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特許7619937心内膜組織へのパルス電界アブレーションエネルギーの送達のためのシステム、装置、および方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-14
(45)【発行日】2025-01-22
(54)【発明の名称】心内膜組織へのパルス電界アブレーションエネルギーの送達のためのシステム、装置、および方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/14 20060101AFI20250115BHJP
【FI】
A61B18/14
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021515144
(86)(22)【出願日】2019-09-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-06
(86)【国際出願番号】 US2019051998
(87)【国際公開番号】W WO2020061359
(87)【国際公開日】2020-03-26
【審査請求日】2022-09-05
(31)【優先権主張番号】62/734,214
(32)【優先日】2018-09-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ヴィスワナータン,ラジュ
(72)【発明者】
【氏名】ロング,ゲイリー エル.
(72)【発明者】
【氏名】パギアード,ジャン-リュック
(72)【発明者】
【氏名】ティボー,ブノワ
【審査官】北村 龍平
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/049784(WO,A1)
【文献】特表2000-513625(JP,A)
【文献】特開2018-108376(JP,A)
【文献】特開2017-104547(JP,A)
【文献】国際公開第2018/106688(WO,A2)
【文献】特表2009-500052(JP,A)
【文献】特開平10-137207(JP,A)
【文献】特表2020-503097(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/00
18/04 - 18/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向軸を有し、内腔を画定する第1のシャフトと、
前記内腔内に配置され、前記第1のシャフトの遠位部分から延在する遠位部分を有する第2のシャフトであって、前記第2のシャフトが、前記第1のシャフトに対して前記長手方向軸に沿って移動可能な、第2のシャフトと、
前記第1のシャフトの前記遠位部分に連結された第1の電極と、
前記第2のシャフトの前記遠位部分に連結された第2の電極であって、前記第1および第2の電極が、組織を切除するための電界を発生させるように構成されている、第2の電極と、
前記第1の電極と前記第2の電極との間に配置された膨張可能な部材であって、前記膨張可能な部材が、前記第1のシャフトに対して近位に移動している前記第2のシャフトに応答して、非展開構成から展開構成に移行するように構成され、前記展開構成の前記膨張可能な部材が、肺静脈口の壁に係合し、前記第1および第2の電極によって発生する前記電界を前記壁に向けるように構成されている、膨張可能な部材と、を備え、前記膨張可能な部材は壁を含み、前記壁は、
近位部分と、
遠位部分と、
前記壁の前記近位部分と前記遠位部分との間に配置された中間部分であって、前記中間部分が、前記壁の前記近位および遠位部分の厚さよりも小さい最小厚さを有する、中間部分と、
を有し、
前記長手方向軸に沿った前記膨張可能な部材の前記近位部分および前記遠位部分の各々の長さが、前記長手方向軸に沿った前記中間部分の長さよりも大きく、前記展開構成にあるときの前記膨張可能な部材は、前記近位部分と前記遠位部分との間で前記長手方向軸に沿う長手方向距離を有し、前記長手方向距離は前記中間部分の前記長手方向軸に沿う長さよりも大きい、装置。
【請求項2】
長手方向軸を有し、内腔を画定するシャフトと、
前記シャフトの遠位部分の近くに配置された膨張可能な部材であって、前記膨張可能な部材が、非展開構成と展開構成との間を移行するように構成され、前記膨張可能な部材が壁を含み、前記壁は、近位部分長さを有する近位部分、遠位部分長さを有する遠位部分、および前記壁の前記近位部分と遠位部分との間に配置されるとともに中間部分長さを有する中間部分を含み、前記中間部分が、前記壁の前記近位部分および前記遠位部分の厚さよりも小さい最小厚さを有し、前記中間部分長さに対する前記近位部分長さの比率と前記中間部分長さに対する前記遠位部分長さの比率は、3よりも大きく、前記展開構成にあるときの前記膨張可能な部材は、前記近位部分と前記遠位部分との間で前記長手方向軸に沿う長手方向距離を有し、前記長手方向距離は前記中間部分の前記長手方向軸に沿う長さよりも大きい、膨張可能な部材と、
前記長手方向軸に沿って前記膨張可能な部材の反対側に配置された第1および第2の電極であって、前記第1の電極および第2の電極が、組織を切除するための電界を発生させるように構成されている、第1の電極および第2の電極と、を備える、装置。
【請求項3】
前記展開構成の前記膨張可能な部材が、肺静脈口の壁に係合するよう構成され、前記展開構成の前記膨張可能な部材が、前記第1および第2の電極によって発生する前記電界を前記肺静脈口の前記壁に向けるように、前記膨張可能な部材が絶縁材料から形成される、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記展開構成の前記膨張可能な部材が、前記長手方向軸に対して45度超角度の付いた少なくとも近位部分または遠位部分を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記中間部分の前記最小厚さが、前記壁の少なくとも前記近位部分または遠位部分の前記厚さの3分の1未満である、請求項1または2のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記展開構成の前記膨張可能な部材が、40mm未満の幅、25mm未満の高さ、および15mm未満の曲率半径を有する側面部分を有する、断面形状を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記展開構成の前記膨張可能な部材が、20mm~40mmの最大幅を有する断面形状を有する、請求項1~6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記第1の電極が、前記膨張可能な部材の近位部分に取り付けられ、前記第2の電極が、前記膨張可能な部材の遠位部分に取り付けられている、請求項1~7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記第1および第2の電極の各々が、1mm~7mmの外径、および1mm~15mmの前記長手方向軸に沿った長さを有する、請求項1~8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記第2の電極が、円形遠位端を有する、請求項1~9のいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年9月20日に出願された米国仮出願第62/734,214号の利益を主張するものであり、その開示全体は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
組織治療法のためのパルス電界の発生が過去20年間にわたって実験室用途から臨床用途に移行してきた一方で、高電圧の短いパルスおよび大きい電界が組織に与える影響は、過去40年以上にわたって調査されてきた。組織への短い高DC電圧の印加は、細胞膜内に細孔を生成することによって細胞膜を破壊する、典型的には数百ボルト/センチメートルの範囲の局所的高電界を発生させ得る。この電動の細孔生成または電気穿孔の正確な機構は研究され続けているが、比較的短くかつ大きい電界の印加は、細胞膜内の脂質二重層に不安定性をもたらし、細胞膜内の局所的な間隙または細孔の分布の発生を引き起こすと考えられる。この電気穿孔は、膜において印加された電界が閾値よりも大きい場合に不可逆的であり得、これにより細孔が閉じず開いたままであり、それによって壊死および/またはアポトーシス(細胞死)をもたらす膜にわたる生体分子材料の交換を可能にする。その後、周囲組織は自然に治癒し得る。
【0003】
パルスDC電圧が適切な状況下で電気穿孔を駆動し得る一方で、健康な組織の損傷を最小限に抑えながら、目的の領域の心内膜組織に選択的に、高DC電圧電気穿孔アブレーション療法を効果的に送達する、薄型で柔軟性のある非外傷性デバイスの必要性がいまだ満たされていない。
【発明の概要】
【0004】
不可逆的電気穿孔を介して組織を切除するためのシステム、デバイス、および方法が本明細書に記載される。いくつかの実施形態では、装置は、長手方向軸を有し、内腔を画定する第1のシャフトと、内腔内に配置され、第1のシャフトの遠位部分から延在する遠位部分を有する第2のシャフトであって、第1のシャフトに対して長手方向軸に沿って移動可能な第2のシャフトと、第1のシャフトの遠位部分に連結された第1の電極と、第2のシャフトの遠位部分に連結された第2の電極と(第1および第2の電極は、組織を切除するための電界を発生させるように構成されている)、第1の電極と第2の電極との間に配置された膨張可能な部材であって、膨張可能な部材が、第1のシャフトに対して近位に移動している第2のシャフトに応答して、非展開構成から展開構成に移行するように構成され、展開構成の膨張可能な部材が、肺静脈口の壁に係合し、第1および第2の電極によって発生する電界を壁に向けるように構成されている、膨張可能な部材と、を含むことができる。
【0005】
いくつかの実施形態では、装置は、長手方向軸を有し、内腔を画定するシャフトと、シャフトの遠位部分の近くに配置された膨張可能な部材であって、膨張可能な部材が、非展開構成と展開構成との間を移行するように構成され、膨張可能な部材が、壁であって、近位部分、遠位部分、および壁の近位部分と遠位部分との間に配置された中間部分を有する壁を含み、中間部分が、壁の近位および遠位部分の厚さよりも小さい最小厚さを有する、膨張可能な部材と、長手方向軸に沿って膨張可能な部材の反対側に配置された第1および第2の電極であって、組織を切除するための電界を発生させるように構成されている、第1および第2の電極と、含むことができる。
【0006】
いくつかの実施形態では、システムは、パルス波形を発生させるように構成された信号発生器と、信号発生器に連結されたアブレーションデバイスであって、パルス波形を受信し、アブレーションのための電界を発生させるように構成された第1および第2の電極、ならびに絶縁材料から形成され、第1の電極と第2の電極との間に配置された膨張可能な部材であって、膨張可能な部材が、膨張可能な部材が肺静脈口に前進することができる非展開構成と、膨張可能な部材が肺静脈口の壁と係合することができる展開構成との間を移行するように構成され、展開構成の膨張可能な部材が、電界を壁に向けるように構成されている、膨張可能な部材、を含むアブレーションデバイスと、を含むことができる。
【0007】
いくつかの実施形態では、方法は、アブレーションデバイスの外側シャフトに対してアブレーションデバイスの内側シャフトを格納することであって、内側シャフトが、外側シャフトの内腔内に配置されている、格納することと、外側シャフトに対して内側シャフトを格納することに応答して、アブレーションデバイスの膨張可能な部材を、非展開構成から、膨張可能な部材の側面部分が肺静脈口の壁に係合する展開構成に移行させることと、移行後に、アブレーションデバイスの第1および第2の電極にパルス波形を送達して、これにより、第1および第2の電極が、肺静脈口の壁を切除するための電界を発生させることであって、第1および第2の電極が、膨張可能な部材の反対側に配置されている、送達することと、を含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態による電気穿孔システムのブロック図である。
図2A】実施形態による、膨張状態のアブレーションデバイスの側面図である。
図2B】実施形態による、収縮状態の図2Aに示されるアブレーションデバイスの側面図である。
図3】実施形態による、肺静脈内に配置されたアブレーションデバイスの断面側面図である。
図4A】実施形態による、肺静脈内に配置されたアブレーションデバイスの断面側面図である。
図4B】実施形態による、肺静脈内に配置されたときの図4Aに示されるアブレーションデバイスに関連するアブレーション領域の斜視図である。
図5A】実施形態による、肺静脈内に配置されたアブレーションデバイスの断面側面図である。
図5B】肺静脈内に配置された図5Aに示されるアブレーションデバイスの断面側面図である。
図6A】実施形態による、肺静脈内に配置されたアブレーションデバイスの断面側面図である。
図6B】肺静脈内に配置された図6Aに示されるアブレーションデバイスのアブレーション領域の断面側面図である。
図7】実施形態によるアブレーションデバイスの側面図である。
図8】実施形態によるアブレーションデバイスの側面図である。
図9】実施形態によるアブレーションデバイスの斜視図である。
図10】実施形態によるアブレーションデバイスの膨張可能な部材の壁の一部分の概略側面図である。
図11】実施形態によるアブレーションデバイスの膨張可能な部材の壁の一部分の概略側面図である。
図12A】実施形態によるアブレーションデバイスの異なる図である。
図12B】実施形態によるアブレーションデバイスの異なる図である。
図13図12Aおよび12Bに示されるアブレーションデバイスの断面側面図である。
図14図12Aおよび12Bに示されるアブレーションデバイスのアブレーション領域の断面側面図である。
図15】実施形態による、各パルスに対して画定されるパルス幅を有する電圧パルスのシーケンスを示す波形の例である。
図16】実施形態による、パルス幅、パルス間の間隔、およびパルスのグループ化を示すパルスの階層を概略的に示す。
図17】実施形態による、異なるレベルの入れ子階層を示す単相パルスの入れ子階層の概略図を提供する。
図18】実施形態による、異なるレベルの入れ子階層を示す二相パルスの入れ子階層の概略図である。
図19】心電図および心臓ペーシング信号の時間系列を心房および心室の不応期とともに概略的に示し、実施形態による不可逆的電気穿孔アブレーションの時間窓を示す。
図20A】実施形態による組織アブレーションのための方法を示す。
図20B】実施形態による組織アブレーションのための方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
不可逆的電気穿孔を介して組織を切除するためのシステム、デバイス、および方法が本明細書に記載される。概して、組織にパルス波形を送達するための装置は、長手方向軸を画定する第1のカテーテル(例えば、シャフト)を含んでもよい。拡張可能/膨張可能な部材が、第1のカテーテルの遠位部分に連結されてもよい。第1の電極が、第1のカテーテルの遠位部分に連結され、膨張可能な部材に近位であってもよい。第2のカテーテル(例えば、シャフト)または管腔が、第1のカテーテルの内腔内、および第2のカテーテルが第1のカテーテルに対して摺動可能であり得る拡張可能/膨張可能な部材のチャンバ内に配置されてもよい。拡張可能/膨張可能な部材は、第2のカテーテルの遠位端に連結されてもよい。第2の電極が、第2のカテーテルの遠位部分に連結され、膨張可能な部材に遠位であってもよい。いくつかの実施形態では、第2のカテーテル、特にその遠位部分は、第1のカテーテルに対して直線的に操縦可能であってもよい。したがって、いくつかの実施形態では、第2の電極は、第1の電極に対して操縦可能であってもよい。拡張可能/膨張可能な部材の近位部分は、第1のカテーテルの遠位部分に連結されてもよく、拡張可能/膨張可能な部材の遠位部分は、第2のカテーテルまたは管腔の遠位部分に連結されてもよい。第2のカテーテルは、ガイドワイヤを内腔に通すのに十分な内腔直径を有してもよい。ガイドワイヤは、第1および第2のカテーテルに対して機械的支持を提供し得る。いくつかの実施形態では、第1の電極は、第1の電極セットを備えてもよく、第2の電極は、第2の電極セットを備えてもよい。
【0010】
概して、組織にパルス波形を送達するためのシステムは、パルス波形を発生させるよう構成された信号発生器と、信号発生器に連結され、パルス波形を受信するよう構成されたアブレーションデバイスとを含んでもよい。アブレーションデバイスは、不可逆的電気穿孔によって組織を切除するためのエネルギーを送達するために、第1のカテーテルの遠位部分に連結された拡張可能/膨張可能な部材(例えば、バルーン)を含んでもよい。1つ以上の電極が、第1のカテーテルの表面上の拡張可能/膨張可能な部材の近位に形成されてもよい。
【0011】
いくつかの実施形態では、システムは、パルス波形を発生させるように構成された信号発生器を含んでもよい。アブレーションデバイスは、信号発生器に連結され、パルス波形を受信するように構成されてもよい。アブレーションデバイスは、第1の電極に対して第2の電極を移動させるように構成されたハンドルを含んでもよい。システムは、ペーシング信号の発生、およびペーシング信号と同期したパルス波形の送達のための心臓刺激装置を含んでもよい。いくつかの実施形態では、電極のうちの1つ以上は、それに関連付けられた絶縁電気リードを有してもよく、絶縁電気リードは、その対応する絶縁の誘電破壊なしに少なくとも約700Vの電位を維持するように構成され、絶縁電気リードは、カテーテルの内腔内に配置されている。いくつかの実施形態では、電極のうちの1つ以上は、独立してアドレス可能であってもよい。
【0012】
いくつかの実施形態では、パルス波形は、第1のパルスセットの形態のパルス波形の第1の階層レベルを含んでもよく、各パルスは、パルス持続時間を有し、第1の時間間隔は、連続パルスを分離する。パルス波形の第2の階層レベルは、第2のパルスセットとしての複数の第1のパルスセットを含み、第2の時間間隔は、連続的な第1のパルスセットを分離し、第2の時間間隔は、第1の時間間隔の持続時間の少なくとも3倍である。パルス波形の第3の階層レベルは、第3のパルスセットとしての複数の第2のパルスセットを含み、第3の時間間隔は、連続的な第2のパルスセットを分離し、第3の時間間隔は、第2のレベルの時間間隔の持続時間の少なくとも30倍である。これらの実施形態のうちのいくつかにおいて、パルス波形は、パルス波形の第4の階層レベルを含み、第4のパルスセットとしての複数の第3のパルスセットを含み、第4の時間間隔は、連続的な第3のパルスセットを分離し、第4の時間間隔は、第3のレベルの時間間隔の持続時間の少なくとも10倍である。
【0013】
いくつかの実施形態では、アブレーションデバイスの遠位部分は、放射線不透過性部分をさらに含んでもよい。いくつかの実施形態では、第2のカテーテルは、その内部を通る内腔を画定する。
【0014】
いくつかの実施形態では、不可逆的電気穿孔を介したアブレーション方法は、アブレーションデバイスを肺静脈口に向かって前進させるステップを含む。アブレーションデバイスは、第1のカテーテルと、第2のカテーテルまたは管腔と、カテーテルシャフトの遠位端に連結された拡張可能/膨張可能な部材とを含んでもよい。膨張可能な部材には、膨張可能な部材の近位および遠位のデバイス上に取り付けられた電極が隣接していてもよい。パルス波形が発生し得る。パルス波形は、アブレーションデバイス上の電極を介して肺静脈口に送達されてもよい。
【0015】
いくつかの実施形態では、アブレーションデバイスの拡張可能/膨張可能な部材は、第1の構成から第2の構成に移行してもよい。いくつかの実施形態では、第1の構成から第2の構成に拡張可能/膨張可能な部材を移行させることは、機械的拡張を誘導し得る蒸留水または脱イオン水を拡張可能/膨張可能な部材に注入することを含む。いくつかの実施形態では、パルス電界アブレーションエネルギーが、アブレーションデバイスの第1の電極セットおよび第2の電極セットを通して送達されてもよい。いくつかの実施形態では、アブレーションデバイスは、約200V/cm~約800V/cmの電界強度を発生させるように構成されている。
【0016】
いくつかの実施形態では、アブレーションデバイスは、ハンドルを含んでもよい。いくつかの実施形態では、近位の電極または第1の電極セットの近位の第1のカテーテルシャフトの一部分は、ハンドル上のノブまたは他の制御機構によって制御される偏向を伴って偏向可能であり得る。方法は、ハンドルを使用してアブレーションデバイスの一部分を偏向させるステップをさらに含んでもよい。例えば、第2の電極は、第1の電極に対して移動してもよく、第2の構成の拡張可能/膨張可能な部材の形状は、ハンドルに取り付けられた注入ポートを通した蒸留水または脱イオン水の注入によって変更されてもよく、遠位シャフトは、ハンドル上の偏向ノブを使用して偏向されてもよい。
【0017】
いくつかの実施形態では、方法は、左心房への経中隔開口部を作るステップと、ガイドワイヤおよび操縦可能なシースを、経中隔開口部を通して左心房内に前進させるステップと、アブレーションデバイスをガイドワイヤ上で肺静脈内に前進させるステップとを含んでもよい。いくつかの実施形態では、方法は、患者における第1のアクセス部位を作るステップと、ガイドワイヤを、第1のアクセス部位を通して右心房内に前進させるステップと、拡張器および操縦可能なシースをガイドワイヤ上および右心房内に前進させるステップと、拡張器を、右心房から心房中隔を通して左心房内に前進させて、経中隔開口部を作るステップと、拡張器を使用して経中隔開口部を拡張するステップとを含んでもよい。いくつかの実施形態では、心臓ペーシングカテーテルを前進させるために、第2のアクセス部位が患者において作られてもよい。いくつかの実施形態では、方法は、ペーシングカテーテルを右心室に前進させるステップと、心臓刺激装置を使用して心臓の心刺激のための心臓刺激のためのペーシング信号を発生させるステップと、心臓刺激装置を使用して心臓にペーシング信号を印加し、次いで、膨張可能な部材を有するアブレーションデバイスが肺静脈口に好適に位置付けられると、ペーシング信号と同期してパルス電界電圧パルス波形を送達するステップとを含んでもよい。
【0018】
いくつかの実施形態では、方法は、1つ以上のステップの最中にアブレーションデバイスの放射線不透過性部分を蛍光透視的に撮像するステップを含んでもよい。いくつかの実施形態では、第1のアクセス部位は、大腿静脈である。いくつかの実施形態では、心房中隔は、卵状窩を含む。
【0019】
いくつかの実施形態では、パルス波形は、第1のパルスセットの形態のパルス波形の第1の階層レベルを含んでもよく、各パルスは、パルス持続時間を有し、第1の時間間隔は、連続パルスを分離する。パルス波形の第2の階層レベルは、第2のパルスセットとしての複数の第1のパルスセットを含み、第2の時間間隔は、連続的な第1のパルスセットを分離し、第2の時間間隔は、第1の時間間隔の持続時間の少なくとも3倍である。パルス波形の第3の階層レベルは、第3のパルスセットとしての複数の第2のパルスセットを含み、第3の時間間隔は、連続的な第2のパルスセットを分離し、第3の時間間隔は、第2のレベルの時間間隔の持続時間の少なくとも30倍である。これらの実施形態のうちのいくつかにおいて、パルス波形は、パルス波形の第4の階層レベルを含み、第4のパルスセットとしての複数の第3のパルスセットを含み、第4の時間間隔は、連続的な第3のパルスセットを分離し、第4の時間間隔は、第3のレベルの時間間隔の持続時間の少なくとも10倍である。
【0020】
本明細書に記載されるシステム、デバイス、および方法は、不可逆的電気穿孔をもたらすために、所望の目的の領域において大きい電界の大きさをもたらすために使用されてもよい。本明細書に記載される不可逆的電気穿孔システムは、目的の領域にエネルギーを送達するために、1つ以上の電圧パルス波形を電極セットに印加するように構成された信号発生器およびプロセッサを含んでもよい。本明細書に開示されるパルス波形は、心房細動などの心不整脈の治療的処置に役立ち得る。信号発生器によって発生するパルス波形を送達するために、アブレーションデバイスの1つ以上の電極は、その対応する絶縁の誘電破壊なしに、少なくとも約700Vの電位を維持するように構成された絶縁電気リードを有してもよい。いくつかの実施形態では、電極の少なくともいくつかは、各電極がデバイスの任意の他の電極から独立して制御され得る(例えば、エネルギーを送達し得る)ように、独立してアドレス可能であり得る。
【0021】
本明細書で使用される場合、「電気穿孔」という用語は、細胞外環境への細胞膜の透過性を変化させるための細胞膜への電界の印加を指す。本明細書で使用される場合、「可逆的電気穿孔」という用語は、細胞外環境への細胞膜の透過性を一時的に変化させるための細胞膜への電界の印加を指す。例えば、可逆的電気穿孔を受ける細胞は、電界の除去時に閉じるその細胞膜内の1つ以上の細孔の一時的および/または断続的な形成を観察することができる。本明細書で使用される場合、「不可逆的電気穿孔」という用語は、細胞外環境への細胞膜の透過性を永久的に変化させるための細胞膜への電界の印加を指す。例えば、不可逆的電気穿孔を受ける細胞は、電界の除去時に持続するその細胞膜内の1つ以上の細孔の形成を観察することができる。
【0022】
本明細書に開示される電気穿孔エネルギー送達のためのパルス波形は、不可逆的電気穿孔に関連する電界閾値を低減することによって、組織へのエネルギー送達の安全性、効率、および有効性を高め、それによって送達される総エネルギーの低減を伴うより効果的な切除できる病変をもたらし得る。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される電圧パルス波形は、階層的であってもよく、入れ子構造を有してもよい。例えば、パルス波形は、関連する時間スケールを有するパルスの階層的グループ化を含んでもよい。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法、システム、およびデバイスは、2016年10月19日に出願され、「SYSTEMS,APPARATUSES AND METHODS FOR DELIVERY OF ABLATIVE ENERGY TO TISSUE」と題する、国際出願第PCT/US2016/057664号、および2019年5月7日に出願され、「SYSTEMS,APPARATUSES AND METHODS FOR DELIVERY OF ABLATIVE ENERGY TO TISSUE」と題する、米国特許出願第16/405,515号に記載される方法、システム、およびデバイスのうちの1つ以上を含んでもよく、それら各々の内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0023】
いくつかの実施形態では、システムは、パルス波形の発生をペーシングされた心拍に同期するために使用される心臓刺激装置をさらに含んでもよい。心臓刺激装置は、心臓刺激装置を用いて心臓を電気的にペーシングし、心周期の周期性および予測可能性を確立するためにペーシング捕捉を確実にし得る。周期的な心周期の不応期内の時間窓は、電圧パルス波形送達のために選択され得る。したがって、電圧パルス波形は、心臓の洞調律の乱れを回避するために、心周期の不応期中に送達され得る。いくつかの実施形態では、アブレーションデバイスは、1つ以上のカテーテルと、ガイドワイヤと、拡張可能/膨張可能な部材と、および電極とを含んでもよい。アブレーションデバイスは、異なる構成(例えば、収縮および膨張)に変化して、デバイスを心内膜腔内に位置付け得る。
【0024】
概して、組織を切除するために、1つ以上のカテーテルが、血管系を介して標的位置に低侵襲的に前進してもよい。本明細書に記載される方法は、心臓の心内膜腔内にデバイスを導入し、デバイスを肺静脈口に配置することを含んでもよい。パルス波形を発生させて、デバイスの電極に送達して、組織を切除してもよい。いくつかの実施形態では、パルス波形は、心臓の洞調律の乱れを回避するために、心臓のペーシング信号と同期して発生してもよい。いくつかの実施形態では、電極は、アノード-カソードサブセットで構成されてもよい。パルス波形は、組織アブレーションを補助し、健康な組織の損傷を低減するための階層的波形を含んでもよい。
【0025】
I.システム
概要
本明細書において、組織アブレーショを補助し、不可逆的電気穿孔をもたらするための、電圧パルス波形の選択的かつ迅速な印加を介した組織アブレーションのために構成されたシステムおよびデバイスが開示される。概して、本明細書に記載される組織を切除するためのシステムは、電気穿孔を駆動するためのDC電圧の選択的かつ迅速な印加のための、1つ以上の電極および拡張可能/膨張可能な部材(例えば、バルーン)を有する信号発生器およびアブレーションデバイスを含んでもよい。本明細書に記載されるように、システムおよびデバイスは、心内膜で展開されて、心不整脈を治療し得る。電圧パルス波形は、適切なアノード/カソード電極の選択を伴い、電極のサブセットに印加され得る。心刺激のためのペーシング信号は、ペーシング信号と同期して信号発生器によってパルス波形を発生させるために発生し、使用され得る。
【0026】
概して、本明細書に記載されるシステムおよびデバイスは、心臓の心室の組織を切除するように構成された1つ以上のカテーテルを含む。図1は、電圧パルス波形を送達するように構成されたアブレーションシステム(100)を示す。システム(100)は、信号発生器(122)と、プロセッサ(124)と、メモリ(126)と、心臓刺激装置(128)とを含む装置(120)を含んでもよい。装置(120)は、アブレーションデバイス(110)に、および任意にペーシングデバイス(130)に連結されてもよい。
【0027】
信号発生器(122)は、例えば、肺静脈などの組織の不可逆的電気穿孔のためのパルス波形を発生させるように構成されてもよい。例えば、信号発生器(122)は、電圧パルス波形発生器であってもよく、パルス波形をアブレーションデバイス(110)に送達するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、戻り電極(140)は、患者に連結されて(例えば、患者の背中に配置されて)、電流がアブレーションデバイス(110)から患者を通って戻り電極(140)に流れることを可能にし得る。他の実施形態では、アブレーションデバイスの電極は、別個の戻り電極(140)が存在しなくてもよいように、戻りとして機能し得る。プロセッサ(124)は、メモリ(126)から受信したデータを組み込んで、信号発生器(122)によって発生するパルス波形のパラメータを決定してもよく、一方で、電圧などの一部のパラメータは、ユーザによって入力されてもよい。メモリ(126)はさらに、パルス波形発生および/または心臓ペーシング同期などのシステム(100)に関連付けられたモジュール、プロセス、および/または機能を、信号発生器(122)に実行させる命令を記憶してもよい。例えば、メモリ(126)は、パルス波形発生および/または心臓ペーシングのそれぞれに関するパルス波形および/または心臓ペーシングデータを記憶するように構成されてもよい。
【0028】
いくつかの実施形態では、アブレーションデバイス(110)は、以下により詳細に記載されるパルス波形を送達するように構成された拡張可能/膨張可能な部材(例えば、バルーン)を有するカテーテルを含んでもよい。本明細書に記載される実施形態の各々において、拡張可能/膨張可能な部材は、例えば、生理食塩水、または場合によっては、非導電性または非常に低い導電性の流体(例えば、ガス、蒸留水、脱イオン水などの液体など)を使用して膨張し得る。流体は、拡張可能/膨張可能な部材に連結されたカテーテルの内腔を通して投入されてもよい。例えば、アブレーションデバイス(110)は、心内膜腔に導入され、肺静脈口に位置付けられ、膨張可能な部材が肺静脈の壁に良好に並置または係合されるように膨張し得、次いで、パルス波形が、組織を切除するために送達され得る。アブレーションデバイス(110)は、1つ以上の電極(112)を含んでもよく、これらは、いくつかの実施形態では、独立してアドレス可能な電極であってもよい。各電極は、その対応する絶縁の誘電破壊なしに、少なくとも約700Vの電位を維持するように構成された絶縁電気リードを含んでもよい。いくつかの実施形態では、電気リードの各々の絶縁は、誘電破壊なしに、その厚さにわたって約200V~約3,000Vの電位差を維持し得る。例えば、電極(112)は、例えば、1つの近位電極および1つの遠位電極を含むサブセットなど、1つ以上のアノード-カソードサブセットにグループ化されてもよい。いくつかの実施形態では、遠位電極は、拡張可能/膨張可能な部材の少なくとも一部分を含んでもよい。本明細書で使用される場合、近位は、アブレーションデバイスのハンドルに向かってあり、遠位は、アブレーションデバイスの先端に向かっている。
【0029】
使用される場合、ペーシングデバイス(130)は、患者(図示せず)に好適に連結され、心臓刺激装置(128)によって発生する心臓ペーシング信号を受信するように構成されていてもよい。ペーシング信号の表示は、心臓刺激装置(128)によって信号発生器(122)に送信されてもよい。発生器によるペーシング信号の検出に基づいて、電圧パルス波形が、アブレーション送達のために信号発生器(122)によって発生し得る。いくつかの実施形態では、信号発生器(122)は、(例えば、アブレーション送達が心腔の不応期窓の間に起こるように)ペーシング信号の表示と同期してパルス波形を発生させるように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、不応期窓は、心房および心室などの2つの心腔の共通の不応期窓であってもよい。例えば、いくつかの実施形態では、共通の不応期窓は、心室のペーシング信号の実質的に直後(または非常に短い遅延の後)に開始し、その後、約250ミリ秒以下の持続時間にわたって継続し得る。そのような実施形態では、パルス波形全体が、この持続時間内に送達されてもよい。
【0030】
プロセッサ(124)は、命令またはコードのセットを起動および/または実行するように構成された任意の好適な処理デバイスであってもよい。プロセッサは、例えば、汎用プロセッサ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、および/または同類のものであってもよい。プロセッサは、システムおよび/またはそれに関連するネットワーク(図示せず)に関連付けられたアプリケーションプロセスおよび/または他のモジュール、プロセスおよび/または機能を起動および/または実行するように構成されてもよい。基礎的なデバイス技術は、様々なコンポーネントタイプ、例えば、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)などの金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)技術、エミッタ結合論理(ECL)などのバイポーラ技術、ポリマー技術(例えば、シリコン共役ポリマーおよび金属共役ポリマー-金属構造)、アナログおよびデジタルの混合、ならびに/または同類のもので提供されてもよい。
【0031】
メモリ(126)は、データベース(図示せず)を含んでもよく、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、メモリバッファ、ハードドライブ、消去可能なプログラマブル読み取り専用メモリ(EPROM)、電気的に消去可能な読み取り専用メモリ(EEPROM)、読み取り専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリなどであってもよい。メモリ(126)は、パルス波形発生および/または心臓ペーシングなどのシステム(100)に関連付けられたモジュール、プロセス、および/または機能を、プロセッサ(124)に実行させる命令を記憶してもよい。
【0032】
システム(100)は、例えば、各々が任意のタイプのネットワークであってもよい1つ以上のネットワークを介して他のデバイス(図示せず)と通信していてもよい。無線ネットワークは、いかなる種類のケーブルによっても接続されない、任意のタイプのデジタルネットワークを指し得る。しかしながら、無線ネットワークは、インターネット、他のキャリアボイスおよびデータネットワーク、ビジネスネットワーク、およびパーソナルネットワークとインターフェースで接続するために、有線ネットワークに接続してもよい。有線ネットワークは典型的には、銅ツイストペア、同軸ケーブル、または光ファイバケーブルを介して伝送される。ワイドエリアネットワーク(WAN)、メトロポリタンエリアネットワーク(MAN)、ローカルエリアネットワーク(LAN)、キャンパスエリアネットワーク(CAN)、グローバルエリアネットワーク(GAN)、例えば、インターネット、仮想プライベートネットワーク(VPN)を含む、多くの異なるタイプの有線ネットワークが存在する。以下、ネットワークは、統一ネットワーキングおよび情報アクセスソリューションを提供するための、典型的にはインターネットを介して相互接続される無線、有線、パブリック、およびプライベートデータネットワークの任意の組み合わせを指す。
【0033】
アブレーションデバイス
本明細書に記載されるシステムは、不整脈などの兆候を治療するために、心臓の肺静脈の組織を切除するように構成された1つ以上の多電極アブレーションデバイスを含んでもよい。図2Aは、内腔を画定する第1のカテーテル(203)(例えば、カテーテルシャフトまたは外側シャフト)と、第2のカテーテル(210)(例えば、内腔を画定する管状ガイドワイヤまたは内側シャフト)と、膨張可能な部材(207)とを含むアブレーションデバイス(200)(例えば、アブレーションデバイス(110)と構造的および/または機能的に類似)の側面図である。第2のカテーテル(210)は、第1のカテーテル(203)の内腔内、および第2のカテーテル(210)が第1のカテーテル(203)に対して摺動可能であり得る膨張可能な部材(207)のチャンバ内に配置されてもよい。膨張可能な部材(例えば、バルーン)(207)は、第2のカテーテルが膨張可能な部材(207)の内側チャンバを通過し得るように、第2のカテーテル(210)に連結されてもよい。第1の電極(213)は、第1のカテーテル(203)の遠位部分(217)の表面上に配置されてもよく、膨張可能な部材(207)の近位部分から分離されるか、あるいはそれに取り付けられてもよい。第2の電極(220)は、第2のカテーテル(210)の遠位部分(223)上に配置されてもよく、膨張可能な部材(207)の遠位部分から分離されるか、あるいはそれに取り付けられてもよい。第2のカテーテル(217)の遠位部分(223)は、直線的に移動可能であり、第1のカテーテル(203)の遠位部分の周囲にあり得る。いくつかの実施形態では、第2の電極(223)は、第1の電極(213)に対して移動可能であってもよい。膨張可能な部材(207)の近位部分は、第1のカテーテル(203)の遠位部分に連結されてもよい。
【0034】
膨張可能な部材(207)の近位端は、第1のカテーテル(203)の遠位端に近位に取り付けられてもよい。第1の電極(213)は、膨張可能な部材(207)の近位端のすぐ近位の第1のカテーテル(203)上に配置されてもよい。図2A~2B中、第2のカテーテルまたは管状内腔(210)は、第1のカテーテル(203)の遠位端(217)から、かつ膨張可能な部材(207)の遠位端から外に延在するものとして示されている。第2の電極(220)は、第2のカテーテル(210)の遠位端(223)の近位の第2のカテーテル(210)の表面上に配置される。膨張可能な部材(207)の遠位端は、第2の電極(220)のすぐ近位の第2のカテーテル(210)に取り付けられてもよい。
【0035】
いくつかの実施形態では、ハンドル(図示せず)は、アブレーションデバイス(200)の近位部分に連結されてもよく、第1のカテーテル(203)のすぐ近位の第2のカテーテル(210)の一部分を偏向させるように構成された屈曲機構(図示せず)(例えば、ノブ、スイッチ、プルワイヤ)を含んでもよい。例えば、ハンドルのプルワイヤの操作は、第1のカテーテルの遠位部分の湾曲を増加または減少させ得る。流体ポートは、膨張可能な部材を膨張させるための蒸留水または脱イオン水などの流体の注入のために、ハンドルに取り付けられ得る。実施形態では、ハンドルは、第1の電極(213)と第2の電極(220)との間の距離が変化し得るように、第2のカテーテルまたはガイドワイヤ内腔(210)を前進させ、かつ格納するように構成された展開機構を組み込むことができる。例えば、膨張可能な部材は、肺静脈内に好適に位置付けられた後に静脈内で膨張することができ、良好に並置され得る。続いて、第1の電極(213)および第2の電極(220)は、第1のカテーテル(203)に対して第2のカテーテル(210)を格納することによって互いに近づけられ得る。このように、デバイスは、PEFアブレーション送達のために構成されてもよい。
【0036】
膨張可能な部材(207)は、第1の構成(例えば、図2Bの収縮した膨張可能な部材)と第2の構成(例えば、図2Aの膨張した膨張可能な部材)との間を移行するように構成されてもよい。第1の構成の膨張可能な部材(207)は、血管系を通した前進に適したコンパクトで収縮した状態であってもよい。例えば、第1の構成の膨張可能な部材(207)は、滅菌蒸留水もしくは脱イオン水または生理食塩水などの流体が実質的になくてもよい。いくつかの実施形態では、流体は、アブレーションデバイスに連結されたハンドルの注入ポートを介して膨張可能な部材(207)に入ってもよい。第2の構成の膨張可能な部材(207)は、シリンジまたは他の注入デバイスからの圧力下で、膨張可能な部材(207)を適切なサイズおよび形状(例えば、肺静脈の直径に接触する直径を有する)まで充填し膨張させる、生理食塩水または蒸留水もしくは脱イオン水の体積を保持してもよい。膨張可能な部材(207)は、必要に応じて、例えば、管腔に適合するか、または血管系を通してデバイスを前進させるために、第1の構成と第2の構成との間の中間構成に移行してもよい。いくつかの実施形態では、膨張可能な部材は、手動式シリンジ、ポンプ、注入デバイス、それらの組み合わせなどのうちの1つ以上を使用して加圧されてもよい。いくつかの実施形態では、注入圧力は、約2psi~約20psiであってもよい。
【0037】
図2Aおよび2Bは、1つの近位電極(213)および1つの遠位電極(223)を有するアブレーションデバイスを示すが、当然のことながら、より多くの電極が他の実施形態で使用され得る。例えば、第1の電極(213)は、電極のセット(例えば、第1のカテーテルの長さに沿って形成される2つ以上の近位電極)を含んでもよい。同様に、第2の電極(220)は、電極のセット(例えば、第2のカテーテルの長さに沿って形成される2つ以上の遠位電極)を含んでもよい。いくつかの実施形態では、電極(213、220)の直径は、約1mm~約6mmであり得、その間のすべての値および部分範囲を含む。電極(213、220)の長さ(第1および第2のカテーテルの長手方向軸に沿って測定される)は、約1mm~約8mmであり得、その間のすべての値および部分範囲を含む。いくつかの実施形態では、第1のカテーテルの表面上に配置された電極のセット(例えば、2つ以上の近位電極(213)のセット)は、約0.5mm~約9mm離間していてもよく、その間のすべての値および部分範囲を含む。いくつかの実施形態では、第2のカテーテルの表面上に配置された電極のセット(例えば、2つ以上の遠位電極(220)のセット)は、約0.5mm~約9mm離間していてもよく、その間のすべての値および部分範囲を含む。いくつかの実施形態では、第2の構成(例えば、膨張、展開)の膨張可能な部材は、約20mm~約40mmの外径(例えば、最大幅)を有してもよく、その間のすべての値および部分範囲を含む。いくつかの実施形態では、第1の構成(例えば、収縮、非展開状態)の膨張可能な部材は、第1の電極と第2の電極(213、220)が最大限に分離されたとき、約10mm~約80mmの長さ(第2のカテーテルの長手方向軸に沿って測定される)を有してもよく、その間のすべての値および部分範囲を含む。
【0038】
図3は、第2の構成(例えば、膨張)の、かつ肺静脈口(301)で同軸上に展開された、膨張可能な部材(305)を含むアブレーションデバイス(300)(例えば、アブレーションデバイス(110、200)と構造的および/または機能的に類似)を示す。アブレーションデバイス(300)は、膨張可能な部材(305)の近位端に連結された第1の電極(311)と、膨張可能な部材(305)の遠位端に連結された第2の電極(313)とを含む。本明細書に記載されるものと類似の第1のカテーテルおよび第2のカテーテル(例えば、内腔を画定するガイドワイヤカテーテル)は、明確にするために図3には示されていない。図3中、第2のカテーテルまたはガイドワイヤ内腔(図示せず)は、第1の電極(311)および第2の電極(313)が最小限に分離されるように、第1のカテーテルに対して格納されている。膨張可能な部材が第2の構成にあり、第1および第2の電極(311、313)が互いに向かって格納されているとき、膨張可能な部材(305)の中央領域(308)は同様に、互いに向かって格納され得るか、または膨張可能な部材(305)の近位端および遠位端が互いに近づけられるように引き込まれ得る。このように、第1および第2の電極(311、313)は、(バルーンが内側に折り畳まれる)膨張可能な部材(305)の部分によって少なくとも部分的に包囲されてもよい。
【0039】
図4Aは、肺静脈口(402)に配置されたアブレーションデバイス(400)(例えば、アブレーションデバイス(110、200、300)と構造的および/または機能的に類似)の断面側面図である。具体的に、アブレーションデバイス(400)の長手方向軸は、肺静脈の長手方向軸に対してある角度で配置される。図4Bは、肺静脈(411)内に配置された図4Aに示されるアブレーションデバイスのアブレーション領域(408)の断面側面図である。アブレーションデバイス(400)は、膨張可能な部材(404)と、第1の電極(例えば、膨張可能な部材(404)の近位の電極)および第2の電極(例えば、膨張可能な部材(404)の遠位の電極)とを含んでもよい。第1および第2の電極は、組織にアブレーションエネルギーを送達するためのアノード-カソード対として構成されてもよい。アブレーション領域(408)は、アノード-カソード対が不可逆的電気穿孔をもたらすために必要な閾値を超えるエネルギーを送達するときに、肺静脈口(402)上に連続的な環状形状を形成し得る。
【0040】
図5Aは、肺静脈口(502)内に配置された(例えば、同軸上に展開された)アブレーションデバイス(500)(例えば、アブレーションデバイス(110、200、300、400)と構造的および/または機能的に類似)の断面側面図である。アブレーションデバイス(500)は、膨張可能な部材(505)の近位端に連結された第1の電極(508)と、膨張可能な部材(505)の遠位端に連結された第2の電極(509)とを含む。あるいはまたは加えて、第1および第2の電極はそれぞれ、膨張可能な部材の近位の第1のカテーテルの遠位部分、および膨張可能な部材の遠位の第2のカテーテル/ガイドワイヤ内腔の遠位部分に連結されてもよい。本明細書に記載されるものと類似の第1のカテーテルまたは外側シャフトおよび第2のカテーテルまたは内側シャフト(例えば、ガイドワイヤ内腔)は、明確にするために図5A~5Bには示されていない。図5A中、膨張したときの膨張可能な部材(505)は、錐台形状(例えば、横断面で見たときに台形形状)を形成し得る。いくつかの実施形態では、膨張可能な部材(505)のその最も幅広い部分における直径は、約20mm~約40mmであり得、その間のすべての値および部分範囲を含む。完全に展開されたときの膨張可能な部材(505)の長さ(第1および第2のカテーテルの長手方向軸に沿って測定される)は、約3mm~約30mmであり得、その間のすべての値および部分範囲を含む。図5Bは、アブレーションデバイス(500)の長手方向軸が肺静脈(502)の長手方向軸に対してある角度で配置される、図5Aに示されるアブレーションデバイス(500)の断面側面図である。
【0041】
図6Aは、肺静脈口(603)内に配置された(例えば、同軸上に展開された)アブレーションデバイス(600)(例えば、アブレーションデバイス(110、200、300、400、500)と構造的および/または機能的に類似)の断面側面図である。アブレーションデバイス(600)は、膨張可能な部材(606)の近位端に連結された第1の電極(609)と、膨張可能な部材(606)の遠位端に連結された第2の電極(611)とを含む。加えてまたはあるいは、第1および第2の電極はそれぞれ、膨張可能な部材の近位の第1のカテーテル/外側シャフトの遠位部分、および膨張可能な部材の遠位の第2のカテーテル/ガイドワイヤ内腔の遠位部分に連結されてもよい。本明細書に記載されるものと類似の第1のカテーテル/外側シャフトまたは外側シャフトおよび第2のカテーテル(例えば、内腔を画定する内側シャフト)は、明確にするために図6A~6Bには示されていない。膨張構成の膨張可能な部材(606)は、図6Aに示されるように、側面図で菱形形状を形成し得る。図6Bは、肺静脈(603)内に配置された図6Aに示されるアブレーションデバイス(600)のアブレーション領域(610)の断面図である。第1および第2の電極(609、611)は、組織にアブレーションエネルギーを送達するためのアノード-カソード対として構成されてもよい。アブレーション領域(610)は、アノード-カソード対が不可逆的電気穿孔をもたらすために必要な閾値を超えるエネルギーを送達するときに、肺静脈口(603)上に環状形状を形成し得る。
【0042】
図7は、アブレーションデバイス(700)(例えば、アブレーションデバイス(110、200、300、400、500、600)と構造的および/または機能的に類似)の概略的な断面側面図である。アブレーションデバイス(700)は、内腔を画定する第1のカテーテル(703)(例えば、外側カテーテルシャフト)と、第2のカテーテル(705)(例えば、内腔を画定する内側シャフト)と、膨張可能な部材(710)とを含んでもよい。第2のカテーテル(705)は、第1のカテーテル(703)の内腔内、および第2のカテーテル(705)が第1のカテーテル(703)に対して摺動可能であり得る膨張可能な部材(710)のチャンバ内に配置されてもよい。膨張可能な部材(例えば、バルーン)(710)は、第2のカテーテル(705)が膨張可能な部材(710)の内側チャンバを通過し得るように、第2のカテーテル(705)に連結されてもよい。第1の電極(707)は、第1のカテーテル(703)の遠位部分の表面上に、かつ膨張可能な部材(710)のすぐ近位に配置されてもよい。第2の電極(709)は、第2のカテーテル(705)の遠位部分(712)上に、かつ膨張可能な部材(710)のすぐ遠位に配置されてもよい。第2のカテーテル(705)は、第1のカテーテル(703)に対して直線的に摺動可能であり得る。したがって、第2の電極(709)は、第1の電極(707)に対して直線的に摺動可能であり得る。膨張可能な部材(710)の近位部分は、第1のカテーテル(703)の遠位部分に連結されてもよい。図7中、膨張可能な部材(710)は、略菱形形状を形成し得る。
【0043】
いくつかの実施形態では、アブレーションデバイス(700)は、アブレーションデバイス(700)の近位部分に連結されたハンドル(図示せず)を含んでもよく、第1の電極(707)と第2の電極(709)との間の距離が変化し得るように、第1のカテーテル(703)に対して第2のカテーテルまたはガイドワイヤ(705)を前進させ、かつ格納するように構成された機構(図示せず)(例えば、ノブ、スイッチ、プルワイヤ)を含んでもよい。例えば、第1の電極(707)および第2の電極(709)は、第1のカテーテル(703)に対して第2のカテーテル(705)を格納することによって互いに近づけられ得る。図7中、膨張可能な部材(710)の遠位端の中央部分(713)は、膨張可能な部材(710)の近位端に向かって格納されているものとして示されている。
【0044】
好適に膨張したとき、膨張可能な部材(710)の近位主要部分(715)および遠位主要部分(719)は、膨張可能な部材(710)の表面が約45度を超える長手方向軸に対する角度(731)を形成するように、第1のカテーテル(703)の長手方向軸に対して角度が付けられてもよい。いくつかの実施形態では、膨張可能な部材(710)の中間部分(721)は、主要部分(715、719)と比較して比較的短くてもよい。
【0045】
図7は、1つの近位電極(707)および1つの遠位電極(709)を有するアブレーションデバイスを示すが、当然のことながら、より多くの電極が他の実施形態で使用され得る。例えば、第1の電極(707)は、電極のセット(例えば、2つ以上の近位電極)を含んでもよい。同様に、第2の電極(709)は、電極のセット(例えば、2つ以上の遠位電極)を含んでもよい。いくつかの実施形態では、電極(707、709)の直径は、約1mm~約6mmであり得、その間のすべての値および部分範囲を含む。電極(707、709)の長さ(第1および第2のカテーテルの長手方向軸に沿って測定される)は、約1mm~約8mmであり得、その間のすべての値および部分範囲を含む。いくつかの実施形態では、第1のカテーテル(703)の表面上に配置された電極のセット(例えば、2つ以上の近位電極(707)のセット)は、約0.5mm~約9mm離間していてもよく、その間のすべての値および部分範囲を含む。いくつかの実施形態では、第2のカテーテル(705)の表面上に配置された電極のセット(例えば、2つ以上の遠位電極(709)のセット)は、約0.5mm~約9mm離間していてもよく、その間のすべての値および部分範囲を含む。いくつかの実施形態では、第2の構成(例えば、膨張)の膨張可能な部材(710)は、約20mm~約40mmの外径を有してもよく、その間のすべての値および部分範囲を含む。いくつかの実施形態では、第1の構成(例えば、収縮、非展開状態)の膨張可能な部材(710)は、第1の電極と第2の電極(707、709)が最大限に分離されたとき、約10mm~約80mmの長さ(第2のカテーテルの長手方向軸に沿って測定される)を有してもよく、その間のすべての値および部分範囲を含む。第1の電極と第2の電極(707、709)との間の最小限の分離のために格納された第2のカテーテル(705)を伴う完全に展開された状態では、膨張可能な部材(710)の長さ(第1のカテーテル(703)の長軸方向軸に沿って測定される)は、約3mm~約30mmであり得、その間のすべての値および部分範囲を含む。
【0046】
図8は、アブレーションデバイス(800)(例えば、アブレーションデバイス(110、200、300、400、500、600、700)と構造的および/または機能的に類似)の概略的な断面側面図である。アブレーションデバイス(800)は、内腔を画定する第1のカテーテル(803)(例えば、外側カテーテルシャフト)と、第2のカテーテル(805)(例えば、ガイドワイヤ内腔を画定する内側シャフト)と、膨張可能な部材(810)とを含んでもよい。第2のカテーテル(805)は、第1のカテーテル(803)の内腔内、および第2のカテーテル(805)が第1のカテーテル(803)に対して摺動可能であり得る膨張可能な部材(810)のチャンバ内に配置されてもよい。膨張可能な部材(例えば、バルーン)(810)は、第2のカテーテル(805)が膨張可能な部材(810)の内側チャンバを通過し得るように、第2のカテーテル(805)に連結されてもよい。第1の電極(807)は、第1のカテーテル(803)の遠位部分の表面上に、かつ膨張可能な部材(810)のすぐ近位に配置されてもよい。第2の電極(809)は、第2のカテーテル(805)の遠位部分(812)上に、かつ膨張可能な部材(810)のすぐ遠位に配置されてもよい。第2のカテーテル(805)は、第1のカテーテル(803)に対して直線的に摺動可能であり得る。したがって、第2の電極(809)は、第1の電極(807)に対して摺動可能であり得る。膨張可能な部材(810)の近位部分は、第1のカテーテル(803)に連結されてもよく、膨張可能な部材(810)の遠位部分は、第2のカテーテル(805)が膨張可能な部材(810)の内部チャンバを通過し得るように、第2のカテーテル(805)に連結されてもよい。
【0047】
いくつかの実施形態では、アブレーションデバイス(800)は、アブレーションデバイス(800)の近位部分に連結されたハンドル(図示せず)を含んでもよく、第1の電極(807)と第2の電極(809)との間の距離が変化し得るように、第2のカテーテル(805)を前進させ、かつ格納するように構成された機構(図示せず)(例えば、ノブ、スイッチ、プルワイヤ)を含んでもよい。例えば、第1の電極(807)および第2の電極(809)は、第1のカテーテル(803)に対して第2のカテーテルまたはガイドワイヤ(805)を格納することによって互いに近づけられ得る。図8中、膨張可能な部材(810)の遠位端の中央部分(813)は、本明細書に記載されるハンドルおよび屈曲機構を使用して、膨張可能な部材(810)の近位端に向かって格納されているものとして示されている。
【0048】
好適に膨張したとき、膨張可能な部材(810)の近位主要部分(815)および遠位主要部分(819)は、膨張可能な部材(810)の表面が長手方向軸に対してある角度(831)を局所的に形成するように、第1のカテーテル(803)の長手方向軸に対してある角度を局所的に有する表面を伴い緩やかに湾曲していてもよい。いくつかの実施形態では、膨張可能な部材(810)の中間部分(821)は、主要部分(815、819)と比較して比較的長さが短くてもよい。いくつかの実施形態では、主要部分(815、819)は、第1のカテーテル(803)の長手方向軸(825)に対して急勾配で緩やかに湾曲していてもよい。図8中、膨張可能な部材の表面に対する局所接平面(829)(すなわち、半径方向および軸方向によって画定される平面における局所接平面の構成要素)は、約45度よりも大きい長手方向軸(825)との角度(831)を形成し得る。
【0049】
いくつかの実施形態では、膨張可能な部材(810)の中間部分(821)は、主要部分(815、819)と比較して比較的長さが短くてもよい。膨張可能な部材(810)が膨張した(例えば、好適に加圧された)とき、中間部分(821)は、図8に示されるように突出し得る。いくつかの実施形態では、膨張可能な部材(810)の中間部分(821)は、主要部分(815、819)と比較してより薄い材料で構築されてもよい。例えば、主要部分(815、819)の膨張可能な部材(810)の壁の厚さは、中間部分(821)の壁の厚さよりも少なくとも20%大きくてもよい。いくつかの実施形態では、主要部分(815、819)の膨張可能な部材(810)の壁の厚さは、中間部分(821)の壁の厚さよりも少なくとも50%大きくてもよい。いくつかの実施形態では、主要部分(815、819)の膨張可能な部材(810)の壁の厚さは、中間部分(821)の壁の厚さよりも少なくとも100%大きくてもよい。
【0050】
図10は、近位部分(1003)と、中間部分(1005)と、遠位部分(1007)とを含む、膨張していない膨張可能な部材の壁(1000)の一部分の概略側面図である。図10は、近位部分の厚さ(1011)および遠位部分の厚さ(1013)が、中間部分の厚さ(1012)よりも有意に大きくてもよいことを概略的に示す。
【0051】
図11は、膨張可能な部材の長手方向軸または中心軸(1710)に沿って配列された近位部分(1703)と、中間部分(1705)と、遠位部分(1707)とを含む、アブレーションデバイスの膨張可能な部材の壁(1700)の一部分の概略側面図である。本明細書に記載される膨張可能な部材(例えば、膨張可能な部材207、305、404、505、606など)のいずれかは、図11に示される壁(1700)に構造的および/または機能的に類似した壁を有することができる。壁(1700)の近位部分(1703)は、長手方向軸(1710)に沿って延在する長さL1を有することができ、壁(1700)の中間部分(1705)は、長手方向軸(1710)に沿って延在する長さL2を有することができ、壁(1700)の遠位部分(1707)は、長手方向軸(1710)に沿って延在する長さL3を有することができる。L1およびL3はL2より大きくてもよく、L1/L2およびL3/L2の比率は、3よりも大きい。
【0052】
図11に示されるように、膨張可能な部材の壁(1700)の近位部分(1703)は、最大厚さD1を有することができ、壁(1700)の中間部分(1705)は、最小厚さD2を有することができ、壁(1700)の遠位部分(1707)は、最大厚さD3を有することができる。いくつかの実施形態では、近位および遠位部分(1703、1707)の厚さD1およびD3はそれぞれ、互いに等しく(または互いにほぼ等しく)てもよく、中間部分(1705)の厚さD2は、厚さD1およびD3の約3分の1以下であり得る。
【0053】
図8は、1つの近位電極(807)および1つの遠位電極(809)を有するアブレーションデバイスを示すが、当然のことながら、より多くの電極が他の実施形態で使用され得る。例えば、第1の電極(807)は、電極のセット(例えば、2つ以上の近位電極)を含んでもよい。同様に、第2の電極(809)は、電極のセット(例えば、2つ以上の遠位電極)を含んでもよい。いくつかの実施形態では、電極(807、809)の直径は、約1mm~約6mmであり得、その間のすべての値および部分範囲を含む。電極(807、809)の長さ(第1および第2のカテーテルの長軸方向軸に沿って測定される)は、約1mm~約8mmであり得、その間のすべての値および部分範囲を含む。いくつかの実施形態では、第1のカテーテル(803)の表面上に配置された電極のセット(例えば、2つ以上の近位電極(807)のセット)は、約0.5mm~約9mm離間していてもよく、その間のすべての値および部分範囲を含む。いくつかの実施形態では、第2のカテーテル(805)の表面上に配置された電極のセット(例えば、2つ以上の遠位電極(809)のセット)は、約0.5mm~約9mm離間していてもよく、その間のすべての値および部分範囲を含む。いくつかの実施形態では、第2の構成(例えば、膨張)の膨張可能な部材(810)は、約20mm~約40mmの外径を有してもよく、その間のすべての値および部分範囲を含む。いくつかの実施形態では、第1の構成(例えば、収縮、非展開状態)の膨張可能な部材(810)は、第1の電極と第2の電極(807、809)が最大限に分離されたとき、約10mm~約80mmの長さ(第2のカテーテルの長手方向軸に沿って測定される)を有してもよく、その間のすべての値および部分範囲を含む。第1の電極と第2の電極(807、809)との間の最小限の分離のために格納された第2のカテーテル(805)を伴う完全に展開された状態では、膨張可能な部材(810)の長さ(第1のカテーテル(803)の長軸方向軸に沿って測定される)は、約3mm~約30mmであり得、その間のすべての値および部分範囲を含む。
【0054】
図9は、アブレーションデバイス(900)(例えば、アブレーションデバイス(110、(801)と構造的および/または機能的に類似)の斜視図である。具体的に、アブレーションデバイス(900)は、図8に示されるアブレーションデバイス(800)の斜視図に対応する。アブレーションデバイス(900)は、内腔を画定する第1のカテーテル(903)(例えば、外側カテーテルシャフト)と、第2のカテーテル(例えば、内側シャフトまたはガイドワイヤ内腔)(その先端(912)が示されている)と、膨張可能な部材(910)とを含んでもよい。第2のカテーテルは、第1のカテーテル(903)の内腔内、および第2のカテーテルが第1のカテーテル(903)に対して摺動可能であり得る膨張可能な部材(910)のチャンバ内に配置されてもよい。膨張可能な部材(例えば、バルーン)(910)は、第2のカテーテルが膨張可能な部材(910)の内側チャンバを通過し得るように、第2のカテーテルに連結されてもよい。第1の電極(907)は、第1のカテーテル(903)の遠位部分の表面上に配置され、膨張可能な部材(910)から分離されてもよい。第2の電極(909)は、第2のカテーテルの遠位部分(912)上に配置され、膨張可能な部材(910)から分離されてもよい。第2のカテーテルは、第1のカテーテル(903)に対して直線的に摺動可能であり得る。したがって、第2の電極(909)は、第1の電極(907)に対して摺動可能であり得る。膨張可能な部材(910)の近位部分は、第1のカテーテル(903)の遠位部分に連結されてもよい。膨張可能な部材(910)の近位主要部分(915)および遠位主要部分(919)は、第1のカテーテル(903)の長手方向軸に対してある角度を局所的に有する表面を伴い緩やかに湾曲していてもよい。いくつかの実施形態では、膨張可能な部材(910)の中間部分(921)は、主要部分(915、919)と比較して比較的長さが短くてもよい。いくつかの実施形態では、主要部分(915、919)は、第1のカテーテル(903)の長手方向軸に対して急勾配で緩やかに湾曲していてもよい。
【0055】
図12Aおよび12Bは、本明細書に記載される他のアブレーションデバイスの構成要素と構造的および/または機能的に類似した構成要素を含むことができる、アブレーションデバイス(1800)の異なる図を示す。アブレーションデバイス(1800)は、膨張可能な部材(1806)の近位端に連結された第1の電極(1809)と、膨張可能な部材(1806)の遠位端に連結された第2の電極(1811)とを含むことができる。いくつかの実施形態では、第2の電極(1811)は、内側カテーテルまたは内側シャフトまたはガイドワイヤ内腔に連結されてもよく、これらは、アブレーションデバイス(1800)を展開するための近位ハンドル(図示せず)に取り付けられ得る。例えば、アブレーションデバイス(1800)は、第2の電極(1811)が第1の電極(1809)に引き寄せられ、膨張可能な部材(1806)が膨張するように、内側シャフトを近位に移動させる(例えば、引っ張る)ことによって展開され得る。いったん展開されると、アブレーションデバイス(1800)は、適切なロック機構、例えば、ハンドル内に配置されたロック機構を用いて定位置にロックされ得る。
【0056】
膨張および展開構成における膨張可能な部材(1806)は、図12Aおよび12Bに示されるような円錐形状を形成することができる。図13により詳細に示される展開構成では、膨張可能な部材(1806)は、最大幅W、高さH、および曲率半径Rを有する円形側面(例えば、側面部分)を有することができる。いくつかの実施形態では、例えば、膨張可能な部材(1806)が心臓の肺静脈内で使用するために設計される場合、幅Wは、約40mm未満であり得、高さHは、約25mm未満であり得、半径Rは、約15mm未満であり得る。
【0057】
いくつかの実施形態では、第1および第2の電極(1809、1811)は、構造的に類似し得る。例えば、第1および第2の電極(1809、1811)の各々は、約1mm~約7mmの外径および約1mm~約15mmの長さを有することができる。いくつかの実施形態では、第2の電極(1811)は、例えば、図14に示されるような円形または非外傷性形状を有することができる。内側シャフトまたはガイドワイヤ内腔は、カテーテルがガイドワイヤ上で標的解剖学的構造に送達され得るように、ガイドワイヤを内部に通して、肺静脈への係合を補助するために使用され得る。
【0058】
いくつかの実施形態では、展開構成の膨張可能な部材(1806)の近位部分は、角度A1によってアブレーションデバイス(1800)の長手方向軸に対して角度が付けられ得、膨張可能な部材(1806)の遠位部分は、角度A2によってアブレーションデバイス(1800)の長手方向軸に対して角度が付けられ得る。いくつかの実施形態では、角度A2は、展開されたときの膨張可能な部材(1806)が非対称な形状を有するように、角度A1より大きくてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、角度A1が約50度~約75度の範囲内にあり得る一方で、角度A2は、約80度~約90度であり得る。
【0059】
図14は、例えば、心臓の肺静脈口(1901)に配置されている間の、本明細書に記載される他のアブレーションデバイスの構成要素と構造的および/または機能的に類似した構成要素を含む、アブレーションデバイス(1900)の断面側面図を示す。具体的に、アブレーションデバイス(1800)と同様に、アブレーションデバイス(1900)は、膨張可能な部材(1906)の反対側上に配置された2つの電極(1909、1911)を含む。膨張可能な部材(1906)の遠位端に配置された電極(1911)は、円形または非外傷性先端(1911a)を有することができる。展開されると、アブレーションデバイス(1900)の膨張可能な部材(1906)は、肺静脈口(1901)の壁(1902)と係合する側面を有することができ、肺静脈口(1901)に対してアブレーションデバイス(1900)を保持することができる。図14に示される配置では、アブレーションデバイス(1900)は、その長軸方向軸が肺静脈口(1901)の長軸方向軸とほぼ整列するように保持され得、膨張可能な部材(1906)の近位側は、心腔の血液プール(1903)に面している。あるいは、アブレーションデバイス(1900)は、肺静脈口(1901)に対して他の配向で保持され得、周囲組織内に異なるアブレーション領域をもたらすことができる。
【0060】
図14に示されるように配向されると、電極(1909、1911)は、例えば、本明細書にさらに記載される不可逆的電気穿孔を介してアブレーションエネルギーを送達するためのアノード-カソード対として構成されているときに、アブレーション領域(1920)をもたらすことができる。膨張可能な部材(1906)は、絶縁材料から形成され得、配向および形状決定されると、電極(1909、1911)によって発生する電界を肺静脈口(1901)の壁(1902)に向けることができる。
【0061】
本明細書に記載されるアブレーションデバイス(110、200、300、400、500、600、700、800、900、1800、1900など)の各々は、いくつかの実施形態では、アブレーションデバイスの近位部分に連結されてもよく、第1の電極に対する第2の電極の位置を変更するように構成された機構(例えば、ノブ、スイッチ、プルワイヤ)を含んでもよい、ハンドル(図示せず)を含んでもよい。例えば、第1の電極および第2の電極は、第1のカテーテルに対して第2のカテーテルまたはガイドワイヤ内腔を格納することによって互いに近づけられ得る。いくつかの実施形態では、第1のカテーテルは、近位電極の近位に偏向可能な部分を有してもよく、その形状は、ステアリングノブまたはカテーテルハンドル上の他の制御装置によって制御される。実施形態では、デバイスは、操縦可能なシースを通して肺静脈内に位置付けられたガイドワイヤ上をたどり、シースの偏向は、ガイドワイヤおよびアブレーションカテーテルの膨張可能な部材を肺静脈内に位置付けるための操縦制御を提供することができる。膨張可能な部材は、カテーテルハンドルに取り付けられた流体ポートを通して膨張してもよく、蒸留水または脱イオン水が圧力下で注入され得る。このように、組織に対するアブレーションデバイスの並置は、所望の位置および配向で(例えば、肺静脈口に)提供され得る。
【0062】
本明細書に記載されるアブレーションデバイスは、本明細書に記載されるように、肺静脈の内側表面などの心内膜表面上に病変を形成するのに有用であり得る。膨張可能な部材の遠位部分は、組織の外傷を低減する(例えば、組織穿刺の可能性を防止および/または低減する)非外傷性形状を含んでもよく、かつ/または非外傷性形状で形成され得る。膨張可能な部材は、心内膜腔内に前進するようにサイズ決定されてもよい。電気リードおよび/または流体(例えば、生理食塩水)のセットは、第1のカテーテルの内腔内に配置されてもよい。
【0063】
いくつかの実施形態では、電極は、それらが配置されるカテーテルの形状に適合するように形状決定されてもよい。例えば、電極は、第1のカテーテルまたは外側シャフトに圧入(例えば、圧着)されてもよいか、または電極に取り付けられた電気リードに接着剤を使用して取り付けられてもよい。第1のカテーテルは、可撓性を高め、デバイスが偏向することを可能にするために、可撓性部分(例えば、偏向可能であり得る)を含んでもよい。
【0064】
本明細書で考察されるアブレーションデバイスの電極の各々は、第1のカテーテルの近位部分に連結されたハンドル(図示せず)につながる絶縁電気リード(図示せず)に接続されてもよい。電気リードの各々の絶縁は、誘電破壊なしに、その厚さにわたって少なくとも700Vの電位差を維持し得る。他の実施形態では、電気リードの各々の絶縁は、誘電破壊なしに、その厚さにわたって約200V~約3,000Vの電位差を維持し得、その間のすべての値および部分範囲を含む。これにより、電極および電極に連結された膨張可能な部材が、電気エネルギーを効果的に送達し、不可逆的電気穿孔を介して組織を切除することが可能になる。電極は、例えば、図1に関して上記で考察されるように、信号発生器(122)によって発生するパルス波形を受信してもよい。
【0065】
本明細書で考察されるアブレーションデバイスの各々について、電極は、チタン、パラジウム、金、銀、プラチナ、またはプラチナ合金などの生体適合性金属を含んでもよい。例えば、電極は好ましくは、プラチナまたはプラチナ合金を含んでもよい。いくつかの実施形態では、近位電極は、二相波形を有する容量性電圧送達を可能にする生体適合性コーティングを有してもよい。各電極は、誘電破壊なしに、その厚さにわたって少なくとも700Vの電位差を維持するのに十分な電気絶縁を有する電気リードを含んでもよい。他の実施形態では、電気リードの各々の絶縁は、誘電破壊なしに、その厚さにわたって約200V~約3,000Vの電位差を維持し得、その間のすべての値および部分範囲を含む。絶縁電気リードは、それらが好適な電気コネクタに接続され得るアブレーションデバイスの近位ハンドル部分に伸びてもよい。第1のカテーテルは、Teflon、Nylon、Pebaxなどの可撓性ポリマー材料から作製されてもよい。
【0066】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される膨張可能な部材は、拡張可能な構造を有してもよく、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン(PE)、架橋ポリエチレン、ポリオレフィン、ポリオレフィンコポリマー(POC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエステル、ナイロン、ポリマーブレンド、ポリエステル、ポリイミド、ポリアミド、ポリウレタン、シリコーン、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、PEBAXなどが挙げられるがこれらに限定されない、様々な絶縁または誘電材料のいずれかから構成されてもよい。好ましい実施形態は、ポリウレタンまたはシリコーンから構成され得る。膨張可能な部材を膨張させるための蒸留水または脱イオン水の使用とともに、膨張可能な部材は、パルス電界波形の送達中に有効な絶縁体としての機能を果たし、膨張可能な部材またはバルーンの外側およびバルーンを包囲する領域に電界を駆動する。
【0067】
II.方法
また、本明細書において、上記のシステムおよびデバイスを使用して肺静脈(例えば、左心房の肺静脈)内の組織を切除するための方法も記載される。概して、本明細書に記載される方法は、デバイスを肺静脈口に導入および配置することを含む。パルス波形は、デバイスの1つ以上の電極および膨張可能な部材(例えば、バルーン)によって送達されて、組織を切除し得る。いくつかの実施形態では、心臓ペーシング信号は、送達されたパルス波形を心周期と同期させ得る。追加的または代替的に、パルス波形は、総エネルギー送達を低減するための複数の階層レベルを含んでもよい。実施される組織切除は、したがって、健康な組織の損傷を低減するために、ペーシングされた心拍と同期して、かつより少ないエネルギー送達で送達され得る。本明細書に記載されるアブレーションデバイスのいずれかを使用して、必要に応じて以下で考察される方法を使用して組織を切除し得ることが理解されるべきである。
【0068】
概して、かつ図20A~20Bに示されるように、方法(1600)は、デバイス(例えば、アブレーションデバイス(110、200、300、400、500、600、700、800、900などのアブレーションデバイス)を肺静脈の心内膜腔に導入することを含む。アブレーションデバイスは、第1の構成または収縮構成で導入され、肺静脈口内で第2の構成または膨張構成に移行し得る。いったん位置付けられると、電圧パルス波形は、心周期の不応期中に組織に印加され得る。心腔の電気生理学的データを記録して、アブレーションの有効性を決定してもよい。
【0069】
方法(1600)は、患者におけるアクセス部位を作ることから開始してもよい(1602)。例えば、第1のアクセス部位は、患者の大腿静脈を介してもよい。ガイドワイヤは、大腿静脈を介してアクセス部位内に、かつ患者の右心房内に前進してもよい(1604)。拡張器および偏向可能なシースは、ガイドワイヤ上および右心房内に前進してもよい(1606)。シースは、例えば、最大約180度以上偏向するように構成されてもよい。経中隔開口部を作るために、拡張器は、右心房から中隔を通って左心房内に前進してもよい(1608)。例えば、経中隔開口部を作るために、拡張器は、右心房から心房中隔を通って左心房内に前進してもよい。心房中隔は、患者の卵形窩を含んでもよい。経中隔開口部は、拡張器を使用して拡張し得る(1610)。例えば、拡張器は、シースから外へ前進し、卵円窩を穿刺して経中隔開口部を作るに使用され得る(患者はヘパリンで治療されていると仮定して)。あるいは、経中隔針(例えば、Brockenbrough針)を使用して、経中隔開口部を作ってもよい。シースは、右心房から経中隔開口部を通って左心房内に前進してもよい(1612)。アブレーションデバイスは、ガイドワイヤ上で左心房内に前進してもよく(1614)、アブレーションデバイスの第2のカテーテルまたはガイドワイヤ内腔は、ガイドワイヤ上をたどる。
【0070】
いくつかの実施形態では、アブレーションデバイスは、カテーテル内腔および内腔を通って延在する絶縁電気リードのセットを含んでもよい。実施形態では、円形形状に取り付けられた電極を有する円形の遠位形状を有する薄いマイクロカテーテルが、第2のカテーテルまたはガイドワイヤ内腔を通して肺静脈に導入され、心臓内ECGデータを記録してアブレーションが成功したことを確認するために使用され得る。
【0071】
さらに図20A~20Bを参照すると、心刺激のためのリードまたはカテーテルを患者の心臓内に前進させるために、第2のアクセス部位が患者において作られてもよい。例えば、第2のアクセス部位は、患者の頸静脈を介してもよい。心刺激のためのデバイスは、第2のアクセス部位を通して右心室内に前進してもよい(1620)(例えば、右心室の心尖部付近)。ペーシング信号は、心臓刺激装置によって発生し、心臓の心刺激のために心臓に印加され得る。ペーシング信号の表示は、心臓刺激装置から信号発生器に送信されてもよい。いくつかの実施形態では、オペレータは、ペーシング捕捉を確認し、心室が目的どおりにペーシング信号に応答していると決定し得る。例えば、ペーシング捕捉は、信号発生器上のECGディスプレイ上で確認され得る。アブレーションが、ペーシングを通したQ波の強制的周期性を通して、ペーシングと同期して送達されるという点で、ペーシング捕捉の確認は、安全機能である。同様に、いくつかの実施形態では、追加のペーシングカテーテルを使用して、例えば、右心室に加えて右心房をペーシングしてもよく、アブレーションは、両方の心腔の共通の不応期窓中に送達され得る。
【0072】
アブレーションデバイスは、組織アブレーションのために構成されたパルス波形を送達するために、標的肺静脈に向かって前進してもよい(1622)。具体的に、第2の構成のアブレーションデバイスは、心臓の肺静脈に向かって前進して、組織表面に係合してもよい。シースは、必要に応じて、アブレーションデバイスを標的静脈に向けるように偏向してもよい。膨張可能な部材は、膨張可能な部材が膨張して肺静脈に対して膨張可能な部材を接触させる第2の構成に移行してもよい。アブレーションデバイスが心臓内の定位置にあり、1つ以上のパルス波形を送達すると、延長ケーブルを使用して、信号発生器をアブレーションデバイスのハンドルの近位端に電気的に連結してもよい。ペーシングデバイスを使用して右心室をペーシングした後(1624)、パルス波形は、組織を切除するためにアブレーションデバイスを使用して標的部位に送達されてもよい。パルス波形は、ペーシング信号と同期して送達されてもよい。
【0073】
不可逆的電気穿孔パルス電界療法の送達のために構成されたアブレーションデバイスの実施例が本明細書に記載されているが、本明細書に記載される実施例は、例示的な目的のみで提供され、当業者は、本発明の範囲から逸脱することなく、他の変形を考案し得る。例えば、様々かつ種々の材料、多面体側面、電極直径、デバイス寸法、電圧レベル、近位電極、および他のそのような詳細が可能であり、本発明の範囲から逸脱することなく、目前の用途のために都合に応じて導入され得る。カテーテルの遠位シャフトが偏向可能である実施形態では、カテーテルシャフトは、カテーテルハンドルからの偏向を制御することによって様々な偏向を受け得る。
【0074】
本明細書で考察されるように、パルス波形は、アブレーションデバイスに連結された信号発生器によって発生してもよい。信号発生器は、アブレーションデバイスのハンドルの近位端に電気的に連結されてもよい。例えば、延長ケーブルは、信号発生器をハンドルの近位端に電気的に連結してもよい。いくつかの実施形態では、パルス波形は、ペーシング信号に対する時間オフセットを含んでもよい。いくつかの実施形態では、パルス波形は、第1のパルスセットを含む、パルス波形の第1の階層レベルを含んでもよい。各パルスは、パルス持続時間および連続パルスを分離する第1の時間間隔を有する。パルス波形の第2の階層レベルは、第2のパルスセットとして複数の第1のパルスセットを含んでもよい。第2の時間間隔は、連続的な第1のパルスセットを分離してもよい。第2の時間間隔は、第1の時間間隔の持続時間の少なくとも3倍であってもよい。パルス波形の第3の階層レベルは、第3のパルスセットとして複数の第2のパルスセットを含んでもよい。第3の時間間隔は、連続的な第2のパルスセットを分離してもよい。第3の時間間隔は、第2のレベル時間間隔の少なくとも30倍であってもよい。パルス波形の第4の階層レベルは、第4のパルスセットとして複数の第3のパルスセットを含んでもよい。第4の時間間隔は、連続的な第3のパルスセットを分離してもよい。第4の時間間隔は、第3のレベル時間間隔の少なくとも10倍であってもよい。
【0075】
他の実施形態では、アブレーションデバイスは、ガイドワイヤ上で心臓から引き出されてもよく、マッピングカテーテルが、標的部位のアブレーション後の電気生理学的データを記録するためにガイドワイヤ上で前進してもよい。電気生理学的データおよび所定の基準に基づいてアブレーションが成功していない場合(1630-いいえ)、プロセスは、追加のパルス波形の送達のためにステップ1626に戻ってもよい。パルス波形パラメータは、その後のアブレーションサイクルに対して同一であってもまたは変化してもよい。
【0076】
電気生理学的データの分析が、アブレーションが成功した(例えば、組織部分が電気的にサイレントである)ことを示す場合(1630-はい)、切除する他の標的部分を決定してもよい(1632)(例えば、他の肺静脈)。別の標的部分が選択されてもよく(1624)、プロセスは、他の部分が切除される場合、ステップ1622に戻ってもよい。標的組織を切り替えるとき、膨張可能な部材は、少なくとも部分的に収縮してもよく、アブレーションデバイスは、組織の別の部分に向かって前進してもよい。他のどの部分も切除されない場合(1632-なし)、アブレーションデバイス、ペーシングカテーテル、シース、ガイドワイヤなどは、患者から取り外され得る(1636)。
【0077】
本明細書に記載されるステップのいずれについても、アブレーションデバイスの放射線不透過性部分は、オペレータを補助するために蛍光透視的に撮像され得ることに留意されたい。例えば、デバイスの遠位部分上に配置された放射線不透過性マーカーバンドによって、第2の構成の膨張可能な部材が静脈と接触し、そのほぼ中心に位置することという蛍光透視撮像を通して、目視確認が実施され得る。
【0078】
当然のことながら、本開示の実施例および図は、例示目的を果たすものであり、本発明の範囲から逸脱することなく、本明細書の教示に従って、膨張可能な部材の特性、電極の数などの発展および変形が構築および展開され得る。
【0079】
パルス波形
本明細書において、不可逆的電気穿孔を伴う組織アブレーションをもたらすための、パルス電界/波形の選択的かつ迅速な印加のための方法、システム、および装置が開示される。本明細書に開示されるパルス波形(複数可)は、本明細書に記載されるシステム(100)、デバイス(例えば、200、300、400、500、600、700、800、900)、および方法(例えば、1600)のいずれかで使用可能である。いくつかの実施形態は、電極のセットを介して組織にエネルギーを送達するための順序付けられた送達スキームとともに、パルス高電圧波形に関する。いくつかの実施形態では、ピーク電界値が低減および/または最小化され得ると同時に、十分に大きい電界の大きさが、組織アブレーションが望まれる領域で維持され得る。いくつかの実施形態では、不可逆的電気穿孔に有用なシステムは、信号発生器と、アブレーションデバイスの電極の選択された複数またはサブセットにパルス電圧波形を印加するように構成され得るプロセッサとを含む。いくつかの実施形態では、プロセッサは、入力を制御するように構成され、それによって、電極のアノード-カソードサブセットの選択された対は、所定のシーケンスに基づいて同時または順次のいずれかでトリガされ得、一実施形態では、順序付けられた送達は、心臓刺激装置および/またはペーシングデバイスからトリガされ得る。いくつかの実施形態では、アブレーションパルス波形は、心臓の洞調律の乱れを回避するために、心周期の不応期中に印加され得る。これを実施する方法の一例は、心臓刺激装置を用いて心臓を電気的にペーシングし、心周期の周期性および予測可能性を確立するためにペーシング捕捉を確実にし、次いで、アブレーション波形が送達されるこの周期サイクルの不応期の十分範囲内に時間窓を定義することである。
【0080】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるパルス電圧波形は、組織階層的であり、入れ子構造を有する。いくつかの実施形態では、パルス波形は、様々な関連する時間スケールを有するパルスの階層的グループ化を含む。さらに、関連する時間スケールおよびパルス幅、ならびにパルス数および階層的グループ化は、心臓ペーシングの頻度を含むディオファントス不等式のセットのうちの1つ以上を満たすように選択され得る。
【0081】
本明細書に開示される電気穿孔エネルギー送達のためのパルス波形は、不可逆的電気穿孔に関連する電界閾値を低減することによって、エネルギー送達の安全性、効率、および有効性を高め、送達される総エネルギーの低減を伴うより効果的な切除できる病変をもたらし得る。
【0082】
図15は、矩形の二重パルスのシーケンスの形態のパルス電圧波形を示し、パルス(1100)などの各パルスは、パルス幅または持続時間と関連付けられる。パルス幅/持続時間は、約0.5マイクロ秒、約1マイクロ秒、約5マイクロ秒、約10マイクロ秒、約25マイクロ秒、約50マイクロ秒、約100マイクロ秒、約125マイクロ秒、約140マイクロ秒、約150マイクロ秒であり得、その間のすべての値および部分範囲を含む。図15のパルス波形は、すべてのパルスの極性が同一である単相パルスのセットを示す(ゼロベースラインから測定された場合、図15ではすべて正)。不可逆的電気穿孔用途などのいくつかの実施形態では、各パルス(1100)の高さまたはパルス(1100)の電圧振幅は、約400ボルト、約1,000ボルト、約5,000ボルト、約10,000ボルト、約15,000ボルトの範囲内であり得、その間のすべての値および部分範囲を含む。図15に示されるように、パルス(1100)は、時間間隔(1102)によって隣接パルスから分離され、時に第1の時間間隔とも呼ばれる。例として、第1の時間間隔は、不可逆的電気穿孔をもたらすために、約1マイクロ秒、約50マイクロ秒、約100マイクロ秒、約200マイクロ秒、約500マイクロ秒、約800マイクロ秒、約1ミリ秒であり得、その間のすべての値および部分範囲を含む。
【0083】
図16は、入れ子になったパルスの階層構造を有するパルス波形を紹介する。図16は、連続パルス間の持続時間t1の(1202)などの時間間隔(時に第1の時間間隔とも呼ばれる)によって分離された、パルス幅/パルス持続時間wを有するパルス(1200)などの一連の単相パルスを示し、その番号m1は、パルス群(1210)(時に第1のパルスセットとも呼ばれる)を形成するように配置される。さらに、波形は、連続的な群間の持続時間t2の時間間隔(1212)(時に第2の時間間隔とも呼ばれる)によって分離された、そのようなパルス群(時に第2のパルスセットとも呼ばれる)の番号m2を有する。図16で(1220)によって印が付けられたm2のそのようなパルス群の集合は、次の階層レベルを構成し、これは、パケットおよび/または第3のパルスセットと呼ばれてもよい。パルス幅およびパルス間の時間間隔t1は両方とも、マイクロ秒~数百マイクロ秒の範囲内であり得、その間のすべての値および部分範囲を含む。いくつかの実施形態では、時間間隔t2は、時間間隔t1の少なくとも3倍大きくてもよい。いくつかの実施形態では、t2/t1の比率は、約3~約300の範囲内であり得、その間のすべての値および部分範囲を含む。
【0084】
図17はさらに、入れ子になったパルス階層波形の構造を詳述する。この図では、一連のm1パルス(図示されていない個々のパルス)は、パルス群(1300)(例えば、第1のパルスセット)を形成する。1つの群と次の群との間の持続時間t2の群間時間間隔(1310)(例えば、第2の時間間隔)によって分離された一連のm2は、パケット(例えば、第2のパルスセット)を形成する。1つのパケットと次のパケットとの間の持続時間t3の時間間隔(1312)(例えば、第3の時間間隔)によって分離された一連のm3のそのようなパケットは、階層内の次のレベルである、図面中で(1320)とラベルが付けられたスーパーパケット(例えば、第3のパルスセット)を形成する。いくつかの実施形態では、時間間隔t3は、時間間隔t2の少なくとも約30倍大きくてもよい。いくつかの実施形態では、時間間隔t3は、時間間隔t2の少なくとも50倍大きくてもよい。いくつかの実施形態では、t3/t2の比率は、約30~約800の範囲内であり得、その間のすべての値および部分範囲を含む。パルス階層内の個々の電圧パルスの振幅は、500ボルト~7,000ボルト以上の範囲内のどこかであり得、その間のすべての値および部分範囲を含む。
【0085】
図18は、階層構造を有する二相波形シーケンスの例を提供する。図面に示される例では、(1400)などの二相パルスは、正電圧部分ならびに負電圧部分を有してパルスの1サイクルを完了する。持続時間t1の隣接するサイクル間に時間遅延(1402)(例えば、第1の時間間隔)があり、n1のそのようなサイクルは、パルス群(1410)(例えば、第1のパルスセット)を形成する。1つの群と次の群との間の持続時間t2の群間時間間隔(1412)(例えば、第2の時間間隔)によって分離された一連のn2のそのような群は、パケット(1420)(例えば、第2のパルスセット)を形成する。図面はまた、パケット間の持続時間t3の時間遅延(1432)(例えば、第3の時間間隔)を有する第2のパケット(1430)も示す。単相パルスの場合と同様に、より高いレベルの階層構造も形成され得る。各パルスの振幅または二相パルスの電圧振幅は、500ボルト~7,000ボルト以上の範囲内のどこかであり得、その間のすべての値および部分範囲を含む。パルス幅/パルス持続時間が、ナノ秒またはさらにサブナノ秒~数十マイクロ秒の範囲内であり得る一方で、遅延t1は、ゼロ~数マイクロ秒の範囲内であり得る。群間時間間隔t2は、パルス幅の少なくとも10倍大きくてもよい。いくつかの実施形態では、時間間隔t3は、時間間隔t2の少なくとも約20倍大きくてもよい。いくつかの実施形態では、時間間隔t3は、時間間隔t2の少なくとも50倍大きくてもよい。
【0086】
本明細書に開示される実施形態は、様々な階層レベルで波形要素/パルスを含む階層波形として構造化された波形を含む。図16の(1200)などの個々のパルスは、第1の階層レベルを含み、関連するパルス持続時間および連続パルス間の第1の時間間隔を有する。パルスのセット、または第1のレベル構造の要素は、図16のパルス群/第2のパルスセット(1210)などの第2の階層レベルを形成する。他のパラメータの中でも、第2のパルスセット(図示せず)の総持続時間、第1のレベル要素/第1のパルスセットの総数、および第2のレベル構造/第2のパルスセットを説明する連続的な第1のレベル要素間の第2の時間間隔などのパラメータが、波形に関連付けられる。いくつかの実施形態では、第2のパルスセットの総持続時間は、約20マイクロ秒~約10ミリ秒であり得、その間のすべての値および部分範囲を含む。群のセット、第2のパルスセット、または第2のレベル構造の要素のセットは、図16の群のパケット/第3のパルスセット(1220)などの第3の階層レベルを形成する。他のパラメータの中でも、第3のパルスセット(図示せず)の総持続時間、第2のレベル要素/第2のパルスセットの総数、および第3のレベル構造/第3のパルスセットを説明する連続的な第2のレベル要素間の第3の時間間隔がある。波形の概して反復的なまたは入れ子になった構造は、10個以上の構造レベルなど、より高い複数のレベルに続くことができる。
【0087】
例えば、パルス波形は、パルス波形の第4の階層レベルを含んでもよく、第4のパルスセットとしての複数の第3のパルスセットを含んでもよく、第4の時間間隔は、連続的な第3のパルスセットを分離し、第4の時間間隔は、第3のレベルの時間間隔の持続時間の少なくとも10倍である。
【0088】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される入れ子構造および時間間隔の階層を有する階層波形は、不可逆的電気穿孔アブレーションエネルギー送達に有用であり、異なる組織のタイプにおける用途に対して、良好なレベルの制御および選択性を提供する。好適なパルス発生器を用いて、様々な階層波形を発生させることができる。本明細書の実施例は、明確にするために別々の単相および二相の波形を特定するが、波形階層の一部の部分が単相であり、他の部分が二相である、組み合わせ波形も発生させ/実行することができることに留意されたい。
【0089】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるアブレーションパルス波形は、心臓の洞調律の乱れを回避するために、心周期の不応期中に印加され得る。いくつかの実施形態では、処置方法は、心臓刺激装置を用いて心臓を電気的にペーシングして、心周期の周期性および予測可能性を確立するためにペーシング捕捉を確実にし、次いで、1つ以上のアブレーション波形が送達され得る周期サイクルの不応期内に時間窓を定義することを含む。図19は、心房および心室の両方のペーシングが印加される例を示す(例えば、ペーシングリードまたはカテーテルがそれぞれ、右心房および右心室内に位置する)。横軸上に時間を表して、図19は、(1500)および(1510)などの一連の心室ペーシング信号、ならびに一連の心房ペーシング信号(1520、1530)を、ペーシング信号によって駆動される一連のECG波形(1540、1542)とともに示す。図19で太い矢印によって示されるように、心房ペーシング信号(1522)および心室ペーシング信号(1500)にそれぞれ続く、心房不応期窓(1522)および心室不応期窓(1502)がある。図19に示されるように、心房および心室不応期窓(1522、1502)の両方の内にある、持続時間Trの共通の不応期窓(1550)が定義され得る。いくつかの実施形態では、電気穿孔アブレーション波形(複数可)は、この共通の不応期窓(1550)中に印加され得る。この不応期窓(1522)の開始は、図19に示されるように、時間オフセット(1504)によってペーシング信号(1500)からオフセットしている。時間オフセット(1504)は、いくつかの実施形態では、約25ミリ秒よりも短くてもよい。次の心拍において、同様に定義された共通の不応期窓(1552)が、アブレーション波形(複数可)の印加に利用可能な次の時間窓である。このように、アブレーション波形(複数可)は、一連の心拍にわたって印加され得、各心拍において、共通の不応期窓内に残っている。一実施形態では、パルス波形階層内の上に定義したパルスの各パケットは、一連のパケットが所与の電極セットに対して一連の心拍にわたって印加されるように、一心拍にわたって印加され得る。
【0090】
本明細書で使用される場合、数値および/または範囲と併せて使用される「約」および/または「およそ」という用語は、一般に、列挙された数値および/または範囲に近い数値および/または範囲を指す。場合によっては、「約」および「およそ」という用語は、列挙された値の±10%以内を意味し得る。例えば、場合によっては、「約100[単位]」は、100の±10%以内(例えば、90~110)を意味し得る。「約」および「およそ」という用語は、互換的に使用され得る。
【0091】
本明細書に記載されるいくつかの実施形態は、様々なコンピュータで実行される動作を行うための命令またはコンピュータコードを有する、非一時的コンピュータ可読媒体(非一時的プロセッサ可読媒体とも呼ばれ得る)を有する、コンピュータストレージ製品に関する。コンピュータ可読媒体(またはプロセッサ可読媒体)は、それ自体が一時的伝搬信号を含まないという意味で非一時的である(例えば、スペースまたはケーブルなどの伝送媒体上で情報を運ぶ伝搬電磁波)。媒体およびコンピュータコード(コードまたはアルゴリズムとも呼ばれ得る)は、特定の目的(複数可)のために設計および構築されたものであってもよい。非一時的コンピュータ可読媒体の例としては、ハードディスク、フロッピーディスク、および磁気テープなどの磁気記憶媒体;コンパクトディスク/デジタルビデオディスク(CD/DVD)、コンパクトディスク読み取り専用メモリ(CD-ROM)、およびホログラフィックデバイスなどの光記憶媒体;光ディスクなどの光磁気記憶媒体;搬送波信号処理モジュール;ならびに特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブルロジックデバイス(PLD)、リードオンリーメモリ(ROM)、およびランダムアクセスメモリ(RAM)デバイスなどの、プログラムコードを記憶および実行するよう特別に構成されたハードウェアデバイスが挙げられるが、これらに限定されない。本明細書に記載される他の実施形態は、例えば、本明細書に開示される命令および/またはコンピュータコードを含み得る、コンピュータプログラム製品に関する。
【0092】
本明細書に記載されるシステム、デバイス、および/または方法は、ソフトウェア(ハードウェア上で実行される)、ハードウェア、またはそれらの組み合わせによって実施されてもよい。ハードウェアモジュールは、例えば、汎用プロセッサ(もしくはマイクロプロセッサもしくはマイクロコントローラ)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、および/または特定用途向け集積回路(ASIC)を含んでもよい。ソフトウェアモジュール(ハードウェア上で実行される)は、C、C++、Java(登録商標)、Ruby、Visual Basic(登録商標)、および/または他のオブジェクト指向、手続き型、もしくは他のプログラミング言語および開発ツールを含む、様々なソフトウェア言語(例えば、コンピュータコード)で表現され得る。コンピュータコードの例としては、マイクロコードまたはマイクロ命令、コンパイルによって生成されるような機械命令、ウェブサービスを生成するために使用されるコード、およびインタープリタを使用してコンピュータによって実行されるより高レベルの命令を含むファイルが挙げられるが、これらに限定されない。コンピュータコードの追加の例としては、制御信号、暗号化コード、および圧縮コードが挙げられるが、これらに限定されない。
【0093】
本明細書の具体的な実施例および説明は、本質的に例示的であり、実施形態は、添付の特許請求の範囲によってのみ制限される本発明の範囲から逸脱することなく、本明細書に教示される材料に基づいて、当業者によって発展し得る。
図1
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20A
図20B