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特許7619846情報処理装置、運賃精算プログラム、及び運賃精算方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-14
(45)【発行日】2025-01-22
(54)【発明の名称】情報処理装置、運賃精算プログラム、及び運賃精算方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 20/04 20120101AFI20250115BHJP
   G06Q 50/40 20240101ALI20250115BHJP
   G06Q 20/32 20120101ALI20250115BHJP
   G07B 1/00 20060101ALI20250115BHJP
   G07B 15/00 20110101ALI20250115BHJP
【FI】
G06Q20/04 312
G06Q50/40
G06Q20/32 300
G07B1/00 A
G07B15/00 C
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021041751
(22)【出願日】2021-03-15
(65)【公開番号】P2022141440
(43)【公開日】2022-09-29
【審査請求日】2024-01-09
(73)【特許権者】
【識別番号】514020389
【氏名又は名称】TIS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石黒 統
(72)【発明者】
【氏名】森 正洋
(72)【発明者】
【氏名】宮本 尚輝
(72)【発明者】
【氏名】森 文哉
(72)【発明者】
【氏名】島田 寛治
【審査官】大野 朋也
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-004292(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0240016(US,A1)
【文献】特開2009-271654(JP,A)
【文献】特開2009-151458(JP,A)
【文献】国際公開第2018/150498(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0016054(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G07B 1/00
G07B 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
交通機関の運賃として使用可能なチケットを示すチケット情報を記憶する記憶部と、
ユーザが乗車する前記交通機関を特定する交通機関特定部と、
前記チケット情報のチケットに、前記交通機関特定部により特定された交通機関を乗車可能な期間内のチケットがあるかを判定する判定部と、
ユーザが交通機関に乗車中に当該交通機関の運賃の決済を行う決済部と、
前記判定部による判定の結果、乗車可能な期間内のチケットがある場合、前記ユーザに対して前記交通機関の下車に用いる画像を提供し、前記判定部による判定の結果、乗車可能な期間内のチケットがない場合、前記決済部による運賃の決済が完了すると、前記ユーザに対して前記下車に用いる画像を提供する提供部と、
を有する情報処理装置。
【請求項2】
前記提供部は、下車に用いる前記画像として、日付、時間帯、前記交通機関、前記交通機関の路線の少なくとも1つに応じて、少なくとも一部の表示態様を変えた画像を提供する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記提供部は、下車に用いる前記画像として、操作に応じて少なくとも一部の表示態様が変化する画像を提供する
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記判定部は、乗車可能な期間内のチケットがない場合、前記チケット情報のチケットに、前記交通機関特定部により特定された交通機関の運賃として使用可能な未使用のチケットがあるかをさらに判定し、
前記決済部は、前記判定部の判定の結果、使用可能な未使用のチケットがある場合、前記チケット情報の当該未使用のチケットを使用済みに更新して前記交通機関の運賃の決済を行う
請求項1~3の何れか1つに記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記交通機関特定部は、前記交通機関の車内から得られる前記交通機関を示す情報から前記ユーザが乗車する前記交通機関を特定する
請求項1~4の何れか1つに記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記交通機関特定部は、前記交通機関を示すコードを含み、前記交通機関の車内に設けられたコード画像を撮影して得られた前記コードから前記ユーザが乗車する前記交通機関を特定する
請求項1~5の何れか1つに記載の情報処理装置。
【請求項7】
乗車する交通機関の運賃が定額の定額運賃型か、乗車距離に応じて変動する変動運賃型かを特定する運賃型特定部と、
前記運賃型特定部により運賃が前記変動運賃型と特定された場合、前記交通機関の乗車区間から運賃を導出する導出部とをさらに有し、
前記決済部は、前記運賃型特定部により運賃が前記定額運賃型と特定された場合、前記交通機関の定額の運賃をユーザに対して決済を実施する事業者に対して通知し、前記運賃型特定部により運賃が前記変動運賃型と特定された場合、前記導出部により導出された運賃を前記事業者に対して通知する
請求項1~の何れか1つに記載の情報処理装置。
【請求項8】
定額運賃型及び変動運賃型の交通機関の乗車を拒否するユーザを登録した第1のブラックリスト情報と、変動運賃型の交通機関の乗車を拒否するユーザを登録した第2のブラックリスト情報を記憶する記憶部をさらに有し、
前記提供部は、前記交通機関に乗車したユーザが前記第1のブラックリスト情報に登録されたユーザである場合、前記ユーザに対して、乗車を拒否する旨を提示し、前記交通機関に乗車したユーザが前記第2のブラックリスト情報に登録されたユーザである場合、前記ユーザに対して、変動運賃型の交通機関の乗車を拒否する旨を提示する
請求項1~の何れか1つに記載の情報処理装置。
【請求項9】
ユーザが乗車する交通機関を特定し、
記憶部に記憶されたチケット情報であって、交通機関の運賃として使用可能なチケットを示す前記チケット情報のチケットに、特定された交通機関を乗車可能な期間内のチケットがあるかを判定し、
判定の結果、乗車可能な期間内のチケットがある場合、前記ユーザに対して前記交通機関の下車に用いる画像を提供し、
判定の結果、乗車可能な期間内のチケットがない場合、ユーザが交通機関に乗車中に当該交通機関の運賃の決済を行い、運賃の決済が完了すると、前記ユーザに対して前記下車に用いる画像を提供する
処理をコンピュータに実行させることを特徴とする運賃精算プログラム。
【請求項10】
ユーザが乗車する交通機関を特定し、
記憶部に記憶されたチケット情報であって、交通機関の運賃として使用可能なチケットを示す前記チケット情報のチケットに、特定された交通機関を乗車可能な期間内のチケットがあるかを判定し、
判定の結果、乗車可能な期間内のチケットがある場合、前記ユーザに対して前記交通機関の下車に用いる画像を提供し、
判定の結果、乗車可能な期間内のチケットがない場合、ユーザが交通機関に乗車中に当該交通機関の運賃の決済を行い、運賃の決済が完了すると、前記ユーザに対して前記下車に用いる画像を提供する
処理をコンピュータが実行することを特徴とする運賃精算方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、運賃精算プログラム、及び運賃精算方法に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道やバスなどの交通機関は、下車の際に運賃の支払いが行われる。このような運賃の支払いをシステム化する場合、処理速度が求められる。そこで、IC(integrated circuit)カードを使用した運賃支払システムが知られている。例えば、特許文献1には、チャージ(入金処理)した金額情報をICカードに記憶し、ICカードを自動改札機の読取部に触れることによって、ICカードに記憶されている金額情報から運賃を減額して運賃の支払いを行うシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-310683号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ICカードを使用した従来の運賃支払システムは、交通機関を利用するユーザがICカードを所持しなければならず、導入のハードルが高い。また、ICカードの紛失のリスクがある。
【0005】
そこで、ユーザの金額情報をサーバ装置で管理し、下車の際にユーザが所持するスマートフォンなどのユーザ端末からサーバ装置にアクセスし、金額情報から運賃を減額して運賃の支払うことが考えられる。
【0006】
しかしながら、下車の際にユーザ端末からサーバ装置にアクセスして金額情報から運賃を減額する処理を行うため、処理時間が長くなり、下車でユーザの滞留が発生する。
【0007】
本開示は、下車でのユーザの滞留の発生を抑制しつつ運賃を回収できる情報処理装置、運賃精算プログラム、及び運賃精算方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様に係る情報処理装置は、決済部と、提供部とを有する。決済部は、ユーザが交通機関に乗車中に当該交通機関の運賃の決済を行う。提供部は、決済部による運賃の決済が完了すると、ユーザに対して交通機関の下車に用いる画像を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本開示の一の実施態様によれば、下車でのユーザの滞留の発生を抑制しつつ運賃を回収できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、第1の実施形態に係る運賃支払システムの概略的な構成の一例を示す図である。
図2図2は、第1の実施形態に係る運賃精算装置の機能的な構成を概略的に示した図である。
図3図3は、第1の実施形態に係るチケット情報のデータ構成の一例を示す図である。
図4図4は、第1の実施形態に係る表示態様情報のデータ構成の一例を示す図である。
図5図5は、第1の実施形態に係る運賃支払システムにおいてチケットを購入する流れを説明する図である。
図6図6は、第1の実施形態に係る支払処理の手順の一例を示すフローチャートである。
図7図7は、第1の実施形態に係る運賃支払システムにおいてチケットにより交通機関の運賃の支払う流れを説明する図である。
図8図8は、第1の実施形態に係る運賃支払システムにおいてチケットにより交通機関の運賃の支払う流れを説明する図である。
図9図9は、第1の実施形態に係る下車用画像の表示態様の変化の一例を説明する図である。
図10図10は、第1の実施形態に係る下車用画像のタッチ操作に応じた表示態様の変化の一例を説明する図である。
図11図11は、第1の実施形態に係る下車用画像のタッチ操作に応じた音の出力の一例を説明する図である。
図12図12は、第2の実施形態に係る運賃精算装置の機能的な構成を概略的に示した図である。
図13図13は、第2の実施形態に係る支払処理の手順の一例を示すフローチャートである。
図14図14は、第3の実施形態に係る運賃精算装置の機能的な構成を概略的に示した図である。
図15図15は、第3の実施形態に係る支払処理の手順の一例を示すフローチャートである。
図16図16は、第1~第3の実施形態に係る運賃精算装置のハードウェア構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本実施形態について図面に基づいて詳細に説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の部位には、同一の符号を付することにより重複する説明を省略する。
【0012】
なお、説明は以下の順序で行うものとする。
1.第1の実施形態
1.1.システム構成例
1.2.機能構成例
1.3.機能の流れ
2.第2の実施形態
2.1.機能構成例
2.2.機能の流れ
3.第3の実施形態
3.1.機能構成例
3.2.機能の流れ
4.ハードウェア構成例
5.まとめ
6.効果
【0013】
<1.第1の実施形態>
<<1.1.システム構成例>>
最初に、本開示の情報処理装置を含んだ運賃支払システムを説明する。第1の実施形態に係る運賃支払システム10は、鉄道やバスなどの交通機関の運賃の支払いに使用するシステムである。図1は、第1の実施形態に係る運賃支払システム10の概略的な構成の一例を示す図である。運賃支払システム10は、決済装置11と、運賃精算装置12と、ユーザ端末13とを有する。なお、本実施形態では、運賃精算装置12が本開示の情報処理装置に対応する。
【0014】
決済装置11、運賃精算装置12及びユーザ端末13は、ネットワークNに通信可能に接続されている。かかるネットワークNの一態様としては、有線又は無線を問わず、携帯電話などの移動体通信網、インターネット(Internet)、LAN(Local Area Network)やVPN(Virtual Private Network)などの任意の種類の通信網を採用できる。図1の例では、ネットワークNには、移動体通信網の基地局N1が設けられている。ユーザ端末13は、基地局N1を介して移動体通信によりネットワークNに通信可能に接続されている。なお、図1の例では、ユーザ端末13を1つ設けた場合を例示したが、これに限定されず、ユーザ端末13を任意の数とすることができる。
【0015】
決済装置11は、ユーザに対して決済を実施する装置である。決済装置11は、例えば、サーバコンピュータなどのコンピュータである。決済装置11は、1台のコンピュータとして実装してもよく、また、複数台のコンピュータにより実装してもよい。なお、本実施形態では、決済装置11を1台のコンピュータとした場合を例として説明する。
【0016】
決済装置11は、決済事業者により運用される。決済事業者としては、例えば、銀行、クレジット会社、ウォレット事業者等が挙げられる。例えば、ユーザは、決済事業者に口座を開設し、口座に金銭を入金する。決済装置11は、ユーザの口座から決済を実施する。
【0017】
運賃精算装置12は、鉄道やバスなどの交通機関の運賃の支払い機能を提供する装置である。運賃精算装置12は、例えば、サーバコンピュータなどのコンピュータである。運賃精算装置12は、1台のコンピュータとして実装してもよく、また、複数台のコンピュータにより実装してもよい。なお、本実施形態では、運賃精算装置12を1台のコンピュータとした場合を例として説明する。
【0018】
ユーザ端末13は、ユーザが所持する通信端末装置である。例えば、ユーザ端末13は、ユーザが所持するスマートフォンや携帯端末などの情報処理装置である。ユーザ端末13には、カメラが設けられている。交通機関を利用するユーザは、ユーザ端末13を使用して運賃精算装置12にアクセスし、交通機関の運賃の支払いを行う。
【0019】
第1の実施形態では、決済事業者がユーザ端末13で使用可能なアプリケーションを提供している。アプリケーションには、運賃精算装置12にリンクしたボタンが設けられている。交通機関を利用するユーザは、決済事業者が提供するアプリケーションをユーザ端末13にインストールする。そして、ユーザは、ユーザ端末13のアプリケーションを使用して運賃精算装置12にアクセスして、交通機関の運賃の支払いを行う。
【0020】
<<1.2.機能構成例>>
次に、運賃精算装置12の機能構成例について説明する。図2は、第1の実施形態に係る運賃精算装置12の機能的な構成を概略的に示した図である。運賃精算装置12は、通信部20と、記憶部21と、制御部22とを有する。
【0021】
(通信部20)
通信部20は、ネットワークNとの間で通信を行う通信インターフェースである。通信部20は、ネットワークNを介して決済装置11及びユーザ端末13と各種のデータを送受信する。
【0022】
(記憶部21)
記憶部21は、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)、光ディスクなどの記憶装置である。なお、記憶部21は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ、NVSRAM(Non Volatile Static Random Access Memory)などのデータを書き換え可能な半導体メモリであってもよい。記憶部21は、制御部22で実行されるOS(Operating System)や、各種の処理を実行する各種プログラムを記憶する。さらに、記憶部21は、各種情報を記憶する。例えば、記憶部21は、チケット情報30と、表示態様情報31とを記憶する。なお、記憶部21は、その他の各種の情報を記憶してもよい。
【0023】
(チケット情報30)
チケット情報30は、交通機関の運賃として使用可能なチケットに関する各種情報を記憶したデータである。図3は、第1の実施形態に係るチケット情報30のデータ構成の一例を示す図である。図3に示すように、チケット情報30は、「チケットID」、「所有ユーザ」、「交通機関」、「種別」、「購入日」、「利用日」、「利用回数」、「利用上限回数」、「利用可能日数」、「利用開始日」、「利用終了日」の項目を有する。なお、図3に示したチケット情報30の各項目は、一例であり、その他の項目を有してもよい。
【0024】
チケットIDの項目は、チケットを識別する識別情報を記憶する領域である。チケットには、識別情報として一意のチケットID(identification)が付与される。チケットIDの項目には、チケットに付与されたチケットIDが記憶される。所有ユーザの項目は、チケットを所有するユーザを記憶する領域である。ユーザには、識別情報として一意のユーザIDが付与される。所有ユーザの項目には、チケットを所有するユーザのユーザIDが記憶される。交通機関の項目は、チケットを利用可能な交通機関を記憶する領域である。交通機関には、識別情報として一意のコードが付与される。交通機関の項目には、チケットを利用可能な交通機関を示すコードが記憶される。種別の項目は、チケットの種類を記憶する領域である。本実施形態では、チケットの種類として、「ST」、「RT」、「CP」、「XT」がある。「ST」は、交通機関に1回乗車可能なチケットである。「RT」は、交通機関で往復することを想定し、交通機関に2回乗車可能なチケットである。「CP」は、交通機関で通勤することを想定し、利用期間の間、交通機関に乗車可能なチケットである。「XT」は、旅行などで連続した複数日の間、交通機関を利用することを想定し、複数日の間、交通機関に乗車可能なチケットである。以下では、「ST」のチケットを片道チケットとも称し、「RT」のチケットを往復チケットとも称し、「CP」のチケットを通勤チケットとも称し、「XT」のチケットをX日チケットとも称する。
【0025】
購入日の項目は、チケットを購入した日付を記憶する領域である。利用日の項目は、チケットを利用した日付を記憶する領域である。利用日の項目には、片道チケット及び往復チケットの場合、交通機関を利用した日付が記憶され、X日チケットの場合、X日チケットの使用を開始した日付が記憶される。片道チケット、往復チケット、X日チケットでは、使用されると、利用日に日付が記憶される。利用回数の項目は、交通機関の乗車でチケットを使用した回数を記憶する領域である。利用回数の項目には、往復チケットの場合、使用した回数が記憶される。利用上限回数の項目は、交通機関の乗車でチケットを使用した可能な上限回数を記憶する領域である。利用上限回数の項目には、往復チケットの場合、2回乗車可能であるため、2が記憶される。利用可能日数の項目は、交通機関の乗車でチケットを使用可能な日数を記憶する領域である。利用可能日数の項目には、X日チケットの場合、使用可能な日数が記憶される。利用開始日の項目は、チケットの利用期間の開始日を記憶する領域である。利用開始日の項目には、通勤チケットの場合、利用期間の開始日が記憶される。利用終了日の項目は、チケットの利用期間の終了日を記憶する領域である。利用終了日の項目には、通勤チケットの場合、利用期間の終了日が記憶される。
【0026】
図3の例では、2枚の片道チケットと、1枚の往復チケットと、1枚の通勤チケットと、1枚のX日チケットが記憶されている。2枚の片道チケット、1枚の往復チケット、1枚のX日チケットは、利用日の項目に日付が記憶されていないため、何れも未使用のチケットである。通勤チケットは、利用期間が2021年3月1日から2021年3月31日とされている。X日チケットは、利用可能日数が7日間とされている。
【0027】
(表示態様情報31)
表示態様情報31は、後述する下車に用いる画像(以下、「下車用画像」とも称する。)の表示態様を記憶したデータである。図4は、第1の実施形態に係る表示態様情報31のデータ構成の一例を示す図である。図4に示すように、チケット情報30は、「交通機関」、「日付」、「色」の項目を有する。なお、図4に示した表示態様情報31の各項目は、一例であり、その他の項目を有してもよい。
【0028】
交通機関の項目は、下車用画像の表示態様を変更する対象の交通機関を記憶する領域である。交通機関の項目には、交通機関を示すコードが記憶される。日付の項目は、表示態様を変更する対象の日付を記憶する領域である。背景色の項目は、下車用画像の表示態様を変更する色を記憶する領域である。色の項目には、下車用画像に表示する色が記憶される。
【0029】
図4の例では、交通機関を示すコードが「001」の交通機関では、2021年3月1日に、下車用画像に赤色を表示する設定とされている。
【0030】
(制御部22)
制御部22は、運賃精算装置12全体を制御するデバイスである。制御部22は、例えば、プロセッサなどである。制御部22は、各種の処理手順を規定したプログラムや制御データを格納するための内部メモリを有し、これらによって種々の処理を実行する。制御部22は、各種のプログラムが動作することにより各種の処理部として機能する。例えば、制御部22は、販売部40と、交通機関特定部41と、判定部42と、決済部43と、提供部44とを有する。
【0031】
(販売部40)
販売部40は、交通機関の運賃として使用可能なチケットの販売を制御する処理部である。例えば、販売部40は、ユーザ端末13にチケット購入画面の画像面情報を送信し、ユーザ端末13にチケット購入画面を表示させる。チケット購入画面には、購入可能なチケットが表示され、チケットを購入する購入操作が可能とされている。本実施形態では、チケット購入画面から片道チケット、往復チケット、通勤チケット、X日チケットを販売する。販売部40は、チケット購入画面に対する購入操作に応じて、購入操作されたチケットの価格を決済事業者の決済装置11に通知し、決済装置11でチケットを購入する決済を実施する。販売部40は、購入されたチケットの情報をチケット情報30に格納する。
【0032】
(交通機関特定部41)
交通機関特定部41は、ユーザが乗車する交通機関を特定する。交通機関特定部41は、交通機関の車内から得られる交通機関を示す情報を取得する。交通機関特定部41は、取得した交通機関を示す情報からユーザが乗車する交通機関を特定する。例えば、鉄道やバスなどの交通機関の車内には、交通機関を示すコードを含んだコード画像が設けられる。コード画像は、QR(Quick Response)コードなどの2次元コードの画像であってもよく、バーコードなどの1次元コードの画像であってもよい。ユーザは、交通機関に乗車した際、交通機関の車内に設けられたコード画像をユーザ端末13で撮影する。ユーザ端末13は、撮影したコード画像の情報を運賃精算装置12に送信する。運賃精算装置12の交通機関特定部41は、受信したコード画像に含まれる交通機関を示すコードからユーザが乗車する交通機関を特定する。なお、ユーザが乗車する交通機関を特定する手法は、これに限定されるものではない。例えば、鉄道やバスなどの交通機関では、交通機関の車内にビーコンなどの無線装置を設置し、交通機関を示すコードを無線装置から送信してもよい。ユーザが交通機関に乗車すると、ユーザ端末13は、交通機関を示すコードを受信する。ユーザ端末13は、受信した交通機関を示すコードを運賃精算装置12に送信する。運賃精算装置12の交通機関特定部41は、受信した交通機関を示すコードからユーザが乗車する交通機関を特定してもよい。
【0033】
(判定部42)
判定部42は、記憶部21に記憶されたチケット情報30のチケットに、交通機関特定部41により特定された交通機関の運賃として使用可能なチケットがあるかを判定する。例えば、判定部42は、チケット情報30のチケットに、交通機関特定部41により特定された交通機関を乗車可能な期間内のチケットがあるかを判定する。判定部42は、乗車可能な期間内のチケットがない場合、交通機関特定部41により特定された交通機関の運賃として使用可能な未使用のチケットがあるかをさらに判定する。
【0034】
(決済部43)
決済部43は、ユーザが交通機関に乗車中に当該交通機関の運賃の決済を行う。例えば、決済部43は、判定部42による判定の結果、使用可能なチケットがある場合、チケット情報30の当該チケットを使用済みに更新して交通機関の運賃の決済を行う。例えば、決済部43は、判定部42による判定の結果、チケット情報30に、乗車可能な期間内のチケットがなく、使用可能な未使用のチケットがある場合、チケット情報30の当該未使用のチケットを使用済みに更新して交通機関の運賃の決済を行う。
【0035】
(提供部44)
提供部44は、決済部43による運賃の決済が完了すると、ユーザに対して交通機関の下車に用いる画像(下車用画像))を提供する。例えば、提供部44は、決済部43による運賃の決済が完了すると、下車用画像をユーザ端末13に送信する。提供部44は、判定部42による判定の結果、乗車可能な期間内のチケットがある場合、下車用画像をユーザ端末13に送信する。一方、提供部44は、判定部42による判定の結果、乗車可能な期間内のチケットがない場合、決済部43による運賃の決済が完了すると、下車用画像をユーザ端末13に送信する。また、提供部44は、判定部42による判定の結果、使用可能な未使用のチケットが複数ある場合、当該複数の未使用のチケットから使用するチケットを選択する選択画面を提供する。また、提供部44は、下車用画像として、日付、時間帯、交通機関、交通機関の路線の少なくとも1つに応じて、少なくとも一部の表示態様を変えた画像を提供する。例えば、提供部44は、表示態様情報31に基づき、日付及び交通機関ごとに、少なくとも一部を色の項目の色とした下車用画像を提供する。
【0036】
ユーザ端末13では、提供された画像を表示して、運賃を支払い済みであることを証明する。交通機関では、乗務員がユーザ端末13に表示された画像により、ユーザ端末13を所持するユーザが運賃を支払い済みであることを確認する。
【0037】
以上、本実施形態に係る運賃精算装置12の機能構成例について説明した。なお、図2を用いて説明した上記の機能構成は、あくまで一例である。本実施形態に係る運賃精算装置12の機能構成は、上記の機能構成に限定されない。例えば、運賃精算装置12は、必ずしも図2に示す構成のすべてを備えず、一部の構成を運賃精算装置12とは異なる別のコンピュータに備えることもできる。また、運賃精算装置12は、複数の構成を1つの構成として備えてもよい。本実施形態に係る運賃精算装置12の機能構成は、仕様や運用に応じて柔軟に変形可能である。
【0038】
また、各構成要素の機能を、CPU(Central Processing Unit)などの演算装置がこれらの機能を実現する処理手順を記述した制御プログラムを記憶したROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などの記憶媒体から制御プログラムを読み出し、そのプログラムを解釈して実行することにより行ってもよい。したがって、本実施形態を実施する時々の技術レベルに応じて、適宜利用する構成を変更することが可能である。また、運賃精算装置12のハードウェア構成の一例については後述される。
【0039】
<<1.3.機能の流れ>>
次に、第1の実施形態に係る運賃支払システム10において実行される各種の処理の流れについて説明する。最初に、チケットを購入する流れについて説明する。図5は、第1の実施形態に係る運賃支払システム10においてチケットを購入する流れを説明する図である。ユーザは、決済事業者を利用して交通機関の運賃の決済を行う場合、決済事業者に口座を開設し、金銭を口座に入金する。決済事業者は、ユーザID、パスワードなどのユーザ認証のための認証情報を設定し、ユーザに通知する。なお、認証情報は、ユーザが決済事業者に登録可能としてもよい。
【0040】
ユーザは、所有するユーザ端末13に決済事業者が提供するアプリケーションをインストールする。アプリケーションは、認証情報の入力を受け付ける。ユーザは、ユーザ端末13を操作し、アプリケーションに認証情報を入力する。アプリケーションは、認証情報を受け付けると、ユーザ認証を行い、認証されると利用可能となる。アプリケーションは、一旦認証されると認証情報を記憶し、一定期間、ユーザ認証を不要としてもよい。また、アプリケーションは、チケットの購入など、決済に関する機能を使用する場合、ユーザ認証を行うものとしてもよい。
【0041】
なお、決済事業者が、ユーザごとに、ユーザに対応付けてユーザ端末13の電話番号を記憶している場合、アプリケーションは、ユーザ端末13の電話番号を決済事業者に送信し、電話番号からユーザを特定してユーザ認証を行ってもよい。例えば、決済装置11が、ユーザごとに、ユーザに対応付けてユーザ端末13の電話番号を記憶している場合、アプリケーションは、ユーザ端末13の電話番号を決済装置11に送信し、電話番号からユーザを特定してユーザ認証を行ってもよい。
【0042】
アプリケーションは、運賃精算装置12へリンクしたリンクボタンがメニューに設けられている。また、アプリケーションは、ブラウザの機能を有しており、アプリケーション内でリンク先の表示が可能とされている。
【0043】
交通機関を利用するユーザは、事前に、ユーザ端末13を操作し、アプリケーションのメニューのリンクボタンを選択して運賃精算装置12にアクセスする。運賃精算装置12は、交通機関の車賃の支払いに関するメニュー画面をユーザ端末13に表示する。メニュー画面には、直接決済、チケット購入、チケット表示が設けられている。直接決済は、ユーザの口座からの運賃の決済を指定する項目である。チケット購入は、交通機関で利用可能なチケットの購入を指定する項目である。チケット表示は、購入済みのチケットの表示を指定する項目である。
【0044】
チケットの購入する場合、ユーザは、チケット購入を選択する。チケット購入が選択されると、運賃精算装置12の販売部40は、購入するチケットを選択可能な購入画面の画像面情報を送信する。ユーザ端末13には、購入画面を表示される。購入画面には、購入可能なチケットが表示され、チケットの選択が可能とされている。例えば、図5では、購入可能なチケットとして、「Single trip」、「Round trip」、「Commuter」、「X-Day」が表示されている。「Single trip」は、1回乗車可能な片道チケットである。「Round trip」は、往復するため2回乗車可能な往復チケットである。「Commuter」は、一定期間の間乗車可能な通勤チケットである。「X-Day」は、X日間の間乗車可能なX日チケットである。
【0045】
ユーザは、購入するチケットを選択する。選択されたチケットが通勤チケットの場合、購入画面には、チケットの有効期間の開始日の入力領域と、例えば、30日、60日、90日などのチケットの有効期間の選択する選択領域が表示される。ユーザは、通勤チケットを選択した場合、購入画面の入力領域にチケットの有効期間の開始日を入力し、選択領域でチケットの有効期間を選択する。販売部40は、選択されたチケットの価格を表示した購入画面の画像面情報を送信する。ユーザ端末13には購入画面を表示される。チケット購入画面には、選択したチケットの価格と、購入を決定する決定ボタンが設けられている。
【0046】
ユーザは、選択したチケットを購入する場合、決定ボタンを選択する。決定ボタンが選択されると、ユーザ端末13は、アプリケーションの画面に戻り、チケットの価格を表示した支払画面を表示する。支払画面には、支払ボタンが設けられている。ユーザは、決済事業者のユーザの口座から支払を行う場合、支払ボタンを選択する。支払ボタンが選択されると、アプリケーションは、決済装置11にチケットの価格を送信する。
【0047】
決済装置11は、ユーザの口座の金額情報から、受信したチケットの価格を減額して決済を行う。決済装置11は、決済が完了すると、ユーザ端末13に決済完了を通知する。
【0048】
ユーザ端末13では、決済完了が通知されると、アプリケーションが、支払い完了を表示すると共に、運賃精算装置12にチケットの決済完了を通知する。運賃精算装置12の販売部40は、決済完了を通知されると、購入されたチケットの情報をチケット情報30に格納する。そして、販売部40は、チケット購入完了画面の画像面情報を送信する。ユーザ端末13には、チケット購入完了画面を表示される。
【0049】
次に、第1の実施形態に係る運賃支払システム10により交通機関の運賃をチケットで支払う支払処理の流れについて説明する。図6は、第1の実施形態に係る支払処理の手順の一例を示すフローチャートである。図7及び図8は、第1の実施形態に係る運賃支払システム10においてチケットにより交通機関の運賃の支払う流れを説明する図である。
【0050】
アプリケーションは、運賃精算装置12にリンクした車賃の支払い用の精算ボタンがメニューに設けられている。交通機関に乗車したユーザは、下車の前に、ユーザ端末13を操作し、アプリケーションのメニューから精算ボタンを選択する。アプリケーションは、精算ボタンが選択される、カメラを起動する。例えば、鉄道やバスなどの交通機関の車内には、交通機関を示すコードを含んだコード画像が設けられる。ユーザは、交通機関の車内に設けられたコード画像をユーザ端末13で撮影する。アプリケーションは、撮影したコード画像の情報を運賃精算装置12に送信する。
【0051】
運賃精算装置12では、コード画像の情報を受信すると、交通機関特定部41が、受信したコード画像に含まれる交通機関を示すコードからユーザが乗車する交通機関を特定する(ステップS10)。
【0052】
判定部42は、記憶部21に記憶されたチケット情報30のチケットに、交通機関特定部41により特定された交通機関の運賃として使用可能なチケットがあるかを判定する。例えば、判定部42は、チケット情報30のチケットに、交通機関特定部41により特定された交通機関を乗車可能な期間内のチケットがあるかを判定する。
【0053】
本実施形態では、最初に、判定部42は、交通機関を乗車可能な期間内の通勤チケット又はX日チケットがあるかを判定する(ステップS11)。具体的には、判定部42は、チケット情報30のチケットに、交通機関のコードがコード画像に含まれる交通機関を示すコードであり、ユーザの乗車日が利用開始日と利用終了日の間となる通勤チケット又はユーザの乗車日が利用日に記録された日付から利用可能日数以内の間となるX日チケットがあるかを判定する。ユーザの乗車日は、現在のシステム日付を用いてもよく、ユーザ端末13から乗車日を受信してもよい。通勤チケット、X日チケットのどちらかがある場合(ステップS11:Yes)、後述するステップS21へ移行する。
【0054】
一方、通勤チケット、X日チケットのどちらもない場合(ステップS11:No)、次に、判定部42は、交通機関を乗車可能な使用途中の往復チケットがあるかを判定する(ステップS12)。具体的には、判定部42は、チケット情報30のチケットに、交通機関のコードがコード画像に含まれる交通機関を示すコードであり、利用日に日付が記録され、利用回数が利用上限回数に到達していない往復チケットがあるかを判定する。往復チケットがある場合(ステップS12:Yes)、利用上限回数に到達していない往復チケットを使用しての乗車と処理するため、決済部43は、利用上限回数に到達していない往復チケットの利用回数を1カウントアップし(ステップS13)、後述するステップS21へ移行する。
【0055】
一方、判定部42は、使用途中の往復チケットがない場合(ステップS12:No)、判定部42は、交通機関の運賃として使用可能な使用中のチケットが無いため、交通機関特定部41により特定された交通機関の運賃として使用可能な未使用のチケットがあるかを判定する(ステップS14)。具体的には、判定部42は、チケット情報30のチケットに、交通機関のコードがコード画像に含まれる交通機関を示すコードであり、利用日が記録されていない、片道チケット、往復チケット、X日チケットがある否かを判定する。判定部42は、何れのチケットも無い場合、未使用のチケットが無いと判定する。未使用のチケットが無い場合(ステップS14:No)、提供部44は、チケットにより運賃の支払ができない旨の情報をユーザ端末13に送信し(ステップS15)、処理を終了する。
【0056】
ユーザ端末13は、チケットにより運賃の支払ができない旨の情報を受信した場合、チケットにより運賃の支払ができないことを表示する。ユーザは、チケットの購入を行ったり、あるいは、現金での支払いなど別な方法で運賃の支払いを行う。
【0057】
未使用のチケットがある場合(ステップS14:Yes)、判定部42は、未使用のチケットが複数枚であるかを判定する(ステップS16)。未使用のチケットが複数枚ではなく、1枚である場合(ステップS16:No)、決済部43は、チケット情報30の当該未使用のチケットの利用日に本日の日付を記録することで使用済みに更新して交通機関の運賃の決済を行う(ステップS17)。
【0058】
未使用のチケットが複数枚である場合(ステップS16:Yes)、提供部44は、当該複数の未使用のチケットから使用するチケットを選択する選択画面の画像面情報を送信する(ステップS18)。
【0059】
ユーザ端末13には、選択画面を表示される。ユーザは、選択画面から運賃の支払いに使用するチケットを選択する。
【0060】
決済部43は、選択画面でチケットが選択されたか否かを判定する(ステップS19)。チケットが選択されていない場合(ステップS19:No)、チケットの選択を待つ。チケットが選択された場合(ステップS19:Yes)、決済部43は、チケット情報30の選択された未使用のチケットの利用日に本日の日付を記録することで使用済みに更新して交通機関の運賃の決済を行う(ステップS20)。
【0061】
提供部44は、ユーザに対して下車用画像を提供する。例えば、提供部44は、ユーザ端末13に、下車用画像を送信し(ステップS21)、処理を終了する。
【0062】
ユーザ端末13は、受信した下車用画像を表示する。ユーザは、交通機関を下車する際、表示された画像を乗務員に提示する。乗務員は、ユーザ端末13に表示された画像により、ユーザ端末13を所持するユーザが運賃を支払い済みであることを確認する。
【0063】
これにより、交通機関を乗車可能な期間内の通勤チケット又はX日チケットがある場合や、交通機関を乗車可能な使用途中の往復チケットがある場合、交通機関の運賃として使用可能な未使用のチケットが1枚ある場合、図7に示すように、ユーザが、交通機関の車内に設けられたコード画像をユーザ端末13で撮影すると、ユーザ端末13に下車用画像が表示される。図7には、下車用画像として、「Accept」が表示されている。
【0064】
一方、交通機関を乗車可能な期間内の通勤チケット又はX日チケットがなく、交通機関を乗車可能な使用途中の往復チケットもなく、交通機関の運賃として使用可能な未使用のチケットが複数枚ある場合、図8に示すように、ユーザが、交通機関の車内に設けられたコード画像をユーザ端末13で撮影すると、ユーザ端末13に選択画面が表示される。図8には、選択画面として「Single trip」、「Round trip」の何れを選択するかが表示される。選択画面でチケットが選択されると、ユーザ端末13に下車用画像が表示される。図8では、下車用画像として、「Accept」が表示されている。
【0065】
ところで、下車用画像を常に同じ画像とした場合、ユーザがユーザ端末13で下車用画像を表示した画面をスクリーンショットすることで偽造され、不正な乗車されてしまう虞がある。
【0066】
そこで、提供部44は、下車用画像として、日付、時間帯、交通機関、交通機関の路線の少なくとも1つに応じて、少なくとも一部の表示態様を変えた画像を提供する。例えば、提供部44は、表示態様情報31に基づき、日付及び交通機関ごとに、少なくとも一部を色の項目の色とした下車用画像を提供する。図9は、第1の実施形態に係る下車用画像の表示態様の変化の一例を説明する図である。例えば、下車用画像は、2021年2月1日の場合、「Accept」の背景色が赤で表示され、2021年2月2日の場合、「Accept」の背景色が青で表示され、2021年2月3日の場合、「Accept」の背景色が黄色で表示される。なお、図9では、下車用画像の表示態様の変化として、文字の背景色を変えた場合を説明したが、表示態様の変化はこれに限定されるものではない。表示される文字や、背景全体の色、パターンを変えてもよい。また、下車用画像には、日付や時刻を表示してもよい。また、下車用画像は、マークなどが動く動画像としてもよい。
【0067】
交通機関の運行会社では、乗務員に対して、下車用画像の表示態様を事前伝えておく。乗務員は、ユーザ端末13に表示された下車用画像が、事前伝えられた表示態様の画像かを確認することで、ユーザ端末13に表示された画像が偽造でないことを確認でき、不正な乗車を抑制できる。
【0068】
提供部44は、下車用画像として、操作に応じて少なくとも一部の表示態様が変化する画像を提供してもよい。例えば、提供部44は、タッチ操作に応じて、下車用画像の少なくとも一部の色や表示内容が変化する画像を提供する。図10は、第1の実施形態に係る下車用画像のタッチ操作に応じた表示態様の変化の一例を説明する図である。例えば、下車用画像は、タッチ操作されると、「Accept」の文字部分が振動する。なお、図10では、タッチ操作に応じた表示態様の変化として、文字部分を振動させる場合を説明したが、表示態様の変化はこれに限定されるものではない。タッチ操作に応じて、マークなどが出現及び消失してもよく、表示される文字や、背景全体の色、パターンを変えてもよい。
【0069】
交通機関の運行会社では、乗務員に対して、タッチ操作に応じて下車用画像の色や表示内容がどのように変化するかを事前伝えておく。乗務員又はユーザが、下車の際に、ユーザ端末13に表示された下車用画像にタッチ操作する。乗務員は、ユーザ端末13に表示された下車用画像が、事前伝えられた変化であるかを確認することで、ユーザ端末13に表示された画像が偽造でないことを確認でき、不正な乗車を抑制できる。
【0070】
提供部44は、下車用画像として、操作に応じて音が出力される画像を提供してもよい。例えば、提供部44は、タッチ操作に応じて、音が出力される画像を提供する。図11は、第1の実施形態に係る下車用画像のタッチ操作に応じた音の出力の一例を説明する図である。例えば、下車用画像は、タッチ操作されると、チャイム音などの音が出力される。なお、出力される音は、チャイム音に限定されるものではない。
【0071】
交通機関の運行会社では、乗務員に対して、タッチ操作に応じて出力される音を事前に伝えておく。乗務員又はユーザが、下車の際に、ユーザ端末13に表示された下車用画像にタッチ操作する。乗務員は、ユーザ端末13に表示された下車用画像がタッチ操作に応じて出力される音が事前伝えられた音であるかを確認することで、ユーザ端末13に表示された画像が偽造でないことを確認でき、不正な乗車を抑制できる。
【0072】
このように、運賃を口座から決済する場合でも、運賃精算装置12は、運賃の決済が完了すると、ユーザ端末13に下車用画像を提供する。ユーザは、下車する前に、運賃の決済を実施してユーザ端末13に下車用画像させ、乗務員に確認させることで下車できるため、下車でのユーザの滞留を抑制できる。また、交通機関の運行会社では、乗務員がユーザ端末13に表示された画像を目視確認することで、ユーザ端末13を所持するユーザが運賃を支払い済みであることを確認できるため、交通機関側に新たな装置を配備することなく、交通決済を導入できる。
【0073】
<2.第2の実施形態>
次に、第2の実施形態について説明する。第2の実施形態では、チケットではなく、ユーザの口座から交通機関の運賃を決済する場合を説明する。また、第2の実施形態では、運賃が定額の定額運賃型の交通機関と、運賃が乗車距離に応じて変動する変動運賃型の交通機関の運賃の支払いに使用する場合を説明する。第2の実施形態に係る運賃支払システム10の構成は、図1に示した第1の実施形態に係る運賃支払システム10と同様であるので説明を省略する。
【0074】
<<2.1.機能構成例>>
図12は、第2の実施形態に係る運賃精算装置12の機能的な構成を概略的に示した図である。第2の実施形態に係る運賃精算装置12は、図2に示した第1の実施形態に係る運賃精算装置12と一部同様の構成であるため、同様の構成部分についは同様の符号を付して説明を省略し、主に異なる部分について説明する。
【0075】
(記憶部21)
記憶部21は、チケット情報30が記憶されておらず、ブラックリスト情報32をさらに記憶する。ブラックリスト情報32は、交通機関の乗車を拒否するユーザを登録したデータである。例えば、ブラックリスト情報32には、運賃が未回収などのトラブルがあるユーザが、交通機関の乗車を拒否するユーザとして登録される。なお、決済事業者が複数ある場合、ブラックリスト情報32は、決済事業者単位で記憶してもよく、複数の決済事業者単位で記憶してもよい。
【0076】
(制御部22)
制御部22は、運賃型特定部45と、導出部46をさらに有する。
【0077】
(判定部42)
判定部42は、交通機関に乗車したユーザがブラックリスト情報32に登録されたユーザであるかを判定する。例えば、ユーザが交通機関に乗車した際に、運賃精算装置12には、ユーザ端末13から、乗車したユーザに関する情報が送信される。判定部42は、受信したユーザに関する情報からユーザを特定し、特定したユーザがブラックリスト情報32に登録されたユーザであるかを判定する。また、判定部42は、受信した情報からユーザが乗車したか否かや、運賃の精算であるかを判定する。なお、決済事業者が複数ある場合、判定部42は、特定したユーザが、運賃の決済を依頼する決済事業者のブラックリスト情報32に登録されたユーザであるかを判定する。
【0078】
(決済部43)
決済部43は、ユーザの口座から交通機関の運賃を決済する。例えば、決済部43は、交通機関の運賃を決済装置11に通知し、決済装置11でユーザの口座から交通機関の運賃を決済する。
【0079】
(提供部44)
提供部44は、決済部43による運賃の決済が完了すると、ユーザに対して交通機関の下車用画像を提供する。例えば、提供部44は、下車用画像として、日付、時間帯、交通機関、交通機関の路線の少なくとも1つに応じて、少なくとも一部の表示態様を変えた画像を提供する。例えば、提供部44は、表示態様情報31に基づき、日付及び交通機関ごとに、少なくとも一部を色の項目の色とした下車用画像を提供する。
【0080】
また、提供部44は、交通機関に乗車したユーザがブラックリスト情報32に登録されたユーザである場合、ユーザに対して、乗車を拒否する旨を提示する。例えば、提供部44は、判定部42によりユーザがブラックリスト情報32に登録されたユーザであると判定された場合、ユーザ端末13に乗車を拒否する旨を提示する。
【0081】
(運賃型特定部45)
運賃型特定部45は、乗車する交通機関の運賃が定額の定額運賃型か、乗車距離に応じて変動する変動運賃型かを特定する。例えば、運賃精算装置12には、ユーザ端末13から、ユーザが乗車する交通機関の運賃が定額運賃型か、変動運賃型かを判定するための情報が通知される。通知される情報は、運賃が定額運賃型か、変動運賃型かを示す運賃型情報であってもよく、乗車する交通機関を示す乗車交通機関情報であってもよい。通知される情報が運賃型情報である場合、運賃型特定部45は、通知された運賃型情報から、運賃が定額運賃型か変動運賃型かを特定する。一方、通知される情報が乗車交通機関情報である場合、運賃精算装置12は、記憶部21に、交通機関ごとに、交通機関の運賃が定額運賃型か変動運賃型かを交通機関のマスタデータとして記憶する。運賃型特定部45は、記憶部21に記憶されマスタデータから、通知された乗車交通機関情報の交通機関の運賃が定額運賃型か変動運賃型かを特定する。
【0082】
(導出部46)
導出部46は、運賃型特定部45により運賃が変動運賃型と特定された場合、乗車する交通機関の乗車区間から運賃を導出する。例えば、運賃が変動運賃型の交通機関である場合、運賃精算装置12には、ユーザ端末13から、乗車する交通機関の乗車区間として、乗車地点と下車地点の情報が通知される。導出部46は、通知された乗車区間の情報から、乗車区間から運賃を導出する。例えば、導出部46は、既存の運賃算出システムに対して、乗車地点と下車地点を入力し、運賃算出システムを用いて運賃を導出する。なお、運賃精算装置12は、記憶部21に、交通機関の乗車地点と下車地点の組み合わせごとに、運賃を登録した運賃情報を記憶し、導出部46は、運賃情報から、通知された乗車地点と下車地点に対応する運賃を求めることで、運賃を導出してもよい。
【0083】
<<2.2.機能の流れ>>
次に、第2の実施形態に係る運賃支払システム10により交通機関の運賃の支払う支払処理の流れについて説明する。図13は、第2の実施形態に係る支払処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【0084】
交通機関は、ユーザが乗車する乗車口にユーザ端末13と通信可能な通信装置が設置されている。通信装置には、交通機関の運賃が定額運賃型か、変動運賃型かが設定されている。通信装置は、ユーザ端末13が通信装置にタッチすることで、運賃が定額運賃型か、変動運賃型を示す運賃型情報を、例えば、Bluetooth(登録商標)などの近距離無線でユーザ端末13に通知する。また、通信装置、運賃が変動運賃型の場合、乗車地点を示す乗車地点情報を近距離無線でユーザ端末13に通知する。なお、通信装置は、交通機関を示す乗車交通機関情報が設定され、設定された乗車交通機関情報を近距離無線でユーザ端末13に通知してもよい。
【0085】
ユーザは、交通機関に乗車する際に、乗車口で通信装置にユーザ端末13をタッチ操作する。ユーザ端末13は、通信装置から近距離無線で通知された情報を、認証情報や電話番号と共に運賃精算装置12に送信する。例えば、ユーザ端末13は、通信装置から近距離無線により運賃型情報又は乗車交通機関情報や乗車地点情報を受信する。ユーザ端末13は、受信した運賃型情報又は乗車交通機関情報や乗車地点情報を、認証情報や電話番号と共に運賃精算装置12に送信する。なお、運賃型情報又は乗車交通機関情報は、交通機関の車内にビーコンなどの無線装置を設置し、無線装置から送信してもよい。運賃型、ユーザが乗車する乗車交通機、乗車地点は、ユーザ端末13にユーザが入力してもよい。
【0086】
運賃精算装置12の判定部42は、受信した情報からユーザが乗車したか否かを判定する(ステップS50)。例えば、判定部42は、運賃型情報又は乗車交通機関情報を受信した場合、ユーザが乗車したと判定する。
【0087】
運賃型情報又は乗車交通機関情報を受信してユーザが乗車したと判定した場合(ステップS50:Yes)、判定部42は、運賃型情報又は乗車交通機関情報と共に受信した認証情報や電話番号に基づいてユーザを特定する(ステップS51)。判定部42は、特定したユーザがブラックリスト情報32に登録されたユーザであるか判定する(ステップS52)。ブラックリスト情報32に登録されたユーザである場合(ステップS52:Yes)、提供部44は、ユーザに対して、乗車を拒否する旨を提示する(ステップS53)。例えば、提供部44は、乗車を拒否する旨の画面情報をユーザ端末13に送信し、処理を終了する。
【0088】
ユーザ端末13は、乗車を拒否する旨の画面情報を受信した場合、乗車を拒否する旨を表示する。これにより、ブラックリスト情報32に登録されたユーザの乗車を抑制できる。
【0089】
一方、ブラックリスト情報32に登録されたユーザではない場合(ステップS52:No)、運賃型特定部45は、受信した運賃型情報又は乗車交通機関情報から運賃が定額運賃型か、変動運賃型かを特定する(ステップS54)。例えば、運賃型特定部45は、運賃型情報を受信した場合、運賃型情報から運賃が定額運賃型か変動運賃型かを特定する。運賃型特定部45は、乗車交通機関情報を受信した場合、記憶部21に記憶されマスタデータから、乗車交通機関情報の交通機関の運賃が定額運賃型か変動運賃型かを特定する。
【0090】
判定部42は、特定された運賃が定額運賃型かを判定する(ステップS55)。運賃が変動運賃型であり、定額運賃型ではない場合(ステップS55:No)、処理を終了する。運賃が変動運賃型である場合、運賃は、後で清算する。
【0091】
一方、運賃が定額運賃型である場合(ステップS55:Yes)、決済部43は、ユーザに対して決済を実施する事業者に対して運賃を通知し、事業者により運賃の決済を実施する。例えば、決済部43は、運賃と認証情報や電話番号を決済事業者の決済装置11に送信する(ステップS56)。
【0092】
決済部43は、決済装置11から決済完了の回答を受信したかを判定する(ステップS57)。決済部43は、回答を受信していない場合(ステップS57:No)、回答の受信を待つ。運賃は、定額運賃型の交通機関について、マスタデータに運賃を記憶させておいてもよく、また、ユーザ端末13から受信してもよい。
【0093】
決済装置11は、受信した認証情報や電話番号からユーザを特定し、特定したユーザの口座の金額情報から運賃を減額して決済を行う。決済装置11は、決済が完了すると、決済完了を回答し、運賃を減額できない場合、決済できない旨を回答する。
【0094】
決済装置11から回答を受信した場合(ステップS57:Yes)、提供部44は、回答が決済完了であるかを判定する(ステップS58)。提供部44は、回答が運賃を決済できない回答である場合(ステップS58:No)、運賃の支払ができない旨をユーザ端末13に送信し(ステップS59)、処理を終了する。
【0095】
一方、提供部44は、回答が決済完了である場合(ステップS58:Yes)、ユーザに対して交通機関の下車用画像を提供する。例えば、提供部44は、表示態様情報31に基づき、日付及び交通機関ごとに、少なくとも一部を色の項目の色とした下車用画像を送信し(ステップS60)、処理を終了する。
【0096】
ユーザ端末13は、運賃の支払ができない旨の情報を受信した場合、運賃の支払ができないことを表示する。ユーザは、現金での支払いなど別な方法で運賃の支払いを行う。一方、ユーザ端末13は、下車用画像を受信した場合、受信した下車用画像を表示する。
【0097】
一方、運賃が変動運賃型である場合、ユーザは、交通機関を下車する際に、下車地点をユーザ端末13に入力する。ユーザ端末13は、乗車地点情報、下車地点を示す下車地点情報を運賃精算装置12に送信する。なお、乗車地点情報は、乗車の際に送信済みである場合、送信を省略してもよい。
【0098】
運賃精算装置12の判定部42は、受信した情報が乗車地点情報、下車地点情報である場合、運賃型情報又は乗車交通機関情報ではないため(ステップS50:No)、下車と判定する(ステップS61)。なお、判定部42は、受信した情報が乗車地点情報、下車地点情報であるにより、下車と判定してもよい。
【0099】
導出部46は、乗車する交通機関の乗車区間から運賃を導出する(ステップS62)。例えば、導出部46は、乗車地点情報の乗車地点から下車地点情報の下車地点への運賃を導出する。例えば、導出部46は、既存の運賃算出システムに対して、乗車地点と下車地点を入力し、運賃算出システムを用いて運賃を導出する。なお、導出部46は、記憶部21に乗車地点と下車地点の組み合わせごとに、運賃を登録した運賃情報が記憶されている場合、運賃情報から、乗車地点と下車地点に対応する運賃を求めることで、運賃を導出してもよい。
【0100】
決済部43は、ユーザに対して決済を実施する事業者に対して運賃を通知し、事業者により運賃の決済を実施する。例えば、決済部43は、導出部46により導出した運賃と認証情報や電話番号を決済事業者の決済装置11に送信する(ステップS63)。決済部43は、決済装置11から決済完了の回答を受信したかを判定する(ステップS64)。決済部43は、回答を受信していない場合(ステップS64:No)、回答の受信を待つ。
【0101】
決済装置11は、受信した認証情報や電話番号からユーザを特定し、特定したユーザの口座の金額情報から運賃を減額して決済を行う。決済装置11は、決済が完了すると、決済完了を回答し、運賃を減額できない場合、決済できない旨を回答する。
【0102】
決済装置11から回答を受信した場合(ステップS64:Yes)、提供部44は、回答が決済完了であるかを判定する(ステップS65)。提供部44は、回答が運賃を決済できない回答である場合(ステップS65:No)、運賃の支払ができない旨をユーザ端末13に送信し(ステップS66)、処理を終了する。
【0103】
一方、提供部44は、回答が決済完了である場合(ステップS65:Yes)、ユーザに対して交通機関の下車用画像を提供する。例えば、提供部44は、表示態様情報31に基づき、日付及び交通機関ごとに、少なくとも一部を色の項目の色とした下車用画像を送信し(ステップS67)、処理を終了する。
【0104】
ユーザ端末13は、運賃の支払ができない旨の情報を受信した場合、運賃の支払ができないことを表示する。ユーザは、現金での支払いなど別な方法で運賃の支払いを行う。一方、ユーザ端末13は、下車用画像を受信した場合、受信した下車用画像を表示する。
【0105】
このように、本実施形態に係る運賃精算装置12は、交通機関の運賃が定額運賃型、変動運賃型の何れの場合でも、下車でのユーザの滞留の発生を抑制しつつ運賃を回収できる。また、運賃精算装置12は、ブラックリスト情報32に登録されたユーザの交通機関の乗車を抑制できる。
【0106】
<3.第3の実施形態>
次に、第3の実施形態について説明する。第3の実施形態では、複数のブラックリスト情報を有する場合を説明する。第3の実施形態に係る運賃支払システム10の構成は、図1に示した第1の実施形態に係る運賃支払システム10と同様であるので説明を省略する。
【0107】
<<3.1.機能構成例>>
図14は、第3の実施形態に係る運賃精算装置12の機能的な構成を概略的に示した図である。第3の実施形態に係る運賃精算装置12は、図2及び図12に示した第1及び第2の実施形態に係る運賃精算装置12と一部同様の構成であるため、同様の構成部分についは同様の符号を付して説明を省略し、主に異なる部分について説明する。
【0108】
(記憶部21)
記憶部21は、ブラックリスト情報32に代えて、第1のブラックリスト情報33と第2のブラックリスト情報34をさらに記憶する。第1のブラックリスト情報33は、定額運賃型及び変動運賃型の交通機関の乗車を拒否するユーザを登録したデータである。例えば、第1のブラックリスト情報33には、決済事業者で決済ができないユーザや、交通機関の利用が拒否されているユーザなど、警戒すべき度合が高いユーザが登録される。第2のブラックリスト情報34は、変動運賃型の交通機関の乗車を拒否するユーザを登録したデータである。変動運賃型の交通機関は、乗車距離が長くなると運賃が高額となる。例えば、第2のブラックリスト情報34には、運賃の未回収があるものの、警戒すべき度合が低いユーザが登録される。なお、決済事業者が複数ある場合、第1のブラックリスト情報33と第2のブラックリスト情報34は、決済事業者単位で記憶してもよく、複数の決済事業者単位で記憶してもよい。決済事業者が複数ある場合、判定部42は、特定したユーザが、運賃の決済を依頼する決済事業者の第1のブラックリスト情報33及び第2のブラックリスト情報34に登録されたユーザであるかを判定する。
【0109】
(提供部44)
提供部44は、交通機関に乗車したユーザが第1のブラックリスト情報33に登録されたユーザである場合、ユーザに対して、乗車を拒否する旨を提示する。また、提供部44は、交通機関に乗車したユーザが第2のブラックリスト情報34に登録されたユーザである場合、ユーザに対して、変動運賃型の交通機関の乗車を拒否する旨を提示する。
【0110】
<<3.2.機能の流れ>>
次に、第3の実施形態に係る運賃支払システム10により交通機関の運賃の支払う支払処理の流れについて説明する。図15は、第3の実施形態に係る支払処理の手順の一例を示すフローチャートである。第3の実施形態に係る支払処理の手順は、図13に示した第2の実施形態に係る支払処理の手順と一部同様の処理であるため、同様の処理部分についは同様の符号を付して説明を省略し、主に異なる処理部分について説明する。
【0111】
ステップS51においてユーザを特定すると、判定部42は、特定したユーザが第1のブラックリスト情報33に登録されたユーザであるか判定する(ステップS70)。第1のブラックリスト情報33に登録されたユーザである場合(ステップS70:Yes)、提供部44は、ユーザに対して、乗車を拒否する旨を提示する(ステップS71)。例えば、提供部44は、乗車を拒否する旨の画面情報をユーザ端末13に送信し、処理を終了する。一方、第1のブラックリスト情報33に登録されたユーザではない場合(ステップS70:No)、処理はステップS54へ移行する。
【0112】
また、運賃が定額運賃型である場合(ステップS55:Yes)、判定部42は、特定したユーザが第2のブラックリスト情報34に登録されたユーザであるか判定する(ステップS72)。第2のブラックリスト情報34に登録されたユーザである場合(ステップS72:Yes)、提供部44は、ユーザに対して、乗車を拒否する旨を提示する(ステップS73)。例えば、提供部44は、乗車を拒否する旨の画面情報をユーザ端末13に送信し、処理を終了する。一方、第2のブラックリスト情報34に登録されたユーザではない場合(ステップS72:No)、処理はステップS56へ移行する。
【0113】
このように、本実施形態に係る運賃精算装置12は、警戒すべきユーザについて、警戒すべき度合いに応じて、定額運賃型及び変動運賃型の交通機関の乗車を許可又は拒絶できる。
【0114】
<4.ハードウェア構成例>
次に、第1~第3の実施形態に係る運賃精算装置12のハードウェア構成例について説明する。図16は、第1~第3の実施形態に係る運賃精算装置12のハードウェア構成例を示すブロック図である。図16を参照すると、運賃精算装置12は、例えば、プロセッサ801と、ROM802と、RAM803と、ホストバス804と、ブリッジ805と、外部バス806と、インターフェース807と、入力装置808と、出力装置809と、ストレージ810と、ドライブ811と、接続ポート812と、通信装置813と、を有する。なお、ここで示すハードウェア構成は一例であり、構成要素の一部が省略されてもよい。また、ここで示される構成要素以外の構成要素をさらに含んでもよい。
【0115】
(プロセッサ801)
プロセッサ801は、例えば、演算処理装置または制御装置として機能し、ROM802、RAM803、ストレージ810、またはリムーバブル記録媒体901に記録された各種プログラムに基づいて各構成要素の動作全般またはその一部を制御する。
【0116】
(ROM802、RAM803)
ROM802は、プロセッサ801に読み込まれるプログラムや演算に用いるデータなどを格納する手段である。RAM803には、例えば、プロセッサ801に読み込まれるプログラムや、そのプログラムを実行する際に適宜変化する各種パラメータなどが一時的または永続的に格納される。
【0117】
(ホストバス804、ブリッジ805、外部バス806、インターフェース807)
プロセッサ801、ROM802、RAM803は、例えば、高速なデータ伝送が可能なホストバス804を介して相互に接続される。一方、ホストバス804は、例えば、ブリッジ805を介して比較的データ伝送速度が低速な外部バス806に接続される。また、外部バス806は、インターフェース807を介して種々の構成要素と接続される。
【0118】
(入力装置808)
入力装置808には、例えば、マウス、キーボード、タッチパネル、ボタン、スイッチ、およびレバーなどが用いられる。さらに、入力装置808としては、赤外線やその他の電波を利用して制御信号を送信することが可能なリモートコントローラ(以下、リモコン)が用いられることもある。また、入力装置808には、マイクロフォンなどの音声入力装置が含まれる。
【0119】
(出力装置809)
出力装置809は、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)、LCD、または有機ELなどのディスプレイ装置、スピーカ、ヘッドホンなどのオーディオ出力装置、プリンタ、携帯電話、またはファクシミリなど、取得した情報を利用者に対して視覚的または聴覚的に通知することが可能な装置である。また、本実施形態に係る出力装置809は、触覚刺激を出力することが可能な種々の振動デバイスを含む。
【0120】
(ストレージ810)
ストレージ810は、各種のデータを格納するための装置である。ストレージ810としては、例えば、ハードディスクドライブ(HDD)などの磁気記憶デバイス、半導体記憶デバイス、光記憶デバイス、または光磁気記憶デバイスなどが用いられる。
【0121】
(ドライブ811)
ドライブ811は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、または半導体メモリなどのリムーバブル記録媒体901に記録された情報を読み出し、またはリムーバブル記録媒体901に情報を書き込む装置である。
【0122】
(接続ポート812)
接続ポート812は、例えば、USB(Universal Serial Bus)ポート、IEEE1394ポート、SCSI(Small Computer System Interface)、RS-232Cポート、または光オーディオ端子などのような外部接続機器902を接続するためのポートである。
【0123】
(通信装置813)
通信装置813は、ネットワークに接続するための通信デバイスであり、例えば、有線または無線LAN、Bluetooth(登録商標)、またはWUSB(Wireless USB)用の通信カード、光通信用のルータ、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)用のルータ、または各種通信用のモデムなどである。
【0124】
(リムーバブル記録媒体901)
リムーバブル記録媒体901は、例えば、DVDメディア、Blu-ray(登録商標)メディア、HD DVDメディア、各種の半導体記憶メディアなどである。もちろん、リムーバブル記録媒体901は、例えば、非接触型ICチップを搭載したICカード、または電子機器などであってもよい。
【0125】
(外部接続機器902)
外部接続機器902は、例えば、プリンタ、携帯音楽プレーヤ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、またはICレコーダなどである。
【0126】
なお、本実施形態に係る記憶部21は、ROM802やRAM803、ストレージ810によって実現される。また、プロセッサ801によって実現される本実施形態に係る制御部22が、販売部40、交通機関特定部41、判定部42、決済部43、提供部44、運賃型特定部45、導出部46を実現する各制御プログラムを、ROM802やRAM803などから読み出し実行する。また、本実施形態に係る通信部110が、ROM802やRAM803などからデータを読み出し、ホストバス804、ブリッジ805、外部バス806、インターフェース807を介して通信装置813にデータを送り、外部装置へのデータ送信を行う。また、通信部110は、通信装置813によって受信されたデータを、インターフェース807、外部バス806、ブリッジ805、ホストバス804を介してROM802やRAM803に書き込み、外部装置からのデータ受信を行う。
【0127】
<5.まとめ>
以上説明したように、運賃精算装置12は、決済部43と、提供部44とを有する。決済部43は、ユーザが交通機関に乗車中に当該交通機関の運賃の決済を行う。提供部44は、決済部43による運賃の決済が完了すると、ユーザに対して交通機関の下車用画像を提供する。
【0128】
これにより、運賃精算装置12は、下車でのユーザの滞留の発生を抑制しつつ運賃を回収できる。
【0129】
以上、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、本開示の技術的範囲はかかる例に限定されない。本開示の技術分野における通常の知識を有する者であれば、請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0130】
例えば、上記実施形態では、決済事業者が提供するアプリケーションに運賃精算装置12が画像を表示させる場合を例に説明した。しかしこれに限定されるものではない。運賃精算装置12は、販売部40、交通機関特定部41、判定部42、決済部43、提供部44、運賃型特定部45及び導出部46の各機能を外部装置から呼び出し可能なAPI(Application Programming Interface)として提供してもよい。アプリケーションは、運賃の支払いに関する画面も決済事業者が作成し、運賃の支払いに関する画面の操作に応じて運賃精算装置12のAPIを呼び出して販売部40、交通機関特定部41、判定部42、決済部43、提供部44、運賃型特定部45及び導出部46の各機能を実行してもよい。
【0131】
また、上記実施形態では、運賃精算装置12を本開示の情報処理装置とした場合を例に説明した。しかしこれに限定されるものではない。ユーザ端末13を本開示の情報処理装置としてもよい。例えば、販売部40、交通機関特定部41、判定部42、決済部43、提供部44、運賃型特定部45及び導出部46の各機能を有し、運賃の精算を行うアプリケーションをユーザ端末13にインストールして、ユーザ端末13が販売部40、交通機関特定部41、判定部42、決済部43、提供部44、運賃型特定部45及び導出部46の各機能を実行してもよい。
【0132】
<6.効果>
上述したように、情報処理装置(運賃精算装置12、ユーザ端末13)は、以下のような構成を取り様々な効果を奏し得る。しかしながら、本明細書に記載された効果は、あくまで説明的または例示的なものであって限定的ではない。つまり、本開示に係る技術は、上記の効果とともに、または上記の効果に代えて、本明細書の記載から当業者には明らかな他の効果を奏し得る。
【0133】
(1)ユーザが交通機関に乗車中に当該交通機関の運賃の決済を行う決済部43と、
前記決済部43による運賃の決済が完了すると、前記ユーザに対して前記交通機関の下車に用いる画像(下車用画像)を提供する提供部44と、
を有する情報処理装置。
【0134】
これにより、情報処理装置は、下車でのユーザの滞留の発生を抑制しつつ運賃を回収できる。
【0135】
(2)前記提供部44は、下車に用いる前記画像として、日付、時間帯、前記交通機関、前記交通機関の路線の少なくとも1つに応じて、少なくとも一部の表示態様を変えた画像を提供する
(1)に記載の情報処理装置。
【0136】
これにより、情報処理装置は、不正な乗車を抑制できる。
【0137】
(3)前記提供部44は、下車に用いる前記画像として、操作に応じて少なくとも一部の表示態様が変化する画像を提供する
(1)又は(2)に記載の情報処理装置。
【0138】
これにより、情報処理装置は、不正な乗車を抑制できる。
【0139】
(4)交通機関の運賃として使用可能なチケットを示すチケット情報30を記憶する記憶部21と、
前記ユーザが乗車する前記交通機関を特定する交通機関特定部41と、
前記判定部42は、前記チケット情報30のチケットに、前記交通機関特定部41により特定された交通機関を乗車可能な期間内のチケットがあるかを判定する判定部42と、をさらに有し、
前記提供部44は、前記判定部42による判定の結果、乗車可能な期間内のチケットがある場合、前記ユーザに対して前記下車に用いる画像を提供する
(1)~(3)の何れか1つに記載の情報処理装置。
【0140】
これにより、情報処理装置は、交通機関を乗車可能な期間内のチケットがある場合、当該乗車可能な期間内のチケットで運賃を決済できる。
【0141】
(5)前記判定部42は、乗車可能な期間内のチケットがない場合、前記チケット情報30のチケットに、前記交通機関特定部41により特定された交通機関の運賃として使用可能な未使用のチケットがあるかをさらに判定し、
前記決済部43は、前記判定部42の判定の結果、使用可能な未使用のチケットがある場合、前記チケット情報30の当該未使用のチケットを使用済みに更新して前記交通機関の運賃の決済を行う
(4)に記載の情報処理装置。
【0142】
これにより、情報処理装置は、交通機関を乗車可能な期間内のチケットがない場合、交通機関の運賃として使用可能な未使用のチケットで運賃を決済できる。
【0143】
(6)前記交通機関特定部41は、前記交通機関の車内から得られる前記交通機関を示す情報から前記ユーザが乗車する前記交通機関を特定する
(4)又は(5)に記載の情報処理装置。
【0144】
これにより、情報処理装置は、ユーザが指定しなくても、ユーザが乗車する前記交通機関を特定できる。
【0145】
(7)前記交通機関特定部41は、前記交通機関を示すコードを含み、前記交通機関の車内に設けられたコード画像を撮影して得られた前記コードから前記ユーザが乗車する前記交通機関を特定する
(4)~(6)の何れか1つに記載の情報処理装置。
【0146】
これにより、情報処理装置は、交通機関の車内に設けられたコード画像を撮影することで、ユーザが乗車する前記交通機関を特定できる。また、交通機関は、車内にコード画像を配置するだけよいため、導入コストを抑えることができる。
【0147】
(8)乗車する交通機関の運賃が定額の定額運賃型か、乗車距離に応じて変動する変動運賃型かを特定する運賃型特定部45と、
前記運賃型特定部45により運賃が前記変動運賃型と特定された場合、前記交通機関の乗車区間から運賃を導出する導出部46とをさらに有し、
前記決済部43は、前記運賃型特定部45により運賃が前記定額運賃型と特定された場合、前記交通機関の定額の運賃をユーザに対して決済を実施する事業者に対して通知し、前記運賃型特定部45により運賃が前記変動運賃型と特定された場合、前記導出部46により導出された運賃を前記事業者に対して通知する
(1)~(7)の何れか1つに記載の情報処理装置。
【0148】
これにより、情報処理装置は、運賃が定額運賃型又は変動運賃型の場合でも、下車でのユーザの滞留の発生を抑制しつつ運賃を回収できる。
【0149】
(9)定額運賃型及び変動運賃型の交通機関の乗車を拒否するユーザを登録した第1のブラックリスト情報33と、変動運賃型の交通機関の乗車を拒否するユーザを登録した第2のブラックリスト情報34を記憶する記憶部21をさらに有し、
前記提供部44は、前記交通機関に乗車したユーザが前記第1のブラックリスト情報33に登録されたユーザである場合、前記ユーザに対して、乗車を拒否する旨を提示し、前記交通機関に乗車したユーザが前記第2のブラックリスト情報34に登録されたユーザである場合、前記ユーザに対して、変動運賃型の交通機関の乗車を拒否する旨を提示する
(1)~(8)の何れか1つに記載の情報処理装置。
【0150】
これにより、情報処理装置は、警戒すべきユーザについて、警戒すべき度合いに応じて、定額運賃型及び変動運賃型の交通機関の乗車を許可又は拒絶できる。
【符号の説明】
【0151】
10 運賃支払システム
11 決済装置
12 運賃精算装置
13 ユーザ端末
20 通信部
21 記憶部
22 制御部
30 チケット情報
31 表示態様情報
32 ブラックリスト情報
33 第1のブラックリスト情報
34 第2のブラックリスト情報
40 販売部
41 交通機関特定部
42 判定部
43 決済部
44 提供部
45 運賃型特定部
46 導出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16