(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-14
(45)【発行日】2025-01-22
(54)【発明の名称】部品実装装置、部品供給ユニット及び加湿装置
(51)【国際特許分類】
H05K 13/04 20060101AFI20250115BHJP
H05K 13/02 20060101ALI20250115BHJP
【FI】
H05K13/04 Z
H05K13/02 B
(21)【出願番号】P 2021143348
(22)【出願日】2021-09-02
【審査請求日】2024-02-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100176304
【氏名又は名称】福成 勉
(72)【発明者】
【氏名】田中 寛知
【審査官】大塚 多佳子
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-231521(JP,A)
【文献】国際公開第2015/125310(WO,A1)
【文献】特開2011-009315(JP,A)
【文献】特開平07-326888(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/04
H05K 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の部品供給ユニットと、
前記複数の部品供給ユニットが配置される部品供給エリアを備え、かつ当該部品供給エリアと基板との間を移動するヘッドにより前記部品供給ユニットから部品を取り出して、当該部品を前記基板に実装する実装機本体と、を備えた部品実装装置であって、
前記部品供給ユニットは、
部品が収納されたキャリアテープとこのキャリアテープに貼着されることにより収納部品を覆うカバーテープとからなる部品テープを送り出しながら、その途中で前記キャリアテープから前記カバーテープを剥離させることにより所定の部品取出位置に部品を供給するテープフィーダと、
前記部品テープを加湿するとともに、その加湿レベルを変更することが可能な加湿装置と、を含み、
前記テープフィーダは、テープ導入口を有する末端部と、前記テープ導入口から導入された前記部品テープを前記部品取出位置へ案内する案内通路とを備え、
前記加湿装置は、前記テープフィーダの前記末端部に着脱可能に連結されるとともに、当該連結状態において、前記テープ導入口を介して前記案内通路に連通する通路部を備え、当該通路部を通過する前記部品テープを加湿し、
当該部品実装装置は、さらに、部品供給ユニットの前記テープフィーダに装着されている前記部品テープに関する情報に基づき、前記加湿装置の加湿レベルを制御する加湿制御部を含み、
前記加湿制御部は、前記部品供給ユニットが供給する部品の品種及び当該部品が収納されたテープ自体の品種のうちの少なくとも一方に応じて予め定められた加湿レベルで、前記部品テープが加湿されるように前記加湿装置を制御する、ことを特徴とする部品実装装置。
【請求項2】
請求項1に記載の部品実装装置において、
前記加湿制御部は、前記実装機本体の稼働中にのみ前記部品テープの加湿が行われるように前記加湿装置を制御する、ことを特徴とする部品実装装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の部品実装装置において、
前記加湿制御部は、前記複数の部品供給ユニットのうち、稼働中の部品供給ユニットについてのみ、前記部品テープの加湿が行われるように前記加湿装置を制御する、ことを特徴とする部品実装装置。
【請求項4】
請求項
1乃至3の何れか一項に記載の部品実装装置において、
前記加湿装置は、前記テープフィーダの前記末端部に対して磁石で固定されている、ことを特徴とする部品実装装置。
【請求項5】
請求項1乃至
4の何れか一項に記載の部品実装装置において、
前記加湿装置は、水を含浸させた状態で保水する保水部材と、この保水部材に対して前記部品テープを押し付ける押付機構とを備え、
前記加湿制御部は、前記定められた加湿レベルで前記部品テープが加湿されるように、前記押付機構による前記保水部材に対する前記部品テープの押付け動作を制御する、ことを特徴とする部品実装装置。
【請求項6】
請求項1乃至
4の何れか一項に記載の部品実装装置において、
前記加湿装置は、加湿用の水が貯溜される貯水部と、当該貯水部に貯溜された水に超音
波振動を生じせることでミストを発生させる超音波振動子と、を備え、
前記加湿制御部は、前記定められた加湿レベルで前記部品テープが加湿されるように、前記超音波振動子の動作を制御する、ことを特徴とする部品実装装置。
【請求項7】
請求項1乃至
6の何れか一項に記載の部品実装装置において、
前記部品供給エリアには、複数のセット溝が互いに平行に設けられており、
前記部品供給ユニットは、前記テープフィーダ及び前記加湿装置各々の少なくとも一部が前記セット溝に挿入された状態で前記部品供給エリアに配置されている、ことを特徴とする部品実装装置。
【請求項8】
複数の部品供給ユニットと、
前記複数の部品供給ユニットが配置される部品供給エリアを備え、かつ当該部品供給エリアと基板との間を移動するヘッドにより前記部品供給ユニットから部品を取り出して、当該部品を前記基板に実装する実装機本体と、を備えた部品実装装置であって、
前記部品供給ユニットは、
部品が収納されたキャリアテープとこのキャリアテープに貼着されることにより収納部品を覆うカバーテープとからなる部品テープを送り出しながら、その途中で前記キャリアテープから前記カバーテープを剥離させることにより所定の部品取出位置に部品を供給するテープフィーダと、
前記部品テープを加湿するとともに、その加湿レベルを変更することが可能な加湿装置と、を含み、
当該部品実装装置は、さらに、部品供給ユニットの前記テープフィーダに装着されている前記部品テープに関する情報に基づき、前記加湿装置の加湿レベルを制御する加湿制御部を含み、
前記加湿装置は、水を含浸させた状態で保水する保水部材と、この保水部材に対して前記部品テープを押し付ける押付機構とを備え、
前記加湿制御部は、前記部品供給ユニットが供給する部品の品種及び当該部品が収納されたテープ自体の品種のうちの少なくとも一方に応じて予め定められた加湿レベルで、前記部品テープが加湿されるように、前記押付機構による前記保水部材に対する前記部品テープの押付け動作を制御する、ことを特徴とする部品実装装置。
【請求項9】
請求項1乃至8の何れか一項に記載の部品実装装置に搭載される部品供給ユニットであって、
部品が収納されたキャリアテープとこのキャリアテープに貼着されることにより収納部品を覆うカバーテープとからなる部品テープを送り出しながら、その途中で前記キャリアテープから前記カバーテープを剥離させることにより所定の部品取出位置に部品を供給するテープフィーダと、
前記部品テープを加湿するとともに、その加湿レベルを変更することが可能な加湿装置と、を含み、
前記加湿装置は、前記加湿制御部の制御を受けることが可能に構成されている、ことを特徴とする部品供給ユニット。
【請求項10】
部品が収納されたキャリアテープとこのキャリアテープに貼着されることにより収納部品を覆うカバーテープとからなる部品テープを送り出しながら、その途中で前記キャリアテープから前記カバーテープを剥離させることにより所定の部品取出位置に部品を供給するテープフィーダであって、かつテープ導入口を有する末端部と、前記テープ導入口から導入された前記部品テープを前記部品取出位置へ案内する案内通路とを備えテープフィーダと共に、請求項9に記載の部品供給ユニットを構成する加湿装置であって、
前記テープフィーダの前記末端部に着脱可能に連結される連結部を備え、前記末端部への連結状態において前記テープ導入口を介して前記案内通路に連通する通路部を備え、当該通路部を通過する前記部品テープを加湿するように構成されている、ことを特徴とする加湿装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品を基板上に搬送して実装する部品実装装置に関し、特に、部品の供給にテープフィーダが用いられる部品実装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
テープフィーダが搭載された部品実装装置では、テープフィーダに装着された部品テープにおいて、カバーテープがキャリアテープから剥離される際に静電気が発生する場合がある。静電気による部品テープの帯電は、キャリアテープのポケット内での部品の位置ずれやカバーテープへの部品の貼り付きなどの現象を誘発し、ヘッドによる部品の吸着ミスにつながる。
【0003】
このようなトラブルを回避するために、部品テープの帯電を抑制するための技術が検討されている。例えば,特許文献1には、部品テープの搬送路の途中に備えられた加湿装置により部品テープを加湿するテープフィーダが開示されている。また、特許文献2には、複数のテープフィーダをカバーで一体に覆い、そのカバー内に設置された加湿装置により、各テープフィーダの部品テープを加湿するように構成された部品実装装置が開示されている。加湿装置は、いずれも加湿された空気を吐出するタイプの装置であり、カバーテープの剥離により発生した静電気を大気中に逃げ易くすることにより、部品テープの帯電を抑制する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2009-231521号公報
【文献】特開2010-103439号広報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1、2に開示される技術によれば、部品テープの帯電を抑制する上で有効と言える。しかし、これらの技術は、いずれも特定の加湿レベルで一律に部品テープを加湿する技術であり、特許文献1、2には、部品実装装置に搭載される複数のテープフィーダについて、部品テープに適した加湿レベルの管理についての言及は見られない。つまり、部品の構造や機能、若しくは部品が収容されているテープ自体(キャリアテープ及びカバーテープ)の構造や材質によって許容される加湿レベルは異なるため、同じ加湿レベルで一律に加湿を行う場合には、部品の損傷やテープ自体の変形などのトラブルを招くことが考えられる。なお、特許文献1、2には、加湿装置における加湿レベルを調整できることの記載はあるが、個々のテープフィーダに装着された部品テープに適した加湿レベルを管理することについての言及はない。
【0006】
本発明は、既述のような事情に鑑みてなされたものであり、部品テープを用いて部品が供給される部品実装装置において、部品や部品が収納されたテープ自体が影響を受けることを抑制しながら、部品テープを加湿することができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一局面に係る部品実装装置は、複数の部品供給ユニットと、前記複数の部品供給ユニットが配置される部品供給エリアを備え、かつ当該部品供給エリアと基板との間を移動するヘッドにより前記部品供給ユニットから部品を取り出して、当該部品を前記基板に実装する実装機本体と、を備えた部品実装装置であって、前記部品供給ユニットは、部品が収納されたキャリアテープとこのキャリアテープに貼着されることにより収納部品を覆うカバーテープとからなる部品テープを送り出しながら、その途中で前記キャリアテープから前記カバーテープを剥離させることにより所定の部品取出位置に部品を供給するテープフィーダと、前記部品テープを加湿するとともに、その加湿レベルを変更することが可能な加湿装置と、を含み、当該部品実装装置は、さらに、部品供給ユニットの前記テープフィーダに装着されている前記部品テープに関する情報に基づき、前記加湿装置の加湿レベルを制御する加湿制御部を含み、前記加湿制御部は、前記部品供給ユニットが供給する部品の品種及び当該部品が収納されたテープ自体の品種のうちの少なくとも一方に応じて予め定められた加湿レベルで、前記部品テープが加湿されるように前記加湿装置を制御する。
【0008】
この部品実装装置では、部品供給ユニットによって部品が供給される。部品供給ユニットはテープフィーダと加湿装置とを含み、テープフィーダが、部品テープを移動させながら部品を所定の部品取出位置に供給し、その部品テープを加湿装置が加湿する。このように部品テープが加湿されることにより、部品テープの帯電が抑制乃至防止される。その場合、加湿制御部による加湿装置の制御により、部品の品種又は当該部品が収納されたテープ自体(キャリアテープ及びカバーテープ)の品種に応じて定められた加湿レベルで、部品テープが加湿される。従って、この部品実装装置によれば、部品の品種や、当該部品が収納されたテープ自体の品種に応じた、より適切な加湿が実現される。つまり、部品や部品が収納されたテープ自体が影響を受けることを抑制しながら、部品テープを加湿することができる。
また、加湿装置により部品テープを加湿しながら、当該加湿後の部品テープをテープ導入口からテープフィーダに導入することが可能となる。さらに、テープフィーダから加湿装置を取り外した状態では、リール等に巻回された部品テープを、直接、テープ導入口からテープフィーダに導入することが可能となる。よって、加湿装置の有無を変更することが可能となる。
【0009】
上記部品実装装置において、前記加湿制御部は、前記実装機本体の稼働中にのみ前記部品テープの加湿が行われるように前記加湿装置を制御するのが好適である。
【0010】
この構成によれば、エラーストップなどによる実装機本体の停止中に、部品テープが過剰に加湿されることが抑制される。
【0011】
上記部品実装装置において、前記加湿制御部は、前記複数の部品供給ユニットのうち、稼働中の部品供給ユニットについてのみ、前記部品テープの加湿が行われるように前記加湿装置を制御するのが好適である。
【0012】
この構成によれば、実際に稼働中の部品供給ユニットについてのみ、部品テープの加湿が行われるため、停止中の部品供給ユニットについて、部品テープが過剰に加湿されることが抑制される。従って、複数品種の基板の生産に使用する複数の部品供給ユニットを予め部品供給エリアに配置しておき、実際に生産する基板(品種)に対応する部品供給ユニットのみを選択に稼働させるような生産形態が採られる場合に、停止中の部品供給ユニットについて部品テープが過剰に加湿されることが抑制される。
【0015】
この場合、前記加湿装置は、前記後端部に対して磁石で固定されているのが好適である。この構成によれば、簡単な構成で、又簡単な操作(作業)でテープフィーダに対して加湿装置を着脱することが可能となる。
【0016】
上記部品実装装置において、前記加湿装置は、水を含浸させた状態で保水する保水部材と、この保水部材に対して前記部品テープを押し付ける押付機構とを備え、前記加湿制御部は、前記定められた加湿レベルで前記部品テープが加湿されるように、前記押付機構による前記保水部材に対する前記部品テープの押付け動作を制御するように構成されていてもよい。
【0017】
この構成では、保水部材に対して部品テープが押し付けられることにより保水部材から水が染み出し、この水によって部品テープが濡れることで、部品テープが加湿される。その際、加湿制御部により、保水部材に対する部品テープの押付け動作が制御されることで、部品テープが定められた加湿レベルで加湿される。従って、部品テープを、予め定められた加湿レベルで適切に加湿することが可能となる。
【0018】
なお、上記部品実装装置において、前記加湿装置は、加湿用の水が貯溜される貯水部と、当該貯水部に貯溜された水に超音波振動を生じせることでミストを発生させる超音波振動子と、を備え、前記加湿制御部は、前記定められた加湿レベルで前記部品テープが加湿されるように、前記超音波振動子の動作を制御するように構成されていてもよい。
【0019】
この構成では、超音波振動子の作動により貯水部に貯溜された水からミストが発生し、このミストによって部品テープが濡れることで、部品テープが加湿される。その際、加湿制御部により、前記超音波振動子の動作が制御さることで、部品テープが定められた加湿レベルで加湿される。従って、部品テープを、定められた加湿レベルで適切に加湿することが可能となる。
【0020】
上記部品実装装置において、前記部品供給エリアには、複数のセット溝が互いに平行に設けられており、前記部品供給ユニットは、前記テープフィーダ及び前記加湿装置の各々少なくとも一部が前記セット溝に挿入された状態で前記部品供給エリアに配置されているのが好適である。
【0021】
この構成によれば、部品供給ユニット(テープフィーダ及び加湿装置)を位置決めした状態で安定的に部品供給エリアに配置することが可能となる。
なお、本発明の一局面に係る他の部品実装装置は、複数の部品供給ユニットと、前記複数の部品供給ユニットが配置される部品供給エリアを備え、かつ当該部品供給エリアと基板との間を移動するヘッドにより前記部品供給ユニットから部品を取り出して、当該部品を前記基板に実装する実装機本体と、を備えた部品実装装置であって、前記部品供給ユニットは、部品が収納されたキャリアテープとこのキャリアテープに貼着されることにより収納部品を覆うカバーテープとからなる部品テープを送り出しながら、その途中で前記キャリアテープから前記カバーテープを剥離させることにより所定の部品取出位置に部品を供給するテープフィーダと、前記部品テープを加湿するとともに、その加湿レベルを変更することが可能な加湿装置と、を含み、当該部品実装装置は、さらに、部品供給ユニットの前記テープフィーダに装着されている前記部品テープに関する情報に基づき、前記加湿装置の加湿レベルを制御する加湿制御部を含み、前記加湿装置は、水を含浸させた状態で保水する保水部材と、この保水部材に対して前記部品テープを押し付ける押付機構とを備え、前記加湿制御部は、前記部品供給ユニットが供給する部品の品種及び当該部品が収納されたテープ自体の品種のうちの少なくとも一方に応じて予め定められた加湿レベルで、前記部品テープが加湿されるように、前記押付機構による前記保水部材に対する前記部品テープの押付け動作を制御する、構成であってもよい。
【0022】
一方、本発明の一局面に係る部品供給ユニットは、上述した部品実装装置に搭載される部品供給ユニットであって、部品が収納されたキャリアテープとこのキャリアテープに貼着されることにより収納部品を覆うカバーテープとからなる部品テープを送り出しながら、その途中で前記キャリアテープから前記カバーテープを剥離させることにより所定の部品取出位置に部品を供給するテープフィーダと、前記部品テープを加湿するとともに、その加湿レベルを変更することが可能な加湿装置と、を含み、前記加湿装置が、前記加湿制御部の制御を受けることが可能に構成されている。
【0023】
この部品供給ユニットによれば、既述のような実装機本体に搭載されることにより、部品テープを、これに収納された部品の品種やテープ自体の品種に応じて、より適切に加湿することが可能となる。
【0024】
また、本発明の一局面に係る加湿装置は、部品が収納されたキャリアテープとこのキャリアテープに貼着されることにより収納部品を覆うカバーテープとからなる部品テープを送り出しながら、その途中で前記キャリアテープから前記カバーテープを剥離させることにより所定の部品取出位置に部品を供給するテープフィーダであって、かつテープ導入口を有する末端部と、前記テープ導入口から導入された前記部品テープを前記部品取出位置へ案内する案内通路とを備えテープフィーダと共に、請求項9に記載の部品供給ユニットを構成する加湿装置であって、前記テープフィーダの前記末端部に着脱可能に連結される連結部を備え、前記末端部への連結状態において前記テープ導入口を介して前記案内通路に連通する通路部を備え、当該通路部を通過する前記部品テープを加湿するように構成されている。
【0025】
この加湿装置によれば、テープフィーダの末端部に連結することにより、当該テープフィーダと共に、部品テープを加湿することが可能な、既述のような部品供給ユニットを構成することができる。
【発明の効果】
【0026】
以上説明した本発明によれば、部品テープを用いて部品が供給される部品実装装置において、部品や部品が収納されたテープ自体が影響を受けることを抑制しながら、部品テープを加湿することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明に係る部品実装装置の全体構成を示す平面図である。
【
図2】部品供給ユニット(第1実施形態)を示す側面図である。
【
図3】部品供給ユニット(主に加湿装置)の断面図である。
【
図4】加湿装置の断面図(
図3のIV-IV線断面図)である。
【
図6】部品実装装置の制御系の構成を示すブロック図である。
【
図7】加湿装置制御部による加湿制御のフローチャートである。
【
図8】個別加湿処理制御のフローチャート(サブルーチン)である。
【
図9】(a)~(c)は、レベル毎の加湿動作を示す加湿装置の模式図である。
【
図10】部品供給ユニット(第2実施形態)の断面図である。
【
図11】部品供給ユニット(第3実施形態)の断面図である。
【
図12】(a)~(c)は、レベル毎の加湿動作を示す加湿装置の模式図である。
【
図13】部品供給ユニット(第4実施形態)の断面図である。
【
図14】加湿装置の断面図(
図13のXIV-XIV線断面図)である。
【
図15】加湿装置の断面図(
図13のXV-XV線断面図)である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0029】
[部品実装装置1の全体構成]
図1は、本発明の実施形態に係る部品実装装置1の全体構成を示す、上面視の平面図である。部品実装装置1は、電子部品等の部品をプリント基板等の基板Pに実装する装置である。部品実装装置1は、基台3、コンベア4、部品供給エリア5、ヘッドユニット6、及び部品認識カメラ16を備えた実装機本体2と、この実装機本体2の前記部品供給エリア5に配置された部品供給ユニット25とを含む。
【0030】
基台3は、部品実装装置1が備える各種機器の搭載ベースである。コンベア4は、基台3上にX方向に延びるように設置された、基板Pの搬送ラインであり、一対のベルト式コンベア4aで構成されている。コンベア4は、機外から所定の実装作業位置に基板Pを搬入し、実装作業後に基板Pを実装作業位置から機外へ搬出する。コンベア4は、基板Pを実装作業位置で保持する図略のクランプ機構を有する。なお、
図1中に示す基板Pの位置が、実装作業位置である。
【0031】
部品供給エリア5は、Y方向において、コンベア4の両側に各々設けられている。部品供給エリア5には、実装部品を供給する各種デバイスが配置される。当例では、各部品供給エリア5に、各々、複数の部品供給ユニット25が並列に配置されている。部品供給ユニット25については、後に詳述する。
【0032】
ヘッドユニット6は、部品供給エリア5において部品をピッキングし、実装作業位置へ移動すると共に、基板Pに部品を実装する。ヘッドユニット6は、ピッキングの際に部品を吸着して保持し、実装の際に保持している部品をリリースする軸状の複数のヘッド7を備える。ヘッド7は、ヘッドユニット6に対する昇降と、軸回りの回転移動とが可能であり、モータを駆動源とするヘッド駆動機構8(
図6)によって駆動される。
【0033】
実装機本体2は、少なくとも部品供給エリア5と実装作業位置に保持された基板Pとの間の上方空間において、ヘッドユニット6を水平方向(X及びY方向)に移動させるヘッドユニット駆動機構10を備える。ヘッドユニット駆動機構10は、直交型ロボットで構成されている。すなわち、ヘッドユニット駆動機構10は、基台3に設置された一対の高架フレームに各々固定された固定レール12と、固定レール12に沿ってY方向に移動するビーム14と、ビーム14に沿ってX方向に移動する図外のユニット支持部とを備える。このユニット支持部にヘッドユニット6が組付けられている。ビーム14及びユニット支持部材は各々モータの駆動力で移動する。これらビーム14及びユニット支持部材の移動により、ヘッドユニット6がX-Y方向の任意の位置に移動する。
【0034】
部品認識カメラ16は、ヘッドユニット6により部品供給エリア5から基板Pへ搬送される部品を撮像する。よって、部品認識カメラ16は、基台3上の各部品供給エリア5と実装作業位置(コンベア4)との間に配置されている。部品認識カメラ16が撮像した画像に基づきヘッド7による部品の吸着状態が認識され、その認識結果に基づきヘッドユニット6の移動時の目標位置が補正される。これにより基板Pに対する部品の実装位置の精度が高められる。
【0035】
[部品供給ユニット25(第1実施形態)の構成]
図2は、前記部品供給エリア5に配置される部品供給ユニット25の側面図である。詳しくは、コンベア4のY1側の部品供給エリア5に配置された部品供給ユニット25の側面図である。部品供給ユニット25は、コンベア側(
図2ではY2側)が「前」で、その反対側が「後」である。
【0036】
部品供給ユニット25は、前後方向(Y方向)に対して幅方向(X方向)の寸法が小さい扁平な形状を有している。部品供給ユニット25は、部品供給エリア5に設けられたユニット取付台20の上に配置されている。ユニット取付台20は、X方向に延在するプレート状のベース部21と、このベース部21のコンベア側端部から上方に立ち上がるユニット固定部22とを含む。ベース部21には、Y方向に延在するガイドレール部21a(本発明の「セット溝」に相当する)が、X方向に一定間隔で複数形成されている。ガイドレール部21aは、ベース部21の上面に形成された位置決め用の溝である。部品供給ユニット25は、後述するように、このガイドレール部21aによりX方向に位置決めされた状態で、ユニット取付台20に支持されている。
【0037】
部品供給ユニット25は、テープフィーダ26と、その後端に着脱可能に連結された加湿装置28とで構成される。
【0038】
テープフィーダ26は、周知のテープフィーダと基本的な構成は同じである。すなわち、テープフィーダ26は、リボン状(帯状)の部品テープ80を送り出しながら、当該部品テープ80に収納されているチップ抵抗などの実装部品(以下、単に部品と称す)を、前記ヘッド7による所定の部品取出位置P1に供給(搬送)する。部品テープ80は、図外のリールに巻回されている。リールは部品供給ユニット25の後方(
図2のY1側)であって且つユニット取付台20の下方に配置されている。テープフィーダ26は、当該リールから部品テープ80を引き出しながら部品取出位置P1に送出する。
【0039】
図5は、部品テープ80の一例を示す斜視図である。部品テープ80は、部品Cが収容されるキャリアテープ82と、これに貼着されるカバーテープ84とで構成されている。キャリアテープ82は、合成樹脂又は紙材で形成されており、カバーテープ84は合成樹脂で形成されている。
【0040】
キャリアテープ82には、上向きに開口する複数のポケット83a(部品収納部)が長手方向に一定間隔で形成されており、各ポケット83aに部品Cが収納されている。キャリアテープ82の幅方向一端寄りの位置には、厚み方向に貫通する係合孔83bが、長手方向に一定間隔で形成されている。
【0041】
カバーテープ84は、フィルム状のシートであり、ポケット83aの開口を覆うように、キャリアテープ82の長手方向に亘って貼付けられている。このカバーテープ84がキャリアテープ82から剥離されることで、ポケット83a内の部品Cの取り出しが可能となる。
【0042】
テープフィーダ26は、フレームに相当する、例えばアルミダイキャスト製のフィーダ本体30と、このフィーダ本体30に備えられるクランプ31、テープ送出機構32、テープ引取機構34、テープ剥離部材36及びカバーテープ回収部38とを有する。
【0043】
フィーダ本体30は、ユニット取付台20のユニット固定部22に支持される本体前部30aと、ベース部21に支持される本体後部30bとを有する。本体後部30bの下面には、前後方向に延びる凸部301が形成されており、また、本体後部30bの前端部には、クランプ31が設けられている。凸部301は、ベース部21の前記ガイドレール部21aに挿入され、クランプ31は、ユニット固定部22に係止されている。この構成により、テープフィーダ26は、X方向に位置決めされた状態でユニット取付台20に固定されている。
【0044】
フィーダ本体30には、前後方向に延在するテープ通路302(
図3参照)が形成されている。テープ通路302(本発明の「案内通路」に相当する)は、フィーダ本体30における後端下部から前端上部に向かって延びている。部品テープ80は、フィーダ本体30の後面30c(末端部)に設けられたテープ導入口303からテープ通路302に導入され、このテープ通路302に沿ってフィーダ本体30の前端上部に案内される。そして、フィーダ本体30の前側上部に設けられたテープ剥離部材36とフィーダ本体30の上面との間に案内される。
【0045】
テープ剥離部材36は、部品テープ80からカバーテープ84を剥離させるための部材である。テープ剥離部材36には、フィーダ本体30の幅方向(X方向)に延びる図外のスリットが形成されている。部品テープ80のうち、カバーテープ84は、このスリットの縁部で後方に折り返され、後記テープ引取機構34に引き取られる。この引取りにより、キャリアテープ82からカバーテープ84が引き剥がされて、スリット前方に位置する前記部品取出位置P1においてポケット83aが上方に開放される。これにより、ヘッド7による部品の取り出しが可能となる。
【0046】
テープ送出機構32は、部品テープ80をリールから引出しながらテープ導入口303に沿って送り出す機構である。テープ送出機構32は、フィーダ本体30の本体前部30aに配置されている。テープ送出機構32は、送出モータ322と、スプロケット321と、送出モータ322の回転駆動力をスプロケット321に伝達するギア列323とを含む。スプロケット321の歯は、部品テープ80の前記係合孔83bに係合しており、スプロケット321が回転駆動されることで、部品テープ80がリールから引出されて部品取出位置P1に送り出される。
【0047】
テープ引取機構34は、キャリアテープ82(部品テープ80)からカバーテープ84を引き剥がすための機構である。テープ引取機構34は、フィーダ本体30の本体後部30bの上方に配置されている。テープ引取機構34は、引取モータ343と、引取ローラ341と、ピンチローラ342と、引取モータ343の回転駆動力を引取ローラ341に伝達するギア列344とを含む。
【0048】
引取ローラ341及びピンチローラ342は、互いに噛合する歯車である。テープ剥離部材36によりキャリアテープ82から剥離されて折り返されたカバーテープ84は、これら引取ローラ341とピンチローラ342との間に噛み込まれており、引取ローラ341が回転駆動されることで、カバーテープ84が引き取られる。この際、前記テープ送出機構32によるテープ送り動作とテープ引取機構34によるテープ引取り動作が同期して行われる。
【0049】
フィーダ本体30におけるテープ引取機構34の後方には、カバーテープ回収部38が形成されている。カバーテープ回収部38は、フィーダ本体30に形成された空間部分である。テープ引取機構34により引き取られたカバーテープ84は、このカバーテープ回収部38内に収納される。
【0050】
なお、
図2中において、符号40は、テープフィーダ26の駆動を制御するドライバ基板であり、具体的には送出モータ322及び引取モータ343の駆動を制御する。また、符号42は、後記加湿装置28の駆動を制御するためのドライバ基板であり、具体的には、後記巻取モータ606の駆動を制御する。
【0051】
ドライバ基板40、42は、フィーダ本体30の下辺部に沿って配置されている。ドライバ基板40、42は、実装機本体2に搭載される後記コントローラ70と通信可能に接続されている。具体的には、フィーダ本体30の本体後部30bの前面にコネクタ44が設けられる一方、ユニット取付台20のユニット固定部22の後面にコネクタ45が設けられており、これらコネクタ44、45の嵌合により、ドライバ基板40、42とコントローラ70とが電気的に接続されている。
【0052】
図3及び
図4は、部品供給ユニット25の主に加湿装置28を示す断面図である。加湿装置28は、リールから引き出された部品テープ80を、テープフィーダ26への導入に先立ち加湿するためのデバイスである。既述の通り、キャリアテープ82からカバーテープ84が剥離される際には静電気が発生し易いため、当該加湿装置28により部品テープ80を加湿することで、当該部品テープ80の帯電が抑制乃至防止される。
【0053】
加湿装置28は、例えば合成樹脂製の箱形の装置本体50と、この装置本体50に組み込まれる押付機構60とを有する。装置本体50は、前後方向(Y方向)に対して幅方向(X方向)の寸法が小さい扁平で、且つ上下方向にやや細長い直方体形状を有している。装置本体50の幅方向の寸法は、テープフィーダ26の幅方向の寸法と同等である。
【0054】
装置本体50の前面にはマグネット66(連結部)が備えられている。このマグネット66と、テープフィーダ26(フィーダ本体30)の後面30cに固定されたマグネット68とが互いに磁力で吸着、固定されている。これにより、加湿装置28がテープフィーダ26に対して着脱可能に連結されている。なお、マグネット66、68は、テープフィーダ26と加湿装置28との連結状態を維持したまま、ユニット取付台20に対して部品供給ユニット25を着脱出できる程度の磁力を有する。
【0055】
装置本体50の下面には、前後方向に延びる凸部501が形成されている。この凸部501は、テープフィーダ26の凸部301と同様、ユニット取付台20のガイドレール部21aに挿入されている。これにより、加湿装置28は、テープフィーダ26と共にX方向に位置決めされた状態で、換言すれば、テープフィーダ26に対して前後一列に並んだ状態で、安定的にユニット取付台20に支持されている。
【0056】
装置本体50の内部は、略水平に形成された隔壁52によって上側の貯水室54aと下側の機械室54bとに仕切られている。上側の貯水室54aは、加湿用の水(Wa)が貯溜される空間である。隔壁52には、上下方向に貫通する開口部52aが形成されるとともに、この開口部52aを塞ぐように保水部材56が固定されている。
【0057】
保水部材56は、例えば柔軟性を有した多孔質部材からなり、貯水室54a内の水を浸潤させた状態で保持するとともに、所定値以上の押圧力を受けることにより、その押圧力に応じた水を染み出させる機能を有する。保水部材56は、例えばウレタンフォーム(発泡ポリウレタン樹脂)で構成されており、少なくともその底面は、水平かつ平坦な、平面視で前後方向に細長い長方形の形状を有している。
【0058】
装置本体50の後面であって前記隔壁52よりも下方位置には、テープ導入口50aが形成されている。また、装置本体50の前面のうち、テープ導入口50aに対向する位置には、テープ導出口50bが形成されている。リールから引き出された部品テープ80は、これらテープ導入口50a及びテープ導出口50bを介して装置本体50の機械室54bを通過し、前記テープ導入口303からテープフィーダ26の前記テープ通路302に導入されている。
【0059】
機械室54bには、押付機構60が配置されている。押付機構60は、機械室54bを通過する部品テープ80を押付プレート601によって下方から保水部材56に押付けるための機構である。保水部材56に部品テープ80が押付けられると、保水部材56から水が染み出て部品テープ80が濡れる。これにより部品テープ80が加湿される。なお、機械室54bは、テープ導入口50a及びテープ導入口303を介してテープフィーダ26のテープ通路302に連通しており、よって、本発明の「通路部」に相当する。
【0060】
押付機構60は、具体的には、前記押付プレート601と、押付プレート601を支持するコイルスプリング602と、リール605と、リール605に巻回されてその一端が押付プレート601に連結されたワイヤ603と、リール605を回転駆動すると共にその回転方向を切替可能な巻取モータ606と、従動ローラ604とを備えている。
【0061】
押付プレート601は、保水部材56の下面に沿って前後方向に延びる、平面視長方形の、例えば樹脂製プレートである。コイルスプリング602は、上下方向に弾性的に伸縮可能に設けられ、押付プレート601の下面中心部を支持している。ワイヤ603は、リール605から引き出され、従動ローラ604を介してコイルスプリング602の下端からその中心部に導入され、当該コイルスプリング602の内側を通って押付プレート601の下面中心部に連結されている。
【0062】
つまり、巻取モータ606によってリール605がワイヤ603を送り出す方向に回転駆動されると、コイルスプリング602の段発力により押付プレート601が上昇する。この押付プレート601の上昇に伴い部品テープ80が保水部材56に押付けられる。逆に、ワイヤ603を巻き取る方向にリール605が回転駆動されると、コイルスプリング602の段発力に抗して押付プレート601が下降する。この押付プレート601の下降に伴い部品テープ80が保水部材56から引き離される。
【0063】
加湿装置28は、既述のような押付機構60の動作により、部品テープ802を保水部材56に押し付けることで、部品テープ80を加湿する。なお、テープフィーダ26(フィーダ本体30)の後面30cにはコネクタ64が設けられ、加湿装置28(装置本体50)の前面には、当該加湿装置28がテープフィーダ26に連絡された状態で前記コネクタ64に嵌合するコネクタ62が設けられている。これらコネクタ62、64の嵌合により、前記巻取モータ606とドライバ基板42とが電気的に接続されている。
【0064】
[部品実装装置1の制御系]
図6は、部品実装装置1の制御系を示すブロック図である。部品実装装置1は、同図に示すようコントローラ70を備えている。コントローラ70は、周知のマイクロコンピュータをベースとして構成されており、各種プログラムを実行するCPU(中央演算処理装置)と、プログラムや各種データを記憶するためのROM及びRAM等のメモリとを備える。コントローラ70は、その機能構成として、実装制御部71、部品供給ユニット制御部72、記憶部73及び通信制御部74を含む。
【0065】
実装制御部71は、記憶部73に記憶されている実装プログラムD1および各種データに基づき、ヘッド7による所定の部品実装動作が実行されるように、ヘッドユニット駆動機構10及びヘッド駆動機構8の駆動を制御する。
【0066】
部品供給ユニット制御部72は、フィーダ制御部72a及び加湿装置制御部72bを含む。フィーダ制御部72aは、主にテープフィーダ26の動作を制御する機能を有する。フィーダ制御部72aは、後記通信制御部74を介してテープフィーダ26のドライバ基板40に制御信号に出力する。これにより、ヘッド7による部品実装動作に同期して部品取出位置P1に部品が供給されるようにテープフィーダ26の動作を制御する。
【0067】
加湿装置制御部72b(本発明の「加湿制御部」に相当する)は、加湿装置28の動作を制御する機能を有する。加湿装置制御部72bは、記憶部73に予め記憶されている加湿データD2に基づき、後記通信制御部74を介して前記ドライバ基板42に制御信号出力する。これにより、部品の品種に対応した加湿レベルで部品テープ80が加湿されるように加湿装置28の動作を制御する。加湿データD2は、部品テープ80に収納された部品と加湿装置28による加湿レベルとの関係を定めたデータである。加湿レベルとは、部品テープ80を加湿する度合であり、加湿データD2では、例えば湿気に強い部品は、弱い部品に比して相対的に加湿レベルが高くなるようにレベルが設定されている。
【0068】
通信制御部74は、実装機本体2にセットされた各部品供給ユニット25との通信を制御すると共に、及び部品実装装置1の外部に設けられた外部データ管理部75との通信を制御する。外部データ管理部75には、部品供給ユニット25や部品テープ80に関する各種データが記憶されている。各種データには、部品実装装置1にセットされた部品供給ユニット25と部品とを紐付けしたユニット情報、すなわち、部品供給ユニット25とそれに装着された部品テープ80により供給される部品との関係を示すデータが含まれる。ユニット情報D3は、例えば実装作業前の準備作業において、オペレータが、部品供給ユニット25に付された二次元コード等の識別標識と、当該部品供給ユニット25に装着される部品テープ80のリールに付された二次元コード等の識別標識とを読み取り装置によって読み取ることにより自動的に作成されて、外部データ管理部75に記憶される。
【0069】
[部品テープ80の加湿制御]
図7は、加湿装置制御部72bによる部品テープ80の加湿制御の一例を示すフローチャートである。このフローチャートがスタートすると、加湿装置制御部72bは、通信制御部74を介して外部データ管理部75からユニット情報D3を取得する(ステップS1)。このユニット情報D3の取得により、加湿装置制御部72bは、各部品供給ユニット25が供給する部品を認識する。なお、テープフィーダ26のドライバ基板40には、当該テープフィーダ26が備えられる部品供給ユニット25の識別情報を示すデータ(識別データD4という)が記憶されている。部品供給ユニット25がユニット取付台20にセットされてドライバ基板40とコントローラ70とが通信可能に接続されると、この識別データD4がコントローラ70に読み出される。この識別データD4と前記ユニット情報D3とに基づき、加湿装置制御部72bは、部品供給エリア5に実際にセットされている部品供給ユニット25と、当該部品供給ユニット25が供給する部品とを把握する。
【0070】
加湿装置制御部72bは、次に、実装機本体2が稼働中であるかを判定する(ステップS3)。ここで、Yesの場合には、加湿装置制御部72bは、加湿装置28による部品テープ80の加湿を、各部品供給ユニット25が供給する部品に応じて個別に制御する、個別加湿制御を実行する(ステップS4)。一方、ステップS3でNoの場合には、加湿装置制御部72bは、全ての部品供給ユニット25について加湿装置28を停止状態に制御する。加湿装置28の停止状態とは、部品テープ80が加湿処理を受けない状態であり、後述するステップS21における加湿装置28の制御状態と同じである。
【0071】
図8は、ステップS3の個別加湿処理の制御を示すフローチャート(サブルーチン)である。この個別加湿処理では、加湿装置制御部72bは、部品供給エリア5にセットされた個々の部品供給ユニット25に対して以下の処理を実行する。
【0072】
先ず、加湿装置制御部72bは、部品供給ユニット25が休止中か否かを判定する(ステップS11)。部品供給ユニット25が、例えばいわゆる共通段取りにおける未使用中のユニットである場合や、同一部品を供給する複数の部品供給ユニット25のうちの未使用中のユニットに該当する場合には、加湿装置制御部72bは、ステップSでYesと判定する。なお、段取りとは部品供給エリア5に部品供給ユニット25をセットする作業であり、共通段取りとは、複数品種の基板(部品実装基板)の生産に使用する複数種類の部品供給ユニット25を予め部品供給エリア5に配置しておき、実際に生産する品種の基板に対応する部品供給ユニット25のみを選択的に稼働させる生産形態における段取りを指す。
【0073】
ステップS11でYesの場合には、加湿装置制御部72bは、加湿装置28を停止状態に制御する(ステップS21)。具体的には、
図9(a)に模式的に示すように、保水部材56から部品テープ80が一定距離だけ離れるように(すなわち、保水部材56と部品テープ80とが非接触となるように)押付機構60を制御する。これにより、部品テープ80が加湿処理を受けない状態に保たれる。
【0074】
部品供給ユニット25が休止中でない場合(ステップS11でNo)には、加湿装置制御部72bは、部品供給ユニット25が供給する部品の加湿レベルが「0」か否かを判定する(ステップS13)。既述の通り、記憶部73には、部品と加湿装置28による加湿レベルとの関係を定めた加湿データD2が記憶されている。加湿装置制御部72bは、この加湿データD2と、
図7のステップS1の処理で取得したユニット情報D3とに基づき、部品供給ユニット25が供給する部品について予め定められた加湿レベルを判別し、この加湿レベルに基づきステップS13及び後記ステップS15の判定を行う。当例の加湿データD2では、部品毎に「0」、「1」、「2」の3段階の加湿レベルが設定されている。「0」は、部品テープ80を加湿しないレベルであり、数字が大きい程、加湿の度合が高いことを示している。
【0075】
加湿レベルが「0」の場合(ステップS13でYes)には、加湿装置制御部72bは、処理をステップS21に移行し、加湿装置28を停止状態に制御する(ステップS21)。
【0076】
一方、ステップS13でNoの場合には、加湿装置制御部72bは、さらに加湿レベルが「1」か否かを判定する(ステップS15)。ステップS15でYesと判定した場合には、加湿装置制御部72bは、処理をステップS19に移行し、加湿装置28を加湿レベル「1」の状態に制御する。また、ステップS15でNoと判定した場合には、加湿装置制御部72bは、処理をステップS17に移行し、加湿装置28を加湿レベル「2」の状態に制御する。
【0077】
具体的には、ステップS19の処理では、加湿装置制御部72bは、
図9(b)に模式的に示すように、保水部材56の下面に部品テープ80の上面が押圧力F1で押し当てられるように押付機構60を制御する。また、ステップS17の処理では、加湿装置制御部72bは、
図9(c)に模式的に示すように、保水部材56の下面に対して、部品テープ80の上面が前記押圧力F1よりも強い押圧力F2で押し当てられるように押付機構60を制御する。
図9(b)、(c)に示すように、押圧力F1は、例えば保水部材56の下面を変形させることなく保水部材56に部品テープ80が接触し得る程度の押圧力であり、押圧力F2は、部品テープ80によって保水部材56の下面が若干変形する(凹む)程度の押圧力である。
【0078】
このように、部品テープ80が保水部材56に押付けられることで保水部材56から水が染み出し、これにより部品テープ80が濡れることによって当該部品テープ80が加湿される。そして、加湿レベル「2」の場合は、加湿レベル「1」の押圧力F1よりも強い押圧力F2で保水部材56に部品テープ80が押し当てられることで、保水部材56からの水の染み出し量が相対的に増え、その結果、加湿レベル「1」に比べてより多く部品テープ80が加湿される。
【0079】
図7に戻って、ステップS4、S7の処理が終了すると、加湿装置制御部72bは、所定数の部品実装基板の生産が終了したか否かを判定する(ステップS5)。ここで、Noの場合には、加湿装置制御部72bは、処理をステップS3に移行し、既述のステップS3~S5の処理を繰り返す。一方、Yesの場合には、このフローチャートに基づく一連の加湿制御を終了する。
【0080】
[作用効果等]
以上説明したように、上記部品実装装置1では、部品供給ユニット25により部品が供給される。部品供給ユニット25はテープフィーダ26と加湿装置28とを含み、テープフィーダ26が、部品テープ80を移動させながら部品を所定部品取出位置P1に搬送し、その部品テープ80を加湿装置28が事前に加湿する。このように部品テープ80が加湿されることにより、キャリアテープ82からカバーテープ84が剥離されることに起因する部品テープ80の帯電が抑制乃至防止される。その場合、加湿装置制御部72bによる加湿装置28の制御により、部品の品種に応じて予め定められた加湿レベルで、部品テープ80が加湿される。従って、この部品実装装置1によれば、部品に応じた、より適切な加湿が実現される。つまり、部品が影響を受けることを抑制しながら、部品テープ80を加湿することが可能となる。
【0081】
特に、上記部品実装装置1では、実装機本体の稼働中にのみ部品テープ80が加湿されるように加湿装置28が制御される。そのため、エラーストップなどによる実装機本体2の停止中に、部品テープ80が過剰に加湿されることが抑制される。
【0082】
また、上記部品実装装置1では、部品供給エリア5にセットされた複数の部品供給ユニット25のうち、稼働中の部品供給ユニット25についてのみ、部品テープ80が加湿されるように加湿装置28が制御される。従って、既述のような、いわゆる共通段取りにおける未使用中の部品供給ユニット25や、同一部品を供給する複数の部品供給ユニット25のうちの未使用中のユニットについて、部品テープ80が過剰に加湿されることが抑制される。
【0083】
また、上記部品供給ユニット25は、テープフィーダ26と加湿装置28とがマグネット66、68で着脱可能に連結される。そのため、例えば、オペレータが段取りの段階で、部品テープ80が加湿不可能であることを認識している場合などには、加湿装置28をテープフィーダ26から取り外して、テープフィーダ26を単体で使用することも可能である。また、部品供給ユニット25から加湿装置28のみを取外して水を補給する等、メンテナンス性も良い。この場合、テープフィーダ26と加湿装置28とがマグネット66、68の磁力で連結されているため、加湿装置28の着脱作業を負担なく行うことが可能である。
【0084】
なお、上記部品供給ユニット25では、テープフィーダ26と加湿装置28とがマグネット66、68を介して着脱可能に連結されている。しかし、例えばテープフィーダ26及び加湿装置28の対向面に「蟻継ぎ」などの継手構造を設け、これによりテープフィーダ26と加湿装置28とが着脱可能に連結される構成としてもよい。
【0085】
また、上記加湿装置28では、巻取モータ606の駆動により押付プレート601を上下動させるように押付機構60が構成されているが、押付機構60の構成はこれに限定されない。例えば、電磁ソレノイド等、モータ以外のアクチュエータを用いて押付プレート601を上下動させる構成であってもよい。
【0086】
また、上記部品実装装置1では、部品の品種に応じて予め定められた加湿レベルで部品テープ80を加湿するが、部品が収納されたテープ自体(すなわちキャリアテープ82及びカバーテープ84)の品種に応じて予め定められた加湿レベルで部品テープ80を加湿するようにしてもよい。また、部品とテープ自体の双方を加味して予め定められた加湿レベルで部品テープ80を加湿するようにしてもよい。
【0087】
また、上記部品実装装置1では、実装機本体2に備えたれたコントローラ70(加湿装置制御部72b)によって加湿装置28の加湿レベルが制御されている。つまり、本発明の「加湿制御部」が実装機本体2に備えられている。しかし、加湿制御部は、各部品供給ユニット25に各々備えられていてもよい。例えば、当該加湿制御部としての機能を前記ドライバ基板42が備える構成であってもよい。この場合には、ドライバ基板42がコントローラ70からユニット情報D3及び加湿データD2を取得することにより加湿レベルを特定し、特定した加湿レベルに基づいて加湿装置28を駆動制御するように構成してもよい。
【0088】
なお、部品供給エリア5に設置される部品供給ユニット25の具体的な構成は、
図2~
図4を用いて説明した構成には限定されない。例えば、以下に説明するような部品供給ユニット25A~25Cを適用することも可能である。
【0089】
[部品供給ユニットの第2実施形態]
図10は、2実施形態に係る部品供給ユニット25Aの断面図であり、詳しくは、第1実施形態の
図4に対応する断面図である。
【0090】
第1実施形態の部品供給ユニット25は、1つのテープフィーダ26に対して1つの加湿装置28が連結されていた。これに対して、第2実施形態に係る部品供給ユニット25Aは、複数のテープフィーダ26に対して共通する1つの加湿装置28Aが連結された構成を有している。当例では、3つのテープフィーダ26に対して1つの加湿装置28Aが連結された構成を有している。3つのテープフィーダ26各々の基本的な構成は第1実施形態と同じであるが、加湿装置28Aの構成は、以下の点で、第1実施形態と相違する。
【0091】
図10に示すように、加湿装置28Aの装置本体50は、テープフィーダ26を3つ連続して並べた幅と同等の幅を有する。装置本体50の下面には、前後方向に互いに平行に延びる一乃至複数(当例では3つ)の凸部501が形成されている。これら凸部は、ユニット取付台20の隣接する3つのガイドレール部21aに各々挿入されている。これにより、3つのテープフィーダ26の後方に一つの加湿装置28(装置本体50)が対向する状態でユニット取付台20に支持される。
【0092】
装置本体50の内部は、隔壁52によって上下に仕切られている。上側は貯水室54aである。下側は、隔壁53によって、3つのテープフィーダ26に各々対応する3つの機械室54bに分割されている。各機械室54bには、押付機構60が配置されている。
【0093】
隔壁52には、3つの機械室54bに亘って対向するように1つの保水部材56が設けられている。図示を省略しているが、装置本体50の後面及び前面の各機械室54bに対応する位置には、テープ導入口50a及びテープ導出口50bが形成されている。これにより、各機械室54bを各々部品テープ80が通過するようになっている。
【0094】
なお、装置本体50(加湿装置28)前面の各機械室54bに対応する位置には、各々、前記コネクタ62が設けられている。これらコネクタ62がテープフィーダ26側の前記コネクタ64に嵌合することにより、各押付機構60の巻取モータ606が、対応するテープフィーダ26に備えられた前記ドライバ基板42に電気的に接続されている。
【0095】
つまり、加湿装置28Aは、各機械室54bを通過する部品テープ80を、各機械室54bに配置された押付機構60の作動によって個別に保水部材56に押し付けることで、各部品テープ80を個別に加湿する。
【0096】
以上のような第2実施形態に係る部品供給ユニット25Aは、3つのテープフィーダ26に対して加湿装置28Aが共通化された構成であり、このような部品供給ユニット25Aを部品供給エリア5に配置して使用することもできる。
【0097】
この場合、既述の通り、加湿装置28Aは、3つの押付機構60に対して貯水室54aが共通化された構成である。そのため、3つのテープフィーダ26各々に個別に加湿装置28を連結する場合に比べて、貯水室54aのトータル的な貯水量を増やすことが可能となる。つまり、部品テープ80の加湿処理をより長期的に連続して行うことができるという利点がある。
【0098】
また、3つのテープフィーダ26の各々における部品の加湿レベルに差がある場合でも、貯水室54aが共通しているため、3つのテープフィーダ26各々に個別に加湿装置28が連結される場合のように、特定の加湿装置28だけ貯水量が極端に減少するようなことが無くなる。すなわち、特定の加湿装置28だけ水の補給回数が増えることが抑制される。
【0099】
[部品供給ユニットの第3実施形態]
図11は、第3実施形態に係る部品供給ユニット25Bの断面図であり、詳しくは、第1実施形態の
図3に対応する断面図である。第3実施形態の部品供給ユニット25Bは、以下のような加湿装置28Bを備えている点で、第1実施形態の部品供給ユニット25と構成が相違する。
【0100】
第3実施形態に係る加湿装置28Bでは、装置本体50の内部が一つの空間で形成され、部品テープ80が、テープ導入口50a及びテープ導出口50bを通じてこの空間を通過する。装置本体50内の空間は、テープ導入口50a及びテープ導入口303を介してテープフィーダ26のテープ通路302に連通しており、よって、本発明の「通路部」に相当する。
【0101】
装置本体50の内部空間のうち、部品テープ80が通過する位置の下方は貯水部54cとされ、加湿用の水(Wa)が貯溜されている。加湿用の水の水面には噴霧器92が配置されている。噴霧器92は、水面の変動と共に上下方向に移動可能に設けられている。噴霧器92は、その内部に圧電素子からなる超音波振動子90を備えており、貯水部54cの水を取り込みながら、この超音波振動子90による超音波振動によりミスト(M)を発生させて放出する。つまり、加湿装置28Bは、噴霧器92から放出されるミストによって部品テープ80を加湿する。
【0102】
第3実施形態の部品供給ユニット25Bでは、このように、超音波振動子90の作動によってミストを発生させる加湿装置28が備えられているため、前記ドライバ基板42には、超音波振動子90の駆動回路が備えられる。つまり、前記加湿装置制御部72bは、ドライバ基板42を介して超音波振動子90(噴霧器92)を駆動制御することで、部品テープ80の加湿レベルを制御する。
【0103】
具体的には、
図7のフローチャートのステップ7、及び
図8のフローチャートのステップ21の処理では、加湿装置制御部72bは、超音波振動子90を停止させた状態に制御する。これにより、
図12(a)に示すように、ミストの発生を停止させる。また、
図8のステップS17の処理(加湿レベル「2」)及びステップS19(加湿レベル「1」)の処理では、超音波振動子90に印加する高周波電圧の電圧を切り替えることにより、
図12(b)、(c)に示すようにミストの発生量を変化させる。
図12(b)が加湿レベル「1」の状態であり、
図12(c)が加湿レベル「2」の状態である。
【0104】
以上、第3実施形態に係る部品供給ユニット25Bについて説明したが、このような部品供給ユニット25Bによっても、第1実施形態の部品供給ユニット25と同様に部品テープ80を加湿することができる。なお、上記部品供給ユニット25bにおいて、テープ導入口50a及びテープ導出口50bを通じてミストが加湿装置28bの外部に流出するおそれがある場合には、テープ導入口50a及びテープ導出口50bに、カーテン状の漏洩防止部材を設けるようにしてもよい。
【0105】
[部品供給ユニットの第4実施形態]
図13~
図15は、第4実施形態に係る部品供給ユニット25Cを示す断面図である。詳しくは、
図13は、第1実施形態の
図3に対応する断面図である。また、
図14は、
図13のXIV-XIV線断面図であり、
図15は、
図13のXV-XV線断面図である。なお、
図13では、マグネット66やコネクタ62の図示を省略している。
【0106】
第4実施形態の部品供給ユニット25Cは、ミストを発生させて部品テープ80を加湿する加湿装置28Cを備えており、基本的には、第3実施形態の部品供給ユニット25Bと構成が類似する。しかし、第4実施形態では、加湿装置28Cの具体的な構成が、以下の通り第3実施形態と相違している。
【0107】
図13~
図15に示すように、第4実施形態の加湿装置28Cでは、装置本体50の内部に、当該装置本体50のX2側の内側壁502と隔壁57とで囲まれた断面矩形の空間からなるテープ通路51が形成されている。テープ通路51は、装置本体50の前後方向に亘って形成されており、部品テープ80が、テープ導入口50a及びテープ導出口50bを通じてこのテープ通路51内を通過する。テープ通路51は、テープ導入口50a及びテープ導入口303を介してテープフィーダ26のテープ通路302に連通しており、よって、本発明の「通路部」に相当する。
【0108】
装置本体50の内部のうち、テープ通路51以外の領域は貯水部54cとされ、加湿用の水(Wa)が貯溜されている。なお、
図14に示すように、テープ通路51を形成する隔壁57と、装置本体50のX1側の内側壁503との間には間隙Gが形成されている。これにより、貯水部54cのうち、テープ通路51の上側の部分と下側の部分とが互いに通じている。
【0109】
テープ通路51のうち、前後方向中間部よりも前側の部分は、それよりも後側の部分に比べてテープ通路51の下面が一段低く形成されることで、通路面積が拡大されている。この通路面積が拡大された部分が、部品テープ80の加湿空間58とされている。
【0110】
貯水室54aにおける加湿空間58の下方には、第3実施形態と同様の噴霧器92が固定的に配置されている。噴霧器92は、貯水部54cの水を取り込みながら超音波振動子90の作動によりミストを発生させ、テープ通路51の下面に形成された放出口51aから加湿空間58にミストを放出する。これにより、テープ通路51を通過する部品テープ80が加湿される。
【0111】
なお、第4実施形態の部品供給ユニット25Cでは、第3実施形態と同様に、テープフィーダ26に備えられる前記ドライバ基板42には、超音波振動子90の駆動回路が備えられおり、加湿装置制御部72bは、ドライバ基板42を介して超音波振動子90(噴霧器92)を駆動制御することにより、部品テープ80の加湿レベルを制御する。なお、加湿装置制御部72bによる加湿レベルに応じた超音波振動子90の制御の内容は、第3実施形態と同様である。
【0112】
以上、第4実施形態に係る部品供給ユニット25Cについて説明したが、このような部品供給ユニット25Cによっても部品テープ80を加湿することができる。特に、この部品供給ユニット25Cの加湿装置28Cよれば、既述の通り、装置本体50の内部の大部分が略貯水部54cである。そのため、より多くの水を貯溜することが可能であり、水の補給サイクルを長期化できるという利点がある。
【0113】
以上説明した部品実装装置1は、本発明に係る部品実装装置の好ましい実施形態の例示であって、部品実装装置1の具体的な構成や、これに備えられる部品供給ユニット25、25A~25Cの具体的な構成は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0114】
1 部品実装装置
2 実装機本体
5 部品供給エリア
7 ヘッド
20 ユニット取付台
21a ガイドレール部
25、25A~25C 部品供給ユニット
26 テープフィーダ
28、28A~28C 加湿装置
301、501 凸部
302 テープ通路(案内通路)
303 テープ導入口
40 ドライバ基板
42 ドライバ基板
70 コントローラ
71 実装制御部
72 部品供給ユニット制御部
72a フィーダ制御部
72b 加湿装置制御部(加湿制御部)
80 部品テープ
82 キャリアテープ
84 カバーテープ