(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-14
(45)【発行日】2025-01-22
(54)【発明の名称】電子エアロゾル供給システム
(51)【国際特許分類】
A24F 40/57 20200101AFI20250115BHJP
A24F 40/42 20200101ALI20250115BHJP
【FI】
A24F40/57
A24F40/42
(21)【出願番号】P 2022531375
(86)(22)【出願日】2020-11-27
(86)【国際出願番号】 EP2020083779
(87)【国際公開番号】W WO2021105459
(87)【国際公開日】2021-06-03
【審査請求日】2022-07-27
(32)【優先日】2019-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】519138265
【氏名又は名称】ニコベンチャーズ トレーディング リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Nicoventures Trading Limited
【住所又は居所原語表記】Globe House, 1 Water Street,WC2R 3LA London,United Kingdom
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(74)【代理人】
【識別番号】100162640
【氏名又は名称】柳 康樹
(72)【発明者】
【氏名】カビラット, ジュニア
【審査官】杉浦 貴之
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-519198(JP,A)
【文献】特表2018-504127(JP,A)
【文献】特表2019-519194(JP,A)
【文献】特表2015-532828(JP,A)
【文献】国際公開第2018/134159(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/57
A24F 40/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに異なる組成を有するエアロゾル生成材料の部分を備えるエアロゾル生成品からエアロゾルを生成する方法であって、
第1の成分を含む第1のエアロゾル生成材料を加熱して、前記第1のエアロゾル生成材料からエアロゾルを生成するステップと、
前記第1の成分とは異なる第2の成分を含む第2のエアロゾル生成材料を加熱して、前記第2のエアロゾル生成材料からエアロゾルを生成するステップとを含み、
前記第1のエアロゾル生成材料を加熱するステップ及び前記第2のエアロゾル生成材料を加熱するステップが実質的に同時に行われ、
前記第1の成分が活性物質であり、前記第2の成分がグリセロールであり、
前記第1のエアロゾル生成材料が、前記第1のエアロゾル生成材料からエアロゾルが生成される第1の温度に加熱され、前記第2のエアロゾル生成材料が、前記第2のエアロゾル生成材料からエアロゾルが生成される第2の温度に加熱され、
(A)前記第1の温度が複数の温度から選択可能であり、各温度で前記第1のエアロゾル生成材料が異なる量のエアロゾルを生成するようにされ、または
(B)前記第2の温度が複数の温度から選択可能であり、各温度で前記第2のエアロゾル生成材料が異なる量のエアロゾルを生成するようにされ、または
(C)前記第1の温度が複数の温度から選択可能であり、各温度で前記第1のエアロゾル生成材料が異なる量のエアロゾルを生成するようにされ、且つ、前記第2の温度が複数の温度から選択可能であり、各温度で前記第2のエアロゾル生成材料が異なる量のエアロゾルを生成するようにされた、
方法。
【請求項2】
前記第1及び第2のエアロゾル生成材料を加熱する前に、
前記第1のエアロゾル生成材料を加熱する温度を選択するステップと、
前記第2のエアロゾル生成材料を加熱する温度を選択するステップと
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1のエアロゾル生成材料を最高温度が約140℃~約220℃になるように加熱するステップであって、前記第1のエアロゾル生成材料が、前記第1のエアロゾル生成材料の乾燥重量の30~60重量%の活性物質を含有する、ステップと、
前記第2のエアロゾル生成材料を最高温度が約170℃~約230℃になるように加熱するステップであって、前記第2のエアロゾル生成材料が、前記第2のエアロゾル生成材料の乾燥重量の5~80重量%のグリセロールを含有する、ステップと
を含む、請求項
1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記活性物質がニコチンである、請求項
1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記第1及び第2の成分とは異なる第3の成分を含む第3のエアロゾル生成材料を加熱して、前記第3のエアロゾル生成材料からエアロゾルを生成するステップをさらに含み、前記第3のエアロゾル生成材料を加熱するステップが、前記第1及び第2のエアロゾル生成材料を加熱するステップと実質的に同時に行われる、請求項1~
4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記第1、第2、及び第3の成分とは異なる第4の成分を含む第4のエアロゾル生成材料を加熱して、前記第4のエアロゾル生成材料からエアロゾルを生成するステップをさらに含み、前記第4のエアロゾル生成材料を加熱するステップが、前記第1、第2、及び第3のエアロゾル生成材料を加熱するステップと実質的に同時に行われる、請求項
5に記載の方法。
【請求項7】
前記エアロゾル生成材料が非晶質固体である、請求項1~
6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
エアロゾル生成材料の前記部分を最高温度に加熱してエアロゾル生成材料の前記部分からエアロゾルを生成する前に、エアロゾル生成材料の前記部分のうちのいずれか1つ以上を、エアロゾル生成材料の前記それぞれの部分からエアロゾルを生成するのに十分な温度より低い最高温度に加熱するステップを含む、請求項1~
7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
互いに異なる組成を有するエアロゾル生成材料の部分を備えるエアロゾル生成品からエアロゾルを生成するためのエアロゾル供給デバイスであって、
複数の加熱要素と、
請求項1~
8のいずれか一項に記載の方法を実施するように構成された制御回路と
を備えるエアロゾル供給デバイス。
【請求項10】
請求項
9に記載のエアロゾル生成デバイスと、第1の成分を含む第1のエアロゾル生成材料及び第2の成分を含む第2のエアロゾル生成材料を備えるエアロゾル生成品とを備えるエアロゾル生成システム。
【請求項11】
互いに異なる組成を有するエアロゾル生成材料の部分を備えるエアロゾル生成品からエアロゾルを生成するためのエアロゾル供給手段であって、
複数の加熱手段と、
請求項1~
8の何れか一項に記載された方法を実施するように構成された制御手段と、を備える、エアロゾル供給手段。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、非燃焼性エアロゾル供給システムに関する。
【背景】
【0002】
電子タバコ(eシガレット)などの電子エアロゾル供給システムは一般に、典型的にはニコチンを含む配合物を含む原料液体のリザーバを含み、エアロゾルは、それから、例えば加熱気化によって生成される。したがって、エアロゾル供給システム用のエアロゾル供給源は、例えばウィッキング/毛細管作用によってリザーバから原料液体を受け取るように配置された加熱要素を有するヒーターを備えてもよい。使用者がデバイスで吸引する間、電力が加熱要素に供給されて、加熱要素の近くにある原料液体を気化して、使用者による吸引のためのエアロゾルを生成する。このようなデバイスは通常、システムの吸い口端部から離れたところに配置された1つ以上の空気入口穴を備える。使用者が、システムの吸い口端部に接続された吸い口で吸うと、空気は入口穴を通って引き込まれ、エアロゾル供給源を通過する。エアロゾル供給源と吸い口の開口との間を接続する流路があり、その結果、エアロゾル供給源を通過する空気は、エアロゾル供給源からエアロゾルの一部を運びながら、流路に沿って吸い口開口に引き込まれ続ける。エアロゾルを運ぶ空気は、使用者による吸引のための吸い口の開口を通ってエアロゾル供給システムを出る。
【0003】
他のエアロゾル供給デバイスは、タバコ又はタバコ派生物などの固体材料からエアロゾルを生成する。このようなデバイスは、上記の液体をベースにしたシステムとほぼ同様な態様で動作し、この場合、固体タバコ材料は、気化温度まで加熱されてエアロゾルを生成し、その後、使用者によって吸引される。
【0004】
従来のエアロゾル供給システムのほとんどは、使用者に送達されるエアロゾルにおいては、主に送達される量だけを変更するといった最小限のカスタマイズ性しか提供しない傾向がある。より多くのカスタマイズ性を提供する、いくつかのシステムはより大きくなる傾向があり、例えば、いくつかの液体システムは、エアロゾルを生成するように選択的に加熱することができる、異なるeリキッドが入った複数のタンクを使用する。
【0005】
これらの課題のいくつかに対処することを助けようとする様々な手法を説明する。
【概要】
【0006】
特定の実施形態の第1の態様によれば、互いに異なる組成を有するエアロゾル生成材料の部分を備えるエアロゾル生成品からエアロゾルを生成する方法が提供される。本方法は、第1の成分を含む第1のエアロゾル生成材料を加熱して、第1のエアロゾル生成材料からエアロゾルを生成するステップと、第1の成分とは異なる第2の成分を含む第2のエアロゾル生成材料を加熱して、第2のエアロゾル生成材料からエアロゾルを生成するステップとを含み、第1のエアロゾル生成材料を加熱するステップ及び第2のエアロゾル生成材料を加熱するステップは実質的に同時に行われる。
【0007】
特定の実施形態の第2の態様によれば、互いに異なる組成を有するエアロゾル生成材料の部分を備えるエアロゾル生成品からエアロゾルを生成するためのエアロゾル供給デバイスが提供される。本デバイスは、複数の加熱要素と、特定の実施形態の第1の態様で説明された方法を実施するように構成された制御回路とを備える。
【0008】
特定の実施形態の第3の態様によれば、第2の態様によるエアロゾル生成デバイスと、第1の成分を含む第1のエアロゾル生成材料及び第2の成分を含む第2のエアロゾル生成材料を備えるエアロゾル生成品とを備えるエアロゾル生成システムが提供される。
【0009】
特定の実施形態の第4の態様によれば、互いに異なる組成を有するエアロゾル生成材料の部分を備えるエアロゾル生成品からエアロゾルを生成するためのエアロゾル供給手段が提供される。本手段は、複数の加熱手段と、第1の成分を含む第1のエアロゾル生成材料を加熱させて、第1のエアロゾル生成材料からエアロゾルを生成し、第1の成分とは異なる第2の成分を含む第2のエアロゾル生成材料を加熱させて、第2のエアロゾル生成材料からエアロゾルを生成するように構成された制御手段とを備え、第1のエアロゾル生成材料を加熱するステップ及び第2のエアロゾル生成材料を加熱するステップは実質的に同時に行われる。
【0010】
本発明の第1及び他の態様に関して上で説明した本発明の特徴及び態様は、本発明の他の態様による本発明の実施形態に等しく適用可能であり、上記の特定の組合せに限らずそれらと適宜組み合わされてもよいことは認識されよう。
【0011】
次に、添付図面を参照して、本発明の実施形態を単なる例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】エアロゾル供給デバイス及びエアロゾル生成品を備えるエアロゾル供給システムの概略断面図であり、デバイスは、複数の加熱要素を備え、物品は、エアロゾル生成材料の複数の部分を備える。
【
図2A】
図1のエアロゾル供給品を異なる角度から見た図である。
【
図2B】
図1のエアロゾル供給品を異なる角度から見た図である。
【
図2C】
図1のエアロゾル供給品を異なる角度から見た図である。
【
図3】
図1のエアロゾル供給デバイスの加熱要素の断面上面図である。
【
図4】
図1のエアロゾル供給デバイスからエアロゾルを生成するための例示的な方法の図であり、ここでは、選択された加熱要素は同時に作動される。
【
図5】エアロゾル供給システムの様々な機能を動作させるための例示的な接触感知パネルの上面図である。
【
図6】異なるエアロゾル生成材料に対応する複数の加熱要素を作動させるための制御信号を示す一連のグラフである。
【
図7】エアロゾル供給デバイス及びエアロゾル生成品を備えるエアロゾル供給システムの概略断面の例の図であり、デバイスは、複数の誘導作用コイルを備え、物品は、エアロゾル生成材料の複数の部分及びそれらに対応するサセプタ部分を備える。
【
図8A】
図7のエアロゾル供給品を異なる角度から見た図である。
【
図8B】
図7のエアロゾル供給品を異なる角度から見た図である。
【
図8C】
図7のエアロゾル供給品を異なる角度から見た図である。
【詳細な説明】
【0013】
本明細書では、特定の例及び実施形態の態様及び特徴を論じる/説明する。特定の例及び実施形態におけるいくつかの態様及び特徴は、従来から具現化されている場合もあり、それらについては、説明を簡略にするために、詳細を論じる/説明することはしない。したがって、詳細に説明しない、本明細書で論じる装置及び方法の態様及び特徴は、そのような態様及び特徴を具現化するための任意の従来技術に従って具現化することができることは認識されよう。
【0014】
本開示は、「非燃焼性」エアロゾル供給システムに関する。「非燃焼性」エアロゾル供給システムとは、使用者へのエアロゾルの送達を促進するために、エアロゾル供給システムのエアロゾル化可能材料構成物(又はその成分)を燃焼させない、又は燃やさないシステムである。さらに、当該技術分野では一般的であるように、「蒸気」及び「エアロゾル」という用語、並びに「気化する」、「揮発させる」、及び「エアロゾル化する」等の関連の用語は概ね互換的に使用することができる。
【0015】
いくつかの実施様態では、非燃焼性エアロゾル供給システムは、ベイピング(vaping)デバイス又は電子ニコチン送達システム(END:electronic nicotine delivery system)としても知られている電子タバコであるが、エアロゾル化可能材料内にニコチンが存在することは必要条件ではないことに留意されたい。以下の説明全体を通して、「eシガレット」又は「電子タバコ」という用語が使用されることがあるが、この用語は、エアロゾル(蒸気)供給システムと交換可能に使用することができる。
【0016】
典型的には、非燃焼性エアロゾル供給システムは、非燃焼性エアロゾル供給デバイスと、非燃焼性エアロゾル供給デバイスとともに使用するための物品(消耗品と呼ばれることもある)とを備えてもよい。しかしながら、それ自体がエアロゾル生成構成要素にパワーを与えるための手段を備える物品は、それ自体、非燃焼性エアロゾル供給システムを形成することができると考えられる。
【0017】
物品は、その一部又は全部が、使用者の使用中に消費されることが意図される。物品は、エアロゾル化可能材料を含んでもよいし、エアロゾル化可能材料のみからなってもよい。物品は、フィルター又はエアロゾル改質物質(例えば、エアロゾル改質物質の中若しくは上を通るエアロゾルに香味を加える、又はその他特性を変えるための成分)などの1つ以上の他の要素を含んでもよい。
【0018】
非燃焼性エアロゾル供給システムは、いつもというわけではないが、再使用可能なエアロゾル供給デバイス及び交換可能な物品の両方を含むモジュール式アセンブリを備えることが多い。いくつかの実施様態では、非燃焼性エアロゾル供給デバイスは、パワー源及び制御器(又は制御回路)を備えてもよい。パワー源は、例えば、バッテリー又は再充電可能なバッテリーなどの電源であってもよい。いくつかの実施様態では、非燃焼性エアロゾル供給デバイスはまた、エアロゾル生成構成要素を備えてもよい。しかしながら、他の実施様態では、物品が、エアロゾル生成構成要素を部分的に又は完全に備えてもよい。
【0019】
いくつかの実施様態では、エアロゾル生成構成要素は、エアロゾル化可能材料から1つ以上の揮発成分を放出させてエアロゾルを形成するようにエアロゾル化可能材料と相互作用することができるヒーターである。いくつかの実施形態では、エアロゾル生成構成要素は、加熱することなくエアロゾル化可能材料からエアロゾルを生成することができる。例えば、エアロゾル生成構成要素は、例えば、振動的手段、機械的手段、加圧手段、又は静電気的手段のうちの1つ以上によって、熱を加えることなくエアロゾル化可能材料からエアロゾルを生成することができる。
【0020】
非燃焼性エアロゾル供給デバイスとともに使用するための物品は、一般的にエアロゾル化可能材料を備える。本明細書ではエアロゾル生成材料とも呼ばれることがあるエアロゾル化可能材料は、例えば、加熱される、照射される、又は任意の他の方法でエネルギーを加えられると、エアロゾルを生成することができる材料である。エアロゾル化可能材料は、例えば、固体、液体、又はゲルの形態であってもよく、それはニコチン及び/又は香味料を含んでもよいし含まなくてもよい。以下の開示では、エアロゾル化可能材料は、代替的に「モノリシック固体」(すなわち、非繊維状)と呼ばれることがある「非晶質固体」を含むものとして説明される。いくつかの実施様態では、非晶質固体は乾燥ゲルであってもよい。非晶質固体は、その中に液体などの何らかの流体を保持することができる固体材料である。いくつかの実施様態では、エアロゾル化可能材料は、例えば、約50重量%、60重量%、又は70重量%から約90重量%、95重量%、又は100重量%までの非晶質固体を含んでもよい。しかしながら、本開示の原理は、タバコ、再生タバコ、eリキッド等の液体などの他のエアロゾル化可能材料に適用することができることを認識すべきである。
【0021】
必要に応じて、エアロゾル化可能材料は、活性成分、キャリア成分、香料、及び1つ以上の他の機能成分のうちの任意の1つ以上を含んでもよい。
【0022】
本明細書で使用されるとき、活性成分は、生理学的反応を達成又は強化するように意図された材料である生理学的活性材料であってもよい。活性成分は、例えば、栄養補助食品、向知性薬、及び向精神薬から選択されてもよい。活性成分は、天然に存在するものでも、又は合成して得られるものでもよい。活性成分は、例えば、ニコチン、カフェイン、タウリン、テイン、ビタミン(B6又はB12又はCなど)、メラトニン、カンナビノイド、又はそれらの成分、誘導体、若しくは組合せを含んでもよい。活性成分は、タバコ、大麻、又は別の植物性材料の1つ以上の成分、誘導体、又は抽出物を含んでもよい。本明細書で説明するように、活性成分は、1つ以上のカンナビノイド又はテルペンなどの大麻の1つ以上の成分、誘導体、又は抽出物を含んでもよい。
【0023】
いくつかの実施形態では、活性成分はニコチンを含む。いくつかの実施形態では、活性成分は、カフェイン、メラトニン、又はビタミンB12を含む。
【0024】
本明細書で説明するように、活性成分は、1つ以上の植物性材料、又はその成分、誘導体、若しくは抽出物を含んでもよい、或いはそれらに由来してもよい。本明細書で使用されるとき、「植物性材料」という用語は、限定するものではないが、抽出物、葉、樹皮、繊維、茎、根、種子、花、果実、花粉、殻、皮などを含む、植物に由来した任意の材料を含む。これに代えて、この材料は、植物性材料中に天然に存在する、又は合成により得られる活性化合物を含んでもよい。この材料は、液体、気体、固体、粉末、粉塵、破砕粒子、顆粒、ペレット、断片、細片、シートなどの形態であってもよい。植物性材料の例は、タバコ、ユーカリノキ、スターアニス、麻、カカオ、大麻、ウイキョウ、レモングラス、ペパーミント、スペアミント、ルイボス、カモミール、亜麻、ショウガ、イチョウ、ハシバミ、ハイビスカス、ローレル、甘草、抹茶、マテ、オレンジの皮、パパイヤ、バラ、セージ、茶(緑茶又は紅茶など)、タイム、クローブ、シナモン、コーヒー、アニシード(アニス)、バジル、ベイリーフ、カルダモン、コリアンダー、クミン、ナツメグ、オレガノ、パプリカ、ローズマリー、サフラン、ラベンダー、レモンピール、ミント、ジュニパー、ニワトコの花、バニラ、ウィンターグリーン、シソ、ウコン、ターメリック、サンダルウッド、シラントロ、ベルガモット、オレンジの花、マートル、カシス、バレリアン、ピメント、メース、ダミアン、マジョラム、オリーブ、レモンバーム、レモンバジル、チャイブ、カルヴィ、バーベナ、タラゴン、ゼラニウム、マルベリー、チョウセンニンジン、テアニン、テアクリン、マカ、アシュワガンダ、ダミアナ、ガラナ、クロロフィル、バオバブ、又はそれらの任意の組合せである。ミントは、以下のミント品種、すなわち、ヨウシュハッカ(Mentha Arventis)、グレープフルーツミント(Mentha c.v.)、エジプシャンミント(Mentha niliaca)、ペパーミント(Mentha piperita)、ライムミント(Mentha piperita citrata c.v.)、チョコレートミント(Mentha piperita c.v.)、カーリーミント(Mentha spicata crispa)、ワイルドミント(Mentha cardifolia)、ホースミント(Mentha longifolia)、パイナップルミント(Mentha suaveolens variegata)、ペニーロイヤルミント(Mentha pulegium)、イングリッシュスペアミント(Mentha spicata c.v.)、及びアップルミント(Mentha suaveolens)から選択されてもよい。
【0025】
いくつかの実施形態では、活性成分は、1つ以上の植物性材料、又はその成分、誘導体、若しくは抽出物を含み、或いはそれらに由来し、その植物性材料はタバコである。
【0026】
いくつかの実施形態では、活性成分は、1つ以上の植物性材料、又はその成分、誘導体、若しくは抽出物を含み、或いはそれらに由来し、その植物性物質は、ユーカリノキ、スターアニス、カカオ、及び麻から選択される。
【0027】
いくつかの実施形態では、活性成分は、1つ以上の植物性材料、又はその成分、誘導体、若しくは抽出物を含み、或いはそれらに由来し、その植物性材料は、ルイボス及びウイキョウから選択される。
【0028】
いくつかの実施様態では、エアロゾル化可能材料は香料(又は香味料)を含む。
【0029】
本明細書で使用されるとき、「香料」及び「香味料」という用語は、成人消費者用の製品において、現地の規制によって許可される場合に、所望の味、香り、又は他の体性感覚を作り出すために使用することができる材料を指す。それらは、天然に存在する香味材料、植物性材料、植物性材料の抽出物、合成して得られる材料、又はそれらの組合せ(例えば、タバコ、大麻、甘草、アジサイ、オイゲノール、ホオノキの葉、カモミール、フェヌグリーク、クローブ、メープル、抹茶、メンソール、ニホンハッカ、アニシード(アニス)、シナモン、ターメリック、インディアンスパイス、アジアンスパイス、ハーブ、ウィンターグリーン、チェリー、ベリー、レッドベリー、クランベリー、ピーチ、アップル、オレンジ、マンゴー、クレメンティン、レモン、ライム、トロピカルフルーツ、パパイヤ、ルバーブ、ブドウ、ドリアン、ドラゴンフルーツ、キュウリ、ブルーベリー、マルベリー、柑橘類、ドランブイ(Drambuie)、バーボン、スコッチ、ウィスキー、ジン、テキーラ、ラム、スペアミント、ペパーミント、ラベンダー、アロエベラ、カルダモン、セロリ、カスカリラ、ナツメグ、サンダルウッド、ベルガモット、ゼラニウム、カート(khat)、ナスワール(naswar)、キンマ(betel)、シーシャ(shisha)、パイン、はちみつエッセンス、ローズ油、バニラ、レモン油、オレンジ油、オレンジの花、サクラの花、カシア、キャラウェイ、コニャック、ジャスミン、イランイラン、セージ、ウイキョウ、ワサビ、ピーマン、ショウガ、コリアンダー、コーヒー、麻、ミント属の任意の品種から得られるミント油、ユーカリノキ、スターアニス、カカオ、レモングラス、ルイボス、亜麻、イチョウ、ハシバミ、ハイビスカス、ローレル、マテ、オレンジの皮、バラ、茶(緑茶又は紅茶など)、タイム、ジュニパー、エルダーフラワー、バジル、ベイリーフ、クミン、オレガノ、パプリカ、ローズマリー、サフラン、レモンピール、ミント、シソ、クルクマ、シラントロ、マートル、カシス、バレリアン、ピメント、メース、ダミアン、マジョラム、オリーブ、レモンバーム、レモンバジル、チャイブ、カルヴィ、バーベナ、タラゴン、リモネン、チモール、カンフェン)、香味強化剤、苦味受容体部位遮断剤、感覚受容体部位活性化剤、若しくは刺激剤、糖類及び/若しくは代替糖(例えば、スクラロース、アセスルファムカリウム、アスパルテーム、サッカリン、シクラメート、ラクトース、スクロース、グルコース、フルクトース、ソルビトール、又はマンニトール)、並びに他の添加剤、例えば、チャコール、クロロフィル、ミネラル、植物性材料、又は息清涼剤を含んでもよい。それらは、模造成分、合成成分、若しくは天然成分、又はそれらのブレンドであってもよい。それらは、任意の適切な形態、例えば、液体(油など)、固体(粉末など)、又は気体であってもよい。
【0030】
いくつかの実施形態では、香料は、メンソール、スペアミント、及び/又はペパーミントを含む。いくつかの実施形態では、香料は、キュウリ、ブルーベリー、柑橘類、及び/又はレッドベリーの香味成分を含む。いくつかの実施形態では、香料はオイゲノールを含む。いくつかの実施形態では、香料は、タバコから抽出された香味成分を含む。いくつかの実施形態では、香料は、大麻から抽出された香味成分を含む。
【0031】
いくつかの実施形態では、香料は、嗅神経又は味覚神経に加えて、又はその代わりに、第5脳神経(三叉神経)を刺激することによって通常化学的に誘起され、知覚される体性感覚を達成することを目的とした感覚剤を含んでもよく、これらは、加熱効果、冷却効果、ひりつき効果、麻痺効果を提供する薬剤を含んでもよい。適切な熱効果剤は、限定されるものではないが、バニリルエチルエーテルであってもよく、適切な冷却剤は、限定されるものではないが、ユーカリプトール、WS-3であってもよい。
【0032】
キャリア成分は、エアロゾルを形成することができる1つ以上の成分を含んでもよい。いくつかの実施形態では、キャリア成分は、グリセリン、グリセロール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1、3-ブチレングリコール、エリスリトール、メソエリスリトール、バニリン酸エチル、ラウリン酸エチル、スベリン酸ジエチル、クエン酸トリエチル、トリアセチン、ジアセチン混合物、安息香酸ベンジル、フェニル酢酸ベンジル、トリブチリン、酢酸ラウリル、ラウリン酸、ミリスチン酸、及び炭酸プロピレンのうちの1つ以上を含んでもよい。
いくつかの実施形態では、キャリア成分は、1つ以上の多価アルコール(プロピレングリコール、トリエチレングリコール、1、3-ブタンジオール、及びグリセリンなど)、多価アルコールのエステル(グリセロールモノアセテート、グリセロールジアセテート、又はグリセロールトリアセテートなど)、及び/又はモノカルボン酸、ジカルボン酸、若しくはポリカルボン酸の脂肪族エステル(ドデカン二酸ジメチル及びテトラデカン二酸ジメチルなど)を含む。
【0033】
1つ以上の他の機能成分は、pH調整剤、着色剤、保存剤、結合剤、充填剤、安定剤、及び/又は酸化防止剤のうちの1つ以上を含んでもよい。
【0034】
エアロゾル化可能材料はまた、酸を含んでもよい。酸は有機酸であってもよい。これらの実施形態のいくつかでは、酸は、一塩基酸、二塩基酸、及び三塩基酸のうちの少なくとも1つであってもよい。いくつかのこのような実施形態では、酸は、少なくとも1つのカルボキシル官能基を含んでもよい。いくつかのこのような実施形態では、酸は、α-ヒドロキシ酸、カルボン酸、ジカルボン酸、トリカルボン酸、及びケト酸のうちの少なくとも1つであってもよい。いくつかのこのような実施形態では、酸はα-ケト酸であってもよい。
【0035】
いくつかのこのような実施形態では、酸は、コハク酸、乳酸、安息香酸、クエン酸、酒石酸、フマル酸、レブリン酸、酢酸、リンゴ酸、ギ酸、ソルビン酸、安息香酸、プロパン酸、及びピルビン酸のうちの少なくとも1つであってもよい。
【0036】
酸は乳酸であることが好適である。他の実施形態では、酸は安息香酸である。他の実施形態では、酸は無機酸であってもよい。これらの実施形態のいくつかでは、酸は鉱酸であってもよい。いくつかのこのような実施形態では、酸は、硫酸、塩酸、ホウ酸、及びリン酸のうちの少なくとも1つであってもよい。いくつかの実施形態では、酸はレブリン酸である。
【0037】
酸を含むことは、エアロゾル化可能材料がニコチンを含む実施形態では特に好ましい。このような実施形態では、酸の存在は、エアロゾル化可能材料が形成されるスラリー中の溶存種を安定化させることができる。酸の存在は、スラリーの乾燥中のニコチンの蒸発を低減、又は実質的に防止することができ、以て、製造中のニコチンの損失を低減することができる。
【0038】
いくつかの実施形態では、エアロゾル化可能材料は、カンナビジオール(CBD:cannabidiol)、テトラヒドロカンナビノール(THC:tetrahydrocannabinol)、テトラヒドロカンナビノール酸(THCA:tetrahydrocannabinolic acid)、カンナビジオール酸(CBDA:cannabidiolic acid)、カンナビノール(CBN:cannabinol)、カンナビゲロール(CBG:cannabigerol)、カンナビクロメン(CBC:cannabichromene)、カンナビシクロール(CBL:cannabicyclol)、カンナビバリン(CBV:cannabivarin)、テトラヒドロカンナビバリン(THCV:tetrahydrocannabivarin)、カンナビジバリン(CBDV:cannabidivarin)、カンナビクロムバリン(CBCV:cannabichromevarin)、カンナビゲロバリン(CBGV:cannabigerovarin)、カンナビゲロールモノメチルエーテル(CBGM:cannabigerol monomethyl ether)、及びカンナビエルソイン(CBE:cannabielsoin)、カンナビシトラン(CBT:cannabicitran)からなる群から選択された1つ以上のカンナビノイド化合物を含む。
【0039】
エアロゾル化可能材料は、カンナビジオール(CBD)及びTHC(テトラヒドロカンナビノール)からなる群から選択された1つ以上のカンナビノイド化合物を含んでもよい。
【0040】
エアロゾル化可能材料は、カンナビジオール(CBD)を含んでもよい。
【0041】
エアロゾル化可能材料は、ニコチン及びカンナビジオール(CBD)を含んでもよい。
【0042】
エアロゾル化可能材料は、ニコチン、カンナビジオール(CBD)、及びTHC(テトラヒドロカンナビノール)を含んでもよい。
【0043】
エアロゾル化可能材料は、キャリア支持体(又はキャリア構成要素)上に、又はその中に存在して基体を形成してもよい。キャリア支持体は、例えば、紙、カード、段ボール、厚紙、再生エアロゾル化可能材料、プラスチック材料、セラミック材料、複合材料、ガラス、金属、若しくは合金であってもよい、又はそれらを含んでもよい。
【0044】
いくつかの実施様態では、非燃焼性エアロゾル供給デバイスとともに使用するための物品は、エアロゾル化可能材料、又はエアロゾル化可能材料を受け入れるための領域を備えてもよい。いくつかの実施様態では、非燃焼性エアロゾル供給デバイスとともに使用するための物品は吸い口を備えてもよい、又は、これに代えて、非燃焼性エアロゾル供給デバイスは、物品と連通する吸い口を備えてもよい。エアロゾル化可能材料を受け入れるための領域は、エアロゾル化可能材料を収納するための収納領域であってもよい。例えば、この収納領域はリザーバであってもよい。
【0045】
図1は、本開示の特定の実施形態によるエアロゾル供給システム1の概略断面図である。エアロゾル供給システム1は、2つの主要な構成要素、すなわちエアロゾル供給デバイス2及びエアロゾル生成品4を備える。
【0046】
エアロゾル供給デバイス2は、外側ハウジング21、電源22、制御回路23、複数のエアロゾル生成構成要素24、受け部25、吸い口端部26、空気入口27、空気出口28、接触感知パネル29、吸引センサ30、及び使用終了表示器31を備える。
【0047】
外側ハウジング21は、任意の適切な材料、例えばプラスチック材料から形成されてもよい。外側ハウジング21は、外側ハウジング21内に電源22、制御回路23、エアロゾル生成構成要素24、受け部25、及び吸引センサ30が配置されるように構成される。外側ハウジング21はまた、以下でより詳細に説明する空気入口27及び空気出口28を画定する。接触感知パネル29及び使用終了表示器は、外側ハウジング21の外側に配置される。
【0048】
外側ハウジング21は、吸い口端部26をさらに含む。外側ハウジング21及び吸い口端部26は、単一の構成要素として形成される(すなわち、吸い口端部26は外側ハウジング21の一部を形成する)。吸い口端部26は、空気出口28を含む外側ハウジング21の領域として画定され、使用者が吸い口端部26の周りに唇を快適に置いて空気出口28と係合することができるような形状である。
図1では、外側ハウジング21の厚さは、空気出口28に向かって薄くなって、使用者の唇によってより容易に収めることができるデバイス2の相対的に薄い部分を提供する。しかしながら、他の実施様態では、吸い口端部26は、外側ハウジング21とは別個のものであるが外側ハウジング21に結合することができる取外し可能な構成要素であってもよく、それは、洗浄及び/又は別の吸い口端部26との交換のために取り外すことができる。
【0049】
電源22は、エアロゾル供給デバイス2に動作電力を供給するように構成される。電源22は、バッテリーなどの任意の適切な電源であってもよい。例えば、電源22は、リチウムイオン電池などの再充電可能なバッテリーを備えてもよい。電源22は、取外し可能であってもよいし、エアロゾル供給デバイス2の一体化した部分を形成してもよい。いくつかの実施様態では、電源22は、USBポート(図示せず)などの関連する接続ポートを介して、又は適切な無線レシーバ(図示せず)を介して、デバイス2を外部電源(主電源など)と接続することによって再充電されてもよい。
【0050】
制御回路23は、エアロゾル供給デバイスの動作を制御してエアロゾル供給デバイス2の特定の動作機能を提供するように適切に構成/プログラムされる。制御回路23は、エアロゾル供給デバイスの動作の様々な態様に関連する様々なサブユニット/回路要素を論理的に備えるように考慮されてもよい。例えば、制御回路23は、電源22の再充電を制御するための論理サブユニットを備えてもよい。これに加えて、制御回路23は、例えば、デバイス2から、又はデバイス2へのデータ転送を容易にするために通信用の論理サブユニットを備えてもよい。しかしながら、制御回路23の主要な機能は、以下でより詳細に説明するように、エアロゾル生成材料のエアロゾル化を制御することである。制御回路23の機能は、例えば、所望の機能を提供するように構成された、1つ以上の適切にプログラムされたプログラム可能なコンピュータ(複数可)、及び/又は、1つ以上の適切に構成された特定用途向け集積回路(複数可)/回路/チップ(複数可)/チップセット(複数可)を使用して、様々な異なる方法で提供することができることは認識されよう。制御回路23は、電源23に接続され、電源22から電力を受け取り、エアロゾル供給デバイス2の他の構成要素への電源供給を分配又は制御するように構成されてもよい。
【0051】
説明されている実施様態では、エアロゾル供給デバイス2は、エアロゾル生成品4を受け入れるように配置された受け部25をさらに備える。
【0052】
エアロゾル生成品4は、キャリア構成要素42及びエアロゾル生成材料44を備える。エアロゾル生成品4は、
図2A~
図2Cにさらに詳細に示される。
図2Aは、物品4の上面図であり、
図2Bは、物品4の長手方向(長さ)軸線に沿った端面図であり、
図2Cは、物品4の幅方向軸線に沿った側面図である。
【0053】
物品4は、この実施様態ではカードで形成されたキャリア構成要素42を備える。キャリア構成要素42は物品4の大部分を形成し、エアロゾル生成材料44が配置される基部として機能する。
【0054】
キャリア構成要素42は、
図2A~
図2Cに示すように、長さl、幅w、及び厚さt
cを有するほぼ立方体の形状である。具体的な例として、キャリア構成要素42の長さは30~80mmであってもよく、幅は7~25mmであってもよく、厚さは0.2~1mmであってもよい。しかしながら、上記はキャリア構成要素42の例示的な寸法であり、他の実施様態では、キャリア構成要素42は、必要に応じて、異なる寸法を有してもよいことを認識すべきである。いくつかの実施様態では、キャリア構成要素42は、使用者による物品4の取り扱いを容易にするのを助けるために、キャリア構成要素42の長さ方向及び/又は幅方向に延在する1つ以上の突起を備えてもよい。
【0055】
図1及び
図2に示す例では、物品4は、キャリア構成要素42の表面に配置されたエアロゾル生成材料44の複数の個別部分を備える。より詳細には、物品4は、2×3の配列に配置された、44a~44fと符号が付けられたエアロゾル生成材料44の6つの個別部分を備える。しかしながら、他の実施様態では、これより多い若しくは少ない数の個別部分が設けられてもよく、及び/又は、これらの部分は異なる配列(例えば、1×6の配列)に配置されてもよいことを認識すべきである。図示の例では、エアロゾル生成材料44は、構成要素キャリア42の単一の表面上の離散的な別々の位置に配置される。エアロゾル生成材料44の個別部分は、円形のフットプリントを有するように示されているが、エアロゾル生成材料44の個別部分は、必要に応じて、正方形又は長方形などの任意の他のフットプリントを採り得ることを認識すべきである。エアロゾル生成材料44の個別部分は、
図2A~
図2Cに示すように、直径d及び厚さt
aを有する。厚さt
aは、任意の適切な値を採ってもよく、例えば、厚さt
aは、50μm~1.5mmの範囲にあってもよい。いくつかの実施形態では、厚さt
aは、約50μm~約200μm、又は約50μm~約100μm、又は約60μm~約90μmであり、約77μmが適切である。他の実施形態では、厚さt
aは、200μmより厚くてもよく、例えば、約50μm~約400μm、又は~約1mm、又は~約1.5mmであってもよい。
【0056】
エアロゾル生成材料44の個別部分は、個別部分のそれぞれが個別に/選択的にエネルギーを与えられて(例えば、加熱されて)エアロゾルを生成することができるように互いから離れている。いくつかの実施様態では、エアロゾル生成材44のこれらの部分は20mg以下の質量を有してもよく、その結果、所与のエアロゾル生成品24によって、任意の1回でエアロゾル化される材料の量は比較的少ない。例えば、1つの部分の質量は、20mg以下、又は10mg以下、又は5mg以下であってもよい。もちろん、物品4の全質量は20mgより重くてもよいことは認識すべきである。
【0057】
説明されている実施様態では、物品4のエアロゾル生成材料44の部分のうちの少なくとも2つは互いに異なる。以下により詳細に説明するように、デバイス2は、特定の吸引に対して、エアロゾル生成材料の部分のうちのどれをエアロゾル化するかを使用者が選択できるように構成される。エアロゾル生成材料44のこれらの部分が互いに異なっているとき、このことによって、使用者は、吸引ごと又は吸引セッションごとに受け入れるエアロゾルをカスタマイズすることができる。
【0058】
説明されている実施様態では、エアロゾル生成材料44は非晶質固体である。一般に、非晶質固体は、ゲル化剤(結合剤と呼ばれることもある)及びエアロゾル生成剤(例えば、グリセロールを含む場合がある)を含んでもよい。任意選択的に、エアロゾル生成材料は、活性物質(タバコ抽出物を含んでもよい)、香味料、酸、及び充填剤のうちの1つ以上を含んでもよい。所望により他の成分も存在してもよい。適切な活性物質、香味料、酸、及び充填剤は、エアロゾル化可能材料との関連で上で説明されている。
【0059】
したがって、エアロゾル生成剤は、グリセロール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1、3-ブチレングリコール、エリスリトール、メソエリスリトール、バニリン酸エチル、ラウリン酸エチル、スベリン酸ジエチル、クエン酸トリエチル、トリアセチン、ジアセチン混合物、安息香酸ベンジル、フェニル酢酸ベンジル、トリブチリン、酢酸ラウリル、ラウリン酸、ミリスチン酸、及び炭酸プロピレンのうちの1つ以上を含んでもよい。
【0060】
いくつかの実施形態では、エアロゾル生成剤は、1つ以上の多価アルコール(プロピレングリコール、トリエチレングリコール、1、3-ブタンジオール、及びグリセリンなど)、多価アルコールのエステル(グリセロールモノアセテート、グリセロールジアセテート、又はグリセロールトリアセテートなど)、及び/又はモノカルボン酸、ジカルボン酸、若しくはポリカルボン酸の脂肪族エステル(ドデカン二酸ジメチル及びテトラデカン二酸ジメチルなど)を含む。
【0061】
いくつかの実施形態では、ゲル化剤は親水コロイドを含む。いくつかの実施形態では、ゲル化剤は、アルギン酸塩、ペクチン、デンプン(及び誘導体)、セルロース(及び誘導体、例えば、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、及びカルボキシメチルセルロース(CMC:carboxymethyl cellulose))、ガム、シリカ又はシリコーン化合物、クレイ、ポリビニルアルコール、及びこれらの組合せを含む群から選択された1つ以上の化合物を含んでもよい。例えば、いくつかの実施形態では、ゲル化剤は、アルギン酸塩、ペクチン、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、プルラン、キサンタンゴム、グアーガム、カラギーナン、アガロース、アカシアガム、フュームドシリカ、PDMS、ケイ酸ナトリウム、カオリン、及びポリビニルアルコールのうちの1つ以上を含む。
【0062】
ゲル化剤は、セルロース系ゲル化剤、非セルロース系ゲル化剤、グアーガム、アカシアガム、及びそれらの混合物から選択された1つ以上の化合物を含んでもよい。
【0063】
いくつかの実施形態では、セルロース系ゲル化剤は、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、メチルセルロース、エチルセルロース、セルロースアセテート(CA)、セルロースアセテートブチレート(CAB)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、及びそれらの組合せからなる群から選択される。
【0064】
いくつかの実施形態では、ゲル化剤は、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、カルボキシメチルセルロース、グアーガム、又はアカシアゴムのうちの1つ以上を含む(又は、それらのうちの1つ以上である)。
【0065】
いくつかの実施形態では、ゲル化剤は、限定するものではないが、寒天、キサンタンゴム、アラビアゴム、グアーガム、ローカストビーンガム、ペクチン、カラギーナン、デンプン、アルギン酸塩、及びそれらの組合せを含む1つ以上の非セルロース系ゲル化剤を含む(又は、それらの非セルロース系ゲル化剤である)。好ましい実施形態では、非セルロース系ゲル化剤はアルギン酸塩又は寒天である。
【0066】
エアロゾル生成材料は酸を含んでもよい。酸は有機酸であってもよい。これらの実施形態のいくつかでは、酸は、一塩基酸、二塩基酸、及び三塩基酸のうちの少なくとも1つであってもよい。いくつかのこのような実施形態では、酸は、少なくとも1つのカルボキシル官能基を含んでもよい。いくつかのこのような実施形態では、酸は、α-ヒドロキシ酸、カルボン酸、ジカルボン酸、トリカルボン酸、及びケト酸のうちの少なくとも1つであってもよい。いくつかのこのような実施形態では、酸はα-ケト酸であってもよい。
【0067】
いくつかのこのような実施形態では、酸は、コハク酸、乳酸、安息香酸、クエン酸、酒石酸、フマル酸、レブリン酸、酢酸、リンゴ酸、ギ酸、ソルビン酸、安息香酸、プロパン酸、及びピルビン酸のうちの少なくとも1つであってもよい。
【0068】
酸は乳酸であることが好適である。他の実施形態では、酸は安息香酸である。他の実施形態では、酸は無機酸であってもよい。これらの実施形態のいくつかでは、酸は鉱酸であってもよい。いくつかのこのような実施形態では、酸は、硫酸、塩酸、ホウ酸、及びリン酸のうちの少なくとも1つであってもよい。いくつかの実施形態では、酸はレブリン酸である。
【0069】
酸を含むことは、エアロゾル生成材料がニコチンを含む実施形態では特に好ましい。このような実施形態では、酸の存在は、エアロゾル生成材料が形成されるスラリー中の溶存種を安定化させることができる。酸の存在は、スラリーの乾燥中のニコチンの蒸発を低減、又は実質的に防止することができ、以て、製造中のニコチンの損失を低減することができる。
【0070】
特定の実施形態では、エアロゾル生成材料は、セルロース系ゲル化剤及び/又は非セルロース系ゲル化剤、活性物質、並びに酸を含むゲル化剤を含む。
いくつかの実施形態では、エアロゾル生成材料は、カンナビジオール(CBD)、テトラヒドロカンナビノール(THC)、テトラヒドロカンナビノール酸(THCA)、カンナビジオール酸(CBDA)、カンナビノール(CBN)、カンナビゲロール(CBG)、カンナビクロメン(CBC)、カンナビシクロール(CBL)、カンナビバリン(CBV)、テトラヒドロカンナビバリン(THCV)、カンナビジバリン(CBDV)、カンナビクロムバリン(CBCV)、カンナビゲロバリン(CBGV)、カンナビゲロールモノメチルエーテル(CBGM)、及びカンナビエルソイン(CBE)、カンナビシトラン(CBT)からなる群から選択された1つ以上のカンナビノイド化合物を含む。
【0071】
エアロゾル生成材料は、カンナビジオール(CBD)及びTHC(テトラヒドロカンナビノール)からなる群から選択された1つ以上のカンナビノイド化合物を含んでもよい。
エアロゾル生成材料は、カンナビジオール(CBD)を含んでもよい。
エアロゾル生成材料は、ニコチン及びカンナビジオール(CBD)を含んでもよい。
エアロゾル生成材料は、ニコチン、カンナビジオール(CBD)、及びTHC(テトラヒドロカンナビノール)を含んでもよい。
【0072】
非晶質固体は着色剤を含む場合がある。着色剤を加えると、非晶質固体の外観を変えることができる。非晶質固体に着色剤が存在すると、非晶質固体及びエアロゾル生成材料の外観を向上させることができる。非晶質固体に着色剤を加えることによって、非晶質固体は、エアロゾル生成材料の他の成分又は非晶質固体を含む物品の他の成分の色に合わせることができる。
【0073】
様々な着色剤が、非晶質固体の所望の色に応じて使用されてもよい。非晶質固体の色は、例えば、白、緑、赤、紫、青、茶、又は黒とすることができる。他の色もまた考えられる。天然又は合成染料、食品用着色剤、及び医薬品用着色剤などの天然又は合成の着色剤が使用されてもよい。特定の実施形態では、着色剤はカラメルであり、これは非晶質固体に茶色の外観を与えることができる。このような実施形態では、非晶質固体の色は、非晶質固体を含むエアロゾル生成材料中の他の成分(タバコ材料など)の色に類似していてもよい。いくつかの実施形態では、非晶質固体に着色剤を加えると、エアロゾル生成材料中の他の成分と視覚的に区別できなくなる。
【0074】
着色剤は、非晶質固体の形成中に(例えば、非晶質固体を形成する材料を含むスラリーを形成するときに)組み込まれてもよいし、その形成後に(例えば、非晶質固体に噴霧することによって)非晶質固体に塗布されてもよい。
【0075】
非晶質固体エアロゾル化可能材料は、いくつかの電子エアロゾル供給デバイスに一般的に見られる他のタイプのエアロゾル化可能材料を超えるいくつかの利点を提供する。例えば、液体のエアロゾル化可能材料をエアロゾル化する電子エアロゾル供給デバイスと比較すると、非晶質固体が収納されている場所から漏れる、又はその他流れる可能性は大幅に低減される。このことは、これらの構成要素が必ずしも同じ液密シールなどを使用する必要がないため、エアロゾル供給デバイス又は物品をより安価に製造することができることを意味する。
【0076】
固体エアロゾル化可能材料、例えばタバコをエアロゾル化する電子エアロゾル供給デバイスと比較すると、比較的小さな質量の非晶質固体材料をエアロゾル化して同等の量のエアロゾルを生成する(又はエアロゾル中に同等の量の成分、例えばニコチンを提供する)ことができる。これは、非晶質固体を、他の固体エアロゾル化可能材料(例えば、タバコ中のセルロース系材料)に見出されることがある不適切な成分を含まないように調整することができるという事実に部分的による。例えば、いくつかの実施様態では、非晶質固体の1つの部分あたりの質量は、20mg以下、又は10mg以下、又は5mg以下である。したがって、エアロゾル供給デバイスは、エアロゾル生成構成要素に供給する電力を比較的少なくすることができ、及び/又は、エアロゾル生成構成要素は、同様のエアロゾルを生成するために比較的小さくすることができ、したがって、これは、エアロゾル供給デバイスに対するエネルギー要件を下げることができることを意味する。
【0077】
いくつかの実施様態では、非晶質固体は、乾燥重量基準で計算された重量で、0.5~60重量%のゲル化剤、5~80重量%のエアロゾル生成剤、及び5~60重量%の少なくとも1つの活性物質を含んでもよい。このような非晶質固体は活性物質を含むが、香料又は酸を含まない場合がある。このような非晶質固体は、「活性物質リッチ」又は「活性物質非晶質固体」と呼ばれることがある。例えば、一実施様態では、活性物質はニコチンの場合があり、したがって、ニコチンを含む上記のような非晶質固体は、「ニコチン非晶質固体」と呼ばれることがある。より一般的には、これは、活性物質リッチのエアロゾル生成材料の例であり、その名が示すように、エアロゾル化されると活性物質を送達するように設計されたエアロゾル生成材料の一部分である。
【0078】
これらの実施様態では、非晶質固体は以下の成分(乾燥重量基準、DWB:Dry Weight Basis)を有してもよい。すなわち、約5重量%~約40重量%、又は約10重量%~30重量%、又は約15重量%~約25重量%の量のゲル化剤、約10重量%~約50重量%、又は約20重量%~約40重量%、又は約25重量%~約35重量%(DWB)の量のエアロゾル生成剤、約30重量%~約60重量%、又は約40重量%~55重量%、又は約45重量%~約50重量%の量の活性物質。
【0079】
一実施様態では、非晶質固体は、約43重量%のゲル化剤(12重量%のアルギン酸塩及び31重量%のCMC)、約48重量%のグリセロール、及び約6重量%のニコチン(DWB)を含む。
【0080】
いくつかの他の実施様態では、非晶質固体は、乾燥重量基準で計算された重量で、0.5~60重量%のゲル化剤、及び5~80重量%のエアロゾル生成剤を含んでもよい。このような非晶質固体は、香料、酸、及び活性物質を含まない場合がある。このような非晶質固体は、「エアロゾル生成剤リッチ」又は「エアロゾル生成剤非晶質固体」と呼ばれることがある。より一般的には、これは、エアロゾル生成材料の一部分であるエアロゾル生成剤リッチのエアロゾル生成材料の例であり、その名が示すように、エアロゾル化されるとエアロゾル生成剤を送達するように設計されたエアロゾル生成材料の一部分である。
これらの実施様態では、非晶質固体は以下の成分(DWB)を有してもよい。すなわち、約5重量%~約40重量%、又は約10重量%~30重量%、又は約15重量%~約25重量%の量のゲル化剤、約10重量%~約50重量%、又は約20重量%~約40重量%、又は約25重量%~約35重量%(DWB)の量のエアロゾル生成剤。
【0081】
一実施様態では、非晶質固体は、約43重量%のゲル化剤(12重量%のアルギン酸塩及び31重量%のCMC)、及び約56重量%のグリセロール(DWB)を含む。
【0082】
いくつかの他の実施様態では、非晶質固体は、乾燥重量基準で計算された重量で、0.5~60重量%のゲル化剤、5~80重量%のエアロゾル生成剤、及び1~60重量%の香料を含んでよい。このような非晶質固体は香料を含むが、活性物質又は酸を含まない場合がある。このような非晶質固体は、「香味料リッチ」又は「香料非晶質固体」と呼ばれることがある。より一般的には、これは、香味料リッチのエアロゾル生成材料の例であり、その名が示すように、エアロゾル化されると香味料を送達するように設計されたエアロゾル生成材料の一部分である。
【0083】
これらの実施様態では、非晶質固体は以下の成分(DWB)を有してもよい。すなわち、約5重量%~約40重量%、又は約10重量%~30重量%、又は約15重量%~約25重量%の量のゲル化剤、約10重量%~約50重量%、又は約20重量%~約40重量%、又は約25重量%~約35重量%(DWB)の量のエアロゾル生成剤、約30重量%~約60重量%、又は約40重量%~55重量%、又は約45重量%~約50重量%の量の香料。
【0084】
一実施様態では、非晶質固体は、約43重量%のゲル化剤(12重量%のアルギン酸塩及び31重量%のCMC)、約19重量%のグリセロール、及び約37重量%の香料(DWB)を含む。
【0085】
いくつかの他の実施様態では、非晶質固体は、乾燥重量基準で計算された重量で、0.5~60重量%のゲル化剤、5~80重量%のエアロゾル生成剤、及び0.1~10重量%の酸を含んでよい。このような非晶質固体は酸を含むが、活性物質又は香味料を含まない場合がある。このような非晶質固体は、「酸リッチ」又は「酸非晶質固体」と呼ばれることがある。より一般的には、これは、酸リッチのエアロゾル生成材料の例であり、その名が示すように、エアロゾル化されると酸を送達するように設計されたエアロゾル生成材料の一部分である。
【0086】
これらの実施様態では、非晶質固体は以下の成分(DWB)を有してもよい。すなわち、約5重量%~約40重量%、又は約10重量%~30重量%、又は約15重量%~約25重量%の量のゲル化剤、約10重量%~約50重量%、又は約20重量%~約40重量%、又は約25重量%~約35重量%(DWB)の量のエアロゾル生成剤、約0.1重量%~約8重量%、又は約0.5重量%~7重量%、又は約1重量%~約5重量%、又は約1重量%~約3重量%の量の酸。
【0087】
一実施様態では、非晶質固体は、約56重量%のゲル化剤(24重量%のアルギン酸塩及び32重量%のCMC)、約39重量%のグリセロール、及び約3重量%の酸(DWB)を含む。
【0088】
いくつかの実施様態では、非晶質固体はタバコ抽出物を含む。これらの実施形態では、非晶質固体は、以下の成分(DWB)を有してもよい。すなわち、約1重量%~約60重量%、又は約10重量%~30重量%、又は約15重量%~約25重量%の量のゲル化剤(アルギン酸塩を含むことが好ましい)、約10重量%~約60重量%、又は約40重量%~55重量%、又は約45重量%~約50重量%の量のタバコ抽出物、約5重量%~約60重量%、又は約20重量%~約40重量%、又は約25重量%~約35重量%(DWB)の量のエアロゾル生成剤(グリセロールを含むことが好ましい)。タバコ抽出物は、単一の品種のタバコからのものであってもよいし、異なる品種のタバコからの抽出物のブレンドであってもよい。このような非晶質固体は、「タバコ非晶質固体」と呼ばれることがあり、エアロゾル化されたときにタバコのような体験を与えるために設計されることがある。
【0089】
一実施様態では、非晶質固体は、約20重量%のアルギン酸ゲル化剤、約48重量%のバージニアタバコ抽出物、及び約32重量%のグリセロール(DWB)を含む。
【0090】
これらの実施形態の非晶質固体は、任意の適切な水分含有量を有してもよい。例えば、非晶質固体は、約5重量%~約15重量%、又は約7重量%~約13重量%、又は約10重量%の水分含有量を有してもよい。
【0091】
これらの実施形態のいずれも、非晶質固体の厚さtaは、以下に詳細に説明するように、どのように物品4が使用されるかに応じて設定することができることが好適である。いくつかの実施様態では、その厚さtaは、約0.5~約2mm、又は約0.8~約1.2mmの範囲に設定されてもよい。いくつかの他の実施様態では、その厚さは、約50μm~約200μm、又は約50μm~約100μm、又は約60μm~約90μmであってもよく、約77μmが好適である。
【0092】
受け部25は、物品4を取外し可能に受け入れるのに適した大きさである。図示されていないが、デバイス2は、受け部25へのアクセスを可能にするためにヒンジ付きドア又は外側ハウジング21の取外し可能な部分を備えてもよく、その結果、使用者は、受け部25に物品4を挿入すること、及び/又は受け部25から物品4を取り外すことができる。ヒンジ付きドア又は外側ハウジング21の取外し可能な部分はまた、閉じたときに受け部25内に物品4を保持するように機能することができる。エアロゾル生成品4が使い尽くされたとき、又は使用者が単に異なるエアロゾル生成品4に切り替えることを望むとき、エアロゾル生成品4は、エアロゾル供給デバイス2から取り外され、その場所に交換のエアロゾル生成品4を受け部25に配置することができる。これに代えて、デバイス2は、受け部25と連通し、物品4を受け部25に挿入することができる永久的な開口を含んでもよい。このような実施様態では、物品4をデバイス2の受け部25内に保持するための保持機構が設けられてもよい。
【0093】
図1に見られるように、デバイス2は、いくつかのエアロゾル生成構成要素24を備える。説明されている実施様態では、エアロゾル生成構成要素24は加熱要素24であり、より詳細には、抵抗加熱要素24である。抵抗加熱要素24は、電流を受け取り、その電気エネルギーを熱に変換する。抵抗加熱要素24は、電流を受け取ると熱を生成するニクロム(Ni20Cr80)などの任意の適切な抵抗加熱材料から形成されてもよい、又はそれらを含んでもよい。一実施様態では、加熱要素24は、抵抗通路が配置された電気絶縁基板を備えてもよい。しかしながら、上で論じたように、また、認識すべきように、加熱要素は、適切な形態の加熱要素であってもよい。
【0094】
図3は、加熱要素24の配置をより詳細に示すエアロゾル供給デバイス2の断面上面図である。
図1及び
図3では、加熱要素24は、加熱要素24の表面が受け部25の表面の一部を形成するように配置されている。すなわち、加熱要素24の外面は、受け部の内面と面一になっている。より詳細には、受け部25の内面と面一になっている加熱要素24の外面は、加熱要素24に電流を通したときに加熱される(すなわち、その温度が上昇する)加熱要素24の表面である。
【0095】
加熱要素24は、物品4が受け部25に受け入れられたときに、各加熱要素24がエアロゾル生成材料44の対応する個別部分と位置が合うように配置される。したがって、この例では、6つの加熱要素24が、
図2A~
図2Cに示したエアロゾル生成材料44の6つの個別部分の2×3の配列の配置に大まかに対応した2×3の配列で配置されている。しかしながら、上で論じたように、加熱要素24の数は、異なる実施様態では異なっていてもよく、例えば、8、10、12、14個などの加熱要素24があってもよい。いくつかの実施様態では、加熱要素24の数は、6個以上であるが、20個以下である。
【0096】
より詳細には、加熱要素24は、
図3では24a~24fの符号が付けられており、各加熱要素24は、参照符号24/44の後の対応する文字によって示されるように、エアロゾル生成材料44の対応する部分と位置が合うように配置されていると理解すべきである。したがって、加熱要素24のそれぞれは、エアロゾル生成材料44の対応する部分を加熱するために個別に作動させることができる。
【0097】
加熱要素24は、受け部25の内面と面一に示されているが、他の実施様態では、加熱要素24は、受け部25内に突出してもよい。いずれの場合も、物品4は、受け部25内に存在するときに、加熱要素24の表面と接触し、その結果、加熱要素24によって生成された熱は、キャリア構成要素42を通ってエアロゾル生成材料44に伝導される。
【0098】
いくつかの実施様態では、熱伝達効率を改善するために、受け部は、キャリア構成要素42をヒーター要素24に押し付けるようにキャリア構成要素42の表面に力を加える構成要素を備えてもよく、以て、エアロゾル生成材料44への伝導による熱伝達効率を上昇させる。これに加えて、又はこれに代えて、ヒーター要素24は、物品4に向かう方向/物品4から離れる方向に移動するように構成されてもよく、エアロゾル生成材料44を備えないキャリア構成要素42の表面に押し付けられてもよい。
【0099】
使用時、デバイス2(より詳細には制御回路23)は、使用者の入力に応答して加熱要素24に電力を供給するように構成される。概して、制御回路23は、エアロゾル生成材料44の対応する部分を加熱してエアロゾルを生成するように加熱要素24に選択的に電力を印加するように構成される。使用者がデバイス2で吸引する(すなわち、吸い口端部26で吸引する)と、空気は空気入口27を通ってデバイス2に引かれ、受け部25に入り、ここで、エアロゾル生成材料44を加熱することによって生成されたエアロゾルと混合し、次いで、空気出口28を経て使用者の口へ引かれる。すなわち、エアロゾルは、吸い口端部26及び空気出口28を通って使用者に送達される。
【0100】
図1のデバイス2は、接触感知パネル29及び吸引センサ30を含む。接触感知パネル29及び吸引センサ30は、共に、エアロゾルの生成を引き起こすために使用者の入力を受け取るための機構として機能し、したがって、より広くは、使用者入力機構と呼ばれることがある。受け取られた使用者の入力は、使用者がエアロゾルを生成したいことを示していると言える。
【0101】
接触感知パネル29は、静電容量式タッチセンサであってもよく、デバイス2の使用者が指又は別の適切な導電性の物体(例えばスタイラス)を接触感知パネルに置くことによって操作することができる。説明されている実施様態では、接触感知パネルは、エアロゾル生成を開始するために使用者が押すことができる領域を含む。制御回路23は、接触感知パネル29からの信号を受け、この信号を用いて、使用者が接触感知パネル29のこの領域を押しているかどうか(すなわち、作動させているかどうか)を判定するように構成することができる。制御回路23がこの信号を受けた場合、制御回路23は、電源22から加熱要素24のうちの1つ以上に電力を供給するように構成される。電力は、接触が検出された瞬間から予め定められた時間(例えば3秒間)供給されてもよいし、接触が検出された時間の長さに対応して供給されてもよい。他の実施様態では、接触感知パネル29は、使用者が作動することができるボタンなどに置き換えられてもよい。
【0102】
吸引センサ30は、使用者がデバイス2で吸引することによって生じる圧力の低下又は空気の流れを検出するように構成された圧力センサ又はマイクロフォン等であってもよい。吸引センサ30は、空気流路と流体連通して(すなわち、入口27と出口28との間の空気流路と流体連通して)配置される。上記と同様の態様で、制御回路23は、吸引センサからの信号を受け、この信号を用いて、使用者がエアロゾル供給システム1で吸引しているかを判定するように構成することができる。制御回路23がこの信号を受けた場合、制御回路23は、電源22から加熱要素24のうちの1つ以上に電力を供給するように構成される。電力は、吸引が検出された瞬間から予め定められた時間(例えば3秒間)供給されてもよいし、吸引が検出された時間の長さに対応して供給されてもよい。
【0103】
説明されている例では、接触感知パネル29及び吸引センサ30の両方が、吸引のためのエアロゾルの生成を開始したいと使用者が思っていることを検出する。制御回路23は、接触感知パネル29及び吸引センサ30の両方からの信号が検出されたときのみ、加熱要素24に電力を供給するように構成されてもよい。これは、使用者入力機構の1つが偶発的に作動することから加熱要素24が意図せずに作動することを防止するのを助けることができる。しかしながら、他の実施様態では、エアロゾル供給システム1は、接触感知パネル29及び吸引センサ30のうちの一方のみを有してもよい。
【0104】
エアロゾル供給システム1の動作のこれらの態様(すなわち、パフ検出及び接触検出)は、それ自体、確立した技法に従って(例えば、従来の吸引センサ及び吸引センサ信号処理技法を用いて、並びに、従来のタッチセンサ及びタッチセンサ信号処理技法を用いて)実行することができる。
【0105】
次に、デバイス2の動作について説明すると、接触感知パネル29及び吸引センサ30のいずれか一方又は両方からの信号の検出に応答して、制御回路23は、加熱要素24の1つ以上に同時に電力を供給するように構成され、特に、少なくとも2つの加熱要素24が動作するように選択されたとき、制御回路23は、少なくとも2つの加熱要素24に同時に電力を供給するように構成される。
【0106】
図4は、本開示による、エアロゾルを生成するための例示的な方法を示すフロー図である。
【0107】
本方法はステップS1から始まり、このステップでは、使用者は、物品4のエアロゾル生成材料44をその後に加熱するための加熱構成を設定することができる。本質的に、使用者は、接触感知パネル29及び吸引センサ30のいずれか一方又は両方からの信号を受けたとき、どの加熱要素24を作動させるかを選択することができる。説明されている実施様態では、使用者は、6つの加熱要素24のうちの作動させる任意の1つ以上、それに対応して、エアロゾル生成材料44の6つの個別部分のうちの加熱する任意の1つ以上を選択することができる。加えて、説明されている実施様態では、使用者はまた、各加熱要素24に供給される電力を設定することもできる。この場合、概して、加熱要素24に供給される電力が大きいほど、エアロゾル生成材料44のその部分から生成されるエアロゾルの量が相対的に多くなることを認識すべきである。このようにして、使用者は、特定の成分が存在するように選択するだけでなく、エアロゾル中のそれらの成分の相対的な割合を選択することによっても、吸引ごとに、又はセッションごとに生成されるエアロゾルをさらにカスタマイズすることができる。しかしながら、電力レベルを選択することは任意選択であってもよく、いくつかの実施様態では、電力のレベルは予め定められており固定されたものであってもよいことを認識すべきである。
【0108】
加熱構成は、各個別の加熱要素24を手動で選択することができるように、及び/又は、電力のレベルを手動で選択することができるように、使用者によって手動で設定されてもよい。他の実施様態では、使用者は、デバイス2に予め記憶されてもよい、又は、遠隔ソースから取得されてもよい(例えば、サーバからダウンロードされてもよい)予め定められた加熱構成のリストから選択することができてもよい。
【0109】
図5は、使用者が作動させる加熱要素を選択することを可能にする接触感知パネル29の概略上面図である。
図5は、前述したような外側ハウジング21及び接触感知パネル29を概略的に示している。接触感知パネル29は、6つの加熱要素24のそれぞれに対応する6つの領域29a~29f、及び前述のように、使用者が吸引を開始すること、又はエアロゾルを生成することを望んでいることを示すための領域に対応する領域29gを備える。6つの領域29a~29fはそれぞれ、6つの対応する加熱要素24のうちの1つ以上を選択するために(したがって、制御回路23が6つの対応する加熱素子24のうちの1つ以上に電力を供給するために)使用者が触れることができる接触感知領域に対応する。接触感知パネル29は、使用者が加熱構成を設定することを可能にするための使用者入力機構と、エアロゾル生成を開始するための使用者入力機構との両方であると言うことができる。しかしながら、他の実施様態では、これらの2つの使用者入力機構は、別々の専用構成要素(例えば、接触感知パネル及び押しボタン)によって提供されてもよいことを認識すべきである。
【0110】
前述のように、各加熱要素24への電力レベルもまた、特定の実施様態において設定することができる。説明されている実施様態では、各加熱要素24は、複数の状態、例えば、加熱要素24に電力が供給されないオフ状態、加熱要素24に第1のレベルの電力が供給される低電力状態、及び加熱要素24に、第1のレベルの電力より大きい第2のレベルの電力が供給される高電力状態を有することができる。しかしながら、他の実施様態では、これより少ない又は多い状態が、加熱要素24に利用可能であってよい。異なる電力レベル又は状態を選択するために、使用者は、領域29a~29fを繰り返しタップして、異なる状態(例えば、オフ、低電力、高電力、オフ、など)を循環させてもよい。これに代えて、使用者は、異なる状態を循環させるために領域29a~29fを押して保持してもよい。この場合、押されている時間が状態を決定する。使用者が接触感知パネルと対話して対応する電力レベルを選択するための他の適切な方法は、本開示の原理に従って実施されてもよい。接触感知パネル29は、それぞれの領域29a~29fごとに、加熱要素24が現在どの状態であるかを示す1つ以上の表示器を備えてもよい。例えば、接触感知パネルは、1つ以上のLED又は同様の照明要素を備えてもよく、LEDの強度は、加熱要素24の現在の状態を示す。これに代えて、カラーのLED又は同様の照明要素が設けられてもよく、色が現在の状態を示す。これに代えて、接触感知パネル29は、加熱要素24の現在の状態を表示する表示要素(例えば、透明な接触感知パネル29の下にあってもよく、又は接触感知パネル29の領域29a~29fに隣り合って設けられてもよい)を備えてもよい。
【0111】
したがって、使用者は、エアロゾルを生成する前に、接触感知パネル29と対話することによって、どの加熱要素24(及び、それに続いてエアロゾル生成材料44のどの部分)を加熱するか(及び、任意選択的に、それらをどの程度まで加熱するか)を設定することができる。使用者が、ステップS1において加熱要素24の構成を設定すると、ステップS2において、デバイス2は、上で論じたように、接触感知パネル29(より詳細には、接触感知パネル29の領域29g)及び吸引センサ30のいずれか一方又は両方から、エアロゾルを吸引しようとする使用者の意図を示す信号を受ける。
【0112】
ステップS3において、接触感知パネル29及び吸引センサ30のいずれか一方又は両方からの信号を検出したことに応答して、制御回路23は、ステップS1で設定された加熱構成に従って、選択された加熱要素24に電力を供給するように構成される。
ステップS4において、制御回路23は、選択された加熱要素24に電力を供給することを停止する。これは、例えば、信号が停止したことに応答してもよい(この信号が、吸引センサ30によって検出されるように使用者がデバイスで吸引しているときのみ出力される場合、又は使用者が接触感知パネル29の領域29gを押しているときのみ出力される場合)、及び/又は、信号が最初に検出されてから予め定められた時間が経過したことに応答してもよい。
【0113】
次いで、本方法は、次の吸引のためにステップS1又はS2に戻って続行することができる。この場合、ステップS1は、使用者が加熱構成をリセットすることを決定するかどうかに応じて実施されることもあるし、されないこともあることを理解すべきである。
【0114】
原理的には、この方法は、複数の加熱要素24の同時作動を可能にし、したがって、「同時作動モード」と呼ばれることがある。これは、加熱要素24が順次作動される「順次作動モード」とは対照的である。しかしながら、上記のようなデバイス2は、いくつかの状況においては、所与の使用者の吸引に対して、使用者は1つの加熱要素24しか(したがって、エアロゾル生成材料の1つの部分しか)選択することができないことがあることを認識すべきである。
【0115】
図4の方法は、ステップS2での信号の検出に応答して、ステップS3において、選択された加熱要素24に電力を供給し、その後、ステップS4において、選択された加熱要素24に電力を供給することを停止するように説明されているが、いくつかの実施様態では、制御回路23は、ステップS2での信号の検出前にエアロゾル生成材料44の選択された部分を予熱するように構成されてもよいことを認識すべきである。これは、特に、エアロゾル生成材料の部分が比較的厚い(例えば、1mm程度)場合に該当することがある。これらの場合には、例えば、加熱する必要のある全質量が原因となって、2~5秒の間(典型的には、使用者の吸引の長さに対応)、加熱要素24によってエネルギーを加えても、エアロゾル生成材料44の温度を放出温度(すなわち、エアロゾル生成材料がその構成成分を放出する温度)に上昇させるには十分ではないことがある。したがって、エアロゾル生成材料44の部分(複数可)を予熱することによって、ステップS1において信号が検出されたときに、十分なエアロゾルを生成するように十分なエネルギーを追加することができることがある。これらの実施様態では、
図4のステップS3及びステップS4は、加熱構成に従って、選択された加熱要素に追加の電力を供給して、エアロゾル生成材料44の温度を、その部分からエアロゾルが生成される動作温度に上昇させるステップ(ステップS3)、及び、加熱構成に従って、選択された加熱要素への追加の電力の供給を停止して、エアロゾル生成材料44の温度を動作温度より低くなるように下げるステップ(ステップS4)として理解されるべきである。目標温度(動作温度とも呼ばれることがある)は、制御回路23が、エアロゾルを生成するために加熱要素に到達させる温度である。したがって、動作温度は、1つ以上の固定値であってもよい。
【0116】
図6は、制御回路23からの制御信号出力を示すグラフであり、これは、最終的には、選択された加熱要素24に異なるレベルの電力を供給するために使用される。この制御信号によって、電源22(又は、電源22に結合された電力管理装置(図示せず))は、選択された加熱要素に制御信号に従ったレベルの電力を供給して、加熱要素を特定の目標温度に到達させる。したがって、制御信号は、加熱要素(及び、それに続いて、エアロゾル生成材料)が動作中に到達するように意図された温度を表している。
【0117】
制御信号の大きさは、グラフのy軸に示され、時刻tはx軸に示されている。
図6に見られるように、制御信号は、加熱要素24の様々な目標温度を表している。より詳細には、
図6は、予熱目標温度T
pre、低目標動作温度T
op-low、及び高目標動作温度T
op-highを示している。T
op-high及びT
op-lowは、上記の加熱要素24に供給することができる高レベル及び低レベルの電力に関連する目標温度に対応し、T
preは、予熱動作段階中に加熱要素に供給される電力のレベルに対応する。したがって、T
op-highはT
op-lowよりも高い温度を表すが、T
op-lowはT
preよりも高い温度である。
【0118】
図6は、第1の加熱要素のグラフ(上)及び第2の加熱要素のグラフ(下)の2つの別個のグラフを示している。前述の説明では、第1の加熱要素は加熱要素24aであり、第2の加熱要素は加熱要素24bである。
【0119】
時刻t
confにおいて、使用者は、
図4のステップS1に従って、デバイス2に使用される加熱構成の入力を終える。この例では、加熱構成は、高レベルの電力が加熱要素24bに供給され、低レベルの電力が加熱要素24aに供給されるように設定されている。他のすべての加熱要素はオフであり、したがって、この例では、これらの加熱要素には電力は供給されず、したがって、これらの要素は
図6には示されていない。しかしながら、他の実施様態では、
図4のステップS1において加熱要素が選択されたかどうかにかかわらず、すべての加熱要素24は、加熱要素の温度をT
preに上昇させるのに十分な電力を供給される。
【0120】
この実施様態では、tconfにおいてこの構成が設定されるとすぐ、制御回路23は、加熱要素24a及び24bの予熱、したがってエアロゾル生成材料44a及び44bの部分を予熱させるように構成される。予熱温度Tpreは、エアロゾル生成材料44a又は44bの部分が実質的な量のエアロゾルを放出し始める放出温度(Trel)より低くなるように設定されることが好適である。このようにして、エアロゾル生成材料は、予熱段階中では、温められるが実質的には消費されないようにすることができる。
【0121】
時刻t
s1において、制御回路23は、ステップS2において上で論じたように、接触感知パネル29(より詳細には、接触感知パネル29の領域29g)及び吸引センサ30のいずれか一方又は両方から、エアロゾルを吸引しようとする使用者の意図を示す信号を受ける。これに応答して、制御回路23は、加熱構成に対応するレベルの電力を加熱要素24a及び24bに供給するように構成される。特に、
図6に示すように、制御回路23は、加熱要素24aを目標温度T
op-lowに到達させるのに十分な電力を加熱要素24aに供給するように構成され、制御回路23は、加熱要素24bを目標温度T
op-highに到達させるのに十分な電力を加熱要素24bに供給するように構成される。
【0122】
時刻tf1において、制御回路23は、エアロゾルを吸引しようとする使用者の意図を示す、接触感知パネル29及び吸引センサ30のいずれか一方又は両方からの信号が停止したこと、又は信号を受けてから予め定められた時間が経過したことを判断し、それに続いて、両方の加熱要素24a及び24bへの電力を、加熱要素24a及び24bが目標温度Tpreに到達するのに十分なレベルに低下させる。
【0123】
その後の時刻t
s2において、制御回路23は、エアロゾルを吸引しようとする使用者の意図を示す、接触感知パネル29(より詳細には、接触感知パネル29の領域29g)及び吸引センサ30のいずれか一方又は両方からの信号を再び受ける。これに応答して、制御回路23は、加熱構成に対応するレベルの電力を加熱要素24a及び24bに供給するように構成される。この例では、時刻t
f1と時刻t
s2との間で、使用者は、加熱要素24bを目標温度T
op-lowに到達させるのに十分なレベルの電力を加熱要素24bが供給されるように加熱構成を変更した。特に、
図6に示すように、制御回路23は、加熱要素24a及び24bを目標温度T
op-lowに到達させるのに十分な電力を両方の加熱要素24a及び24bに供給するように構成される。
【0124】
時刻tf2において、制御回路23は、エアロゾルを吸引しようとする使用者の意図を示す、接触感知パネル29及び吸引センサ30のいずれか一方又は両方からの信号が停止したこと、又は信号を受けてから予め定められた時間が経過したことを判断し、それに続いて、両方の加熱要素24a、24bへの電力を、加熱要素24a、24bが目標温度Tpreに到達するのに十分なレベルに低下させる。
【0125】
このシーケンスは、使用者が時刻toffにおいてデバイスのスイッチを切るまで繰り返すことができ、時刻toffの時点で、加熱要素24a及び24bに供給される電力を制御するための制御信号を停止することができる。
【0126】
図6では、目標温度T
op-high、T
op-low、及びT
preは、各加熱要素24に対して同じであるように設定されて示されているが、目標温度は、異なるエアロゾル生成材料に対応する異なる加熱要素24に対して異なるように設定されてもよいことを認識すべきである。すなわち、異なるエアロゾル生成材料は、異なる適切なT
op-high、T
op-low、及びT
pre目標温度を有してもよい。同様に、放出温度T
relも、異なるエアロゾル生成材料に対して異なってもよい。
【0127】
上記のように、説明されている実施様態によるデバイス2は、エアロゾル生成材料、特に、前述した非晶質固体の異なる部分を加熱させるように構成される。特に、デバイス2は、2つ以上のエアロゾル生成材料の組合せを加熱させることができるように構成される。この場合、デバイス2は、第1の成分を含む第1のエアロゾル生成材料を加熱させて、第1のエアロゾル生成材料からエアロゾルを生成するように構成され、第1の成分とは異なる第2の成分を含む第2のエアロゾル生成材料を加熱させて、第2のエアロゾル生成材料からエアロゾルを生成するように構成される。制御回路23は、第1のエアロゾル生成材料を加熱するステップ及び第2のエアロゾル生成材料を加熱するステップが実質的に同時に行われるように構成される。
【0128】
ここで、実質的に同時とは、加熱が行われる時間が大部分重なることを意味すると理解すべきであるが、加熱時間が完全には重ならない場合もある(例えば、ある加熱時間が別の加熱時間よりも長い場合がある)。
【0129】
説明したように、いくつかの実施様態では、エアロゾル供給デバイス2は、活性物質を含むエアロゾル生成材料を加熱し、且つ、香味料を含むエアロゾル生成材料を加熱するように構成される。したがって、この場合、使用者に送達されるエアロゾルは、活性物質(例えば、ニコチン)及び香料の両方を含む。
【0130】
いくつかの実施様態では、エアロゾル供給デバイス2は、活性物質を含むエアロゾル生成材料を加熱し、且つ、酸を含むエアロゾル生成材料を加熱するように構成される。したがって、この場合、使用者に送達されるエアロゾルは、活性物質(例えば、ニコチン)及び酸の両方を含む。エアロゾルに酸を供給すると、エアロゾルが受け部25を通ってデバイスの吸い口端部26から出るときに、ニコチンの一部(又は全部)をプロトン化することができる。
【0131】
いくつかの実施様態では、デバイス2は、エアロゾル化のために活性物質/ニコチンリッチのエアロゾル生成材料を選択しないことを使用者が決定した場合、酸リッチのエアロゾル生成材料のエアロゾル化を防ぐように構成されてもよい。これは、酸を含めることの主な理由が、活性物質/ニコチンのプロトン化を引き起こすことができるからである。
【0132】
いくつかの実施様態では、エアロゾル供給デバイス2は、活性物質を含むエアロゾル生成材料を加熱し、且つ、グリセロールなどのエアロゾル生成剤を含むエアロゾル生成材料を加熱するように構成される。したがって、この場合、使用者に送達されるエアロゾルは、活性物質(例えば、ニコチン)及びある量の追加のグリセロールの両方を含む。この場合、上記から気付くべきように、いくつかのエアロゾル生成材料は、一般にエアロゾルを形成するために、グリセロールの一部分を含んでもよい。しかしながら、本例では、比較的高い濃度のグリセロールを含むエアロゾル生成材料の部分を加熱することによって、使用者に送達されるエアロゾルに、より多くのグリセロールを加えることができる。より多くのグリセロールを供給すると、生成される目に見えるエアロゾルの量(例えば、使用者によって吐き出される目に見える「煙」)を増加させることができる。
【0133】
いくつかの実施様態では、エアロゾル供給デバイス2は、香味料を含むエアロゾル生成材料を加熱し、且つ、グリセロールなどのエアロゾル生成剤を含むエアロゾル生成材料に加熱するように構成される。したがって、この場合、使用者に送達されるエアロゾルは、香味料及びある量の追加のグリセロールの両方を含む。この場合、上で論じたように、いくつかのエアロゾル生成材料は、一般にエアロゾルを形成するために、グリセロールの一部分を含んでもよい。しかしながら、本例では、比較的高い濃度のグリセロールを含むエアロゾル生成材料の部分を加熱することによって、使用者に送達されるエアロゾルに、より多くのグリセロールを加えることができる。より多くのグリセロールを供給すると、生成される目に見えるエアロゾルの量(例えば、使用者によって吐き出される目に見える「煙」)を増加させることができる。
【0134】
他の実施様態では、エアロゾル供給デバイス2は、第1及び第2の成分とは異なる第3の成分を含む第3のエアロゾル生成材料を加熱して、第3のエアロゾル生成材料からエアロゾルを生成するように構成される。この場合、第3のエアロゾル生成材料を加熱するステップは、第1及び第2のエアロゾル生成材料を加熱するステップと実質的に同時に行われる。
【0135】
これらの実施様態では、エアロゾル供給デバイス2は、ニコチンなどの活性物質を含むエアロゾル生成材料を加熱し、且つ、グリセロールなどのエアロゾル生成剤を含むエアロゾル生成材料を加熱し、且つ、酸を含むエアロゾル生成材料を加熱するように構成されてもよい。この実施様態では、エアロゾル生成材料のそれぞれの部分によって放出されるニコチンと酸との組合せによって生じるプロトン化されたニコチンを使用者に提供することができ、一方、使用者に送達されるエアロゾルはまた、増大した量の目に見える蒸気を含むことができる。
【0136】
他の実施様態では、エアロゾル供給デバイス2は、ニコチンなどの活性物質を含むエアロゾル生成材料を加熱し、且つ、香料を含むエアロゾル生成材料を加熱し、且つ、酸を含むエアロゾル生成材料を加熱するように構成されてもよい。この実施様態では、エアロゾル生成材料のそれぞれの部分によって放出されるニコチンと酸との組合せによって生じるプロトン化されたニコチンを使用者に提供することができ、一方、使用者に送達されるエアロゾルはまた香料を含む。
【0137】
さらに他の実施様態では、エアロゾル供給デバイス2は、第1、第2、及び第3の成分とは異なる第4の成分を含む第4のエアロゾル生成材料を加熱して第4のエアロゾル生成材料からエアロゾルを生成するように構成される。この場合、第4のエアロゾル生成材料を加熱するステップは、第1、第2、及び第3のエアロゾル生成材料を加熱するステップと実質的に同時に行われる。
【0138】
このような実施様態では、エアロゾル供給デバイス2は、ニコチンなどの活性物質を含むエアロゾル生成材料を加熱し、且つ、グリセロールなどのエアロゾル生成剤を含むエアロゾル生成材料を加熱し、且つ、酸を含むエアロゾル生成材料を加熱し、且つ、香料を含むエアロゾル生成材料を加熱するように構成されてもよい。この実施態様では、エアロゾル生成材料のそれぞれの部分によって放出されるニコチンと酸との組合せによって生じるプロトン化されたニコチンを使用者に提供することができ、一方、使用者に送達されるエアロゾルはまた、増大した量の目に見える蒸気を含むことができ、且つ香料を含む。
【0139】
上記から、本開示の原理によれば、使用者は、異なるエアロゾル生成材料の特定の部分に対応する特定の加熱要素を選択して、使用者の入力に応答して作動させてエアロゾルを生成することによって、デバイス2によって送達されるエアロゾルをカスタマイズすることができることを認識すべきである。したがって、物品4を交換することなしに、より高い柔軟性を使用者に提供するデバイス2及び物品4を提供することができる。
【0140】
上で列挙した実施様態は、エアロゾル生成材料の2つから4つの異なる部分を実質的に同時に加熱することに言及していることを理解すべきである。しかしながら、デバイスは、エアロゾル生成材料の4つの異なる部分を加熱することだけに限定されない。例えば、物品は、活性物質リッチのエアロゾル生成材料、エアロゾル生成剤リッチのエアロゾル生成材料、酸リッチのエアロゾル生成材料、及び3つの香料リッチのエアロゾル生成材料(それぞれの香料は異なる)に対応するエアロゾル生成材料の6つの部分を備えてもよい。本開示の原理は、このような実施形態に対しても適用することができるが、デバイスは、香料リッチの部分のうちの1つ、2つ、又は3つを加熱するように構成されてもよい。
一例では、エアロゾル生成材料は、非晶質固体を含む、又は非晶質固体である。非晶質固体(例えば、上記のようなもの)は、吸引ごとに個別に加熱されることに特に適している。その理由の一部は、非晶質固体は、選択された構成要素/成分から形成され、したがって、質量の比較的高い割合が有用な(又は送達可能な)成分(例えば、ニコチン及びグリセロール)であるように設計することができるからである。したがって、非晶質固体は、いくつかの他のエアロゾル生成材料(例えば、タバコ)と比較して、所与の質量から相対的に高い割合のエアロゾルを生成することができ、これは、非晶質固体の相対的に小さな部分が同等の量のエアロゾルを出力できることを意味する。
【0141】
非晶質固体は、前述の「活性物質リッチ」の非晶質固体、「エアロゾル生成剤リッチ」の非晶質固体、「香味料リッチ」の非晶質固体、又は「酸リッチ」の非晶質液体のいずれであってもよい。上記のように、異なるエアロゾル生成材料は、異なるT
op-high温度及びT
op-low温度を有する場合がある。下の表は、前述の非晶質固体に対する加熱データを示す。ここで、T
op(範囲)は、エアロゾル生成材料を、人によって検出可能である十分なエアロゾルを生成するために加熱することができる加熱範囲であり、T
op-high(範囲)は、T
op(範囲)温度内で比較的多い量のエアロゾルが生成される温度範囲であり、T
op-low(範囲)は、T
op(範囲)温度内で比較的少ない量のエアロゾルが生成される温度範囲であり、T
op-low(特定)及びT
op-high(特定)は特定の実施様態のための特定の例示的な温度設定値である。
【表1】
【0142】
したがって、デバイス2は、上に列挙された成分を含むエアロゾル生成材料を加熱するとき、上の表によって設定されたような温度範囲内で動作するように構成される。
【0143】
したがって、上記で説明したように、使用者が、どの加熱要素24(したがって、エアロゾル生成材料44のどの部分)を加熱することができるかを選択的に制御して、使用者にカスタマイズされたエアロゾルを提供することができるエアロゾル供給デバイス2を提供することができる。エアロゾル生成デバイスはまた、相対的な量が異なる構成成分を有するエアロゾルを提供することができ、以て、単一の物品4から様々な異なる体験を使用者に提供することができる。
【0144】
いくつかの実施様態では、制御回路23は、例えば、加熱要素24のそれぞれが予め定められた回数、作動させられたとき、又は、所与の加熱要素24が予め定められた回数及び/若しくは所与の累積作動時間及び/若しくは所与の累積作動電力で作動させられたとき、物品4の使用の終了を示す警告信号を生成するように構成されてもよい。
図1では、デバイス2は使用終了表示器31を含み、これは、この実施様態ではLEDである。しかしながら、他の実施様態では、使用終了表示器31は、使用者に警告信号を与えることができる任意の機構を備えてもよい、すなわち、使用終了表示器31は、光学信号を送達する光学要素、音声信号を送達する音発生器、及び/又は触覚信号を送達する振動器であってもよい。いくつかの実施様態では、表示器31は、(例えば、接触感知パネルが表示要素を含む場合)接触感知パネルと組み合わせられてもよい、又は他の態様で提供されてもよい。デバイス2は、警告信号が出力されているときには、デバイス2の次の作動を妨げることができる。使用者が物品4を交換するとき、及び/又は、ボタン(図示せず)などの手動手段を介して警告信号を切ると、警告信号を切ることができ、制御回路23がリセットされる。
【0145】
より詳細には、制御回路23は、エアロゾル生成材料44の個別部分の1つ又はそれぞれが加熱される回数を数えるように構成されてもよい。例えば、制御回路23は、ニコチン含有部分が何回加熱されたかを数え、それが予め定められた数に到達すると、物品4の寿命の終わりを決定することができる。これに代えて、制御回路23は、エアロゾル生成材料44の各個別部分に対して、その部分が加熱されたときに別々に数えるように構成されてもよい。各部分は、同じ又は異なる予め定められた回数を有するものとしてもよく、エアロゾル生成材料の各部分に対する回数のいずれか1つが予め定められた数に到達すると、制御回路23は、物品4の寿命の終わりを決定する。
【0146】
実施様態のいずれにおいても、制御回路23はまた、エアロゾル生成材料の部分が加熱された時間の長さ、及び/又は、エアロゾル生成材料の部分が加熱された温度を計算に入れてもよい。この点について、制御回路23は、個別の作動を数えるのではなく、エアロゾル生成材料44の各部分が受けた加熱状態を示す累積パラメータを計算するように構成されてもよい。このパラメータは、例えば、累積時間であってもよく、その材料への温度は、累積時間に加えられる時間の長さを調節するために使用される。例えば、200℃で3秒間加熱された部分は、累積時間に3秒寄与することができ、一方、250℃で3秒間加熱された部分は、累積時間に4.5秒寄与することができる。
【0147】
物品4の寿命の終わりを決定するための上記の技法は、物品4の寿命の終わりを決定する方法の網羅的なリストとして理解すべきではなく、実際には、任意の他の適切な方法が、本開示の原理に従って使用されてもよい。
【0148】
図7は、本開示の別の実施形態によるエアロゾル供給システム200の概略断面図である。エアロゾル供給システム200は、
図1に関連して説明したものと大まかに類似する構成要素を含むが、参照番号は200を加えられている。効率化のために、類似の参照番号を有する構成要素は、特に断らない限り、
図1及び
図2A~
図2Cの対応するものとほぼ同じであると理解すべきである。
【0149】
エアロゾル供給デバイス202は、外側ハウジング221、電源222、制御回路223、誘導作用コイル224a、受け部225、吸い口端部226、空気入口227、空気出口228、接触感知パネル229、吸引センサ230、及び使用終了表示器231を備える。
【0150】
エアロゾル生成品204は、
図8A~
図8Cにさらに詳細に示すように、キャリア構成要素242、エアロゾル生成材料244、及びサセプタ要素244bを備える。
図8Aは、物品4の上面図であり、
図8Bは、物品4の長手方向(長さ)軸線に沿った端面図であり、
図8Cは、物品4の幅方向軸線に沿った側面図である。
【0151】
図7及び
図8は、誘導を用いてエアロゾル生成材料244を加熱して吸引用のエアロゾルを生成するエアロゾル供給システム200を表す。
【0152】
説明されている実施様態では、エアロゾル生成構成要素224は、2つの部品、すなわち、エアロゾル供給デバイス202に配置された誘導作用コイル224a及びエアロゾル生成品204に配置されたサセプタ224bから形成される。したがって、説明されているこの実施様態では、各エアロゾル生成構成要素224は、エアロゾル生成品204とエアロゾル供給デバイス202との間で分散された要素を備える。
【0153】
誘導加熱は、サセプタと呼ばれる導電性物体に変動磁場を侵入させることによってその物体を加熱するプロセスである。このプロセスは、ファラデーの電磁誘導の法則及びオームの法則によって説明される。誘導ヒーターは、電磁石と、この電磁石に交流電流などの変動電流を流すためのデバイスとを備えることがある。電磁石及び加熱しようとする物体が、電磁石によって生じた変動磁場がこの物体に侵入するように適切な相対位置に配置されると、この物体内に1つ以上の渦電流が発生する。この物体は電流の流れに対して抵抗を有する。したがって、この物体内にこのような渦電流が生成されると、物体の電気抵抗に抗して流れ、それによってこの物体が加熱される。このプロセスは、ジュール加熱、オーム加熱、又は抵抗加熱と呼ばれる。
【0154】
サセプタは、交流磁場などの変動磁場の侵入によって加熱可能な材料である。加熱材料は、導電性材料であってよく、その結果、変動磁場がそれに侵入することによって、加熱材料が誘導加熱される。加熱材料は、磁性体であってもよく、その結果、変動磁場がそれに侵入することによって、加熱材料が磁気ヒステリシス加熱される。加熱材料は、導電性及び磁性の両方を有してもよく、その結果、加熱材料は両方の加熱機構によって加熱可能である。
【0155】
磁気ヒステリシス加熱は、磁性材料からなる物体に変動磁場を侵入させることによってその物体を加熱するプロセスである。磁性材料は、原子スケールの磁石すなわち磁気双極子を多く含んでいると考えることができる。磁場がこのような材料に侵入すると、磁気双極子は磁場に沿って整列する。したがって、交流磁場(例えば、電磁石によって生じるもの)などの変動磁場が磁性材料に侵入すると、磁気双極子の向きは、印加された変動磁場に応じて変化する。このような磁気双極子の再配向によって、磁性材料内に熱が生成される。
【0156】
物体が導電性及び磁性の両方を有するときは、その物体に変動磁場を侵入させると、その物体にジュール加熱及び磁気ヒステリシス加熱の両方を生じさせることができる。さらに、磁性材料を使用すると、磁場を強めることができ、それによりジュール加熱を強めることができる。
【0157】
説明されたこの実施様態では、サセプタ224bはアルミニウム箔から形成されているが、他の実施様態では他の金属及び/又は導電性材料が使用されてもよいことを認識すべきである。
図8に見られるように、キャリア構成要素242は、キャリア構成要素242の表面に配置されたエアロゾル生成材料244の個別部分に大きさ及び位置が対応するいくつかのサセプタ224bを備える。すなわち、サセプタ224bは、エアロゾル生成材料244の個別部分と同様の幅及び長さを有する。
【0158】
サセプタは、キャリア構成要素242に埋め込まれて示されている。しかしながら、他の実施様態では、サセプタ224bは、キャリア構成要素242の表面に配置されてもよい。
【0159】
エアロゾル供給デバイス202は、
図7に概略的に示された複数の誘導作用コイル224aを備える。作用コイル224aは、受け部225に隣り合って示されており、所与のコイルが周りに巻かれている回転軸線が、受け部225内に延び、物品204のキャリア構成要素242の平面にほぼ垂直であるように配置された概ね平坦なコイルである。
図7では、巻線は正確には示されておらず、任意の適切な誘導コイルが使用されてもよいことを認識すべきである。
【0160】
制御回路223は、誘導コイル224aのいずれか1つ以上に流す交流電流を生成するような機構を備える。この交流電流は、上記のように交流磁場を生成し、これが対応するサセプタ224b(複数可)の温度を上げる。サセプタ224b(複数可)によって生成された熱は、それに応じてエアロゾル生成材料244の部分に伝達される。
【0161】
図1及び
図2A~
図2Cに関連して上で説明したように、制御回路223は、接触感知パネル229及び/又は吸引センサ230からの信号を受けたことに応答して、作用コイル224aに電流を供給するように構成される。前に説明したように、どの加熱要素24が制御回路23によって加熱されるかを選択するための技法のいずれも、使用者の吸引用のエアロゾルを生成するために、制御回路223による接触感知パネル229及び/又は吸引センサ230からの信号を受けることに応答して、どの作用コイル224aがエネルギーを与えられる(したがって、エアロゾル生成材料244のどの部分がそれに続いて加熱される)かを選択することに類似して適用することができる。
【0162】
上記では、作用コイル224a及びサセプタ224bが物品204とデバイス202との間に分散された誘導加熱エアロゾル供給システムを説明したが、作用コイル224a及びサセプタ224bがデバイス202内にのみ配置された誘導加熱エアロゾル供給システムが提供されてもよい。例えば、
図7を参照して、サセプタ224bは、誘導作用コイル224aの上方に設けられて、(
図1に示したエアロゾル供給システム1と類似の方法で)サセプタ224bがキャリア構成要素242の下面に接触するように配置されてもよい。
【0163】
したがって、
図8は、本開示に説明した技法を適用することができ、誘導加熱がエアロゾル供給デバイス202に使用されて、使用者の吸引用のエアロゾルを生成することができる、より具体的な実施様態を説明している。
【0164】
上記では、エアロゾル生成材料の個別部分にエネルギーを与えるためにエアロゾル生成構成要素24(例えば、ヒーター要素)の配列が設けられたシステムを説明したが、他の実施様態では、物品4及び/又はエアロゾル生成構成要素24は互いに対して移動するように構成されてもよい。すなわち、物品4のキャリア構成要素42に設けられたエアロゾル生成材料44の個別部分よりもエアロゾル生成構成要素24が少なくてもよく、その結果、エアロゾル生成材料44の個別部分のそれぞれに個別にエネルギーを与えることができるようにするために、物品4とエアロゾル生成構成要素24との相対移動が必要となる。例えば、可動加熱要素24が受け部25に対して移動することができるように、可動加熱要素24は受け部25内に設けられてもよい。このようにして、可動加熱要素24は、加熱要素24がエアロゾル生成材料44の個別部分のそれぞれと位置合わせすることができるように、(例えば、キャリア構成要素42の幅方向及び長さ方向に)並進移動することができる。この手法は、同様の使用者体験を提供しながら、必要とするエアロゾル生成構成要素42の数を減少させることができる。
【0165】
上記では、エアロゾル生成材料44の離散的、空間的に別の部分がキャリア構成要素42に配置される実施様態を説明したが、他の実施様態では、エアロゾル生成材料が離散的、空間的に別の部分に設けられず、その代わりにエアロゾル生成材料44の連続シートとして設けられてもよいことを認識すべきである。これらの実施様態では、エアロゾル生成材料44のシートの特定の領域は、上記とほぼ同じ態様でエアロゾルを生成するように選択的に加熱されてもよい。しかしながら、これらの部分が空間的に別であるかどうかにかかわらず、本開示は、エアロゾル生成材料44の部分を加熱(又はエアロゾル化)することを説明した。特に、加熱要素24(又は、より詳細には、温度が上昇するように設計された加熱要素24の表面)の寸法に基づいて、エアロゾル生成材料の連続シート上に(エアロゾル生成材料の部分に相当する)領域が画定されてもよい。この点について、加熱要素24の対応する領域が、エアロゾル生成材料のシートに投影されたとき、エアロゾル生成材料の領域又は部分を画定すると考えられてもよい。本開示によれば、エアロゾル生成材料の各領域又は各部分は20mg以下の質量を有することがあるが、連続シート全体は20mgより大きい質量を有してもよい。
【0166】
上記では、デバイス2に取り付けられた接触感知パネル29を用いてデバイス2を設定又は操作することができる実施様態を説明したが、その代わりにデバイス2は遠隔で設定又は制御されてもよい。例えば、制御回路23は、制御回路23にスマートフォンなどの遠隔デバイスと通信することを可能にする、対応する通信回路(例えば、Bluetooth)を備えてもよい。したがって、接触感知パネル29は、実質的に、スマートフォン上で走るアプリなどを用いて実装されてもよい。次いで、スマートフォンは、使用者の入力又は設定を制御回路23に送信することができ、制御回路23は、受信した入力又は設定に基づいて動作するように構成されてもよい。
【0167】
上記では、エアロゾル生成材料44にエネルギーを与える(例えば、エアロゾル生成材料44を加熱する)ことによってエアロゾルが生成され、その後、使用者によって吸引される実施様態を説明したが、いくつかの実施様態では、使用者によって吸引される前にエアロゾルの1つ以上の特性を改変するために、生成されたエアロゾルがエアロゾル改質構成要素の中又は上を通ってもよいことを認識すべきである。例えば、エアロゾル供給デバイス2、202は、エアロゾル生成材料44の下流の空気流路に挿入された空気透過性インサート(図示せず)を備えてもよい(例えば、インサートは出口28に配置されてもよい)。インサートは、エアロゾルが使用者の口に入る前、インサートを通過するときに、エアロゾルの香味、温度、粒子の大きさ、ニコチン濃度などのいずれか1つ以上を変化させる材料を含んでもよい。例えば、インサートは、タバコ又は処理済みタバコを含んでもよい。このようなシステムは、ハイブリッドシステムと呼ばれることがある。インサートは、任意の適切なエアロゾル改質材料を含んでもよく、これは上記のエアロゾル生成材料を含んでもよい。
【0168】
上記では、エアロゾル供給デバイス2が使用終了表示器31を備える実施様態を説明したが、使用終了表示器31は、エアロゾル供給デバイス2から離れた別のデバイスによって提供されてもよいことを認識すべきである。例えば、いくつかの実施様態では、エアロゾル供給デバイス2の制御回路23は、例えば、エアロゾル供給デバイス2とスマートフォン又はスマートウォッチなどの遠隔デバイスとの間のデータ転送を可能にする通信機構を備えてもよい。これらの実施様態では、物品4が使用終了に到達したと制御回路23が決定すると、制御回路23は信号を遠隔デバイスに送信するように構成され、遠隔デバイスは、(例えば、スマートフォンのディスプレイを使用して)警告信号を生成するように構成される。他の遠隔デバイス、及び警告信号を生成するための他の機構が、上記のように使用されてもよい。
【0169】
いくつかの実施様態では、物品4は、読取可能なバーコード又はRFIDタグなどの識別子を備えてもよく、エアロゾル供給デバイス2は、対応する読取器を備える。物品がデバイス2の受け部25に挿入されると、デバイス2は、物品4に付いている識別子を読み取るように構成されてもよい。制御回路23は、物品4の存在を認識する(したがって、加熱を許可する及び/又は寿命終了表示器をリセットする)、又はエアロゾル生成材料の部分のタイプ及び/若しくは物品4に対する位置を識別するように構成されてもよい。これは、制御回路23がどの部分をエアロゾル化するか、並びに/又は、例えば、エアロゾル生成温度及び/若しくは加熱時間を調節することによって、これらの部分がエアロゾル化される方法に影響を与えることができる。物品4を認識するための任意の適切な技法が使用されてもよい。
【0170】
加えて、エアロゾル生成材料の部分がキャリア構成要素42上に設けられるとき、これらの部分は、いくつかの実施様態では、キャリア構成要素42の平面にほぼ垂直な方向に脆弱領域、例えば、貫通孔又は比較的薄いエアロゾル生成材料の領域を含んでもよい。これは、エアロゾル生成材料の最も熱い部分がキャリア構成要素に直接接触する領域である場合(言い換えれば、熱が、キャリア構成要素42に接触するエアロゾル生成材料の表面に主に加えられるシナリオ)にあり得る。したがって、貫通孔は、キャリア構成要素42とエアロゾル生成材料44との間にエアロゾルを潜在的に蓄積させるのではなく、生成されたエアロゾルが逃げ、環境/デバイス2を通る空気の流れに放出されるための経路を提供することができる。エアロゾルのこのような蓄積は、いくつかの実施様態では、エアロゾル生成材料をキャリア構成要素42から浮き上がらせ、したがってエアロゾル生成材料への熱伝達の効率を下げるので、システムの加熱効率を下げ得る。エアロゾル生成材料の各部分は、必要に応じて1つ以上の脆弱領域を備えてもよい。
【0171】
したがって、互いに異なる組成を有するエアロゾル生成材料の部分を備えるエアロゾル生成品からエアロゾルを生成する方法が説明された。本方法は、第1の成分を含む第1のエアロゾル生成材料を加熱して、第1のエアロゾル生成材料からエアロゾルを生成するステップと、第1の成分とは異なる第2の成分を含む第2のエアロゾル生成材料を加熱して、第2のエアロゾル生成材料からエアロゾルを生成するステップとを含む。第1のエアロゾル生成材料を加熱するステップ及び第2のエアロゾル生成材料を加熱するステップが実質的に同時に行われるように構成される。これは、エアロゾル生成材料の個々の部分のそれぞれから生成されたエアロゾルの組合せを含むエアロゾルを提供することができる。エアロゾル供給デバイス及びエアロゾル供給システムについても説明されている。
【0172】
上記の実施形態は、いくつかの点で、いくつかの特定の例示的なエアロゾル供給システムに注目したが、同じ原理を他の技術を使ったエアロゾル供給システムに対して適用することができることは認識されよう。すなわち、エアロゾル供給システムの様々な態様が機能する特定の態様は、本明細書で説明した例の基本的な原理には直接関係しない。
【0173】
様々な課題に対処し、技術を進歩させるため、本開示は、特許請求される発明(複数可)を実施することが可能な様々な実施形態を例証によって示している。本開示の利点及び特徴は、実施形態のうちの代表的な例にすぎず、すべての利点や特徴を網羅したものでもなければ、他の利点や特徴を排除するものでもない。これらは、特許請求される発明(複数可)の理解及び教示を助けるためだけに提示されている。本開示の利点、実施形態、例、機能、特徴、構造、及び/又は他の態様は、特許請求の範囲によって規定されたとおりに本開示を限定するもの、又は特許請求の範囲の均等物を制限するものと考えるべきではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく他の実施形態を利用することができること、及び変形を施すことができることを理解されたい。様々な実施形態が、本明細書で詳細に説明されたもの以外の、開示された要素、構成要素、特徴、部品、ステップ、手段などの様々な組合せを適切に備えてもよく、それらのみから構成されてもよく、又は実質的にそれらから構成されてもよく、したがって、従属請求項の特徴は、特許請求の範囲に明示的に記載されたもの以外の組合せで、独立請求項の特徴と組み合わされてもよいことは認識されよう。本開示は、現在は特許請求されていないが将来特許請求される可能性のある他の発明を含む可能性がある。