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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-14
(45)【発行日】2025-01-22
(54)【発明の名称】光源装置及び露光装置
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/20 20060101AFI20250115BHJP
   G02B 6/42 20060101ALI20250115BHJP
【FI】
G03F7/20 501
G02B6/42
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021059722
(22)【出願日】2021-03-31
(65)【公開番号】P2022156167
(43)【公開日】2022-10-14
【審査請求日】2023-12-18
(73)【特許権者】
【識別番号】300091670
【氏名又は名称】株式会社アドテックエンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 裕貴
【審査官】佐藤 海
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-065000(JP,A)
【文献】特開2008-058835(JP,A)
【文献】特開2005-208174(JP,A)
【文献】特開昭61-067809(JP,A)
【文献】特開2003-156711(JP,A)
【文献】米国特許第05601733(US,A)
【文献】特開2008-064989(JP,A)
【文献】特開2007-005517(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/20
G02B 6/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
前記光源から出射された光を導光する光ファイバと、
前記光ファイバから出射された光を集光する屈折光学系と、
前記屈折光学系から出射された光が入射される入射面を含むロッドインテグレータと
前記ロッドインテグレータの前記入射面からの戻り光を遮光する遮光部と、
を備え、
前記ロッドインテグレータは、前記入射面が前記屈折光学系の光軸に直交する基準平面に対して時計回り又は反時計回りの回転方向に角度θi(0<θi<90度)だけ傾斜すると共に、中心軸が前記光軸に対して前記回転方向に角度θr(0<θr<90度)だけ傾斜した形状を呈し、
前記角度θiと前記角度θrは、以下の(1)式の関係を満たすことを特徴とする、光源装置。
θr<2×(θi-asin(sin(θi)/n)) …(1)
(ただし、(1)式内において、nは前記ロッドインテグレータの屈折率である。)
【請求項2】
前記角度θiと前記角度θrは、以下の(2)式の関係を満たすことを特徴とする、請求項1に記載の光源装置。
0.8×(θi-asin(sin(θi)/n)) < θr < 1.2×(θi-asin(sin(θi)/n)) …(2)
【請求項3】
θrは、θi-asin(sin(θi/n)と実質的に等しいことを特徴とする、請求項2に記載の光源装置。
【請求項4】
前記ロッドインテグレータは、前記入射面から入射された光が出射される出射面を備え、
前記出射面の法線は、前記中心軸に対して傾斜していることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の光源装置。
【請求項5】
前記遮光部は、前記屈折光学系を透過する光の径よりも大きい開口を有し、
前記屈折光学系から出射された光は、前記開口を通過して前記ロッドインテグレータの前記入射面に入射されることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の光源装置。
【請求項6】
前記遮光部は、前記屈折光学系を挟んで互いに対向配置される第一遮光領域と第二遮光領域とを有することを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の光源装置。
【請求項7】
前記ロッドインテグレータの前記入射面は、矩形であり、かつ、前記矩形の短辺を回転軸にして前記基準平面に対して前記角度θiだけ回転させた形状を呈することを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載の光源装置。
【請求項8】
複数の前記光源と、
前記複数の光源から出射された光をそれぞれ導光する複数の前記光ファイバとを有し、
前記複数の光ファイバは、少なくともそれぞれの出射端が束ねられたバンドルファイバを形成していることを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載の光源装置。
【請求項9】
前記複数の光源から出射される光量の合計が1Wを超えることを特徴とする、請求項に記載の光源装置。
【請求項10】
前記光源から放射される光のピーク波長は350~450nmにあることを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載の光源装置。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の光源装置を備えることを特徴とする、露光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、光源装置及び露光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ワークに塗布された感光材に対して所定のパターンを形成するフォトリソグラフィに関する技術の一つに、DI(ダイレクトイメージング)露光がある。DI露光では、空間光変調器で形成した所望の回路パターンの光を、ワークに塗布された感光材に照射して露光する。
【0003】
DI露光に使用される光源装置は、光源と、光源から放射された光を空間光変調器に入射する入射光学系と、を有している。入射光学系に、光源からの出射光を導く光ファイバと、光ファイバからの出射光を均質化するロッドインテグレータ(「ロッドレンズ」、「インテグレータロッド」とも称されることがある。)と、を含む光学ユニットを使用することがある。
【0004】
光ファイバとロッドインテグレータを備える光学ユニットにおいて、光ファイバからの出射光をロッドインテグレータに入射させる際に、出射光の一部がロッドインテグレータの入射面で反射されることに伴う戻り光が発生することがある。そして、発生した戻り光が光ファイバの出射端部に到達して光ファイバ内に侵入し、光源まで戻ることで光源の光出力の大きさが変動するおそれがある。
【0005】
斯かる問題に対応するための技術として、従来、特許文献1が知られている。特許文献1には、図9の光学ユニット90に示されているように、光ファイバを束ねたバンドルファイバ91から出射された光L9(より詳細には主光線)の光軸が、ロッドインテグレータ92の入射面93の法線方向に対して傾斜するように(角度θをなすように)、バンドルファイバ91とロッドインテグレータ92を配置する方法が開示されている。この方法によれば、バンドルファイバ91から出射された光L9がロッドインテグレータ92の入射面93で反射しても、反射光の主光線B9の光軸はバンドルファイバ91の出射端部とは異なる方向を向くため、バンドルファイバ91の出射端部に到達する戻り光の光量は低下する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2005-300823号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、図9に示された光学ユニット90では、ロッドインテグレータ92に入射した光L9は、ロッドインテグレータ92の中心軸92cから大きくずれて、ロッドインテグレータ92内を進む光L9がロッドインテグレータ92内で繰り返し反射する。その結果、光L9がロッドインテグレータ92から出射するときには、その発散角が増大してしまう。ロッドインテグレータ92から出射される光の発散角が増大すると、その後段に配置する光学系の大型化を余儀なくされる。また、後段の光学系に入射されない光が存在して光の利用効率が低下する懸念がある。
【0008】
そこで、本発明は、発散角が増大することを抑えつつ、戻り光が光ファイバの出射端部に到達する光量を低下させた光源装置、及び当該光源装置を備えた露光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の光源装置は、光源と、
前記光源から出射された光を導光する光ファイバと、
前記光ファイバから出射された光を集光する屈折光学系と、
前記屈折光学系から出射された光が入射される入射面を含むロッドインテグレータとを備え、
前記ロッドインテグレータは、前記入射面が前記屈折光学系の光軸に直交する基準平面に対して時計回り又は反時計回りの回転方向に角度θi(0<θi<90度)だけ傾斜すると共に、中心軸が前記光軸に対して前記回転方向に角度θr(0<θr<90度)だけ傾斜した形状を呈し、
前記角度θiと前記角度θrは、以下の(1)式の関係を満たす。
θr<2×(θi-asin(sin(θi)/n)) …(1)
(ただし、(1)式内において、nは前記ロッドインテグレータの屈折率である。)
【0010】
詳細は後述するが、ロッドインテグレータは、前記入射面が角度θiだけ傾斜すると共に、中心軸が角度θrだけ傾斜した形状を呈しているから、ロッドインテグレータに入射した光が、ロッドインテグレータの中心軸から大きくずれることなく進む。その結果、ロッドインテグレータ内を進む光が、ロッドインテグレータ内で反射する回数を減少させて、ロッドインテグレータから出射する光の発散角の増大を抑える。さらに、光ファイバとロッドインテグレータとの間には屈折光学系が介在するほど、光ファイバとロッドインテグレータが離れているから、戻り光が発生したとしても、その戻り光が光ファイバの光射端部に到達する光量を小さくできる。
【0011】
さらに、前記角度θiと前記角度θrは、以下の(2)式の関係を満たしても構わない。
0.8×(θi-asin(sin(θi)/n)) < θr < 1.2×(θi-asin(sin(θi)/n)) …(2)
これにより、ロッドインテグレータ内を進む光が、ロッドインテグレータの中心軸からずれる量をさらに小さくできる。その結果、ロッドインテグレータ内を進む光が、ロッドインテグレータ内で反射する回数をさらに減少させて、ロッドインテグレータから出射する光の発散角の増大をさらに抑える。
【0012】
さらに、θrは、θi-asin(sin(θi/n)と実質的に等しくても構わない。
θrがθi-asin(sin(θi/n))と実質的に等しい場合には、ロッドインテグレータ内を進む光が、ロッドインテグレータ内で反射する回数を、さらに減少させて、ロッドインテグレータから出射する光の発散角の増大をさらに抑える。
【0013】
光学装置の実際の設計に際しては、通常、様々な製造誤差等が生じる。また、光学装置を計測するとき、光学部材の角度の測定誤差や計算誤差も生じる。そこで、本明細書では、ある光学装置において、測定したθrの値と、測定したθiからθi-asin(sin(θi/n)を算出した値との間の角度差が1度未満である場合に、「θrは、θi-asin(sin(θi/n))と実質的に等しい」とみなす。
【0014】
前記ロッドインテグレータは、前記入射面から入射された光が出射される出射面を備え、
前記出射面の法線は、前記中心軸に対して傾斜していても構わない。詳細は後述するが、これにより、ロッドインテグレータの出射面で反射した戻り光が光ファイバの出射端部に到達する光量を低下させる。
【0015】
前記ロッドインテグレータの前記入射面からの戻り光を遮光する遮光部を備えていても構わない。
【0016】
前記遮光部は、前記屈折光学系を透過する光の径よりも大きい開口を有し、
前記屈折光学系から出射された光は、前記開口を通過して前記ロッドインテグレータの前記入射面に入射されても構わない。
【0017】
前記遮光部は、前記光学系を挟んで互いに対向配置される第一遮光領域と第二遮光領域とを有しても構わない。
【0018】
前記ロッドインテグレータの前記入射面は、矩形であり、かつ、前記矩形の短辺を回転軸にして前記基準平面に対して前記角度θiだけ回転させた形状を呈しても構わない。
【0019】
複数の前記光源と、
前記複数の光源から出射された光をそれぞれ導光する複数の前記光ファイバとを有し、
前記複数の光ファイバは、少なくともそれぞれの出射端部が束ねられたバンドルファイバを形成していても構わない。
【0020】
前記複数の光源から出射される光量の合計が1Wを超えても構わない。1Wを超える高出力の光源であったとしても、発散角の増大を抑えつつ、戻り光が光ファイバの出射端部に到達する光量を低下させることができる。
【0021】
前記光源から放射される光の主たる波長は350~450nmにあっても構わない。このとき、戻り光の波長も350~450nmになる。光ファイバの出射端部には接着剤が使用されることがあるが、350~450nmの波長を有する戻り光は、この接着剤に吸収されて、焼損しやすい。しかしながら、戻り光が光ファイバの出射端部に到達する光量が低下しているため、接着剤の焼損を防ぐことができる。
【0022】
本発明の露光装置は、上記光源装置を備える。
【発明の効果】
【0023】
発散角の増大を抑えつつ、戻り光が光ファイバの出射端部に到達する光量を低下させた光源装置、及び当該光源装置を備えた露光装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】光源装置の要部を示す断面模式図である。
図2】ロッドインテグレータの入射面付近の拡大図である。
図3A】ロッドインテグレータの中心軸が、集光レンズの光軸の延長上にある参考図である。
図3B】ロッドインテグレータの中心軸が、集光レンズの光軸に対して傾斜している本実施形態の一例を示す図である。
図4A図1に示された遮光部の位置と形状を示す図である。
図4B】遮光部の変形例を示す図である。
図4C】遮光部の変形例を示す図である。
図5】光ファイバの変形例を示す図である。
図6】露光装置を示す模式図である。
図7】9種類の光源装置におけるロッドインテグレータの特徴を示す模式図である。
図8】9種類の光源装置におけるロッドインテグレータからの出射光の発散角に関するシミュレーション結果である。
図9】従来の光学ユニットの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図面を参照しながら各実施形態を説明する。なお、本明細書に開示された各図面は、あくまで模式的に図示されたものである。すなわち、図面上の寸法比と実際の寸法比とは必ずしも一致しておらず、また、各図面間においても寸法比は必ずしも一致していない。
【0026】
以下において、各図面は、適宜、XYZ座標系を参照しながら説明される。なお、本明細書において、方向を表現する際に、正負の向きを区別する場合には、「+X方向」、「-X方向」のように、正負の符号を付して記載される。正負の向きを区別せずに方向を表現する場合には、単に「X方向」と記載される。すなわち、本明細書において、単に「X方向」と記載されている場合には、「+X方向」と「-X方向」の双方が含まれる。Y方向及びZ方向についても同様である。
【0027】
[光源装置の概要]
図1は光源装置10の要部を示す断面模式図である。光源装置10は、光源1と、光源1からの出射光を導く光ファイバを束ねたバンドルファイバ5と、バンドルファイバ5からの出射光を均質化するロッドインテグレータ7と、バンドルファイバ5からの出射光をロッドインテグレータ7に集光する集光レンズ6(「屈折光学系」に対応する。)と、を含む。
【0028】
図1を参照して、光源1は、基板2に配置された複数の固体光源3を備える。本実施形態では、固体光源3としてレーザダイオードを使用しているが、LED光源等の他の固体光源を使用しても構わない。固体光源を複数使用することで、光源1の出力を高められる。例えば、1個当たりの出力が1Wのレーザダイオードを20個使用することにより、20Wの出力の光源1を構成できる。
【0029】
各固体光源3からの出射光は、バンドルファイバ5を構成する個々の光ファイバに入射する。バンドルファイバ5は、個々の光ファイバの出射端部を束ねて、接着剤15で接着している。このように、光ファイバを束ねることで複数の固体光源からの出射光を集めて、これにより光源1の高輝度化を実現している。このような光源装置の構造は、高出力を要請されている露光装置用の光源装置にも適用できる。
【0030】
バンドルファイバ5からの出射光は、ロッドインテグレータ7に集光する集光レンズ6を経て、ロッドインテグレータ7の入射面7aに入射する。集光レンズ6は、バンドルファイバ5の出射面をロッドインテグレータ7の入射面7aにほぼ結像させるように配置される。
【0031】
前段落における「ほぼ結像させる位置」について説明する。集光レンズ6で集光させた結果、入射面7aにおける光密度が過剰に高くなる。入射面7aに異物や傷がある場合に、その異物や傷に光が集中して、入射面7aが発熱し焼損するリスクがある。このようなリスクを小さくするため、入射面7aを、集光レンズ6の理想の結像位置から僅かにずらした位置に配置されるようにする。これにより、集光レンズ6で集光した光の大部分をロッドインテグレータ7に入射できるとともに、入射面7aの焼損を防ぐことができる。もちろん、入射面7aを焼損するリスクが小さい場合には、入射面7aを集光レンズ6の結像位置に配置しても構わない。
【0032】
なお、図1では、集光レンズ6の光軸(図3Aで後述する光軸6cに対応する。)がZ軸に沿うものとして記載しているが、集光レンズ6の後段に反射鏡が配置されてその光軸が折り曲げられた場合は、元のZ軸に沿う光線が反射されて進む方向もZ軸と呼び、新たな座標軸を取ることはしない。
【0033】
[ロッドインテグレータの概要]
図2は、ロッドインテグレータ7の入射面付近の斜視拡大図である。本実施形態において、ロッドインテグレータ7は四角柱レンズで構成される(図2参照)。四角柱レンズは、当該角柱レンズの延びる方向に沿って長い四つの側面と、当該角柱レンズの延びる方向に対向配置される二つの底面とを有する。二つの底面のうち、一方の底面は入射面7aとして使用され、他方の底面は出射面7bとして使用される(図1参照)。二つの底面の中心同士を結ぶ軸を、ロッドインテグレータ7の中心軸という。光は入射面7aから角柱レンズ内に浸入し、光は角柱レンズ内で全反射を繰り返すことにより均質化され、光は出射面7bから角柱レンズの外へ出ていく。なお、本実施形態では、ロッドインテグレータ7に四角柱レンズを使用しているが、三角柱レンズ、五角以上の角柱レンズ、又は円柱レンズを使用しても構わない。
【0034】
[ロッドインテグレータの入射面の傾斜]
図1及び図2を参照しながら、ロッドインテグレータ7の形状について説明する。はじめに、入射面7aの傾斜について説明する。入射面7aは、基準平面7sに対して時計回り又は反時計回りの回転方向に角度θi(0<θi<90度)だけ傾斜している。基準平面7sは、集光レンズ6の光軸6cに直交する面である。図1及び図2では、反時計回りに角度θiだけ傾斜している場合を示しているが、以下の説明は、時計回りに角度θiだけ傾斜している場合でも同様である。また、角度θr及び角度θoについても同様である。なお、角度の正負の向きを区別する場合には、基準平面7sに対する入射面7aの方向を正方向とする。すなわち、θiは常に正の値となり、θrとθoは、θiと同じ向きであれば正の値、逆向きであれば負の値となる。
【0035】
図2を参照して、入射面7aは平坦な矩形である。入射面7aは、矩形の短辺7eを回転軸にして、基準平面7sに対して角度θiだけ回転させた形状である。この形状は、矩形の長辺7qを回転軸にして、基準平面7sに対して角度θiだけ回転させた入射面7aよりも、ロッドインテグレータに光を入射させやすい。変形例として、入射面7aは、矩形の長辺7qを回転軸にして、基準平面7sに対して角度θiだけ回転させても構わない。また、入射面7aは、三角形、台形、平行四辺形、多角形又は円形でも構わない。入射面7aは平坦でなくても構わない。入射面7aが平坦でない場合における入射面7aの傾斜角度は、当該入射面7aの中心における接平面の、基準平面7sに対する回転角で表される。
【0036】
入射面7aを基準平面7sに対して傾斜させることにより得られる効果を説明する。図1に示すように、ロッドインテグレータ7に向かう光の一部は、入射面7aで反射される。入射面7aが基準平面7sに対して傾斜しているため、入射面7aで反射した光の多くは、集光レンズ6に向かわない。図1の例では、入射面7aで反射した光の多くは、遮光部18に向かう。入射面7aで反射した光が集光レンズ6に向かわないために、バンドルファイバ5の出射端部に到達する戻り光を減少させることができる。
【0037】
戻り光が集光レンズ6を経てバンドルファイバ5の出射端部に到達して光源まで戻ると、出射光の出力が変動するおそれがある。加えて、光ファイバの出射端部にある反射防止物質等のコーティング材又は異物が加熱されて、コーティング材が剥離したり又は異物が焼損したりすることがある。
【0038】
さらに、上述したように、本実施形態では、出射端部において、個々の光ファイバを束ねて固定するために、接着剤15を使用している(図1参照)。接着剤15は、出射端部に照射される戻り光により焼損するおそれがある。特に、主たる波長が350~450nmの光は接着剤15に吸収されやすく、焼損しやすい。それゆえ、光源1から放射される光の主たる波長が350~450nmである場合には、バンドルファイバ5の出射端部に照射される戻り光を抑えることが特に重要である。なお、本実施形態において、本明細書において、「主たる波長」とは、発光スペクトル上において、相対強度が最も高い波長をいう。
【0039】
[ロッドインテグレータの傾斜配置]
図1及び図2に示されるように、ロッドインテグレータ7の中心軸7c(以下、単に、「中心軸7c」ということがある。)が、集光レンズ6の光軸6cに対して反時計回りの回転方向に角度θr(0<θr<90度)だけ傾斜している。これによる効果を、図3A及び図3Bを参照しながら説明する。なお、図3A及び図3Bでは、説明を単純にするため、ロッドインテグレータ7の出射面7bは、中心軸7cに垂直をなすものとする。
【0040】
図3Aは、中心軸7cが集光レンズ6の光軸6cの延長上にある場合、すなわち、θrが0度である場合を表す参考図である。集光レンズ6の光軸6c上を進む光L1と、L1と少しずれた位置を平行に進む光L2を例に、ロッドインテグレータ7から出射された光について検討する。光L1と光L2は、ロッドインテグレータ7の入射面7aで屈折し、ロッドインテグレータ7内を、中心軸7cに対して傾斜して、ロッドインテグレータ7の側面で反射しながら進む。図3Aでは、光L1は一度、光L2は二度しか反射していないが、実際のロッドインテグレータ7は中心軸7cの方向に長いため、光L1と光L2は、ロッドインテグレータ7内で繰り返し反射する。光L1は奇数回、光L2は偶数回反射しているとして考える。
【0041】
光L1と光L2は、出射面7bで屈折して出射する。出射面7bから出射した光L1と光L2は、共に中心軸7cに対して角度θdをなすが、ロッドインテグレータ7内での反射回数が光L1は奇数回、光L2は偶数回であるため、中心軸7cに対して互いに逆方向に出射する。従って、光L1の角度θdが大きいとき、ロッドインテグレータ7から出射した光束の発散角も大きな値となる。本明細書において、発散角とは、光の最も高い光強度を1としたとき、1/e以上の強度を示す光束の広がり角の、半分の大きさをいう。
【0042】
図3Bは、中心軸7cが集光レンズの光軸6cに対して傾斜する本実施形態の一例を表す。集光レンズ6の光軸6c上を進む光L1は、ロッドインテグレータ7の入射面7aで屈折し、ロッドインテグレータ7内を進む。このとき、ロッドインテグレータ7の中心軸7cも傾斜しているから、光L1がロッドインテグレータ7内で反射される回数が減少し、その結果、ロッドインテグレータ7から出射した光束の発散角が小さな値となる。
【0043】
図3Bでは、ロッドインテグレータ7が光軸6cに対して反時計回りの回転方向に傾斜しており、その角度θrは、ロッドインテグレータ7内を進む光L1が中心軸7cに沿って進むように設定されている。その結果、図3Bでは、光L1はロッドインテグレータ7内で反射しない。光L1が中心軸7cに沿って進むとき、ロッドインテグレータ7から出射した光束の発散角は特に小さな値となる。
【0044】
ロッドインテグレータ7内を進む光L1が、中心軸7cに沿って進むように設計するには、スネルの法則を踏まえると、角度θiと角度θrが以下の(3)式を満たすとよい。式中のnは、ロッドインテグレータ7の屈折率である。
sin(θi)=nsin(θi-θr) …(3)
(3)式を変形して(4)式が得られる。
θr=(θi-asin(sin(θi)/n)) …(4)
(4)式中、asinはarcsinを表す。
【0045】
理論的な設計では(4)式を満たすこととなるが、現実的な設計では、ロッドインテグレータの製造時の製造誤差、光学装置に組み付ける際の組み付け誤差がある。加えて、製造された光学装置を測定するときの測定誤差、若しくは光学装置の測定値から前記式の値を計算するときの計算誤差もある。よって、θrとθi-asin(sin((θi)/n)との間の角度差が1度未満であれば、θrとθi-asin(sin((θi)/n)が実質的に等しい関係にあるとみなす。つまり、θrとθi-asin(sin((θi)/n)が実質的に等しい場合に、ロッドインテグレータ7内の中を進む光L1が中心軸7cに沿って進み、ロッドインテグレータ内で反射する回数を減少させて、ロッドインテグレータから出射する光の発散角の増大をさらに抑える。
【0046】
θrが2×(θi-asin(sin(θi)/n))以上の値であると、ロッドインテグレータ7を過剰に傾けることになり、ロッドインテグレータ7内を進む光L1がロッドインテグレータ7内で反射する回数が増える。その結果、発散角が増大する。よって、θrは以下の(1)式を満たすとよい。
θr<2×(θi-asin(sin(θi)/n)) …(1)
【0047】
θrが以下の(2)式を満たす範囲にあれば、ロッドインテグレータ7内を進む光L1がロッドインテグレータ7内で反射する回数を抑えることができる。その結果、発散角を小さくできる。
0.8×(θi-asin(sin(θi)/n)) < θr < 1.2×(θi-asin(sin(θi)/n)) …(2)
【0048】
[ロッドインテグレータの出射面の傾斜]
図1を参照して、ロッドインテグレータ7の出射面7bは、基準平面7tに対して反時計回りに角度θoをなすように傾斜している。基準平面7tは、集光レンズ6の光軸6cに垂直である面である。そして、出射面7bが基準平面7tに対してなす角度θoは、角度θrと同じ値ではない。つまり、図1の実施形態において、出射面7bは、中心軸7cに対して垂直でない。なお、図1の実施形態においては、出射面7bはY軸方向を中心に角度θoだけ傾斜しているが、出射面7bの回転軸はこの方向に限定されない。例えば、X軸方向を中心に回転してもかまわず、XY面内の任意の軸を中心に傾斜してもかまわない。
【0049】
出射面7bが中心軸7cに対して垂直でないことによる効果を説明する。ロッドインテグレータ7内を進む光は、ロッドインテグレータ7の出射面7bでも反射して、戻り光を発生させることがある。例えば、図3Bのように、もし、出射面7bが、中心軸7cに対して垂直である場合には、ロッドインテグレータ7内を進む光L1が出射面7bで反射して戻り光B1を発生する。戻り光B1は、ロッドインテグレータ7内を進んできた光L1の光路を辿るように戻り、集光レンズ6を経て、バンドルファイバ5の出射端部に到達する。よって、バンドルファイバ5の出射端部に到達する戻り光が増加する。
【0050】
それに対し、図1のように、出射面7bが中心軸7cに対して垂直でない場合には、出射面7bで反射することにより生じた戻り光は、ロッドインテグレータ7の中を進んできた光の光路とは別の光路を戻る。よって、図3Bと比べて、バンドルファイバ5の出射端部にまで到達する戻り光が減少する。
【0051】
[遮光部]
図1に示されるように、本実施形態の光源装置10は、遮光部18を有する。遮光部18は、ロッドインテグレータ7からの戻り光を遮光するための部材である。遮光部18は、ロッドインテグレータ7からの戻り光を遮光するために設けられた専用部材である。本実施形態の遮光部18は、集光レンズ6よりも+Z側に配置される。
【0052】
遮光部18は戻り光を遮光するための専用部材でなくても構わない。例えば、集光レンズ6を支持するレンズホルダ等、他の目的で設けられている部材で戻り光を遮光しても構わない。光源装置10の筐体もまた、戻り光を遮光する機能を有する。すなわち、光源装置10は専用部材として遮光部18を備えていなくてもよく、遮光以外の目的で設けられている部材が遮光部18を兼ねていても構わない。
【0053】
図4Aは、図1に示される遮光部18と集光レンズ6をロッドインテグレータ7の位置から-Z方向に見た図である。入射面7aが基準平面7sに対して傾斜しているため、遮光部18の中心が集光レンズ6の中心よりも+X側に位置するように、遮光部18が配置されている。遮光部18は多くの戻り光が通過する空間に配置されているため、戻り光を効果的に遮光できる。
【0054】
本実施形態において、遮光部18は矩形を呈する。遮光部18での光の反射を抑えるため、遮光部18の表面は、戻り光を乱反射可能な微小凹凸が設けられているなど、光吸収作用が高い面であると好ましい。
【0055】
遮光部の他の例を図4B及び図4Cに示す。図4B及び図4Cは、図4Aと同様に、遮光部18と集光レンズ6をロッドインテグレータ7の位置から-Z方向に見た図である。図4Bの例では、遮光部18は二つの遮光領域(18a,18b)から構成される。第一遮光領域18aは、第一遮光領域18aの中心が、集光レンズ6の中心よりも+X方向に位置する。第二遮光領域18bは、遮光部18の中心が、集光レンズ6の中心よりも-X方向に位置する。第一遮光領域18aと第二遮光領域18bは、集光レンズ6の中心を挟んで、X軸上で互いに対向配置される。第二遮光領域18bの配置される空間は、第一遮光領域18aの配置される空間に次いで戻り光が多い。
【0056】
図4Cの例では、環状の遮光部18cから構成される。遮光部18cは、集光レンズ6を透過する光の径よりも大きい開口を有する。集光レンズ6から出射された光は、この開口を通過してロッドインテグレータ7の入射面7aに向かう。本明細書において、光の径は、光軸上の光強度を1としたとき、1/e以上の強度を示す光束の直径を表す。
【0057】
以上で、本発明の光源装置の実施形態と変形例を説明した。しかしながら、本発明の光源装置は、上述の実施形態及び変形例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、上述の実施形態に種々の変更又は改良を加えたりすることができる。
【0058】
上記実施形態では、光ファイバにバンドルファイバ5を使用したが、必ずしもバンドルファイバでなくてもよい。図5は光ファイバの変形例を示す。この変形例では、バンドルファイバ5に代えて、単体の光ファイバ31を有する。光ファイバ31の出射端部の周囲には、光ファイバ31を保持するためのフェルール32が配置されている。光ファイバ31とフェルール32の間には、接着剤15が使用されることがある。また、光ファイバ31の出射端部をフェルール32に固定するために接着剤15を使用しなくても、上述したように、光ファイバの出射端部に付着した異物は戻り光により焼損するおそれがあり、光ファイバの出射端面に成膜された反射防止物質等のコーティング材は、戻り光により剥離するおそれがある。よって、光ファイバがバンドルファイバ5でなくても、戻り光を抑える必要がある。
【0059】
上記実施形態では、光ファイバから出射された光を集光する屈折光学系が、一枚の集光レンズ6のみで構成される。しかしながら、屈折光学系は、この構成に限定されない。例えば、屈折光学系を、複数枚のレンズで構成しても構わない。
【0060】
[露光装置の概要]
上述した光源装置10は、露光装置用の光源として利用することができる。図6を参照しながら、露光装置の概要を説明する。図6は露光装置の模式図である。露光装置100は、光源装置10と、空間光変調器51と、投影光学系55と、ワーク60を載置するステージ61とを備える。露光装置100は、空間光変調器51で形成された露光パターンを、投影光学系55を介してワーク60に投影する、DI(ダイレクトイメージング)露光装置である。なお、図6の例では、光源装置10に、ロッドインテグレータ7からの出射光を平行光にするコリメータレンズ21と、コリメータレンズ21からの出射光を空間光変調器51に向けて反射するミラー22とが搭載されている。
【0061】
上述した光源装置10を備えることで、光ファイバ(バンドルファイバ5等)側への戻り光を抑制しつつ、ロッドインテグレータ7からの発散角の広がりを抑制できる。これにより、後段の光学系(例えばコリメータレンズ21等)の装置規模が縮小される。
【0062】
光源装置10をDI露光装置に使用する例を示したが、DI露光装置以外の露光装置に使用しても構わない。また、光源装置10のアプリケーションとしては、露光装置に限定されない。例えば、光源装置10を、プロジェクタ用の光源装置に使用しても構わない。
【実施例
【0063】
図7は、9種類の光源装置(装置番号(1~9))に使用されるロッドインテグレータ7の特徴を模式的に表している。装置番号(1~9)は、それぞれ、ロッドインテグレータ7の入射面7aの傾斜(角度θi)、出射面7bの傾斜(角度θo)、又はロッドインテグレータの中心軸7cの傾斜(角度θr)を異ならせている。装置番号(1~9)の光源装置の光学特性を明らかにするために、装置番号(1~9)のシミュレーションを行った。
【0064】
表1は、装置番号(1~9)のロッドインテグレータの特徴を数値で示している。角度θiは、集光レンズ6の光軸6cに垂直な基準平面7sに対する、入射面7aの傾斜角を表す。角度θrは、集光レンズ6の光軸6cに対する、中心軸7cの傾斜角を表す。角度θoは、集光レンズ6の光軸6cに垂直な基準平面7tに対して、出射面7bの傾斜角を表す(図1参照)。
【0065】
【表1】
【0066】
装置番号(1,5,6)のロッドインテグレータ7は、いずれも、θiが6度、かつ、θrが1.9度である。つまり、θrが、θi-asin(sin(θi/n)と実質的に等しい関係にある。
装置番号(1,5,6)に加えて、装置番号2を含むロッドインテグレータ7は、上記(2)式、つまり、0.8×(θi-asin(sin(θi)/n)) < θr < 1.2×(θi-asin(sin(θi)/n))を満たす関係にある。
装置番号(1~6)のロッドインテグレータ7は、上記(1)式、つまり、θr<2×(θi-asin(sin(θi)/n))を満たす関係にある。
装置番号7のロッドインテグレータ7は、θr=2×(θi-asin(sin(θi)/n))を満たす関係にある。
装置番号8のロッドインテグレータ7は、θr及びθoがいずれも0度である。
装置番号9のロッドインテグレータ7は、θr、θi及びθoがいずれも0度である。
【0067】
上述したロッドインテグレータの形状及び配置以外の光源装置の特徴について、9種類の光源装置は、図1で示した光源装置10と同様の特徴を有する。また、以下に示す各数値は、装置番号(1~9)で共通している。
光ファイバの形態:縦2本×横2本、計4本を束ねたバンドルファイバ
各光ファイバのコア径:φ205μm
光ファイバのバンドルピッチ:260μm
光ファイバの出射光発散角:4.5度(1/e半幅)
屈折光学系:バンドルファイバの端面をロッドインテグレータの入射面に倍率1.5倍で結像する集光レンズ
ロッドインテグレータの形態:底面が1.2mm×1.7mm寸法の角柱レンズ
ロッドインテグレータの長さ:200mm
ロッドインテグレータの入射光発散角:3度(1/e半幅)
ロッドインテグレータの屈折率:n=1.47
遮光部:開口部がφ10mmの環状アパチャー
【0068】
図7において、集光レンズ6の光軸6c上を進む光L1が、ロッドインテグレータ7内を進む様子を表す。図7を参照すると、装置番号(1,5,6,9)では、光L1と中心軸7cが一致していることがわかる。装置番号(2~4,7,8)では、光L1と中心軸7cとが一致していないことがわかる。
【0069】
図8は、各光源装置の出射面7bから出射する光の角度スペクトルのシミュレーション結果を示す。表2は、発散角の評価結果と、各装置の戻り光に関するシミュレーション結果を表す。
【0070】
【表2】
【0071】
[出射光の発散角の評価]
図8の角度スペクトルに基づいて発散角の評価を行った。評価の良い方から順にA、B、C及びDの4段階評価とした。図8を参照すると、光L1の中心とロッドの中心軸7cが一致している装置番号(1,5,6,9)は、光L1の中心を最大強度とした、凹凸の小さいガウス分布状の角度スペクトルが表れている。そして、角度幅が8~10度であり、小さい発散角であることがわかる。よって、表2に示すように、装置番号(1,5,6,9)の発散角の評価はAである。なお、角度スペクトルの中心が0度位置にないときは、ロッドインテグレータの出射光が全体的に傾くことを表すが、出射光の全体的な傾きは後段の光学系で調整できる。
【0072】
図8を参照すると、装置番号2は、光の角度幅が8~10度であり、小さい発散角であることがわかる。しかしながら、角度スペクトルに多少の凹凸があり、角度スペクトルにムラがある。よって、表2に示すように、装置番号2の発散角の評価はBである。角度スペクトルの凹凸は、ロッドインテグレータ内で光が反射することによって生じる。
【0073】
図8を参照すると、装置番号(3,4)は、角度幅が10~12度であり、少し大きい発散角であることがわかる。また、角度スペクトルの凹凸が装置番号2より大きくなり、角度スペクトルのムラが少し大きくなる。よって、装置番号(3,4)の発散角の評価はCである。
【0074】
図8を参照すると、装置番号(7,8)は、角度幅が約14度であり、かなり大きい発散角であることがわかる。また、角度スペクトルの凹凸が装置番号(3,4)より大きくなり、ムラがかなり大きくなる。よって、装置番号(7,8)の発散角の評価はDである。
【0075】
[戻り光の評価と総合評価]
表2において、「戻り光の光量」は、戻り光が光ファイバの出射端部全体に到達する光量を表す。表2において、「戻り光の最大放射照度」は、光ファイバでの出射端部において最も強い光が照射される部位の照度を表す。「総合評価」は、発散角の評価と、戻り光の光量及び最大放射照度の評価とを総合した評価を意味する。総合評価は、評価の良い方から順にA、B、C及びDの4段階評価とした。C評価以上で、発散角が増大することを抑えつつ、戻り光が光ファイバの出射端部を照射することを抑えるという、所望の効果が得られることを表す。D評価は、発散角と戻り光の光量のいずれか一方が大きすぎて、所望の効果が得られないことを表す。
【0076】
発散角の評価がAの装置番号(1,5,6,9)について、装置番号(1,5)は戻り光の光量及び最大放射照度が共に小さいため、装置番号(1,5)の総合評価はAである。装置番号6について、発散角の評価が優れているものの、戻り光の光量及び最大放射照度が比較的大きい値であるため、装置番号6の総合評価はCである。装置番号6の戻り光が多かった理由は、θoがθrと同じ値、つまり、出射面7bが、ロッドインテグレータ7の中心軸7cに対して垂直であったためである。これは、出射面7bで反射した光が、集光レンズ6を経てバンドルファイバ5の出射端部に到達した光が多いことに因る。装置番号9は、戻り光の光量及び最大放射照度が大きすぎるため、装置番号9は光ファイバ出射端部の焼損リスクがある。よって、装置番号9の総合評価はDである。
【0077】
発散角の評価がBの装置番号2は、戻り光の光量及び最大放射照度が比較的小さい値であった。よって、装置番号2の総合評価はBである。発散角の評価がCの装置番号(3,4)は、戻り光の光量及び最大放射照度が比較的小さい値であった。よって、装置番号(3,4)の総合評価はCである。装置番号(7,8)の発散角の評価がDであるため、戻り光の評価にかかわらず、装置番号(7,8)の総合評価はDである。
【符号の説明】
【0078】
1 :光源
2 :(固体光源を配置する)基板
3 :固体光源
5 :バンドルファイバ
6 :集光レンズ
6c :光軸
7 :ロッドインテグレータ
7a :入射面
7b :出射面
7c :中心軸
7e :左端
7f :後端
7s、7t :基準平面
10 :光源装置
15 :接着剤
18 :遮光部
18a :第一遮光領域
18b :第二遮光領域
18c :遮光部
21 :コリメータレンズ
22 :ミラー
31 :光ファイバ
32 :フェルール
51 :空間光変調器
55 :投影光学系
60 :ワーク
61 :ステージ
90 :光学ユニット
91 :バンドルファイバ
92 :ロッドインテグレータ
92c :(ロッドインテグレータの)中心軸
93 :入射面
100 :露光装置
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図5
図6
図7
図8
図9