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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-14
(45)【発行日】2025-01-22
(54)【発明の名称】遠隔操作搬送器
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/04 20060101AFI20250115BHJP
   B65G 59/02 20060101ALI20250115BHJP
【FI】
B65G1/04 555Z
B65G59/02 Z
【請求項の数】 10
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022194634
(22)【出願日】2022-12-06
(62)【分割の表示】P 2018527169の分割
【原出願日】2017-01-05
(65)【公開番号】P2023025206
(43)【公開日】2023-02-21
【審査請求日】2022-12-06
(31)【優先権主張番号】20160118
(32)【優先日】2016-01-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NO
(73)【特許権者】
【識別番号】317005527
【氏名又は名称】アウトストア・テクノロジー・エーエス
【氏名又は名称原語表記】AUTOSTORE TECHNOLOGY AS
【住所又は居所原語表記】Stokkastrandvegen 85,N-5578 Nedre Vats,Norway
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100172041
【弁理士】
【氏名又は名称】小畑 統照
(72)【発明者】
【氏名】ホイナランド,イングヴァル
(72)【発明者】
【氏名】フェルドハイム,アイバー
【審査官】大塚 多佳子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/019055(WO,A1)
【文献】特開平10-194410(JP,A)
【文献】特開平05-116885(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2006-0048163(KR,A)
【文献】特開2014-103775(JP,A)
【文献】特許第5866074(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/04
B65G 59/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯蔵容器(2)を下にある貯蔵システム(3)からピックアップするための遠隔操作搬送器(1)であって、貯蔵容器全体を収容するように適合されたキャビティを有する搬送器本体(4)と、前記下にある貯蔵システム(3)の前記遠隔操作搬送器の移動のための搬送器転がし手段と、前記貯蔵容器を前記下にある貯蔵システム(3)から前記搬送器転がし手段の最低位置の上方の位置へと持ち上げるためのリフトアセンブリと、を備え、
前記リフトアセンブリは、リフトフレーム(7)、単一の回転可能なリフトシャフト(6)、第1リフトバンドアセンブリ(8a)、及び第2リフトバンドアセンブリ(8b)を備え、
前記リフトフレームは前記貯蔵容器(2)に接続可能であり、
前記回転可能なリフトシャフト(6)は前記搬送器本体の上方部分の中央に設けられ、
前記第1リフトバンドアセンブリ(8a)と前記第2リフトバンドアセンブリ(8b)とのそれぞれは、2つの別個のリフトバンド(12)を備え、当該2つの別個のリフトバンド(12)のそれぞれは、水平方向に反対側に延びて、フレーム接続バンド端部(21)とシャフト接続バンド端部(26)とを有し、前記シャフト接続バンド端部は、前記回転可能なリフトシャフト(6)が回転する方向に依存して前記リフトバンドが前記リフトシャフトから繰り出され又は巻き取られ、前記リフトフレーム(7)が垂直方向に上昇または下降するように、前記回転可能なリフトシャフト(6)に接続され、
前記シャフト接続バンド端部(26)のそれぞれは、前記リフトシャフトに沿った異なる長手方向位置で前記回転可能なリフトシャフト(6)に接続され、
前記リフトシャフトが使用中に回転するときにすべてのフレーム接続バンド端部が等しい距離で移動するように、前記第1リフトバンドアセンブリと前記第2リフトバンドアセンブリとの前記シャフト接続バンド端部は、前記回転可能なリフトシャフトの中心線(C)を含む共通平面(P)における場所で前記回転可能なリフトシャフトに接続され、
前記第1リフトバンドアセンブリの前記シャフト接続バンド端部は、中心線(C)に対して互いに反対となる位置で前記回転可能なリフトシャフトに接続され、前記第2リフトバンドアセンブリの前記シャフト接続バンド端部は、前記中心線(C)に対して互いに反対となる位置で前記回転可能なリフトシャフトに接続され、
前記回転可能なリフトシャフト(6)は、当該リフトシャフト(6)をその長手方向の軸回りに回転させることができる駆動アセンブリ(14)に動作的に接続されており、
前記駆動アセンブリの少なくとも一部が、前記回転可能なリフトシャフトの内部に設けられている、遠隔操作搬送器。
【請求項2】
前記回転可能なリフトシャフト(6)は、前記搬送器本体(4)の前記キャビティにおける上方部分の中央に設けられている、請求項1に記載の遠隔操作搬送器。
【請求項3】
前記リフトフレーム(7)は、前記リフトバンド(12)が前記回転可能なリフトシャフト(6)に巻き付けられたときに上昇し、前記リフトバンド(12)が前記回転可能なリフトシャフト(6)から繰り出されたときに下降する、請求項1又は2に記載の遠隔操作搬送器。
【請求項4】
前記第1リフトバンドアセンブリ(8a)と前記第2リフトバンドアセンブリ(8b)とは前記回転可能なリフトシャフト(6)の対向する端部に配置されている、請求項1から3の何れか1項に記載の遠隔操作搬送器。
【請求項5】
実質的に水平方向から垂直方向へと前記リフトバンドの方向を変換するための方向変換手段(20)を備えており、前記方向変換手段は、前記搬送器本体の前記上方部分に設けられている、請求項1からの何れか1項に記載の遠隔操作搬送器。
【請求項6】
前記方向変換手段は、前記リフトシャフトと平行にかつ前記リフトシャフトに対して互いに反対側に設けられた2つのガイドロッド(20)である、または別個のフレーム接続端部(21)を導く4本のシーブ、プーリー、もしくはガイドロッドである、請求項に記載の遠隔操作搬送器。
【請求項7】
前記駆動アセンブリは、前記リフトシャフトに沿って設けられた電動モータ(14)を備え、前記リフトシャフトは、駆動ベルトを介して前記電動モータ(14)に接続される、請求項1からの何れか1項に記載の遠隔操作搬送器。
【請求項8】
前記駆動アセンブリは、固定子要素を有するリラクタンスモータを備え、前記固定子要素は前記リフトシャフトおよび回転子要素(27)の周りに配置され、前記回転可能なリフトシャフト(6)が、前記リラクタンスモータの回転子要素(27)に接続されている、又は回転子要素(27)の一部を備え、前記リフトシャフトの前記中心線(C)は、前記回転子要素(27)の中心線と一直線上にある、請求項1からの何れか1項に記載の遠隔操作搬送器。
【請求項9】
貯蔵容器(2)の貯蔵のための貯蔵システム(3)であって、
貯蔵容器(2)の垂直スタックを収容するようにそれぞれ構成されている複数の貯蔵列を備える容器貯蔵格子(15)と、
前記容器貯蔵格子(15)の頂部に配置された、請求項1からの何れか1項に記載の遠隔操作搬送器と、
を備える貯蔵システム。
【請求項10】
貯蔵容器(2)の貯蔵のための貯蔵システム(3)における、請求項1からの何れか1項に記載の遠隔操作搬送器の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貯蔵システムの分野に関し、より具体的には、貯蔵ステムから貯蔵容器をピックアップするための、遠隔操作される搬送器、又はロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
貯蔵システムから貯蔵容器をピックアップするための遠隔操作される車両が知られている。関連する従来技術の貯蔵システムの詳細な説明は、WO98/49075に示されており、こうした貯蔵システムに適した従来技術の搬送器の詳細は、ノルウェー特許第317366号に詳細に開示されている。こうした従来技術の貯蔵システムは、一定の高さまで互いに積み重ねられる貯蔵容器を収容する三次元貯蔵グリッドを備える。貯蔵グリッドは通常、複数の遠隔操作される搬送器またはロボットが横方向に移動するように配置された頂部レールによって相互接続されたアルミニウム列として構成される。各搬送器には、貯蔵グリッドに貯蔵された容器をピックアップし、運搬し、置くための搬送器リフトアセンブリと、搬送器に搭載されたモータに電力を供給するための充電式バッテリとが装備されている。搬送器は、典型的には、ワイヤレスリンクを介して制御システムと通信し、必要な場合、典型的には夜間に、充電ステーションで再充電される。
【0003】
公知の遠隔操作搬送器/ロボットでは、貯蔵容器をピックアップし、運搬し、置くために使用されるリフトアセンブリは、一般に、2対のワイヤライン/バンドによって搬送器に連結されたリフトフレームを備える。ワイヤライン/バンドの各対は、別個に回転可能なリフトシャフト上に巻き取られる。従来技術のリフトアセンブリでは、貯蔵容器が斜めに持ち上げられることを避けるために、独立して回転可能なリフトシャフトの高精度の同期が要求されていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明の目的は、従来技術の欠点の少なくとも幾つかが緩和された改良されたリフトアセンブリを有する搬送器/ロボットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、添付の特許請求の範囲および以下に定義される。
第1の観点では、本発明は、貯蔵容器(2)を下にある貯蔵システム(3)からピックアップするための遠隔操作搬送器(1)であって、貯蔵容器全体を収容するように適合されたキャビティを有する搬送器本体(4)と、下にある貯蔵システム(3)の搬送器の移動のための搬送器転がし手段と、貯蔵容器を前記下にある貯蔵システム(3)から搬送器転がし手段の最低位置の上方の位置へと持ち上げるためのリフトアセンブリと、を備え、
リフトアセンブリは、リフトフレーム(7)、回転可能なリフトシャフト(6)、第1リフトバンドアセンブリ(8a)、及び第2リフトバンドアセンブリ(8b)を備え、
リフトフレームは貯蔵容器(2)に接続可能であり、
回転可能なリフトシャフト(6)は搬送器本体の上方部分に設けられ、
第1リフトバンドアセンブリ(8a)と第2リフトバンドアセンブリ(8b)とのそれぞれは、少なくとも1つのリフトバンド(12)と、リフトフレームに接続された2つのフレーム接続バンド端部(21)とを備え、
第1リフトバンドアセンブリ(8a)と第2リフトバンドアセンブリ(8b)とのリフトバンド(12)は、回転可能なリフトシャフト(6)が回転する方向に依存してリフトバンドがリフトシャフトから繰り出され又は巻き取られ、リフトフレーム(7)が垂直方向に下げられる又は上げられるように、回転可能なリフトシャフト(6)に接続される、
遠隔操作搬送器を提供する。
【0006】
第1リフトバンドアセンブリと第2リフトバンドアセンブリとは、共通の又は同じ回転可能なリフトシャフトに接続される。リフトシャフトが回転すると、リフトバンドのそれぞれは自身に巻き取られ、又は自身から繰り出される。
【0007】
回転可能なリフトシャフトは、搬送器本体の上方部分に、好ましくは貯蔵容器が搬送器本体の内部に好ましくはリフトシャフトの下に懸架されるように搬送器本体に設けられたキャビティの上方に、設けられる。フレーム接続バンド端部のそれぞれは、好ましくはリフトフレームの別個の角に近接して、又はリフトフレームの別個の角に接続される。第1リフトバンドアセンブリと第2リフトバンドアセンブリとは、リフトフレームが下降/上昇したときにフレーム接続バンド端部が等しい速度で移動するように、回転可能なリフトシャフトに接続される。回転可能なリフトシャフトは、好適には、キャビティの上方部分の中心に配置される。リフトシャフトは、水平方向、つまりリフトフレームが上昇または下降するときのリフトフレームの移動方向に対して垂直な方向に、延びる。
【0008】
一実施形態では、リフトフレームは、少なくとも1つのリフトバンドが回転可能なリフトシャフトに巻き付けられたときに(垂直方向に)上昇し、少なくとも1つのリフトバンドが回転可能なリフトシャフトから繰り出されたときに下降する。
【0009】
遠隔操作搬送器の一実施形態では、第1リフトバンドアセンブリと第2リフトバンドアセンブリとの少なくとも一方は、2つのフレーム接続バンド端部と回転可能なリフトシャフトに接続された中間部分とを有する単一のリフトバンドを備える。
【0010】
遠隔操作搬送器の一実施形態では、第1リフトバンドアセンブリ(8a)と第2リフトバンドアセンブリとの少なくとも一方は、2つの別個のリフトバンドを備え、別個のリフトバンドのそれぞれは、フレーム接続バンド端部とシャフト接続バンド端部とを有し、シャフト接続バンド端部は回転可能なリフトシャフトに接続されている。
【0011】
遠隔操作搬送器の一実施形態では、第1リフトバンドアセンブリと第2リフトアセンブリとのそれぞれは、2つのフレーム接続バンド端部(21)と中間部分とを有する単一のリフトバンドを備え、又はフレーム接続バンド端部(21)とシャフト接続バンド端部(26)とをそれぞれに有する2つの別個のリフトバンド(12)を備え、リフトシャフトが使用中に回転するときにすべてのフレーム接続バンド端部が等しい距離で移動するように、第1リフトアセンブリと第2リフトアセンブリとの中間部分またはシャフト接続バンド端部は、回転可能なリフトシャフトの中央線と交差する共通平面における場所で回転可能なリフトシャフトに接続される。リフトシャフトへのリフトバンドの巻き取りに先立って、シャフト接続バンド端部および/または中間部分を前記位置に接続させることにより、リフトバンドの直径、つまりリフトシャフトに形成されるリフトバンドの巻取直径を常に等しくすることを保証し、結果として、リフトシャフトが回転するときに、すべてのフレーム接続バンド端部において、移行速度または移行距離(つまり、フレーム接続バンド端部が垂直方向に移動する距離)を同一にすることを保証する。
【0012】
遠隔操作搬送器の更なる実施形態では、シャフト接続バンド端部は、シャフトに沿った異なる長手方向位置で、回転可能なリフトシャフトに接続される。
【0013】
遠隔操作搬送器の更なる実施形態では、第1リフトバンドアセンブリと第2リフトバンドアセンブリとは、回転可能なリフトシャフト(6)の対向する端部に配置される。
【0014】
遠隔操作搬送器の更なる実施形態では、搬送器は、実質的に水平方向から垂直方向へと
リフトバンドの方向を変換するための方向変換手段を備える。方向変換手段は、リフトバンドの方向を実質的に水平方向から垂直方向へと変換させるように構成され、滑車、プーリ、又は回転可能なシャフトといった任意の適切な装置を備えてもよい。方向変換手段は、好ましくは搬送器本体の上方部分に配置される。
【0015】
遠隔操作搬送器の更なる実施形態では、回転可能なリフトシャフトは、当該リフトシャフトをその長手方向の軸回りに回転させることができる駆動アセンブリに動作的に接続される。駆動アセンブリは、任意の適切なタイプの電気駆動モータを備えてもよい。好ましくは、駆動アセンブリは、搬送器本体の上方部分に配置される。
【0016】
遠隔操作搬送器の更なる実施形態では、駆動アセンブリはリラクタンスモータを備え、回転可能なリフトシャフトが、リラクタンスモータの回転子要素に接続されている、又は回転子要素の一部を備えている。駆動アセンブリは、回転可能なリフトシャフトの一体部分を構成してもよい。
【0017】
遠隔操作搬送器の更なる実施形態では、駆動アセンブリは、回転可能なリフトシャフトの一端に接続された又は当該一端を備えている回転子要素を有する電動モータを備え、好ましくは、回転可能なリフトシャフトの中央線が回転子要素の中央線と整列される。
【0018】
好ましい実施形態では、駆動アセンブリの少なくとも一部が、回転可能なリフトシャフトの内部に配置される。好ましくは、駆動アセンブリの全体が、回転可能なリフトシャフトの内部に配置される。
【0019】
第2の観点では、本発明は、貯蔵容器の貯蔵のための貯蔵システムを提供し、当該貯蔵容器は、貯蔵容器の垂直スタックを収容するようにそれぞれ構成されている複数の貯蔵列を備える容器貯蔵格子と、
前記容器貯蔵格子の頂部に配置された、上記請求項に記載の遠隔操作搬送器と、
を備える。
【0020】
第3の観点では、本発明は、貯蔵容器の貯蔵のための貯蔵システムにおける、第1の観点による遠隔操作搬送器の使用を提供する。
【0021】
さらなる実施形態では、第1の搬送器転がし手段は、例えば4つの車輪または2つのベルトである、搬送器本体の対向する側壁に配置された第1の転がしセットおよび第2の転がしセットを備え、使用中、下にある貯蔵システム上で第1の方向(X)に沿った搬送器アセンブリの移動を可能にする第1の搬送器転がし手段と、例えば4つの車輪または2つのベルトである、搬送器本体の対向する側壁に配置された第1の転がしセットおよび第2の転がしセットを備え、使用中、下にある貯蔵システム上で、第1の方向(X)に直交する第2の方向(Y)に沿った搬送器の移動を可能にする第2の搬送器転がし手段とを備える。第1および第2の転がしセットは、車輪、ベルト、又はチェーントラックであってもよい。しかしながら、これらの転がしセットは、下にある貯蔵システム上で搬送器を前方および/または後方に移動させることができる任意の機構または機構の組み合わせを含んでもよい。
【0022】
搬送器は、好ましくは、第1の搬送器転がし手段に、または少なくとも部分的にその中に位置し、第1の方向(X)への転がしセット固有の駆動力を搬送器アセンブリに提供するのに適した第1の駆動手段と、第2の搬送器転がし手段に、または少なくとも部分的にその中に位置し、第2の方向(Y)への転がしセット固有の駆動力を搬送器アセンブリに提供するのに適した第2の駆動手段とを備える。使用中、第1および第2の搬送器転がし手段のうちの少なくとも1つは、下にある貯蔵システムと接触している。
【0023】
更なる実施形態では、駆動手段のうちの少なくとも1つは、ブラシレス電気DC(直流)モータなどの永久磁石を使用する電気モータを備える。
【0024】
別の実施形態では、第1および第2の駆動手段のうちの少なくとも1つは、対応するそれぞれの搬送器転がし手段の外側周囲の内側表面に配置された回転子磁石を備える。
【0025】
別の実施形態では、第1の駆動手段および第2の駆動手段のうちの少なくとも1つは、搬送器転がし手段と同じ回転平面内に少なくとも部分的に、好ましくは完全に、かつ搬送器本体内に少なくとも部分的に、好ましくは完全に配置された固定子を備える。この実施形態では、回転平面とは、搬送器転がし手段の回転軸から直角に延在する平面を意味する。
【0026】
別の実施形態では、搬送器は、少なくとも1つの搬送器転がし手段の起電力(emf)を(少なくとも間接的に)測定するのに適した手段であって、固定子および回転子のうちの1つと信号通信して、それにより動作中に搬送器の転がしセット固有の速度登録を可能にする手段を備える。例えば、逆emf測定回路は、搬送器転がし手段と信号通信するように設置されてもよい。代替として、またはそれと組み合わせて、ホールセンサが使用されてもよい。
【0027】
別の実施形態では、搬送器は、第1および第2の搬送器転がし手段のうちの少なくとも1つに(少なくとも間接的に)接続されて、それにより動作中に角度位置フィードバックを可能にするロータリエンコーダを備える。そのようなロータリエンコーダは、搬送器転がし手段の角運動を、アナログまたはデジタルのコードに変換するのに適している。ロータリエンコーダ(またはシャフトデコーダ)は、アブソリュートロータリエンコーダおよび/またはアブソリュートマルチターンエンコーダのタイプのものとすることができる。前記アブソリュートロータリエンコーダは、機械式エンコーダ、光学式エンコーダ、磁気エンコーダ、および容量式エンコーダのうちの少なくとも1つとすることができる。さらに、アブソリュートマルチターンエンコーダは、電池式マルチターンエンコーダ、歯車式マルチターンエンコーダ、および自己出力式マルチターンエンコーダのうちの少なくとも1つとすることができる。
【0028】
別の実施形態では、ロータリエンコーダは、第1および第2の搬送器転がし手段のうちの少なくとも1つの外側周囲内に、好ましくは外側周囲と回転子磁石との間に配置されたロータリエンコーダディスクである。
【0029】
別の実施形態では、搬送器は、第1および第2の搬送器転がし手段のうちの少なくとも1つの加速度を測定するのに適した手段であって、固定子と信号通信する手段をさらに備える。そのような手段は、好ましくは1つまたは複数の圧電センサ、例えばPCB(商標)Piezotronics社からの加速度計を備える。圧電センサの代替として、または圧電センサと組み合わせて、1つまたは複数の誘導センサが使用されてもよい。
【0030】
別の実施形態では、それぞれの転がしセットは少なくとも2つの車輪を備え、搬送器は、それぞれの転がしセットの車輪のうちの2つの車輪間の容積内に配置されたモータ制御電子機器をさらに備える。前記モータ制御電子機器は、この実施形態においては、第1および第2の搬送器転がし手段に電力を供給するように構成され、好ましくは通信信号も送信することができる。
【0031】
別の実施形態では、第1の搬送器転がし手段は、第1の方向にその回転方向を有する4つのX車輪を備え、第2の搬送器転がし手段は、第2の方向にその回転方向を有する4つ
のY車輪を備え、X車輪のそれぞれ、およびY車輪のそれぞれが、それぞれ第1の駆動手段および第2の駆動手段に駆動可能に接続される。車輪のそれぞれは、車輪の外側周囲の内側表面内に配置された好ましくは複数の(例えば回転子磁石ディスクの形態の)回転子磁石と、好ましくは車輪の回転軸の位置と同じ、またはほぼ同じ高さにおいて搬送器本体内に少なくとも部分的に、例えば完全に配置された複数の(例えば固定子ディスクの形態の)固定子とを備える。この実施形態では、高さは、使用中に下にある貯蔵システムの最高点からの距離を指す。前記固定子は、巻線とヨークの両方を含み、固定子界磁巻線は、車輪の外側周囲をたどっている。
【0032】
別の実施形態では、駆動手段の少なくとも一部、好ましくは全部が、車輪の外側周囲内に配置されている。
【0033】
例えば、本発明の搬送器をXおよびY方向に駆動するために4つのベルトが適用されている場合、合計で4つのモータが、4つのベルトのそれぞれに動作可能に係合して設置されてもよく、それにより所望の転がしセット固有の駆動力が実現される。同様に、搬送器をXおよびY方向に駆動するために8つの車輪が適用される場合には、合計で8つのモータが、8つの車輪のそれぞれに動作可能に係合して設置されてもよく、それにより所望の転がしセット固有の駆動力が実現される。
【0034】
さらなる概念では、本明細書は、遠隔操作搬送器における回転可能なリフトシャフトのための非常に優れた駆動アセンブリも開示する。この概念は、上記した本発明のリフトアセンブリに依存しないが、前記リフトアセンブリと組み合わせて有利に使用することができる。この概念は、次のように定義することができる。
【0035】
貯蔵容器を下にある貯蔵システムからピックアップするための遠隔操作搬送器であって、搬送器本体と、下にある貯蔵システムの搬送器の移動のための搬送器転がし手段と、貯蔵容器を下にある貯蔵システムから持ち上げるためのリフトアセンブリと、を備え、
リフトアセンブリは、リフトフレーム、及び回転可能なリフトシャフトを備え、
リフトフレームは貯蔵容器(2)に接続可能であり、
回転可能なリフトシャフト(6)は搬送器本体の上方部分に設けられ、
リフトアセンブリは、回転可能なリフトシャフトが回転する方向に依存して、リフトフレームが垂直方向に上昇または下降するように、回転可能なリフトシャフトに接続され、
回転可能なリフトシャフトは、その長手方向軸回りでリフトシャフトを回転させることができる駆動アセンブリに動作的に接続され、駆動アセンブリはリフトシャフトの内部に配置される。駆動アセンブリは、本明細書に記載されているような任意の適切なタイプの電動モータを備えてもよい。
【0036】
以下の記述では、特許請求される搬送器および貯蔵システムの実施形態の完全な理解をもたらすために、具体的な詳細が紹介される。しかし、当業者であれば、1つもしくは複数の具体的な詳細がなくても、または他の構成要素、システムなどを用いても、これらの実施形態が実施され得ることを理解するであろう。開示される実施形態の態様を不明瞭にすることを回避するために、他の事例では、よく知られた構造もしくは動作は示されない、または詳細には記述されない。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1図1は、格子と複数の遠隔操作搬送器/ロボットとを含む従来の貯蔵システムの斜視図である。
図2図2は、本発明の一実施形態による遠隔操作搬送器を上方から見た斜視図である。
図3図3は、図2の搬送器を下から見た斜視図である。
図4a図4aは、搬送器の1つの主方位に沿って見た図2及び図3の搬送器の断面図である。
図4b図4bは、図4aの回転可能なリフトシャフトの断面図を示す。
図5ab図5a及び図5bは、リフトバンドアセンブリの第1の配置の断面図である。
図5c図5cは、リフトシャフトの一端に電動モータを備える一実施形態の断面図である。
図6図6は、本発明の一実施形態による上から見た貯蔵システムの斜視図であり、本発明の搬送器が、5つの隣接する貯蔵列の直上に配置されて示されている。
図7A図7Aは、隣接する列上の本発明の搬送器を、搬送器の1つの主方位に沿って示す、図6の貯蔵システムの断面図である。
図7B図7Bは、隣接する列上の本発明の搬送器を、搬送器の別の1つの主方位に沿って示す、図6の貯蔵システムの断面図である。
図8図8は、本発明の一実施形態による搬送器の一部を構成する転がしセットの斜視図である。
図9図9は、本発明の一実施形態による搬送器の一部を構成する車輪の斜視図である。
図10A】車輪のうちの1つが取り除かれた図8の転がしセットを示す。図10Aは、搬送器の1つの主方位に沿って見た転がしセットの断面図である。
図10B】車輪のうちの1つが取り除かれた図8の転がしセットを示す。図10Bは、搬送器の1つの主方位に沿って見た転がしセットの断面図である。
図10C】車輪のうちの1つが取り除かれた図8の転がしセットを示す。図10Cは、車輪が取り除かれた転がしセットの一部の斜視側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本発明の搬送器(以降、ロボットと称される)を記述するために使用される上方、下方、横方向、垂直方向、X方向、Y方向、Z方向などのすべての相対的な用語は、上で言及した先行技術の貯蔵システム(図1)を参照システムとして使用して解釈されるものとする。わかりやすくするために、X、Y、およびZ方向は、図1図3図6図8、および図10においてデカルト座標系100によって示される。
【0039】
図1は、従来の貯蔵システム3の一例を示す。貯蔵システム3は、専用の支持レール13上でXおよびY方向(デカルト座標系100を参照)に移動し、容器貯蔵格子15内の貯蔵列から貯蔵容器2を受け取るように構成された複数のロボット1を含む。従来技術の貯蔵システム3は、専用の容器リフト装置50を含んでもよく、専用の容器リフト装置50は、貯蔵システム3の最上位レベルでロボット1から貯蔵容器2を受け取り、配送ステーションまたはポート60まで、垂直方向に貯蔵容器2を下へ運ぶように構成されている。
【0040】
図2および図3は、ロボット1の2つの異なる角度からの斜視図を提供し、ロボット1は、中央に配置されたキャビティを内部に画定する矩形の搬送器本体または枠組み4と、本体4の上方部分を覆う上部蓋72と、下にある容器貯蔵格子15の支持レール13上をX方向に移動するための4つのX車輪101~104を備える第1の搬送器転がし手段10と、下にある容器貯蔵格子15の支持レール13上をY方向に移動するための4つのY車輪を備える第2の搬送器転がし手段11とを備え、第1および第2の転がし手段10、11は両方とも本体4の外壁に取り付けられている。ロボット1(図3)内のキャビティのサイズは、ロボット1によってピックアップされることが意図される最大の貯蔵容器2の少なくとも主要部、最も好ましくは容器全体を収容するように適合される。貯蔵容器2をピックアップする動作は、図3のキャビティの上端部において後退位置で示されるリフトフレーム7を備えるリフトアセンブリによって実行される。リフトフレームは、リフト
フレームの各コーナーに設けられた複数のガイドピン17と、ピックアップされるべき貯蔵容器に接続するための把持手段18と、を備える。
【0041】
図4aは、ロボット1(すなわち、遠隔操作搬送器)のX方向に沿って見た断面図であり、貯蔵列から貯蔵容器2をピックアップするためのリフトアセンブリの詳細を示している。リフトアセンブリは、回転可能なリフトシャフト6、第1リフトバンドアセンブリ8a、第2リフトバンドアセンブリ8b(図示せず、図5a及び図5b参照)、及びリフトフレーム7を備える。各リフトバンドアセンブリは、回転可能なリフトシャフト6とリフトフレーム7とに接続された少なくとも1つのリフトバンド12を備える。リフトバンドを回転可能なリフトシャフトに巻き付けることによって、リフトシャフトが回転するとリフトフレームが上下方向に昇降される。一例として、曲がった矢印で示すように、図4aにおけるリフトシャフトが(読者の視点から見て)反時計回りの方向に回転すると、リフトバンドに沿ったまっすぐな矢印で示すように、リフトバンド12がリフトシャフトに巻き付けられ/巻き取られ、(取り付けられている任意の貯蔵容器と共に)リフトフレームが垂直方向に持ち上げられる。リフトバンドは、リフトフレームが水平である(すなわち、水平に対して傾斜したり傾いたりしない)ように、リフトフレームに接続されている。図4aのリフトシャフトが時計方向に回転すると、リフトバンドが持ち上げシャフトから繰り出され、リフトフレームが下げられる。リフトシャフトに巻き取られるとき、リフトバンドはそれ自体に巻き取られ、リフトシャフトが一回転する間のリフトフレームの移動距離は、シャフトに対するリフトフレームの垂直位置に依存して変化する。換言すれば、リフトフレームがロボットのキャビティにおける最も上の位置の近くにある(リフトシャフトに最も近い)とき、リフトシャフトが一回転する間の移動距離は、リフトフレームが低い位置にあるときよりも大きい。バンドがそれ自体に巻き取られることによって生じる移動距離が異なること、及び共通のリフトシャフトを有するという特徴のために、すべてのリフトバンドは、自身に巻き取られる前に、同一平面(P)の位置でリフトシャフト6に接続されていることが重要である。平面(P)及び中心線(C)の概略図について図4bを参照されたい。そうしない場合、所与の垂直位置から1回転する間に、異なるリフトバンドの移行距離が変化してリフトフレームが歪んでしまう。平面(P)は、リフトシャフト6の中心線(C)を含む。リフトバンドの厚さは、一般に約0.5mmであり、リフトバンドがリフトシャフトに接続される位置のわずかな差によっても、リフトフレームの許容できない歪みが生じ得る。
【0042】
リフトシャフトの回転は、図5a~5cに示される電動モータ14(すなわち駆動アセンブリ)によって駆動され、電動モータ14は、リフティングフレームの正しい速度、加速度、及び位置、並びに貯蔵容器の正しい配置を保証するためにリフト制御システムによって制御される。リフトバンド12は、好ましくは、スチールバンドなどの金属バンドである。このようなバンドは、メンテナンスが少なく、寿命中に伸びがないという有利な特徴を有する。これらの特徴は、上記した貯蔵システム3のような非常に高い精度を必要とするリフトアセンブリにおいて特に有用である。リフトシャフトに隣接して配置されることが示されているが、電動モータは、例えば1つ以上の駆動ベルトによってリフトシャフトに動作可能に接続されている限り、搬送器に対して、又は搬送器内の任意の適切な位置に配置されてよい。
【0043】
第1リフティングバンドアセンブリと第2リフトバンドとの2つの異なる構成が図5a、5bに示されている。
【0044】
図5aの構成では、第1リフトバンドアセンブリ8aおよび第2リフトバンドアセンブリ8bのそれぞれが、リフトフレームに接続された2つのフレーム接続端部(つまり、フレーム接続バンド端部)を有する単一のリフトバンドを備える。単一のリフトバンドの各々は、リフトバンドの中間部分でリフトシャフトに取り付けられる、又はリフトシャフト
に接続される。リフトバンドの中間部分は、リフトシャフトの中心線(C)を通り、両方のフレーム接続端部において、シャフト1回転当たりの持ち上げ距離は等しい。図5aの構成の利点は、非常に単純なリフトアセンブリの提供である。各リフトバンドアセンブリとリフトシャフトとの間の単一の接続を必要とするだけで、より信頼性の高いリフティングアセンブリを得ることができる。
【0045】
図5bの構成では、第1リフトバンドアセンブリと第2リフトバンドアセンブリとの両方が、2つの別個のリフトバンドを備え、別個のリフトバンドのそれぞれがフレーム接続端部とシャフト接続端部とを有している。フレーム接続端部は、平面(P)の位置でリフトシャフトに接続される。別個のリフトバンドの各々は、別個の位置でリフトシャフトに巻き取られる。それにより、図5bの構成は、リフトシャフトに巻き取られるリフトバンドの直径が図5aの構成よりも小さくなるため、垂直な持ち上げ距離が大きい場合に有利であり得る。これにより、リフトシャフトをロボットの天井の近くに配置することができ、リフトフレームおよび収納容器のために下方の空間をより大きくすることができる。
【0046】
図6に示されるリフトセンブリ及び図5a、5bの構成(またはこれらの任意の組み合わせ)の特に重要な利点は、リフトバンドアセンブリが、同じリフトシャフトに巻き取られることによって本質的に互いに同期されるということである。これにより、リフトフレームを介して持ち上げられた貯蔵容器は、常に水平面内にある。すなわち、貯蔵容器は、非同期のリフトバンドによって生じる端部または角部の1つにおいて異なる持ち上げ速度/距離のために傾くことがない。傾いた貯蔵容器格子15は貯蔵列内で容易に引っかかる又は詰まる可能性があり、及び/又は傾いたリフトフレームは貯蔵容器に対して適切に取り付けることができないので、この特徴は非常に重要である。
【0047】
ロボット1の内部でリフトフレームをできるだけ高く上昇できるようにするため、リフトバンドの方向は、リフトシャフトに平行で対向した端部に配置される2本のガイドロッド20(方向転換手段)によって、リフトシャフトに対して、実質的に水平方向から垂直方向に案内される。他の実施形態では、2つのガイドロッド20を、例えば、それぞれが別々のフレーム接続端部に向けられた、4つの滑車、プーリ、または短いガイドロッドで置き換えてもよい。
【0048】
図5aおよび図5bの実施形態では、電動モータは図示のようにリフトシャフトに沿って配置され、リフトシャフトは駆動ベルト16を介して電動モータ14に接続される。しかし、モータの位置又はタイプは、リフトアセンブリの本質的な特徴ではなく、多数の様々な手法が考えられる。例えば、リフトシャフト6への動力伝達、つまり回転運動が提供され得る限り、モータ自体は任意の適切な位置に配置され得る。一実施形態では、図5cに示すように、リフトシャフト6の一端が電動モータ14の一体部分を形成してもよい。この特定のケースでは、電動モータは、リラクタンスモータ、例えばスイッチ式リラクタンスモータであり、複数の固定子極22を有する固定子要素と、駆動シャフトに接続された、またはその一部である、複数の回転子極を特徴とする回転子要素27(B-B部分で示す(回転子極は図示せず))と、を備えている(すなわち、以下に説明する車輪駆動と同様の手法であるが、回転子要素が固定子要素の内側に配置されている手法)。この特定の実施形態では、リフトシャフト6は、回転子要素27の一部であるか、又は回転子要素27に接続される。リラクタンスモータの回転子要素(または駆動シャフト)は、リフトシャフトの中心線と整列していてもよいし、リフトシャフトの一端部の一部を備えてもよい。別の有利な実施形態では、固定子要素は回転子要素の内側に(またはその逆に)配置され、回転子要素自体が、リフトシャフトの一部として、またはリフトシャフトに動作的に連結されて、リフトシャフトの内側に配置される。この後者の手法は、搬送器本体のキャビティ内のスペースを最大限に解放し得る。図5cに示す手法は、電動モータのタイプとは無関係に、ロボット1の内部空間を大きくすることができる。特に電動モータがスリ
ムである場合、すなわち、電動モータがリフトシャフトの長手方向において可能な限り小さい場合に(例えばいわゆるパンケーキモータで見られる設計)、ロボット1の内部空間を大きくすることができる。スイッチ式リラクタンスモータの動作原理は、当業者には周知であり、例えば、http://cdn. intechweb.org/pdfs/13717.pdfから入手可能なJIn-Woo Ahn(2011)、スイッチ式リラクタンスモータ、トルク制御、Prof.
Moulay Tahar Lamchich(Ed.),ISBN:978-953-307-428-3,InTech、及び、R.Krishnan(2011)、スイッチ式リラクタンスモータ駆動:モデリング、シミュレーション、解析、設計、及び適用;CRC Pressに開示されている。
【0049】
図6および図7は貯蔵システム3の一部を示し、その貯蔵システム3では、ロボット1が容器貯蔵格子15の上部に様々な隣接位置で配置されている。5つの位置のうちの4つにおいて、ロボット1は、格子15の貯蔵列の直上に配置される。図6の貯蔵システム3をそれぞれY方向およびX方向に沿った断面図で示す図7Aおよび図7Bにおいて最も明らかなように、ロボット1は、X-Y平面に沿った最大断面積が、対応する(下にある)貯蔵列の断面積以下を占めるように寸法設定される。したがって、2つ以上のロボット1が格子15の隣接する列の上で同時に動作することができ、先行技術のシステムと比較してより多くの空間を解放する。
【0050】
第1の搬送器転がし手段10の片側が、図8に斜視側面図で示される。転がし手段10は、本発明のこの特定の実施形態では、2つの車輪101、102を備え、外側リム/縁部9が、搬送器本体4の角の近くにX方向に沿って位置する。搬送器本体4の一部を構成するカバー板25が、2つの車輪101、102間に配置される。
【0051】
これらの車輪101、102のうちの1つのさらなる細部が、図9Aおよび図9Bにおいて提供され、それぞれ外側面および内側面を示す。図9Bでは、光学式ロータリ直交エンコーダのタイプのロータリエンコーダ23が、外側リム9の内側径方向表面内に配置されている。磁気エンコーダ、リニアエンコーダ、電圧ベースのアナログエンコーダなどの他のタイプのエンコーダが使用されてもよい。永久磁石のセット5として示される図9の回転子5は、ロータリエンコーダ23によって画成される周囲の内側に、すなわち車輪101の回転軸のより近くに配置される。
【0052】
対応する固定子19は、電気巻線19aがヨーク19bの周りに巻かれた形態で図10に示される。しかし、固定子19および回転子5は、(本発明の他の実施形態では)それぞれ固定子磁石および回転子ヨーク/巻線で構成されてもよいことを、当業者は理解するであろう。
【0053】
図10Bおよび図10Cは、加速度を測定するための手段24が、例えば圧電センサを使用することによって各車輪101、102の固定子19と信号通信するように接続されている配置も示す。図10Aは、X方向に沿って見た第1の搬送器転がし手段10の一部の断面図であり、固定子19が外側リム9によって囲われている状態を示す。
【0054】
すべての構成要素およびそれらの相互作用/構成は、第2の搬送器転がし手段11にも有効である。
【0055】
駆動手段5、19がロボット1の転がし手段10、11の近くまたはその中に配置されることは、動作中の貯蔵システム上の空間を解放することに寄与し、それにより先行技術のロボットと比較してよりコンパクトなロボット1の設計が可能になる。
【0056】
ロボット1のすべての動作は、ワイヤレス通信手段および遠隔制御ユニットによって制
御される。このことは、ロボット移動の制御、搬送器リフト装置7の制御、ロボット位置の測定、ロボット速度の測定、およびロボット加速度の測定のうちの1つまたは複数を含む。
【0057】
上の記述において、本発明による搬送器および貯蔵システムの様々な態様が、実施形態を参照しながら記述された。説明を目的として、システムおよび構成は、システムおよびその働きの完全な理解をもたらすために記載された。しかし、この記述は、限定する意味で解釈されることは意図されていない。例証的な実施形態の様々な修正形態および変形形態、ならびにシステムの他の実施形態は、開示される主題に係る当業者には明らかであり、本発明の範囲内にあるものとみなされる。
【符号の説明】
【0058】
1 遠隔操作搬送器/ロボット
2 貯蔵容器
3 貯蔵システム
4 搬送器本体/枠組み
5 回転子/永久磁石
6 回転可能リフトシャフト
7 リフトフレーム
8a 第1リフトバンドアセンブリ
8b 第2リフトバンドアセンブリ
9 外側リム/転がし手段の外側周囲
10 第1の搬送器転がし手段/第1の車輪セット
11 第2の搬送器転がし手段/第2の車輪セット
12 リフトバンド
12a 第1リフトバンド
12b 第2リフトバンド
13 支持レール
14 電動モータ
15 容器貯蔵格子
16 駆動ベルト
17 ガイドピン
18 把持手段
19 固定子
19a 巻線
19b ヨーク
20 ガイドロッド/方向変換手段
21 フレーム接続バンド端部
22 固定子極
23 ロータリエンコーダ
24 加速度を測定するための手段/圧電センサ
25 カバー板
26 シャフト接続バンド端部
27 回転子要素
50 容器リフト装置
60 配送ステーション/ポート
72 上部ふた
100 デカルト座標系
101 第1のX車輪
101 第2のX車輪
102 第3のX車輪
103 第4のX車輪
111 第1のY車輪
112 第2のY車輪
113 第3のY車輪
114 第4のY車輪
図1
図2
図3
図4a
図4b
図5ab
図5c
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10A
図10B
図10C