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  • 特許-防振ブッシュ 図1
  • 特許-防振ブッシュ 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-14
(45)【発行日】2025-01-22
(54)【発明の名称】防振ブッシュ
(51)【国際特許分類】
   F16F 15/08 20060101AFI20250115BHJP
   F16F 1/38 20060101ALI20250115BHJP
【FI】
F16F15/08 K
F16F1/38 U
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021129071
(22)【出願日】2021-08-05
(65)【公開番号】P2023023490
(43)【公開日】2023-02-16
【審査請求日】2024-06-05
(73)【特許権者】
【識別番号】522297236
【氏名又は名称】株式会社プロスパイラ
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】弁理士法人武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大津 一高
【審査官】久米 伸一
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-129460(JP,A)
【文献】特開2018-071568(JP,A)
【文献】特開2019-064308(JP,A)
【文献】特開2010-054017(JP,A)
【文献】実開昭60-107440(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2015/0322998(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第104417575(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第106627643(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第108266473(CN,A)
【文献】欧州特許出願公開第2189678(EP,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16F 15/08
F16F 1/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動発生部および振動受部のうちのいずれか一方に連結される内筒、および他方に連結されるとともに、前記内筒を径方向の外側から囲繞する外筒と、
前記外筒内に摺動可能に嵌合された摺動筒と、を備え、
前記内筒の外周面において、前記摺動筒により径方向の外側から囲まれた部分に、径方向の外側に向けて膨出した膨出部が形成され、
前記膨出部の外周面と前記摺動筒の内周面とを連結した第1弾性体と、
前記内筒の外周面において、前記内筒の中心軸線に沿う軸方向に前記膨出部を挟む両側に位置する各部分と、前記外筒の内周面と、を各別に周方向の全長にわたって連結した一対の第2弾性体と、
前記外筒の内周面から径方向の内側に向けて突出した外側係止部材と、
前記外側係止部材よりも前記軸方向に沿う前記膨出部側である内側に設けられ、前記内筒の外周面から径方向の外側に向けて突出した内側係止部材と、を備え、
前記第2弾性体は、径方向の内側から外側に向かうに従い前記軸方向に前記膨出部から離れる外側に向けて延び、かつ前記内側係止部材と前記外側係止部材とを前記軸方向に連結するとともに、前記摺動筒および前記膨出部から前記軸方向の外側に離れている、防振ブッシュ。
【請求項2】
前記第2弾性体は、前記内側係止部材および前記外側係止部材から前記軸方向に圧縮力が加えられた状態で設けられている、請求項1に記載の防振ブッシュ。
【請求項3】
前記外側係止部材および前記内側係止部材は、径方向の内側から外側に向かうに従い前記軸方向の内側に向けて延びている、請求項1または2に記載の防振ブッシュ。
【請求項4】
前記摺動筒の外周面、および前記外筒の内周面のうちの少なくとも一方に、潤滑剤が収容される収容凹部が形成されている、請求項1から3のいずれか1項に記載の防振ブッシュ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防振ブッシュに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、振動発生部および振動受部のうちのいずれか一方に連結される内筒、および他方に連結されるとともに、内筒を径方向の外側から囲繞する外筒と、外筒内に摺動可能に嵌合された摺動筒と、を備え、内筒の外周面に、径方向の外側に向けて膨出した球面状の膨出部が形成され、摺動筒の内周面に、膨出部が摺動可能に嵌合された凹球面状の窪み部が形成され、内筒の外周面において、内筒の中心軸線に沿う軸方向に膨出部を挟む両側に位置する各部分と、外筒の内周面と、を各別に周方向の全長にわたって連結した一対の弾性体と、を備えた防振ブッシュが知られている。
この防振ブッシュでは、内筒および外筒が、それぞれの中心軸線を互いに交差させるように相対変位する、こじり方向の振動が入力されると、弾性体が弾性変形しつつ、膨出部の外周面が窪み部の内周面を摺動し、また、軸方向の振動が入力されると、内筒および外筒の相対変位に伴い、弾性体が弾性変形しつつ、摺動筒が外筒の内周面を摺動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平6-129460号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の防振ブッシュでは、こじり方向の入力振動に対して低ばね化を図ることが困難であるという問題があった。
【0005】
この発明は、このような事情を考慮してなされたもので、こじり方向の入力振動に対して低ばね化を図ることができる防振ブッシュを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決して、このような目的を達成するために、本発明の防振ブッシュは、振動発生部および振動受部のうちのいずれか一方に連結される内筒、および他方に連結されるとともに、前記内筒を径方向の外側から囲繞する外筒と、前記外筒内に摺動可能に嵌合された摺動筒と、を備え、前記内筒の外周面において、前記摺動筒により径方向の外側から囲まれた部分に、径方向の外側に向けて膨出した膨出部が形成され、前記膨出部の外周面と前記摺動筒の内周面とを連結した第1弾性体と、前記内筒の外周面において、前記内筒の中心軸線に沿う軸方向に前記膨出部を挟む両側に位置する各部分と、前記外筒の内周面と、を各別に周方向の全長にわたって連結した一対の第2弾性体と、前記外筒の内周面から径方向の内側に向けて突出した外側係止部材と、前記外側係止部材よりも前記軸方向に沿う前記膨出部側である内側に設けられ、前記内筒の外周面から径方向の外側に向けて突出した内側係止部材と、を備え、前記第2弾性体は、径方向の内側から外側に向かうに従い前記軸方向に前記膨出部から離れる外側に向けて延び、かつ前記内側係止部材と前記外側係止部材とを前記軸方向に連結するとともに、前記摺動筒および前記膨出部から前記軸方向の外側に離れている。
【0007】
この発明によれば、内筒の外周面と外筒の内周面とが、第1弾性体および第2弾性体に連結されているので、内筒および外筒が、それぞれの中心軸線を互いに交差させるように相対変位する、こじり方向の振動が入力されると、第1弾性体および第2弾性体が弾性変形する。この際、膨出部を前記軸方向に挟む一対の第2弾性体が、径方向の内側から外側に向かうに従い前記軸方向の外側に向けて延び、かつ内側係止部材と外側係止部材とを前記軸方向に連結しているので、こじり方向の荷重に対して、第2弾性体をせん断変形させることが可能になり、こじり方向の入力振動に対して低ばね化を図ることができる。
膨出部の外周面と摺動筒の内周面とを連結した第1弾性体が設けられていることから、径方向の振動が入力されると、第1弾性体および第2弾性体が弾性変形することで、外筒および内筒が、径方向に相対的に弾性変位することとなり、径方向の入力振動に対するばねを容易に調整することができる。
第2弾性体が、摺動筒および膨出部から軸方向の外側に離れているので、軸方向の振動、および中心軸線回りの振動がそれぞれ入力されると、内筒および外筒の相対変位に伴い円滑に、第2弾性体が弾性変形しつつ、摺動筒が外筒の内周面を摺動する。
【0008】
前記第2弾性体は、前記内側係止部材および前記外側係止部材から前記軸方向に圧縮力が加えられた状態で設けられてもよい。
【0009】
第2弾性体が、前記軸方向に圧縮力が加えられた状態で設けられているので、外筒と、内筒および摺動筒と、の前記軸方向の相対位置が、荷重入力の前後でずれるのを防ぐことができるとともに、第2弾性体の耐久性を確保することができる。
【0010】
前記外側係止部材および前記内側係止部材は、径方向の内側から外側に向かうに従い前記軸方向の内側に向けて延びてもよい。
【0011】
外側係止部材および内側係止部材が、径方向の内側から外側に向かうに従い前記軸方向の内側に向けて延びているので、こじり方向の荷重に対して、第2弾性体を確実にせん断変形させることができる。
【0012】
前記摺動筒の外周面、および前記外筒の内周面のうちの少なくとも一方に、潤滑剤が収容される収容凹部が形成されてもよい。
【0013】
摺動筒の外周面、および外筒の内周面のうちの少なくとも一方に、潤滑剤が収容される収容凹部が形成されているので、摺動筒の外周面と外筒の内周面との間に、潤滑剤を保持することが可能になり、摺動筒の円滑な摺動を長期にわたって維持することができる。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、こじり方向の入力振動に対して低ばね化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】一実施形態として示した防振ブッシュの縦断面図である。
図2図1のII-II線矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、防振ブッシュの一実施形態を、図1および図2を参照しながら説明する。
防振ブッシュ1は、振動発生部および振動受部のうちのいずれか一方に連結される内筒11、および他方に連結される外筒12と、摺動筒13と、第1弾性体14と、第2弾性体15と、外側係止部材18と、内側係止部材19と、を備えている。
【0017】
防振ブッシュ1は、例えば自動車用のサスペンションブッシュやエンジンマウント、あるいは工場に設置される産業機械のマウント等として用いられる。
防振ブッシュ1を、例えば自動車用のサスペンションブッシュとして用いる場合、内筒11を、サスペンションメンバーのブラケット(図示せず)等により、軸方向の両側から挟み込んだ状態で、内筒11内に挿入したボルト等の締結部材(図示せず)を用いて、内筒11をブラケットに固定し、外筒12を、例えばリンク部材の取付けホルダ(図示せず)等の内側に圧入することで、外筒12をホルダに固定する。
【0018】
以下、内筒11の中心軸線Oに沿う方向を軸方向という。また、防振ブッシュ1を軸方向から見た平面視において、中心軸線Oに交差する方向を径方向といい、中心軸線O回りに周回する方向を周方向という。
【0019】
内筒11、外筒12、摺動筒13、および第1弾性体14それぞれの軸方向の中央部は互いに一致している。防振ブッシュ1は、軸方向、および径方向のうちの一方向に沿う縦断面視で、軸方向の中央部を通る直線Lに対して対称形状を呈する。
以下、軸方向に沿って直線Lに近付く側を軸方向の内側といい、軸方向に沿って直線Lから離れる側を軸方向の外側という。
【0020】
外筒12は、例えば金属材料等で形成されている。外筒12は、内筒11を径方向の外側から囲繞している。外筒12は、中心軸線Oと同軸に配設されている。外筒12の内周面における軸方向の両端部に、軸方向の外側を向く段部12aが形成されている。外筒12において、段部12aより軸方向の外側に位置する端縁には、径方向の内側に向けて折り曲げられた加締め部12bが形成されている。段部12aおよび加締め部12bは、周方向の全長にわたって連続して延びている。段部12aおよび加締め部12bは、軸方向で互いに対向している。
【0021】
摺動筒13は、外筒12内に摺動可能に嵌合されている。摺動筒13は、例えばポリアセタール等の低摩擦材料で形成されている。摺動筒13は、中心軸線Oと同軸に配設されている。摺動筒13は、外筒12内における軸方向の中央部に設けられている。摺動筒13の内周面における軸方向の両端部に、径方向の内側に向けて突出し、周方向の全長にわたって連続して延びる条状の規制部13aが各別に形成されている。
【0022】
摺動筒13の外周面、および外筒12の内周面のうちの少なくとも一方に、例えばグリース等の潤滑剤が収容される収容凹部16が形成されている。図示の例では、収容凹部16は、摺動筒13の外周面に形成されている。収容凹部16は、条状に形成された複数の溝により構成され、摺動筒13の外周面における軸方向および周方向それぞれにおける全長にわたって形成され、径方向の外側から見て格子状を呈する。
なお、摺動筒13の外周面、および外筒12の内周面に、収容凹部16を設けなくてもよい。
【0023】
内筒11の軸方向の両端部は、外筒12の軸方向の両端部より軸方向の外側に位置している。
内筒11の外周面において、摺動筒13により径方向の外側から囲まれた部分に、径方向の外側に向けて膨出した膨出部17が形成されている。膨出部17は、内筒11の外周面における軸方向の中央部に形成されている。膨出部17は、軸方向、および径方向のうちの一方向に沿う縦断面視で台形状を呈する。
なお、膨出部17は、例えば球面状等に形成されてもよい。また、膨出部17は、内筒11の外周面において、軸方向の中央部から軸方向に離れた部分に形成されてもよい。
【0024】
内筒11の外周面において、膨出部17を軸方向に挟む両側に位置する各部分に、軸方向の外側を向く段部11aが形成されている。段部11aは、外筒12の段部12aより軸方向の内側に位置している。段部11aおよび膨出部17は、周方向の全長にわたって連続して延びている。
【0025】
第1弾性体14は、膨出部17の外周面と摺動筒13の内周面とを連結している。第1弾性体14は、摺動筒13を介して内筒11と外筒12とを連結している。第1弾性体14は、ゴム材料等により筒状に形成されている。第1弾性体14は、中心軸線Oと同軸に配設されている。第1弾性体14の内周面は、膨出部17の外周面に接着されている。第1弾性体14の外周面は、摺動筒13の内周面に圧接している。第1弾性体14は、径方向に圧縮変形している。第1弾性体14は、摺動筒13の内周面における軸方向の両端部に各別に形成された規制部13aにより軸方向に挟まれている。
【0026】
第1弾性体14の外周面に、径方向の外側に向けて突出し、周方向の全長にわたって連続して延びるリブ14aが、軸方向に間隔をあけて複数形成されている。リブ14aは、第1弾性体14が摺動筒13内に嵌合された状態で径方向に潰されている。
なお、第1弾性体14の外周面に、リブ14aを形成しなくてもよい。
【0027】
第2弾性体15は、内筒11の外周面において、軸方向に膨出部17を挟む両側に位置する各部分と、外筒12の内周面と、を各別に周方向の全長にわたって連結している。一対の第2弾性体15は、ゴム材料等により筒状に形成され、周方向の全長にわたって連続して延びている。第2弾性体15は、中心軸線Oと同軸に配設されている。第2弾性体15は、摺動筒13、膨出部17、および第1弾性体14から軸方向の外側に離れている。なお、第2弾性体15は、第1弾性体14と軸方向に当接してもよい。
【0028】
ここで、外側係止部材18は、外筒12の内周面から径方向の内側に向けて突出している。内側係止部材19は、外側係止部材18よりも軸方向の内側に設けられ、内筒11の外周面から径方向の外側に向けて突出している。
第2弾性体15は、径方向の内側から外側に向かうに従い軸方向の外側に向けて延び、かつ内側係止部材19と外側係止部材18とを軸方向に連結している。第2弾性体15は、内側係止部材19および外側係止部材18から軸方向に圧縮力が加えられた状態で設けられている。
【0029】
図示の例では、外側係止部材18および内側係止部材19は、軸方向で互いに対向している。外側係止部材18および内側係止部材19は、環状に形成され、中心軸線Oと同軸に配設されている。外側係止部材18および内側係止部材19は、表裏面が軸方向を向く板状に形成されている。外側係止部材18および内側係止部材19は、径方向の内側から外側に向かうに従い軸方向の内側に向けて延びている。
【0030】
なお、外側係止部材18および内側係止部材19は、径方向に真直ぐ延びてもよい。外側係止部材18は、外筒12と一体に形成されてもよく、内側係止部材19は、内筒11と一体に形成されてもよい。外側係止部材18および内側係止部材19は、互いが径方向に離れ、軸方向で互いに対向しなくてもよい。
【0031】
外側係止部材18における径方向の内端部は、内筒11の外周面から径方向の外側に離れている。外側係止部材18における径方向の外端部は、径方向に真直ぐ延びている。外側係止部材18における径方向の外端部のうち、軸方向の外側を向く外面に、外筒12の加締め部12bが軸方向に当接している。外側係止部材18における径方向の外端部のうち、軸方向の内側を向く内面に、弾性変形可能な第1シール部21が設けられている。第1シール部21は、ゴム材料等により形成され、第2弾性体15と一体に形成されている。第1シール部21は、周方向の全長にわたって連続して延びている。第1シール部21は、外筒12の内周面に形成された段部12aに軸方向に圧接している。外側係止部材18における径方向の外端部は、外筒12の段部12aと加締め部12bとにより軸方向に挟まれて固定されている。
【0032】
内側係止部材19における径方向の外端部は、外筒12の内周面から径方向の内側に、摺動筒13、膨出部17、および第1弾性体14から軸方向の外側に、それぞれ離れている。内側係止部材19における径方向の内端部は、径方向に真直ぐ延びている。内側係止部材19における径方向の内端部のうち、軸方向の内側を向く内面に、弾性変形可能な第2シール部22が設けられている。第2シール部22は、ゴム材料等により形成され、第2弾性体15と一体に形成されている。第2シール部22は、周方向の全長にわたって連続して延びている。第2シール部22は、内筒11の外周面に形成された段部11aに軸方向に圧接している。内側係止部材19における径方向の内端部には、軸方向の外側に向けて延び、内筒11における軸方向の端部が嵌合され、内側係止部材19を内筒11に固定する嵌合筒19aが形成されている。
【0033】
以上説明したように、本実施形態による防振ブッシュ1によれば、内筒11の外周面と外筒12の内周面とが、第1弾性体14および第2弾性体15に連結されているので、内筒11および外筒12が、それぞれの中心軸線を互いに交差させるように相対変位する、こじり方向の振動が入力されると、第1弾性体14および第2弾性体15が弾性変形する。この際、膨出部17を軸方向に挟む一対の第2弾性体15が、径方向の内側から外側に向かうに従い軸方向の外側に向けて延び、かつ内側係止部材19と外側係止部材18とを軸方向に連結しているので、こじり方向の荷重に対して、第2弾性体15をせん断変形させることが可能になり、こじり方向の入力振動に対して低ばね化を図ることができる。
【0034】
膨出部17の外周面と摺動筒13の内周面とを連結した第1弾性体14が設けられていることから、径方向の振動が入力されると、第1弾性体14および第2弾性体15が弾性変形することで、外筒12および内筒11が、径方向に相対的に弾性変位することとなり、径方向の入力振動に対するばねを容易に調整することができる。
第2弾性体15が、摺動筒13および膨出部17から軸方向の外側に離れているので、軸方向の振動、および中心軸線O回りの振動がそれぞれ入力されると、内筒11および外筒12の相対変位に伴い円滑に、第2弾性体15が弾性変形しつつ、摺動筒13が外筒12の内周面を摺動する。
【0035】
第2弾性体15が、内側係止部材19および外側係止部材18から軸方向に圧縮力が加えられた状態で設けられているので、外筒12と、内筒11および摺動筒13と、の軸方向の相対位置が、荷重入力の前後でずれるのを防ぐことができるとともに、第2弾性体15の耐久性を確保することができる。
【0036】
外側係止部材18および内側係止部材19が、径方向の内側から外側に向かうに従い軸方向の内側に向けて延びているので、こじり方向の荷重に対して、第2弾性体15を確実にせん断変形させることができる。
【0037】
摺動筒13の外周面、および外筒12の内周面のうちの少なくとも一方に、潤滑剤が収容される収容凹部16が形成されているので、摺動筒13の外周面と外筒12の内周面との間に、潤滑剤を保持することが可能になり、摺動筒13の円滑な摺動を長期にわたって維持することができる。
【0038】
なお、本発明の技術範囲は、前述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0039】
例えば、外側係止部材18に第1シール部21を、内側係止部材19に第2シール部22を、それぞれ設けなくてもよい。
内側係止部材19に嵌合筒19aを形成しなくてもよい。
第1弾性体14の外周面において、例えば、振動の伝達を低減したい方向を向く部分に、窪み部を設けてもよい。
【0040】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した実施形態および変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0041】
1 防振ブッシュ
11 内筒
12 外筒
13 摺動筒
14 第1弾性体
15 第2弾性体
16 収容凹部
17 膨出部
18 外側係止部材
19 内側係止部材
O 中心軸線
図1
図2