細胞で見出されるプロテアーゼによって認識されるタンパク質分解性切断部位であり、融合タンパク質は、切断時に、各コンセンサスPF免疫原のシグナルペプチドが、コンセンサスPF免疫原を細胞の外側に転座するように、各コンセンサスPF免疫原のN末端に連結された複数のシグナルペプチドを含む。
【0175】
(3)細菌抗原
一実施形態では、細菌は、以下の門の任意の1つからものであり得る:Acidobacteria、Actinobacteria、Aquificae、Bacteroidetes、Caldiserica、Chlamydiae、Chlorobi、Chloroflexi、Chrysiogenetes、Cyanobacteria、Deferribacteres、Deinococcus-Thermus、Dictyoglomi、Elusimicrobia、Fibrobacteres、Firmicutes、Fusobacteria、Gemmatimonadetes、Lentisphaerae、Nitrospira、Planctomycetes、Proteobacteria、Spirochaetes、Synergistetes、Tenericutes、Thermodesulfobacteria、Thermotogae、およびVerrucomicrobia。
【0176】
細菌は、グラム陽性細菌またはグラム陰性細菌であり得る。細菌は、好気性細菌または嫌気性細菌であり得る。細菌は、自己栄養細菌またはヘテロ栄養細菌であり得る。細菌は、中温菌、好中球、好極限性細菌、好酸球、好アルカリ球、好熱球、低温菌、好塩菌、または好濃菌であり得る。
【0177】
細菌は、炭疽菌、抗生物質耐性細菌、疾患を引き起こす細菌、食中毒細菌、感染性細菌、Salmonella細菌、Staphylococcus細菌、Streptococcus細菌、または破傷風細菌であり得る。細菌は、マイコバクテリア、Clostridium tetani、Yersinia pestis、Bacillus anthracis、メチシリン耐性Staphylococcus aureus(MRSA)、またはClostridium difficileであり得る。細菌は、Mycobacterium tuberculosisであり得る。
【0178】
(a)結核菌抗原
一実施形態において、TB抗原は、TB抗原のAg85ファミリー、例えばAg85AおよびAg85Bに由来し得る。TB抗原は、TB抗原のEsxファミリー、例えばEsxA、EsxB、EsxC、EsxD、EsxE、EsxF、EsxH、EsxO、EsxQ、EsxR、EsxS、EsxT、EsxU、EsxV、およびEsxW由来であり得る。TB抗原は、蘇生因子RpfA、RpfB、およびRpfDを含み得る。TB抗原はまた、RV1733c、ESAT6、PPE51、RV2626c、RV2628、RV2034、Rv0995、RV0990c、RV0012、RV1872c、RV0010c、RV2719c、およびRV3407を含み得る。
【0179】
いくつかの実施形態では、TB抗原は、Ag85ファミリーおよびEsxファミリー由来の結核菌免疫原のうちの1つ以上をコードするプラスミドなどの核酸分子であり得る。免疫原は、完全長タンパク質の完全長または免疫原性断片であり得る。免疫原は、改善した発現のためのコンセンサス配列および/または修飾を含み得る。コンセンサス免疫原は、IgEまたはIgGシグナルペプチドなどの免疫グロブリンシグナルペプチドなどのシグナルペプチドを含み得、いくつかの実施形態では、HAタグを含み得る。
【0180】
(4)真菌抗原
一実施形態では、真菌は、Aspergillus種、Blastomyces dermatitidis、Candida酵母(例えばCandida albicans)、Coccidioides、Cryptococcus neoformans、Cryptococcus gattii、白癬菌、Fusarium種、Histoplasma capsulatum、ケカビ亜門、Pneumocystis jirovecii、Sporothrix schenckii、Exserohilum、またはCladosporiumであり得る。
【0181】
(5)腫瘍抗原
本発明の文脈において、「腫瘍抗原」または「過剰増殖性障害抗原」または「過剰増殖性障害に関連する抗原」は、がんなどの特定の過剰増殖性障害に共通の抗原を指す。本明細書で論じられる抗原は、単に例として含まれる。リストは排他的であることを意図するものではなく、さらなる実施例は、当業者には容易に明らかになるであろう。
【0182】
腫瘍抗原は、免疫応答、特にT細胞媒介免疫応答を誘発する腫瘍細胞によって産生されるタンパク質である。本発明の抗原結合部分の選択は、治療されるがんの特定の種類に依存する。腫瘍抗原は当該技術分野において周知であり、例えば、神経膠腫関連抗原、癌胚性抗原(CEA)、β-ヒト絨毛性ゴナドトロピン、アルファフェトタンパク質(AFP)、レクチン反応性AFP、チログロブリン、RAGE-1、MN-CA IX、ヒトテロメラーゼ逆転写酵素、RU1、RU2(AS)、腸カルボキシルエステラーゼ、mut hsp70-2、M-CSF、プロスターゼ、前立腺特異的抗原(PSA)、PAP、NY-ESO-1、LAGE-1a、p53、プロステイン、PSMA、Her2/neu、サバイビンおよびテロメラーゼ、前立腺-癌腫瘍抗原-1(PCTA-1)、MAGE、ELF2M、好中球エラーゼ、エフリンB2、CD22、インスリン成長因子(IGF)-I、IGF-II、IGF-I受容体、およびメソセリンを含む。
【0183】
一実施形態では、腫瘍抗原は、悪性腫瘍に関連する1つ以上の抗原癌エピトープを含む。悪性腫瘍は、免疫攻撃の標的抗原として機能することができる多数のタンパク質を発現する。これらの分子は、これらに限定されないが、黒色腫におけるMART-1、チロシナーゼ、およびGP100、ならびに前立腺がんにおける前立腺酸性ホスファターゼ(PAP)および前立腺特異的抗原(PSA)などの組織特異的抗原を含む。他の標的分子は、癌遺伝子HER-2/Neu/ErbB-2などの形質転換関連分子の群に属する。標的抗原のさらに別の群は、癌胚性抗原(CEA)などの腫瘍胎児抗原である。B細胞リンパ腫において、腫瘍特異的イディオタイプ免疫グロブリンは、個々の腫瘍に固有の真の腫瘍特異的免疫グロブリン抗原を構成する。CD19、CD20、およびCD37などのB細胞分化抗原は、B細胞リンパ腫における標的抗原の他の候補である。これらの抗原(CEA、HER-2、CD19、CD20、イディオタイプ)のいくつかは、モノクローナル抗体を用いた受動免疫療法の標的として使用されているが、成功は限定されている。
【0184】
本発明で言及される腫瘍抗原の種類はまた、腫瘍特異的抗原(TSA)または腫瘍関連抗原(TAA)であり得る。TSAは、腫瘍細胞に固有であり、体内の他の細胞では発生しない。TAA関連抗原は、腫瘍細胞に固有ではなく、代わりに、抗原に対する免疫学的耐性の状態を誘導することができない条件下で、正常細胞上でも発現される。腫瘍上の抗原の発現は、免疫系が抗原に応答することを可能にする条件下で生じ得る。TAAは、免疫系が未熟で応答できないときに胎児発達中に正常細胞上に発現される抗原であってもよく、または正常細胞上に通常極めて低いレベルで存在するが、腫瘍細胞上ではるかに高いレベルで発現される抗原であってもよい。
【0185】
TSAまたはTAA抗原の非限定的な例は、以下を含む:MART-1/MelanA(MART-I)、gp100(Pmel17)、チロシナーゼ、TRP-1、TRP-2、および腫瘍特異的多系統抗原、例えばMAGE-1、MAGE-3、BAGE、GAGE-1、GAGE-2、p15などの分化抗原;過剰発現胚抗原、例えばCEA;過剰発現癌遺伝子および変異腫瘍抑制遺伝子、例えばp53、Ras、HER-2/neuなど;染色体転座から生じる独自の腫瘍抗原、例えばBCR-ABL、E2A-PRL、H4-RET、IGH-IGK、MYL-RAR;ならびにウイルス抗原、例えばエプスタインバーウイルス抗原EBVAおよびヒト乳頭腫ウイルス(HPV)抗原E6およびE7など。他の大きなタンパク質ベースの抗原には、TSP-180、MAGE-4、MAGE-5、MAGE-6、RAGE、NY-ESO、p185erbB2、p180erbB-3、c-met、nm-23H1、PSA、TAG-72、CA19-9、CA72-4、CAM17.1、NuMa、K-ras、β-カテニン、CDK4、Mum-1、p15、p16、43-9F、5T4、791Tgp72、α-フェトタンパク質、β-HCG、BCA225、BTAA、CA125、CA15-3\CA27.29\BCAA、CA195、CA242、CA-50、CAM43、CD68\P1、CO-029、FGF-5、G250、Ga733\EpCAM、HTgp-175、M344、MA-50、MG7-Ag、MOV18、NB/70K、NY-CO-1、RCAS1、SDCCAG16、TA-90\Mac-2結合タンパク質\サイクロフィンC関連タンパク質、TAAL6、TAG72、TLPおよびTPSが含まれる。
【0186】
がんマーカーは、ある特定のがん細胞に対して存在するか、または上方制御される既知のタンパク質である。自己に対する耐性を破壊する方法でそのようなマーカーを表す抗原を生成する方法によって、がんワクチンを生成することができる。そのようながんワクチンは、CTLA4抗体、および任意選択で、免疫応答を向上させるための1つ以上の追加の免疫チェックポイントタンパク質を標的とする1つ以上の抗体を含むことができる。以下は、いくつかの例示的な腫瘍抗原である。
【0187】
(a)TERT
TERTは、染色体短縮による細胞死を防止するために、テロメアの末端にあるTTAGGGタグを合成するテロメラーゼ逆転写酵素である。TERTの異常に高い発現を有する過増殖細胞は、免疫療法によって標的化され得る。最近の研究は、TERT遺伝子でトランスフェクトされた樹状細胞におけるTERT発現が、CD8+細胞傷害性T細胞を誘導し、抗原特異的な様式でCD4+T細胞を誘発することができることを実証している。
【0188】
(b)前立腺抗原
以下は、前立腺抗原に対して哺乳動物において免疫応答を誘発することができる抗原である。コンセンサス抗原は、前立腺癌細胞に対する免疫原を誘導することができるので、それらを特に効果的にするエピトープを含むことができる。コンセンサス前立腺抗原は、完全長翻訳産物、そのバリアント、その断片、またはその組み合わせを含み得る。
【0189】
前立腺抗原は、以下の1つ以上を含み得る:PSA抗原、PSMA抗原、STEAP抗原、PSCA抗原、前立腺酸性ホスファターゼ(PAP)抗原、および他の既知の前立腺腫瘍抗原。タンパク質は、前立腺抗原に相同の配列、前立腺抗原の断片、および前立腺抗原の断片に相同の配列を有するタンパク質を含み得る。
【0190】
(c)WT1
抗原は、ウィルムの腫瘍サプレッサー遺伝子1(WT1)、その断片、そのバリアント、またはその組み合わせであり得る。WT1は、N末端、プロリン/グルタミン富化DNA結合ドメイン、およびC末端、4つのジンクフィンガーモチーフを含有する転写因子である。WT1は、泌尿器系の正常な発達において役割を果たし、細胞傷害性薬物での治療後に複数の部位でWT1を切断する多くの因子、例えばp53、既知の腫瘍抑制因子およびセリンプロテアーゼHtrA2と相互作用する。
【0191】
WT1の変異は、腫瘍またはがん形成、例えばウィルムス腫瘍またはWT1を発現する腫瘍をもたらし得る。ウィルムス腫瘍は、他の組織、例えば、これらに限定されないが、肝臓組織、尿路系組織、リンパ組織、および肺組織に転移する前に、一方または両方の腎臓で形成されることが多い。したがって、ウィルムス腫瘍は、転移性腫瘍と見なされ得る。ウィルムス腫瘍は、通常、若い子供(例えば5歳未満)、ならびに散発的および遺伝的形態の両方で発生する。したがって、免疫原性組成物は、ウィルムス腫瘍に罹患している対象を治療するために使用することができる。免疫原性組成物はまた、対象におけるかかる腫瘍の発症を防止するために、WT1を発現するがんまたは腫瘍を有する対象を治療するために使用することができる。WT1抗原は、天然の「正常」WT1遺伝子と異なることができ、したがって、WT1抗原発現腫瘍に対する療法または予防を提供し得る。タンパク質は、WT1抗原に相同の配列、WT1抗原の断片、およびWT1抗原の断片に相同の配列を有するタンパク質を含み得る。
【0192】
(d)チロシナーゼ抗原
抗原チロシナーゼ(Tyr)抗原は、(1)B細胞応答を介して体液性免疫性を誘導して、単球走化性タンパク質-1(MCP-1)産生を遮断し、これによって骨髄由来抑制細胞(MDSC)を遅らせ、腫瘍成長を抑制する抗体を生み出し、(2)細胞傷害性Tリンパ腫、例えば、CD8(CTL)を増加させて、腫瘍細胞を攻撃および殺滅し、(3)Tヘルパー細胞応答を増加させ、(4)IFN-γおよびTFN-αを介して炎症性応答を増加させるか、または前述の全てによる、免疫媒介クリアランスに対する重要な標的である。
【0193】
チロシナーゼは、動植物組織に見出すことができる銅含有酵素である。チロシナーゼは、チロシン等のフェノールの酸化によってメラニンおよび他の顔料の産生を触媒する。黒色腫では、チロシナーゼは調節されなくなり、メラニン合成の増加をもたらすことができる。チロシナーゼはまた、黒色腫に罹患している対象における細胞傷害性T細胞認識の標的でもある。したがって、チロシナーゼは、黒色腫に関連する抗原であり得る。
【0194】
抗原は、それらを特に免疫原として有効にするタンパク質エピトープを含むことができ、これに対して抗Tyr免疫応答を誘導することができる。Tyr抗原は、完全長翻訳産物、そのバリアント、その断片、またはその組み合わせを含み得る。
【0195】
Tyr抗原は、コンセンサスタンパク質を含み得る。Tyr抗原は、全てのがんおよび腫瘍関連細胞に対して全身的に抗原特異的T細胞および高力価抗体応答を誘導する。したがって、Tyrコンセンサス抗原を含むワクチンによる腫瘍形成に対する保護免疫応答が提供される。したがって、任意の使用者は、本発明の免疫原性組成物をTyr抗原を含むように設計して、腫瘍形成、腫瘍の転移、および腫瘍成長に対する広範な免疫を提供することができる。タンパク質は、Tyr抗原に相同の配列、Tyr抗原の断片、およびTyr抗原の断片に相同の配列を有するタンパク質を含み得る。
【0196】
(e)NY-ESO-1
NY-ESO-1は、細胞性免疫および体液性免疫の両方を誘導することができる様々ながんにおいて発現されるがん-精巣抗原である。遺伝子発現研究は、粘液質および円形細胞リポ肉腫におけるNY-ESO-1、CTAG1Bの遺伝子の上方制御を示している。
【0197】
様々な実施形態では、NY-ESO-1抗原は、コンセンサスNY-ESO-1タンパク質またはコンセンサスNY-ESO-1タンパク質をコードする核酸分子を含む。NY-ESO-1抗原は、NY-ESO-1抗原に相同の配列、NY-ESO-1抗原の断片、およびNY-ESO-1抗原の断片に相同の配列を有するタンパク質を含む。
【0198】
(f)PRAME
腫瘍において優先的に発現される黒色腫抗原(PRAME抗原)は、ヒトにおいてPRAME遺伝子によってコードされるタンパク質である。この遺伝子は、ヒト黒色腫において主に発現され、細胞溶解性Tリンパ球によって認識される抗原をコードする。精巣を除き、正常組織では発現されない。遺伝子はまた、急性白血病においても発現される。同じタンパク質をコードする5つの代替スプライシング転写バリアントが、この遺伝子について観察されている。タンパク質は、PRAME抗原に相同の配列、PRAME抗原の断片、およびPRAME抗原の断片に相同の配列を有するタンパク質を含み得る。
【0199】
(g)MAGE
MAGEは、黒色腫関連抗原、特に黒色腫関連抗原4(MAGEA4)を表す。MAGE-A4は、男性生殖細胞ならびに胃腸癌、食道癌および肺癌などの様々な組織学的種類の腫瘍細胞において発現される。MAGE-A4は、癌タンパク質、ガンキリンと結合する。このMAGE-A4特異的結合は、そのC末端によって媒介される。研究では、外因性MAGE-A4が、インビトロでガンキリン過剰発現細胞の接着非依存性成長を部分的に阻害し、ヌードマウスにおけるこれらの細胞からの移行腫瘍の形成を抑制することができることが示されている。この阻害は、MAGE-A4とガンキリンとの間の結合に依存し、ガンキリンとMAGE-A4との間の相互作用がガンキリン媒介発癌を阻害することを示唆している。腫瘍組織におけるMAGE発現は腫瘍発生の原因ではなく結果である可能性が高く、MAGE遺伝子は早期の腫瘍細胞を破壊のために標的化することによって免疫プロセスに関与する。
【0200】
黒色腫関連抗原4タンパク質(MAGEA4)は、胚発育ならびに腫瘍形質転換および/または進行に関与し得る。MAGEA4は通常、睾丸および胎盤で発現される。しかしながら、MAGEA4は、多くの異なる種類の腫瘍、例えば黒色腫、頭頸部扁平上皮細胞癌、肺癌、および乳癌において発現し得る。したがって、MAGEA4は、様々な腫瘍に関連する抗原であり得る。
【0201】
MAGEA4抗原は、抗原特異的T細胞および/または高力価抗体応答を誘導することができ、それによって、抗原を発現するがんまたは腫瘍に対して指向される、または反応性である免疫応答を誘導または誘発することができる。いくつかの実施形態では、誘導または誘発された免疫応答は、細胞性、体液性、または細胞性および体液性免疫応答の両方であり得る。いくつかの実施形態では、誘導または誘発された細胞性免疫応答は、インターフェロン-ガンマ(IFN-γ)および/または腫瘍壊死因子アルファ(TNF-α)の誘導または分泌を含むことができる。他の実施形態では、誘導または誘発免疫応答は、抗原を発現する腫瘍またはがんの成長を促進する1つ以上の免疫抑制因子、例えば、これらに限定されないが、MHC提示を下方制御する因子、抗原特異的調節T細胞(Treg)、PD-L1、FasL、サイトカイン、例えば、IL-10およびTFG-β、腫瘍関連マクロファージ、腫瘍関連線維芽細胞を上方制御する因子を低減または阻害することができる。
【0202】
MAGEA4抗原は、それらを特に免疫原として有効にするタンパク質エピトープを含むことができ、これに対して抗MAGEA4免疫応答を誘導することができる。MAGEA4抗原は、完全長翻訳産物、そのバリアント、その断片、またはその組み合わせを含み得る。MAGEA4抗原は、コンセンサスタンパク質を含み得る。
【0203】
コンセンサスMAGEA4抗原をコードする核酸配列は、コドン使用および対応するRNA転写物に関して最適化され得る。コンセンサスMAGEA4抗原をコードする核酸は、発現のために最適化されたコドンおよびRNAであり得る。いくつかの実施形態では、コンセンサスMAGEA4抗原をコードする核酸配列は、翻訳の効率を増加させるために、コザック配列(例えばGCC ACC)を含み得る。コンセンサスMAGEA4抗原をコードする核酸は、翻訳終結の効率を増加させるために複数の終止コドン(例えばTGA TGA)を含み得る。
【0204】
(h)FSHR
卵胞刺激ホルモン受容体(FSHR)は、卵巣顆粒腫細胞内の女性において選択的に発現される抗原であり(Simoni et al.,Endocr Rev.1997,18:739-773)、卵巣内皮で低レベル発現される(Vannier et al.,Biochemistry,1996,35:1358-1366)。最も重要なことは、この表面抗原は、卵巣癌の50~70%で発現する。
【0205】
様々な実施形態では、FSHR抗原は、コンセンサスタンパク質またはコンセンサスタンパク質をコードする核酸分子を含む。FSHR抗原には、FSHR抗原に相同の配列、FSHR抗原の断片、およびFSHR抗原の断片に相同の配列を有するタンパク質が挙げられる。
【0206】
(i)腫瘍微小環境抗原
いくつかのタンパク質は、線維芽細胞活性化タンパク質(FAP)、血小板由来成長因子受容体ベータ(PDGFR-β)、およびグリピカン-1(GPC1)を含むがこれらに限定されない、腫瘍微小環境において過剰発現される。FAPは、ヒト癌の90%を超えるがん関連線維芽細胞において上方制御されるゼラチナーゼおよびペプチダーゼ活性を有する膜結合酵素である。PDGFR-βは、胚発生、血管新生、細胞増殖および分化を含む多くの生物学的プロセスの調節における役割を有する細胞表面チロシンキナーゼ受容体である。GPC1は、がん細胞で濃縮された細胞表面プロテオグリカンである。
【0207】
c.抗体
本明細書により詳細に記載される所望の抗原と結合または反応し得る抗体が、本明細書に提供される。抗体は、重鎖および軽鎖相補性決定領域(「CDR」)セットを含み得、それぞれ、CDRに支持を提供し、互いに対してCDRの空間関係を画定する重鎖および軽鎖フレームワーク(「FR」)セットの間に挿入される。CDRセットは、重鎖V領域または軽鎖V領域の3つの超可変領域を含み得る。重鎖または軽鎖のN末端から進行すると、これらの領域は、それぞれ、「CDR1」、「CDR2」、および「CDR3」と表される。したがって、抗原結合部位は、重鎖V領域および軽鎖V領域の各々からのCDRセットを含む6つのCDRを含み得る。
【0208】
抗体は、本発明の組成物を投与された対象において疾患または感染症に対し治療、予防、および/または保護することができる。抗体は、抗原と結合することによって、組成物を投与された対象において疾患または感染症に対し治療、予防、および/または保護することができる。抗体は、組成物を投与された対象において疾患の生存期間を促進することができる。一実施形態では、抗体は、抗体を投与されていない疾患を有する対象の予想される生存期間よりも、対象における疾患の増加した生存期間を提供することができる。様々な実施形態では、抗体は、組成物の不在下で予想される生存期間よりも、組成物を投与された対象における疾患の生存期間に少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%増加を提供することができる。一実施形態では、抗体は、抗体を投与されていない対象の予想される保護よりも、対象における疾患に対して増加した保護を提供することができる。様々な実施形態では、抗体は、組成物の不在下で予想される保護よりも、組成物を投与された対象の少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%における疾患に対して保護することができる。
【0209】
タンパク質分解酵素パパインは、IgG分子を優先的に切断していくつかの断片を得、そのうちの2つ(F(ab)断片)はそれぞれ、無傷の抗原結合部位を含む共有ヘテロ二量体を含む。酵素ペプシンは、IgG分子を切断して、両方の抗原結合部位を含むF(ab’)断片を含むいくつかの断片を提供することができる。したがって、抗体は、FabまたはF(ab’)であり得る。Fabは、重鎖ポリペプチドおよび軽鎖ポリペプチドを含み得る。Fabの重鎖ポリペプチドは、VH領域およびCH1領域を含み得る。Fabの軽鎖は、VL領域およびCL領域を含み得る。
【0210】
抗体は、免疫グロブリン(Ig)であり得る。Igは、例えば、IgA、IgM、IgD、IgE、およびIgGであり得る。免疫グロブリンは、重鎖ポリペプチドおよび軽鎖ポリペプチドを含み得る。免疫グロブリンの重鎖ポリペプチドは、VH領域、CH1領域、ヒンジ領域、CH2領域、およびCH3領域を含み得る。免疫グロブリンの軽鎖ポリペプチドは、VL領域およびCL領域を含み得る。
【0211】
抗体は、ポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体であり得る。抗体は、キメラ抗体、一本鎖抗体、親和性成熟抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、または完全ヒト抗体であり得る。ヒト化抗体は、非ヒト種由来の1つ以上の相補性決定領域(CDR)およびヒト免疫グロブリン分子由来のフレームワーク領域を有する所望の抗原と結合する非ヒト種由来の抗体であり得る。
【0212】
抗体は、本明細書により詳細に記載される二重特異性抗体であり得る。抗体は、また本明細書により詳細に記載される二機能性抗体であり得る。
【0213】
上に記載されるように、抗体は、組成物を対象に投与すると、対象において生成され得る。抗体は、対象内で半減期を有し得る。いくつかの実施形態では、抗体は、対象内のその半減期を延長または短縮するように修飾されてもよい。そのような修飾は、本明細書により詳細に記載される。
【0214】
抗体は、本明細書により詳細に記載されるように脱フコシル化され得る。
【0215】
抗体は、本明細書により詳細に記載されるように、抗原に関連する疾患の抗体依存性増強(ADE)を低減または予防するために修飾され得る。
【0216】
(1)核酸合成抗体
また、抗体を産生するために使用するための核酸配列抗体が本明細書に提供される。一実施形態において、抗体は、哺乳動物細胞中で産生され得るか、または細菌、酵母、およびウイルスベクターを含むDNAまたはRNAベクター中で送達され得る。
【0217】
一実施形態では、組成物は、抗体、その断片、そのバリアント、またはその組み合わせをコードする組換え核酸配列を含む。組成物は、それを必要とする対象に投与される場合、対象における合成抗体の生成をもたらすことができる。合成抗体は、対象に存在する標的分子(すなわち、抗原)と結合することができる。そのような結合は、抗原を中和し、別の分子、例えば、タンパク質または核酸による抗原の認識をブロックし、抗原に対する免疫応答を誘発または誘導することができる。
【0218】
一実施形態では、組成物は、合成抗体をコードするヌクレオチド配列を含む。一実施形態では、組成物は、第1の合成抗体をコードする第1のヌクレオチド配列および第2の合成抗体をコードする第2のヌクレオチド配列を含む核酸分子を含む。一実施形態では、核酸分子は、切断ドメインをコードするヌクレオチド配列を含む。
【0219】
組成物は、それを必要とする対象に投与される場合、体液性免疫応答を誘導するために抗原を投与される対象における内因性抗体の生成よりも、対象における合成抗体の生成をより迅速にもたらすことができる。組成物は、体液性免疫応答を誘導するために抗原を投与された対象における内因性抗体の生成の少なくとも約1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、または10日前に合成抗体の生成をもたらすことができる。
【0220】
組換え核酸配列は、異種核酸配列であり得る。組換え核酸配列は、1つ以上の異種核酸配列を含み得る。
【0221】
組換え核酸配列は、最適化核酸配列であり得る。そのような最適化は、抗体の免疫原性を増加または変化させることができる。最適化はまた、転写および/または翻訳を改善することができる。最適化は、以下:転写を増加させるための低GC含量リーダー配列、mRNA安定性およびコドン最適化、増加した翻訳のためのkozak配列(例えば、GCC ACC)の付加、シグナルペプチドをコードする免疫グロブリン(Ig)リーダー配列の付加、内部IRES配列の付加、ならびに可能な限りのcis作用配列モチーフ(すなわち、内部TATAボックス)の排除のうちの1つ以上を含み得る。
【0222】
組換え核酸配列コンストラクトは、重鎖ポリペプチド、その断片、そのバリアント、またはその組み合わせをコードする異種核酸配列を含み得る。組換え核酸配列コンストラクトは、軽鎖ポリペプチド、その断片、そのバリアント、またはその組み合わせをコードする異種核酸配列を含み得る。組換え核酸配列コンストラクトはまた、プロテアーゼまたはペプチダーゼ切断部位をコードする異種核酸配列も含み得る。組換え核酸配列コンストラクトはまた、内部リボソーム進入部位(IRES)をコードする異種核酸配列も含み得る。IRESは、ウイルスIRESまたは真核IRESのいずれかであり得る。組換え核酸配列コンストラクトは、各リーダー配列がシグナルペプチドをコードする1つ以上のリーダー配列を含み得る。組換え核酸配列コンストラクトは、1つ以上のプロモーター、1つ以上のイントロン、1つ以上の転写終結領域、1つ以上の開始コドン、1つ以上の終結もしくは停止コドン、および/または1つ以上のポリアデニル化シグナルを含み得る。組換え核酸配列コンストラクトはまた、1つ以上のリンカーまたはタグ配列を含み得る。タグ配列は、ヘマグルチニン(HA)タグをコードすることができる。
【0223】
発現すると、例えば、これらに限定されないが、細胞、生物、または哺乳動物において、重鎖ポリペプチドおよび軽鎖ポリペプチドは、合成抗体に組み立てることができる。特に、重鎖ポリペプチドおよび軽鎖ポリペプチドは、組み立てによって抗原に結合することができる合成抗体がもたらされるように互いに相互作用することができる。他の実施形態では、重鎖ポリペプチドおよび軽鎖ポリペプチドは、組み立てによって、本明細書に記載されるように組み立てられていない抗体と比較してより免疫原性である合成抗体がもたらされるように互いに相互作用することができる。さらに他の実施形態では、重鎖ポリペプチドおよび軽鎖ポリペプチドは、組み立てによって抗原に対する免疫応答を誘発または誘導することができる合成抗体がもたらされるように互いに相互作用することができる。
【0224】
5.ベクター
上に記載される組換え核酸配列コンストラクトは、1つ以上のベクターに配置することができる。1つ以上のベクターは、複製起点を含み得る。1つ以上のベクターは、プラスミド、バクテリオファージ、細菌人工染色体、または酵母人工染色体であり得る。1つ以上のベクターは、自己複製染色体外ベクター、または宿主ゲノムに統合するベクターのいずれかであり得る。
【0225】
ベクターは、これらに限定されないが、プラスミド、発現ベクター、組換えウイルス、組換え「裸のDNA」ベクターの任意の形態などを含む。「ベクター」は、細胞に感染、トランスフェクト、一時的または永久的に形質導入することができる核酸を含む。ベクターは、裸の核酸、またはタンパク質もしくは脂質と複合体化された核酸であり得ることが認識されるであろう。ベクターは任意に、ウイルスもしくは細菌核酸および/もしくはタンパク質、ならびに/または膜(例えば、細胞膜、ウイルス脂質エンベロープなど)を含む。ベクターは、これに限定されないが、DNAの断片が付着し、複製され得る、レプリコン(例えば、RNAレプリコン、バクテリオファージ)を含む。ベクターはよって、これらに限定されないが、RNA、自律自己複製環状または線状DNAまたはRNA(例えば、プラスミド、ウイルスなど、例えば、米国特許第5,217,879号を参照されたい)を含み、発現および非発現プラスミドの両方を含む。いくつかの実施形態では、ベクターは、直鎖DNA、酵素DNA、または合成DNAを含む。組換え微生物または細胞培養物が「発現ベクター」の宿主となるものとして記載される場合、これは、染色体外環状および線状DNAならびに宿主染色体(複数可)に組み込まれたDNAの両方を含む。ベクターが宿主細胞によって維持されている場合、ベクターは、自律構造として有糸分裂中に細胞によって安定に複製され得るか、または宿主のゲノム内に組み込まれるかのいずれかである。
【0226】
1つ以上のベクターは、異種発現コンストラクトであり得、これは一般的には、特定の遺伝子を標的細胞に導入するために使用されるプラスミドである。発現ベクターが細胞内に入ると、組換え核酸配列コンストラクトによってコードされる重鎖ポリペプチドおよび/または軽鎖ポリペプチドが、細胞転写および翻訳機構リボソーム複合体によって産生される。1つ以上のベクターは、多量の安定したメッセンジャーRNA、およびしたがってタンパク質を発現することができる。
【0227】
a.発現ベクター
1つ以上のベクターは、環状プラスミドまたは線状核酸であり得る。環状プラスミドおよび線状核酸は、適切な対象細胞における特定のヌクレオチド配列の発現を誘導することができる。組換え核酸配列コンストラクトを含む1つ以上のベクターは、キメラであり得、その構成要素のうちの少なくとも1つが、その他の構成要素のうちの少なくとも1つに対して異種であることを意味する。
【0228】
b.プラスミド
1つ以上のベクターは、プラスミドであり得る。プラスミドは、細胞を組換え核酸配列コンストラクトでトランスフェクトするために有用であり得る。プラスミドは、組換え核酸配列コンストラクトを対象に導入するために有用であり得る。プラスミドはまた、プラスミドが投与される細胞における遺伝子発現に十分に適し得る、制御配列を含み得る。
【0229】
プラスミドはまた、プラスミドを染色体外に維持し、細胞においてプラスミドの複数のコピーを産生するために、哺乳動物の複製起点を含み得る。プラスミドは、Invitrogen(San Diego,CA)からのpVAX、pCEP4、またはpREP4であり得、これは、Epstein Barrウイルス複製起点および核抗原EBNA-1コード領域を含み得、これは、統合なしに高コピーエピソーム複製を産生し得る。プラスミドの骨格は、pAV0242であり得る。プラスミドは、複製欠損アデノウイルス5型(Ad5)プラスミドであり得る。
【0230】
プラスミドは、Escherichia coli(E.coli)におけるタンパク質産生に使用され得る、pSE420(Invitrogen、San Diego,Calif.)であり得る。プラスミドはまた、酵母のSaccharomyces cerevisiae株におけるタンパク質産生に使用され得る、p YES2(Invitrogen、San Diego,Calif.)であり得る。プラスミドは、昆虫細胞におけるタンパク質産生に使用され得る、MAXBAC(商標)完全バキュロウイルス発現システム(Invitrogen、San Diego,Calif.)のものであり得る。プラスミドはまた、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞などの哺乳動物細胞におけるタンパク質産生に使用され得る、pcDNAIまたはpcDNA3(Invitrogen、San Diego,Calif.)であり得る。
【0231】
c.RNA
一実施形態では、核酸は、RNA分子である。一実施形態では、RNA分子は、本明細書に記載されるDNA配列から転写される。例えば、いくつかの実施形態では、RNA分子は、配列番号1、3、5、7、もしくはそのバリアント、またはその断片のうちの1つに少なくとも90%相同なDNA配列によってコードされる。したがって、一実施形態では、本発明は、MAbまたはDMAbのうちの1つ以上をコードするRNA分子を提供する。RNAは、プラス鎖であり得る。したがって、いくつかの実施形態では、RNA分子は、逆転写などの任意の介在複製ステップを必要とすることなく細胞によって翻訳することができる。本発明で有用なRNA分子は、5′キャップ(例えば、7-メチルグアノシン)を有し得る。このキャップは、RNAのインビボ翻訳を向上させることができる。本発明で有用なRNA分子の5′ヌクレオチドは、5′三リン酸基を有し得る。キャップRNAでは、これは、5′-5′架橋を介して7-メチルグアノシンに連結され得る。RNA分子は、3′ポリ-Aテールを有し得る。それはまた、その3′末端近くにポリ-Aポリメラーゼ認識配列(例えば、AAUAAA)を含み得る。本発明で有用なRNA分子は、一本鎖であり得る。本発明で有用なRNA分子は、合成RNAを含み得る。いくつかの実施形態では、RNA分子は、裸RNA分子である。一実施形態では、RNA分子は、ベクター内に含まれる。
【0232】
一実施形態では、RNAは、5’および3’UTRを有する。一実施形態では、5’UTRは、0~3000ヌクレオチド長である。コード領域に付加される5’および3’UTR配列の長さは、これらに限定されないが、UTRの異なる領域にアニールするPCRのプライマーを設計することを含む、異なる方法によって変更することができる。このアプローチを用いて、当業者は、転写されたRNAのトランスフェクション後の最適な翻訳効率を達成するために必要な5’および3’UTR長を修飾することができる。
【0233】
5’および3’UTRは、目的の遺伝子についての天然発生型、内因性5’および3’UTRであり得る。あるいは、目的の遺伝子に内因性ではないUTR配列は、UTR配列をフォワードおよびリバースプライマーに組み込むことによって、またはテンプレートの任意の他の修飾によって付加することができる。目的の遺伝子に内因性ではないUTR配列の使用は、RNAの安定性および/または翻訳効率を修飾するために有用であり得る。例えば、3’UTR配列におけるAU富化エレメントは、RNAの安定性を増加させることができることが知られている。したがって、3’UTRは、当該技術分野において周知であるUTRの特性に基づいて転写されたRNAの安定性を増加させるように選択または設計することができる。
【0234】
一実施形態では、5’UTRは、内因性遺伝子のKozak配列を含み得る。あるいは、目的の遺伝子に内因性ではない5’UTRが、上記のPCRによって付加されている場合、コンセンサスKozak配列は、5’UTR配列を付加することによって再設計することができる。Kozak配列は、いくつかのRNA転写物の翻訳の効率を増加させることができるが、全てのRNAについて効率的な転写を可能にするために必要とされるわけではないようである。多くのRNAのKozak配列の要件は、当該技術分野において知られている。他の実施形態では、5’UTRは、RNAウイルスに由来し得、このRNAゲノムは、細胞において安定である。他の実施形態では、様々なヌクレオチド類似体は、RNAのエキソヌクレアーゼ分解を妨げるために3’または5’UTRにおいて使用することができる。
【0235】
一実施形態では、RNAは、5’末端および3’ポリ(A)テールの両方にキャップを有し、これは、リボソーム結合、翻訳の開始、および細胞におけるRNAの安定性を決定する。
【0236】
一実施形態では、RNAは、ヌクレオシド修飾RNAである。ヌクレオシド修飾RNAは、例えば、安定性の増加、自然免疫原性の低さまたは不在、および翻訳の向上を含む、非修飾RNAに対する特定の利点を有する。
【0237】
d.環状および線状ベクター
1つ以上のベクターは、細胞ゲノムへの統合によって標的細胞を形質転換するか、または染色体外に存在し得る、1つ以上の環状プラスミド(例えば、複製起点を有する自律複製プラスミド)であり得る。ベクターは、pVAX、pcDNA3.0、もしくはprovaxであるか、または組換え核酸配列コンストラクトによってコードされる重鎖ポリペプチドおよび/もしくは軽鎖ポリペプチドを発現することができる任意の他の発現ベクターであり得る。
【0238】
エレクトロポレーションを介して対象に効率的に送達し、かつ組換え核酸配列コンストラクトによってコードされる重鎖ポリペプチドおよび/または軽鎖ポリペプチドを発現することができる、線状核酸、または線状発現カセット(「LEC」)もまた本明細書に提供される。LECは、リン酸骨格が全くない任意の線状DNAであり得る。LECは、任意の抗生物質耐性遺伝子および/またはリン酸骨格を含まない場合がある。LECは、所望の遺伝子発現に関連していない他の核酸配列を含まない場合がある。
【0239】
LECは、線状化することができる任意のプラスミドに由来し得る。プラスミドは、組換え核酸配列コンストラクトによってコードされる重鎖ポリペプチドおよび/または軽鎖ポリペプチドを発現することができる場合がある。プラスミドは、pNP(Puerto Rico/34)またはpM2(New Caledonia/99)であり得る。プラスミドは、WLV009、pVAX、pcDNA3.0、もしくはprovaxであるか、または組換え核酸配列コンストラクトによってコードされる重鎖ポリペプチドおよび/もしくは軽鎖ポリペプチドを発現することができる任意の他の発現ベクターであり得る。
【0240】
LECは、pcrM2であり得る。LECは、pcrNPであり得る。pcrNPおよびpcrMRは、それぞれ、pNP(Puerto Rico/34)およびpM2(New Caledonia/99)に由来し得る。
【0241】
e.ウイルスベクター
一実施形態では、本発明の核酸を細胞に送達することができるウイルスベクターが本明細書において提供される。発現ベクターは、ウイルスベクターの形態で細胞に提供され得る。ウイルスベクター技術は、当該技術分野において周知であり、例えば、Sambrook et al.(2001)、およびAusubel et al.(1997)、ならびに他のウイルス学および分子生物学マニュアルに記載される。ベクターとして有用であるウイルスは、これらに限定されないが、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ関連ウイルス、ヘルペスウイルス、およびレンチウイルスを含む。一般に、適切なベクターは、少なくとも1つの生物において機能的な複製起点、プロモーター配列、便利な制限エンドヌクレアーゼ部位、および1つ以上の選択可能なマーカーを含む。(例えば、WO01/96584、WO01/29058、および米国特許第6,326,193号を参照されたい。)ウイルスベクター、および特にレトロウイルスベクターは、哺乳動物、例えば、ヒト細胞に遺伝子を挿入するための最も広く使用される方法となっている。他のウイルスベクターは、レンチウイルス、ポックスウイルス、単純ヘルペスウイルスI、アデノウイルスおよびアデノ関連ウイルスなどに由来し得る。例えば、米国特許第5,350,674号および5,585,362号を参照されたい。
【0242】
f.ベクターを調製する方法
組換え核酸配列コンストラクトが配置されている1つ以上のベクターを調製するための方法が本明細書に提供される。最終サブクローニングステップ後、ベクターは、当該技術分野における既知の方法を用いて、大規模発酵タンクにおける細胞培養物を接種するために使用することができる。
【0243】
他の実施形態では、最終サブクローニングステップ後、ベクターは、1つ以上のエレクトロポレーション(EP)デバイスで使用することができる。EPデバイスは、本明細書でより詳細に本明細書に記載される。
【0244】
1つ以上のベクターは、既知のデバイスおよび技法の組み合わせを用いて製剤化または製造することができ、2007年5月23日に出願された、米国仮特許出願米国特許出願第60/939,792号に記載されるプラスミド製造技法を用いて製造され得る。いくつかの例では、本明細書に記載されるDNAプラスミドは、10mg/mL以上の濃度で製剤化することができる。製造技術はまた、2007年7月3日に発行された、米国特許第7,238,522号に記載されるものを含む、米国特許出願第60/939792号に記載されるものに加えて、当業者に一般に知られている様々なデバイスおよびプロトコルを含むか、または組み込む。上記の出願および特許、それぞれ米国特許出願第60/939,792号および米国特許第7,238,522号は、それらの全体において本明細書に組み込まれる。
【0245】
6.合成抗体の生成方法
本発明はまた、合成抗体の生成方法に関する。方法は、組成物を、それを必要とする対象に、本明細書により詳細に記載される送達方法を使用することによって投与することを含み得る。したがって、合成抗体は、対象に組成物を投与すると、対象においてまたはインビボで生成される。
【0246】
方法はまた、組成物を1つ以上の細胞に導入することを含み得、したがって、合成抗体は、1つ以上の細胞内で生成または産生され得る。方法は、組成物を1つ以上の組織、例えば、これらに限定されないが、皮膚および筋肉に導入することをさらに含み得、したがって、合成抗体は、1つ以上の組織において生成または産生され得る。
【0247】
7.組成物の賦形剤および他の構成成分
組成物は、薬学的に許容される賦形剤をさらに含み得る。薬学的に許容される賦形剤は、ビヒクル、アジュバント、担体、または希釈剤などの機能的分子であり得る。薬学的に許容される賦形剤は、トランスフェクション促進剤であり得、これは、免疫刺激複合体(ISCOMS)などの表面活性剤、フロイント不完全アジュバント、モノホスホリル脂質Aを含むLPS類似体、ムラミルペプチド、キノン類似体、スクアレンおよびスクアレンなどの小胞、ヒアルロン酸、脂質、リポソーム、カルシウムイオン、ウイルスタンパク質、ポリアニオン、ポリカチオン、もしくはナノ粒子、または他の既知のトランスフェクション促進剤を含み得る。
【0248】
トランスフェクション促進剤は、ポリ-L-グルタミン酸(LGS)を含む、ポリアニオン、ポリカチオン、または脂質である。トランスフェクション促進剤は、ポリ-L-グルタミン酸であり、ポリ-L-グルタミン酸は、組成物中に6mg/ml未満の濃度で存在し得る。トランスフェクション促進剤はまた、免疫刺激複合体(ISCOMS)などの表面活性剤、フロイント不完全アジュバント、モノホスホリル脂質Aを含むLPS類似体、ムラミルペプチド、キノン類似体、ならびにスクアレンおよびスクアレンなどの小胞を含み得、ヒアルロン酸はまた、組成物と共に投与されて使用され得る。組成物はまた、脂質などのトランスフェクション促進剤、レシチンリポソームもしくは、DNA-リポソーム混合物(例えば、W09324640を参照されたい)として、当該技術分野で知られている他のリポソームを含む、リポソーム、カルシウムイオン、ウイルスタンパク質、ポリアニオン、ポリカチオン、もしくはナノ粒子、または他の既知のトランスフェクション促進剤を含み得る。トランスフェクション促進剤は、ポリ-L-グルタミン酸(LGS)を含む、ポリアニオン、ポリカチオン、または脂質である。組成物中のトランスフェクション剤の濃度は、4mg/ml未満、2mg/ml未満、1mg/ml未満、0.750mg/ml未満、0.500mg/ml未満、0.250mg/ml未満、0.100mg/ml未満、0.050mg/ml未満、または0.010mg/ml未満である。
【0249】
薬学的に許容される賦形剤は、本発明のチェックポイント阻害剤抗体に加えてアジュバントであり得る。追加のアジュバントは、代替的なプラスミドで発現されるか、または組成物において上記のプラスミドと組み合わせてタンパク質として送達される他の遺伝子であり得る。アジュバントは、α-インターフェロン(IFN-α)、β-インターフェロン(IFN-β)、γ-インターフェロン、血小板由来増殖因子(PDGF)、TNFα、TNFβ、GM-CSF、表皮増殖因子(EGF)、皮膚T細胞誘引ケモカイン(CTACK)、上皮胸腺発現ケモカイン(TECK)、粘膜関連上皮ケモカイン(MEC)、IL-12、IL-15、MHC、CD80、シグナル配列が削除され、任意選択的にIgEからのシグナルペプチドを含むIL-15を含むCD86からなる群から選択され得る。アジュバントは、IL-12、IL-15、IL-28、CTACK、TECK、血小板由来増殖因子(PDGF)、TNFα、TNFβ、GM-CSF、表皮増殖因子(EGF)、IL-1、IL-2、IL-4、IL-5、PD-1、IL-10、IL-12、IL-18、またはそれらの組み合わせであり得る。
【0250】
本発明の抗体に加えて有用なアジュバントとなり得る他の遺伝子には、以下をコードするものが含まれる:MCP-1、MIP-1a、MIP-1p、IL-8、RANTES、L-セレクチン、P-セレクチン、E-セレクチン、CD34、GlyCAM-1、MadCAM-1、LFA-1、VLA-1、Mac-1、pl50.95、PECAM、ICAM-1、ICAM-2、ICAM-3、CD2、LFA-3、M-CSF、G-CSF、IL-4、IL-18の変異形態、CD40、CD40L、血管増殖因子、線維芽細胞増殖因子、IL-7、IL-22、神経増殖因子、血管内皮増殖因子、Fas、TNF受容体、Flt、Apo-1、p55、WSL-1、DR3、TRAMP、Apo-3、AIR、LARD、NGRF、DR4、DR5、KILLER、TRAIL-R2、TRICK2、DR6、カスパーゼICE、Fos、c-jun、Sp-1、Ap-1、Ap-2、p38、p65Rel、MyD88、IRAK、TRAF6、IkB、非アクティブNIK、SAP K、SAP-1、JNK、インターフェロン応答遺伝子、NFkB、Bax、TRAIL、TRAILrec、TRAILrecDRC5、TRAIL-R3、TRAIL-R4、RANK、RANKリガンド、Ox40、Ox40リガンド、NKG2D、MICA、MICB、NKG2A、NKG2B、NKG2C、NKG2E、NKG2F、TAP1、TAP2、およびそれらの機能的フラグメント。
【0251】
組成物は、参照により完全に組み込まれる、1994年4月1日に出願された米国特許出願第021,579号に記載される遺伝子促進剤をさらに含み得る。
【0252】
組成物は、DNAを約1ナノグラム~100ミリグラム、約1マイクログラム~約10ミリグラム、または好ましくは約0.1マイクログラム~約10ミリグラム、またはより好ましくは約1ミリグラム~約2ミリグラムの量で含み得る。いくつかの好ましい実施形態では、本発明による組成物は、約5ナノグラム~約1000マイクログラムのDNAを含む。いくつかの好ましい実施形態では、組成物は、約10ナノグラム~約800マイクログラムのDNAを含み得る。いくつかの好ましい実施形態では、組成物は、約0.1~約500マイクログラムのDNAを含み得る。いくつかの好ましい実施形態では、組成物は、約1~約350マイクログラムのDNAを含み得る。いくつかの好ましい実施形態では、組成物は、約25~約250マイクログラム、約100~約200マイクログラム、約1ナノグラム~100ミリグラム、約1マイクログラム~約10ミリグラム、約0.1マイクログラム~約10ミリグラム、約1ミリグラム~約2ミリグラム、約5ナノグラム~約1000マイクログラム、約10ナノグラム~約800マイクログラム、約0.1~約500マイクログラム、約1~約350マイクログラム、約25~約250マイクログラム、約100~約200マイクログラムのDNAを含み得る。
【0253】
組成物は、使用される投与の様式に従って製剤化され得る。注射可能な薬学的組成物は、滅菌、パイロジェンフリー、および無粒子であり得る。等張性製剤または溶液が使用され得る。等張性のための添加剤は、塩化物、デキストロース、マンニトール、ソルビトール、およびラクトースを含み得る。組成物は、血管収縮剤を含み得る。等張性溶液は、リン酸緩衝生理食塩水を含み得る。組成物は、ゼラチンおよびアルブミンを含む安定化剤をさらに含み得る。安定化剤は、LGSまたはポリカチオンもしくはポリアニオンを含む製剤が室温または周囲温度で長時間にわたって安定であることを可能にし得る。
【0254】
8.インビボ翻訳後修飾の方法
本発明はまた、対象における合成タンパク質を翻訳後修飾する方法に関する。対象における合成タンパク質の翻訳後修飾は、生物学的に活性なタンパク質を提供することによって対象における疾患を治療および/または予防するために使用することができる。方法は、本明細書に開示される組成物を対象に投与することを含み得る。組成物を投与された対象は、翻訳後修飾なしで投与された対象と比較して増加または増強されたタンパク質活性を有することができる。いくつかの実施形態では、タンパク質活性は、約0.5倍~約15倍、約0.5倍~約10倍、または約0.5倍~約8倍増加させることができる。あるいは、組成物が投与された対象におけるタンパク質活性は、少なくとも約0.5倍、少なくとも約1.0倍、少なくとも約1.5倍、少なくとも約2.0倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約3.0倍、少なくとも約3.5倍、少なくとも約4.0倍、少なくとも約4.5倍、少なくとも約5.0倍、少なくとも約5.5倍、少なくとも約6.0倍、少なくとも約6.5倍、少なくとも約7.0倍、少なくとも約7.5倍、少なくとも約8.0倍、少なくとも約8.5倍、少なくとも約9.0倍、少なくとも約9.5倍、少なくとも約10.0倍、少なくとも約10.5倍、少なくとも約11.0倍、少なくとも約11.5倍、少なくとも約12.0倍、少なくとも約12.5倍、少なくとも約13.0倍、少なくとも約13.5倍、少なくとも約14.0倍、少なくとも約14.5倍、または少なくとも約15.0倍増加させることができる。
【0255】
さらに他の代替の実施形態では、組成物が投与された対象におけるタンパク質活性は、約50%~約1500%、約50%~約1000%、または約50%~約800%増加させることができる。他の実施形態では、組成物が投与された対象におけるタンパク質活性は、少なくとも約50%、少なくとも約100%、少なくとも約150%、少なくとも約200%、少なくとも約250%、少なくとも約300%、少なくとも約350%、少なくとも約400%、少なくとも約450%、少なくとも約500%、少なくとも約550%、少なくとも約600%、少なくとも約650%、少なくとも約700%、少なくとも約750%、少なくとも約800%、少なくとも約850%、少なくとも約900%、少なくとも約950%、少なくとも約1000%、少なくとも約1050%、少なくとも約1100%、少なくとも約1150%、少なくとも約1200%、少なくとも約1250%、少なくとも約1300%、少なくとも約1350%、少なくとも約1450%、または少なくとも約1500%増加させることができる。
【0256】
用量は、1μg~10mgの活性成分/kg体重/回であり得、20μg~10mgの成分/kg体重/回であり得る。組成物は、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、22日、23日、24日、25日、26日、27日、28日、29日、30日、または31日ごとに投与され得る。有効な治療のための用量の数は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10であり得る。
【0257】
9.組成物の送達方法
本発明はまた、組成物をそれを必要とする対象に送達する方法に関する。送達方法は、組成物を対象に投与することを含み得る。投与は、これらに限定されないが、インビボエレクトロポレーションを伴う、および伴わないDNA注入、リポソーム媒介送達、ならびにナノ粒子促進送達を含み得る。
【0258】
組成物の送達を受ける哺乳動物は、ヒト、霊長類、非ヒト霊長類、ウシ(cow)、ウシ(cattle)、ヒツジ、ヤギ、アンテロープ、バイソン、スイギュウ、バイソン、ウシ(bovid)、シカ、ハリネズミ、ゾウ、ラマ、アルパカ、マウス、ラット、およびニワトリであり得る。
【0259】
組成物は、経口、非経口、舌下、経皮、直腸、経粘膜、局所、吸入を介した、口腔内投与を介した、胸腔内、静脈内、動脈内、腹腔内、皮下、筋肉内、鼻腔内、鼻腔内、髄腔内、および関節内、またはそれらの組み合わせを含む、異なる経路によって投与され得る。獣医学的使用のために、組成物は、通常の獣医学的診療に従って、適切に許容される製剤として投与され得る。獣医は、特定の動物に最も適切な投与レジメンおよび投与経路を容易に決定することができる。組成物は、従来のシリンジ、無針注射デバイス、「微粒子衝撃遺伝子銃(microprojectile bombardment gone gun)」、またはエレクトロポレーション(「EP」)、「流体力学的方法」、もしくは超音波などの他の物理的方法によって投与されてもよい。
【0260】
a.エレクトロポレーション
エレクトロポレーションを介した組成物の投与は、可逆的な孔を細胞膜内に形成させるのに有効なエネルギーのパルスを、哺乳動物の所望の組織に送達するように構成され得るエレクトロポレーションデバイスを使用して達成することができ、好ましくは、エネルギーのパルスは、使用者による予め設定された電流入力と同様の定電流である。エレクトロポレーションデバイスは、エレクトロポレーション構成要素および電極アセンブリまたはハンドルアセンブリを備え得る。エレクトロポレーション構成要素は、コントローラ、電流波形発生器、インピーダンステスタ、波形ロガー、入力エレメント、状態報告エレメント、通信ポート、メモリ構成要素、電源、および電源スイッチを含む、エレクトロポレーションデバイスの様々なエレメントのうちの1つ以上を含み、組み込み得る。エレクトロポレーションは、プラスミドによる細胞のトランスフェクションを容易にするために、インビボエレクトロポレーションデバイス、例えば、CELLECTRA EPシステム(Inovio Pharmaceuticals、Plymouth Meeting,PA)またはElgenエレクトロポレータ(Inovio Pharmaceuticals、Plymouth Meeting,PA)を使用して達成され得る。
【0261】
エレクトロポレーション構成要素は、エレクトロポレーションデバイスの1つのエレメントとして機能し得、他のエレメントは、エレクトロポレーション構成要素と通信する別個のエレメント(または構成要素)である。エレクトロポレーション構成要素は、エレクトロポレーションデバイスの2つ以上のエレメントとして機能し得、エレクトロポレーション構成要素とは別個のエレクトロポレーションデバイスのさらに他のエレメントと通信し得る。1つの電気機械デバイスまたは機械デバイスの一部として存在するエレクトロポレーションデバイスのエレメントは、エレメントが1つのデバイスとして、または互いに通信する別個のエレメントとして機能することができるため、限定されなくてもよい。エレクトロポレーション構成要素は、所望の組織内に定電流を生成するエネルギーのパルスを送達することが可能であってもよく、フィードバックメカニズムを含む。電極アセンブリは、空間的に配置された複数の電極を有する電極アレイを含んでよく、電極アセンブリは、エレクトロポレーション構成要素からエネルギーのパルスを受信し、電極を通じて所望の組織にそれを送達する。複数の電極のうちの少なくとも1つは、エネルギーのパルスの送達中に中性であり、所望の組織のインピーダンスを測定し、そのインピーダンスをエレクトロポレーションコンポーネントに伝達する。フィードバックメカニズムは、測定されたインピーダンスを受信し得、エレクトロポレーション構成要素によって送達されるエネルギーのパルスを調節して、定電流を維持することができる。
【0262】
複数の電極は、分散パターンでエネルギーのパルスを送達し得る。複数の電極は、プログラムされた配列下で電極の制御を通じて分散パターンのエネルギーのパルスを送達し得、プログラムされた配列は、使用者によってエレクトロポレーション構成要素に入力される。プログラムされた配列は、配列中に送達される複数のパルスを含んでもよく、複数のパルスの各パルスは、インピーダンスを測定する1つの中性電極を有する少なくとも2つの活性電極によって送達され、複数のパルスのその後のパルスは、インピーダンスを測定する1つの中性電極を有する少なくとも2つの活性電極のうちの異なる1つによって送達される。
【0263】
フィードバックメカニズムは、ハードウェアまたはソフトウェアのいずれかによって実行され得る。フィードバックメカニズムは、アナログ閉ループ回路によって実行され得る。フィードバックは、50μs、20μs、10μs、または1μs毎に発生するが、好ましくは、リアルタイムフィードバックまたは即時(すなわち、応答時間を決定するための利用可能な技法によって決定されるように実質的に即時)である。中性電極は、所望の組織内のインピーダンスを測定し、フィードバックメカニズムにインピーダンスを伝達し得、フィードバックメカニズムは、インピーダンスに応答し、定電流を予め設定された電流と同様の値に維持するためにエネルギーパルスを調節する。フィードバックメカニズムは、エネルギーのパルスの送達中に連続的かつ即時的に定電流を維持し得る。
【0264】
本発明の組成物の送達を促進し得るエレクトロポレーションデバイスおよびエレクトロポレーション方法の例には、Draghia-Akliらによる米国特許第7,245,963号、Smithらによって提出された米国特許公開第2005/0052630号に記載されるものを含み、それらの内容は、それらの全体において参照により本明細書に組み込まれる。組成物の送達を促進するために使用され得る他のエレクトロポレーションデバイスおよびエレクトロポレーション方法は、米国特許法第119条(e)下で、2006年10月17年に出願された、米国仮特許出願第60/852,149号、および2007年10月10日に出願された、同第60/978,982号の優先権を主張する、2007年10月17日に出願された、同時係属中の、共同所有される米国特許出願第11/874072号に提供されるものを含み、これらの全ては、それらの全体において本明細書に組み込まれる。
【0265】
Draghia-Akliらによる米国特許第7,245,963号は、モジュラー電極システムと、生体または植物の選択された組織の細胞への生体分子の導入を促進するためのそれらの使用について記載している。モジュラー電極システムは、複数の針電極、皮下針、プログラム可能な定電流パルスコントローラから複数の針電極までの導電リンクを提供する電気コネクタ、および電源を含み得る。オペレータは、支持構造に取り付けられた複数の針電極をつかみ、それらを生体または植物の選択された組織にしっかりと挿入することができる。次いで、生体分子は皮下注射針を介して選択された組織に送達される。プログラム可能な定電流パルスコントローラが作動し、定電流電気パルスが複数の針電極に印加される。印加された定電流電気パルスは、複数の電極間の細胞への生体分子の導入を促進する。米国特許第7,245,963号の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0266】
Smithらによって提出された米国特許公開第2005/0052630号は、体内または植物内の選択された組織の細胞への生体分子の導入を効果的に容易にするために使用され得るエレクトロポレーションデバイスを記載している。エレクトロポレーションデバイスは、その操作がソフトウェアまたはファームウェアによって特定される電気運動装置(「EKD装置」)を含む。EKDデバイスは、ユーザ制御とパルスパラメータの入力に基づいて、アレイ内の電極間に一連のプログラム可能な定電流パルスパターンを産生し、電流波形データの保存及び取得を可能にする。エレクトロポレーションデバイスはまた、針電極のアレイを有する交換可能な電極ディスク、注射針用の中央注射チャネル、および取り外し可能なガイドディスクを含む。米国特許公開第2005/0052630号の全体の内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0267】
米国特許第7,245,963号および米国特許公開第2005/0052630号に記載される電極アレイおよび方法は、筋肉などの組織だけでなく、他の組織または器官への深部浸透のために適合され得る。電極アレイの構成のため、注射針(選択した生体分子を送達するため)も標的器官中に完全に挿入され、注射は、電極によって予め線引きされた領域で標的組織に垂直に投与される。米国特許第7,245,963号および米国特許第2005/005263号に記載される電極は、好ましくは長さ20mmおよび21ゲージである。
【0268】
加えて、エレクトロポレーションデバイスおよびその使用を組み込むいくつかの実施形態で企図されるものには、以下の特許に記載されるものであるエレクトロポレーションデバイスがある:1993年12月28日に発行された米国特許第5,273,525号、2000年8月29日に発行された米国特許第6,110,161号、2001年7月17日に発行された第6,261,281号、および2005年10月25日に発行された第6,958,060号、および2005年9月6日に発行された米国特許第6,939,862号。さらに、様々なデバイスのうちのいずれかを用いるDNAの送達に関する、2004年2月24日に発行された米国特許第6,697,669号、およびDNAを注射する方法に注目した、2008年2月5日に発行された米国特許第7,328,064号で提供される主題を包含する特許が、本明細書において企図される。上記の特許は、それらの全体が参照により組み込まれる。
【0269】
10.治療方法
本明細書に記載される1つ以上の組成物を投与することによって、疾患、障害または感染症を治療、保護、および/または予防することを必要とする対象においてそれらを行う方法もまた本明細書に提供される。一実施形態では、方法は、合成タンパク質が対象において生成されるように、1つ以上の合成タンパク質コンストラクトを投与することを含む。一実施形態では、本方法は、分泌タンパク質または合成抗原が免疫系によって異物として認識されるように、1つ以上の遺伝子コンストラクトおよびタンパク質を投与することを含み、免疫系は、1つ以上の抗原に対して作られた抗体を含むことができる免疫応答を組み込む。一実施形態において、方法は、1つ以上のDMAbコンストラクトを投与することを含む。一実施形態において、方法は、1つ以上の修飾タンパク質コンストラクトを投与することを含む。
【0270】
一実施形態では、合成タンパク質をコードする核酸および修飾タンパク質をコードする核酸を投与することは、生物学的に活性な翻訳後修飾された合成タンパク質を提供する。方法は、組成物を対象に投与することを含み得る。対象への組成物の投与は、上に記載される送達方法を使用して行われ得る。
【0271】
一態様では、本発明は、疾患または障害を治療、保護、および/または予防する方法を提供し、合成タンパク質は、疾患または障害を治療する。ある特定の実施形態では、本発明は、HIVウイルス感染症を治療、保護、および/または予防する方法を提供する。一実施形態では、方法は、HIVに関連する疾患を治療、保護、および/または予防する。一実施形態では、HIVを治療または予防する方法は、合成eCD4-Igタンパク質をコードする核酸、および本明細書の他の箇所に記載されるTPST2をコードする核酸を投与することを含む。
【0272】
対象における合成タンパク質および修飾タンパク質の生成時、修飾抗体は、合成タンパク質を翻訳後修飾することができる。そのような修飾は、合成タンパク質の酵素、結合、または抗原提示活性を活性化し、それによって対象において疾患を治療、保護、および/または予防することができる。
【0273】
組成物用量は、1μg~10mgの活性成分/kg体重/回であり得、20μg~10mgの成分/kg体重/回であり得る。組成物は、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、22日、23日、24日、25日、26日、27日、28日、29日、30日、または31日ごとに投与され得る。有効な治療のための組成物用量の数は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10であり得る。
【0274】
組成物は、タンパク質をコードする1個以上、2個以上、3個以上、4個以上、5個以上、6個以上、7個以上、8個以上、9個以上、または10個以上の核酸を含み得る。組成物は、修飾タンパク質をコードする1個以上、2個以上、3個以上、4個以上、5個以上、6個以上、7個以上、8個以上、9個以上、または10個以上の核酸を含み得る。
【0275】
合成タンパク質をコードする核酸および修飾タンパク質をコードする核酸は、同時にまたは異なる時間に投与され得る。一実施形態では、合成タンパク質をコードする核酸および修飾タンパク質をコードする核酸は、同時に投与される。一実施形態では、合成タンパク質をコードする核酸は、修飾タンパク質をコードする核酸の前に投与される。一実施形態では、修飾タンパク質をコードする核酸は、合成タンパク質をコードする核酸の前に投与される。
【0276】
ある特定の実施形態において、合成タンパク質をコードする核酸は、修飾タンパク質をコードする核酸が投与されてから1日以上、2日以上、3日以上、4日以上、5日以上、6日以上、7日以上、8日以上、9日以上、10日以上、11日以上、12日以上、13日以上、または14日以上後に投与される。ある特定の実施形態では、合成タンパク質をコードする核酸は、修飾タンパク質をコードする核酸が投与されてから1週間以上、2週間以上、3週間以上、4週間以上、5週間以上、6週間以上、7週間以上、8週間以上、9週間以上、または10週間以上後に投与される。ある特定の実施形態において、合成タンパク質をコードする核酸は、修飾タンパク質をコードする核酸が投与されてから1ヶ月以上、2ヶ月以上、3ヶ月以上、4ヶ月以上、5ヶ月以上、6ヶ月以上、7ヶ月以上、8ヶ月以上、9ヶ月以上、10ヶ月以上、11ヶ月以上、または12ヶ月以上後に投与される。
【0277】
ある特定の実施形態において、修飾タンパク質をコードする核酸は、合成タンパク質をコードする核酸が投与されてから1日以上、2日以上、3日以上、4日以上、5日以上、6日以上、7日以上、8日以上、9日以上、10日以上、11日以上、12日以上、13日以上、または14日以上後に投与される。ある特定の実施形態では、修飾タンパク質をコードする核酸は、合成タンパク質をコードする核酸が投与されてから1週間以上、2週間以上、3週間以上、4週間以上、5週間以上、6週間以上、7週間以上、8週間以上、9週間以上、または10週間以上後に投与される。ある特定の実施形態において、修飾タンパク質をコードする核酸は、合成タンパク質をコードする核酸が投与されてから、1ヶ月以上、2ヶ月以上、3ヶ月以上、4ヶ月以上、5ヶ月以上、6ヶ月以上、7ヶ月以上、8ヶ月以上、9ヶ月以上、10ヶ月以上、11ヶ月以上、または12ヶ月以上後に投与される。
【0278】
ある特定の実施形態では、修飾タンパク質をコードする核酸および合成タンパク質をコードする核酸は、1回投与される。ある特定の実施形態では、修飾タンパク質をコードする核酸および/または合成タンパク質をコードする核酸は、2回以上投与される。ある特定の実施形態では、修飾タンパク質をコードする核酸および合成タンパク質をコードする核酸の投与は、即時、持続的、および全身的免疫応答を提供する。
【0279】
組成物用量は、1μg~10mgの活性成分/kg体重/回であり得、20μg~10mgの成分/kg体重/回であり得る。組成物は、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、22日、23日、24日、25日、26日、27日、28日、29日、30日、または31日ごとに投与され得る。有効な治療のための組成物用量の数は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10であり得る。
【実施例
【0280】
実施例1:エレクトロポレーションによる合成DNA送達は、広範に中和する抗HIVイムノアドヘシンECD4-IGの強固なインビボ硫酸化を促進する
HEK293T細胞のトランスフェクションは、インビトロでのReCD4-Igの発現および分泌を可能にする
N末端IgGカッパリーダー配列を有するReCD4-Igをコードする導入遺伝子を設計し、次いでデノボで合成し、pGX00001骨格プラスミドにクローニングした。導入遺伝子ヌクレオチド配列を、マウスおよびヒトならびにmRNA転写産物構造および安定性の両方におけるコドンバイアスについて最適化した(Graf et al.,2004;Patel et al.,2017)。N末端IgGリーダー配列は、導入遺伝子の小胞体への標的化を容易にするために組み込まれ、分泌を促進する。(Haryadi et al.,2015)。ReCD4-Igの強固な発現が、細胞溶解物および上清中で観察された(図1A~B)。抗ヒトIgGによるトランスフェクト上清のウェスタンブロットは、トランスフェクト細胞によるReCD4-Igの分泌を裏付けている(図1C)。
【0281】
DNAコードReCD4-IgおよびTPST2バリアントによるHEK293T細胞の共トランスフェクションにより、ReCD4-Igのインビトロ硫酸化が可能になる
チロシン硫酸化は、特定のチロシルタンパク質スルホトランスフェラーゼ(TPST)酵素の独自の集合によって触媒される特定の翻訳後修飾である。ヒトには、2つの異なるTPSTアイソフォーム(TPST1およびTPST2)が存在する。それらの機能は完全には理解されていないが、これらの酵素は、タンパク質半減期の修飾、タンパク質処理、およびタンパク質-タンパク質相互作用の修飾を含むいくつかの重要なタンパク質生物学的活性化の変化に関与する。関連性として、CCR5の硫酸化は、細胞表面におけるHIV結合および侵入修飾において重要な役割を果たす。生物学的折り畳み、eCD4-Igの結合、およびgp120に対する活性に重要なReCD4-Igが硫酸化されるように誘導され得るかどうかを決定するために、HEK293T細胞を、プラスミドをコードするReCD4-Ig(p-ReCD4-Ig)、ならびにp-TPST2、p-IgE-TPST2、p-ΔTM-TPST2、およびp-HS3SAをコードする4つの異なるヒト酵素コンストラクトで共トランスフェクトした。ReCD4-Igは、IgGリーダー配列による翻訳プロセスの初期に分泌経路を標的とするため、ReCD4-Igのチロシン硫酸化は、TPST2バリアントが細胞分泌区画のうちの少なくとも1つで発現される場合にのみ生じるべきである。TPST2を右細胞下区画に標的化する能力を強調するために、HEK293T細胞をp-ReCD4-IgおよびTPST2酵素バリアントをコードするプラスミドで共トランスフェクトした。P-IgE-TPST2は、TPST2の上流に組み込まれたIgEリーダー配列を有するコンストラクトであり、IgEリーダー配列が翻訳中にTPST2の小胞体への輸送を容易にするため、ReCD4-Igを硫酸化することが予測された。膜貫通(TM)モチーフ、p-ΔTM-TPST2に欠失を有する第2のTPST2コンストラクトは、硫酸ReCD4-IgがTPST2を分泌区画に標的化するのに必要なシグナルアンカー配列を除去するため、ReCD4-Igを硫酸化するとは予測されなかった。最後に、対照プラスミド、p-HS3SAを試験した。HS3SAは、硫酸基をヘパリン硫酸塩に移行することができ、TPST2と比較して同様の触媒部位を有するゴルジ耐性酵素である(Teramoto et al.,2013)。様々な用量のDNAにコードされた酵素(1:5000~1:20、酵素:ReCD4-Ig)を使用して、ReCD4-Igの硫酸化を最大化するために必要な酵素の最小用量を決定した。細胞上清に抗スルホチロシン結合ELISAを使用して、ベースラインのReCD4-Ig単独群と比較して、1:5000の最低酵素用量であってもTPST2およびIgE-TPST2群の両方においてより高い硫酸化が観察された(図1D)。さらに、TPST2およびIgE-TPST2の両方において、硫酸化シグナルは顕著な1:1000酵素用量で飽和し、より高い用量のDNAにコードされた酵素は、硫酸化の増加に寄与しなかった。比較すると、仮説と一致して、ΔTM-TPST2およびHS3SA群の両方においてRecCD4-Ig硫酸化は、最も高い1:20酵素用量であってもベースラインよりも高くはなかった。HS3SA基による硫酸化の欠如は、スルホトランスフェラーゼの顕著な特異性を示す。ReCD4-Igの酵素媒介性硫酸化をさらに確認するために、上清をウェスタンブロットで分析したが、下のパネル内の抗ヒトIgGバンドが負荷対照として役立つ(図1F)。再び、1:1000TPST2およびIgE-TPST2基について、ReCD4-Ig単独、ΔTM、およびHS3SA基よりも強いスルホチロシンバンドが観察された。まとめると、これらの結果は、DNAコードTPST2およびIgE-TPST2が、ReCD4-Igのインビトロ硫酸化を著しく低い用量で媒介し得ることを示唆している。
【0282】
N末端IgEリーダー配列の組み込みは、TPST2のTGNへの標的化を増強する
蛍光顕微鏡を使用して、DNAにコードされた酵素が細胞分泌区画に移動できるかどうか、およびIgE配列が標的化を改善するかどうかを判定した。HEK293T細胞を、ReCD4-Ig単独、またはTPST2、IgE-TPST2、もしくはΔTM-TPST2と組み合わせたReCD4-Igでトランスフェクトした。トランスフェクションの48時間後、細胞を回収し、DAPI(青色)、抗TPST2(赤色)、および抗ゴルジン97(緑色)で染色した。採取した細胞の共焦点顕微鏡画像は、トランスフェクション時のTPST2、IgE-TPST2およびΔTM-TPST2の強固な発現を示す(図2A)。より重要なことに、IgE-TPST2は、TPST2よりも大きくゴルジン97で局在化するように見えるが、ΔTM-TPST2は、ゴルジン97で局在化しない。ゴルジン97バリアントとTPST2バリアントとの間で共局在化の程度を定量化するために、赤色チャネルと緑色チャネルとの間のピアソン相関係数を、各群に対し16個の関心領域について分析した(図2B)。ΔTM-TPST2、TPST2およびIgE-TPST2の平均ピアソン係数は、それぞれ、0.161、0.275、および0.542である。一元配置分散分析からの計算されたF統計は、79.67であり、これは、2および45の処置ならびに残存自由度を有するp値<0.0001にそれぞれ対応する。Holm調整を用いた事後対T検定は、IgE-TPST2群のピアソン係数が、TPST2群のピアソン係数より有意に高いことを示している(p<10-6)。さらに、HEK293T細胞は酵素のみでトランスフェクトされ、ゴルジン97によるTPST2、IgE-TPST2、およびΔTM-TPST2の局在化パターンは、細胞をReCD4-Igで共トランスフェクトしたときのパターンと同様であることが決定された(図2C)。まとめると、これらの結果は、TPST2およびIgE-TPST2の両方がTGNに移動し得るが、IgE-TPST2は、TPST2よりも効率的に分泌区画を標的化し得ることを示唆している。この知見は、TPST2(その膜貫通ドメインでもある)の内部シグナルアンカー配列よりも効率的に、N末端IgEリーダー配列がシグナル認識粒子(SRP)により認識されることを裏付けている。IgE-TPST2コンストラクトを、インビボ実験におけるさらなる研究のために選択した。分泌区画へのIgE-TPST2の改善された標的化、IgE-TPST2の細胞質発現、およびオフターゲット効果は、おそらく低減された。
【0283】
DNA/EPは、IgE-TPST2およびReCD4-Igのインビボ発現を可能にする
次に、IgE-TPST2およびReCD4-Igが、DNAの筋肉内注入、続いてエレクトロポレーションによってインビボで発現され得るかどうかを決定した。一時的に枯渇したbalb/cマウスに対してDNAコードIgE-TPST2を脛骨前筋(TA)に注射し、続いて、前述のように、CELLECTRA(登録商標)3Pデバイスを使用して筋肉内エレクトロポレーション(IM-EP)を行った。注射の1週間後、マウスを屠殺し、ウェスタンブロットで筋肉内のIgE-TPST2の発現を検出した。対側脚のTA筋肉もまた、比較のために分析した。注射筋肉における約43kDaのIgE-TPST2(ヒト形態)の強い発現、および約42kDaの対側TAにおける内因性マウスTPST2の発現が観察された(図3A)。結果は、IgE-TPST2発現が治療される全ての動物において一貫して観察されるため、DNA/EP媒介送達の堅牢性を実証している。ReCD4-Igが再送達され得るかどうかを決定するために、B6.Cg-Foxn1nu/J(ヌード)マウスにp-ReCD4-Igを注射した。ReCD4-Ig配列はRhMベースであるため、強力な抗薬物抗体は、免疫能のあるマウスにおいて発達し、ReCD4-Igの発現プロファイルに影響を及ぼし得る。したがって、免疫不全B6.Cg-Foxn1nu/J(ヌード)を使用して、ReCD4-Igの初期インビボ発現を決定した。ReCD4-Igの高レベルの発現が観察され、これは、注射後14日目に35ug/mLでピークに達した(d.p.i)(図3B)。顕著なことに、5.7ug/mLの3d.p.iのレベルが検出され、発現が少なくとも150日間続き、最後の時点で3.1ug/mLのレベルであった。balb/cマウスにおけるReCD4-Igの同様の発現プロファイルは、ヌードマウスと比較して、特に早い時点で観察された(42d.p.iまで)。balb/cにおけるReCD4-Ig発現は、後の時点でヌードマウスよりもわずかに低いが、balb/cにおける発現は、150日間検出可能である。
【0284】
低用量のDNAコードIgE-TPST2は、ReCD4-Igのインビボ硫酸化を可能にし得る
次に、ReCD4-Igを硫酸化するIgE-TPST2の能力をインビボで試験した。balb/cマウスを一時的に枯渇させ、様々な用量のp-IgE-TPST2と共製剤化したp-ReCD4-Igを筋肉内に与え、続いてIM-EPを行った。インビトロ実験と同一のIgE-TPST2のDNA用量(ReCD4-Ig用量に対して1:5000~1:20)を使用して、ReCD4-Igの硫酸化を最適化するのに必要な最小レベルの酵素を研究した。1:1000用量のIgE-TPST2は、1:20 IgE-TPST2群と比較して検出された硫酸化OD450シグナルを飽和させることができる(図3c)。さらに、ReCD4-Igの硫酸化は、ベースラインのReCD4-Ig単独群と比較して、より低い1:5000用量の酵素であっても有意に高かった。以前の研究では、高用量のTPST2およびその標的タンパク質(eCD4-Igまたはトリプシノゲン)のインビトロでの共トランスフェクションは、標的タンパク質の分泌の減少をもたらすことが報告されている(Chen et al.,2016;Ronai et al.,2009)。インビトロおよびインビボ実験の両方で同様の現象が観察された(図1Eおよび図3D)。ReCD4-Igと共トランスフェクトした高用量(1:20)のIgE-TPST2は、ReCD4-Ig単独群と比較して、トランスフェクション上清およびマウス血清中のReCD4-Igの発現をそれぞれ67%および70%減少させた。さらに、ReCD4-Ig分泌の抑制は、ReCD4-Igと、ReCD4-Igを硫酸化できない酵素であるHS3SA(図1D)の1:20DNA用量との同時投与が依然として、ReCD4-Ig発現の52%の減少をもたらすため、IgE-TPST2媒介性硫酸化によって直接駆動されない(図3F)。しかしながら、ReCD4-Igの最適な硫酸化に必要な1:1000の最小用量では、ReCD4-Ig単独とReCD4-Ig+1:1000 IgE-TPST2群7d.p.iとの間のReCD4-Ig発現において差は観察されなかった(図3D)。ReCD4-Ig発現が低用量でIgE-TPST2との共トランスフェクションの影響を受けなかったことを確認するために、注射されたマウスにおけるReCD4-Igの血清発現を、経時的にpReCD4-Ig単独またはpReCD4-Ig+1:1000 p-IgE-TPST2のいずれかで追跡した(図3e)。再び、両群において同様のReCD4-Ig発現プロファイルが観察された。まとめると、これらの結果は、エレクトロポレーションによって送達されるプラスミドにコードされた酵素が、ReCD4-Igの発現プロファイルに影響を及ぼさない、著しく低い用量でのReCD4-Igのインビボ硫酸化を可能にし得ることを示している。
【0285】
インビボ硫酸化は、ReCD4-Igの効力を増加させる
次に、エクスビボ中和アッセイにおいて注射されたマウスの血清を分析することによって、ReCD4-Igのインビボ硫酸化がその効力を増強し得るかどうかを判定した。十分なマウス血清を収集するために、p-ReCD4-Ig単独で、または1:1000用量のp-IgE-TPST2と組み合わせてbalb/cに注射し、7d.p.iで末端で出血させた。再び、両群のマウス血清中に同様のレベルのReCD4-Ig(40ug/mL)が観察された。まず、マウス血清中のReCD4-Igがグローバルパネルからの偽ウイルスのうちの1つを中和する能力(25710、Tier 2、分岐群C)を、標準的なTZM-blアッセイを使用して試験した(deCamp et al.,2014)。IgE-TPST2によって媒介される硫酸化は、中和曲線の右方向のシフトによって証明されるように、ReCD4-Igがこの分離株を中和する能力を著しく増強することが見出された(図4B)。具体的には、IgE-TPST2によって媒介される硫酸化は、中和25710におけるReCD4-IgのIC50を1.09±0.12ug/mLから0.16±0.06ug/mL(6.8倍の低下)に減少させ、IC80を3.27±0.68ug/mLから1.35±0.20ug/mL(2.4倍の低下)に減少させる。次に、ReCD4-Igがグローバルパネルからの他の分離株を中和することができるかどうか、およびtier3分離株SIVmac239を中和することができるかどうか、ならびにIgE-TPST2媒介性硫酸化がReCD4-Igの効力を増強することができるかどうかを評価した。ReCD4-Igは、5ug/mL未満のIC50および0.83ug/mLの平均IC50でパネル内の13個全てのウイルスを中和することができることが観察された(図4C~F)。比較すると、ナイーブマウスの血清は、1:20の力価でパネル内のウイルスを中和しなかった。さらに、血清中のReCD4-Igは、1:8の力価で(または同等には5ug/mLのReCD4-Ig用量で)マウス白血病ウイルス(MLV)を非特異的に中和しなかった。これらの結果は、eCD4-Igの顕著な幅を検証した。さらに、ReCD4-Igの硫酸化は、グローバルパネル(CE1176、25710、X2278、TRO、BJOX、X1632、CH119、CNE55)およびMac239(図4E)における8/12偽ウイルスの中和におけるその効力を増強する。硫酸化は、IC50(0.57±0.27ug/mL~0.05±0.02ug/mL)の10倍の低下を示すCE1176の中和に最も劇的な効果を示す。全体的に、IgE-TPST2媒介性硫酸化は、ウイルスパネルに対するIC50の幾何平均の0.83ug/mLから0.27ug/mLへの低下をもたらす。まとめると、これらの結果は、機能的観点からIgE-TPST2によるReCD4-Igのインビボ硫酸化を検証し、DNAにコードされた酵素が翻訳後修飾を介して標的タンパク質の生物学的機能を調節する能力を実証した。
【0286】
インビボ翻訳後修飾
eCD4Ig分子ならびに酵素IgE-TPST2の両方をコードするためのプラットフォームとしてDNA技術を使用して実験を設計し、インビボでReCD4-Igのチロシン硫酸化を行った。本明細書に提示される結果は、免疫アドヘシンの効力が著しく増加していることを実証し、そのような複合体分子の個別化された産生のための独自の方法を提供する。
【0287】
重要なことに、これは、インビボで直接産生するための標的タンパク質の翻訳後修飾(PTM)のための酵素をコードするのにDNAを使用する最初の報告である。したがって、これらの研究は、DNA/EPが、タンパク質が合成された後であってもタンパク質の機能を調節するための優れたプラットフォームを提供することを裏付けている。例えば、免疫グロブリンのFc部分のグリコシル化を修飾することは、潜在的に、エフェクター機能のインビボ微調整を可能にし得る。例えば、エンドグリコシダーゼ/フコシダーゼによるIgG1 Fcのフコシル化は、修飾抗体の抗体依存性細胞媒介性細胞毒性(ADCC)を潜在的に増強することができるが、一方で、コアフコシル化に関連して、末端シアリル化は逆の効果を示すことが報告されている(Arnold et al.,2007;Li et al.,2017)。ワクチン設計に関連して、抗原の翻訳後修飾は、免疫系による認識のための新しいエピトープを形成することができる。例えば、(HIVエンベロープのN160またはN156位での)シアル酸担持グリカンは、CAP256.VRC26 ab系統において、生殖細胞系コード化および体細胞変異抗体の両方によって認識され得る(Andrabi et al.,2017)。あるいは、ワクチン抗原の翻訳後修飾は、有効な免疫応答の組み込みを容易にするために、天然状態でそれらの立体構造を潜在的に安定化させることができる。HIV-1 BaL上のV2残基のチロシン硫酸化は、V2-V3相互作用を強化し、トリマー優先抗体PG9、PG16、およびPGT145による認識を改善し、抗V3抗体による中和に対するその感受性を低下させる一方で、そのチロシン硫酸化の減少は逆の効果を有する(Cimbro et al.,2014)。したがって、高度のDNA/EPによってコードされる標的タンパク質の酵素媒介性翻訳後修飾により、様々な重要なタンパク質のインビボ活性の調節にアプローチすることができる可能性が高い。
【0288】
ReCD4-Igのインビボ硫酸化には、1:1000p-IgE-TPST2の著しく低い用量が必要であることが実証されている。酵素の単一分子は、標的タンパク質の複数のコピーをターンオーバーすることができるはずであるため、この発見は予想された。具体的には、TPST2は、5.1×10-3-1(単硫酸化CCR8ペプチドの場合)のターンオーバー数(kcat)を有し、ゴルジ耐性酵素の半減期は約20時間であるため、TPST2酵素の単一コピーは、少なくとも数百コピーのReCD4-Igをターンオーバーすることができるはずである(Danan et al.,2010;Strous,1986)。注目すべきことに、ReCD4-Igの硫酸化に必要な用量は、DNAコードIgE-TPST2(1:1000)において、AAVコードTPST2(1:4)よりもはるかに低い。これは、DNA/EP媒介酵素送達の高効率を意味し、筋肉細胞が、p-IgE-TPST2およびp-ReCD4-Igの両方の別個のコピーを同時に受容したことを意味する。これは、パルス電界が形質膜に一時的な細孔を形成し、ポリアニオンプラスミドDNAを細胞内に直接移動させ、トランスフェクション効率が100~1000倍増加する可能性があるためである(Sardesai and Weiner,2011)。比較すると、AAVコード遺伝子材料(ReCD4-IgおよびTPST2)の細胞への取り込みは、クラスリン依存性エンドサイトーシスまたはマクロピノサイトーシスを必要とし(Stoneham et al.,2012;Weinberg et al.,2014)、AAV-TPST2およびAAV-eCD4-Igの両方による筋肉細胞の形質導入は、確率的な様式で生じ得る。
【0289】
結果はまた、酵素を特定の細胞下区画に標的化してその機能を最大化するアプローチを裏付けている。IgE-TPST2媒介性硫酸化の効率は、TPST2媒介性硫酸化の効率と同様に見えるが(図1D)、IgE-TPST2の選択的標的化は、潜在的に、酵素の細胞質発現およびオフターゲット硫酸化を低減することができる。このアプローチは、治療および研究目的のために、他の細胞下区画までタンパク質を標的化するようにさらに拡張され得る。例えば、10~70個のアミノ酸からなるN末端配列は、タンパク質をミトコンドリアに標的化することができ、膜貫通タンパク質の細胞質尾部におけるジロイシンモチーフDXXLLまたはチロシンベースのモチーフYXXOは、タンパク質をリソソームに標的化することができ、一方、ポプリペプチド鎖上の5個の塩基性正荷電アミノ酸の単位は、タンパク質を核に標的化することができる(Braulke and Bonifacino,2009;Lange et al.,2007;Regev-Rudzki et al.,2008)。
【0290】
最後に、DNA/EPが、ReCD4-Igのようなイムノアドヘシンの強固かつ長期のインビボ発現を可能にすることが本明細書で実証される。1ラウンドの注射で、マウスにおいて80~100ug/mLのピーク発現レベルが観察され、レベルは150日間3ug/mL超を維持した。このインビボ送達は、5ug/mL未満のIC50および0.27ug/mLの平均IC50でグローバルパネルからの全ての分離株を中和することができる、ReCD4-Igの妥当な幅および有効性をもたらす。
【0291】
要約すると、細胞の分泌区画に酵素を標的化するためのいくつかの進歩、ならびにそのインビボ発現のためのDNA/EPの使用が説明され、有意なインビボ効力がもたらされる。重要なことに、送達されるDNA/EPのIgE-TPST2は、インビボでの翻訳後硫酸化を通じてeCD4-Igの効力を有意に増強することができ、HIV感染を標的とするためのツールとしてのさらなる研究を必要とする可能性が高い。
【0292】
材料および方法をここで説明する。
【0293】
動物
6~8週齢の雌balb/cおよびB6.Cg-Foxn1nuJを、Charles River(Wilimgton、MA)またはJackson研究所(Bar Harbor、ME)のいずれかから入手した。DNA送達のために、一時的免疫調節用の500ugの抗マウスCD40L(クローンMR-1、BioXCell)をマウスに単回腹腔内注射した。次いで、12Uのヒアルロニダーゼ(Hylenex、カタログ:18657-117-04)と共製剤化したDNA 160ug(2回の注射、左および右TA)または320ug(4回の注射、左および右四頭筋、左および右TA)を投与した(26,27)。注射の1分後、Cellectra 3Pデバイス(Inovio Pharmaceutical)で各注射部位にIM-EPを行った(Broderick and Humeau,2015)。
【0294】
DNA設計およびプラスミド合成
ReCD4-Igのタンパク質配列を、前述のように入手した(Gardner et al.,2015)。ヒトTPST2およびHS3SAのタンパク質配列を、UniProt(受託番号:060704およびQ9Y663)から入手した。SIVmac239のタンパク質配列をGenBank(受託番号M33262)入手した。タンパク質配列をコードするDNAを、前述のようにコドンおよびRNA最適化した(Elliott et al.,2017;Patel et al.,2017)。最適化された導入遺伝子をデノボ合成し(GenScript、Piscataway、NJ)、ヒトCMVプロモーターおよびウシ成長ホルモンポリアデニル化シグナルの制御下でpVAX骨格にクローニングした。TRO11、25710、398F1、CNE8、X2278、BJOX2000、X1632、CE1176、246F3、CH119、CE0217、およびCNE55のHIVエンベロープgp160をコードするプラスミドをNIH-AIDS試薬から得、Aldevron LLC(Fargon、ND)で増幅した。
【0295】
細胞株、トランスフェクション、およびReCD4-Ig精製
HEK293T細胞(CRL-3216、ATCC)およびTZM-bl細胞を、10%ウシ胎児血清を補充したDMEM中で維持し、37℃および5%COで増殖させた。Expi293F細胞をExpi293発現培地中で37℃および8%COで維持した。ReCD4-Igのインビトロ硫酸化を決定するために、細胞を6ウェルプレート中0.5×10細胞/mLの密度で播種し、1.0μgのp-ReCD4-Igおよび様々な用量のプラスミドにコードされた酵素をGeneJammerでトランスフェクトした。トランスフェクションの48時間後、上清を収集し、1500gで5分間遠心分離して、細胞残渣を除去した。付着細胞を、プロテアーゼ阻害剤カクテルを用いた1×細胞溶解緩衝液で溶解した。定量ELISAのReCD4-Ig標準を得るために、Expi293F細胞をExpi293発現培地中で2.5×10細胞/mLの密度でプレーティングし、一晩休息させ、OPTI-MEM中でp-ReCD4-IgおよびExpifectamine(商標)でトランスフェクトした。トランスフェクションの20時間後にトランスフェクションエンハンサーを添加し、トランスフェクションの5日後に上清を採取した。磁気タンパク質Gビーズ(GenScript)をReCD4-Igの精製に使用し、純度をSDS-PageゲルのCommassie染色で確認した。
【0296】
ELISA
ELISAに基づくReCD4-Igの定量化のために、MaxiSorpプレートを4℃で一晩、lug/mLのJR-FL gp140でコーティングした。プレートをリン酸緩衝生理食塩水+0.1%Tween20(PBS-T)で4回洗浄し、室温で1時間、PBS中10%FBSでブロックした。その後、プレートを洗浄し、PBS-T中に希釈した血清試料と共に室温で1時間インキュベートした。プレートを再び洗浄し、2次ヤギ抗ヒトFc HRPと1:5000希釈液で1時間インキュベートした。その後、プレートをSigmaFast OPDで10分間発色させた後、OD450測定をSynergy2プレートリーダーで行った。
【0297】
トランスフェクション上清または血清中のReCD4-Igの硫酸化を検出するために、MaxiSorpプレートを4℃で一晩、5ug/mLのJR-FL gp140でコーティングした。プレートを洗浄し、室温で3時間、10%FBS/PBSでブロックした。プレートを洗浄し、PBS-T中で希釈した試料を室温で1時間インキュベートするために添加した。プレートを再び洗浄し、1:250希釈のマウス抗スルホチロシン抗体(クローン1C-A2、MiliporeSigma)と共に室温で1時間インキュベートした。このステップでの長時間のインキュベーションは、バックグラウンドを増加させ得ることを発見した。最後に、プレートを洗浄し、1:5000希釈の抗マウスIgG2a HRP二次抗体と共に室温で1時間インキュベートした。プレートをSigmaFast OPDで10分間発色し、OD450シグナルを測定した。
【0298】
ウェスタンブロット
図1CにおけるReCD4-Igの検出のために、10μLのトランスフェクション上清を、非還元条件下でプレキャストの4~12%のBis-Trisゲル上に充填し、湿潤移送によりImmobilon-FL PVDF膜に移した。ReCD4-Igを、1:10,000希釈でIRDye 800CWヤギ抗ヒトIgG(Rhesus IgG2 Fcと交差反応する)と共に同定した。ReCD4-Ig中の硫酸化チロシンの検出のために(図1E)、膜を1:1000マウス抗スルホチロシン(1C-A2)と共に4℃で一晩インキュベートし、IRDye 680RDヤギ抗マウスIgGで発色させた。抗マウス抗体および抗ヒト抗体が異なる色を有する染料にコンジュゲートされるため、単一の膜において同時にReCD4-Igおよびスルホチロシンバンドを可視化することが可能である。IgE-TPST2発現の検出のために、DNA注入/IM-EPの7日後にマウスを屠殺した。TA筋肉を採取し、T-PER抽出緩衝液およびプロテアーゼ阻害剤中で均質化した。50μgの筋肉ホモジネートを還元条件下で4~12%のBis-Trisゲル上に充填し、湿潤移送によりPVDF膜に移した。膜を、ポリクローナルウサギ抗TPST2抗体、およびモノクローナルマウス抗GAPDH抗体と共に4℃で一晩インキュベートした。その後、膜をIRDye 680RDヤギ抗マウスIgGおよびIRDye 800CWヤギ抗ウサギIgGで発色させた。全ての膜をOdyssey CLxでスキャンした。
【0299】
蛍光顕微鏡
8ウェルチャンバスライド(Nunc)をポリ-L-リシン溶液で事前コーティングした後、HEK293T細胞を1ウェル当たり2×10の密度で一晩播種した。次いで、細胞を、1.0ugのp-ReCD4-Igおよび0.05ugのp-TPST2、p-IgE-TPST2、またはp-ΔTM-TPST2でGeneJammerでトランスフェクトした。トランスフェクションの48時間後、細胞を固定し、PBS中4%ホルムアルデヒドおよび0.5%Triton-X-100で透過させ、室温で1時間PBS中3%BSAでブロックした。次いで、細胞を、1%BSA/PBS-T中の抗ゴルジン97抗体の1:200希釈、およびポリクローナルウサギ抗TPST2抗体の1:200希釈で4℃で一晩染色した。次いで、細胞をPBS-Tで洗浄し、ヤギ抗ウサギAlexa Fluor 594およびヤギ抗マウスAlexa Fluor 488の1:500希釈で染色した。核染色のために、細胞をPBS-T中0.5ug/mLのDAPIとインキュベートし、Prolonged Diamond AntiFade Mountantを使用してカバースリップで取り付けた。次いで、64×対物レンズを備えたLeica TCS SP5 II走査共焦点顕微鏡でZスタック画像を取得した。Zスタックの最大投影、デコンボリューション、および関心領域分析を、Leica LASXソフトウェアを用いて行い、ピアソン相関係数を取得して、TPST2およびゴルジン97の共局在化を定量化した。
【0300】
エクスビボ中和アッセイ
HIV Env偽型ウイルスおよびTZM-blアッセイの合成を、前述のように行った(Sarzotti-Kelsoe et al.,2014)。簡潔に述べると、HEK293T細胞を、4ugのHIVエンベロープをコードするプラスミドおよび8ugのHIV骨格をコードするプラスミド(pSG3Δenv)を、GeneJammerでトランスフェクトした。トランスフェクションの48時間後、上清をSteriflipで濾過し、-80℃で保管した。Britelight Plusを使用したTZM-blルシフェラーゼレポーターアッセイで偽ウイルスを滴定して、少なくとも150,000RLUに対応する力価を決定した。マウス血清をTZM-bl中和アッセイのために56℃で10分間加熱不活性化して、50%のウイルス中和(IC50)をもたらす血清濃度/力価を決定した。
【0301】
統計学
GraphPad Prism 7.0で(複数の比較の場合はHolm-Bonferroni補正を用いて)一元配置分散分析および対T検定を行った。Prism 7.0を使用して、中和パーセンテージ対対数(血清希釈の逆数)の非線形回帰モデルでIC50値を計算した。0.05未満のp値は統計的に有意であるとみなされた。
【0302】
参考文献
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【0303】
本明細書で引用される各特許、特許出願、および刊行物の開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0304】
本発明は、特定の実施形態を参照して開示されたが、本発明の真の趣旨および範囲から逸脱することなく、本発明の他の実施形態および変形形態が当業者によって案出され得ることは明らかである。添付の特許請求の範囲は、全てのそのような実施形態および等価の変形形態を含むように解釈されることを意図する。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図5A
図5B
図5C
図5D
【配列表】
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