(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-14
(45)【発行日】2025-01-22
(54)【発明の名称】移動装置及び作業装置
(51)【国際特許分類】
B25J 15/08 20060101AFI20250115BHJP
B65G 47/90 20060101ALI20250115BHJP
【FI】
B25J15/08 D
B65G47/90 B
B25J15/08 P
(21)【出願番号】P 2021064922
(22)【出願日】2021-04-06
【審査請求日】2024-01-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000141886
【氏名又は名称】株式会社京都製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】東 裕晃
【審査官】杉田 隼一
(56)【参考文献】
【文献】特開昭59-097863(JP,A)
【文献】実開平06-086842(JP,U)
【文献】特開2017-171475(JP,A)
【文献】特開2013-180366(JP,A)
【文献】実開昭61-099493(JP,U)
【文献】特開2014-076518(JP,A)
【文献】実開昭63-171397(JP,U)
【文献】特開平11-314752(JP,A)
【文献】国際公開第2013/002269(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 15/08
B65G 47/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の第1容器又は上端にフランジ部を有する第2容器を把持し
、前記第1容器又は前記第2容器を移動させる移動装置であって、
上下に延びる旋回軸を中心として旋回可能な台座と、
前記台座に取り付けられて前記容器を把持する把持部と、を有し、
前記把持部は、
前記旋回軸に沿う方向から見たとき、前記旋回軸に対して一定の位置を保つように配置され前記容器と接触する第1接触部および第2接触部を有する第1アーム部と、
前記第1アーム部に対して接近及び離間可能であり前記容器と接触する第3接触部を有する第2アーム部と、を有し、
前記第1接触部および前記第2接触部は、上下方向の中間部分に前記第2アーム部から離れる方向に凹
み、前記フランジ部の一部を収容可能な第1凹部を有し、
前記第3接触部は、上下方向の中間部分に前記第1アーム部から離れる方向に凹
み、前記フランジ部の一部を収容可能な第2凹部を有し、
少なくとも前記第1凹部の下端部と前記第2凹部の下端部との上下方向の位置が、同じである移動装置。
【請求項2】
前記第1接触部と前記第2接触部とは、前記旋回軸に沿う方向から見て中央部が前記第2アーム部から離れる方向にV字状に凹んだ形状を構成する請求項1に記載の移動装置。
【請求項3】
前記第2アーム部は、前記台座に前記旋回軸と平行な回転軸を中心に回転可能に支持されている請求項1又は請求項2に記載の移動装置。
【請求項4】
前記把持部は、上下方向に移動可能である請求項1から請求項3のいずれかに記載の移動装置。
【請求項5】
容器に対して所定の作業を実行する作業装置であって、
請求項1から請求項4のいずれかに記載の移動装置と、
前記容器を収容可能な収容ケースと、
前記収容ケースを搬送する搬送装置と、
前記容器に対して処理を実行する処理装置と、を有し、
前記搬送装置は、
前記収容ケースに収容された前記容器を前記移動装置が受け取る受取部と、
前記容器を前記移動装置から前記収容ケースに受け渡す受渡部と、を有し、
前記受取部、前記処理装置及び前記受渡部は、前記旋回軸を中心とする円弧上を移動する前記容器と重なる作業装置。
【請求項6】
前記処理装置は、前記受渡部と前記受取部とを結ぶ前記旋回軸を中心とする円弧の中心に配置され、
前記台座に2個の把持部が取り付けられており、
各把持部の前記第1アーム部同士の前記旋回軸を中心とする中心角度は、前記受渡部と前記受取部とがなす前記旋回軸を中心とする中心角度の半分である請求項5に記載の作業装置。
【請求項7】
容器を把持して前記容器を移動させる移動装置であって、
上下に延びる旋回軸を中心として旋回可能な台座と、
前記台座に取り付けられて前記容器を把持する把持部と、を有し、
前記把持部は、
前記旋回軸に沿う方向から見たとき、前記旋回軸に対して一定の位置を保つ第1アーム部と、
前記第1アーム部に対して接近又は離間する方向に移動可能な第2アーム部と、を有し、
前記第1アーム部は、前記第2アーム部と対向する側面に、
先端に向かうにつれて前記第2アーム部に向かって傾斜する第1接触部と、
前記旋回軸に向かうにつれて前記第2アーム部に向かって傾斜する第2接触部と、を有し、
前記第1接触部と前記第2接触部とは、前記旋回軸に沿う方向から見て、凹んだ形状を構成し、
前記第2アーム部は、第1アーム部側の側面に前記第1接触部及び第2接触部に対向する第3接触部を有し、
前記把持部は、前記第2アーム部が移動して、前記第1接触部と、前記第2接触部と、前記第3接触部とが前記容器の側面と接触することで、前記容器を把持し、
前記第1接触部及び前記第2接触部はいずれも平面であり、前記第1接触部と前記第2接触部とは、前記旋回軸に沿う方向から見て、V字状に凹んだ形状を構成し、
前記旋回軸に沿う方向から見たときに、前記第1接触部と前記第2接触部との交点は、前記旋回軸を中心とする円弧上に配置されるとともに前記台座の回転に伴って前記円弧上を移動し、
前記旋回軸に沿う方向から見て前記交点における前記第1接触部と前記第2接触部とがなす角の二等分線が、前記旋回軸と前記交点とを結ぶ直線と直交する、移動装置。
【請求項8】
前記第2アーム部は、前記台座に前記旋回軸と平行な回転軸を中心に回転可能に支持されている請求項7に記載の移動装置。
【請求項9】
前記把持部が、上下方向に移動可能である請求項7又は請求項8に記載の移動装置。
【請求項10】
前記容器が移動される移動方向において、前記第1アーム部が前記第2アーム部よりも下流側に配置される請求項7から請求項
9のいずれかに記載の移動装置。
【請求項11】
容器に対して所定の作業を実行する作業装置であって、
請求項7から請求項
10のいずれかに記載の移動装置と、
前記容器を収容可能な収容ケースと、
前記収容ケースが搬送される搬送装置と、
前記容器に対して処理を実行する処理部を含む処理装置と、を有し、
前記搬送装置は、
前記収容ケースに収容された前記容器を前記移動装置が受け取る受取部と、
前記容器を前記移動装置から前記収容ケースに受け渡す受渡部と、を有し、
前記受取部、前記処理部及び前記受渡部は、前記旋回軸を中心とする円弧上に配置される作業装置。
【請求項12】
前記処理部は、前記受取部と前記受渡部とを結ぶ前記旋回軸を中心とする円弧の中心に配置され、
前記台座に2個の把持部が取り付けられており、
各把持部の前記第1アーム部の前記第1接触部と前記第2接触部との交点がなす前記旋回軸を中心とする中心角度は、前記受取部と前記受渡部とがなす前記旋回軸を中心とする中心角度の半分である請求項
11に記載の作業装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器を移動する移動装置及びその移動装置を用いた作業装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、円筒状の容器を搬送しつつ、容器に処理を施す処理搬送装置が開示されている。この装置では,らせん溝が形成された回転搬送軸にて円筒状の容器を搬送し、その間に搬送される容器に対して処理を実行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような構成の処理搬送装置の場合、外径が異なる容器、例えば、シリンジ型の容器を用いる場合と、バイアル型の容器を用いる場合とでは、異なる構成の回転搬送軸が必要であるため、構成が複雑になる。また、回転搬送軸の変更(切り替え)を行うときには、装置を停止させることが必要となるため、作業が停滞してしまうといった課題があった。
【0005】
そこで、本発明は、装置を停止させて構成を変更することなく、外径が異なる容器をそれぞれ移動させることができる移動装置を提供することを目的とする。
【0006】
また、本発明は、装置を停止させて構成を変更することなく、外径が異なる容器をそれぞれ処理することができる作業装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明の移動装置は、容器を把持して前記容器を移動させる。移動装置は、上下に延びる旋回軸を中心として旋回可能な台座と、前記台座に取り付けられて前記容器を把持する把持部と、を有する。前記把持部は、前記旋回軸に沿う方向から見たとき、前記旋回軸に対して一定の位置を保つように配置され前記容器と接触する第1接触部および第2接触部を有する第1アーム部と、前記第1アーム部に対して接近及び離間可能であり前記容器と接触する第3接触部を有する第2アーム部と、を有する。前記第1接触部および前記第2接触部は、上下方向の中間部分に前記第2アーム部から離れる方向に凹む第1凹部を有する。前記第3接触部は、上下方向の中間部分に前記第1アーム部から離れる方向に凹む第2凹部を有する。少なくとも前記第1凹部の下端部と前記第2凹部の下端部との上下方向の位置が、同じである。
【0008】
このように構成することで、シリンジ型の容器と、バイアル型の容器とを、共通の把持部で把持して移動させることができる。これにより、容器の変更に伴って把持部を変更する必要がなく、処理の中断が不要になる。また、シリンジ型の容器と、バイアル型の容器が混在する装置において、両方の容器を移動可能な装置として利用可能であり、装置の簡略化、小型化が可能である。
【0009】
上記構成において、前記第1接触部と前記第2接触部とは、旋回軸方向から見て中央部が前記アーム部から離れる方向にV字状に凹んだ形状を構成する。
【0010】
上記構成において、前記第2アーム部は、前記台座に前記旋回軸と平行な回転軸を中心に回転可能に支持されている。
【0011】
上記構成において、前記把持部は、上下方向に移動可能である。
【0012】
また、上記目的を達成するために本発明の作業装置は、容器に対して所定の作業を実行する作業装置であって、上述のいずれかに記載の移動装置と、前記容器を収容可能な収容ケースと、前記収容ケースを搬送する搬送装置と、前記容器に対して処理を実行する処理装置と、を有する。前記搬送装置は、前記収容ケースに収容された前記容器を前記移動装置が受け取る受取部と、前記容器を前記移動装置から前記収容ケースに受け渡す受渡部と、を有する。前記受取部、前記処理装置及び前記受渡部は、前記旋回軸を中心とする円弧上を移動する前記容器と重なる。
【0013】
上記構成において、前記処理装置は、前記受渡部と前記受取部とを結ぶ前記旋回軸を中心とする円弧の中心に配置され、前記台座に2個の把持部が取り付けられており、各把持部の前記第1アーム部がなす前記旋回軸を中心とする中心角度は、前記受渡部と前記受取部とがなす前記旋回軸を中心とする中心角度の半分である。
【0014】
また、上記目的を達成するために本発明の移動装置は、容器を把持して前記容器を移動させる。移動装置は、上下に延びる旋回軸を中心として旋回可能な台座と、前記台座に取り付けられて前記容器を把持する把持部と、を有する。前記把持部は、前記旋回軸に沿う方向から見たとき、前記旋回軸に対して一定の位置を保つ第1アーム部と、前記第1アーム部に対して接近又は離間する方向に移動可能な第2アーム部と、を有する。前記第1アーム部は、前記第2アーム部と対向する側面に、先端に向かうにつれて前記第2アーム部に向かって傾斜する第1接触部と、前記旋回軸に向かうにつれて前記第2アーム部に向かって傾斜する第2接触部と、を有する。前記第1接触部と前記第2接触部とは、前記旋回軸方向から見て、凹んだ形状を構成する。前記第2アーム部は、第1アーム部側の側面に前記第1接触部及び第2接触部に対向する第3接触部を有する。前記把持部は、前記第2アーム部が移動して、前記第1接触部と、前記第2接触部と、前記第3接触部とが前記容器の側面と接触することで、前記容器を把持する。
【0015】
このように構成することで、第2アーム部を移動させるだけで、円柱状の外径を有する容器を3点で把持することができる。第2アーム部のみの移動といった簡単な動作で円柱状の容器を把持することができる。また、第3接触部が容器をV字状の第1接触部及び第2接触部に押し付けることができる。そのため、第1アーム部及び第2アーム部を変更することなく、外径が異なる円柱状の容器を把持することができる。
【0016】
上記構成において、前記第2アーム部は、前記台座に前記旋回軸と平行な回転軸を中心に回転可能に支持されている。
【0017】
上記構成において、前記把持部が、上下方向に移動可能である。
【0018】
上記構成において、前記第1接触部及び前記第2接触部はいずれも平面であり、前記第1接触部と前記第2接触部とは、前記旋回軸方向から見て、V字状に凹んだ形状を構成する。前記旋回軸方向から見たときに、前記第1接触部と前記第2接触部との交点は、前記旋回軸を中心とする円弧上に配置されるとともに前記台座の回転に伴って前記円弧上を移動する。このように構成することで、異なる外径の容器を正確に把持することができる。
【0019】
上記構成において、前記旋回軸方向から見て前記交点における前記第1接触部と前記第2接触部とがなす角の二等分線が、前記旋回軸と前記交点とを結ぶ直線と直交する。このように構成することで、第2アーム部で押したときに、力がほぼ均等に分散する。これにより、容器を安定して把持することができる。
【0020】
上記構成において、前記容器が移動される移動方向において、前記第1アーム部が前記第2アーム部よりも下流側に配置される。
【0021】
また、上記目的を達成するために本発明の作業装置は、容器に対して所定の作業を実行する。作業装置は、上述のいずれかに記載の移動装置と、前記容器を収容可能な収容ケースと、前記収容ケースが搬送される搬送装置と、前記容器に対して処理を実行する処理部を含む処理装置と、を有する。前記搬送装置は、前記収容ケースに収容された前記容器を前記移動装置が受け取る受取部と、前記容器を前記移動装置から前記収容ケースに受け渡す受渡部と、を有する。前記受取部、前記処理部及び前記受渡部は、前記旋回軸を中心とする円弧上に配置される。
【0022】
上記構成において、前記処理部は、前記受取部と前記受渡部とを結ぶ前記旋回軸を中心とする円弧の中心に配置され、前記台座に2個の把持部が取り付けられており、各把持部の前記第1アーム部の前記交点がなす前記旋回軸を中心とする中心角度は、前記受取部と前記受渡部とがなす前記旋回軸を中心とする中心角度の半分である。
【発明の効果】
【0023】
本発明にかかる移動装置によれば、装置を停止させて構成を変更することなく、外径が異なる容器をそれぞれ移動させることができる。
【0024】
また、本発明にかかる作業装置によれば、装置を停止させて構成を変更することなく、外径が異なる容器をそれぞれ処理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図3】搬送トレイ、第1収容ケース及び第1容器の分解斜視図である。
【
図4】搬送トレイ、第2収容ケース及び第2容器の分解斜視図である。
【
図6】第2アーム部を第1アーム部から離間させた把持部の斜視図である。
【
図7】第1容器を把持した状態の把持部の斜視図である。
【
図8】第2容器を把持した状態の把持部の斜視図である。
【
図9】第1位置にある移動装置の概略配置図である。
【
図10】受取側把持部及び受渡側把持部が第1容器を把持した状態を示す概略配置図である。
【
図11】第2位置にあるときの移動装置の概略配置図である。
【
図12】受取側把持部及び受渡側把持部が第1容器を受け渡した状態を示す概略配置図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明において、「搬送方向上流側」および「搬送方向下流側」は、搬送装置20の搬送方向Tr1に沿って定義する。搬送装置20における搬送の途中において、容器に対して所定の処理が施される。以下の説明において、容器として、第1収容ケース31に収容された第1容器Cn1を参照するが、第2収容ケース32に収容された第2容器Cn2についても同様である。なお、第2収容ケース32及び第2容器Cn2については、必要に応じて説明を行う。
【0027】
<作業装置100>
図1は、作業装置100の概略配置図である。
図2は、作業装置100の機能ブロック図である。作業装置100は、移動装置10と、搬送装置20と、処理装置40と、制御部50(
図2参照)と、を有する。作業装置100は、搬送装置20にて搬送される第1収容ケース31に収容された第1容器Cn1を移動装置10が受け取る。移動装置10は、第1容器Cn1を処理装置40の後述する処理部41に配置し、処理部41で処理された後、処理部41から第1容器Cn1を取り出し、搬送装置20を移動する第1収容ケース31に受け渡す。以下に、作業装置100の各部の詳細について説明する。
【0028】
<制御部50>
まず、作業装置100を統合的に制御する制御部50の詳細について説明する。
図2に示すように、制御部50は、演算回路51と、記憶回路52とを有する。演算回路51は、各種情報の演算、処理を実行する回路であり、CPU、MPU等の演算回路を有する。また、演算回路51は、処理結果に基づいて、移動装置10、搬送装置20及び処理装置40を制御する。
【0029】
記憶回路52は、ROM、RAM等の半導体メモリー、フラッシュメモリー等の可搬性を有するメモリーおよびハードディスク等の記憶媒体を含むまたは接続される回路である。制御部50として、記憶回路52に、演算プログラム、処理プログラム、制御プログラム等の各種プログラムを記憶しておき、必要に応じてプログラムを呼び出すとともに演算回路51で実行することで、演算処理を行ってもよい。制御部50に接続される要素およびその制御については、各要素の説明時に説明する。
【0030】
<搬送装置20>
図1に示すように、搬送装置20は、搬送レール21と、搬送トレイ22とを有する。搬送レールは、搬送方向Tr1に沿って延びる。搬送レール21は、第1直線レール部211と、第2直線レール部212と、曲線レール部213と、を有する。搬送装置20において、搬送レール21は、搬送方向Tr1に順に、第1直線レール部211、曲線レール部213、第2直線レール部212が連結されている。
【0031】
搬送装置20において、搬送トレイ22は、例えば、リニアモータを用いた駆動機構23(
図2参照)によって、搬送レール21に沿って移動する。駆動機構23は、制御部50に接続されている。そして、駆動機構23は、制御部50によって制御されている。詳しく説明すると、駆動機構23は、制御部50からの指示に基づいて、搬送トレイ22を搬送方向Tr1に移動させる。なお、駆動機構23は、リニアモータに限定されない。例えば、搬送トレイ22を搬送レール21に沿って安定して搬送させる等、既定の経路に沿って被搬送物を搬送させることができる構成を広く採用することができる。
【0032】
搬送装置20において、搬送トレイ22には、第1収容ケース31が配置される。第1収容ケース31に第1容器Cn1が収容され、搬送トレイ22が搬送されることで、第1容器Cn1が搬送される。
【0033】
搬送装置20には、受取部24と、受渡部25と、が設定されている。搬送装置20において、受取部24は、第1直線レール部211に設けられる。また、受渡部25は、第2直線レール部212に設けられる。移動装置10は、受取部24において、第1収容ケース31から第1容器Cn1を受け取る。また、移動装置10は、受渡部25において、第1容器Cn1を第1収容ケース31に受け渡す。なお、受取部24と受渡部25とは、同一の搬送装置に設定されてもよいし、異なる搬送装置に設定されてもよい。
【0034】
<収容ケース>
本実施形態にかかる処理装置40では、異なる形状及び大きさの容器に対して処理可能となっている。ここで、処理装置40が処理可能な容器について、図面を参照して説明する。
図3は、搬送トレイ22、第1収容ケース31及び第1容器Cn1の分解斜視図である。
図4は、搬送トレイ22、第2収容ケース32及び第2容器Cn2の分解斜視図である。
【0035】
まず、第1容器Cn1について説明する。
図3に示すように、第1容器Cn1は、いわゆる、シリンジと呼ばれる容器である。第1容器Cn1は、有底筒状であり、上部に開口Cn11を有する。第1容器Cn1は、外径d1の円筒である。第1容器Cn1には、例えば、開口Cn11から内部に注入される液体の内容物が収容可能である。つまり、処理装置40は、第1容器Cn1に内容物を収容する処理を実行する装置である。
【0036】
図4に示すように、第2容器Cn2は、いわゆる、バイアルと呼ばれる容器である。第2容器Cn2は、有底筒状である。第2容器Cn2は、開口Cn21と、下筒部Cn22と、絞り部Cn23と、フランジ部Cn24と、上筒部Cn25と、を有する。下筒部Cn22は、外径d2の円筒状である。
【0037】
絞り部Cn23は、下筒部Cn22の上部に接続されている。絞り部Cn23は上部に向かって外径が小さくなっている。そして、絞り部Cn23の上端には、軸方向に延びる上筒部Cn25が接続される。上筒部Cn25は、外径d3(<d2)の円筒状である。上筒部Cn25の上端に開口Cn21が設けられる。フランジ部Cn24は、上筒部Cn25の上端から外方に拡がる円環状である。第2容器Cn2には、例えば、開口Cn21から内部に注入される液体の内容物が収容可能である。つまり、処理装置40は、第2容器Cn2に内容物を収容する処理を実行する装置でもある。
【0038】
<処理装置40>
図1に示すように、処理装置40は、第1直線レール部211と第2直線レール部212との間に配置される。処理装置40は、第1容器Cn1及び第2容器Cn2を保持するとともに、液状の内容物を注入することができる処理部41を有する。詳細は省略するが、処理部41は、第1容器Cn1及び第2容器Cn2のいずれも保持可能な構成である。処理装置40には、処理部41に配置された第1容器Cn1又は第2容器Cn2に内容物を充填する充填部42(
図2参照)を有する。充填部42は、制御部50に接続されている。充填部42は、制御部50からの指示に基づいて、処理部41に配置された第1容器Cn1又は第2容器Cn2に内容物を充填する。
【0039】
処理部41は、例えば、第1容器Cn1を保持可能な構成と、第2容器Cn2を保持可能な構成を切り替えるようにしてもよい。また、可動式の側壁部を有して、容器の大きさに合わせて側壁部を移動させて側壁部で容器を把持するようにしてもよい。さらに、これ以外にも、異なる外径の容器を保持可能な構成を広く採用することができる。
【0040】
次に、収容ケースについて図面を参照して説明する。収容ケースとしては、第1容器Cn1が収容される第1収容ケース31と、第2容器Cn2が収容される第2収容ケース32とがある。まず、第1収容ケース31について図面を参照して説明する。
【0041】
図3に示すように、第1収容ケース31は、上下方向に延びる円柱状の筒部311を有する。筒部311の上部には、上方に向かって細くなる傾斜面312を有する。第1収容ケース31の上端面から軸方向下方に向かって延びる収容凹部313を有する。
【0042】
そして、筒部311は、外周面から収容凹部313に貫通するスリット314を有する。スリット314は、下端部が第1収容ケース31の底部310に到達している。スリット314を有することで、第1容器Cn1からこぼれた内容物が、収容凹部313に流入した場合でも、内容物を容易に取り除くことができる。また、内容物を取り除いた後の洗浄も容易になる。
【0043】
図4に示すように、第2収容ケース32は、上下方向に延びる円柱状の筒部321を有する。筒部321は、上端面から軸方向下方に向かって延びる収容凹部322を有する。そして、筒部321は、外周面から収容凹部322に貫通するスリット323を有する。
【0044】
スリット323は、下端部が第2収容ケース32の底部320に到達している。スリット323を有することで、第2容器Cn2からこぼれた内容物が、収容凹部322に流入した場合でも、内容物を容易に取り除くことができる。また、内容物を取り除いた後の洗浄も容易になる。なお、スリット323は、第2収容ケース32の上端に到達しているが、これに限定されず、上部が第2収容ケース32の上端よりも下部に形成される形状であってもよい。
【0045】
第1収容ケース31の下部の外径d4と第2収容ケース32の外径d4とは同じである。搬送トレイ22は、第1収容ケース31及び第2収容ケース32の両方を配置可能な形状であり、例えば、
図3、
図4に示すように、平面視において、略正方形状の底部221と、底部221の辺縁部より上方に延びる側壁部222を有する。側壁部222の内部は、一辺の長さがd4の正方形状である。そのため、第1収容ケース31及び第2収容ケース32は、いずれも、搬送トレイ22の側壁部222の内部に配置可能である。
【0046】
そして、第1収容ケース31及び第2収容ケース32は、搬送トレイ22の内部に配置されたとき、外面が搬送トレイ22の側壁部222と接触する。これにより、搬送トレイ22が搬送レール21に沿って移動するときに、第1収容ケース31及び第2収容ケース32がずれにくい。なお、搬送トレイ22の移動時に、第1収容ケース31及び第2収容ケース32が倒れないように、側壁部222は、ある程度の高さがあることが好ましい。さらに、搬送トレイ22に内容物がこぼれた後の処理を容易にするため、側壁部222にもスリットが形成されていてもよい。
【0047】
<移動装置10>
次に、移動装置10の詳細について図面を参照して説明する。移動装置10は、台座11と、受取側把持部12Aと、受渡側把持部12Bと、旋回駆動部101(
図2参照)と、把持部駆動部102(
図2参照)と、を有する。
図1に示すように、移動装置10は、第1直線レール部211と第2直線レール部212の間に配置される。
【0048】
台座11は、上下に延びる旋回軸Rxを中心とする円柱状である。台座11の上面111は、旋回軸Rxと直交する面である。台座11は、旋回駆動部101によって、旋回軸Rxを中心として旋回する。台座11は、旋回軸Rx方向から見て、時計回り方向及び反時計回り方向の両方に移動可能である。旋回駆動部101は、制御部50に接続されている。旋回駆動部101は、例えば、モータ、減速機等を含む構成を有し、制御部50からの指示に基づいて、台座11を旋回軸Rx周りに回転させる。
【0049】
図1において、移動装置10は、反時計回り方向に回転するときに第1容器Cn1を移動させる。すなわち、
図1において、旋回軸Rxを中心とする反時計回り方向が移動方向Mv1である。また、
図1において、時計回り方向を戻り方向Mv2とする。受取側把持部12A及び受渡側把持部12Bは、台座11の上面111に配置される。
【0050】
移動装置10において、受取側把持部12Aは、受取部24で搬送トレイ22にて搬送された第1収容ケース31に収容された第1容器Cn1を把持し、第1容器Cn1を受け取る。そして、台座11は、旋回駆動部101によって、移動方向Mv1に回転される。これにより、第1容器Cn1は、処理装置40の処理部41に移動され、処理部41に受け渡される。
【0051】
台座11は、旋回軸Rx周りに回転する。このときに、受取側把持部12Aは、受取部24の第1容器Cn1を把持した後、移動して、処理部41に第1容器Cn1を受け渡す。同様に、受渡側把持部12Bは、処理部41の第1容器Cn1を把持した後、移動して、受渡部25の第1収容ケース31に第1容器Cn1を受け渡す。
【0052】
第1容器Cn1は、移動装置10によって移動されるとき、旋回軸Rxを中心とする円弧上に形成される軌跡Tj上を移動する。そして、
図1に示すように、受取部24と、処理部41と、受渡部25とは、いずれも、単一の軌跡Tj上に配置される。
【0053】
さらに説明すると、旋回軸Rxに沿う方向から見て、受取部24と受渡部25は、単一の軌跡Tj上に、旋回軸Rxを中心とする中心角度θあけて配置される。そして、処理部41は、軌跡Tj上において、受取部24と受渡部25との中間に配置される。換言すると、軌跡Tjに沿って配置された受取部24と受渡部25の旋回軸Rxを中心とする中心角の2等分線と、軌跡Tjとの交点に処理部41が配置される(
図1参照)。
【0054】
<把持部12>
移動装置10において、受取側把持部12A及び受渡側把持部12Bは、取り付け位置が異なる以外、同じ構成である。以下、受取側把持部12Aと受渡側把持部12Bの同じ部分には、同じ符号を付す。また、詳細な説明では代表して、把持部12として説明する。
【0055】
図5は、把持部12を拡大した平面図である。
図6は、第2アーム部14を第1アーム部13から離間させた状態の把持部12の斜視図である。
図7は、第1容器Cn1を把持した状態の把持部12の斜視図である。
【0056】
把持部12は、第1アーム部13と、第2アーム部14と、留め部15と、を有する。第1アーム部13及び第2アーム部14は、長尺状の部材である。第1アーム部13及び第2アーム部14それぞれの端部は、留め部15を介して連結される。
【0057】
第1アーム部13は、第2アーム部14よりも移動方向Mv1の下流側に配置される。第1アーム部13の端部は、留め部15に固定される。これにより、旋回軸Rxに沿う方向から見て、第1アーム部13の旋回軸Rxに対する角度が固定された状態で、留め部15に固定される。なお、第1アーム部13の固定は、例えば、ねじ、接着、溶接等を挙げることができる。メンテナンス等で着脱を行うため、ねじ等の着脱可能な固定方法を用いることが好ましい。
【0058】
図1に示すように、旋回軸Rxに沿う方向から見て、第1アーム部13の先端は、台座11の外縁よりも外側に配置される。第1アーム部13は、第1接触部131と、第2接触部132とを有する。第1接触部131及び第2接触部132は、第1アーム部13の台座11の外縁よりも外側の部分の第2アーム部14と対向する面に配置される。
【0059】
旋回軸Rxに沿う方向から見て、第1接触部131及び第2接触部132は、直線状であり、交点130で交差する。
図5に示すように、交点130は、移動装置10の第1容器Cn1の軌跡Tjと重なる。そして、第1接触部131は、軌跡Tjから径方向外側に延びるとともに、径方向外側が移動方向Mv1の上流側に近づくように傾斜する。また、第2接触部132は、軌跡Tjから径方向内側に延びるとともに、径方向内側が移動方向Mv1の上流側に近づくように傾斜する。
【0060】
換言すると、第1接触部131は、第1アーム部13の先端に向かうにつれて、第2アーム部14に接近するように傾斜する。また、第2接触部132は、第1アーム部13の旋回軸Rxに向かうにつれて、第2アーム部14に接近するように傾斜する。
【0061】
図1に示すように、旋回軸Rxに沿う方向から見て、第2アーム部14の先端は、台座11の外縁よりも外側に配置される。
図1に示すように、第2アーム部14は、第1アーム部13よりも移動方向Mv1の上流側に配置される。
【0062】
第2アーム部14は、第3接触部141を有する。第3接触部141は、第2アーム部14の先端の台座11の外縁よりも外側の部分の第1アーム部13と対向する側面に配置される。旋回軸Rxに沿う方向から見て、第3接触部141は、直線状である。
【0063】
第2アーム部14の先端と反対側の端部は、留め部15に、旋回軸Rxと平行な回転軸Cxを中心に回転可能に支持される。
図1、
図5に示すように、移動装置10では、第1アーム部13及び第2アーム部14は共通の留め部15に取り付けられ、第2アーム部14のみ回転軸Cxを中心に回転可能に支持される。しかしながら、これに限定されず、第1アーム部13と第2アーム部14とは、異なる位置に取り付けられてもよい。
【0064】
第2アーム部14は、制御部50から指示を受けた把持部駆動部102によって、回転軸Cx周りに回転される。把持部駆動部102は、例えば、モータ、減速機等を含む構成を有し、制御部50からの指示に基づいて、第2アーム部14を回転軸Cx周りに回転させる。第2アーム部14が回転軸Cxを中心に回転することで、第1アーム部13に対して接近又は離間する。
【0065】
把持部駆動部102は制御部50の指示に基づいて、留め部15を上下方向に移動させる。なお、本実施形態では、留め部15を上下に移動可能としているが、これに限定されない。例えば、台座11が上下に移動するように構成してもよい。受取側把持部12Aの留め部15と受渡側把持部12Bの留め部15を独立して上下可能とすることで、受取部24及び受渡部25と、処理部41との高さが異なる構成であっても対応が可能である。
【0066】
図6に示すように、第2アーム部14が第1アーム部13から離れた状態で、把持部駆動部102が留め部15を下方に移動させることで、第1接触部131、第2接触部132及び第3接触部141の間に第1容器Cn1を配置できる。
【0067】
この状態で、把持部駆動部102が、第2アーム部14を第1アーム部13に向かって旋回させる。これにより、第1容器Cn1の外周面が、第3接触部141に押される。そして、第1容器Cn1が、第1接触部131、第2接触部132及び第3接触部141で把持される(
図5、
図7参照)。旋回軸Rxに沿う方向から見て、把持部12は、第1容器Cn1の側面を3点で把持する。
【0068】
なお、旋回軸Rxに沿う方向から見て、第1接触部131と第2接触部132の交点130を挟む角の二等分線135は、軌跡Tjの交点における接線Tj1と一致する(
図5参照)。そして、交点130は、台座11が旋回するとき、軌跡Tj上を移動する。このように構成することで、第1容器Cn1を把持するときに、台座11を戻り方向Mv2に移動させたときに、第1接触部131及び第2接触部132が第1容器Cn1に均等に力を付与させる。これにより、第1容器Cn1に無理な力がかかりにくい。
【0069】
上述のとおり、第1容器Cn1の外径が変化した場合であっても、第1接触部131及び第2接触部132の交点130における二等分線135と交点130における接線Tj1とが一致している。これにより、第2アーム部14を旋回軸Rx方向に回動させることで、第1容器Cn1の外径が変化した場合でも、第1接触部131及び第2接触部132と、第3接触部141とを、第1容器Cn1の外面に正確に接触させることができる。これにより、第1容器Cn1の外径が変化した場合であっても、把持部12で把持するときに、第1容器Cn1に無理な力が作用することを抑制できる。その結果、第1容器Cn1が変形したり、破損したりすることを抑制できる。なお、第2容器Cn2の上筒部Cn25の外径が変化した場合も同様である。
【0070】
受取側把持部12Aの第1接触部131、第2接触部132及び受渡側把持部12Bの第1接触部131、第2接触部132は、ともに上述の構成を有する。
【0071】
図6、
図7に示すように、第1アーム部13は、第2アーム部14と対向する側面に、第1凹部133を有する。つまり、第1アーム部13を長尺方向と直交する面で切断した断面は、移動方向Mv1の下流側に向かって凹んだ第1凹部133を有するC字状である。
【0072】
第1接触部131及び第2接触部132は、第1凹部133によって、上下2段に分割されている。必要に応じ、第1接触部131の上下を、それぞれ、第1上側接触部131u及び第1下側接触部131dと称する。また、第2接触部132の上下を、それぞれ、第2上側接触部132u、第2下側接触部132dと称する。
【0073】
図6、
図7に示すように、第2アーム部14は、第1アーム部13と対向する側面に、第2凹部142を有する。すなわち、第2アーム部14を長尺方向と直交する面で切断した断面は、移動方向Mv1の上流側に向かって凹んだ第2凹部142を有するC字状である。つまり、第3接触部141は、上下2段に分割されている。必要に応じ、第3接触部141の上下を、第3上側接触部141u、第3下側接触部141dと称する。
【0074】
第1接触部131、第2接触部132及び第3接触部141で第1容器Cn1を把持しているとき、第1接触部131の第1上側接触部131u及び第1下側接触部131dが第1容器Cn1の側面と接触する。つまり、第1接触部131は、周方向における1点において上下方向に離れた2か所で第1容器Cn1と接触する。
【0075】
また、第2接触部132の第2上側接触部132u及び第2下側接触部132dが第1容器Cn1の側面と接触する。つまり、第2接触部132は、周方向における1点において上下方向に離れた2か所で第1容器Cn1と接触する。
【0076】
さらに、第3接触部141の第3上側接触部141u及び第3下側接触部141dが第1容器Cn1の側面と接触する。つまり、第3接触部141は、周方向における1点において上下方向に離れた2か所で第1容器Cn1と接触する。
【0077】
第1接触部131、第2接触部132及び第3接触部141で第1容器Cn1を把持している状態において、第1接触部131、第2接触部132及び第3接触部141は、それぞれ上下2か所で接触する。そのため、第1接触部131、第2接触部132及び第3接触部141にて把持された第1容器Cn1の上下方向の移動及び水平方向の移動が抑制される。そのため、把持部12は、第1容器Cn1を安定して把持することが可能である。そのため、移動装置10は、把持部12が把持した第1容器Cn1の移動速度を高めることができる。
【0078】
把持部駆動部102は、第2アーム部14を第1アーム部13に接近する方向に回転するように付勢し続ける。これにより、把持部12は、第1接触部131、第2接触部132及び第3接触部141で第1容器Cn1を把持し続けることができる。この状態で、台座11が移動方向Mv1に回転することで、第1容器Cn1が移動方向Mv1に移動される。
【0079】
第1容器Cn1は、第1容器Cn1の外面と第1接触部131、第2接触部132及び第3接触部141との摩擦力で把持される。そのため、第1容器Cn1は、摩擦力>重力となる程度の重量である。
【0080】
なお、第1接触部131、第2接触部132及び第3接触部141の第1容器Cn1と接触する面がゴム、樹脂等の摩擦力が高い材料で形成されていてもよい。このようにすることで、第1容器Cn1をよりしっかり保持することができる。これにより、移動装置10による第1容器Cn1の移動速度が速くなっても、第1容器Cn1がずれたり、ぶれたりしにくい。換言すると、移動装置10は、把持部12で把持した第1容器Cn1の移動速度を高めることができる。
【0081】
次に、把持部12で第2容器Cn2を把持する場合について図面を参照して説明する。
図8は、第2容器Cn2を把持した状態の把持部12の斜視図である。
図4、
図8に示すように、第2容器Cn2の上筒部Cn25の上下方向の長さが短い。そのため、第1上側接触部131u及び第1下側接触部131dで上筒部Cn25を把持することができない。
【0082】
そのため、把持部12が第2容器Cn2を把持するとき、第1アーム部13の第1凹部133及び第2アーム部14の第2凹部142にフランジ部Cn24が収容される。このようにすることで、フランジ部Cn24の下面が、第1アーム部13の第1凹部133の内面の下端部及び第2アーム部14の第2凹部142の内面の下端部に支持される。ここで、第1凹部133の内面の下端部と第2凹部142の内面の下端部は、上下方向の位置が同じ位置である。そのため、フランジ部Cn24の下面を第1凹部133の下端部と第2凹部142の下端部で支持したとき、第2容器Cn2の軸がぶれない。そして、第2アーム部14を第1アーム部13に接近させることで、第1下側接触部131d、第2下側接触部132d及び第3下側接触部141dが、上筒部Cn25の側面に接触する。
【0083】
以上示したように、第2容器Cn2は、そのフランジ部Cn24の下面が、第1凹部133及び第2凹部142により下方から支持され、また、第2容器Cn2の上筒部Cn25は、第1下側接触部131d、第2下側接触部132d及び第3下側接触部141dにより水平方向に支持されることとなる。そして、把持部12は第2容器Cn2をこのように支持することで、第2容器Cn2の上下方向の移動及び水平方向の移動を抑制し、安定して把持することが可能となる。また、第2容器Cn2は、空の状態であっても、自重により下方に力が作用する。そのため、把持部12が移動方向Mv1に移動する場合でも、第2容器Cn2がずれたり、振れたりしにくい。
【0084】
つまり、本実施形態にかかる移動装置10では、円柱状の外径部分が短い容器であっても、フランジ部Cn24を有する場合、フランジ部Cn24を第1凹部133及び第2凹部142に収容することで、安定して保持することが可能である。
【0085】
以上のように、把持部12は、第1接触部131、第2接触部132及び第3接触部141の形状を変更することなく、シリンジ型の第1容器Cn1及びバイアル型の第2容器Cn2を把持できる。
【0086】
次に、移動装置10による、第1容器Cn1の移動について図面を参照して説明する。
図9は、第1位置P1にある移動装置10の概略配置図である。
図10は、受取側把持部12A及び受渡側把持部12Bが第1容器Cn1を把持した状態を示す概略配置図である。
図11は、第2位置P2にあるときの移動装置10の概略配置図である。
図12は、受取側把持部12A及び受渡側把持部12Bが第1容器Cn1を受け渡した状態を示す概略配置図である。ここで、受取側把持部12Aが受取部24で第1容器Cn1を把持可能な位置にあるときの台座11の位置を第1位置P1とし、受取側把持部12Aが処理部41に第1容器Cn1を配置可能な位置にあるときの台座11の位置を第2位置P2とする。
【0087】
まず、移動装置10と、処理装置40の位置について説明する。
図1に示すように、受取側把持部12Aの交点130と、受渡側把持部12Bの交点130とは、旋回軸Rxを中心とする中心角度δ開いた位置に配置されている。中心角度δは、中心角度θの半分、すなわち、θ/2である。
【0088】
上述のとおり、受取側把持部12A及び受渡側把持部12Bのそれぞれが配置された留め部15を上方に配置させた状態で、第1位置P1に位置させる(
図9参照)。このとき、受取側把持部12Aは、受取部24に移動した搬送トレイ22に配置された第1収容ケース31に収容された第1容器Cn1の上部に配置される。また、受渡側把持部12Bは、処理部41の第1容器Cn1の上部に配置される。
【0089】
そして、把持部駆動部102で第2アーム部14を第1アーム部13から離間させた状態で、両方の留め部15を下方に移動させる。これにより、受取側把持部12Aの第1接触部131、第2接触部132及び第3接触部141の間に、受取部24に移動した搬送トレイ22に配置された第1収容ケース31に収容された第1容器Cn1が配置される。同様に、受渡側把持部12Bの第1接触部131、第2接触部132及び第3接触部141の間に、処理部に移動した搬送トレイ22に配置された第1収容ケース31に収容された第1容器Cn1が配置される。
【0090】
その後、把持部駆動部102が、受取側把持部12A及び受渡側把持部12Bの第2アーム部14を、第1アーム部13に接近するように移動させる。これにより、受取側把持部12Aは受取部24で第1容器Cn1を把持する。同時に、受渡側把持部12Bは処理部41で第1容器Cn1を把持する(
図10参照)
【0091】
その後、把持部駆動部102が両方の留め部15を上昇させる。これにより、受取部24の搬送トレイ22に配置された第1収容ケース31から第1容器Cn1が抜き取られる。同様に、処理部41から第1容器Cn1が抜き取られる。なお、受取部24で第1容器Cn1が抜き取られた第1収容ケース31が配置された搬送トレイ22は、搬送レール21に沿って搬送方向Tr1に搬送される。その後、搬送トレイ22は、受渡部25まで移動する。
【0092】
なお、本実施形態において、駆動機構23として、リニアモータ機構を用いることで、搬送トレイ22を、個々に移動制御できるとともに、任意の場所に停止させることができる。つまり、作業装置100において、リニアモータ機構を用いることで、搬送トレイ22を停止させて第1容器Cn1を受け渡すことが容易になる。
【0093】
その後、旋回駆動部101が台座11を移動方向Mv1に移動させ、台座11を第2位置P2まで移動する。これにより、受取側把持部12Aに把持された第1容器Cn1は、処理部41の上方に移動し、受渡側把持部12Bに把持された第1容器Cn1は、受渡部25に移動した搬送トレイ22に配置された第1収容ケース31の上方に移動する(
図11参照)。
【0094】
その後、把持部駆動部102が留め部15を下方に移動させ、受取側把持部12A及び受渡側把持部12Bの第2アーム部14を、第1アーム部13から離間するように移動させる。これにより、処理部41及び受渡部25に移動した搬送トレイ22に配置された第1収容ケース31に、第1容器Cn1を収容することができる(
図12参照)。
【0095】
その後、把持部駆動部102は、両方の留め部15を上方に移動させ、旋回駆動部101が台座11を戻り方向Mv2に移動させ、台座11を第1位置P1まで移動させる。
【0096】
ここでは、第1容器Cn1の移動を例に説明しているが、第2容器Cn2を移動する場合も同様の動作で実行可能である。
【0097】
以上の構成において、受取部24から受渡部25まで間に処理部41が1箇所の場合を例に説明したが、処理部41が複数(n)個所配置される場合もある。この場合、δ=θ/(n+1)となるように構成すれば良い。
【0098】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこの内容に限定されるものではない。また本発明の実施形態は、発明の趣旨を逸脱しない限り、種々の改変を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0099】
100 作業装置
101 旋回駆動部
102 把持部駆動部
10 移動装置
11 台座
12 把持部
12A 受取側把持部
12B 受渡側把持部
13 第1アーム部
14 第2アーム部
15 部
20 搬送装置
21 搬送レール
22 搬送トレイ
23 駆動機構
24 受取部
25 受渡部
31 第1収容ケース
32 第2収容ケース
40 処理装置
41 処理部
42 充填部
50 制御部
51 演算回路
52 記憶回路
111 上面
130 交点
131 第1接触部
131d 第1下側接触部
131u 第1上側接触部
132 第2接触部
132d 第2下側接触部
132u 第2上側接触部
133 第1凹部
135 二等分線
141 第3接触部
141d 第3下側接触部
141u 第3上側接触部
142 第2凹部
211 第1直線レール部
212 第2直線レール部
213 曲線レール部
221 底部
222 側壁部
310 底部
311 筒部
312 傾斜面
313 収容凹部
314 スリット
320 底部
321 筒部
322 収容凹部
323 スリット
Cn1 第1容器
Cn11 開口
Cn2 第2容器
Cn21 開口
Cn22 下筒部
Cn23 絞り部
Cn24 フランジ部
Cn25 上筒部