IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ スタンレー電気株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-車両用灯具 図1
  • 特許-車両用灯具 図2
  • 特許-車両用灯具 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-14
(45)【発行日】2025-01-22
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
   F21S 41/265 20180101AFI20250115BHJP
   F21S 41/143 20180101ALI20250115BHJP
   F21S 45/48 20180101ALI20250115BHJP
   F21S 41/663 20180101ALI20250115BHJP
   F21V 5/04 20060101ALI20250115BHJP
   F21V 29/503 20150101ALI20250115BHJP
   F21V 29/74 20150101ALI20250115BHJP
   F21W 102/135 20180101ALN20250115BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20250115BHJP
   F21Y 115/30 20160101ALN20250115BHJP
【FI】
F21S41/265
F21S41/143
F21S45/48
F21S41/663
F21V5/04 650
F21V29/503
F21V29/74
F21W102:135
F21Y115:10
F21Y115:30
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021073324
(22)【出願日】2021-04-23
(65)【公開番号】P2022167499
(43)【公開日】2022-11-04
【審査請求日】2024-03-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(72)【発明者】
【氏名】赤津 達郎
【審査官】河村 勝也
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-144248(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102019104722(DE,A1)
【文献】特開2018-067451(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 41/00
F21S 45/48
F21V 5/04
F21V 29/503
F21V 29/74
F21W 102/135
F21Y 115/10
F21Y 115/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の光を出射する第1の光源と、
前記第1の光源と隣接して配置されて、前記第1の光と同一方向に向けて第2の光を出射する第2の光源と、
前記第1の光及び前記第2の光を互いに同一方向に向けて投影する投影光学系とを備え、
前記投影光学系は、前記第1の光源と対向する側に位置して、前記第1の光源から出射された第1の光を平行化しながら内部へと入射する第1の入射部と、前記第2の光源と対向する側に位置して、前記第2の光源から出射された第2の光を平行化しながら内部へと入射する第2の入射部と、前記第1の入射部とは反対側に位置して、前記第1の入射部から入射した第1の光を集光しながら外部へと出射する第1の出射部と、前記第2の入射部とは反対側に位置して、前記第2の入射部から入射した第2の光を集光しながら外部へと出射する第2の出射部とを含む第1のレンズと、
前記第2の出射部と対向する側に位置して、前記第1の出射部から出射された第1の光を内部へと入射する第3の入射部と、前記第1の出射部と対向する側に位置して、前記第2の出射部から出射された第2の光を内部へと入射する第4の入射部と、前記第3の入射部とは反対側に位置して、前記第3の入射部から入射した第1の光を外部へと出射する第3の出射部と、前記第4の入射部とは反対側に位置して、前記第4の入射部から入射した第2の光を外部へと出射する第4の出射部とを含む第2のレンズとを有し、
前記第1のレンズは、前記第2の入射部から入射した第1の光を前記第2のレンズに入射しない方向に向けて出射し、
前記第1の入射部から入射した第2の光を前記第2のレンズに入射しない方向に向けて出射し、
前記第1の出射部は、前記第1の入射部から入射した第1の光を集光しながら前記第1のレンズの外部へと出射する第1の出射面を含み、
前記第2の出射部は、前記第2の入射部から入射した第2の光を集光しながら前記第1のレンズの外部へと出射する第2の出射面を含み、
前記第1の出射面は、前記第2の出射面から前記第2のレンズに入射しない方向に向けて出射される以外の第1の光と、当該第1の出射面から前記第2のレンズに入射しない方向に向けて出射される以外の第2の光とを前記第1のレンズの内部で反射し、
前記第2の出射面は、前記第1の出射面から前記第2のレンズに入射しない方向に向けて出射される以外の第2の光と、当該第2の出射面から前記第2のレンズに入射しない方向に向けて出射される以外の第1の光とを前記第1のレンズの内部で反射することを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
第1の光を出射する第1の光源と、
前記第1の光源と隣接して配置されて、前記第1の光と同一方向に向けて第2の光を出射する第2の光源と、
前記第1の光及び前記第2の光を互いに同一方向に向けて投影する投影光学系とを備え、
前記投影光学系は、前記第1の光源と対向する側に位置して、前記第1の光源から出射された第1の光を平行化しながら内部へと入射する第1の入射部と、前記第2の光源と対向する側に位置して、前記第2の光源から出射された第2の光を平行化しながら内部へと入射する第2の入射部と、前記第1の入射部とは反対側に位置して、前記第1の入射部から入射した第1の光を集光しながら外部へと出射する第1の出射部と、前記第2の入射部とは反対側に位置して、前記第2の入射部から入射した第2の光を集光しながら外部へと出射する第2の出射部とを含む第1のレンズと、
前記第2の出射部と対向する側に位置して、前記第1の出射部から出射された第1の光を内部へと入射する第3の入射部と、前記第1の出射部と対向する側に位置して、前記第2の出射部から出射された第2の光を内部へと入射する第4の入射部と、前記第3の入射部とは反対側に位置して、前記第3の入射部から入射した第1の光を外部へと出射する第3の出射部と、前記第4の入射部とは反対側に位置して、前記第4の入射部から入射した第2の光を外部へと出射する第4の出射部とを含む第2のレンズとを有し、
前記第1のレンズは、前記第2の入射部から入射した第1の光を前記第2のレンズに入射しない方向に向けて出射し、
前記第1の入射部から入射した第2の光を前記第2のレンズに入射しない方向に向けて出射し、
前記第1の入射部は、前記第1の光源と対向する部分に位置して、前記第1の光源から出射された第1の光の一部が入射する第1の集光入射面と、前記第1の集光入射面の周囲を囲む位置から前記第1の光源側に突出した部分の内周側に位置して、前記第1の光源から出射された第1の光の一部が入射する第2の集光入射面と、前記突出した部分の外周側に位置して、前記第2の集光入射面から入射した第1の光を反射する第1の集光反射面とを有し、
前記第2の入射部は、前記第2の光源と対向する部分に位置して、前記第2の光源から出射された第2の光の一部が入射する第3の集光入射面と、前記第3の集光入射面の周囲を囲む位置から前記第2の光源側に突出した部分の内周側に位置して、前記第2の光源から出射された第2の光の一部が入射する第4の集光入射面と、前記突出した部分の外周側に位置して、前記第4の集光入射面から入射した第2の光を反射する第2の集光反射面とを有し、
前記第1の入射部と前記第2の入射部との間が一部重なり合っていることを特徴とする車両用灯具。
【請求項3】
前記第1の入射部は、前記第1の光源と対向する部分に位置して、前記第1の光源から出射された第1の光の一部が入射する第1の集光入射面と、前記第1の集光入射面の周囲を囲む位置から前記第1の光源側に突出した部分の内周側に位置して、前記第1の光源から出射された第1の光の一部が入射する第2の集光入射面と、前記突出した部分の外周側に位置して、前記第2の集光入射面から入射した第1の光を反射する第1の集光反射面とを有し、
前記第2の入射部は、前記第2の光源と対向する部分に位置して、前記第2の光源から出射された第2の光の一部が入射する第3の集光入射面と、前記第3の集光入射面の周囲を囲む位置から前記第2の光源側に突出した部分の内周側に位置して、前記第2の光源から出射された第2の光の一部が入射する第4の集光入射面と、前記突出した部分の外周側に位置して、前記第4の集光入射面から入射した第2の光を反射する第2の集光反射面とを有し、
前記第1の入射部と前記第2の入射部との間が一部重なり合っていることを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項4】
前記第1のレンズと前記第2のレンズとの間に、前記第1の出射部により集光される第1の光と、前記第2の出射部により集光される第2の光との互いに一致した集光点が位置することを特徴とする請求項1~3の何れか一項に記載の車両用灯具。
【請求項5】
前記第1の光源及び前記第2の光源は、同じ基板の同一面上に設けられていることを特徴とする請求項1~4の何れか一項に記載の車両用灯具。
【請求項6】
前記基板と熱的に接続されたヒートシンクと、前記基板と電気的に接続されたコネクタ部とを含むカプラー付ソケットを備え、
前記カプラー付ソケットは、前記投影光学系を内部に収容した灯体の背面側に設けられた取付孔から前記灯体の内側に挿入された状態で、前記取付孔の周囲に着脱自在に取り付けられることを特徴とする請求項5に記載の車両用灯具。
【請求項7】
第1の光を出射する第1の光源と、
前記第1の光源と隣接して配置されて、前記第1の光と同一方向に向けて第2の光を出射する第2の光源と、
前記第1の光及び前記第2の光を互いに同一方向に向けて投影する投影光学系とを備え、
前記投影光学系は、前記第1の光源と対向する側に位置して、前記第1の光源から出射された第1の光を平行化しながら内部へと入射する第1の入射部と、前記第2の光源と対向する側に位置して、前記第2の光源から出射された第2の光を平行化しながら内部へと入射する第2の入射部と、前記第1の入射部とは反対側に位置して、前記第1の入射部から入射した第1の光を集光しながら外部へと出射する第1の出射部と、前記第2の入射部とは反対側に位置して、前記第2の入射部から入射した第2の光を集光しながら外部へと出射する第2の出射部とを含む第1のレンズと、
前記第2の出射部と対向する側に位置して、前記第1の出射部から出射された第1の光を内部へと入射する第3の入射部と、前記第1の出射部と対向する側に位置して、前記第2の出射部から出射された第2の光を内部へと入射する第4の入射部と、前記第3の入射部とは反対側に位置して、前記第3の入射部から入射した第1の光を外部へと出射する第3の出射部と、前記第4の入射部とは反対側に位置して、前記第4の入射部から入射した第2の光を外部へと出射する第4の出射部とを含む第2のレンズとを有し、
前記第1のレンズは、前記第2の入射部から入射した第1の光を前記第2のレンズに入射しない方向に向けて出射し、
前記第1の入射部から入射した第2の光を前記第2のレンズに入射しない方向に向けて出射し、
前記投影光学系により投影される第1の光が、上端に前記第3の出射部と前記第4の出射部との境界により規定されるカットオフラインを含む第1の配光パターンを形成し、
前記投影光学系により投影される第2の光が、前記第1の配光パターンよりも上方に位置する第2の配光パターンを形成することを特徴とする車両用灯具。
【請求項8】
前記投影光学系により投影される第1の光が、上端に前記第3の出射部と前記第4の出射部との境界により規定されるカットオフラインを含む第1の配光パターンを形成し、
前記投影光学系により投影される第2の光が、前記第1の配光パターンよりも上方に位置する第2の配光パターンを形成することを特徴とする請求項1~6の何れか一項に記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、車両用前照灯(ヘッドランプ)などの車両用灯具は、光源と、光源から出射された光を車両の進行方向に向けて反射するリフレクタと、リフレクタにより反射された光の一部を遮光(カット)するシェードと、シェードにより一部がカットされた光を車両の進行方向に向けて投影する投影レンズとを備えている。
【0003】
このような車両用灯具では、すれ違い用ビーム(ロービーム)として、シェードの前端によって規定される光源像を投影レンズにより反転投影することで、上端にカットオフラインを含むロービーム用配光パターンを形成している。
【0004】
また、車両用灯具では、車両の進行方向に向けて光を出射する別の光源をシェードの下方に配置し、走行用ビーム(ハイビーム)として、この光源が出射する光を投影レンズにより投影することで、ロービーム用配光パターンの上方にハイビーム用配光パターンを形成している。
【0005】
ところで、下記特許文献1に記載の車両用灯具では、上述したリフレクタ及びシェードの代わりに、上下2つの光源に各々対応して設けられた2つのレンズを用いて、ロービーム用配光パターンとハイビーム用配光パターンとを形成することが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2017-199660号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上述した特許文献1に記載の車両用灯具では、ロービーム用配光パターンを形成する上側のレンズに、カットオフラインを規定する全反射部分が設けられている。また、この全反射部分は、ロービーム用配光パターンとハイビーム用配光パターンとのうち、一方の配光パターンを形成する光が雑光(グレア光)として、もう一方の配光パターンに入らないようにしている。
【0008】
しかしながら、このような車両用灯具では、上下2つの光源に各々対応して設けられた2つのレンズによって、ロービーム用配光パターンとハイビーム用配光パターンとを形成する必要がある。さらに、上下2つの光源を隣接して配置することができないため、上下2つの光源を離間して配置する必要がある。
【0009】
本発明は、このような従来の事情に鑑みて提案されたものであり、2つの光源を隣接して配置した場合でも、良好な2つの配光パターンを得ることを可能とした車両用灯具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
〔1〕 第1の光を出射する第1の光源と、
前記第1の光源と隣接して配置されて、前記第1の光と同一方向に向けて第2の光を出射する第2の光源と、
前記第1の光及び前記第2の光を互いに同一方向に向けて投影する投影光学系とを備え、
前記投影光学系は、前記第1の光源と対向する側に位置して、前記第1の光源から出射された第1の光を平行化しながら内部へと入射する第1の入射部と、前記第2の光源と対向する側に位置して、前記第2の光源から出射された第2の光を平行化しながら内部へと入射する第2の入射部と、前記第1の入射部とは反対側に位置して、前記第1の入射部から入射した第1の光を集光しながら外部へと出射する第1の出射部と、前記第2の入射部とは反対側に位置して、前記第2の入射部から入射した第2の光を集光しながら外部へと出射する第2の出射部とを含む第1のレンズと、
前記第2の出射部と対向する側に位置して、前記第1の出射部から出射された第1の光を内部へと入射する第3の入射部と、前記第1の出射部と対向する側に位置して、前記第2の出射部から出射された第2の光を内部へと入射する第4の入射部と、前記第3の入射部とは反対側に位置して、前記第3の入射部から入射した第1の光を外部へと出射する第3の出射部と、前記第4の入射部とは反対側に位置して、前記第4の入射部から入射した第2の光を外部へと出射する第4の出射部とを含む第2のレンズとを有し、
前記第1のレンズは、前記第2の入射部から入射した第1の光を前記第2のレンズに入射しない方向に向けて出射し、
前記第1の入射部から入射した第2の光を前記第2のレンズに入射しない方向に向けて出射し、
記第1の出射部は、前記第1の入射部から入射した第1の光を集光しながら前記第1のレンズの外部へと出射する第1の出射面を含み、
前記第2の出射部は、前記第2の入射部から入射した第2の光を集光しながら前記第1のレンズの外部へと出射する第2の出射面を含み、
前記第1の出射面は、前記第2の出射面から前記第2のレンズに入射しない方向に向けて出射される以外の第1の光と、当該第1の出射面から前記第2のレンズに入射しない方向に向けて出射される以外の第2の光とを前記第1のレンズの内部で反射し、
前記第2の出射面は、前記第1の出射面から前記第2のレンズに入射しない方向に向けて出射される以外の第2の光と、当該第2の出射面から前記第2のレンズに入射しない方向に向けて出射される以外の第1の光とを前記第1のレンズの内部で反射することを特徴とする車両用灯具。
第1の光を出射する第1の光源と、
前記第1の光源と隣接して配置されて、前記第1の光と同一方向に向けて第2の光を出射する第2の光源と、
前記第1の光及び前記第2の光を互いに同一方向に向けて投影する投影光学系とを備え、
前記投影光学系は、前記第1の光源と対向する側に位置して、前記第1の光源から出射された第1の光を平行化しながら内部へと入射する第1の入射部と、前記第2の光源と対向する側に位置して、前記第2の光源から出射された第2の光を平行化しながら内部へと入射する第2の入射部と、前記第1の入射部とは反対側に位置して、前記第1の入射部から入射した第1の光を集光しながら外部へと出射する第1の出射部と、前記第2の入射部とは反対側に位置して、前記第2の入射部から入射した第2の光を集光しながら外部へと出射する第2の出射部とを含む第1のレンズと、
前記第2の出射部と対向する側に位置して、前記第1の出射部から出射された第1の光を内部へと入射する第3の入射部と、前記第1の出射部と対向する側に位置して、前記第2の出射部から出射された第2の光を内部へと入射する第4の入射部と、前記第3の入射部とは反対側に位置して、前記第3の入射部から入射した第1の光を外部へと出射する第3の出射部と、前記第4の入射部とは反対側に位置して、前記第4の入射部から入射した第2の光を外部へと出射する第4の出射部とを含む第2のレンズとを有し、
前記第1のレンズは、前記第2の入射部から入射した第1の光を前記第2のレンズに入射しない方向に向けて出射し、
前記第1の入射部から入射した第2の光を前記第2のレンズに入射しない方向に向けて出射し、
前記第1の入射部は、前記第1の光源と対向する部分に位置して、前記第1の光源から出射された第1の光の一部が入射する第1の集光入射面と、前記第1の集光入射面の周囲を囲む位置から前記第1の光源側に突出した部分の内周側に位置して、前記第1の光源から出射された第1の光の一部が入射する第2の集光入射面と、前記突出した部分の外周側に位置して、前記第2の集光入射面から入射した第1の光を反射する第1の集光反射面とを有し、
前記第2の入射部は、前記第2の光源と対向する部分に位置して、前記第2の光源から出射された第2の光の一部が入射する第3の集光入射面と、前記第3の集光入射面の周囲を囲む位置から前記第2の光源側に突出した部分の内周側に位置して、前記第2の光源から出射された第2の光の一部が入射する第4の集光入射面と、前記突出した部分の外周側に位置して、前記第4の集光入射面から入射した第2の光を反射する第2の集光反射面とを有し、
前記第1の入射部と前記第23の入射部との間が一部重なり合っていることを特徴とする車両用灯具。
〔3〕 前記第1の入射部は、前記第1の光源と対向する部分に位置して、前記第1の光源から出射された第1の光の一部が入射する第1の集光入射面と、前記第1の集光入射面の周囲を囲む位置から前記第1の光源側に突出した部分の内周側に位置して、前記第1の光源から出射された第1の光の一部が入射する第2の集光入射面と、前記突出した部分の外周側に位置して、前記第2の集光入射面から入射した第1の光を反射する第1の集光反射面とを有し、
前記第2の入射部は、前記第2の光源と対向する部分に位置して、前記第2の光源から出射された第2の光の一部が入射する第3の集光入射面と、前記第3の集光入射面の周囲を囲む位置から前記第2の光源側に突出した部分の内周側に位置して、前記第2の光源から出射された第2の光の一部が入射する第4の集光入射面と、前記突出した部分の外周側に位置して、前記第4の集光入射面から入射した第2の光を反射する第2の集光反射面とを有し、
前記第1の入射部と前記第2の入射部との間が一部重なり合っていることを特徴とする前記〔1〕に記載の車両用灯具。
〔4〕 前記第1のレンズと前記第2のレンズとの間に、前記第1の出射部により集光される第1の光と、前記第2の出射部により集光される第2の光との互いに一致した集光点が位置することを特徴とする前記〔1〕~〔3〕の何れか一項に記載の車両用灯具。
〔5〕 前記第1の光源及び前記第2の光源は、同じ基板の同一面上に設けられていることを特徴とする前記〔1〕~〔4〕の何れか一項に記載の車両用灯具。
〔6〕 前記基板と熱的に接続されたヒートシンクと、前記基板と電気的に接続されたコネクタ部とを含むカプラー付ソケットを備え、
前記カプラー付ソケットは、前記投影光学系を内部に収容した灯体の背面側に設けられた取付孔から前記灯体の内側に挿入された状態で、前記取付孔の周囲に着脱自在に取り付けられることを特徴とする前記〔5〕に記載の車両用灯具。
〔7〕 第1の光を出射する第1の光源と、
前記第1の光源と隣接して配置されて、前記第1の光と同一方向に向けて第2の光を出射する第2の光源と、
前記第1の光及び前記第2の光を互いに同一方向に向けて投影する投影光学系とを備え、
前記投影光学系は、前記第1の光源と対向する側に位置して、前記第1の光源から出射された第1の光を平行化しながら内部へと入射する第1の入射部と、前記第2の光源と対向する側に位置して、前記第2の光源から出射された第2の光を平行化しながら内部へと入射する第2の入射部と、前記第1の入射部とは反対側に位置して、前記第1の入射部から入射した第1の光を集光しながら外部へと出射する第1の出射部と、前記第2の入射部とは反対側に位置して、前記第2の入射部から入射した第2の光を集光しながら外部へと出射する第2の出射部とを含む第1のレンズと、
前記第2の出射部と対向する側に位置して、前記第1の出射部から出射された第1の光を内部へと入射する第3の入射部と、前記第1の出射部と対向する側に位置して、前記第2の出射部から出射された第2の光を内部へと入射する第4の入射部と、前記第3の入射部とは反対側に位置して、前記第3の入射部から入射した第1の光を外部へと出射する第3の出射部と、前記第4の入射部とは反対側に位置して、前記第4の入射部から入射した第2の光を外部へと出射する第4の出射部とを含む第2のレンズとを有し、
前記第1のレンズは、前記第2の入射部から入射した第1の光を前記第2のレンズに入射しない方向に向けて出射し、
前記第1の入射部から入射した第2の光を前記第2のレンズに入射しない方向に向けて出射し、
前記投影光学系により投影される第1の光が、上端に前記第3の出射部と前記第4の出射部との境界により規定されるカットオフラインを含む第1の配光パターンを形成し、
前記投影光学系により投影される第2の光が、前記第1の配光パターンよりも上方に位置する第2の配光パターンを形成することを特徴とする車両用灯具。
〕 前記投影光学系により投影される第1の光が、上端に前記第3の出射部と前記第4の出射部との境界により規定されるカットオフラインを含む第1の配光パターンを形成し、
前記投影光学系により投影される第2の光が、前記第1の配光パターンよりも上方に位置する第2の配光パターンを形成することを特徴とする前記〔1〕~〔6〕の何れか一項に記載の車両用灯具。
【発明の効果】
【0011】
以上のように、本発明によれば、2つの光源を隣接して配置した場合でも、良好な2つの配光パターンを得ることを可能とした車両用灯具を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態に係る車両用灯具の構成を示し、(A)は第1の光源を点灯させたときの第1の光の光路を示す断面図、(B)は第2の光源を点灯させたときの第2の光の光路を示す断面図である。
図2図1に示す車両用灯具の第1の光により仮想鉛直スクリーンの面上に形成されたロービーム用配光パターンを示す光度分布図である。
図3図1に示す車両用灯具の第2の光により仮想鉛直スクリーンの面上に形成されたハイビーム用配光パターンを示す光度分布図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
なお、以下の説明で用いる図面においては、各構成要素を見やすくするため、構成要素によって寸法の縮尺を異ならせて示すことがあり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
【0014】
また、以下に示す図面では、XYZ直交座標系を設定し、X軸方向を車両用灯具の前後方向(長さ方向)、Y軸方向を車両用灯具の左右方向(幅方向)、Z軸方向を車両用灯具の上下方向(高さ方向)として、それぞれ示すものとする。
【0015】
本発明の一実施形態として、例えば図1図3に示す車両用灯具1について説明する。
なお、図1は、車両用灯具1の構成を示し、(A)は第1の光源2を点灯させたときの第1の光L1の光路を示す断面図、(B)は第2の光源3を点灯させたときの第2の光L2の光路を示す断面図である。図2は、車両用灯具1の第1の光L1により仮想鉛直スクリーンの面上に形成されたロービーム用配光パターンを示す光度分布図である。図3は、車両用灯具1の第2の光L2により仮想鉛直スクリーンの面上に形成されたハイビーム用配光パターンを示す光度分布図である。
【0016】
本実施形態の車両用灯具1は、例えば、自動二輪車や自動三輪車などの鞍乗型車両(図示せず。)の前側中央部に搭載される車両用前照灯(ヘッドランプ)に本発明を適用したものであり、上端にカットオフラインを含むロービーム用配光パターンを形成するすれ違い用ビーム(ロービーム)と、ロービーム用配光パターンの上方側にハイビーム用配光パターンを形成する走行用ビーム(ハイビーム)とを、それぞれ車両の前方(+X軸方向)に向けて切り替え自在に照射するものである。
【0017】
具体的に、この車両用灯具1は、図1(A),(B)に示すように、灯体(図示せず。)の内側に、第1の光L1を出射する第1の光源2と、第2の光L2を出射する第2の光源3と、第1の光L1及び第2の光L2を投影する投影光学系4とを備えている。
【0018】
なお、灯体は、前面が開口したハウジングと、このハウジングの開口を覆う透明なレンズカバーとにより構成される。また、灯体の形状については、車両のデザイン等に合わせて、適宜変更することが可能である。
【0019】
第1の光源2及び第2の光源3は、例えば白色光を発する発光ダイオード(LED)からなる。本実施形態の車両用灯具1では、第1の光源2と第2の光源3とが互いに隣接した状態で、この車両用灯具1の鉛直方向(上下方向)に並んで配置されている。このうち、第1の光源2を構成する1つのLEDが上部側に配置され、第2の光源3を構成する1つのLEDが下部側に配置されている。
【0020】
第1の光源2及び第2の光源3は、それぞれのLEDを駆動する駆動回路が設けられた回路基板5の一面(本実施形態では正面)側に実装されている。これにより、第1の光源2と第2の光源3とは、前方(+X軸側)に向けて第1の光L1と第2の光L2とを放射状に出射する。すなわち、これら第1の光源2及び第2の光源3は、同じ回路基板5の同一面上に設けられて、互いに同一方向に向けて第1の光L1及び第2の光L2を放射状に出射する構成となっている。
【0021】
本実施形態の車両用灯具1では、回路基板5と熱的に接続されたヒートシンク6と、回路基板5と電気的に接続されたコネクタ部7とを含むカプラー付ソケット8を備えている。カプラー付ソケット8は、投影光学系4を内部に収容した灯体の背面側に設けられた取付孔から灯体の内側に挿入された状態で、取付孔の周囲に着脱自在に取り付けられる。
【0022】
なお、本実施形態では、上述したカプラー付ソケット8を備えた構成となっているが、このような構成に必ずしも限定されるものではない。したがって、回路基板5の他面(本実施形態では背面)側に、第1の光源2及び第2の光源3が発する熱を放熱させるヒートシンクを取り付けた構成としてもよい。
【0023】
また、この構成の場合、LEDが実装された実装基板と、LEDを駆動する駆動回路が設けられた回路基板とを別々に配置し、実装基板と回路基板との間をハーネスと呼ばれる配線コードを介して電気的に接続し、LEDが発する熱から駆動回路を保護する構成としてもよい。
【0024】
投影光学系4は、第1の光源2及び第2の光源3の前方に配置された第1のレンズ9と、第1のレンズ9の前方に配置された第2のレンズ10とを備えている。第1のレンズ9と第2のレンズ10とは、その間に空気層(間隔)Kを設けた状態で配置されている。
【0025】
第1のレンズ9及び第2のレンズ10には、例えば、ポリカーボネイトやアクリル等の透明樹脂やガラスなど、空気よりも屈折率の高い材質のものを用いることができる。
【0026】
第1のレンズ9は、第1の光源2と対向する側に位置する第1の入射部11と、第2の光源3と対向する側に位置する第2の入射部12と、第1の入射部11とは反対側に位置する第1の出射部13と、第2の入射部12とは反対側に位置する第2の出射部14とを有している。
【0027】
第1の入射部11は、第1の光源2から出射された第1の光L1を平行化(コリメート)しながら第1のレンズ9の内部へと入射する。具体的に、この第1の入射部11は、第1の光源2と対向する部分に位置して、第1の光源2から出射された第1の光L1の一部が入射する凸面状の第1の集光入射面11aと、第1の集光入射面11aの周囲を囲む位置から第1の光源2側に突出した部分の内周側に位置して、第1の光源2から出射された第1の光L1の一部が入射する略円筒状の第2の集光入射面11bと、突出した部分の外周側に位置して、第2の集光入射面11bから入射した第1の光L1を反射する略截頭円錐状の第1の集光反射面11cとを有している。
【0028】
第1の入射部11では、図1(A)に示すように、第1の光源2から放射状に出射された第1の光L1のうち、第1の集光入射面11aから第1のレンズ9の内部に入射した第1の光L1を光軸寄りに集光させる。一方、第2の集光入射面11bから第1のレンズ9の内部に入射した第1の光L1を第1の集光反射面11cで反射させることによって光軸寄りに集光させる。
【0029】
これにより、第1の入射部11から第1のレンズ9の内部へと入射した第1の光L1は、第1の光L1の光軸に対して平行化(コリメート)しながら、第1のレンズ9の前方にある第1の出射部13に向かって導光される。また、第1の入射部11から第1のレンズ9の内部へと入射した第1の光L1の光軸は、第1のレンズ9の中心軸に対して平行となっている。
【0030】
第2の入射部12は、第2の光源3から出射された第2の光L2を平行化(コリメート)しながら第1のレンズ9の内部へと入射する。具体的に、この第2の入射部12は、第2の光源3と対向する部分に位置して、第2の光源3から出射された第2の光L2の一部が入射する凸面状の第3の集光入射面12aと、第3の集光入射面12aの周囲を囲む位置から第2の光源3側に突出した部分の内周側に位置して、第2の光源3から出射された第2の光L2の一部が入射する略円筒状の第4の集光入射面12bと、突出した部分の外周側に位置して、第4の集光入射面12bから入射した第2の光L2を反射する略截頭円錐状の第2の集光反射面12cとを有している。
【0031】
第2の入射部12では、図1(B)に示すように、第1の光源2から放射状に出射された第2の光L2のうち、第3の集光入射面12aから第2のレンズ10の内部に入射した第2の光L2を光軸寄りに集光させる。一方、第4の集光入射面12bから第2のレンズ10の内部に入射した第2の光L2を第2の集光反射面12cで反射させることによって光軸寄りに集光させる。
【0032】
これにより、第2の入射部12から第1のレンズ9の内部へと入射した第2の光L2は、第2の光L2の光軸に対して平行化(コリメート)しながら、第1のレンズ9の前方にある第2の出射部14に向かって導光される。また、第2の入射部12から第1のレンズ9の内部へと入射した第2の光L2の光軸は、第1のレンズ9の中心軸に対して平行となっている。
【0033】
また、第1のレンズ9では、第1の光源2と第2の光源3とが互いに隣接して配置されることによって、第1の入射部11と第2の入射部12との間が一部重なり合っている。
【0034】
このため、第1の入射部11は、第1の集光入射面11a、第2の集光入射面11b及び第1の集光反射面11cの一部が第2の入射部12との境界に沿って切り欠かれた形状を有している。同様に、第2の入射部12は、第3の集光入射面12a、第4の集光入射面12b及び第2の集光反射面12cの一部が第1の入射部11との境界に沿って切り欠かれた形状を有している。
【0035】
したがって、第1の光源2から放射状に出射された第1の光L1と、第2の光源3から放射状に出射された第2の光L2とは、互いの光路が重なり合いながら、第1の入射部11及び第2の入射部12から第1のレンズ9の内部へと入射することになる。
【0036】
第1の出射部13は、第1の出射面13aを有している。第1の出射面13aは、第1のレンズ9の正面側を構成する凸状のレンズ面のうち、この第1のレンズ9の中心軸を挟んだ上側のレンズ面により構成されている。
【0037】
第1の出射部13では、図1(A)に示すように、第1の入射部11から入射した第1の光L1を第1の出射面13aにより集光しながら、第1のレンズ9の外部へと出射する。これにより、第1の出射部13から出射された第1の光L1は、第1のレンズ9の前方に向かって集光した後に、拡散しながら第2のレンズ10に入射する。
【0038】
第2の出射部14は、第2の出射面14aを有している。第2の出射面14aは、第1のレンズ9の正面側を構成する凸状のレンズ面のうち、この第1のレンズ9の中心軸を挟んだ下側のレンズ面により構成されている。
【0039】
第2の出射部14では、図1(B)に示すように、第2の入射部12から入射した第2の光L2を第2の出射面14aにより集光しながら、第1のレンズ9の外部へと出射する。これにより、第2の出射部14から出射された第2の光L2は、第1のレンズ9の前方に向かって集光した後に、拡散しながら第2のレンズ10に入射する。
【0040】
第1のレンズ9と第2のレンズ10との間には、第1の出射部13により集光される第1の光L1と、第2の出射部14により集光される第2の光L2との互いに一致した集光点Cが位置している。また、集光点Cは、第1のレンズ9と第2のレンズ10との互いに一致した中心軸上に位置している。
【0041】
第2のレンズ10は、第2の出射部14と対向する側に位置する第3の入射部15と、第1の出射部13と対向する側に位置する第4の入射部16と、第3の入射部15とは反対側に位置する第3の出射部17と、第4の入射部16とは反対側に位置する第4の出射部18とを有している。
【0042】
第3の入射部15は、第3の入射面15aを有している。第3の入射面15aは、第2のレンズ10の背面側を構成する凹状のレンズ面のうち、この第2のレンズ10の中心軸を挟んだ下側のレンズ面により構成されている。
【0043】
第3の入射部15では、図1(A)に示すように、第1の出射部13から出射された第1の光L1を第3の入射面15aから第2のレンズ10の内部へと入射する。これにより、第3の入射部15から第2のレンズ10の内部へと入射した第1の光L1は、第2のレンズ10の前方にある第3の出射部17に向かって導光される。
【0044】
第4の入射部16は、第4の入射面16aを有している。第4の入射面16aは、第2のレンズ10の背面側を構成する凹状のレンズ面のうち、この第2のレンズ10の中心軸を挟んだ上側のレンズ面により構成されている。
【0045】
第4の入射部16では、図1(B)に示すように、第2の出射部14から出射された第2の光L2を第4の入射面16aから第2のレンズ10の内部へと入射する。これにより、第4の入射部16から第2のレンズ10の内部へと入射した第2の光L2は、第2のレンズ10の前方にある第4の出射部18に向かって導光される。
【0046】
第3の出射部17は、第3の出射面17aを有している。第3の出射面17aは、第2のレンズ10の正面側において、この第2のレンズ10の中心軸を挟んだ下側を構成する凸状のレンズ面により構成されている。
【0047】
第3の出射部17では、図1(A)に示すように、第3の入射部15から入射した第1の光L1を第3の出射面17aにより拡散しながら、第2のレンズ10の外部へと出射する。これにより、第3の出射部17から出射された第1の光L1は、第2のレンズ10の前方に向かって拡大投影される。
【0048】
第4の出射部18は、第4の出射面18aを有している。第4の出射面18aは、第2のレンズ10の正面側において、この第2のレンズ10の中心軸を挟んだ上側を構成する凸状のレンズ面により構成されている。また、第4の出射面18aは、第3の出射面17aよりも前方に突出して設けられている。これにより、第3の出射面17aと第4の出射面18aとの間には、この第2のレンズ10の中心軸に沿った段差面10aが設けられている。
【0049】
第4の出射部18では、図1(B)に示すように、第4の入射部16から入射した第2の光L2を第4の出射面18aにより拡散しながら、第2のレンズ10の外部へと出射する。これにより、第4の出射部18から出射された第1の光L1は、第2のレンズ10の前方に向かって拡大投影される。
【0050】
なお、上記投影光学系4において、第1のレンズ9及び第2のレンズ10を構成する面のうち、図示や説明を省略したその他の面については、第1のレンズ9及び第2のレンズ10の内部を通過する第1の光L1及び第2の光L2に悪影響を与えない範囲で自由に設計(例えば、遮蔽するなど。)することが可能である。
【0051】
以上のような構成を有する本実施形態の車両用灯具1では、すれ違い用ビーム(ロービーム)として、第1の光源2が出射する第1の光L1を投影光学系4により車両の進行方向に向けて投影する。このとき、図2に示すように、上端に第3の出射部と第4の出射部との境界(段差面10a)により規定されるカットオフラインを含むロービーム用配光パターン(第1の配光パターン)を形成する。
【0052】
一方、本実施形態の車両用灯具1では、走行用ビーム(ハイビーム)として、第1の光源2及び第2の光源3が出射する第2の光L2を投影光学系4により車両の進行方向に向けて投影する。このとき、図3に示すように、投影光学系4の前方に向けて投影される第2の光Lが、ロービーム用配光パターン(第1の配光パターン)よりも上方に位置するハイビーム用配光パターン(第2の配光パターン)を形成する。
【0053】
ところで、本実施形態の車両用灯具1では、図1(A)に示すように、第2の入射部12から第1のレンズ9の内部へと入射した第1の光L1’,L1’’を第1のレンズ9から第2のレンズ10に入射しない方向の外部に向けて出射する。
【0054】
具体的に、この車両用灯具1では、第2の入射部12のうち、第3の集光入射面12aから第1のレンズ9の内部へと入射した第1の光L1’を、第2のレンズ10に入射しない方向に向けて第2の出射面14aから第1のレンズ9の外部へと出射する。
【0055】
一方、第2の入射部12のうち、第4の集光入射面12bから第1のレンズ9の内部へと入射した第1の光L1’’を、第2の集光反射面12c、第2の出射面14a、第1の出射面13a、第1の集光反射面11c、及び第3の集光入射面12aの順で反射した後に、第2のレンズ10に入射しない方向に向けて第2の集光反射面12cから第1のレンズ9の外部へと出射する。また、第1の光L1’’の一部は、第1の集光反射面11cから第1のレンズ9の外部(後方)へと出射される。
【0056】
また、本実施形態の車両用灯具1では、図1(B)に示すように、第1の入射部11から第1のレンズ9の内部へと入射した第2の光L2’,L2’’を第1のレンズ9から第2のレンズ10に入射しない方向の外部に向けて出射する。
【0057】
具体的に、この車両用灯具1では、第1の入射部11のうち、第1の集光入射面11aから第1のレンズ9の内部へと入射した第2の光L2’を、第2のレンズ10に入射しない方向に向けて第1の出射面13aから第1のレンズ9の外部へと出射する。
【0058】
一方、第1の入射部11のうち、第2の集光入射面11bから第1のレンズ9の内部へと入射した第2の光L2’’を、第1の集光反射面11c、第1の出射面13a、第2の出射面14a、第2の集光反射面12c、及び第1の集光入射面11aの順で反射した後に、第2のレンズ10に入射しない方向に向けて第1の集光反射面11cから第1のレンズ9の外部へと出射する。また、第2の光L2’’の一部は、第2の集光反射面12cから第1のレンズ9の外部(後方)へと出射される。
【0059】
したがって、第1の出射面13aは、第2の出射面14aから第2のレンズ10に入射しない方向に向けて出射される以外の第1の光L1’’と、当該第1の出射面13aから第2のレンズ10に入射しない方向に向けて出射される以外の第2の光L2’’とを第1のレンズ9の内部で反射する。
【0060】
一方、第2の出射面14aは、第1の出射面13aから第2のレンズ10に入射しない方向に向けて出射される以外の第2の光L2’’と、当該第2の出射面14aから第2のレンズ10に入射しない方向に向けて出射される以外の第1の光L1’’とを第1のレンズ9の内部で反射する。
【0061】
以上のように、本実施形態の車両用灯具1では、上述した第2の入射部12から第1のレンズ9の内部へと入射した第1の光L1’,L1’’を第1のレンズ9から第2のレンズ10に入射しない方向の外部に向けて出射すると共に、第1の入射部11から第1のレンズ9の内部へと入射した第2の光L2’,L2’’を第1のレンズ9から第2のレンズ10に入射しない方向の外部に向けて出射することが可能である。
【0062】
これにより、本実施形態の車両用灯具1では、ロービーム用配光パターンとハイビーム用配光パターンとのうち、一方の配光パターンを形成する光が雑光(グレア光)として、もう一方の配光パターンに入ることを防止している。
【0063】
したがって、本実施形態の車両用灯具1では、上述したカプラー付ソケット8のように、第1の光源2及び第2の光源3を隣接して配置した場合でも、これら第1の光源2及び第2の光源3から出射された第1の光L1及び第2の光L2を投影光学系4により投影することによって、良好なロービーム用配光パターン及びハイビーム用配光パターンを得ることが可能である。
【0064】
なお、本発明は、上記実施形態のものに必ずしも限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記実施形態では、上述した自動二輪車や自動三輪車などの鞍乗型車両の車両用前照灯(ヘッドランプ)に本発明を適用した場合を例示したが、四輪自動車などの車両の前端側の両コーナー部に搭載される車両用前照灯(ヘッドランプ)に本発明を適用することも可能である。
【0065】
また、本発明を適用した車両用灯具は、上述した車両用前照灯(ヘッドランプ)に対して好適に用いられるものの、本発明が適用される車両用灯具については、上述したフロント側の車両用灯具に限らず、例えばリアコンビネーションランプなどのリア側の車両用灯具に本発明を適用することも可能である。
【0066】
すなわち、本発明は、第1の光を出射する第1の光源と、第1の光源と隣接して配置されて、第1の光と同一方向に向けて第2の光を出射する第2の光源と、第1の光及び第2の光を互いに同一方向に向けて投影する投影レンズとを備える車両用灯具に対して本発明を幅広く適用することが可能である。
【0067】
また、第1の光源及び第2の光源については、上述したLEDに限らず、例えばレーザーダイオード(LD)などの発光素子を用いることも可能である。また、第1の光及び第2の光の色についても、上述した白色光に限らず、赤色光や橙色光など、その用途に応じて適宜変更することが可能である。さらに、第1の光源と第2の光源とが互いに異なる色の第1の光と第2の光とを選択的に出射する構成とすることも可能である。
【0068】
また、上記車両用灯具1では、上述した第1の光源2及び第2の光源3が並ぶ方向が車両用灯具1の鉛直方向となっているが、第1の光源及び第2の光源が並ぶ方向が車両用灯具の水平方向となる車両用灯具に対して本発明を適用することも可能である。
【符号の説明】
【0069】
1…車両用灯具 2…第1の光源 3…第2の光源 4…投影光学系 5…回路基板 6…ヒートシンク 7…コネクタ部 8…カプラー付ソケット 9…第1のレンズ 10…第2のレンズ 11…第1の入射部 12…第2の入射部 13…第1の出射部 14…第2の出射部 15…第3の入射部 16…第4の入射部 17…第3の出射部 18…第4の出射部 C…集光点 K…空気層 L1…第1の光 L2…第2の光
図1
図2
図3