(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-14
(45)【発行日】2025-01-22
(54)【発明の名称】選択的展開のための拘束機構及び関連方法
(51)【国際特許分類】
A61F 2/95 20130101AFI20250115BHJP
A61F 2/89 20130101ALI20250115BHJP
【FI】
A61F2/95
A61F2/89
(21)【出願番号】P 2021518630
(86)(22)【出願日】2019-10-04
(86)【国際出願番号】 US2019054652
(87)【国際公開番号】W WO2020072876
(87)【国際公開日】2020-04-09
【審査請求日】2021-05-21
【審判番号】
【審判請求日】2023-05-01
(32)【優先日】2018-10-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-10-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391028362
【氏名又は名称】ダブリュ.エル.ゴア アンド アソシエイツ,インコーポレイティド
【氏名又は名称原語表記】W.L. GORE & ASSOCIATES, INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【氏名又は名称】中村 和広
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【氏名又は名称】出野 知
(72)【発明者】
【氏名】ジェリー ジェイ.スタストカ
【合議体】
【審判長】井上 哲男
【審判官】栗山 卓也
【審判官】土田 嘉一
(56)【参考文献】
【文献】特表2002-518086(JP,A)
【文献】特表2009-523565(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M2/95
A61M2/89
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メディカルデバイス展開装置であって、
メディカルデバイスを解放可能に拘束するように構成されており、拘束体の周囲の第一の部分に配置されおよび第一の展開速度で解きほぐすように構成された第一の結び目列と、前記拘束体の周囲の第二の部分に配置されおよび前記第一の展開速度とは異なる第二の展開速度で解きほぐすように構成された第二の結び目列とを形成する複数のインターロッキングストランドを含む拘束体を含み、
前記第一の結び目列のストランドを攪乱すると、前記第一の展開速度で前記拘束体の少なくとも一部の解きほぐしを開始し、前記第二の結び目列のストランドを攪乱すると、前記第二の展開速度で前記拘束体の少なくとも一部の解きほぐしを開始する、メディカルデバイス展開装置。
【請求項2】
前記第一の結び目列の前記第二の結び目列に対する展開速度の比は10である、請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記第一の結び目列及び前記第二の結び目列から間隔を置いて配置された第三の結び目列をさらに含み、該第三の結び目列のストランドを攪乱すると、前記第一の展開速度及び前記第二の展開速度とは異なる第三の展開速度で前記拘束体の少なくとも一部の解きほぐしを開始する、請求項1~2のいずれか1項記載の装置。
【請求項4】
前記第一の結び目列と前記第二の結び目列との間の展開速度の比は、前記第二の結び目列と前記第三の結び目列との間の展開速度の比とは異なる、請求項3記載の装置。
【請求項5】
前記第一の結び目列、第二の結び目列及び第三の結び目列は、前記拘束体の周囲に等間隔に配置されている、請求項4記載の装置。
【請求項6】
前記第一の結び目列、第二の結び目列及び第三の結び目列は、前記拘束体の周囲に不均一に間隔を置いて配置されている、請求項4記載の装置。
【請求項7】
前記第一の結び目列を攪乱することは、前記第一の結び目列のストランドを破断することを含み、前記第二の結び目列を攪乱することは、前記第二の結び目列のストランドを破断することを含む、請求項1~6のいずれか1項記載の装置。
【請求項8】
前記第一の結び目列を攪乱することは、前記第一の結び目列の少なくとも1つのストランドの張力を変更することを含み、前記第二の結び目列を攪乱することは、前記第二の結び目列の少なくとも1つのストランドの張力を変更することを含む、請求項1~7のいずれか1項記載の装置。
【請求項9】
前記第一の結び目列は前記第二の結び目列の前に攪乱するように構成されている、請求項1~8のいずれか1項記載の装置。
【請求項10】
前記第二の展開速度は前記第一の展開速度よりも速い、請求項1記載の装置。
【請求項11】
前記第一の結び目列のストランドは、色によって前記第二の結び目列のストランドと区別可能である、請求項1~10のいずれか1項記載の装置。
【請求項12】
前記第一の結び目列のストランドは、マーキングによって前記第二の結び目列のストランドと区別可能である、請求項1~11のいずれか1項記載の装置。
【請求項13】
前記第一の結び目列のストランドは、テクスチャによって前記第二の結び目列のストランドと区別可能である、請求項1~12のいずれか1項記載の装置。
【請求項14】
前記複数のインターロッキングストランドはワープニットパターンを形成する、請求項1~13のいずれか1項記載の装置。
【請求項15】
前記複数のインターロッキングストランドによって形成されるパターンは、前記拘束体の長さに沿って異なる、請求項1~14のいずれか1項記載の装置。
【請求項16】
前記複数のインターロッキングストランドは、前記拘束体の長さに沿って数が増加又は減少する、前記第一の結び目列及び前記第二の結び目列を含む複数の結び目列を形成している、請求項15記載の装置。
【請求項17】
周囲を有し、該周囲に間隔を置いて配置された複数の結び目列を有するワープニットの形態の複数のインターロッキングストランドを含む、
メディカルデバイスから取り外し可能な拘束体を含み、
前記結び目列の1つが攪乱されると、前記取り外し可能な拘束体は、展開ラインに力が加えられるときに、解きほぐさ
れ、そして、
前記複数の結び目列は前記周囲に不均一に分布し、前記取り外し可能な拘束体の
前記メディカルデバイスからの除去の速度はどの結び目列が攪乱されるかに応じて異なる、メディカルデバイスの展開装置。
【請求項18】
前記複数の結び目列は、ユーザが拘束体除去の速度を選択できるように、前記複数の列のうちの1つをユーザが選択することに応答して攪乱するように構成されている、請求項
17記載の装置。
【請求項19】
前記複数の列は、拘束体除去の速度を規定するために設定順序で解きほぐすように構成されている、請求項
17~
18のいずれか1項記載の装置。
【請求項20】
前記インターロッキングストランドは互いに区別可能である、請求項
17~
18のいずれか1項記載の装置。
【請求項21】
前記インターロッキングストランドは着色することによって互いに区別可能である、請求項
20記載の装置。
【請求項22】
前記インターロッキングストランドはマーキングによって互いに区別可能である、請求項
20記載の装置。
【請求項23】
前記インターロッキングストランドはテクスチャによって互いに区別可能である、請求項
20記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年10月16日に出願された仮出願第62/746,270号の利益を主張し、また、2018年10月5日に出願された仮出願第62/741,948号の利益を主張し、これらの両方とも、あらゆる目的で全体を参照により本明細書に取り込む。
【0002】
分野
本開示は、インプラント可能なメディカルデバイスのデリバリーに使用される拘束体を含む装置、システム及び方法に関する。より具体的には、本開示は、デバイスのデリバリー中に拡張可能なデバイスを選択的に展開するための拘束体を含む装置、システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
ステント及びステントグラフトは、動脈、静脈、気道、胃腸管及び胆道を含む、体内の様々なチューブ状通路を半径方向で支持するために利用されうる。これらのデバイスを配置するための好ましい方法は、特殊なデリバリーシステムを使用して、処置する部位にデバイスを正確に配置及び展開することであった。これらのデリバリーシステムにより、施術者はデバイスの配置に関連する外傷及び技術的な問題を最小限に抑えることができる。デリバリーシステムの属性としては、低プロファイル、イントロデューサーシースを通過する能力、蛇行血管系をスムーズかつ非外傷的に通り抜ける能力、拘束されたデバイスの保護、及び、デバイスを正確に配置及び展開する能力が挙げられる。
【0004】
ステント又はステントグラフトは、膨張可能なバルーン(例えば、バルーン拡張可能なステント)を使用することによって展開及び塑性変形されることができ、又は、折りたたまれた又は拘束されたデリバリー直径から拡張及び展開直径に自己拡張及び弾性回復することができる(例えば、「自己拡張可能な」デバイス)。幾つかのステントは、弾性回復特性を有する材料から機能直径で製造され、次に半径方向に圧縮されてデリバリーカテーテルに取り付けられることにより、弾性回復するように設計されている。
【0005】
これらのステント及びステントグラフトデバイスは、標的位置へのデリバリーの前及びデリバリー中に、デリバリー構成において保持、圧縮又は拘束されていることができる。
【発明の概要】
【0006】
要旨
1つの例(「例1」)において、メディカルデバイス展開装置は、メディカルデバイスを解放可能に拘束するように構成されており、第一の展開速度で解きほぐすように構成された第一の結び目列と、前記第一の展開速度とは異なる第二の展開速度で解きほぐすように構成された第二の結び目列とを形成する複数のインターロッキングストランドを含む拘束体を含み、前記第一の結び目列のストランドを攪乱すると、前記第一の展開速度で前記拘束体の少なくとも一部の解きほぐしを開始し、前記第二の結び目列のストランドを攪乱すると、前記第二の展開速度で前記拘束体の少なくとも一部の解きほぐしを開始する。
【0007】
別の例(「例2」)において、例1の装置に加えて、前記第一の結び目列と前記第二の結び目列との間の展開比は10:1である。
【0008】
別の例(「例3」)において、例1~2のいずれか1つの装置に加えて、前記展開装置は、前記第一の結び目列及び前記第二の結び目列から間隔を置いて配置された第三の結び目列をも含み、該第三の結び目列のストランドを攪乱すると、前記第一の展開速度及び前記第二の展開速度とは異なる第三の展開速度で前記拘束体の少なくとも一部の解きほぐしを開始する。
【0009】
別の例(「例4」)において、例3の装置に加えて、前記第一の結び目列と前記第二の結び目列との間の展開比は、前記第二の結び目列と前記第三の結び目列との間の展開比とは異なる。
【0010】
別の例(「例5」)において、例4の装置に加えて、前記第一の結び目列、第二の結び目列及び第三の結び目列は、前記拘束体の周囲に等間隔に配置されている。
【0011】
別の例(「例6」)において、例4の装置に加えて、第一の結び目列、第二の結び目列及び第三の結び目列は、前記拘束体の周囲に不均一に間隔を置いて配置されている。
【0012】
別の例(「例7」)において、例1~6の装置に加えて、前記第一の結び目列を攪乱することは、前記第一の結び目列のストランドを破断することを含み、前記第二の結び目列を攪乱することは、前記第二の結び目列のストランドを破断することを含む。
【0013】
別の例(「例8」)において、例1~7の装置に加えて、前記第一の結び目列を攪乱することは、前記第一の結び目列の少なくとも1つのストランドの張力を変更することを含み、前記第二の結び目列を攪乱することは、前記第二の結び目列の少なくとも1つのストランドの張力を変更することを含む。
【0014】
別の例(「例9」)において、例1~8の装置に加えて、前記第一の結び目列は前記第二の結び目列の前に攪乱するように構成されている。
【0015】
別の例(「例10」)において、例1~9の装置に加えて、前記第二の展開速度は前記第一の展開速度よりも速い。
【0016】
別の例(「例11」)において、例1~10の装置に加えて、前記第一の結び目列のストランドは、色によって前記第二の結び目列のストランドと区別可能である。
【0017】
別の例(「例12」)において、例1~11の装置に加えて、前記第一の結び目列のストランドは、マーキングによって前記第二の結び目列のストランドと区別可能である。
【0018】
別の例(「例13」)において、例1~12の装置に加えて、前記第一の結び目列のストランドは、テクスチャによって前記第二の結び目列のストランドと区別可能である。
【0019】
別の例(「例14」)において、例1~13の装置に加えて、前記複数のインターロッキングストランドはワープニットパターンを形成する。
【0020】
別の例(「例15」)において、例1~14のいずれか1つの装置に加えて、前記複数のインターロッキングストランドによって形成されるパターンは、前記拘束体の長さに沿って異なる。
【0021】
別の例(「例16」)において、例15の装置に加えて、前記複数のインターロッキングストランドは、前記拘束体の長さに沿って数が増加又は減少する、前記第一の結び目列及び前記第二の結び目列を含む複数の結び目列を形成している。
【0022】
別の例(「例17」)において、例15の装置に加えて、前記複数のインターロッキングストランドは、前記第一の結び目列及び前記第二の結び目列を含む複数の結び目列を形成し、そして、前記複数のインターロッキングストランドの間の相互作用は前記拘束体の長さに沿って異なる。
【0023】
1つの例(「例18」)において、メディカルデバイス展開装置を使用する方法は、第一の結び目列及び第二の結び目列を含む拘束体を提供すること、前記第一の結び目列のストランドを攪乱して、第一の展開速度で前記拘束体の少なくとも一部の解きほぐしを開始すること、及び、前記第二の結び目列のストランドを攪乱して、前記第一の展開速度よりも大きい第二の展開速度で前記拘束体の少なくとも一部の解きほぐしを開始することを含む。
【0024】
別の例(「例19」)において、例18の方法に加えて、この方法はまた、第三の結び目列のストランドを攪乱して、前記第一の展開速度及び第二の展開速度とは異なる第三の展開速度で前記拘束体の少なくとも一部を解きほぐすことを含む。
【0025】
別の例(「例20」)において、例18~19のいずれか1つの方法に加えて、前記第一の結び目列のストランドを攪乱することは、ストランドを破断することを含む。
【0026】
1つの例(「例21」)において、メディカルデバイスの展開装置は、周囲を有し、該周囲に間隔を置いて配置された複数の結び目列を有するワープニットの形態の複数のインターロッキングストランドを含む、取り外し可能な拘束体を含み、ここで、前記結び目列の1つが攪乱されると、前記取り外し可能な拘束体は、展開ラインに力が加えられるときに、解きほぐされて遠隔的に取り外し可能になり、前記複数の結び目列は前記周囲に不均一に分布し、前記取り外し可能な拘束体の除去の速度はどの結び目列が攪乱されるかに応じて異なる。
【0027】
別の例(「例22」)において、例21の装置に加えて、前記複数の結び目列は、ユーザが拘束体除去の速度を選択できるように、前記複数の列のうちの1つをユーザが選択することに応答して攪乱するように構成されている。
【0028】
別の例(「例23」)において、例20~21のいずれか1つの装置に加えて、前記複数の列は、拘束体除去の速度を規定するために設定順序で解きほぐすように構成されている。
【0029】
別の例(「例24」)において、例20~21のいずれか1つの装置に加えて、前記インターロッキングストランドは互いに区別可能である。
【0030】
別の例(「例25」)において、例24の装置に加えて、前記インターロッキングストランドは着色することによって互いに区別可能である。
【0031】
別の例(「例26」)において、例24の装置に加えて、前記インターロッキングストランドはマーキングによって互いに区別可能である。
【0032】
別の例(「例27」)において、例24の装置に加えて、前記インターロッキングストランドはテクスチャによって互いに区別可能である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図面の簡単な説明
添付の図面は、本開示のさらなる理解を提供するために含まれ、本明細書に組み込まれ、その一部を構成し、実施形態を例示し、記載とともに、本開示の原理を説明するのに役立つ。
【0034】
【
図1】
図1は、1つの実施形態による、拘束体を備えたカテーテルを含むデリバリーシステムの上面図である。
【0035】
【
図2】
図2は、1つの実施形態による、拘束体を含むインプラント可能なメディカルデバイスの側面図である。
【0036】
【
図3】
図3は、1つの実施形態による、織り合わされたストランドの概略図である。
【0037】
【
図4】
図4A~4Cは、1つの実施形態による、例示的な結び目列の位置を示す拘束体の端面図である。
【0038】
【
図5】
図5は、1つの実施形態による、例示的な結び目列の位置を示す拘束体の端面図である。
【0039】
【
図6A】
図6Aは、1つの実施形態による、デリバリー構成におけるデリバリーシステムの画像である。
【0040】
【
図6B】
図6Bは、1つの実施形態による、半展開構成の
図6Aに示されるデリバリーシステムの画像である。
【0041】
【
図7A】
図7Aは、1つの実施形態による、例示的な第一の結び目列パターンを有する拘束体の端面図である。
【0042】
【
図7B】
図7Bは、1つの実施形態による、例示的な第二の結び目列パターンを有する、
図7Aに示される拘束体の端面図である。
【0043】
【
図8A】
図8Aは、1つの実施形態による、例示的な第一の結び目列パターンを有する拘束体の端面図である。
【0044】
【
図8B】
図8Bは、1つの実施形態による、例示的な第二の結び目列パターンを有する、
図8Aに示される拘束体の端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
用語が測定の範囲に関して本明細書で使用されるときに、「約」及び「ほぼ」は、交換可能に、測定値を指すために使用されることができ、該測定値は、記載された測定値を含み、また、該記載された測定値に合理的に近い測定値を含むことができるが、測定誤差、測定及び/又は製造装置の校正の違い、測定値の読み取り及び/又は設定における人為的誤差、他の構成要素に関連する測定値の違いを考慮して性能及び/又は構造パラメータを最適化するために行われた調整、特定の実装シナリオ、人又は機械による対象物の不正確な調整及び/又は操作などに起因する可能性がある、当業者により理解され、容易に確認されるように合理的に少量だけ異なることができる。
【0046】
上述の例はまさに実施例であり、本開示によって他の方法で提供される本発明の概念のいずれかの範囲を制限又は他の方法で狭めるように読まれるべきではない。複数の例が開示されているが、さらに他の実施形態は、例示的な例を示して説明する以下の詳細な説明から当業者に明らかになるであろう。したがって、図面及び詳細な説明は、本質的に限定的なものではなく、本質的に例示的なものと考えられるべきである。
【0047】
詳細な説明
当業者は、本開示の様々な態様が、意図された機能を発揮するように構成された任意の数の方法及び装置によって実現されうることを容易に理解するであろう。本明細書で参照される添付の図面は、必ずしも一定の縮尺で描かれているわけではなく、本開示の様々な態様を例示するために誇張されている場合があり、その点で、図面は限定として解釈されるべきではないことにも留意されたい。
【0048】
本開示の様々な態様は、拘束体を形成又は製造することを含む、装置、システム及び方法を対象とする。拘束機構は、標的位置へのデリバリーの前及びデリバリー中に、デリバリー構成において、インプラント可能なメディカルデバイス(例えば、ステント、ステントグラフト、バルーン、フィルタ又は他の拡張可能なメディカルデバイス)を保持、圧縮又は拘束するように構成されている。特定の例において、拘束体は1つ以上のファイバを含む。特定の例において、本明細書に開示される拘束体は、デバイスの展開前又は展開中に、インプラント可能なメディカルデバイスの展開特性の変更を可能にする。したがって、展開システムは、手順中に発生する可能性のある様々な状況に適応できる。
【0049】
図1は、幾つかの実施形態による、拘束体102を備えたカテーテル100の上面図である。
図1に示されるように、拘束体102は、インプラント可能なメディカルデバイス104をデリバリー構成に拘束するように構成されている。拘束体102は、拘束体102を拘束構成に維持するために、インプラント可能なメディカルデバイス104の周りに配置された1つ以上のファイバ106を含むことができる。
【0050】
拘束体102は、インプラント可能なメディカルデバイス104の長さに沿って配置される。拘束体102はまた、インプラント可能なメディカルデバイス104の周囲に周方向に配置され、デリバリーのためにインプラント可能なメディカルデバイス104を実質的に覆うことができる。1つ以上のファイバ106は、カテーテル100の管腔(図示せず)内に配置されることができ、インプラント可能なメディカルデバイス104のデリバリー中に患者の外部に配置されたカテーテル100の近位端に向かって延在していることができる。1つ以上のファイバ106は、拘束体102を解放しそしてインプラント可能なメディカルデバイス104を展開するために、ユーザが張力を加えることができる近位端108を含む。
【0051】
特定の例において、1つ以上のファイバ106はリップコードと同様に解放され、それにより、インターロッキング部分(例えば、オーバーラッピングファイバ又は結び目)はインプラント可能なメディカルデバイス104の長さに沿って順次に解放される。以下でより詳細に説明されるように、拘束体102は、1つ以上のファイバ106をインプラント可能なメディカルデバイス104上で直接インターロックすることによって形成される。一緒に編まれ、続いて、拘束デバイスの周りに配置される従来のマルチプルファイバ拘束体と比較して、拘束体102は、インプラント可能なメディカルデバイス104上に直接形成される。拡張可能なメディカルデバイス104は、ステント、ステントグラフト、バルーン又は同様のデバイスであることができる。
【0052】
図2は、1つの実施形態による、拘束体102を含むデバイス104の側面図である。示されるように、デバイス104は、デリバリー直径D1と、該デリバリー直径D1よりも大きい展開直径D2(図示せず)とを含む。取り外し可能な拘束体102は、デバイス104にそのデリバリー直径D1で取り付けられている。示されるように、拘束体102は、ワープニットの形態で少なくとも2つのインターロッキングストランドを含む。例えば、拘束体102は、第一のインターロッキングストランド110及び第二のインターロッキングストランド112を含むことができる。第一のインターロッキングストランド及び/又は第二のインターロッキングストランド110,112は、例えば、展開ライン120に加えられた力に応答して、拘束体102を解放し、デバイス104をデリバリー直径D1から展開直径D2に移行させるように構成された展開ライン120(これは、以下でさらに詳細に論じられるように、1つ以上の結び目列114に結合されうる)として動作することができる。
【0053】
デバイス104は、例えば、約5mm~15mm又は6mm~9mm又は6mm~12mmの所望の展開直径D2と、該展開直径D2よりも小さいデリバリー直径D1とを有しうる。例えば、幾つかの例において、デバイス104のデリバリー直径D1の、デバイス104の展開直径D2(図示せず)に対する比は、約0.3未満、約0.29未満、約0.28未満、約約0.27未満、又は約0.26未満である。参考までに、「直径」という用語は、円形の断面を必要とすることを意図するのではなく、代わりに、デバイス104の最大横断面寸法を参照するように広く理解されるべきである。
【0054】
図3は、1つの実施形態による、織り合わされたストランドの概略図である。示されるように、インターロッキングストランドは、ワープニットパターンで互いに織り合わされて結び目列114を形成する(例えば、第一のインターロッキングストランド110は、第二のインターロッキングストランド112と織り合わされて、第一結び目列114aを形成するなど)。示されるように、幾つかの例において、拘束体102は、2つより多いインターロッキングストランドを含むことができる。例えば、拘束体102はまた、第三のインターロッキングストランド116及び第四のインターロッキングストランド118を含むことができる。第一の2つのインターロッキングストランド110,122と同様に、第二のインターロッキングストランド112は、第三のインターロッキングストランド116と織り合わされて、第二の結び目列114bを形成し、続いて、第三のインターロッキングストランド116は第四のインターロッキングストランド118と織り合わされて、第三の結び目列114cを形成することができる。追加の列114は、追加のインターロッキングストランドで同様に形成されうる。拘束体102は、2つ、3つ及び4つのインターロッキングストランド及び対応する結び目列を参照して上記に記載されているが、拘束体102は、必要に応じて、任意の数のインターロッキングストランド及び結び目列を有することができる。例えば、拘束体102は、3つ、5つ、6つ、7つ、8つ又はそれ以上のインターロッキングストランド及びそれぞれの結び目列114を含むことができる。
【0055】
様々な例において、結び目列114は、異なる展開速度で展開し又は解きほぐすように構成されている。特定の例において、結び目列114は、拘束体102の周囲での結び目列の位置決めのために、異なる展開速度で展開又は解きほぐしされるように構成されている。展開比は、1つの結び目列114の展開速度を別の結び目列の展開速度と比較したものであることができる。
【0056】
図4A~4Cは、1つの実施形態による、例示的な結び目列114の位置決めを示す拘束体102の端面図である。結び目列114は、所望に応じて、拘束体102の周囲で任意の量だけ間隔を置いて配置されうる。例えば、結び目列114は、拘束体102の周囲に等間隔に配置されてもよく、又は、拘束体102の周囲に不均一に配置されてもよい。
【0057】
図4Aに示されるように、幾つかの例において、結び目列114は、互いに約90度離間して配置されうる。例えば、4つの結び目列(例えば、第一の結び目列から第四の結び目列114a~d)が存在する場合に、各結び目列114a~dは、90度離間して配置されうる。例えば、第一の結び目列114aは、第二の結び目列114bから90度離間されており、第二の結び目列114bは、第三の結び目列114cから90度離間されており、各結び目列114a~dは90度離間されている。これらの例において、各結び目列の隣接する結び目列に対する展開比は約15:1である(例えば、第一の結び目列114aの第二の結び目列114bに対する展開比は約15:1であり、第二の結び目列114bの第三の結び目列114cに対する展開比は約15:1である)。
【0058】
図4Bは、様々な展開比を有する不均一な間隔の結び目列114を有する拘束体102を示している。示されるように、第一の結び目列及び第二の結び目列114a,114bは、拘束体102の周囲に沿って互いに約180度離間されうる。第二の結び目列及び第三の結び目列114b,114cならびに第三の結び目列及び第四の結び目列114c,114dは、互いに約60度離間されうる。したがって、第二の結び目列及び第三の結び目列114b,114cと、第三の結び目列及び第四の結び目列114c,114dとの間の展開比は約10:1である。これらの例において、第一の結び目列114aの第二の結び目列114bに対する展開比は、第二の結び目列114bの第三の結び目列114cに対する展開比、及び、第三の結び目列114cの第四の結び目列114dに対する展開比よりも大きい。したがって、第一の結び目列及び第二の結び目列114a,114bはより遅く展開し、残りの結び目列(例えば、第三の結び目列及び第四の結び目列114c,114d)はより速く展開する。
【0059】
特定の例において、拘束体102は、拘束体102の周囲に沿って互いに不均一に離間されて示されているように、5つ未満の結び目列114を有することができる。例えば、拘束体102は、拘束体102の周囲に沿って互いに不均一に離間されている3つの結び目列114(例えば、
図8Aに示されるように)、7つの結び目列114、9つの結び目列144又は別の奇数の列を有することができる。上記のように、拘束体102の展開比は、異なる展開比を有しうる特定の結び目列114のストランドのユーザによる攪乱に基づいて変更されうる。
【0060】
図4Cは、6つの結び目列114(例えば、第一の結び目列114a、第二の結び目列114b、第三の結び目列114c、第四の結び目列114d、第五の結び目列114e及び第六の結び目列114f)を拘束体102の周囲に等間隔に配置された拘束体102を示す。結び目列114は、互いに約60度離れて間隔を開けて配置されている。例えば、第一の結び目列114aは第二の結び目列114bから約60度の間隔で配置され、第二の結び目列114bは第三の結び目列114cから約60度の間隔で配置されるなどである。これらの例において、結び目列114は、約10:1の展開比を有する。言い換えれば、第一の結び目列114aの展開速度の、第二の結び目列114bの展開速度に対する比は約10:1であり、第二の結び目列114bの展開速度の、第三の結び目列114cの展開速度に対する比は約10:1である。
【0061】
様々な例において、第一の結び目列114aのストランドの攪乱は、第一の結び目列114aに関連する第一の展開速度で、拘束体102の少なくとも一部の解きほぐしを開始する。第二の結び目列114bのストランドの攪乱は、第二の結び目列114bに関連する第二の展開速度で、拘束体102の少なくとも一部の解きほぐしを開始する。第一の結び目列及び第二の結び目列114a,114bの第一の展開速度及び第二の展開速度は、それぞれ、拘束体102の周囲での結び目列114の位置決め及びそれらのそれぞれの展開比に応じて、同じであるか又は異なっていることができる。例えば、第一の展開速度は第二の展開速度よりも速くてよいが、他の例において、第二の展開速度は第一の展開速度よりも速い。
【0062】
様々な例において、結び目列114のストランドを攪乱して結び目列114の解きほぐしを開始することとしては、ストランドを破断すること、ストランドに力を加えること、又は、ストランドに対する張力を変更することを挙げることができる。特定の例において、第一の結び目列114aは、第二の結び目列114b及び/又は任意の数の後続の結び目列114の前に攪乱しそして解きほぐすように構成されうる。
【0063】
図5は、1つの実施形態による、例示的な結び目列114の展開を示す拘束体102の端面図である。幾つかの例において、それぞれのインターロッキングストランド及び結び目列は、ユーザによって選択的に解きほぐすように構成されている。例えば、示されるように、第一の結び目列114aのインターロッキングストランドの1つ(例えば、第一のインターロッキングストランド110)が攪乱されると、第一の結び目列114aは第一の展開速度で解きほぐされそして拘束体102の一部は解放される。第一の結び目列114aの解きほぐしを開始した後に、第二の結び目列114bのインターロッキングストランドの1つ(例えば、第二のインターロッキングストランド112)はユーザによって攪乱されて、したがって、第二の展開速度で第二の結び目列114bの解きほぐし及び拘束体102の別の部分の解放を開始することができる。第二の結び目列114bの解きほぐしを開始した後に、第三の結び目列114cのインターロッキングストランドの1つ(例えば、第三のインターロッキングストランド116)はユーザによって攪乱されて、したがって、第三の展開速度で第三の結び目列114cの解きほぐし及び拘束体102の別の部分の解放を開始することができる。第三の結び目列114cの解きほぐしを開始した後に、第四の結び目列のインターロッキングストランドの1つ(例えば、第四のインターロッキングストランド118)はユーザによって攪乱され、したがって、第四の展開速度で第四の結び目列114dの解きほぐし及び拘束体102の別の部分の解放を開始することができる。この解放方法は、拘束体102が完全に解放されるまで、連続する結び目列に対して継続することができる。他の例において、列114の1つを攪乱することは、拘束体102を独立して解放することができ、ユーザは、結び目列114の選択に基づいて展開比を変更することができる。
【0064】
様々な例において、ユーザは、どの結び目列114を特定の時点で展開するかを能動的に選択することができる。例えば、結び目列114は、デバイス104の周囲に順次に展開される必要はない。例えば、第一の結び目列114aは最初に展開され、続いて第三又は第四の結び目列114c,114dは展開されうる。各結び目列114は、異なる展開特性(例えば、展開速度、展開比)を有することができるので、ユーザは、手順中に望まれる展開特性を提供する結び目列114を意図的に展開することができる。
【0065】
幾つかの例において、第一の結び目列114aのインターロッキングストランドは、第二の結び目列114bのインターロッキングストランドと区別可能であることができる。例えば、第一の結び目列及び第二の結び目列114a,114bのインターロッキングストランドは、色、マーキング及び/又はテクスチャなどの異なるストランド特性を有することができる。例えば、第一の結び目列及び第二の結び目列114a,114bの一方は、第一の色を含むことができ、第一の結び目列及び第二の結び目列114a,114bの他方は、第二の色を含むことができる。第一の結び目列及び第二の結び目列114a,114bの異なる色は、第一の結び目列及び第二の結び目列114a,114bが異なる展開速度を有することをユーザに示す。さらに、第一の結び目列及び第二の結び目列114a,114bの一方は、第一のマーク(例えば、視覚的インジケータ)を含むことができ、第一の結び目列及び第二の結び目列114a,114bの他方は、第二のマークを含むことができる。第一の結び目列及び第二の結び目列114a,114bの異なるマーキングは、第一の結び目列及び第二の結び目列114a,114bが異なる展開速度を有することをユーザに示す。他の例において、第一の結び目列及び第二の結び目列114a,114bの一方は、第一のテクスチャを含むことができ、第一の結び目列及び第二の結び目列114a,114bの他方は、第二のテクスチャを含むことができる。第一の結び目列及び第二の結び目列114a,114bの異なるテクスチャは、第一の結び目列及び第二の結び目列114a,114bが異なる展開速度を有することをユーザに示す。これらの場合のいずれにおいても、拘束体102の追加の列はそれぞれ、色、マーキング及び/又はテクスチャなどの異なるストランド特性を含むことができる。このようにして、異なる展開速度を有する列のために、ユーザは、拘束体102の除去速度を選択することができる。例えば、複数の結び目列は、複数の列のうちの1つのユーザ選択に応答して攪乱するように構成されており、ユーザが拘束体の除去速度を選択できる。特定の例において、複数の列は、拘束体の除去速度を規定するために設定順序で解きほぐすように構成されている。本明細書で論じられるインターロッキングストランドのための潜在的な材料としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)、ポリエステル、ポリウレタン、ペルフルオロエラストマーなどのフルオロポリマー、ポリテトラフルオロエチレン、シリコーン、ウレタン、超高分子量ポリエチレン、アラミド繊維及びそれらの組み合わせが挙げられる。インターロッキングストランドの他の実施形態としては、超高分子量ポリエチレン繊維(例えば、Spetra(登録商標)、Dyneema Purity(登録商標)など)又はアラミド繊維(例えば、Technora(登録商標)など)などの高強度ポリマー繊維を挙げることができる。一般に、上記の特性のいずれも、当業者によって理解されるように、ASTM又は他の承認された測定技術及び基準を使用して評価することができる。
【0066】
図6は、1つの実施形態による、デバイス104及び拘束体102を含むデリバリーシステムの側面図である。幾つかの例において、インターロッキングストランド(例えば、第一のインターロッキングストランド110及び第二のインターロッキングストランド112)は、解放される前にデバイス104の傾斜を少なくするように構成される。例えば、インターロッキングストランドは、結び目列114の結び目が順次に解放される前に、デバイス104の傾斜を少なくすることができる。
図6に示されるように、デバイス104は、拘束機構102の解放後に、より大きな直径に拡張し始める。デバイス104は、拘束機構102によって保持される部分と拡張された部分又は拡張し始めている部分との間に角度Aを有することができる。角度A及びデバイス104が展開直径D2に展開するために力を消費していることのために、従来のデバイスは、デバイス104の傾斜によりシフトする場合がある。しかしながら、インターロッキングストランドは、結び目列114の結び目が順次に解放されるときに、デバイス104に対するそれぞれの結び目の位置を維持することによってデバイス104の傾斜を低減し、
図6に示されるように、デバイス104の望ましくない又は事前展開を低減させる。
【0067】
図6Aは、1つの実施形態による、デリバリー構成におけるデリバリーシステム10の画像である。
図6Bは、1つの実施形態による、半展開構成におけるデリバリーシステム10の画像である。示されるように、第一の結び目列114aのインターロッキングストランドの1つ(例えば、第一のインターロッキングストランド110)を攪乱することは、
図6Bに示されるように、第一の展開速度で拘束体102の少なくとも一部の解きほぐしを開始する。第二の結び目列114b(
図6A及び6Bには示されていない)のインターロッキングストランドの1つを攪乱すると、第二の展開速度で拘束体102の別の部分の解きほぐしを開始する。拘束体102が2つより多くの結び目列を含む例において、連続する結び目列のストランド(例えば、第三の結び目列114c及び/又は第四の結び目列114d)を攪乱すると、第一の展開速度及び/又は第二の展開速度とは異なるか又は同じであることができる別の展開速度(例えば、第三の展開速度又は第四の展開速度)で拘束体102の別の部分の解きほぐしを開始する。他の例において、列114の1つを攪乱することは、拘束体102を独立して解放することができ、ユーザは、結び目列114の選択に基づいて展開比を変更することができる。
【0068】
図7Aは、1つの実施形態による、例示的な第一の結び目列パターンを有する拘束体102の端面図である。拘束体102は、拘束体の長さに沿って複数のインターロッキングストランド110,112,116,118によって形成される異なるパターンを含む。以下でさらに詳細に記載されるように、パターンは、拘束体102の長さに沿ったインターロッキングストランド110,112,116,118の間の相互作用に基づいて異なる。
【0069】
幾つかの例において、それぞれのインターロッキングストランド及び結び目列は、ユーザによって選択的に解きほぐすように構成されている。例えば、示されるように、第一の結び目列114aのインターロッキングストランドの1つ(例えば、第一のインターロッキングストランド110)が攪乱されると、第一の結び目列114aは第一の展開速度で解きほぐされそして拘束体102の一部は解放される。第一の結び目列114aの解きほぐしを開始した後に、第二の結び目列114bのインターロッキングストランドの1つ(例えば、第二のインターロッキングストランド112)はユーザによって攪乱され、したがって、第二の展開速度で第二の結び目列114bの解きほぐしを開始しそして拘束体102の別の部分の解放を開始することができる。第二の結び目列114bの解きほぐしを開始した後に、第三の結び目列114cのインターロッキングストランドの1つ(例えば、第三のインターロッキングストランド116)はユーザによって攪乱され、したがって、第三の展開速度で第三の結び目列114cの解きほぐしを開始しそして拘束体102の別の部分の解放を開始することができる。第三の結び目列114cの解きほぐしを開始した後に、第四の結び目列のインターロッキングストランドの1つ(例えば、第四のインターロッキングストランド118)はユーザによって攪乱され、したがって、第四の展開速度で第四の結び目列114dの解きほぐしを開始しそして拘束体102の別の部分の解放を開始することができる。この解放方法は、拘束体102が完全に解放されるまで、連続する結び目列に対して継続することができる。他の例において、列114の1つを攪乱することは、拘束体102を独立して解放することができ、ユーザは、結び目列114の選択に基づいて展開比を変更することができる。
【0070】
様々な例において、ユーザは、どの結び目列114を特定の時点で展開するかを能動的に選択することができる。例えば、結び目列114は、デバイス104の周囲に順次に展開される必要はない。例えば、第一の結び目列114aが最初に展開され、続いて第三の結び目列又は第四の結び目列114c,114dが展開されうる。結び目列114のそれぞれは、異なる展開特性(例えば、展開速度、展開比)を有することができるので、ユーザは、手順中に望まれる展開特性を提供する結び目列114を意図的に展開することができる。他の例において、
図7Bに示されるように、拘束体102は、拘束体の長さに沿って複数の結び目列パターンを有するように形成され、織られ又は編まれることができる。
【0071】
図7Bは、1つの実施形態による、例示的な第二の結び目列パターンを有する、
図7Aに示される拘束体102の端面図である。
図7Bに示されるように、第三のインターロッキングストランド116及び第四のインターロッキングストランド118の位置は、拘束体102の周囲に対して交換されている。
【0072】
第三のインターロッキングストランド116及び第四のインターロッキングストランド118の位置を変更することはまた、結び目列114c,114dの代わりに異なる結び目列114e,114fを形成する。特定の例において、第三のインターロッキングストランド116及び第四のインターロッキングストランド118は、展開比を変更又は変化させるために、拘束体102の長さに沿ったある点で変更される。第三のインターロッキングストランド116と第一のインターロッキングストランド110との間の相互作用は、第四のインターロッキングストランド118と第一のインターロッキングストランド110との間の相互作用とは異なることができる。同様に、第四のインターロッキングストランド118と第二のインターロッキングストランド112との間の相互作用は、第三のインターロッキングストランド116と第二のインターロッキングストランド112との間の相互作用とは異なることができる。
【0073】
インターロッキングストランド110,112,116,118の位置は、結び目列114内で異なる展開比を有し、拘束体102の長さに沿ってさらに異なることができる拘束体102を作製するために切り替えることができる。結果として、結び目列114の1つを攪乱するユーザは、ストランド位置の変更及びストランド間の相互作用の変更
により、結び目列114のその1つを攪乱し続けながら、展開を受動的に変更することができる。例えば、ユーザが下方に展開し、結び目列114dが第一の展開力を含むように構成され、特定の長さの展開後に異なる展開力が望まれるならば、第三のインターロッキングストランド116及び第四のインターロッキングストランド118の位置は、その場所で変更して、結び目列114dを結び目列114eに置き換えることができる。これは、異なる(例えば、より高い又はより低い展開力)を含むように構成されうる。同様に、インターロッキングストランド110,112,116,118は、
図8A~Bを参照して以下に説明するように合流又は分割される。
【0074】
図8Aは、1つの実施形態による、例示的な第一の結び目列パターンを有する拘束体102の端面図である。拘束体102は、拘束体の長さに沿った複数のインターロッキングストランド110,112,116によって形成される異なるパターンを含む。以下でさらに詳細に記載されるように、パターンは、拘束体102の長さに沿った結び目列114の増加又は減少に基づいて異なる。
【0075】
幾つかの例において、それぞれのインターロッキングストランド及び結び目列は、ユーザによって選択的に解きほぐすように構成されている。例えば、示されるように、第一の結び目列114aのインターロッキングストランドの1つ(例えば、第一のインターロッキングストランド110)が攪乱されると、第一の結び目列114aは第一の展開速度で解きほぐされそして拘束体102の一部は解放される。第一の結び目列114aの解きほぐしを開始した後に、第二の結び目列114bのインターロッキングストランドの1つ(例えば、第二のインターロッキングストランド112)は、ユーザによって攪乱され、したがって、第二の展開速度で第二の結び目列114bの解きほぐしを開始しそして拘束体102の別の部分の解放を開始することができる。第二の結び目列114bの解きほぐしを開始した後に、第三の結び目列114cのインターロッキングストランドの1つ(例えば、第三のインターロッキングストランド116)はユーザによって攪乱され、したがって、第三の展開速度で第三の結び目列114cの解きほぐしを開始しそして拘束体102の別の部分の解放を開始することができる。この解放方法は、拘束体102が完全に解放されるまで、連続する結び目列に対して継続することができる。他の例において、列114の1つを攪乱することは、拘束体102を独立して解放することができ、ユーザは結び目列114の選択に基づいて展開比を変更することができる。
【0076】
様々な例において、ユーザは、どの結び目列114を特定の時点で展開するかを能動的に選択することができる。例えば、結び目列114は、デバイス104の周囲に順次に展開される必要はない。各結び目列114は、異なる展開特性(例えば、展開速度、展開比)を有することができ、ユーザは、意図的に結び目列114を展開することができ、それは手順中に所望の展開特性を提供する。
【0077】
拘束体102は、拘束体102の長さに沿って結び目列114内で異なる展開比を有することができる。インターロッキングストランド110,112,116の位置を切り替えるのではなく、インターロッキングストランド110,112,116は併合して、インターロッキングストランド112,116,118の間に異なる相互作用を作り出す。
図8Bに示されるように、例えば、第二のインターロッキングストランド112及び第三のインターロッキングストランド116は併合される。第二のインターロッキングストランド112と第三のインターロッキングストランド116の併合は、異なる結び目列及び結び目パターンを作製する。例えば、第二のインターロッキングストランド112と第三のインターロッキングストランド116の合併は、むしろ、2つの結び目列114e,114fを形成する。第二のインターロッキングストランド112と第三のインターロッキングストランド116の併合は、拘束体102内に、第二のインターロッキングストランド112及び第三のインターロッキングストランド116が単独であるのとは異なる相互作用を形成する。
【0078】
インターロッキングストランド110,112,116の併合(又は反対にストランドの分割)は、結び目列114内で異なる展開比を有し、拘束体102の長さに沿ってさらに異なることができる拘束体102を作製することができる。結果として、結び目列114の1つを攪乱するユーザは、結び目列114のその1つを攪乱し続けながら、ストランド位置の変更及びストランド間の相互作用の変更
により、展開を受動的に変更することができる。例えば、ユーザが下方に展開し、結び目列114aが第一の展開力を含むように構成されているが、特定の長さの展開後に異なる展開力が望まれるならば、第二のインターロッキングストランド112及び第三のインターロッキングストランド116は、その位置で併合して、結び目列114aを結び目列114d又は結び目列114eに置き換えることができる。これは、異なる(例えば、より高い又はより低い展開力)を含むように構成されることができる。インターロッキングストランド110,112,116は、併合されるのではなく分割されうる。例えば、拘束体102は、
図8Bに示されるパターンで開始することができ、そして
図8Aに示されるパターンへ移行することができる。
【0079】
図7~8を参照して上で論じたように、インターロッキングストランドの併合、位置変更又は分割は、任意の数のインターロッキングストランドを使用して発生することがある。例えば、インターロッキングストランド110,112,116,118は、併合されて2つの結び目列を形成し、反対側の2つの結び目列114は、4つの結び目列114になることができる。さらに、3つの結び目列114は、
図7A~Bを参照して記載されたとおりの位置を変更することができる。
【0080】
特定の例において、結び目列114は、上記で詳細に記載されたように、ストランドの複数の対、又は、ストランドの対、又は、単一のストランドを含むことができる。複数のストランドは、一緒に配置又は編まれ、続いて別の1つ以上のストランドとインターロッキングして結び目列114を形成することができる(例えば、
図8Bに示されるようにストランド110とインターロッキングされたストランド112,116)。結び目列114は、拘束体102の全長に沿って、又は、
図8Bを参照して記載されるとおりの長さの一部のみに沿ってそのように配置されたストランドを含むことができる。
【0081】
本出願の本発明の概念は、一般的に及び特定の実施形態に関して上記の両方で記載されてきた。本開示の範囲から逸脱することなく、実施形態において様々な変更及び変形を行うことができることは当業者には明らかであろう。したがって、実施形態は、添付の特許請求の範囲及びそれらの均等形態の範囲内に入るかぎり、本発明の概念の変更及び変形を網羅することが意図されている。
(態様)
(態様1)
メディカルデバイス展開装置であって、
メディカルデバイスを解放可能に拘束するように構成されており、第一の展開速度で解きほぐすように構成された第一の結び目列と、前記第一の展開速度とは異なる第二の展開速度で解きほぐすように構成された第二の結び目列とを形成する複数のインターロッキングストランドを含む拘束体を含み、
前記第一の結び目列のストランドを攪乱すると、前記第一の展開速度で前記拘束体の少なくとも一部の解きほぐしを開始し、前記第二の結び目列のストランドを攪乱すると、前記第二の展開速度で前記拘束体の少なくとも一部の解きほぐしを開始する、メディカルデバイス展開装置。
(態様2)
前記第一の結び目列と前記第二の結び目列との間の展開比は10:1である、態様1記載の装置。
(態様3)
前記第一の結び目列及び前記第二の結び目列から間隔を置いて配置された第三の結び目列をさらに含み、該第三の結び目列のストランドを攪乱すると、前記第一の展開速度及び前記第二の展開速度とは異なる第三の展開速度で前記拘束体の少なくとも一部の解きほぐしを開始する、態様1~2のいずれか1項記載の装置。
(態様4)
前記第一の結び目列と前記第二の結び目列との間の展開比は、前記第二の結び目列と前記第三の結び目列との間の展開比とは異なる、態様3記載の装置。
(態様5)
前記第一の結び目列、第二の結び目列及び第三の結び目列は、前記拘束体の周囲に等間隔に配置されている、態様4記載の装置。
(態様6)
前記第一の結び目列、第二の結び目列及び第三の結び目列は、前記拘束体の周囲に不均一に間隔を置いて配置されている、態様4記載の装置。
(態様7)
前記第一の結び目列を攪乱することは、前記第一の結び目列のストランドを破断することを含み、前記第二の結び目列を攪乱することは、前記第二の結び目列のストランドを破断することを含む、態様1~6のいずれか1項記載の装置。
(態様8)
前記第一の結び目列を攪乱することは、前記第一の結び目列の少なくとも1つのストランドの張力を変更することを含み、前記第二の結び目列を攪乱することは、前記第二の結び目列の少なくとも1つのストランドの張力を変更することを含む、態様1~7のいずれか1項記載の装置。
(態様9)
前記第一の結び目列は前記第二の結び目列の前に攪乱するように構成されている、態様1~8のいずれか1項記載の装置。
(態様10)
前記第二の展開速度は前記第一の展開速度よりも速い、態様1~9のいずれか1項記載の装置。
(態様11)
前記第一の結び目列のストランドは、色によって前記第二の結び目列のストランドと区別可能である、態様1~10のいずれか1項記載の装置。
(態様12)
前記第一の結び目列のストランドは、マーキングによって前記第二の結び目列のストランドと区別可能である、態様1~11のいずれか1項記載の装置。
(態様13)
前記第一の結び目列のストランドは、テクスチャによって前記第二の結び目列のストランドと区別可能である、態様1~12のいずれか1項記載の装置。
(態様14)
前記複数のインターロッキングストランドはワープニットパターンを形成する、態様1~13のいずれか1項記載の装置。
(態様15)
前記複数のインターロッキングストランドによって形成されるパターンは、前記拘束体の長さに沿って異なる、態様1~14のいずれか1項記載の装置。
(態様16)
前記複数のインターロッキングストランドは、前記拘束体の長さに沿って数が増加又は減少する、前記第一の結び目列及び前記第二の結び目列を含む複数の結び目列を形成している、態様15記載の装置。
(態様17)
前記複数のインターロッキングストランドは、前記第一の結び目列及び前記第二の結び目列を含む複数の結び目列を形成し、そして、前記複数のインターロッキングストランドの間の相互作用は前記拘束体の長さに沿って異なる、態様15記載の装置。
(態様18)
メディカルデバイス展開装置を使用する方法であって、
第一の結び目列及び第二の結び目列を含む拘束体を提供すること、
前記第一の結び目列のストランドを攪乱して、第一の展開速度で前記拘束体の少なくとも一部の解きほぐしを開始すること、及び、
前記第二の結び目列のストランドを攪乱して、前記第一の展開速度よりも大きい第二の展開速度で前記拘束体の少なくとも一部の解きほぐしを開始すること、
を含む、方法。
(態様19)
第三の結び目列のストランドを攪乱して、前記第一の展開速度及び第二の展開速度とは異なる第三の展開速度で前記拘束体の少なくとも一部を解きほぐすことをさらに含む、態様18記載の方法。
(態様20)
前記第一の結び目列のストランドを攪乱することは、ストランドを破断することを含む、態様18~19のいずれか1項記載の方法。
(態様21)
周囲を有し、該周囲に間隔を置いて配置された複数の結び目列を有するワープニットの形態の複数のインターロッキングストランドを含む、取り外し可能な拘束体を含み、
前記結び目列の1つが攪乱されると、前記取り外し可能な拘束体は、展開ラインに力が加えられるときに、解きほぐされて遠隔的に取り外し可能になり、そして、
前記複数の結び目列は前記周囲に不均一に分布し、前記取り外し可能な拘束体の除去の速度はどの結び目列が攪乱されるかに応じて異なる、メディカルデバイスの展開装置。
(態様22)
前記複数の結び目列は、ユーザが拘束体除去の速度を選択できるように、前記複数の列のうちの1つをユーザが選択することに応答して攪乱するように構成されている、態様21記載の装置。
(態様23)
前記複数の列は、拘束体除去の速度を規定するために設定順序で解きほぐすように構成されている、態様21~22のいずれか1項記載の装置。
(態様24)
前記インターロッキングストランドは互いに区別可能である、態様21~22のいずれか1項記載の装置。
(態様25)
前記インターロッキングストランドは着色することによって互いに区別可能である、請求項24記載の装置。
(態様26)
前記インターロッキングストランドはマーキングによって互いに区別可能である、態様24記載の装置。
(態様27)
前記インターロッキングストランドはテクスチャによって互いに区別可能である、態様24記載の装置。