(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-14
(45)【発行日】2025-01-22
(54)【発明の名称】手袋
(51)【国際特許分類】
A41D 19/015 20060101AFI20250115BHJP
A41D 19/00 20060101ALI20250115BHJP
【FI】
A41D19/015 210A
A41D19/00 P
(21)【出願番号】P 2023124364
(22)【出願日】2023-07-31
【審査請求日】2024-03-01
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 美津濃株式会社、2024 Spring&Summer Collection コンペティションスポーツ事業部 販売店様用冊子 発行日:令和5年6月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005935
【氏名又は名称】美津濃株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000040
【氏名又は名称】弁理士法人池内アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】正本 和也
【審査官】嘉村 泰光
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第206120446(CN,U)
【文献】登録実用新案第3045040(JP,U)
【文献】登録実用新案第3075651(JP,U)
【文献】特開2000-073214(JP,A)
【文献】特開2001-003208(JP,A)
【文献】特開2022-1678(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D 19/015
A41D 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース部、及び滑り止め部を含む手袋であって、
前記ベース部は、着用時に着用者の手の甲及び手の平を覆う本体部を含み、
前記滑り止め部は、前記ベース部の手の平側の表面に配置されている表側滑り止め部及び前記ベース部の手の甲側の裏面に配置されている裏側滑り止め部を含み、
前記表側滑り止め部は、前記本体部の手の平側の表面に配置されている表側滑り止め部Aを含み、
前記裏側滑り止め部は、前記本体部の手の甲側の裏面に配置されている裏側滑り止め部Xを含
み、
前記ベース部は、編物で構成されている、手袋。
【請求項2】
ベース部、及び滑り止め部を含む手袋であって、
前記ベース部は、着用時に着用者の手の甲及び手の平を覆う本体部、及び着用者の指を覆う指部を含み、
前記滑り止め部は、前記ベース部の手の平側の表面に配置されている表側滑り止め部及び前記ベース部の手の甲側の裏面に配置されている裏側滑り止め部を含み、
前記表側滑り止め部は、前記指部の手の平側の表面に配置されている表側滑り止め部B含み、
前記裏側滑り止め部は、前記指部の手の甲側の裏面に配置されている裏側滑り止め部Yを含
み、
前記ベース部は、編物で構成されている、手袋。
【請求項3】
前記ベース部は、着用時に着用者の指を覆う指部を含む、請求項1に記載の手袋。
【請求項4】
前記表側滑り止め部は、前記指部の手の平側の表面に配置されている表側滑り止め部Bを含み、
前記裏側滑り止め部は、前記指部の手の甲側の裏面に配置されている裏側滑り止め部Yを含む、請求項3に記載の手袋。
【請求項5】
前記滑り止め部は、樹脂で構成されており、前記表側滑り止め部を構成する樹脂は、前記裏側滑り止め部を構成する樹脂と異なる、請求項1、2及び4のいずれかに記載の手袋。
【請求項6】
前記滑り止め部においても、ベース部面積に対する樹脂面積の比率は15~85%である、請求項5に記載の手袋。
【請求項7】
表側滑り止め部B及び裏側滑り止め部Yは、いずれも、指部の指先近辺に配置されている、請求項2又は4に記載の手袋。
【請求項8】
前記指部の指先部の破裂強度は、300kPa以上である、請求項2又は4に記載の手袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手袋に関する。
【背景技術】
【0002】
手袋は、手の保護や防寒のために広く用いられており、従来から、作業やスポーツ時の手袋に、手が滑らないように滑り止め部を設けることが行われている。例えば、特許文献1には、手の平(手掌とも称される。)に対応する側の表面と、手の指の付け根部から指の腹部に対応する裏面に滑り止め加工面を形成した作業用手袋が記載されている。特許文献2には、スポーツ用手袋の内面の掌側に設けられた取付領域に取付可能な滑り止め部材を備えたスポーツ用手袋が記載されている。特許文献3には、手掌部の表面に配置された表面滑り止め部材及び手掌部の裏面に配置された裏面滑り止め部材を備えた手袋が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実開平01-098117号公報
【文献】登録実用新案第3197474号公報
【文献】特開2022-001678号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1及び2では、手袋の掌側の表面に滑り止め部材を配置しているが、連続的な動作を続けることによって、動作を開始する前に比べ手袋と手の間に滑りが発生し、手の感覚が劣る問題があった。また、特許文献3では、手袋の掌側の表面及び裏面に滑り止め部材を配置しているが、該滑り止め部材が手の掌側に直接接することで、手の感覚が劣る問題があった。
【0005】
本発明は、前記従来の問題を解決するため、着用時に、対象物と手の間の滑り及び手袋と手の間の滑りを抑制することでき、手の感触が良好な手袋を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、ベース部、及び滑り止め部を含む手袋であって、前記ベース部は、着用時に着用者の手の甲及び手の平を覆う本体部を含み、前記滑り止め部は、前記ベース部の手の平側の表面に配置されている表側滑り止め部、及び前記ベース部の手の甲側の裏面に配置されている裏側滑り止め部を含み、前記表側滑り止め部は、前記本体部の手の平側の表面に配置されている表側滑り止め部Aを含み、前記裏側滑り止め部は、前記本体部の手の甲側の裏面に配置されている裏側滑り止め部Xを含む手袋に関する。
【0007】
本発明は、また、ベース部、及び滑り止め部を含む手袋であって、前記ベース部は、着用時に着用者の手の甲及び手の平を覆う本体部、及び着用者の指を覆う指部を含み、前記滑り止め部は、前記ベース部の手の平側の表面に配置されている表側滑り止め部及び前記ベース部の手の甲側の裏面に配置されている裏側滑り止め部を含み、前記表側滑り止め部は、前記指部の手の平側の表面に配置されている表側滑り止め部B含み、前記裏側滑り止め部は、前記指部の手の甲側の裏面に配置されている裏側滑り止め部Yを含む手袋に関する。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、着用時に、対象物と手の間の滑り及び手袋と手の間の滑りを抑制することができ、手の感触が良好な手袋を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一例の手袋(左手)の手の甲側の模式的表面図である。
【
図2】同手袋(左手)の手の平側の模式的表面図である。
【
図3】同手袋(左手)の手の甲側の模式的裏返し裏面図である。
【
図4】同手袋(左手)の手の平側の模式的裏返し裏面図である。
【
図5】同手袋(左手)を平置きした状態の手の平側の模式的表面図である。
【
図6】同手袋(左手)を平置きした状態の手の甲側の模式的裏返し表面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明者は、手袋の手の平側の表面及び裏面に滑り止め部を設けた今までの手袋とは異なる発想で、手袋の手の平側の表面に表側滑り止め部を設けるとともに、手袋の手の甲側の裏面に裏側滑り止め部を設けることで、驚くことに、該手袋を着用した際に、対象物と手の間の滑り及び手袋と手の間の滑りを抑制することでき、手の感覚を阻害せずにできるだけ素手感覚を維持し得ることを見出した。具体的には、手袋の手の平側の裏面には滑り止め部がないことで、着用時に着用者の手の平側に手袋の滑り止め部が直接接しないことから、手の感覚を損なうことがない。また、該手袋を着用して作業やスポーツを行う際に、手袋の手の平側の表面に設けた表側滑り止め部によって対象物と手の間の滑りが抑制されるとともに、手袋の手の甲側の裏面に設けた裏側滑り止め部によって手袋内部における手袋と手の間の滑りも抑制することができ、手の良好な感覚を維持することができる。本明細書において、手袋の表面は外部に露出される側を意味し、手袋の裏面は外部に露出されない側、すなわち手袋を着用した際に手に接する側を意味する。
【0011】
本発明の1以上の実施形態において、手袋は、ベース部を含み、ベース部は、少なくとも、着用時に着用者の手の甲及び手の平を覆う本体部を含む。また、ベース部は、指を含む手の全体を保護しやすい観点から、本体部に加えて、着用時に着用者の指を覆う指部を含むことが好ましい。指部は、少なくとも基節部を覆うものでもよいが、指先までの指全体を覆うものであることが好ましい。指部は、5本の指のそれぞれに対応する親指部、人さし指部、中指部、薬指部及び小指部からなる。本明細書において、特に指摘がない場合は、指部は5本の指部を意味する。ベース部は、また、着用時に着用者の手首を覆う手首部を有することが望ましい。また、手首部の長さは、必要に応じて適宜調整してもよく、着用時に着用者の腕の一部を覆うような長さでもよい。
【0012】
ベース部は、特に、限定されず、通常の手袋用各種素材で構成することができる。例えば、ベース部は、布地で構成してもよい、革で構成してもよい。布地は、編物でもよく、織物でもよい。織物としては、例えば、平織、斜文織、朱子織、変化平織、変化斜文織、変化朱子織、変わり織、紋織、片重ね織、二重組織、多重組織、経パイル織、緯パイル織、絡み織などが挙げられる。編物としては、例えば丸編、緯編、経編(トリコット編、ラッセル編を含む)、パイル編、平編、天竺編、リブ編、スムース編(両面編)、ゴム編、パール編、デンビー組織、コード組織、アトラス組織、鎖組織、挿入組織などが挙げられる。作業やスポーツを行う際の手の感覚を素手感覚により近似させる観点から、縫い代を持たない編物や織物で構成することが好ましく、縫い代を持たない編物で構成することがより好ましい。
【0013】
ベース部の厚みは、特に限定されないが、例えば、作業やスポーツを行う際の手の感覚を素手感覚により近似させつつ、耐久性を高める観点から、0.05~20mmであることが好ましく、0.10~10mmであることがより好ましい。布地の目付及び厚みは、実施例に記載のとおりに測定することができる。
【0014】
布地を構成する繊維としては、特に限定されず、例えばポリエチレンテレフタレート(以下、PETとも記す。)、ポリトリメチレンテレフタレート(以下、PTTとも記す。)、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル繊維、ポリエチレン繊維等のポリオレフィン繊維、ポリウレタン繊維、ポリアミド繊維、アセテート繊維、コットン、レーヨン繊維、エチレンビニルアルコール繊維、ナイロン繊維などを用いることができる。
【0015】
指先に力がかかる作業やスポーツに用いる手袋、例えば、バレーボール用手袋等の手袋の場合、ベース部は本体部及び指全体を覆う指部を含み、指部の指先部は、破裂強さが高いことが好ましく、例えば、JIS L 1096 A法(ミューレン形法)に従って測定した破裂強さが350kPa以上であることが好ましく、600kPa以上であることがより好ましい。破裂強さを高くするには、指先部を、ポリエステル繊維の一種であるPTTとPETの複合繊維を含む糸を用いた編物で構成することが好ましい。PTTとPETの複合繊維としては、例えば、帝人フロンティア株式会社製のソロテックス(登録商標)を好適に用いることができる。PTTとPETの複合繊維を含む糸は、ソロテックス(登録商標)100%からなる糸でもよく、ソロテックス(登録商標)とコットンを含む糸でもよい。
【0016】
手袋において、指先部以外のベース部は、耐久性の観点から、摩擦強度が高い布地で構成されることが好ましく、例えば、JIS L1096 A-1法に従って測定した摩擦回数が5000回以上であることが好ましい。摩擦強度を高めるには、布地にはドイツDraron社製のアクリル繊維であるドラロン(登録商標)を含む糸を用いることが好ましく、ドラロン(登録商標)及びコットン繊維を含む糸を用いてもよい。
【0017】
滑り止め部は、ベース部の表面又は裏面に凸部を形成することで、滑り止め効果を付与することができればよく、その素材は特に限定されないが、滑り止め効果を高める観点から、樹脂で構成することが好ましい。樹脂としては、特に限定されず、例えば、弾性を有するものを用いることができる。弾性を有する樹脂としては、例えば、シリコーン樹脂、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリアミドエラストマー、ポリエステルエラストマー、ゴム系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、及びアクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体、アクリル樹脂等が挙げられる。前記樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0018】
滑り止め部において、滑り止め効果を発揮しつつ、通気性を保つ観点から、ベース部面積に対する樹脂面積の比率(以下において、単に樹脂面積率とも記す。)が15~85%であることが好ましく、25~75%であることがより好ましく、35~65%であることがさらに好ましい。本明細書において、樹脂面積率は、平置きした状態の手袋において、滑り止め部が配置された領域のベース部面積に対する樹脂面積の割合を示すものである。
【0019】
滑り止め部は、ベース部の手の平側の表面に配置されている表側滑り止め部及びベース部の手の甲側の裏面に配置されている裏側滑り止め部を含む。表側滑り止め部及び裏側滑り止め部は、同じ種類の樹脂で構成されてもよく、異なる種類の樹脂で構成されてよい。表側滑り止め部による対象物と手の間の滑り及び裏側滑り止め部による手袋と手の間の滑りを効果的に抑制する観点から、表側滑り止め部及び裏側滑り止め部は、異なる種類の樹脂で構成されていることが好ましい。
【0020】
対象物と手の間の滑り及び手袋と手の間の滑りを抑制しつつ、手の感覚を阻害せずにできるだけ素手感覚を維持しやすい観点から、裏側滑り止め部は、シリコーン樹脂、ポリウレタン、ポリアミドエラストマー、ポリエステルエラストマー、ゴム系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ポリエチレン、ナイロン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、及びアクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体からなる群から選ばれる1種以上を含む樹脂で構成することが好ましく、シリコーン樹脂で構成することがより好ましい。対象物と手の間の滑りをより効果的に抑制する観点から、表側滑り止め部は、ポリプロピレン、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミドエラストマー、ポリエステルエラストマー、ゴム系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ポリエチレン、ナイロン、及びアクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体からなる群から選ばれる1種以上を含む樹脂で構成することが好ましく、アクリル樹脂で構成することがより好ましい。
【0021】
ベース部が本体部及び指部を含む場合、表側滑り止め部は、本体部の手の平側の表面に配置されている表側滑り止め部A及び/又は指部の手の平側の表面に配置されている表側滑り止め部Bを含んでもよい。表側滑り止め部Aにより、対象物を握りやすくなる。表側滑り止め部Bにより、対象物をつかみやすくなる。指部を使う作業やスポーツの際の対象物と指の間の滑りをより効果的に抑制する観点から、表側滑り止め部Aに加えて、及指部の手の平側の表面に配置されている表側滑り止め部Bを含むことが好ましい。
【0022】
表側滑り止め部は、複数の樹脂突起で形成されてもよい。本明細書において、複数とは、2以上を意味する。複数の樹脂突起は、同じ形状でもよく、異なる形状でもよい。樹脂突起は、異方性の形状でもよい。本明細書において、異方性とは長手方向と短手方向を有することを意味する。例えば、樹脂突起は、帯状又は略帯状であってもよい。
【0023】
表側滑り止め部Aにおいて、滑り止め効果を発揮しつつ、通気性を保つ観点から、ベース部面積に対する樹脂面積の比率(以下において、単に樹脂面積率とも記す。)が15~85%であることが好ましく、25~75%であることがより好ましく、35~65%であることがさらに好ましい。表側滑り止め部Aにおけるベース部の面積とは、平置きした状態の手袋において、表側滑り止め部Aの外周で囲まれている領域のベース部の面積をいう。
【0024】
表側滑り止め部Aは、手袋の手長方向に沿って複数の列をなした複数の樹脂突起で構成されてもよい。樹脂突起が帯状又は略帯状の場合、手長方向の樹脂突起の列は、2以上でもよい。各々の列は、複数、例えば、2以上の互いに離れている樹脂突起で構成されてもよい。各列を構成する樹脂突起の数は同じでもよく、異なってもよい。各々の列において、複数の樹脂突起は長手方向が同じ方向になるように配置されることが好ましく、複数の樹脂突起は長手方向が斜め方向になるように配置されることがより好ましい。手袋の手の平側において、親指側を外側、小指側を内側、指先側を上側、手首側を下側とした場合、各々の列において、複数の樹脂突起は長手方向が外側から内側に向けて斜め下方向になるように配置されてもよく、複数の樹脂突起は長手方向が外側から内側に向けて斜め上方向になるように配置されてもよい。同じ列を構成する複数の樹脂突起は、長さ(長手方向のサイズ)及び幅(短手方向のサイズ)は、同じでもよく、異なってもよい。異なる列を構成する複数の樹脂突起は、長さ及び幅は、同じでもよく、異なってもよい。樹脂突起の手長方向の間隔は、同じでもよく、異なってもよい。樹脂突起の手幅方向の間隔は、同じでもよく、異なってもよい。
【0025】
表側滑り止め部Aは、着用時に四指基底部、拇指球部及び小指球部の少なくとも一部を覆う領域に配置することで形成することができ、具体的には、四指基底部の表側滑り止め部A1、拇指球部の表側滑り止め部A2及び小指球部の表側滑り止め部A3を有してもよい。
【0026】
表側滑り止め部Bにおいても、滑り止め効果を発揮しつつ、通気性を保つ観点から、樹脂面積率が15~85%であることが好ましく、25~75%であることがより好ましく、35~65%であることがさらに好ましい。表側滑り止め部Bにおけるベース部の面積とは、平置きした状態の手袋において、表側滑り止め部Bの外周で囲まれている領域のベース部の面積をいう。
【0027】
表側滑り止め部Bは、指先近辺に配置されることが好ましく、着用時に親指は指先近辺から第1関節までを覆う領域、人さし指、中指、薬指及び小指のそれぞれは指先近辺から第2関節までを覆う領域に配置することがより好ましい。指先に力がかかる作業やスポーツ時に好適に用いることができる。
【0028】
表側滑り止め部Bは、親指の指先近辺に配置された表側滑り止め部B1、人さし指の指先近辺に配置された表側滑り止め部B2、中指の指先近辺に配置された表側滑り止め部B3、薬指の指先近辺に配置された表側滑り止め部B4、及び小指の指先近辺に配置された表側滑り止め部B5を含むことが好ましい。
【0029】
表側滑り止め部Bは、手袋の手長方向に沿って複数の列をなした複数の樹脂突起で構成されてもよい。樹脂突起が帯状又は略帯状の場合、表側滑り止め部B1~B5において、手長方向の樹脂突起の列は、2以上でもよい。各々の列は、複数、例えば、2以上の互いに離れている樹脂突起で構成されてもよい。各列を構成する樹脂突起の数は同じでもよく、異なってもよい。各々の列において、複数の樹脂突起は長手方向が同じ方向になるように配置されることが好ましく、複数の樹脂突起は長手方向が斜め方向になるように配置されることがより好ましい。各々の列において、複数の樹脂突起は長手方向が外側から内側に向けて斜め下方向になるように配置されてもよく、複数の樹脂突起は長手方向が外側から内側に向けて斜め上方向になるように配置されてもよい。同じ列を構成する複数の樹脂突起は、長さ(長手方向のサイズ)及び幅(短手方向のサイズ)は、同じでもよく、異なってもよい。異なる列を構成する複数の樹脂突起は、長さ及び幅は、同じでもよく、異なってもよい。樹脂突起の手長方向の間隔は、同じでもよく、異なってもよい。樹脂突起の手幅方向の間隔は、同じでもよく、異なってもよい。
【0030】
ベース部が本体部及び指部を含む場合、裏側滑り止め部は、本体部の手の甲側の裏面に配置されている裏側滑り止め部X及び/又は指部の手の甲側の裏面に配置されている裏側滑り止め部Yを含んでもよい。これにより、連続作業をしやすくなる。指部を使う連続的な動作が必要な作業やスポーツの際の手袋内部における手袋と手や指の間の滑りによる指部の回転をより効果的に抑制する観点から、裏側滑り止め部Xに加えて、指部の手の甲側の裏面に配置されている裏側滑り止め部Yを含むことが好ましい。
【0031】
裏側滑り止め部は、複数の樹脂突起で構成されてもよい。複数の樹脂突起は、同じ形状でもよく、異なる形状でもよい。樹脂突起は、異方性を有するものでもよい。例えば、樹脂突起は、帯状又は略帯状であってもよい。
【0032】
裏側滑り止め部Xにおいて、滑り止め効果を発揮しつつ、通気性を保つ観点から、樹脂面積率が15~85%であることが好ましく、25~75%であることがより好ましく、35~65%であることがさらに好ましい。裏側滑り止め部Xにおけるベース部の面積とは、平置きした状態の手袋において、裏側滑り止め部Xの外周で囲まれている領域のベース部の面積をいう。
【0033】
裏側滑り止め部Xは、手袋の手長方向に沿って複数の列をなした複数の樹脂突起で構成されてもよい。手長方向の樹脂突起の列は、2以上でもよい。各々の列は、複数、例えば、2以上の互いに離れている樹脂突起で構成されてもよい。各列を構成する樹脂突起の数は同じでもよく、異なってもよい。各々の列において、複数の樹脂突起は長手方向が同じ方向になるように配置されることが好ましく、複数の樹脂突起は長手方向が斜め方向になるように配置されることがより好ましい。手袋の手の甲側を裏返した状態において、親指側を外側、小指側を内側、指先側を上側、手首側を下側とした場合、各々の列において、複数の樹脂突起は長手方向が外側から内側に向けて斜め下方向になるように配置されてもよく、複数の樹脂突起は長手方向が外側から内側に向けて斜め上方向になるように配置されてもよい。同じ列を構成する複数の樹脂突起は、長さ(長手方向のサイズ)及び幅(短手方向のサイズ)は、同じでもよく、異なってもよい。異なる列を構成する複数の樹脂突起は、長さ及び幅は、同じでもよく、異なってもよい。樹脂突起の手長方向の間隔は、同じでもよく、異なってもよい。樹脂突起の手幅方向の間隔は、同じでもよく、異なってもよい。
【0034】
裏側滑り止め部Xは、着用時に四指基底部、拇指球部及び小指球部の少なくとも一部に対応する手の甲側を覆う領域に配置することで形成することができ、具体的には、四指基底部に対応する裏側滑り止め部X1、拇指球部に対応する裏側滑り止め部X2及び小指球部に対応する裏側滑り止め部X3を有してもよい。
【0035】
裏側滑り止め部Yにおいても、滑り止め効果を発揮しつつ、通気性を保つ観点から、樹脂面積率が15~85%であることが好ましく、25~75%であることがより好ましく、35~65%であることがさらに好ましい。裏側滑り止め部Yにおけるベース部の面積とは、平置きした状態の手袋において、裏側滑り止め部Yの外周で囲まれている領域のベース部の面積をいう。
【0036】
裏側滑り止め部Yは、指先近辺に配置されることが好ましく、着用時に親指は指先近辺から第1関節までを覆う領域、人さし指、中指、薬指及び小指のそれぞれは指先近辺から第2関節までを覆う領域に配置することがより好ましい。指先に力がかかる作業やスポーツ時に好適に用いることができる。
【0037】
裏側滑り止め部Yは、親指の指先近辺に配置された裏側滑り止め部Y1、人さし指の指先近辺に配置された裏側滑り止め部Y2、中指の指先近辺に配置された裏側滑り止め部Y3、薬指の指先近辺に配置された裏側滑り止め部Y4、及び小指の指先近辺に配置された裏側滑り止め部Y5を含むことが好ましい。
【0038】
裏側滑り止め部Yは、手袋の手長方向に沿って複数の列をなした複数の樹脂突起が構成されてもよい。裏側滑り止め部Y1~Y5のにおいて、手長方向の樹脂突起の列は、2以上でもよい。各々の列は、複数、例えば、2以上の互いに離れている樹脂突起で構成されてもよい。各列を構成する樹脂突起の数は同じでもよく、異なってもよい。各々の列において、複数の樹脂突起は長手方向が同じ方向になるように配置されることが好ましく、複数の樹脂突起は長手方向が斜め方向になるように配置されることがより好ましい。手袋の手の平側を裏返した状態において、親指側を外側、小指側を内側、指先側を上側、手首側を下側とした場合、各々の列において、複数の樹脂突起は長手方向が外側から内側に向けて斜め下方向になるように配置されてもよく、複数の樹脂突起は長手方向が外側から内側に向けて斜め上方向になるように配置されてもよい。同じ列を構成する複数の樹脂突起は、長さ(長手方向のサイズ)及び幅(短手方向のサイズ)は、同じでもよく、異なってもよい。異なる列を構成する複数の樹脂突起は、長さ及び幅は、同じでもよく、異なってもよい。樹脂突起の手長方向の間隔は、同じでもよく、異なってもよい。樹脂突起の手幅方向の間隔は、同じでもよく、異なってもよい。
【0039】
手袋の製造方法は、特に限定されないが、例えば、手袋編機(島精機製作所製の手袋編機SFG-1等)を用い、指部、本体部及び手首部を含む滑り止め部をシームレスに編成した後、所定の箇所に樹脂で滑り止め部を形成することが作製することができる。滑り止め部は、例えば、上述した樹脂材料を流動可能な状態(例えば、液状)でプリント加工(転写プリントを含む)により塗布し、加熱し、硬化させることで形成することができる。より具体的には、5本指の手形板を滑り止め部に挿入した後、上述した樹脂材料を流動可能な状態(例えば、液状)でプリント加工により滑り止め部の本体部の手の平側の表面及び/又は指部の手の平側の表面の所定の箇所に塗布し、加熱し、硬化させることで表側滑り止め部を形成した後、5本指の手形板を外し、表側滑り止め部が形成された本体部を裏返した後、再度5本指の手形板を裏返した本体部に挿入し、上述した樹脂材料を流動可能な状態(例えば、液状)でプリント加工により滑り止め部の本体部の手の甲側の裏面及び/又は指部の手の甲側の裏面の所定の箇所に塗布し、加熱し、硬化させることで裏側滑り止め部を形成することができる。表側滑り止め部及び裏側滑り止め部は、異なる種類の樹脂で構成することが好ましく、裏側滑り止め部を構成する樹脂を加熱硬化する温度は、表側滑り止め部を構成する樹脂を加熱硬化する温度より低いことが好ましい。
【0040】
手袋の用途は、特に限定されず、日常生活用でもよく、作業用でもよく、及びスポーツ練習用でもよい。作業としては、手を使う作業であればよく特に限定されないが、例えば、土木、建築、運送、内装作業等が挙げられる。スポーツとしては、手を使うスポートであればよく特に限定されないが、バレーボール、野球、ソフトボール、ゴルフ、スキー等が挙げられる。
【0041】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。本発明は、図面に示した実施形態に限定されない。
【0042】
図1~6は、本発明の1例の手袋に関する。
図1は、本発明の一例の手袋(左手)の手の甲側の模式的表面図である。
図2は、同手袋(左手)の手の平側の模式的表面図である。
図3は、同手袋(左手)の手の甲側の模式的裏返し裏面図である。
図4は、同手袋(左手)の手の平側の模式的裏返し裏面図である。
図5は、同手袋(左手)を平置きした状態の手の平側の模式的表面図である。
図6は、手袋(左手)を平置きした状態の手の甲側の模式的裏返し表面図である。
【0043】
該実施形態の手袋1は、ベース部2及び滑り止め部3を含む。ベース部2は、着用時に着用者の指を覆う指部21、手の甲及び手の平を覆う本体部22、手首を覆う手首部23を含む。滑り止め部3は、樹脂で構成されており、指部及び本体部のいずれか一方又は両方の手の平側の表面に配置されている表側滑り止め部30と、指部及び本体部のいずれか一方又は両方の手の甲側の裏面に配置されている裏側滑り止め部40を含む。
【0044】
該実施形態において、表側滑り止め部30は、
図2に示されているように、本体部の手の平側の表面に配置されている表側滑り止め部A(31)、及び指部の手の平側の表面に配置されている表側滑り止め部B(32)を含む。
【0045】
該実施形態において、表側滑り止め部A(31)は、
図2に示されているように、手袋の手長方向に沿って7個の列をなした複数の樹脂突起で構成されている。各々の列は、10個の互いに離れている樹脂突起で構成されている。手袋の手の平側において、親指側を外側、小指側を内側、指先側を上側、手首側を下側とした場合、外側から内側に向う順番で第1列、第3列、第5列及び第7列の各列において、10個の短冊状の樹脂突起は、いずれも、長手方向が外側から内側に向けて斜め下方向になるように配置され、第2列、第4列及び第6列の各列において、10個の短冊状の樹脂突起は、いずれも、長手方向が外側から内側に向けて斜め上方向になるように配置されている。なお、表側滑り止め部A(31)において、樹脂突起の列の数、及び各列における樹脂突起の数は、適宜変更してもよい。
全ての列において、上から3番目と4番目の樹脂突起の間隔は、その他の隣接する樹脂突起の間隔より広い。全ての列の上から1番目から3番目までの樹脂突起は、着用時に四指基底部の少なくとも一部を覆う領域に配置された四指基底部の表側滑り止め部A1(131)と見なすことができる。また、第3列の上から4番目から10番目の樹脂突起のそれぞれと、第4列の上から4番目から10番目の樹脂突起のそれぞれの手の幅方向の間隔は、その他の手の幅方向で隣接する樹脂突起の間隔より広い。第1列から第3列の上から4番目から10番目の樹脂突起の群は、着用時に拇指球部の少なくとも一部を覆う領域に配置された拇指球部の表側滑り止め部A2(231)と見なすことができ、第4列から第7列の上から4番目から10番目の樹脂突起の群は、着用時に小指球部の少なくとも一部を覆う領域に配置された小指球部の表側滑り止め部A3(331)と見なすことができる。
表側滑り止め部A(31)が、このような四指基底部の表側滑り止め部A1(131)、拇指球部の表側滑り止め部A2(231)、及び小指球部の表側滑り止め部A3(331)を含むことで、手袋の着用性が良好になり、対象物を握りやすくなる。
【0046】
該実施形態において、表側滑り止め部B(32)は、
図2に示されているように、親指の指先近辺からIP関節までを覆う領域に配置されている親指表側滑り止め部B1(132)、人さし指の指先近辺からPIP関節までを覆う領域に配置された人さし指表側滑り止め部B2(232)、中指の指先近辺からPIP関節までを覆う領域に配置された中指表側滑り止め部B3(332)、薬指の指先近辺からPIP関節までを覆う領域に配置された薬指表側滑り止め部B4(432)、及び小指の指先近辺からPIP関節までを覆う領域に配置された小指表側滑り止め部B5(532)を含む。
親指表側滑り止め部B1(132)、人さし指表側滑り止め部B2(232)、中指表側滑り止め部B3(332)、薬指表側滑り止め部B4(432)及び小指表側滑り止め部B5(532)は、
図2に示されているように、いずれも手袋の手長方向に沿って2個の列をなした複数の樹脂突起で形成されている。手袋の手の平側において、親指側を外側、小指側を内側、指先側を上側、手首側を下側とした場合、外側から内側に向う順番で第1列において、複数の短冊状の樹脂突起は、いずれも、長手方向が外側から内側に向けて斜め上方向になるように配置され、第2列において、複数の短冊状の樹脂突起は、いずれも、長手方向が外側から内側に向けて斜め下方向になるように配置されている。
親指表側滑り止め部B1(132)において、第1列を構成する樹脂突起の数は4個であり、第2列を構成する樹脂突起の数は5個である。
人さし指表側滑り止め部B2(232)において、第1列を構成する樹脂突起の数は6個であり、第2列を構成する樹脂突起の数は7個である。
中指表側滑り止め部B3(332)において、第1列を構成する樹脂突起の数は7個であり、第2列を構成する樹脂突起の数は7個である。
薬指表側滑り止め部B4(432)において、第1列を構成する樹脂突起の数は7個であり、第2列を構成する樹脂突起の数は6個である。
小指表側滑り止め部B5(532)において、第1列を構成する樹脂突起の数は5個であり、第2列を構成する樹脂突起の数は5個である。
なお、表側滑り止め部A(32)において、樹脂突起の列の数、及び各列における樹脂突起の数は、適宜変更してもよい。
【0047】
表側滑り止め部A(31)及び表側滑り止め部B(32)において、樹脂面積率が15~85%であることが好ましく、25~75%であることがより好ましく、35~65%であることがさらに好ましい。
図5において、表側滑り止め部A(31)における滑り止め部の面積とは、ドットで示されている領域101の面積に該当し、人差し指部の表側滑り止め部B(32)における滑り止め部の面積とは、ドットで示されている領域102の面積に該当する。
【0048】
該実施形態において、裏側滑り止め部40は、
図3に示されているように、本体部の手の平側の表面に配置されている裏側滑り止め部X(41)、及び指部の手の平側の表面に配置されている裏側滑り止め部B(42)を含む。
【0049】
該実施形態において、裏側滑り止め部X(41)は、
図3に示されているように、手袋の手長方向に沿って7個の列をなした複数の樹脂突起で構成されている。各々の列は、10個の互いに離れている樹脂突起で構成されている。手袋の手の甲側を裏返した状態において、親指側を外側、小指側を内側、指先側を上側、手首側を下側とした場合、外側から内側に向う順番で第1列、第3列、第5列及び第7列の各列において、10個の短冊状の樹脂突起は、いずれも、長手方向が外側から内側に向けて斜め下方向になるように配置され、第2列、第4列及び第6列の各列において、10個の短冊状の樹脂突起は、いずれも、長手方向が外側から内側に向けて斜め上方向になるように配置されている。なお、裏側滑り止め部X(41)において、樹脂突起の列の数、及び各列における樹脂突起の数は、適宜変更してもよい。
全ての列において、上から3番目と4番目の樹脂突起の間隔は、その他の隣接する樹脂突起の間隔より広い。全ての列の上から1番目から3番目までの樹脂突起は、着用時に四指基底部の少なくとも一部に対応する手の甲側を覆う領域に配置された四指基底部の裏側滑り止め部X1(141)と見なすことができる。また、第3列の上から4番目から10番目の樹脂突起のそれぞれと、第4列の上から4番目から10番目の樹脂突起のそれぞれの手の幅方向の間隔は、その他の手の幅方向で隣接する樹脂突起の間隔より広い。第1列から第3列の上から4番目から10番目の樹脂突起の群は、着用時に拇指球部の少なくとも一部に対応する手の甲を覆う領域に配置された拇指球部の裏側滑り止め部X2(241)と見なすことができ、第4列から第7列の上から4番目から10番目の樹脂突起の群は、着用時に小指球部の少なくとも一部に対応する手の甲側を覆う領域に配置された小指球部の裏側滑り止め部X3(341)と見なすことができる。
裏側滑り止め部X1(41)が、このような四指基底部の裏側滑り止め部X1(141)、拇指球部の裏側滑り止め部X2(241)、及び小指球部の裏側滑り止め部X3(341)を含むことで、手袋の着用性が良好になり、対象物を握りやすくなる。
【0050】
該実施形態において、裏側滑り止め部Y(42)は、
図3に示されているように、親指の指先近辺からIP関節までを覆う領域に配置されている親指裏側滑り止め部Y1(142)、人さし指の指先近辺からPIP関節までを覆う領域に配置された人さし指裏側滑り止め部Y2(242)、中指の指先近辺からPIP関節までを覆う領域に配置された中指裏側滑り止め部Y3(342)、薬指の指先近辺からPIP関節までを覆う領域に配置された裏側滑り止め部Y4(442)、及び小指の指先近辺からPIP関節までを覆う領域に配置された裏側滑り止め部Y5(542)を含む。
親指裏側滑り止め部Y1(142)、人さし指裏側滑り止め部Y2(242)、中指裏側滑り止め部Y3(342)、薬指裏側滑り止め部Y4(442)及び小指裏側滑り止め部Y5(542)は、
図3に示されているように、いずれも手袋の手長方向に沿って2個の列をなした複数の樹脂突起で形成されている。手袋の手の甲側を裏返した状態において、親指側を外側、小指側を内側、指先側を上側、手首側を下側とした場合、外側から内側に向う順番で第1列において、複数の短冊状の樹脂突起は、いずれも、長手方向が外側から内側に向けて斜め上方向になるように配置され、第2列において、複数の短冊状の樹脂突起は、いずれも、長手方向が外側から内側に向けて斜め下方向になるように配置されている。
親指裏側滑り止め部Y1(142)において、第1列を構成する樹脂突起の数は4個であり、第2列を構成する樹脂突起の数は5個である。
人さし指裏側滑り止め部Y2(242)において、第1列を構成する樹脂突起の数は6個であり、第2列を構成する樹脂突起の数は7個である。
中指裏側滑り止め部Y3(342)において、第1列を構成する樹脂突起の数は7個であり、第2列を構成する樹脂突起の数は7個である。
薬指裏側滑り止め部Y4(442)において、第1列を構成する樹脂突起の数は7個であり、第2列を構成する樹脂突起の数は6個である。
小指裏側滑り止め部Y5(542)において、第1列を構成する樹脂突起の数は5個であり、第2列を構成する樹脂突起の数は5個である。
なお、裏側滑り止め部Y(42)において、樹脂突起の列の数、及び各列における樹脂突起の数は、適宜変更してもよい。
【0051】
裏側滑り止め部X(41)及び裏側滑り止め部Y(42)においても、樹脂面積率が15~85%であることが好ましく、25~75%であることがより好ましく、35~65%であることがさらに好ましい。
図6において、裏側滑り止め部X(41)における滑り止め部の面積とは、ドットで示されている領域201の面積に該当し、人差し指部の裏側滑り止め部Y(42)における滑り止め部の面積とは、ドットで示されている領域202の面積に該当する。
【0052】
該実施形態の手袋1において、指先部11は着用時に破裂強さが高くなるようにポリエステル繊維の一種であるPTTとPETの複合繊維を含む糸で編成することが好ましい。
【実施例】
【0053】
以下、本発明の実施例について述べるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0054】
実施例及び比較例で用いた測定方法を説明する。
(1)布地の厚み
布地の厚みは、ダイヤルシックネスゲージ((株)尾崎製作所製のPEACOCK ダイヤルシックネスゲージG-2型)を用いて測定した。
(2)指先部の破裂強さ
JIS L 1096 A法(ミューレン形法)に従って測定した。
(3)摩擦強さ
JIS L1096 A-1法に従って測定した。
【0055】
(実施例1)
(I)滑り止め部の作製
<使用糸>
指先部:ポリエステル繊維(PTTとPETの複合繊維、帝人フロンティア社製「SOLOTEX(登録商標)」)100%からなるフィラメント糸(167dtex、フィラメント数60本)
その他部分:コットン50%とドイツドラロン社製のアクリル繊維(ドラロン(登録商標))50%の混紡糸(綿番手:32/2)
<編成方法>
手袋編機(島精機製作所製の「手袋編機SFG-1」)を用い、15ゲージで、指部及び本体部の編組織は天竺編みとし、手首部の編組織は天竺編みのゴムリブとし、
図1~4に示すようなベース部(23サイズ)を作製した。指部及び本体部の厚みは1.50mmであり、手首部の厚みは1.90mmであった。
(II)表側滑り止め部の形成
滑り止め部の本体部の手の平側の表面及び指部の手の平側の表面にアクリル樹脂を塗布し、約130℃で約2分間加熱して硬化させて、
図2に示すように表側滑り止め部A(31)及び表側滑り止め部B(32)を形成した。表側滑り止め部A(31)の樹脂面積率は46%であり、表側滑り止め部B(32)の面積率は52%である。
(III)裏側滑り止め部の形成
表側滑り止め部を形成した後、本体部を裏返し、滑り止め部の本体部の手の甲側の裏面及び指部の手の甲側の裏面にシリコーン樹脂を塗布し、約120℃で約2分間加熱して硬化させることで裏側滑り止め部X(41)及び裏側滑り止め部Y(42)を形成した。裏側滑り止め部X(41)の樹脂面積率は46%であり、裏側滑り止め部Y(42)の面積率は52%である。
表側滑り止め部A(31)、表側滑り止め部B(32)、裏側滑り止め部X(41)及び裏側滑り止め部Y(42)が形成された箇所の手袋の厚みはいずれも1.85mmであった。また、得られた手袋1双の重さは30gであった。
【0056】
(比較例1)
裏側滑り止め部を形成せずに、実施例1と同様にしてベース部及び表側滑り止め部を形成し、比較例1とした。
【0057】
実施例1において、指先部の破裂強さをJIS L 1096 A法(ミューレン形法)に従って測定した結果、破裂強さは394kPaであった。また、実施例1において、本体部の摩擦回数を、JIS L1096 A-1法に従って測定した結果、摩擦回数が5000回以上であった。
【0058】
(着用試験)
実施例1及び比較例1の手袋を、35名の被験者(年齢:13~50歳、女性:5名、男性:30名)に着用させ、バレーボールでレシーブやトスを1時間行い、バレーボールと手の間の滑りの程度、手袋内部における手袋と手の間の滑り程度、及び手の感覚を下記のような基準で官能評価し、その結果の平均点を下記表1に示した。
<バレーボールと手の間の滑りの程度の評価基準>
1点:素手での動作に比べて非常にすべる
2点:素手での動作に比べて少しすべる
3点:素手での動作に比べて遜色ない(滑らない)
<手袋内部における手袋と手の間の滑りによるズレ程度の評価基準>
1点:着用開始時と比べて、ズレが大きい
2点:着用開始時と比べて、ややズレが発生する
3点:着用開始時と比べて、ズレが発生しない
<手の感覚の評価基準>
1点:素手での動作に比べて全く違う
2点:素手での動作に比べて少し気になる
3点:素手での動作に比べて遜色ない(素手に近い)
【0059】
【0060】
上記表1の結果から分かるように、実施例の手袋を着用し、連続的な動作を行った際、対象物と手(指を含む手の全体)の間の滑り及び手袋と手(指を含む手の全体)の間の滑りを効果的に抑制することでき、手の感触も良好であった。
【符号の説明】
【0061】
1 手袋
2 ベース部
3 滑り止め部
11 指先部
21 指部
22 本体部
23 手首部
30 表側滑り止め部
31、131、231、331、 本体部の表側滑り止め部A
32、132、232、332、432、532 指部の表側滑り止め部B
40 裏側滑り止め部
41、141、241、341 本体部の裏側滑り止め部X
42、142、242、342、442、542 指部の裏側滑り止め部Y
101 表側滑り止め部A(31)における滑り止め部に対応する領域
102 人差し指部の表側滑り止め部B(32)における滑り止め部に対応する領域
201 裏側滑り止め部X(41)における滑り止め部に対応する領域
202 人差し指部の裏側滑り止め部Y(42)における滑り止め部に対応する領域
【要約】 (修正有)
【課題】着用時に、対象物と手の間の滑り及び手袋と手の間の滑りを抑制することでき、手の感触が良好な手袋を提供する。
【解決手段】本発明は、ベース部、及び滑り止め部を含む手袋であって、前記ベース部は、着用時に着用者の手の甲及び手の平を覆う本体部を含み、前記滑り止め部は、前記ベース部の手の平側の表面に配置されている表側滑り止め部、並びに前記ベース部の手の甲側の裏面に配置されている裏側滑り止め部を含み、前記表側滑り止め部は、前記本体部の手の平側の表面に配置されている表側滑り止め部Aを含み、前記裏側滑り止め部は、前記本体部の手の甲側の裏面に配置されている裏側滑り止め部Xを含む手袋に関する。
【選択図】
図3