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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-14
(45)【発行日】2025-01-22
(54)【発明の名称】楽譜表示装置及び楽譜表示プログラム
(51)【国際特許分類】
   G10G 1/00 20060101AFI20250115BHJP
【FI】
G10G1/00
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021089969
(22)【出願日】2021-05-28
(65)【公開番号】P2022182423
(43)【公開日】2022-12-08
【審査請求日】2024-03-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000001410
【氏名又は名称】株式会社河合楽器製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100090273
【弁理士】
【氏名又は名称】國分 孝悦
(72)【発明者】
【氏名】樋口 佳奈
【審査官】中村 天真
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-194729(JP,A)
【文献】特開2016-218470(JP,A)
【文献】特開2018-101046(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10G 1/00 - 7/02
G10H 1/00 - 7/12
A63F 13/814
B42D 15/00
G09B 15/00 -15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の小節を含む楽譜の全部又は一部を表示領域に表示するように制御する表示制御手段と、
前記表示領域のうちの拡大のための位置が指定されると、前記指定された位置が含まれる1つの小節の領域を確定し、前記確定した1つの小節の領域のサイズと前記表示領域のサイズを基に、前記確定した1つの小節の領域を前記表示領域に拡大表示するための可変の拡大率を算出する拡大率算出手段とを有し、
前記表示制御手段は、前記表示領域のうちの拡大のための位置が指定されると、前記算出された拡大率で、前記確定した1つの小節の領域が前記表示領域に収まるように、前記表示領域に前記楽譜を拡大表示するように制御することを特徴とする楽譜表示装置。
【請求項2】
前記1つの小節の領域は、前記1つの小節と、前記1つの小節に所属する前記1つの小節の上及び/又は下の音楽記号とを囲む領域であることを特徴とする請求項1に記載の楽譜表示装置。
【請求項3】
前記1つの小節の領域は、前記1つの小節と、前記1つの小節に所属する歌詞とを囲む領域であることを特徴とする請求項1に記載の楽譜表示装置。
【請求項4】
前記1つの小節の領域は、前記1つの小節と、前記1つの小節に所属する前記1つの小節の上及び/又は下の音楽記号と歌詞とを囲む領域であることを特徴とする請求項1に記載の楽譜表示装置。
【請求項5】
さらに、前記拡大表示された小節の領域に音楽記号が手書き入力されると、前記手書き入力された位置を基に、前記手書き入力された音楽記号を認識し、前記認識した音楽記号を楽譜情報に追加する編集手段を有し、
前記表示制御手段は、前記手書き入力された位置を基に、前記認識された音楽記号のフォントを前記表示領域に表示するように制御することを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の楽譜表示装置。
【請求項6】
前記表示制御手段は、前記拡大率算出手段で算出された拡大率を基に、拡大表示もしくは拡大表示の解除のどちらかを実行するように制御することを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の楽譜表示装置。
【請求項7】
前記表示制御手段は、拡大表示の解除が指定されると、前記複数の小節を含む楽譜を前記表示領域に表示するように制御することを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の楽譜表示装置。
【請求項8】
前記表示領域のうちの拡大のための位置の指定は、ユーザが前記表示領域をダブルタップすることにより行われることを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の楽譜表示装置。
【請求項9】
前記表示領域のうちの拡大のための位置の指定は、ユーザが前記表示領域をダブルタップすることにより行われ、
前記拡大表示の解除の指定は、ユーザが前記表示領域をダブルタップすることにより行われることを特徴とする請求項7に記載の楽譜表示装置。
【請求項10】
コンピュータを、請求項1~9のいずれか1項に記載の楽譜表示装置として機能させるための楽譜表示プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、楽譜表示装置及び楽譜表示プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、指定手段と、元領域設定手段と、表示先領域設定手段と、表示制御手段を有する楽譜表示装置が開示されている。指定手段は、画面上に表示された楽譜画像の任意の箇所を指定する。元領域設定手段は、指定手段によって指定された箇所を基準として、楽譜データ記憶手段に記憶された楽譜データによる楽譜画像の拡大表示の対象となる範囲である元領域を設定する。表示先領域設定手段は、元領域設定手段によって設定された元領域に対応した画面上の表示先領域を設定するとともに、設定された表示先領域が楽譜画像の領域からはみ出る場合は、設定された表示先領域が楽譜画像の領域内に収まるように、表示先領域の設定を変更する。表示制御手段は、元領域内の楽譜を、表示先領域設定手段によって設定された画面上の表示先領域に拡大表示する。
【0003】
特許文献2には、表示手段と、入力手段と、制御手段を有する楽譜表示装置が開示されている。制御手段は、楽譜を表示手段に表示させるビューモードと、楽譜に対する書き込みを示す情報を入力手段を介して取得する書き込みモードとを有する。制御手段は、楽譜における書き込みの対象となる領域内の画像を書き込み対象外の画像に比べ相対的に拡大して表示手段に表示させる処理と、ビューモードから書き込みモードへ切り替える処理とを、入力手段に与えられる1の操作に応じて行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-218470号公報
【文献】特開2016-66045号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の楽譜表示装置では、楽譜画像の拡大表示の対象となる範囲である元領域と表示先領域がユーザの望む領域になり難い。また、楽譜画像の表示倍率が固定であるため、適切な表示倍率になり難い。
【0006】
本発明の目的は、複数の小節を含む楽譜全体を適切な拡大率で拡大することで、所望の小節を簡単に拡大表示させることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の楽譜表示装置は、複数の小節を含む楽譜の全部又は一部を表示領域に表示するように制御する表示制御手段と、前記表示領域のうちの拡大のための位置が指定されると、前記指定された位置が含まれる1つの小節の領域を確定し、前記確定した1つの小節の領域のサイズと前記表示領域のサイズを基に、前記確定した1つの小節の領域を前記表示領域に拡大表示するための可変の拡大率を算出する拡大率算出手段とを有し、前記表示制御手段は、前記表示領域のうちの拡大のための位置が指定されると、前記算出された拡大率で、前記確定した1つの小節の領域が前記表示領域に収まるように、前記表示領域に前記楽譜を拡大表示するように制御する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、複数の小節を含む楽譜全体を適切な拡大率で拡大することで、所望の小節を簡単に拡大表示させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、楽譜表示装置のハードウェア構成例を示すブロック図である。
図2図2は、楽譜表示装置の機能構成例を示すブロック図である。
図3図3は、楽譜の全体表示の例を示す図である。
図4図4は、1つの小節を含む領域の検出を示す図である。
図5図5は、楽譜の拡大表示の例を示す図である。
図6図6は、楽譜の全体表示の例を示す図である。
図7図7は、1つの小節を含む領域の検出を示す図である。
図8図8は、楽譜の拡大表示の例を示す図である。
図9図9は、楽譜表示装置の楽譜表示方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、本実施形態による楽譜表示装置100のハードウェア構成例を示すブロック図である。楽譜表示装置100のハードウェアは、例えば、タブレット、スマートフォン又はパーソナルコンピュータ等の汎用情報処理装置である。
【0011】
楽譜表示装置100は、CPU102、ROM103、RAM104、表示装置105、タッチパネル107、音源部108、通信インタフェース109、VRAM110、スキャン回路112、バス113、サウンドシステム114及び外部機器115を有する。表示装置105は、例えば液晶ディスプレイであり、VRAM110を介して、バス113に接続される。タッチパネル107は、表示装置105上に設けられ、スキャン回路112を介して、バス113に接続される。なお、タッチパネル107の代わりに、マウス及びキーボードを設けてもよい。
【0012】
ユーザは、タッチパネル107をタッチ操作することにより、指示を行うことができる。スキャン回路112は、タッチパネル107をタッチ操作した位置(座標)を検出し、バス113を介して、検出信号をCPU102に出力する。CPU102は、タッチパネル107のタッチ操作、タップ操作及びダブルタップ操作等を検出することができる。
【0013】
外部機器115は、例えば、外部記憶装置、外部コンピュータ、プリンタ又はMIDI機器等である。外部記憶装置は、例えば、ソリッドステートドライブ(SSD)、ハードディスクドライブ(HDD)、CD-ROM、MOディスク、DVD又はメモリカード等である。また、楽譜表示装置100は、内蔵のSSD又はHDDを有する。通信インタフェース109は、USB、LAN、インターネット若しくは電話回線等の通信ネットワーク、又はMIDI用ネットワークに接続されるインタフェースであり、外部機器115に接続される。楽譜表示装置100は、通信インタフェース109を介して、外部機器115から楽譜情報を入力し、VRAM110を介して、楽譜を表示装置105に表示することができる。
【0014】
CPU102は、SSD又はHDDに記憶されているプログラムをRAM104に展開し、RAM104に展開されたプログラムを実行することにより、楽譜表示装置100の全体を制御する。SSD又はHDDは、CPU102が実行する楽譜表示プログラムと、五線譜と音楽記号と歌詞を含む楽譜情報を記憶する。RAM104は、CPU102の処理に使用される情報を一時記憶する。
【0015】
表示装置105は、例えば、液晶ディスプレイである。表示装置105は、楽譜等を表示する。
【0016】
音源部108は、音源としてのソフトウェアや効果付与のためのDSPを含み、楽譜に対応する演奏を発音させるためのサウンド信号を生成する。音源部108は、楽譜に対応するノートナンバ、音色、ステップ、ゲートタイム及びベロシティ等の演奏情報を基に、サウンド信号をサウンドシステム114に出力する。サウンドシステム114は、D/A変換器、アンプ及びスピーカを有し、音源部108により生成されたサウンド信号を基に、楽譜に対応する演奏を発音することができる。
【0017】
図2は、楽譜表示装置100の機能構成例を示すブロック図である。楽譜表示装置100は、表示制御部201と、拡大率算出部202と、編集部203を有する。楽譜表示装置100は、CPU102がプログラムを実行することにより、表示制御部201と拡大率算出部202と編集部203の機能を実現する。
【0018】
図9は、楽譜表示装置100の楽譜表示方法を示すフローチャートである。図3図5は、楽譜表示装置100が表示する楽譜の例を示す図である。表示領域300は、表示装置105の表示領域である。図3に示すように、表示制御部201は、SSD又はHDD等から楽譜情報を入力し、楽譜情報を基に、複数の小節を含む楽譜(五線譜)の全部又は一部を表示領域300に表示するように制御する。
【0019】
拡大率算出部202は、図4に示すように、楽譜情報を基に、各小節について、1つの小節と、その1つの小節の上及び/又は下の音楽記号402と歌詞403を検出する。さらに、拡大率算出部202は、各小節について、上記の検出した1つの小節と上記の検出した1つの小節に所属する音楽記号402と歌詞403とを囲む領域401を検出する。
【0020】
ステップS901では、図3に示すように、ユーザが、指301で、表示領域300内の領域302をダブルタップすることにより、表示領域300のうちの拡大のための位置が指定される。
【0021】
ステップS902では、拡大率算出部202は、領域302が、楽譜内の各小節の領域401のうちのどの小節の領域401に含まれるのかを判別する。
【0022】
ステップS903では、拡大率算出部202は、領域302が、複数の小節の領域401が重複している領域に位置する場合には、ステップS904に進み、領域302が、複数の小節の領域401が重複している領域に位置していない場合には、ステップS907に進む。
【0023】
ステップS907では、拡大率算出部202は、領域302が含まれる1つの小節の領域401を、領域302に最も近い小節の領域401として確定し、ステップS908に進む。
【0024】
ステップS904では、拡大率算出部202は、領域302に最も近い音楽記号402もしくは歌詞403は何かを判別し、ステップS905に進む。
【0025】
ステップS905では、拡大率算出部202は、領域302に最も近い音楽記号402もしくは歌詞403は、重複した複数の小節の領域401のうち、どの小節の領域401に所属するかを判別し、ステップS906に進む。
【0026】
ステップS906では、拡大率算出部202は、領域302に最も近い音楽記号402もしくは歌詞403が所属する1つの小節の領域401を、領域302に最も近い小節の領域401として確定し、ステップS908に進む。
【0027】
ステップS908では、拡大率算出部202は、ステップS906又はS907で確定された1つの小節の領域401のサイズと表示領域300のサイズを基に、上記の確定された1つの小節の領域401を表示領域300に拡大表示するための可変の拡大率を算出する。
【0028】
表示制御部201は、領域302のダブルタップの位置が指定されると、図5に示すように、拡大率算出部202により算出された拡大率で、上記の確定された1つの小節の領域401が表示領域300に収まるように、表示領域300に図3の楽譜を拡大表示するように制御する。
【0029】
ここで、1つの小節の領域401は、上記の1つの小節と、上記の1つの小節に所属する上記の1つの小節の上及び/又は下の音楽記号402と歌詞403とを囲む領域である。なお、1つの小節の領域401は、小節と音楽記号402と歌詞403の他、さらに、テキストなどの小節に所属するオブジェクトを含む領域でもよい。
【0030】
上記では、図3のように、楽譜の幅が表示領域300の幅いっぱいになるように表示された状態で、ダブルタップされると、表示制御部201は、図5の拡大表示を行う例を説明したが、これに限定されない。表示制御部201は、図5の拡大率に応じた拡大表示の表示倍率よりも小さい表示倍率で表示されている状態で、ダブルタップされると、図5の拡大表示を行うことができる。また、表示制御部201は、ユーザ操作等により、楽譜が図5の倍率より大きく表示されている状態(例えば表示領域300に四分音符が1つだけ表示されている状態)で、ダブルタップされた場合、図5の拡大表示を行うことができる。
【0031】
なお、楽譜表示装置100は、歌詞403がない楽譜にも適用可能である。その場合、1つの小節の領域401は、上記の1つの小節と、上記の1つの小節に所属する上記の1つの小節の上及び/又は下の音楽記号402とを囲む領域である。
【0032】
また、楽譜表示装置100は、小節の上又は下の音楽記号402がない楽譜にも適用可能である。その場合、1つの小節の領域401は、上記の1つの小節と、上記の1つの小節に所属する歌詞403とを囲む領域である。
【0033】
また、楽譜表示装置100は、小節の上又は下の音楽記号402と歌詞403がない楽譜にも適用可能である。その場合、1つの小節の領域401は、上記の1つの小節を囲む領域である。
【0034】
ユーザは、タッチパネル107のタッチ操作により、図5の拡大表示された小節の領域401に音楽記号を手書き入力することができる。編集部203は、図5の拡大表示された小節の領域401に音楽記号が手書き入力されると、上記の手書き入力された位置を基に、上記の手書き入力された音楽記号を認識し、上記の認識した音楽記号を楽譜情報に追加する。表示制御部201は、上記の手書き入力された位置を基に、上記の認識された音楽記号のフォントを表示領域300に表示するように制御する。
【0035】
ユーザが、表示領域300をダブルタップしたときに拡大表示が実行されない場合は、拡大表示の解除が指定される。表示制御部201は、ダブルタップにより拡大表示の解除が指定されると、図3のように、楽譜の幅が表示領域300の幅いっぱいになるように複数の小節を含む楽譜を表示領域300に表示するように制御する。表示制御部201は、拡大率算出部202で算出された拡大率を基に、拡大表示もしくは拡大表示の解除のどちらかを実行するように制御する。
【0036】
図6図8は、楽譜表示装置100が表示する楽譜の他の例を示す図である。表示領域300は、表示装置105の表示領域である。図6に示すように、表示制御部201は、SSD又はHDD等から楽譜情報を入力し、楽譜情報を基に、複数の小節を含む楽譜(五線譜)の全部又は一部を表示領域300に表示するように制御する。
【0037】
拡大率算出部202は、図7に示すように、楽譜情報を基に、各小節について、1つの小節と、その1つの小節の上及び/又は下の音楽記号702と歌詞703を検出する。さらに、拡大率算出部202は、各小節について、上記の検出した1つの小節と上記の検出した1つの小節に所属する音楽記号702と歌詞703とを囲む領域701を検出する。
【0038】
図9のステップS901では、図6に示すように、ユーザが、指601で、表示領域300内の領域602をダブルタップすることにより、表示領域300のうちの拡大のための位置が指定される。
【0039】
ステップS902では、拡大率算出部202は、領域602が、楽譜内の各小節の領域701のうちのどの小節の領域701に含まれるのかを判別する。
【0040】
ステップS903では、拡大率算出部202は、領域602が、複数の小節の領域701が重複している領域に位置する場合には、ステップS904に進み、領域602が、複数の小節の領域701が重複している領域に位置していない場合には、ステップS907に進む。
【0041】
ステップS907では、拡大率算出部202は、領域602が含まれる1つの小節の領域701を、領域602に最も近い小節の領域701として確定し、ステップS908に進む。
【0042】
ステップS904では、拡大率算出部202は、領域602に最も近い音楽記号702もしくは歌詞703は何かを判別し、ステップS905に進む。
【0043】
ステップS905では、拡大率算出部202は、領域602に最も近い音楽記号702もしくは歌詞703は、重複した複数の小節の領域701のうち、どの小節の領域701に所属するかを判別し、ステップS906に進む。
【0044】
ステップS906では、拡大率算出部202は、領域602に最も近い音楽記号702もしくは歌詞703が所属する1つの小節の領域701を、領域602に最も近い小節の領域701として確定し、ステップS908に進む。
【0045】
ステップS908では、拡大率算出部202は、ステップS906又はS907で確定された1つの小節の領域701のサイズと表示領域300のサイズを基に、上記の確定された1つの小節の領域701を表示領域300に拡大表示するための可変の拡大率を算出する。
【0046】
表示制御部201は、領域602のダブルタップの位置が指定されると、図8に示すように、拡大率算出部202により算出された拡大率で、上記の確定された1つの小節の領域701が表示領域300に収まるように、表示領域300に図6の楽譜を拡大表示するように制御する。
【0047】
ここで、1つの小節の領域701は、上記の1つの小節と、上記の1つの小節に所属する上記の1つの小節の上及び/又は下の音楽記号702と歌詞703とを囲む領域である。なお、1つの小節の領域701は、小節と音楽記号702と歌詞703の他、さらに、テキストなどの小節に所属するオブジェクトを含む領域でもよい。
【0048】
上記では、図6のように、楽譜の幅が表示領域300の幅いっぱいになるように表示された状態で、ダブルタップされると、表示制御部201は、図8の拡大表示を行う例を説明したが、これに限定されない。表示制御部201は、図8の拡大率に応じた拡大表示の表示倍率よりも小さい表示倍率で表示されている状態で、ダブルタップされると、図8の拡大表示を行うことができる。また、表示制御部201は、ユーザ操作等により、楽譜が図8の倍率より大きく表示されている状態(例えば表示領域300に四分音符が1つだけ表示されている状態)で、ダブルタップされた場合、図8の拡大表示を行うことができる。
【0049】
なお、楽譜表示装置100は、歌詞703がない楽譜にも適用可能である。その場合、1つの小節の領域701は、上記の1つの小節と、上記の1つの小節に所属する上記の1つの小節の上及び/又は下の音楽記号702とを囲む領域である。
【0050】
また、楽譜表示装置100は、小節の上又は下の音楽記号702がない楽譜にも適用可能である。その場合、1つの小節の領域701は、上記の1つの小節と、上記の1つの小節に所属する歌詞703とを囲む領域である。
【0051】
また、楽譜表示装置100は、小節の上又は下の音楽記号702と歌詞703がない楽譜にも適用可能である。その場合、1つの小節の領域701は、上記の1つの小節を囲む領域である。
【0052】
ユーザは、タッチパネル107のタッチ操作により、図8の拡大表示された小節の領域701に音楽記号を手書き入力することができる。編集部203は、図8の拡大表示された小節の領域701に音楽記号が手書き入力されると、上記の手書き入力された位置を基に、上記の手書き入力された音楽記号を認識し、上記の認識した音楽記号を楽譜情報に追加する。表示制御部201は、上記の手書き入力された位置を基に、上記の認識された音楽記号のフォントを表示領域300に表示するように制御する。
【0053】
ユーザが、表示領域300をダブルタップしたときに拡大表示が実行されない場合は、拡大表示の解除が指定される。表示制御部201は、ダブルタップにより拡大表示の解除が指定されると、図6のように、楽譜の幅が表示領域300の幅いっぱいになるように複数の小節を含む楽譜を表示領域300に表示するように制御する。表示制御部201は、拡大率算出部202で算出された拡大率を基に、拡大表示もしくは拡大表示の解除のどちらかを実行するように制御する。
【0054】
次に、本実施形態の効果を説明する。図3及び図6では、表示領域300は、楽譜の全体を表示する。楽譜の全体は、比較的小さく表示されるため、ユーザは、楽譜上に音楽記号を入力し難い。また、楽譜が小さく表示されている場合、ユーザが音楽記号を手書き入力すると、手書き入力する音楽記号も小さくなってしまう。その場合、編集部203は、手書き入力された音楽記号を誤認識する確率が高くなってしまい、適正な音楽記号を入力できる確率が低くなってしまう。
【0055】
本実施形態では、ユーザが図3の領域302をダブルタップすると、図5に示すように、表示制御部201は、拡大率算出部202により算出された拡大率で、検出した1つの小節と検出した1つの小節に所属する音楽記号402と歌詞403を表示領域300に拡大表示するように制御する。表示領域300は、1つの小節の領域401が表示領域300に収まるように、図3の楽譜を拡大表示する。所望の小節が比較的大きく表示されるため、ユーザは、楽譜上に音楽記号を入力し易い。また、1つの小節が大きく表示されているので、ユーザが音楽記号を手書き入力すると、手書き入力する音楽記号も大きくなる。その場合、編集部203は、手書き入力された音楽記号を誤認識する確率が低くなり、適正な音楽記号を入力できる確率が向上する。
【0056】
ステップS908では、拡大率算出部202は、ステップS906又はS907で確定された1つの小節の領域401のサイズと表示領域300のサイズを基に、上記の確定された1つの小節の領域401を表示領域300に拡大表示するための可変の拡大率を算出する。
【0057】
仮に、拡大率が可変ではなく固定である場合、表示制御部201は、固定の拡大率で、1つの小節を拡大表示する。しかし、図3の表示領域300が表示する楽譜の全体は、楽譜に応じて、大きさが不定である。したがって、表示制御部201が固定の拡大率で1つの小節を拡大表示すると、1つの小節の一部のみが表示されたり、1つの小節の表示サイズが小さくなり過ぎることがある。この場合、ユーザが手動で拡大率を変更することは煩雑である。これでは、ユーザが音楽記号を入力し易いとは言えない。
【0058】
本実施形態では、拡大率算出部202は、領域401が表示領域300に収まるように、領域401を拡大表示するための可変の拡大率を算出する。領域401が表示領域300一杯に拡大表示されるので、1つの小節を含む領域401が適切なサイズに拡大表示される。これにより、ユーザは、音楽記号を入力し易くなる。
【0059】
また、表示制御部201は、ユーザがダブルタップした位置を中心にした領域を拡大表示する方法が考えられる。しかし、ユーザが1つの小節の中心の位置を正確にダブルタップすることは困難である。表示制御部201は、ダブルタップした位置を中心にした領域を拡大表示するので、必ずしも、1つの小節を含む領域を拡大表示できるとは限らない。これでは、ユーザが音楽記号を入力し易いとは言えない。
【0060】
本実施形態によれば、拡大率算出部202は、楽譜情報を基に、指定された領域302の位置に最も近い1つの小節を検出し、表示制御部201は、その1つの小節を含む領域401を拡大表示する。これにより、ユーザは、音楽記号を入力し易くなる。
【0061】
また、ピンチアウト操作により楽譜を拡大する方法が考えられる。しかし、ユーザが、1回のピンチアウト操作で、領域401を所望の拡大率で表示領域300に拡大表示することは困難である。一般的に、領域401が所望の拡大率で表示領域300に拡大表示されるまで、ユーザは、ピンチアウト操作とピンチイン操作を複数回繰り返す必要がある。
【0062】
本実施形態では、ユーザがダブルタップ操作を行うだけで、表示制御部201は、所望の拡大率で領域401を表示領域300に拡大表示することができる。ユーザは、簡単な操作で、領域401を所望の拡大率で拡大表示することができる。
【0063】
また、上記の特許文献1では、表示先領域は、元領域のうちの一部の領域に、拡大表示される。そのため、表示先領域は、画面全体には表示されず、画面の一部に小さく表示される。表示先領域は、表示領域が限られているため、ユーザが音楽記号を入力するために十分な大きさとは言えない。
【0064】
本実施形態では、表示制御部201は、領域401が表示領域300の全体に収まる範囲で、最大の拡大率で、領域401を表示領域300に拡大表示することができる。表示制御部201は、領域401を最大限に拡大表示することができるので、ユーザは、音楽記号を入力し易くなる。
【0065】
以上のように、表示制御部201は、領域401を最適な拡大率で拡大表示することができるので、ユーザは、音符を入力し易くなる。さらに、ユーザは、音符を入力したい位置の周辺の音楽記号を把握しながら、音符を入力することができる。また、拡大率算出部202が拡大率を自動で算出するため、ユーザが都度拡大率を変更する必要がない。また、表示制御部201は、一度のダブルタップ操作により、最適な拡大率で領域401を拡大表示することができる。
【0066】
本実施形態は、コンピュータがプログラムを実行することによって実現することができる。また、上記のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体及び上記のプログラム等のコンピュータプログラムプロダクトも本実施形態として適用することができる。記録媒体としては、例えばフレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等を用いることができる。
【0067】
なお、上記実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0068】
100 楽譜表示装置
201 表示制御部
202 拡大率算出部
203 編集部
図1
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図7
図8
図9