(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-14
(45)【発行日】2025-01-22
(54)【発明の名称】基板アセンブリ、基板、及び電子機器
(51)【国際特許分類】
G06F 3/041 20060101AFI20250115BHJP
【FI】
G06F3/041 660
(21)【出願番号】P 2023508149
(86)(22)【出願日】2021-03-22
(86)【国際出願番号】 JP2021011624
(87)【国際公開番号】W WO2022201224
(87)【国際公開日】2022-09-29
【審査請求日】2024-03-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000139403
【氏名又は名称】株式会社ワコム
(74)【代理人】
【識別番号】100176072
【氏名又は名称】小林 功
(74)【代理人】
【識別番号】100169225
【氏名又は名称】山野 明
(72)【発明者】
【氏名】久野 晴彦
(72)【発明者】
【氏名】門脇 淳
【審査官】日比野 可奈子
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-262884(JP,A)
【文献】特開2018-092320(JP,A)
【文献】特開2018-200572(JP,A)
【文献】特開2019-117315(JP,A)
【文献】特開2012-15021(JP,A)
【文献】特開2011-128673(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/041
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に延びて、前記第1方向と直交する方向に並んで配置される複数本の信号線からなる第1信号線群を含む第1基板と、
第2方向に延びて、前記第2方向と直交する方向に並んで配置される複数本の信号線からなる第2信号線群を含む第2基板と、
を備え、
前記第1基板と前記第2基板とは、前記第1信号線群及び前記第2信号線群を構成する信号線同士がそれぞれ一線状に繋がるように固定され、
前記第2基板上には、前記第2信号線群から前記第2基板の厚み方向に離間しつつ、前記第2信号線群、又は、前記第1信号線群に接続される複数の接続端子からなる第2接続端子群を横切るように延びる追加信号線が設けられ
、
前記追加信号線は、信号の送信を通じて、前記第1信号線群又は前記第2信号線群を構成する信号線との間で容量結合を形成するように構成される、基板アセンブリ。
【請求項2】
前記第1基板上には、前記第1信号線群から前記第1基板の厚み方向に離間しつつ、前記第1信号線群、又は、前記第2信号線群に接続される複数の接続端子からなる第1接続端子群を横切るように延びる
別の追加信号線が設けられ
、
前記別の追加信号線は、信号の送信を通じて、前記第1信号線群又は前記第2信号線群を構成する信号線との間で容量結合を形成するように構成される、
請求項1に記載の基板アセンブリ。
【請求項3】
前記第1基板と前記第2基板との間には、熱硬化性樹脂を含有する異方性導電膜が介在し、
前記第1基板と前記第2基板とは、前記異方性導電膜が介在する圧着部位にて熱加圧した状態で固定される、
請求項1に記載の基板アセンブリ。
【請求項4】
少なくとも1本の前記追加信号線は、前記第2方向に関して前記圧着部位よりも先端側の位置
に設けられる、
請求項3に記載の基板アセンブリ。
【請求項5】
少なくとも1本の前記追加信号線は、前記第2方向に関して前記圧着部位よりも後端側の位置
に設けられる、
請求項3に記載の基板アセンブリ。
【請求項6】
少なくとも1本の前記追加信号線は、前記圧着部位を含む位置
に設けられる、
請求項3に記載の基板アセンブリ。
【請求項7】
少なくとも2本の前記追加信号線は、前記第2方向に沿って前記圧着部位を挟むよう
に設けられる、
請求項3に記載の基板アセンブリ。
【請求項8】
前記第2信号線群は、前記第2基板の一方の主面上に設けられ、
前記追加信号線は、前記第2基板の他方の主面上に設けられる、
請求項1に記載の基板アセンブリ。
【請求項9】
前記第2信号線群及び前記追加信号線は、前記第2基板の一方の主面上に設けられる、
請求項1に記載の基板アセンブリ。
【請求項10】
前記第1基板は、タッチセンサを有する検出用基板であり、
前記第2基板は、可撓性を有するフレキシブル基板であり、
前記タッチセンサは、前記第1信号線群及び前記第2信号線群を介して、前記タッチセンサを制御するための集積回路と接続される、
請求項1に記載の基板アセンブリ。
【請求項11】
前記集積回路は、前記フレキシブル基板上に設けられる、
請求項10に記載の基板アセンブリ。
【請求項12】
基材と、
前記基材の一方の主面上に設けられ、並んで配置される複数本の信号線からなる信号線群、又は、並んで配置される複数の接続端子からなる接続端子群と、
前記基材の他方の主面上に設けられ、前記信号線群又は前記接続端子群を横切るように延びる1本以上の追加信号線と、
を備え
、
前記追加信号線は、信号の送信を通じて、前記信号線群を構成する信号線との間で容量結合を形成するように構成される、基板。
【請求項13】
請求項1~11のいずれか1項に記載の基板アセンブリを備える電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板アセンブリ、基板、及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電子回路基板上に実装された信号線が断線しているか否かを検査する技術が知られている。例えば、特許文献1には、複数本のライン電極を二次元格子状に配置してなる静電容量方式のタッチセンサに関する検査方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、基板同士の接続時に、異方性導電膜(ACF;Anisotropic Conductive Film)を用いた圧着加工が用いられる場合がある。この圧着加工には、半田付けやコネクタによる接続と比べて、低背化や挟ピッチ化を図りやすいという利点がある。ところが、圧接作業に伴って接続不良や断線などが生じる可能性が高まる。
【0005】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、より簡易な配線構造でありながら基板同士の接続状態を検査可能な基板アセンブリ、基板、及び電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の本発明における基板アセンブリは、第1方向に延びて、前記第1方向と直交する方向に並んで配置される複数本の信号線からなる第1信号線群を含む第1基板と、第2方向に延びて、前記第2方向と直交する方向に並んで配置される複数本の信号線からなる第2信号線群を含む第2基板と、を備え、前記第1基板と前記第2基板とは、前記第1信号線群及び前記第2信号線群を構成する信号線同士がそれぞれ一線状に繋がるように固定され、前記第2基板上には、前記第2信号線群から前記第2基板の厚み方向に離間しつつ、前記第2信号線群、又は、前記第1信号線群に接続される複数の接続端子である第2接続端子群を横切るように延びる追加信号線が設けられる。
【0007】
第2の本発明における基板は、基材と、前記基材の一方の主面上に設けられ、並んで配置される複数本の信号線からなる信号線群、又は、並んで配置される複数の接続端子からなる接続端子群と、前記基材の他方の主面上に設けられ、前記信号線群又は前記接続端子群を横切るように延びる1本以上の追加信号線と、を備える。
【0008】
第3の本発明における電子機器は、第1の本発明における基板アセンブリ又は第2の本発明における基板を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、より簡易な配線構造でありながら基板同士の接続状態を検査することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の第1実施形態における基板アセンブリとしてのセンサ基板群が組み込まれた電子機器の分解斜視図である。
【
図2】
図1に示すセンサ基板群の部分平面図である。
【
図4】
図2及び
図3のセンサ基板群における接続状態の判定方法の一例を示す図である。
【
図5】第1実施形態の第1変形例におけるセンサ基板群の断面図である。
【
図6】第1実施形態の第2変形例におけるセンサ基板群の部分平面図である。
【
図7】本発明の第2実施形態における表示用基板の平面図である。
【
図8】本発明の第3実施形態における基板アセンブリとしてのセンサ基板群の部分平面図である。
【
図9】
図8のセンサ基板群における接続状態の判定方法の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。なお、本発明は、以下の第1~第3実施形態及び変形例に限定されるものではなく、この発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。あるいは、技術的に矛盾が生じない範囲で各々の構成を任意に組み合わせてもよい。
【0012】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態における基板アセンブリ及び電子機器について、
図1~
図4を参照しながら説明する。
【0013】
<全体構成>
図1は、本発明の第1実施形態における基板アセンブリとしてのセンサ基板群18が組み込まれた電子機器10の分解斜視図である。電子機器10は、電子回路基板が搭載される様々な種類の機器であってもよく、例えば、電子ペンとともに用いられるタブレット型のコンピュータである。この電子機器10は、背面側から順に、背面カバー12と、メイン基板14と、表示パネル16と、センサ基板群18と、正面カバー20と、を積層して構成される。
【0014】
背面カバー12及び正面カバー20は、電子機器10内の電子部品を収容する筐体をなす部材である。正面カバー20には、その主面に形成された開口の全面を覆うように、透光性が高い保護パネル22が設けられている。
【0015】
メイン基板14は、電子機器10を作動するための電気回路を構成する基板である。メイン基板14の上には、例えば、ホストプロセッサ、メモリ、表示パネル16の駆動IC(Integrated Circuit)、センサ基板群18と接続するためのコネクタ、無線通信モジュール、電源回路などの様々な電子部品が配置される。
【0016】
表示パネル16は、例えば、液晶パネル、有機EL(Electro Luminescence)パネル、電子ペーパーなどによって構成される。表示パネル16は、行方向及び列方向に配列されたマトリクス状の信号線に駆動電圧を印加して複数の画素を駆動することで、表示領域内に画像又は映像を表示する。
【0017】
センサ基板群18は、表示パネル16に対して外側から取り付ける「外付け型」のタッチパネルとして機能する。センサ基板群18は、指示位置の検出機能を有する検出用基板30(第1基板)と、可撓性を有するフレキシブル基板50(第2基板)と、を備える。ここで、検出用基板30とフレキシブル基板50とは、コネクタレスにより電気的に接続される。
【0018】
検出用基板30は、ユーザの指や電子ペンによる指示位置を検出可能なタッチセンサ32を有する。タッチセンサ32は、線状又はブロック状のセンサ電極(不図示)が面状に配置されてなる。
【0019】
フレキシブル基板50には、タッチセンサ32の駆動制御を行う集積回路(以下、「タッチ制御用IC52」という)が実装される。この実装方法は、FOC(Chip on Film)であってもよいし、TAB(Tape Automated Bonding)であってもよい。
【0020】
なお、表示パネル16及びセンサ基板群18の配置関係は、
図1の例に限られず、タッチセンサ32の検出方式に応じて変更されてもよい。例えば、アクティブ静電結合方式(AES)を採用するタッチセンサ32に関して、センサ基板群18が表示パネル16の上方に設けられることがより好ましい。一方、電磁誘導方式(EMR)を採用するタッチセンサ32に関して、センサ基板群18が表示パネル16の下方に設けられることがより好ましい。
【0021】
<センサ基板群18の構成>
図2は、
図1に示すセンサ基板群18の部分平面図である。
図3は、
図2に示すA-A線に沿った断面図である。以下、フレキシブル基板50の位置・姿勢を基準として方向を定義する。より具体的には、フレキシブル基板50の長辺方向、短辺方向、高さ方向をそれぞれ「長さ方向」、「幅方向」及び「厚み方向」という。
【0022】
図3に示すように、検出用基板30とフレキシブル基板50とが、両方の端部同士が重なるように配置される。検出用基板30は、タッチセンサ32(
図1)が実装された基材34と、導電層36と、絶縁層38と、が順次積層されてなる。基材34は、絶縁性及び耐熱性を有する材料(例えば、ポリエチレンテレフタレートなどの樹脂)からなる。導電層36は、導電性が高い材料(例えば、銅、銀、金などの金属)からなる。絶縁層38は、長さ方向の端部(以下、先端露出部40)を除き、導電層36の表面をすべて被覆するように設けられる。
【0023】
一方、フレキシブル基板50は、タッチ制御用IC52(
図1及び
図2)が実装された基材54と、基材54の下面に設けられる導電層56と、基材の上面に設けられる導電層58と、を備える。基材54は、絶縁性、耐熱性及び可撓性を有する材料(例えば、ポリイミドなどの樹脂)からなる。導電層56,58は、導電性が高い材料(例えば、銅、銀、金などの金属)からなる。なお、保護膜68は、導電層58(より詳しくは、後述する追加信号線64,66)を保護するために設けられる。
【0024】
検出用基板30とフレキシブル基板50の間には、異方性導電膜(以下、「ACF70」という)が介挿される。ACF70は、熱硬化性樹脂に微細な金属粒子を混ぜ合わせた混合材料を膜状に成型してなる。検出用基板30とフレキシブル基板50とが、先端露出部40を含む圧着部位72にて圧着される。つまり、圧着部位72にて加熱及び加圧が施されることで、ACF70の一部に、導電層36,56同士を電気的に接続する導電領域74が形成される。
【0025】
図2に示すように、検出用基板30上には、導電層36(
図3)により、複数本の信号線42からなる信号線群44(第1信号線群)が形成される。フレキシブル基板50上には、導電層56(
図3)により、複数本の信号線60からなる信号線群62(第2信号線群)が形成される。複数の信号線60は、長さ方向に延びるとともに、幅方向に並んで配置される。複数の信号線42は、長さ方向に延びるとともに、幅方向に並んで配置される。2つの信号線群44,62を構成する信号線42,60同士がそれぞれ一線状に繋がるように位置合わせされる。
【0026】
さらに、フレキシブル基板50上には、導電層58(
図3)により、2本の追加信号線64,66が形成される。追加信号線64の一部は、長さ方向に関して、圧着部位72よりも先端側の位置にて、信号線群44を横切るように幅方向に延びて設けられる。追加信号線66の一部は、長さ方向に関して、圧着部位72よりも後端側の位置にて、信号線群62を横切るように幅方向に延びて設けられる。
【0027】
各々の信号線42は、タッチセンサ32(
図1)の一部を構成するセンサ電極にそれぞれ接続される。また、各々の信号線60は、タッチ制御用IC52が有する検出用ピンにそれぞれ接続される。各々の追加信号線64,66は、タッチ制御用IC52が有するテスト用ピンにそれぞれ接続される。
【0028】
<判定動作の説明>
第1実施形態における電子機器10及びセンサ基板群18は、以上のように構成される。続いて、このセンサ基板群18における接続状態の判定動作について、
図2~
図4を参照しながら説明する。まず、タッチ制御用IC52は、定期的又は不定期に、センサ基板群18の接続状態を検査するための制御モード(つまり、テストモード)を開始する。
【0029】
テストモードの第1動作では、タッチ制御用IC52は、1番目のテスト用ピンを介してテスト信号を送信する。そうすると、追加信号線64と信号線60の間で容量結合CC(
図3)が形成されることで、テスト信号に対する応答信号が発生する。タッチ制御用IC52は、信号線60を介して応答信号を順次受信する。応答信号の強度が閾値を上回った場合に「第1受信結果=OK」と判定される一方、応答信号の強度が閾値以下である場合に「第1受信結果=N/A」と判定される。
【0030】
テストモードの第2動作では、タッチ制御用IC52は、2番目のテスト用ピンを介してテスト信号を送信する。そうすると、追加信号線66と信号線42との間で容量結合CC(
図3)が形成されることで、テスト信号に対する応答信号が発生する。タッチ制御用IC52は、信号線42、導電領域74及び信号線60を介して、応答信号を順次受信する。応答信号の強度が閾値を上回った場合に「第2受信結果=OK」と判定される一方、応答信号の強度が閾値以下である場合に「第2受信結果=N/A」と判定される。
【0031】
図4は、
図2及び
図3のセンサ基板群18における接続状態の判定方法の一例を示す図である。第1受信結果及び第2受信結果がいずれも「OK」である場合、検出用基板30の信号線42、フレキシブル基板50の信号線60の両方に断線がなく「正常」であると判定される(結果1)。一方、これ以外の結果の組み合わせ(結果2~4)である場合には「異常」であると判定されるとともに、以下の原因の切り分けが行われる。
【0032】
第1受信結果のみが「OK」である場合、信号線42,60の断線はないが、タッチ制御用IC52の動作不良があると判定される(結果2)。第2受信結果のみが「OK」である場合、[1]信号線42の断線、[2]基板の圧着不良、又は[3]タッチ制御用IC52の動作不良のいずれかがあると判定される(結果3)。第1受信結果及び第2受信結果がいずれも「N/A」である場合、[1]信号線60の断線、又は[2]タッチ制御用IC52の動作不良のいずれかがあると判定される(結果4)。
【0033】
<作用効果>
以上のように、第1実施形態におけるセンサ基板群18(基板アセンブリ)は、第1方向に延びて、第1方向と直交する方向に並んで配置される複数本の信号線42からなる信号線群44(第1信号線群)を含む検出用基板30(第1基板)と、第2方向に延びて、第2方向と直交する方向に並んで配置される複数本の信号線60からなる信号線群62(第2信号線群)を含むフレキシブル基板50(第2基板)と、を備える。検出用基板30とフレキシブル基板50とは、信号線群44,62を構成する信号線42,60同士がそれぞれ一線状に繋がるように固定される。フレキシブル基板50上には、信号線群62からフレキシブル基板50の厚み方向に離間しつつ、信号線群62を横切るように延びる追加信号線64,66が設けられる。
【0034】
信号線群62を横切るように延びる追加信号線64,66を設けることで、信号線群62を構成する各々の信号線60と、追加信号線64,66との間に容量結合CCが形成される。例えば、追加信号線64,66からテスト信号を送信し、当該テスト信号に対する応答信号を各々の信号線60から受信することで、信号線60の接続状態を特定可能となる。これにより、より簡易な配線構造でありながら基板同士の接続状態を検査することができる。
【0035】
また、検出用基板30とフレキシブル基板50との間には、熱硬化性樹脂を含有するACF70(異方性導電膜)が介在し、検出用基板30とフレキシブル基板50とは、ACF70が介在する圧着部位72にて熱加圧した状態で固定されてもよい。
【0036】
また、フレキシブル基板50上には、長さ方向(第2方向)に関して圧着部位72よりも先端側の位置に、少なくとも1本の追加信号線64が設けられてもよい。また、フレキシブル基板50上には、長さ方向に関して圧着部位72よりも後端側の位置に、少なくとも1本の追加信号線66が設けられてもよい。また、フレキシブル基板50上には、長さ方向に沿って圧着部位72を挟むように、少なくとも2本の追加信号線66が設けられてもよい。
【0037】
また、信号線群62は、フレキシブル基板50の一方の主面上に設けられ、追加信号線64,66は、フレキシブル基板50の他方の主面上に設けられてもよい。これにより、平面視にて信号線群62と重なる位置にも追加信号線64,66を配置可能となり、その分だけ設計の自由度が高くなる。
【0038】
また、第1基板は、タッチセンサ32を有する検出用基板30であり、第2基板は、可撓性を有するフレキシブル基板50であり、タッチセンサ32は、信号線群44,62を介して、タッチセンサ32を制御するためのタッチ制御用IC52(集積回路)と接続されてもよい。特に、タッチ制御用IC52がフレキシブル基板50上に設けられることにより、基板のレイアウト設計の自由度がより高まる。
【0039】
<第1変形例>
図5は、第1実施形態の第1変形例におけるセンサ基板群80の断面図である。このセンサ基板群80は、第1実施形態の場合と同様の構成を有する検出用基板30(第1基板)と、第1実施形態の構成とは異なるフレキシブル基板82(第2基板)と、を備える。
【0040】
フレキシブル基板82は、タッチ制御用IC52(
図1及び
図2)が実装された基材84と、基材84の下面に設けられる導電層86と、を備える。基材84は、絶縁性、耐熱性及び可撓性を有する材料(例えば、ポリイミドなどの樹脂)からなる。導電層86は、導電性が高い材料(例えば、銅、銀、金などの金属)からなる。
【0041】
検出用基板30上には、第1実施形態(
図2)と同様に、導電層36により、複数本の信号線42(つまり、信号線群44)が形成される。フレキシブル基板82上には、導電層86により、複数本の信号線60(つまり、信号線群62)が形成される。信号線群44,62を構成する信号線42,60同士がそれぞれ一線状に繋がるように位置合わせされる。さらに、フレキシブル基板82上には、導電層86により、1本の追加信号線64が形成される。追加信号線64の一部は、長さ方向に関して圧着部位72よりも先端側の位置にて、信号線群44を横切るように幅方向に延びて設けられる。
【0042】
このように、信号線群62及び追加信号線64が、フレキシブル基板50の一方の主面上に設けられてもよい。この構成によっても、第1実施形態の場合と同様に、より簡易な配線構造でありながら基板同士の接続状態を検査することができる。
【0043】
<第2変形例>
図6は、第1実施形態の第2変形例におけるセンサ基板群100の断面図である。このセンサ基板群100は、第1実施形態の場合と同様の構成を有する検出用基板30と、フレキシブル基板102(第1基板)と、メイン基板14(第2基板)と、を備える。
【0044】
フレキシブル基板102上には、複数本の信号線60からなる信号線群62(第1信号線群)と、2本の追加信号線104,106がそれぞれ形成される。また、フレキシブル基板102とメイン基板14とが、圧着部位72とは反対側の圧着部位108にて圧着される。
【0045】
信号線60は、長さ方向に延びるとともに、幅方向に並んで配置される。追加信号線104の一部は、長さ方向に関して、圧着部位108よりも後端側の位置にて、信号線群62を横切るように幅方向に延びて設けられる。追加信号線106の一部は、長さ方向に関して、圧着部位108よりも先端側の位置にて、信号線群62を横切るように幅方向に延びて設けられる。
【0046】
一方、メイン基板14上には、タッチ制御用IC52と、複数本の信号線110からなる信号線群112(第2信号線群)と、2本の信号線114,116と、が設けられる。複数本の信号線110は、長さ方向に延びるとともに、幅方向に並んで配置される。3つの信号線群44,62,112を構成する信号線42,60,110同士がそれぞれ一線状に繋がるように位置合わせされる。2本の追加信号線104,106は、信号線114,116とそれぞれ一線状に繋がるように位置合わせされる。
【0047】
各々の信号線42は、タッチセンサ32(
図1)の一部を構成するセンサ電極にそれぞれ接続される。また、各々の信号線110は、タッチ制御用IC52が有する検出用ピンにそれぞれ接続される。また、2本の信号線114,116は、タッチ制御用IC52が有するテスト用ピンにそれぞれ接続される。
【0048】
このように、タッチ制御IC52が、フレキシブル基板102とは別の基板(例えば、メイン基板14)上に設けられてもよい。この構成によっても、第1実施形態の場合と同様に、より簡易な配線構造でありながら基板同士の接続状態を検査することができる。
【0049】
<他の変形例>
第1実施形態(
図2及び
図3)では、追加信号線64,66が信号線群62を直交して横切るように延びる場合について説明したが、追加信号線の配置はこれに限られない。例えば、フレキシブル基板50上には、信号線群62から厚み方向に離間しつつ、検出用基板30の信号線群44に接続される複数の接続端子(つまり、接続端子群)を横切るように延びる追加信号線が設けられてもよい。また、追加信号線64,66は、90度よりも小さい角度で交差するように延びてもよい。
【0050】
第1実施形態(
図2及び
図3)では、フレキシブル基板50のみに追加信号線64,66が設けられる場合について説明したが、追加信号線の配置はこれに限られない。例えば、検出用基板30上には、信号線群44から検出用基板30の厚み方向に離間しつつ、信号線群44(又は、フレキシブル基板50の信号線群62に接続される接続端子群)を横切るように延びる追加信号線が設けられてもよい。これにより、信号線42の接続状態も併せて検査可能となり、その分だけ原因の切り分けが行いやすくなる。
【0051】
第1実施形態(
図2及び
図3)では、追加信号線64,66が圧着部位72を挟む位置に設けられる場合について説明したが、追加信号線の配置はこれに限られない。例えば、フレキシブル基板50上には、圧着部位73を含む位置に、少なくとも1本の追加信号線が設けられてもよい。これにより、信号線42,60の連結部分における接続状態を直接的に検査することができる。
【0052】
第1実施形態(
図2)では、追加信号線64,66がタッチ制御用IC52に接続される場合について説明したが、追加信号線の接続形態はこれに限られない。例えば、追加信号線の一端側には入力端子が設けられてもよい。例えば、外付けの検査装置を入力端子に接続することで、接続状態の検査が行いやすくなる。
【0053】
第1実施形態(
図4)では、タッチ制御用IC52が追加信号線64,66からテスト信号を送信する場合について説明したが、タッチ制御用IC52の動作がこの逆であってもよい。具体的には、タッチ制御用IC52は、信号線60を介してテスト信号を順次送信し、追加信号線64,66を介して応答信号を受信してもよい。
【0054】
[第2実施形態]
<表示用基板130の構成>
図7は、本発明の第2実施形態における表示用基板130の平面図である。この表示用基板130は、表示パネルとタッチセンサとが一体的に構成される「内蔵型」(さらに分類すると、オンセル型又はインセル型)のタッチパネルディスプレイとして機能する。この表示用基板130は、基材132と、複数の分割パネル134からなる一体型パネル136と、制御用集積回路(以下、制御用IC138)と、複数の信号線群140と、を含んで構成される。
【0055】
基材132は、絶縁性及び耐熱性を有する材料(例えば、ガラス)からなる。一体型パネル136、制御用IC138及び信号線群140はいずれも、基材132の一方の主面(つまり、表面)に配置される。制御用IC138の個数は、一体型パネル136の分割数に等しい。すなわち、各々の分割パネル134は、信号線群140を介して、対応する制御用IC138と接続される。
【0056】
部分Bの拡大図に示すように、信号線群140は、表示パネル側に接続される信号線142と、タッチセンサ側に接続される信号線144と、が略等間隔かつ周期的に並んで構成される。また、基材132上には、1つの制御用IC138につき、1本の追加信号線146が配置される。追加信号線146は、制御用IC138のテスト用ピンを起点として、基材132の表面上にて横方向に延び、図示しないスルーホールを介して、基材132の裏面上にて信号線群140を横切るように延びる。
【0057】
<判定動作の説明>
第2実施形態における表示用基板130は、以上のように構成される。続いて、この表示用基板130における接続状態の判定動作について説明する。まず、制御用IC138は、定期的又は不定期に、表示用基板130の接続状態を検査するための制御モード(つまり、テストモード)を開始する。
【0058】
制御用IC138は、テストモードの実行時に、テスト用ピンを介してテスト信号を送信する。そうすると、追加信号線146と信号線144の間で容量結合CCが形成されることで、テスト信号に対する応答信号が発生する。制御用IC138は、信号線144を介して応答信号を順次受信する。応答信号の強度が閾値を上回った場合に「受信結果=OK」であるとして信号線144の断線がないと判定される。一方、応答信号の強度が閾値以下である場合に「受信結果=N/A」であるとして信号線144の断線があると判定される。
【0059】
<作用効果>
このように、表示用基板130は、基材132と、基材132の一方の主面上に設けられ、並んで配置される複数本の信号線142,144からなる信号線群140と、少なくとも一部が基材132の他方の主面上に設けられ、信号線群140を横切るように延びる1本以上の追加信号線146と、を備える。
【0060】
この構成によっても、第1実施形態の場合と同様に、より簡易な配線構造でありながら表示用基板130の接続状態を検査することができる。
【0061】
[第3実施形態]
続いて、第3実施形態における基板アセンブリ及びその接続状態の検査方法について、
図8及び
図9を参照しながら説明する。
【0062】
<センサ基板群200の構成>
図8は、第3実施形態におけるセンサ基板群200の部分平面図である。センサ基板群200は、第1実施形態の場合と同様の構成を有する検出用基板30と、フレキシブル基板202と、を備える。フレキシブル基板202は、追加信号線64,66が設けられない点で第1実施形態(
図2)とは構成が異なる。また、フレキシブル基板202には、第1実施形態とは機能が異なるタッチ制御用IC204が設けられる。
【0063】
<判定動作の説明>
第3実施形態におけるセンサ基板群200は、以上のように構成される。続いて、このセンサ基板群200における接続状態の判定動作について説明する。まず、タッチ制御用IC204は、定期的又は不定期に、センサ基板群200の接続状態を検査するための制御モード(つまり、テストモード)を開始する。
【0064】
タッチ制御用IC204は、テストモードの実行時に、1番目の検出用ピンを介してテスト信号を送信する。そうすると、1番目の信号線60とその近傍にある信号線60の間で容量結合CCが形成されることで、テスト信号に対する応答信号が発生する。タッチ制御用IC204は、信号線60を介して応答信号を順次受信する。その結果、1番目の信号線60に近いほど信号レベルが高い応答信号が受信される。
【0065】
次いで、タッチ制御用IC204は、2番目の検出用ピンを介してテスト信号を送信し、隣接する信号線60を介して応答信号を順次受信する。以下、テスト信号を送信する信号線60を順次変更しながら応答信号を順次受信する。
【0066】
図9は、
図8のセンサ基板群200における接続状態の判定方法の一例を示す図である。ここでは、N本の信号線60のうち、n番目の信号線60のみが断線している接続状態を想定する。(n-2)番目の信号線60からテスト信号が送信された場合、隣接する(n-3)番目、(n-1)番目の信号線60から信号レベルが閾値を上回る応答信号が受信される。(n-1)番目の信号線60からテスト信号が送信された場合、隣接する(n-2)番目の信号線60から信号レベルが閾値を上回る応答信号が受信されるが、隣接するn番目の信号線60から信号レベルが閾値以下の応答信号が受信される。n番目の信号線からテスト信号が送信された場合、隣接する(n-1)番目、(n+1)番目の信号線60から信号レベルが閾値以下の応答信号が受信される。
【0067】
このようにして、タッチ制御用IC204は、隣接する信号線60間で形成される容量結合CCを利用して、信号線60の接続状態を判定することができる。
【0068】
<作用効果>
以上のように、タッチコントローラとしてのタッチ制御用IC204は、並んで配置される複数本の信号線60からなる信号線群62に接続される。そして、タッチ制御用IC204は、一の信号線60からテスト信号を送信し、信号線60間で形成される容量結合CCに伴う応答信号を一の信号線60と隣り合う他の信号線60から受信し、応答信号の強度に基づいて信号線60の接続状態を判定してもよい。
【0069】
このように構成することで、追加信号線64,66(
図2及び
図3)を設けずに、センサ基板群200の接続状態を検査することができる。
【0070】
[符号の説明]
10…電子機器、18,80,100,200…センサ基板群(基板アセンブリ)、30…検出用基板、50,82,202…フレキシブル基板、44,62,112,140…信号線群、64,66,104,106,146…追加信号線、130…表示用基板(基板)