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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-14
(45)【発行日】2025-01-22
(54)【発明の名称】ペンインジェクタのための汎用結合装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/315 20060101AFI20250115BHJP
   A61M 5/172 20060101ALI20250115BHJP
   A61M 5/20 20060101ALI20250115BHJP
【FI】
A61M5/315 550Z
A61M5/172
A61M5/315 550A
A61M5/20
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023141275
(22)【出願日】2023-08-31
(62)【分割の表示】P 2021513798の分割
【原出願日】2019-08-29
(65)【公開番号】P2023159442
(43)【公開日】2023-10-31
【審査請求日】2023-10-02
(31)【優先権主張番号】62/730,506
(32)【優先日】2018-09-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/746,855
(32)【優先日】2018-10-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】595117091
【氏名又は名称】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アミット リメイエ
(72)【発明者】
【氏名】ジェレミー ガートナー
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ ポンセ デ レオン
【審査官】中村 一雄
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2010/098927(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0368265(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0051762(US,A1)
【文献】国際公開第2018/136717(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/037331(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0147362(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/315
A61M 5/172
A61M 5/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペンインジェクタ(100)と共に使用するための変位測定装置(102)であって、
ペンインジェクタの本体(112)に取り外し可能に取り付けられるように適合された静止部(110)と、
ペンインジェクタのアクチュエータ(114)に取り外し可能に取り付けられるように適合された可動部(106)と、
前記静止部(110)と前記可動部(106)との間の変位を測定する変位測定装置を含み、
前記静止部(110)は、前記ペンインジェクタの前記本体(112)を把持するための静止部把持機構を含み、
前記可動部(106)は、前記ペンインジェクタの前記アクチュエータ(114)を把持するための可動部把持機構を含み、
前記静止部把持機構は、
互いに反対の方向から前記ペンインジェクタの前記本体の外面を把持する、対向する把持部材であって、前記対向する把持部材は、前記対向する把持部材にそれぞれ接続されたスライドボタンが、互いに離れるように付勢されているとき、前記ペンインジェクタの前記本体を把持し、前記スライドボタンが互いに向かって押されたときに、前記ペンインジェクタの前記本体を解放する、前記対向する把持部材と、
前記ペンインジェクタの前記本体のばねチャネルに配置された少なくとも1つのばねであって、前記ばねは、前記対向する把持部材が前記ペンインジェクタの前記本体を把持するよう、前記スライドボタンを互いに離れるように付勢する、前記ばねと、
を含むことを特徴とする変位測定装置(102)。
【請求項2】
請求項1に記載の変位測定装置であって、前記変位測定装置は、前記静止部と前記可動部との間の線形変位を測定する線形変位測定装置と、前記可動部の2つの要素の間の回転変位を測定する回転変位測定装置を含むことを特徴とする変位測定装置。
【請求項3】
請求項1に記載の変位測定装置であって、前記変位測定装置は、エンコーダを含むことを特徴とする変位測定装置。
【請求項4】
請求項1に記載の変位測定装置であって、前記把持部材は、前記ペンインジェクタの前記本体に対応するように形作られていることを特徴とする変位測定装置。
【請求項5】
請求項1に記載の変位測定装置であって、前記変位測定装置から信号を受信し、前記信号に基づいて変位データを記録するための電子機器と、前記データを遠隔装置に送信するための無線トランシーバをさらに含むことを特徴とする変位測定装置。
【請求項6】
請求項5に記載の変位測定装置であって、前記静止部は、前記電子機器用のハウジングを含むことを特徴とする変位測定装置。
【請求項7】
請求項1に記載の変位測定装置であって、前記変位測定装置と通信するコントローラをさらに備え、前記コントローラは、前記変位測定装置から受信された信号に基いて、用量が不達であったと決定することを特徴とする変位測定装置。
【請求項8】
請求項7に記載の変位測定装置であって、検出された閉塞を示すための可聴または視覚インジケータをさらに含むことを特徴とする変位測定装置。
【請求項9】
請求項1に記載の変位測定装置であって、さらに、注入の経過時間の聴覚的または視覚的フィードバックを、ユーザに提供するように適合されたカウントダウンタイマーを含むことを特徴とする変位測定装置。
【請求項10】
請求項1に記載の変位測定装置であって、さらに、前記変位測定装置に、無線通信リンクによって接続されたモバイル装置と、前記モバイル装置に、通信リンクによって接続された、遠隔サーバとを含み、前記変位測定装置は、変位に関連するデータを、前記モバイル装置に提供し、前記モバイル装置は、前記データの少なくとも一部を、前記遠隔サーバに通信することを特徴とする変位測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、それぞれ、2018年9月12日および2018年10月17日に出願された、仮出願番号62/730,506および62/746,855の米国特許法第119条に基づく利益を主張し、それぞれの内容全体が、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、一般に、薬の投与量測定装置に関する。より具体的には、本発明は、アクチュエータの動きを検出し、それに基づいて用量を記録する、ペンインジェクタ用の付属品に関する。
【背景技術】
【0003】
糖尿病は、インスリン産生、インスリン作用、またはその両方の欠陥に起因する、高レベルの血糖値によって特徴づけられる一群の疾患である。糖尿病は、深刻な健康上の合併症や早死につながり得るが、病気を制御し、合併症のリスクを低減するのに役立つ、糖尿病の人々にとって、良く知られた製品が存在する。
【0004】
糖尿病の人々の治療オプションは、特別食、経口薬、および/または、インスリン療法を含む。糖尿病治療の主な目標は、合併症のない生活の見込みを高めるために、患者の血糖値(糖)レベルを制御することである。しかし、他の生活上の要求や状況のバランスを取りながら、優れた糖尿病管理を達成することは、必ずしも容易ではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ペンインジェクタは、伝統的に、インスリン療法を必要とする人々に、インスリンを注入する、便利で持ち運び可能な手段を提供してきた。しかし、インスリンペンによる糖尿病管理が成功であるためには、患者が、医療提供者によって指示されるように薬の用量を投与し、また、それらを適切に注入することが重要である。インスリンが体に適切に吸収されるように、インスリンペンは、注入直後の一定期間、患者によって、同じ位置に保持されるべきである。医療提供者は、また、患者の糖尿病管理を評価することにおいて、彼らを支援するように、注入量と時間の正確な記録を有することを望む。現在、これらの機能は手動で実行される。患者は、薬剤の全用量が皮膚に吸収されて患者に送達されることを保証するために、薬剤を注入し、特定の数、たとえば10まで数えるように指示される。同様に、注入後、患者は、注入されたインスリンの量と注入の時間を記録することを期待される。既存のペンインジェクタは豊富であるが、適切な注入技術でユーザを支援せず、記録せず、または、医療提供者に用量記録を伝達しない。したがって、ユーザがインスリンを適切に注入するのを支援し、成功または失敗の用量を記録し、その情報をユーザおよびその医療提供者に伝達するための装置に対する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の例示的な実施形態の一態様は、上記および他の懸念に実質的に対処し、インスリンペンに普遍的に取り付け可能な、取り外しできる装置を提供することである。この装置は、ペン本体とアクチュエータを把持し、アクチュエータの線形および回転変位を測定する。プライミングおよび用量は、好ましくは記録され、モバイル装置に送信される。モバイル装置のディスプレイは、注入中の患者に保持時間を提供する。
【0007】
本発明の例示的な実施形態のさらなる態様は、汎用アドオンをペンインジェクタに設置し、次にペンインジェクタアクチュエータの相対運動を測定し、投与量、および、投与時間のような、運動に関するデータを記録することを含む、注入方法を提供することである。
【0008】
本発明の例示的な実施形態の別の態様は、ペンインジェクタの本体およびアクチュエータを解放可能に把持するための把持部材を含む、ペンインジェクタ用の汎用アドオンを提供することである。把持部材は、互いに向かってバイアスされ、対向する把持部材に接続された、対向するボタンを押すことによって、取り付けられ、解放される。
【0009】
本発明の追加の、および/または、他の態様および利点は、以下の記載において説明されるか、記載から明らかになるか、または、本発明の実施によって学習され得るであろう。本発明は、上記の態様のうちの1つ以上、および/または、1つ以上の特徴およびそれらの組み合わせを有する、方法または装置またはシステムを含み得る。本発明は、例えば、添付の特許請求の範囲に記載されるように、上記の態様の1つまたは複数の特徴および/または組み合わせを含み得る。
【0010】
本発明の例示的な実施形態の様々な目的、利点、および新規の特徴は、添付の図面と併せて読むと、以下の詳細な説明からより容易に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の例示的な実施形態の構成図である。
図2】本発明の例示的な実施形態のブロック図である。
図3】ペンインジェクタに取り付けられた本発明の例示的な実施形態の等角図である。
図4A】異なる線形伸長位置における、本発明の実施形態の等角図である。
図4B】異なる線形伸長位置における、本発明の実施形態の等角図である。
図4C】異なる線形伸長位置における、本発明の実施形態の等角図である。
図5A】異なる回転位置における、本発明の例示的な実施形態の異なる図である。
図5B】異なる回転位置における、本発明の例示的な実施形態の異なる図である。
図5C】異なる回転位置における、本発明の例示的な実施形態の異なる図である。
図6】ペンインジェクタに取り付けられた、本発明の例示的な実施形態の正面図である。
図7図6の組み合わせの断面図である。
図8図7に示される実施形態の拡大断面図である。
図9】ペンインジェクタに取り付けられた、本発明の一実施形態の側面図である。
図10】ペンインジェクタに取り付けられた装置の断面図である。
図11】装置の拡大断面図である。
図12】本発明の例示的な実施形態の上面図である。
図13図12の実施形態の断面図である。
図14図12の実施形態の別の断面図である。
図15図12の実施形態の他の断面図である。
図16】本発明の実施形態の断面図である。
図17】本発明の実施形態の代わりの断面図である。
図18】本明細書に記載の装置の例示的な使用方法による、例示的な方法のフローチャートである。
図18A】本明細書に記載の装置の例示的な使用方法による、例示的な方法のフローチャートである。
図18B】本明細書に記載の装置の例示的な使用方法による、例示的な方法のフローチャートである。
図19】本発明の例示的な実施形態によるシステムのシステムダイヤグラムである。
図20A】本発明の例示的な実施形態による、モバイル装置上の例示的なディスプレイである。
図20B】本発明の例示的な実施形態による、モバイル装置上の例示的なディスプレイである。
図20C】本発明の例示的な実施形態による、モバイル装置上の例示的なディスプレイである。
図20D】本発明の例示的な実施形態による、モバイル装置上の例示的なディスプレイである。
図21】本発明の例示的な実施形態によるシステムのシステムダイヤグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図面全体を通して、類似の参照番号は、同様の特徴、要素、および構造を指すと理解されるであろう。
【0013】
当業者によって理解されるように、本明細書に開示される本発明の実施形態による計量システムの実施例、改良、および、配置を実行する多くの方法が存在する。図面および以下の説明に示される例示的な実施形態に参照がなされるであろうが、本明細書に開示される実施形態は、開示される発明に含まれる様々な代替の設計および実施形態を網羅することを意味するものではなく、当業者は、本発明から逸脱することなく、様々な修正がなされ得、様々な組み合わせがなされ得ることを容易に理解するであろう。
【0014】
図1に示されるように、本発明の例示的な実施形態は、変位測定装置102を備えたペンインジェクタ100を含み、変位測定装置102は、好ましくは、可動部および静止部を含む。可動部は、可動部ホルダー104および可動部106を含む。静止部は、静止部ホルダー108および静止部110を含む。図示されるように、静止部ホルダー108は、ペンインジェクタの本体112に取り付け、静止部110を支持する。キャリパ可動部ホルダー104は、ペンインジェクタ100のアクチュエータ要素114に取り付け、キャリパ可動部106を支持する。図示されるように、可動部106と静止部110は互いに隣接して配置され、アクチュエータ部114の相対変位が、キャリパ可動部106とキャリパ静止部110との相対運動により、検出され得る。アクチュエータ要素114は、好ましくは、ペンインジェクタの設定ノブである。変位測定装置102は、好ましくは、設定ノブの線形変位と回転変位の両方を測定することができる。測定された変位から注入量が計算され得るように、好ましくは、電子機器が含まれる。計算された注入量が、その後、ユーザに送られ得るように、好ましくは、さらなる電子機器が設けられる。ペンインジェクタに変位測定装置102を含むことにより、多くの利点が得られる。視覚的なフィードバックが、成功裏の用量送達をリアルタイムで確かめるために、ユーザに提供され得る。視覚的フィードバックは、装置102からデータを受信するモバイル装置などで提供され得る。以下でさらに詳細に説明されるように、装置102は、好ましくは、一般的なインスリンペンに対する汎用フィットを有する。装置102は、患者およびその医療介護者に対して、用量送達の通信および追跡を可能にし、ペンインジェクタの使用を記録し、接続されたモバイル装置を介して同じ内容を表示する。また、効果的な注入に必要な保持時間の視覚的なガイドを提供し得る。これは、選択された用量の投与の開始を合図するインジェクタのサムプレスの作動によってトリガーされる、カウントダウンタイマーまたはユーザへのストップウォッチ表示の形をとり得る。
【0015】
上述されるように、変位測定装置は、好ましくは、多くの既存のペンインジェクタで利用され得るアドオン装置である。図2は、本発明の例示的な実施形態を示すブロック図である。図示されるように、ペンインジェクタ100は、典型的には、本体112、設定ノブ114、および、バイアルキャップ116を含む。ペンインジェクタに対する汎用アドオンとも称され得る変位測定装置102は、静止キャリパ118および可動キャリパ120を備える。静止キャリパ118は、電池124によって電力を供給されるマイクロコントローラ122を含み、線形変位検出器126および回転変位検出器128から入力を受け取る。マイクロコントローラ122は、また、無線通信ユニット130に結合され、接続されたモバイル装置などの遠隔装置への通信を可能にする。可動キャリパ120は、さらに、ロータリーエンコーダ132およびリニアエンコーダ134を含む。静止キャリパ118および可動キャリパ120は、また、それぞれ、汎用アドオンが、ペンインジェクタ100の本体112およびノブ114に取り付けられることを可能にする、それぞれのボタンの対136、138を含む。
【0016】
図3は、ペンインジェクタ100に取り付けられた汎用アドオン102の等角図を示す。汎用アドオン装置102は、好ましくは、装置102が、ペンインジェクタ100に取り付けられ、ばね様の方式で、ペンインジェクタ100を把持することを可能にする、ばね式機構を含む。ボタン136および138は、これらの機構の開放を可能にし、ボタンの解放は、装置102が、対向する把持部材の把持力によって、ペンインジェクタ100に取り付けられることをもたらす。図3からも理解され得るように、キャリパ可動部134およびキャリパ静止部135は相互作用して、装置102が、ペンインジェクタ100の本体112に対するボタン/ノブ114の線形変位を検出することを可能にする。ここでは、一対のボタンが、把持部材がペンインジェクタ本体を把持することを可能にする機構として説明されるが、当業者は、他の機構、すなわち、ボタンのような任意の弾性係合、留め金、バンドなど、チャックなどの回転ねじ係合、および、締まり嵌めまたはスナップオンフィットなどが、容易に置き換えられ得ることを認識するであろう。
【0017】
図4Aから4Cは、装置102によって検出される線形変位を示す。キャリパ可動部106は、図4Aにおいて、キャリパ静止部110に完全に挿入される。キャリパ可動部106は、図4Bにおいて、キャリパ静止部110から部分的に移動させられる。キャリパ可動部106は、図4Cに示されるように、キャリパ静止部110から完全に伸ばされる。
【0018】
図5Aから5Cは、本発明の例示的な実施形態による回転測定を示す。用量ノブグリップ140は、好ましくは自由に回転し、エンコーダおよび検出器などの回転検出器を含む。図5Aは、第1の回転位置にある用量ノブグリップを示し、図5Bは、第2の回転位置にある用量ノブグリップ140を示し、図5Cは、第3の回転位置にある用量ノブグリップを示す。
【0019】
図6は、ペンインジェクタ100に取り付けられた装置102の側面図を示す。図7は、図6に示されるペンインジェクタと装置102の組み合わせの断面図である。図8は、特に装置102の部分を示す、図7の断面図の拡大図である。図示されるように、一連のばねチャネル150は、ペンインジェクタ100に把持力を提供するために、装置102を構成する構成要素の本体内に提供される。図9は、装置102とペンインジェクタ100の組み合わせの、図6から90°回転させられた側面図である。この図では、キャリパ静止部110がはっきりと視認できる。好ましくは、キャリパ静止部110は、また、上記のように、電子機器および無線通信装置を収容するためのハウジングを形成する。図10は、図9のペンインジェクタ100と装置102の組み合わせの断面図である。図11は、ペンインジェクタおよび装置102の一部の拡大図である。キャリパ静止部110内の電子機器領域152、ならびに、装置102が、回転部分の回転運動を検出することを可能にする、例示的な回転式フォトインタラプタ154が示される。
【0020】
図12は、ペンインジェクタ100に取り付けられた装置102の上面図である。図13および図14は、ばねチャネル150を示す断面上面図である。ばねチャネル内のばねは、2つの対向する把持部材154、156を強制的に引き離す傾向にある。対向する把持部材158、160は、ばねチャネル150に取り付けられたばねのばね力の下で、ペンインジェクタ100の外面を把持する。図15は、ペンノブの回転運動の検出を可能にする装置102の回転部分の一部を形成する、エンコーダディスク162を示す。図16および図17は、回転式フォトインタラプタ162および把持部材158および160を示す等角図からの代わりの断面図である。
【0021】
図18は、ペンインジェクタ100に関連して装置102を使用する、例示的な方法を示す。この方法は、主要なユーザアクション1802、結果1804、および、モバイルユニットなどのインターフェース装置との、または、それからの、通信または応答1806を含む。ステップ1808で、装置102は、ペンインジェクタ100に取り付けられる。このステップは、ペンインジェクタごとに1回だけ必要とされる。ステップ1808の後、装置102は、ペンインジェクタ100に取り付けられ、測定を行う準備ができる(ステップ1810)。ステップ1812で、ユーザは、ペンインジェクタ100上のセプタムを消毒する。ステップ1814で、ユーザは、ペンニードルをペンインジェクタ本体に取り付ける。ステップ1816で、ユーザは、通常2単位であるプライミング用量をダイヤルする。ペンインジェクタのダイヤルが回転させられたので、装置102は回転を感知し、接続されたモバイル装置に信号を送信する。このことは、装置とモバイル装置との間に通信接続を確立し、モバイル装置は、ステップ1818で「プライミング用量ダイヤル完」を表示する。ステップ1820で、ユーザはプライミング用量を送配し、ステップ1822で、移動が装置によって検出され、信号がモバイル装置に送信される。測定された動きは、予想される動きと比較される。ステップ1824で、方法は、プライミングが成功したかどうかを決定する。プライミングが失敗した場合(ステップ1826)、不成功のプライミングを示す信号が、モバイル装置に送信され、ステップ1828で、エラーが記録される。モバイル装置のディスプレイは、「針詰まりの確認」というメッセージを表示する。プライミングが成功した場合、プライミング用量は、ステップ1830で分配され、信号が、モバイル装置に送信される。ステップ1832で、信号が、モバイル装置に送信され、成功したプライミングイベントがモバイル装置によって記録され、メッセージ「ペンニードルプライミング終了、注入準備完」がモバイル装置に表示される。ステップ1834で、ユーザは、ペンインジェクタ100において注入用量をダイヤルする。ステップ1836で、信号が、モバイル装置に送信され、「X単位の用量ダイヤル完」が、モバイル装置に表示される。ステップ1838で、ユーザは、ペンニードルを皮膚に挿入する。ステップ1838で、ユーザは、ペンインジェクタのサムボタンを作動させて、用量を注入する。ステップ1840で、信号が、モバイル装置に送信され、装置の回転運動および直線運動検出器の測定値が、投薬の開始および終了を検出するために使用される。この間、10秒のカウントダウンなどのカウントダウンタイマーが、モバイル装置に表示され、ユーザが、注入部位に対して注入器を適切な時間維持することを支援し、ユーザが注入器を注入部位から時期尚早に引き抜かないことを確実にする。ステップ1842で、方法は、全用量が正常に送達されたかどうかを決定する。1つまたは複数の運動検出器の不完全な動きによって、全用量が送達されなかったと決定づけられた場合(ステップ1844)、次にステップ1846で、信号が、モバイル装置に送信され、エラーが記録される。モバイル装置は、「目標用量の不達」と表示する。全用量が正常に送達された場合(ステップ1848)、信号が、モバイル装置に送信され、成功した用量送達が、ステップ1850で記録される。モバイル装置は、「X単位の用量送達完」と表示する。ステップ1852で、ユーザは、ペンニードルをインジェクタから取り外す。ステップ1854で、ユーザは、ペンインジェクタキャップを交換し、ステップ1856で、一定期間の不活動状態の後、ペンインジェクタとモバイル装置との間の通信が中断される。
【0022】
図19は、本発明の例示的な実施形態によるシステムを示す。システムは、装置1902が取り付けられたペンインジェクタ1900、および、装置1902と通信するモバイル装置1904を含む。このシステムは、ユーザが、上記の注入方法を実行するために必要とされる要素を含む。
【0023】
図20A図20Dは、本発明の例示的な実施形態による、モバイル装置1904上の例示的なユーザインターフェースディスプレイである。図20Aは、ユーザがプライミング用量を設定したときに使用するための例示的なディスプレイを示す。ディスプレイは、「2単位用量プライム完」、「ペンニードルの取り付け」、「プライミングステップ完了準備完」と表示する。図20Bは、プライミングステップが失敗したときに使用するための、例示的なディスプレイを示す。ディスプレイは、「警告!!プライミングステップ不成功」、「針詰まりの確認」、「必要ならニードルを交換」、「プライミングステップの繰り返し」と表示する。図20Cは、ユーザがインジェクタを首尾よくプライミングしたときに使用するための、例示的なディスプレイを示す。ディスプレイは、「2単位用量送配」、「ペンニードルプライミング完」、「注入準備完」、「目標用量をダイヤル」と表示する。図20Dは、ユーザが、注入用量を設定し、ペンニードルを挿入し、そしてサムボタンを押したときに使用するための、例示的なディスプレイを示す。ディスプレイは、好ましくは、10秒からゼロまでカウントダウンするカウントダウンタイマーを表示し、それにより、ユーザは、インジェクタを所定の位置にどのくらい長く保持したかを知る。単発的にまたは漸増的に、モバイル装置は、また、好ましくは、経過時間の他の感覚的知覚でユーザを助けるために、可聴カウントダウンまたは一連の可聴表示を提供するようにプログラムされる。装置1902がディスプレイを含む実施形態では、前述のディスプレイのいくつかまたはすべてが、モバイル装置ディスプレイではなく、アタッチメント装置のディスプレイ上に提供され得ることが理解されるべきである。
【0024】
図21は、本発明の例示的な実施形態による、システム2100を示す。システム2100は、実質的に上記のような測定アドオン装置2102を備えたペンインジェクタ、モバイル装置2104、および遠隔サーバまたはクラウドストレージ2106を備える。アドオン装置の線形および回転運動測定装置は、好ましくは、無線通信リンク2108を介してモバイル装置に信号を送信する。このようにして、モバイル装置は、アドオン装置およびペンインジェクタ2102で発生するイベントを記録および分析し得、さらに、モバイル装置2104のディスプレイ2110上でユーザにフィードバックを提供する。次に、モバイル装置は、有利には、クラウドストレージなどであり得る、遠隔サーバ2106への無線通信リンクを有する。モバイル装置は、好ましくは、情報を遠隔サーバに送信し、情報は、医療提供者または他の関係者によってアクセスされ得る。遠隔サーバ2106に送信される情報は、モバイル装置2104によってペンインジェクタおよびアドオン装置2102から受信されたすべてのデータであり得、または、好ましくは、情報のサブセット、または、モバイル装置2104によって受信され、モバイル装置2104にインストールされたプログラム命令に従って分析された、情報の結果および/または要約であり得る。
【0025】
本発明のいくつかの例示的な実施形態のみが、先に詳細に説明されたが、当業者は、例示的な実施形態において多くの修正が可能であり、例示的な実施形態の様々な組み合わせが、本発明の新規の教示および利点から実質的に逸脱することなく可能であることを容易に理解するであろう。したがって、そのようなすべての修正は、本発明の範囲内に含まれることが意図される。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図18A
図18B
図19
図20A
図20B
図20C
図20D
図21