(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-14
(45)【発行日】2025-01-22
(54)【発明の名称】部品実装装置および部品実装システム
(51)【国際特許分類】
H05K 13/00 20060101AFI20250115BHJP
【FI】
H05K13/00 Z
(21)【出願番号】P 2021169393
(22)【出願日】2021-10-15
【審査請求日】2024-04-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 康弘
(72)【発明者】
【氏名】大西 正志
(72)【発明者】
【氏名】杉山 昂太郎
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 昭夫
【審査官】加藤 三慶
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-004596(JP,A)
【文献】特開2012-156570(JP,A)
【文献】特開2017-152479(JP,A)
【文献】国際公開第2013/021735(WO,A1)
【文献】特開2011-134919(JP,A)
【文献】特開2021-002573(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を搬送する基板搬送部と、
部品を前記基板に実装するヘッドユニットと、
前記ヘッドユニットに前記部品を供給する部品供給部と、
自装置に故障が発生した場合に、自装置内または同じ部品実装ラインの他の部品実装装置に故障に関連する前記部品供給部を移設することにより前記基板を生産可能であるか否かを判断するとともに、前記基板を生産可能であると判断された場合、前記部品供給部を移設するための移設情報を通知する制御部と、を備える、部品実装装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記基板搬送部により前記基板を搬送可能な場合に、前記部品供給部を移設することにより前記基板を生産可能であるか否かを判断するように構成されている、請求項1に記載の部品実装装置。
【請求項3】
前記制御部は、自装置内に前記部品供給部を移設することにより前記基板を生産可能であるか否かを判断するとともに、自装置内に前記部品供給部を移設することにより前記基板を生産可能ではないと判断された場合、前記他の部品実装装置に前記部品供給部を移設することにより前記基板を生産可能であるか否かを判断するように構成されている、請求項1または2に記載の部品実装装置。
【請求項4】
前記ヘッドユニットは、複数設けられており、
前記制御部は、複数の前記ヘッドユニットのうちから、ユーザが故障であると指定した前記ヘッドユニットに関連する前記部品供給部を、自装置内または前記他の部品実装装置に移設することにより前記基板を生産可能であるか否かを判断するように構成されている、請求項1~3のいずれか1項に記載の部品実装装置。
【請求項5】
前記部品供給部が配置される複数の台車をさらに備え、
前記制御部は、複数の前記台車のうちから、ユーザが故障であると指定した前記台車に関連する前記部品供給部を、自装置内または前記他の部品実装装置に移設することにより前記基板を生産可能であるか否かを判断するように構成されている、請求項1~4のいずれか1項に記載の部品実装装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記部品供給部を移設することにより前記基板を生産可能である場合、自装置内に前記部品供給部を移設するか、または、前記他の部品実装装置に前記部品供給部を移設するかを表示部に表示するように構成されている、請求項1~5のいずれか1項に記載の部品実装装置。
【請求項7】
前記制御部は、移設対象の前記部品供給部を表す情報と、移設対象の前記部品供給部を配置する移設先の空きスロットを表す情報とを含む前記移設情報を、表示部に表示するように構成されている、請求項1~6のいずれか1項に記載の部品実装装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記基板搬送部により前記基板を搬送可能であるか否かを確認する搬送可否確認動作を行うように構成されている、請求項1~7のいずれか1項に記載の部品実装装置。
【請求項9】
前記制御部は、ユーザの操作に基づいて、前記搬送可否確認動作を行うように構成されている、請求項8に記載の部品実装装置。
【請求項10】
基板を搬送する基板搬送部と、部品を前記基板に実装するヘッドユニットと、前記ヘッドユニットに前記部品を供給する部品供給部と、を含む部品実装装置と、
前記部品実装装置に故障が発生した場合に、前記部品実装装置内または同じ部品実装ラインの他の部品実装装置に故障に関連する前記部品供給部を移設することにより前記基板を生産可能であるか否かを判断するとともに、前記基板を生産可能であると判断された場合、前記部品供給部を移設するための移設情報を通知する制御装置と、を備える、部品実装システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、部品実装装置および部品実装システムに関し、特に、部品を基板に実装する部品実装装置および部品実装システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、部品を基板に実装する部品実装システムが知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、部品を基板に実装する部品実装システムが開示されている。この部品実装システムは、複数の部品実装ラインを備えている。また、この部品実装システムでは、複数の部品実装ラインは、印刷機、複数の実装機、および、リフロー炉を含んでいる。また、この部品実装システムでは、一方の部品実装ラインの途中から他方の部品実装ラインの途中につながるバイパスコンベアが設けられている。また、この部品実装システムは、一方の部品実装ラインの実装機に故障が発生している場合、一方の部品実装ラインを、バイパスコンベアを介して他方の部品実装ラインに連結して、基板を生産するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載された部品実装システムでは、一方の部品実装ラインの実装機に故障が発生している場合、一方の部品実装ラインを、バイパスコンベアを介して他方の部品実装ラインに連結して、基板を生産することにより、故障により基板の生産が停止する時間を低減することができる一方、一方の部品実装ラインと他方の部品実装ラインとを連結するバイパスコンベアを設ける必要があるため、部品実装ラインの構成が複雑化するという問題点がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、部品実装装置に故障が発生した場合にも、部品実装ラインの構成が複雑化することを抑制しながら、故障により基板の生産が停止する時間を低減することが可能な部品実装装置および部品実装システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の第1の局面による部品実装装置は、基板を搬送する基板搬送部と、部品を基板に実装するヘッドユニットと、ヘッドユニットに部品を供給する部品供給部と、自装置に故障が発生した場合に、自装置内または同じ部品実装ラインの他の部品実装装置に故障に関連する部品供給部を移設することにより基板を生産可能であるか否かを判断するとともに、基板を生産可能であると判断された場合、部品供給部を移設するための移設情報を通知する制御部と、を備える。
【0008】
この発明の第1の局面による部品実装装置では、上記のように、自装置に故障が発生した場合に、自装置内または同じ部品実装ラインの他の部品実装装置に故障に関連する部品供給部を移設することにより基板を生産可能であるか否かを判断するとともに、基板を生産可能であると判断された場合、部品供給部を移設するための移設情報を通知する制御部を設ける。これにより、自装置内または同じ部品実装ラインの他の部品実装装置に部品供給部を移設して基板を生産することができるので、他の部品実装ラインへのバイパスコンベアを設ける必要がない。その結果、部品実装ラインの構成が複雑化することを抑制することができる。また、自装置内または同じ部品実装ラインの他の部品実装装置に部品供給部を移設することにより基板を生産することができるので、故障を修復するまで基板の生産を停止する場合に比べて、基板の生産が停止する時間を低減することができる。これらの結果、部品実装装置に故障が発生した場合にも、部品実装ラインの構成が複雑化することを抑制しながら、故障により基板の生産が停止する時間を低減することができる。
【0009】
上記第1の局面による部品実装装置において、好ましくは、制御部は、基板搬送部により基板を搬送可能な場合に、部品供給部を移設することにより基板を生産可能であるか否かを判断するように構成されている。このように構成すれば、基板搬送部により基板を搬送可能な場合に、部品供給部を移設することにより基板を生産可能であるか否かを判断することができるので、基板搬送部により基板を搬送できない場合(部品供給部を移設しても基板を生産できない場合)に、部品供給部を移設することにより基板を生産可能であるか否かを判断する無駄な処理が発生することを回避することができる。
【0010】
上記第1の局面による部品実装装置において、好ましくは、制御部は、自装置内に部品供給部を移設することにより基板を生産可能であるか否かを判断するとともに、自装置内に部品供給部を移設することにより基板を生産可能ではないと判断された場合、他の部品実装装置に部品供給部を移設することにより基板を生産可能であるか否かを判断するように構成されている。このように構成すれば、自装置内に部品供給部を移設することを優先して判断することができるので、極力、自装置内に部品供給部を移設することができる。その結果、他の部品実装装置に部品供給部を移設する場合に比べて、部品供給部を移設する作業の手間を軽減することができる。また、自装置内に部品供給部を移設できない場合には、他の部品実装装置に部品供給部を移設することを判断することができるので、極力、基板を生産可能にすることができる。
【0011】
上記第1の局面による部品実装装置において、好ましくは、ヘッドユニットは、複数設けられており、制御部は、複数のヘッドユニットのうちから、ユーザが故障であると指定したヘッドユニットに関連する部品供給部を、自装置内または他の部品実装装置に移設することにより基板を生産可能であるか否かを判断するように構成されている。このように構成すれば、複数のヘッドユニットのうちのユーザが故障であると指定したヘッドユニットに関連する部品供給部を移設することを判断することができるので、複数のヘッドユニットのうちのヘッドユニットの一部の故障にも対応することができる。また、複数のヘッドユニットのうちの一部のヘッドユニットの故障に対応するだけでよいので、移設する部品供給部の数を少なくすることができる。その結果、部品供給部を移設することにより基板を生産可能にすることができる可能性を高めることができるとともに、部品供給部を移設することにより基板を生産可能である場合に、部品供給部を移設する作業の手間を軽減することができる。
【0012】
上記第1の局面による部品実装装置において、好ましくは、部品供給部が配置される複数の台車をさらに備え、制御部は、複数の台車のうちから、ユーザが故障であると指定した台車に関連する部品供給部を、自装置内または他の部品実装装置に移設することにより基板を生産可能であるか否かを判断するように構成されている。このように構成すれば、複数の台車のうちのユーザが故障であると指定した台車に関連する部品供給部を移設することを判断することができるので、複数の台車のうちの一部の台車の故障にも対応することができる。また、複数の台車のうちの一部の台車の故障に対応するだけでよいので、移設する部品供給部の数を少なくすることができる。その結果、部品供給部を移設することにより基板を生産可能にすることができる可能性を高めることができるとともに、部品供給部を移設することにより基板を生産可能である場合に、部品供給部を移設する作業の手間を軽減することができる。
【0013】
上記第1の局面による部品実装装置において、好ましくは、制御部は、部品供給部を移設することにより基板を生産可能である場合、自装置内に部品供給部を移設するか、または、他の部品実装装置に部品供給部を移設するかを表示部に表示するように構成されている。このように構成すれば、表示部に表示された情報により、自装置内に部品供給部を移設するか、または、他の部品実装装置に部品供給部を移設するかを、容易に確認することができる。
【0014】
上記第1の局面による部品実装装置において、好ましくは、制御部は、移設対象の部品供給部を表す情報と、移設対象の部品供給部を配置する移設先の空きスロットを表す情報とを含む移設情報を、表示部に表示するように構成されている。このように構成すれば、表示部に表示された移設情報により、移設対象の部品供給部と、移設対象の部品供給部を配置する移設先の空きスロットとを容易に確認することができるので、部品供給部を移設する作業を容易に行うことができる。
【0015】
上記第1の局面による部品実装装置において、好ましくは、制御部は、基板搬送部により基板を搬送可能であるか否かを確認する搬送可否確認動作を行うように構成されている。このように構成すれば、ユーザが基板搬送部により基板を搬送可能であるか否かを確認(点検)する作業を行う必要がないので、ユーザが基板搬送部により基板を搬送可能であるか否かを確認する作業の手間を省くことができる。
【0016】
この場合、好ましくは、制御部は、ユーザの操作に基づいて、搬送可否確認動作を行うように構成されている。このように構成すれば、搬送可否確認動作を行うか否かをユーザが決定することができるので、基板搬送部により基板を搬送可能であることが明らかな場合などには、搬送可否確認動作を不必要に行わないようにすることができるとともに、基板搬送部により基板を搬送可能であることが明らかではない場合などには、搬送可否確認動作を有効に利用して、ユーザの手間を省きながら基板搬送部の搬送の可否を確認することができる。
【0017】
この発明の第2の局面による部品実装システムは、基板を搬送する基板搬送部と、部品を基板に実装するヘッドユニットと、ヘッドユニットに部品を供給する部品供給部と、を含む部品実装装置と、部品実装装置に故障が発生した場合に、部品実装装置内または同じ部品実装ラインの他の部品実装装置に故障に関連する部品供給部を移設することにより基板を生産可能であるか否かを判断するとともに、基板を生産可能であると判断された場合、部品供給部を移設するための移設情報を通知する制御装置と、を備える。
【0018】
この発明の第2の局面による部品実装システムでは、上記のように、部品実装装置内または同じ部品実装ラインの他の部品実装装置に故障に関連する部品供給部を移設することにより基板を生産可能であるか否かを判断するとともに、基板を生産可能であると判断された場合、部品供給部を移設するための移設情報を通知する制御装置を設ける。これにより、上記第1の局面による部品実装装置と同様に、部品実装装置に故障が発生した場合にも、部品実装ラインの構成が複雑化することを抑制しながら、故障により基板の生産が停止する時間を低減することが可能な部品実装システムを提供することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、上記のように、部品実装装置に故障が発生した場合にも、部品実装ラインの構成が複雑化することを抑制しながら、故障により基板の生産が停止する時間を低減することが可能な部品実装装置および部品実装システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】一実施形態による部品実装システムを示す図である。
【
図2】一実施形態による部品実装装置を示す図である。
【
図3】一実施形態による部品実装装置の制御的な構成を示す図である。
【
図4】一実施形態による部品実装装置の設定画面を示す第1図である。
【
図5】一実施形態による部品実装装置の移設情報を示す第1図である。
【
図6】一実施形態による部品実装装置の設定画面を示す第2図である。
【
図7】一実施形態による部品実装装置の移設情報を示す第2図である。
【
図8】一実施形態による部品実装装置の設定画面を示す第3図である。
【
図9】一実施形態による部品実装装置の設定画面を示す第4図である。
【
図10】一実施形態による部品実装装置の移設情報を示す第3図である。
【
図11】一実施形態による部品実装装置の故障に関する制御処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0022】
まず、
図1を参照して、一実施形態による部品実装システム100の構成について説明する。
【0023】
(部品実装システムの構成)
部品実装システム100は、IC、トランジスタ、コンデンサおよび抵抗などの部品E(電子部品)を、プリント基板などの基板Pに実装して、部品Eが実装された基板Pを生産するシステムである。
【0024】
図1に示すように、部品実装システム100は、基板Pの生産を行うための部品実装ライン10と、基板Pの生産の管理を行うための生産管理装置20とを備えている。
【0025】
部品実装ライン10は、印刷装置11と、印刷検査装置12と、部品実装装置13と、リフロー前の外観検査装置14と、リフロー炉15とを含んでいる。また、部品実装ライン10は、製造ラインに沿って上流側から下流側に向かって基板Pが搬送されるように構成されている。なお、部品実装ライン10の装置構成は、
図1に示す装置構成に限られない。
【0026】
印刷装置11は、スクリーン印刷機であり、クリーム半田を基板Pの実装面上に塗布する機能を有している。
【0027】
印刷検査装置12は、印刷装置11により印刷したクリーム半田の状態を検査する機能を有している。
【0028】
部品実装装置13は、クリーム半田が印刷された基板Pの所定の実装位置に部品Eを実装する機能を有している。また、部品実装装置13は、基板Pの搬送方向に沿って複数設けられている。複数の部品実装装置13は、同様の構成を有している。
【0029】
外観検査装置14は、部品実装装置13により部品Eが実装された基板Pの外観を検査する機能を有している。
【0030】
リフロー炉15は、加熱処理を行うことにより半田を溶融させて部品Eを基板Pの電極部に接合する機能を有している。
【0031】
生産管理装置20は、基板Pの生産計画を管理する機能を有している。生産管理装置20は、たとえば、部品実装装置13で用いられる部品実装プログラムを作成するように構成されている。生産管理装置20は、各種の演算を行うことが可能に構成されたパーソナルコンピュータである。
【0032】
(部品実装装置の構成)
次に、
図2および
図3を参照して、部品実装装置13の構成について説明する。なお、以下の説明では、基板搬送方向をX方向とし、水平面内でX方向と直交する方向をY方向とし、X方向およびY方向に直交する上下方向をZ方向とする。
【0033】
図2および
図3に示すように、部品実装装置13は、基台1と、基板搬送部2と、ヘッドユニット3と、ヘッド水平移動機構部4と、部品撮像部5と、基板撮像部6と、制御部7と、表示部8と、記憶部9とを備えている。なお、制御部7は、特許請求の範囲の「制御装置」の一例である。
【0034】
基台1は、部品実装装置13において各構成要素を配置する基礎となる台である。基台1上には、基板搬送部2、ノズルストッカ3a、レール部42および部品撮像部5が設けられている。また、基台1内には、制御部7が設けられている。また、基台1には、部品供給部110を配置可能な台車120をセットするためのセット部101が複数設けられている。具体的には、基台1には、Y方向の両側(Y1方向側およびY2方向側)に、セット部101が設けられている。
【0035】
部品供給部110は、基板Pに実装される部品Eを供給するテープフィーダである。具体的には、部品供給部110は、部品Eを収納する部品供給テープ(図示せず)を送ることにより、部品Eを供給するように構成されている。部品供給部110は、ヘッドユニット3による部品保持動作に応じて、部品供給テープを間欠的に送るように構成されている。
【0036】
また、部品供給部110は、台車120上に複数並んで配置された状態で、セット部101に対してセットされるように構成されている。台車120には、部品供給部110が各々配置される複数のスロット120aが設けられている。複数のスロット120aには、たとえば次の品種の基板Pの段取りのために、部品供給部110が配置されていない空きスロット120a(破線により示す)が設けられている場合がある。また、台車120には、部品供給部110のコネクタと電気的に接続されるコネクタと、基台1のコネクタと電気的に接続されるコネクタとが設けられている。部品供給部110は、台車120を介して、基台1内の制御部7と通信可能に接続されており、制御部7の制御の下、部品Eを供給する動作を行うように構成されている。なお、
図2に示す例では、基台1に、2つの台車120がセットされている。
【0037】
基板搬送部2は、実装前の基板Pを搬入し、基板搬送方向(X方向)に搬送し、実装後の基板Pを搬出するように構成されている。また、基板搬送部2は、搬入された基板Pを基板固定位置Paまで搬送するとともに、基板固定位置Paにおいて基板固定機構(図示せず)により固定するように構成されている。また、基板搬送部2は、一対の搬送ベルトを含んでいる。基板搬送部2は、一対の搬送ベルトにより、基板Pの幅方向(Y方向)の両端をそれぞれ下側(Z2方向側)から支持した状態で、基板Pを基板搬送方向に搬送するように構成されている。また、基板搬送部2は、一対の搬送ベルト上の基板Pを検出するための基板検出部21を含んでいる。基板検出部21は、たとえば、フォトセンサを含み、基板Pによる光路の変化を利用して、基板Pの有無を検出するように構成されている。
【0038】
ヘッドユニット3は、部品実装用のヘッドユニットである。複数(2つ)設けられている。ヘッドユニット3は、基板固定位置Paにおいて固定された基板Pに部品Eを実装する。ヘッドユニット3は、複数(5つ)の実装ヘッド31を含む。実装ヘッド31の先端には、部品Eを保持(吸着)するためのノズル(図示せず)が装着されている。ノズルは、実装する部品Eの種類に応じて、複数種類のノズルを保持するノズルストッカ3aにおいて交換される。また、実装ヘッド31は、負圧供給部(図示せず)から供給された負圧により、ノズルに部品Eを保持(吸着)可能に構成されている。また、実装ヘッド31は、部品Eを保持するためかまたは保持された部品Eを実装するための下降位置と、保持された部品Eを基板Pに搬送するための上昇位置との間で、上下方向に移動可能に構成されている。
【0039】
また、ヘッドユニット3は、実装ヘッド31を上下方向(Z方向)に移動させるZ軸モータ32と、実装ヘッド31を上下方向に延びる回転軸線回りに回転させるR軸モータ33とを含んでいる。実装ヘッド31は、Z軸モータ32により、所定の下降位置と、所定の上昇位置との間で、上下方向に移動可能に構成されている。また、実装ヘッド31は、部品Eを保持した状態でR軸モータ33により回転されることにより、吸着している部品Eの向きを調整可能に構成されている。
【0040】
ヘッド水平移動機構部4は、ヘッドユニット3を水平方向(X方向およびY方向)に移動させるように構成されている。ヘッド水平移動機構部4は、ヘッドユニット3をX方向に移動可能に支持する支持部41と、支持部41をY方向に移動可能に支持するレール部42とを含む。支持部41は、複数(2つ)のヘッドユニット3に対応するように複数(2つ)設けられている。支持部41は、たとえばX軸モータ41aとボールねじ軸機構とにより、ヘッドユニット3をX方向に移動させるように構成されている。レール部42は、支持部41のX方向の両端部をY方向に移動可能に支持する。レール部42は、たとえばY軸モータ42aとボールねじ軸機構とにより、支持部41をY方向に移動させるように構成されている。
【0041】
ヘッド水平移動機構部4の2つの支持部41とレール部42とにより、2つのヘッドユニット3は、基台1上を互いに独立して水平方向に移動可能に構成されている。これにより、ヘッドユニット3は、部品供給部110の上方に移動して、部品供給部110から供給される部品Eを保持(吸着)可能である。また、ヘッドユニット3は、基板固定位置Paにおいて固定された基板Pの上方に移動して、保持(吸着)された部品Eを基板Pに実装可能である。なお、Y1方向側のヘッドユニット3は、Y1方向側の部品供給部110から部品Eを取得するように構成されている。また、Y2方向側のヘッドユニット3は、Y2方向側の部品供給部110から部品Eを取得するように構成されている。
【0042】
部品撮像部5は、部品認識用のカメラである。部品撮像部5は、ヘッドユニット3による部品Eの基板Pへの搬送中に、実装ヘッド31のノズルに保持(吸着)された部品Eを撮像する。部品撮像部5は、基台1の上面上に固定されており、部品Eの下側(Z2方向側)から、実装ヘッド31のノズルに保持(吸着)された部品Eを撮像する。部品撮像部5による部品Eの撮像画像に基づいて、制御部7は、部品Eの保持状態(回転姿勢および実装ヘッド31に対する保持位置)を取得(認識)する。
【0043】
基板撮像部6は、基板認識用のカメラである。基板撮像部6は、ヘッドユニット3による基板Pへの部品Eの実装開始前に、基板固定位置Paにおいて固定された基板Pにおいて、基板Pの上面に付された位置認識マークF(フィデューシャルマーク)を上方から撮像する。位置認識マークFは、基板Pの位置を認識するためのマークである。基板撮像部6による位置認識マークFの撮像画像に基づいて、制御部7は、基板固定位置Paにおいて固定された基板Pの正確な位置および姿勢を取得(認識)する。また、基板撮像部6は、ヘッドユニット3に取り付けられている。基板撮像部6は、ヘッドユニット3と共に、水平方向に移動可能に構成されている。
【0044】
制御部7は、部品実装装置13の動作を制御する制御回路である。制御部7は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、および、RAM(Random Access Memory)を含んでいる。制御部7は、部品実装プログラムに基づいて、基板搬送部2、部品供給部110、X軸モータ41aおよびY軸モータ42aなどを制御することにより、ヘッドユニット3により基板Pに部品Eを実装させて、基板Pを生産する制御を行うように構成されている。
【0045】
表示部8は、液晶モニタなどのモニタを含み、情報を表示可能に構成されている。表示部8には、部品実装に関する各種の情報が表示される。記憶部9は、ハードディスクドライブなどの記録媒体を含み、情報を記憶可能に構成されている。記憶部9には、リソース情報91が記憶されている。リソース情報91は、部品実装ライン10の複数の部品実装装置13で用いられている部品供給部110の情報を含んでいる。具体的には、リソース情報91は、台車120のスロット120aごとの部品供給部110の情報(部品供給部110の有無、部品種および位置の情報)を含んでいる。部品実装装置13は、リソース情報91に基づいて、自装置内の部品供給部110だけでなく、同じ部品実装ライン10の他の部品実装装置13の部品供給部110の情報も把握可能である。
【0046】
ここで、部品実装ライン10の部品実装装置13に故障が発生した場合、部品実装装置13の故障を修復するまで基板Pの生産を停止すると、基板Pの生産を停止する時間が増大して、部品実装ライン10の稼働率が低下する。
【0047】
そこで、本実施形態では、
図4~
図10に示すように、故障が発生した部品実装装置13の制御部7は、自装置に故障が発生した場合に、基板搬送部2により基板Pを搬送可能な場合、自装置内または同じ部品実装ライン10の他の部品実装装置13に故障に関連する部品供給部110を移設することにより基板Pを生産可能であるか否かを判断するとともに、基板Pを生産可能であると判断された場合、部品供給部110を移設するための移設情報130を通知するように構成されている。具体的には、制御部7は、移設対象の部品供給部110を表す情報と、移設対象の部品供給部110を配置する移設先の空きスロット120aを表す情報とを含む移設情報130を、表示部8に表示するように構成されている。
【0048】
また、制御部7は、リソース情報91に基づいて、部品供給部110を移設することにより基板Pを生産可能であるか否かを判断するように構成されている。具体的には、制御部7は、リソース情報91に基づいて、移設が必要な移設対象の部品供給部110を抽出するとともに、移設が可能な空きスロット120aを抽出し、移設対象の部品供給部110を移設するために必要な空きスロット120aが存在するか否かを判断するように構成されている。そして、制御部7は、移設対象の部品供給部110を移設するために必要な空きスロット120aが存在すると判断された場合に、部品供給部110を移設することにより基板Pを生産可能であると判断するように構成されている。また、制御部7は、移設対象の部品供給部110を移設するために必要な空きスロット120aが存在しないと判断された場合には、部品供給部110を移設することにより基板Pを生産できないと判断するように構成されている。
【0049】
また、本実施形態では、制御部7は、部品供給部110を移設することにより基板Pを生産可能であると判断される場合、自装置内に部品供給部110を移設するか、または、他の部品実装装置13に部品供給部110を移設するかの判断結果を表示部8に表示するように構成されている。
【0050】
また、本実施形態では、制御部7は、自装置内に部品供給部110を移設することにより基板Pを生産可能であるか否かを優先して判断するように構成されている。すなわち、制御部7は、自装置内に部品供給部110を移設することにより基板Pを生産可能であるか否かを判断するとともに、自装置内に部品供給部110を移設することにより基板Pを生産可能ではないと判断された場合、他の部品実装装置13に部品供給部110を移設することにより基板Pを生産可能であるか否かを判断するように構成されている。
【0051】
また、本実施形態では、制御部7は、複数のヘッドユニット3のうちから、ユーザ(作業者)が故障であると指定したヘッドユニット3に関連する部品供給部110を、自装置内または他の部品実装装置13に移設することにより基板Pを生産可能であるか否かを判断するように構成されている。また、本実施形態では、制御部7は、複数の台車120のうちから、ユーザ(作業者)が故障であると指定した台車120に関連する部品供給部110を、自装置内または他の部品実装装置13に移設することにより基板Pを生産可能であるか否かを判断するように構成されている。
【0052】
具体的には、制御部7は、ユーザ(作業者)が操作する設定画面140を表示部8に表示するように構成されている。設定画面140は、故障個所指定欄140aと、生産可否判断ボタン140bと、結果表示欄140cと、移設情報表示ボタン140dと、確認動作指定欄140eとを有している。
【0053】
故障個所指定欄140aは、自装置が備えるヘッドユニット3および台車120を故障指定可能個所として表示する。ユーザ(作業者)は、部品実装装置13から異常が通知された場合、部品実装装置13を点検する。そして、ユーザ(作業者)は、自身が部品実装装置13を点検した結果に基づいて、故障個所指定欄140aに表示されたヘッドユニット3および台車120のうちから、故障したヘッドユニット3または台車120を指定する。
【0054】
なお、台車120が故障した場合、たとえば台車120を介した部品供給部110との通信を行うことができなくなるため、台車120に配置された部品供給部110を用いた部品実装ができなくなる。また、ヘッドユニット3が故障した場合、故障したヘッドユニット3を用いた部品実装ができなくなる。このため、故障個所指定欄140aにより、故障したヘッドユニット3または台車120を指定して、故障したヘッドユニット3または台車120を用いた部品実装をスキップさせる。
【0055】
生産可否判断ボタン140bは、制御部7に、自装置内または他の部品実装装置13に移設することにより基板Pを生産可能であるか否かを判断する処理を行わせるための表示上のボタンである。ユーザ(作業者)は、故障個所指定欄140aにおいて故障個所(ヘッドユニット3、台車120)を指定した状態で、生産可否判断ボタン140bを操作する。そして、生産可否判断ボタン140bが操作されると、制御部7は、ユーザ(作業者)が指定した故障個所(ヘッドユニット3、台車120)に関連する部品供給部110を、自装置内または他の部品実装装置13に移設することにより基板Pを生産可能であるか否かを判断する処理を行う。
【0056】
結果表示欄140cは、制御部7による生産可否の判断結果を表示する。具体的には、結果表示欄140cは、部品供給部110を移設することにより基板Pを生産可能であるか否かを表す情報と、自装置内または他の部品実装装置13のいずれへの移設かを表す情報とを、判断結果として表示する。
【0057】
移設情報表示ボタン140dは、部品供給部110を移設することにより生産可能である場合に、移設情報130を表示するための表示上のボタンである。ユーザ(作業者)は、結果表示欄140cに「生産可能」の文字が表示されている場合、移設情報表示ボタン140dを操作する。そして、移設情報表示ボタン140dが操作されると、制御部7は、設定画面140から画面を遷移させることにより、移設対象の部品供給部110および移設先の空きスロット120aを表す移設情報130を、表示部8に表示する。そして、ユーザ(作業者)は、表示部8に表示された移設情報130に基づいて、部品供給部110を移設する作業を行う。
【0058】
確認動作指定欄140eは、基板搬送部2により基板Pを搬送可能であるか否かを確認する搬送可否確認動作を部品実装装置13により行うか否かを指定するための情報を表示する。ユーザが部品実装装置13により搬送可否確認動作を行うと指定した場合、生産可否判断ボタン140bが操作されたことに基づいて、制御部7は、搬送可否確認動作を行う。すなわち、制御部7は、ユーザ(作業者)の操作に基づいて、搬送可否確認動作を行う。なお、制御部7は、搬送可否確認動作を行った結果、基板搬送部2により基板Pを搬送可能であると判断される場合、部品供給部110を移設することにより基板Pを生産可能であるか否かを判断する処理を行う。一方、制御部7は、搬送可否確認動作を行った結果、基板搬送部2により基板Pを搬送できないと判断される場合、部品供給部110を移設することにより基板Pを生産可能であるか否かを判断する処理を行わずに、基板搬送部2が故障していることを表示部8により通知する。また、ユーザが部品実装装置13により搬送可否確認動作を行わないと指定した場合、生産可否判断ボタン140bが操作されたことに基づいて、制御部7は、搬送可否確認動作を行わない。
【0059】
搬送可否確認動作では、制御部7は、基板検出部21により検出可能な所定位置(排出位置など)に基板搬送部2により基板Pを搬送する制御処理を行うとともに、基板検出部21により基板Pを検出するように構成されている。そして、制御部7は、基板検出部21により基板Pの存在を検出できた場合、基板搬送部2により基板Pを搬送可能であると判断するように構成されている。また、制御部7は、基板搬送部2により基板Pを搬送する制御処理を行ったにもかかわらず、基板検出部21により基板Pの存在を検出できなかった場合、基板搬送部2により基板Pを搬送できない(基板搬送部2が故障している)と判断するように構成されている。
【0060】
<台車スキップ:自装置内に移設する場合>
次に、
図4および
図5を参照して、ユーザ(作業者)により複数(2つ)の台車120のうちの1つが故障したと判断されて、かつ、制御部7により部品供給部110を自装置内へ移設すると判断される場合について説明する。なお、
図4および
図5では、ユーザにより搬送可否確認動作を行わないと指定される場合について説明する。
【0061】
この場合、
図4に示すように、ユーザ(作業者)により、設定画面140の故障個所指定欄140aにおいて「台車1」が故障個所として指定されるとともに、確認動作指定欄140eにおいて搬送可否確認動作を行わないと指定されて、生産可否判断ボタン140bが操作される。そして、制御部7により、搬送可否確認動作が行われずに、自装置内または他の部品実装装置13に部品供給部110を移設することにより基板Pを生産可能であるか否かが判断される。この際、制御部7により、自装置内に部品供給部110を移設することにより基板Pを生産可能であるか否かが優先して判断される。具体的には、制御部7により、自装置の「台車1」から「台車2」に、部品供給部110を移設することにより、基板Pを生産可能であるか否かが判断される。なお、自装置の「台車1」および「台車2」の部品供給部110の情報(部品供給部110の有無、部品種および位置の情報)は、リソース情報91に基づいて、取得可能である。
【0062】
図4および
図5に示す例では、「台車1」に、「AA」、「BB」、「CC」、「DD」および「EE」の5つの部品Eに対応する5つの部品供給部110が配置されている。また、「台車2」に、「AA」、「FF」、「GG」、「HH」および「II」の5つの部品Eに対応する5つの部品供給部110が配置されている。この場合、「台車1」と「台車2」とで重複する「AA」の部品Eについては、「台車2」を用いて部品実装可能であるため、部品供給部110を移設する必要がない。このため、「台車1」の5つの部品供給部110のうち、「AA」以外の「BB」、「CC」、「DD」および「EE」の4つの部品Eに対応する4つの部品供給部110が、制御部7により、移設が必要な移設対象の部品供給部110として抽出される。
【0063】
また、「台車2」に、部品供給部110が配置されていないスロット120aが4つ存在するため、4つのスロット120aが、制御部7により、移設が可能な空きスロット120aとして抽出される。
【0064】
そして、移設が可能な空きスロット120aの数が、移設が必要な移設対象の部品供給部110の数以上(ここでは、同じ数)であるため、制御部7により、移設対象の部品供給部110を移設するために必要な空きスロット120aが存在すると判断される。そして、制御部7により、自装置内に部品供給部110を移設することにより基板Pを生産可能であると判断される。
【0065】
そして、制御部7により、結果表示欄140cに、部品供給部110を移設することにより基板Pを生産可能であるとともに、自装置内への移設であることが、判断結果として表示される。そして、ユーザ(作業者)により、移設情報表示ボタン140dが操作されると、制御部7により、移設情報130が表示部8に表示される。
図5に示すように、移設情報130は、移設対象の部品供給部110(「台車1」の「スロット102」、「スロット103」、「スロット104」および「スロット105」の部品供給部110)を表す情報と、移設先の空きスロット120a(「台車2」の「スロット206」、「スロット207」、「スロット208」および「スロット209」)を表す情報とを含んでいる。
【0066】
<台車スキップ:他の部品実装装置に移設する場合>
次に、
図6および
図7を参照して、ユーザ(作業者)により複数(2つ)の台車120のうちの1つが故障したと判断されて、かつ、制御部7により部品供給部110を他の部品実装装置13へ移設すると判断される場合について説明する。なお、
図6および
図7では、ユーザにより搬送可否確認動作を行わないと指定される場合について説明する。
【0067】
この場合、
図6に示すように、ユーザ(作業者)により、設定画面140の故障個所指定欄140aにおいて「台車1」が故障個所として指定されるとともに、確認動作指定欄140eにおいて搬送可否確認動作を行わないと指定されて、生産可否判断ボタン140bが操作される。そして、制御部7により、搬送可否確認動作が行われずに、自装置内または他の部品実装装置13に部品供給部110を移設することにより基板Pを生産可能であるか否かが判断される。
【0068】
この際、制御部7により、自装置内に部品供給部110を移設することにより基板Pを生産可能であるか否かが優先して判断されるが、
図6および
図7に示す例では、自装置の「台車2」に、空きスロット120aが存在していないため、制御部7により、自装置内に部品供給部110を移設することにより基板Pを生産できないと判断される。そして、制御部7により、他の部品実装装置13に部品供給部110を移設することにより基板Pを生産可能であるか否かが判断される。なお、自装置の「台車1」および「台車2」の部品供給部110の情報、および、他の部品実装装置13の「台車1」および「台車2」の部品供給部110の情報は、リソース情報91に基づいて、取得可能である。
【0069】
図6および
図7に示す例では、自装置の「台車1」に、「AA」、「BB」、「CC」、「DD」および「EE」の5つの部品Eに対応する5つの部品供給部110が配置されている。また、自装置の「台車2」に、「AA」、「FF」、「GG」、「HH」、「II」、「JJ」、「KK」、「LL」および「MM」の9つの部品Eに対応する9つの部品供給部110が配置されている。また、他の部品実装装置13の「台車1」に、「BB」、「PP」、「QQ」、「RR」および「EE」の5つの部品Eに対応する5つの部品供給部110が配置されている。
【0070】
この場合、自装置の「台車1」と「台車2」とで重複する「AA」の部品Eについては、自装置の「台車2」を用いて部品実装可能であるため、部品供給部110を移設する必要がない。同様に、自装置の「台車1」と他の部品実装装置13の「台車1」とで重複する「BB」の部品Eについては、他の部品実装装置13の「台車1」を用いて部品実装可能であるため、部品供給部110を移設する必要がない。このため、自装置の「台車1」の5つの部品供給部110のうち、「AA」および「BB」以外の「CC」、「DD」および「EE」の3つの部品Eに対応する3つの部品供給部110が、制御部7により、移設が必要な移設対象の部品供給部110として抽出される。
【0071】
また、他の部品実装装置13の「台車1」に、部品供給部110が配置されていないスロット120aが3つ存在するため、3つのスロット120aが、制御部7により、移設が可能な空きスロット120aとして抽出される。
【0072】
そして、移設が可能な空きスロット120aの数が、移設が必要な移設対象の部品供給部110の数以上(ここでは、同じ数)であるため、制御部7により、移設対象の部品供給部110を移設するために必要な空きスロット120aが存在すると判断される。そして、制御部7により、他の部品実装装置13に部品供給部110を移設することにより基板Pを生産可能であると判断される。
【0073】
そして、制御部7により、結果表示欄140cに、部品供給部110を移設することにより基板Pを生産可能であるとともに、他の部品実装装置13への移設であることが、判断結果として表示される。そして、ユーザ(作業者)により、移設情報表示ボタン140dが操作されると、制御部7により、移設情報130が表示部8に表示される。
図7に示すように、移設情報130は、移設対象の部品供給部110(自装置の「台車1」の「スロット103」、「スロット104」および「スロット105」の部品供給部110)を表す情報と、移設先の空きスロット120a(他の部品実装装置13の「台車1」の「スロット106」、「スロット107」および「スロット108」)を表す情報とを含んでいる。
【0074】
なお、
図4~
図7に示す例では、便宜上、「台車1」が故障した場合について説明したが、「台車2」、「ヘッド1」または「ヘッド2」のいずれかが故障した場合も、「台車1」の場合と同様である。
【0075】
<装置スキップ:基板搬送部が故障している場合>
次に、
図8を参照して、ユーザ(作業者)により複数のヘッドユニット3および複数(2つ)の台車120を含む部品実装装置13が故障したと判断されて、かつ、ユーザにより搬送可否確認動作を行うと指定され、かつ、制御部7により基板搬送部2が故障していると判断される場合について説明する。
【0076】
この場合、
図8に示すように、ユーザ(作業者)により、設定画面140の故障個所指定欄140aにおいて「台車1」、「台車2」、「ヘッド1」および「ヘッド2」が故障個所として指定されるとともに、確認動作指定欄140eにおいて搬送可否確認動作を行うと指定されて、生産可否判断ボタン140bが操作される。そして、制御部7により、搬送可否確認動作が行われる。
【0077】
図8に示す例では、基板搬送部2により基板Pを所定位置に搬送する制御処理を行ったにもかかわらず、所定位置において基板検出部21により基板Pの存在を検出できなかったため、制御部7により、基板搬送部2により基板Pを搬送できない(基板搬送部2が故障している)と判断される。そして、制御部7により、結果表示欄140cに、部品供給部110を移設することにより基板Pを生産できないとともに、基板搬送部2が故障していることが、判断結果として表示される。
【0078】
<装置スキップ:他の部品実装装置に移設する場合>
次に、
図9および
図10を参照して、ユーザ(作業者)により複数のヘッドユニット3および複数(2つ)の台車120を含む部品実装装置13が故障したと判断されて、かつ、制御部7により部品供給部110を他の部品実装装置13へ移設すると判断される場合について説明する。なお、
図9および
図10では、ユーザにより搬送可否確認動作を行うと指定されて、かつ、制御部7により基板搬送部2により基板Pを搬送可能であると判断される場合について説明する。
【0079】
この場合、
図9に示すように、ユーザ(作業者)により、設定画面140の故障個所指定欄140aにおい「台車1」、「台車2」、「ヘッド1」および「ヘッド2」が故障個所として指定されるとともに、確認動作指定欄140eにおいて搬送可否確認動作を行うと指定されて、生産可否判断ボタン140bが操作される。そして、制御部7により、搬送可否確認動作が行われる。
【0080】
図9に示す例では、基板搬送部2により基板Pを所定位置に搬送する制御処理を行った結果、所定位置において基板検出部21により基板Pの存在を検出できたため、制御部7により、基板搬送部2により基板Pを搬送可能であると判断される。そして、制御部7により、自装置内または他の部品実装装置13に部品供給部110を移設することにより基板Pを生産可能であるか否かが判断される。
図9および
図10に示す例では、自装置の「台車1」、「台車2」、「ヘッド1」および「ヘッド2」の全てが故障しているため、制御部7により、他の部品実装装置13に部品供給部110を移設することにより基板Pを生産可能であるか否かが判断される。なお、自装置の「台車1」および「台車2」の部品供給部110の情報、および、他の部品実装装置13の「台車1」および「台車2」の部品供給部110の情報は、リソース情報91に基づいて、取得可能である。
【0081】
詳細な説明は省略するが、
図3~
図7に示す例と同様に、制御部7により、移設が必要な移設対象の部品供給部110が抽出されとともに、移設が可能な空きスロット120aが抽出される。
【0082】
そして、移設が可能な空きスロット120aの数が、移設が必要な移設対象の部品供給部110の数以上(ここでは、同じ数)であるため、制御部7により、移設対象の部品供給部110を移設するために必要な空きスロット120aが存在すると判断される。そして、制御部7により、他の部品実装装置13に部品供給部110を移設することにより基板Pを生産可能であると判断される。
【0083】
そして、制御部7により、結果表示欄140cに、部品供給部110を移設することにより基板Pを生産可能であるとともに、他の部品実装装置13への移設であることが、判断結果として表示される。そして、ユーザ(作業者)により、移設情報表示ボタン140dが操作されると、制御部7により、移設情報130が表示部8に表示される。
図10に示すように、移設情報130は、移設対象の部品供給部110を表す情報と、移設先の空きスロット120aを表す情報とを含んでいる。
【0084】
(部品実装装置の故障に関する制御処理)
次に、
図11を参照して、部品実装装置13の故障に関する制御処理をフローチャートに基づいて説明する。なお、フローチャートの各処理は、故障が発生した部品実装装置13の制御部7により行われる。
【0085】
ユーザ(作業者)による故障個所指定欄140aおよび確認動作指定欄140eの入力操作が行われて、生産可否判断ボタン140bが操作されると、制御処理が開始される。
【0086】
図11に示すように、まず、ステップS101において、搬送可否確認動作を行うか否かが判断される。確認動作指定欄140eにおいて搬送可否確認動作を行わないことがユーザ(作業者)により指定されている場合、搬送可否確認動作を行わないと判断されて、ステップS105に進む。また、確認動作指定欄140eにおいて搬送可否確認動作を行うことがユーザ(作業者)により指定されている場合、搬送可否確認動作を行うと判断されて、ステップS102に進む。
【0087】
そして、ステップS102において、基板搬送部2上の基板Pを基板搬送部2により所定位置(排出位置など)に搬送する制御処理が行われる。そして、基板検出部21による基板Pの検出動作が行われる。
【0088】
そして、ステップS103において、基板検出部21により基板Pを検出したか否かが判断される。基板検出部21により基板Pを検出していないと判断される場合、ステップS104に進む。
【0089】
そして、ステップS104において、基板搬送部2の故障が通知される。具体的には、結果表示欄140cに、部品供給部110を移設することにより基板Pを生産できないとともに、基板搬送部2が故障していることが表示される。そして、制御処理が終了される。
【0090】
また、ステップS103において、基板検出部21により基板Pを検出したと判断される場合、ステップS105に進む。
【0091】
そして、ステップS105において、装置スキップであるか否かが判断される。具体的には、故障個所指定欄140aにおいて複数のヘッドユニット3および複数の台車120の全てがユーザ(作業者)により指定されているか否かが判断される。故障個所指定欄140aにおいて複数のヘッドユニット3および複数の台車120の全てがユーザにより指定されている場合、装置スキップであると判断されて、ステップS108に進む。また、故障個所指定欄140aにおいて複数のヘッドユニット3および複数の台車120の全てがユーザにより指定されているわけではない場合、装置スキップではないと判断されて、ステップS106に進む。
【0092】
そして、ステップS106において、個別スキップであるか否かが判断される。具体的には、故障個所指定欄140aにおいて複数のヘッドユニット3および複数の台車120のいずれかがユーザ(作業者)により指定されているか否かが判断される。故障個所指定欄140aにおいて複数のヘッドユニット3および複数の台車120の全てがユーザ(作業者)により指定されていない場合、個別スキップではないと判断されて、制御処理が終了される。また、故障個所指定欄140aにおいて複数のヘッドユニット3および複数の台車120のいずれかがユーザにより指定されている場合、個別スキップであると判断されて、ステップS107に進む。
【0093】
そして、ステップS107において、自装置内に部品供給部110を移設することにより基板Pを生産可能であるか否かが判断される。自装置内において移設対象の部品供給部110を移設するために必要な空きスロット120aが存在する場合、自装置内に部品供給部110を移設することにより基板Pを生産可能であると判断されて、ステップS110に進む。また、自装置内において移設対象の部品供給部110を移設するために必要な空きスロット120aが存在しない場合、自装置内に部品供給部110を移設することにより基板Pを生産できないと判断されて、ステップS108に進む。
【0094】
そして、ステップS108において、他の部品実装装置13に部品供給部110を移設することにより基板Pを生産可能であるか否かが判断される。他の部品実装装置13において移設対象の部品供給部110を移設するために必要な空きスロット120aが存在する場合、他の部品実装装置13に部品供給部110を移設することにより基板Pを生産可能であると判断されて、ステップS110に進む。また、他の部品実装装置13において移設対象の部品供給部110を移設するために必要な空きスロット120aが存在しない場合、他の部品実装装置13に部品供給部110を移設することにより基板Pを生産できないと判断されて、ステップS109に進む。
【0095】
そして、ステップS109において、結果表示欄140cに、部品供給部110を移設することにより基板Pを生産できないことが表示される。そして、制御処理が終了される。
【0096】
また、ステップS110に進んだ場合、ステップS110において、結果表示欄140cに、部品供給部110を移設することにより基板Pを生産可能であるとともに、自装置内または他の部品実装装置13への移設であることが、判断結果として表示される。また、ユーザ(作業者)により、移設情報表示ボタン140dが操作されると、移設対象の部品供給部110を表す情報と、移設先の空きスロット120aを表す情報とを含む移設情報130が表示部8に表示される。そして、制御処理が終了される。
【0097】
(本実施形態の効果)
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0098】
本実施形態では、上記のように、自装置に故障が発生した場合に、自装置内または同じ部品実装ライン10の他の部品実装装置13に故障に関連する部品供給部110を移設することにより基板Pを生産可能であるか否かを判断するとともに、基板Pを生産可能であると判断された場合、部品供給部110を移設するための移設情報130を通知する制御部7を設ける。これにより、自装置内または同じ部品実装ライン10の他の部品実装装置13に部品供給部110を移設して基板Pを生産することができるので、他の部品実装ライン10へのバイパスコンベアを設ける必要がない。その結果、部品実装ライン10の構成が複雑化することを抑制することができる。また、自装置内または同じ部品実装ライン10の他の部品実装装置13に部品供給部110を移設することにより基板Pを生産することができるので、故障を修復するまで基板Pの生産を停止する場合に比べて、基板Pの生産が停止する時間を低減することができる。これらの結果、部品実装装置13に故障が発生した場合にも、部品実装ライン10の構成が複雑化することを抑制しながら、故障により基板Pの生産が停止する時間を低減することができる。
【0099】
また、本実施形態では、上記のように、制御部7は、基板搬送部2により基板Pを搬送可能な場合に、部品供給部110を移設することにより基板Pを生産可能であるか否かを判断するように構成されている。これにより、基板搬送部2により基板Pを搬送可能な場合に、部品供給部110を移設することにより基板Pを生産可能であるか否かを判断することができるので、基板搬送部2により基板Pを搬送できない場合(部品供給部110を移設しても基板Pを生産できない場合)に、部品供給部110を移設することにより基板Pを生産可能であるか否かを判断する無駄な処理が発生することを回避することができる。
【0100】
また、本実施形態では、上記のように、制御部7は、自装置内に部品供給部110を移設することにより基板Pを生産可能であるか否かを判断するとともに、自装置内に部品供給部110を移設することにより基板Pを生産可能ではないと判断された場合、他の部品実装装置13に部品供給部110を移設することにより基板Pを生産可能であるか否かを判断するように構成されている。これにより、自装置内に部品供給部110を移設することを優先して判断することができるので、極力、自装置内に部品供給部110を移設することができる。その結果、他の部品実装装置13に部品供給部110を移設する場合に比べて、部品供給部110を移設する作業の手間を軽減することができる。また、自装置内に部品供給部110を移設できない場合には、他の部品実装装置13に部品供給部110を移設することを判断することができるので、極力、基板Pを生産可能にすることができる。
【0101】
また、本実施形態では、上記のように、ヘッドユニット3は、複数設けられている。また、制御部7は、複数のヘッドユニット3のうちから、ユーザが故障であると指定したヘッドユニット3に関連する部品供給部110を、自装置内または他の部品実装装置13に移設することにより基板Pを生産可能であるか否かを判断するように構成されている。これにより、複数のヘッドユニット3のうちのユーザが故障であると指定したヘッドユニット3に関連する部品供給部110を移設することを判断することができるので、複数のヘッドユニット3のうちの一部のヘッドユニット3の故障にも対応することができる。また、複数のヘッドユニット3のうちの一部のヘッドユニット3の故障に対応するだけでよいので、移設する部品供給部110の数を少なくすることができる。その結果、部品供給部110を移設することにより基板Pを生産可能にすることができる可能性を高めることができるとともに、部品供給部110を移設することにより基板Pを生産可能である場合に、部品供給部110を移設する作業の手間を軽減することができる。
【0102】
また、本実施形態では、上記のように、部品実装装置13は、部品供給部110が配置される複数の台車120を備えている。また、制御部7は、複数の台車120のうちから、ユーザが故障であると指定した台車120に関連する部品供給部110を、自装置内または他の部品実装装置13に移設することにより基板Pを生産可能であるか否かを判断するように構成されている。これにより、複数の台車120のうちのユーザが故障であると指定した台車120に関連する部品供給部110を移設することを判断することができるので、複数の台車120のうちの一部の台車120の故障にも対応することができる。また、複数の台車120のうちの一部の台車120の故障に対応するだけでよいので、移設する部品供給部110の数を少なくすることができる。その結果、部品供給部110を移設することにより基板Pを生産可能にすることができる可能性を高めることができるとともに、部品供給部110を移設することにより基板Pを生産可能である場合に、部品供給部110を移設する作業の手間を軽減することができる。
【0103】
また、本実施形態では、上記のように、制御部7は、部品供給部110を移設することにより基板Pを生産可能である場合、自装置内に部品供給部110を移設するか、または、他の部品実装装置13に部品供給部110を移設するかを表示部8に表示するように構成されている。これにより、表示部8に表示された情報により、自装置内に部品供給部110を移設するか、または、他の部品実装装置13に部品供給部110を移設するかを、容易に確認することができる。
【0104】
また、本実施形態では、上記のように、制御部7は、移設対象の部品供給部110を表す情報と、移設対象の部品供給部110を配置する移設先の空きスロット120aを表す情報とを含む移設情報130を、表示部8に表示するように構成されている。これにより、表示部8に表示された移設情報130により、移設対象の部品供給部110と、移設対象の部品供給部110を配置する移設先の空きスロット120aとを容易に確認することができるので、部品供給部110を移設する作業を容易に行うことができる。
【0105】
また、本実施形態では、上記のように、制御部7は、基板搬送部2により基板Pを搬送可能であるか否かを確認する搬送可否確認動作を行うように構成されている。これにより、ユーザが基板搬送部2により基板Pを搬送可能であるか否かを確認(点検)する作業を行う必要がないので、ユーザが基板搬送部2により基板Pを搬送可能であるか否かを確認する作業の手間を省くことができる。
【0106】
また、本実施形態では、上記のように、制御部7は、ユーザの操作に基づいて、搬送可否確認動作を行うように構成されている。これにより、搬送可否確認動作を行うか否かをユーザが決定することができるので、基板搬送部2により基板Pを搬送可能であることが明らかな場合などには、搬送可否確認動作を不必要に行わないようにすることができるとともに、基板搬送部2により基板Pを搬送可能であることが明らかではない場合などには、搬送可否確認動作を有効に利用して、ユーザの手間を省きながら基板搬送部2の搬送の可否を確認することができる。
【0107】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更(変形例)が含まれる。
【0108】
たとえば、上記実施形態では、部品実装装置の制御部が本発明の制御処理を行う例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、生産管理装置が本発明の制御処理を行ってもよい。すなわち、生産管理装置が、部品実装装置に故障が発生した場合に、部品実装装置内または同じ部品実装ラインの他の部品実装装置に故障に関連する部品供給部を移設することにより基板を生産可能であるか否かを判断するとともに、基板を生産可能であると判断された場合、部品供給部を移設するための移設情報を通知するように構成されていてもよい。この場合、生産管理装置は、特許請求の範囲の「制御装置」の一例である。
【0109】
また、上記実施形態では、部品実装装置に故障が発生した場合、部品供給部を移設する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、部品実装装置に故障が発生した場合、部品供給部およびノズルストッカを移設してもよい。この場合、移設情報は、移設対象の部品供給部を表す情報と、移設対象の部品供給部を配置する移設先の空きスロットを表す情報と、移設対象のノズルストッカを表す情報と、ノズルストッカの移設先を表す情報とを含んでいてもよい。ノズルストッカを移設すれば、部品種に適したノズルを容易に供給することができる。
【0110】
また、上記実施形態では、制御部が、自装置内または同じ部品実装ラインの他の部品実装装置に部品供給部を移設することにより基板を生産可能であるか否かを判断するように構成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、制御部が、自装置内に部品供給部を移設することにより基板を生産可能であるか否かのみを判断するように構成されていてもよいし、他の部品実装装置に部品供給部を移設することにより基板を生産可能であるか否かのみを判断するように構成されていてもよい。
【0111】
また、上記実施形態では、制御部が、自装置内に部品供給部を移設することにより基板を生産可能であるか否かを優先して判断するように構成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、制御部が、自装置内または他の部品実装装置に部品供給部を移設することにより基板を生産可能であるか否かを並行して判断するように構成されていてもよい。また、制御部が、他の部品実装装置に部品供給部を移設することにより基板を生産可能であるか否かを優先して判断するように構成されていてもよい。
【0112】
また、上記実施形態では、2つのヘッドユニットを備える部品実装装置に本発明を適用する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明は、1つまたは3つ以上のヘッドユニットを備える部品実装装置に適用されてもよい。
【0113】
また、上記実施形態では、2つの台車を備える部品実装装置に本発明を適用する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明は、1つまたは3つ以上の台車を備える部品実装装置に適用されてもよい。
【0114】
また、上記実施形態では、部品実装装置が、ユーザ(作業者)によりヘッドユニットまたは台車を故障個所として指定可能である例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、部品実装装置が、ユーザ(作業者)によりヘッドユニットまたは台車を故障個所として指定できなくてもよい。
【0115】
また、上記実施形態では、設定画面および移設情報を部品実装装置の表示部に表示する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、設定画面および移設情報を、生産管理装置の表示部、ユーザ(作業者)が携帯する携帯端末の表示部、または、部品実装装置が配置される部品実装工場の作業エリアなどに設けられた表示部などの表示部に表示してもよい。
【0116】
また、上記実施形態では、設定画面を遷移させることにより、移設情報を表示する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、設定画面に、移設情報を表示してもよい。
【0117】
また、上記実施形態では、部品実装装置が、ユーザの操作に基づいて、搬送可否確認動作を行うように構成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、部品実装装置が、ユーザの操作にかかわらず、搬送可否確認動作を行うように構成されていてもよい。また、部品実装装置が、搬送可否確認動作の機能を備えていなくてもよい。
【0118】
また、上記実施形態では、説明の便宜上、制御部の処理動作を処理フローに沿って順番に処理を行うフロー駆動型のフローチャートを用いて説明したが、本発明はこれに限られない。本発明では、制御部の処理動作を、イベント単位で処理を実行するイベント駆動型(イベントドリブン型)の処理により行ってもよい。この場合、完全なイベント駆動型で行ってもよいし、イベント駆動およびフロー駆動を組み合わせて行ってもよい。
【符号の説明】
【0119】
2 基板搬送部
3 ヘッドユニット
7 制御部(制御装置)
8 表示部
13 部品実装装置
100 部品実装システム
110 部品供給部
120 台車
120a スロット
130 移設情報
E 部品
P 基板