(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-14
(45)【発行日】2025-01-22
(54)【発明の名称】レシオメトリックマルチセンシングコンバータ
(51)【国際特許分類】
G01R 27/26 20060101AFI20250115BHJP
【FI】
G01R27/26 C
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021140338
(22)【出願日】2021-08-30
【審査請求日】2021-09-30
【審判番号】
【審判請求日】2023-10-17
(32)【優先日】2020-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-08-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507364997
【氏名又は名称】サイプレス セミコンダクター コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】Cypress Semiconductor Corporation
【住所又は居所原語表記】198 Champion Court, San Jose, CA 95134, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】アンドリー マハリタ
【合議体】
【審判長】里村 利光
【審判官】神谷 健一
【審判官】関根 洋之
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0260076(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0083650(US,A1)
【文献】特開2011-191183号公報(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0247171(US,A1)
【文献】米国特許第6970126号明細書(US,B1)
【文献】特開2008-157920号公報(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 27/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電容量-デジタルコンバータであって、前記静電容量-デジタルコンバータは、
基準セルに結合する第1の端子と、センサセルに結合する第2の端子と、対応するフェーズがイネーブル化されると、前記基準セルおよび/または前記センサセルを変調器フロントエンド回路に結合するために閉成される複数のスイッチと、を含んでいるブリッジ回路と、
前記変調器フロントエンド回路と、
を含んでおり、
前記変調器フロントエンド回路は、前記ブリッジ回路に結合されているコンパレータと、前記コンパレータの第1の入力側に結合されている第1の変調コンデンサと、前記コンパレータの第2の入力側に結合されている第2の変調コンデンサと、を含んでおり、
前記変調器フロントエンド回路は、デジタルビットストリームを提供し、
前記デジタルビットストリームのデューティサイクルは、前記センサセルの静電容量と前記基準セルの基準静電容量との間の比率を表しており、
前記センサセルは、センサ電極を含んでおり、
前記変調器フロントエンド回路は、さらに、第1のフェーズ、第2のフェーズ、第3のフェーズおよび第4のフェーズを生成するシーケンサを含んでおり、前記静電容量-デジタルコンバータは、
前記第1のフェーズにおいて、前記センサ電極を第1の電圧レベルに充電するために供給電圧を印加し、
前記第2のフェーズにおいて、前記第1の変調コンデンサを充電するために、前記センサ電極を前記第1の変調コンデンサに結合し、
前記第3のフェーズにおいて、前記センサ電極を接地するために、前記センサ電極を接地電位に結合し、
前記第4のフェーズにおいて、前記第2の変調コンデンサを放電するために、前記センサ電極を前記第2の変調コンデンサに結合する、
ように構成されて
おり、
前記基準セルは、基準電極を含んでおり、前記静電容量-デジタルコンバータは、さらに、
前記第1のフェーズにおいて、前記基準電極を前記第1の電圧レベルに充電するために前記供給電圧を印加し、
前記第2のフェーズにおいて、前記第2の変調コンデンサを充電するために、前記基準電極を前記第2の変調コンデンサに結合し、
前記第3のフェーズにおいて、前記基準電極を接地するために、前記基準電極を前記接地電位に結合し、
前記第4のフェーズにおいて、前記第1の変調コンデンサを放電するために、前記基準電極を前記第1の変調コンデンサに結合する、
静電容量-デジタルコンバータ。
【請求項2】
前記基準セルは、基準電極を含んでおり、前記基準静電容量は、自己静電容量である、
請求項1記載の静電容量-デジタルコンバータ。
【請求項3】
前記基準セルは、第1の電極および第2の電極を含んでおり、前記基準静電容量は、相互静電容量である、
請求項1記載の静電容量-デジタルコンバータ。
【請求項4】
前記ブリッジ回路は、さらに、補償静電容量を有している補償セルに結合する第3の端子を含んでおり、前記比率は、前記基準静電容量、前記センサセルの前記静電容量および前記補償静電容量に基づいている、
請求項1記載の静電容量-デジタルコンバータ。
【請求項5】
前記補償セルは、補償電極を含んでおり、前記静電容量-デジタルコンバータは、さらに、
前記第1のフェーズにおいて、前記補償電極を前記第1の電圧レベルに充電するために前記供給電圧を印加し、
前記第2のフェーズにおいて、前記第2の変調コンデンサを充電するために、前記補償電極を前記第2の変調コンデンサに結合し、
前記第3のフェーズにおいて、前記補償電極を接地するために、前記補償電極を前記接地電位に結合し、
前記第4のフェーズにおいて、前記第1の変調コンデンサを放電するために、前記補償電極を前記第1の変調コンデンサに結合する、
請求項4記載の静電容量-デジタルコンバータ。
【請求項6】
前記デジタルビットストリームの前記デューティサイクルは、前記基準静電容量の前記静電容量と、前記センサセルの前記静電容量と前記補償セルの静電容量との差と、の間の比率である、
請求項4記載の静電容量-デジタルコンバータ。
【請求項7】
前記センサセルは、センサ電極を含んでおり、前記センサセルの前記静電容量は、自己静電容量である、
請求項1記載の静電容量-デジタルコンバータ。
【請求項8】
方法であって、前記方法は、
第1のフェーズにおいて、センサセルのセンサ電極を第1の電圧レベルに充電するために供給電圧を印加するステップと、
第2のフェーズにおいて、コンパレータの第1の入力側に結合されている第1の変調コンデンサを充電するために、前記センサ電極を前記第1の変調コンデンサに結合するステップと、
第3のフェーズにおいて、前記センサ電極を接地するために、前記センサ電極を接地電位に結合するステップと、
第4のフェーズにおいて、前記コンパレータの第2の入力側に結合されている第2の変調コンデンサを放電するために、前記センサ電極を前記第2の変調コンデンサに結合するステップと、
を含んでおり、
変調器フロントエンド回路は、前記第1の変調コンデンサと、前記第2の変調コンデンサと、前記コンパレータと、を含んでおり、
前記変調器フロントエンド回路は、デジタルビットストリームを提供し、
前記デジタルビットストリームのデューティサイクルは、前記センサセルの静電容量と基準セルの基準静電容量との間の比率を表しており、
複数のスイッチは、対応するフェーズがイネーブル化されると、前記基準セルおよび/または前記センサセルを前記変調器フロントエンド回路に結合するために閉成され、
前記方法は、
前記第1のフェーズにおいて、前記基準セルの基準電極を前記第1の電圧レベルに充電するために前記供給電圧を印加するステップと、
前記第2のフェーズにおいて、前記第2の変調コンデンサを充電するために、前記基準電極を前記第2の変調コンデンサに結合するステップと、
前記第3のフェーズにおいて、前記基準電極を接地するために、前記基準電極を前記接地電位に結合するステップと、
前記第4のフェーズにおいて、前記第1の変調コンデンサを放電するために、前記基準電極を前記第1の変調コンデンサに結合するステップと、
をさらに含んでいる、
方法。
【請求項9】
前記基準セルは、前記基準電極を含んでおり、前記基準静電容量は、自己静電容量である、
請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記基準セルは、さらに、前記基準電極および第2の基準電極を含んでおり、前記基準静電容量は、相互静電容量である、
請求項8記載の方法。
【請求項11】
前記方法は、
前記第1のフェーズにおいて、補償静電容量を有している補償セルの補償電極に前記供給電圧を印加するステップと、
前記第2のフェーズにおいて、前記第2の変調コンデンサを充電するために、前記補償電極を前記第2の変調コンデンサに結合するステップと、
前記第3のフェーズにおいて、前記補償電極を接地するために、前記補償電極を前記接地電位に結合するステップと、
前記第4のフェーズにおいて、前記第1の変調コンデンサを放電するために、前記補償電極を前記第1の変調コンデンサに結合するステップと、
をさらに含んでいる、
請求項8記載の方法。
【請求項12】
前記デジタルビットストリームの前記デューティサイクルは、前記基準セルの前記静電容量と、前記センサセルの前記静電容量と前記補償セルの静電容量との差と、の間の比率である、
請求項11記載の方法。
【請求項13】
システムであって、前記システムは、
基準セルと、
センサセルと、
請求項1から7のいずれかに記載の静電容量-デジタルコンバータと、
を含んでいる、
システム。
【請求項14】
前記システムは、補償静電容量を有している補償セルをさらに含んでおり、前記比率は、前記基準静電容量、前記センサセルの前記静電容量および前記補償静電容量に基づいている、
請求項13記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連する出願
本特許出願は、2020年8月31日に出願された米国仮特許出願第63/072,329号の利益を主張し、これは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
技術分野
本開示は全般的にセンシングシステムに関し、より具体的には、静電容量を測定するように構成可能な、または静電容量を表すデジタル値に静電容量を変換するように構成可能な静電容量センシングシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
静電容量センシングシステムは、静電容量の変化を反映する、電極上で生成された電気信号をセンシングすることができる。このような、静電容量の変化は、タッチイベント(すなわち、特定の電極への対象物の近接)を示すことができる。静電容量性センシング要素は、機械的なボタン、ノブおよび他の類似の機械的なユーザインタフェースコントロールに置き換わるために使用されてよい。静電容量性センシング要素を使用することによって、複雑化された機械式のスイッチおよびボタンを除去することができ、厳しい状況下で、信頼性の高い動作を提供することができる。これに加えて、静電容量性センシング要素は、近年の顧客アプリケーションにおいて幅広く使用され、既存の製品において、新たなユーザインタフェースオプションを提供する。静電容量性センシング要素は、1つのボタンから、タッチセンシング表面に対する静電容量性センシングアレイの形態で配置されている多数のものまでの範囲にわたることができる。
【0004】
静電容量性センシング要素のアレイは、静電容量性センシング要素の静電容量を測定し、導電性対象物の接触または存在を示す静電容量のΔ(変化)を求めることによって動作する。導電性対象物(例えば指、手または他の対象物)が、静電容量性センシング要素と接するまたは静電容量性センシング要素に近接すると、静電容量が変化し、導電性対象物が検出される。静電容量性接触センシング要素の静電容量の変化を、電気回路によって測定することができる。この電気回路は、静電容量性センシング要素の測定された静電容量をデジタル値に変換する。
【0005】
2つの典型的なタイプの静電容量が存在する。すなわち、1)静電容量センシング回路が2つの電極と、これらの電極の間の静電容量を測定する駆動/受け取りコンフィグレーションと、に結合されている相互静電容量、2)静電容量センシング回路がコンデンサの1つの電極に結合されている自己静電容量である。自己静電容量では、第2の電極は、直流(DC)電圧レベルに縛られている、または第2の電極は、アースに寄生的に結合されている。タッチパネルは両方のタイプ(1)および(2)の静電容量の分散負荷を有しており、いくつかのタッチソリューションは、2つの静電容量を、独自に、または種々のセンシングモードを備えるハイブリッド形式でセンシングする。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】実施形態にしたがった、レシオメトリック自己静電容量-コード変換用に構成されている静電容量-デジタルコンバータ(CDC)を示す図である。
【
図2】実施形態にしたがった、
図1のCDCの種々のノードでの電圧波形を示す図である。
【
図3A】実施形態にしたがった、補償分岐を含んでいるレシオメトリック自己静電容量-コード変換用に構成されているCDCを示す図である。
【
図3B】別の実施形態にしたがった、補償分岐を含んでいるレシオメトリック自己静電容量-コード変換用に構成されているCDCを示す図である。
【
図3C】別の実施形態にしたがった、補償分岐を含んでいるレシオメトリック自己静電容量-コード変換用に構成されているCDCを示す図である。
【
図3D】別の実施形態にしたがった、基準セル用のフィードバックスイッチを含んでいるレシオメトリック自己静電容量-コード変換用に構成されているCDCを示す図である。
【
図4】実施形態にしたがった、
図3DのCDCの種々のノードでの電圧波形を示す図である。
【
図5】実施形態にしたがった、相互静電容量基準セルを備える、レシオメトリック自己静電容量-コード変換用に構成されているCDCを示す図である。
【
図6】
図6A~
図6Dは、実施形態にしたがった、第1のフェーズ、第2のフェーズ、第3のフェーズおよび第4のフェーズそれぞれにおける、
図5のCDCの効果的な表現を示す図であり、
図6E~
図6Hは、実施形態にしたがった、第1のフェーズ、第2のフェーズ、第3のフェーズおよび第4のフェーズそれぞれにおける、
図1のCDCの効果的な表現を示す図である。
【
図7】実施形態にしたがった、レシオメトリック自己静電容量-コード変換用に構成されているシングルエンドアナログフロントエンド(AFE)を備えるCDCを示す図である。
【
図8】実施形態にしたがった、
図7のCDCの種々のノードでの電圧波形を示す図である。
【
図9】実施形態にしたがった、アクティブシールドドライバを備えるCDCを示す図である。
【
図10】実施形態にしたがった、レシオメトリック自己静電容量-コード変換用に構成されているシングルエンドAFEを備えるCDCを示す図である。
【
図11A】実施形態にしたがった、補償分岐を備えるレシオメトリック自己静電容量-コード変換用に構成されているCDCを示す図である。
【
図11B】実施形態にしたがった、分解能が向上した、レシオメトリック自己静電容量-コード変換用に構成されているCDCを示す図である。
【
図12】実施形態にしたがった、レシオメトリック相互静電容量-コード変換用に構成されているシングルエンドAFEを備えるCDCを示す図である。
【
図13】実施形態にしたがった、
図12のCDCの種々のノードでの電圧波形を示す図である。
【
図14】実施形態にしたがった、レシオメトリック相互静電容量-コード変換用に構成されているシングルエンドAFEを備えるCDCを示す図である。
【
図15】実施形態にしたがった、静電容量-デジタルコード変換の方法の1つの実施形態のフローチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
センシングデバイスの要件は、比較的安価で、消費電力が比較的少ないながら、堅牢かつ高性能であることを要求する。マルチセンシングコンバータ等のセンシングデバイスは、静電容量センシングデバイス、インダクタンスセンシングデバイス、抵抗センシングデバイスおよび電圧センシングデバイスを含むことができ、電流として明示されているセンシング信号をデジタルコードに変換することができる。しかし、電源電圧、クロック周波数、基準電圧および電流デジタル-アナログコンバータ(IDAC)の変動は、感度が高いアプリケーションの場合に問題を引き起こし得る。例えば、上で挙げたソースからのノイズインパクトは、感度が高く、高速のスキャニングアプリケーションの場合に、信号対雑音比(SNR)の低減を生じさせ得る。低いSNRは、種々のアプリケーションのパフォーマンスを制限し得る。
【0008】
本明細書では、レシオメトリック静電容量-デジタル変換のための装置および方法の種々の実施形態が記載されている。レシオメトリック測定結果は、直流電流(DC)電圧源値等に関係するより、既知の値の比率(例えば静電容量値の比率)に関係する。レシオメトリック静電容量-デジタル変換は、上述の問題および他の問題を除去することができる。レシオメトリック静電容量-デジタル変換は、静電容量、インダクタンス、抵抗、電圧および電流の測定をサポートする、クロック周波数、電流源および供給電圧および基準電圧の変動に対して無反応であり得る。本開示の態様は、静電容量-デジタル変換に対する、迅速、シンプル、ハイパフォーマンスかつ低コストのソリューションを提供する。本開示の態様は、(疑似)差動アナログフロントエンド(AFE)またはシングルエンドAFEを含んでいる種々のコンフィグレーションで実装されてよい。
【0009】
レシオメトリック静電容量-デジタルコンバータ(CDC)は、センサ静電容量を有するセンサセルと、基準静電容量を有する基準セルと、を含むことができる。センサセルは、センサ電極を含むことができ、基準セルは基準電極を含むことができる。センサ電極および基準電極は、特定のフェーズで放電可能であり、第1の変調コンデンサと第2の変調コンデンサとを交互に充放電することができ、これによって、センサ静電容量と基準静電容量との間の比率を表すデューティサイクルを有するビットストリームを生成して、センサセルと基準セルとの間のコモンモードノイズを取り消すことができる。
【0010】
図1は、実施形態にしたがった、レシオメトリック自己静電容量-コード変換用に構成されている静電容量-デジタルコンバータ(CDC)100を示している。CDC100は、4フェーズCDCであってよく、ブリッジ回路120と変調器フロントエンド回路130とを含んでいてよい。CDC100は、さらに、センサコンデンサ112(C
s)を備えるセンサセル105と、基準コンデンサ122(C
ref)を備える基準セル115と、を含んでいてよい。
【0011】
変調器フロントエンド回路130は、差動アナログフロントエンド(AFE)であってよく、コンパレータ142、変調コンデンサ141.1および変調コンデンサ141.2を含んでいてよい。1つの実施形態では、変調コンデンサ141.1と変調コンデンサ141.2とは、同じ静電容量を有している。別の実施形態では、変調コンデンサ141.1と変調コンデンサ141.2とは、異なる静電容量値を有し得る。変調コンデンサは、加算コンデンサとも称され得る。変調器フロントエンド回路130は、さらに、電圧検出器、ANDゲート148.2およびANDゲート148.4およびクロック信号分周器を含んでいてよい。
【0012】
変調コンデンサ141.1は、コンパレータ142の第1の入力側に結合されていてよく、変調コンデンサ141.2は、コンパレータ142の第2の入力側に結合されていてよい。コンパレータ142は、ブリッジ回路120に結合されていてもよい。ブリッジ回路120は、基準セル115に結合する第1の端子と、センサセル105に結合する第2の端子と、を有していてよい。ブリッジ回路120は、対応するフェーズがイネーブル化されると、センサセル105および/または基準セル115を変調器フロントエンド回路130に結合するために、閉成され得るスイッチを含んでいてよい。フェーズ(Ph0、Ph1、Ph2およびPh3)を切り替えるための信号は、センサクロック周波数Fsによってクロックされてよい。
【0013】
変調器フロントエンド回路130は、デジタル化回路を含んでいてよい、またはデジタル化回路に結合されていてよく、これによって、処理ユニット160にデジタルビットストリーム(例えば1つまたは複数のデジタル値)を提供する。デジタルビットストリームは、センサセル105のセンサ静電容量C
sを表していてよく、これは、基準セル115の基準静電容量C
refより低くてよい。デジタルビットストリームのデューティサイクルは、センサ静電容量C
sと基準セル115の基準静電容量C
refとの間の比率を表していてよい。特に、デューティサイクルは、
【数1】
によって得られ、
ここで0<DC<1である。式1は、
【数2】
の場合に満たされる。
【0014】
変調器フロントエンド回路130は、種々のフェーズ(例えばPh0、Ph1、Ph2、Ph3)を生成するシーケンサ146を含んでいてよく、これらのフェーズは、(センサ励起周波数とも称される)Fsの周波数を通じてシーケンスされてよく、これによって、ローの値(0)とハイの値(1)とを含み得るビットストリームが生成される。示されたフェーズは、ラベル付けされたスイッチに対応してよい。特に、レシオメトリック自己静電容量-コード変換用に構成されているCDC、例えばCDC100に対して、ビットストリームのデューティサイクルは、センサセル105のセンサ静電容量Csと、基準セル115の基準静電容量Crefと、の間の比率を表していてよい。これらのフェーズは、センサセルおよび基準セルによって、変調コンデンサ141.1と変調コンデンサ141.2とのそれぞれが交互に充放電され得るように設計されている。基準セル115の基準静電容量は、1つのコンデンサによって設定されていてよい、または可変静電容量であってよい。これは例えば、静電容量デジタル-アナログコンバータ(DAC)を使用する。
【0015】
第1のフェーズPh0では、センサ電極を供給電圧レベルVDDAに充電するために、供給電圧VDDAがセンサセル105のセンサ電極に印加されてよく、センサ電極を供給電圧レベルVDDAに充電するために、供給電圧VDDAが基準セル115の基準電極に印加されてよい。
【0016】
第2のフェーズPh1では、変調コンデンサ141.1を充電するために、センサセル105のセンサ電極が変調コンデンサ141.1に結合されてよい。ビットストリームがロー(0)であるケースでは、第2のフィードバックフェーズPh1_fbを生成する第1のANDゲートの出力はローであり、したがって基準セルは、ブリッジ回路120に結合されていない。ビットストリームがハイ(1)であるケースでは、第2のフィードバックフェーズPh1_fbを生成する第1のANDゲートの出力はハイであり、変調コンデンサ141.2を充電するために、基準セル115の基準電極は変調コンデンサ141.2に結合されている。
【0017】
第3のフェーズPh2では、センサセル105のセンサ電極は、変調コンデンサ141.1から切り離されており、センサ電極を接地するために、接地電位に結合されている。基準セル115の基準電極は、変調コンデンサ141.2から切り離されており、基準電極を接地するために、接地電位に結合されている。
【0018】
第4のフェーズPh3では、変調コンデンサ141.2を放電するために、センサセル105のセンサ電極が、変調コンデンサ141.2に結合されてよい。ビットストリームがロー(0)であるケースでは、第4のフィードバックフェーズPh3_fbを生成する第2のANDゲートの出力はローであり、したがって基準セルは、ブリッジ回路120に結合されていない。ビットストリームがハイ(1)であるケースでは、第4のフィードバックフェーズPh3_fbを生成する第2のANDゲートの出力はハイであり、変調コンデンサ141.1を放電するために、基準セル115の基準電極が、変調コンデンサ141.1に結合されている。換言すれば、第2のフェーズおよび第4のフェーズにおいて、センサセル105および基準セル115は、異なるコンデンサ(変調コンデンサ141.1および141.2)の充電と放電とを交互に行う。
【0019】
任意の所定の時点で、コンパレータ142の第1の入力側は電圧Vm1を有しており、コンパレータ142の第2の入力側は電圧Vm2を有しており、これは時間に関連して変化する。第2のフィードバックフェーズPh1_fbおよび第4のフィードバックフェーズPh3_fbがイネーブル化されている場合には(例えばビットストリームがハイである場合には)、Vm2とVm1との間の差ΔV(ΔV=Vm2-Vm1)は、CrefがCsよりも大きい場合に減少し得る。換言すれば、変調コンデンサ141.1は、変調コンデンサ141.2よりも多く放電を行う。他方では、差ΔVは極性が変化するので、フィードバックフェーズPh1_fbおよびPh3_fbは、基準セル115がスイッチアウトされるときに(換言すれば、ブリッジ回路120から分離されるときに)、ディスエーブル化されてよい。これは、並行して生じる2つのプロセスとしてみなされ得る。第1のプロセスは、静電容量Csを有するセンサセル105を切り替え、これによって、変調コンデンサ141.1の充電および変調コンデンサ141.2の放電が可能になり、変換時間中は中断されない。第2のプロセスは、静電容量Crefを有する基準セル115を切り替え、これによって、変調コンデンサ141.2の充電および変調コンデンサ141.1の放電が可能になる。Vm2とVm1との間の差ΔVが正であって、CrefがCsよりも大きい場合、このプロセスは中断される。したがって、正確なコモンモード直流(DC)電圧は必要ない。いくつかのFsクロックサイクルの間、同期スイッチングプロセスのため、ΔVは電流電圧VDDAの半分になり得る。第1のフェーズPh0および第3のフェーズPh2は、センサセル105および基準セル115を励起するように設計されている。
【0020】
他の実施形態では、これらのプロセスが逆であってよい。このようなケースでは、センサセル105を切り替える第1のプロセスによって、変調コンデンサ141.2の充電および変調コンデンサ141.1の放電が可能になり、また基準セル115を切り替える第2のプロセスによって、変調コンデンサ141.1の充電および変調コンデンサ141.2の放電が可能になる。この逆転を説明するために、コンパレータ142の出力が逆にされるべきである。
【0021】
CDC100が4つのフェーズ(Ph0、Ph1、Ph2およびPh3)および2つのフィードバックフェーズ(Ph1_fbおよびPh3_fb)を有するよう描かれているが、他の実施形態では、より少ない数またはより多い数のフェーズが存在していてよく、フィードバックフェーズの数が、フェーズの数以下であってよいことは注目に値する。いくつかの実施形態では、フェーズの数よりも多いフィードバックフェーズが存在していてよく、これは、いくつかのフィードバックフェーズが1つのフェーズのみから正のフィードバックを必要とし、他のフィードバックフェーズがフェーズの組み合わせから正のフィードバックを必要とする場合等である。
【0022】
図1に示されているように、CDC100は、センサ励起周波数F
sが、変調器フロントエンド回路130のクロック周波数F
modと等しいケースを示している。CDC100は、電荷移動回路と変調器フロントエンド回路との組み合わせとして動作してよい。変調器フロントエンド回路は、差動シグマ-デルタ変調器または他のタイプの変調器であってよい。CDC100および静電容量をデジタル値に変換する方法は完全に、電圧、電流および時間パラメータの変動とは無関係である。
【0023】
図2は、実施形態にしたがった、
図1のCDC100の種々のノードでの電圧変形を示している。シーケンサ146は、第1のフェーズPh0、第2のフェーズPh1、第3のフェーズPh2および第4のフェーズPh3を順次生成する。第2のフィードバックフェーズPh1_fbおよび第4のフィードバックフェーズPh3_fbは、第2のフェーズPh1および第4のフェーズPh3と同時にそれぞれイネーブル化されるが、これはビットストリームがハイ(1)である場合だけである。ビットストリームがローである場合には、第1のフェーズPh1および第4のフェーズPh3がイネーブル化されるときでさえも、第2のフィードバックフェーズPh1_fbおよび第4のフィードバックフェーズPh3_fbはイネーブル化されない。
【0024】
図2では、VCsは、センサセル105の電圧を表している。第1のフェーズ(Ph0がハイであり、Ph1、Ph2およびPh3がローである)の間、センサセル105は供給電圧源に結合されていてよく、センサセル105のセンサ電極は、供給電圧VDDAに充電されてよい。第2のフェーズ(Ph1がハイであり、Ph0、Ph2およびPh3がローである)の間、変調コンデンサ141.1を充電するために、センサ電極は変調コンデンサ141.1に結合されていてよく、したがってセンサ電極での電圧が低減する。第3のフェーズ(Ph2がハイであり、Ph0、Ph1およびPh3がローである)の間、センサ電極を接地するために、センサ電極は接地電位に結合されていてよく、したがってセンサ電極での電圧が接地電位まで低減する。第4のフェーズ(Ph3がハイであり、Ph0、Ph1およびPh2がローである)の間、変調コンデンサ141.2(これは、ビットストリームがハイである場合には、第2のフェーズの間、基準セル115の基準電極によって充電された可能性がある)を放電するために、センサ電極は変調コンデンサ141.2に結合されていてよく、したがってセンサ電極での電圧が増大する。
【0025】
記載されたCDC変換の方法は、電圧、電流および経時的な(時間)パラメータの変動とは無関係であってよい。式1によって明らかにされたように、ビットストリームの出力デューティサイクルは、センサ静電容量と基準静電容量との間の関係にのみ関係する。
【0026】
CDC100等のCDCが、センサ静電容量を有する1つよりも多くのセンサセルを含み得るということに留意されたい。各センサセルは、センサとして使用されてよい。複数のセンサセルが組み合わされまたは結合されて、同時に使用されてもよい。電荷移動サイクルの数が、CDCの分解能を定め得る。デジタルタイムが、電荷移動サイクルの数を計算するために使用されてよく、必要数の電荷移動サイクルに達したときに、測定プロセスを終了させてよい。したがって、CDC出力の結果は、クロック周波数(Fclk)に関係せず、むしろクロックサイクルの数(N
res)に関係する。これによって、CDCは、固定数のクロックサイクルで、スペクトラム拡散クロックシーケンサ、ランダムクロックシーケンサ、疑似ランダムクロックシーケンサ、固定周波数クロックシーケンサ等を含んでいる、異なるタイプのシーケンサを使用することができる。一次デシメータを備えるCDC用のデジタルビットストリームの未加工カウントは
【数3】
である。
【0027】
図3A~
図3Dは、補償回路を含んでいる種々のCDCコンフィグレーションを示している。
図3A~
図3Cは、補償分岐を含んでおり、これは変換から寄生静電容量を除去することによって、静電容量-デジタル変換の分解能を向上させる。
図3Dは付加的なフィードバックフェーズを含むことによって分解能を向上させる。
【0028】
図3Aは、実施形態にしたがった、補償分岐340aを含んでいるレシオメトリック自己静電容量-コード変換用に構成されているCDC300aを示している。同様の参照番号で示されているように、CDC300aは、CDC300aが補償分岐340aを含んでいるということを除いて、
図1のCDC100と同一または類似している。CDC300aは、4フェーズ補償分岐340aを備える4フェーズCDCであってよい。補償分岐340aは、自己静電容量である補償静電容量を有している補償セル325aを含んでいてよい。補償静電容量は、コンデンサC
comp322によって提供されてよく、これは(例えば、コンデンサスタックによって提供されるような)可変静電容量であっても、固有静電容量であってもよい。いくつかの実施形態では、補償セル325aはブリッジ回路320aの少なくとも一部を含んでいてよい。ブリッジ回路320aは、ブリッジ回路320aの一部が補償分岐340aの一部であり得るということを除いては、
図1のブリッジ回路120に類似していてよい。ブリッジ回路320aは、(センサセル105に結合する第1の端子および基準セル115に結合する第2の端子に加えて)補償セル325aに結合する第3の端子を含んでいてよい。ブリッジ回路320aの一部は、スイッチ350aによって変調器フロントエンド回路130に結合されていても結合されていなくてもよく、これらは、シーケンサ146によって生成されたフェーズ(Ph0、Ph1、Ph2およびPh3)と同期して操作される。換言すれば、補償分岐340aは、4フェーズのコントロールされた補償分岐であってよく、これは、補償分岐340aが、シーケンサ146によって生成された4つのフェーズ(Ph0、Ph1、Ph2およびPh3)のそれぞれにおいて異なる動作を有し得ることを意味している。
【0029】
図1を参照して記載されたフェーズ動作に加えて、第1のフェーズ(Ph0)において、補償コンデンサ322を充電するために、供給電圧VDDAが補償セル325aの補償電極に印加されてよい。第2のフェーズ(Ph1)において、変調コンデンサ141.2を充電するために、補償電極が変調コンデンサ141.2に結合されてよい。第3のフェーズ(Ph2)において、補償電極を接地するために、補償電極が接地電位に結合されてよい。第4のフェーズ(Ph3)において、変調コンデンサ141.1を放電するために、補償電極が変調コンデンサ141.1に結合されてよい。
【0030】
補償分岐340a等の補償分岐を含んでいることによって、ビットストリームのデューティサイクルに影響を及ぼして、CDC分解能が増大し得る。例えば、デューティサイクルは、センサ静電容量および基準静電容量に加えて、さらに、補償静電容量に関係していてよい。上述のように(補償分岐のないケースにおいて)、デューティサイクルは、基準静電容量に対するセンサ静電容量の比率によって決定されてよい。補償分岐340aが含まれている場合、この比率は、基準静電容量、センサ静電容量および補償静電容量に基づいていてよい。特に、CDC300aの場合、デューティサイクルは、
【数4】
によって得られ、ここで0<DC<1であり、かつC
s-C
s_comp+ΔC
s≦C
refであり、ΔC
sは、可変コンデンサである補償コンデンサ322による、補償静電容量における変動を表している。換言すれば、C
refに対する値が規定されている場合には、最大センサ静電容量C
s_max=C
s+ΔC
sおよび最小補償静電容量値C
s_comp_minが存在し得る。いくつかの実施形態では、センサ静電容量C
sは、C
ref≧1.3(C
s-C
s_comp_min+ΔC
s_max)として規定されてよい。いくつかの実施形態では、係数(例えば前の文では1.3)が他の値であってよく、これは例えば1、1.2、1.5、2等であるが、これに制限されない。
【0031】
図3Bは、別の実施形態にしたがった、補償分岐340bを含んでいるレシオメトリック自己静電容量-コード変換用に構成されているCDC300bを示している。同様の参照番号で示されているように、CDC300bは、CDC300bが補償分岐340bを含んでいるということを除いて、
図1のCDC100と同一または類似している。CDC300bは、2フェーズ補償分岐340bを備える4フェーズCDCであってよい。補償分岐340bは、相互静電容量である補償静電容量を有し得る補償コンデンサ(C
comp)332を含んでいてよい。補償コンデンサ332は、可変コンデンサであっても、固定コンデンサであってもよい。補償分岐340bは、2フェーズのコントロールされた補償分岐であってよく、これは、第1の補償分岐フェーズ(例えばPh0および/またはPh1)において、補償分岐340bが特定の動作を有していてよく、第2の補償分岐フェーズ(例えばPh2および/またはPh3)において、補償分岐340bが別の動作を有していてよいことを意味している。
【0032】
ブリッジ回路320bは、ブリッジ回路320bの一部が補償分岐340bの一部であり得るということを除いては、
図1のブリッジ回路120に類似していてよい。ブリッジ回路320bは、補償コンデンサ332に結合する第3の端子を含んでいてよい。補償コンデンサ332は、スイッチによって変調器フロントエンド回路130に結合されていても結合されていなくてもよく、これらは、シーケンサ146によって生成されたフェーズ(Ph0、Ph1、Ph2およびPh3)と同期して操作される。
【0033】
図1を参照して記載されたフェーズ動作に加えて、第1のフェーズ(Ph0)および第2のフェーズ(Ph1)において、補償コンデンサ332の第1の補償電極が接地電位に結合されていてよい。特に、第1のフェーズにおいて、補償コンデンサ332の第2の補償電極が、供給電圧およびセンサセル105のセンサ電極に結合されていてよく、したがってセンサ電極は、供給電圧レベルVDDAより低い電圧に供給されてよい。特に、第2のフェーズにおいて、補償コンデンサ332の第2の電極が、センサセル105のセンサ電極と同様に変調コンデンサ141.1に結合されていてよい。
【0034】
第3のフェーズ(Ph2)および第4のフェーズ(Ph3)において、補償コンデンサ332の第1の補償電極が、供給電圧に結合されていてよい。特に、第3のフェーズにおいて、補償コンデンサ332の第2の補償電極が、接地電位とセンサセル105のセンサ電極とに結合されていてよく、したがってセンサ電極は、完全には接地電位まで放電されない。特に、第4のフェーズにおいて、補償コンデンサ332の第2の補償電極が、センサ電極および変調コンデンサ141.2に結合されていてよく、これによって変調コンデンサ141.2が部分的に、センサ電極および第2の補償電極の両方に放電されてよい。
【0035】
図3Aの、付加された補償分岐340aに類似して、付加された補償分岐340bは、ビットストリームのデューティサイクルに影響を与えることによって、CDC分解能を増大させ得る。例えば、デューティサイクルは、センサ静電容量および基準静電容量に加えて、さらに、補償静電容量に関係していてよい。上述のように(補償分岐のないケースにおいて)、デューティサイクルは、基準静電容量に対するセンサ静電容量の比率によって決定されてよい。補償分岐340aが含まれている場合、この比率は、基準静電容量、センサ静電容量および補償静電容量に基づいていてよい。特に、CDC300bの場合、デューティサイクルは、
【数5】
によって得られ、ここで0<DC<1であり、かつC
s-C
s_comp+ΔC
s≦C
refであり、ΔC
sは、可変コンデンサである補償コンデンサ332による、補償静電容量における変動または変化を表している。
【0036】
図3Cは、別の実施形態にしたがった、補償分岐340cを含んでいるレシオメトリック自己静電容量-コード用に構成されているCDC300cを示している。同様の参照番号で示されているように、CDC300cは、CDC300cが補償分岐340cを含んでいるということを除いて、
図1のCDC100と同一または類似している。CDC300cは、2フェーズの補償分岐340cを備える4フェーズCDCであってよい。補償分岐340cは、相互静電容量である補償静電容量を有している補償コンデンサ(C
comp)342を含んでいてよい。補償コンデンサ342は、可変コンデンサであっても、固定コンデンサであってもよい。補償分岐340cは、2フェーズのコントロールされた補償分岐であってよく、これは、第1の補償分岐フェーズ(例えばPh0および/またはPh1)において、補償分岐340cが特定の動作を有していてよく、第2の補償分岐フェーズ(例えばPh2および/またはPh3)において、補償分岐340cが別の動作を有していてよいことを意味している。
【0037】
ブリッジ回路320cは、ブリッジ回路320cの一部が補償分岐340cの一部であり得るということを除いては、
図1のブリッジ回路120に類似していてよい。ブリッジ回路320cは、補償コンデンサ342に結合する第3の端子を含んでいてよい。補償コンデンサ342は、スイッチによって変調器フロントエンド回路130に結合されていても結合されていなくてもよく、これらは、シーケンサ146によって生成されたフェーズ(Ph0、Ph1、Ph2およびPh3)と同期して操作される。
【0038】
補償セル342は、特定のフェーズにおいて基準セル115に結合されていてよく、それは出力ビットストリームがハイ(1)である、またはロー(0)であることに関係していてよい。
【0039】
出力ビットストリームがローである場合、第2のフェーズおよび/または第3のフェーズがイネーブル化された場合でも、第2のフィードバックフェーズ(Ph1_fb)および第4のフィードバックフェーズ(Ph3_fb)は、ローのままであってよい(イネーブル化されない)。したがって、
図1を参照して記載されたフェーズ動作に加えて、第1のフェーズ(Ph0)および第2のフェーズ(Ph1)において、供給電圧が、補償セル342の第1の補償電極に印加されてよい。さらに、第1のフェーズおよび第2のフェーズにおいて、補償セル342の第2の補償電極が変調コンデンサ141.2に結合されていてよく、変調コンデンサ141.2を充電してよい。第3のフェーズ(Ph2)および第4のフェーズ(Ph3)において、第1の補償電極は、接地電位に結合されていてよく、第2の補償電極は、変調コンデンサ141.1を部分的に放電するために、変調コンデンサ141.1に結合されていてよい。
【0040】
出力ビットストリームがハイである場合、第2のフェーズの間、第2の補償電極はさらに、基準セル115に結合されていてよく、基準電極と第2の補償電極との両方が、変調コンデンサ141.2を充電するために、変調コンデンサ141.2に結合されていてよい。第4のフェーズの間、第2の補償電極は、基準セル115に結合されていてよく、基準電極と第2の補償電極との両方は、変調コンデンサ141.1を放電するために、変調コンデンサ141.1に結合されていてよい。さらに、
図3BのCDC300bに類似して、出力ビットストリームのデューティサイクルは、式4によって与えられてよい。
【0041】
図3A~
図3Bの場合のように、補償分岐の付加は、CDC分解能を増大させ得る。基準静電容量値C
refは、基準補償値C
ref_compに沿って低減し得る。したがって、ここで使用される新たなC
ref値は、式1におけるC
ref値よりも低い場合があるが、センサの感度は同じままである。これは、関係ΔC
s/C
refが増大し、コンバータ分解能が増大することを意味している。例えば、C
s_compがセンサの相互静電容量である場合、コンバータモードはハイブリッドになり、同時に、変換結果は、自己静電容量および相互静電容量における変化を反映する。換言すれば、一種の2電極センサが存在していてよく、これは、自己静電容量プロパティおよび相互静電容量プロパティの両方を有し、相互静電容量の変動が、センシング結果に影響を与え得る。
【0042】
分解能を増大させる第2の方法は、センサクロック周波数F
sより高い変調周波数F
modを使用する。
図3Dは、F
modがF
sより、ファクタK=2、3、4…ぶん高い場合のコンバータの概略図を示している。
図4は、K=4の場合の、キーノードにおける電圧波形を示している。
【0043】
図3Dは、別の実施形態にしたがった、基準セル用のフィードバックスイッチを含んでいるレシオメトリック自己静電容量-コード用に構成されているCDC300dを示している。同様の参照番号で示されているように、CDC300dは、変更されたブリッジ回路320dおよび変更された変調器フロントエンド回路330dを有しているということを除いて、
図1のCDC100と同一または類似している。CDC300dは、4フェーズCDCであってよい。図示の実施形態では、対応するフィードバックフェーズ(Ph0_fb、Ph1_fb、Ph2_fbおよびPh3_fb)が、1つまたは複数のフィードバック信号によってイネーブル化されているとき、ビットストリームがハイである場合にのみ、基準セル115が変調器フロントエンド回路330dに結合されていてよい。分周器347.2は、クロック信号を受信し、信号の周波数をその前の半分に分割し、第2の分周器347.1は、分周器347.2から、分割された周波数を受信し、さらに、この信号を4つに分割し、フェーズPh0、Ph1、Ph2およびPh3を切り替える。
【0044】
これらのフェーズは、各変調コンデンサ141.1および141.2が、センサセルおよび基準セルによって交互に充放電され得るように設計されている。基準セル115の基準静電容量は、1つのコンデンサによって、または可変静電容量によって設定されてよく、これは例えば、静電容量デジタル-アナログコンバータ(DAC)を使用して行われる。これらのフェーズは、シーケンサ346によって生成されてよく、フィードバックフェーズはシーケンサ345によって生成されてよい。フィードバックフェーズは、ハイであるビットストリームと、ANDゲート348.1~348.4を介してイネーブル化される対応するフェーズと、に関係していてよい。
【0045】
第1のフェーズPh0において、センサセル105のセンサ電極を供給電圧レベルVDDAに充電するために、供給電圧VDDAがセンサ電極に印加されていてよく、センサ電極を供給電圧レベルVDDAに充電するために、供給電圧VDDAが基準セル115の基準電極に印加されていてよい。ビットストリームがハイ(1)であるケースでは、第1のフィードバックフェーズPh0_fbを生成するANDゲート348.1の出力はハイであり、基準セルは供給電圧に結合されてよく、供給電圧レベルに充電されてよい。ビットストリームがロー(0)であるケースでは、第1のフィードバックフェーズPh0_fbを生成するANDゲート348.1の出力はローであり、したがって、基準セルは、供給電圧に結合されておらず、供給電圧レベルに充電されない。
【0046】
第2のフェーズPh1において、変調コンデンサ141.1を充電するために、センサセル105のセンサ電極が、変調コンデンサ141.1に結合されてよい。ビットストリームがハイ(1)であるケースでは、第2のフィードバックフェーズPh1_fbを生成するANDゲート348.2の出力はハイであり、変調コンデンサ141.2を充電するために、基準セル115の基準電極が、変調コンデンサ141.2に結合されてよい。ビットストリームがロー(0)であるケースでは、第2のフィードバックフェーズPh1_fbを生成するANDゲート348.2の出力はローであり、したがって、基準セルは、ブリッジ回路320dに結合されていなくてよい。
【0047】
第3のフェーズPh2において、センサセル105のセンサ電極が変調コンデンサ141.1から切り離されていてよく、センサ電極を接地するために、接地電位に結合されていてよい。ビットストリームがハイであるケースでは、第3のフィードバックフェーズPh2_fbを生成するANDゲート348.3の出力はハイであってよく、基準セル115の基準電極は、変調コンデンサ141.2から切り離されていてよく、基準電極を接地するために、接地電位に結合されていてよい。ビットストリームがローであるケースでは、ANDゲート348.3の出力はローであってよく、基準セルの基準電極は、変調コンデンサ141.2から切り離されていてよいが、接地電位に結合されていなくてよい。
【0048】
第4のフェーズPh3において、変調コンデンサ141.2を放電するために、センサセル105のセンサ電極が変調コンデンサ141.2に結合されていてよい。ビットストリームがハイ(1)であるケースでは、第4のフィードバックフェーズPh3_fbを生成するANDゲート348.4の出力はハイであり、変調コンデンサ141.1を放電するために、基準セル115の基準電極が変調コンデンサ141.1に結合されてよい。ビットストリームがロー(0)であるケースでは、第4のフィードバックフェーズPh3_fbを生成するANDゲート348.4の出力はローであり、したがって、基準セルは、ブリッジ回路320dに結合されていなくてよい。
【0049】
図4は、実施形態にしたがった、
図3DのCDC300dの種々のノードでの電圧波形を示している。センサ静電容量に対する基準静電容量の比率が3/2(C
ref/C
s=3/2)であり、変調周波数(例えば、変調器フロントエンド回路クロック周波数)とセンサ励起周波数との比率が4(F
mod/F
s=4)であるケースが示されている。F
mod/F
sがここでKとしても示されることに留意されたい。
【0050】
出力ビットストリームのデューティサイクルは
【数6】
として計算される。
【0051】
式6は、ファクタKぶん低い基準静電容量Cref値が使用可能であることを示している。これは、チップ集積されている基準コンデンサ(または基準セル)に対して有益であり得る。
【0052】
式3に戻ると、測定時間Tmeaを維持しながら、ファクタKぶん、Fmodを増大させることによって、分解能が増大され得る。
【0053】
分解能を増大させるための、記載されたこれら2つの方法は結合可能である。
図3A~
図3Cは、補償周波数F
compを有するデジタルシーケンサによってシーケンスされ得る4つのフェーズまたは2つのフェーズによってコントロールされ得る補償分岐を含んでいるCDC300a~300cを示している。全般的に、F
compは、センサクロック周波数F
sより高くても低くてもよく、それらの関係は、ファクタK
comp(これは補償係数とも称され得る)(例えばF
comp=K
comp・F
s)によって特徴付けられてよい。いくつかの実施形態では、F
compは、センサクロック周波数F
sと同じであってよく、このケースではK
comp=1である。このようなケースでは、変調周波数F
mod、センサクロック周波数F
sおよび補償周波数F
compは等しい。他の実施形態では、F
compは、センサクロック周波数F
sより高くても、低くてもよい。この全般的なケースでは伝達関数は、
【数7】
として表されてよい。
【0054】
他方で、
図3DはCDC300dを示しており、これは、センサ静電容量C
sを有するセンサセル105および基準静電容量C
refを有する基準セル115をシーケンスするために、異なるクロック周波数を使用するコンフィグレーションを有している。したがって、F
mod≧F
sである。CDC300dは、付加的に、補償分岐340a、340bおよび/または340cのいずれかを含んでいてよい。CDC300dが補償分岐340a~340cのうちのいずれかを含んでいる場合、伝達関数は、
【数8】
として表されてよい。
【0055】
CDC100および300a~300dそれぞれは、接地された基準セルを使用する(例えば基準静電容量C
refは自己静電容量である)。他の実施形態では、基準セルは、
図5を参照して記載するように、相互基準静電容量で動作するように構成可能である。
【0056】
図5は、実施形態にしたがった、相互静電容量基準セル515によるレシオメトリック自己静電容量-コード変換用に構成されているCDC500を示している。CDC500は4フェーズCDCであってよく、ブリッジ回路520および変調器フロントエンド回路(
図5には明確に示されていない)を含んでいてよい。変調器フロントエンド回路は、
図1および
図3A~
図3Dの変調器フロントエンド回路と同じであってよいまたは類似していてよい。変調回路は、4フェーズシーケンサおよび2以上のフィードバックループを含んでいてよい。4フェーズシーケンサは、センサセル505および/または基準セル515を、ブリッジ回路520、供給電圧VDDAまたは接地電位のうちの1つに結合するため、第1のフェーズ、第2のフェーズ、第3のフェーズおよび第4のフェーズならびに第1の変調されたフェーズ(Ph0_mod)および第3の変調されたフェーズ(Ph2_mod)を生成してよい。
【0057】
センサセル505はセンサ電極を含んでいてよく、かつ自己静電容量であるセンサ静電容量Cs512を有していてよい。基準セル515は、第1の基準電極および第2の基準電極を備える基準コンデンサ522を含んでいてよい。基準コンデンサCrefは、第1の基準電極および第2の基準電極ならびに相互静電容量である基準静電容量522を有していてよい。第1の基準電極は、スイッチによってブリッジ回路520に結合されていてよく、これらのスイッチは、第2のフィードバックフェーズ(Ph1_fb)または第4のフィードバックフェーズ(Ph3_fb)によってイネーブル化される。
【0058】
これらのフェーズは、各変調コンデンサ141.1および141.2が、センサセルおよび基準セルによって交互に充放電され得るように設計されている。第1のフェーズPh0において、センサセル505のセンサ電極は、供給電圧VDDAに結合されていてよい。換言すれば、センサ電極を充電するために、供給電圧が印加されていてよい。第1のフェーズの間、第2の基準電極は、変調された周波数で(Ph0_modスイッチによって)供給電圧に結合され離されてよい。例えば、フェーズ(Ph0、Ph1、Ph2およびPh3)は、Fsの周波数で変調されていてよく、また、第1のフェーズPh0の間、第1の変調されたフェーズPh0_modは、Kのファクタぶん、Fsよりも高い変調周波数で変調されていてよい。
【0059】
第2のフェーズPh1において、変調コンデンサ141.1を充電するために、センサセル505のセンサ電極が変調コンデンサ141.1に結合されていてよい。ビットストリームがロー(0)であるケースでは、基準セル515はブリッジ回路520に結合されていないが、ビットストリームがハイ(1)であるケースでは、変調コンデンサ141.2を充電するために、基準セル515の第2の電極が、(Ph1_fbスイッチによって)変調コンデンサ141.2に結合されていてよい。
【0060】
第3のフェーズPh2において、センサセル505のセンサ電極を接地するために、センサ電極が接地電位に結合されていてよい。基準セル515の第2の基準電極は、変調コンデンサ141.2から分離されていてよい。第3のフェーズの間、基準セル515の第1の電極は、変調された周波数で、(Ph2_modスイッチによって)接地電位に結合され離されてよい。
【0061】
第4のフェーズPh3において、変調コンデンサ141.2を放電するために、センサセル505のセンサ電極が変調コンデンサ141.2に結合されていてよい。ビットストリームがローであるケースでは、基準セル515は、ブリッジ回路520に結合されていないが、ビットストリームがハイ(1)であるケースでは、変調コンデンサ141.1を放電するために、基準セル515の第2の電極が、(Ph3_fbスイッチによって)変調コンデンサ141.1に結合されていてよい。
【0062】
変調器フロントエンド回路によって出力されたビットストリームのデューティサイクルは、
【数9】
として表されてよい。
【0063】
基準静電容量に対して相互基準静電容量を実装することは、基準セルに関連した寄生静電容量を減らすという利点をもたらし得る。このような寄生静電容量は、センシングに影響を与え得る。静電容量センシングの高感度アプリケーションは、比較的低い相互基準静電容量値から利益を得ることがある。比較的低い相互基準静電容量値は、基準コンデンサを静電容量Tブリッジによって置き換えることによって実現され得る。例えば、C
refは、静電容量Tブリッジによって置き換えられてよい。ここでこの静電容量Tブリッジは、第1のコンデンサ、第2のコンデンサ、第3のコンデンサ(それぞれC1、C2およびC3)を含んでいてよい。静電容量Tブリッジの(相互基準静電容量を表している)同等の静電容量は、
【数10】
として表されてよい。
【0064】
図6A~
図6Dは、実施形態にしたがった、第1のフェーズ、第2のフェーズ、第3のフェーズおよび第4のフェーズそれぞれにおける、CDC500の効果的な表現である。
図6A~
図6Dは、変調コンデンサ141.1および141.2、自己静電容量を有する効果的なセンサコンデンサセル505を表しているコンデンサC
sおよび相互静電容量を有する効果的な基準セル515を表しているコンデンサC
mrefを示している。第1のフェーズ、第2のフェーズ、第3のフェーズおよび第4のフェーズは、変調器フロントエンド回路のシーケンサによって生成される(例えばイネーブル化される)。所与のフェーズがイネーブル化されると、このフェーズに対応している1つまたは複数のスイッチが閉成されてよく、このフェーズが変化すると(例えば異なるフェーズがイネーブル化され、所与のこのフェーズがディスエーブル化されると)、1つまたは複数のスイッチが開放されてよく、1つまたは複数のスイッチの別のセットが閉成されてよい。(コンデンサC
mrefによって表される)基準セルがCDC500に結合されるか否かは、ビットストリームがハイ(1)かロー(0)かに関係し得る。他方で、(コンデンサC
sによって表される)センサセルがCDC500に結合されるか否かは、ビットストリームがハイかローかに関係しない。
【0065】
第1のフェーズPh0において、CDC500は、センサセルのセンサ電極を第1の電圧レベルに充電するために、供給電圧VDDAをセンサ電極に印加するように構成されていてよい。ビットストリームがハイである場合、CDC500は、さらに、基準セルの第1の基準電極を第1の電圧レベルに充電するために、供給電圧を第1の基準電極に印加するように構成されていてよい。
【0066】
第2のフェーズPh1において、CDC500は、第1の変調コンデンサCmod1を充電するために、センサ電極を第1の変調コンデンサCmod1に結合するように構成されていてよい。ビットストリームがハイである場合、CDC500は、さらに、第2の変調コンデンサCmod2を充電するために、第2の基準電極を第2の変調コンデンサCmod2に結合するように構成されていてよい。
【0067】
第3のフェーズPh2において、CDC500は、センサ電極を接地するために、センサ電極を接地電位に結合するように構成されていてよい。ビットストリームがハイである場合、CDC500は、さらに、第1の基準電極を接地するために、第1の基準電極を接地電位に結合するように構成されていてよい。
【0068】
第4のフェーズPh3において、CDC500は、第2の変調コンデンサCmod2を放電するために、センサ電極を第2の変調コンデンサCmod2に結合するように構成されていてよい。ビットストリームがハイである場合、CDC500は、さらに、第1の変調コンデンサCmod1を放電するために、第2の基準電極を第1の変調コンデンサCmod1に結合するように構成されていてよい。
【0069】
ビットストリームがローである場合、第2および第4のフェーズにおいて、センサセルは、交互に、第1の変調コンデンサCmod1の充電と、第2の変調コンデンサCmod2の放電と、を行ってよく(第2の変調コンデンサCmod2が充電されている場合)、また基準セルはブリッジ回路に結合されておらず、したがって、第1または第2の変調コンデンサに結合されていない。基準セルは、ビットストリームがハイである場合にのみ、ブリッジ回路に結合されてよい。特に、第2および第4のフェーズにおいて、基準セルは、交互に、第2の変調コンデンサCmod2の充電と、第1の変調コンデンサCmod1の放電と、を行ってよい。
【0070】
図3A~
図3DのCDC300a~300dに関連して上述したのと同様に、CDC500は、補償分岐340a、340bおよび/または340cを含んでいてもよい。このようなケースでは、伝達関数は、
【数11】
として表されてよい。
【0071】
図6E~
図6Hは、実施形態にしたがった、第1のフェーズ、第2のフェーズ、第3のフェーズおよび第4のフェーズそれぞれにおける、CDC100の効果的な表現である。
図6E~
図6Hは、変調コンデンサ141.1および141.2、自己静電容量を有する効果的なセンサコンデンサセル105を表しているコンデンサC
sおよび自己静電容量を有する効果的な基準セル115を表しているコンデンサC
srefを示している。第1のフェーズ、第2のフェーズ、第3のフェーズおよび第4のフェーズは、変調器フロントエンド回路のシーケンサによって生成される(例えばイネーブル化される)。所与のフェーズがイネーブル化されると、このフェーズに対応している1つまたは複数のスイッチが閉成されてよく、このフェーズが変化すると(例えば異なるフェーズがイネーブル化され、所与のこのフェーズがディスエーブル化されると)、1つまたは複数のスイッチが開放されてよく、1つまたは複数のスイッチの別のセットが閉成されてよい。(コンデンサC
srefによって表される)基準セルがCDC100に結合されるか否かは、ビットストリームがハイ(1)かロー(0)かに関係し得る。他方で、(コンデンサC
sによって表される)センサセルがCDC100に結合されるか否かは、ビットストリームがハイかローかに関係しない。
【0072】
第1のフェーズPh0において、CDC100は、センサセルのセンサ電極を第1の電圧レベルに充電するために、供給電圧VDDAをセンサ電極に印加するように構成されていてよい。ビットストリームがハイである場合、CDC100は、さらに、基準セルの基準電極を第1の電圧レベルに充電するために、供給電圧を基準電極に印加するように構成されていてよい。
【0073】
第2のフェーズPh1において、CDC100は、第1の変調コンデンサCmod1を充電するために、センサ電極を第1の変調コンデンサCmod1に結合するように構成されていてよい。ビットストリームがハイである場合、CDC100は、さらに、第2の変調コンデンサCmod2を充電するために、基準電極を第2の変調コンデンサCmod2に結合するように構成されていてよい。
【0074】
第3のフェーズPh2において、CDC100は、センサ電極を接地するために、センサ電極を接地電位に結合するように構成されていてよい。ビットストリームがハイである場合、CDC100は、さらに、基準電極を接地するために、基準電極を接地電位に結合するように構成されていてよい。
【0075】
第4のフェーズPh3において、CDC100は、第2の変調コンデンサCmod2を放電するために、センサ電極を第2の変調コンデンサCmod2に結合するように構成されていてよい。ビットストリームがハイである場合、CDC100は、さらに、第1の変調コンデンサCmod1を放電するために、基準電極を第1の変調コンデンサCmod1に結合するように構成されていてよい。
【0076】
ビットストリームがローである場合、第2および第4のフェーズにおいて、センサセルは、交互に、第1の変調コンデンサCmod1の充電と、第2の変調コンデンサCmod2の放電と、を行ってよく(第2の変調コンデンサCmod2が充電されている場合)、また基準セルはブリッジ回路に結合されておらず、したがって、第1または第2の変調コンデンサに結合されていない。基準セルは、ビットストリームがハイである場合にのみ、ブリッジ回路に結合されてよい。特に、第2および第4のフェーズにおいて、基準セルは、交互に、第2の変調コンデンサCmod2の充電と、第1の変調コンデンサCmod1の放電と、を行ってよい。
【0077】
図7は、実施形態にしたがった、レシオメトリック自己静電容量-コード変換用に構成されているシングルエンドAFEを備えるCDC700を示している。特に、
図7は、レシオメトリック自己静電容量-コードシグマデルタコンバータのAFEを示している。静電容量センシング技術は、要求がそれほど厳しくない場合があるいくつかのアプリケーションを提供でき、比較的低い電力消費コストで実装可能である。このようなケースでは、変調器フロントエンド回路に対するシングルエンドアーキテクチャが使用されてよい。全般的に、本明細書に記載されているレシオメトリックCDCは、レシオメトリックの性質によって、特定のハードウェアを要求しない。これは、差動レシオメトリックアーキテクチャが、CDC700等のシングルエンドCDCを形成するために必要な要素のすべてを有し得ることを意味している。特に、CDC700等のCDCは、レシオメトリックアプリケーション用に実装されていてよく、また、特定のハードウェアを要求しない。例えば、シングルエンドアーキテクチャを備える変調器フロントエンド回路が使用されてよい。
【0078】
測定方法はレシオメトリックであるが、シングルエンド変調器フロントエンド回路は、シングルエンド変調器フロントエンド回路が基準電圧源を含んでいる必要がないという点および初期化の方法がアナログバッファを必要としないことがあるという点で、従来の静電容量センシングアーキテクチャ用の差動変調器フロントエンド回路とは異なっていてよい。
【0079】
CDC700は、変調器フロントエンド回路730を含んでいてよい。変調器フロントエンド回路730は、コンパレータ742の第1の入力側に結合されている変調コンデンサ741(加算コンデンサとも称される)を含んでいてよい。コンパレータ742の第2の入力側は接地電位に結合されていてよい。変調器フロントエンド回路730は、処理ユニット160にデジタルビットストリーム(例えば1つまたは複数のデジタル値)を提供するために、デジタル化回路を含んでいてよい、またはデジタル化回路に結合されていてよい。
【0080】
フェーズをコントロールするために信号が使用されてよく、センサクロック周波数、例えばFs周波数によってクロックされてよい。静電容量(例えばセンサセル705のセンサ静電容量712、基準セル715の基準静電容量722、変調静電容量741等)を有している各効果的なコンデンサは、電源電流(本明細書ではIsenと称される)を生成し得る電荷移動回路を形成してよい。
【0081】
(Ph0スイッチおよびPh1スイッチによってそれぞれイネーブル化される)第1のフェーズおよび第2のフェーズは、センサクロック周波数(F
s)によってクロックされ得る非重畳信号によってイネーブル化/ディスエーブル化されてよい。さらに、(Ph0_modスイッチおよびPh1_modスイッチによってそれぞれイネーブル化される)第1の変調信号および第2の変調信号は、ビットストリームによって変調される非重畳信号であってよい。変調信号は、ビットストリーム信号によって変調されてよい。換言すれば、これらは、ビットストリームがハイである場合にのみ、交互に、イネーブル化およびディスエーブル化されてよい。変調信号は変調周波数F
modで変調されてよい。変調周波数は、センサクロック周波数より高くてよい。例えば、変調周波数は、変調周波数よりもK
ref倍、高くてよい。
【数12】
【0082】
基準静電容量C
ref、変調静電容量C
mod、変調スイッチPh0_modおよびPh1_modは、シンク電流I
balを生成する電荷移動回路を形成してよい。同様に、センサ静電容量C
s、変調静電容量C
modおよびスイッチPh0およびPh1が、センシング電通I
senを生成する電荷移動回路を形成してよい。シンク電流およびセンシング電流はそれぞれ
【数13】
【数14】
として表されてよい。
【0083】
シグマデルタ変調器のシグマデルタ変調の結果として、シンク電流は、センシング電流と等しくなるように設計されていてよく、
【数15】
結果として、変調器フロントエンド回路730の分岐上での平均電流I
avgが消滅する(例えばゼロになる)。同様の理由のために、コンパレータ742の第1の入力側での変調された電圧V
modが、ゼロ値を中心に変動する。このような条件は、以下の2つの条件が満たされた場合にのみ、満たされてよい。
【数16】
【数17】
【0084】
CDC700のコンフィグレーションのために、静電容量-コード伝達関数(例えば、ビットストリーム信号のデューティサイクル)は、
【数18】
として表されてよい。
【0085】
特に、式(15)は、静電容量-コード変換(例えば、静電容量-デジタルコード変換(CDC))が、供給電圧VDDAにも、クロック周波数にも関連しないことを示している。したがって、変換はレシオメトリックであり、かつ測定の基準源は基準静電容量C
refである。注目すべきは、基準源電圧がないので(例えば、基準源電圧がゼロであるので)、CDC700がシンプルな初期化スキームを提供することができ、同様に、アクティブシールディングを伴うシンプルな防水静電容量スキャニングを提供することができるということである。これはさらに、
図9に関連して説明される。
【0086】
図8は、実施形態にしたがった、
図7のCDC700の種々のノードでの電圧波形を示している。変調周波数F
modは、最上部に示されている。
図7に関連して記載されたように、第1のスイッチPh0および第2のスイッチPh1は、非重畳信号によってコントロールされてよい。変調スイッチPh0_modおよびPh1_modは、ビットストリーム信号がハイである場合にのみ、変調周波数で変調される非重畳信号によってコントロールされてよい。センシング電流は、第2のスイッチPh1がイネーブル化された場合にピークに達してよく、他方で、シンク電流は、第2の変調スイッチPh1_modがイネーブル化された場合に、ピークに達してよく、これは、図示の例では、ビットストリームがハイのときに3回発生するので、シンク電流は3回、ピークに達してよい。センシング電流とシンク電流とは反対の極性を有しており、各シンク電流ピークの大きさは、センシング電流の大きさの3分の1であってよく、これは平均電流の消滅につながる。したがって、平衡化されたプロセスの間、V
modの変動は、数十ミリボルト未満の値に維持され得る。これは、センサ励起信号(例えばVCs)が、供給電圧VDDAと接地電位との間で変動する矩形の波形を有していることを意味している。
【0087】
図9は、実施形態にしたがった、アクティブシールドドライバ902を備えるCDC900を示している。CDC900は、CDC900がアクティブシールドドライバ902を含んでいるということを除いて、かつセンサセル905が相互静電容量912を含んでおり、2つの寄生静電容量C
PSの影響を受けるということを除いて、CDC700と同じである。CDC900は、アクティブシールディングを伴う防水静電容量スキャニングが可能なCDCである。
【0088】
上述した電流平衡化(例えばI
sen=I
bal)の概略図は、ゼロを中心に変動する変調電圧V
modを維持する。上述したように、平衡化されたプロセスの間、V
modの変動は、数十ミリボルト未満の値に維持され得る。これは、
図8に示されたように、センサ励起信号(例えばVCs)が、供給電圧VDDAと接地電位との間で変動する矩形の波形を有していることを意味している。
【0089】
CDC900に対する防水性を作成するために、アクティブシールドドライバ902は、センサ励起信号を繰り返すシールド波形を有するアクティブシールド信号を生成してよい。アクティブシールド信号は、汎用入力/出力(GPIO)ドライバピン上でのプルアップスイッチおよびプルダウンスイッチによって設計されてよい。換言すれば、センサ静電容量912を含んでいるセンサセル905が、
図7と同じ供給電圧に結合されていてよいが、アクティブシールドドライバ902を介している。
【0090】
図10は、実施形態にしたがった、レシオメトリック自己静電容量-コード変換用に構成されているシングルエンドAFEを備えるCDC1000を示している。CDC1000は、センシング電流I
senおよびシンク電流I
balの極性が両方とも、供給電圧および接地電位が結合されている端子を入れ替えることによって反転されることを除いて、CDC700と同じである。CDC1000のデューティサイクルは、式(9)~(15)によって記載されており、式(9)~(15)によって得られる。
【0091】
全般的に、初期化回路図は、初期化期間の間、変調コンデンサ1041に結合されているバッファされた電圧源を有している。CDC1000は、バッファされた電圧源を必要とせず、さらに、初期化スキームは、1つのプルダウンスイッチ(S_init)のみが存在しているように設計可能である。CDC1000のこの初期化は、CDC1000の全体的な電力消費を低減させ得る。特に、変調コンデンサ1041を充電するための電流は、近似的にゼロであり、アナログバッファは不要である。
【0092】
CDC1000は、0Vと0.1Vとの間の最小入力電圧を可能にするために、電圧コンパレータ1042を含んでいてよい。このような最小入力は、レールツーレール入力コンパレータのための典型的な要件であり、例えばこのために、コモンモードは、正の供給電圧および負の供給電圧の両方を含んでおり、同様に中間供給電圧を含んでいる。コンパレータがVDDAレール電圧のみをサポートする場合に、CDC1000が、使用されてもよい。このようなケースでは、Vmodバランス電圧は、ゼロではなく、VDDAを中心に変動する。センシング静電容量スイッチングはシンク電流I
senを生成してよく、基準静電容量スイッチングはソース電流を生成する。
図11A~
図11Bに関連して記載するように、CDC1000のスキャニング分解能を増大させる2つの方法が存在し得る。
【0093】
図11Aは、実施形態にしたがった、補償分岐1132を備えるレシオメトリック自己静電容量-コード変換用に構成されているCDC1100aを示している。CDCの分解能は、種々の方法で増大可能である。第1に、センサクロック周波数に対する変調器クロック周波数の比率が増大されてよく、また同時に、基準静電容量C
refが低減される。このようなケースでは、CDC1000と同じアーキテクチャが使用可能である。第2に、上述されたように、補償静電容量1132(C
scomp)を備える補償分岐が付加可能である。補償分岐の付加は、CDC1100aによって示されたように、補償分岐の一部としてのスイッチングコンデンサの付加を必要とする。CDC1100aによって示された補償分岐が自己静電容量補償分岐であることは注目に値する。
【0094】
補償スイッチPh0
compおよびPh1
compは、補償分岐クロック周波数F
compを有するクロック源によってスイッチされてよい。いくつかの実施形態では、スイッチPh0
compおよびPh1
compは、Ph0およびPh1と同期してスイッチ可能である。上述の実施形態では、Ph0
compおよびPh1
compのスイッチングが、典型的にセンサクロック周波数F
sでスイッチされるPh0およびPh1のスイッチングと同期される場合に、F
compがF
sと等しくてよい。他の実施形態では、Ph0
compとPh1
compとが別個のクロック信号によってスイッチされる場合に、補償ファクタK
compが規定されてよく、これは、センサクロック周波数に対する補償分岐補償周波数の比率を特徴付け、静電容量-コード伝達関数(デューティサイクル)は、
【数19】
として表されてよい。
【0095】
図11Bは、実施形態にしたがった、分解能の増大を伴う、レシオメトリック自己静電容量-コード変換用に構成されているCDC1100bを示している。CDC1100bは、補償分岐が、相互静電容量1120(C
comp)を伴う相互補償分岐であるということを除いて、
図11AのCDC1100aと同一または類似している。両方のケースにおいて、電流I
compは、Ph0
compおよびPh1
compのスイッチングを介して、補償分岐へ移されてよい。
【0096】
図12は、実施形態にしたがった、レシオメトリック相互静電容量-コード変換用に構成されているシングルエンドAFEを備えるCDC1200を示している。CDC1200は、自己静電容量ではなく、相互静電容量1212(C
M)を含んでいるセンサセルを除いて、
図10のCDC1000と同一または類似している。相互静電容量は、寄生静電容量C
PSによって影響されてもよい。CDC1000のケースのように、スイッチPh0、Ph1と、少なくとも1つのフィードバックスイッチPh
1_fbと、のスイッチングによって、センシング電流I
senと平衡するシンク電流I
balを生じさせ、コンパレータ1242の第1の入力側で、ゼロ平均電流を生じさせる。
【0097】
CDC1200のアーキテクチャは、相互静電容量測定を使用することによって、I
senへの寄生静電容量C
psの影響を除去し、CDC1200のパフォーマンスへのC
PSの影響を除去することができる。また、消滅電圧レベルを中心として、VCsを維持する。CDC1200の静電容量-コード伝達関数は、
【数20】
として表されてよい。
【0098】
図13は、実施形態にしたがった、
図12のCDC1200の種々のノードでの電圧波形を示している。変調周波数F
modは、最上部に示されている。
図7のCDC700および
図8に示された対応する波形に類似して、第1のスイッチPh0および第2のスイッチPh1は、非重畳信号によってコントロールされてよい。変調スイッチPh0_modおよびPh1_modは、ビットストリーム信号がハイである場合にのみ、変調周波数で変調される非重畳信号によってコントロールされてよい。センシング電流は、第2のスイッチPh1がイネーブル化された場合にピークに達してよく、他方で、シンク電流は、第2の変調スイッチPh1_modがイネーブル化された場合に、ピークに達してよく、これは、図示の例では、ビットストリームがハイのときに3回発生するので、シンク電流は3回、ピークに達してよい。センシング電流とシンク電流とは反対の極性を有しており、各シンク電流ピークの大きさは、センシング電流の大きさの3分の1であってよく、これは平均電流の消滅につながる。したがって、平衡化されたプロセスの間、V
modの変動は、数十ミリボルト未満の値に維持され得る。これは、センサ励起信号(例えばVCs)が、供給電圧VDDAと接地電位との間で変動する矩形の波形を有していることを意味している。
【0099】
図14は、実施形態にしたがった、レシオメトリック相互静電容量-コード変換用に構成されているシングルエンドAFEを備えるCDC1400を示している。CDC1400は、センシング電流I
senおよびシンク電流I
balの極性が両方、供給電圧および接地電位が結合されている端子を入れ替えることによって反転されるということを除いて、CDC1200と同じである。
【0100】
CDC1200および1400の分解能を高めるために、
図11Aおよび
図11Bの補償分岐等の補償分岐が付加され得る。このような補償分岐は、DC電流を生成し得る。DC電流は、センシング電流I
senと反対であり、Ph0_modおよびPh1_modに類似して、1つまたは複数の変調スイッチをスイッチングすることによってコントロールされ得る。このケースでは、変調バランス電圧V
modは、およそ供給電圧VDDAであってよい。
【0101】
図15は、実施形態にしたがった、静電容量-デジタルコード変換の方法1500の1つの実施形態のフローチャートである。いくつかの実施形態では、処理ロジックは、方法1500を実施するために使用されてよい。処理ロジックは、ハードウェア、ソフトウェアまたはそれらの任意の組み合わせを含んでいてよい。1つの実施形態では、
図1、3、5、7、9~12または14の処理デバイス160が、方法1500を実施してよい。別の実施形態では、
図1、3、5、6、9~12または14のCDCが、方法1500を実施してよい。択一的に、他のコンポーネントが、方法1500の動作の一部またはすべてを実施するために使用されてよい。
【0102】
ブロック1502で、処理ロジックは、第1のフェーズにおいて、センサセルのセンサ電極を第1の電圧レベルに充電するために供給電圧を印加してよい。ブロック1504では、処理ロジックは、第2のフェーズにおいて、第1の変調コンデンサを充電するために、センサ電極を第1の変調コンデンサに結合してよい。第1の変調コンデンサは、コンパレータの第1の入力側に結合されていてよい。ブロック1506で、処理ロジックは、第3のフェーズにおいて、センサ電極を接地するために、センサ電極を接地電位に結合してよい。ブロック1508で、処理ロジックは、第4のフェーズにおいて、第2の変調コンデンサを放電するために、センサ電極を第2の変調コンデンサに結合してよい。第2の変調コンデンサは、コンパレータの第2の入力側に結合されていてよい。変調器フロントエンド回路は、第1の変調コンデンサ、第2の変調コンデンサおよびコンパレータを含んでおり、デジタルビットストリームを提供する。デジタルビットストリームのデューティサイクルは、センサセルの静電容量と基準セルの基準静電容量との間の比率を表している。いくつかの実施形態では、基準セルは基準電極を含んでおり、基準静電容量は自己静電容量である。他の実施形態では、基準セルは基準電極および第2の基準電極を含んでおり、基準静電容量は相互静電容量である。
【0103】
さらなる実施形態では、処理ロジックは、第1のフェーズにおいて、基準セルの基準電極を第1の電圧レベルに充電するために供給電圧を印加してよい。処理ロジックは、第2のフェーズにおいて、第2の変調コンデンサを充電するために、基準電極を第2の変調コンデンサに結合してよい。処理ロジックは、第3のフェーズにおいて、基準電極を接地するために基準電極を接地電位に結合してよい。処理ロジックは、第4のフェーズにおいて、第1の変調コンデンサを放電するために、基準電極を、第1の変調コンデンサに結合してよい。
【0104】
さらなる実施形態では、処理ロジックは、第1のフェーズにおいて、補償静電容量を有する補償セルの補償電極に供給電圧を印加してよい。処理ロジックは、第2のフェーズにおいて、第2の変調コンデンサを充電するために、補償電極を第2の変調コンデンサに結合してよい。処理ロジックは、第3のフェーズにおいて、補償電極を接地するために補償電極を接地電位に結合してよい。処理ロジックは、第4のフェーズにおいて、第1の変調コンデンサを放電するために、補償電極を第1の変調コンデンサに結合してよい。デジタルビットストリームのデューティサイクルは、基準セルの静電容量と、センサセルの静電容量と補償セルの静電容量との差と、の間の比率である。
【0105】
本明細書に記載されている実施形態は、静電容量センシングシステムの相互静電容量センシングアレイまたは自己静電容量センシングアレイの種々の設計において使用されてよい。1つの実施形態では、静電容量センシングシステムは、アレイでアクティブ化される複数のセンシング要素を検出し、ノイズを実際の信号から分離させるために、隣接するセンシング要素上の信号パターンを分析することができる。本明細書に記載された実施形態は、特定の静電容量性センシングソリューションに縛られておらず、本開示の利益を有する当業者によって理解されるように、光学的なセンシングソリューションを含めた他のセンシングソリューションとも、良好に使用可能である。
【0106】
上述の説明において、多数の詳細が記載されている。しかし、本開示の利益を有する当業者には、本発明の実施形態がこれらの特定の詳細なしで実行され得ることが明らかであろう。場合によっては、説明が不明瞭にならないように、よく知られている構造およびデバイスが、詳細にではなくブロック図の形式で示されている。
【0107】
詳細な説明のいくつかの部分は、コンピュータメモリ内のデータビットに対する操作のアルゴリズムおよび記号表現の観点から提示されている。これらのアルゴリズムの説明および表現は、データ処理技術の当業者が、彼らの仕事の実体を他の当業者に最も効果的に伝えるために使用する手段である。アルゴリズムはここで、かつ全般的に、望ましい結果につながる自己矛盾のない一連のステップであると考えられている。これらのステップは、物理量の物理的な操作を必要とするステップである。通常、必ずしもそうとは限らないが、これらの量は、保存、転送、結合、比較およびその他の方法で操作できる電気信号または磁気信号の形をとる。主に一般的な使用法の理由から、これらの信号をビット、値、要素、記号、文字、用語、数値等と呼ぶと便利な場合がある。
【0108】
しかし、これらの用語および類似の用語のすべては、適切な物理量に関連付けられるべきであり、これらの量に適用される単なる便利なラベルであるということに留意されたい。上述の議論から明らかなように特に明記しない限り、説明全体を通して、「適用する」、「結合する」、「通信する」等の用語を利用する議論は、コンピューティングシステム、または同様の電子コンピューティングデバイスのアクションおよびプロセスを指すことが理解される。これは、コンピューティングシステムのレジスタおよびメモリ内の物理的(例えば電子的)な量として表されるデータを操作し、コンピューティングシステムのメモリまたはレジスタまたは他のそのような情報ストレージデバイス、伝送デバイスまたはディスプレイデバイス内の物理的量として同様に表される他のデータに変換する。
【0109】
「例」または「例示的」という言葉は、本明細書では、例、実例または例示として機能することを意味するために使用される。本明細書で「例」または「例示的」として記載される任意の態様または設計は、必ずしも他の態様または設計よりも好ましいまたは有利であると解釈されるべきではない。むしろ、「例」または「例示」という言葉の使用は、概念を具体的に提示することを目的としている。本出願で使用される場合、「または」という用語は、排他的な「または」ではなく、包括的な「または」を意味することを意図している。つまり、特に明記されていない限り、または文脈から明らかでない限り、「XはAまたはBを含んでいる」は、任意の自然な包括的順列を意味することを意図している。つまり、XがAを含んでいる場合、XがBを含んでいる場合、またはXがAとBとの両方を含んでいる場合、前述のいずれかの場合に「XがAまたはBを含んでいる」が満たされる。さらに、本出願および添付の特許請求の範囲で使用される冠詞「a」および「an」は、他に特定されない限り、または文脈から明確に単数形に向けられていない限り、全般的に「1つまたは複数」を意味すると解釈されるべきである。さらに、全体を通して「実施形態」または「1つの実施形態」または「実装」または「1つの実装」という用語の使用は、そのように説明されない限り、同じ実施形態または実装を意味することを意図していない。
【0110】
本明細書に記載された実施形態は、本明細書の操作を実行するための装置にも関係し得る。この装置は、必要な目的のために特別に構築されていてよく、または汎用コンピュータを含んでいてよく、この汎用コンピュータはコンピュータに格納されているコンピュータプログラムによって選択的に起動または再構成される。このようなコンピュータプログラムは、フロッピーディスク、光ディスク、CD-ROMおよび磁気光学ディスクを含む任意のタイプのディスク、読み取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、EPROM、EEPROM、磁気カードまたは光カード、フラッシュメモリまたは電子命令の格納に適した任意の種類の媒体等、ただしこれらに限定されない、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体に格納されてよい。「コンピュータ可読記憶媒体」という用語は、1つまたは複数の命令のセットを格納する1つの媒体または複数の媒体(例えば、集中型または分散型のデータベースおよび/または関連するキャッシュおよびサーバ)を含むと解釈されるべきである。「コンピュータ可読媒体」という用語はまた、機械によって実行するための一連の命令を格納、符号化、または運ぶことができ、機械に、本実施形態の方法論のいずれか1つまたは複数を実行させる任意の媒体を含むと解釈されるべきである。したがって、「コンピュータ可読記憶媒体」という用語は、ソリッドステートメモリ、光学媒体、磁気媒体、機械によって実行するための一連の命令を格納することができ、機械に、本実施形態の方法論のいずれか1つまたは複数を実行させる任意の媒体を含んでいるが、これらに限定されないと解釈されるべきである。
【0111】
本明細書に提示されたアルゴリズムおよび表示は、任意の特定のコンピュータまたは他の装置に本質的に関連していない。様々な汎用システムが、本明細書の教示にしたがったプログラムとともに使用され得るか、または必要なステップを実行するためのより特殊な装置を構築することが便利であることが証明され得る。これらの様々なシステムに必要な構造は、以下の説明からわかる。さらに、本実施形態は、任意の特定のプログラミング言語を参照して説明されていない。本明細書に記載の実施形態の教示を実施するために、様々なプログラミング言語を使用できることが理解されよう。
【0112】
上述の説明は、本発明のいくつかの実施形態の十分な理解を提供するために、特定のシステム、コンポーネント、方法等の例等の多数の特定の詳細を示している。しかし、本発明の少なくともいくつかの実施形態は、これらの特定の詳細なしで実施され得ることが当業者には明らかであろう。他の例では、よく知られているコンポーネントまたは方法が詳細に説明されていないか、または本発明を不必要に曖昧にすることを回避するために、単純なブロック図の形式で提示されている。したがって、上述の特定の詳細は単なる例示にすぎない。特定の実装は、これらの例示的な詳細とは異なる場合があり、それでも本発明の範囲内であると考えられ得る。
【0113】
上述の説明は、例示を意図するものであり、限定的なものではないということを理解されたい。上述の説明を読んで理解すると、他の多くの実施形態が当業者には明らかになるであろう。したがって、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲を参照して、そのような特許請求の範囲が権利を与えられている同等物の全範囲とともに決定されるべきである。